JP4027826B2 - ボルトの軸力測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの軸力測定方法、特に、軸力測定中に測定エラーが発生した場合でもボルト締付け開始からの総合的な軸力測定を完了させることのできるボルトの軸力測定方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からボルトの締め付けを確実に行うために、その締め付け力(ボルト軸力)を測定しながら締め込みを行う装置があり、その中に超音波パルスを利用したものがある。この装置では、ボルトの頭部側上端面に超音波送受信手段(超音波探触子)を接触させて、ここから超音波パルスをボルト内軸方向に送信し、ボルトの先端で反射した超音波パルスが帰ってくるまでの伝播時間を計測している。超音波の伝播時間は、ボルト軸力と所定の関係(ボルト軸力が大きくなるほど伝播時間が長くなる)があるため、伝播時間の変化量からボルト軸力を求めることができる。なお、通常の場合、ボルトの弾性変形の範囲内では、伝播時間と軸力とは比例する。
【0003】
上述のような超音波パルスを用いた軸力測定においては、超音波パルスを送信してから帰ってくるまでの伝播時間を、ボルトの締付けが行われている各タイミングで受信する反射パルスを用いて正確に測定する必要がある。この場合、正確な伝播時間を得るためには、受信される反射パルスにおいて、毎回同じ波形位置を基準に測定することが必要となる。つまり、測定条件を毎回一致させる必要がある。そのため、例えば、取得した反射パルスの振幅に対し、閾値を設定し、これを最初に越えた時点を基準にして、測定に使用した超音波探触子の共振周波数の半波長の整数倍の時間位置に前記半波長の幅に相当する幅のゲートを設定して、このゲート内で最大ピーク値を検出し、この最大ピーク値までの時間値を反射パルスの伝播時間値をするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2944004号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超音波パルスの振幅は、ボルトの締付け状態の変化やボルトの変形、破損、ボルト頭部と超音波探触子との接触状態の変化等が原因で変化し易い。そのため、予め決められた閾値を越えるタイミング(例えば最初に閾値を越えるタイミング)がずれてしまう場合がある。つまり、初回の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分と第n回目の反射パルスで認識したピーク値を含む波形部分とが反射パルス上の全く異なる部分で認識されて、測定条件が一致しなくなる。その結果一貫性のある連続した測定ができず、信頼性の非常に低い測定になってしまい、測定エラーと認識されてしまう場合がある。また、同様に、ボルトの締付け状態の変化やボルトの変形や破損、ボルト頭部と超音波探触子との接触状態の変化等が発生した場合、振幅が極端に小さくなってしまう場合がある。この場合、閾値を越えるピーク値を全く検出できなくなり、やはり同じ波形位置の測定点が得られない、つまり連続した測定が行われず、測定エラーと認識される。軸力の測定は、締付け前の状態と、締付け中や締付け完了後の状態との比較に基づき行うため、比較対象となる時間値(伝播時間)を決めるピーク値が反射パルス上の同じ波形位置で測定できないと、測定値の比較に一貫性が得られず、軸力の変化を算出することができないという問題がある。また、反射パルスの振幅が変化しない場合でも一時的にボルト頭部と超音波探触子とが非接触になった場合、連続測定が一時的に中断され、中断前後で同じ波形部分の測定値が得られているか否かの信頼性が確保できず、軸力測定自体の信頼性の低下につながるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、軸力測定中に測定エラーが発生した場合でも総合的な軸力測定を完了させることのできるボルトの軸力測定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、前記ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信し、当該反射パルスから特定した測定点に基づいて得た超音波パルスの伝播時間により軸力を測定するボルトの軸力測定方法であって、順次受信される各反射パルス上の同じ波形部分で測定点が連続的に取得できるか否かを認識するステップと、同じ波形部分における測定点