JP2004217742A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】各種の上塗り剤(たとえば、活性エネルギー線硬化樹脂等の表面硬化塗料)に対する接着性および密着性の優れた塗布層を有し、高度な耐久性を有するポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ビスフェノールA構造を有する樹脂を少なくとも1種含有する塗布層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする塗布フィルムであり、上記の塗布層はポリエステルフィルムの製造工程内で設けられたものであることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】ビスフェノールA構造を有する樹脂を少なくとも1種含有する塗布層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする塗布フィルムであり、上記の塗布層はポリエステルフィルムの製造工程内で設けられたものであることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の上塗り剤に対する密着性の優れた塗布層を有するポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、塗布層を介して設けられた活性エネルギー線硬化樹脂層と、基材との密着性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などに優れ、包装材料、電気絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料などを始めとして多くの用途で使用されている。特に近年、電気、電子情報機器の進歩がめざましく、当該用途におけるポリエステルフィルムの使用方法も多岐に渡っている。例えば、電卓、パソコン、マイコン、PPC、電子レンジ、ミシン、電子玩具など幅広い分野で使用されるメンブレンスイッチや、CRT、フラットディスプレイ等の表示部全面に設けられる透明タッチパネルがその代表例として挙げられる。
【0002】
しかし、ポリエステルフィルムをかかる用途に使用する場合、耐擦傷性、防汚性、防眩性等が劣る場合がある。このような性能を付与するためには、フィルムの表面に、硬化塗料による硬化層を形成する方法が通常採用される。硬化塗料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、アルキッド系樹脂、シリコーン系樹脂が代表的なものであり、これらは加熱あるいは紫外線や電子線などの活性エネルギー線による架橋反応により、塗布層の硬度を増すことによってその特性を発揮させるものである。加熱による熱硬化型樹脂は、架橋に高温が必要である場合が多く、反応時間も長いため、ポリエステルフィルムの寸法変化、平面性の悪化、透明性の悪化などが生じやすいという問題がある。このようなことから、活性エネルギー線架橋型の表面硬化塗料が注目されている。しかしながら、ポリエステルフィルム、特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面が高度に結晶配向されているため、かかる活性エネルギー線による硬化層との接着性に劣り、実用的な耐久性に問題がある。
【0003】
【参考文献1】特開平5−311064号公報
【参考文献2】特開昭60−248232号公報
【参考文献3】特開平5−147180号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、各種の上塗り剤(例えば、活性エネルギー線硬化樹脂等の表面硬化塗料)に対する接着性および密着性の優れた塗布層を有し、高度な耐久性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ビスフェノールA構造を有する樹脂を少なくとも1種含有する塗布層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする塗布フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸成分とグリコール成分との重縮合により得られるポリエステルである。これらのジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等が、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0008】
本発明において用いられるポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
【0009】
本発明におけるポリエステルフィルムには、易滑性を付与して取扱いを容易にするために粒子を含有させてもよい。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
【0010】
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.005〜5.0μm、好ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりすることがある。平均粒径が0.005μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.001〜30.0重量%であり、好ましくは0.01〜10.0重量%である。粒子量が多くなるとフィルムの機械的特性や透明性が損なわれる傾向があり、少なければ易滑性が劣る傾向がある。
【0011】
また、必要に応じて上記の粒子のほかにも添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、光線遮断剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の要件を満たしていれば多層構造であってもよく、その場合はポリエステルでない層が含まれても構わない。また、本発明における易接着性の塗布層は、フィルムの片面のみに設けていても、両面に設けていても、本発明の概念に当然含まれるものである。
【0012】
次に、本発明のフィルムにおける塗布層について説明する。
本発明において、塗布層を構成する成分である、ビスフェノールA構造を含有する樹脂としては、樹脂中に下記式(1)によって示される構造を有する樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA構造を有するポリエステル系樹脂、ビスフェノールA構造を有するアクリル系樹脂、ビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等;さらには、ビスフェノールA構造を有するモノマーによって変性、若しくは共重合された各種の樹脂等である。
