JP3919785B2 - 発泡ポリスチレンの減容化剤及び該減容化剤を使用する発泡ポリスチレンの回収方法 - Google Patents
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Description
使用済みの発泡ポリスチレンを加熱溶融して脱泡しポリスチレンの塊とする方法は、加熱溶融して脱泡する際、ポリスチレンが劣化すること、悪臭が発生すること等の問題がある。
使用済みの発泡ポリスチレンを溶剤で減容化した後ポリスチレンと溶剤を回収する方法では、ポリスチレンの劣化は比較的少ないが、使用済みの発泡ポリスチレンを減容化して回収することが出来る溶剤について、なお多くの点で改善が求められている。
次に、本発明が解決しようとする第二の課題は、上記減容化剤を用いる発泡ポリスチレンの減容化方法を提供することである。
さらに、本発明が解決しようとする第三の課題は、上記減容化剤と減容化した発泡ポリスチレンの混合物を提供することである。
さらにまた、本発明が解決しようとする第四の課題は、上記減容化剤を用いる減容化した発泡ポリスチレンの回収方法を提供することである。
本発明に係る発泡ポリスチレンの減容化剤は、プソイドクメンとイソドデカンからなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化剤である。
プソイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)の物理的性状を次に示す。
分子量120.2:沸点169.4℃:融点−43.9℃:比重(15/4℃)0.8796:引火点(密閉式)54℃:
比重(15/4℃)0.8797(JIS−K−2435):蒸留試験;初留点169.0℃:乾点169.6℃:全留出量98.5vol%(JIS−K−0066):組成1,2,4−トリメチルベンゼン99.5wt%(ガスクロマトグラフ法):
2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンの物理的性状を次に示す。
分子量170.34:沸点177℃:密度(15℃)0.750g/cm3:流動点−10℃以下:引火点(密閉式)48℃:
密度(15℃)0.7499g/cm3(JIS−K−2249):蒸留試験;初留点178.5℃:乾点181.0℃:全留出量98.0vol%(JIS−K−0066):引火点47℃(JIS−K−2265):
イソドデカンは、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物であって成分数が少ないため、沸点範囲が非常に狭く、品質のバラツキがすくなく、また安定性に優れ、経時変化や化学変化を起こしにくく、極めて低臭気、低毒性である等の優れた特長を有している。
以下、本明細書において、イソドデカンは、イソブテン3量体の水素化物であって、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物を意味する。
また、イソドデカンの量が43〜44容量%(39.1〜40.1重量%)を越えると、減容化した発泡ポリスチレンが硬くなってしまうので、プソイドクメンとイソドデカンからなる溶剤と減容化した発泡ポリスチレンからなる混合物の粘着性、流動性が非常に悪くなることが分かった。
1. プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソドデカン 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化溶剤。
によって、解決することができる。
2. プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソドデカン 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化剤を発泡ポリスチレンと接触させることを特徴とする発泡ポリスチレンの減容化方法。
によって、解決することができる。
3.実質的に、
プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソドデカン 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化剤 100重量部
ならびに、
減容化した発泡ポリスチレン 10〜100重量部
からなる混合物。
によって、解決することができる。
4. 実質的に、
プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソドデカン 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化剤を発泡ポリスチレンと接触させて、該減容化剤と減容化した発泡ポリスチレンとからなる混合物を生成し、該混合物を加熱することによって該混合物から該減容化剤を蒸留除去し、減容化した発泡ポリスチレンを回収することを特徴とするポリスチレンの回収方法。
によって、解決することができる。
また、回収したポリスチレンから、スチレンモノマーを下記の方法:
実質的に、
プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソドデカン 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする発泡ポリスチレンの減容化剤を発泡ポリスチレンと接触させて、該減容化剤と減容化した発泡ポリスチレンとからなる混合物を生成し、該混合物を加熱することによって該混合物から該減容化剤を蒸留除去し、減容化した発泡ポリスチレンを回収し、回収した減容化した発泡ポリスチレンをポリスチレンの熱分解温度以上の温度に加熱して熱分解物を生成し、該熱分解物を蒸留することを特徴とするスチレンモノマーの生産方法。
によって、得ることが出来る。
本発明に係る発泡ポリスチレンの減容化剤は、蒸留によって回収し繰り返し使用しても殆んど劣化しない。
本発明に係る発泡ポリスチレンの減容化剤は、酸化されにくく、加水分解されない。
本発明に係る発泡ポリスチレンの減容化剤は、ハロゲン原子を含有していないので、装置に対する腐食性が小さい。
このとき生成したプソイドクメン及びイソドデカンからなる溶剤と減容化した発泡ポリスチレンとの混合物では、減容化した発泡ポリスチレンは、硬くなっておらず、室温において粘着性及び流動性を保っていた。
プソイドクメン及びイソドデカンは、丸善石油化学株式会社から入手した市販のプソイドクメン及びイソドデカンを使用した。
丸善石油化学株式会社のデータシートによると、プソイドクメンは単一製品であって、1,2,4−トリメチルベンゼンの含有量は99%以上であり、沸点は169.4℃である。同じく丸善石油化学株式会社のデータシートによると、イソドデカンは異性体混合物であって、異性体混合物の含有量は99%以上であり、沸点は179〜182℃である。
溶剤1: プソイドクメン100容量% イソドデカン 0容量%
溶剤2: プソイドクメン 90容量% イソドデカン 10容量%
溶剤3: プソイドクメン 80容量% イソドデカン 20容量%
溶剤4: プソイドクメン 70容量% イソドデカン 30容量%
溶剤5: プソイドクメン 65容量% イソドデカン 35容量%
溶剤6: プソイドクメン 63容量% イソドデカン 37容量%
溶剤7: プソイドクメン 60容量% イソドデカン 40容量%
溶剤8: プソイドクメン 57容量% イソドデカン 43容量%
溶剤9: プソイドクメン 55容量% イソドデカン 45容量%
溶剤1〜溶剤9の各々について、発泡ポリスチレンの減容化試験を行った。
発泡ポリスチレンの減容化試験は、次の手順で行った。
内径3.7cm、容量200mlのメスシリンダーに100mlの溶剤1をいれ、重量を測定した発泡倍率55倍の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の一本を、メスシリンダーの底部に発泡ポリスチレンの試料片が着かないようにかつ発泡ポリスチレンの試料片の頭部が液面より下になるように棒を用いて浸漬した。白色の発泡ポリスチレンの試料片は、溶剤1に浸漬すると、表面から脱泡しながら容積を縮小して半透明になった。発泡ポリスチレンの試料片を溶剤1に浸漬してから半透明になるまでの時間をストップウォッチで測定した。引き続き、重量を測定した発泡倍率55倍の、2本目の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)を溶剤1に浸漬して、浸漬してから半透明になるまでの時間をストップウォッチで測定した。さらに引き続き、重量を測定した発泡倍率55倍の、3本目の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)を溶剤1に浸漬して、浸漬してから半透明になるまでの時間をストップウォッチで測定した。同様にして、それぞれ重量を測定した発泡倍率55倍の、4本目から34本目までの発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を続けた。減容化試験の結果を、表1に示す。
溶剤1を溶剤2に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、34本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表2に示す。
溶剤1を溶剤3に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、34本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表3に示す。
溶剤1を溶剤4に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、30本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表4に示す。
溶剤1を溶剤5に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、30本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表5に示す。
溶剤1を溶剤6に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、32本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表6に示す。
溶剤1を溶剤7に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、59本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表7に示す。
