JP2004217762A - 硬化型粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ溶媒に溶解可能な、エポキシ化合物などの有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、互いに反応して強固に結合されていることを特徴とする球状又は略球状の硬化型粒子及びそれらの製造方法などを提供した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化型粒子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、官能基を有する母粒子(A)と、その表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミクロンサイズのポリマー粒子は、プラスチック樹脂改質剤、塗料用機能化剤、有機顔料、トナー粒子、スペーサー、光学材料、分離材料、接着剤、粘着剤、食品、化粧品或いは生化学用担体等に幅広く用いられている。
一般にポリマー粒子を製造する場合、(I)公知の通り塊状重合法や溶液重合法等により得られた樹脂を、粉砕、分級を行なうことによって、目的の粒子を得るか、(II)懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、滴下法、これらをベースにしたシード重合法などのように、重合段階で適度な(球状)粒子を得る方法の2つに大きく大別される。
【0003】
また、硬化型粒子を得る場合、両者とも、架橋性ビニル系モノマーや、ポリマーを添加することによって、耐熱性、耐薬品性等の物理的、化学的特性を向上させるのが殆どである。
更に、近年、エポキシ基など官能基を有するビニル系又はビニル系以外の架橋性モノマー及びポリマーを使用して、耐熱性及び耐薬品性等の物理的、化学的特性を向上させる検討も行われている。
【0004】
一般に、エポキシ基等の反応基を有する有機化合物からなる硬化物は、耐熱性、耐蝕性、電気特性、耐溶剤性(耐薬品性)等の優れた物理的、化学的特性を有していることが知られており、接着剤、塗料、封止材、シーリング材、積層板などの多様な分野で使用されており、また、硬化型粒子へ併用した検討も行われている。
例えば、自己分散性樹脂の特性を利用して、疎水性架橋剤を自己分散性樹脂とともに水性媒体中へ転相乳化することで、粒子内に架橋剤を取り込み架橋反応を進行させることにより、硬化型粒子を提供する検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。また、非水溶剤中で官能基及びエポキシ基を含有したビニル単量体を利用して、硬化型粒子を提供する検討も行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、これらの方法により提供される硬化型粒子は、製法上サブミクロン以下の粒子が主となり、その結果、粒子径を数ミクロン以上に大きくする程くっ付き、凝集化、粒子径のバラツキなどが生じる場合が多く、粒子径を制御するのは難しくなる。そのため、ミクロンサイズの粒子径を制御する場合には、多くの分散安定剤を使用するか、サブミクロン粒子からのシード法等により大きくしていく必要があり、コスト、時間を要するという問題がある。
また、固体化した熱可塑性粒子そのものを、硬化させて、耐熱性、耐薬品性等の物理的、化学的特性を十分満足する粒子は、未だ見出されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−148313号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平8−134109号公報(特許請求の範囲等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、エポキシ化合物などの有機化合物を使用して、容易に、効率良くサブミクロンから数百ミクロンの広範囲に渡り、母粒子(主に熱可塑性樹脂)の形状を変形させずに、エポキシ基等の反応基が本来有する反応性能を十分に活かした硬化型粒子を提供することにある。更に、反応基を粒子表層部のみ又は表層部と内部の領域に含有する機能性を付与した硬化型粒子を提供することにある。
尚、本願明細書において硬化とは、架橋等により樹脂を硬化させること、及び熱可塑性を減らし性質を安定にさせた状態にすることをいう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、エポキシ化合物などの有機化合物と反応し得る官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等)を含有する母粒子(主に熱可塑性樹脂)を、その粒子とは非溶剤であるが有機化合物の溶剤である水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒の存在下で、有機化合物と混合し、反応させることにより、硬化型粒子が得られ、その粒子は、耐熱性及び耐溶剤性を兼ね備え、さらに、粒子内部及び表面に少なくとも1つの反応基を持つ機能性粒子であることを見出した。また、本発明者らは、固体化した母粒子の形状を保持したまま硬化型粒子に変更可能であることから、容易に粒子径を制御でき、サブミクロンから数百ミクロンの広範囲に渡り硬化型粒子を得ることができる製造方法も見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ溶媒に溶解可能な、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、又はアミノ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、互いに反応して強固に結合されていることを特徴とする球状又は略球状の硬化型粒子が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、下記の数式[1]で示される平均厚み径(L)が0.01〜20μmの範囲で有機化合物(B)からなる外殻層を形成することを特徴とする硬化型粒子が提供される。
L=(L2−L1)/2 [1]
(式中、L1は母粒子の平均粒子径を、L2は硬化型粒子の平均粒子径を示す。)
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、外殻層は、有機化合物(B)の少なくとも1つの反応基が母粒子(A)の官能基と結合して、形成されていることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
【0010】
本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)の官能基と反応しなかった有機化合物(B)中の反応基の少なくとも一部は、母粒子(A)の内部、表層部又は内部と表層部にあり、密着性、粘着性、接着性、反応性又は溶液分散性から選ばれる少なくとも1つの特性が付与されることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、平均粒径は、0.01〜500μmであることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、又はチオール基から選ばれる少なくとも1つの活性水素基であることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
【0011】
本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)は、官能基を当量で30〜800有することを特徴とする硬化型粒子が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、有機化合物(B)は、水溶性又は親水性であることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、有機化合物(B)は、エポキシ化合物であることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
【0012】
本発明の第10の発明によれば、第8又は9の発明において、有機化合物(B)は、水溶性又は親水性のエポキシ化合物であることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、有機化合物(B)は、反応基(官能基)当量が50〜1,500であることを特徴とする硬化型粒子が提供される。
【0013】
