JP2004219655A - 光導波路型回折格子素子製造方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折率変調の振幅分布が一定でない場合にも容易に光導波路型回折格子素子を製造することができる光導波路型回折格子素子製造方法などを提供する。
【解決手段】光源321から出力された屈折率変化誘起光UVは、シャッタ322および光学系323を経た後、ミラー324により反射されて、位相格子マスク200を介して光ファイバ110へ照射される。位相格子マスク200の回折作用により+1次回折光と−1次回折光とが発生し、これら2つの回折光が干渉することにより縞間隔Λの干渉縞が生じる。ミラー324がz軸方向に移動することにより、位相格子マスク200を介した光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置が走査される。このミラー324の移動および屈折率変化誘起光UVの照射の際に、圧電素子330の作用により、位相格子マスク200はz軸方向に振動する。その振動の位相または周期は走査毎に異なる。
【選択図】 図1
【解決手段】光源321から出力された屈折率変化誘起光UVは、シャッタ322および光学系323を経た後、ミラー324により反射されて、位相格子マスク200を介して光ファイバ110へ照射される。位相格子マスク200の回折作用により+1次回折光と−1次回折光とが発生し、これら2つの回折光が干渉することにより縞間隔Λの干渉縞が生じる。ミラー324がz軸方向に移動することにより、位相格子マスク200を介した光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置が走査される。このミラー324の移動および屈折率変化誘起光UVの照射の際に、圧電素子330の作用により、位相格子マスク200はz軸方向に振動する。その振動の位相または周期は走査毎に異なる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光導波路型回折格子素子は、光導波路(例えば光ファイバ)における長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成されたものであって、この光導波路を導波する光のうち所定の反射波長の光を回折格子により選択的に反射することができる。また、この光導波路型回折格子素子を含む合分波モジュールは、光導波路型回折格子素子により反射波長の光を選択的に反射することで光を合波または分波することができ、波長多重した多波長の信号光を用いて光伝送を行う波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)伝送システム等において用いられる。
【0003】
一般に、光導波路型回折格子素子は、光導波路における長手方向に沿った所定範囲に亘って一定周期Λの屈折率変調による回折格子が形成されていて、この回折格子により、λ=2n0Λ なる式で表されるブラッグ条件式を満たす反射波長λの光を選択的に反射し、他の波長の光を透過する。ここで、n0は光導波路の屈折率変調領域における平均の実効屈折率である。
【0004】
このような光導波路型回折格子素子は、位相格子法により作製され得る(例えば非特許文献1を参照)。すなわち、或る波長域の光に対して感光性を有する光導波路を用意するとともに、透明平板の一方の面に位相格子が形成された位相格子マスクを用意する。この位相格子マスクを光導波路の側方に配置して、位相格子マスクを介して屈折率変化誘起光を光導波路に照射する。このとき、位相格子マスクに入射した屈折率変化誘起光が位相格子により回折されて+1次回折光および−1次回折光が生じ、これら+1次回折光と−1次回折光との干渉縞が形成される。そして、この干渉縞における屈折率変化誘起光の空間的な強度変調に応じて、感光性を有する光導波路では空間的な屈折率変調による回折格子が形成されて、これにより、光導波路型回折格子素子が作製される。
【0005】
このような光導波路型回折格子素子では、屈折率変調領域において長手方向に沿った屈折率変調の振幅分布は、一定であってもよいが、変化していてもよい。屈折率変調の振幅分布が長手方向に沿って変化していることで、光導波路型回折格子素子の反射特性の改善が図られる。また、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有するものとすることにより、更に光導波路型回折格子素子の反射特性の改善が図られる。
【0006】
【非特許文献1】
K. O. Hill, et al., ”Bragg gratings fabricated in monomode photosensitive optical fiber by UV exposure through a phase mask”, Appl. Phys. Lett., Vol.62, No.10, pp.1035−1037 (1993)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する光導波路型回折格子素子は、これまで幾つかの文献で構造が提案され反射特性のシミュレーション結果が示されているものの、製造方法または製造装置については開示されていない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、屈折率変調の振幅分布が一定でない場合(更には、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する場合)にも容易に光導波路型回折格子素子を製造することができる光導波路型回折格子素子製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させて、光導波路に回折格子を形成して光導波路型回折格子素子を製造することを特徴とする
【0010】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、(1) 光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査する屈折率変化誘起光照射手段と、(2) 屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置によれば、光導波路(例えばコア領域にGeO2が添加された石英系の光ファイバ)の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光(例えば紫外光)が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形(形状、振幅、デューティ比、等)に応じたものとなる。特に第1の発明では、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に繰り返し走査され、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期が変化する。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子が容易に製造され得る。
【0012】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適である。第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、屈折率変化誘起光照射手段が、屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、位相格子マスク振動手段が、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適である。第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置では、Nが2の冪乗数であるのが好適である。この場合には、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造する上で更に好ましい。
【0013】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査し、屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、位相格子マスクの振動の周期を変化させて、光導波路に回折格子を形成して光導波路型回折格子素子を製造することを特徴とする。
【0014】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、(1) 光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査する屈折率変化誘起光照射手段と、(2) 屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、位相格子マスクの振動の周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置によれば、光導波路(例えばコア領域にGeO2が添加された石英系の光ファイバ)の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光(例えば紫外光)が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形(形状、振幅、デューティ比、等)に応じたものとなる。特に第2の発明では、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に走査され、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期が変化する。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子が容易に製造され得る。
【0016】
本発明に係る光導波路型回折格子素子は、上記の第1または第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法により製造されたことを特徴とする。この光導波路型回折格子素子は、長手方向に沿って屈折率変調の振幅分布が適切に設計されたものであり、例えば、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する。これにより、この光導波路型回折格子素子は、例えば、多波長の光を選択的に反射することができ、或いは、波長分散が抑制されたものとなる。
【0017】
本発明に係る合分波モジュールは、上記の本発明に係る光導波路型回折格子素子を含み、この光導波路型回折格子素子により反射波長の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする。本発明に係る光伝送システムは、波長多重した多波長の信号光を用いて光伝送を行う光伝送システムであって、上記の本発明に係る合分波モジュールを含み、この合分波モジュールにより多波長の信号光を合波または分波することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
先ず、本発明に係る光導波路型回折格子素子の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100の説明図である。この図は、光軸を含む面で切断したときの光導波路型回折格子素子100の断面図を示している。この光導波路型回折格子素子100は、光導波路である光ファイバ110に回折格子113が形成されたものである。光ファイバ110は、石英ガラスを主成分とするものであって、光軸中心を含むコア領域111にGeO2が添加されており、このコア領域111を取り囲んでクラッド領域112が設けられている。この光ファイバ110における長手方向に沿った所定範囲(以下「屈折率変調形成範囲」という。)に亘って屈折率変調による回折格子113が形成されている。
【0020】
光ファイバ110の長手方向に沿ってz軸を設定し、そのz軸の原点を屈折率変調形成範囲の中心位置とする。屈折率変調形成範囲において形成された屈折率変調の格子間隔は一定値Λであり、屈折率変調形成範囲において、回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数1】
なる式で表される。ここで、n0は、屈折率変調形成範囲における光ファイバ110の平均実効屈折率である。また、F(z)は、屈折率変調形成範囲における屈折率変調の振幅分布であり、例えば、sinc関数やcos関数などである。この光導波路型回折格子素子100は、回折格子113により、反射波長λ(=2n0Λ)の光を選択的に反射することができる。また、屈折率変調振幅分布F(z)を最適化することにより、この光導波路型回折格子素子100は、波長分散が抑制されたものであったり、波長分散が一定であったり、或いは、複数の波長の信号光を選択的に反射したりすることができる。
【0021】
次に、本発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置の実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300の説明図である。この光導波路型回折格子素子製造装置300は、上述した光導波路型回折格子素子100を製造する際に位相格子マスク200とともに好適に用いられるものである。
【0022】
この光導波路型回折格子素子製造装置300は、固定部材310、光源321、シャッタ322、光学系323、ミラー324、圧電素子330および制御部340を備えている。これらのうち、光源321、シャッタ322、光学系323およびミラー324は、位相格子マスク200を介して光ファイバ110に屈折率変化誘起光を照射する屈折率変化誘起光照射手段を構成している。また、圧電素子330は、光ファイバ110の側方に配置された位相格子マスク200をz軸方向に光ファイバ110に対して相対的に振動させる位相格子マスク振動手段を構成している。
【0023】
光源321は、光ファイバ110のコア領域111の屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光UVを出力する。この光源321として、例えば、波長248nmのレーザ光を屈折率変化誘起光UVとして出力するKrFエキシマレーザ光源が好適に用いられる。シャッタ322は、光源321とミラー324との間に設けられ、光源321から出力された屈折率変化誘起光UVの通過/遮断の制御を行う。このシャッタ322として音響光学素子が好適に用いられ、この場合には、屈折率変化誘起光UVの通過/遮断の制御が高速に行われる。
【0024】
光学系323は、シャッタ322とミラー324との間に設けられ、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射の際に屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅を所定値(好適には500μm以下、更に好適には100μm以下)とする為のものである。この光学系323として、集光レンズが好適に用いられ、或いは、所定の開口幅を有する開口も好適に用いられる。光学系323として集光レンズが用いられる場合には、屈折率変化誘起光UVのエネルギが有効に利用されるので、回折格子の作成効率が優れる。また、光学系323として開口が用いられる場合には、光ファイバ110が被る機械的ダメージが低減される。
【0025】
ミラー324は、z軸方向に対して45度だけ傾斜した反射面を有していて、光学系323を経てz軸方向に進んできた屈折率変化誘起光UVを、z軸に垂直な方向に反射させる。そして、ミラー324は、その反射させた屈折率変化誘起光UVを、位相格子マスク200を介して光ファイバ110に照射する。また、このミラー324は、z軸方向に移動自在に固定部材310に固定されている。
【0026】
位相格子マスク200は、石英ガラス平板の一方の面に格子間隔2Λの位相格子が形成されたものであり、その位相格子が形成された面が光ファイバ110に対向して配置される。この位相格子マスク200の格子間隔は、光ファイバ110に形成されるべき回折格子113の格子間隔Λの2倍とされる。また、この位相格子マスク200は、圧電素子330を介して固定部材310と固定されており、圧電素子330の作用によりz軸方向に振動可能である。
【0027】
制御部340は、固定部材310に対してミラー324をz軸方向に移動させる。これにより、制御部340は、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置を、光ファイバ110の所定範囲(屈折率変調形成範囲)に亘って走査する。このとき、制御部340は、屈折率変化誘起光UVの照射位置を一定速度で走査するのが好適である。この場合には、光ファイバ110の屈折率変調形成範囲における平均実効屈折率が長手方向に沿って一様となる。
【0028】
制御部340は、圧電素子330を制御して、位相格子マスク200をz軸方向に光ファイバ110に対して相対的に振動させる。これにより、光ファイバ110に形成される屈折率変調の振幅が調整される。特に、制御部340は、屈折率変化誘起光UVの照射位置zに応じて、位相格子マスク200の振動の波形を制御するのが好適である。この場合には、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の波形に応じたものとなる。これにより、所望の光学特性を有する光導波路型回折格子素子100が製造される。
【0029】
制御部340は、光ファイバ110の所定範囲内の何れかの位置z0において、位相格子マスク200の振動を方形波状とし、その振幅を、光ファイバ110に形成されるべき回折格子113の格子間隔Λの1/4とするのが好適である。この場合には、屈折率変調の振幅分布関数F(z)は位置z0において位相反転部を有し、これにより、光導波路型回折格子素子110の光学特性が更に優れたものとなる。
