JP2004219680A - 画像形成装置およびジャム検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体のジャムを確実に検出することのできる画像形成装置およびそのジャム検出方法を提供する。
【解決手段】シート搬送経路F上において定着ユニット9の後方に、シートSの有無を検出する2つのセンサ84、85を設け、それらの出力信号に基づきジャムの有無を判定する。例えば、ゲートローラの駆動が開始されてから一定時間t1が経過して定着後センサ84の出力がシートありを示すLレベルに変化した後、その後方に設けられた排出前センサ85の出力がLレベルに変化しないまま定着後センサ84の出力がシートなしを示すHレベルに変化したときは、ジャムと判定する。
【選択図】 図5
【解決手段】シート搬送経路F上において定着ユニット9の後方に、シートSの有無を検出する2つのセンサ84、85を設け、それらの出力信号に基づきジャムの有無を判定する。例えば、ゲートローラの駆動が開始されてから一定時間t1が経過して定着後センサ84の出力がシートありを示すLレベルに変化した後、その後方に設けられた排出前センサ85の出力がLレベルに変化しないまま定着後センサ84の出力がシートなしを示すHレベルに変化したときは、ジャムと判定する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像形成装置において、記録媒体のジャムを検出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置においては、紙やOHPシートなどの記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段が設けられている。この搬送手段としては、一般的に、ローラやベルト等の回転体とコロとの間に記録媒体を挟持する構造が採られており、回転体が所定の方向に回転することによって記録媒体を所定方向に搬送する。
【0003】
このような搬送手段においては、ジャムすなわち記録媒体が正常に搬送されずローラ等に巻き付いてしまうことがあり、これによって記録媒体を破損するばかりでなく、装置自体に損傷を与えることがある。特に、トナー像を転写された記録媒体を加熱・加圧してトナー像を定着させる定着器においては、搬送手段である定着ローラが記録媒体の加熱も行うため、記録媒体のカールや融解したトナーに起因する記録媒体の巻き付きが起こりやすい。このようなジャムによる装置の損傷を防止するため、従来より、ジャムが発生した場合に直ちにこれを検知するためのジャム検出技術が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は従来技術におけるジャム検出の一例を示す原理図である。これは特許文献1に記載された画像形成装置の定着ローラにおける記録材(記録媒体)の巻き付き検出技術を示すものである。この巻き付き検出技術においては、図9(a)に示すように、搬送経路FF上において定着ローラFRの前後に各1個のセンサ、すなわち定着ローラFRの前方に給紙センサSa、後方に排紙センサSbを設けており、これらのセンサ出力の変化のタイミングに基づいて、巻き付きの発生を検知している。これらのセンサSa、Sbはそれぞれの位置における紙などの記録材(記録媒体)SSの有無を検知するものであり、記録材有りのときLレベルを、無しのときHレベルを出力する。
【0005】
図9(a)における左側から搬送経路FFに沿って、記録材SSが正常に搬送されているときには、図9(b)に示すように、給紙センサSaの出力は、記録材SSの先端が給紙センサSaに到達した時点でLレベルに変化し、記録材SSの後端が通過するとHレベルに変化する。一方、排紙センサSbの出力は、一定の時間遅れを伴って、給紙センサSaの出力と同様の変化を示す。これに対して、図9(c)の符号JJに示すように、記録材SSが定着ローラFRに巻き付いてしまった場合には、記録材SSの先端が逆戻りしてしまうため、図9(d)に示すように、排紙センサSbの出力が給紙センサSaの出力より先にHレベルに変化する。そこで、このような場合、つまり給紙センサ出力がHレベルに変化するより前に排紙センサ出力がHレベルに変化した場合には、巻き付きが発生したものとして、直ちに定着ローラFRの駆動を停止している。
【0006】
【特許文献1】
特許第2858441号公報(第6図(A)、第6図(B))
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術においては、次のような問題があった。すなわち、定着ローラの前後位置に設けた2つのセンサ出力の変化の時間的な前後関係のみで巻き付き発生を判断しているため、記録材の後端が給紙センサ位置を通過してしまった後に巻き付きが発生した場合、これを検知することができない。また、巻き付きを検知できる記録材のサイズが、センサの配置によって制限されてしまう。すなわち、両センサ間の搬送経路の長さ(図9(a)に示す長さL1+L2)より短い記録材については、排紙センサ出力がLレベルになる前に給紙センサ出力がHレベルに戻ってしまうため、その後に発生した巻き付きを上記の方法では検知することができない。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、記録媒体のジャムを確実に検出することのできる画像形成装置およびそのジャム検出方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置において、上記目的を達成するため、記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置を記録媒体が通過する際に、第1検出信号を出力する第1検出手段と、記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置を記録媒体が通過する際に、第2検出信号を出力する第2検出手段と、前記第1および第2検出手段の出力信号に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定するジャム判定手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、次のようにして、ジャムが発生したか否かを検出することが可能である。すなわち、記録媒体が搬送手段により正常に搬送されているとき、記録媒体は所定の速度で第1および第2検出位置をこの順序で通過する。これに対応して、第1および第2検出手段からは、記録媒体がそれぞれの検出位置を通過するタイミングで第1または第2検出信号が出力される。これに対して、ジャムの発生により記録媒体が正常に搬送されなかったときには、第1および第2検出信号のうち少なくとも一方が出力されなかったり、出力されるタイミングがずれるなど、両検出手段からの出力信号は上記した正常な状態とは異なったものとなる。したがって、これら第1および第2検出手段の出力信号に基づいてジャム発生の有無を判定することで、ジャムの発生を確実に検出することができる。
【0011】
2つの検出手段を搬送手段の前後に配置することによってもジャム発生を検出することは可能である。しかし、2つの検出手段の間に搬送手段が位置することとなるため、2つの検出手段の配置が制約され、この制約のために、発生条件によってはジャムを検出できない場合がある。これに対して、この発明では、検出手段の配置に関する自由度が高く、その結果、上記技術では検出できないジャムについても、確実に検出できるようにすることが可能である。
【0012】
例えば、前記搬送方向における前記記録媒体の長さが前記第1および第2検出位置の間隔より長く、しかも、前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている間に前記第2検出信号が出力されない場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0013】
以下において、記録媒体の「長さ」という場合、特に規定した場合を除き、その「搬送方向における長さ」を指すものとする。記録媒体の長さが2つの検出位置の間隔より長い場合、搬送手段により正常に搬送される記録媒体の動きおよびそのときの各検出手段からの出力は次のようになる。まず記録媒体の先端部が第1検出位置に到達し、このとき第1検出手段から第1検出信号の出力が開始される。そして、記録媒体の後端部が第1検出位置を通過すると、第1検出信号の出力は停止する。
【0014】
一方、記録媒体の先端部がさらに進んで第2検出位置に到達した時点で、第2検出手段から第2検出信号の出力が開始される。ここで、記録媒体の長さは両検出位置の間隔より長いから、記録媒体の先端部が第2検出位置に到達した時には、記録媒体の後端部はまだ第1検出位置には達していないはずである。つまり、第2検出信号の出力が開始されるまでは、第1検出信号の出力は継続されているはずである。
【0015】
したがって、第1検出信号が出力されている間に第2検出信号の出力が開始されなかった場合には、記録媒体が正常に搬送されなかった、つまりジャムが発生したものと判定してよい。