一方、本発明の第12の発明によれば、官能基を有する母粒子(A)と有機化合物(B)とを、前者は溶解しないが、後者は可溶である水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒の存在下で、混合又は浸漬させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程、および引き続いて、前者の官能基と後者の反応基との反応により硬化させる第2の工程とを包含することを特徴とする第1〜11のいずれかの発明に係る硬化型粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、第2の工程において、母粒子(A)の表面に有機化合物(B)からなる外殻層が母粒子(A)を覆うように形成されることを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。さらに、本発明の第14の発明によれば、第12の発明において、前記母粒子(A)の形態は、真球状又は略球状であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の第15の発明によれば、第12の発明において、母粒子(A)は、予め、懸濁重合、乳化重合、分散重合又はシード重合法により得られた粒子であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第16の発明によれば、第12の発明において、第1の工程において、有機化合物(B)を水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒に溶解させて得られる溶液中に、母粒子(A)を浸漬することを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第17の発明によれば、第12の発明において、溶媒は、水、水−アルコール混合物又は水−有機溶媒との混合物であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の第18の発明によれば、第12の発明において、母粒子(A)と有機化合物(B)との混合比は、母粒子(A)の官能基1当量に対して、有機化合物(B)の反応基が0.1〜20当量であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法が提供される。
【0016】
本発明は、上記した如く、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ溶媒に溶解可能な、特定の有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、互いに反応して強固に結合されていることを特徴とする球状又は略球状の硬化型粒子などに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。
【0017】
(1)第1の発明において、母粒子(A)の平均粒径は、0.01〜500μmであることを特徴とする硬化型粒子。
(2)第2の発明において、コア/シェル構造を有することを特徴とする硬化型粒子。
(3)第1の発明において、母粒子(A)は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする硬化型粒子。
(4)上記(3)の発明において、熱可塑性樹脂は、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、他のビニル系重合体の付加重合による共重合体、水素移動重合による重合体、ポリ縮合による重合体、又は付加縮合による重合体のいずれかであることを特徴とする硬化型粒子。
【0018】
(5)第12の発明において、母粒子(A)は、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、他のビニル系重合体の付加重合による共重合体、水素移動重合による重合体、ポリ縮合による重合体、又は付加縮合による重合体のいずれかであることを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
(6)第12の発明において、有機化合物(B)は、エポキシ化合物であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
(7)第16の発明において、有機化合物(B)の溶液濃度は、次の計算式で算出すると、1〜60重量%であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
溶液濃度(重量%)=100×(全溶液−溶媒)/全溶液
(8)第12の発明における第2の工程において、反応温度は、10〜200℃であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
(9)第12の発明における第2の工程において、反応時間は、1〜24時間であることを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
(10)第12の発明において、さらに、第1、2の工程において、母粒子(A)と有機化合物(B)以外に、触媒若しくは反応促進剤、分散剤、酸化防止剤、安定剤、又は乳化剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする硬化型粒子の製造方法。
【0019】
(11)第1〜11のいずれかの発明の硬化型粒子を用いてなる架橋剤若しくは接着剤、熱可塑性樹脂硬化剤、光学材料、コーティング剤若しくは塗料、又は電気電子分野の補強材。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
1.硬化型粒子
本発明の硬化型粒子は、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ溶媒に溶解可能な、特定の有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、互いに反応して強固に結合されていることを特徴とし、その形状は、球状又は略球状である。
【0021】
その硬化型粒子は、概念的な構造で示せば、図1のような構造のものである。図1において、Xは、ランダムであり、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基からなる結合基である。有機化合物一分子中の反応基のいくつかは、粒子内部又は表面(表層部)と結合している。
また、図1中において、Rは、有機化合物(B)の残存反応基である。このRは、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基の種類、添加量、反応条件等により、残存反応基量を調整することが可能である。
【0022】
さらに、図2中のYは、有機化合物(B)から由来する反応基を含む残存有機化合物であり、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基の種類、添加量、反応条件等により、適宜、粒子表面(表層部)に多く付加させることも可能である。このように母粒子(A)表面に有機化合物層をもつコア/シェル型の機能性粒子も得ることができる。
また、硬化型粒子は、硬化した粒子でも、半硬化状態の粒子であってもよい。
【0023】
2.有機化合物(B)
本発明の硬化型粒子に係る有機化合物(B)は、母粒子(A)官能基と反応可能な反応基を有する化合物で、アミノ基含有化合物すなわちアミノ化合物、エポキシ基含有化合物すなわちエポキシ化合物、又はオキサゾリン基含有化合物すなわちオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも一種である。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良いし、2種以上の官能基を有する共存化合物で使用しても良い。好ましくは分子間に架橋構造が得られるような多官能の有機化合物が良い。
【0024】
有機化合物(B)として、特に好ましくは比較的安価で、汎用品の多いエポキシ化合物である。また、エポキシ化合物を用いることにより、得られた本発明の硬化型粒子は、特に耐熱性に優れ、熱による黄変化が少なくなるという効果が得られる。
エポキシ化合物の具体的に代表的なものを例示すると、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類;ポリエステル樹脂系のポリグリシジル化物;ポリアミド樹脂系のポリグリシジル化物;ビスフェノールA系のエポキシ樹脂;フェノールノボラック系のエポキシ樹脂;エポキシウレタン樹脂等が挙げられる。
【0025】
また、エポキシ化合物は、市販品が多いことから、例えば具体的な製品名では、ナガセケムテック(株)製の「デナコール」シリーズ、「デナコールEX−611」、−612、−614、−614B、−622、−512、−521、−411、−421、−313、−314、−321、−201、−211、−212、−252、−810、−811、−850、−851、−821、−830、−832、−841、−861、−911、−941、−920、−931、−721、−111、−212L、−214L、−216L、−321L、−850L、−1310、−1410、−1610、−610U等に準ずるようなエポキシ化合物が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0026】
