JP2004219384A - ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できるガスセンサを提供する。
【解決手段】酸素センサ2においては、リードフレーム10のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する波状部分16に、白金(Pt)からなるめっき層21が形成されている。なお、白金は、高温環境下において、酸化し難いことから耐酸化性に優れ、電気的な接触抵抗値が小さいという特性を有しているため、めっき層21と電極部30,32,34,36との間の電気的な接触抵抗値の増加を抑制できる。これにより、リードフレーム10と検出素子4との接触抵抗値が増大するのを抑制できるため、酸素センサ2から出力される検出信号の信号レベル低下を抑制でき、酸素検出精度の低下を防止できる。
【選択図】 図3
【解決手段】酸素センサ2においては、リードフレーム10のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する波状部分16に、白金(Pt)からなるめっき層21が形成されている。なお、白金は、高温環境下において、酸化し難いことから耐酸化性に優れ、電気的な接触抵抗値が小さいという特性を有しているため、めっき層21と電極部30,32,34,36との間の電気的な接触抵抗値の増加を抑制できる。これにより、リードフレーム10と検出素子4との接触抵抗値が増大するのを抑制できるため、酸素センサ2から出力される検出信号の信号レベル低下を抑制でき、酸素検出精度の低下を防止できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、素子電極部に電気的に接続される金属端子とを備えるガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、素子電極部に電気的に接続される金属端子とを備えるガスセンサが知られており、金属端子は、検出信号をガスセンサの外部に伝達する信号経路の一部を構成する。
【0003】
なお、金属端子と素子電極部との接続構造としては、例えば、ロー材を用いてロー付け接合などによる接続構造を用いることができ、これにより、金属端子と素子電極部とを電気的に接続することができる。しかし、この接続構造を用いたガスセンサは、高温環境下で用いると熱伝導によりロー材が溶融する場合があり、金属端子と素子電極部との電気的接続が不良となる虞がある。
【0004】
これに対して、金属端子が検出素子に対して押圧する状態で、金属端子を検出素子に当接すると共に、金属端子を素子電極部に電気的に接続する接続構造を用いるガスセンサが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0005】
このような接続構造を用いるガスセンサは、ロー材を使用しないことから、ロー材の溶融に伴う信号経路の断線が生じないため、高温環境下での使用が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−71624号公報(図1)
【特許文献2】
特開2002−168822号公報(図1)
【特許文献3】
特開2002−168823号公報(図1)
【特許文献4】
特開2002−168824号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献に記載の接続構造を用いるガスセンサは、高温環境下での使用による断線は防止できるが、高温環境下での長時間の使用に伴い、信号経路の線路抵抗値が増加するという問題が生じる虞がある。
【0008】
つまり、高温環境下での使用時には、金属端子が酸化しやすくなるため、金属端子の表面に酸化膜が形成されて、素子電極部と金属端子との間における電気的な接触抵抗値が増大するものと考えられる。このように、電気的接触抵抗値が増大すると、信号経路における線路抵抗値が上昇することになり、ガスセンサから外部に出力される検出信号が、線路抵抗値の影響を受けて変動することになる。
【0009】
こうした検出信号の変動が発生すると、検出対象ガスの検出精度が悪化することになり、特に、検出信号が微小な電流値である場合には、線路抵抗値の増大により、信号レベルが大幅に低下してしまい、検出対象ガスを検出できなくなることも考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できるガスセンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、検出対象ガスの状態量に応じた検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、検出素子に対して押圧する状態で検出素子に当接すると共に、素子電極部に電気的に接続されて、検出信号を外部に伝達する信号経路の一部を形成する金属端子と、を備えるガスセンサであって、金属端子は、少なくとも素子電極部に当接する部分に電極接触層を備え、電極接触層は、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されていることを特徴とする。
【0012】
つまり、このガスセンサでは、金属端子のうち少なくとも素子電極部に当接する部分に、金属端子よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料より低い材料で形成された電極接触層を備えており、金属端子のうち少なくとも素子電極部に当接する部分は、高温環境下での使用であっても、酸化膜が形成されにくく、また、接触抵抗値が増大し難くなる。これにより、高温環境下での使用時においても、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制することができ、検出信号の変動を抑制できる。また、検出信号が微少な電流であっても、信号レベルの低下を抑制できることから、検出対象ガスが検出不可能となるのを避けることができる。
【0013】
なお、電極接触層が、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料より低い材料であるというのは、素子電極部と金属端子とを当接させた場合と、素子電極部と電極接触層とを当接した場合とを、同じ大きさの接触面積で比較したときの抵抗値が低い材料ということである。
【0014】
よって、本発明のガスセンサによれば、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できることから、検出対象ガスを精度良く検出することが可能となる。
【0015】
なお、検出対象ガスを検出するガスセンサとしては、例えば、有底状の筒型の検出素子や板型の検出素子などの検出素子を備えて構成されるものがある。筒型の検出素子を備えるガスセンサは、筒の内壁および外壁に金属端子が検出素子に対して押圧する状態で金属端子が検出素子に当接している構造となる。しかし、一般に検出素子のほうが金属端子の材料よりも熱膨張係数が小さいため、高温環境下で長時間そのセンサを使用した場合、高温による外壁の金属端子の膨張に伴い、検出素子と外壁の金属端子との電気的接続が不良となる虞がある。これに対して、板型の検出素子を備えるガスセンサは、金属端子を検出素子の外壁に押圧する状態で金属端子を検出素子に当接させ、さらに、その外周から検出素子よりも熱膨張係数がそれ以下の材料からなる絶縁ホルダにより金属端子を検出素子にさらに押圧する構造とする。いわゆる、検出素子と絶縁ホルダとにより金属端子を挟持させる構造とすることで、高温環境下で長時間にわたり、そのガスセンサを使用した場合でも、絶縁ホルダにより金属端子が膨張するのが抑制され、検出素子と金属端子との電気的接続を十分に維持することができる。
【0016】
しかし、このような板型の検出素子を備えるガスセンサであっても、高温環境下での使用時には、金属端子が酸化しやすくなるため、検出素子の素子電極部と金属端子との間における電気的な接触抵抗値が増大する虞がある。そこで、金属端子と検出素子の素子電極部との当接する部分に、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されている電極接触層を設けることで、素子電極部と金属端子との間における電気接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
【0017】