【0016】
記録媒体がさらに進み、記録媒体の後端部が第1検出位置を通過すると、第1検出手段からの第1検出信号の出力は停止される。その後、記録媒体の後端部が第2検出位置を通過すると、第2検出手段からの第2検出信号の出力も停止される。したがって、第1検出信号の出力が停止されるより前に第2検出信号の出力が停止された場合には、記録媒体が正常に搬送されなかったものと判定してよい。
【0017】
すなわち、前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている期間内に前記第2検出信号の出力が開始され、しかも、該期間内に当該第2検出信号の出力が終了した場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0018】
また、例えば、前記第1検出信号の出力開始時点から、前記第1および前記第2検出位置の間隔に対応して予め設定された時間を超えて、前記第2検出信号が出力されなかった場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0019】
記録媒体が正常に搬送される限り、記録媒体は所定の所要時間で第1検出位置から第2検出位置まで移動する。したがって、第1検出信号の出力開始から第2検出信号が出力されるまでの時間は、両検出位置の間隔に対応して予め求めておくことができる。そして、この時間を超えても第2検出信号の出力が開始されない場合には、ジャムが発生したものと判定してよい。この場合には、記録媒体の長さが両検出位置の間隔以下であってもジャム検出が可能である。
【0020】
また、前記搬送手段が前記記録媒体上の未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着器である場合、画像を定着させるため記録媒体に熱と圧力とを加えているので、定着器への記録媒体の巻き付き等によるジャムが起こりやすい。そこで、定着器におけるジャム検出に対して、本発明を適用することが有効である。
【0021】
また、この発明は、シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置におけるジャム検出方法であって、上記目的を達成するため、前記記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置で前記記録媒体の有無を検出するとともに、前記記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置で前記記録媒体の有無を検出し、前記第1および第2検出位置での検出結果に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定することを特徴としている。
【0022】
このように、搬送手段より後方の2つの検出位置で記録媒体の有無を検出し、それらの結果に基づいてジャム発生の有無を判定することで、前記した画像形成装置と同様に、ジャムの発生を確実に検出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0024】
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体2の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット3、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部5がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3は帯電制御部103から帯電バイアスを印加されており、感光体2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
【0025】
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、露光制御部102から与えられる制御指令に応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース(I/F)112を介してメインコントローラ11のCPU111に画像信号が与えられると、エンジンコントローラ10のCPU101が露光制御部102に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力し、これに応じて露光ユニット6から光ビームLが感光体2上に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体2上に形成される。
【0026】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、図示を省略する回転駆動部、支持フレーム40に対して着脱自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、図2に示すように、現像器制御部104により制御されている。そして、この現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされて、選択された色のトナーを感光体2の表面に付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0027】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくる「記録媒体」であるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0028】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0029】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ85を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0030】
搬送経路F上において定着ユニット9の後方位置および排出前ローラ82の後方位置には、例えばマイクロスイッチまたはフォトインタラプタを用いて構成されて、当該位置におけるシートSの有無を検出するためのシート検出センサとして、定着後センサ84および排出前センサ85がそれぞれ設けられている。これらのセンサ84、85は、搬送経路F上の当該センサに対応する位置にシートSがあるときLレベルを出力する一方、シートSがないときにはHレベルを出力する。これらの出力信号はCPU101に入力されており、このため、CPU101では、それぞれの位置におけるシートSの有無を判定することが可能となっている。
【0031】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0032】
図3はこの画像形成装置の定着ユニットを示す図である。図3(a)に示すように、定着ユニット9には、加熱ローラ91および加圧ローラ92が設けられている。加熱ローラ91は、図示を省略するヒータにより所定温度に熱せられて、トナー像を構成するトナーを加熱する。加圧ローラ92は、例えば金属芯にシリコーンゴムなどの弾性部材を巻き付けたものであり、シート搬送経路F上において加熱ローラ91に圧接するように配置されている。そして、上記のようにトナー像を形成されたシートSが図3(a)の左方から搬送経路Fに沿って搬送されてくると、図示を省略する駆動部によって加熱ローラ91が同図の矢印方向に回転駆動される。そのため、加熱ローラ91と加圧ローラ92との間のニップ部Nに案内されたシートSは2つのローラ91および92に挟持されて右方へ送り出される。このときシートS上のトナーには熱と圧力とが与えられ、これによりトナーがシートSに融着して画像が定着される。このように、この実施形態では、定着ユニット9がシートSを搬送経路Fに沿って搬送する「搬送手段」であり、同時に未定着の画像をシートSに定着させる「定着器」としても機能している。
【0033】
この定着ユニット9のように、ローラ、ベルトまたはコロなどの回転体を当接させることによりシートSを搬送する系においては、回転体へのシートSの巻き付きが発生しやすい。特に定着ユニット9では、加熱ローラ91からの熱によりシートSがカールしたり、融解したトナーを介してシートSが加熱ローラ91表面に貼り付くことがあり、これらに起因する加熱ローラ91へのシートSの巻き付きが発生しやすい。そこで、この装置では、前述した2つのシート検出センサ、すなわち定着後センサ84、排出前センサ85の出力信号に基づいて、CPU101が加熱ローラ91への巻き付き等のジャムの発生を検出するようにしている。その具体的な検出方法について、以下に詳述する。なお、ここではシートSの長さが、搬送経路F上における両センサ84、85の間隔より長いものとする。
【0034】