【0030】
制御部340は、位相格子マスク200の振動の波形を方形波、三角波、正弦波および台形波の何れかとなるように制御するのが好適である。このように、位相格子マスク200の振動の波形が一定形状であれば、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の振幅に応じたものとなる。すなわち、各位置zに応じて位相格子マスク200の振動の振幅を制御することにより、屈折率変調の振幅F(z)が調整される。
【0031】
制御部340は、位相格子マスク200の振動の波形を任意のものとしてもよい。この場合には、制御部340は、位相格子マスク200の振動の際に、位相格子マスク200が移動の過渡期にあるときに、シャッタ322を閉じて、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射を行わないようにするのが好適である。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0032】
なお、制御部340は位相格子マスク200の振動の波形を方形波となるように制御したとしても、実際には位相格子マスク200は一端から他端に移動するのに或る一定の時間を要する。そこで、制御部340は、位相格子マスク200の振動の周期を、位相格子マスク200が一端から他端に移動するのに実際に要する時間の20倍以上とするのが好適である。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0033】
特に本実施形態では、制御部340は、ミラー324をz軸方向に往復移動させることで、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に繰り返し走査し、圧電素子330を制御することで、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させる。このとき、屈折率変化誘起光UVの照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適であり、また、Nが2の冪乗数2n(ただし、nは正の整数)であるのが好適である。或いは、制御部340は、ミラー324をz軸方向に移動させることで、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に走査し、圧電素子330を制御することで、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期を変化させる。ただし、このように位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させるときに、位相格子マスク200の振動の振幅は所望の屈折率変調振幅分布関数F(z)が得られるように設定される。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が容易に製造され得る。
【0034】
図3は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第1態様の説明図である。この図において、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。同図(a)〜(d)それぞれは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の各走査を示す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置は4回走査され、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相がπ/2ずつ異なるものとされている。すなわち、第1回の走査(同図(a))に対して、第2回の走査(同図(b))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。第2回の走査(同図(b))に対して、第3回の走査(同図(c))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。また、第3回の走査(同図(c))に対して、第4回の走査(同図(d))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。
【0035】
或いは、初めに走査(同図(a))を行なった後に、これを基準として、振動の位相をπだけずらす走査(同図(c))を行い、さらに、その後に、振動の位相をπ/2だけずらす走査(同図(b))、および、振動の位相を3π/2だけずらす走査(同図(d))を行うのが好適である。また、これに続いて、振動の位相をπ/4だけずらす走査、振動の位相を5π/4だけずらす走査、振動の位相を3π/4だけずらす走査、および、振動の位相を7π/4だけずらす走査を、順次に行なってもよい。このようにすることにより、走査の繰り返しが途中(例えば2回)で終わったとしても、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が製造され得る。
【0036】
図4は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第2態様の説明図である。この図においても、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。同図(a)〜(c)それぞれは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の各走査を示す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置は3回走査され、その走査毎に位相格子マスク200の振動の周期が異なるものとされている。すなわち、第1回の走査(同図(a))では振動の周期がP1とされ、第2回の走査(同図(b))では振動の周期がP2とされ、第3回の走査(同図(c))では振動の周期がP3とされており、周期P1〜P3は互いに異なる。
【0037】
図5は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第3態様の説明図である。この図においても、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置が長手方向に走査されるとともに、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期が変化する。
【0038】
次に、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置1の動作について説明するとともに、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法について説明する。この光導波路型回折格子素子製造装置1は、制御部340による制御の下に以下のように動作する。
【0039】
光源321から出力された屈折率変化誘起光UVは、シャッタ322および光学系323を経てミラー324に入射し、このミラー324により反射されて、位相格子マスク200を介して光ファイバ110へ照射される。このとき、格子間隔2Λの位相格子マスク200の回折作用により+1次回折光と−1次回折光とが発生し、これら2つの回折光が干渉することにより縞間隔Λの干渉縞が生じる。また、ミラー324がz軸方向に所定範囲に亘って移動することにより、位相格子マスク200を介した光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置が走査される。そして、光ファイバ110のコア領域111には、この干渉縞における光エネルギの空間的な分布に応じて格子間隔Λの屈折率変調が形成されて、回折格子113が形成される。
【0040】
このミラー324の移動および屈折率変化誘起光UVの照射の際に、圧電素子330の作用により、位相格子マスク200はz軸方向に振動する。格子間隔2Λの位相格子マスク200が光ファイバ110に対してz軸方向に振動しており、その振動の波形が方形波であるとし、振動の中心位置をzとしたときに位置(z+a)および位置(z−a)それぞれにおける存在確率が1/2であるとする。
【0041】
このときに屈折率変化変化誘起光UVの照射により形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数2】
なる式で表され、屈折率変調の振幅F(z)は、
【数3】
なる式で表される。ここで、aは、位相格子マスク200の振動の振幅である。Δn0は、屈折率変化変化誘起光UVの照射量(=照射強度×照射時間)に応じた値の係数である。
【0042】
上記(2)式右辺の第2項の第3因子(cos(2πz/Λ))は、回折格子113における格子間隔がΛであることを示している。また、上記(3)式の屈折率変調の振幅F(z)は、図6に示されるように、位相格子マスク200の振動振幅aの関数であり、この振幅aに応じた値となる。したがって、位相格子マスク200の振動振幅aが適切に制御されることで、屈折率変調の振幅F(z)が調整され得る。したがって、図7(b)に示されるような屈折率変調振幅F(z)を得るには、上記(3)式に基づいて、図7(b)に示されるように各位置zにおける位相格子マスク200の振動振幅a(z)を制御すればよい。
【0043】
また、図6に示されるように、位相格子マスク200の振動振幅aが0〜Λ/4の範囲であれば、屈折率変調の振幅F(z)は正であり、位相格子マスク200の振動振幅aがΛ/4〜3Λ/4の範囲であれば、屈折率変調の振幅F(z)は負である。すなわち、位相格子マスク200の振動振幅aが或る位置z0においてΛ/4であって、該位置z0の前後において振動振幅aがΛ/4未満からΛ/4超に(またはその逆に)変化すれば、屈折率変調の振幅F(z)は位置z0において位相反転部を有することになる(図7参照)。
【0044】
また、このような屈折率変調振幅分布F(z)を得るには、光学系323を用いることで、位相格子マスク200に入射する屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅を好適には500μm以下(更に好適には100μm以下)とする。また、ミラー324は一定速度でz軸方向に移動するのが好適である。そして、そのミラー324の一定速度の移動(すなわち、屈折率変化誘起光UVの照射位置zの走査)とともに、その照射位置zに応じて振動振幅a(z)で位相格子マスク200はz軸方向に振動する。なお、屈折率変化誘起光UVの強度が一定であって、その照射位置zの走査の速度が一定であれば、光ファイバ110の屈折率変調形成範囲における平均実効屈折率がz方向に沿って一様となる。
【0045】
さらに、図3〜図5を用いて説明したように、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に繰り返し走査するとともに、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させる。或いは、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に走査し、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期を変化させる。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が容易に製造され得る。
【0046】
以上の説明では、位相格子マスク200の振動の波形は、図8(a)に示されるような方形波であるとし、変位が+aおよび−aそれぞれである確率が1/2であるとして、理想的な場合を想定した。しかし、実際には、図8(b)に示されるように、一端(変位が+aである位置)から他端(変位が−aである位置)への遷移、および、その逆の方向への遷移には、或る一定の時間ΔT(例えば、数m秒〜数十m秒)を要する。この遷移時間ΔTが無視し得ない場合には、上記(3)式に基づいて形成される屈折率変調は不正確なものとなる。そこで、図8(c)に示されるように、位相格子マスク200の振動の際に、位相格子マスク200が移動の過渡期にある上記遷移時間ΔTの間は、シャッタ322を閉じて、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射を行わないようにする。或いは、位相格子マスク200の振動の周期Tを上記遷移時間ΔTの20倍以上として、周期Tに対して遷移時間ΔTを無視し得る程度に小さくする。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0047】
また、位相格子マスク200の振動は、図9(a)〜(c)に示されるような波形であるのも好適である。図9(a)に示されるように、位相格子マスク200の振動が三角波である場合には、光ファイバ110に形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数4】
なる式で表され、屈折率変調の振幅分布F1(z)は
【数5】
なる式で表される。なお、α1,Δn1それぞれは一定の係数である。
【0048】
また、図9(b)に示されるように、位相格子マスク200の振動が正弦波である場合には、光ファイバ110に形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数6】
なる式で表され、屈折率変調の振幅分布F2(z)は
【数7】
なる式で表される。なお、α2,Δn2それぞれは一定の係数である。
【0049】
また、図9(c)に示されるように、位相格子マスク200の振動が台形波である場合には、屈折率変調の振幅分布は、変位が+aまたは−aである位置にある時間T1と、これら2つの位置の間の遷移時間T2との比に応じて、上記(3)式と上記(5)式とが加重平均された式で表される。
【0050】
このように、位相格子マスク200の振動の波形が一定形状であれば、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の振幅aに応じたものとなる。すなわち、各位置zに応じて位相格子マスク200の振動の振幅aを制御することにより、屈折率変調の振幅F(z)が調整される。
【0051】
また、このように、屈折率変調振幅F(z)が位置zの関数である為には、屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅2wは小さい方が好ましい。そこで、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wと、実際に実現される屈折率変調振幅との関係について、以下に説明する。ここでは、位相格子マスク200の振動が方形波であるとし、屈折率変化誘起光UVの照射位置の走査速度が一定であるとし、また、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとする。図10中に実線で示される屈折率変調振幅分布F(z)が形成されるように、同図中に破線で示される振動振幅a(z)に従って位相格子マスク200が振動する場合を想定する。なお、位相格子マスク200の振動振幅a(z)は、上記(3)式に従って得られたものである。
【0052】
位置zに屈折率変化誘起光UVが照射されるのは、屈折率変化誘起光UVの中心照射位置がz−wからz+wへ到るまでの期間である。したがって、各位置zにおいて実際に実現される屈折率変調振幅は、屈折率変化誘起光UVの中心照射位置がz−wからz+wへ到るまで位相格子マスク200の振動振幅a(z)の影響を受けたものとなる。すなわち、実現される屈折率変調振幅は、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wに依存する。図11は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが3mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。図12は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが2mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。図13は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが1mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。また、図14は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが0.5mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。これらの図から判るように、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、実現される屈折率変調振幅と設計値との差は小さい。また、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが0.5mm以下であれば、実現される屈折率変調振幅と設計値との差は無視し得る程度に小さい。
【0053】
このように、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、実現される屈折率変調振幅は設計値に近くなる。しかし、屈折率変化誘起光UVの強度密度が一定であるとすると、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、各位置における屈折率変化誘起光UVの照射時間が短く照射量が少ない。それ故、照射位置の走査速度を遅くする必要があることから、光導波路型回折格子素子100を製造するのに要する時間が長くなる。