また、板型の検出素子には、その検出素子を活性化させるためのヒータが積層されて構成されるものがある。そのようなヒータを有する検出素子を備えるガスセンサは、金属端子として、検出素子からの検出信号をガスセンサの外部に伝達する信号経路の一部を形成する金属端子と、ヒータへの電力供給を行うための電流経路の一部を形成する金属端子とを備えることになる。このようなガスセンサにおいても同様に、金属端子とヒータとの間における電気的な接触抵抗値が増大するという問題が生じる虞があり、金属端子の当接部分における発熱や、ヒータの性能低下などが問題となる場合がある。つまり、電流経路には信号経路よりも大きい電流が流れることから、金属端子の当接部分における接触抵抗値が同一値であっても、電流経路を形成する金属端子は、信号経路を形成する金属端子に比べて、発熱しやすいという問題がある。また、金属端子の当接部分における接触抵抗値が大きくなると、当接部分の接触抵抗で消費される電力損失が増大するため、外部電源から供給される電力量が同一値である場合には、当接部分の接触抵抗値が大きいヒータに対して有効に供給される電力量が減少することになり、ヒータの性能(発熱量)を低下させることになる。あるいは、金属端子の当接部分おいて消費される電力損失が増大した場合、ヒータに対する供給電力量を充分に確保するために、より大きな電流を通電する必要が生じ、無駄に電力が消費されることになる。
【0018】
これに対して、金属端子とヒータとの当接する部分に、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、ヒータとの電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されている電極接触層を設けることで、ヒータの性能の低下を抑制でき、無駄な電力消費を抑えることができ、金属端子とヒータとの当接部分における発熱を抑制することができる。
【0019】
なお、金属端子の全体を、耐酸化性に優れ、素子電極部との間における電気的接触抵抗値が低い導電性材料で形成することで、高温環境下でも検出精度を抑制できるガスセンサを実現することも可能である。
ところで、耐酸化性に優れ、素子電極部との間における電気的接触抵抗値が低い導電性材料は、一般的には高価であることから、コスト低減も目的とする場合には、金属端子のうち、検出素子の素子電極部に当接する部分に限定して、そのような高価な導電性材料からなる電極接触層を形成するとよい。このように金属端子を構成することで、高温環境下での使用時に、素子電極部と金属端子との間の電気的接触抵抗値が増大し難く、検出精度を抑制できるガスセンサを安価に実現することができる。
【0020】
ところで、一般にガスセンサの金属端子は、高温環境下での使用時においても、検出素子に対して押圧する状態で検出素子に当接することができるように、Ni基合金材料(インコネルなど)やステンレス鋼などを主体に構成されている。そこで、電極接触層は、例えば、請求項2に記載のように、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)のいずれかで形成されているとよい。
【0021】
これらの材料(白金、金、ニッケル)は、金属端子として一般に用いられる材料よりも耐酸化性に優れると共に、接触抵抗値が低いという特性を有することから、これらの材料で電極接触層を形成することで、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制可能なガスセンサを実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用した実施例であるガスセンサを図面と共に説明する。なお、本実施例では、ガスセンサのうち、内燃機関の排気管等に装着されて排気ガス中の酸素を検出する酸素センサについて説明する。図1は、本実施例の酸素センサ2の全体構成を示す断面図である。
【0023】
酸素センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、主体金具102の筒内に挿入される長板状の検出素子4と、検出素子4を保持するために主体金具102の筒内下方から積層されるセラミックホルダ106、タルク粉末108および後述のセラミックスリーブ6と、検出素子4にて検出された電気信号(即ち、酸素濃淡電池起電力)を取り出すため等に用いる後述の複数(本実施例では4本)の長尺状のリードフレーム10とを備えている。
【0024】
この内、検出素子4は、長方形状の軸断面を有し、図2(a)に示すように、それぞれ長板状に形成された酸素濃淡電池素子20と、酸素濃淡電池素子20を活性化させるためのヒータ22とが積層されて形成されている。尚、酸素濃淡電池素子20は、例えば、ジルコニア等を主体とする酸素イオン伝導性固体電解質体により形成されている。また、ヒータ22は、例えば、導電性セラミックからなる抵抗発熱体パターン24をセラミック基体中に埋設した公知のセラミックヒータから形成されている。
【0025】
なお、図2(a)は、検出素子4を、酸素濃淡電池素子20とヒータ22とに分割して表した分解斜視図であり、図2(b)は、検出素子4のうち後述する検出部5における断面図であり、図2(b)では、検出素子4の長手方向(図2(a)における左右方向)に垂直な面における断面図を表している。また、図2(c)は、検出素子4の酸素濃淡電池素子20のうち後述する電極部32における断面図であり、図2(d)は、検出素子4のヒータ22のうち後述する電極部34、36における断面図であり、図2(c)および(d)では、検出素子4における酸素濃淡電池素子20とヒータ22との積層面に垂直で、かつ検出素子4の長手方向に平行な面における断面図を表している。
【0026】
そして、酸素濃淡電池素子20の長手方向の先端側(図2(a)における左方)には、両面に多孔質電極26,28が形成され、これら電極26,28とそれらの間に挟まれる固体電解質部分とが検出素子4の検出部5を構成する。
また、多孔質電極26,28からは、酸素濃淡電池素子20の長手方向に沿って酸素センサ2の後端側(図2(a)における右方)に向けて延びる電極リード部27,29が一体形成されている。この内、ヒータ22と対向しない側の電極26からの電極リード部27は、その末端が電極部30として用いられる。一方、ヒータ22に対向する側の電極28の電極リード部29は、図2(c)に示すように、酸素濃淡電池素子20を厚さ方向(図2(c)における上下方向)に横切るビア33により、反対側の素子面に形成された電極部32と接続され、各電極部30,32は、酸素濃淡電池素子20の板面末端に間隔を空けて配置されている。
【0027】
一方、ヒータ22には、抵抗発熱体パターン24に導通するための二本のリード部25が形成され、図2(d)に示すように、ヒータ22の酸素濃淡電池素子20と対向しない側(図2(d)における上側)の板面末端に形成された電極部34,36に、それぞれビア38を介して接続されている。そして、図2(b)に示すように、酸素濃淡電池素子20とヒータ22とは、セラミック(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)層40を介して互いに接合される。
【0028】
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部5が、排気管に固定される主体金具102の先端より突出した状態で、この主体金具102内に固定される。そして、検出素子4は、検出部5で検出した酸素(検出対象ガス)の状態量に応じた検出信号としての電気信号(即ち、酸素濃淡電池起電力)を、電極部30、32から外部に出力する。
【0029】
一方、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有し、金属製の二重のプロテクタ43,45が溶接等によって取り付けられている。そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が溶接等により固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、検出素子4にて生じた酸素濃淡電池起電力を外部に取り出すためのリード線46が挿通されるリード線挿通孔が形成されたセラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。
【0030】
さて、検出素子4は、主体金具102の筒内下方より配置されるセラミックホルダ106、タルク粉末108、セラミックスリーブ6と、セラミックスリーブ6との間に配置されるリードフレーム10とを介して主体金具102に固定され、しかも、検出素子4の電極部(電極部30,32,34,36)が形成された側の端部側の周囲が、セラミックスリーブ6に覆われた状態で固定される。
【0031】
この内、セラミックホルダ106およびセラミックスリーブ6は、外観が略円筒状を呈し、検出素子4の断面形状に沿った略長方形状の挿通孔が中心軸に沿って穿設されており、検出素子4は挿通孔を介して保持される。
側面から見たときのセラミックスリーブ6の破砕断面図を図4(a)に示すとともに、図4(a)に記したA方向(即ち、下端から上端に向かう方向)からセラミックスリーブ6を見た底面図(拡大した底面図)を図4(b)に示す。なお、図4(a)においては、セラミックスリーブ6の内部構造を表すために、右半分を図4(b)中のB−B断面部分に相当する断面図として表している。
【0032】
セラミックスリーブ6は、図4(a)および図4(b)に示すように、上部中央が上方に突出することにより突出部52が形成され、中心軸に沿って挿通孔54が形成されている。
