JP2004219100A - ボルトの軸力測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸力測定精度を容易に向上することのできるボルトの軸力測定方法を提供する。
【解決手段】ゼロクロス点検出部40は超音波送受信回路部28が初回に受信した締め込み作業前のボルト12から得た反射パルスのピーク値に基づきゼロクロス点を検索し、検索エリア設定部42は、そのゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の検索エリアを設定する。また、2回目以降に取得した反射パルスに関しては、検索エリア設定部42は、直前に検索されたゼロクロス点を中心に検索エリアを設定し、ゼロクロス点検出部40は、そのエリア内で前回と同じ時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を選択する。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】ゼロクロス点検出部40は超音波送受信回路部28が初回に受信した締め込み作業前のボルト12から得た反射パルスのピーク値に基づきゼロクロス点を検索し、検索エリア設定部42は、そのゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の検索エリアを設定する。また、2回目以降に取得した反射パルスに関しては、検索エリア設定部42は、直前に検索されたゼロクロス点を中心に検索エリアを設定し、ゼロクロス点検出部40は、そのエリア内で前回と同じ時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を選択する。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの軸力測定方法、特に、軸力測定精度を容易に向上することのできるボルトの軸力測定方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からボルトの締め付けを確実に行うために、その締め付け力(ボルト軸力)を測定しながら締め込みを行う装置があり、その中に超音波パルスを利用したものがある。この装置では、ボルトの頭部側上端面に超音波送受信手段(超音波探触子)を装着し、ここから超音波パルスをボルト内軸方向に送信し、ボルトの先端で反射した超音波パルスが帰ってくるまでの伝搬時間を計測している。超音波の伝搬時間は、ボルト軸力と所定の関係(ボルト軸力が大きくなるほど伝搬時間が長くなる)があるため、伝搬時間の変化量からボルト軸力を求めることができる。なお、通常の場合、ボルトの弾性変形の範囲内では、伝搬時間と軸力とは比例する。
【0003】
上述のような超音波パルスを用いた軸力測定においては、超音波パルスを送信してから帰ってくるまでの伝搬時間を各タイミングで受信する反射パルスの同じ波形位置で正確に測定することが重要である。そのため、例えば、取得した反射パルスの振幅に対し、スレッシュホールドを設定し、これを越えた時点を基準にして、測定に使用した超音波探触子の共振周波数の半波長の整数倍の時間位置に前記半波長の幅に相当する幅のゲートを設定して、このゲート内で最大ピーク値を検出し、この最大ピーク値までの時間値を反射パルスの伝搬時間値をするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2944004号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超音波パルスの振幅は、ボルトの締付け状態の変化やボルトの変形や破損、ボルト頭部と超音波探触子との接触状態の変化等が原因で変化し易い。そのため、最初に決めたスレッシュホールドを越えるタイミングがずれてしまう場合がある。つまり、初回の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分と第n回目の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分とが反射パルス上の全く異なる部分で認識されてしまう場合がある。また、振幅が極端に小さい場合、スレッシュホールドを越えるピーク値を全く検出できない場合も生じる。軸力の測定は、締付け前の状態と、締付け中や締付け完了後の状態との比較に基づき行うため、比較対象となる時間値を決めるピーク値が正確に得られないと、軸力測定の精度を保証することができなくなる、つまり、軸力測定精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、軸力測定精度を容易に向上することのできるボルトの軸力測定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を連続測定するボルトの軸力測定方法であって、初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、超音波パルスの所定時間毎の送信とは、使用する超音波パルスの周波数に基づく1周期の時間範囲内の時間であり、ボルトの締付けスピードや使用する超音波パルスの減衰時間により定めることのできる単位時間であり、例えば、10ms〜20ms毎である。また、時間軸と所定関係で交差するとは、例えば、反射パルスの進行方向に対して振幅が増加しながら交差するか、または振幅が減少しながら交差するかである。
【0009】
この構成によれば、ゼロクロス点の検索エリアは初回に検出したゼロクロス点を基準に毎回更新され、その検索エリア内に存在する反射パルス上のゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、初回に取得した反射パルスのゼロクロス点は、反射パルスのピーク値の前後いずれか一方であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、初回のゼロクロス点の検出が容易になり測定負荷軽減を行うと共に、測定精度の向上に寄与することができる。
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を測定するボルトの軸力測定方法であって、初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、2回目以降に取得した反射パルスに対し、前記ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて設定した検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、締込み作業中に何らかの原因で軸力が急激に変化して、検出したいゼロクロス点の位置が大きく移動してしまう場合でも、ボルトの締付け状態に基づいて検索エリアを予測してゼロクロス点の検索を行うので、軸力測定のために伝搬時間取得を正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。また、この場合、ゼロクロス点の検出が不連続に行われても正確なゼロクロス点を得ることが可能となり、伝搬時間及び軸力の取得を正確に行うことができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出できない場合、ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて検索エリアを更新しゼロクロス点を抽出することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、直前に抽出したゼロクロス点に基づいて設定した検索エリアでゼロクロス点を良好に検索できない場合のみ、ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づく検索エリアを迅速に設定するので、確実なゼロクロス点の検索をスムーズかつ最小限の情報により得ることができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、ボルトの締込み状態の変化量により予測する伝搬時間は、ボルトの締込み角度の変化または締込み時のトルク変化に基づいて予測することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ボルトの締込み状態の変化を容易かつ適切に得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の軸力測定方法を実現する軸力測定装置10の構成概念図が示されている。この軸力測定装置10は大別して、軸力の測定対象であるボルト12の締め込みを行うナットランナ14と、当該ナットランナ14を介して各種情報を収集し、実際の軸力の測定を行う装置本体部16とで構成されている。
【0020】
