JP2004217676A - 発泡性樹脂の減容化方法及び発泡性樹脂の減容化装置並びに発泡性樹脂のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡ポリスチレンは、かさが大きく、回収重量の割に運搬コストが高くつく。熱処理法、溶剤への溶解法などが提案、実施されているがさらなる低コスト化処理法が望まれる。
【解決手段】エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどに代表される多価アルコールや多価アルコールエーテル、アルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種を成分として含む溶剤を発泡ポリスチレンと接触させることにより、減容化処理が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどに代表される多価アルコールや多価アルコールエーテル、アルコール、アセトンから選ばれる少なくとも1種を成分として含む溶剤を発泡ポリスチレンと接触させることにより、減容化処理が可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品などの梱包材や緩衝材、食品トレー、また、建材などに広く用いられている発泡性樹脂のかさを減少させ、さらにそれらに含まれる難燃剤などの添加剤を除去することによって、コンパクトにかつ安全に回収するための減容化方法、減容化装置、ならびに発泡性樹脂のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物処理の減容化といった観点から、発泡性樹脂のリサイクル技術の確立が求められている。しかし新聞や雑誌などとは違い、発泡性樹脂の場合は重量に比べ体積が非常に大きく、かさばるため、保管場所がなかったり、回収コストの点で問題があった。
【0003】
発泡性樹脂のうち例えば、発泡ポリスチレンをリサイクル処理する際は熱処理が一般的である。しかしながら、熱処理により減容化すると、加熱収縮により物性が低下するといった問題点を有している。熱処理に替わる新しい発泡ポリスチレンのリサイクル技術として、材料物性の低下が比較的小さいと思われる溶解による方式が提案されている。現在、溶解方式に用いる溶媒として、植物系溶剤や石油系溶剤、一般有機溶剤などが広く知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の溶解方式に用いる溶媒は、一般にポリスチレンに対する溶解性が優れており、比較的短時間で発泡ポリスチレンを溶解することができる。しかし、一度溶解させた発泡ポリスチレンと溶剤を蒸留法などの手法を用いて分離する工程が必要である。また乾燥後もポリスチレン中には僅かの溶剤臭が残ったり、着色する場合が多い。また溶剤に対して発泡ポリスチレンが無限に溶解するわけではなく、溶解量のコントロールも必要などといった課題を有していた。更に石油系溶剤や有機溶剤には人体、環境などに悪影響を与えるものもあり大量使用は好ましくない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、発泡ポリスチレンなどに代表される発泡性樹脂が溶剤に溶解することなく減容化され、減容化後の発泡性樹脂には溶剤臭が残らず、かつ着色もせず、更に溶剤量に対する発泡性樹脂量のコントロールも不要となる、発泡性樹脂の減容化方法を提供することを目的とする。また溶剤を選択することにより、発泡性樹脂中に含まれる添加剤成分を容易に取り除くことができる。本発明は、さらに、減容化溶剤を用いた発泡性樹脂の減容化装置および発泡性樹脂のリサイクル方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対し研究を重ねた結果、発泡性樹脂をある特定の条件の溶剤と接触させることにより、発泡性樹脂が溶解することなく減容化が生じることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
第一の発明(請求項1に対応)は、発泡性樹脂が溶解しない溶剤と前記発泡性樹脂を接触させ、発泡部分の収縮を推進して減容化することを特徴とする発泡性樹脂の減容化方法である。
【0008】
第二の発明(請求項2に対応)は、発泡性樹脂は発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、またはそれら共重合体から選ばれる請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0009】
第三の発明(請求項3に対応)は、溶剤は、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を成分として含む請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0010】
第四の発明(請求項4に対応)は、アルコールは、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0011】
第五の発明(請求項5に対応)は、多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0012】
第六の発明(請求項6に対応)は、多価アルコールエーテルは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0013】
第七の発明(請求項7に対応)は、発泡性樹脂に含まれる添加剤を溶剤に溶解して、前記発泡性樹脂と前記添加剤とを分離する請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0014】
第八の発明(請求項8に対応)は、発泡性樹脂の減容化剤を供給する減容化剤供給手段と、前記減容化剤を加熱する加熱手段と、前記減容化剤と発泡性樹脂とを接触させるための容器とを備えたことを特徴とする発泡性樹脂の減容化装置である。
【0015】
第九の発明(請求項9に対応)は、発泡性樹脂を再生するための一工程として、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性樹脂の減容化方法を用いることを特徴とする発泡性樹脂のリサイクル方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、発泡性樹脂を溶剤に溶解させずに減容化する方法を種々検討したところ、発泡性樹脂が非溶解性を示すある特定の溶媒をある条件で用いることで本目的が達成されることを見出し、本発明を提案するに至った。
【0017】
本発明は、発泡性樹脂を溶解しない溶剤を発泡性樹脂と接触させることで発泡性樹脂を溶解させることなく、減容化処理を可能とするものである。
【0018】
本発明における発泡性樹脂として、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、及びそれら共重合体などが挙げられる。発泡スチレンは、家電製品などの梱包材や食品トレーなどに、発泡ポリプロピレンは、OA機器や工具等の包装材、建築用断熱材などに、発泡ポリエチレンは、大型、重量物、精密機器、高級品の包装材などに、さらに発泡ウレタンは、建築材料などに用いられている。
【0019】
使用する溶剤は、発泡性樹脂を溶解しないものであればどの様なものでもよいが、具体的には、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むものが挙げられる。