まず、シートSが正常に搬送された場合を考える。定着ユニット9から送り出されたシートSの先端部が定着後センサ84と接触する位置P1に到達すると、該センサ84の出力信号はHレベルからLレベルに変化する。前述したように、シートSはゲートローラ81の回転駆動により二次転写領域TR2に向けて移動を開始する。したがって、図3(b)に示すように、ゲートローラ81への駆動がオンとなってから一定時間t1を経過して、定着後センサ84の出力がLレベルに変化するはずである。そして、シートSの後端が位置P1を通過してしまうと、定着後センサ84の出力はHレベルに戻る。定着後センサ84の出力が連続してLレベルに保持される時間t2は、シートSの長さに依存する。
【0035】
一方、位置P1よりさらに後方の位置P2にシートSの先端部が到達すると、排出前センサ85の出力信号がHレベルからLレベルに変化する。定着後センサ84の出力がLレベルに変化してからの時間差t3は、両センサの間隔に対応した値となる。そして、シートSの後端部が位置P2を通過してしまうと、排出前センサ85の出力もHレベルに戻る。このとき、定着後センサ84の出力がHレベルに変化してからの時間差t4は、先の時間差t3とほぼ同じ値となる。
【0036】
シートSが正常に搬送されて位置P1およびP2を通過した場合の両センサの出力信号は上記のように変化する。しかし、前述したように、定着ユニット9ではシートSに熱と圧力とを加えているため、加熱ローラ91へのシートSの巻き付きが発生しやすい。このような加熱ローラ91へのシートSの巻き付きは、シートSの先端から起こるだけでなく、図3(c)に示すように、シートSの途中で起こることもある。これは、多くの画像、特に文書を主体とする画像においては周辺部に余白が設けられるため、シートSの先端部分にはほとんどトナーが付着していないのに対し、より内側に進んだ部分ではトナーが付着しているため加熱ローラ91に貼り付く可能性がより高くなることに起因している。このようなジャムJが発生すると、シートSが加熱ローラ91に巻き取られるため、本来は同図の右方に進むべきその先端は逆に左方向、すなわち矢印方向D4に移動することとなる。そのときの各センサ84、85の出力の状態は、ジャムJが発生した時にシートSの先端部がどの位置にあったかによって異なる。
【0037】
図4ないし6はそれぞれ定着ユニットにおけるジャムの一例を示す図である。より具体的には、図4は、シートSの先端部がニップ部Nと位置P1との間にある時に、図5は、シートSの先端部が位置P1と位置P2との間にある時に、また図6は、シートSの先端部が位置P2より前方にある時に、それぞれジャムが発生した場合を示す図である。
【0038】
まず、図4(a)に示すように、シートSの先端部がニップ部Nと位置P1との間にあるときに加熱ローラ91への巻き付きによるジャムが発生した場合を考える。シートSの先頭からの巻き付きも、この場合に包含される。この場合、シートSの先端部が位置P1に到達する前にジャムが発生しているため、図4(b)に示すように、ゲートローラ81の駆動を開始してから時間t1が経過した後も定着後センサ84の出力はHレベルに保持される。したがって、ゲートローラ81の駆動を開始してから時間t1を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないときは、ジャムが発生したものと考えることができる。
【0039】
次に、図5(a)に示すように、シートSの先端部が位置P1と位置P2との間にあるときにジャムが発生した場合を考える。この場合、シートSの先端部が位置P1を通過しているので、図5(b)に示すように、定着前センサ84の出力はいったんLレベルに変化する。しかし、その後シートSの先端部が矢印方向D4に逆進して再び位置P1を通過すると、定着前センサ84の出力はHレベルに変化する。この間、位置P2にシートSは到達しないため、排出前センサ85の出力はHレベルに保持される。したがって、定着センサ84の出力がLレベルに変化してから再びHレベルに戻るまでの間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化しなかった場合には、ジャムが発生したものと考えることができる。なお、両センサ84および85の間に設けられた排出前ローラ82でジャムが発生した場合にも、各センサの出力は上記と同様のパターンとなる。
【0040】
さらに、図6(a)に示すように、シートSの先端部が位置P2を超えて排出トレイ部側にあるときにジャムが発生した場合を考える。この場合には、シートSの先端部が位置P1およびP2をいずれも通過しているため、図6(b)に示すように、ゲートローラ81の駆動開始から時間t1後に定着後センサ84の出力が、さらに、それより時間t3後に排出前センサ85の出力が、相次いでLレベルに変化する。しかし、この状態からシートSが矢印方向D4に進むと、その先端部はまず位置P2を通過し、その後、位置P1を通過する。つまり、排出前センサ85の出力が先にHレベルに戻り、それから時間t5の後、定着後センサ84の出力がHレベルに戻る。したがって、定着後センサ84の出力が連続してLレベルに保持されている間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化した後Hレベルに戻るという一連の変化があった場合には、ジャムが発生したものと考えることができる。
【0041】
このように、シートSの長さが位置P1およびP2の間隔より長い場合には、2つのセンサ84、85の出力信号の変化が上記したいずれかのパターンに該当する場合には、ジャムが発生したと判定することが可能である。一方、シートSが上記間隔より短い場合には、次のようにしてジャム検出を行うことができる。
【0042】
図7は短いシートのジャム検出原理を示す図である。図7(a)に示すように、2つのセンサ位置P1およびP2の間隔よりも短いシートSを使用した場合には、シートSの先端部が位置P2に到達するより先に、その後端部が位置P1を通過する。したがって、シートSが正常に搬送された場合、図7(b)に示すように、定着後センサ84の出力がシートSの通過によりLレベルに変化し、Hレベルに戻った後に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化する。つまり、定着センサ84の出力がLレベルに変化してから再びHレベルに戻るまでの間に、排出前センサ85の出力はLレベルに変化しない。したがって、上記のジャム検出方法ではジャムと判定されてしまうこととなるため、以下のようにすることでこの問題を解消している。
【0043】
実際にこのようなシートSが定着ユニットでジャムを起こすパターンとしては、シートSの先端部が位置P1より手前にあるか、位置P1およびP2の間にあるかのいずれかである。このうち前者の場合については、ゲートローラ81の駆動開始から時間t1を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないから、前述の検出方法で検出が可能である。
【0044】
一方、後者の場合には、次のようにして検出することが可能である。すなわち、シート搬送速度およびセンサ84、85の間隔は既知であるから、シートSが正常に搬送されてその先端部が位置P1を通過してから位置P2に到達するまでの時間、すなわち図7(b)に示す時間t7についてはおおよその値を予測することができる。しかし、ジャムが発生した場合にはシートSは位置P2には到達しないから、予測した時間t7を超えても排出前センサ85の出力がLレベルに変化しない場合には、ジャムが発生したと考えることができる。この時間t7は、図3(b)における時間t3に相当するものである。
【0045】
なお、このジャム検出方法は、シートSの長さによらず適用することが可能である。というのは、図7(b)に示す時間t7はシートSの先端部が位置P1を通過してから位置P2に到達するまでの時間であり、両位置の間隔と、その間のシート搬送速度とで決まるものであって、シートSの長さとは無関係だからである。したがって、シートSの長さが未知の場合にも、この方法によってジャム検出を行うことができる。一方、定着後センサ84または排出前センサ85の出力がLレベルに保持される時間t6は、シートSの長さによって異なる。
【0046】
以上より、この実施形態では、CPU101が、定着後センサ84および排出前センサ85の出力信号に基づき、次のようにしてジャムの発生を判定する。
【0047】
まず、シートSの長さが既知であり、しかも、その長さが両センサ84および85の間隔より長い場合には、下記に規定する(1)ないし(4)のいずれかの条件に該当するとき、ジャムが発生したと判定する:
(1)ゲートローラ81の駆動開始から所定時間を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないとき(図4);
(2)定着後センサ84の出力がLレベルに変化し、再びHレベルに戻るまでの間、つまり定着後センサ84が連続してLレベルを出力している間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化しなかったとき(図5);
