JP2004233665A - 位相格子マスク、回折格子の形成方法、回折格子素子、合分波モジュール、外部共振器型レーザモジュール及び波長分割多重伝送システム。 - Google Patents
位相格子マスク、回折格子の形成方法、回折格子素子、合分波モジュール、外部共振器型レーザモジュール及び波長分割多重伝送システム。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】異なる周期の複数の回折格子を光導波路に容易に形成することができる位相格子マスク、それを利用した回折格子の形成方法、その形成方法を用いて作製された回折格子素子等を提供する。
【解決手段】本発明では、まず透明平板11の一方の面11aに異なる周期の複数の位相格子12a〜12hが並設されている位相格子マスク10、及び、並列された複数の光導波路22a〜22hを用意する。次に、位相格子マスクの複数の位相格子が並設されている面が複数の光導波路と対向するように位相格子マスクを配置して、複数の光導波路に屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光30を、位相格子マスクを介して上記複数の光導波路に照射してそれらの光導波路に夫々異なる周期の回折格子23a〜23hを形成することで回折格子素子20を作製する。従って、複数の光導波路に容易に異なる周期の回折格子を形成することができる。
【選択図】 図5
【解決手段】本発明では、まず透明平板11の一方の面11aに異なる周期の複数の位相格子12a〜12hが並設されている位相格子マスク10、及び、並列された複数の光導波路22a〜22hを用意する。次に、位相格子マスクの複数の位相格子が並設されている面が複数の光導波路と対向するように位相格子マスクを配置して、複数の光導波路に屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光30を、位相格子マスクを介して上記複数の光導波路に照射してそれらの光導波路に夫々異なる周期の回折格子23a〜23hを形成することで回折格子素子20を作製する。従って、複数の光導波路に容易に異なる周期の回折格子を形成することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相格子マスク、回折格子の形成方法、回折格子素子、合分波モジュール、外部共振器型レーザモジュール、及び波長分割多重伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
所望の反射特性を有する回折格子が形成された複数のコア領域を備える光導波路として、実効屈折率の等しい複数のコアに、それぞれ異なる周期の回折格子が形成された光導波路(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
【0003】
また、上述したような光導波路としては、実効屈折率の異なる複数のコアに、等しい周期の回折格子が形成された光導波路(例えば、特許文献1参照)も知られている。
【0004】
このような光導波路では、複数のコア領域夫々を伝搬する光のうち、夫々に形成されている回折格子の反射帯域内の光、即ちブラッグ波長の光が、回折格子で反射される。そのため上述したような光導波路は、半導体レーザの外部共振器や多波長の光から特定の波長の光を分波する分波器として好適に利用される。
【0005】
【非特許文献1】
田中拓也、他6名、「UV誘起グレーティングとスポットサイズ変換LDを用いたハイブリッド4波長レーザ」、1997年電子情報通信学会総合大会講演論文集、C−3−160、p.345、1997年3月
【0006】
【特許文献1】
特開平10−90508号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような異なる周期の回折格子は、異なる周期の複数の位相格子マスクを用いて位相格子法で形成される。このように異なる周期の複数の位相格子マスクを用いて複数のコア領域に回折格子を形成する場合、回折格子を形成しようとしているコア領域の隣のコア領域に紫外光が照射されないようにしつつ、形成すべき回折格子の個数だけ位相格子マスクを取り替えて紫外光の照射を繰り返さなければならない。
【0008】
また、通常、位相格子法により回折格子を形成する場合、光導波路のコア領域に高圧水素処理を施して回折格子の形成効率を高めているが、光導波路に含浸された水素は時間と共に急速にコア領域から抜けて回折格子の形成効率が低下していく。従って、上述したように複数の位相格子マスクを用いて多数の回折格子を形成することは非常に困難であった。
【0009】
更に、隣り合うコア領域が数百μm以下程度に接近している場合には、隣り合うコア領域のうちの一方のコア領域に照射されている紫外光が他方のコア領域に照射されないようにマスキングすることが非常に困難であるので、コア領域同士が接近している場合に回折格子を形成することが困難であった。
【0010】
一方、上述したように等しい周期の回折格子を実効屈折率の異なる複数のコアに形成する場合には、形成されている回折格子の周期が同一であるので、マスキングをすることが困難であるなどの回折格子を形成する過程での問題点は回避される。ただし、ブラッグ波長は、コア領域の実効屈折率及び回折格子の周期で決定されるので、回折格子の周期が一定の場合には、設定可能なブラッグ波長の範囲がコア領域の実効屈折率で決定される。そのため、ブラッグ波長の範囲が制限されていた。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、異なる周期の複数の回折格子を光導波路に容易に形成することができる位相格子マスク、その位相格子マスクを用いた回折格子の形成方法、その形成方法を用いて作製された回折格子素子、その回折格子素子を含む合分波モジュールと外部共振器型レーザモジュール、並びにそれら合分波モジュール及び外部共振器型レーザモジュールのうちの双方又は一方を含む波長分割多重伝送システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る位相格子マスクは、透明平板の一方の面に異なる周期を有する複数の位相格子が並設されていることを特徴とする。
【0013】
このような構成により、光導波路に屈折率変化を誘起せしめる屈折率変化誘起光を上記位相格子マスクを介して並列された複数の光導波路に照射することで、それらの光導波路に異なる周期を有する複数の回折格子を一度に形成することができる。
【0014】
上記本発明に係る位相格子マスクにおいては、複数の位相格子が夫々所定の周期で配列された複数の格子溝から形成され、複数の位相格子のうちの任意の位相格子の格子溝の配列方向に延びる該位相格子の中心線と、該位相格子の隣の位相格子の縁との距離が50μm以上であることが好適である。
【0015】
このような構成では、複数の光導波路に回折格子を形成する場合に、隣り合う光導波路のうちの一方に回折格子を形成すべき位相格子の縁からの回折光が、他方の光導波路に与える影響を低減することができる。
【0016】
また、本発明は、上記本発明に係る位相格子マスクを用いた回折格子の形成方法にも係る。即ち、本発明に係る回折格子の形成方法は、透明平板の一方の面に異なる周期の複数の位相格子が並設されている位相格子マスクを用意する第1の工程と、並列された複数の光導波路を用意する第2の工程と、位相格子マスクの複数の位相格子が並設されている面が複数の光導波路と対向するように位相格子マスクを配置する第3の工程と、複数の光導波路に屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光を、位相格子マスクを介して複数の光導波路に照射して、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成する第4の工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
このような回折格子の形成方法によれば、複数の光導波路に上記位相格子マスクを介して屈折率変化誘起光を一度照射することで、それらの光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成することが可能である。そのため、例えば、屈折率変化を増大させるために水素を複数の光導波路に含浸していても、その水素が抜ける前に複数の光導波路に確実に回折格子を形成できる。また、複数の光導波路に一度に回折格子を形成するので、光導波路にマスキングをする必要がない。そのため、マスキングをすることの困難性から制限されていた光導波路同士の光軸間の距離が制限されない。従って、従来よりも隣り合う光導波路の光軸間の距離を狭くすることが可能である。
【0018】
なお、光導波路としては、SiO2を主成分として形成されているものとすれば良い。
【0019】
更に、複数の光導波路が1つの基板上に形成された平面型光導波路であるとしても良い。
【0020】
更にまた、本発明に係る回折格子素子は、上述した本発明に係る回折格子の形成方法により複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この場合、回折格子素子は、本発明に係る回折格子の形成方法で形成されるので、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を一度に形成することができる。従って、回折格子素子を容易に作製することができる。また、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成する際に、マスキングを必要としないので隣り合う光導波路の光軸間を従来よりも狭くすることができる。従って、回折格子素子を従来よりも小型にすることが可能である。
【0022】
また、本発明に係る合分波モジュールは、上述した本発明に係る回折格子素子を備え、回折格子素子で、その回折格子における反射帯域内の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする。
【0023】
このように、合分波モジュールは、本発明に係る回折格子素子を用いて構成されているので簡易に作製することができる。更に、隣り合う光導波路の光軸間の間隔を従来よりも狭くすることができるので、従来より小型の合分波モジュールとすることが可能である。
【0024】
また、本発明に係る外部共振器型レーザモジュールは、後端面を有する複数の半導体光増幅デバイスと、複数の半導体光増幅デバイスから夫々発せられた光が複数の光導波路を夫々伝搬するように配置された上記本発明に係る回折格子素子と、回折格子素子の複数の光導波路に夫々形成されている回折格子と複数の半導体光増幅デバイスが有する後端面とで共振器が夫々構成され、それらの共振器と複数の半導体光増幅デバイスとによりレーザ発振され、複数の光導波路に夫々形成されている回折格子を透過して出力された光を合波して出力する合波器とを備えることを特徴とする。
【0025】
この外部共振器型レーザモジュールは、上述した本発明に係る回折格子素子が用いられているので、隣り合う光導波路の光軸間の距離を従来よりも狭くすることが可能である。そのため、従来より小型の外部共振器型レーザモジュールとすることができる。
【0026】
更に、本発明に係る波長分割多重伝送システムは、波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムであって、上記本発明に係る合分波モジュールを備え、合分波モジュールにより多波長の光を合波または分波することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る波長分割多重伝送システムは、波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムであって、上述した本発明に係る外部共振器型レーザモジュールを備え、外部共振器型レーザモジュールが多波長の光を出力することを特徴とする。
