JP2004221406A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】枠体と、枠体内に設置された一枚または複数枚の太陽電池セルと、複数の発光体とを含む太陽電池モジュールであって、複数の発光体をコントロールして種々の発光パターンで発光させ得る制御手段を備え、屋外ディスプレイ装置として用い得る太陽電池モジュールである。ここで、複数枚の太陽電池セルが格子状に設置されており、複数の発光体が格子状に設置されていることが好ましい。また、発光体が、太陽電池セル間の間隙の各交点に対応する位置に設置されていることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池モジュールに関し、特に屋外ディスプレイ装置兼用とすることができる太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の観点から各種のクリーンなエネルギの利用が進められている。特に太陽光のエネルギを利用する太陽電池は、有害物質を出さないクリーンなエネルギの供給源として期待されている。近年では、太陽電池を利用した商品として、たとえば住宅用太陽光発電システム等の普及が進んでいる。
【0003】
この住宅用太陽光発電システムは、発電出力が数十W/枚程度の太陽電池モジュールの数枚ないしは数十枚を、住宅の屋根等の傾斜面やマンション等のビル壁面に縦横方向に設置してアレイを構成したものである。
【0004】
図16に従来の太陽電池モジュールの模式的な上面図を示す。図16において、太陽電池モジュール201は、枠体204内にマトリックス(格子)状に設置された複数枚の太陽電池セル202を有している。しかし、太陽電池はいまだ太陽エネルギから電気エネルギへの変換効率が低いことから、十分なエネルギ量を得るためには大面積の太陽電池モジュールを設置することが必要となる。なお、本願の図面において、同一の参照符号および同一の表記は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0005】
一方、屋外に設置され、かつ大面積に設置されることを必要としているものとしては、たとえば遠くからの視認性を要する広告パネル、幹線道路等の交通誘導パネル、またはビル壁面の意匠性向上のための装飾パネル等に用いられる屋外ディスプレイ装置がある。この屋外ディスプレイ装置は、そのディスプレイ(表示面)に文字または図形等を表示して、人々に情報を伝達し、また地域の美観を向上させるために設置される。屋外ディスプレイ装置は、昼間のみ自然光で視認可能な単なる一種類のパッシブ型(固定的)情報表示パネル形態として設置されているものが通例である。しかし、多くの人が行き交う都市または郊外の幹線道路沿線の遊技場等においては、屋外ディスプレイ装置は、多種類の情報を次々に切換えて表示するアクティブ型(能動的)情報表示パネル形態であるネオンサインまたは電光表示板等として設置されている。
【0006】
しかし、上述した近年の地球環境保護の観点から、商用電力を多く消費するアクティブ型(能動的)情報表示パネル形態である屋外ディスプレイ装置を新規に設置することが問題とされるようになってきた。また、最近、大都市においてはその地域の美観の観点から、また、郊外においてもその風致地区等の保護の観点から、大面積である広告パネルまたは装飾パネル等の屋外ディスプレイ装置の設置場所および設置面積が問題とされるようになってきた。
【0007】
そこで、大面積に設置され、太陽光から発電することができる太陽電池モジュールを広告パネルまたは装飾パネル等の屋外ディスプレイ装置に利用した技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。しかし、この技術は、表面の色の異なる太陽電池モジュールを多数配列し、これらの表面の色の差異を利用して文字や図形等を表示するものである。したがって、この技術においては、一種類の情報のみしか表示することができず、他の種類の情報に切り替えるためには太陽電池モジュールを再配列しなければならないという問題があった。また、この技術においては、夜間における文字または図形等の視認性が悪いという問題があった。
【0008】
また、クリーンなエネルギである太陽光発電による電力を用いて発光体を発光させることにより、夜間における視認性を向上させる技術が開示されている(たとえば、特許文献2〜5参照。)。しかし、これらの技術においては、小型の発光体のみが用いられている。それゆえ、これらの技術は、表札等の照明バックライト、または存在位置の確認警告用の点滅表示器等に利用されるにすぎなかった。
【0009】
また、太陽光発電による電力を用いた広告ポスターの技術が開示されている(たとえば、特許文献6参照。)。しかし、この技術においては、液晶ディスプレイが用いられているため、液晶ディスプレイにバックライトを付属した場合であっても屋外における遠方からの視認性が悪いという問題があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平8−107230号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平4−194979号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平10−240175号公報