ナットランナ14は、ボルト頭部12aのほぼ全体を包含しボルト12を回転させて締め込みを行うソケット18と、当該ソケット18と接続されソケット18を所定方向に回転させるハンドルシャフト20(一部のみ図示)とで構成されている。ソケット18の内部には、ボルト頭部12aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部12bで反射した反射パルスを受信する超音波センサ(例えば、超音波探触子)22が配置されている。この超音波探触子22は、ソケット18をボルト頭部12aにセットした状態で、ボルト頭部12aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝搬経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部12aの頂部端面は研磨して、超音波探触子22と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与することも好適である。また、ボルト12のネジ側端面も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0021】
また、ハンドルシャフト20には、後述するがボルト12の締込み状態を検出する時に使用するトルクセンサ24(例えば、歪みゲージ)やソケット18の回転角度、すなわちボルト12の回転角度を検出するための角度検出器26(例えば、小型ジャイロ)が内蔵されている。
【0022】
前記装置本体部16内部には、前記超音波探触子22による超音波パルスの送受信制御を行う超音波送受信回路部28、超音波送受信回路部が取得したアナログ信号である超音波パルス(反射パルス)をデジタル信号に変換するA/D変換部30及び軸力処理部32及び測定した軸力を表示したり、その他トルクや回転角度、軸力測定装置10の動作状態や操作状況等をユーザに提示する表示部34等を含んでいる。
【0023】
また、軸力処理部32には、超音波探触子22を介して取得した反射パルス及び超音波送受信回路部28が超音波パルスの送信を行った時の送信タイミング、その他後述する各種情報を記憶する記憶部36を有している。また、軸力処理部32には、記憶部36が初回に記憶した反射パルスのピーク値を検出するピーク検出部38、検出したピーク値に基づいて反射パルスが時間軸と所定関係、例えば反射パルスの進行方向に対して振幅が減少しながら交差するゼロクロス点を抽出するゼロクロス点検出部40、検出したゼロクロス点に基づいて次回のゼロクロス点検出のための検索エリアを設定する検索エリア設定部42を含んでいる。さらに、ゼロクロス点検出部40が検出したゼロクロス点に基づいて、ボルト12内における超音波パルスの伝搬時間を算出すると共に、算出した伝搬時間に基づいてボルト12の軸力を測定する伝搬時間・軸力値演算部44を含んでいる。
【0024】
この他、軸力処理部32には、検索エリアを設定する時に、その予測が必要な場合に予測作業を行う検索エリア予測部46を含んでいる。この検索エリア予測部46は、トルクセンサ24が接続されたトルク検出部48と角度検出器26が接続された角度検出部50からの情報に基づきボルト12の締め込み状態の変化を認識する。そして、検索エリア予測部46は、締め込み状態の変化と検索エリアの位置を対応づけて予め保持している予測テーブル52を参照して、検索エリアの予測を行う。
【0025】
上述のような構成を有する軸力測定装置10の動作を図2のフローチャート及び図3のゼロクロス点の検出概念図を用いて説明する。なお、実際の処理では、反射パルはデジタル信号に変換され処理されるが、理解を容易にするために、図3はアナログ信号上にゼロクロス点等を示し説明する。
【0026】
本実施形態の特徴的事項は、初回に取得した反射パルスから時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を特定し、2回目以降に取得した反射パルスに関しては、その直前に取得したゼロクロス点を中心に、使用した超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に存在する時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出する。そして、検出した各ゼロクロス点から超音波パルスの伝搬時間を算出し、各タイミングにおける軸力の算出を行うところである。
【0027】
周知のように、ボルト12の締め込みにより軸力が上昇するボルト12の長さが伸びる。この伸びに応じてボルト12のボルト頭部12aから送信した超音波パルスがボルト先端部12bで反射してボルト頭部12aに戻って来るまでの伝搬時間に変化が生じる。ボルト12の軸力測定はこの現象を利用して行うため、まず、軸力が発生していない初期の状態、すなわち締め込み前のボルト12に対する超音波パルスの伝搬時間を測定し、その後、ボルト12の締め込みを開始した後のボルト12に対する超音波パルスの伝搬時間とを測定し比較する必要がある。
【0028】
そこで、まず、第1段階として、図1に示しように、締め込み前のボルト12のボルト頭部12aにナットランナ14のソケット18を装着する。この時、ソケット18内部の超音波探触子22の超音波送受波面がボルト頭部12aに密着する必要がある。前述したように、超音波探触子22とボルト頭部12aとの密着性を確保するために、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を塗布しておくことが望ましい。そして、超音波送受信回路部28は、まず、この状態で超音波パルスをボルト12のボルト頭部12aから軸方向(ボルト先端部12bに向かって)送信し(S100)、ボルト先端部12bで反射してきた反射パルスの受信を行う(S101)。受信した反射パルス(アナログ信号)は、超音波送受信回路部28で増幅され、A/D変換部30でデジタル信号に変換され、軸力処理部32の記憶部36に一時的に記憶される。
【0029】
そして、ボルト締め込み前の状態で取得した反射パルスのみ、ピーク検出部38に転送され、図3(a)に示すように、反射パルスをサンプリングしピーク値pの抽出を行う(S102)。続いて、ゼロクロス点検出部40は、ピーク検出部38からピーク値pを取得し、ピーク値p直後に時間軸と所定関係(この場合、時間軸プラス方向に対して減少する関係)で交差するゼロクロス点Z0を検出する(S103)。
【0030】
ゼロクロス点Z0の検出が完了したら、伝搬時間・軸力値演算部44は、超音波パルスの送信タイミングとゼロクロス点Z0の位置から締め込み前のボルト12に関し、軸力測定の基準となる超音波パルスの伝搬時間S0を算出し、記憶部36に記憶する(S104)。
【0031】
一方、検索エリア設定部42は、検出したゼロクロス点Z0(ピーク値pに基づいて決めたゼロクロス点)に基づいて次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE0を設定する(S105)。この検索エリアE0は、図3(b)に示すように、ゼロクロス点Z0を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定する。なお、第n回目と第n+1回目の伝搬時間の測定で、その伝搬時間の変化が最大t秒であるとすると、検索エリアE0(以下の示す検索エリアEiも同様)の幅の下限値は、2t以上必要となる。この時点でボルト12の締め込み前の処理が完了する。
【0032】
続いて、軸力測定装置10はボルト12の締め込み開始を指示する(S106)。この時、軸力処理部32は、以降の算出で使用する添え字“i”を「i=1」にセットする(S107)。ボルト12の締め込みが開始されると、超音波送受信回路部28は、所定単位時間毎に超音波探触子22を介して超音波パルスの送信を開始する(S108)。ここで、超音波パルスの所定時間毎の送信とは、使用する超音波パルスの周波数に基づく1周期の時間範囲内の時間であり、ボルト12の締付けスピードや使用する超音波パルスの減衰時間により定めることのできる単位時間であり、例えば、10ms〜20ms毎である。
【0033】
送信した超音波パルスは前述と同様にボルト先端部12bで反射し超音波探触子22に受信される(S109)。受信された反射パルスは、前回と同様に、超音波送受信回路部28で必要に応じて増幅され、A/D変換部30でデジタル信号に変換され、記憶部36に一時記憶され、ゼロクロス点検出部40に供給される。ゼロクロス点検出部40では、前回設定した検索エリアE0を呼び出し、当該検索エリアE0内に存在する前記時間軸と所定関係(減少しながらの交差)を有するゼロクロス点Zi、すなわちZ1を図3(b)に示すように検索する(S110)。前述したように検索エリアE0は、ゼロクロス点Z0を中心に使用する超音波パルスの周波数の1周期未満の幅であるため、マイナスの傾きを有するゼロクロス点は、2つ以上存在することがないので、容易に検索することができる。
【0034】
検索されたゼロクロス点Z1は、記憶部36に記憶されると共に(S111)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1が算出される(S112)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。ボルト12の弾性変形の範囲内では、ボルト12の軸方向の超音波パルスの伝搬時間の差分ΔTと軸力とは比例している。伝搬時間・軸力値演算部44は、この関係を示した対応テーブルを有し、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S113)、表示部34等に出力する(S114)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求していない場合には、ステップ(S113),(S114)はスキップする。