【0028】
これらの波長分割多重伝送システムは、上述した本発明に係る外部共振器型レーザモジュール及び上述した本発明に係る合分波モジュールの双方又は一方を用いて構成されるので、外部共振器型レーザモジュールや合分波モジュールを含む送信器や中継器を小型化することが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、図面と共に本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は、説明のものとは必ずしも一致していない。
【0030】
図1は、本発明に係る位相格子マスクの一実施形態の構成を概略的に示す平面図である。
【0031】
本実施形態の位相格子マスク10は、複数の光導波路に異なる周期の回折格子を形成する際に用いられる。位相格子マスク10は、石英ガラスからなる透明平板11の1つの面11a上に、異なる周期を有する複数の位相格子、即ち、第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている。このような第1〜第8の位相格子12a〜12hは、夫々の所定の周期で配列された複数の格子溝120から構成されている。なお、格子溝120は、電子ビーム露光技術により好適に形成される。ここで、第1〜第8の位相格子12a〜12hの夫々の所定の周期は、形成すべき回折格子の反射特性に応じて設定すれば良いが、例えば、図1の位相格子マスク10では、表1のように設定している。
【0032】
【表1】
【0033】
第1〜第8の位相格子12a〜12hの配置について説明する。第1〜第8の位相格子12a〜12hは図1から理解されるように並列されている。隣り合う位相格子の中心線間の距離、例えば、第1の位相格子12aの中心線α1と第2の位相格子12bの中心線α2との距離である位相格子の間隔w1は、回折格子を形成すべき複数の光導波路のうちの隣り合う光導波路の光軸間の距離に対応させれば良い。
【0034】
また、第1〜第8の位相格子12a〜12hの幅は、同一でも異なっていても良い。ただし、第1〜第8の位相格子12a〜12hのうちから任意に選ばれた位相格子を形成している格子溝120の配列方向に延びるその位相格子の中心線と、その位相格子の隣の位相格子の縁との距離が、約50μm以上離れていることが好適である。例えば、任意に選ばれた位相格子を第1の位相格子12aとする場合、第1の位相格子12aの中心線α1と、その第1の位相格子12aの隣の第2の位相格子12bの縁(即ち第2の位相格子12bを形成している格子溝120の端をつなぐ線β1)との最短距離tが、約50μm以上離れていることが好適である。
【0035】
これは、図2に示すように位相格子の縁であるいわゆるエッジからの回折波の振幅分布が、そのエッジから水平方向に50μm以上離れたところでほぼ0になるからである。なお、図2は、位相格子に屈折率変化誘起光である紫外光を照射し、その位相格子から紫外光の入射方向に300μm離れたコア領域での回折波の振幅分布の計算結果を示したものである。図2において、縦軸は入射波の振幅で規格化された回折波の振幅を示し、横軸は位相格子のエッジからの水平方向距離を示している。また、第1の位相格子12aと第2の位相格子12bとの間隔w1が250μm以下であることが好適である。
【0036】
なお、図1では、隣り合う位相格子の間隔w1は何れも250μmとし、位相格子の幅である格子溝120の幅は何れも250μmとしている。
【0037】
また、図1の位相格子マスク10には、第1の位相格子12a、第3の位相格子12c、第5の位相格子12e及び第7の位相格子12gの左側であって、夫々の位相格子12a,12c,12e,12gの中心線上に目盛り線13a〜13dが形成されている。更に、第1の位相格子12a及び第8の位相格子12hの右側であって、夫々の位相格子の中心線上に目盛り線13e,13fが形成されている。これらの目盛り線13a〜13fは、位相格子マスク10を用いて複数の光導波路に回折格子を形成する場合に、位相格子マスク10と複数の光導波路との位置関係を調整するために用いられる。
【0038】
次に、本発明に係る回折格子素子の第1の実施形態について説明する。
【0039】
図3に、本実施形態に係る回折格子素子20の平面図を示す。また、図4は、図3におけるIV−IV線に沿う平面において切断したときの断面図である。
【0040】
回折格子素子20は、基板21と、複数の平面型光導波路(以下、単に「光導波路」という)22a〜22hと、複数の回折格子23a〜23hとから構成されている。
【0041】
光導波路22a〜22h夫々は、基板21の上方に設けられたいわゆるコア領域に相当し、それらの周りにはクラッド領域24が設けられている。光導波路22a〜22h及びクラッド領域24の主成分は石英ガラス(SiO2)である。ただし、光導波路22a〜22hの石英ガラス中にゲルマニウムを添加して、光導波路22a〜22hの屈折率をクラッド領域24の屈折率よりも大きくしている。そのため、回折格子素子20の一方の端である入射端20a側から光導波路22a〜22hに夫々入射された光は、光導波路22a〜22h内に光が閉じ込められ、回折格子素子20の長手方向に伝搬する。光導波路22a〜22hに相当するコア領域とクラッド領域24との比屈折率差は、種々設定することが可能であるが、本実施形態では1.5%としている。また、光導波路22a〜22hには、回折格子23a〜23hを形成するための屈折率変化を増加させるために水素が含浸されている。
【0042】
光導波路22a〜22hにおいて、光導波路同士の間隔、即ち、隣り合う光導波路の光軸の間隔w2は、特に限定する必要はなく、50μm〜500μmの範囲で設定することも可能である。図3の回折格子素子20の光導波路22a〜22hでは、何れも250μmとしている。また、光導波路22a〜22hの長手方向に直交する断面のサイズも種々設定することが可能であるが、図3では何れも4.5μm×4.5μmとしている。なお、断面のサイズは、回折格子素子20の長手方向に沿って均一なものとする。
【0043】
上記光導波路22a〜22hには夫々図1の位相格子マスク10における第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期の1/2の周期を有する回折格子23a〜23hが夫々形成されている。
【0044】
このように光導波路22a〜22hには夫々異なる周期を有する回折格子23a〜23hが形成されているので、各回折格子23a〜23hのブラッグ波長に相当する光は回折格子23a〜23hで夫々反射される。なお、ブラッグ波長は、回折格子が形成されている光導波路の実効屈折率と回折格子の周期とに依存するが、本実施形態では光導波路22a〜22hの組成及びサイズは同一であり光導波路22a〜22hの実効屈折率は等しいので、回折格子23a〜23hのブラッグ波長の違いは各回折格子23a〜23hの周期によるものである。
【0045】
ここで、上記回折格子素子20を作製する方法について説明する。図5は、回折格子素子20を作製する方法を示す工程図である。
【0046】
まず、回折格子23a〜23hが形成されていない光導波路22a〜22hを用意する。
【0047】
次に、上記光導波路22a〜22hを高圧水素処理し、光導波路22a〜22hに水素を含浸させる。
【0048】
続いて、図5に示すように図1の位相格子マスク10を、その位相格子マスク10の面11aがクラッド領域24の上面と対向するように配置する。この際、目盛り線13eと光導波路22aとを一致させ、目盛り線13fと光導波路22hとを一致させて位相格子マスク10を配置する。
【0049】
次に、位相格子マスク10を介して屈折率変化誘起光である紫外光30を光導波路22a〜22hに照射する。照射時間は例えば10分間とすれば良い。
【0050】
この紫外光30の照射により、光導波路22a〜22hに光誘起屈折率変化が生じて回折格子23a〜23hが夫々形成される。光源は、例えば、波長248nmの紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源を用いる。また、そのKrFエキシマレーザのビームサイズは、位相格子マスク10における第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている領域の大きさなどに応じて変更すれば良いが、図1の位相格子マスク10を使用する場合には、例えば、光導波路22a〜22hの長手方向を2mmとし、光導波路22a〜22hの長手方向に直交する方向を2.5mmとする。
【0051】
続いて、回折格子23a〜23hが形成された光導波路22a〜22hを所定の温度(例えば、115℃)で所定の時間(例えば、12時間)アニールをして図3に示す回折格子素子20が作製される。
【0052】
図6に、図3の回折格子素子20の透過特性を示す。図6において実線I〜VIIIは、夫々光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a〜23hの透過スペクトルである。図6において、縦軸は回折格子の透過率を示し、横軸は波長を示す。
【0053】
図6から理解されるように、光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a〜23hの透過スペクトルでは、夫々特定の波長において透過率が減少している。上述したように光導波路22a〜22hの組成及びサイズは同一であり光導波路22a〜22hに形成された回折格子23a〜23hの周期のみが異なる。そのため、特定の波長における透過率の減少は、回折格子23a〜23hによるもの、即ち、各回折格子23a〜23hでのブラッグ反射によるものと理解される。従って、位相格子マスク10を用いることで光導波路22a〜22hに夫々異なる周期の回折格子23a〜23hが確実に形成されていることが理解できる。
【0054】
位相格子マスク10は、異なる周期の第1〜第8の位相格子12a〜12hが透明平板11の面11aに並設されているので、その位相格子マスク10を介して回折格子23a〜23hに紫外光30を一度照射するだけで夫々異なる周期の回折格子23a〜23hを光導波路22a〜22hに形成することができる。そのため、回折格子素子20を形成する工程において、上述したように屈折率変化を増大させるために水素を含浸させていても、水素が抜ける前に全ての回折格子23a〜23hを確実に形成することができる。
【0055】
上述したようにブラッグ波長は、回折格子が形成されている光導波路の実効屈折率とその回折格子の周期とに依存している。ところで、光導波路の実効屈折率は、光導波路の長手方向に直交する断面のサイズを変えることなどにより調整可能である。そして、上述したように位相格子マスク10を用いて異なる周期の回折格子を複数の光導波路に形成することができるので、例えば、同一周期の回折格子しか形成できない場合に比べて、ブラッグ波長の設定可能範囲を広げることが可能である。
【0056】
また、第1〜第8の位相格子12a〜12hは、隣り合う位相格子のうちの一方の位相格子の縁が他方の位相格子の中心線から50μm以上離れているように形成されている。このため、光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを夫々形成する場合に、例えば、第1の位相格子12aで回折格子23aを形成すべき光導波路22aに、第2の位相格子12bからの回折光による回折格子23bが形成されることがない。そのため、光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを形成する場合にマスキングをする必要がない。従って、光導波路22a〜22hのうちの隣り合う光導波路の間隔を従来よりも狭く、例えば、50μmとすることも可能である。これにより、従来と同様の機能をより小型の素子で実現することができる。