セラミックスリーブ6の突出部52における周囲の端面上には、図1に示すように、加締リング112が配置され、主体金具102の後端部を、加締リング112を介してセラミックスリーブ6に向かう方向に加締めることにより、タルク粉末108が加圧充填され、この結果、検出素子4,セラミックホルダ106,セラミックスリーブ6が主体金具102に固定される。
【0033】
なお、挿通孔54のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36が形成された側の板面に対応する内壁には、それぞれ溝部56が形成されている。つまり、挿通孔54には、4つの溝部56が形成され、これにより、挿通孔54は、断面が略「エ」字状を呈している。
【0034】
一方、リードフレーム10は、図3(a)に示すように、全体の外観が略L字状を呈するように形成されている。即ち、リードフレーム10は、フレーム本体12と、フレーム本体12の一端側が折り曲げられて形成された折曲部14と、フレーム本体12の折曲部14側に形成された波状部分16とを備える。また、リードフレーム10は、例えば、高温に繰り返し晒されても、弾性(バネ弾性)を保持可能な周知のインコネルやステンレス鋼などを主体に形成されている。なお、図3(a)は、リードフレーム10の外観を表す側面図である。
【0035】
波状部分16は、リードフレーム10をセラミックスリーブ6へ装着する際に、検出素子4とセラミックスリーブ6との間隔方向に高低差を有する波形形状に形成されており、検出素子4とセラミックスリーブ6との距離を拡大させる方向の弾性力を有している。なお、リードフレーム10は、特許請求の範囲に記載の「金属端子」に相当する。
【0036】
また、波状部分16のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する側の表面には、耐酸化性に優れ、接触抵抗値が増加しづらい導電性材料(白金など)からなるめっき層21(電極接触層21)が形成されており、めっき層21の厚さ寸法は、1[μm]である。
【0037】
図3(b)に、リードフレーム10および検出素子4が組みつけられた状態のセラミックスリーブ6の断面図を示す。リードフレーム10および検出素子4が、図3(b)に示すように、セラミックスリーブ6の挿通孔54に挿通されることにより、リードフレーム10,検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられる。
【0038】
このとき、リードフレーム10は、フレーム本体12および波状部分16がセラミックスリーブ6の挿通孔54の溝部56に配置され、折曲部14がセラミックスリーブ6の下端面に当接するとともに、波状部分16が検出素子4の電極部30,32,34,36に当接し、さらに、フレーム本体12のうち、折曲部14とは反対側の端部(図中上方)がセラミックスリーブ6から突出する状態で配置される。
【0039】
つまり、リードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられることにより、検出素子4の電極部30,32,34,36が、それぞれ対応するリードフレーム10の波状部分16(詳細には、めっき層21)に当接することになる。
【0040】
ここで、リードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられた時の、リードフレーム10の波状部分16および検出素子4の電極部32が当接する部分の拡大図を図3(c)に示す。なお、図3(c)では、セラミックスリーブ6の図示を省略している。
【0041】
図3(c)に示すように、リードフレーム10の波状部分16は、検出素子4の電極部32に当接する第1波状部分17と、検出素子4の本体部分に当接する第2波状部分19とから構成されている。この第1波状部分17および第2波状部分19は、それぞれ異なる波形形状に形成されており、第1波状部分17の有する弾性力は、第2波状部分19の有する弾性力よりも小さくなるよう形成されている。
【0042】
そして、波状部分16は、検出素子4およびセラミックスリーブ6からの圧力を受けて、検出素子4とセラミックスリーブ6との間隔方向に弾性変形することにより、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)が電極部32に当接し、第2波状部分19が検出素子4の本体部分に当接する。この結果、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)が電極部32と電気的に接続され、第2波状部分19が検出素子4を保持することになる。
【0043】
なお、第1波状部分17は、その弾性力が、少なくとも第1波状部分17と電極部32とが接触可能な大きさに設定されており、リードフレーム10と電極部32との電気的接続を維持している。また、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)は、3つの波形の頂点部分において、電極部32と当接している。
【0044】
そして、第2波状部分19による検出素子4の保持は、一対のリードフレーム10の各第2波状部分19が、弾性力によりセラミックスリーブ6の挿通孔54の内面および検出素子4の表面に対して押圧力を発生し、検出素子4を挟持することで実現される。これにより、検出素子4がセラミックスリーブ6に対して固定される。
【0045】
このようにして一体に組み付けられたリードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6は、主体金具102に固定されることにより、酸素センサ2の内部に配置される、
そして、酸素センサ2では、図1に示すように、セラミックスリーブ6から突出したリードフレーム10のフレーム本体12の端部(図1における上方)に、リード線46が抵抗溶接により固定される。つまり、酸素センサ2では、リード線46およびリードフレーム10を介して、検出素子4にて生じた電気信号(酸素濃淡電池起電力)を、酸素の検出結果(酸素の有無や酸素濃度など)に応じた検出信号として外部に取り出すことができる。
【0046】
なお、酸素センサ2においては、検出素子4の電極部30,32,34,36が、特許請求の範囲に記載の素子電極部に相当し、リードフレーム10が金属端子に相当し、めっき層21が電極接触層に相当している。
以上、説明したように、酸素センサ2においては、波状部分16の弾性力により、リードフレーム10が検出素子4に対して押圧する状態となり、リードフレーム10は、検出素子4に当接すると共に、電極部(電極部30,32,34,36)に電気的に接続されている。これにより、リードフレーム10は、検出信号を酸素センサ2の外部に伝達する信号経路の一部を形成する。
【0047】
また、酸素センサ2においては、リードフレーム10のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する波状部分16に、白金(Pt)からなるめっき層21が形成されている。
なお、白金は、インコネルやステンレス鋼などに比べて、高温環境下においても酸化し難いことから、耐酸化性に優れ、電気的な接触抵抗値が小さいという特性を有している。このため、白金からなるめっき層21は、高温環境下で使用する場合でも、酸化膜が形成されにくく、めっき層21と電極部30,32,34,36との間の電気的な接触抵抗値の増加を抑えることができる。
【0048】
これにより、検出素子4から酸素センサ2の外部に対して検出信号を伝達する信号経路のうち、リードフレーム10と検出素子4との接触抵抗値が増大するのを抑制できるため、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制できる。このように、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制することで、酸素センサ2から出力される検出信号の信号レベルが低下するのを抑制でき、酸素検出の検出精度が低下するのを防止できる。また、検出信号が微少な電流であっても、信号レベルの低下を抑制できるため、酸素が検出不可能となるのを避けることができる。
【0049】
よって、本実施例の酸素センサ2によれば、高温環境下での使用時においても、電極部30,32,34,36とリードフレーム10(金属端子)との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、酸素検出精度の低下を抑制することができる。
【0050】
また、白金(Pt)は、高価な導電性材料であるが、本実施例の酸素センサ2では、リードフレーム10の全体を白金で構成するのではなく、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する部分(波状部分16)に、白金からなるめっき層21を形成することで、耐酸化性の向上、接触抵抗値の増加防止を図っている。これにより、酸素センサ2を構成する部材のコストの増大を抑えつつ、耐酸化性の向上、接触抵抗値の増加防止を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施例の酸素センサ2に備えられるリードフレーム10は、高温環境下であっても、検出素子の電極部と当接する部分については、酸化しがたいという特性があることから、ガスセンサのうち、高温部分に配置することが可能となる。つまり、従来は、酸化防止を目的として、熱源(本実施例では、排気ガス)までの距離が長くなるようリードフレームを配置していたが、本発明のガスセンサでは、リードフレームを従来よりも熱源に近い位置に配置できるため、リードフレームの配置位置の制約を緩和でき、センサ全体の寸法を小型化することが可能となる。