【0035】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S115)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0036】
一方、まだ、測定が終了していないと判断した場合には、検索エリア設定部42は、直前のゼロクロス点、この場合、ゼロクロス点Z1を使い、図3(c)に示すように、次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE1を設定する(S116)。そして、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」として(S117)、ステップ(S108)に戻り、締め込み開始後2回目の超音波パルスの送信を開始し、ステップ(S108)以下の処理をステップ(S115)で測定終了と判断されるまで繰り返す。
【0037】
すなわち、2回目のステップ(S110)では、図3(c)に示すように、検索エリアE1を用いて、ゼロクロス点Z2の検索が行われ、ステップ(S112)で伝搬時間S2が算出される。以下同様に、検索エリアE2・・・を用いて、ゼロクロス点Z3・・・、伝搬時間S3・・・が算出される。
【0038】
このように、ゼロクロス点は初回のみ例えばピーク値等を用いて検出し、2回目以降は、直前に検出したゼロクロス点に基づいて毎回更新設定される検索エリア内に存在する反射パルス上の時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出することが可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。
【0039】
図4には、軸力測定装置10を用いた他の軸力測定方法を説明するフローチャートが示されている。
【0040】
ボルト12の締め込み作業を行う場合、ボルト12や当該ボルト12を螺合させるネジ穴に傷があったり、変形を生じていた場合、ボルト12の締め込み作業が安定してできない場合がある。ボルト12の締め込み作業が不安定な場合、軸力の変化も不安定になる。図2のフローチャートで示す手法は、ボルト12の締め込み状態が安定している場合、すなわち、軸力の変化が安定している場合に有効であるが、上述したように、ボルト12の締め込み状態が不安定になった場合には、直前のゼロクロス点に基づいて設定した検索エリアから、今回検索しようとしているゼロクロス点が外れてしまっている場合がある。このような状況に対応するために、図4のフローチャートに示すような手法が考えられる。
【0041】
図4のフローチャートにおいて、ステップ(S100)〜(S107)は、図2のフローチャートと同じであり、説明は省略する。
【0042】
図4のフローチャートに示す実施形態の場合、軸力測定装置10は、ボルト12の締め込み開始から継続的にボルト12に対するトルクをトルク検出部48がトルクセンサ24を介して監視している。また、角度検出部50が角度検出器26を介して監視している。そして、軸力処理部32は、締め込み対象のボルト12毎に、また使用する超音波パルス毎に、例えば、図5(a)に示すような、角度変化量とボルト12の超音波パルス伝搬時間の変化量の関係を示す予測テーブルを持っている。つまり、前回の測定タイミングから今回の測定タイミングの間に角度変化量が+m生じている場合、伝搬時間が+nだけ変化するはずであるという予測値を予め複数準備している。なお、トルクに関しても同様に、前回の測定タイミングから今回の測定タイミングの間にトルク変化量が+m生じている場合、伝搬時間が+nだけ変化するはずであるという予測値を予め複数準備している。
【0043】
検索エリア予測部46は、ボルト12の締め込みが開始されると、例えば角度検出部50からの回転角度変化量に関する情報を取得し(S200)、予測テーブル52を参照して、現在のボルト12の締め込み状態の場合、反射パルスの伝搬時間がどれくらいかかるかを認識し、ゼロクロス点を検出するためには検索エリアをどのあたりに設定すればよいかの予測値を算出する(S202)。具体的には、図5(a)に示すように、前回の測定タイミング(この場合、締め込み開始前)で設定された検索エリアE0に対して角度変化量が+mであると検出された場合に、図5(b)に示すように、予測テーブル52で示すように伝搬時間の変化+nに対応する分だけ検索エリアの中心をシフトするようにシフト量を算出し、検索エリア設定部42に供給し、当該検索エリア設定部42において、検索エリアE1の更新設定を行う(S202)。なお、ステップ(S200)において、ボルト12の回転角度を取得し、ゼロクロス点の検出エリアの予測値を算出しているが、例えば、予測テーブル52に、ボルト12に付与されるトルクの変化量とボルト12の超音波パルス伝搬時間の変化量の関係を保持させておき、トルク検出部48が認識しているトルクに基づいて、ゼロクロス点の検索エリアの予測値を算出するようにしてもよい。また、回転角度とトルクの両方の情報を認識し、両方の結果を比較し予測値の信頼性を向上させたり、回転角度やトルクの検出状態のよい方を選択的に使用するようにしてもよい。
【0044】
図6には、上述した検索エリアのシフトを反射パルスと関連付けて示されている。図6(a)において、まず、締め込み前のボルト12の反射パルスに対し、ピーク値pの抽出を行い(S102)、ピーク値p直後のゼロクロス点Z0の検出を行う(S103)。ここで、ボルト12の締め込み動作が安定して行われ、それに伴う軸力の増加も安定的に発生していれば、図6(b)に示すように、ゼロクロス点Z0を中心に設定した検索エリアE0内にゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1が存在するはずであるが、ボルト12の締め込み動作が安定して行われず、ボルト12の回転が速く、それに伴って軸力も増加した場合、図6(c)に示すように、ゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1が検索エリアE0に存在しなくなる。そこで、図6(c)に示すように、ステップ(S201)で算出した予測値に基づいて、検索エリアE0から検索エリアE1にシフトする。この時、シフト量は、前述したように実際のボルト12の回転角度に基づいて予測したものであるので、ゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1を含む確率が非常に高くなる。また、この確率が向上することにより検索エリアの幅を狭くすることも可能で、検索時間の短縮も可能である。
【0045】
ゼロクロス点検出部40は、更新された検索エリアE1を検索対象として、実際のゼロクロス点Z1があるか否かの検索を行う(S203)。ゼロクロス点検出部40がゼロクロス点Z1を発見した場合、記憶部36にゼロクロス点Z1を記憶すると共に(S204)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1を算出する(S205)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、前述したように、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。伝搬時間・軸力値演算部44は、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S206)、表示部34等に出力する(S207)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求しない場合には、ステップ(S206),(S207)はスキップする。
【0046】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S208)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0047】
また、測定が終了していないと判断した場合には、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」とする(S209)。そして、所定タイミングで次の回の超音波パルスの送信を行い(S210)、その反射パルスの受信を行う(S211)。そして、ステップ(S200)へ戻り、締め込み開始後2回目の回転角度の取得を行い(S200)以下の処理をステップ(S208)で測定終了と判断されるまで繰り返す。
【0048】
なお、ステップ(S203)において、検索エリア内に時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見できなかった場合、軸力測定のためのゼロクロス点検索に失敗したと判断し、エラー処理を行い(S212)、一連の処理を終了する。ここで、エラー処理とは、例えば、表示部34にエラーメッセージを表示したり、音声や警報でユーザに軸力測定においてエラーが発生したことを通知する処理である。
【0049】
このように、図4に示す軸力測定方法によれば、ボルト12の締め込み状態が不安定な場合でも、回転角度検出やトルク検出を行い、ゼロクロス点の検索エリアを予測して設定することにより、ゼロクロス点の検索を迅速に行うことができる。
【0050】