の連続取得が中断された場合に、中断直前までに得た測定点に基づく伝播時間により中断直前までの中断前軸力を測定するステップと、反射パルスの受信再開後に各反射パルス上の同じ波形部分で測定点の連続取得が再開された場合に、連続取得が再開された測定点に基づく伝播時間により受信再開後の中断後軸力を測定するステップと、測定点の連続取得の中断前後で測定した中断前軸力と中断後軸力とに基づいて、ボルト締付け開始からの総合軸力を算出するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、反射パルスから特定した測定点とは、例えば、反射パルスの振幅に対して所定の閾値を設け、それを最初に越える反射パルスのピーク値や、そのピーク値の出現後に反射パルスが時間軸と交差するゼロクロス点等であり、反射パルス上で特徴付けを行える点である。また、順次受信される反射パルス上の同じ波形部分で測定点が連続的に取得できるか否かを認識するとは、例えば、測定点に基づく伝播時間の変化の急激な変化を検出することにより、異なる波形部部であるか否かの判別を行うことができる。
【0009】
この構成によれば、連続取得が中断される直前までの測定点を用いることによって、連続取得中断前までの軸力の変化を正確に得ることができる。また、連続取得が再開された場合、再開時点を軸力測定の新たな基準点として軸力変化を正確に取得することができる。そして、中断前後にそれぞれ正確に取得された軸力の変化に基づいて全体的な総合軸力を算出しているので、測定が一時的に中断される等、従来測定エラーとされていた場合でも、ボルトの締付け作業に伴う軸力の全体的な測定を完了させることができる。
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、同じ波形部分における測定点の連続取得が中断された場合、中断後の測定点の特定基準を変更するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
ここで、特定基準の変更とは、測定点を特定するための基準(閾値)の変更である。この構成によれば、反射パルスの波形が大きく変化した場合でも、測定点の取得を迅速に行い測定点の連続取得をスムーズに再開することが可能となり、測定点の連続取得再開後の軸力測定を正確に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0013】
図1には、本実施形態の軸力測定方法を実現する軸力測定装置10の概念構成図が示されている。この軸力測定装置10は大別して、軸力の測定対象であるボルト12の締め込みを行うナットランナ14と、当該ナットランナ14を介して各種情報を収集し、実際の軸力の測定を行う装置本体部16とで構成されている。
【0014】
ナットランナ14は、ボルト頭部12aのほぼ全体を包含しボルト12を回転させて締め込みを行うソケット18と、当該ソケット18と接続されソケット18を所定方向に回転させるハンドルシャフト20(一部のみ図示)とで構成されている。ソケット18の内部には、ボルト頭部12aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部12bで反射した反射パルスを受信する超音波センサ(例えば、超音波探触子)22が配置されている。この超音波探触子22は、ソケット18をボルト頭部12aにセットした状態で、ボルト頭部12aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝播経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部12aの頂部端面は研磨して、超音波探触子22と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与することも好適である。さらに、ボルト12のネジ側端面も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0015】
前記装置本体部16内部には、前記超音波探触子22による超音波パルスの送受信制御を行う超音波送受信回路部24、超音波送受信回路部24が取得したアナログ信号である超音波パルス(反射パルス)をデジタル信号に変換するA/D変換部26及び測定した軸力やその他の中間処理時のデータ等を表示したり、軸力測定装置10の動作状態や操作状況等をユーザに提示する表示部30等を含んでいる。
【0016】