【0052】
また、センサの全体寸法を小型化することで、センサを構成する各部材を小型化できることから、各構成部材の材料費用を低減できるということから、ガスセンサのコスト低減を図ることができる。例えば、検出素子4の電極リード部27が高価な材料(白金など)で形成される場合には、検出素子4の小型化により電極リード部27を短縮でき、高価な材料の使用量を減少できるため、コスト低減を図ることができる。
【0053】
次に、めっき層を有さない従来のリードフレームと、めっき層を有するリードフレームとを、高温冷熱サイクル環境下に配置した場合において、検出素子の電極部との接触抵抗値の変化を測定した測定結果について説明する。なお、図5に測定結果波形を示す。
【0054】
本測定では、所定の周期時間(約15[min])毎に、リードフレームの温度を、高温(約600[℃])および低温(約400[℃])に交互に変化させる高温冷熱サイクル環境下に、リードフレームおよび検出素子を配置して、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値を計測した。また、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値は、4端子法により計測した。
【0055】
さらに、本測定では、めっき層を有さないリードフレームとしては、インコネル(NCF750)のみで形成された従来型リードフレームを用いており、めっき層を有するリードフレームとしては、インコネル(NCF750)を主体に形成され、めっき層が金(Au)で形成された金めっきリードフレームと、インコネル(NCF750)を主体に形成され、めっき層が白金(Pt)で形成された白金めっきリードフレームとを用いた。
【0056】
なお、従来型リードフレームは、測定開始から780[hour]経過時まで、白金めっきリードフレームおよび金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過時まで、それぞれ30[hour]毎に接触抵抗値を記録した。そして、測定開始時の接触抵抗値と各経過時間での接触抵抗値との差である接触抵抗値変化量を、図5に示している。また、従来型リードフレーム、白金めっきリードフレーム、金めっきリードフレームとして、それぞれ3本ずつ測定を実施しており、図5では、従来型リードフレームの測定結果波形を実線で、金めっきリードフレームの測定結果波形を破線で、白金めっきリードフレームの測定結果波形を一点鎖線で、それぞれ3本ずつ表している。
【0057】
図5に示す測定結果によれば、従来型リードフレームは、測定開始から780[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.16[Ω],0.17[Ω],0.69[Ω]である。白金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.00[Ω],0.00[Ω],−0.02[Ω]である。金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.04[Ω],0.08[Ω],0.08[Ω]である。つまり、従来型リードフレームが最も接触抵抗値変化量が大きく、次いで金めっきリードフレーム、白金めっきリードフレームの順に、接触抵抗値変化量が小さくなることが判る。
【0058】
また、測定結果波形を全体的に比較した場合には、測定開始から約150[hour]経過後までは、接触抵抗値変化量に大きな差は認められないが、測定開始から約300[hour]経過後からは、従来型リードフレームが最も接触抵抗値変化量が大きく、次いで金めっきリードフレーム、白金めっきリードフレームの順に、接触抵抗値が小さくなる傾向があることが判る。
【0059】
このことから、本発明のガスセンサのように、リードフレーム(金属端子)のうち検出素子の素子電極部に当接する部分に、耐酸化性に優れ、接触抵抗値の小さい導電性材料からなるめっき層を形成することで、高温環境下での使用により金属端子と素子電極部との電気的な接触抵抗値が増大するのを防止できることが判る。
【0060】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、リードフレームは、上述したリードフレーム10のように、複数の頂点部分が検出素子の電極部に当接する形状の波状部分16を有するものに限られることはなく、例えば、1箇所で検出素子の電極部に当接する形状のリードフレームを用いることもできる。図6に、1箇所で検出素子の電極部に当接する形状の湾曲部分63を有する第2リードフレーム61の外観を表す側面図を示す。
【0061】
つまり、第2リードフレーム61は、検出素子に当接する2つの頂点部分を有する湾曲部分63を備えており、湾曲部分63は、検出素子4の電極部32に当接する第1湾曲部分65と、検出素子4の本体部分に当接する第2湾曲部分67とから構成されている。この第1湾曲部分65および第2湾曲部分67は、それぞれ略同等の曲率半径で形成されており、とりわけ、第1湾曲部分65のうち、検出素子4の電極部32に当接する面には白金からなるめっき層21が形成されている。このため、第2リードフレーム61は、上述のリードフレーム10と同様に、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値が増大するのを防止できる。
【0062】
よって、リードフレーム10に代えて第2リードフレーム61を備えて構成したガスセンサは、上述した酸素センサ2と同様に、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できるという効果を得ることができる。
【0063】
なお、第2リードフレーム61では、第1湾曲部分65のうち、セラミックスリーブ6に当接する面(図6における右側面)には、めっき層は形成されておらず、また、第2湾曲部分67のうち、検出素子4の本体部分に当接する面(図6における左側面)、およびセラミックスリーブ6に当接する面(図6における右側面)には、めっき層は形成されていない。このように、リードフレームのうち、検出素子の電極部に当接する部分に限定してめっき層21を形成することで、高価な白金の使用量を減少させることができ、ガスセンサのコストの低減を図ることができる。
【0064】
また、めっき層21の厚さ寸法は、1[μm]に限定されることはなく、用途や使用環境などの条件に応じて、適切な寸法に設定することができる。
さらに、耐酸化性に優れ、接触抵抗値が低い材料としては、白金(Pt)の他に、金(Au)やニッケル(Ni)などの金属材料が挙げられることから、めっき層21は白金で形成されるものに限られることはなく、金やニッケルなどの耐酸化性に優れ、接触抵抗値が低い導電性材料を用いて構成しても良い。
【0065】
さらに、めっき層21は、一層で形成されるものに限られることはなく、白金(Pt)、金(Au)やニッケル(Ni)などの金属材料で形成される多層構造であってもよい。
また、金属端子は、自身が有する弾性力により検出素子に対して押圧力を印加するものに限られることはなく、他の部材により検出素子に向けて付勢されることで、検出素子に対して押圧するものであってもよい。
【0066】
さらに、検出素子は電極部の個数が4個のものに限ることはなく、5個(片面に2個、他面に3個)や6個(両面共に3個)の電極部を有する検出素子を備えるガスセンサに対して、本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の酸素センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】(a)は、検出素子を、酸素濃淡電池素子とヒータとに分割して表した分解斜視図であり、(b)は、検出素子の検出部のうち長手方向に垂直な面における断面図であり、(c)は、検出素子の酸素濃淡電池素子のうち電極部における断面図であり、(d)は、検出素子のヒータのうち電極部における断面図である。
【図3】(a)は、リードフレームの外観を表す側面図であり、(b)は、リードフレームおよび検出素子が組みつけられた状態のセラミックスリーブの断面図であり、(c)は、リードフレームの波状部分および検出素子の電極部が当接する部分の拡大図である。
【図4】(a)は、側面から見たときのセラミックスリーブの破砕断面図であり、(b)は、(a)に記したA方向から見たときのセラミックスリーブの底面図である。
【図5】高温冷熱サイクル環境下に配置した場合において、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値の変化を測定した測定結果である。