【0054】
そこで、次に、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが大きくても、実現される屈折率変調振幅を設計値に近づけることができる手法について説明する。ここでは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の走査速度が一定であるとし、また、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとする。また、位相格子マスク200の振動振幅aと、光束幅2wが極めて小さいとした理想的な場合の屈折率変調振幅fとの間で、
【数8】
なる関係式があるとする。この場合、各位置zにおいて実現される屈折率変調振幅F(z)は、
【数9】
なる式で表される。ここで、Cは定数である。
【0055】
そして、この(9)式で表される屈折率変調振幅F(z)が設計値となるように、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が適切に設計される。このようにして、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が設計されることにより、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなる。図15は、設計目標の屈折率変調振幅分布(実線)、上記(9)式に基づいて得られた位相格子マスク200の振動振幅(破線)、および、上記(9)式が考慮されずに得られた位相格子マスク200の振動振幅(点線)を示す図である。図16は、上記(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅を示す図である。屈折率変化誘起光UVの光束幅2wを2mmとした。上記(9)式が考慮されずに得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅は図12に示されている。図12と図16とを比較して判るように、上記(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合には、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなっている。
【0056】
また、以上の説明では、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとした。しかし、実際には、屈折率変化誘起光UVの強度は、均一ではなく、或る分布(例えばガウス分布)を有している。そこで、次に、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において分布を有している場合について説明する。屈折率変化誘起光UVの光束幅2w内における強度分布は、中心照射位置からのz方向の距離z1に対してP(z1)で表されるとする。各位置zにおいて実現される屈折率変調振幅F(z)は、
【数10】
なる式で表される。そして、この(10)式で表される屈折率変調振幅F(z)が設計値となるように、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が適切に設計される。このようにして、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が設計されることにより、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなる。
【0057】
これまで述べた実施形態では、光ファイバ110に対する位相格子マスク200の相対的振動の波形(特に振幅)を制御することで、屈折率変調振幅を制御するものであった。しかし、振幅ではなく位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比を制御することで、屈折率変調振幅を制御することも可能である。以下では、位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比を制御する場合について説明する。これも、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置1または本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法により実現されるものである。
【0058】
或る照射位置zにおいて、位相格子マスク200が+Λ/4だけ変位した状態1と、位相格子マスク200が−Λ/4だけ変位した状態2とを考える。状態1であるときに光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn1(z)は、
【数11】
なる式で表され、状態2であるときに光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn2(z)は、
【数12】
なる式で表される。なお、ここでは変調成分のみを考える。上記(11)式と上記(12)式とは、符号のみが相違している。
また、位相格子マスク200の振動周期Tのうち時間t1の間は状態1であり、振動周期Tのうち時間t2の間は状態2であるとする。このとき、光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn(z)は、
【数13】
なる式で表される。ここで、Δn0は、常に状態1にあるとしたとき(t1=T)の屈折率変調振幅を表す。この式から判るように、屈折率変調Δn(z)の振幅は、(t1−t2)Δn0/Tなる式で表され、図17に示されるように、位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比(t1/T)に対して線形関係にある。t1=Tであれば屈折率変調振幅は最大値(Δn0)であり、t1=0であれば屈折率変調振幅は最小値(−Δn0)である。t1>t2(すなわち、t1>T/2)であれば屈折率変調振幅は正であり、t1=t2(すなわち、t1=T/2)であれば屈折率変調振幅は0であり、t1<t2(すなわち、t1<T/2)であれば屈折率変調振幅は負である。
【0059】
したがって、照射位置zを走査するとともに、その照射位置zに応じて、位相格子マスク200の振動における時間t1と時間t2との比(すなわち、デューティ比(t1/T))を制御することにより、屈折率変調の振幅分布を制御することができる。また、その走査の途中の或る位置で時間t1と時間t2との大小関係(すなわち、デューティ比(t1/T)と値1/2との大小関係)を逆転することにより、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する光導波路型回折格子素子100を実現することができる。図18(b)に示されるような屈折率変調振幅を得るには、図18(b)に示されるように各位置zにおける位相格子マスク200の振動のデューティ比(t1/T)を制御すればよい。
【0060】
次に、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法の実施例について、比較例とともに説明する。図19は、実施例および比較例それぞれの光導波路型回折格子素子における屈折率変調を示す図である。同図(a)の一部を拡大したものが同図(b)に示されている。屈折率変調振幅分布は、この図に示されるようなアポダイズされた形状を有するものとされた。
【0061】
図20は、第1比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図21は、第2比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図22は、第3比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。各図(a)の一部を拡大したものが各図(b)に示されている。第1比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動することなく、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第2比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動させて、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第3比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動させて、光束幅2wが0.6mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第2比較例および第3比較例それぞれでは、位相格子マスクの振動の振幅を212μmとし、その振動の位相を一定とし、また、その振動の周期をも一定とした。
【0062】
図20〜図22を比較して判るように、位相格子マスクを振動させない場合(図20)と比較して、位相格子マスクを振動させた場合(図21)には、ブラッグ条件式に基づく本来の反射帯域の両側に、意図しない反射ピークが見られる。位相格子マスクを振動させた場合であっても、屈折率変化誘起光の光束幅2wが小さい場合(図21)と比較して、屈折率変化誘起光の光束幅2wが大きい場合(図22)には、この意図しない反射ピークは小さい。この意図しない反射ピークは、位相格子マスクの振動が周期的であることに因り生じたものと考えられる。
【0063】
図23は、第1実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図24は、第2実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。各図(a)の一部を拡大したものが各図(b)に示されている。第1実施例および第2実施例それぞれでは、位相格子マスクを振動させるとともに、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させたものである。第1実施例では、走査の回数を2として、走査毎に位相格子マスクの振動の位相をπだけ変化させた。第2実施例では、走査の回数を4として、走査毎に位相格子マスクの振動の位相をπ/2だけ変化させた。
【0064】
図21,図23および図24を比較して判るように、位相格子マスクを振動させた場合であっても、位相格子マスクの振動の位相および周期それぞれを一定とした場合(図21)と比較して、屈折率変化誘起光の走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させた場合(図23,図24)には、ブラッグ条件式に基づく本来の反射帯域の両側に見られる意図しない反射ピークは小さい。また、屈折率変化誘起光の走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させる場合であっても、走査2回(位相πずつ変化)の場合(図23)と比較して、走査4回(位相π/2ずつ変化)の場合(図24)には、意図しない反射ピークは更に小さい。
【0065】
図25は、第2比較例,第1実施例および第2実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。これまでの図20〜図24はシミュレーション結果を示すものであったが、この図25は実験結果を示すものである。同図(a)は第2比較例に相当し、同図(b)は第1実施例に相当し、同図(c)は第2実施例に相当する。何れの場合にも位相格子マスクの振動の周期を600μmとした。同図(a)〜(c)は、図21,図23および図24と略同様の結果を表していることが判る。
【0066】
図26は、第4比較例および第3実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。同図(a)は第4比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示し、同図(b)は第3実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す。第4比較例では、位相格子マスクの振動の周期を一定値600μmとした。第3実施例では、位相格子マスクの振動の周期を、第1回の走査では600μmとし、第2回の走査では900μmとした。この図から判るように、第4比較例では、本来の反射帯域から±1.3nmだけ外れた波長に大きな反射ピークが見られるが、第3実施例では、この±1.3nmだけ外れた波長における反射ピークが抑制されている。
【0067】
以上のように、本実施形態では、屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させることにより、優れた反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造することができる。また、或いは、制御部340は、屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査し、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期を変化させることにより、優れた反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造することができる。
【0068】
次に、本発明に係る合分波モジュールの実施形態について説明する。以下に説明する各実施形態の合分波モジュールに含まれる光導波路型回折格子素子は、上記の実施形態に係る光導波路型回折格子素子100であって位相反転部を有するものであり、多波長の光を選択的に反射することができる。以下では、この光導波路型回折格子素子100が波長λ2mの光を反射する一方で波長λ2m+1の光を透過するものとして説明する。ただし、mは1以上M以下の整数であり、Mは2以上の整数であり、各波長は
【数14】
なる関係式を満たすものとする。
【0069】
図27は、第1の実施形態に係る合分波モジュール10の説明図である。この合分波モジュール10は、光導波路型回折格子素子100の一端に光サーキュレータ120が接続され、光導波路型回折格子素子100の他端に光サーキュレータ130が接続されて構成されている。光サーキュレータ120は、第1端子121、第2端子122および第3端子123を有しており、第1端子121に入力した光を第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力し、第2端子122に入力した光を第3端子123より出力する。また、光サーキュレータ130は、第1端子131、第2端子132および第3端子133を有しており、第1端子131に入力した光を第2端子132より光導波路型回折格子素子100へ出力し、第2端子132に入力した光を第3端子133より出力する。
【0070】
この合分波モジュール10では、光サーキュレータ120の第1端子121に波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ120の第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力され、光導波路型回折格子素子100を透過して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。また、光サーキュレータ130の第1端子131に波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ130の第2端子132より光導波路型回折格子素子100へ出力され、光導波路型回折格子素子100で反射して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール10は、合波器として動作し、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ2m+1の光と、光サーキュレータ130の第1端子131に入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。なお、合分波モジュール10が合波器としてのみ用いられる場合には光サーキュレータ120は不要である。
【0071】
また、この合分波モジュール10では、光サーキュレータ120の第1端子121に波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ120の第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力される。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100で反射して、光サーキュレータ120の第2端子122に入力し、光サーキュレータ120の第3端子123より出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100を透過して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール10は、分波器として動作し、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光サーキュレータ120の第3端子123より出力し、波長λ2m+1の光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。なお、合分波モジュール10が分波器としてのみ用いられる場合には光サーキュレータ130は不要である。
【0072】