【0057】
更に、位相格子マスク10に目盛り線13a〜13fを形成しているので光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを形成する場合の位置合わせが容易である。
【0058】
次に、本発明に係る回折格子素子の第2の実施形態について説明する。本実施形態における回折格子素子40の平面図を図7に示す。
【0059】
本実施形態の回折格子素子40の構成は、以下の点で図3の回折格子素子20と相違する以外は、図3の回折格子素子20の構成と同じである。
【0060】
即ち、図7の回折格子素子40は、光導波路が4つである点、即ち光導波路22a〜22dが形成されている点、隣り合う光導波路の間隔w2が500μmである点、光導波路22a〜22dにおける長手方向に直交する断面のサイズが7.5μm×7.5μmである点、光導波路22a〜22dに相当するコア領域とクラッド領域24との比屈折率差が0.45%である点及び光導波路22a〜22dに夫々回折格子23a,23c,23e,23fが形成されている点で、図3の回折格子素子20と相違する。
【0061】
上記回折格子素子40を作製する方法は、図1の第1の位相格子12aと第7の位相格子12gの左側にある目盛り線13a,13dを、図7の光導波路22aと光導波路22dとに夫々あわせる点以外は、上記図3の回折格子素子20を作製する方法と同様である。
【0062】
図8に図7の回折格子素子40の透過特性を示す。図8において実線i〜ivは、夫々光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a,23c,23e,23fの透過スペクトルである。図8の縦軸及び横軸は、図6の縦軸及び横軸と同様である。
【0063】
図8から回折格子素子40の光導波路22a〜22dに夫々異なる周期、即ち、異なるブラッグ波長を有する回折格子23a,23c,23e,23fが形成されていることが理解できる。
【0064】
このように位相格子マスク10に第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されていても4つの光導波路22a〜22dに回折格子23a,23c,23e,23fが形成できるのは次の理由による。即ち、第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている位相格子マスク10を介して屈折率変化誘起光である紫外光30がクラッド領域24の上面に照射された場合、ゲルマニウムが添加された光導波路22a〜22dでのみ屈折率変化が生じるので、光導波路22a〜22dにのみ回折格子23a,23c,23e,23fが形成される。
【0065】
以上から理解できるように、位相格子マスク10に第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている場合でも、回折格子を形成すべき光導波路の本数及び隣り合う光導波路同士の間隔を適宜調整することで、第1〜第8の位相格子12a〜12hから所望の周期を有する位相格子を選択してその位相格子の周期の1/2の周期を有する回折格子を光導波路に形成することが可能である。
【0066】
続いて、回折格子素子の第3の実施形態について説明する。
【0067】
図9に本実施形態における回折格子素子50の平面図を示す。また、図10に回折格子素子50を作製するために使用する位相格子マスク60の模式図を示す。本実施形態の位相格子マスク60は、図1の位相格子マスク10と、第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期を表2のようにした点で相違する。
【0068】
【表2】
【0069】
図9の回折格子素子50は、4つの光導波路22a〜22dが形成されている点、光導波路22a〜22dのうちの隣り合う光導波路同士の間隔が500μmである点、光導波路22a〜22dに図10の第1の位相格子12a、第3の位相格子12c、第5の位相格子12e及び第7の位相格子12fの周期の1/2の周期を有する回折格子23a,23c,23e,23fが夫々形成されている点以外は、第1の実施形態の回折格子素子20と同様である。
【0070】
なお、回折格子素子50を作製する方法は、位相格子マスクとして図2の位相格子マスク60を使用する点が相違する以外は、第2の実施形態の場合と同様である。
【0071】
図11に図9の回折格子素子50の透過特性を示す。図11において、実線(i)〜(iv)は、光導波路22a〜22dを夫々伝搬する光に対する回折格子23a,23c,23e,23fの透過スペクトルである。図11の縦軸及び横軸は図6の縦軸及び横軸と同様である。
【0072】
図11から、図6の場合と同様の考察により光導波路22a〜22dに夫々異なる周期の回折格子23a,23c,23e,23fが形成されていることが理解される。
【0073】
第1の実施形態では、第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期は表1に示すように第1〜第8の位相格子12a〜12hの順にほぼ同じ割合で増加している。これに対して、本実施形態の位相格子マスク60における第1〜第8の位相格子12a〜12hの場合には、表2に示すように周期の配列は任意である。このような任意の順番で配列された第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成された位相格子マスク60を用いても光導波路22a〜22dに回折格子23a,23c,23e,23fを確実に形成することができる。
【0074】
次に、本発明に係る外部共振器型レーザモジュールの実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70の構成の模式図である。本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70は、上述した回折格子素子60と、4個の半導体光増幅デバイス71〜74と、合波部75とを備えている。なお、これらは同一基板21上に一体として形成されているものである。
【0075】
半導体光増幅デバイス71〜74は、回折格子素子60の入射端20a側に設けられた溝76内であって基板21の上面に設けられている。まず、半導体光増幅デバイス71について説明する。半導体光増幅デバイス71の光出射面71aには非反射コート(ARコート)が施されており、この光出射面71aと対向する光反射面(後端面)71bには反射コートが施されている。この半導体光増幅デバイス71は、その光出射面71aが入射端20aにおける光導波路22aの端面と対面するように基板21上に位置し、半導体光増幅デバイス71から発せられた光が光導波路22aに入射し伝搬するように配置されている。なお、本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70では、半導体光増幅デバイス71の光反射面71bと、回折格子素子60の光導波路22aに形成されている回折格子23aとにより、共振器が構成されている。なお、半導体光増幅デバイス71の光反射面71bの後方、即ち、光出射面71aと反対側には、光反射面71bから出射される光を受光するフォトダイオード(不図示)が配置される。半導体光増幅デバイス71の光反射面71bから出射される光を受光することで半導体光増幅デバイス71の光の強度を把握し、調整するためである。
【0076】
半導体光増幅デバイス72〜74に関しても、半導体光増幅デバイス71と同様の構成とする。また、半導体光増幅デバイス72〜74と回折格子素子60との位置関係は、半導体光増幅デバイス72〜74から発せられた光が、回折格子素子60の光導波路22b〜22dに夫々入射し伝搬するようにされている点以外は、上記半導体光増幅デバイス71と回折格子素子60との位置関係と同様である。従って、半導体光増幅デバイス72〜74の夫々の光反射面72b,73b,74bは、回折格子23c,23e,23gと夫々共振器を形成する。また、半導体光増幅デバイス72〜74から出力される光の強度を調整するためにフォトダイオードが配置されていることは半導体光増幅デバイス71の場合と同様である。
【0077】
合波部75は、回折光学素子60の出射端20b側に連続して設けられている。合波部75は、合波回路750と、合波回路750に入力すべき4つの光を伝搬させる入力導波路751〜754と、合波回路750で合波された光を伝搬させる出力導波路755とから構成される。
【0078】
入力導波路751〜754は、回折格子素子60の光導波路22a〜22dと夫々光学的に結合されており、これら光導波路22a〜22d内を伝搬する光を合波回路750に入力する。
【0079】
合波回路750は、入力導波路751〜754内を伝搬してきた光を合波し、出力導波路755に出力する。
【0080】
上記外部共振器型レーザモジュール70の動作について説明する。
【0081】
半導体光増幅デバイス71〜74を駆動すると、各半導体光増幅デバイス71〜74から光が発せられる。半導体光増幅デバイス71〜74から発せられた光は、夫々光導波路22a〜22dに入射される。上述したように半導体光増幅デバイス71〜74の光反射面71b,72b,73b,74bと、回折格子23a,23c,23e,23gとにより夫々共振器が形成されている。従って、半導体光増幅デバイス71〜74とそれらに対応する共振器とにより、回折格子23a,23c,23e,23gの夫々のブラッグ波長、例えば波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4でレーザ発振が起こる。このレーザ発振により回折格子23a,23c,23e,23gを夫々透過した波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光は合波部75の入力導波路751〜754を夫々伝搬して合波回路750に入力される。
【0082】
そして、合波回路750により合波された波長λ1〜λ4の光が出力導波路755に出力され、出力導波路755を伝搬して出射される。
【0083】
上述したように回折格子素子60は、従来よりも容易に形成することができるので、その回折格子素子60を含む外部共振器型レーザモジュール70も容易に形成することが可能である。更に、回折格子素子60は回折格子素子が有すべき機能をより小型の素子として実現することができるので、外部共振器型レーザモジュール70も小型化が可能である。
【0084】
次に、本発明に係る合分波モジュールの実施形態について説明する。図13は、本発明に係る合分波モジュール80の一実施形態を示す模式図である。
【0085】
合分波モジュール80は、3つの平面光導波路型のマッハツェンダ干渉計型光学素子81,82,83を同一基板上に一体に形成したものである。以下、マッハツェンダ干渉計光学素子をMZ干渉計光学素子と称す。
【0086】
MZ干渉計型光学素子81についてその構成を説明する。MZ干渉計型光学素子81は、2つの光導波路810a,810bをMZ干渉計型に形成し、更に2つの光カプラ811a,811b間の光導波路810a,810bに波長λ1の光をブラッグ反射する回折格子812を夫々形成したものである。
【0087】