【図6】1箇所で検出素子の電極部に当接する形状の湾曲部分を有する第2リードフレームの側面図である。
【符号の説明】
2…酸素センサ、4…検出素子、10…リードフレーム、16…波状部分、17…第1波状部分、19…第2波状部分、21…めっき層(電極接触層)、30,32,34,36…電極部、61…第2リードフレーム、63…湾曲部分、65…第1湾曲部分、67…第2湾曲部分、102…主体金具。
【発明の属する技術分野】
本発明は、検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、素子電極部に電気的に接続される金属端子とを備えるガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、素子電極部に電気的に接続される金属端子とを備えるガスセンサが知られており、金属端子は、検出信号をガスセンサの外部に伝達する信号経路の一部を構成する。
【0003】
なお、金属端子と素子電極部との接続構造としては、例えば、ロー材を用いてロー付け接合などによる接続構造を用いることができ、これにより、金属端子と素子電極部とを電気的に接続することができる。しかし、この接続構造を用いたガスセンサは、高温環境下で用いると熱伝導によりロー材が溶融する場合があり、金属端子と素子電極部との電気的接続が不良となる虞がある。
【0004】
これに対して、金属端子が検出素子に対して押圧する状態で、金属端子を検出素子に当接すると共に、金属端子を素子電極部に電気的に接続する接続構造を用いるガスセンサが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0005】
このような接続構造を用いるガスセンサは、ロー材を使用しないことから、ロー材の溶融に伴う信号経路の断線が生じないため、高温環境下での使用が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−71624号公報(図1)
【特許文献2】
特開2002−168822号公報(図1)
【特許文献3】
特開2002−168823号公報(図1)
【特許文献4】
特開2002−168824号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献に記載の接続構造を用いるガスセンサは、高温環境下での使用による断線は防止できるが、高温環境下での長時間の使用に伴い、信号経路の線路抵抗値が増加するという問題が生じる虞がある。
【0008】
つまり、高温環境下での使用時には、金属端子が酸化しやすくなるため、金属端子の表面に酸化膜が形成されて、素子電極部と金属端子との間における電気的な接触抵抗値が増大するものと考えられる。このように、電気的接触抵抗値が増大すると、信号経路における線路抵抗値が上昇することになり、ガスセンサから外部に出力される検出信号が、線路抵抗値の影響を受けて変動することになる。
【0009】
こうした検出信号の変動が発生すると、検出対象ガスの検出精度が悪化することになり、特に、検出信号が微小な電流値である場合には、線路抵抗値の増大により、信号レベルが大幅に低下してしまい、検出対象ガスを検出できなくなることも考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できるガスセンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、検出対象ガスの状態量に応じた検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、検出素子に対して押圧する状態で検出素子に当接すると共に、素子電極部に電気的に接続されて、検出信号を外部に伝達する信号経路の一部を形成する金属端子と、を備えるガスセンサであって、金属端子は、少なくとも素子電極部に当接する部分に電極接触層を備え、電極接触層は、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されていることを特徴とする。
【0012】
つまり、このガスセンサでは、金属端子のうち少なくとも素子電極部に当接する部分に、金属端子よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料より低い材料で形成された電極接触層を備えており、金属端子のうち少なくとも素子電極部に当接する部分は、高温環境下での使用であっても、酸化膜が形成されにくく、また、接触抵抗値が増大し難くなる。これにより、高温環境下での使用時においても、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制することができ、検出信号の変動を抑制できる。また、検出信号が微少な電流であっても、信号レベルの低下を抑制できることから、検出対象ガスが検出不可能となるのを避けることができる。
【0013】
なお、電極接触層が、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料より低い材料であるというのは、素子電極部と金属端子とを当接させた場合と、素子電極部と電極接触層とを当接した場合とを、同じ大きさの接触面積で比較したときの抵抗値が低い材料ということである。
【0014】
よって、本発明のガスセンサによれば、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できることから、検出対象ガスを精度良く検出することが可能となる。
【0015】
なお、検出対象ガスを検出するガスセンサとしては、例えば、有底状の筒型の検出素子や板型の検出素子などの検出素子を備えて構成されるものがある。筒型の検出素子を備えるガスセンサは、筒の内壁および外壁に金属端子が検出素子に対して押圧する状態で金属端子が検出素子に当接している構造となる。しかし、一般に検出素子のほうが金属端子の材料よりも熱膨張係数が小さいため、高温環境下で長時間そのセンサを使用した場合、高温による外壁の金属端子の膨張に伴い、検出素子と外壁の金属端子との電気的接続が不良となる虞がある。これに対して、板型の検出素子を備えるガスセンサは、金属端子を検出素子の外壁に押圧する状態で金属端子を検出素子に当接させ、さらに、その外周から検出素子よりも熱膨張係数がそれ以下の材料からなる絶縁ホルダにより金属端子を検出素子にさらに押圧する構造とする。いわゆる、検出素子と絶縁ホルダとにより金属端子を挟持させる構造とすることで、高温環境下で長時間にわたり、そのガスセンサを使用した場合でも、絶縁ホルダにより金属端子が膨張するのが抑制され、検出素子と金属端子との電気的接続を十分に維持することができる。
【0016】
しかし、このような板型の検出素子を備えるガスセンサであっても、高温環境下での使用時には、金属端子が酸化しやすくなるため、検出素子の素子電極部と金属端子との間における電気的な接触抵抗値が増大する虞がある。そこで、金属端子と検出素子の素子電極部との当接する部分に、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、素子電極部との電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されている電極接触層を設けることで、素子電極部と金属端子との間における電気接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できる。
【0017】
また、板型の検出素子には、その検出素子を活性化させるためのヒータが積層されて構成されるものがある。そのようなヒータを有する検出素子を備えるガスセンサは、金属端子として、検出素子からの検出信号をガスセンサの外部に伝達する信号経路の一部を形成する金属端子と、ヒータへの電力供給を行うための電流経路の一部を形成する金属端子とを備えることになる。このようなガスセンサにおいても同様に、金属端子とヒータとの間における電気的な接触抵抗値が増大するという問題が生じる虞があり、金属端子の当接部分における発熱や、ヒータの性能低下などが問題となる場合がある。つまり、電流経路には信号経路よりも大きい電流が流れることから、金属端子の当接部分における接触抵抗値が同一値であっても、電流経路を形成する金属端子は、信号経路を形成する金属端子に比べて、発熱しやすいという問題がある。また、金属端子の当接部分における接触抵抗値が大きくなると、当接部分の接触抵抗で消費される電力損失が増大するため、外部電源から供給される電力量が同一値である場合には、当接部分の接触抵抗値が大きいヒータに対して有効に供給される電力量が減少することになり、ヒータの性能(発熱量)を低下させることになる。あるいは、金属端子の当接部分おいて消費される電力損失が増大した場合、ヒータに対する供給電力量を充分に確保するために、より大きな電流を通電する必要が生じ、無駄に電力が消費されることになる。
【0018】
これに対して、金属端子とヒータとの当接する部分に、金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、ヒータとの電気的な接触抵抗が金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されている電極接触層を設けることで、ヒータの性能の低下を抑制でき、無駄な電力消費を抑えることができ、金属端子とヒータとの当接部分における発熱を抑制することができる。