さらに、この合分波モジュール10は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADM(Add−Drop Multiplexer)としても動作する。すなわち、この合分波モジュール10は、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光サーキュレータ120の第3端子123より出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光サーキュレータ130の第1端子131より入力(Add)する。そして、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光サーキュレータ130の第1端子131に入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。
【0073】
図28は、第2の実施形態に係る合分波モジュール20の説明図である。この合分波モジュール20は、光ファイバ110Aと光ファイバ110Bとが光カプラ114Aおよび114Bそれぞれを介して光結合されていて、光カプラ114Aと光カプラ114Bとの間の光ファイバ110Aの所定範囲に回折格子113Aが形成されて光導波路型回折格子素子100Aとされており、また、光カプラ114Aと光カプラ114Bとの間の光ファイバ110Bの所定範囲に回折格子113Bが形成されて光導波路型回折格子素子100Bとされている。これら光導波路型回折格子素子100Aおよび100Bそれぞれは、既述した光導波路型回折格子素子100と同等のものである。
【0074】
この合分波モジュール20では、光ファイバ110Aの第1端115Aに波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Aにより分岐され、光導波路型回折格子素子100A,110Bを透過して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。また、光ファイバ110Bの第2端116Bに波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Bにより分岐され、光導波路型回折格子素子100A,110Bで反射して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール20は、合波器として動作し、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Bの第2端116Bに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0075】
また、この合分波モジュール20では、光ファイバ110Aの第1端115Aに波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Aにより分岐され光導波路型回折格子素子100A,110Bへ出力される。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100A,110Bで反射して、光カプラ114Aにより合波され、光ファイバ110Bの第1端115Bより出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100A,110Bを透過して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール20は、分波器として動作し、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第1端115Bより出力し、波長λ2m+1の光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0076】
さらに、この合分波モジュール20は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADMとしても動作する。すなわち、この合分波モジュール20は、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第1端115Bより出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第2端116Bより入力(Add)する。そして、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Bの第2端116Bに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0077】
図29は、第3の実施形態に係る合分波モジュール30の説明図である。この合分波モジュール30は、光ファイバ110Cと光ファイバ110Dとが光カプラ114Cを介して光結合されていて、その光カプラ114Cにおける光ファイバ110Cと光ファイバ110Dとの融着部の所定範囲に回折格子113Cが形成されて光導波路型回折格子素子100Cとされている。この光導波路型回折格子素子100Cは、既述した光導波路型回折格子素子100と同等のものである。ただし、回折格子113Cは、光ファイバ110Cのコア領域および光ファイバ110Dのコア領域の双方に形成されている。
【0078】
この合分波モジュール30では、光ファイバ110Cの第1端115Cに波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光導波路型回折格子素子100Cを透過して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。また、光ファイバ110Dの第2端116Dに波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光導波路型回折格子素子100Cで反射して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール30は、合波器として動作し、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Dの第2端116Dに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0079】
また、この合分波モジュール30では、光ファイバ110Cの第1端115Cに波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は光導波路型回折格子素子100Cに到達する。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100Cで反射して、光ファイバ110Dの第1端115Dより出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100Cを透過して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール30は、分波器として動作し、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第1端115Dより出力し、波長λ2m+1の光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0080】
さらに、この合分波モジュール30は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADMとしても動作する。すなわち、この合分波モジュール30は、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第1端115Dより出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第2端116Dより入力(Add)する。そして、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Dの第2端116Dに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0081】
以上の合分波モジュール10,20および30それぞれに含まれる光導波路型回折格子素子は、既述した本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100であって、位相反転部を有しており、反射特性が優れる。光導波路型回折格子素子100において、反射波長帯域内における透過率が小さく、且つ、反射波長帯域外における反射率が小さいことから、合分波モジュール10,20および30の何れも、反射波長λ2mと透過波長λ2m+1との差が小さい場合であっても、クロストークが生じ難く、受信エラー発生率が低く、また、反射波長λ2mの光のパワーロスが小さい。
【0082】
次に、本発明に係る光伝送システムの実施形態について説明する。図30は、本実施形態に係る光伝送システム1の概略構成図である。この光伝送システム1は、送信局2と中継局3との間が光ファイバ伝送路5で接続され、中継局3と受信局4との間も光ファイバ伝送路6で接続されており、また、中継局3に合分波モジュール10が設けられている。
【0083】
送信局2は、波長λ1〜λ2Mの信号光を波長多重して光ファイバ伝送路5へ送出する。中継局3は、光ファイバ伝送路5を伝搬してきた波長λ1〜λ2Mの信号光を入力し、これらを合分波モジュール10により分波して、波長λ2m+1の信号光を光ファイバ伝送路6へ送出し、波長λ2mの信号光を他の光ファイバ伝送路へ送出する。また、中継局3は、合分波モジュール10により、他の光ファイバ伝送路を経て入力した波長λ2mの信号光を光ファイバ伝送路6へ送出する。受信局4は、光ファイバ伝送路6を伝搬してきた波長λ1〜λ2Mの信号光を入力し、これらを各波長に分波して受信する。
【0084】
この光伝送システム1は、上記の本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100を含む合分波モジュール10を用いて、波長λ1〜λ2Mの信号光を合波または分波するものである。したがって、光導波路型回折格子素子100において、反射波長λ2mと透過波長λ2m+1との差が小さい場合であっても、クロストークが生じ難く、受信エラー発生率が低く、また、反射波長λ2mの光のパワーロスが小さい。なお、合分波モジュール10に替えて合分波モジュール20または30を設けてもよい。
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態の光導波路型回折格子素子は、光導波路である光ファイバに屈折率変調による回折格子が形成されたものであった。しかし、これに限られず、平面基板上に形成された光導波路に屈折率変調による回折格子が形成されたものであってもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、光導波路の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形に応じたものとなる。また、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に繰り返し走査され、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期が変化する。或いは、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に走査され、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期が変化する。このようにして製造される光導波路型回折格子素子は、長手方向に沿って屈折率変調の振幅分布が適切に設計されたものであり、例えば、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する。これにより、この光導波路型回折格子素子は、例えば、多波長の光を選択的に反射することができ、或いは、波長分散が抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100の説明図である。
【図2】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300の説明図である。
【図3】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第1態様の説明図である。
【図4】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第2態様の説明図である。
【図5】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第3態様の説明図である。
【図6】位相格子マスク200の振動振幅aと屈折率変調振幅Fとの関係を示すグラフである。
【図7】各位置zにおける位相格子マスク200の振動振幅aおよび屈折率変調振幅Fそれぞれの分布を示すグラフである。
【図8】位相格子マスク200の振動の様子およびシャッタ322の開閉を説明する図である。
【図9】位相格子マスク200の他の振動の例を説明する図である。
【図10】設計目標の屈折率変調振幅分布F(z)および位相格子マスク200の振動振幅a(z)それぞれを示す図である。
【図11】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが3mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図12】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが2mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図13】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが1mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図14】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが0.5mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図15】設計目標の屈折率変調振幅分布(実線)、(9)式に基づいて得られた位相格子マスク200の振動振幅(破線)、および、(9)式が考慮されずに得られた位相格子マスク200の振動振幅(点線)を示す図である。
【図16】(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅を示す図である。
【図17】位相格子マスク200の振動のデューティ比と屈折率変調振幅との関係を示すグラフである。
【図18】各位置zにおける位相格子マスク200の振動のデューティ比および屈折率変調振幅それぞれの分布を示すグラフである。
【図19】実施例および比較例それぞれの光導波路型回折格子素子における屈折率変調を示す図である。
【図20】第1比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図21】第2比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図22】第3比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図23】第1実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図24】第2実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図25】第2比較例,第1実施例および第2実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図26】第4比較例および第3実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図27】第1の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図28】第2の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図29】第3の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図30】本実施形態に係る光伝送システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1…光伝送システム、2…送信局、3…中継局、4…受信局、5,6…光ファイバ伝送路、10,20,30…合分波モジュール、100…光導波路型回折格子素子、110…光ファイバ(光導波路)、111…コア領域、112…クラッド領域、113…回折格子、120,130…光サーキュレータ、200…位相格子マスク、300…光導波路型回折格子素子製造装置、310…固定部材、321…光源、322…シャッタ、323…光学系、324…ミラー、330…圧電素子、340…制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光導波路型回折格子素子は、光導波路(例えば光ファイバ)における長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成されたものであって、この光導波路を導波する光のうち所定の反射波長の光を回折格子により選択的に反射することができる。また、この光導波路型回折格子素子を含む合分波モジュールは、光導波路型回折格子素子により反射波長の光を選択的に反射することで光を合波または分波することができ、波長多重した多波長の信号光を用いて光伝送を行う波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)伝送システム等において用いられる。
【0003】
一般に、光導波路型回折格子素子は、光導波路における長手方向に沿った所定範囲に亘って一定周期Λの屈折率変調による回折格子が形成されていて、この回折格子により、λ=2n0Λ なる式で表されるブラッグ条件式を満たす反射波長λの光を選択的に反射し、他の波長の光を透過する。ここで、n0は光導波路の屈折率変調領域における平均の実効屈折率である。