軸力処理部28は、超音波探触子22を介して取得した反射パルス及び超音波送受信回路部24が超音波パルスの送信を行った時の送信タイミング等各種データを記憶するデータ記憶部32を有している。また、軸力処理部28には、データ記憶部32が記憶した反射パルスについて、そのピーク値を検出するピーク検出部34と、検出したピーク値に基づいて、反射パルスと時間軸とが有する所定関係、例えば反射パルスの進行方向に対して振幅が減少しながら交差するゼロクロス点を抽出するゼロクロス点検出部36が含まれている。また、検出したゼロクロス点に基づきボルト12内における超音波パルスの伝播時間を算出する伝播時間算出部38を含み、算出した伝播時間が所定の範囲(例えば、測定に使用した超音波探触子22の共振周波数の1波長分の時間範囲)内にあるか否かを判断し、測定の条件が各サンプリング時に一致しているか否か、すなわち、測定の連続性を判定する連続性判定部40を含んでいる。さらに、連続性判定部40において測定の連続性が確認されている場合に、算出した伝播時間に基づいて軸力を算出する軸力算出部42、及び算出した軸力を記憶する軸力記憶部44等を含んでいる。
【0017】
また、この軸力記憶部44には、本実施形態において、特徴的な構成である軸力統合部46が接続されている。この軸力統合部46は、連続性判定部40からの判定結果に基づいて、軸力記憶部44に記憶された複数の軸力を統合する処理を行い、最終的に得られた総合軸力を表示部30に出力する。
【0018】
この他、本実施形態においては、ピーク検出部34で反射パルスのピーク値を検出する時に用いる閾値を設定したり、ピーク値が検出できない場合に閾値を変更して、確実にピーク値を検出するようにするための閾値設定/変更部48を含んでいる。
【0019】
上述のような構成を有する軸力測定装置10の動作を図2のフローチャート及び図3等のピーク値やゼロクロス点の検出概念図を用いて説明する。なお、実際の処理では、反射パルスはデジタル信号に変換され処理されるが、理解を容易にするために、図3等ではアナログ信号上にピーク値やゼロクロス点を示し説明する。
【0020】
周知のように、ボルト12の締め込みにより軸力が上昇し、ボルト12の長さが伸びる。この伸びに応じてボルト12のボルト頭部12aから送信した超音波パルスがボルト先端部12bで反射してボルト頭部12aに戻って来るまでの伝播時間に変化が生じる。ボルト12の軸力測定はこの現象を利用して行うため、任意の2タイミングにおける超音波パルスの伝播時間を測定する必要がある。通常は、軸力が発生していない初期の状態、すなわち締め込み前のボルト12に対する超音波パルスの伝播時間を測定し、その後、ボルト12の締め込みを開始した後のボルト12に対する超音波パルスの伝播時間とを測定し比較する。
【0021】
そこで、まず、準備段階として、図1に示すように、締め込み前のボルト12のボルト頭部12aにナットランナ14のソケット18を装着する。この時、ソケット18内部の超音波探触子22の超音波送受波面がボルト頭部12aに密着する必要がある。前述したように、超音波探触子22とボルト頭部12aとの密着性を確保するために、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を塗布しておくことが望ましい。そして、超音波送受信回路部24は、まず、この状態で超音波パルスをボルト12のボルト頭部12aから軸方向(ボルト先端部12bに向かって)送信し、ボルト先端部12bで反射してきた反射パルスの受信を行う。受信した反射パルス(アナログ信号)は、超音波送受信回路部24で増幅され、A/D変換部26でデジタル信号に変換され、軸力処理部28のデータ記憶部32に一時的に記憶される。
【0022】
そして、データ記憶部32に記憶された反射パルスが、ピーク検出部34に転送されサンプリングが行われる(S100)。なお、初回の場合のみ、ボルト締め込み前の状態で取得した反射パルスのサンプリングが行われる。ピーク検出部34は、反射パルスの振幅、すなわち電圧値のピーク値を検出している。本実施形態の場合、ピーク検出部34は、閾値設定/変更部48により、図3(a)に示すように、所定電圧の閾値が設定され、最初にこの閾値を超えた波形部分の最大値をピーク値P1として認識する。続いて、ゼロクロス点検出部36は、ピーク値P1の出現後に反射パルスが時間軸と交差するゼロクロス点Z1を検出し(S101)、この点を測定点とする。もちろん、測定点は反射パルス上で特徴付けられ、サンプリング毎に同じ波形位置を認識できる点であれば任意であり、例えば、ピーク値直前に存在するゼロクロス点でもよいし、ピーク値そのものでもよい。