なお、図2に示す測定方法と図4に示す測定方法とは、軸力測定装置10において、ユーザが選択スイッチ等により、適宜そのときに最適と思われる測定方法を選択できるようにすることが好ましい。もちろん、ボルト12の種類や締め込み条件等により自動選択できるようにしてもよい。
【0051】
図7には、上述した2種類の軸力測定方法を1つのボルト12に対する軸力測定時に選択的に適用する例が示されている。前述したように、図4に示す軸力測定の方法は、ボルト12の締め込み状態が不安定な場合に有効であるが、回転角度やトルクに基づき予測テーブルを参照し、ゼロクロス点の検出エリアの予測値を算出するため、付加的情報の使用が必要になったり、処理負担が大きくなったりする。そのため、締付け作業が安定している場合、効率の面から図2に示す方法を選択した方がよい。しかし、ボルト12の締め付け状態は、締め込み作業中に不安定になる場合もある。この場合、締め込み状態が安定している間は、図2に示す方法を用い、締め込み状態が不安定な時のみ図4に示す方法を用いることのより、効率的かつ確実な軸力測定を行うことができる。
【0052】
図7のフローチャートにおいて、ステップ(S100)〜(S110)までは、図2で説明した手順と同じであるため、その説明を省略する。
【0053】
ステップ(S106)で、ボルト12の締め込みが開始された後、ゼロクロス点検出部40は、ピーク値に基づくゼロクロス点Z0により設定された検索エリアE0を検索して、ゼロクロス点があるか否かの判断を行う(S300)。もし、ゼロクロス点検出部40がゼロクロス点Z1を発見した場合、記憶部36にゼロクロス点Z1を記憶すると共に(S301)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1を算出する(S302)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。そして、伝搬時間・軸力値演算部44は、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S303)、表示部34等に出力する(S304)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求しない場合には、ステップ(S206),(S207)はスキップする。
【0054】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S305)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0055】
一方、測定はまだ終了していないと判断された場合には、検索エリア設定部42は、直前のゼロクロス点、この場合、ゼロクロス点Z1を使い、図3(c)に示すように、次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE1を設定する(S306)。そして、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」として(S307)、ステップ(S108)に戻り、締め込み開始後2回目の超音波パルスの送信を開始し、ステップ(S108)以下の処理をステップ(S305)で測定終了と判断されるまで繰り返す。以上の処理を行っている間は、図2に示す処理と実質的に同じであり、検索エリアを直前に求めたゼロクロス点に基づいて、順次徐々にシフトすることにより、迅速に所望のゼロクロス点の検索、つまり、伝搬時間及び軸力の計算を行うことができる。
【0056】
ところで、ステップ(S300)で所望のゼロクロス点が存在しないと判断された場合、すなわち、ボルト12の締め込み作業中に、ボルト12の変形や傷等により締め込み回転速度やトルクが変動し、前回のゼロクロス点を中心に設定した検索エリアから今回の検索すべきゼロクロス点が外れてしまっていると判断される場合は、図4に示すボルト12の回転角度やトルクから検索エリアを推測する軸力測定方法を一時的に使用する。つまり、検索エリア予測部46は、例えば角度検出部50からの回転角度変化量に関する情報を取得し(S308)、予測テーブル52を参照して、現在のボルト12の締め込み状態の場合、反射パルスの伝搬時間がどれくらいかかるかを認識し、ゼロクロス点を検出するためには検索エリアをどのあたりに設定すればよいかの予測値を算出し(S309)、検索エリア設定部42において、検索エリアの更新設定を行う(S310)。なお、この時、トルク検出部48が認識しているトルクに基づいて、ゼロクロス点の検索エリアの予測値を算出するようにしてもよい。
【0057】
ゼロクロス点検出部40は、更新された検索エリアを検索対象として、ゼロクロス点があるか否かの検索を再度行い(S311)、もし、時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見されれば、ステップ(S301)に戻り、ゼロクロス点の記憶や伝搬時間の算出等ステップ(S301)以下の処理を継続する。
【0058】
一方、ボルト12の回転角度等により予測した検索エリアを用いても、検索エリア内に時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見できなかった場合、軸力測定のためのゼロクロス点検索に失敗したと判断し、エラー処理を行い(S3121)、一連の処理を終了する。
【0059】
このように、ボルト12の締め込み状態の変化に応じて、軸力測定方法を適宜切り替えゼロクロス点の検索を行うので、スムーズな検索処理を行いつつ、正確な軸力測定を行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態の図1に示す構成は、一例であり、同様な機能を達成する構成であれば、適宜変更可能であり、単一の制御部で全機能を実現したり、複数の機能を1つのブロック内で実行するようにしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、ゼロクロス点の検索エリアは初回に検出したゼロクロス点を基準に毎回更新され、その検索エリア内に存在する反射パルス上のゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。その結果、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となり、軸力測定精度を向上することできる。
【0062】
また、締込み作業中に何らかの原因で軸力が急激に変化して、検出したいゼロクロス点の位置が大きく移動してしまう場合でも、ボルトの締付け状態に基づいて検索エリアを予測してゼロクロス点の検索を行うので、軸力測定のために伝搬時間取得を正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することができる。また、この場合、ゼロクロス点の検出が不連続に行われても正確なゼロクロス点を得ることが可能となり、伝搬時間及び軸力の取得を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法を実現する軸力測定装置の構成概念図を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の測定手順を説明するフローチャートである。
【図3】図2に示す軸力測定方法の測定手順を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の他の測定手順を説明するフローチャートである。
【図5】図4に示す軸力測定方法において、超音波パルスの伝搬時間の予測による検索エリアのシフトを説明する説明図である。
【図6】図4に示す軸力測定方法の測定手順を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の他の測定手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 軸力測定装置、12 ボルト、12a ボルト頭部、12b ボルト先端部、14 ナットランナ、16 装置本体部、18 ソケット、20 ハンドルシャフト、22 超音波探触子、24 トルクセンサ、26 角度検出器、28 超音波送受信回路部、30 A/D変換部、32 軸力処理部、34 表示部、36 記憶部、38 ピーク検出部、40 ゼロクロス点検出部、42 検索エリア設定部、44 伝搬時間・軸力演算部、46 検索エリア予測部、48
トルク検出部、50 角度検出部、52 予測テーブル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの軸力測定方法、特に、軸力測定精度を容易に向上することのできるボルトの軸力測定方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からボルトの締め付けを確実に行うために、その締め付け力(ボルト軸力)を測定しながら締め込みを行う装置があり、その中に超音波パルスを利用したものがある。この装置では、ボルトの頭部側上端面に超音波送受信手段(超音波探触子)を装着し、ここから超音波パルスをボルト内軸方向に送信し、ボルトの先端で反射した超音波パルスが帰ってくるまでの伝搬時間を計測している。超音波の伝搬時間は、ボルト軸力と所定の関係(ボルト軸力が大きくなるほど伝搬時間が長くなる)があるため、伝搬時間の変化量からボルト軸力を求めることができる。なお、通常の場合、ボルトの弾性変形の範囲内では、伝搬時間と軸力とは比例する。