また、本発明に用いられるオキサゾリン化合物としては、特に限定されるものではないが、オキサゾリン環を1個又は2個以上有する化合物等が挙げられる。オキサゾリン環を1個有する化合物では、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンと分子内にイソシアネート基を有する化合物との反応物や、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとポリカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸等)のエステル等でもよい。上記に使用されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルデヒドまたはケトンとビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス−(2−ヒドロキシブチル)アミンなどのビス−(2−ヒドロキシアルキル)アミンとの反応によって得られる。
【0027】
さらに、オキサゾリン環を2個以上有する化合物では、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5,5’−ジメチルオキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4,4’,4’−テトラメチル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ヘキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンセン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等のビスオキサゾリン化合物、および、これらのビスオキサゾリン化合物のオキサゾリン基2化学当量と多塩基性カルボン酸(例えばマレイン酸、琥珀酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)のカルボキシル基1化学当量とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物等を挙げることができる。
また、オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環を開環させないで付加重合等の重合体から得られる一分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有するポリマー化した化合物でも良い。
例えば具体的に例示すると市販品では、エポクロス[(株)日本触媒製] WS−500、WS−700、K−1010E、K−2010E、K−1020E、K−2020E、K−1030E、K−2030E、RPS−1005等が挙げられる。
【0028】
さらに、本発明に用いられるアミノ基含有化合物すなわちアミノ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、分子内に1級アミノ基または2級アミノ基に由来する活性水素を1個有する化合物またはその前駆体が挙げられ、好ましくは、分子内に1級アミノ基または2級アミノ基に由来する活性水素を1〜2個有する化合物またはその前駆体である。
その具体例としては、(I)脂肪族アミン類(炭素数2〜18、分子量50〜500):(i)脂肪族アミン〔炭素数2〜15のアルキルアミン(n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等)〕;(ii)これらのアルキル(炭素数1〜15)またはアルキル(炭素数1〜15)オキシ置換体(ジ−n−ブチルアミン、N−メチル−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン等);(iii)脂環または複素環含有脂肪族アミン(アミノエチルシクロヘキサン、4−メチル−アミノプロピルシクロヘキサン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン等);(iv)芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数7〜15)(ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン等)等;(II)脂環式アミン(炭素数4〜15):シクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン等;(III)複素環式アミン(炭素数4〜15):ピペリジン、4−ピペコリン、3,5−ルペチジン、4−ベンジルピペリジン、モルホリン、ピロリジン、3−ピロリン、N−メチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン等;(IV)芳香族アミン類(炭素数6〜20、分子量90〜1000):(i)非置換芳香族アミン、例えばアニリン、2−ナフチルアミン、3−ナフチルアミン、4−アミノビフェニル等;(ii)核置換アルキル基(メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族アミン、例えば4−メチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、4−アミノ−4’−メチルビフェニル、2,6−ジメチル−1−アミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1−アミノナフタレン、2,6−ジブチル−1−アミノナフタレン等、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;(iii)核置換電子吸引基(Cl,Cr,I,F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族アミン、例えば4−クロロアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメトキシアニリン、4,−アミノ−4’−ニトロビフェニル等;(iv)2級アミノ基を有する芳香族アミン〔上記(i)〜(iii)の芳香族アミンの−NH2が−NH−R’(R’はアルキル基、例えばメチル,エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕、例えばN−メチルアニリン、N−シクロヘキシルアニリン等;(V)エポキシ付加アミン:エポキシ化合物1モルをアミン類〔上記(I)〜(IV)等〕にエポキシ基あたり1〜2モル付加させることによって得られるエポキシ付加アミン(分子量100〜1000)等;(VI)シアノエチル化アミン:アクリロニトリルとアミン類〔上記(I)〜(IV)等〕との付加反応により得られるシアノエチル化アミン(分子量100〜500)等;並びにこれらの2種以上の混合物である。
【0029】
また、近年環境的配慮から、本発明に係る有機化合物(B)は、水溶性又は親水性の有機化合物が好ましく用いられる。例えば、エポキシ化合物の中では、具体的に代表的なものを例示すると、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル類;グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等の(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル類;ソルビトールポリグリシジルエーテル類等の水溶性エポキシ化合物が挙げられる。
また、オキサゾリン化合物の中では、具体的に代表的なものを例示すると、エポクロス[(株)日本触媒製] WS−500、WS−700等の水溶性のオキサゾリン化合物が挙げられる。
これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0030】
さらに、有機化合物(B)は、平均分子量が50〜100,000であり、好ましくは、100〜10,000であり、更に好ましくは200〜5,000である。平均分子量が100,000超であると、粒子内部まで硬化反応させるのは難しくなり、また、媒体中の粘度が上がりすぎるため、単分散した粒子に悪影響を及ぼす場合がある。一方、平均分子量が50未満であると、コア/シェル構造を有するような機能性粒子としての性能を活かせない場合がある。
【0031】
硬化型粒子の作製に際し、有機化合物(B)は、液状であれば無溶媒化で使用しても良いし、希釈を行っても良い。有機化合物(B)が固体状であれば、溶媒により溶解させても良い。有機化合物(B)の希釈媒体としては、母粒子(A)の形状、性状と使用用途に応じて、適宜選択すれば良い。
その具体的な溶媒としては、代表的なものを例示すると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。硬化型粒子の合成時に母粒子(A)及び有機化合物(B)に支障を与えないものであれば、特に制限されることは無く、重合方法の用途に合った溶媒を適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0032】