【0013】
【特許文献4】
特開平11−175014号公報
【0014】
【特許文献5】
特開2000−149625号公報
【0015】
【特許文献6】
特開2002−108230号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑みて本発明は、多種類の情報を次々に切り替えて表示することができ、かつ、昼夜を問わず遠方からの視認性が良好な省エネルギ型の屋外ディスプレイ装置として用いることができる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、枠体と、枠体内に設置された一枚または複数枚の太陽電池セルと、複数の発光体とを含む太陽電池モジュールであって、複数の発光体をコントロールして種々の発光パターンで発光させ得る制御手段を備え、屋外ディスプレイ装置として用い得る太陽電池モジュールである。
【0018】
ここで、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、複数枚の太陽電池セルが格子状に設置されており、複数の発光体が格子状に設置されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体が、太陽電池セル間の間隙の各交点に対応する位置に設置されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体が発光ダイオードであることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体を太陽電池セル上に設置することができる。
【0022】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体が太陽電池セルの発電領域ではない表面電極上に設置されていることが好ましい。
【0023】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体が透明樹脂によって封止されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体は、昼間においては、太陽電池セルにより発電される電力を用いて、太陽電池セルの受光面側から発光することが好ましい。
【0025】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、発光体は、夜間においては、昼間に太陽電池セルにより発電されて蓄電された電力を用いて、太陽電池セルの受光面側から発光することが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、制御手段は制御装置を含み、制御装置によって発光体の発光パターンがコントロールされることが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、太陽電池モジュール外部から、リモコン操作によって、発光体をコントロールして発光させ得ることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、リモコン操作によって発光体をコントロールして発光させる場合には、複数枚ある太陽電池セルのうちの一枚の太陽電池セルまたは太陽電池モジュールと別個に設置された受光素子が、リモコン操作により送信される光信号の受信部となることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
(構成)
図1に本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい一例の模式的な上面図を示す。図1において、本発明に係る太陽電池モジュール101は、枠体104内に設置された複数枚の八角形状の太陽電池セル102と、複数の発光体103とを含む。なお、本明細書において、「枠体内に設置」とは、本発明に係る太陽電池モジュール101を真上から見たときに、枠体104で囲まれた領域内に設置されていればよいことを意味するものとする。
【0031】
本発明に係る太陽電池モジュール101においては、文字または図形等からなる多種類の情報の表示は、複数の発光体103の発光パターンをコントロールすることによって行なわれる。したがって、本発明に係る太陽電池モジュール101は、従来のように液晶ディスプレイを用いた屋外ディスプレイ装置よりも、当該表示に対する人々の遠方からの視認性を向上させた屋外ディスプレイ装置として用いることができる。なお、本明細書において、「屋外ディスプレイ装置」とは、屋外に設置され、文字または図形等を表示する装置のことをいう。
【0032】
ここで、図1に示すように、太陽電池セル102および発光体103は、それぞれ枠体104内に格子状に設置されることが好ましい。太陽電池セル102が格子状に設置された場合には、太陽電池モジュール101の美観をより向上させることができる。
【0033】