MZ干渉計型光学素子82及びMZ干渉計型光学素子83もMZ干渉計型光学素子81と同様の構成であり、光カプラ821a,821b間の光導波路820a,820bに波長λ4の光をブラッグ反射する回折格子822が夫々形成されており、光カプラ822a,822b間の光導波路830a,830bに波長λ7の光をブラッグ反射する回折格子832が夫々形成されている。
【0088】
上述したようなMZ干渉計型光学素子81,82,83から成る合分波モジュール80は次のようにして作製される。
【0089】
まず、光導波路810a,810b、光導波路820a,820b及び光導波路830a,830bを夫々MZ干渉計の配置に形成する。
【0090】
次に、光カプラ811a,811b間、光カプラ821a,821b間及び光カプラ832a,832b間に夫々回折格子812,822,832を形成する。その形成方法は、本発明に係る回折格子素子を形成した場合と同様である。即ち、本発明に係る位相格子マスクを用いて一度に形成する。ここで、回折格子812,822,832を形成する際には、図1の位相格子マスク10において、第1の位相格子マスク12aの周期と第2の位相格子マスク12bの周期を同一とし、第4の位相格子マスク12dの周期と第5の位相格子マスク12eの周期を同一とし、第7の位相格子マスク12gの周期と第8の位相格子マスク12hの周期を同一とした位相格子マスクを用いれば良い。
【0091】
このように、回折格子812,822,832は本発明に係る位相格子マスクを用いて形成されているので、各MZ干渉計型光学素子81,82,83のアームに相当する部分を含む領域P(図13の2点鎖線の領域)は、本発明に係る回折格子素子に相当する。即ち、合分波モジュール80は、本発明に係る回折格子素子を含んで構成されたものである。
【0092】
次に、合分波モジュール80の動作について説明する。
【0093】
まず、MZ干渉計型光学素子81の動作について説明する。合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810aに波長λ1〜λ3の光を入射する。この入射された光は光カプラ810aにより分岐される。光カプラ811aと光カプラ811bとの間に形成された回折格子812のブラッグ波長はλ1であるので、上記波長λ1〜λ3の光における波長λ1の光は回折格子812でブラッグ反射され、光カプラ811aを通過して光導波路810bの第1端80a側から出射される。一方、波長λ2,λ3の光は回折格子812を透過するので、光カプラ811bに入力される。ここで、合分波モジュール80の第1端80a側から入射された波長λ1が担っている情報と異なる情報を担う波長λ1の光を合分波モジュール80の第2端80b側から光導波路810aに入射する。この第2端80b側から光導波路810aに入射された波長λ1の光は、回折格子812で反射されるので、光カプラ811bに再度入力される。そして、光カプラ811bにおいて、第2端80b側から光導波路810aに入射された波長λ1の光と、上記波長λ2,λ3の光とが合波されて波長λ1〜λ3の光が第2端80b側の光導波路810bから出射される。
【0094】
MZ干渉計型光学素子82及びMZ干渉計型光学素子83は、MZ干渉計型光学素子81と回折格子822,823で反射するブラッグ波長が異なる点以外は上記MZ干渉計型光学素子81と同様の動作をする。
【0095】
MZ干渉計型光学素子82の動作は、MZ干渉計型光学素子81の動作の説明において、波長λ1〜λ3の光を波長λ4〜λ6の光とした場合に相当し、MZ干渉計型光学素子83の動作は、MZ干渉計型光学素子81の動作の説明において、波長λ1〜λ3の光を波長λ7〜λ9の光とした場合に相当する。
【0096】
このように合分波モジュール80は、波長λ1〜λ3、波長λ4〜λ6及び波長λ7〜λ9の光が合分波モジュール80の第1端80a側から夫々入力された場合に、波長λ1,λ4,λ7の光を分波する機能と、第2端80b側から入力された波長λ1,λ4,λ7の光を第1端80a側から入力された光に合波する機能を有する。即ち、合分波モジュール80は、ADM(Add Drop Multiplexer)として機能する。
【0097】
上述したように、合分波モジュール80は、本発明に係る回折光学素子を含んで構成されているので、合分波モジュール80を簡易に形成することが可能である。更に、隣り合う光導波路の間隔を従来よりも狭くすることができるので、従来よりも小型の合分波モジュールとすることが可能である。
【0098】
なお、本実施形態では、MZ干渉計型光学素子の数は特に限定する必要はない。
【0099】
次に、本発明に係る波長分割多重伝送システムの一実施形態について説明する。図14は、本実施形態に係る波長分割多重伝送システム(以下、単に「光伝送システム」という)1の概略構成図である。この光伝送システム1は、3つの送信局2a,2b,2c、中継局3、及び3つの受信局4a,4b,4cを含んで構成されている。
【0100】
3つの送信局2a,2b,2cは、中継局3と夫々光ファイバ伝送路5a,5b,5cで接続されている。また、中継局3と3つの受信局4a,4b,4cとの間も光ファイバ伝送路6a,6b,6cで接続されている。また中継局3には、更に出力用の光ファイバ伝送路7a,7b,7c及び入力用の光ファイバ伝送路8a,8b,8cが接続されている。
【0101】
また、3つの送信局2a,2b,2cには外部共振器型レーザモジュール70が夫々設けられており、送信局2a,2b,2cから多波長の光が出力される。なお、図14では、送信局2a,2b,2cからは夫々波長λ1〜λ3、波長λ4〜λ6及び波長λ7〜λ9の光が夫々出力されるようになっている。
【0102】
更に、中継局3は、合分波モジュール80が設けられており、光ファイバ伝送路5a,5b,5cを伝搬してくる光が合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810a,820a,830aに夫々入射されるようになっている。また、光導波路810b,820b,830bの第2端80b側から出射された光は、夫々光ファイバ伝送路6a,6b,6cに入射され光ファイバ伝送路6a,6b,6cを伝搬するようになっている。
【0103】
更に、合分波モジュール80の第1端80a側には光導波路810b,820b,830bから出射される光が光ファイバ伝送路7a,7b,7cを伝搬するようになっており、光ファイバ伝送路8a,8b,8cを伝搬してきた光が第2端80b側から光導波路810a,820a,820aに入射されるようになっている。
【0104】
次に、光伝送システム1の動作について説明する。
【0105】
送信局3aの外部共振器型レーザモジュール70により波長λ1〜λ3の光を合波して光ファイバ伝送路3aに入射する。光ファイバ伝送路3aを伝搬する光は、中継局3の合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810aに入射される。そして波長λ1の光は回折格子812により分波され、光導波路810bの第1端80a側から出射されて光ファイバ伝送路7aに入射される。波長λ2,λ3の光は、光導波路810bの第2端80b側から出射されるが、この際、光ファイバ伝送路8aから波長λ1の光が第2端80b側のコア領域810に入射されている場合には、その波長λ1の光が合波された波長λ1〜λ3の光が光ファイバ伝送路6aに入射される。そして、光ファイバ伝送路6aを伝搬する波長λ1〜λ3の光が受信局4aで受信される。
【0106】
送信局3bから波長λ4〜λ6の光が出力された場合も、上記と同様で波長λ4の光は中継局3で光ファイバ伝送路7bに分波されると共に、光ファイバ伝送路8bから入力された波長λ4の光が新たに合波された波長波長λ4〜λ6の光が受信局4bに受信される。送信局3cから波長λ7〜λ9の光が出力された場合も、送信局3aから波長λ1〜λ3の光が出力された場合と同様である。
【0107】
この光伝送システム1は、送信局3a,3b,3cに外部共振器型レーザモジュール70を備え、中継局3に合分波モジュール80を備える。上述したように外部共振器型レーザモジュール70及び合分波モジュール80は、それぞれが本発明に係る回折格子素子を備えていることから従来よりも小型にすることが可能である。従って、送信局3a,3b,3c及び中継局3のスペースを有効利用することが可能である。
【0108】
なお、上記光伝送システム1では、外部共振器型レーザモジュール70及び合分波モジュール80の双方を備えているものとしたが、どちらか一方を備えている光伝送システムとしても良い。
【0109】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、何れの実施形態の説明においても、位相格子マスクにより回折格子を形成すべき光導波路を平面型光導波路としているが、平面型光導波路に限定する必要はなく、並列された光ファイバに回折格子を形成しても良い。
【0110】
また、位相格子マスクには8本の位相格子を並設させているが、特に8本の位相格子に限る必要はなく、位相格子の数は回折格子を形成すべき光導波路の数に応じて設定すれば良い。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る位相格子マスクの一実施形態を示す平面図である。
【図2】位相格子のエッジからの回折光の振幅分布の計算結果を示す図である。
【図3】本発明に係る回折格子素子の第1の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IVに沿う平面で切断した場合の断面図である。
【図5】回折格子素子を作製する工程の工程図である。
【図6】図3の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図7】本発明に係る回折格子素子の第2の実施形態を示す平面図である。
【図8】図7の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図9】本発明に係る回折格子素子の第3の実施形態を示す平面図である。
【図10】図9の回折格子素子を作製するために用いられる位相格子マスクの模式図である。
【図11】図9の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図12】本発明に係る外部共振器型レーザモジュールの一実施形態の平面図である。
【図13】本発明に係る合分波モジュールの一実施形態の平面図である。
【図14】本発明に係る波長分割多重伝送システムの一実施形態の模式図である。
【符号の説明】
1…波長分割多重伝送システム、3a〜3c…送信局、4a〜4c…受信局、5a〜5c,6a〜6c,7a〜7c,8a〜8c…光ファイバ伝送路、10…位相格子マスク、12a〜12h…第1〜第8の位相格子、13a〜13f…目盛り線、20…回折格子素子、21…基板、22a〜22h…平面型光導波路、23a〜23h…回折格子、24…クラッド領域、30…紫外光(屈折率変化誘起光)、40…回折格子素子、50…回折格子、60…位相格子マスク、70…外部共振器型レーザモジュール、71〜74…半導体光増幅デバイス、71a,72a,73a,74a…光反射面、71b,72b,73b,74b…光反射面(後端面)、75…合波部、76…溝、80…合分波モジュール、81,82,83…マッハツェンダ干渉計型光学素子、750…合波回路、751〜754…入力導波路、755…出力導波路、811a,b…光カプラ、812a,b…光カプラ、813a,b…光カプラ、812,822,832…回折格子
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相格子マスク、回折格子の形成方法、回折格子素子、合分波モジュール、外部共振器型レーザモジュール、及び波長分割多重伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
