JP4296764B2 - ボルトの軸力確認方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの軸力確認方法、特に、締め付けが完了したボルトの軸力を高い信頼性のもとに確認するボルトの軸力確認方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からボルトの締め付けを確実に行うために、その締め付け力(ボルト軸力)を測定して所定のボルト軸力が得られるようにする装置があり、その中に超音波パルスを利用したものがある。この装置では、ボルトの頭部側上端面に超音波送受信手段(超音波探触子)を装着し、ここから超音波パルスをボルト内軸方向に送信し、ボルトの先端で反射した超音波パルスが帰ってくるまでの伝搬時間を計測している。超音波の伝搬時間は、ボルト軸力と所定の関係、すなわちボルト軸力が大きくなるほど長くなるため、伝搬時間の変化量からボルト軸力を求めることができる。なお、通常の場合、ボルトの弾性変形の範囲内では、伝搬時間と軸力とは比例する。このような超音波パルスを利用した軸力の測定を正確に行うためには、測定対象であるボルトと超音波探触子との接続を密着して行う必要があり、スプリング等を用いて両者の良好な密着状態を保証して測定精度を向上する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、同一軸力の測定を複数回行うことにより測定時のノイズを除去して計測信頼性を向上する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−348878号公報(図1)
【特許文献2】
特開平7−280677号公報(図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ボルトの軸力を測定するためには、ボルトが締め付けられることにより生じる伝搬時間の変化を認識する必要がある。つまり、締め付け前の伝搬時間を測定すると共に、締め付け後の伝搬時間を測定し、両者を比較する必要がある。従って、ボルトの締め付け工程で、使用するボルトの締め付け前の初期状態の測定を行い、そのボルトを用いて実際の締め付けを開始する。この時、締め付けながら超音波の伝搬時間の変化を順次測定し、予め測定しておいた初期状態との比較を順次行って軸力の算出を行っている。そした、所定の軸力になるまで締め付け作業を行うことになる。
【0005】
このように軸力の測定は、初期状態との比較が必要になるので、締結完了後の軸力確認は、従来特に行われていなかった。もし、締結完了後の軸力確認を締付け工程に続く検査工程、或いは、別途抜き取り検査等で行う場合には、検査段階で得た締結済みボルトのデータと、締付け工程で測定した締付け前の初期状態ののデータとを用いて軸力の算出を行うことになる。
【0006】
しかし、2工程に跨る異なる条件で測定したデータを用いて軸力の算出を行う場合、その精度が十分保証されない場合がある。つまり、異なる工程で異なる測定器によって得たデータを流用することは信頼性の低下に繋がる可能性があるという問題がある。従って、測定精度を向上してもデータの流用を行う限り信頼性の向上を良好にできないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、締結完了済みのボルトの軸力を他の工程でのデータを用いることなく軸力確認を行うことのできるボルトの軸力確認方法を提供することを目的とする。また、その軸力確認がボルトの締結品質の低下を招かない軸力確認方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、締結済みのボルトの軸力確認方法であって、締結済みのボルトのボルト頭部から軸方向に超音波パルスを送信し、ボルト端部で反射した反射パルスを受信し、送信から受信までの往復に要した第1時間を計測するステップと、締結済みのボルトを完全緩み状態まで緩めるステップと、完全緩み状態のボルト頭部から軸方向に超音波パルスを送信し、ボルト端部で反射した反射パルスを受信し、送信から受信までの往復に要した第2時間を計測するステップと、計測した第1時間及び第2時間に基づき締結済み時のボルトの軸力を算出するステップと、完全緩み状態まで緩めたボルトを、算出した締結済み時のボルトの軸力まで復帰させる再締付けを行うステップと、ボルトの緩め動作開始後、再締付け動作が完了するまでの間に、締緩工具内に配置された超音波探触子がボルト頭部から軸方向に送信した超音波パルスの反射パルスを所定時間受信しない場合に前記ボルトのボルト頭部と締緩工具とが分離したと判断して再締付け未完了警報を出力するステップ、を含むことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、信頼性の低いデータを用いることなく、連続的に軸力の測定を行うことができるので、信頼性の高い軸力確認を行うことができる。
【0011】