【0003】
上述のような超音波パルスを用いた軸力測定においては、超音波パルスを送信してから帰ってくるまでの伝搬時間を各タイミングで受信する反射パルスの同じ波形位置で正確に測定することが重要である。そのため、例えば、取得した反射パルスの振幅に対し、スレッシュホールドを設定し、これを越えた時点を基準にして、測定に使用した超音波探触子の共振周波数の半波長の整数倍の時間位置に前記半波長の幅に相当する幅のゲートを設定して、このゲート内で最大ピーク値を検出し、この最大ピーク値までの時間値を反射パルスの伝搬時間値をするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2944004号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超音波パルスの振幅は、ボルトの締付け状態の変化やボルトの変形や破損、ボルト頭部と超音波探触子との接触状態の変化等が原因で変化し易い。そのため、最初に決めたスレッシュホールドを越えるタイミングがずれてしまう場合がある。つまり、初回の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分と第n回目の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分とが反射パルス上の全く異なる部分で認識されてしまう場合がある。また、振幅が極端に小さい場合、スレッシュホールドを越えるピーク値を全く検出できない場合も生じる。軸力の測定は、締付け前の状態と、締付け中や締付け完了後の状態との比較に基づき行うため、比較対象となる時間値を決めるピーク値が正確に得られないと、軸力測定の精度を保証することができなくなる、つまり、軸力測定精度が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、軸力測定精度を容易に向上することのできるボルトの軸力測定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を連続測定するボルトの軸力測定方法であって、初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、超音波パルスの所定時間毎の送信とは、使用する超音波パルスの周波数に基づく1周期の時間範囲内の時間であり、ボルトの締付けスピードや使用する超音波パルスの減衰時間により定めることのできる単位時間であり、例えば、10ms〜20ms毎である。また、時間軸と所定関係で交差するとは、例えば、反射パルスの進行方向に対して振幅が増加しながら交差するか、または振幅が減少しながら交差するかである。
【0009】
この構成によれば、ゼロクロス点の検索エリアは初回に検出したゼロクロス点を基準に毎回更新され、その検索エリア内に存在する反射パルス上のゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、初回に取得した反射パルスのゼロクロス点は、反射パルスのピーク値の前後いずれか一方であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、初回のゼロクロス点の検出が容易になり測定負荷軽減を行うと共に、測定精度の向上に寄与することができる。
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を測定するボルトの軸力測定方法であって、初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、2回目以降に取得した反射パルスに対し、前記ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて設定した検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、締込み作業中に何らかの原因で軸力が急激に変化して、検出したいゼロクロス点の位置が大きく移動してしまう場合でも、ボルトの締付け状態に基づいて検索エリアを予測してゼロクロス点の検索を行うので、軸力測定のために伝搬時間取得を正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。また、この場合、ゼロクロス点の検出が不連続に行われても正確なゼロクロス点を得ることが可能となり、伝搬時間及び軸力の取得を正確に行うことができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出できない場合、ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて検索エリアを更新しゼロクロス点を抽出することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、直前に抽出したゼロクロス点に基づいて設定した検索エリアでゼロクロス点を良好に検索できない場合のみ、ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づく検索エリアを迅速に設定するので、確実なゼロクロス点の検索をスムーズかつ最小限の情報により得ることができる。
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、ボルトの締込み状態の変化量により予測する伝搬時間は、ボルトの締込み角度の変化または締込み時のトルク変化に基づいて予測することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ボルトの締込み状態の変化を容易かつ適切に得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の軸力測定方法を実現する軸力測定装置10の構成概念図が示されている。この軸力測定装置10は大別して、軸力の測定対象であるボルト12の締め込みを行うナットランナ14と、当該ナットランナ14を介して各種情報を収集し、実際の軸力の測定を行う装置本体部16とで構成されている。
【0020】
ナットランナ14は、ボルト頭部12aのほぼ全体を包含しボルト12を回転させて締め込みを行うソケット18と、当該ソケット18と接続されソケット18を所定方向に回転させるハンドルシャフト20(一部のみ図示)とで構成されている。ソケット18の内部には、ボルト頭部12aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部12bで反射した反射パルスを受信する超音波センサ(例えば、超音波探触子)22が配置されている。この超音波探触子22は、ソケット18をボルト頭部12aにセットした状態で、ボルト頭部12aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝搬経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部12aの頂部端面は研磨して、超音波探触子22と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与することも好適である。また、ボルト12のネジ側端面も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0021】
また、ハンドルシャフト20には、後述するがボルト12の締込み状態を検出する時に使用するトルクセンサ24(例えば、歪みゲージ)やソケット18の回転角度、すなわちボルト12の回転角度を検出するための角度検出器26(例えば、小型ジャイロ)が内蔵されている。
【0022】
前記装置本体部16内部には、前記超音波探触子22による超音波パルスの送受信制御を行う超音波送受信回路部28、超音波送受信回路部が取得したアナログ信号である超音波パルス(反射パルス)をデジタル信号に変換するA/D変換部30及び軸力処理部32及び測定した軸力を表示したり、その他トルクや回転角度、軸力測定装置10の動作状態や操作状況等をユーザに提示する表示部34等を含んでいる。
【0023】
また、軸力処理部32には、超音波探触子22を介して取得した反射パルス及び超音波送受信回路部28が超音波パルスの送信を行った時の送信タイミング、その他後述する各種情報を記憶する記憶部36を有している。また、軸力処理部32には、記憶部36が初回に記憶した反射パルスのピーク値を検出するピーク検出部38、検出したピーク値に基づいて反射パルスが時間軸と所定関係、例えば反射パルスの進行方向に対して振幅が減少しながら交差するゼロクロス点を抽出するゼロクロス点検出部40、検出したゼロクロス点に基づいて次回のゼロクロス点検出のための検索エリアを設定する検索エリア設定部42を含んでいる。さらに、ゼロクロス点検出部40が検出したゼロクロス点に基づいて、ボルト12内における超音波パルスの伝搬時間を算出すると共に、算出した伝搬時間に基づいてボルト12の軸力を測定する伝搬時間・軸力値演算部44を含んでいる。
【0024】