(3)定着後センサ84の出力がLレベルに変化してから所定時間を経過しても排出前センサ85の出力がLレベルに変化しないとき(図7);
(4)定着後センサ84が連続してLレベルを出力している期間内に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化し、しかも、その期間内にHレベルに戻った場合(図6)。
【0048】
また、シートSの長さが既知であれば、位置P1およびP2を通過するときの所要時間(つまり図3(b)に示す時間t1や図7(b)に示す時間t6)を予め把握しておくことができるので、下記条件(5)を付加してもよい:
(5)定着後センサ84または排出前センサ85の出力信号が連続してLレベルを出力している時間が、シートSの長さに対応して設定された時間と異なる。
【0049】
なお、上記各条件における「所定時間」は、両センサの間隔など関係する装置各部の位置関係、シートの搬送速度およびシートSの長さ等に基づいて設定することができるが、これらの値のばらつきを考慮して上記各「所定時間」を定めることが好ましい。
【0050】
一方、シートSの長さが未知、または両センサ84および85の間隔より短い場合には、上記条件(2)および(5)は適用しない。
【0051】
このように、この実施形態では、搬送経路Fにおいて定着ユニット9の後方に2つのセンサ、すなわち定着後センサ84および排出前センサ85を配置し、その出力信号に基づいて、CPU101が、定着ユニット9におけるシートSのジャム発生を検出している。つまり、この実施形態では、定着後センサ84および排出前センサ85がそれぞれ本発明の「第1検出手段」および「第2検出手段」として、またCPU101が「ジャム判定手段」として機能している。また、位置P1および位置P2がそれぞれ本発明の「第1検出位置」および「第2検出位置」に相当するとともに、定着後センサ84および排出前センサ85それぞれからの出力のうちLレベルの出力信号が、本発明の「第1検出信号」および「第2検出信号」に相当している。そして、こうすることで、上述したように、シートSの長さによらず、また様々な態様でのシートSの巻き付きが発生した場合でも、確実にジャムとして検出することが可能となっている。
【0052】
なお、この画像形成装置ではシート両面への画像形成(以下、「両面印刷」という)が可能となっているが、両面印刷実行時のシートSの動きは上記とは異なっているため、2つのセンサからの出力も上記とは異なる変化をする。
【0053】
図8は両面印刷実行時の動作を示す図である。両面印刷の実行時においては、図8(a)に示すように、シートSが矢印方向D5に搬送されてその後端部が反転位置PRに到達した後、排出ローラ83の回転方向が反転し、これによりシートSは反転経路FRに沿って矢印方向D6に搬送される。そのため、排出前センサ85の出力は、方向D5に移動するシートSの先端部Hが位置P2を通過した時点でLレベルに変化し、その後、反転して方向D6に移動するシートSの後端部Hが再び位置P2を通過したときにHレベルに戻ることとなる。
【0054】
したがって、1枚のシートSの通過に対応してセンサ85から出力される信号がLレベルに保持される時間は、上記した片面への画像形成のときとは異なる場合がある。しかし、両センサ84、85の出力信号の変化パターンは基本的には上記と同様であるので、同じようにジャムの発生を検出することが可能である。
【0055】
ただし、複数枚のシートに対して連続的に画像形成を行う場合に、処理時間短縮のため、1枚のシートSが反転経路FRに送り込まれるのと並行して、次のシートSnへの画像形成が行われるように、動作シーケンスが設計されることがある。そのため、設計によっては、反転経路FRに沿って搬送されるシートSの後端部Hが位置P2を通過する前に、次のシートSnが位置P1に到達する場合がありうる。
【0056】
この場合には、図8(b)に示すように、定着後センサ84の出力信号が複数のシートの通過に対応して断続的にLレベルとなるのに対し、排出前センサ85の出力は連続的にLレベルとなる。このような場合には、前記各条件のうち、条件(1)および(5)によってジャム検出を行うのが望ましい。例えば、図8(c)に示すように、シートSnが位置P1を通過することにより定着後センサ84の出力がLレベルとなっていた時間t8が、シートSnの長さに対応して求めた通過時間の予測値より短い場合には、シートSnの先端部が位置P1を通過した後に加熱ローラ91への巻き付きが起こったものと考えることができる。
【0057】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では説明を省略しているが、動作の安定を図り誤判定を防止するため、各センサ出力についてノイズまたはチャタリングに対する対策を設けるようにしてもよい。このような対策は、例えば、各センサとCPU101との間の信号線にシュミットトリガ特性を有するバッファを介挿することにより実現が可能である。
【0058】
また、上記した実施形態では、定着ユニット9の後方に設けた定着後センサ84と、さらにその後方の排出前ローラ82の後方に設けた排出前センサ85との出力信号に基づいてジャムの発生を検出するようにしている。しかし、本発明の趣旨は、搬送手段(定着ユニット9)の後方に設けた2つのセンサの出力に基づいてジャム発生の有無を判定することにあり、その観点からは、各センサの配置は上記以外のものであってもよい。例えば、定着後センサ84の直後にジャム検出用のもう1つのセンサを設けるなど、2つのセンサをより近接配置した場合に本発明の効果が顕著である。その理由は以下の通りである。まず、上記したように、2つのセンサの間隔とシートSの長さとの大小関係によって適用可能な条件が異なるが、センサの間隔を小さくすれば、事実上任意の長さのシートに対して同じ条件でジャム判定を行うことができる。また、2つのセンサ出力の変化の時間差が小さくなるため、実際にジャムが発生してからそれを検出するまでの時間を短縮することが可能となる。したがって、このようにすることで、確実にかつ速やかにジャム検出を行うことができる。
【0059】
また、例えば、上記した実施形態では、シートSおよびその表面のトナーに熱と圧力とを加えながらシートSを搬送する定着ユニットに本発明を適用しているが、本発明を適用することのできるのは定着ユニット9に限定されるものではない。例えば、ゲートローラ81や、二次転写領域TR2においてシートSに画像を転写しつつ定着ユニット9に向けて送り出す中間転写ベルト71も、シートSを所定方向に搬送する本発明の「搬送手段」としての機能を備えている。これらにおいてもシートSの巻き付きによるジャム発生のおそれがあるので、これらに本発明を適用すれば、各部でのジャムの発生を検出することが可能となる。
【0060】
また、上記した実施形態は、4色のトナーによるフルカラー画像を形成可能な画像形成装置であるが、本発明はこのような装置に限らず、例えばブラック色トナーに対応した現像器のみを備え、モノクロ画像を形成する画像形成装置に対しても適用が可能である。また、上記実施形態は、ホストコンピュータからの画像信号に対応した画像を形成するプリンタとしての画像形成装置であるが、これ以外にも、複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この画像形成装置の定着ユニットを示す図である。
【図4】定着ユニットにおけるジャムの第1の例を示す図である。
【図5】定着ユニットにおけるジャムの第2の例を示す図である。
【図6】定着ユニットにおけるジャムの第3の例を示す図である。
【図7】短いシートのジャム検出原理を示す図である。
【図8】両面印刷実行時の動作を示す図である。
【図9】従来技術におけるジャム検出の一例を示す原理図である。
【符号の説明】
2…感光体、 4…現像ユニット、 9…定着ユニット(搬送手段、定着器)、 71…中間転写ベルト、 81…ゲートローラ、 84…定着後センサ(第1検出手段)、 85…排出前センサ(第2検出手段)、 101…CPU(ジャム判定手段)、 91…加熱ローラ、 92…加圧ローラ、 F…搬送経路、P1…第1検出位置、 P2…第2検出位置、 S…シート(記録媒体)
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像形成装置において、記録媒体のジャムを検出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置においては、紙やOHPシートなどの記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段が設けられている。この搬送手段としては、一般的に、ローラやベルト等の回転体とコロとの間に記録媒体を挟持する構造が採られており、回転体が所定の方向に回転することによって記録媒体を所定方向に搬送する。
【0003】