また、発光体103が格子状に設置された場合には、発光体103の発光または点滅等によって様々な文字または図形等を表示することができるようになることから、多種類の情報をより容易に表示することができる傾向にある。なお、本明細書において、「格子状に設置」とは、図1に示すように、太陽電池モジュール101を真上から見て、枠体104内に設置されている太陽電池セル102の配列または発光体103の配列が格子状になるように設置されていることを意味するものとする。
【0034】
また、図1に示すように、発光体103は、太陽電池セル102間の間隙の各交点105に対応する位置に設置されることが一般的には好ましい。この場合にも、発光体103の発光または点滅等によって様々な文字または図形等を表示することができるようになる。
【0035】
ここで、「太陽電池セル102間の間隙の各交点105に対応する位置に設置」とは、図1に示すように、太陽電池モジュール101を真上から見て平面的に視認される発光体103が、太陽電池セル102間の間隙A−A’とB−B’との交点105上にあることを意味するものとする。なお、太陽電池セル102間の間隙の幅が大きい場合には、交点105は、その太陽電池セル102間の間隙の幅の中心線上にあるものとする。
【0036】
図2に本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい他の例の模式的な上面図を示す。図2に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、複数の太陽電池セル102を円形状に形成して、円形状の太陽電池セル102を千鳥格子状に設置してもよい。
【0037】
また、図3に本発明に係る太陽電池モジュールの好ましいさらに他の例の模式的な上面図を示す。図3に示すように、本発明に係る太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セル102を六角形状に形成して、六角形状の太陽電池セル102を千鳥格子状に設置してもよい。
【0038】
また、図4に本発明に係る太陽電池モジュールの好ましいさらに他の例の模式的な上面図を示す。図4に示すように、太陽電池セル102を三角形状に形成して、三角形状の太陽電池セル102を千鳥格子状に設置してもよい。太陽電池セル102は、上記以外にも、四角形状等に形成され得る。
【0039】
なお、上記において、発光体は、太陽電池セル間の間隙に設置されているが、太陽電池セル上にも設置することができる。発光体を太陽電池セル上に設置した場合には、発光体の設置間隔を短くすることができることから、より複雑な文字または図形等を表示することができる傾向にある。
【0040】
発光体を太陽電池セル上に設置する場合には、発光体は、太陽電池セルの発電領域ではない表面電極上に設置されることが好ましい。この場合には、発光体の設置による太陽電池セルの発電領域の減少をより有効に防止することができる。
【0041】
(内部構造)
図5に、図1に示す太陽電池モジュール101を線A−A’で切り取った模式的な断面図を示す。なお、図5においては、枠体104の記載は省略している。
【0042】
図5に示すように、太陽電池モジュール101においては、太陽電池セル102および発光体103の上方に表面保護板106が設置されている。また、太陽電池セル102および発光体103の下方には発光体103の発光パターンを制御する制御装置107と、太陽電池セル102が昼間に発電した電力を蓄電することができる電気二重層型コンデンサ108とが設置されている。
【0043】
また、発光体103の発光パターンを決定する信号を、太陽電池モジュール101の外部にあるパソコン110から光ファイバ111を介して光信号として受信する光センサ109も設置されている。そして、太陽電池セル102、発光体103、制御装置107、電気二重層型コンデンサ108および光センサ109は透明樹脂112によって封止され、さらに透明樹脂112の表面を保護フィルム113が被覆している。
【0044】
太陽電池モジュール101においては、制御装置107が発光体103の発光色、点滅または発光時間等の発光パターンをコントロールすることによって、様々な文字または図形等が表示される。ここで、発光体103は、太陽電池セル102の受光面側から発光するように設置されることが好ましい。太陽電池セル102は通常、その受光面側を太陽のある方向に向けて設置されることから、人々はこの受光面側から太陽電池モジュール101を視認することとなるためである。
【0045】
また、太陽電池モジュール101においては、上記のように、太陽電池セル102、発光体103、制御装置107、電気二重層型コンデンサ108および光センサ109等の部材が透明樹脂112によって封止されていることが好ましい。この場合には、上記のように太陽電池モジュール101を構成する部材を透明樹脂112によって容易に連結させることができる。
【0046】
また、上記において、光センサ109の代わりとして、複数枚の太陽電池セル102の中から選択された適当な太陽電池セルをこれに充当することもできる。
【0047】
なお、上記において、太陽電池セル102としては、たとえばpn接合型の多結晶シリコン、単結晶シリコンまたはpin接合型等のアモルファスシリコン等の単体半導体、GaAs、InPまたはAlGaAs等の化合物半導体等が用いられる。また、太陽電池セル102には、効率よく光を取り込むためのテクスチャ構造、反射防止膜、表面電極または裏面電極等が形成され得る。