【0019】
なお、金属端子の全体を、耐酸化性に優れ、素子電極部との間における電気的接触抵抗値が低い導電性材料で形成することで、高温環境下でも検出精度を抑制できるガスセンサを実現することも可能である。
ところで、耐酸化性に優れ、素子電極部との間における電気的接触抵抗値が低い導電性材料は、一般的には高価であることから、コスト低減も目的とする場合には、金属端子のうち、検出素子の素子電極部に当接する部分に限定して、そのような高価な導電性材料からなる電極接触層を形成するとよい。このように金属端子を構成することで、高温環境下での使用時に、素子電極部と金属端子との間の電気的接触抵抗値が増大し難く、検出精度を抑制できるガスセンサを安価に実現することができる。
【0020】
ところで、一般にガスセンサの金属端子は、高温環境下での使用時においても、検出素子に対して押圧する状態で検出素子に当接することができるように、Ni基合金材料(インコネルなど)やステンレス鋼などを主体に構成されている。そこで、電極接触層は、例えば、請求項2に記載のように、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)のいずれかで形成されているとよい。
【0021】
これらの材料(白金、金、ニッケル)は、金属端子として一般に用いられる材料よりも耐酸化性に優れると共に、接触抵抗値が低いという特性を有することから、これらの材料で電極接触層を形成することで、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制可能なガスセンサを実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用した実施例であるガスセンサを図面と共に説明する。なお、本実施例では、ガスセンサのうち、内燃機関の排気管等に装着されて排気ガス中の酸素を検出する酸素センサについて説明する。図1は、本実施例の酸素センサ2の全体構成を示す断面図である。
【0023】
酸素センサ2は、排気管に固定するためのネジ部103が外表面に形成された筒状の主体金具102と、主体金具102の筒内に挿入される長板状の検出素子4と、検出素子4を保持するために主体金具102の筒内下方から積層されるセラミックホルダ106、タルク粉末108および後述のセラミックスリーブ6と、検出素子4にて検出された電気信号(即ち、酸素濃淡電池起電力)を取り出すため等に用いる後述の複数(本実施例では4本)の長尺状のリードフレーム10とを備えている。
【0024】
この内、検出素子4は、長方形状の軸断面を有し、図2(a)に示すように、それぞれ長板状に形成された酸素濃淡電池素子20と、酸素濃淡電池素子20を活性化させるためのヒータ22とが積層されて形成されている。尚、酸素濃淡電池素子20は、例えば、ジルコニア等を主体とする酸素イオン伝導性固体電解質体により形成されている。また、ヒータ22は、例えば、導電性セラミックからなる抵抗発熱体パターン24をセラミック基体中に埋設した公知のセラミックヒータから形成されている。
【0025】
なお、図2(a)は、検出素子4を、酸素濃淡電池素子20とヒータ22とに分割して表した分解斜視図であり、図2(b)は、検出素子4のうち後述する検出部5における断面図であり、図2(b)では、検出素子4の長手方向(図2(a)における左右方向)に垂直な面における断面図を表している。また、図2(c)は、検出素子4の酸素濃淡電池素子20のうち後述する電極部32における断面図であり、図2(d)は、検出素子4のヒータ22のうち後述する電極部34、36における断面図であり、図2(c)および(d)では、検出素子4における酸素濃淡電池素子20とヒータ22との積層面に垂直で、かつ検出素子4の長手方向に平行な面における断面図を表している。
【0026】
そして、酸素濃淡電池素子20の長手方向の先端側(図2(a)における左方)には、両面に多孔質電極26,28が形成され、これら電極26,28とそれらの間に挟まれる固体電解質部分とが検出素子4の検出部5を構成する。
また、多孔質電極26,28からは、酸素濃淡電池素子20の長手方向に沿って酸素センサ2の後端側(図2(a)における右方)に向けて延びる電極リード部27,29が一体形成されている。この内、ヒータ22と対向しない側の電極26からの電極リード部27は、その末端が電極部30として用いられる。一方、ヒータ22に対向する側の電極28の電極リード部29は、図2(c)に示すように、酸素濃淡電池素子20を厚さ方向(図2(c)における上下方向)に横切るビア33により、反対側の素子面に形成された電極部32と接続され、各電極部30,32は、酸素濃淡電池素子20の板面末端に間隔を空けて配置されている。
【0027】
一方、ヒータ22には、抵抗発熱体パターン24に導通するための二本のリード部25が形成され、図2(d)に示すように、ヒータ22の酸素濃淡電池素子20と対向しない側(図2(d)における上側)の板面末端に形成された電極部34,36に、それぞれビア38を介して接続されている。そして、図2(b)に示すように、酸素濃淡電池素子20とヒータ22とは、セラミック(例えば、ジルコニア系セラミックやアルミナ系セラミック)層40を介して互いに接合される。
【0028】
このように構成された検出素子4は、図1に示すように、先端側(図1における下方)の検出部5が、排気管に固定される主体金具102の先端より突出した状態で、この主体金具102内に固定される。そして、検出素子4は、検出部5で検出した酸素(検出対象ガス)の状態量に応じた検出信号としての電気信号(即ち、酸素濃淡電池起電力)を、電極部30、32から外部に出力する。
【0029】
一方、主体金具102の先端側(図1における下方)外周には、検出素子4の突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有し、金属製の二重のプロテクタ43,45が溶接等によって取り付けられている。そして、主体金具102の後端側外周には、外筒44が溶接等により固定されている。また、外筒44の後端側(図1における上方)の開口部には、検出素子4にて生じた酸素濃淡電池起電力を外部に取り出すためのリード線46が挿通されるリード線挿通孔が形成されたセラミックセパレータ48とグロメット50とが配置されている。
【0030】
さて、検出素子4は、主体金具102の筒内下方より配置されるセラミックホルダ106、タルク粉末108、セラミックスリーブ6と、セラミックスリーブ6との間に配置されるリードフレーム10とを介して主体金具102に固定され、しかも、検出素子4の電極部(電極部30,32,34,36)が形成された側の端部側の周囲が、セラミックスリーブ6に覆われた状態で固定される。
【0031】
この内、セラミックホルダ106およびセラミックスリーブ6は、外観が略円筒状を呈し、検出素子4の断面形状に沿った略長方形状の挿通孔が中心軸に沿って穿設されており、検出素子4は挿通孔を介して保持される。
側面から見たときのセラミックスリーブ6の破砕断面図を図4(a)に示すとともに、図4(a)に記したA方向(即ち、下端から上端に向かう方向)からセラミックスリーブ6を見た底面図(拡大した底面図)を図4(b)に示す。なお、図4(a)においては、セラミックスリーブ6の内部構造を表すために、右半分を図4(b)中のB−B断面部分に相当する断面図として表している。
【0032】
セラミックスリーブ6は、図4(a)および図4(b)に示すように、上部中央が上方に突出することにより突出部52が形成され、中心軸に沿って挿通孔54が形成されている。
セラミックスリーブ6の突出部52における周囲の端面上には、図1に示すように、加締リング112が配置され、主体金具102の後端部を、加締リング112を介してセラミックスリーブ6に向かう方向に加締めることにより、タルク粉末108が加圧充填され、この結果、検出素子4,セラミックホルダ106,セラミックスリーブ6が主体金具102に固定される。
【0033】
なお、挿通孔54のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36が形成された側の板面に対応する内壁には、それぞれ溝部56が形成されている。つまり、挿通孔54には、4つの溝部56が形成され、これにより、挿通孔54は、断面が略「エ」字状を呈している。
【0034】
一方、リードフレーム10は、図3(a)に示すように、全体の外観が略L字状を呈するように形成されている。即ち、リードフレーム10は、フレーム本体12と、フレーム本体12の一端側が折り曲げられて形成された折曲部14と、フレーム本体12の折曲部14側に形成された波状部分16とを備える。また、リードフレーム10は、例えば、高温に繰り返し晒されても、弾性(バネ弾性)を保持可能な周知のインコネルやステンレス鋼などを主体に形成されている。なお、図3(a)は、リードフレーム10の外観を表す側面図である。
【0035】