所望の反射特性を有する回折格子が形成された複数のコア領域を備える光導波路として、実効屈折率の等しい複数のコアに、それぞれ異なる周期の回折格子が形成された光導波路(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
【0003】
また、上述したような光導波路としては、実効屈折率の異なる複数のコアに、等しい周期の回折格子が形成された光導波路(例えば、特許文献1参照)も知られている。
【0004】
このような光導波路では、複数のコア領域夫々を伝搬する光のうち、夫々に形成されている回折格子の反射帯域内の光、即ちブラッグ波長の光が、回折格子で反射される。そのため上述したような光導波路は、半導体レーザの外部共振器や多波長の光から特定の波長の光を分波する分波器として好適に利用される。
【0005】
【非特許文献1】
田中拓也、他6名、「UV誘起グレーティングとスポットサイズ変換LDを用いたハイブリッド4波長レーザ」、1997年電子情報通信学会総合大会講演論文集、C−3−160、p.345、1997年3月
【0006】
【特許文献1】
特開平10−90508号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような異なる周期の回折格子は、異なる周期の複数の位相格子マスクを用いて位相格子法で形成される。このように異なる周期の複数の位相格子マスクを用いて複数のコア領域に回折格子を形成する場合、回折格子を形成しようとしているコア領域の隣のコア領域に紫外光が照射されないようにしつつ、形成すべき回折格子の個数だけ位相格子マスクを取り替えて紫外光の照射を繰り返さなければならない。
【0008】
また、通常、位相格子法により回折格子を形成する場合、光導波路のコア領域に高圧水素処理を施して回折格子の形成効率を高めているが、光導波路に含浸された水素は時間と共に急速にコア領域から抜けて回折格子の形成効率が低下していく。従って、上述したように複数の位相格子マスクを用いて多数の回折格子を形成することは非常に困難であった。
【0009】
更に、隣り合うコア領域が数百μm以下程度に接近している場合には、隣り合うコア領域のうちの一方のコア領域に照射されている紫外光が他方のコア領域に照射されないようにマスキングすることが非常に困難であるので、コア領域同士が接近している場合に回折格子を形成することが困難であった。
【0010】
一方、上述したように等しい周期の回折格子を実効屈折率の異なる複数のコアに形成する場合には、形成されている回折格子の周期が同一であるので、マスキングをすることが困難であるなどの回折格子を形成する過程での問題点は回避される。ただし、ブラッグ波長は、コア領域の実効屈折率及び回折格子の周期で決定されるので、回折格子の周期が一定の場合には、設定可能なブラッグ波長の範囲がコア領域の実効屈折率で決定される。そのため、ブラッグ波長の範囲が制限されていた。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、異なる周期の複数の回折格子を光導波路に容易に形成することができる位相格子マスク、その位相格子マスクを用いた回折格子の形成方法、その形成方法を用いて作製された回折格子素子、その回折格子素子を含む合分波モジュールと外部共振器型レーザモジュール、並びにそれら合分波モジュール及び外部共振器型レーザモジュールのうちの双方又は一方を含む波長分割多重伝送システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る位相格子マスクは、透明平板の一方の面に異なる周期を有する複数の位相格子が並設されていることを特徴とする。
【0013】
このような構成により、光導波路に屈折率変化を誘起せしめる屈折率変化誘起光を上記位相格子マスクを介して並列された複数の光導波路に照射することで、それらの光導波路に異なる周期を有する複数の回折格子を一度に形成することができる。
【0014】
上記本発明に係る位相格子マスクにおいては、複数の位相格子が夫々所定の周期で配列された複数の格子溝から形成され、複数の位相格子のうちの任意の位相格子の格子溝の配列方向に延びる該位相格子の中心線と、該位相格子の隣の位相格子の縁との距離が50μm以上であることが好適である。
【0015】
このような構成では、複数の光導波路に回折格子を形成する場合に、隣り合う光導波路のうちの一方に回折格子を形成すべき位相格子の縁からの回折光が、他方の光導波路に与える影響を低減することができる。
【0016】
また、本発明は、上記本発明に係る位相格子マスクを用いた回折格子の形成方法にも係る。即ち、本発明に係る回折格子の形成方法は、透明平板の一方の面に異なる周期の複数の位相格子が並設されている位相格子マスクを用意する第1の工程と、並列された複数の光導波路を用意する第2の工程と、位相格子マスクの複数の位相格子が並設されている面が複数の光導波路と対向するように位相格子マスクを配置する第3の工程と、複数の光導波路に屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光を、位相格子マスクを介して複数の光導波路に照射して、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成する第4の工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
このような回折格子の形成方法によれば、複数の光導波路に上記位相格子マスクを介して屈折率変化誘起光を一度照射することで、それらの光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成することが可能である。そのため、例えば、屈折率変化を増大させるために水素を複数の光導波路に含浸していても、その水素が抜ける前に複数の光導波路に確実に回折格子を形成できる。また、複数の光導波路に一度に回折格子を形成するので、光導波路にマスキングをする必要がない。そのため、マスキングをすることの困難性から制限されていた光導波路同士の光軸間の距離が制限されない。従って、従来よりも隣り合う光導波路の光軸間の距離を狭くすることが可能である。
【0018】
なお、光導波路としては、SiO2を主成分として形成されているものとすれば良い。
【0019】
更に、複数の光導波路が1つの基板上に形成された平面型光導波路であるとしても良い。
【0020】
更にまた、本発明に係る回折格子素子は、上述した本発明に係る回折格子の形成方法により複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この場合、回折格子素子は、本発明に係る回折格子の形成方法で形成されるので、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を一度に形成することができる。従って、回折格子素子を容易に作製することができる。また、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成する際に、マスキングを必要としないので隣り合う光導波路の光軸間を従来よりも狭くすることができる。従って、回折格子素子を従来よりも小型にすることが可能である。
【0022】
また、本発明に係る合分波モジュールは、上述した本発明に係る回折格子素子を備え、回折格子素子で、その回折格子における反射帯域内の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする。
【0023】
このように、合分波モジュールは、本発明に係る回折格子素子を用いて構成されているので簡易に作製することができる。更に、隣り合う光導波路の光軸間の間隔を従来よりも狭くすることができるので、従来より小型の合分波モジュールとすることが可能である。
【0024】
また、本発明に係る外部共振器型レーザモジュールは、後端面を有する複数の半導体光増幅デバイスと、複数の半導体光増幅デバイスから夫々発せられた光が複数の光導波路を夫々伝搬するように配置された上記本発明に係る回折格子素子と、回折格子素子の複数の光導波路に夫々形成されている回折格子と複数の半導体光増幅デバイスが有する後端面とで共振器が夫々構成され、それらの共振器と複数の半導体光増幅デバイスとによりレーザ発振され、複数の光導波路に夫々形成されている回折格子を透過して出力された光を合波して出力する合波器とを備えることを特徴とする。
【0025】
この外部共振器型レーザモジュールは、上述した本発明に係る回折格子素子が用いられているので、隣り合う光導波路の光軸間の距離を従来よりも狭くすることが可能である。そのため、従来より小型の外部共振器型レーザモジュールとすることができる。
【0026】
更に、本発明に係る波長分割多重伝送システムは、波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムであって、上記本発明に係る合分波モジュールを備え、合分波モジュールにより多波長の光を合波または分波することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る波長分割多重伝送システムは、波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムであって、上述した本発明に係る外部共振器型レーザモジュールを備え、外部共振器型レーザモジュールが多波長の光を出力することを特徴とする。
【0028】
これらの波長分割多重伝送システムは、上述した本発明に係る外部共振器型レーザモジュール及び上述した本発明に係る合分波モジュールの双方又は一方を用いて構成されるので、外部共振器型レーザモジュールや合分波モジュールを含む送信器や中継器を小型化することが可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、図面と共に本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は、説明のものとは必ずしも一致していない。
【0030】
図1は、本発明に係る位相格子マスクの一実施形態の構成を概略的に示す平面図である。
【0031】
本実施形態の位相格子マスク10は、複数の光導波路に異なる周期の回折格子を形成する際に用いられる。位相格子マスク10は、石英ガラスからなる透明平板11の1つの面11a上に、異なる周期を有する複数の位相格子、即ち、第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている。このような第1〜第8の位相格子12a〜12hは、夫々の所定の周期で配列された複数の格子溝120から構成されている。なお、格子溝120は、電子ビーム露光技術により好適に形成される。ここで、第1〜第8の位相格子12a〜12hの夫々の所定の周期は、形成すべき回折格子の反射特性に応じて設定すれば良いが、例えば、図1の位相格子マスク10では、表1のように設定している。
【0032】
【表1】
【0033】
第1〜第8の位相格子12a〜12hの配置について説明する。第1〜第8の位相格子12a〜12hは図1から理解されるように並列されている。隣り合う位相格子の中心線間の距離、例えば、第1の位相格子12aの中心線α1と第2の位相格子12bの中心線α2との距離である位相格子の間隔w1は、回折格子を形成すべき複数の光導波路のうちの隣り合う光導波路の光軸間の距離に対応させれば良い。
【0034】