【0048】
また、発光体103としては、発光ダイオード、エレクトロルミネッセンスまたはレーザ等が用いられ得る。なかでも発光体103は、発光ダイオードであることが好ましく、青色、緑色および赤色を発光する三原色発光型の複合発光ダイオードであることがより好ましい。発光体103が発光ダイオードである場合には、文字または図形等からなる表示に対する人々の遠方からの視認性を向上させることができる。また、発光体103が三原色発光型の複合発光ダイオードである場合にはフルカラー表示することができることから、文字または図形等の表示を色彩豊かに表現することができる。なお、発光体103は単色発光型の発光ダイオードであってもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、表面保護板106としては、たとえば透明なセラミックからなる強化ガラス板またはポリカーボネート樹脂板を用いることが好ましい。
【0050】
また、透明樹脂112としては、たとえばEVA(エチレンビニルアセテート)等の熱硬化型樹脂が用いられる。また、保護フィルム113としては、たとえばアルミニウム箔の両面にポリエチレンテレフタレート樹脂を積層したフィルム等の耐候性保護フィルムが用いられることが好ましい。
【0051】
また、発光体103は、昼間においては太陽電池セル102によって発電された電力を用いて発光することが好ましい。また、夜間においては、昼間に太陽電池セルによって電気二重層型コンデンサ108に蓄電された電力等を用いて発光することが好ましい。さらに、発光体103の発光には、太陽電池セル102によって発電された電力のみを用いることが好ましい。これらの場合には、商用電力の消費を抑制することができることから、結果として地球環境の保護につながることとなる。
【0052】
なお、昼間は太陽電池セル102で発電する電力を用いて発光体103を発光させ、夜間は昼間に発電した電力の一部を蓄電している電力を用いて発光させる場合には、通常、発光体103の発光に用いる消費電力は全体として太陽電池モジュール101の発電能力の約10分の1ないし5分の1以下であり得る。したがって、本発明に係る太陽電池モジュール101においては、太陽電池セル102が発電した電力を発光体103の発光のみに用いるだけでなく、それが設置されている建物等にも十分に供給し得る。
【0053】
(太陽電池ライトパネル)
図6に一枚の太陽電池セルを用いた本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい一例である太陽電池ライトパネルの一例の模式的な断面図を示す。図6において、本発明に係る太陽電池ライトパネルにおいては、透明セラミック強化ガラスからなる表面保護板106の下方に半透明のアモルファスシリコン薄膜からなる太陽電池セル102が設置されており、太陽電池セル102の下方には散光板121が設置されている。また、散光板121の下方には、発光体103、制御装置107および電気二重層型コンデンサ108が設置されている。さらに、これらの部材の周囲は表面保護板106と枠体104とで取り囲まれている。
【0054】
ここで、発光体103を発光させた場合には、その光は散光板121と半透明のアモルファスシリコン薄膜からなる太陽電池セル102とを透過して、人々に視認されることとなる。
【0055】
なお、上記太陽電池ライトパネルにおいても、表面保護板106と枠体104とで囲まれる領域に透明樹脂を封入することが好ましい。この場合には、太陽電池ライトパネルに含まれる部材をより容易に連結させることができる。
【0056】
また、上記太陽電池ライトパネルは、たとえばアパート、マンションまたは工場建物等の外壁に使われるALC(軽量気泡コンクリート)パネルと一体化し易い(1999年9月14日付日刊工業新聞及び日経産業新聞等の記事参照)ため、建物外壁を太陽光発電システムに利用できるのみならず、その太陽光発電システム自体が広告や装飾ディスプレイとしての情報表示板にも出来るというメリットがある。
【0057】
(ハード)
図7に本発明に係る太陽電池モジュールをハード面から見た好ましい一例の概略的なブロック図を示す。図7において、制御装置107は、コーデック114と、プロセッサ115と、SRAM116とフラッシュメモリ117とを含む複合メモリ118と、表示コントローラ119と、ドライバ120とを含む。
【0058】
図7に示すように、発光体103の発光および消滅を決定するパソコン110から送信されたコントロール信号は光ファイバ111を介して光センサ109において受信され、コーデック114によってデジタル信号に変換される。
【0059】
一方、制御装置107には、複数枚ある太陽電池セル102の中から選択された1枚の太陽電池セル102aから発光体103の発光輝度を決定する光量信号が送信され、これもコーデック114によってデジタル信号に変換される。
【0060】