この他、軸力処理部32には、検索エリアを設定する時に、その予測が必要な場合に予測作業を行う検索エリア予測部46を含んでいる。この検索エリア予測部46は、トルクセンサ24が接続されたトルク検出部48と角度検出器26が接続された角度検出部50からの情報に基づきボルト12の締め込み状態の変化を認識する。そして、検索エリア予測部46は、締め込み状態の変化と検索エリアの位置を対応づけて予め保持している予測テーブル52を参照して、検索エリアの予測を行う。
【0025】
上述のような構成を有する軸力測定装置10の動作を図2のフローチャート及び図3のゼロクロス点の検出概念図を用いて説明する。なお、実際の処理では、反射パルはデジタル信号に変換され処理されるが、理解を容易にするために、図3はアナログ信号上にゼロクロス点等を示し説明する。
【0026】
本実施形態の特徴的事項は、初回に取得した反射パルスから時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を特定し、2回目以降に取得した反射パルスに関しては、その直前に取得したゼロクロス点を中心に、使用した超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に存在する時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出する。そして、検出した各ゼロクロス点から超音波パルスの伝搬時間を算出し、各タイミングにおける軸力の算出を行うところである。
【0027】
周知のように、ボルト12の締め込みにより軸力が上昇するボルト12の長さが伸びる。この伸びに応じてボルト12のボルト頭部12aから送信した超音波パルスがボルト先端部12bで反射してボルト頭部12aに戻って来るまでの伝搬時間に変化が生じる。ボルト12の軸力測定はこの現象を利用して行うため、まず、軸力が発生していない初期の状態、すなわち締め込み前のボルト12に対する超音波パルスの伝搬時間を測定し、その後、ボルト12の締め込みを開始した後のボルト12に対する超音波パルスの伝搬時間とを測定し比較する必要がある。
【0028】
そこで、まず、第1段階として、図1に示しように、締め込み前のボルト12のボルト頭部12aにナットランナ14のソケット18を装着する。この時、ソケット18内部の超音波探触子22の超音波送受波面がボルト頭部12aに密着する必要がある。前述したように、超音波探触子22とボルト頭部12aとの密着性を確保するために、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を塗布しておくことが望ましい。そして、超音波送受信回路部28は、まず、この状態で超音波パルスをボルト12のボルト頭部12aから軸方向(ボルト先端部12bに向かって)送信し(S100)、ボルト先端部12bで反射してきた反射パルスの受信を行う(S101)。受信した反射パルス(アナログ信号)は、超音波送受信回路部28で増幅され、A/D変換部30でデジタル信号に変換され、軸力処理部32の記憶部36に一時的に記憶される。
【0029】
そして、ボルト締め込み前の状態で取得した反射パルスのみ、ピーク検出部38に転送され、図3(a)に示すように、反射パルスをサンプリングしピーク値pの抽出を行う(S102)。続いて、ゼロクロス点検出部40は、ピーク検出部38からピーク値pを取得し、ピーク値p直後に時間軸と所定関係(この場合、時間軸プラス方向に対して減少する関係)で交差するゼロクロス点Z0を検出する(S103)。
【0030】
ゼロクロス点Z0の検出が完了したら、伝搬時間・軸力値演算部44は、超音波パルスの送信タイミングとゼロクロス点Z0の位置から締め込み前のボルト12に関し、軸力測定の基準となる超音波パルスの伝搬時間S0を算出し、記憶部36に記憶する(S104)。
【0031】
一方、検索エリア設定部42は、検出したゼロクロス点Z0(ピーク値pに基づいて決めたゼロクロス点)に基づいて次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE0を設定する(S105)。この検索エリアE0は、図3(b)に示すように、ゼロクロス点Z0を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定する。なお、第n回目と第n+1回目の伝搬時間の測定で、その伝搬時間の変化が最大t秒であるとすると、検索エリアE0(以下の示す検索エリアEiも同様)の幅の下限値は、2t以上必要となる。この時点でボルト12の締め込み前の処理が完了する。
【0032】
続いて、軸力測定装置10はボルト12の締め込み開始を指示する(S106)。この時、軸力処理部32は、以降の算出で使用する添え字“i”を「i=1」にセットする(S107)。ボルト12の締め込みが開始されると、超音波送受信回路部28は、所定単位時間毎に超音波探触子22を介して超音波パルスの送信を開始する(S108)。ここで、超音波パルスの所定時間毎の送信とは、使用する超音波パルスの周波数に基づく1周期の時間範囲内の時間であり、ボルト12の締付けスピードや使用する超音波パルスの減衰時間により定めることのできる単位時間であり、例えば、10ms〜20ms毎である。
【0033】
送信した超音波パルスは前述と同様にボルト先端部12bで反射し超音波探触子22に受信される(S109)。受信された反射パルスは、前回と同様に、超音波送受信回路部28で必要に応じて増幅され、A/D変換部30でデジタル信号に変換され、記憶部36に一時記憶され、ゼロクロス点検出部40に供給される。ゼロクロス点検出部40では、前回設定した検索エリアE0を呼び出し、当該検索エリアE0内に存在する前記時間軸と所定関係(減少しながらの交差)を有するゼロクロス点Zi、すなわちZ1を図3(b)に示すように検索する(S110)。前述したように検索エリアE0は、ゼロクロス点Z0を中心に使用する超音波パルスの周波数の1周期未満の幅であるため、マイナスの傾きを有するゼロクロス点は、2つ以上存在することがないので、容易に検索することができる。
【0034】
検索されたゼロクロス点Z1は、記憶部36に記憶されると共に(S111)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1が算出される(S112)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。ボルト12の弾性変形の範囲内では、ボルト12の軸方向の超音波パルスの伝搬時間の差分ΔTと軸力とは比例している。伝搬時間・軸力値演算部44は、この関係を示した対応テーブルを有し、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S113)、表示部34等に出力する(S114)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求していない場合には、ステップ(S113),(S114)はスキップする。
【0035】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S115)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0036】
一方、まだ、測定が終了していないと判断した場合には、検索エリア設定部42は、直前のゼロクロス点、この場合、ゼロクロス点Z1を使い、図3(c)に示すように、次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE1を設定する(S116)。そして、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」として(S117)、ステップ(S108)に戻り、締め込み開始後2回目の超音波パルスの送信を開始し、ステップ(S108)以下の処理をステップ(S115)で測定終了と判断されるまで繰り返す。
【0037】
すなわち、2回目のステップ(S110)では、図3(c)に示すように、検索エリアE1を用いて、ゼロクロス点Z2の検索が行われ、ステップ(S112)で伝搬時間S2が算出される。以下同様に、検索エリアE2・・・を用いて、ゼロクロス点Z3・・・、伝搬時間S3・・・が算出される。
【0038】
このように、ゼロクロス点は初回のみ例えばピーク値等を用いて検出し、2回目以降は、直前に検出したゼロクロス点に基づいて毎回更新設定される検索エリア内に存在する反射パルス上の時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。つまり、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出することが可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することできる。
【0039】
図4には、軸力測定装置10を用いた他の軸力測定方法を説明するフローチャートが示されている。
【0040】
ボルト12の締め込み作業を行う場合、ボルト12や当該ボルト12を螺合させるネジ穴に傷があったり、変形を生じていた場合、ボルト12の締め込み作業が安定してできない場合がある。ボルト12の締め込み作業が不安定な場合、軸力の変化も不安定になる。図2のフローチャートで示す手法は、ボルト12の締め込み状態が安定している場合、すなわち、軸力の変化が安定している場合に有効であるが、上述したように、ボルト12の締め込み状態が不安定になった場合には、直前のゼロクロス点に基づいて設定した検索エリアから、今回検索しようとしているゼロクロス点が外れてしまっている場合がある。このような状況に対応するために、図4のフローチャートに示すような手法が考えられる。