【0004】
このような光導波路型回折格子素子は、位相格子法により作製され得る(例えば非特許文献1を参照)。すなわち、或る波長域の光に対して感光性を有する光導波路を用意するとともに、透明平板の一方の面に位相格子が形成された位相格子マスクを用意する。この位相格子マスクを光導波路の側方に配置して、位相格子マスクを介して屈折率変化誘起光を光導波路に照射する。このとき、位相格子マスクに入射した屈折率変化誘起光が位相格子により回折されて+1次回折光および−1次回折光が生じ、これら+1次回折光と−1次回折光との干渉縞が形成される。そして、この干渉縞における屈折率変化誘起光の空間的な強度変調に応じて、感光性を有する光導波路では空間的な屈折率変調による回折格子が形成されて、これにより、光導波路型回折格子素子が作製される。
【0005】
このような光導波路型回折格子素子では、屈折率変調領域において長手方向に沿った屈折率変調の振幅分布は、一定であってもよいが、変化していてもよい。屈折率変調の振幅分布が長手方向に沿って変化していることで、光導波路型回折格子素子の反射特性の改善が図られる。また、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有するものとすることにより、更に光導波路型回折格子素子の反射特性の改善が図られる。
【0006】
【非特許文献1】
K. O. Hill, et al., ”Bragg gratings fabricated in monomode photosensitive optical fiber by UV exposure through a phase mask”, Appl. Phys. Lett., Vol.62, No.10, pp.1035−1037 (1993)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する光導波路型回折格子素子は、これまで幾つかの文献で構造が提案され反射特性のシミュレーション結果が示されているものの、製造方法または製造装置については開示されていない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、屈折率変調の振幅分布が一定でない場合(更には、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する場合)にも容易に光導波路型回折格子素子を製造することができる光導波路型回折格子素子製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させて、光導波路に回折格子を形成して光導波路型回折格子素子を製造することを特徴とする
【0010】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、(1) 光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査する屈折率変化誘起光照射手段と、(2) 屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置によれば、光導波路(例えばコア領域にGeO2が添加された石英系の光ファイバ)の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光(例えば紫外光)が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形(形状、振幅、デューティ比、等)に応じたものとなる。特に第1の発明では、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に繰り返し走査され、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期が変化する。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子が容易に製造され得る。
【0012】
第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適である。第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、屈折率変化誘起光照射手段が、屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、位相格子マスク振動手段が、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適である。第1の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置では、Nが2の冪乗数であるのが好適である。この場合には、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造する上で更に好ましい。
【0013】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査し、屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、位相格子マスクの振動の周期を変化させて、光導波路に回折格子を形成して光導波路型回折格子素子を製造することを特徴とする。
【0014】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置は、光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、(1) 光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査する屈折率変化誘起光照射手段と、(2) 屈折率変化誘起光の照射の際に、位相格子マスクを長手方向に光導波路に対して相対的に振動させるとともに、屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、位相格子マスクの振動の周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法または装置によれば、光導波路(例えばコア領域にGeO2が添加された石英系の光ファイバ)の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光(例えば紫外光)が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形(形状、振幅、デューティ比、等)に応じたものとなる。特に第2の発明では、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に走査され、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期が変化する。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子が容易に製造され得る。
【0016】
本発明に係る光導波路型回折格子素子は、上記の第1または第2の発明に係る光導波路型回折格子素子製造方法により製造されたことを特徴とする。この光導波路型回折格子素子は、長手方向に沿って屈折率変調の振幅分布が適切に設計されたものであり、例えば、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する。これにより、この光導波路型回折格子素子は、例えば、多波長の光を選択的に反射することができ、或いは、波長分散が抑制されたものとなる。
【0017】
本発明に係る合分波モジュールは、上記の本発明に係る光導波路型回折格子素子を含み、この光導波路型回折格子素子により反射波長の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする。本発明に係る光伝送システムは、波長多重した多波長の信号光を用いて光伝送を行う光伝送システムであって、上記の本発明に係る合分波モジュールを含み、この合分波モジュールにより多波長の信号光を合波または分波することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
先ず、本発明に係る光導波路型回折格子素子の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100の説明図である。この図は、光軸を含む面で切断したときの光導波路型回折格子素子100の断面図を示している。この光導波路型回折格子素子100は、光導波路である光ファイバ110に回折格子113が形成されたものである。光ファイバ110は、石英ガラスを主成分とするものであって、光軸中心を含むコア領域111にGeO2が添加されており、このコア領域111を取り囲んでクラッド領域112が設けられている。この光ファイバ110における長手方向に沿った所定範囲(以下「屈折率変調形成範囲」という。)に亘って屈折率変調による回折格子113が形成されている。
【0020】
光ファイバ110の長手方向に沿ってz軸を設定し、そのz軸の原点を屈折率変調形成範囲の中心位置とする。屈折率変調形成範囲において形成された屈折率変調の格子間隔は一定値Λであり、屈折率変調形成範囲において、回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数1】
なる式で表される。ここで、n0は、屈折率変調形成範囲における光ファイバ110の平均実効屈折率である。また、F(z)は、屈折率変調形成範囲における屈折率変調の振幅分布であり、例えば、sinc関数やcos関数などである。この光導波路型回折格子素子100は、回折格子113により、反射波長λ(=2n0Λ)の光を選択的に反射することができる。また、屈折率変調振幅分布F(z)を最適化することにより、この光導波路型回折格子素子100は、波長分散が抑制されたものであったり、波長分散が一定であったり、或いは、複数の波長の信号光を選択的に反射したりすることができる。
【0021】
次に、本発明に係る光導波路型回折格子素子製造装置の実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300の説明図である。この光導波路型回折格子素子製造装置300は、上述した光導波路型回折格子素子100を製造する際に位相格子マスク200とともに好適に用いられるものである。
【0022】
この光導波路型回折格子素子製造装置300は、固定部材310、光源321、シャッタ322、光学系323、ミラー324、圧電素子330および制御部340を備えている。これらのうち、光源321、シャッタ322、光学系323およびミラー324は、位相格子マスク200を介して光ファイバ110に屈折率変化誘起光を照射する屈折率変化誘起光照射手段を構成している。また、圧電素子330は、光ファイバ110の側方に配置された位相格子マスク200をz軸方向に光ファイバ110に対して相対的に振動させる位相格子マスク振動手段を構成している。
【0023】
光源321は、光ファイバ110のコア領域111の屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光UVを出力する。この光源321として、例えば、波長248nmのレーザ光を屈折率変化誘起光UVとして出力するKrFエキシマレーザ光源が好適に用いられる。シャッタ322は、光源321とミラー324との間に設けられ、光源321から出力された屈折率変化誘起光UVの通過/遮断の制御を行う。このシャッタ322として音響光学素子が好適に用いられ、この場合には、屈折率変化誘起光UVの通過/遮断の制御が高速に行われる。
【0024】
光学系323は、シャッタ322とミラー324との間に設けられ、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射の際に屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅を所定値(好適には500μm以下、更に好適には100μm以下)とする為のものである。この光学系323として、集光レンズが好適に用いられ、或いは、所定の開口幅を有する開口も好適に用いられる。光学系323として集光レンズが用いられる場合には、屈折率変化誘起光UVのエネルギが有効に利用されるので、回折格子の作成効率が優れる。また、光学系323として開口が用いられる場合には、光ファイバ110が被る機械的ダメージが低減される。
【0025】
ミラー324は、z軸方向に対して45度だけ傾斜した反射面を有していて、光学系323を経てz軸方向に進んできた屈折率変化誘起光UVを、z軸に垂直な方向に反射させる。そして、ミラー324は、その反射させた屈折率変化誘起光UVを、位相格子マスク200を介して光ファイバ110に照射する。また、このミラー324は、z軸方向に移動自在に固定部材310に固定されている。
【0026】
位相格子マスク200は、石英ガラス平板の一方の面に格子間隔2Λの位相格子が形成されたものであり、その位相格子が形成された面が光ファイバ110に対向して配置される。この位相格子マスク200の格子間隔は、光ファイバ110に形成されるべき回折格子113の格子間隔Λの2倍とされる。また、この位相格子マスク200は、圧電素子330を介して固定部材310と固定されており、圧電素子330の作用によりz軸方向に振動可能である。
【0027】
制御部340は、固定部材310に対してミラー324をz軸方向に移動させる。これにより、制御部340は、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置を、光ファイバ110の所定範囲(屈折率変調形成範囲)に亘って走査する。このとき、制御部340は、屈折率変化誘起光UVの照射位置を一定速度で走査するのが好適である。この場合には、光ファイバ110の屈折率変調形成範囲における平均実効屈折率が長手方向に沿って一様となる。
【0028】
制御部340は、圧電素子330を制御して、位相格子マスク200をz軸方向に光ファイバ110に対して相対的に振動させる。これにより、光ファイバ110に形成される屈折率変調の振幅が調整される。特に、制御部340は、屈折率変化誘起光UVの照射位置zに応じて、位相格子マスク200の振動の波形を制御するのが好適である。この場合には、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の波形に応じたものとなる。これにより、所望の光学特性を有する光導波路型回折格子素子100が製造される。
【0029】
制御部340は、光ファイバ110の所定範囲内の何れかの位置z0において、位相格子マスク200の振動を方形波状とし、その振幅を、光ファイバ110に形成されるべき回折格子113の格子間隔Λの1/4とするのが好適である。この場合には、屈折率変調の振幅分布関数F(z)は位置z0において位相反転部を有し、これにより、光導波路型回折格子素子110の光学特性が更に優れたものとなる。
【0030】
制御部340は、位相格子マスク200の振動の波形を方形波、三角波、正弦波および台形波の何れかとなるように制御するのが好適である。このように、位相格子マスク200の振動の波形が一定形状であれば、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の振幅に応じたものとなる。すなわち、各位置zに応じて位相格子マスク200の振動の振幅を制御することにより、屈折率変調の振幅F(z)が調整される。
【0031】
制御部340は、位相格子マスク200の振動の波形を任意のものとしてもよい。この場合には、制御部340は、位相格子マスク200の振動の際に、位相格子マスク200が移動の過渡期にあるときに、シャッタ322を閉じて、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射を行わないようにするのが好適である。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0032】
なお、制御部340は位相格子マスク200の振動の波形を方形波となるように制御したとしても、実際には位相格子マスク200は一端から他端に移動するのに或る一定の時間を要する。そこで、制御部340は、位相格子マスク200の振動の周期を、位相格子マスク200が一端から他端に移動するのに実際に要する時間の20倍以上とするのが好適である。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0033】
特に本実施形態では、制御部340は、ミラー324をz軸方向に往復移動させることで、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に繰り返し走査し、圧電素子330を制御することで、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させる。このとき、屈折率変化誘起光UVの照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相を2π/Nずつ異ならせるのが好適であり、また、Nが2の冪乗数2n(ただし、nは正の整数)であるのが好適である。或いは、制御部340は、ミラー324をz軸方向に移動させることで、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に走査し、圧電素子330を制御することで、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期を変化させる。ただし、このように位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させるときに、位相格子マスク200の振動の振幅は所望の屈折率変調振幅分布関数F(z)が得られるように設定される。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が容易に製造され得る。