【0020】
このとき、”発泡性樹脂が溶解しない”という現象に対する解釈としては、発泡性樹脂の半分以上が溶けない、つまり、溶ける部分よりも溶けない部分の体積や重量の方が大きければよい。さらに好ましくは、発泡性樹脂の処理前の重量の90%以上かつ100%以下が溶液に溶けない場合を意味し、処理後の樹脂の重量減少は最大で10%である。後述する添加剤を含む発泡性樹脂の場合も同様であり、添加剤成分の重量を除いた樹脂成分のみの比較として、上記範囲を満たすものであればよい。
【0021】
多価アルコールとは、脂肪族や脂環式化合物から成るジオール、あるいはトリオールを示し、エチレングリコールやプロピレングリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリンなどが挙げられる。また多価アルコールエーテルは、エーテル結合を介した多価アルコールで、ジエチレングリコールやジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。アルコールや、これら多価アルコール、多価アルコールエーテルの溶剤を発泡ポリスチレンなどの発泡性樹脂に接触させると、樹脂自身を溶解させることなく、気泡のみ発生し、体積が収縮することを突き止めた。
【0022】
一方アセトンの場合は引火点が低く、取扱いに注意を要するが、アセトン溶液中に発泡ポリスチレンや発泡ウレタンなどを加えると溶解せずに直ちに減容化され、その反応性、減容化率は極めて高い。従ってアセトン使用の場合は慎重を要するが、発泡性樹脂の減容化剤の一候補として付記した。
【0023】
なかでも、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールは沸点が100℃前後であり、発泡性樹脂との接触が終了した後も、発泡性樹脂中に長期残存することがないので、その後の処理に適している。
【0024】
またエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールは、シャンプーや化粧品などの成分としても広く使われており、比較的低コストで入手可能である。留飲した場合や大量に使用した場合には、腎臓障害や溶血性などの症状がでる可能性があるが、一般に危険性の少ない化合物であると認識されている。これらを成分として含む液を発泡ポリスチレンなどの発泡性樹脂に接触させると、先と同様に発泡性樹脂を溶解することなく、減容化できることがわかった。またこのとき加熱を行うことが重要であることも突き止めた。
【0025】
本発明においては、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種が発泡性樹脂の減容化剤の主成分として含まれておればよく、これら同士の混合物であってもよいし、水、その他添加剤などが含まれていてもなんら問題ない。また減容化処理した発泡性樹脂の特性、物性値に影響を及ぼさない範囲であれば、香料や溶剤など減容化処理後にも発泡性樹脂中に残存していても問題ない。
【0026】
これらの溶剤中には発泡性樹脂は溶解しない。つまり溶剤中の発泡性樹脂の溶解濃度が増加することがないので、処理する発泡性樹脂の量を気にする必要はない。また発泡性樹脂を取り出すときにも、持ち出しがほとんどなく、同じ溶剤で大量の発泡性樹脂を減容化できるのも本発明のメリットのひとつである。また持ち出しがある場合にも、接触終了後に減容化した発泡性樹脂を冷却、乾燥する工程を設けることによって溶剤回収が可能となる。さらに減容化後に圧縮、プレス工程などを加えることで、他の成型加工品を同時に作成することも可能である。
【0027】
接触方法としては、本発明の発泡性樹脂の減容化溶剤中に発泡性樹脂を投入する方法や、それら溶剤あるいはその蒸気を発泡性樹脂に噴霧する方法などがある。溶剤を噴霧する場合は加熱しながら行うのがよい。また発泡性樹脂自身あるいは発泡性樹脂が投入された容器をそれぞれ加熱しておいてもよい。一般に発泡性樹脂はこれらの減容化溶剤に対して浮くと思われるが、その時には積極的に接触部分が増大するように発泡性樹脂を支持したり、あるいは発泡性樹脂が入った外箱を沈めるような工夫をしてもよい。逆に、発泡性樹脂の収縮の速度をコントロールするために浮いた状態で保持しても構わない。
【0028】
本発明における処理温度としては、50℃以上、150℃以下が好ましい。これら発泡性樹脂のガラス転移温度あるいは軟化点は、低いものは80℃程度高いもので130℃程度である。50℃より温度が低い場合は、ガラス転移温度が比較的低い発泡ポリスチレンと溶剤とを接触させても、減容化は生じないことがわかった。しかしながら50℃程度のエタノール中では少し減容化に時間を要するが充分収縮が生じることがわかった。つまり50℃以上の温度であれば、樹脂の熱変形あるいはガラス転移が溶剤雰囲気中で徐々に開始し、溶剤中では減容化が進行するものと考えられる。
【0029】
一方高温側は、本発明では種々の実験結果を踏まえ、150℃以下が好ましいと判断した。150℃よりもさらに加熱した場合は、発泡性樹脂の種類にも依存するが、再生品の品位、物性値を劣化させる場合がある。またアルキレングリコールやジアルキレングリコールなどの成分を含むシャンプーやハンドソープなどを利用する場合には、水分も含まれていると思われることから100℃以下で処理することが好ましい。
【0030】
また発泡性樹脂中に添加剤、特に臭素系難燃剤やアンチモン系の難燃剤などが含まれている場合、再生品として他用途に用いようとすると、それらの添加剤を予め取り除いておくほうが望ましい。本発明ではそのような点にも鑑み、溶剤を選択することによって、発泡性樹脂を溶剤に溶かすことなく、発泡部分の収縮と難燃剤成分の溶剤への溶解を推進できることを明らかとした。このとき温度制御方法は2通り存在し、
1.発泡部分の収縮と添加剤成分の溶剤への溶解処理を同時に進行させながら行う場合と、
2.まず添加剤成分の溶剤への溶解を進行させたあと、加温し発泡部分の収縮を推進する場合である。
【0031】
いずれの場合においても充分処理は可能であるが、難燃剤など添加剤の種類や添加量によって使い分けることが必要となる。
【0032】
本発明における難燃剤などの添加剤を含有する発泡性樹脂の減容化方法において、特に有効な効果が得られるのは発泡ポリスチレンである。難燃性発泡ポリスチレンは建材用途などに用いられる場合が多く、難燃剤と発泡ポリスチレンとを容易に分離することができる極めてユニークかつ安易な方法である。
【0033】
このとき、難燃剤を含有する発泡性樹脂を溶解しない溶剤としては、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが望ましい。特に臭素系難燃剤では、プロピレングリコールやジプロピレングリコールなどの溶剤が、また三酸化アンチモンなどを含有する場合にはエチレングリコールが望ましいことを突き止めた。
【0034】
さらに発泡性樹脂の減容化装置としては、発泡性樹脂の減容化剤を供給する減容化剤供給手段と、減容化剤を加熱する加熱手段と、この減容化剤と発泡性樹脂とを接触させるための容器とを備えたものがよい。この様な仕様を満たす既存の装置として、食器洗浄乾燥機が挙げられ、本発明の発泡性樹脂の減容化溶剤を洗剤の替わりに用いることで発泡性樹脂の減容化処理を行うことができる。
【0035】