また、この構成によれば、軸力測定のために一度緩めたボルトを確実に元の状態、つまり締結済み状態まで復帰させることが可能であり、軸力確認がボルトの締結品質の低下を招くことを防止することができる。
【0012】
ここで、未完了警報とは、表示灯やメッセージによる視覚的な警報でもよいし、音声やアラームによる聴覚的な警報でもよい。この構成によれば、軸力確認のために緩めたボルトが緩んだ状態で放置されることを確実に防止可能になり、軸力確認がボルトの締結品質の低下を招くことを確実に防止することができる。
【0013】
また、この構成によれば、新たな検出機構を設けることなく再締付け未完了警報のための検出動作を行うことができるので、シンプルな構成により良好な軸力確認を行うことができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、ボルトの完全緩み状態の検出は、ボルトの緩み方向の回転角度の変化中にボルトに付与されるトルクの所定値以下状態が所定時間継続した場合に行うことを特徴とする。
【0015】
ここで、回転トルクの所定値以下状態とは、例えば回転トルク「ゼロ」の状態である。例えば、回転トルクのみの検出で完全緩み状態の検出を行うと、ボルトの緩みが未完全な状態でもその緩め回転を停止すれば、回転トルクはゼロになってしまい、あたかもボルトが完全緩み状態になったと誤認識してしまう虞があるが、回転角度との比較を行うことにより、上述のような誤認識を排除することができる。このように、正確な完全緩み状態の検出を行うことが可能になるので、軸力測定精度の向上に寄与することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0020】
図1には、本実施形態の軸力確認方法を実現する軸力確認装置10の構成概念図が示されている。この軸力確認装置10は大別して、軸力の確認対象であるボルト12の締め付け及び緩めを行うレンチ本体部14と、当該レンチ本体部14を介して各種情報を収集し、実際の軸力の測定等を行う装置本体部16とで構成されている。
【0021】
レンチ本体部14は、ボルト頭部12aのほぼ全体を包含しボルト12を回転させて締め付け及び緩めを行うソケット(締緩工具)18と、当該ソケット18と接続されソケット18を所定方向に回転させるハンドルシャフト20とで構成されている。ソケット18の内部には、ボルト頭部12aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部12bで反射した反射パルスを受信する超音波送受信手段(例えば、超音波探触子)22が配置されている。この超音波探触子22は、ソケット18をボルト頭部12aにセットした状態で、ボルト頭部12aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝搬経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部12aの頂部端面は研磨して、超音波探触子22と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与することも好適である。また、ボルト12のネジ側端面も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0022】
また、ハンドルシャフト20には、後述するがボルト12の緩み状態を監視するためのトルクセンサ24(例えば、歪みゲージ)やソケット18の回転角度、すなわちボルト12の回転角度を検出するための角度検出器26(例えば、小型ジャイロ)が内蔵されている。また、ソケット18に内蔵された超音波探触子22によるデータの収集のタイミングやデータの記憶、表示のリセット等を行うための操作スイッチ28が配置されている。なお、ハンドルシャフト20は、通常のレンチと同様に、ソケット18を装着する軸30がラチェット機構を有し、効率的にソケット18を所望の方向に回転させられるようになっている。
【0023】
前記超音波探触子22、トルクセンサ24、角度検出器26等の信号線を束ねたケーブル32は、装置本体部16側に接続され、それぞれ、超音波送受信部34、トルク認識部36、角度認識部38に接続され、各情報を軸力確認装置10の全体制御を行っている制御部40に提供している。また、操作スイッチ28からの操作信号は直接、制御部40に供給されるようになっている。
【0024】
超音波送受信部34は、超音波探触子22に対し、所定周波数の超音波パルスを所定間隔で送信するように信号を発生すると共に、ボルト頭部12a先端面から内軸方向に送信し、ボルト先端部12bで反射した超音波パルスの受信を行い制御部40に供給している。また、トルク認識部36は、歪みゲージ等で構成されるトルクセンサ24で検出したハンドルシャフト20のボルト12の締め込み動作時または緩め動作時の歪み量を認識し、その歪み量をトルクに換算し、制御部40に供給している。また、角度認識部38は、ジャイロ等で構成される角度検出器26からの信号に基づきハンドルシャフト20の回転操作量、すなわちソケット18の回転角度を認識し、制御部40に供給している。