【0034】
図3は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第1態様の説明図である。この図において、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。同図(a)〜(d)それぞれは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の各走査を示す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置は4回走査され、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相がπ/2ずつ異なるものとされている。すなわち、第1回の走査(同図(a))に対して、第2回の走査(同図(b))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。第2回の走査(同図(b))に対して、第3回の走査(同図(c))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。また、第3回の走査(同図(c))に対して、第4回の走査(同図(d))では、位相格子マスク200の振動の位相はπ/2だけ異なっている。
【0035】
或いは、初めに走査(同図(a))を行なった後に、これを基準として、振動の位相をπだけずらす走査(同図(c))を行い、さらに、その後に、振動の位相をπ/2だけずらす走査(同図(b))、および、振動の位相を3π/2だけずらす走査(同図(d))を行うのが好適である。また、これに続いて、振動の位相をπ/4だけずらす走査、振動の位相を5π/4だけずらす走査、振動の位相を3π/4だけずらす走査、および、振動の位相を7π/4だけずらす走査を、順次に行なってもよい。このようにすることにより、走査の繰り返しが途中(例えば2回)で終わったとしても、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が製造され得る。
【0036】
図4は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第2態様の説明図である。この図においても、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。同図(a)〜(c)それぞれは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の各走査を示す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置は3回走査され、その走査毎に位相格子マスク200の振動の周期が異なるものとされている。すなわち、第1回の走査(同図(a))では振動の周期がP1とされ、第2回の走査(同図(b))では振動の周期がP2とされ、第3回の走査(同図(c))では振動の周期がP3とされており、周期P1〜P3は互いに異なる。
【0037】
図5は、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第3態様の説明図である。この図においても、横軸は屈折率変化誘起光UVの照射位置zを表し、縦軸は位相格子マスク200の振動の変位を表す。この図に示される位相格子マスク200の振動の態様では、屈折率変化誘起光UVの照射位置が長手方向に走査されるとともに、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期が変化する。
【0038】
次に、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置1の動作について説明するとともに、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法について説明する。この光導波路型回折格子素子製造装置1は、制御部340による制御の下に以下のように動作する。
【0039】
光源321から出力された屈折率変化誘起光UVは、シャッタ322および光学系323を経てミラー324に入射し、このミラー324により反射されて、位相格子マスク200を介して光ファイバ110へ照射される。このとき、格子間隔2Λの位相格子マスク200の回折作用により+1次回折光と−1次回折光とが発生し、これら2つの回折光が干渉することにより縞間隔Λの干渉縞が生じる。また、ミラー324がz軸方向に所定範囲に亘って移動することにより、位相格子マスク200を介した光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射位置が走査される。そして、光ファイバ110のコア領域111には、この干渉縞における光エネルギの空間的な分布に応じて格子間隔Λの屈折率変調が形成されて、回折格子113が形成される。
【0040】
このミラー324の移動および屈折率変化誘起光UVの照射の際に、圧電素子330の作用により、位相格子マスク200はz軸方向に振動する。格子間隔2Λの位相格子マスク200が光ファイバ110に対してz軸方向に振動しており、その振動の波形が方形波であるとし、振動の中心位置をzとしたときに位置(z+a)および位置(z−a)それぞれにおける存在確率が1/2であるとする。
【0041】
このときに屈折率変化変化誘起光UVの照射により形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数2】
なる式で表され、屈折率変調の振幅F(z)は、
【数3】
なる式で表される。ここで、aは、位相格子マスク200の振動の振幅である。Δn0は、屈折率変化変化誘起光UVの照射量(=照射強度×照射時間)に応じた値の係数である。
【0042】
上記(2)式右辺の第2項の第3因子(cos(2πz/Λ))は、回折格子113における格子間隔がΛであることを示している。また、上記(3)式の屈折率変調の振幅F(z)は、図6に示されるように、位相格子マスク200の振動振幅aの関数であり、この振幅aに応じた値となる。したがって、位相格子マスク200の振動振幅aが適切に制御されることで、屈折率変調の振幅F(z)が調整され得る。したがって、図7(b)に示されるような屈折率変調振幅F(z)を得るには、上記(3)式に基づいて、図7(b)に示されるように各位置zにおける位相格子マスク200の振動振幅a(z)を制御すればよい。
【0043】
また、図6に示されるように、位相格子マスク200の振動振幅aが0〜Λ/4の範囲であれば、屈折率変調の振幅F(z)は正であり、位相格子マスク200の振動振幅aがΛ/4〜3Λ/4の範囲であれば、屈折率変調の振幅F(z)は負である。すなわち、位相格子マスク200の振動振幅aが或る位置z0においてΛ/4であって、該位置z0の前後において振動振幅aがΛ/4未満からΛ/4超に(またはその逆に)変化すれば、屈折率変調の振幅F(z)は位置z0において位相反転部を有することになる(図7参照)。
【0044】
また、このような屈折率変調振幅分布F(z)を得るには、光学系323を用いることで、位相格子マスク200に入射する屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅を好適には500μm以下(更に好適には100μm以下)とする。また、ミラー324は一定速度でz軸方向に移動するのが好適である。そして、そのミラー324の一定速度の移動(すなわち、屈折率変化誘起光UVの照射位置zの走査)とともに、その照射位置zに応じて振動振幅a(z)で位相格子マスク200はz軸方向に振動する。なお、屈折率変化誘起光UVの強度が一定であって、その照射位置zの走査の速度が一定であれば、光ファイバ110の屈折率変調形成範囲における平均実効屈折率がz方向に沿って一様となる。
【0045】
さらに、図3〜図5を用いて説明したように、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に繰り返し走査するとともに、その走査毎に位相格子マスク200の振動の位相または周期を変化させる。或いは、屈折率変化誘起光UVの照射位置を長手方向に走査し、その走査の際に位相格子マスク200の振動の周期を変化させる。このようにして、所望の反射特性を有する光導波路型回折格子素子1が容易に製造され得る。
【0046】
以上の説明では、位相格子マスク200の振動の波形は、図8(a)に示されるような方形波であるとし、変位が+aおよび−aそれぞれである確率が1/2であるとして、理想的な場合を想定した。しかし、実際には、図8(b)に示されるように、一端(変位が+aである位置)から他端(変位が−aである位置)への遷移、および、その逆の方向への遷移には、或る一定の時間ΔT(例えば、数m秒〜数十m秒)を要する。この遷移時間ΔTが無視し得ない場合には、上記(3)式に基づいて形成される屈折率変調は不正確なものとなる。そこで、図8(c)に示されるように、位相格子マスク200の振動の際に、位相格子マスク200が移動の過渡期にある上記遷移時間ΔTの間は、シャッタ322を閉じて、光ファイバ110への屈折率変化誘起光UVの照射を行わないようにする。或いは、位相格子マスク200の振動の周期Tを上記遷移時間ΔTの20倍以上として、周期Tに対して遷移時間ΔTを無視し得る程度に小さくする。このようにすることで、屈折率変調の振幅F(z)が精度よく調整される。
【0047】
また、位相格子マスク200の振動は、図9(a)〜(c)に示されるような波形であるのも好適である。図9(a)に示されるように、位相格子マスク200の振動が三角波である場合には、光ファイバ110に形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数4】
なる式で表され、屈折率変調の振幅分布F1(z)は
【数5】
なる式で表される。なお、α1,Δn1それぞれは一定の係数である。
【0048】
また、図9(b)に示されるように、位相格子マスク200の振動が正弦波である場合には、光ファイバ110に形成される回折格子113の屈折率分布n(z)は、
【数6】
なる式で表され、屈折率変調の振幅分布F2(z)は
【数7】
なる式で表される。なお、α2,Δn2それぞれは一定の係数である。
【0049】
また、図9(c)に示されるように、位相格子マスク200の振動が台形波である場合には、屈折率変調の振幅分布は、変位が+aまたは−aである位置にある時間T1と、これら2つの位置の間の遷移時間T2との比に応じて、上記(3)式と上記(5)式とが加重平均された式で表される。
【0050】
このように、位相格子マスク200の振動の波形が一定形状であれば、各位置zにおいて、屈折率変調の振幅F(z)は、位相格子マスク200の振動の振幅aに応じたものとなる。すなわち、各位置zに応じて位相格子マスク200の振動の振幅aを制御することにより、屈折率変調の振幅F(z)が調整される。
【0051】
また、このように、屈折率変調振幅F(z)が位置zの関数である為には、屈折率変化誘起光UVのz軸方向の光束幅2wは小さい方が好ましい。そこで、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wと、実際に実現される屈折率変調振幅との関係について、以下に説明する。ここでは、位相格子マスク200の振動が方形波であるとし、屈折率変化誘起光UVの照射位置の走査速度が一定であるとし、また、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとする。図10中に実線で示される屈折率変調振幅分布F(z)が形成されるように、同図中に破線で示される振動振幅a(z)に従って位相格子マスク200が振動する場合を想定する。なお、位相格子マスク200の振動振幅a(z)は、上記(3)式に従って得られたものである。
【0052】
位置zに屈折率変化誘起光UVが照射されるのは、屈折率変化誘起光UVの中心照射位置がz−wからz+wへ到るまでの期間である。したがって、各位置zにおいて実際に実現される屈折率変調振幅は、屈折率変化誘起光UVの中心照射位置がz−wからz+wへ到るまで位相格子マスク200の振動振幅a(z)の影響を受けたものとなる。すなわち、実現される屈折率変調振幅は、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wに依存する。図11は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが3mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。図12は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが2mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。図13は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが1mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。また、図14は、設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが0.5mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。これらの図から判るように、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、実現される屈折率変調振幅と設計値との差は小さい。また、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが0.5mm以下であれば、実現される屈折率変調振幅と設計値との差は無視し得る程度に小さい。
【0053】
このように、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、実現される屈折率変調振幅は設計値に近くなる。しかし、屈折率変化誘起光UVの強度密度が一定であるとすると、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが小さいほど、各位置における屈折率変化誘起光UVの照射時間が短く照射量が少ない。それ故、照射位置の走査速度を遅くする必要があることから、光導波路型回折格子素子100を製造するのに要する時間が長くなる。
【0054】
そこで、次に、屈折率変化誘起光UVの光束幅2wが大きくても、実現される屈折率変調振幅を設計値に近づけることができる手法について説明する。ここでは、屈折率変化誘起光UVの照射位置の走査速度が一定であるとし、また、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとする。また、位相格子マスク200の振動振幅aと、光束幅2wが極めて小さいとした理想的な場合の屈折率変調振幅fとの間で、
【数8】
なる関係式があるとする。この場合、各位置zにおいて実現される屈折率変調振幅F(z)は、
【数9】
なる式で表される。ここで、Cは定数である。
【0055】
そして、この(9)式で表される屈折率変調振幅F(z)が設計値となるように、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が適切に設計される。このようにして、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が設計されることにより、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなる。図15は、設計目標の屈折率変調振幅分布(実線)、上記(9)式に基づいて得られた位相格子マスク200の振動振幅(破線)、および、上記(9)式が考慮されずに得られた位相格子マスク200の振動振幅(点線)を示す図である。図16は、上記(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅を示す図である。屈折率変化誘起光UVの光束幅2wを2mmとした。上記(9)式が考慮されずに得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅は図12に示されている。図12と図16とを比較して判るように、上記(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合には、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなっている。
【0056】
また、以上の説明では、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において均一であるとした。しかし、実際には、屈折率変化誘起光UVの強度は、均一ではなく、或る分布(例えばガウス分布)を有している。そこで、次に、屈折率変化誘起光UVの強度が光束幅2w内において分布を有している場合について説明する。屈折率変化誘起光UVの光束幅2w内における強度分布は、中心照射位置からのz方向の距離z1に対してP(z1)で表されるとする。各位置zにおいて実現される屈折率変調振幅F(z)は、
【数10】
なる式で表される。そして、この(10)式で表される屈折率変調振幅F(z)が設計値となるように、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が適切に設計される。このようにして、位相格子マスク200の振動振幅a(z)が設計されることにより、実現される屈折率変調振幅は設計値に近いものとなる。
【0057】