本発明の発泡性樹脂の減容化剤を用いることによって、発泡性樹脂を容易にかつ安全に、低コストで減容化することができる。溶剤は基本的に入れ替えや蒸留などの操作が不要であり、減容化された発泡性樹脂に溶剤が付着する場合は、その減少分の溶剤を適宜追加する程度でよい。また本発明の発泡性樹脂の減容化方法で減容化された発泡性樹脂は、処理前の体積の約25分の1程度まで収縮しているので、輸送の際には今までの25倍の量を一度に扱うことができる。また本発明の場合は、トラックなどの移動手段に溶剤を積載させる必要がないので、その分をさらに運搬できることになる。これも本発明の重要な点である。
【0036】
また本発明の発泡性樹脂の減容化装置は、従来の熱収縮による減容化装置ほど高温処理する必要がなく、また発泡性樹脂の分子量を低下させることがなく、リサイクル使用に問題のない発泡性樹脂組成物を提供することができる。ペレタイザーとの組合せにより、発泡性樹脂の減容化、並びに減容化された発泡性樹脂のペレット化まで、一貫システムも提供できる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0038】
(実施例1)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を50℃のアセトン液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0039】
(実施例2〜4、比較例1)
一片が5cmの立方体の発泡ポリプロピレン(実施例2)、発泡ポリエチレン(実施例3)、発泡ウレタン(実施例4)をそれぞれ1個ずつ、実施例1と同様に、50℃のアセトン液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、それぞれ初期の体積の約3%(実施例2)、5%(実施例3)、10%(実施例4)まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0040】
また比較として(比較例1)、実施例4と同じサイズの発泡ウレタンを1個、室温のアセトンに浸漬したが、その体積に変化は見られなかった。
【0041】
(実施例5〜7)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表1)に示す溶剤1リットルに浸漬し、30分後の体積を測定した。体積と収縮率(処理後の体積/処理前の体積)もあわせて(表1)に示した。溶剤は全て50℃に加熱し、実験を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
(表1)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、収縮率は小さいが体積が減少していることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0044】
(実施例8〜27)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表2)に示す溶剤1リットルに浸漬し、10分後の体積を測定した。体積と収縮率(処理後の体積/処理前の体積)もあわせて(表2)に示した。溶剤は全て70℃に加熱し、実験を行った。
【0045】
【表2】
【0046】
(表2)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積が減少していることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0047】
(実施例28〜47)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表3)に示す溶剤1リットルに浸漬し、5分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表3)に示した。このとき溶剤は90℃に保持した状態で、発泡ポリスチレンを投入した。
【0048】
【表3】
【0049】
(表3)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0050】
(実施例48〜60)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表4)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表4)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリスチレンを投入した。
【0051】
【表4】
【0052】
(表4)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0053】
(実施例61〜73)
ブロック状の発泡ポリプロピレン(一片が5cmの立方体)1個を(表5)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表5)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリプロピレンを投入した。
【0054】
【表5】
【0055】
(表5)より、いずれの発泡ポリプロピレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0056】
(実施例74〜86)
ブロック状の発泡ポリエチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表6)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表6)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリエチレンを投入した。
【0057】
【表6】
【0058】
(表6)より、いずれの発泡ポリエチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0059】
(実施例87〜99)
ブロック状の発泡ポリウレタン(一片が5cmの立方体)1個を(表7)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表7)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリウレタンを投入した。
【0060】
【表7】
【0061】
(表7)より、いずれの発泡ポリウレタンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0062】
(実施例100)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を150℃のジプロピレングリコール液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0063】
(実施例101〜104、比較例2)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が2.5cmの立方体)1個に、80℃に保持した(表8)に示す溶剤を50ml噴霧し、終了後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表8)に示した。このとき実験は密閉容器中で行い、噴霧時以外に溶剤と発泡ポリスチレンが接触しないようにした。
【0064】
【表8】
【0065】
