JPH10316797A - 輸送が容易な発泡ポリスチレン減容剤 - Google Patents

輸送が容易な発泡ポリスチレン減容剤

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JPH10316797A
JPH10316797A JP9119396A JP11939697A JPH10316797A JP H10316797 A JPH10316797 A JP H10316797A JP 9119396 A JP9119396 A JP 9119396A JP 11939697 A JP11939697 A JP 11939697A JP H10316797 A JPH10316797 A JP H10316797A
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Iantosca Dick
イアントスカ ディック
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全な引火点であり及び非常に火炎危険が少
ないために、安全で、非毒性で且つ危険性のない、輸送
及び貯蔵が容易な発泡ポリスチレンの減容剤の提供。 【解決手段】 二塩基酸のエステル、例えばグルタル酸
ジメチル、アジピン酸ジメチル及び琥珀酸ジメチルのい
ずれか、あるいはそれらの組み合わせから構成され、発
泡ポリスチレンに液体として接触し、接触時にこの発泡
ポリスチレンの気泡膜を崩壊してゲル状物質を含む輸送
可能な圧縮ポリスチレンを形成するための、輸送が容易
な発泡ポリスチレンの減容剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡ポリスチレンを
減容するための化学剤に関するものであり、液状形態の
二塩基酸のエステルの使用により安全な引火点であり且
つ非常に火炎危険が少ないために、安全で、非毒性で且
つ危険性のない、輸送及び貯蔵が容易な発泡ポリスチレ
ンの減容剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡ポリスチレンは比較的剛固で、極め
て軽く、しかも良好な断熱材であるので、現在では広範
に使用されている。こうした特性を有する結果、発泡ポ
リスチレンの容器又は包装は、梱包材、食器容器、並び
に飲料容器の多くの部分を占めることになっており、毎
年、合計すると40万トンものポリスチレンが使用され
ている。
【0003】発泡ポリスチレンにはさまざまな問題があ
る。発泡ポリスチレンは、容積1立方メートル当たり5
〜20kgと軽量であるがゆえに有用なのであるが、こ
の軽量性が重要な問題点ともなるのである。発泡ポリス
チレンの微細な気泡は容易に圧縮されず、製品の貯蔵は
埋め立ての際には極めて嵩ばる。また、発泡ポリスチレ
ンはぶわぶわで軽いので、再生も困難である。発泡ポリ
スチレンの皿やコップが破れると、破片は風て吹き飛ば
され、生態系を乱し且つ妨害し、自然景観を損なうこと
となりかねない。また、発泡ポリスチレンは合成樹脂な
ので、基材重合体が天然状態ではほとんど分解せず、ポ
リスチレン粒子が長期に亘って周囲に存在し続けること
になる。紫外線による分解は長い年月がかかり、発泡体
は一世紀間持ちこたえる。
【0004】埋め立て物がかさばるという問題がある結
果、ポリスチレン製品産業にとって不利な宣伝が太々的
に行われることとなった。発泡ポリスチレン等は依然と
して使用されているし、それなりの利点もあるのである
が、発泡ポリスチレン製品の再利用を促す動向も強まり
つつある。発泡ポリスチレン等の埋め立て時の容積を他
のゴミと匹敵するものとするか、あるいは、効果的な再
生方法を見い出すことが必要とされているのである。
【0005】発泡ポリスチレン製品の場合、再生は容易
ではない。ある事例では、発泡体の入った袋が満杯にな
ったところで回収し、貯蔵された。発泡体の入った袋
は、一番近い再生業者のところまで、定期的にトラック
輸送された。標準的な45フィートのトラックは、通
常、40,000ポンドを積載することができるが、袋
詰めされた軽量の発泡体の積載荷重は1000ポンドに
しか過ぎず、これでは輸送費用は1ポンド当たり1.5
ドルにもはね上がってしまう。この材料は、原樹脂のペ
レットが1ポンド当たり0.5ドル程度で売られている
ので、再生しようという動機は生じようにもない。発泡
体の容積を低減させ、輸送を効果的に行う逼迫した必要
性が存在する。
【0006】アセトン、リファイニングらかの石油軽質