【0025】
制御部40には、伝搬時間算出部42が接続されている。この伝搬時間算出部42は、制御部40を介して、超音波送受信部34から得た超音波パルスの送受信信号に基づいてボルト先端部12bを経由した往復時間である伝搬時間の算出を行っている。前述したように通常の場合、ボルト12の弾性変形の範囲内では、ボルト12の軸方向の超音波の伝搬時間と軸力とは比例する。軸力算出部44は、この関係を示した対応テーブル44aを有し、任意の2タイミングで伝搬時間算出部42が算出した伝搬時間の差を算出し、その差分からボルト12の軸力を算出する。
【0026】
この他、制御部40には、軸力算出部44が算出した軸力を一時的に記憶する記憶部46、軸力確認装置10の操作状態や算出した軸力の表示を行う表示部48、軸力確認装置10が正しく使用されなかった場合に警報を出力する警報処理部50等が接続されている。なお、警報処理部50は、例えば、スピーカ50a等から警報音や警報メッセージを出力したり、表示部48上に警報を表示したりする。
【0027】
このように構成される軸力確認装置10の動作を図2以降の説明図及びフローチャートを用いて説明する。
【0028】
まず、ボルト12の締め付け工程を経て、検査工程に送られてきた締結済みボルト12の軸力を測定するために、軸力確認装置10のソケット18を図2(a)のように装着する。前述したように、軸力測定のために超音波パルスをボルト12の軸方向に良好に送信するためには、超音波探触子22とボルト頭部12aとの密着が必要であるので、超音波探触子22はスプリング等を用いてボルト頭部12aに付勢したり、音響整合剤等の中間物質を利用して音響インピーダンスの不整合を抑制することが好ましい。
【0029】
ソケット18の良好な装着が確認されたら、検査作業者は操作スイッチ28を押下し、初期データの収集を開始する(S100)。装置本体部16の超音波送受信部34は、所定間隔(例えば0.5秒)でボルト12の軸方向に超音波パルスの送信及び反射パルスの受信を行っている。従って、超音波送受信部34は操作スイッチ28が押下されたタイミングで超音波パルスの送受信情報を制御部40に提供し、伝搬時間算出部42は、制御部40を介して得た情報に基づき、締結済み状態のボルト12における超音波の伝搬時間、つまり超音波パルスの往復時間(第1時間)を算出する。
【0030】
制御部40は、操作スイッチ28が押下されたタイミングで超音波パルスの送受信情報の取得に成功したら表示部48を介して計測完了表示(レンチ本体部14上に設けたLED等の点灯でもよい)を行い、レンチ本体部14によるボルト12の緩め開始指示を行うと共に、ソケット18とボルト頭部12aとの係合監視を開始する(S101)。なお、この係合監視に関しては後述する。
【0031】
図2(b)に示すように、検査作業者はレンチ本体部14をボルト12の軸と直交する平面内で旋回させボルト12を緩める。この間、装置本体部16のトルク認識部36及び角度認識部38は、トルクセンサ24及び角度検出器26を介して、トルクの変化及び回転角度の変化を監視する。ここで、トルク認識部36が認識するトルクは、ボルト12の締まり具合を表す量ではなく、現在どれくらいの力がボルト12に働いているかを示すものである。図4に示すように、ボルト12を緩めるためにレンチ本体部14を旋回させようとすると、実線で示すように徐々にトルクが上昇し、ボルト12の緩みだした瞬間がトルク最大となる。同時に、ボルト12が緩み始め、ボルト12が回転(レンチ本体部14が回転)し始める。前述したように、トルクはボルト12に働いている力を示しているだけなので、図4に示すように、緩め作業の途中で手を休めれば、トルクは「ゼロ」になる。つまり、ボルト12が完全に緩んでいない状態でも手を休めればトルクは「ゼロ」を示す。従って、ボルト12が完全に緩んだか否かを監視する場合に、トルクのみを監視していただけでは、誤認識の虞がある。本実施形態においては、この誤認識を防止するために、トルクと共に回転角度の監視も行っている。
【0032】
図4に示すように、ボルト12を緩める手を休めた場合、角度検出器26が検出する回転角度の変化も休止する。一方、締める手を休めることなく、レンチ本体部14を旋回させると、ボルト12が完全緩み状態になった場合には、トルクが「ゼロ」になるが、回転角度の変化は継続して発生する。従って、本実施形態においては、レンチ本体部14の旋回が継続中であり、かつ所定時間t0(例えば、t0=1秒間)の間、トルクの発生が「ゼロ」の場合に、制御部40はボルト12が完全緩み状態になったと判断する(S102)。なお、ボルト12とボルト孔との接触抵抗があるためトルクが所定値以下(ゼロではない)になった場合に完全緩み状態になったと見なす場合もある。
【0033】