さらに、有機化合物(B)が水溶性又は親水性の有機化合物であれば、稀釈剤として上記溶媒のほか、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類等も使用可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。但し、稀釈の際は有機化合物(B)の反応性が高い場合は、比較的低温であることが好ましい。
【0033】
3.母粒子(A)及びその作製方法
本発明に係る官能基を有する母粒子(A)の作製方法は、有機化合物(B)と反応し得る官能基(具体的には水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基等の活性水素基やエポキシ基など)を持った粒子の作製方法が挙げられ、例えば、
(1)一般的な塊状重合、溶液重合により得られた溶液樹脂を粉砕、分級して粒子を得る方法、
(2)上記重合法から滴下して樹脂及び粒子(球状粒子含む)を得る方法、
(3)水溶液中で行う乳化もしくは懸濁重合により樹脂及び粒子(球状含む)を得る方法、
(4)また、上記(3)とシード法等を組み合わせて樹脂及び粒子を得る方法、
(5)非水溶媒中又は水との混合溶媒中での分散重合法によって樹脂及び粒子(主に球状)を得る方法、
(6)また、上記(5)とシード法等を組み合わせて樹脂及び粒子を得る方法等が挙げられるが、粒子に限らず
(7)押し出し成形機などによりペレット状にした樹脂及び粒子やフィルム状樹脂、
(8)射出成形機などから得られた成形品、
等も、特に限定されるものでは無く、樹脂及び粒子の官能基の量、樹脂及び粒子径、成形品厚み等条件を満たしている組成物及び粒子であれば、どんな方法で作製しても良い。
尚、母粒子(A)の作製方法において、上記重合法により得られた粒子は、予め架橋構造を有している粒子であっても特に差し支えなく、本発明の硬化型粒子の製造に用いることができる。
【0034】
本発明に係る母粒子(A)は、有機化合物(B)と反応し得る官能基を有していれば特に指定はないが、水酸基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、酸無水物類、一級アミンや二級アミンなどのアミン誘導体化合物類が挙げられる。好ましくは水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH2)、チオール基(−SH)等の活性水素基やエポキシ基を有した粒子である。
【0035】
上記の母粒子(A)は、通常、母粒子作成可能な分子量を有していれば特に限定するする必要は無く、通常平均分子量が重量平均で1,000〜3,000,000程度である。但し、特に母粒子(A)が溶液重合等により得られる球状粒子であれば、一般的には重量平均分子量で3,000〜500,000程度である。
【0036】
上記の母粒子(A)は、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、他のビニル系重合体の付加重合による共重合体、水素移動重合による重合体、ポリ縮合による重合体、付加縮合による重合体などが挙げられる。
【0037】
その主成分となる共重合可能な原料単量体としては、その具体的に代表的なものを例示すると、(i)スチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3、4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチルアクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルの如き(メタ)アクリル酸エステル類、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、(iv)アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、(v)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、(vi)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、(vii)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、(viii)ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、又はアクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピレルなどのフッ素アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、また、2種類以上を併用しても良い。
【0038】
有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体としては、具体的に代表的なものを例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなど各種の不飽和モノないしジカルボン酸類又は不飽和二塩基酸類等が挙げられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0039】
また、有機化合物(B)と反応し得る官能基としての水酸基を有するラジカル重合性単量体としては、具体的に代表的なものを例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル系化合物類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の各種ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の各種アリル化合物等が挙げられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0040】
さらに、水酸基を有するポリマーとしては、具体的に代表的なものを例示すると、ポリビニルアルコール(PVA)等の完全けん化、および部分けん化樹脂、酢酸ビニルとその他のビニル単量体との共重合体とからなる酢酸エステル含有ポリマーのけん化樹脂等の水酸基含有樹脂が挙げられ、これらを用いてもよい。
【0041】
また、有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのアミノ基を有するラジカル重合性単量体及びアミノ基含有化合物又はアミン誘導体からなる化合物等があげられる。具体的に代表的なものを例示すると、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−p−スチレンスルホンアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ピペリジン、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチレン]ピロリジン、N−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]モルホリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、4−(N,N−ジエチルアミノ)スチレン、4−ビニルピリジン、2−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4−ジメチルアミノブチルビニールエーテル、4−ジエチルアミノブチルビニールエーテルおよび6−ジメチルアミニヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0042】
さらに、有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのチオール(メルカプト)基を有するラジカル重合性単量体又は化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、2−プロペン−1−チオール、3−ブテン−1−チオール、4−ペンテン−1−チオール、(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル、N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マイレン酸モノ2−メルカプトエチルアミド等の不飽和二重結合を有するメルカプト(チオール)基含有単量体又は化合物、テトラメチレンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、オクタメチレンジチオール、デカメチレンジチオール等の2官能基以上を持った化合物とチオール(メルカプト)基と反応し得る反応基を含有し、−C=C−不飽和2重結合を有した単量体との架橋反応を有した化合物等が挙げられるが、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、チオール(メルカプト)基を有するポリビニルアルコール変性体等のチオール(メルカプト)基を含有した樹脂等も挙げられる。
【0043】