【0041】
図4のフローチャートにおいて、ステップ(S100)〜(S107)は、図2のフローチャートと同じであり、説明は省略する。
【0042】
図4のフローチャートに示す実施形態の場合、軸力測定装置10は、ボルト12の締め込み開始から継続的にボルト12に対するトルクをトルク検出部48がトルクセンサ24を介して監視している。また、角度検出部50が角度検出器26を介して監視している。そして、軸力処理部32は、締め込み対象のボルト12毎に、また使用する超音波パルス毎に、例えば、図5(a)に示すような、角度変化量とボルト12の超音波パルス伝搬時間の変化量の関係を示す予測テーブルを持っている。つまり、前回の測定タイミングから今回の測定タイミングの間に角度変化量が+m生じている場合、伝搬時間が+nだけ変化するはずであるという予測値を予め複数準備している。なお、トルクに関しても同様に、前回の測定タイミングから今回の測定タイミングの間にトルク変化量が+m生じている場合、伝搬時間が+nだけ変化するはずであるという予測値を予め複数準備している。
【0043】
検索エリア予測部46は、ボルト12の締め込みが開始されると、例えば角度検出部50からの回転角度変化量に関する情報を取得し(S200)、予測テーブル52を参照して、現在のボルト12の締め込み状態の場合、反射パルスの伝搬時間がどれくらいかかるかを認識し、ゼロクロス点を検出するためには検索エリアをどのあたりに設定すればよいかの予測値を算出する(S202)。具体的には、図5(a)に示すように、前回の測定タイミング(この場合、締め込み開始前)で設定された検索エリアE0に対して角度変化量が+mであると検出された場合に、図5(b)に示すように、予測テーブル52で示すように伝搬時間の変化+nに対応する分だけ検索エリアの中心をシフトするようにシフト量を算出し、検索エリア設定部42に供給し、当該検索エリア設定部42において、検索エリアE1の更新設定を行う(S202)。なお、ステップ(S200)において、ボルト12の回転角度を取得し、ゼロクロス点の検出エリアの予測値を算出しているが、例えば、予測テーブル52に、ボルト12に付与されるトルクの変化量とボルト12の超音波パルス伝搬時間の変化量の関係を保持させておき、トルク検出部48が認識しているトルクに基づいて、ゼロクロス点の検索エリアの予測値を算出するようにしてもよい。また、回転角度とトルクの両方の情報を認識し、両方の結果を比較し予測値の信頼性を向上させたり、回転角度やトルクの検出状態のよい方を選択的に使用するようにしてもよい。
【0044】
図6には、上述した検索エリアのシフトを反射パルスと関連付けて示されている。図6(a)において、まず、締め込み前のボルト12の反射パルスに対し、ピーク値pの抽出を行い(S102)、ピーク値p直後のゼロクロス点Z0の検出を行う(S103)。ここで、ボルト12の締め込み動作が安定して行われ、それに伴う軸力の増加も安定的に発生していれば、図6(b)に示すように、ゼロクロス点Z0を中心に設定した検索エリアE0内にゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1が存在するはずであるが、ボルト12の締め込み動作が安定して行われず、ボルト12の回転が速く、それに伴って軸力も増加した場合、図6(c)に示すように、ゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1が検索エリアE0に存在しなくなる。そこで、図6(c)に示すように、ステップ(S201)で算出した予測値に基づいて、検索エリアE0から検索エリアE1にシフトする。この時、シフト量は、前述したように実際のボルト12の回転角度に基づいて予測したものであるので、ゼロクロス点Z0に対応するゼロクロス点Z1を含む確率が非常に高くなる。また、この確率が向上することにより検索エリアの幅を狭くすることも可能で、検索時間の短縮も可能である。
【0045】
ゼロクロス点検出部40は、更新された検索エリアE1を検索対象として、実際のゼロクロス点Z1があるか否かの検索を行う(S203)。ゼロクロス点検出部40がゼロクロス点Z1を発見した場合、記憶部36にゼロクロス点Z1を記憶すると共に(S204)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1を算出する(S205)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、前述したように、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。伝搬時間・軸力値演算部44は、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S206)、表示部34等に出力する(S207)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求しない場合には、ステップ(S206),(S207)はスキップする。
【0046】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S208)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0047】
また、測定が終了していないと判断した場合には、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」とする(S209)。そして、所定タイミングで次の回の超音波パルスの送信を行い(S210)、その反射パルスの受信を行う(S211)。そして、ステップ(S200)へ戻り、締め込み開始後2回目の回転角度の取得を行い(S200)以下の処理をステップ(S208)で測定終了と判断されるまで繰り返す。
【0048】
なお、ステップ(S203)において、検索エリア内に時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見できなかった場合、軸力測定のためのゼロクロス点検索に失敗したと判断し、エラー処理を行い(S212)、一連の処理を終了する。ここで、エラー処理とは、例えば、表示部34にエラーメッセージを表示したり、音声や警報でユーザに軸力測定においてエラーが発生したことを通知する処理である。
【0049】
このように、図4に示す軸力測定方法によれば、ボルト12の締め込み状態が不安定な場合でも、回転角度検出やトルク検出を行い、ゼロクロス点の検索エリアを予測して設定することにより、ゼロクロス点の検索を迅速に行うことができる。
【0050】
なお、図2に示す測定方法と図4に示す測定方法とは、軸力測定装置10において、ユーザが選択スイッチ等により、適宜そのときに最適と思われる測定方法を選択できるようにすることが好ましい。もちろん、ボルト12の種類や締め込み条件等により自動選択できるようにしてもよい。
【0051】
図7には、上述した2種類の軸力測定方法を1つのボルト12に対する軸力測定時に選択的に適用する例が示されている。前述したように、図4に示す軸力測定の方法は、ボルト12の締め込み状態が不安定な場合に有効であるが、回転角度やトルクに基づき予測テーブルを参照し、ゼロクロス点の検出エリアの予測値を算出するため、付加的情報の使用が必要になったり、処理負担が大きくなったりする。そのため、締付け作業が安定している場合、効率の面から図2に示す方法を選択した方がよい。しかし、ボルト12の締め付け状態は、締め込み作業中に不安定になる場合もある。この場合、締め込み状態が安定している間は、図2に示す方法を用い、締め込み状態が不安定な時のみ図4に示す方法を用いることのより、効率的かつ確実な軸力測定を行うことができる。
【0052】
図7のフローチャートにおいて、ステップ(S100)〜(S110)までは、図2で説明した手順と同じであるため、その説明を省略する。
【0053】
ステップ(S106)で、ボルト12の締め込みが開始された後、ゼロクロス点検出部40は、ピーク値に基づくゼロクロス点Z0により設定された検索エリアE0を検索して、ゼロクロス点があるか否かの判断を行う(S300)。もし、ゼロクロス点検出部40がゼロクロス点Z1を発見した場合、記憶部36にゼロクロス点Z1を記憶すると共に(S301)、伝搬時間・軸力値演算部44に供給され、伝搬時間・軸力値演算部44においてゼロクロス点Z1に基づく反射パルスの伝搬時間S1を算出する(S302)。この時点で、軸力の測定が必要であるとユーザが要求した場合、伝搬時間・軸力値演算部44は記憶部36から伝搬時間S0を読み出し、伝搬時間S1との差分、すなわち、伝搬時間の変化量ΔTを算出する。そして、伝搬時間・軸力値演算部44は、変化量ΔTからボルト12の軸力を算出し(S303)、表示部34等に出力する(S304)。もちろん、この時点で軸力の算出を要求しない場合には、ステップ(S206),(S207)はスキップする。
【0054】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S305)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合は、一連の処理を終了する。
【0055】