制御部40は、完全緩み状態になった判断したら表示部48や図示しないLED等により緩めが完了した旨の表示を検査作業者に行い(S103)、完全緩み後のボルト12の軸力を測定すべく、超音波送受信部34を介して超音波パルスの送受信に関するデータを収集する(S104)。そして、伝搬時間算出部42は制御部40を介して得た超音波パルスの往復時間(第2時間)に基づいて完全緩み状態のボルト12における超音波の伝搬時間を算出する。
【0034】
続いて、軸力算出部44は、S100で得た締結時の初期データに基づいて得たボルト12の超音波の伝搬時間とS104で得た完全緩み状態の時のデータに基づいて得たボルト12の超音波の伝搬時間との差分を求め、伝搬時間の差と軸力の関係を示す対応テーブル44aを参照し軸力の算出を行うと共に、図2(c)に示すようにその値(例えば、軸力:75KN)を表示部48に表示する(S105)。
【0035】
このように、本実施形態においては、ボルト締め付け工程において収集したデータを用いることなく、検査工程内のみで得られるデータに基づいて、締結済みのボルト12の軸力の測定を行うので、信頼性の高い軸力確認を行うことができる。なお、締結されているボルト12を緩めているので、図2(c)において表示される値は、本来、「−」であるが、検査作業者の混乱を避けるため、図2(c)のように「+」表示にすることが望ましい。
【0036】
この段階で、軸力確認の本質部分は終了するが、一度緩めたボルト12は元の状態に戻し、正規製品として取り扱えるようにする必要がある。本実施形態においては、ボルト12を元の状態に戻すまでを軸力確認作業に含むものとする。
【0037】
検査作業者は、軸力の表示(例えば、75KN)が行われた場合、次の作業として、ボルト12の締結状態を復元するために、操作スイッチ28を再度押下し、表示された軸力を記憶部46に保存すると共に、表示部48の表示をリセット(0KNの表示)を行う(S106)。一方、制御部40は、表示部48や図示しないLED等を介して、再締め付けの開始指示を行う(S107)。そして、検査作業者は、レンチ本体部14を締め付け方向に旋回させ、ボルト12の締め付けを開始する。この間、制御部40は、超音波送受信部34、伝搬時間算出部42、軸力算出部44等からの情報に基づいて、現在の軸力を上述と同様に算出し、記憶部46に記憶した初期の軸力に到達したか否かの判断を行う(S108)。この間、表示部48には、リアルタイムの軸力(0からの増加)を表示してもよいし、記憶した軸力に達するまで図2(e)にように非表示としてもよい。
【0038】
そして、現在の軸力が制御部40が記憶部46に記憶した初期の軸力に到達したと判断した場合、図2(f)に示すように、表示部48に軸力を表示し、検査作業者に対し再締め付け終了の表示を行う(S109)。なお、記憶した軸力に到達した場合には、表示部48の表示色の色を変更したり、音声により到達を告知するようにすることが望ましい。
【0039】
このように、本実施形態においては、軸力の確認を検査工程のみで得られるデータに基づいて行うと共に、その軸力に基づいてボルト12の締結状態を軸力確認前の状態まで確実に戻し、正規製品として扱うことを可能にしている。
【0040】
ところで、ここで重要なことは、緩めたボルト12を確実に元の状態に締め直すこと、つまり締め忘れが発生しないようにすることである。本実施形態においては、ボルト12を緩めるために係合させたソケット18がボルト12の再締め付けが完了するまでボルト頭部12aから外れないことを監視することにより、上述のような締め忘れが発生しないようにしている。つまり、前述したように、S101において、ボルト12の緩め開始を指示すると同時に、制御部40は、ソケット18の係合監視を開始する。
【0041】
具体的には、図5のフローチャートに示すように、制御部40は、緩め作業の開始を指示するとともに、超音波送受信部34を介して、送信した超音波パルスの反射パルスを所定時間内に受信しているか否かの監視を行っている(S200)。もし、所定時間内、例えば1.5秒以上経過しても反射パルスの受信ができない場合、ボルト頭部12aと超音波探触子22の接触が離れた、すなわち、ボルト12からソケット18が外されたと判断することができる。ここで、ボルト12からソケット18が外されるのは、ボルト12の再締め付けが完了した場合か、ボルト12の緩め開始から再締め付け完了前の間にその作業を中断しまった場合である。従って、制御部40は、S109の再締め付け終了表示を行う前に、反射パルスの受信ができなくなった場合には(S201)、ボルト12が緩んだ状態で放置される可能性があると判断し、警報処理部50を介して、例えば、スピーカ50aから未完了警報として警報音や警告メッセージを出力したり、表示部48に警告を表示する(S202)。一方、反射パルスの受信ができなくなったが、再締め付け終了表示を行っている場合には、何ら出力を行うこと無く処理を終了する。
【0042】