さらに、有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのエポキシ基を有するラジカル重合性単量体又は化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、ジ(β−メチル)グリシジルマレート、ジ(β−メチル)グリシジルフマレート等のエポキシ基含有単量体;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類;ポリエステル樹脂系のポリグリシジル化物;ポリアミド樹脂系のポリグリシジル化物;ビスフェノールA系のエポキシ樹脂;フェノールノボラック系のエポキシ樹脂;エポキシウレタン樹脂等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0044】
また、共重合体にカルボキシル基や水酸基やアミノ基やチオール(メルカプト)基やエポキシ基などの複合基を導入したい場合は、前記した各種の反応基を含有した単量体を併用することによって多官能共重合体にすれば良い。更に有機化合物の添加量や反応温度や条件を調整することで反応基を含めた多官能粒子もできる。
【0045】
一方、本発明に係る母粒子(A)の製造に用いられ、ラジカル重合をする際に使用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用できる。
具体的に代表的なものを例示すると、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0046】
また、母粒子(A)を作製する場合、前記に記述してあるように様々な合成方法、重合方法が用いられるが、塊状重合等のように無溶媒化での合成はもちろん、溶液重合等のような溶媒下での合成を挙げることができる。
その具体的な重合溶媒として代表的なものを例示すると、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。特に制限されることは無く、重合方法の用途に合った溶媒を、適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0047】
さらに、粒子を作製する場合は、使用可能な重合方法に応じて(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤及び界面活性剤等を適宜選択し使用しても良い。
それらについて、具体的に代表的なものを例示すると、分散剤及び安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0048】
また、乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0049】
また、母粒子(A)として、樹脂又は粒子を作製する場合は、使用する用途に応じて少量の架橋剤を使用しても、特に差し支えない。
具体的に代表的なものを例示すると、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0050】
4.硬化型粒子の作製方法
本発明の硬化型粒子の作製方法としては、先ず、有機化合物(B)と反応し得る官能基を含有する母粒子を作製し、該粒子が溶解しない溶媒下で、その溶媒に溶解可能な有機化合物を添加し、反応させて粒子の形状を変形させることなく半硬化〜硬化型粒子得るものであり、言い替えると、その官能基を有する母粒子(A)と反応基を有する有機化合物(B)とを、前者の非溶剤であるが後者の溶剤となる水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒の存在下で、混合又は浸漬させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程と、引き続いて前者の官能基と後者の反応基との反応により硬化させる第2の工程とを包含することを特徴とするものである。このようにして、半硬化〜硬化の硬化型粒子が得られる。
【0051】
また、本発明の硬化型粒子が図2のように、母粒子(A)表面に有機化合物層をもつコア/シェル型の機能性粒子である場合の作製方法としては、上記の第2の工程において、母粒子(A)の表面に有機化合物(B)からなる外殻層が母粒子(A)を覆うように形成されることを特徴とするものである。このようにして、母粒子(A)の反応可能な官能基に結合した有機化合物(B)からなる外殻層を有する硬化型粒子が得られる。その際、好ましくは、下記の数式[1]で示される外殻層の平均厚み径(L)が0.01〜20μmの範囲である。
L=(L2−L1)/2 [1]
(式中、L1は母粒子の平均粒子径を、L2は硬化型粒子の平均粒子径を示す。)
外殻層を有する硬化型粒子を得るためには、母粒子(A)の種類、官能基量、有機化合物(B)の種類、官能基量、添加量、有機化合物(B)の分子量、反応温度、反応時間、重合媒体の種類等を調整することで容易に目的の外殻層を有する粒子を得ることができる。例えば、母粒子(A)の粒子径にも大きく左右されるが、母粒子(A)の官能基量に対して、当量以上の官能基を有する有機化合物(B)とを媒体中で硬化反応させることで可能である。
また、有機化合物(B)の添加量の増加と有機化合物(B)の分子量が大きくなるほど、外殻層の厚みを変化させることが可能である。
【0052】
なお、上記の第1の工程において、母粒子(A)と有機化合物(B)以外に、所望に応じて、分散剤、酸化防止剤、安定剤、乳化剤又は触媒などを適宜選択し、添加することもできる。
具体的に代表的なものを例示すると、分散剤、安定剤、乳化剤は、前記してあるようなものと同様のものであり、他に酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0053】
また、触媒(反応促進剤)としては、第2の工程における反応を促進させる触媒であれば、特に限定されず、公知のものを使用すればよく、粒子物性に悪影響を及ぼさない範囲で適宜選択して、適量を添加すれば良い。例えば、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基の少なくともどちらかにエポキシ基が含有されている場合は、具体的に、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、トリフェニルアミン等の三級アミン類;トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム化合物類;トリフェニルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン類;ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、等のホスホニウム化合物類;2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩類;有機酸のアルカリ金属塩類;三塩化硼素、三弗化硼素、四塩化錫、四塩化チタン等のルイス酸性を示すハロゲン化物類またはその錯塩類等の触媒を添加することが可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0054】
有機化合物(B)が有する反応基と反応し得る官能基を有する母粒子(A)は、官能基が当量で30〜800を満たすものが良く、好ましくは当量で50〜500、さらに好ましくは当量で100〜400を満たすものが良い。当量が800超であると、分子間隔が広すぎて架橋能力が低下し、一方、30未満であると、逆に架橋密度が上がりすぎてコア/シェル構造を有するような機能性粒子の特徴が得られない場合がある。
但し、半硬化粒子を得る場合には、その限りでない(すなわち、800超/官能基でもよい)。
【0055】
官能基を有する母粒子(A)としては、有機化合物(B)と反応し得る官能基を有していれば、特に限定されず、例えば水酸基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、酸無水物類、一級アミンや二級アミンなどのアミン誘導体化合物類が挙げられるが、好ましくは水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基等の活性水素基を有している粒子が良く、更に中でもカルボキシル基、水酸基、アミノ基を有している粒子が好ましい。
硬化型粒子を作製するために、必要な有機化合物(B)の反応基の含有量は、反応基当量で50〜1,500であり、好ましくは80〜1,000、更に好ましくは100〜500、最良は130〜400である。有機化合物(B)の反応基当量が1,500超であると、架橋度が低下しすぎて硬化型粒子とならないし、一方、50未満であると、逆に架橋密度が上がりすぎてコア/シェル構造を有するような機能性粒子の特徴が得られない場合がある。
但し、半硬化粒子を得る場合には、その限りでない(すなわち、1,500超/官能基でもよい)。
【0056】
官能基を有する母粒子の形状としては、好ましくは、球状又は略球状であるが、異形粒子(非球状)であってもよい。
また、母粒子(A)及び得られた硬化型粒子は、粒子径が0.01〜500μmの粒子が良く、好ましくは0.05〜100μm、更に好ましくは1〜60μm、最良は1.2〜30μmの粒子が良い。粒子径が500μm超であると、有機化合物(B)が内部まで含浸しづらくなり完全に硬化することができない場合がある。一方、粒子径が0.01μm未満であると、粒子径が小さすぎるために凝集してしまい、単分散化した硬化型粒子が得られない場合がある。