一方、測定はまだ終了していないと判断された場合には、検索エリア設定部42は、直前のゼロクロス点、この場合、ゼロクロス点Z1を使い、図3(c)に示すように、次回のゼロクロス点を検索するための検索エリアE1を設定する(S306)。そして、軸力処理部32は、ゼロクロス点Zi、伝搬時間Si、検索エリアEi等に使用する添え字“i”を「i=i+1=1+1=2」として(S307)、ステップ(S108)に戻り、締め込み開始後2回目の超音波パルスの送信を開始し、ステップ(S108)以下の処理をステップ(S305)で測定終了と判断されるまで繰り返す。以上の処理を行っている間は、図2に示す処理と実質的に同じであり、検索エリアを直前に求めたゼロクロス点に基づいて、順次徐々にシフトすることにより、迅速に所望のゼロクロス点の検索、つまり、伝搬時間及び軸力の計算を行うことができる。
【0056】
ところで、ステップ(S300)で所望のゼロクロス点が存在しないと判断された場合、すなわち、ボルト12の締め込み作業中に、ボルト12の変形や傷等により締め込み回転速度やトルクが変動し、前回のゼロクロス点を中心に設定した検索エリアから今回の検索すべきゼロクロス点が外れてしまっていると判断される場合は、図4に示すボルト12の回転角度やトルクから検索エリアを推測する軸力測定方法を一時的に使用する。つまり、検索エリア予測部46は、例えば角度検出部50からの回転角度変化量に関する情報を取得し(S308)、予測テーブル52を参照して、現在のボルト12の締め込み状態の場合、反射パルスの伝搬時間がどれくらいかかるかを認識し、ゼロクロス点を検出するためには検索エリアをどのあたりに設定すればよいかの予測値を算出し(S309)、検索エリア設定部42において、検索エリアの更新設定を行う(S310)。なお、この時、トルク検出部48が認識しているトルクに基づいて、ゼロクロス点の検索エリアの予測値を算出するようにしてもよい。
【0057】
ゼロクロス点検出部40は、更新された検索エリアを検索対象として、ゼロクロス点があるか否かの検索を再度行い(S311)、もし、時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見されれば、ステップ(S301)に戻り、ゼロクロス点の記憶や伝搬時間の算出等ステップ(S301)以下の処理を継続する。
【0058】
一方、ボルト12の回転角度等により予測した検索エリアを用いても、検索エリア内に時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が発見できなかった場合、軸力測定のためのゼロクロス点検索に失敗したと判断し、エラー処理を行い(S3121)、一連の処理を終了する。
【0059】
このように、ボルト12の締め込み状態の変化に応じて、軸力測定方法を適宜切り替えゼロクロス点の検索を行うので、スムーズな検索処理を行いつつ、正確な軸力測定を行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態の図1に示す構成は、一例であり、同様な機能を達成する構成であれば、適宜変更可能であり、単一の制御部で全機能を実現したり、複数の機能を1つのブロック内で実行するようにしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、ゼロクロス点の検索エリアは初回に検出したゼロクロス点を基準に毎回更新され、その検索エリア内に存在する反射パルス上のゼロクロス点が選択される。この時、検索エリアの幅は、超音波パルスの周波数の1周期未満なので、時間軸と所定関係を有して交差するゼロクロス点は、2つ以上含まれることはなく、迅速にゼロクロス点を検索することができる。また、前回のゼロクロス点に基づいて検索エリアを設定するので、2回目以降に取得した反射パルスでは、毎回同じ波形部分に含まれる時間軸と所定関係を有するゼロクロス点が選択される。その結果、反射パルスの振幅変化に関わらず、最初に検出したゼロクロス点と同じ波形部分に関するゼロクロス点を検出可能となり、軸力測定のために伝搬時間取得を毎回正確に行うことが可能となり、軸力測定精度を向上することできる。
【0062】
また、締込み作業中に何らかの原因で軸力が急激に変化して、検出したいゼロクロス点の位置が大きく移動してしまう場合でも、ボルトの締付け状態に基づいて検索エリアを予測してゼロクロス点の検索を行うので、軸力測定のために伝搬時間取得を正確に行うことが可能となる。その結果、軸力測定精度を向上することができる。また、この場合、ゼロクロス点の検出が不連続に行われても正確なゼロクロス点を得ることが可能となり、伝搬時間及び軸力の取得を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法を実現する軸力測定装置の構成概念図を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の測定手順を説明するフローチャートである。
【図3】図2に示す軸力測定方法の測定手順を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の他の測定手順を説明するフローチャートである。
【図5】図4に示す軸力測定方法において、超音波パルスの伝搬時間の予測による検索エリアのシフトを説明する説明図である。
【図6】図4に示す軸力測定方法の測定手順を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の他の測定手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 軸力測定装置、12 ボルト、12a ボルト頭部、12b ボルト先端部、14 ナットランナ、16 装置本体部、18 ソケット、20 ハンドルシャフト、22 超音波探触子、24 トルクセンサ、26 角度検出器、28 超音波送受信回路部、30 A/D変換部、32 軸力処理部、34 表示部、36 記憶部、38 ピーク検出部、40 ゼロクロス点検出部、42 検索エリア設定部、44 伝搬時間・軸力演算部、46 検索エリア予測部、48
トルク検出部、50 角度検出部、52 予測テーブル。
Claims (5)
- ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を連続測定するボルトの軸力測定方法であって、
初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、
2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、
取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、
初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、
を含むことを特徴とするボルトの軸力測定方法。 - 請求項1記載の方法において、
初回に取得した反射パルスのゼロクロス点は、反射パルスのピーク値の前後いずれか一方であることを特徴とするボルトの軸力測定方法。 - ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信することにより得た超音波パルスの伝搬時間に基づいて軸力を測定するボルトの軸力測定方法であって、
初回に取得した反射パルスに対し、当該反射パルスが時間軸と所定関係で交差するゼロクロス点を抽出するステップと、
2回目以降に取得した反射パルスに対し、前記ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて設定した検索エリア内に存在する前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出するステップと、
取得した各ゼロクロス点に基づく各伝搬時間を取得するステップと、
初回に得たゼロクロス点に基づく伝搬時間と、2回目以降に得られたゼロクロス点に基づく各伝搬時間との比較により軸力を取得するステップと、
を含むことを特徴とするボルトの軸力測定方法。 - 請求項1または請求項2記載の方法において、
2回目以降に取得した反射パルスに対し、直前に抽出したゼロクロス点を中心に超音波パルスの周波数の1周期未満の幅で設定された検索エリア内に前記時間軸と所定関係を有するゼロクロス点を抽出できない場合、ボルトの締込み状態の変化量により予測した伝搬時間に基づいて検索エリアを更新しゼロクロス点を抽出することを特徴とするボルトの軸力測定方法。 - 請求項3または請求項4記載の方法において、
ボルトの締込み状態の変化量により予測する伝搬時間は、ボルトの締込み角度の変化または締込み時のトルク変化に基づいて予測することを特徴とするボルトの軸力測定方法。
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JP2006308342A (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Toyota Motor Corp | ボルト軸力測定装置 |
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-
2003
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