そして、デジタル信号に変換されたコントロール信号および光量信号はそれぞれプロセッサ115に送信される。次いで、プロセッサ115は、複合メモリ118中のSRAM116およびフラッシュメモリ117等を利用して演算処理等を行なう。その後、発光体103の発光パターンまたは発光輝度等についての指示を与える信号が、プロセッサ115から表示コントローラ119に送信され、表示コントローラ119はドライバ120を介して発光体103を発光させる。
【0061】
なお、上述したように、本発明において太陽電池セル102が複数枚ある場合には、複数枚ある太陽電池セル102の中から選択された1枚の太陽電池セル102aを光量検知器として制御装置107に接続することができる。また、本発明に係る太陽電池モジュール101の光量と同等程度の光量を検知できる程度に近接した位置に別個に設置された太陽電池セル、フォトダイオード等の受光素子を光量検知器として制御装置107に接続することもできる。これらの場合には、光量検知器としての太陽電池セルまたは受光素子から流れる電流量を調べることによって日照量が判断され、昼夜のいずれかが判断され得る。それゆえ、発光体103の発光によって形成される表示の視認性が良い夜間においては、発光体103の発光輝度を抑えることができることから、発光体103の発光に用いられる電力の消費を減少させ得る。
【0062】
また、発光体103の発光パターンを制御する制御装置107は、太陽電池モジュール101ごとに設置することが好ましいが、複数の太陽電池モジュール101ごとに設置することもできる。
【0063】
(ソフト)
図8に本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましい一例である外部データタイプのフローの概略図を示す。この外部データタイプとしての使用フロー例は、多種類の情報を次々に切換えて表示するアクティブ型(能動的)情報表示パネル形態である電光表示板等としての一般的な使用フローとなる。
【0064】
すなわち、図8に示すフローにおいては、まず、人間が太陽電池モジュールにおける文字または図形等の表示プログラムであるプログラムA、BおよびCのうちから一つのプログラムを選択する。次に、選択されたプログラムを実行するためのデータを人間が作成する。そして、人間がパソコンを操作することによって、このデータを、光信号としてプロセッサに送信する。一方、太陽電池セルからは日照データがプロセッサに送信される。そして、プロセッサがこれらの送信されたデータと内部ROMデータとを比較等することによって、太陽電池モジュールに表示される文字または図形および発光体の発光輝度等が決定され得る。
【0065】
なお、図8において太陽電池セルから送信される日照データは、発光体の発光輝度、発光色、発光の継続および停止、または発光パターンの選択等を制御するために用いられ得る。
【0066】
また、日照データは季節の移り変わりを知るデータにもなり得るため、季節に合った発光パターンの選択をすることもできる。
【0067】
図9に本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましい他の例であるROMデータ選択タイプのフローの概略図を示す。図9に示すフローにおいては、人間がリモコンを操作することによってプログラムA、BおよびCのうちから一つのプログラムが選択され、そのプログラムによって太陽電池モジュールに表示される文字または図形等が決定されることを特徴としている。
【0068】
なお、図9に示すフローにおいては、複数枚ある太陽電池セルのうちの一枚の太陽電池セルまたは本発明に係る太陽電池モジュールの光量と同等の光量を検知できる程度に近接した位置に別個に設置された太陽電池セル、フォトダイオード等の受光素子がリモコンにより送信される光信号の受信部を兼ね得る。また、図9において太陽電池セルから送信される日照データは、発光体の発光輝度、発光色、発光の継続および停止、または発光パターンのセレクト等を制御するためのものであり得る。
【0069】
図10に本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましい他の例であるメンテナンスフリータイプのフローの概略図を示す。図10に示すフローにおいては、あらかじめ内部ROMデータ等に登録されている文字または図形等の表示をプロセッサにより自動でサイクルして切り替わるように表示を制御したり、また、太陽電池セルから送信される日照データを用いて日照量の判断をすることによりあらかじめ内部ROMデータに登録されている文字または図形等の表示をプロセッサにより自動でサイクルして切り替わるように表示を制御することを特徴としている。したがって、この場合には、人間が太陽電池モジュール外部から発光体の発光パターンをコントロールする必要がないため、メンテナンスフリータイプの屋外ディスプレイ装置となる。
【0070】
すなわち、上記3種類のフローにおいては、外部データタイプ、ROMデータ選択タイプ、メンテナンスフリータイプの順に、より次々と表示を切り替えて多種類の表示をすることができなくなる傾向にあるが、人間の労力が減少する傾向にある。
【0071】
なお、上記においてプログラムはA、BおよびCの三種類のみの場合しか記載していないが、本発明においては、プログラムの種類はこれに限定されない。
【0072】
(その他)