波状部分16は、リードフレーム10をセラミックスリーブ6へ装着する際に、検出素子4とセラミックスリーブ6との間隔方向に高低差を有する波形形状に形成されており、検出素子4とセラミックスリーブ6との距離を拡大させる方向の弾性力を有している。なお、リードフレーム10は、特許請求の範囲に記載の「金属端子」に相当する。
【0036】
また、波状部分16のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する側の表面には、耐酸化性に優れ、接触抵抗値が増加しづらい導電性材料(白金など)からなるめっき層21(電極接触層21)が形成されており、めっき層21の厚さ寸法は、1[μm]である。
【0037】
図3(b)に、リードフレーム10および検出素子4が組みつけられた状態のセラミックスリーブ6の断面図を示す。リードフレーム10および検出素子4が、図3(b)に示すように、セラミックスリーブ6の挿通孔54に挿通されることにより、リードフレーム10,検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられる。
【0038】
このとき、リードフレーム10は、フレーム本体12および波状部分16がセラミックスリーブ6の挿通孔54の溝部56に配置され、折曲部14がセラミックスリーブ6の下端面に当接するとともに、波状部分16が検出素子4の電極部30,32,34,36に当接し、さらに、フレーム本体12のうち、折曲部14とは反対側の端部(図中上方)がセラミックスリーブ6から突出する状態で配置される。
【0039】
つまり、リードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられることにより、検出素子4の電極部30,32,34,36が、それぞれ対応するリードフレーム10の波状部分16(詳細には、めっき層21)に当接することになる。
【0040】
ここで、リードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6が一体に組み付けられた時の、リードフレーム10の波状部分16および検出素子4の電極部32が当接する部分の拡大図を図3(c)に示す。なお、図3(c)では、セラミックスリーブ6の図示を省略している。
【0041】
図3(c)に示すように、リードフレーム10の波状部分16は、検出素子4の電極部32に当接する第1波状部分17と、検出素子4の本体部分に当接する第2波状部分19とから構成されている。この第1波状部分17および第2波状部分19は、それぞれ異なる波形形状に形成されており、第1波状部分17の有する弾性力は、第2波状部分19の有する弾性力よりも小さくなるよう形成されている。
【0042】
そして、波状部分16は、検出素子4およびセラミックスリーブ6からの圧力を受けて、検出素子4とセラミックスリーブ6との間隔方向に弾性変形することにより、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)が電極部32に当接し、第2波状部分19が検出素子4の本体部分に当接する。この結果、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)が電極部32と電気的に接続され、第2波状部分19が検出素子4を保持することになる。
【0043】
なお、第1波状部分17は、その弾性力が、少なくとも第1波状部分17と電極部32とが接触可能な大きさに設定されており、リードフレーム10と電極部32との電気的接続を維持している。また、第1波状部分17(詳細には、めっき層21)は、3つの波形の頂点部分において、電極部32と当接している。
【0044】
そして、第2波状部分19による検出素子4の保持は、一対のリードフレーム10の各第2波状部分19が、弾性力によりセラミックスリーブ6の挿通孔54の内面および検出素子4の表面に対して押圧力を発生し、検出素子4を挟持することで実現される。これにより、検出素子4がセラミックスリーブ6に対して固定される。
【0045】
このようにして一体に組み付けられたリードフレーム10、検出素子4およびセラミックスリーブ6は、主体金具102に固定されることにより、酸素センサ2の内部に配置される、
そして、酸素センサ2では、図1に示すように、セラミックスリーブ6から突出したリードフレーム10のフレーム本体12の端部(図1における上方)に、リード線46が抵抗溶接により固定される。つまり、酸素センサ2では、リード線46およびリードフレーム10を介して、検出素子4にて生じた電気信号(酸素濃淡電池起電力)を、酸素の検出結果(酸素の有無や酸素濃度など)に応じた検出信号として外部に取り出すことができる。
【0046】
なお、酸素センサ2においては、検出素子4の電極部30,32,34,36が、特許請求の範囲に記載の素子電極部に相当し、リードフレーム10が金属端子に相当し、めっき層21が電極接触層に相当している。
以上、説明したように、酸素センサ2においては、波状部分16の弾性力により、リードフレーム10が検出素子4に対して押圧する状態となり、リードフレーム10は、検出素子4に当接すると共に、電極部(電極部30,32,34,36)に電気的に接続されている。これにより、リードフレーム10は、検出信号を酸素センサ2の外部に伝達する信号経路の一部を形成する。
【0047】
また、酸素センサ2においては、リードフレーム10のうち、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する波状部分16に、白金(Pt)からなるめっき層21が形成されている。
なお、白金は、インコネルやステンレス鋼などに比べて、高温環境下においても酸化し難いことから、耐酸化性に優れ、電気的な接触抵抗値が小さいという特性を有している。このため、白金からなるめっき層21は、高温環境下で使用する場合でも、酸化膜が形成されにくく、めっき層21と電極部30,32,34,36との間の電気的な接触抵抗値の増加を抑えることができる。
【0048】
これにより、検出素子4から酸素センサ2の外部に対して検出信号を伝達する信号経路のうち、リードフレーム10と検出素子4との接触抵抗値が増大するのを抑制できるため、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制できる。このように、信号経路における線路抵抗値の増大を抑制することで、酸素センサ2から出力される検出信号の信号レベルが低下するのを抑制でき、酸素検出の検出精度が低下するのを防止できる。また、検出信号が微少な電流であっても、信号レベルの低下を抑制できるため、酸素が検出不可能となるのを避けることができる。
【0049】
よって、本実施例の酸素センサ2によれば、高温環境下での使用時においても、電極部30,32,34,36とリードフレーム10(金属端子)との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、酸素検出精度の低下を抑制することができる。
【0050】
また、白金(Pt)は、高価な導電性材料であるが、本実施例の酸素センサ2では、リードフレーム10の全体を白金で構成するのではなく、検出素子4の電極部30,32,34,36に当接する部分(波状部分16)に、白金からなるめっき層21を形成することで、耐酸化性の向上、接触抵抗値の増加防止を図っている。これにより、酸素センサ2を構成する部材のコストの増大を抑えつつ、耐酸化性の向上、接触抵抗値の増加防止を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施例の酸素センサ2に備えられるリードフレーム10は、高温環境下であっても、検出素子の電極部と当接する部分については、酸化しがたいという特性があることから、ガスセンサのうち、高温部分に配置することが可能となる。つまり、従来は、酸化防止を目的として、熱源(本実施例では、排気ガス)までの距離が長くなるようリードフレームを配置していたが、本発明のガスセンサでは、リードフレームを従来よりも熱源に近い位置に配置できるため、リードフレームの配置位置の制約を緩和でき、センサ全体の寸法を小型化することが可能となる。
【0052】
また、センサの全体寸法を小型化することで、センサを構成する各部材を小型化できることから、各構成部材の材料費用を低減できるということから、ガスセンサのコスト低減を図ることができる。例えば、検出素子4の電極リード部27が高価な材料(白金など)で形成される場合には、検出素子4の小型化により電極リード部27を短縮でき、高価な材料の使用量を減少できるため、コスト低減を図ることができる。
【0053】
次に、めっき層を有さない従来のリードフレームと、めっき層を有するリードフレームとを、高温冷熱サイクル環境下に配置した場合において、検出素子の電極部との接触抵抗値の変化を測定した測定結果について説明する。なお、図5に測定結果波形を示す。
【0054】