【0013】
【化1】
【0014】
また、本発明で用いられるビスフェノールA構造を含有する樹脂は、その樹脂中で、式(1)によって示される構造の占める割合は、好ましくは重量比で5〜95%の範囲であり、より好ましくは10〜90%の範囲である。また、易接着性の塗布層全体に占める、式(1)で示される構造の割合は、好ましくは重量比で5〜80%の範囲、より好ましくは10〜70%の範囲、さらに好ましくは10〜50%の範囲である。これらの範囲より外れる場合は、易接着性能が不十分であったり、塗布性が悪くなったりすることがある。なお、式(1)で示される構造の割合は、例えば、適当な溶剤または温水で樹脂または塗布層を溶解抽出し、クロマトグラフィーで分子量毎に分取し、NMRで構造を解析、さらに熱分解GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で解析することにより求めることができる。
【0015】
ビスフェノールA構造を有するポリエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などを用いてなるポリエステルを例示することができる。すなわち、塗布層成分としてのポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物の、重縮合により得られる樹脂を例示できるが、この多価ヒドロキシ化合物の一部若しくは全部として、かかるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を用いるという意味である。
【0016】
その他の構成成分としては、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。常法の重縮合反応によってポリエステルを合成することができる。
【0017】
なお、上記のほか、特開平1−165633号公報に記載されている、いわゆるアクリルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどの、ポリエステル成分を有する複合高分子も、樹脂中にビスフェノールA構造を導入していれば、本発明で用いる塗布層を構成する成分としてのポリエステルとして使用することができる。
【0018】
本発明で用いる、塗布層構成成分としての、ビスフェノールA構造を有するアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体に、ビスフェノールA構造を導入したものである。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
【0019】
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類が挙げられる。また、これらと併用して以下に示すような重合性モノマーを共重合することができる。すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製「サイラプレーンFM−07」(メタクリロイルシリコンマクロマー)等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
【0020】
上記の重合性モノマーからなる重合体に、ビスフェノールA構造を導入するには、例えば上記重合性モノマーのカルボキシ基に、ビスフェノールAや、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などを付加反応させたモノマーを、重合させる方法などがある。
【0021】
塗布層構成成分としてのビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂とは、ポリオールとポリイソシアネートよりなるポリウレタン樹脂の一部に、式(1)で示される構造を含有する樹脂のことである。その製造法としては、公知の方法が適用でき、例えば、ポリオールと過剰のポリイソシアネートから、末端がイソシアネートであるプレポリマーを合成し、次いでこのプレポリマーを、鎖延長剤若しくは架橋剤と反応させて高分子量化させる方法などがある。このポリオール乃至ポリイソシアネートとして、ビスフェノールA構造を有する化合物を用いることで、ビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂を得ることができる。
【0022】
かかるビスフェノールA構造含有化合物以外に用いることのできるポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール類、アクリル系ポリオール、ひまし油等を挙げることができる。通常、分子量300〜2000のポリオールが使用される。
【0023】
また、ビスフェノールA構造含有化合物以外に用いることのできるポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等を挙げることができる。
【0024】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、最も一般的には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが挙げられる。さらに、このようなエポキシ樹脂と他の成分が共重合されていても構わない。例えば、アルキレン鎖やアルキレンオキサイドを導入したものが例示できる。また、本発明におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、通常は分子量200〜10000程度のものが使われる。
なお、上記に例示したような樹脂が共重合されたその他の化合物も、本発明におけるビスフェノールA構造を含有する樹脂に含まれる。
【0025】
本発明において、塗布層を設けるための塗布液中には、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明で用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
【0026】
塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となる傾向がある。
塗布層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は、十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる傾向がある。
【0027】
ポリエステルフィルムに塗布層を設ける方法として、特にポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が、経済性およびその特性の面から好適に採用される。例えば、未延伸フィルムに塗布した後延伸する方法、一軸延伸フィルムに塗布した後延伸する方法、二軸延伸フィルムに塗布した後延伸する方法等がある。特に、未延伸または一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後、テンターにおいて乾燥および延伸を同時に行う方法が経済的である。