【0023】
ゼロクロス点Z1の検出が完了したら、連続性判定部40に含まれる伝播時間算出部38は、超音波パルスの送信タイミングとゼロクロス点Z1の位置から締め込み前のボルト12に関し、軸力測定に用いる超音波パルスの伝播時間を算出する(S102)。ここで、連続性判定部40は、算出された伝播時間が初回のサンプリングによるものか否かの判断を行う(S103)。初回サンプリングの場合、ステップ(S100)に戻り、次の反射パルスのサンプリングを行いステップ(S101)以降の処理を行い、軸力測定に用いる2つ目以降の伝播時間を求める。
【0024】
一方、ステップ(S103)において、初回サンプリングではないと判断した場合、連続性判定部40は、前回取得した伝播時間と比較して急激な伝播時間の変化が無いかを判定する。具体的には、新たに算出した伝播時間が測定に使用した超音波探触子22の共振周波数の1波長分の時間範囲を越えるような急激な変化をしていないか否かを判定する。もし、伝播時間が前回の伝播時間に比して急激に変化していない場合には、前回の測定と今回の測定は、反射パルス上の同じ波形位置に対して、同じ条件により行われた、測定に連続性があるものであると判断して(S104)、軸力測定のための伝播時間の取得が正常に行われていると認識する。つまり、図3(b)に示すように、前回のサンプリング時にピーク値と認識した波形位置と同じ波形位置でピーク値P2を検出でき、その直後のゼロクロス点Z2を検出することができ伝播時間の取得が正常に行われていると判断する。なお、伝播時間の変化は、ボルト12を締め付けたことにより当該ボルト12の長さが延びたことに起因したものである。
【0025】
この時点で、任意の2タイミングにおける伝播時間が取得できたので、ボルト12の軸力Fの計算を実行する(S105)。続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S106)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了して、終了命令が出ている場合は、軸力測定は正常に終了したものと認識し、算出した軸力を表示部30等に表示し(S107)、一連の軸力測定処理を終了する。
【0026】
一方、ステップ(S106)で、軸力測定装置10が軸力測定がまだ終了していないと判断した場合、ステップ(S100)に戻り、次の反射パルスのサンプリングを実施し、ステップ(S101)以下の処理を軸力の測定が終了したと判断されるまで繰り返し行う。
【0027】
ところで、連続性判定部40は、ステップ(S104)で、測定の連続性が無いと判断した場合、つまり、新たに算出した伝播時間が測定に使用した超音波探触子22の共振周波数の1波長分の時間範囲を越えるような急激な変化をした場合、連続的な測定が中断されたとみなし、軸力算出部42が算出した連続性が中断される直前の軸力Fを軸力FL(中断前軸力)として軸力記憶部44に記憶させる(S108)。前述したように、ボルト12の締付け状態の変化やボルトの変形や破損、ボルト頭部と超音波探触子との接触状態の変化等が原因で反射パルスに大きな変動が生じて、正常に反射パルスの伝播時間が取得できなくなった場合、正常に伝播時間の取得ができていた時点までの正確な軸力を記憶する。
【0028】
その後、ピーク検出部34は、測定の連続性が無いと判断された後に反射パルスのサンプリングが可能であるか否かの判断を行う(S109)。もし、中断後、反射パルスのサンプリングができない場合、つまり、ボルト頭部12aと超音波探触子22との接触が完全になくなってしまった場合は、測定不能としてエラー処理を行う(S110)。この場合、例えば、表示部30にメッセージを表示したり、警告音を出力し軸力測定処理を終了する。
【0029】
一方、反射パルスの受信が可能な場合、ゼロクロス点検出部36は、ゼロクロス点の検出が可能か否かの判断を行う(S111)。例えば、図3(c)に示すように、ボルト12が締め込み中に変形等が原因で、点線で示すような反射パルス(図3(b)のような形状)から実線で示すような形状に変化しが、現在設定されている閾値により、それを最初に越える波形のピーク値がP3が検出可能であり、その変化に伴いゼロクロス点Z3が検出可能な場合、伝播時間算出部38は、検出したゼロクロス点に基づいて伝播時間の算出を行う(S112)。続いて、連続性判定部40は、算出された伝播時間が連続性中断後、初回のサンプリングによるものか否かの判断を行う(S113)。もし初回サンプリングの場合、ステップ(S109)に戻り、次の反射パルスのサンプリングが可能か否か判断を行い、ステップ(S109)以降の処理を行う。