(表8)の実施例の結果からわかるように、噴霧によっても同様にこれらの溶剤を用いることによって発泡ポリスチレンが減容化できることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。特に実施例101終了後の減容化した発泡ポリスチレンを空気中で充分乾燥後、重量を測定したところ、初期重量と全く変化ないことがわかった。また実施例102〜104の場合は加熱式真空乾燥機でしばらく処理することで、残存溶剤を除去することができた。このことから、より低沸点溶剤を用いることによって、発泡ポリスチレンからの揮発性が高くなり、残存溶剤を容易に減少できることが明らかとなった。一方、水を用いた場合には、温度が高いにも関わらず、全く減容化していないことが明らかとなった。
【0066】
(実施例105)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が2.5cmの立方体)1個を90℃に保持したハンドソープ150mlに約1時間投入した。用いたハンドソープの成分比率は不明であるが、プロピレングリコールの他に、安息香酸塩、塩化ベンザルコニウム、香料などが含有されている。1時間経過後の体積を測定したところ、1.6mlで収縮率は10%であることがわかった。水で洗浄後、加熱式真空乾燥機で乾燥させることで、初期重量と同じ重量となった。
【0067】
(実施例106)
添加剤としてビフェニルエーテル骨格を有する臭素系難燃剤を樹脂重量に対して10%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、150℃のジプロピレングリコール液1リットルに約10分間浸漬した。収縮が始まり、溶液が僅かに黄色に着色した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。同様に難燃剤成分に関しても測定したところ、処理前に見られた低分子側の難燃剤ピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化と樹脂中に含まれる添加剤成分である難燃剤も同時に処理できることがわかった。
【0068】
(実施例107)
添加剤として難燃剤である三酸化アンチモンを樹脂重量に対して5%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、150℃のエチレングリコール液1リットルに約30分間浸漬した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。アンチモン成分の存在を蛍光X線分析法により測定したところ、処理前に見られたアンチモンのピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化と樹脂中に含まれる添加剤成分である難燃剤も同時に処理できることがわかった。
【0069】
(実施例106)
添加剤としてトリアジン骨格を有する臭素系難燃剤を樹脂重量に対して10%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、まず室温状態のジプロピレングリコール液1リットルに約10分間浸漬した。溶液が僅かに黄色に着色した後、発泡ポリスチレンを溶液中に保持したまま、120℃まで加温した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約5%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。同様に難燃剤成分に関しても測定したところ、処理前に見られた低分子側の難燃剤ピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを所定溶液中で室温処理することによって、難燃剤を除去し、さらに加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化を促進できることがわかった。
【0070】
(実施例107)
図1に示すような発泡ポリスチレンの減容化装置を作成し、実験を行った。まずブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1を縦、横、高さが3個ずつ合計27個になるように配置し、ふた付き網かご2に入れた。発泡ポリスチレン1が入ったふた付き網かご2は、昇降可能な支持棒3に接続されており、A位置からB位置まで移動が可能である。またジプロピレングリコール4が10リットル入った容器5を支持棒3近傍にセットし、撹拌機能付きヒータ6で撹拌子7を回転させ、容器内温度を120℃に保持した。
【0071】
充分温度が一定になったところで、発泡ポリスチレン1が入ったふた付き網かご2をA位置からB位置へ移動させ、3分浸漬した。網かご2を再度A位置に戻した後、発泡ポリスチレンを取出したところ、体積は平均して元の5%まで収縮していることがわかった。
【0072】
(実施例108)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)20個を、食器洗浄乾燥機に入れ、洗浄用溶剤として実施例105で用いたハンドソープを投入した。標準コースで約1時間をかけて、洗い、すすぎ、乾燥工程を実施した。
【0073】
乾燥終了後の発泡ポリスチレンは平均して、初期体積の約4%まで減少していることがわかった。またすすぎ、乾燥後の発泡ポリスチレンには石鹸などの成分が全く存在せず、減容化後の重量は、初期重量と同じであることも確かめた。
【0074】
(実施例109)
梱包材として使用されている発泡ポリスチレンの再生法として、まず一辺が5cm程度の大きさになるようにカットした後、実施例107に示した装置中で減容化処理を行った。その後、この減容化した発泡ポリスチレンを混練機に投入し、ペレットを作成した。このペレットはそのままポリスチレンあるいは発泡ポリスチレンの原料として使用できることがわかった。
【0075】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発泡性樹脂の減容化を安全かつ簡便に可能とすることができる。また本発明によって、一次発生場所で発泡性樹脂の減容化処理が可能となり、回収場所までかさばらず、またコンパクトに、一度に大量に運ぶことができる。さらにトラック運搬なども積載重量を従来の20倍程度が可能となるため、運送コストが低減でき、再生樹脂のコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡性樹脂の減容化装置を示す図
【符号の説明】
1 発泡ポリスチレン
2 ふた付き網かご
3 支持棒
4 ジプロピレングリコール
5 容器
6 撹拌機能付きヒータ
7 撹拌子
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品などの梱包材や緩衝材、食品トレー、また、建材などに広く用いられている発泡性樹脂のかさを減少させ、さらにそれらに含まれる難燃剤などの添加剤を除去することによって、コンパクトにかつ安全に回収するための減容化方法、減容化装置、ならびに発泡性樹脂のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物処理の減容化といった観点から、発泡性樹脂のリサイクル技術の確立が求められている。しかし新聞や雑誌などとは違い、発泡性樹脂の場合は重量に比べ体積が非常に大きく、かさばるため、保管場所がなかったり、回収コストの点で問題があった。