【0028】
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、通常用いられる塗布方式が適用できる。例えば、1999年、技術情報協会発行、「コーティング技術」に示されるような、具体的には、グラビアコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ダイコーター、スプレイコーター、カーテンコーター等、あるいはその他の塗布技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
【0029】
本発明では、ポリエステルフィルム上に設けられた易接着性塗布層の上に、さらに活性エネルギー線硬化樹脂層を有する構成とすることができる。このような構成としたとき、ポリエステルフィルムと活性エネルギー線硬化樹脂層との密着性が、非常に優れた積層フィルムを得ることができる。
かかる活性エネルギー線硬化樹脂層の硬化成分としては、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系、付加重合系、チオール・アクリルのハイブリッド系、カチオン重合系、カチオン重合とラジカル重合のハイブリッド系などを使用することができる。これらの中では、硬化性、耐擦傷性、表面硬度、可撓性および耐久性などの観点でアクリル系の硬化成分が好ましい。
【0030】
上記のアクリル系硬化成分は、活性エネルギー線重合成分としてのアクリルモノマーまたはオリゴマーである。そして必要に応じ、反応性希釈剤、光重合開始剤、光増感剤、改質剤からなる群より選ばれる成分を含有する。
活性エネルギー線重合成分としてのアクリルモノマーまたはオリゴマーとしては、代表的には、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリロイル基またはメタアクリロイル基が結合されたオリゴマーが挙げられる。その他のアクリルオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、メラミン、イソシアヌール酸、環状ホスファゼン等の剛直な骨格にアクリロイル基またはメタアクリロイル基が結合した化合物が挙げられる。
【0031】
反応性希釈剤は、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うとともに、それ自体が多官能性または一官能性のアクリルオルゴマーと反応する基を有するため、塗膜の共重合成分となる。反応性希釈剤の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2ーフェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニルジスルフイド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等が挙げられる。
【0033】
光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系などが挙げられる。
改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これらは、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応じて改良することができる。活性エネルギー線硬化樹脂層の組成物には、塗工時の作業性向上、塗工厚さのコントロールのため、有機溶剤を配合することができる。
【0034】
活性エネルギー線硬化樹脂層の形成は、硬化用樹脂組成物を前記の塗布層の表面に塗布した後に活性エネルギー線を照射して架橋硬化させることにより行う。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線を使用することができる。活性エネルギー線の照射は、通常、塗布層側から行うが、フィルムとの密着性を高めるため、フィルム面側から行ってもよく、さらには、活性エネルギー線を反射し得る反射板をフィルム面側に設けてもよい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例および比較例において、易接着性の塗布層を構成する成分として使用した化合物は、以下のとおりである。なお、「部」とあるのは特に断りのない場合は「重量部」を示す。
【0037】
・ビスフェノールA構造を含有するポリエステル樹脂(A−1)
カルボン酸成分として、テレフタル酸92モル%、5−ソジウムスルホイソフタル酸8モル%、グリコール成分として、エチレングリコール60モル%、ジエチレングリコール20モル%、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物20モル%の組成比のポリエステル水分散体であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約14.4重量%である。
【0038】
・ビスフェノールA構造を含有しないポリエステル樹脂(A−2)
カルボン酸成分として、テレフタル酸92モル%、5−ソジウムスルホイソフタル酸8モル%、グリコール成分として、エチレングリコール77モル%、ジエチレングリコール23モル%の組成比のポリエステル水分散体である。
【0039】
・ビスフェノールA構造を含有するポリウレタン樹脂(B−1)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1020部、トリレンジイソシアネート180部よりなるプレポリマーに、ポリオキシプロピレングリコール400部と無水マレイン酸98部とから合成したハーフエステル化合物119部およびキシレン251部を加えて反応させ得られたポリウレタンの水分散体であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約36.3重量%である。
【0040】
・ビスフェノールA構造を含有しないポリウレタン樹脂(B−2)
ポリプロピレングリコール1020部、トリレンジイソシアネート180部よりなるプレポリマーに、ポリオキシプロピレングリコール400部と無水マレイン酸98部とから合成したハーフエステル化合物119部およびキシレン251部を加えて反応させ得られたポリウレタンの水分散体である。
【0041】
・ビスフェノールA構造を含有するエポキシ樹脂(C−1)
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られた、平均分子量が約900のエポキシ樹脂であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約77.2重量%である。