また、第1〜第8の位相格子12a〜12hの幅は、同一でも異なっていても良い。ただし、第1〜第8の位相格子12a〜12hのうちから任意に選ばれた位相格子を形成している格子溝120の配列方向に延びるその位相格子の中心線と、その位相格子の隣の位相格子の縁との距離が、約50μm以上離れていることが好適である。例えば、任意に選ばれた位相格子を第1の位相格子12aとする場合、第1の位相格子12aの中心線α1と、その第1の位相格子12aの隣の第2の位相格子12bの縁(即ち第2の位相格子12bを形成している格子溝120の端をつなぐ線β1)との最短距離tが、約50μm以上離れていることが好適である。
【0035】
これは、図2に示すように位相格子の縁であるいわゆるエッジからの回折波の振幅分布が、そのエッジから水平方向に50μm以上離れたところでほぼ0になるからである。なお、図2は、位相格子に屈折率変化誘起光である紫外光を照射し、その位相格子から紫外光の入射方向に300μm離れたコア領域での回折波の振幅分布の計算結果を示したものである。図2において、縦軸は入射波の振幅で規格化された回折波の振幅を示し、横軸は位相格子のエッジからの水平方向距離を示している。また、第1の位相格子12aと第2の位相格子12bとの間隔w1が250μm以下であることが好適である。
【0036】
なお、図1では、隣り合う位相格子の間隔w1は何れも250μmとし、位相格子の幅である格子溝120の幅は何れも250μmとしている。
【0037】
また、図1の位相格子マスク10には、第1の位相格子12a、第3の位相格子12c、第5の位相格子12e及び第7の位相格子12gの左側であって、夫々の位相格子12a,12c,12e,12gの中心線上に目盛り線13a〜13dが形成されている。更に、第1の位相格子12a及び第8の位相格子12hの右側であって、夫々の位相格子の中心線上に目盛り線13e,13fが形成されている。これらの目盛り線13a〜13fは、位相格子マスク10を用いて複数の光導波路に回折格子を形成する場合に、位相格子マスク10と複数の光導波路との位置関係を調整するために用いられる。
【0038】
次に、本発明に係る回折格子素子の第1の実施形態について説明する。
【0039】
図3に、本実施形態に係る回折格子素子20の平面図を示す。また、図4は、図3におけるIV−IV線に沿う平面において切断したときの断面図である。
【0040】
回折格子素子20は、基板21と、複数の平面型光導波路(以下、単に「光導波路」という)22a〜22hと、複数の回折格子23a〜23hとから構成されている。
【0041】
光導波路22a〜22h夫々は、基板21の上方に設けられたいわゆるコア領域に相当し、それらの周りにはクラッド領域24が設けられている。光導波路22a〜22h及びクラッド領域24の主成分は石英ガラス(SiO2)である。ただし、光導波路22a〜22hの石英ガラス中にゲルマニウムを添加して、光導波路22a〜22hの屈折率をクラッド領域24の屈折率よりも大きくしている。そのため、回折格子素子20の一方の端である入射端20a側から光導波路22a〜22hに夫々入射された光は、光導波路22a〜22h内に光が閉じ込められ、回折格子素子20の長手方向に伝搬する。光導波路22a〜22hに相当するコア領域とクラッド領域24との比屈折率差は、種々設定することが可能であるが、本実施形態では1.5%としている。また、光導波路22a〜22hには、回折格子23a〜23hを形成するための屈折率変化を増加させるために水素が含浸されている。
【0042】
光導波路22a〜22hにおいて、光導波路同士の間隔、即ち、隣り合う光導波路の光軸の間隔w2は、特に限定する必要はなく、50μm〜500μmの範囲で設定することも可能である。図3の回折格子素子20の光導波路22a〜22hでは、何れも250μmとしている。また、光導波路22a〜22hの長手方向に直交する断面のサイズも種々設定することが可能であるが、図3では何れも4.5μm×4.5μmとしている。なお、断面のサイズは、回折格子素子20の長手方向に沿って均一なものとする。
【0043】
上記光導波路22a〜22hには夫々図1の位相格子マスク10における第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期の1/2の周期を有する回折格子23a〜23hが夫々形成されている。
【0044】
このように光導波路22a〜22hには夫々異なる周期を有する回折格子23a〜23hが形成されているので、各回折格子23a〜23hのブラッグ波長に相当する光は回折格子23a〜23hで夫々反射される。なお、ブラッグ波長は、回折格子が形成されている光導波路の実効屈折率と回折格子の周期とに依存するが、本実施形態では光導波路22a〜22hの組成及びサイズは同一であり光導波路22a〜22hの実効屈折率は等しいので、回折格子23a〜23hのブラッグ波長の違いは各回折格子23a〜23hの周期によるものである。
【0045】
ここで、上記回折格子素子20を作製する方法について説明する。図5は、回折格子素子20を作製する方法を示す工程図である。
【0046】
まず、回折格子23a〜23hが形成されていない光導波路22a〜22hを用意する。
【0047】
次に、上記光導波路22a〜22hを高圧水素処理し、光導波路22a〜22hに水素を含浸させる。
【0048】
続いて、図5に示すように図1の位相格子マスク10を、その位相格子マスク10の面11aがクラッド領域24の上面と対向するように配置する。この際、目盛り線13eと光導波路22aとを一致させ、目盛り線13fと光導波路22hとを一致させて位相格子マスク10を配置する。
【0049】
次に、位相格子マスク10を介して屈折率変化誘起光である紫外光30を光導波路22a〜22hに照射する。照射時間は例えば10分間とすれば良い。
【0050】
この紫外光30の照射により、光導波路22a〜22hに光誘起屈折率変化が生じて回折格子23a〜23hが夫々形成される。光源は、例えば、波長248nmの紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源を用いる。また、そのKrFエキシマレーザのビームサイズは、位相格子マスク10における第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている領域の大きさなどに応じて変更すれば良いが、図1の位相格子マスク10を使用する場合には、例えば、光導波路22a〜22hの長手方向を2mmとし、光導波路22a〜22hの長手方向に直交する方向を2.5mmとする。
【0051】
続いて、回折格子23a〜23hが形成された光導波路22a〜22hを所定の温度(例えば、115℃)で所定の時間(例えば、12時間)アニールをして図3に示す回折格子素子20が作製される。
【0052】
図6に、図3の回折格子素子20の透過特性を示す。図6において実線I〜VIIIは、夫々光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a〜23hの透過スペクトルである。図6において、縦軸は回折格子の透過率を示し、横軸は波長を示す。
【0053】
図6から理解されるように、光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a〜23hの透過スペクトルでは、夫々特定の波長において透過率が減少している。上述したように光導波路22a〜22hの組成及びサイズは同一であり光導波路22a〜22hに形成された回折格子23a〜23hの周期のみが異なる。そのため、特定の波長における透過率の減少は、回折格子23a〜23hによるもの、即ち、各回折格子23a〜23hでのブラッグ反射によるものと理解される。従って、位相格子マスク10を用いることで光導波路22a〜22hに夫々異なる周期の回折格子23a〜23hが確実に形成されていることが理解できる。
【0054】
位相格子マスク10は、異なる周期の第1〜第8の位相格子12a〜12hが透明平板11の面11aに並設されているので、その位相格子マスク10を介して回折格子23a〜23hに紫外光30を一度照射するだけで夫々異なる周期の回折格子23a〜23hを光導波路22a〜22hに形成することができる。そのため、回折格子素子20を形成する工程において、上述したように屈折率変化を増大させるために水素を含浸させていても、水素が抜ける前に全ての回折格子23a〜23hを確実に形成することができる。
【0055】
上述したようにブラッグ波長は、回折格子が形成されている光導波路の実効屈折率とその回折格子の周期とに依存している。ところで、光導波路の実効屈折率は、光導波路の長手方向に直交する断面のサイズを変えることなどにより調整可能である。そして、上述したように位相格子マスク10を用いて異なる周期の回折格子を複数の光導波路に形成することができるので、例えば、同一周期の回折格子しか形成できない場合に比べて、ブラッグ波長の設定可能範囲を広げることが可能である。
【0056】
また、第1〜第8の位相格子12a〜12hは、隣り合う位相格子のうちの一方の位相格子の縁が他方の位相格子の中心線から50μm以上離れているように形成されている。このため、光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを夫々形成する場合に、例えば、第1の位相格子12aで回折格子23aを形成すべき光導波路22aに、第2の位相格子12bからの回折光による回折格子23bが形成されることがない。そのため、光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを形成する場合にマスキングをする必要がない。従って、光導波路22a〜22hのうちの隣り合う光導波路の間隔を従来よりも狭く、例えば、50μmとすることも可能である。これにより、従来と同様の機能をより小型の素子で実現することができる。
【0057】
更に、位相格子マスク10に目盛り線13a〜13fを形成しているので光導波路22a〜22hに回折格子23a〜23hを形成する場合の位置合わせが容易である。
【0058】
次に、本発明に係る回折格子素子の第2の実施形態について説明する。本実施形態における回折格子素子40の平面図を図7に示す。
【0059】
本実施形態の回折格子素子40の構成は、以下の点で図3の回折格子素子20と相違する以外は、図3の回折格子素子20の構成と同じである。
【0060】
即ち、図7の回折格子素子40は、光導波路が4つである点、即ち光導波路22a〜22dが形成されている点、隣り合う光導波路の間隔w2が500μmである点、光導波路22a〜22dにおける長手方向に直交する断面のサイズが7.5μm×7.5μmである点、光導波路22a〜22dに相当するコア領域とクラッド領域24との比屈折率差が0.45%である点及び光導波路22a〜22dに夫々回折格子23a,23c,23e,23fが形成されている点で、図3の回折格子素子20と相違する。
【0061】
上記回折格子素子40を作製する方法は、図1の第1の位相格子12aと第7の位相格子12gの左側にある目盛り線13a,13dを、図7の光導波路22aと光導波路22dとに夫々あわせる点以外は、上記図3の回折格子素子20を作製する方法と同様である。
【0062】
図8に図7の回折格子素子40の透過特性を示す。図8において実線i〜ivは、夫々光導波路22a〜22hを伝搬する光に対する回折格子23a,23c,23e,23fの透過スペクトルである。図8の縦軸及び横軸は、図6の縦軸及び横軸と同様である。
【0063】
図8から回折格子素子40の光導波路22a〜22dに夫々異なる周期、即ち、異なるブラッグ波長を有する回折格子23a,23c,23e,23fが形成されていることが理解できる。
【0064】