【0003】
発泡性樹脂のうち例えば、発泡ポリスチレンをリサイクル処理する際は熱処理が一般的である。しかしながら、熱処理により減容化すると、加熱収縮により物性が低下するといった問題点を有している。熱処理に替わる新しい発泡ポリスチレンのリサイクル技術として、材料物性の低下が比較的小さいと思われる溶解による方式が提案されている。現在、溶解方式に用いる溶媒として、植物系溶剤や石油系溶剤、一般有機溶剤などが広く知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記の溶解方式に用いる溶媒は、一般にポリスチレンに対する溶解性が優れており、比較的短時間で発泡ポリスチレンを溶解することができる。しかし、一度溶解させた発泡ポリスチレンと溶剤を蒸留法などの手法を用いて分離する工程が必要である。また乾燥後もポリスチレン中には僅かの溶剤臭が残ったり、着色する場合が多い。また溶剤に対して発泡ポリスチレンが無限に溶解するわけではなく、溶解量のコントロールも必要などといった課題を有していた。更に石油系溶剤や有機溶剤には人体、環境などに悪影響を与えるものもあり大量使用は好ましくない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、発泡ポリスチレンなどに代表される発泡性樹脂が溶剤に溶解することなく減容化され、減容化後の発泡性樹脂には溶剤臭が残らず、かつ着色もせず、更に溶剤量に対する発泡性樹脂量のコントロールも不要となる、発泡性樹脂の減容化方法を提供することを目的とする。また溶剤を選択することにより、発泡性樹脂中に含まれる添加剤成分を容易に取り除くことができる。本発明は、さらに、減容化溶剤を用いた発泡性樹脂の減容化装置および発泡性樹脂のリサイクル方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対し研究を重ねた結果、発泡性樹脂をある特定の条件の溶剤と接触させることにより、発泡性樹脂が溶解することなく減容化が生じることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
第一の発明(請求項1に対応)は、発泡性樹脂が溶解しない溶剤と前記発泡性樹脂を接触させ、発泡部分の収縮を推進して減容化することを特徴とする発泡性樹脂の減容化方法である。
【0008】
第二の発明(請求項2に対応)は、発泡性樹脂は発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、またはそれら共重合体から選ばれる請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0009】
第三の発明(請求項3に対応)は、溶剤は、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を成分として含む請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0010】
第四の発明(請求項4に対応)は、アルコールは、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0011】
第五の発明(請求項5に対応)は、多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0012】
第六の発明(請求項6に対応)は、多価アルコールエーテルは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0013】
第七の発明(請求項7に対応)は、発泡性樹脂に含まれる添加剤を溶剤に溶解して、前記発泡性樹脂と前記添加剤とを分離する請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法である。
【0014】
第八の発明(請求項8に対応)は、発泡性樹脂の減容化剤を供給する減容化剤供給手段と、前記減容化剤を加熱する加熱手段と、前記減容化剤と発泡性樹脂とを接触させるための容器とを備えたことを特徴とする発泡性樹脂の減容化装置である。
【0015】
第九の発明(請求項9に対応)は、発泡性樹脂を再生するための一工程として、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性樹脂の減容化方法を用いることを特徴とする発泡性樹脂のリサイクル方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、発泡性樹脂を溶剤に溶解させずに減容化する方法を種々検討したところ、発泡性樹脂が非溶解性を示すある特定の溶媒をある条件で用いることで本目的が達成されることを見出し、本発明を提案するに至った。
【0017】
本発明は、発泡性樹脂を溶解しない溶剤を発泡性樹脂と接触させることで発泡性樹脂を溶解させることなく、減容化処理を可能とするものである。
【0018】
本発明における発泡性樹脂として、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、及びそれら共重合体などが挙げられる。発泡スチレンは、家電製品などの梱包材や食品トレーなどに、発泡ポリプロピレンは、OA機器や工具等の包装材、建築用断熱材などに、発泡ポリエチレンは、大型、重量物、精密機器、高級品の包装材などに、さらに発泡ウレタンは、建築材料などに用いられている。
【0019】
使用する溶剤は、発泡性樹脂を溶解しないものであればどの様なものでもよいが、具体的には、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むものが挙げられる。
【0020】
このとき、”発泡性樹脂が溶解しない”という現象に対する解釈としては、発泡性樹脂の半分以上が溶けない、つまり、溶ける部分よりも溶けない部分の体積や重量の方が大きければよい。さらに好ましくは、発泡性樹脂の処理前の重量の90%以上かつ100%以下が溶液に溶けない場合を意味し、処理後の樹脂の重量減少は最大で10%である。後述する添加剤を含む発泡性樹脂の場合も同様であり、添加剤成分の重量を除いた樹脂成分のみの比較として、上記範囲を満たすものであればよい。
【0021】
多価アルコールとは、脂肪族や脂環式化合物から成るジオール、あるいはトリオールを示し、エチレングリコールやプロピレングリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリンなどが挙げられる。また多価アルコールエーテルは、エーテル結合を介した多価アルコールで、ジエチレングリコールやジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。アルコールや、これら多価アルコール、多価アルコールエーテルの溶剤を発泡ポリスチレンなどの発泡性樹脂に接触させると、樹脂自身を溶解させることなく、気泡のみ発生し、体積が収縮することを突き止めた。
【0022】
一方アセトンの場合は引火点が低く、取扱いに注意を要するが、アセトン溶液中に発泡ポリスチレンや発泡ウレタンなどを加えると溶解せずに直ちに減容化され、その反応性、減容化率は極めて高い。従ってアセトン使用の場合は慎重を要するが、発泡性樹脂の減容化剤の一候補として付記した。
【0023】