このような搬送手段においては、ジャムすなわち記録媒体が正常に搬送されずローラ等に巻き付いてしまうことがあり、これによって記録媒体を破損するばかりでなく、装置自体に損傷を与えることがある。特に、トナー像を転写された記録媒体を加熱・加圧してトナー像を定着させる定着器においては、搬送手段である定着ローラが記録媒体の加熱も行うため、記録媒体のカールや融解したトナーに起因する記録媒体の巻き付きが起こりやすい。このようなジャムによる装置の損傷を防止するため、従来より、ジャムが発生した場合に直ちにこれを検知するためのジャム検出技術が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は従来技術におけるジャム検出の一例を示す原理図である。これは特許文献1に記載された画像形成装置の定着ローラにおける記録材(記録媒体)の巻き付き検出技術を示すものである。この巻き付き検出技術においては、図9(a)に示すように、搬送経路FF上において定着ローラFRの前後に各1個のセンサ、すなわち定着ローラFRの前方に給紙センサSa、後方に排紙センサSbを設けており、これらのセンサ出力の変化のタイミングに基づいて、巻き付きの発生を検知している。これらのセンサSa、Sbはそれぞれの位置における紙などの記録材(記録媒体)SSの有無を検知するものであり、記録材有りのときLレベルを、無しのときHレベルを出力する。
【0005】
図9(a)における左側から搬送経路FFに沿って、記録材SSが正常に搬送されているときには、図9(b)に示すように、給紙センサSaの出力は、記録材SSの先端が給紙センサSaに到達した時点でLレベルに変化し、記録材SSの後端が通過するとHレベルに変化する。一方、排紙センサSbの出力は、一定の時間遅れを伴って、給紙センサSaの出力と同様の変化を示す。これに対して、図9(c)の符号JJに示すように、記録材SSが定着ローラFRに巻き付いてしまった場合には、記録材SSの先端が逆戻りしてしまうため、図9(d)に示すように、排紙センサSbの出力が給紙センサSaの出力より先にHレベルに変化する。そこで、このような場合、つまり給紙センサ出力がHレベルに変化するより前に排紙センサ出力がHレベルに変化した場合には、巻き付きが発生したものとして、直ちに定着ローラFRの駆動を停止している。
【0006】
【特許文献1】
特許第2858441号公報(第6図(A)、第6図(B))
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術においては、次のような問題があった。すなわち、定着ローラの前後位置に設けた2つのセンサ出力の変化の時間的な前後関係のみで巻き付き発生を判断しているため、記録材の後端が給紙センサ位置を通過してしまった後に巻き付きが発生した場合、これを検知することができない。また、巻き付きを検知できる記録材のサイズが、センサの配置によって制限されてしまう。すなわち、両センサ間の搬送経路の長さ(図9(a)に示す長さL1+L2)より短い記録材については、排紙センサ出力がLレベルになる前に給紙センサ出力がHレベルに戻ってしまうため、その後に発生した巻き付きを上記の方法では検知することができない。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、記録媒体のジャムを確実に検出することのできる画像形成装置およびそのジャム検出方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置において、上記目的を達成するため、記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置を記録媒体が通過する際に、第1検出信号を出力する第1検出手段と、記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置を記録媒体が通過する際に、第2検出信号を出力する第2検出手段と、前記第1および第2検出手段の出力信号に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定するジャム判定手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、次のようにして、ジャムが発生したか否かを検出することが可能である。すなわち、記録媒体が搬送手段により正常に搬送されているとき、記録媒体は所定の速度で第1および第2検出位置をこの順序で通過する。これに対応して、第1および第2検出手段からは、記録媒体がそれぞれの検出位置を通過するタイミングで第1または第2検出信号が出力される。これに対して、ジャムの発生により記録媒体が正常に搬送されなかったときには、第1および第2検出信号のうち少なくとも一方が出力されなかったり、出力されるタイミングがずれるなど、両検出手段からの出力信号は上記した正常な状態とは異なったものとなる。したがって、これら第1および第2検出手段の出力信号に基づいてジャム発生の有無を判定することで、ジャムの発生を確実に検出することができる。
【0011】
2つの検出手段を搬送手段の前後に配置することによってもジャム発生を検出することは可能である。しかし、2つの検出手段の間に搬送手段が位置することとなるため、2つの検出手段の配置が制約され、この制約のために、発生条件によってはジャムを検出できない場合がある。これに対して、この発明では、検出手段の配置に関する自由度が高く、その結果、上記技術では検出できないジャムについても、確実に検出できるようにすることが可能である。
【0012】
例えば、前記搬送方向における前記記録媒体の長さが前記第1および第2検出位置の間隔より長く、しかも、前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている間に前記第2検出信号が出力されない場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0013】
以下において、記録媒体の「長さ」という場合、特に規定した場合を除き、その「搬送方向における長さ」を指すものとする。記録媒体の長さが2つの検出位置の間隔より長い場合、搬送手段により正常に搬送される記録媒体の動きおよびそのときの各検出手段からの出力は次のようになる。まず記録媒体の先端部が第1検出位置に到達し、このとき第1検出手段から第1検出信号の出力が開始される。そして、記録媒体の後端部が第1検出位置を通過すると、第1検出信号の出力は停止する。
【0014】
一方、記録媒体の先端部がさらに進んで第2検出位置に到達した時点で、第2検出手段から第2検出信号の出力が開始される。ここで、記録媒体の長さは両検出位置の間隔より長いから、記録媒体の先端部が第2検出位置に到達した時には、記録媒体の後端部はまだ第1検出位置には達していないはずである。つまり、第2検出信号の出力が開始されるまでは、第1検出信号の出力は継続されているはずである。
【0015】
したがって、第1検出信号が出力されている間に第2検出信号の出力が開始されなかった場合には、記録媒体が正常に搬送されなかった、つまりジャムが発生したものと判定してよい。
【0016】
記録媒体がさらに進み、記録媒体の後端部が第1検出位置を通過すると、第1検出手段からの第1検出信号の出力は停止される。その後、記録媒体の後端部が第2検出位置を通過すると、第2検出手段からの第2検出信号の出力も停止される。したがって、第1検出信号の出力が停止されるより前に第2検出信号の出力が停止された場合には、記録媒体が正常に搬送されなかったものと判定してよい。
【0017】
すなわち、前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている期間内に前記第2検出信号の出力が開始され、しかも、該期間内に当該第2検出信号の出力が終了した場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0018】
また、例えば、前記第1検出信号の出力開始時点から、前記第1および前記第2検出位置の間隔に対応して予め設定された時間を超えて、前記第2検出信号が出力されなかった場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定することができる。
【0019】
記録媒体が正常に搬送される限り、記録媒体は所定の所要時間で第1検出位置から第2検出位置まで移動する。したがって、第1検出信号の出力開始から第2検出信号が出力されるまでの時間は、両検出位置の間隔に対応して予め求めておくことができる。そして、この時間を超えても第2検出信号の出力が開始されない場合には、ジャムが発生したものと判定してよい。この場合には、記録媒体の長さが両検出位置の間隔以下であってもジャム検出が可能である。
【0020】
また、前記搬送手段が前記記録媒体上の未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着器である場合、画像を定着させるため記録媒体に熱と圧力とを加えているので、定着器への記録媒体の巻き付き等によるジャムが起こりやすい。そこで、定着器におけるジャム検出に対して、本発明を適用することが有効である。
【0021】