分、ナフサまたは鉱油スピリット、あるいはガソリンの
ような初期の減溶剤は他の揮発性有機溶剤としての働き
があったが、これらの化合物は非常に火炎性であり、ま
たこれらの多くは毒性であった。特に、火炎性は減溶さ
れた発泡体の容易な輸送を妨げるので、経済的に可能な
再生を妨げる不必要なコストが付け加わる。
【0007】発泡ポリスチレンの再生に伴う問題は、輸
送費用のみにとどまるわけではない。嵩が極めて高く、
しかも軽量の材料を再処理しなければならないからであ
る。ともかく、何らかの方法で、この軽量の発泡体の容
積を低減する必要がある。これまでにもいくつかの方法
が開発されてきたものの、そのいずれも、発泡体の容積
を低減する効果が特に高かった訳ではなく、発泡材料の
効果的な再処理方法が求められているのである。
【0008】発泡ポリスチレンの再生に向けた1つのア
プローチは、化学物質を用いて容積を減少させるという
ものである。この場合、基本的な問題は、使用が自明な
化学物質は環境に対する毒性が極めて高く、環境立法あ
るいは環境規制で使用が禁止されていることが多いとい
う点にある。ピネンおよびテルペン、例えばd−リモネ
ンといった一連の化学物質は、発泡体の容積を減少させ
ることが可能である。この方法に使用される化学物質は
全て、その引火点のために輸送上の問題があるから、こ
うしたアプローチは興味深いものではあるが、うまくい
かない場合もある。
【0009】この方法は基本的には蒸気相で行う方法で
あったので、大気浄化法に抵触する気体が放散されてし
まう可能性があった。かくして、揮発性の低い発泡ポリ
スチレンの減容剤が必要とされている。
【0010】理想的な方法では、(米国特許第5,223,54
3号とは異なり、)活性化を必要としないはずである
し、もっと粘稠で沸点の高い物質も使用できるはずであ
る。揮発性の低い物質を用いた発泡ポリスチレンの減容
法が必要とされている。また、発泡ポリスチレン崩壊反
応の産物が安全に輸送しうるものでなけらばならない。
【0011】米国特許第5,223,543号および特開平5-263
065号公報には、発泡ポリスチレン減容剤(又は収縮
剤)としてd一リモネンが記載されているが、d一リモ
ネンの欠点として、発泡ポリスチレンを減容する場合、
季節や温度に左右されやすいため、減容機や再生プラン
ト内部において保温し、温度を一定に保つといった必要
性があり、また、引火点が38〜40℃と低いために、
温度を高くした場合に爆発が起こる危険性がある。夏場
の気温が25℃以上になれば発泡ポリスチレンの減容ス
ピードがアップするが、冬期のように5℃以下、あるい
は北国のようにマイナス温度となるような場合には、通
常の使用方法では使用できないことがある。
【0012】かくして、この種の減容剤はその輸送、貯
蔵および使用に種々の制限があった。例えば、d−リモ
ネンを主成分とする減容剤を活性化するために、蒸気熱
と減容剤を混合するという手段が採られるが、この方法
を一般使用者が実施する場合、引火点35℃〜50℃以
下ではかなり危険が伴う。d−リモネンを主成分とする
減容剤はその引火点が低いために、その貯蔵環境及貯蔵
量には消防法上の制限があり、また、その輸送は車両ま
たは船舶に限られ、飛行機による輸送は不可能であると
いう欠点があった。さらに、近年、飛行機内で使用され
る発泡ポリスチレン容器(コップ、トレイなど)を機内
で処理することが望まれているが、従来の減容剤ではそ
れが不可能であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな発泡ポリスチレン材料が有する容積の問題を解決す
ることを課題としてなされたものであり、また、上記従
来のd一リモネンを主成分とする減容剤におけるような
欠点のない、減容剤及び減容方法を提供することを課題
とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、リモネン又は
石油系溶剤又はテルペンのような揮発性の高い化合物を
用いずに、脂肪族二塩基酸のエステルに分類される特定
の化学物質の一種又は二種以上を使用することにより、
発泡ポリスチレンのセルを崩壊させて減容させる方法、
そのための溶剤、並びに減容発泡ポリスチレン及び溶剤
の回収システムを提供するものである。これらの化合物
が低い火炎性であることが、崩壊された発泡ポリスチレ
ンの再生を容易にし、その貯蔵を容易且つ安全にし、処
理が容易となり、且つ再生前に最も重要な経済的輸送が
容易となる。本発明の方法は、比較的高い沸点を有し、