このように、ボルト12の緩め開始から再締め付け完了までソケット18の係合状態を監視して、確実に再締め付けが完了することを確認することにより、軸力確認のために緩めたボルトが緩んだ状態で放置されることを防止して、軸力確認がボルトの締結品質の低下を招くことを確実に防止することができる。なお、本実施形態においては、軸力測定に必要な超音波パルスを用いて、ボルト12の再締め付け未完了を検出することができるので、専用の検出機構の追加を必要とすることなく低コストで、軸力確認に伴う品質低下を招くことのない良好な一連の作業を行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態の図1に示す構成は、一例であり、同様な機能を達成する構成であれば、適宜変更可能であり、単一の制御部で全機能を実現したり、複数の機能を1つのブロック内で実行するようにしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。また、本実施形態においては、ボルト12とソケット18との分離認識を超音波パルスの受信状態に基づいて行ったが、他のセンサ、例えば、磁気センサや光電センサ等を用いても同様な効果を得ることができる。また、超音波パルスの送信間隔や、反射パルスを受信しているか否かの監視間隔は、任意であり適宜選択することが好ましい。
【0044】
また、本実施形態においては、ボルト12の締緩を行う場合、手動にてソケット18を回す例を説明したが、モータや圧縮エアー等を用いたナットランナーによる自動締緩工具に適用しても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、信頼性の低いデータを用いることなく連続的に軸力の測定を行うことができるので、信頼性の高い軸力確認を行うことができる。また、軸力測定のために一度緩めたボルトを確実に元の状態、つまり締結済み状態まで復帰させることが可能であり、軸力確認がボルトの締結品質の低下を招くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力確認方法を実現する軸力確認装置の構成概念図を説明する説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力確認方法の確認手順を説明する説明図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力確認方法の確認手順を説明するフローチャートである。
【図4】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力確認方法における完全緩み状態の検出法を説明する説明図である。
【図5】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力確認方法における再締め付け忘れを防止するための警報出力を行う手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 軸力確認装置、12 ボルト、12a ボルト頭部、12b ボルト先端部、14 レンチ本体部、16 装置本体部、18 ソケット、20 ハンドルシャフト、22 超音波探触子、24 トルクセンサ、26 角度検出器、28 操作スイッチ、34 超音波送受信部、36 トルク認識部、38 角度認識部、40 制御部、42 伝搬時間算出部、44 軸力算出部、44a 対応テーブル、46 記憶部、48 表示部、50 警報処理部、50a スピーカ。
Claims (2)
- 締結済みのボルトの軸力確認方法であって、
締結済みのボルトのボルト頭部から軸方向に超音波パルスを送信し、ボルト端部で反射した反射パルスを受信し、送信から受信までの往復に要した第1時間を計測するステップと、
締結済みのボルトを完全緩み状態まで緩めるステップと、
完全緩み状態のボルト頭部から軸方向に超音波パルスを送信し、ボルト端部で反射した反射パルスを受信し、送信から受信までの往復に要した第2時間を計測するステップと、
計測した第1時間及び第2時間に基づき締結済み時のボルトの軸力を算出するステップと、
完全緩み状態まで緩めたボルトを、算出した締結済み時のボルトの軸力まで復帰させる再締付けを行うステップと、
ボルトの緩め動作開始後、再締付け動作が完了するまでの間に、締緩工具内に配置された超音波探触子がボルト頭部から軸方向に送信した超音波パルスの反射パルスを所定時間受信しない場合に前記ボルトのボルト頭部と締緩工具とが分離したと判断して再締付け未完了警報を出力するステップ、
を含むことを特徴とするボルトの軸力確認方法。 - 請求項1記載の方法において、
ボルトの完全緩み状態の検出は、ボルトの緩み方向の回転角度の変化中にボルトに付与されるトルクの所定値以下状態が所定時間継続した場合に行うことを特徴とするボルトの軸力確認方法。
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