また、この発明は、シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置におけるジャム検出方法であって、上記目的を達成するため、前記記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置で前記記録媒体の有無を検出するとともに、前記記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置で前記記録媒体の有無を検出し、前記第1および第2検出位置での検出結果に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定することを特徴としている。
【0022】
このように、搬送手段より後方の2つの検出位置で記録媒体の有無を検出し、それらの結果に基づいてジャム発生の有無を判定することで、前記した画像形成装置と同様に、ジャムの発生を確実に検出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0024】
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体2の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット3、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部5がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3は帯電制御部103から帯電バイアスを印加されており、感光体2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
【0025】
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、露光制御部102から与えられる制御指令に応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース(I/F)112を介してメインコントローラ11のCPU111に画像信号が与えられると、エンジンコントローラ10のCPU101が露光制御部102に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力し、これに応じて露光ユニット6から光ビームLが感光体2上に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体2上に形成される。
【0026】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、図示を省略する回転駆動部、支持フレーム40に対して着脱自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、図2に示すように、現像器制御部104により制御されている。そして、この現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされて、選択された色のトナーを感光体2の表面に付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0027】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくる「記録媒体」であるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0028】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0029】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ85を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0030】
搬送経路F上において定着ユニット9の後方位置および排出前ローラ82の後方位置には、例えばマイクロスイッチまたはフォトインタラプタを用いて構成されて、当該位置におけるシートSの有無を検出するためのシート検出センサとして、定着後センサ84および排出前センサ85がそれぞれ設けられている。これらのセンサ84、85は、搬送経路F上の当該センサに対応する位置にシートSがあるときLレベルを出力する一方、シートSがないときにはHレベルを出力する。これらの出力信号はCPU101に入力されており、このため、CPU101では、それぞれの位置におけるシートSの有無を判定することが可能となっている。
【0031】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0032】
図3はこの画像形成装置の定着ユニットを示す図である。図3(a)に示すように、定着ユニット9には、加熱ローラ91および加圧ローラ92が設けられている。加熱ローラ91は、図示を省略するヒータにより所定温度に熱せられて、トナー像を構成するトナーを加熱する。加圧ローラ92は、例えば金属芯にシリコーンゴムなどの弾性部材を巻き付けたものであり、シート搬送経路F上において加熱ローラ91に圧接するように配置されている。そして、上記のようにトナー像を形成されたシートSが図3(a)の左方から搬送経路Fに沿って搬送されてくると、図示を省略する駆動部によって加熱ローラ91が同図の矢印方向に回転駆動される。そのため、加熱ローラ91と加圧ローラ92との間のニップ部Nに案内されたシートSは2つのローラ91および92に挟持されて右方へ送り出される。このときシートS上のトナーには熱と圧力とが与えられ、これによりトナーがシートSに融着して画像が定着される。このように、この実施形態では、定着ユニット9がシートSを搬送経路Fに沿って搬送する「搬送手段」であり、同時に未定着の画像をシートSに定着させる「定着器」としても機能している。
【0033】
この定着ユニット9のように、ローラ、ベルトまたはコロなどの回転体を当接させることによりシートSを搬送する系においては、回転体へのシートSの巻き付きが発生しやすい。特に定着ユニット9では、加熱ローラ91からの熱によりシートSがカールしたり、融解したトナーを介してシートSが加熱ローラ91表面に貼り付くことがあり、これらに起因する加熱ローラ91へのシートSの巻き付きが発生しやすい。そこで、この装置では、前述した2つのシート検出センサ、すなわち定着後センサ84、排出前センサ85の出力信号に基づいて、CPU101が加熱ローラ91への巻き付き等のジャムの発生を検出するようにしている。その具体的な検出方法について、以下に詳述する。なお、ここではシートSの長さが、搬送経路F上における両センサ84、85の間隔より長いものとする。
【0034】
まず、シートSが正常に搬送された場合を考える。定着ユニット9から送り出されたシートSの先端部が定着後センサ84と接触する位置P1に到達すると、該センサ84の出力信号はHレベルからLレベルに変化する。前述したように、シートSはゲートローラ81の回転駆動により二次転写領域TR2に向けて移動を開始する。したがって、図3(b)に示すように、ゲートローラ81への駆動がオンとなってから一定時間t1を経過して、定着後センサ84の出力がLレベルに変化するはずである。そして、シートSの後端が位置P1を通過してしまうと、定着後センサ84の出力はHレベルに戻る。定着後センサ84の出力が連続してLレベルに保持される時間t2は、シートSの長さに依存する。
【0035】
一方、位置P1よりさらに後方の位置P2にシートSの先端部が到達すると、排出前センサ85の出力信号がHレベルからLレベルに変化する。定着後センサ84の出力がLレベルに変化してからの時間差t3は、両センサの間隔に対応した値となる。そして、シートSの後端部が位置P2を通過してしまうと、排出前センサ85の出力もHレベルに戻る。このとき、定着後センサ84の出力がHレベルに変化してからの時間差t4は、先の時間差t3とほぼ同じ値となる。
【0036】
シートSが正常に搬送されて位置P1およびP2を通過した場合の両センサの出力信号は上記のように変化する。しかし、前述したように、定着ユニット9ではシートSに熱と圧力とを加えているため、加熱ローラ91へのシートSの巻き付きが発生しやすい。このような加熱ローラ91へのシートSの巻き付きは、シートSの先端から起こるだけでなく、図3(c)に示すように、シートSの途中で起こることもある。これは、多くの画像、特に文書を主体とする画像においては周辺部に余白が設けられるため、シートSの先端部分にはほとんどトナーが付着していないのに対し、より内側に進んだ部分ではトナーが付着しているため加熱ローラ91に貼り付く可能性がより高くなることに起因している。このようなジャムJが発生すると、シートSが加熱ローラ91に巻き取られるため、本来は同図の右方に進むべきその先端は逆に左方向、すなわち矢印方向D4に移動することとなる。そのときの各センサ84、85の出力の状態は、ジャムJが発生した時にシートSの先端部がどの位置にあったかによって異なる。
【0037】