これまで述べた実施形態では、光ファイバ110に対する位相格子マスク200の相対的振動の波形(特に振幅)を制御することで、屈折率変調振幅を制御するものであった。しかし、振幅ではなく位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比を制御することで、屈折率変調振幅を制御することも可能である。以下では、位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比を制御する場合について説明する。これも、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置1または本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法により実現されるものである。
【0058】
或る照射位置zにおいて、位相格子マスク200が+Λ/4だけ変位した状態1と、位相格子マスク200が−Λ/4だけ変位した状態2とを考える。状態1であるときに光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn1(z)は、
【数11】
なる式で表され、状態2であるときに光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn2(z)は、
【数12】
なる式で表される。なお、ここでは変調成分のみを考える。上記(11)式と上記(12)式とは、符号のみが相違している。
また、位相格子マスク200の振動周期Tのうち時間t1の間は状態1であり、振動周期Tのうち時間t2の間は状態2であるとする。このとき、光ファイバ110に形成される屈折率変調Δn(z)は、
【数13】
なる式で表される。ここで、Δn0は、常に状態1にあるとしたとき(t1=T)の屈折率変調振幅を表す。この式から判るように、屈折率変調Δn(z)の振幅は、(t1−t2)Δn0/Tなる式で表され、図17に示されるように、位相格子マスク200の相対的振動のデューティ比(t1/T)に対して線形関係にある。t1=Tであれば屈折率変調振幅は最大値(Δn0)であり、t1=0であれば屈折率変調振幅は最小値(−Δn0)である。t1>t2(すなわち、t1>T/2)であれば屈折率変調振幅は正であり、t1=t2(すなわち、t1=T/2)であれば屈折率変調振幅は0であり、t1<t2(すなわち、t1<T/2)であれば屈折率変調振幅は負である。
【0059】
したがって、照射位置zを走査するとともに、その照射位置zに応じて、位相格子マスク200の振動における時間t1と時間t2との比(すなわち、デューティ比(t1/T))を制御することにより、屈折率変調の振幅分布を制御することができる。また、その走査の途中の或る位置で時間t1と時間t2との大小関係(すなわち、デューティ比(t1/T)と値1/2との大小関係)を逆転することにより、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する光導波路型回折格子素子100を実現することができる。図18(b)に示されるような屈折率変調振幅を得るには、図18(b)に示されるように各位置zにおける位相格子マスク200の振動のデューティ比(t1/T)を制御すればよい。
【0060】
次に、本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造方法の実施例について、比較例とともに説明する。図19は、実施例および比較例それぞれの光導波路型回折格子素子における屈折率変調を示す図である。同図(a)の一部を拡大したものが同図(b)に示されている。屈折率変調振幅分布は、この図に示されるようなアポダイズされた形状を有するものとされた。
【0061】
図20は、第1比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図21は、第2比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図22は、第3比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。各図(a)の一部を拡大したものが各図(b)に示されている。第1比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動することなく、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第2比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動させて、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第3比較例の光導波路型回折格子素子は、位相格子マスクを振動させて、光束幅2wが0.6mmである屈折率変化誘起光を用いて製造された。第2比較例および第3比較例それぞれでは、位相格子マスクの振動の振幅を212μmとし、その振動の位相を一定とし、また、その振動の周期をも一定とした。
【0062】
図20〜図22を比較して判るように、位相格子マスクを振動させない場合(図20)と比較して、位相格子マスクを振動させた場合(図21)には、ブラッグ条件式に基づく本来の反射帯域の両側に、意図しない反射ピークが見られる。位相格子マスクを振動させた場合であっても、屈折率変化誘起光の光束幅2wが小さい場合(図21)と比較して、屈折率変化誘起光の光束幅2wが大きい場合(図22)には、この意図しない反射ピークは小さい。この意図しない反射ピークは、位相格子マスクの振動が周期的であることに因り生じたものと考えられる。
【0063】
図23は、第1実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。図24は、第2実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。各図(a)の一部を拡大したものが各図(b)に示されている。第1実施例および第2実施例それぞれでは、位相格子マスクを振動させるとともに、光束幅2wが0.2mmである屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させたものである。第1実施例では、走査の回数を2として、走査毎に位相格子マスクの振動の位相をπだけ変化させた。第2実施例では、走査の回数を4として、走査毎に位相格子マスクの振動の位相をπ/2だけ変化させた。
【0064】
図21,図23および図24を比較して判るように、位相格子マスクを振動させた場合であっても、位相格子マスクの振動の位相および周期それぞれを一定とした場合(図21)と比較して、屈折率変化誘起光の走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させた場合(図23,図24)には、ブラッグ条件式に基づく本来の反射帯域の両側に見られる意図しない反射ピークは小さい。また、屈折率変化誘起光の走査毎に位相格子マスクの振動の位相を変化させる場合であっても、走査2回(位相πずつ変化)の場合(図23)と比較して、走査4回(位相π/2ずつ変化)の場合(図24)には、意図しない反射ピークは更に小さい。
【0065】
図25は、第2比較例,第1実施例および第2実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。これまでの図20〜図24はシミュレーション結果を示すものであったが、この図25は実験結果を示すものである。同図(a)は第2比較例に相当し、同図(b)は第1実施例に相当し、同図(c)は第2実施例に相当する。何れの場合にも位相格子マスクの振動の周期を600μmとした。同図(a)〜(c)は、図21,図23および図24と略同様の結果を表していることが判る。
【0066】
図26は、第4比較例および第3実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。同図(a)は第4比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示し、同図(b)は第3実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す。第4比較例では、位相格子マスクの振動の周期を一定値600μmとした。第3実施例では、位相格子マスクの振動の周期を、第1回の走査では600μmとし、第2回の走査では900μmとした。この図から判るように、第4比較例では、本来の反射帯域から±1.3nmだけ外れた波長に大きな反射ピークが見られるが、第3実施例では、この±1.3nmだけ外れた波長における反射ピークが抑制されている。
【0067】
以上のように、本実施形態では、屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に繰り返し走査し、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させることにより、優れた反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造することができる。また、或いは、制御部340は、屈折率変化誘起光の照射位置を長手方向に走査し、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期を変化させることにより、優れた反射特性を有する光導波路型回折格子素子を製造することができる。
【0068】
次に、本発明に係る合分波モジュールの実施形態について説明する。以下に説明する各実施形態の合分波モジュールに含まれる光導波路型回折格子素子は、上記の実施形態に係る光導波路型回折格子素子100であって位相反転部を有するものであり、多波長の光を選択的に反射することができる。以下では、この光導波路型回折格子素子100が波長λ2mの光を反射する一方で波長λ2m+1の光を透過するものとして説明する。ただし、mは1以上M以下の整数であり、Mは2以上の整数であり、各波長は
【数14】
なる関係式を満たすものとする。
【0069】
図27は、第1の実施形態に係る合分波モジュール10の説明図である。この合分波モジュール10は、光導波路型回折格子素子100の一端に光サーキュレータ120が接続され、光導波路型回折格子素子100の他端に光サーキュレータ130が接続されて構成されている。光サーキュレータ120は、第1端子121、第2端子122および第3端子123を有しており、第1端子121に入力した光を第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力し、第2端子122に入力した光を第3端子123より出力する。また、光サーキュレータ130は、第1端子131、第2端子132および第3端子133を有しており、第1端子131に入力した光を第2端子132より光導波路型回折格子素子100へ出力し、第2端子132に入力した光を第3端子133より出力する。
【0070】
この合分波モジュール10では、光サーキュレータ120の第1端子121に波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ120の第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力され、光導波路型回折格子素子100を透過して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。また、光サーキュレータ130の第1端子131に波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ130の第2端子132より光導波路型回折格子素子100へ出力され、光導波路型回折格子素子100で反射して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール10は、合波器として動作し、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ2m+1の光と、光サーキュレータ130の第1端子131に入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。なお、合分波モジュール10が合波器としてのみ用いられる場合には光サーキュレータ120は不要である。
【0071】
また、この合分波モジュール10では、光サーキュレータ120の第1端子121に波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は、光サーキュレータ120の第2端子122より光導波路型回折格子素子100へ出力される。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100で反射して、光サーキュレータ120の第2端子122に入力し、光サーキュレータ120の第3端子123より出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100を透過して、光サーキュレータ130の第2端子132に入力し、光サーキュレータ130の第3端子133より出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール10は、分波器として動作し、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光サーキュレータ120の第3端子123より出力し、波長λ2m+1の光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。なお、合分波モジュール10が分波器としてのみ用いられる場合には光サーキュレータ130は不要である。
【0072】
さらに、この合分波モジュール10は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADM(Add−Drop Multiplexer)としても動作する。すなわち、この合分波モジュール10は、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光サーキュレータ120の第3端子123より出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光サーキュレータ130の第1端子131より入力(Add)する。そして、光サーキュレータ120の第1端子121に入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光サーキュレータ130の第1端子131に入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光サーキュレータ130の第3端子133より出力する。
【0073】
図28は、第2の実施形態に係る合分波モジュール20の説明図である。この合分波モジュール20は、光ファイバ110Aと光ファイバ110Bとが光カプラ114Aおよび114Bそれぞれを介して光結合されていて、光カプラ114Aと光カプラ114Bとの間の光ファイバ110Aの所定範囲に回折格子113Aが形成されて光導波路型回折格子素子100Aとされており、また、光カプラ114Aと光カプラ114Bとの間の光ファイバ110Bの所定範囲に回折格子113Bが形成されて光導波路型回折格子素子100Bとされている。これら光導波路型回折格子素子100Aおよび100Bそれぞれは、既述した光導波路型回折格子素子100と同等のものである。
【0074】
この合分波モジュール20では、光ファイバ110Aの第1端115Aに波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Aにより分岐され、光導波路型回折格子素子100A,110Bを透過して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。また、光ファイバ110Bの第2端116Bに波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Bにより分岐され、光導波路型回折格子素子100A,110Bで反射して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール20は、合波器として動作し、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Bの第2端116Bに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0075】
また、この合分波モジュール20では、光ファイバ110Aの第1端115Aに波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は、光カプラ114Aにより分岐され光導波路型回折格子素子100A,110Bへ出力される。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100A,110Bで反射して、光カプラ114Aにより合波され、光ファイバ110Bの第1端115Bより出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100A,110Bを透過して、光カプラ114Bにより合波され、光ファイバ110Aの第2端116Aより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール20は、分波器として動作し、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第1端115Bより出力し、波長λ2m+1の光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0076】