【0042】
・不活性粒子(D−1)
平均粒径0.05μmのシリカゾル
【0043】
実施例1〜5、比較例1、2
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのチップを十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムの片面に、コロナ処理機を用いて約30W/m2・minで均一に放電処理を行った。次いで、コロナ放電処理された面に、下記表1に示すとおりの塗布液をそれぞれメイヤーバーにより塗布した。そのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施し、フィルム厚みが100μmの基材フィルムの上に0.05g/m2の量の易接着性塗布層をそれぞれ設けた積層二軸延伸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0044】
【表1】
【0045】
表1における「BPA含有量」とは、実施例および比較例で、これら塗布液によって得られた易接着性塗布層中で、式(1)の構造が占める重量比率を示すものである。
【0046】
次いで、得られたそれぞれのフィルムの易接着性塗布層上に、下記表2に示すとおりの活性エネルギー線硬化樹脂組成物を硬化後の厚さが10μmになるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて約10秒間照射し硬化を行って、<ポリエステルフィルム/易接着性塗布層/活性エネルギー線硬化樹脂層>という構成の積層フィルムを得た。なお、下記表2中、硬化樹脂組成物1より得られる層を硬化層1と呼び、硬化樹脂組成物2より得られる層を硬化層2と呼ぶこととする。
【0047】
【表2】
【0048】
【化2】
【0049】
得られたフィルムのそれぞれについて、活性エネルギー線硬化樹脂層に、1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所について3回、セロテープ(登録商標)による急速剥離テストを実施し、剥離面積によりその密着性を評価した。判定基準は以下のとおりであり、結果を下記表3に示す。
◎:碁盤目剥離個数=0
○:1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21<碁盤目剥離個数
××:全面が剥離
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、上塗り層に対する密着性の優れた塗布層を有するポリエステルフィルム、および、活性エネルギー線硬化樹脂層と基材との密着性が優れた硬化層積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的な価値は高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の上塗り剤に対する密着性の優れた塗布層を有するポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、塗布層を介して設けられた活性エネルギー線硬化樹脂層と、基材との密着性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などに優れ、包装材料、電気絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料などを始めとして多くの用途で使用されている。特に近年、電気、電子情報機器の進歩がめざましく、当該用途におけるポリエステルフィルムの使用方法も多岐に渡っている。例えば、電卓、パソコン、マイコン、PPC、電子レンジ、ミシン、電子玩具など幅広い分野で使用されるメンブレンスイッチや、CRT、フラットディスプレイ等の表示部全面に設けられる透明タッチパネルがその代表例として挙げられる。
【0002】
しかし、ポリエステルフィルムをかかる用途に使用する場合、耐擦傷性、防汚性、防眩性等が劣る場合がある。このような性能を付与するためには、フィルムの表面に、硬化塗料による硬化層を形成する方法が通常採用される。硬化塗料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、アルキッド系樹脂、シリコーン系樹脂が代表的なものであり、これらは加熱あるいは紫外線や電子線などの活性エネルギー線による架橋反応により、塗布層の硬度を増すことによってその特性を発揮させるものである。加熱による熱硬化型樹脂は、架橋に高温が必要である場合が多く、反応時間も長いため、ポリエステルフィルムの寸法変化、平面性の悪化、透明性の悪化などが生じやすいという問題がある。このようなことから、活性エネルギー線架橋型の表面硬化塗料が注目されている。しかしながら、ポリエステルフィルム、特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面が高度に結晶配向されているため、かかる活性エネルギー線による硬化層との接着性に劣り、実用的な耐久性に問題がある。
【0003】
【参考文献1】特開平5−311064号公報
【参考文献2】特開昭60−248232号公報
【参考文献3】特開平5−147180号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、各種の上塗り剤(例えば、活性エネルギー線硬化樹脂等の表面硬化塗料)に対する接着性および密着性の優れた塗布層を有し、高度な耐久性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ビスフェノールA構造を有する樹脂を少なくとも1種含有する塗布層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする塗布フィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸成分とグリコール成分との重縮合により得られるポリエステルである。これらのジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等が、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0008】
本発明において用いられるポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
【0009】
本発明におけるポリエステルフィルムには、易滑性を付与して取扱いを容易にするために粒子を含有させてもよい。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
【0010】