【0057】
また、母粒子(A)の形状が粒子ではなく、フィルム状の組成物であっても、そのフィルム状の厚みが上記の粒子径の範囲であれば、架橋が可能であり、硬化型組成物となり、半硬化〜硬化することができる。
【0058】
有機化合物(B)の添加量は、硬化後の必要な有機化合物の残量に左右されるが、母粒子の官能基に対して、当量比で0.1〜20を目安に添加すれば良く、好ましくは当量で0.5〜8、更に好ましくは当量で1〜5が良い。
尚、有機化合物(B)の添加量が、当量比で20超の場合でも硬化型粒子は可能であるが、媒体中の残存有機化合物が多くなるのでコスト的にも好ましくない。また、添加量が、当量比で0.1未満であると架橋度が低下しすぎて硬化型粒子とならない。
【0059】
半硬化〜硬化反応性粒子を得るために、反応させる反応温度は、溶媒の種類に左右されるが、10〜200℃の範囲が良く、好ましくは15〜150℃、更に好ましくは20〜130℃の範囲が良い。
また、硬化反応に要する時間は、架橋反応がほぼ完結するのに要する時間であれば良く、使用する有機化合物及び添加量、粒子内官能基種類、溶液の粘度、及び濃度等に大きく左右されるが、例えば70℃で5〜24時間、好ましくは8〜16時間程度である。
尚、前記要因を変更し反応時間を長くした(24時間超)場合においても硬化型粒子は得られるが、製造方法上、時間を要すことは得策ではない。
また、反応時間が極度に短いと、硬化型粒子とならない場合や条件によっては偏平粒子化する場合がある。
【0060】
母粒子(A)が溶解せず、有機化合物(B)が溶解する溶媒は、水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒であり、使用する有機化合物及び添加量、母粒子の成分となる樹脂の種類及び含有する官能基の種類、使用用途等を考慮して、適宜選択すれば良い。
その具体的な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。好ましくは、水、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエーテルアルコール、水と低級アルコールの混合物、水とエーテルアルコールの混合物のような水溶性及び親水性の媒体、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジクロロメタン、テトラクロロエチレンなどが挙げられ、さらに好ましくは、水、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、水とメタノールやエタノールなどの低級アルコールとの混合物、水とメタノールやエタノールなどの低級アルコールとの混合物、水とエーテルアルコールとの混合物のような水溶性及び親水性の媒体である。これらは、特に制限されることは無く、使用用途に合った溶媒を、適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0061】
硬化型粒子を形成するにあたり、硬化反応時の溶液濃度は、次の計算式で算出すると、1〜60重量%であり、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
溶液濃度(重量%)=[(全溶液−溶媒)/全溶液]×100
尚、上記溶液濃度が60重量%超であると、母粒子(A)または有機化合物(B)の量が過剰となり、溶液内のバランスが崩れ、単分散化した硬化型粒子を得ることが難しくなるため、好ましくない。また、上記溶液濃度が1重量%未満であると、硬化型粒子の作製は可能であるが、目的の粒子を得るためには、長時間に渡り合成をおこなわなけらばならないため、製造方法上、時間を要すことは得策ではない。
【0062】
母粒子(A)が球状粒子である場合は、本発明の硬化型粒子の形状は、球の投影二次元図において、
1 ≦ 長径/短径 ≦ 1.2
を満たす球状粒子である。
【0063】
尚、本明細書においては、走査電子顕微鏡(日立製 S−2150 以後SEMと称する)にて測定可能な倍率(1,000〜10,000倍)で写真を撮り、粒子1個に対して直径をランダムに15回測定し、長径及び短径を測定する。これをランダムにn=100繰り返し測定し、上記式を満たすものを球状粒子と定義した。
また、粒子径測定方法は、SEMにて測定可能な倍率(1,000〜10,000倍)で写真を撮り、ランダムにn1=500個測定し、平均粒子径を測定した。
【0064】
本発明の硬化型粒子は、有機化合物(B)と反応し得る官能基を含有する母粒子を、その粒子とは非溶剤であるが有機化合物の溶剤である水又は有機溶媒の存在下で、有機化合物(B)と混合し、反応させることにより得られ、その性能面では、架橋性粒子としての耐熱性と耐溶剤性の向上が、また、反応性粒子としての接着性と密着性の優れた効果が得られる。
そのため、熱可塑性樹脂を硬化樹脂へ変換することもでき、また、粒子内部及び表面に、例えば、エポキシ反応基を付加させることができ、他の物質との密着性、接着性を向上させることができる。さらに、水溶性の有機化合物(B)を使用すると、粒子の分散性が向上し、反応基を持った染料及び顔料を有機化合物の残存官能基と反応させることで色落ちのない着色が可能となる。
本発明の硬化型粒子は、このような性能を保持し、硬化粒子又は反応性能を有する機能性粒子のため、架橋剤、耐加水分解安定剤、熱可塑性樹脂硬化剤、接着剤、コーティング剤若しくは塗料、自動車分野や電気電子分野の補強材や助材、又は家具や建材などの広範囲な各分野に使用可能である。また、液晶用スペーサ等にも応用可能である。
さらに、硬化型粒子の製造方法では、粒子径を制御可能な粒子製造方法、例えば乳化重合、懸濁重合、分散重合等で粒子径を制御した球状粒子の形状を保持したまま硬化型球状粒子に、変更できることから精密な粒子設計が可能である。
また更に、硬化型粒子の製造方法では、例えば乳化重合、懸濁重合、分散重合等で合成された球状粒子に、直接、簡素に有機化合物を取り付けることができ、コア/シェル型構造粒子としての用途にも使用可能である。
また、有機化合物溶液で硬化させることが可能であるために、未反応であった残存有機化合物(B)を何度も再利用でき、経済的にも良い製造方法である。
【0065】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。尚、以下において、特に断りのない限り「部」は「重量部」を、「水」は「蒸留水」の意味である。
【0066】
<母粒子(A)の合成例>
[母粒子の合成例1](比較例1)
500mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で攪拌を行ないながら窒素気流下オイルバス温度80℃で約15時間加熱をして、スチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 48.2部
メタクリル酸 20.6部
メタノール 179.8部
エタノール 29.9部
水 59.8部
アゾビス2−メチルブチロニトリル(ABNE) 3.1部
スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液 75.0部
(但し、スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液は、スチレン:メタクリル酸−ヒドロキシエチル=2:8 40重量%メタノール溶液である。)
【0067】
次にこの粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
この粒子の一部をSEMにて写真を撮り、形状の確認及び粒子径の測定を行ったところ、最小径が2.6μm、最大径が3.6μmであり、平均粒子径が3.24μmである粒子径の揃った球状の粒子群であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例1とした。
【0068】
[母粒子(A)の合成例2](比較例2)
500mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で攪拌を行ないながら窒素気流下オイルバス温度80℃で約15時間加熱をして、スチレン−アクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 48.2部
アクリル酸 20.6部
メタノール 162.0部
エタノール 54.0部
水 54.0部
アゾビス2−メチルブチロニトリル(ABNE) 3.1部
スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液 60.0部
(但し、スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液は、スチレン:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=2:8 40重量%メタノール溶液である。)