なかでも、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールは沸点が100℃前後であり、発泡性樹脂との接触が終了した後も、発泡性樹脂中に長期残存することがないので、その後の処理に適している。
【0024】
またエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールは、シャンプーや化粧品などの成分としても広く使われており、比較的低コストで入手可能である。留飲した場合や大量に使用した場合には、腎臓障害や溶血性などの症状がでる可能性があるが、一般に危険性の少ない化合物であると認識されている。これらを成分として含む液を発泡ポリスチレンなどの発泡性樹脂に接触させると、先と同様に発泡性樹脂を溶解することなく、減容化できることがわかった。またこのとき加熱を行うことが重要であることも突き止めた。
【0025】
本発明においては、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種が発泡性樹脂の減容化剤の主成分として含まれておればよく、これら同士の混合物であってもよいし、水、その他添加剤などが含まれていてもなんら問題ない。また減容化処理した発泡性樹脂の特性、物性値に影響を及ぼさない範囲であれば、香料や溶剤など減容化処理後にも発泡性樹脂中に残存していても問題ない。
【0026】
これらの溶剤中には発泡性樹脂は溶解しない。つまり溶剤中の発泡性樹脂の溶解濃度が増加することがないので、処理する発泡性樹脂の量を気にする必要はない。また発泡性樹脂を取り出すときにも、持ち出しがほとんどなく、同じ溶剤で大量の発泡性樹脂を減容化できるのも本発明のメリットのひとつである。また持ち出しがある場合にも、接触終了後に減容化した発泡性樹脂を冷却、乾燥する工程を設けることによって溶剤回収が可能となる。さらに減容化後に圧縮、プレス工程などを加えることで、他の成型加工品を同時に作成することも可能である。
【0027】
接触方法としては、本発明の発泡性樹脂の減容化溶剤中に発泡性樹脂を投入する方法や、それら溶剤あるいはその蒸気を発泡性樹脂に噴霧する方法などがある。溶剤を噴霧する場合は加熱しながら行うのがよい。また発泡性樹脂自身あるいは発泡性樹脂が投入された容器をそれぞれ加熱しておいてもよい。一般に発泡性樹脂はこれらの減容化溶剤に対して浮くと思われるが、その時には積極的に接触部分が増大するように発泡性樹脂を支持したり、あるいは発泡性樹脂が入った外箱を沈めるような工夫をしてもよい。逆に、発泡性樹脂の収縮の速度をコントロールするために浮いた状態で保持しても構わない。
【0028】
本発明における処理温度としては、50℃以上、150℃以下が好ましい。これら発泡性樹脂のガラス転移温度あるいは軟化点は、低いものは80℃程度高いもので130℃程度である。50℃より温度が低い場合は、ガラス転移温度が比較的低い発泡ポリスチレンと溶剤とを接触させても、減容化は生じないことがわかった。しかしながら50℃程度のエタノール中では少し減容化に時間を要するが充分収縮が生じることがわかった。つまり50℃以上の温度であれば、樹脂の熱変形あるいはガラス転移が溶剤雰囲気中で徐々に開始し、溶剤中では減容化が進行するものと考えられる。
【0029】
一方高温側は、本発明では種々の実験結果を踏まえ、150℃以下が好ましいと判断した。150℃よりもさらに加熱した場合は、発泡性樹脂の種類にも依存するが、再生品の品位、物性値を劣化させる場合がある。またアルキレングリコールやジアルキレングリコールなどの成分を含むシャンプーやハンドソープなどを利用する場合には、水分も含まれていると思われることから100℃以下で処理することが好ましい。
【0030】
また発泡性樹脂中に添加剤、特に臭素系難燃剤やアンチモン系の難燃剤などが含まれている場合、再生品として他用途に用いようとすると、それらの添加剤を予め取り除いておくほうが望ましい。本発明ではそのような点にも鑑み、溶剤を選択することによって、発泡性樹脂を溶剤に溶かすことなく、発泡部分の収縮と難燃剤成分の溶剤への溶解を推進できることを明らかとした。このとき温度制御方法は2通り存在し、
1.発泡部分の収縮と添加剤成分の溶剤への溶解処理を同時に進行させながら行う場合と、
2.まず添加剤成分の溶剤への溶解を進行させたあと、加温し発泡部分の収縮を推進する場合である。
【0031】
いずれの場合においても充分処理は可能であるが、難燃剤など添加剤の種類や添加量によって使い分けることが必要となる。
【0032】
本発明における難燃剤などの添加剤を含有する発泡性樹脂の減容化方法において、特に有効な効果が得られるのは発泡ポリスチレンである。難燃性発泡ポリスチレンは建材用途などに用いられる場合が多く、難燃剤と発泡ポリスチレンとを容易に分離することができる極めてユニークかつ安易な方法である。
【0033】
このとき、難燃剤を含有する発泡性樹脂を溶解しない溶剤としては、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を主成分として含むことが望ましい。特に臭素系難燃剤では、プロピレングリコールやジプロピレングリコールなどの溶剤が、また三酸化アンチモンなどを含有する場合にはエチレングリコールが望ましいことを突き止めた。
【0034】
さらに発泡性樹脂の減容化装置としては、発泡性樹脂の減容化剤を供給する減容化剤供給手段と、減容化剤を加熱する加熱手段と、この減容化剤と発泡性樹脂とを接触させるための容器とを備えたものがよい。この様な仕様を満たす既存の装置として、食器洗浄乾燥機が挙げられ、本発明の発泡性樹脂の減容化溶剤を洗剤の替わりに用いることで発泡性樹脂の減容化処理を行うことができる。
【0035】
本発明の発泡性樹脂の減容化剤を用いることによって、発泡性樹脂を容易にかつ安全に、低コストで減容化することができる。溶剤は基本的に入れ替えや蒸留などの操作が不要であり、減容化された発泡性樹脂に溶剤が付着する場合は、その減少分の溶剤を適宜追加する程度でよい。また本発明の発泡性樹脂の減容化方法で減容化された発泡性樹脂は、処理前の体積の約25分の1程度まで収縮しているので、輸送の際には今までの25倍の量を一度に扱うことができる。また本発明の場合は、トラックなどの移動手段に溶剤を積載させる必要がないので、その分をさらに運搬できることになる。これも本発明の重要な点である。
【0036】
また本発明の発泡性樹脂の減容化装置は、従来の熱収縮による減容化装置ほど高温処理する必要がなく、また発泡性樹脂の分子量を低下させることがなく、リサイクル使用に問題のない発泡性樹脂組成物を提供することができる。ペレタイザーとの組合せにより、発泡性樹脂の減容化、並びに減容化された発泡性樹脂のペレット化まで、一貫システムも提供できる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0038】
(実施例1)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を50℃のアセトン液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0039】
(実施例2〜4、比較例1)
一片が5cmの立方体の発泡ポリプロピレン(実施例2)、発泡ポリエチレン(実施例3)、発泡ウレタン(実施例4)をそれぞれ1個ずつ、実施例1と同様に、50℃のアセトン液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、それぞれ初期の体積の約3%(実施例2)、5%(実施例3)、10%(実施例4)まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0040】