図4ないし6はそれぞれ定着ユニットにおけるジャムの一例を示す図である。より具体的には、図4は、シートSの先端部がニップ部Nと位置P1との間にある時に、図5は、シートSの先端部が位置P1と位置P2との間にある時に、また図6は、シートSの先端部が位置P2より前方にある時に、それぞれジャムが発生した場合を示す図である。
【0038】
まず、図4(a)に示すように、シートSの先端部がニップ部Nと位置P1との間にあるときに加熱ローラ91への巻き付きによるジャムが発生した場合を考える。シートSの先頭からの巻き付きも、この場合に包含される。この場合、シートSの先端部が位置P1に到達する前にジャムが発生しているため、図4(b)に示すように、ゲートローラ81の駆動を開始してから時間t1が経過した後も定着後センサ84の出力はHレベルに保持される。したがって、ゲートローラ81の駆動を開始してから時間t1を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないときは、ジャムが発生したものと考えることができる。
【0039】
次に、図5(a)に示すように、シートSの先端部が位置P1と位置P2との間にあるときにジャムが発生した場合を考える。この場合、シートSの先端部が位置P1を通過しているので、図5(b)に示すように、定着前センサ84の出力はいったんLレベルに変化する。しかし、その後シートSの先端部が矢印方向D4に逆進して再び位置P1を通過すると、定着前センサ84の出力はHレベルに変化する。この間、位置P2にシートSは到達しないため、排出前センサ85の出力はHレベルに保持される。したがって、定着センサ84の出力がLレベルに変化してから再びHレベルに戻るまでの間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化しなかった場合には、ジャムが発生したものと考えることができる。なお、両センサ84および85の間に設けられた排出前ローラ82でジャムが発生した場合にも、各センサの出力は上記と同様のパターンとなる。
【0040】
さらに、図6(a)に示すように、シートSの先端部が位置P2を超えて排出トレイ部側にあるときにジャムが発生した場合を考える。この場合には、シートSの先端部が位置P1およびP2をいずれも通過しているため、図6(b)に示すように、ゲートローラ81の駆動開始から時間t1後に定着後センサ84の出力が、さらに、それより時間t3後に排出前センサ85の出力が、相次いでLレベルに変化する。しかし、この状態からシートSが矢印方向D4に進むと、その先端部はまず位置P2を通過し、その後、位置P1を通過する。つまり、排出前センサ85の出力が先にHレベルに戻り、それから時間t5の後、定着後センサ84の出力がHレベルに戻る。したがって、定着後センサ84の出力が連続してLレベルに保持されている間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化した後Hレベルに戻るという一連の変化があった場合には、ジャムが発生したものと考えることができる。
【0041】
このように、シートSの長さが位置P1およびP2の間隔より長い場合には、2つのセンサ84、85の出力信号の変化が上記したいずれかのパターンに該当する場合には、ジャムが発生したと判定することが可能である。一方、シートSが上記間隔より短い場合には、次のようにしてジャム検出を行うことができる。
【0042】
図7は短いシートのジャム検出原理を示す図である。図7(a)に示すように、2つのセンサ位置P1およびP2の間隔よりも短いシートSを使用した場合には、シートSの先端部が位置P2に到達するより先に、その後端部が位置P1を通過する。したがって、シートSが正常に搬送された場合、図7(b)に示すように、定着後センサ84の出力がシートSの通過によりLレベルに変化し、Hレベルに戻った後に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化する。つまり、定着センサ84の出力がLレベルに変化してから再びHレベルに戻るまでの間に、排出前センサ85の出力はLレベルに変化しない。したがって、上記のジャム検出方法ではジャムと判定されてしまうこととなるため、以下のようにすることでこの問題を解消している。
【0043】
実際にこのようなシートSが定着ユニットでジャムを起こすパターンとしては、シートSの先端部が位置P1より手前にあるか、位置P1およびP2の間にあるかのいずれかである。このうち前者の場合については、ゲートローラ81の駆動開始から時間t1を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないから、前述の検出方法で検出が可能である。
【0044】
一方、後者の場合には、次のようにして検出することが可能である。すなわち、シート搬送速度およびセンサ84、85の間隔は既知であるから、シートSが正常に搬送されてその先端部が位置P1を通過してから位置P2に到達するまでの時間、すなわち図7(b)に示す時間t7についてはおおよその値を予測することができる。しかし、ジャムが発生した場合にはシートSは位置P2には到達しないから、予測した時間t7を超えても排出前センサ85の出力がLレベルに変化しない場合には、ジャムが発生したと考えることができる。この時間t7は、図3(b)における時間t3に相当するものである。
【0045】
なお、このジャム検出方法は、シートSの長さによらず適用することが可能である。というのは、図7(b)に示す時間t7はシートSの先端部が位置P1を通過してから位置P2に到達するまでの時間であり、両位置の間隔と、その間のシート搬送速度とで決まるものであって、シートSの長さとは無関係だからである。したがって、シートSの長さが未知の場合にも、この方法によってジャム検出を行うことができる。一方、定着後センサ84または排出前センサ85の出力がLレベルに保持される時間t6は、シートSの長さによって異なる。
【0046】
以上より、この実施形態では、CPU101が、定着後センサ84および排出前センサ85の出力信号に基づき、次のようにしてジャムの発生を判定する。
【0047】
まず、シートSの長さが既知であり、しかも、その長さが両センサ84および85の間隔より長い場合には、下記に規定する(1)ないし(4)のいずれかの条件に該当するとき、ジャムが発生したと判定する:
(1)ゲートローラ81の駆動開始から所定時間を経過しても定着後センサ84の出力がLレベルに変化しないとき(図4);
(2)定着後センサ84の出力がLレベルに変化し、再びHレベルに戻るまでの間、つまり定着後センサ84が連続してLレベルを出力している間に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化しなかったとき(図5);
(3)定着後センサ84の出力がLレベルに変化してから所定時間を経過しても排出前センサ85の出力がLレベルに変化しないとき(図7);
(4)定着後センサ84が連続してLレベルを出力している期間内に、排出前センサ85の出力がLレベルに変化し、しかも、その期間内にHレベルに戻った場合(図6)。
【0048】
また、シートSの長さが既知であれば、位置P1およびP2を通過するときの所要時間(つまり図3(b)に示す時間t1や図7(b)に示す時間t6)を予め把握しておくことができるので、下記条件(5)を付加してもよい:
(5)定着後センサ84または排出前センサ85の出力信号が連続してLレベルを出力している時間が、シートSの長さに対応して設定された時間と異なる。
【0049】
なお、上記各条件における「所定時間」は、両センサの間隔など関係する装置各部の位置関係、シートの搬送速度およびシートSの長さ等に基づいて設定することができるが、これらの値のばらつきを考慮して上記各「所定時間」を定めることが好ましい。
【0050】
一方、シートSの長さが未知、または両センサ84および85の間隔より短い場合には、上記条件(2)および(5)は適用しない。
【0051】
このように、この実施形態では、搬送経路Fにおいて定着ユニット9の後方に2つのセンサ、すなわち定着後センサ84および排出前センサ85を配置し、その出力信号に基づいて、CPU101が、定着ユニット9におけるシートSのジャム発生を検出している。つまり、この実施形態では、定着後センサ84および排出前センサ85がそれぞれ本発明の「第1検出手段」および「第2検出手段」として、またCPU101が「ジャム判定手段」として機能している。また、位置P1および位置P2がそれぞれ本発明の「第1検出位置」および「第2検出位置」に相当するとともに、定着後センサ84および排出前センサ85それぞれからの出力のうちLレベルの出力信号が、本発明の「第1検出信号」および「第2検出信号」に相当している。そして、こうすることで、上述したように、シートSの長さによらず、また様々な態様でのシートSの巻き付きが発生した場合でも、確実にジャムとして検出することが可能となっている。
【0052】
なお、この画像形成装置ではシート両面への画像形成(以下、「両面印刷」という)が可能となっているが、両面印刷実行時のシートSの動きは上記とは異なっているため、2つのセンサからの出力も上記とは異なる変化をする。