【0069】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子の一部をSEMにて写真を撮り、形状の確認及び粒子径の測定を行ったところ、最小径が5.4μm、最大径が23.1μmであり、平均粒子径が12.82μmである球状の粒子群であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例2とした。
【0070】
[母粒子(A)の合成例3](比較例3)
500mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で攪拌を行ないながら窒素気流下オイルバス温度65℃で約15時間加熱をして、スチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 61.9部
メタクリル酸 6.9部
メタノール 150.9部
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 0.8部
スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液 57.1部
(但し、スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液は、スチレン:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=2:8 40重量%メタノール溶液である。)
【0071】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
この粒子の一部をSEMにて写真を撮り、形状の確認及び粒子径の測定を行ったところ、最小径が3.2μm、最大径が5.4μmであり、平均粒子径が4.81μmである球状の粒子群であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例3とした。
上記、球状粒子の合成例1〜3のまとめを次の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
(実施例1)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.1g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
合成例1の粒子 10.0部
デナコールEX−1610 14.8部
メタノール 41.4部
水 57.8部
[但し、「デナコールEX−1610」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が170のものである。]
【0074】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長910(1/cm)前後でエポキシ基による吸収ピークを確認した。
【0075】
(実施例2)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.06g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
合成例2の粒子 5.0部
デナコールEX−1610 17.7部
メタノール 49.6部
水 41.2部
[但し、「デナコールEX−1610」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が170のものである。]
【0076】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長910(1/cm)前後でエポキシ基による吸収ピークを確認した。
【0077】
(実施例3)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.1g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
合成例1の粒子 10.0部
デナコールEX−1410 13.4部
メタノール 37.5部
水 56.2部
[但し、「デナコールEX−1410」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が154のものである。]
【0078】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長910(1/cm)前後でエポキシ基による吸収ピークを確認した。
【0079】
(実施例4)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、窒素気流下オイルバス温度60℃で約15時間加熱を行い、オキサゾリン含有粒子溶液を作製した。
合成例1の粒子 4.5部
エポクロスWS−500 25.9部
メタノール 54.9部
水 40.8部
[但し、「エポクロスWS−500」は、(株)日本触媒製のオキサゾリン化合物で、固形分が約40重量%の水−プロピレングリコールモノメチルエーテル混合溶液であり、オキサゾリン当量が220のものである。]
【0080】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長1650(1/cm)前後でオキサゾリン基に由来する吸収ピークを確認した。
【0081】
(比較例4)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.1g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
合成例3の粒子 20.0部
デナコールEX−1610 9.9部
メタノール 27.8部
水 91.8部
[但し、「デナコールEX−1610」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が170のものである。]
【0082】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したが、エポキシ基を示す吸収ピークは確認できなかった。
【0083】
(比較例5)
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.1g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
合成例3の粒子 10.0部
デナコールEX−1610 9.9部
メタノール 27.8部
水 51.8部
[但し、「デナコールEX−1610」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が170のものである。]
【0084】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度「洗浄−ろ過」を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。
尚、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長910(1/cm)前後で極微量のエポキシ基による吸収ピークを確認した。
上記の実施例1〜4のまとめを表2に、比較例1〜5のまとめを表3に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
[評価試験1](粒子形状評価)
実施例粒子1〜4についてSEMにて測定可能な倍率(1,000〜10,000倍)で写真を撮り、粒子1個に対して直径をランダムに15回測定し、長径及び短径を測定し、これをランダムにn=100個繰り返し測定して、球状粒子指数(長径/短径)の平均を求めた。評価結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
評価試験1(実施例粒子1〜4)の結果から、本発明の硬化型粒子は、母粒子が球状粒子であれば、結合により形成された硬化型粒子も球状粒子であることが確認できた。
【0090】
[評価試験2](外殻層の平均厚み径評価)
母粒子と実施例及び比較例粒子を、SEMにて写真を撮り(1,000〜10,000倍)、ランダムにn1=500個測定し、平均粒子径を測定した。そして下記の計算式から外殻層の平均厚み径(L)を求めた。その算出結果を表5、6に示す。
粒子表面の外殻層の平均厚み径(L)の計算式:
L=(L2−L1)/2
式中、L1は母粒子の平均粒子径を、L2は反応により得られた有機化合物含有硬化型粒子の平均粒子径を表す。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
評価試験2(実施例粒子1〜4、比較例粒子1〜5)の結果から、本発明の硬化型粒子は、有機化合物(B)の添加により外殻層を形成させることが可能であることが確認できた。また、比較例粒子4、5から母粒子の官能基量が少ないと、外殻層が殆ど形成し難いことが確認できた。
【0094】
[評価試験3](耐溶剤性、溶液分散性評価)
300mlフラスコに実施例1〜4及び比較例1〜5の粒子各1gと下記記載の水及び有機溶媒100mlを入れ、常温で30分間撹拌した後、耐溶剤性の確認を行った。また、SEMにより形状の確認を行った。それらの評価結果を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