また比較として(比較例1)、実施例4と同じサイズの発泡ウレタンを1個、室温のアセトンに浸漬したが、その体積に変化は見られなかった。
【0041】
(実施例5〜7)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表1)に示す溶剤1リットルに浸漬し、30分後の体積を測定した。体積と収縮率(処理後の体積/処理前の体積)もあわせて(表1)に示した。溶剤は全て50℃に加熱し、実験を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
(表1)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、収縮率は小さいが体積が減少していることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0044】
(実施例8〜27)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表2)に示す溶剤1リットルに浸漬し、10分後の体積を測定した。体積と収縮率(処理後の体積/処理前の体積)もあわせて(表2)に示した。溶剤は全て70℃に加熱し、実験を行った。
【0045】
【表2】
【0046】
(表2)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積が減少していることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0047】
(実施例28〜47)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表3)に示す溶剤1リットルに浸漬し、5分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表3)に示した。このとき溶剤は90℃に保持した状態で、発泡ポリスチレンを投入した。
【0048】
【表3】
【0049】
(表3)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0050】
(実施例48〜60)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表4)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表4)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリスチレンを投入した。
【0051】
【表4】
【0052】
(表4)より、いずれの発泡ポリスチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0053】
(実施例61〜73)
ブロック状の発泡ポリプロピレン(一片が5cmの立方体)1個を(表5)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表5)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリプロピレンを投入した。
【0054】
【表5】
【0055】
(表5)より、いずれの発泡ポリプロピレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0056】
(実施例74〜86)
ブロック状の発泡ポリエチレン(一片が5cmの立方体)1個を(表6)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表6)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリエチレンを投入した。
【0057】
【表6】
【0058】
(表6)より、いずれの発泡ポリエチレンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0059】
(実施例87〜99)
ブロック状の発泡ポリウレタン(一片が5cmの立方体)1個を(表7)に示す溶剤1リットルに浸漬し、1分後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表7)に示した。このとき溶剤を130℃に保持した状態で、発泡ポリウレタンを投入した。
【0060】
【表7】
【0061】
(表7)より、いずれの発泡ポリウレタンの減容化剤を用いた場合も、体積を減少できることが明らかとなった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0062】
(実施例100)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1個を150℃のジプロピレングリコール液1リットルに浸漬したところ、直ちに収縮が始まり、約10秒後に取出したところ、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。さらに樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。
【0063】
(実施例101〜104、比較例2)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が2.5cmの立方体)1個に、80℃に保持した(表8)に示す溶剤を50ml噴霧し、終了後の体積を測定した。体積と収縮率もあわせて(表8)に示した。このとき実験は密閉容器中で行い、噴霧時以外に溶剤と発泡ポリスチレンが接触しないようにした。
【0064】
【表8】
【0065】
(表8)の実施例の結果からわかるように、噴霧によっても同様にこれらの溶剤を用いることによって発泡ポリスチレンが減容化できることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。特に実施例101終了後の減容化した発泡ポリスチレンを空気中で充分乾燥後、重量を測定したところ、初期重量と全く変化ないことがわかった。また実施例102〜104の場合は加熱式真空乾燥機でしばらく処理することで、残存溶剤を除去することができた。このことから、より低沸点溶剤を用いることによって、発泡ポリスチレンからの揮発性が高くなり、残存溶剤を容易に減少できることが明らかとなった。一方、水を用いた場合には、温度が高いにも関わらず、全く減容化していないことが明らかとなった。
【0066】
(実施例105)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が2.5cmの立方体)1個を90℃に保持したハンドソープ150mlに約1時間投入した。用いたハンドソープの成分比率は不明であるが、プロピレングリコールの他に、安息香酸塩、塩化ベンザルコニウム、香料などが含有されている。1時間経過後の体積を測定したところ、1.6mlで収縮率は10%であることがわかった。水で洗浄後、加熱式真空乾燥機で乾燥させることで、初期重量と同じ重量となった。
【0067】
(実施例106)