このように位相格子マスク10に第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されていても4つの光導波路22a〜22dに回折格子23a,23c,23e,23fが形成できるのは次の理由による。即ち、第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている位相格子マスク10を介して屈折率変化誘起光である紫外光30がクラッド領域24の上面に照射された場合、ゲルマニウムが添加された光導波路22a〜22dでのみ屈折率変化が生じるので、光導波路22a〜22dにのみ回折格子23a,23c,23e,23fが形成される。
【0065】
以上から理解できるように、位相格子マスク10に第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成されている場合でも、回折格子を形成すべき光導波路の本数及び隣り合う光導波路同士の間隔を適宜調整することで、第1〜第8の位相格子12a〜12hから所望の周期を有する位相格子を選択してその位相格子の周期の1/2の周期を有する回折格子を光導波路に形成することが可能である。
【0066】
続いて、回折格子素子の第3の実施形態について説明する。
【0067】
図9に本実施形態における回折格子素子50の平面図を示す。また、図10に回折格子素子50を作製するために使用する位相格子マスク60の模式図を示す。本実施形態の位相格子マスク60は、図1の位相格子マスク10と、第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期を表2のようにした点で相違する。
【0068】
【表2】
【0069】
図9の回折格子素子50は、4つの光導波路22a〜22dが形成されている点、光導波路22a〜22dのうちの隣り合う光導波路同士の間隔が500μmである点、光導波路22a〜22dに図10の第1の位相格子12a、第3の位相格子12c、第5の位相格子12e及び第7の位相格子12fの周期の1/2の周期を有する回折格子23a,23c,23e,23fが夫々形成されている点以外は、第1の実施形態の回折格子素子20と同様である。
【0070】
なお、回折格子素子50を作製する方法は、位相格子マスクとして図2の位相格子マスク60を使用する点が相違する以外は、第2の実施形態の場合と同様である。
【0071】
図11に図9の回折格子素子50の透過特性を示す。図11において、実線(i)〜(iv)は、光導波路22a〜22dを夫々伝搬する光に対する回折格子23a,23c,23e,23fの透過スペクトルである。図11の縦軸及び横軸は図6の縦軸及び横軸と同様である。
【0072】
図11から、図6の場合と同様の考察により光導波路22a〜22dに夫々異なる周期の回折格子23a,23c,23e,23fが形成されていることが理解される。
【0073】
第1の実施形態では、第1〜第8の位相格子12a〜12hの周期は表1に示すように第1〜第8の位相格子12a〜12hの順にほぼ同じ割合で増加している。これに対して、本実施形態の位相格子マスク60における第1〜第8の位相格子12a〜12hの場合には、表2に示すように周期の配列は任意である。このような任意の順番で配列された第1〜第8の位相格子12a〜12hが形成された位相格子マスク60を用いても光導波路22a〜22dに回折格子23a,23c,23e,23fを確実に形成することができる。
【0074】
次に、本発明に係る外部共振器型レーザモジュールの実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70の構成の模式図である。本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70は、上述した回折格子素子60と、4個の半導体光増幅デバイス71〜74と、合波部75とを備えている。なお、これらは同一基板21上に一体として形成されているものである。
【0075】
半導体光増幅デバイス71〜74は、回折格子素子60の入射端20a側に設けられた溝76内であって基板21の上面に設けられている。まず、半導体光増幅デバイス71について説明する。半導体光増幅デバイス71の光出射面71aには非反射コート(ARコート)が施されており、この光出射面71aと対向する光反射面(後端面)71bには反射コートが施されている。この半導体光増幅デバイス71は、その光出射面71aが入射端20aにおける光導波路22aの端面と対面するように基板21上に位置し、半導体光増幅デバイス71から発せられた光が光導波路22aに入射し伝搬するように配置されている。なお、本実施形態に係る外部共振器型レーザモジュール70では、半導体光増幅デバイス71の光反射面71bと、回折格子素子60の光導波路22aに形成されている回折格子23aとにより、共振器が構成されている。なお、半導体光増幅デバイス71の光反射面71bの後方、即ち、光出射面71aと反対側には、光反射面71bから出射される光を受光するフォトダイオード(不図示)が配置される。半導体光増幅デバイス71の光反射面71bから出射される光を受光することで半導体光増幅デバイス71の光の強度を把握し、調整するためである。
【0076】
半導体光増幅デバイス72〜74に関しても、半導体光増幅デバイス71と同様の構成とする。また、半導体光増幅デバイス72〜74と回折格子素子60との位置関係は、半導体光増幅デバイス72〜74から発せられた光が、回折格子素子60の光導波路22b〜22dに夫々入射し伝搬するようにされている点以外は、上記半導体光増幅デバイス71と回折格子素子60との位置関係と同様である。従って、半導体光増幅デバイス72〜74の夫々の光反射面72b,73b,74bは、回折格子23c,23e,23gと夫々共振器を形成する。また、半導体光増幅デバイス72〜74から出力される光の強度を調整するためにフォトダイオードが配置されていることは半導体光増幅デバイス71の場合と同様である。
【0077】
合波部75は、回折光学素子60の出射端20b側に連続して設けられている。合波部75は、合波回路750と、合波回路750に入力すべき4つの光を伝搬させる入力導波路751〜754と、合波回路750で合波された光を伝搬させる出力導波路755とから構成される。
【0078】
入力導波路751〜754は、回折格子素子60の光導波路22a〜22dと夫々光学的に結合されており、これら光導波路22a〜22d内を伝搬する光を合波回路750に入力する。
【0079】
合波回路750は、入力導波路751〜754内を伝搬してきた光を合波し、出力導波路755に出力する。
【0080】
上記外部共振器型レーザモジュール70の動作について説明する。
【0081】
半導体光増幅デバイス71〜74を駆動すると、各半導体光増幅デバイス71〜74から光が発せられる。半導体光増幅デバイス71〜74から発せられた光は、夫々光導波路22a〜22dに入射される。上述したように半導体光増幅デバイス71〜74の光反射面71b,72b,73b,74bと、回折格子23a,23c,23e,23gとにより夫々共振器が形成されている。従って、半導体光増幅デバイス71〜74とそれらに対応する共振器とにより、回折格子23a,23c,23e,23gの夫々のブラッグ波長、例えば波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4でレーザ発振が起こる。このレーザ発振により回折格子23a,23c,23e,23gを夫々透過した波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光は合波部75の入力導波路751〜754を夫々伝搬して合波回路750に入力される。
【0082】
そして、合波回路750により合波された波長λ1〜λ4の光が出力導波路755に出力され、出力導波路755を伝搬して出射される。
【0083】
上述したように回折格子素子60は、従来よりも容易に形成することができるので、その回折格子素子60を含む外部共振器型レーザモジュール70も容易に形成することが可能である。更に、回折格子素子60は回折格子素子が有すべき機能をより小型の素子として実現することができるので、外部共振器型レーザモジュール70も小型化が可能である。
【0084】
次に、本発明に係る合分波モジュールの実施形態について説明する。図13は、本発明に係る合分波モジュール80の一実施形態を示す模式図である。
【0085】
合分波モジュール80は、3つの平面光導波路型のマッハツェンダ干渉計型光学素子81,82,83を同一基板上に一体に形成したものである。以下、マッハツェンダ干渉計光学素子をMZ干渉計光学素子と称す。
【0086】
MZ干渉計型光学素子81についてその構成を説明する。MZ干渉計型光学素子81は、2つの光導波路810a,810bをMZ干渉計型に形成し、更に2つの光カプラ811a,811b間の光導波路810a,810bに波長λ1の光をブラッグ反射する回折格子812を夫々形成したものである。
【0087】
MZ干渉計型光学素子82及びMZ干渉計型光学素子83もMZ干渉計型光学素子81と同様の構成であり、光カプラ821a,821b間の光導波路820a,820bに波長λ4の光をブラッグ反射する回折格子822が夫々形成されており、光カプラ822a,822b間の光導波路830a,830bに波長λ7の光をブラッグ反射する回折格子832が夫々形成されている。
【0088】
上述したようなMZ干渉計型光学素子81,82,83から成る合分波モジュール80は次のようにして作製される。
【0089】
まず、光導波路810a,810b、光導波路820a,820b及び光導波路830a,830bを夫々MZ干渉計の配置に形成する。
【0090】
次に、光カプラ811a,811b間、光カプラ821a,821b間及び光カプラ832a,832b間に夫々回折格子812,822,832を形成する。その形成方法は、本発明に係る回折格子素子を形成した場合と同様である。即ち、本発明に係る位相格子マスクを用いて一度に形成する。ここで、回折格子812,822,832を形成する際には、図1の位相格子マスク10において、第1の位相格子マスク12aの周期と第2の位相格子マスク12bの周期を同一とし、第4の位相格子マスク12dの周期と第5の位相格子マスク12eの周期を同一とし、第7の位相格子マスク12gの周期と第8の位相格子マスク12hの周期を同一とした位相格子マスクを用いれば良い。
【0091】
このように、回折格子812,822,832は本発明に係る位相格子マスクを用いて形成されているので、各MZ干渉計型光学素子81,82,83のアームに相当する部分を含む領域P(図13の2点鎖線の領域)は、本発明に係る回折格子素子に相当する。即ち、合分波モジュール80は、本発明に係る回折格子素子を含んで構成されたものである。
【0092】
次に、合分波モジュール80の動作について説明する。
【0093】
まず、MZ干渉計型光学素子81の動作について説明する。合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810aに波長λ1〜λ3の光を入射する。この入射された光は光カプラ810aにより分岐される。光カプラ811aと光カプラ811bとの間に形成された回折格子812のブラッグ波長はλ1であるので、上記波長λ1〜λ3の光における波長λ1の光は回折格子812でブラッグ反射され、光カプラ811aを通過して光導波路810bの第1端80a側から出射される。一方、波長λ2,λ3の光は回折格子812を透過するので、光カプラ811bに入力される。ここで、合分波モジュール80の第1端80a側から入射された波長λ1が担っている情報と異なる情報を担う波長λ1の光を合分波モジュール80の第2端80b側から光導波路810aに入射する。この第2端80b側から光導波路810aに入射された波長λ1の光は、回折格子812で反射されるので、光カプラ811bに再度入力される。そして、光カプラ811bにおいて、第2端80b側から光導波路810aに入射された波長λ1の光と、上記波長λ2,λ3の光とが合波されて波長λ1〜λ3の光が第2端80b側の光導波路810bから出射される。