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.005〜5.0μm、好ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりすることがある。平均粒径が0.005μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.001〜30.0重量%であり、好ましくは0.01〜10.0重量%である。粒子量が多くなるとフィルムの機械的特性や透明性が損なわれる傾向があり、少なければ易滑性が劣る傾向がある。
【0011】
また、必要に応じて上記の粒子のほかにも添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、染料、顔料、光線遮断剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の要件を満たしていれば多層構造であってもよく、その場合はポリエステルでない層が含まれても構わない。また、本発明における易接着性の塗布層は、フィルムの片面のみに設けていても、両面に設けていても、本発明の概念に当然含まれるものである。
【0012】
次に、本発明のフィルムにおける塗布層について説明する。
本発明において、塗布層を構成する成分である、ビスフェノールA構造を含有する樹脂としては、樹脂中に下記式(1)によって示される構造を有する樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA構造を有するポリエステル系樹脂、ビスフェノールA構造を有するアクリル系樹脂、ビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等;さらには、ビスフェノールA構造を有するモノマーによって変性、若しくは共重合された各種の樹脂等である。
【0013】
【化1】
【0014】
また、本発明で用いられるビスフェノールA構造を含有する樹脂は、その樹脂中で、式(1)によって示される構造の占める割合は、好ましくは重量比で5〜95%の範囲であり、より好ましくは10〜90%の範囲である。また、易接着性の塗布層全体に占める、式(1)で示される構造の割合は、好ましくは重量比で5〜80%の範囲、より好ましくは10〜70%の範囲、さらに好ましくは10〜50%の範囲である。これらの範囲より外れる場合は、易接着性能が不十分であったり、塗布性が悪くなったりすることがある。なお、式(1)で示される構造の割合は、例えば、適当な溶剤または温水で樹脂または塗布層を溶解抽出し、クロマトグラフィーで分子量毎に分取し、NMRで構造を解析、さらに熱分解GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で解析することにより求めることができる。
【0015】
ビスフェノールA構造を有するポリエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などを用いてなるポリエステルを例示することができる。すなわち、塗布層成分としてのポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物の、重縮合により得られる樹脂を例示できるが、この多価ヒドロキシ化合物の一部若しくは全部として、かかるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を用いるという意味である。
【0016】
その他の構成成分としては、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。常法の重縮合反応によってポリエステルを合成することができる。
【0017】
なお、上記のほか、特開平1−165633号公報に記載されている、いわゆるアクリルグラフトポリエステルや、ポリエステルポリオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどの、ポリエステル成分を有する複合高分子も、樹脂中にビスフェノールA構造を導入していれば、本発明で用いる塗布層を構成する成分としてのポリエステルとして使用することができる。
【0018】
本発明で用いる、塗布層構成成分としての、ビスフェノールA構造を有するアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体に、ビスフェノールA構造を導入したものである。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
【0019】
上記炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有ビニル系モノマー類が挙げられる。また、これらと併用して以下に示すような重合性モノマーを共重合することができる。すなわち、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チッソ(株)製「サイラプレーンFM−07」(メタクリロイルシリコンマクロマー)等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
【0020】
上記の重合性モノマーからなる重合体に、ビスフェノールA構造を導入するには、例えば上記重合性モノマーのカルボキシ基に、ビスフェノールAや、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などを付加反応させたモノマーを、重合させる方法などがある。
【0021】
塗布層構成成分としてのビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂とは、ポリオールとポリイソシアネートよりなるポリウレタン樹脂の一部に、式(1)で示される構造を含有する樹脂のことである。その製造法としては、公知の方法が適用でき、例えば、ポリオールと過剰のポリイソシアネートから、末端がイソシアネートであるプレポリマーを合成し、次いでこのプレポリマーを、鎖延長剤若しくは架橋剤と反応させて高分子量化させる方法などがある。このポリオール乃至ポリイソシアネートとして、ビスフェノールA構造を有する化合物を用いることで、ビスフェノールA構造を有するポリウレタン系樹脂を得ることができる。
【0022】
かかるビスフェノールA構造含有化合物以外に用いることのできるポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール類、アクリル系ポリオール、ひまし油等を挙げることができる。通常、分子量300〜2000のポリオールが使用される。
【0023】
また、ビスフェノールA構造含有化合物以外に用いることのできるポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、鎖長延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等を挙げることができる。