添加剤としてビフェニルエーテル骨格を有する臭素系難燃剤を樹脂重量に対して10%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、150℃のジプロピレングリコール液1リットルに約10分間浸漬した。収縮が始まり、溶液が僅かに黄色に着色した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。同様に難燃剤成分に関しても測定したところ、処理前に見られた低分子側の難燃剤ピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化と樹脂中に含まれる添加剤成分である難燃剤も同時に処理できることがわかった。
【0068】
(実施例107)
添加剤として難燃剤である三酸化アンチモンを樹脂重量に対して5%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、150℃のエチレングリコール液1リットルに約30分間浸漬した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約2%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。アンチモン成分の存在を蛍光X線分析法により測定したところ、処理前に見られたアンチモンのピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化と樹脂中に含まれる添加剤成分である難燃剤も同時に処理できることがわかった。
【0069】
(実施例106)
添加剤としてトリアジン骨格を有する臭素系難燃剤を樹脂重量に対して10%含む発泡ポリスチレンのブロック(一片が5cmの立方体)1個を用意し、まず室温状態のジプロピレングリコール液1リットルに約10分間浸漬した。溶液が僅かに黄色に着色した後、発泡ポリスチレンを溶液中に保持したまま、120℃まで加温した。処理終了後取出したところ発泡ポリスチレンは、初期の体積の約5%まで収縮し減容化していることがわかった。また減容化前後の分子量分布の変化をGPC測定したが、分子量分布に差は見られなかった。同様に難燃剤成分に関しても測定したところ、処理前に見られた低分子側の難燃剤ピークが全て消滅していた。また樹脂成分が、溶液中に溶け出していないことも確認した。以上のことから、難燃剤を有する発泡ポリスチレンを所定溶液中で室温処理することによって、難燃剤を除去し、さらに加熱溶液中で処理することによって、発泡ポリスチレンの減容化を促進できることがわかった。
【0070】
(実施例107)
図1に示すような発泡ポリスチレンの減容化装置を作成し、実験を行った。まずブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)1を縦、横、高さが3個ずつ合計27個になるように配置し、ふた付き網かご2に入れた。発泡ポリスチレン1が入ったふた付き網かご2は、昇降可能な支持棒3に接続されており、A位置からB位置まで移動が可能である。またジプロピレングリコール4が10リットル入った容器5を支持棒3近傍にセットし、撹拌機能付きヒータ6で撹拌子7を回転させ、容器内温度を120℃に保持した。
【0071】
充分温度が一定になったところで、発泡ポリスチレン1が入ったふた付き網かご2をA位置からB位置へ移動させ、3分浸漬した。網かご2を再度A位置に戻した後、発泡ポリスチレンを取出したところ、体積は平均して元の5%まで収縮していることがわかった。
【0072】
(実施例108)
ブロック状の発泡ポリスチレン(一片が5cmの立方体)20個を、食器洗浄乾燥機に入れ、洗浄用溶剤として実施例105で用いたハンドソープを投入した。標準コースで約1時間をかけて、洗い、すすぎ、乾燥工程を実施した。
【0073】
乾燥終了後の発泡ポリスチレンは平均して、初期体積の約4%まで減少していることがわかった。またすすぎ、乾燥後の発泡ポリスチレンには石鹸などの成分が全く存在せず、減容化後の重量は、初期重量と同じであることも確かめた。
【0074】
(実施例109)
梱包材として使用されている発泡ポリスチレンの再生法として、まず一辺が5cm程度の大きさになるようにカットした後、実施例107に示した装置中で減容化処理を行った。その後、この減容化した発泡ポリスチレンを混練機に投入し、ペレットを作成した。このペレットはそのままポリスチレンあるいは発泡ポリスチレンの原料として使用できることがわかった。
【0075】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発泡性樹脂の減容化を安全かつ簡便に可能とすることができる。また本発明によって、一次発生場所で発泡性樹脂の減容化処理が可能となり、回収場所までかさばらず、またコンパクトに、一度に大量に運ぶことができる。さらにトラック運搬なども積載重量を従来の20倍程度が可能となるため、運送コストが低減でき、再生樹脂のコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡性樹脂の減容化装置を示す図
【符号の説明】
1 発泡ポリスチレン
2 ふた付き網かご
3 支持棒
4 ジプロピレングリコール
5 容器
6 撹拌機能付きヒータ
7 撹拌子
Claims (9)
- 発泡性樹脂が溶解しない溶剤と前記発泡性樹脂を接触させ、発泡部分の収縮を推進して減容化することを特徴とする発泡性樹脂の減容化方法。
- 発泡性樹脂は発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、またはそれら共重合体から選ばれる請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- 溶剤は、アルコール、多価アルコール、多価アルコールエーテル、アセトンから選ばれる少なくとも1種を成分として含む請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- アルコールは、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- 多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- 多価アルコールエーテルは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- 発泡性樹脂に含まれる添加剤を溶剤に溶解して、前記発泡性樹脂と前記添加剤とを分離する請求項1記載の発泡性樹脂の減容化方法。
- 発泡性樹脂の減容化剤を供給する減容化剤供給手段と、前記減容化剤を加熱する加熱手段と、前記減容化剤と発泡性樹脂とを接触させるための容器とを備えたことを特徴とする発泡性樹脂の減容化装置。
- 発泡性樹脂を再生するための一工程として、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性樹脂の減容化方法を用いることを特徴とする発泡性樹脂のリサイクル方法。
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Applications Claiming Priority (1)
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- 2001-09-11 WO PCT/JP2001/007865 patent/WO2002022337A1/ja active Application Filing
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