【0094】
MZ干渉計型光学素子82及びMZ干渉計型光学素子83は、MZ干渉計型光学素子81と回折格子822,823で反射するブラッグ波長が異なる点以外は上記MZ干渉計型光学素子81と同様の動作をする。
【0095】
MZ干渉計型光学素子82の動作は、MZ干渉計型光学素子81の動作の説明において、波長λ1〜λ3の光を波長λ4〜λ6の光とした場合に相当し、MZ干渉計型光学素子83の動作は、MZ干渉計型光学素子81の動作の説明において、波長λ1〜λ3の光を波長λ7〜λ9の光とした場合に相当する。
【0096】
このように合分波モジュール80は、波長λ1〜λ3、波長λ4〜λ6及び波長λ7〜λ9の光が合分波モジュール80の第1端80a側から夫々入力された場合に、波長λ1,λ4,λ7の光を分波する機能と、第2端80b側から入力された波長λ1,λ4,λ7の光を第1端80a側から入力された光に合波する機能を有する。即ち、合分波モジュール80は、ADM(Add Drop Multiplexer)として機能する。
【0097】
上述したように、合分波モジュール80は、本発明に係る回折光学素子を含んで構成されているので、合分波モジュール80を簡易に形成することが可能である。更に、隣り合う光導波路の間隔を従来よりも狭くすることができるので、従来よりも小型の合分波モジュールとすることが可能である。
【0098】
なお、本実施形態では、MZ干渉計型光学素子の数は特に限定する必要はない。
【0099】
次に、本発明に係る波長分割多重伝送システムの一実施形態について説明する。図14は、本実施形態に係る波長分割多重伝送システム(以下、単に「光伝送システム」という)1の概略構成図である。この光伝送システム1は、3つの送信局2a,2b,2c、中継局3、及び3つの受信局4a,4b,4cを含んで構成されている。
【0100】
3つの送信局2a,2b,2cは、中継局3と夫々光ファイバ伝送路5a,5b,5cで接続されている。また、中継局3と3つの受信局4a,4b,4cとの間も光ファイバ伝送路6a,6b,6cで接続されている。また中継局3には、更に出力用の光ファイバ伝送路7a,7b,7c及び入力用の光ファイバ伝送路8a,8b,8cが接続されている。
【0101】
また、3つの送信局2a,2b,2cには外部共振器型レーザモジュール70が夫々設けられており、送信局2a,2b,2cから多波長の光が出力される。なお、図14では、送信局2a,2b,2cからは夫々波長λ1〜λ3、波長λ4〜λ6及び波長λ7〜λ9の光が夫々出力されるようになっている。
【0102】
更に、中継局3は、合分波モジュール80が設けられており、光ファイバ伝送路5a,5b,5cを伝搬してくる光が合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810a,820a,830aに夫々入射されるようになっている。また、光導波路810b,820b,830bの第2端80b側から出射された光は、夫々光ファイバ伝送路6a,6b,6cに入射され光ファイバ伝送路6a,6b,6cを伝搬するようになっている。
【0103】
更に、合分波モジュール80の第1端80a側には光導波路810b,820b,830bから出射される光が光ファイバ伝送路7a,7b,7cを伝搬するようになっており、光ファイバ伝送路8a,8b,8cを伝搬してきた光が第2端80b側から光導波路810a,820a,820aに入射されるようになっている。
【0104】
次に、光伝送システム1の動作について説明する。
【0105】
送信局3aの外部共振器型レーザモジュール70により波長λ1〜λ3の光を合波して光ファイバ伝送路3aに入射する。光ファイバ伝送路3aを伝搬する光は、中継局3の合分波モジュール80の第1端80a側から光導波路810aに入射される。そして波長λ1の光は回折格子812により分波され、光導波路810bの第1端80a側から出射されて光ファイバ伝送路7aに入射される。波長λ2,λ3の光は、光導波路810bの第2端80b側から出射されるが、この際、光ファイバ伝送路8aから波長λ1の光が第2端80b側のコア領域810に入射されている場合には、その波長λ1の光が合波された波長λ1〜λ3の光が光ファイバ伝送路6aに入射される。そして、光ファイバ伝送路6aを伝搬する波長λ1〜λ3の光が受信局4aで受信される。
【0106】
送信局3bから波長λ4〜λ6の光が出力された場合も、上記と同様で波長λ4の光は中継局3で光ファイバ伝送路7bに分波されると共に、光ファイバ伝送路8bから入力された波長λ4の光が新たに合波された波長波長λ4〜λ6の光が受信局4bに受信される。送信局3cから波長λ7〜λ9の光が出力された場合も、送信局3aから波長λ1〜λ3の光が出力された場合と同様である。
【0107】
この光伝送システム1は、送信局3a,3b,3cに外部共振器型レーザモジュール70を備え、中継局3に合分波モジュール80を備える。上述したように外部共振器型レーザモジュール70及び合分波モジュール80は、それぞれが本発明に係る回折格子素子を備えていることから従来よりも小型にすることが可能である。従って、送信局3a,3b,3c及び中継局3のスペースを有効利用することが可能である。
【0108】
なお、上記光伝送システム1では、外部共振器型レーザモジュール70及び合分波モジュール80の双方を備えているものとしたが、どちらか一方を備えている光伝送システムとしても良い。
【0109】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、何れの実施形態の説明においても、位相格子マスクにより回折格子を形成すべき光導波路を平面型光導波路としているが、平面型光導波路に限定する必要はなく、並列された光ファイバに回折格子を形成しても良い。
【0110】
また、位相格子マスクには8本の位相格子を並設させているが、特に8本の位相格子に限る必要はなく、位相格子の数は回折格子を形成すべき光導波路の数に応じて設定すれば良い。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る位相格子マスクの一実施形態を示す平面図である。
【図2】位相格子のエッジからの回折光の振幅分布の計算結果を示す図である。
【図3】本発明に係る回折格子素子の第1の実施形態を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IVに沿う平面で切断した場合の断面図である。
【図5】回折格子素子を作製する工程の工程図である。
【図6】図3の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図7】本発明に係る回折格子素子の第2の実施形態を示す平面図である。
【図8】図7の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図9】本発明に係る回折格子素子の第3の実施形態を示す平面図である。
【図10】図9の回折格子素子を作製するために用いられる位相格子マスクの模式図である。
【図11】図9の回折格子素子の透過特性を示す図である。
【図12】本発明に係る外部共振器型レーザモジュールの一実施形態の平面図である。
【図13】本発明に係る合分波モジュールの一実施形態の平面図である。
【図14】本発明に係る波長分割多重伝送システムの一実施形態の模式図である。
【符号の説明】
1…波長分割多重伝送システム、3a〜3c…送信局、4a〜4c…受信局、5a〜5c,6a〜6c,7a〜7c,8a〜8c…光ファイバ伝送路、10…位相格子マスク、12a〜12h…第1〜第8の位相格子、13a〜13f…目盛り線、20…回折格子素子、21…基板、22a〜22h…平面型光導波路、23a〜23h…回折格子、24…クラッド領域、30…紫外光(屈折率変化誘起光)、40…回折格子素子、50…回折格子、60…位相格子マスク、70…外部共振器型レーザモジュール、71〜74…半導体光増幅デバイス、71a,72a,73a,74a…光反射面、71b,72b,73b,74b…光反射面(後端面)、75…合波部、76…溝、80…合分波モジュール、81,82,83…マッハツェンダ干渉計型光学素子、750…合波回路、751〜754…入力導波路、755…出力導波路、811a,b…光カプラ、812a,b…光カプラ、813a,b…光カプラ、812,822,832…回折格子
Claims (10)
- 透明平板の一方の面に異なる周期を有する複数の位相格子が並設されていることを特徴とする位相格子マスク。
- 前記複数の位相格子が夫々所定の周期で配列された複数の格子溝から形成され、前記複数の位相格子のうちの任意の位相格子の前記格子溝の配列方向に延びる該位相格子の中心線と、該位相格子の隣の位相格子の縁との距離が50μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相格子マスク。
- 透明平板の一方の面に異なる周期の複数の位相格子が並設されている位相格子マスクを用意する第1の工程と、
並列された複数の光導波路を用意する第2の工程と、
前記位相格子マスクの前記複数の位相格子が並設されている面が前記複数の光導波路と対向するように前記位相格子マスクを配置する第3の工程と、
前記複数の光導波路に屈折率変化を誘起せしめる波長の屈折率変化誘起光を、前記位相格子マスクを介して前記複数の光導波路に照射して、前記複数の光導波路に夫々異なる周期の回折格子を形成する第4の工程と
を備えることを特徴とする回折格子の形成方法。 - 前記光導波路がSiO2を主成分として形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回折格子の形成方法。
- 前記複数の光導波路が1つの基板上に形成された平面型光導波路であることを特徴とする請求項3に記載の回折格子の形成方法。
- 請求項5に記載の回折格子の形成方法により複数の光導波路に夫々異なる周期の前記回折格子が形成されていることを特徴とする回折格子素子。
- 請求項6に記載の回折格子素子を備え、
前記回折格子素子で、前記回折格子における反射帯域内の光を選択的に反射して、光を合波または分波することを特徴とする合分波モジュール。 - 後端面を有する複数の半導体光増幅デバイスと、
前記複数の半導体光増幅デバイスから夫々発せられた光が前記複数の光導波路を夫々伝搬するように配置された請求項6に記載の回折格子素子と、
前記回折格子素子の前記複数の光導波路に夫々形成されている前記回折格子と前記複数の半導体光増幅デバイスが有する前記後端面とで共振器が夫々構成され、それらの共振器と前記複数の半導体光増幅デバイスとによりレーザ発振され、前記複数の光導波路に夫々形成されている前記回折格子を透過して出力された光を合波して出力する合波器と
を備えることを特徴とする外部共振器型レーザモジュール。 - 波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムにおいて、
請求項7に記載の合分波モジュールを備え、
前記合分波モジュールにより前記多波長の光を合波または分波することを特徴とする波長分割多重伝送システム。 - 波長多重した多波長の光を用いて光伝送を行う波長分割多重伝送システムにおいて、
請求項8に記載の外部共振器型レーザモジュールを備え、
前記外部共振器型レーザモジュールが前記多波長の光を出力することを特徴とする波長分割多重伝送システム。
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