【0024】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、最も一般的には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが挙げられる。さらに、このようなエポキシ樹脂と他の成分が共重合されていても構わない。例えば、アルキレン鎖やアルキレンオキサイドを導入したものが例示できる。また、本発明におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、通常は分子量200〜10000程度のものが使われる。
なお、上記に例示したような樹脂が共重合されたその他の化合物も、本発明におけるビスフェノールA構造を含有する樹脂に含まれる。
【0025】
本発明において、塗布層を設けるための塗布液中には、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明で用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
【0026】
塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となる傾向がある。
塗布層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は、十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる傾向がある。
【0027】
ポリエステルフィルムに塗布層を設ける方法として、特にポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が、経済性およびその特性の面から好適に採用される。例えば、未延伸フィルムに塗布した後延伸する方法、一軸延伸フィルムに塗布した後延伸する方法、二軸延伸フィルムに塗布した後延伸する方法等がある。特に、未延伸または一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後、テンターにおいて乾燥および延伸を同時に行う方法が経済的である。
【0028】
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、通常用いられる塗布方式が適用できる。例えば、1999年、技術情報協会発行、「コーティング技術」に示されるような、具体的には、グラビアコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ダイコーター、スプレイコーター、カーテンコーター等、あるいはその他の塗布技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
【0029】
本発明では、ポリエステルフィルム上に設けられた易接着性塗布層の上に、さらに活性エネルギー線硬化樹脂層を有する構成とすることができる。このような構成としたとき、ポリエステルフィルムと活性エネルギー線硬化樹脂層との密着性が、非常に優れた積層フィルムを得ることができる。
かかる活性エネルギー線硬化樹脂層の硬化成分としては、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系、付加重合系、チオール・アクリルのハイブリッド系、カチオン重合系、カチオン重合とラジカル重合のハイブリッド系などを使用することができる。これらの中では、硬化性、耐擦傷性、表面硬度、可撓性および耐久性などの観点でアクリル系の硬化成分が好ましい。
【0030】
上記のアクリル系硬化成分は、活性エネルギー線重合成分としてのアクリルモノマーまたはオリゴマーである。そして必要に応じ、反応性希釈剤、光重合開始剤、光増感剤、改質剤からなる群より選ばれる成分を含有する。
活性エネルギー線重合成分としてのアクリルモノマーまたはオリゴマーとしては、代表的には、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリロイル基またはメタアクリロイル基が結合されたオリゴマーが挙げられる。その他のアクリルオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、メラミン、イソシアヌール酸、環状ホスファゼン等の剛直な骨格にアクリロイル基またはメタアクリロイル基が結合した化合物が挙げられる。
【0031】
反応性希釈剤は、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うとともに、それ自体が多官能性または一官能性のアクリルオルゴマーと反応する基を有するため、塗膜の共重合成分となる。反応性希釈剤の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0032】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2ーフェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、アントラキノン、フェニルジスルフイド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等が挙げられる。
【0033】
光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系などが挙げられる。
改質剤としては、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられる。これらは、活性エネルギー線による反応を阻害しない範囲で使用され、活性エネルギー線硬化樹脂層の特性を用途に応じて改良することができる。活性エネルギー線硬化樹脂層の組成物には、塗工時の作業性向上、塗工厚さのコントロールのため、有機溶剤を配合することができる。
【0034】
活性エネルギー線硬化樹脂層の形成は、硬化用樹脂組成物を前記の塗布層の表面に塗布した後に活性エネルギー線を照射して架橋硬化させることにより行う。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線、α線、β線、γ線を使用することができる。活性エネルギー線の照射は、通常、塗布層側から行うが、フィルムとの密着性を高めるため、フィルム面側から行ってもよく、さらには、活性エネルギー線を反射し得る反射板をフィルム面側に設けてもよい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例および比較例において、易接着性の塗布層を構成する成分として使用した化合物は、以下のとおりである。なお、「部」とあるのは特に断りのない場合は「重量部」を示す。
【0037】
・ビスフェノールA構造を含有するポリエステル樹脂(A−1)