【0030】
一方、ステップ(S113)において、連続性中断後、初回サンプリングではないと判断した場合、連続性判定部40は、前回取得した伝播時間と比較して急激な伝播時間の変化が無いか否かを判定する。具体的には、新たに算出した伝播時間が測定に使用した超音波探触子22の共振周波数の1波長分の時間範囲を越えるような急激な変化をしていないか否かを判定する。もし、伝播時間が前回の伝播時間に比して急激に変化していない場合には、測定の連続性があると判断して(S114)、軸力測定のための伝播時間の取得が正常に行われていると判断する。
【0031】
この時点で、連続性の中断後、再度伝播時間の測定が連続的に行われたことが確認され、再開された連続的な伝播時間の測定に基づき、中断後軸力である軸力ΔFの計算を行う(S115)。つまり、測定再開後の軸力の変化の計算を行うことが可能となり、連続性の中断前軸力FLと中断後軸力ΔFの取得が完了する。そして、軸力統合部46は中断前軸力FLと中断後軸力ΔFを統合(加算)し、ボルト12の締め込みが開始されてからの統合軸力を算出する(S116)。
【0032】
続いて、軸力測定装置10は、軸力測定が終了か否かの判断を行う(S117)。もし、ユーザが要求する必要な情報の収集が完了したり、軸力が所定値に達しボルト12の締付け作業が終了した場合(測定の終了命令を得た場合)は、軸力測定は正常に終了したものと任意し、算出した軸力を表示部30等に表示し(S118)、一連の軸力測定処理を終了する。
【0033】
一方、測定の終了命令が、まだ得られない場合、ステップ(S109)に戻り、次のタイミングで得られる反射パルスに基づく処理を、上述したステップ(S109)以下の手順に従い再度行う。
【0034】
ところで、ステップ(S114)で連続性判定部40が、前回取得した伝播時間と比較して急激な伝播時間の変化があり、測定の連続性がないと判断した場合には、ステップ(S108)に戻り、現在認識している統合軸力を中断前軸力FLと見なし、軸力記憶部44に記憶し、上述したステップ(S108)以下の処理を実行する。
【0035】
このように、図4に示すように、軸力が発生していない状態を基準に測定された中断前軸力FL(図4では、F1)と、中断後測定再開時を基準に測定された中断後軸力ΔF(図4では、F2)、再度中断された後に測定された中断後軸力F3を統合することにより、同一の基準値による測定(例えば、締め込み前の伝播時間を基準とする軸力の測定等)ができず、連続的に軸力が測定できなかった場合でも、全体的な軸力測定を完了させ、連続的に測定を行った場合と同等の結果を得ることが可能となる。
【0036】
ところで、ステップ(S111)において、連続性の中断後、再度反射パルスのサンプリングを再開したが、ゼロクロス点を検出できない場合がある。例えば、図5(a)に示すように、先に設定した閾値を越える波形部分を検出できない場合がある。すなわち、中断前は、閾値を超える波形部分が存在し、そのピーク値P2やそのピーク値P2に関連するゼロクロス点Z2が検出できたが、中断後は、例えば、反射パルス全体の強度が低下してしまい、ピーク値やそれに基づくゼロクロス点が検出できない場合等である。このような場合、閾値設定/変更部48にピーク検出部34からの情報に基づき、閾値を低くする等、所定量変更する処理を行う(S119)。図5(b)には、新たに設定した閾値により、振幅が低下した反射パルスにおいても閾値を超える適正な形部分の検出が可能になり、ピーク値P4及び、それに関連するゼロクロス点Z4が検出可能になったことが示されている。従って、閾値の変更後ステップ(S111)以降の処理を行い、反射パルスの伝播時間の測定を行い、中断後軸力の算出を実行することが可能となる。
【0037】
このように、閾値を変更して新たな基準に基づくゼロクロス点(測定点)を取得し、伝播時間の算出を行うことにより変更後に算出される軸力ΔFは正確に測定することが可能となるので、図4に示すごとく、統合軸力の計算により、軸力測定を完了させることが可能となる。なお、軸力測定が中断される場合、その中断時に発生する微妙な軸力変化は無視されるため、例えば、連続性判定部40に最大の中断回数を設定しておき、中断最大回数を越えた場合には、測定エラーを表示し、ボルト12の状態や超音波探触子22とボルト頭部12aとの接触状態の確認等を促すことが望ましい。
【0038】