評価試験3(実施例粒子1〜4、比較例粒子1〜5)の結果から、本発明の硬化型粒子は、母粒子に比べ耐溶剤性に優れ、母粒子と有機化合物からなる新しい結合基を有する硬化粒子であることが確認できた。また、比較例粒子4、5から母粒子の官能基量が少ないと、硬化粒子を形成し難いことが確認できた。
また、溶解しない水及び有機溶媒中では、実施例粒子1〜4のいずれもが溶液分散性は良好であった。
【0097】
[評価試験4](耐熱性評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5の粒子各1gを、アルミシャーレに入れ180℃にした乾燥機で1時間キュアした後、アルミシャーレの残存物(粒子)を確認した。また、SEMにより粒子形状の確認を行った。それらの評価試験結果を表8に示す。
【0098】
【表8】
【0099】
評価試験4(実施例粒子1〜4、比較例粒子1〜5)の結果から、本発明の硬化型粒子は、比較例粒子1〜5に比べて耐熱性に優れ、母粒子と有機化合物からなる新しい結合基を有する硬化粒子であることが確認できた。また、比較例粒子4、5から母粒子の官能基量が少ないと、硬化粒子を形成し難いことが確認できた。
【0100】
[評価試験5](接着性、密着性、耐溶剤性評価)
実施例1〜4で得た粒子及び比較例1〜5で得た粒子各0.5gを、水−メタノール(3:7)溶液9.5gに分散させ5重量%粒子溶液を作製した。次にアミノ基含有シランカップリングコートを施してあるスライドガラス(コーニング社製)に少量塗布し、170℃にした乾燥機で30分間熱処理を行った。その後、熱処理を行ったスライドガラスをTHF浴槽(5L)に20分間浸しその後、自然乾燥させてスライドガラス表面の状態を観察した。また、付着物があるものに対しては、SEMにより再度形状の確認を行った。それらの評価結果を表9に示す。
【0101】
【表9】
【0102】
評価試験5(実施例粒子1〜4、比較例粒子1〜5)の結果から、本発明の硬化型粒子は、比較例粒子1〜5に比べて接着性、密着性、耐溶剤性に優れ、有機化合物が結合された硬化粒子であることが確認できた。また、比較例粒子4、5から有機化合物の結合量が少ないと、粒子の接着性、密着性、耐溶剤性も効果がないことが確認できた。
【0103】
上記の実施例と比較例の結果(表4〜9)より、本発明の実施例1〜4からは、硬化型粒子としての耐熱性及び耐溶剤性の向上と、機能性粒子としての接着性、密着性、溶液分散性の効果が得られることが明らかになった。
一方、比較例1〜5では、硬化型粒子としての耐熱性、耐溶剤性の効果が無く、また、比較例4、5では、機能性粒子としての接着性、密着性、溶液分散性の効果が得られなかった。
これらの結果から、本発明の有機化合物を含有する新規な硬化型粒子は、架橋性、耐熱性、耐溶剤性、接着性、密着性、溶液分散性の内少なくとも1つの特性を持つことができる非常に優れた硬化型粒子であることが明らかになった
【0104】
【発明の効果】
本発明の硬化型粒子は、官能基を有する母粒子(A)と、その表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、母粒子(A)と有機化合物(B)とは、前者の官能基と後者の反応基との反応により、強固に結合されていることを特徴としているために、耐熱性と耐溶剤性、さらに、硬化粒子表層部又は表層部と内部の両域に有機化合物内の残存反応基を含有することで接着性と密着性、溶液分散性にも優れた性能を有することができる。
このような優れた性能を有した機能性複合粒子のため、架橋剤、耐加水分解安定剤、熱可塑性樹脂硬化剤、エラストマーへの添加剤、相溶化剤、接着剤、コーティング剤若しくは塗料、自動車分野や電気電子分野或いは家具や建材の補強材や助材、又は液晶用スペーサ等などの広範囲な各分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬化型粒子の概略図である。
【図2】本発明の硬化型粒子の一実施態様である外殻層を有する粒子の概略図である。
Claims (18)
- 官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ溶媒に溶解可能な、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、又はアミノ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物(B)とから構成される硬化型粒子であって、
母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、互いに反応して強固に結合されていることを特徴とする球状又は略球状の硬化型粒子。 - 下記の数式[1]で示される平均厚み径(L)が0.01〜20μmの範囲で有機化合物(B)からなる外殻層を形成することを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
L=(L2−L1)/2 [1]
(式中、L1は母粒子の平均粒子径を、L2は硬化型粒子の平均粒子径を示す。) - 外殻層は、有機化合物(B)の少なくとも1つの反応基が母粒子(A)の官能基と結合して、形成されていることを特徴とする請求項2に記載の硬化型粒子。
- 母粒子(A)の官能基と反応しなかった有機化合物(B)中の反応基の少なくとも一部は、母粒子(A)の内部、表層部又は内部と表層部にあり、密着性、粘着性、接着性、反応性又は溶液分散性から選ばれる少なくとも1つの特性が付与されることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 平均粒径は、0.01〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 母粒子(A)の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、又はチオール基から選ばれる少なくとも1つの活性水素基であることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 母粒子(A)は、官能基を当量で30〜800有することを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 有機化合物(B)は、水溶性又は親水性であることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 有機化合物(B)は、エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 有機化合物(B)は、水溶性又は親水性のエポキシ化合物であることを特徴とする請求項8又は9に記載の硬化型粒子。
- 有機化合物(B)は、反応基(官能基)当量が50〜1,500であることを特徴とする請求項1に記載の硬化型粒子。
- 官能基を有する母粒子(A)と有機化合物(B)とを、前者は溶解しないが、後者は可溶である水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒の存在下で、混合又は浸漬させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程、および引き続いて、前者の官能基と後者の反応基との反応により硬化させる第2の工程とを包含することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の硬化型粒子の製造方法。
- 第2の工程において、母粒子(A)の表面に有機化合物(B)からなる外殻層が母粒子(A)を覆うように形成されることを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
- 前記母粒子(A)の形態は、真球状又は略球状であることを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
- 母粒子(A)は、予め、懸濁重合、乳化重合、分散重合又はシード重合法により得られた粒子であることを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
- 第1の工程において、有機化合物(B)を水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒に溶解させて得られる溶液中に、母粒子(A)を浸漬することを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
- 溶媒は、水、水−アルコール混合物又は水−有機溶媒との混合物であることを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
- 母粒子(A)と有機化合物(B)との混合比は、母粒子(A)の官能基1当量に対して、有機化合物(B)の反応基が0.1〜20当量であることを特徴とする請求項12に記載の硬化型粒子の製造方法。
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