カルボン酸成分として、テレフタル酸92モル%、5−ソジウムスルホイソフタル酸8モル%、グリコール成分として、エチレングリコール60モル%、ジエチレングリコール20モル%、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物20モル%の組成比のポリエステル水分散体であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約14.4重量%である。
【0038】
・ビスフェノールA構造を含有しないポリエステル樹脂(A−2)
カルボン酸成分として、テレフタル酸92モル%、5−ソジウムスルホイソフタル酸8モル%、グリコール成分として、エチレングリコール77モル%、ジエチレングリコール23モル%の組成比のポリエステル水分散体である。
【0039】
・ビスフェノールA構造を含有するポリウレタン樹脂(B−1)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1020部、トリレンジイソシアネート180部よりなるプレポリマーに、ポリオキシプロピレングリコール400部と無水マレイン酸98部とから合成したハーフエステル化合物119部およびキシレン251部を加えて反応させ得られたポリウレタンの水分散体であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約36.3重量%である。
【0040】
・ビスフェノールA構造を含有しないポリウレタン樹脂(B−2)
ポリプロピレングリコール1020部、トリレンジイソシアネート180部よりなるプレポリマーに、ポリオキシプロピレングリコール400部と無水マレイン酸98部とから合成したハーフエステル化合物119部およびキシレン251部を加えて反応させ得られたポリウレタンの水分散体である。
【0041】
・ビスフェノールA構造を含有するエポキシ樹脂(C−1)
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られた、平均分子量が約900のエポキシ樹脂であり、樹脂中の、式(1)で表される構造の占める比率は、約77.2重量%である。
【0042】
・不活性粒子(D−1)
平均粒径0.05μmのシリカゾル
【0043】
実施例1〜5、比較例1、2
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのチップを十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムの片面に、コロナ処理機を用いて約30W/m2・minで均一に放電処理を行った。次いで、コロナ放電処理された面に、下記表1に示すとおりの塗布液をそれぞれメイヤーバーにより塗布した。そのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施し、フィルム厚みが100μmの基材フィルムの上に0.05g/m2の量の易接着性塗布層をそれぞれ設けた積層二軸延伸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0044】
【表1】
【0045】
表1における「BPA含有量」とは、実施例および比較例で、これら塗布液によって得られた易接着性塗布層中で、式(1)の構造が占める重量比率を示すものである。
【0046】
次いで、得られたそれぞれのフィルムの易接着性塗布層上に、下記表2に示すとおりの活性エネルギー線硬化樹脂組成物を硬化後の厚さが10μmになるように塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて約10秒間照射し硬化を行って、<ポリエステルフィルム/易接着性塗布層/活性エネルギー線硬化樹脂層>という構成の積層フィルムを得た。なお、下記表2中、硬化樹脂組成物1より得られる層を硬化層1と呼び、硬化樹脂組成物2より得られる層を硬化層2と呼ぶこととする。
【0047】
【表2】
【0048】
【化2】
【0049】
得られたフィルムのそれぞれについて、活性エネルギー線硬化樹脂層に、1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所について3回、セロテープ(登録商標)による急速剥離テストを実施し、剥離面積によりその密着性を評価した。判定基準は以下のとおりであり、結果を下記表3に示す。
◎:碁盤目剥離個数=0
○:1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21<碁盤目剥離個数
××:全面が剥離
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、上塗り層に対する密着性の優れた塗布層を有するポリエステルフィルム、および、活性エネルギー線硬化樹脂層と基材との密着性が優れた硬化層積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的な価値は高い。
Claims (3)
- ビスフェノールA構造を有する樹脂を少なくとも1種含有する塗布層をポリエステルフィルムの片面に有することを特徴とする塗布フィルム。
- 塗布層がポリエステルフィルム製造工程内で設けられたものであることを特徴とする請求項1記載の塗布フィルム。
- 塗布層上に活性エネルギー線硬化樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2記載のポリエステルフィルム。
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JP2003005202A JP2004217742A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | ポリエステルフィルム |
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JP (1) | JP2004217742A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007130958A (ja) * | 2005-11-14 | 2007-05-31 | Mitsubishi Polyester Film Copp | 光学用積層ポリエステルフィルム |
JP2007144824A (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-14 | Mitsubishi Polyester Film Copp | 光学用積層ポリエステルフィルム |
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-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003005202A patent/JP2004217742A/ja active Pending
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