溶剤1を溶剤8に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、66本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表8に示す。
溶剤1を溶剤9に変えた以外は同様にして、重量を測定した発泡倍率55倍の、67本の発泡ポリスチレンの試料片(25mm×25mm×100mm)の減容化試験を行った。減容化試験の結果を、表9に示す。
同様に、表2〜表9のポリスチレン累積重量(PS累積重量)(g)と減容時間(累計時間)(sec.)との関係を、それぞれ図2〜図9に示す。
上記の溶剤1〜溶剤9の各々によって発泡ポリスチレンを減容化し、生成した溶剤1〜溶剤9と減容化した発泡ポリスチレンの混合物の粘着性と流動性を調べた。
200mlの広口のガラス瓶に100mlの溶剤1を入れ、ついで発泡ポリスチレン30gを入れて、発泡ポリスチレンを溶剤1に浸漬し、溶剤1と減容化した発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
溶剤1を溶剤2に変えた以外は、粘着性流動性試験1と同様にして発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
溶剤1を溶剤3に変えた以外は、粘着性流動性試験1と同様にして発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
溶剤1を溶剤4に変えた以外は、粘着性流動性試験1と同様にして発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
溶剤1を溶剤5に変えた以外は、粘着性流動性試験1と同様にして発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
溶剤1を溶剤6に変えた以外は、粘着性流動性試験1と同様にして発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
200mlの広口のガラス瓶に100mlの溶剤7を入れ、ついで発泡ポリスチレン60gを入れて、発泡ポリスチレンを溶剤7に浸漬し、溶剤7と減容化した発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは柔らかであり、この混合物にガラス棒を突っ込んでかき回したところ、この混合物はガラス棒に絡みついた。またこの混合物は、ガラス瓶を回転するとガラス瓶の壁に粘着しつつ共に回転した。
200mlの広口のガラス瓶に100mlの溶剤8を入れ、ついで発泡ポリスチレン60gを入れて、発泡ポリスチレンを溶剤8に浸漬し、溶剤8と減容化した発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンはかなり硬く、この混合物にガラス棒を突っ込んでも、この混合物はガラス棒に絡みつかなかった。またこの混合物は、ガラス棒を突っ込んでかき回すと、ガラス瓶に粘着することなく回転した。
200mlの広口のガラス瓶に100mlの溶剤9を入れ、ついで発泡ポリスチレン60gを入れて、発泡ポリスチレンを溶剤9に浸漬し、溶剤9と減容化した発泡ポリスチレンの混合物を調製した。この混合物中の減容化した発泡ポリスチレンは硬く、この混合物にガラス棒を突っ込んでも、この混合物はガラス棒に絡みつかなかった。またこの混合物は、ガラス棒を突っ込んでかき回すと、ガラス瓶に粘着することなく回転した。
Claims (4)
- プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソブテン3量体の水素化物であって、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする蒸留沸点範囲がたかだか165〜185℃程度である発泡ポリスチレンの減容化剤。 - プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソブテン3量体の水素化物であって、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする蒸留沸点範囲がたかだか165〜185℃程度である発泡ポリスチレンの減容化剤を発泡ポリスチレンと接触させることを特徴とする発泡ポリスチレンの減容化方法。 - 実質的に、
プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソブテン3量体の水素化物であって、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする蒸留沸点範囲がたかだか165〜185℃程度である発泡ポリスチレンの減容化剤 100重量部、
ならびに、
減容化した発泡ポリスチレン 10〜100重量部
からなる混合物。 - 実質的に、
プソイドクメン 58〜62容量%
及び
イソブテン3量体の水素化物であって、2,2,4,6,6−ペンタメチルへプタンを主体とする異性体混合物 42〜38容量%
からなる溶剤を主体とする蒸留沸点範囲がたかだか165〜185℃程度である発泡ポリスチレンの減容化剤を発泡ポリスチレンと接触させて、該減容化剤と減容化した発泡ポリスチレンとからなる混合物を生成し、該混合物を加熱することによって該混合物から該減容化剤を蒸留除去し、減容化した発泡ポリスチレンを回収することを特徴とするポリスチレンの回収方法。
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