本実施形態の図1に示す構成は、一例であり、同様な機能を達成する構成であれば、適宜変更可能であり、単一の制御部で全機能を実現したり、複数の機能を1つのブロック内で実行するようにしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0039】
また、図2のフローチャートも一例であり、伝播時間の連続性の中断の有無を検出し中断が発生した場合に、中断前軸力と、中断後軸力の測定を行い、得られた軸力を統合して、全体の軸力と見なすものであれば、処理手順を適宜変更しても本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、連続取得が中断される直前までの測定点を用いることによって、連続取得中断前までの軸力の変化を正確に行うことができる。また、連続取得が再開された場合、再開時点を軸力測定の新たな基準点とするので軸力変化を正確に取得することができる。そして、中断前後にそれぞれ正確に取得された軸力の変化に基づいて全体的な総合軸力を算出する。その結果、測定が不連続に行われ、従来測定エラーが発生してしまっていた場合でもボルトの締付け作業に伴う軸力測定を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法を実現する軸力測定装置の概念構成図を説明する説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法の測定手順を説明するフローチャートである。
【図3】 図2に示す軸力測定方法の測定手順を説明する図であり、ピーク値が変化してしまう場合を説明する説明図である。
【図4】 本発明の実施形態に係るボルトの軸力測定方法に基づく、統合軸力の算出を説明する説明図である。
【図5】 図2に示す軸力測定方法の測定手順を説明する図であり、ピーク値を検出するための閾値を変更する場合を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 軸力測定装置、12 ボルト、12a ボルト頭部、12b ボルト先端部、14 ナットランナ、16 装置本体部、18 ソケット、20 ハンドルシャフト、22 超音波探触子、24 超音波送受信回路部、26 A/D変換部、28 軸力処理部、30 表示部、32 データ記憶部、34 ピーク検出部、36 ゼロクロス点検出部、38 伝播時間算出部、40 連続性判定部、42 軸力算出部、44 軸力記憶部、46 軸力統合部、48 閾値設定/変更部。
Claims (2)
- ボルトの軸方向に対し超音波パルスを所定時間毎に送信し、前記ボルト先端部で反射した反射パルスを順次受信し、特定基準に基づいて前記反射パルス波上に特定した測定点に基づいて得た反射パルスの伝播時間により軸力を測定するボルトの軸力測定方法であって、
順次受信される各反射パルス上の測定点が連続的に取得できるか否かを認識するステップと、
前記測定点を連続的に取得できると判断された場合は、
前記測定点に基づいて得た反射パルスの伝搬時間により軸力を算出するステップを実行し、
前記測定点を連続的に取得できないと判断された場合は、
その直前までに算出された軸力を記憶するステップと、
前記反射パルスの状態に応じて前記特定基準を変更するステップと、
変更後の前記特定基準に基づいて前記反射パルス波上の測定点を新たに特定するステップと、
新たに特定された測定点に基づいて得た反射パルスの伝搬時間により軸力を算出するステップと、
前記測定点を連続的に取得できないと判断される直前までに算出された軸力と、前記特定基準が変更された後に算出された軸力と、に基づいて、ボルト締付け開始からの総合軸力を算出するステップと、を実行することを特徴とするボルトの軸力測定方法。 - 請求項1に記載のボルトの軸力測定方法であって、
前記特定基準は、前記反射パルスの振幅に対して設定されるしきい値であり、
前記測定点を連続的に取得できないと判断され、前記反射パルスの最大振幅が前記特定基準を下回る場合は、前記特定基準の値を小さくして、前記反射パルスの最大振幅が前記特定基準以上となる部分を有するようにすることを特徴とするボルトの軸力測定方法。
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- 2003-03-14 JP JP2003070816A patent/JP4027826B2/ja not_active Expired - Lifetime
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