発光体の一部にアドレスIDを割り当て、発光体の発光パターンとこのIDとを多重化すれば、ID検索用に開発されているデジタルカメラで、広告パネルまたは装飾ディスプレイ等の屋外ディスプレイ装置となっている太陽電池モジュールを撮影すると、それが設置されているアドレス(場所)を知ることも可能になる(日経エレクトロニクス2002年4月8日号35ページの記事参照)。
【0073】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
図11に本発明に係る太陽電池モジュールを住宅用太陽光発電システムに用いた一例を示す。図11において、125mm角の四角形状に形成された単結晶シリコンからなる54枚の太陽電池セルが枠体内に格子状に設置された外形寸法約800×1200mmの太陽電池モジュールを住宅の切妻屋根に24枚設置することにより、太陽光発電出力約3kwの住宅用太陽光発電システムが構築されている。
【0075】
そして、各太陽電池モジュールに格子状に設置されている太陽電池セル間の間隙の各交点に対応する位置に発光ダイオードが設置されており、この発光ダイオードの発光パターンはパソコンによって制御されている。この発光パターンの制御によって、図11に示すように住宅の切妻屋根に「4月3日市民コンサート」の文字が表示される。
【0076】
なお、本実施例における表示は上記のものに限らず、また様々な表示を次々に切り替えて表示することができることは言うまでもない。また、本実施例においては、上記発光ダイオードに、青色、緑色および赤色をそれぞれ発光する三原色発光型の複合発光ダイオードを用いているため、フルカラー表示をすることが可能であり、文字または図形等の表示を色彩豊かに表現することができる。
【0077】
(実施例2)
図12に本発明に係る太陽電池モジュールを装飾ディスプレイに用いた一例を示す。図12において、125mm角の四角形状に形成された単結晶または多結晶シリコンからなる9枚の太陽電池セルを枠体内に格子状に設置し、さらに発光ダイオードを任意の位置に設置した外形寸法約430×430mmの太陽電池モジュールからなる装飾ディスプレイが構築されている。
【0078】
ここで、本実施例においては、クリスマスツリー等を構成する発光ダイオードは低輝度で発光しており、その上方にある星を構成する発光ダイオードは高輝度で点滅発光している。また、本実施例においても、上記発光ダイオードに、青色、緑色および赤色をそれぞれ発光する三原色発光型の複合発光ダイオードが用いられている。
【0079】
(実施例3)
図13および図14に本発明に係る太陽電池モジュールを装飾ディスプレイに用いた他の一例を示す。図13および図14において、125mm角の四角形状に形成された単結晶または多結晶シリコンからなる9枚の太陽電池セルが枠体内に格子状に設置された外形寸法約430×430mmの太陽電池モジュールの表面を透明なセラミックガラス板で被覆している。この太陽電池モジュールを遊園地の道路に敷き詰めることにより、パビリオンへの道案内等に用いられる装飾ディスプレイが構築されている。そして、各太陽電池モジュールの枠体内に設置されている発光ダイオードは、制御された発光パターンに従って、昼夜間を問わず発光している。
【0080】
本実施例においては、この発光パターンの制御によって、図13に示す装飾ディスプレイの表示を、図14に示す装飾ディスプレイの表示に切り替えることができるため、同じ道路であっても人々に違ったイメージを与えることができる。また、本実施例においては、発光ダイオードを順次点滅させることにより、図13および図14に示す装飾ディスプレイの表示を、たとえば図面の下側から上側へ光が流れるように見せることもできる。また、本実施例においても、上記発光ダイオードに、青色、緑色および赤色をそれぞれ発光する三原色発光型の複合発光ダイオードが用いられている。
【0081】
(実施例4)
図15に本発明に係る太陽電池ライトパネルを装飾ディスプレイに用いたさらに他の一例を示す。本実施例においては、1枚の太陽電池セルと発光ダイオードとを含む外形寸法約140×140mmの図6に示すような太陽電池ライトパネルが複数、歩道の舗装ブロックの代わりに敷き詰められている。
【0082】
本実施例においては、上記太陽電池ライトパネルにさらに光信号の受信部が設置されており、リモコンを操作することによって、発光色等の発光パターンを変更することができる。また、本実施例においても、青色、緑色および赤色をそれぞれ発光する三原色発光型の複合発光ダイオードを用いている。
【0083】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0084】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、多種類の情報を次々に切り替えて表示することができ、かつ、昼夜を問わず遠方からの視認性が良好な省エネルギ型の屋外ディスプレイ装置として用いることができる太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい一例の模式的な上面図である。
【図2】本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい他の例の模式的な上面図である。