さらに、この合分波モジュール20は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADMとしても動作する。すなわち、この合分波モジュール20は、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第1端115Bより出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光ファイバ110Bの第2端116Bより入力(Add)する。そして、光ファイバ110Aの第1端115Aに入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Bの第2端116Bに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Aの第2端116Aより出力する。
【0077】
図29は、第3の実施形態に係る合分波モジュール30の説明図である。この合分波モジュール30は、光ファイバ110Cと光ファイバ110Dとが光カプラ114Cを介して光結合されていて、その光カプラ114Cにおける光ファイバ110Cと光ファイバ110Dとの融着部の所定範囲に回折格子113Cが形成されて光導波路型回折格子素子100Cとされている。この光導波路型回折格子素子100Cは、既述した光導波路型回折格子素子100と同等のものである。ただし、回折格子113Cは、光ファイバ110Cのコア領域および光ファイバ110Dのコア領域の双方に形成されている。
【0078】
この合分波モジュール30では、光ファイバ110Cの第1端115Cに波長λ2m+1の光が入力すると、これらの光は、光導波路型回折格子素子100Cを透過して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。また、光ファイバ110Dの第2端116Dに波長λ2mの光が入力すると、これらの光は、光導波路型回折格子素子100Cで反射して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール30は、合波器として動作し、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Dの第2端116Dに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0079】
また、この合分波モジュール30では、光ファイバ110Cの第1端115Cに波長λ1〜λ2Mの光が入力すると、これらの光は光導波路型回折格子素子100Cに到達する。そして、これらの光のうち、波長λ2mの光は、光導波路型回折格子素子100Cで反射して、光ファイバ110Dの第1端115Dより出力される。一方、波長λ2m+1の光は、光導波路型回折格子素子100Cを透過して、光ファイバ110Cの第2端116Cより出力される。すなわち、この場合には、この合分波モジュール30は、分波器として動作し、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mを分波して、波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第1端115Dより出力し、波長λ2m+1の光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0080】
さらに、この合分波モジュール30は、合波器として動作するとともに、分波器としても動作することにより、光ADMとしても動作する。すなわち、この合分波モジュール30は、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mのうち波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第1端115Dより出力(Drop)するとともに、他の情報を担う波長λ2mの光を光ファイバ110Dの第2端116Dより入力(Add)する。そして、光ファイバ110Cの第1端115Cに入力した波長λ1〜λ2Mのうちの波長λ2m+1の光と、光ファイバ110Dの第2端116Dに入力した波長λ2mの光とを合波して、その合波した波長λ1〜λ2Mの光を光ファイバ110Cの第2端116Cより出力する。
【0081】
以上の合分波モジュール10,20および30それぞれに含まれる光導波路型回折格子素子は、既述した本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100であって、位相反転部を有しており、反射特性が優れる。光導波路型回折格子素子100において、反射波長帯域内における透過率が小さく、且つ、反射波長帯域外における反射率が小さいことから、合分波モジュール10,20および30の何れも、反射波長λ2mと透過波長λ2m+1との差が小さい場合であっても、クロストークが生じ難く、受信エラー発生率が低く、また、反射波長λ2mの光のパワーロスが小さい。
【0082】
次に、本発明に係る光伝送システムの実施形態について説明する。図30は、本実施形態に係る光伝送システム1の概略構成図である。この光伝送システム1は、送信局2と中継局3との間が光ファイバ伝送路5で接続され、中継局3と受信局4との間も光ファイバ伝送路6で接続されており、また、中継局3に合分波モジュール10が設けられている。
【0083】
送信局2は、波長λ1〜λ2Mの信号光を波長多重して光ファイバ伝送路5へ送出する。中継局3は、光ファイバ伝送路5を伝搬してきた波長λ1〜λ2Mの信号光を入力し、これらを合分波モジュール10により分波して、波長λ2m+1の信号光を光ファイバ伝送路6へ送出し、波長λ2mの信号光を他の光ファイバ伝送路へ送出する。また、中継局3は、合分波モジュール10により、他の光ファイバ伝送路を経て入力した波長λ2mの信号光を光ファイバ伝送路6へ送出する。受信局4は、光ファイバ伝送路6を伝搬してきた波長λ1〜λ2Mの信号光を入力し、これらを各波長に分波して受信する。
【0084】
この光伝送システム1は、上記の本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100を含む合分波モジュール10を用いて、波長λ1〜λ2Mの信号光を合波または分波するものである。したがって、光導波路型回折格子素子100において、反射波長λ2mと透過波長λ2m+1との差が小さい場合であっても、クロストークが生じ難く、受信エラー発生率が低く、また、反射波長λ2mの光のパワーロスが小さい。なお、合分波モジュール10に替えて合分波モジュール20または30を設けてもよい。
【0085】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態の光導波路型回折格子素子は、光導波路である光ファイバに屈折率変調による回折格子が形成されたものであった。しかし、これに限られず、平面基板上に形成された光導波路に屈折率変調による回折格子が形成されたものであってもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、光導波路の側方に位相格子マスクが配置され、この位相格子マスクは長手方向に光導波路に対して相対的に振動する。そして、その振動している位相格子マスクを介して光導波路に屈折率変化誘起光が照射される。この照射に伴い生じた干渉縞の強度パターンに応じて、光導波路に屈折率変調が形成され回折格子が形成されて、光導波路型回折格子素子が製造される。このとき形成される屈折率変調の振幅は、光導波路に対する位相格子マスクの相対的振動の波形に応じたものとなる。また、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に繰り返し走査され、その走査毎に位相格子マスクの振動の位相または周期が変化する。或いは、屈折率変化誘起光の照射位置が長手方向に走査され、その走査の際に位相格子マスクの振動の周期が変化する。このようにして製造される光導波路型回折格子素子は、長手方向に沿って屈折率変調の振幅分布が適切に設計されたものであり、例えば、屈折率変調の振幅分布が位相反転部を有する。これにより、この光導波路型回折格子素子は、例えば、多波長の光を選択的に反射することができ、或いは、波長分散が抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子100の説明図である。
【図2】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300の説明図である。
【図3】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第1態様の説明図である。
【図4】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第2態様の説明図である。
【図5】本実施形態に係る光導波路型回折格子素子製造装置300における位相格子マスク200の振動の第3態様の説明図である。
【図6】位相格子マスク200の振動振幅aと屈折率変調振幅Fとの関係を示すグラフである。
【図7】各位置zにおける位相格子マスク200の振動振幅aおよび屈折率変調振幅Fそれぞれの分布を示すグラフである。
【図8】位相格子マスク200の振動の様子およびシャッタ322の開閉を説明する図である。
【図9】位相格子マスク200の他の振動の例を説明する図である。
【図10】設計目標の屈折率変調振幅分布F(z)および位相格子マスク200の振動振幅a(z)それぞれを示す図である。
【図11】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが3mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図12】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが2mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図13】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが1mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図14】設計値の屈折率変調振幅(実線)、および、光束幅2wが0.5mmであるときの屈折率変調振幅(破線)を示す図である。
【図15】設計目標の屈折率変調振幅分布(実線)、(9)式に基づいて得られた位相格子マスク200の振動振幅(破線)、および、(9)式が考慮されずに得られた位相格子マスク200の振動振幅(点線)を示す図である。
【図16】(9)式に基づいて得られた振動振幅に従って位相格子マスク200が振動する場合に実現される屈折率変調振幅を示す図である。
【図17】位相格子マスク200の振動のデューティ比と屈折率変調振幅との関係を示すグラフである。
【図18】各位置zにおける位相格子マスク200の振動のデューティ比および屈折率変調振幅それぞれの分布を示すグラフである。
【図19】実施例および比較例それぞれの光導波路型回折格子素子における屈折率変調を示す図である。
【図20】第1比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図21】第2比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図22】第3比較例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図23】第1実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図24】第2実施例の光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図25】第2比較例,第1実施例および第2実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図26】第4比較例および第3実施例それぞれの光導波路型回折格子素子の反射特性を示す図である。
【図27】第1の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図28】第2の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図29】第3の実施形態に係る合分波モジュールの説明図である。
【図30】本実施形態に係る光伝送システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1…光伝送システム、2…送信局、3…中継局、4…受信局、5,6…光ファイバ伝送路、10,20,30…合分波モジュール、100…光導波路型回折格子素子、110…光ファイバ(光導波路)、111…コア領域、112…クラッド領域、113…回折格子、120,130…光サーキュレータ、200…位相格子マスク、300…光導波路型回折格子素子製造装置、310…固定部材、321…光源、322…シャッタ、323…光学系、324…ミラー、330…圧電素子、340…制御部。
Claims (11)
- 光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、
前記光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、
前記位相格子マスクを介して前記光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を前記長手方向に繰り返し走査し、
前記屈折率変化誘起光の照射の際に、前記位相格子マスクを前記長手方向に前記光導波路に対して相対的に振動させるとともに、
前記屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、前記位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させて、
前記光導波路に回折格子を形成して前記光導波路型回折格子素子を製造する、
ことを特徴とする光導波路型回折格子素子製造方法。 - 前記屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、その走査毎に前記位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせる、ことを特徴とする請求項1記載の光導波路型回折格子素子製造方法。
- Nが2の冪乗数であることを特徴とする請求項2記載の光導波路型回折格子素子製造方法。
- 光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する方法であって、
前記光導波路の側方に位相格子マスクを配置し、
前記位相格子マスクを介して前記光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を前記長手方向に走査し、
前記屈折率変化誘起光の照射の際に、前記位相格子マスクを前記長手方向に前記光導波路に対して相対的に振動させるとともに、
前記屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、前記位相格子マスクの振動の周期を変化させて、
前記光導波路に回折格子を形成して前記光導波路型回折格子素子を製造する、
ことを特徴とする光導波路型回折格子素子製造方法。 - 光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、
前記光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して前記光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を前記長手方向に繰り返し走査する屈折率変化誘起光照射手段と、
前記屈折率変化誘起光の照射の際に、前記位相格子マスクを前記長手方向に前記光導波路に対して相対的に振動させるとともに、前記屈折率変化誘起光の照射位置の走査毎に、前記位相格子マスクの振動の位相または周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、
を備えることを特徴とする光導波路型回折格子素子製造装置。 - 前記屈折率変化誘起光照射手段が、前記屈折率変化誘起光の照射位置をN回(ただし、Nは2以上の整数)走査し、
前記位相格子マスク振動手段が、その走査毎に前記位相格子マスクの振動の位相を2π/Nずつ異ならせる、
ことを特徴とする請求項5記載の光導波路型回折格子素子製造装置。 - Nが2の冪乗数であることを特徴とする請求項6記載の光導波路型回折格子素子製造装置。
- 光導波路の長手方向に沿った所定範囲に亘って屈折率変調による回折格子が形成された光導波路型回折格子素子を製造する装置であって、
前記光導波路の側方に配置された位相格子マスクを介して前記光導波路に屈折率変化誘起光を照射するとともに、この屈折率変化誘起光の照射位置を前記長手方向に走査する屈折率変化誘起光照射手段と、
前記屈折率変化誘起光の照射の際に、前記位相格子マスクを前記長手方向に前記光導波路に対して相対的に振動させるとともに、前記屈折率変化誘起光の照射位置の走査の際に、前記位相格子マスクの振動の周期を変化させる位相格子マスク振動手段と、
を備えることを特徴とする光導波路型回折格子素子製造装置。 - 請求項1または4に記載の光導波路型回折格子素子製造方法により製造されたことを特徴とする光導波路型回折格子素子。
- 請求項9記載の光導波路型回折格子素子を含み、この光導波路型回折格子素子により反射波長の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする合分波モジュール。
- 波長多重した多波長の信号光を用いて光伝送を行う光伝送システムであって、請求項10記載の合分波モジュールを含み、この合分波モジュールにより前記多波長の信号光を合波または分波することを特徴とする光伝送システム。
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