本測定では、所定の周期時間(約15[min])毎に、リードフレームの温度を、高温(約600[℃])および低温(約400[℃])に交互に変化させる高温冷熱サイクル環境下に、リードフレームおよび検出素子を配置して、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値を計測した。また、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値は、4端子法により計測した。
【0055】
さらに、本測定では、めっき層を有さないリードフレームとしては、インコネル(NCF750)のみで形成された従来型リードフレームを用いており、めっき層を有するリードフレームとしては、インコネル(NCF750)を主体に形成され、めっき層が金(Au)で形成された金めっきリードフレームと、インコネル(NCF750)を主体に形成され、めっき層が白金(Pt)で形成された白金めっきリードフレームとを用いた。
【0056】
なお、従来型リードフレームは、測定開始から780[hour]経過時まで、白金めっきリードフレームおよび金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過時まで、それぞれ30[hour]毎に接触抵抗値を記録した。そして、測定開始時の接触抵抗値と各経過時間での接触抵抗値との差である接触抵抗値変化量を、図5に示している。また、従来型リードフレーム、白金めっきリードフレーム、金めっきリードフレームとして、それぞれ3本ずつ測定を実施しており、図5では、従来型リードフレームの測定結果波形を実線で、金めっきリードフレームの測定結果波形を破線で、白金めっきリードフレームの測定結果波形を一点鎖線で、それぞれ3本ずつ表している。
【0057】
図5に示す測定結果によれば、従来型リードフレームは、測定開始から780[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.16[Ω],0.17[Ω],0.69[Ω]である。白金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.00[Ω],0.00[Ω],−0.02[Ω]である。金めっきリードフレームは、測定開始から630[hour]経過後の接触抵抗値変化量が0.04[Ω],0.08[Ω],0.08[Ω]である。つまり、従来型リードフレームが最も接触抵抗値変化量が大きく、次いで金めっきリードフレーム、白金めっきリードフレームの順に、接触抵抗値変化量が小さくなることが判る。
【0058】
また、測定結果波形を全体的に比較した場合には、測定開始から約150[hour]経過後までは、接触抵抗値変化量に大きな差は認められないが、測定開始から約300[hour]経過後からは、従来型リードフレームが最も接触抵抗値変化量が大きく、次いで金めっきリードフレーム、白金めっきリードフレームの順に、接触抵抗値が小さくなる傾向があることが判る。
【0059】
このことから、本発明のガスセンサのように、リードフレーム(金属端子)のうち検出素子の素子電極部に当接する部分に、耐酸化性に優れ、接触抵抗値の小さい導電性材料からなるめっき層を形成することで、高温環境下での使用により金属端子と素子電極部との電気的な接触抵抗値が増大するのを防止できることが判る。
【0060】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、リードフレームは、上述したリードフレーム10のように、複数の頂点部分が検出素子の電極部に当接する形状の波状部分16を有するものに限られることはなく、例えば、1箇所で検出素子の電極部に当接する形状のリードフレームを用いることもできる。図6に、1箇所で検出素子の電極部に当接する形状の湾曲部分63を有する第2リードフレーム61の外観を表す側面図を示す。
【0061】
つまり、第2リードフレーム61は、検出素子に当接する2つの頂点部分を有する湾曲部分63を備えており、湾曲部分63は、検出素子4の電極部32に当接する第1湾曲部分65と、検出素子4の本体部分に当接する第2湾曲部分67とから構成されている。この第1湾曲部分65および第2湾曲部分67は、それぞれ略同等の曲率半径で形成されており、とりわけ、第1湾曲部分65のうち、検出素子4の電極部32に当接する面には白金からなるめっき層21が形成されている。このため、第2リードフレーム61は、上述のリードフレーム10と同様に、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値が増大するのを防止できる。
【0062】
よって、リードフレーム10に代えて第2リードフレーム61を備えて構成したガスセンサは、上述した酸素センサ2と同様に、高温環境下での使用時においても、素子電極部と金属端子との間における電気的接触抵抗値の増大を抑制でき、検出精度の低下を抑制できるという効果を得ることができる。
【0063】
なお、第2リードフレーム61では、第1湾曲部分65のうち、セラミックスリーブ6に当接する面(図6における右側面)には、めっき層は形成されておらず、また、第2湾曲部分67のうち、検出素子4の本体部分に当接する面(図6における左側面)、およびセラミックスリーブ6に当接する面(図6における右側面)には、めっき層は形成されていない。このように、リードフレームのうち、検出素子の電極部に当接する部分に限定してめっき層21を形成することで、高価な白金の使用量を減少させることができ、ガスセンサのコストの低減を図ることができる。
【0064】
また、めっき層21の厚さ寸法は、1[μm]に限定されることはなく、用途や使用環境などの条件に応じて、適切な寸法に設定することができる。
さらに、耐酸化性に優れ、接触抵抗値が低い材料としては、白金(Pt)の他に、金(Au)やニッケル(Ni)などの金属材料が挙げられることから、めっき層21は白金で形成されるものに限られることはなく、金やニッケルなどの耐酸化性に優れ、接触抵抗値が低い導電性材料を用いて構成しても良い。
【0065】
さらに、めっき層21は、一層で形成されるものに限られることはなく、白金(Pt)、金(Au)やニッケル(Ni)などの金属材料で形成される多層構造であってもよい。
また、金属端子は、自身が有する弾性力により検出素子に対して押圧力を印加するものに限られることはなく、他の部材により検出素子に向けて付勢されることで、検出素子に対して押圧するものであってもよい。
【0066】
さらに、検出素子は電極部の個数が4個のものに限ることはなく、5個(片面に2個、他面に3個)や6個(両面共に3個)の電極部を有する検出素子を備えるガスセンサに対して、本発明を適用することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の酸素センサの全体構成を示す断面図である。
【図2】(a)は、検出素子を、酸素濃淡電池素子とヒータとに分割して表した分解斜視図であり、(b)は、検出素子の検出部のうち長手方向に垂直な面における断面図であり、(c)は、検出素子の酸素濃淡電池素子のうち電極部における断面図であり、(d)は、検出素子のヒータのうち電極部における断面図である。
【図3】(a)は、リードフレームの外観を表す側面図であり、(b)は、リードフレームおよび検出素子が組みつけられた状態のセラミックスリーブの断面図であり、(c)は、リードフレームの波状部分および検出素子の電極部が当接する部分の拡大図である。
【図4】(a)は、側面から見たときのセラミックスリーブの破砕断面図であり、(b)は、(a)に記したA方向から見たときのセラミックスリーブの底面図である。
【図5】高温冷熱サイクル環境下に配置した場合において、リードフレームと検出素子の電極部との接触抵抗値の変化を測定した測定結果である。
【図6】1箇所で検出素子の電極部に当接する形状の湾曲部分を有する第2リードフレームの側面図である。
【符号の説明】
2…酸素センサ、4…検出素子、10…リードフレーム、16…波状部分、17…第1波状部分、19…第2波状部分、21…めっき層(電極接触層)、30,32,34,36…電極部、61…第2リードフレーム、63…湾曲部分、65…第1湾曲部分、67…第2湾曲部分、102…主体金具。
Claims (2)
- 検出対象ガスの状態量に応じた検出信号を出力する素子電極部を有する検出素子と、
前記検出素子に対して押圧する状態で前記検出素子に当接すると共に、前記素子電極部に電気的に接続されて、前記検出信号を外部に伝達する信号経路の一部を形成する金属端子と、
を備えるガスセンサであって、
前記金属端子は、少なくとも前記素子電極部に当接する部分に電極接触層を備え、
前記電極接触層は、前記金属端子を形成する材料よりも酸化し難く、前記素子電極部との電気的な接触抵抗が前記金属端子を形成する材料よりも低い導電性材料で形成されていること、
を特徴とするガスセンサ。 - 前記電極接触層は、白金、金、ニッケルのいずれかで形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
Priority Applications (1)
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-
2003
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