【0053】
図8は両面印刷実行時の動作を示す図である。両面印刷の実行時においては、図8(a)に示すように、シートSが矢印方向D5に搬送されてその後端部が反転位置PRに到達した後、排出ローラ83の回転方向が反転し、これによりシートSは反転経路FRに沿って矢印方向D6に搬送される。そのため、排出前センサ85の出力は、方向D5に移動するシートSの先端部Hが位置P2を通過した時点でLレベルに変化し、その後、反転して方向D6に移動するシートSの後端部Hが再び位置P2を通過したときにHレベルに戻ることとなる。
【0054】
したがって、1枚のシートSの通過に対応してセンサ85から出力される信号がLレベルに保持される時間は、上記した片面への画像形成のときとは異なる場合がある。しかし、両センサ84、85の出力信号の変化パターンは基本的には上記と同様であるので、同じようにジャムの発生を検出することが可能である。
【0055】
ただし、複数枚のシートに対して連続的に画像形成を行う場合に、処理時間短縮のため、1枚のシートSが反転経路FRに送り込まれるのと並行して、次のシートSnへの画像形成が行われるように、動作シーケンスが設計されることがある。そのため、設計によっては、反転経路FRに沿って搬送されるシートSの後端部Hが位置P2を通過する前に、次のシートSnが位置P1に到達する場合がありうる。
【0056】
この場合には、図8(b)に示すように、定着後センサ84の出力信号が複数のシートの通過に対応して断続的にLレベルとなるのに対し、排出前センサ85の出力は連続的にLレベルとなる。このような場合には、前記各条件のうち、条件(1)および(5)によってジャム検出を行うのが望ましい。例えば、図8(c)に示すように、シートSnが位置P1を通過することにより定着後センサ84の出力がLレベルとなっていた時間t8が、シートSnの長さに対応して求めた通過時間の予測値より短い場合には、シートSnの先端部が位置P1を通過した後に加熱ローラ91への巻き付きが起こったものと考えることができる。
【0057】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では説明を省略しているが、動作の安定を図り誤判定を防止するため、各センサ出力についてノイズまたはチャタリングに対する対策を設けるようにしてもよい。このような対策は、例えば、各センサとCPU101との間の信号線にシュミットトリガ特性を有するバッファを介挿することにより実現が可能である。
【0058】
また、上記した実施形態では、定着ユニット9の後方に設けた定着後センサ84と、さらにその後方の排出前ローラ82の後方に設けた排出前センサ85との出力信号に基づいてジャムの発生を検出するようにしている。しかし、本発明の趣旨は、搬送手段(定着ユニット9)の後方に設けた2つのセンサの出力に基づいてジャム発生の有無を判定することにあり、その観点からは、各センサの配置は上記以外のものであってもよい。例えば、定着後センサ84の直後にジャム検出用のもう1つのセンサを設けるなど、2つのセンサをより近接配置した場合に本発明の効果が顕著である。その理由は以下の通りである。まず、上記したように、2つのセンサの間隔とシートSの長さとの大小関係によって適用可能な条件が異なるが、センサの間隔を小さくすれば、事実上任意の長さのシートに対して同じ条件でジャム判定を行うことができる。また、2つのセンサ出力の変化の時間差が小さくなるため、実際にジャムが発生してからそれを検出するまでの時間を短縮することが可能となる。したがって、このようにすることで、確実にかつ速やかにジャム検出を行うことができる。
【0059】
また、例えば、上記した実施形態では、シートSおよびその表面のトナーに熱と圧力とを加えながらシートSを搬送する定着ユニットに本発明を適用しているが、本発明を適用することのできるのは定着ユニット9に限定されるものではない。例えば、ゲートローラ81や、二次転写領域TR2においてシートSに画像を転写しつつ定着ユニット9に向けて送り出す中間転写ベルト71も、シートSを所定方向に搬送する本発明の「搬送手段」としての機能を備えている。これらにおいてもシートSの巻き付きによるジャム発生のおそれがあるので、これらに本発明を適用すれば、各部でのジャムの発生を検出することが可能となる。
【0060】
また、上記した実施形態は、4色のトナーによるフルカラー画像を形成可能な画像形成装置であるが、本発明はこのような装置に限らず、例えばブラック色トナーに対応した現像器のみを備え、モノクロ画像を形成する画像形成装置に対しても適用が可能である。また、上記実施形態は、ホストコンピュータからの画像信号に対応した画像を形成するプリンタとしての画像形成装置であるが、これ以外にも、複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この画像形成装置の定着ユニットを示す図である。
【図4】定着ユニットにおけるジャムの第1の例を示す図である。
【図5】定着ユニットにおけるジャムの第2の例を示す図である。
【図6】定着ユニットにおけるジャムの第3の例を示す図である。
【図7】短いシートのジャム検出原理を示す図である。
【図8】両面印刷実行時の動作を示す図である。
【図9】従来技術におけるジャム検出の一例を示す原理図である。
【符号の説明】
2…感光体、 4…現像ユニット、 9…定着ユニット(搬送手段、定着器)、 71…中間転写ベルト、 81…ゲートローラ、 84…定着後センサ(第1検出手段)、 85…排出前センサ(第2検出手段)、 101…CPU(ジャム判定手段)、 91…加熱ローラ、 92…加圧ローラ、 F…搬送経路、P1…第1検出位置、 P2…第2検出位置、 S…シート(記録媒体)
Claims (6)
- シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置において、
記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置を記録媒体が通過する際に、第1検出信号を出力する第1検出手段と、
記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置を記録媒体が通過する際に、第2検出信号を出力する第2検出手段と、
前記第1および第2検出手段の出力信号に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定するジャム判定手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記搬送方向における前記記録媒体の長さが前記第1および第2検出位置の間隔より長く、しかも、
前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている間に前記第2検出信号が出力されない場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定する請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記搬送方向における前記記録媒体の長さが前記第1および第2検出位置の間隔より長く、しかも、
前記第1検出信号の出力開始時点から連続して前記第1検出信号が出力されている期間内に前記第2検出信号の出力が開始され、しかも、該期間内に当該第2検出信号の出力が終了した場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定する請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第1検出信号の出力開始時点から、前記第1および前記第2検出位置の間隔に対応して予め設定された時間を超えて、前記第2検出信号が出力されなかった場合には、前記ジャム判定手段は、前記記録媒体のジャムが発生したと判定する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記搬送手段は、前記記録媒体上の未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着器である請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- シート状の記録媒体を所定の搬送経路に沿って搬送するための搬送手段を備える画像形成装置におけるジャム検出方法であって、
前記記録媒体の搬送方向において前記搬送手段より後方の第1検出位置で前記記録媒体の有無を検出するとともに、前記記録媒体の搬送方向において前記第1検出位置より後方の第2検出位置で前記記録媒体の有無を検出し、
前記第1および第2検出位置での検出結果に基づいて、前記記録媒体のジャムが発生したか否かを判定することを特徴とするジャム検出方法。
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2003
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