【図3】本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい他の例の模式的な上面図である。
【図4】本発明に係る太陽電池モジュールの好ましいさらに他の例の模式的な上面図である。
【図5】図1に示す太陽電池モジュールの線A−A’に沿った模式的な断面図である。
【図6】本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい一例である太陽電池ライトパネルの模式的な断面図である。
【図7】本発明に係る太陽電池モジュールをハード面から見た好ましい一例の概略的なブロック図である。
【図8】本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましい一例である外部データタイプのフローの概略図である。
【図9】本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましい他の例であるROMデータ選択タイプのフローの概略図である。
【図10】本発明に係る太陽電池モジュールをソフト面から見た好ましいさらに他の例であるメンテナンスフリータイプのフローの概略図である。
【図11】本発明に係る太陽電池モジュールを住宅用太陽光発電システムに用いた一例を示す図である。
【図12】本発明に係る太陽電池モジュールを装飾ディスプレイに用いた一例を示す図である。
【図13】本発明に係る太陽電池モジュールを装飾ディスプレイに用いた他の一例を示す図である。
【図14】本発明に係る太陽電池モジュールを装飾ディスプレイに用いた他の一例を示す図である。
【図15】本発明に係る太陽電池ライトパネルを装飾ディスプレイに用いたさらに他の一例を示す図である。
【図16】従来の太陽電池モジュールの模式的な上面図である。
【符号の説明】
101,201 太陽電池モジュール、102,102a,202 太陽電池セル、103 発光体、104,204 枠体、105 交点、106 表面保護板、107 制御装置、108 電気二重層型コンデンサ、109 光センサ、110 パソコン、111 光ファイバ、112 透明樹脂、113 保護フィルム、114 コーデック、115 プロセッサ、116 SRAM、117フラッシュメモリ、118 複合メモリ、119 表示コントローラ、120ドライバ、121 散光板。
Claims (12)
- 枠体と、枠体内に設置された一枚または複数枚の太陽電池セルと、複数の発光体とを含む太陽電池モジュールであって、複数の発光体をコントロールして種々の発光パターンで発光させ得る制御手段を備え、屋外ディスプレイ装置として用い得ることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 複数枚の太陽電池セルが格子状に設置されており、複数の発光体が格子状に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 発光体が、太陽電池セル間の間隙の各交点に対応する位置に設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
- 発光体が発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 発光体が太陽電池セル上に設置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 発光体が太陽電池セルの発電領域ではない表面電極上に設置されていることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュール。
- 発光体が透明樹脂によって封止されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 発光体は、昼間においては、太陽電池セルにより発電される電力を用いて、太陽電池セルの受光面側から発光することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 発光体は、夜間においては、昼間に太陽電池セルにより発電されて蓄電された電力を用いて、太陽電池セルの受光面側から発光することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 制御手段は制御装置を含み、制御装置によって発光体の発光パターンがコントロールされることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 太陽電池モジュール外部から、リモコン操作によって、発光体をコントロールして発光させ得ることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 複数枚ある太陽電池セルのうちの一枚の太陽電池セルまたは太陽電池モジュールと別個に設けられた受光素子が、リモコン操作により送信される光信号の受信部となることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池モジュール。
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