容易に且つ安全に輸送することができる特定のエステル
を液体で発泡体にスプレーすることを包含する。
【0015】本発明によれば、二塩基酸のエステル、例
えばグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及び琥珀
酸ジメチルのいずれか、あるいはそれらの組み合わせか
ら構成され、発泡ポリスチレンに液体として接触し、接
触時にこの発泡ポリスチレンの気泡膜を崩壊してゲル状
物質を含む輸送が容易な圧縮ポリスチレンを形成するた
めの、輸送が容易な発泡ポリスチレンの減容剤が提供さ
れる。本発明によれば、発泡ポリスチレンの容積を減少
させるに当たって、その減容剤を液体として使用するこ
とにより、気泡膜を溶媒和させて発泡ポリスチレンを崩
壊させ、減容させた発泡ポリスチレンを再生用に回収す
る方法において、上記の減容剤を使用することを特徴と
する発泡ポリスチレンの減容方法が提供される。さら
に、本発明によれば、上記の減容剤を液相で接触させる
ことにより、発泡ポリスチレンの容積を減少させ、減容
された発泡ポリスチレンを再生場所へ輸送し、ついで該
減容剤を再使用のために熱回収法により回収することか
らなる回収システムが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、液状の脂肪族二塩基酸
エステルの使用により、発泡ポリスチレン材料の容積問
題を解決し、発泡ポリスチレン材料を容積の低減後に、
容易且つ安価な輸送を可能ならしめるものである。グル
タル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及び琥珀酸ジメチ
ルのような物質は全て、効果的な発泡体減容剤である。
これらの二塩基酸エステルは個々に活性を有する。混合
物としては、重合体又は繊維市場のための化学的製造の
共生成物である材料が特に経済的である。
【0017】容積処理に際しては、蒸発による活性な溶
媒和剤の非常に大きな損失が障害となっていた。本発明
では、沸点が高く、液体の状態で発泡体の容積を減少さ
せる溶媒和剤を見いだすことにより、この問題をの解決
を図っている。
【0018】本発明は、この発泡ポリスチレンの減容と
いう概念を、一群の化学物質を見い出すことによってさ
らに深化させたものである。これらの化学物質を使用し
た方法は、作業を液体状態で行うので、崩壊中の発泡ポ
リスチレンの周囲に飽和蒸気雰囲気が存在しなくてもよ
い。
【0019】本発明の方法は、たとえ使用する溶剤が一
般的な物質、例えばアセトンや塩化メチレンをはじめと
する比較的毒性の高い化合物であったとしても、興味深
いものである。こうした強い溶剤が発泡ポリスチレンを
溶解する上で有効であることは知られていた。研究の初
期には、重要な要件として、d一リモネンが有する比較
的高い蒸気圧が想定されており、これは、d一リモネン
も、それ以外の毒性、の比較的高い公知の活性溶剤も、
いずれも高い蒸気圧を有していたことによる。
【0020】したがって、研究の早い時点では、条件と
して重要なのは、活性の蒸気と発泡ポリスチレンが存在
していることであると考えられていた。研究の早い段階
で重要な溶剤であるとされた揮発性の化学品又はオイル
はいずれも沸点が比較的低くい。沸点が低い結果、比較
的大量の化学物質が大気中に失われることとなり、化学
物質の原価効率も、こうした蒸発並びに蒸気の損失によ
って悪化することとなっていた。本発明は、蒸気相での
使用が容易でないという理由で、こうした目的に使用す
ることがこれまで考慮されていなかった新規な一連の化
学物質を開示している。このように、新たに二塩基酸の
エステルを使用することによって、発泡ポリスチレンの
減容あるいは再処理に際しての化学物質の損失の多くが
防止され、火災に対する安全性も改善される。液相の発
泡ポリスチレン減容剤が見い出されたことによって、蒸
気相という要件が不要となった点が追加の要素である。
【0021】本発明で使用する配合物は、エステル、特
に、二塩基酸のエステルを含有している。これらのエス
テル、特に、二塩基酸の脂肪族エステル、例えばグルタ
ル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、並びに琥珀酸ジメ
チル(CAS#1119一40−0;62−93−0;
106−65−0)は、発泡ポリスチレンと迅速に反応
し、その際には、応力亀裂剤として作用して、高い応力
がかかっている網目状の気泡壁を破壊し、次に残存して
いる気泡間構造を破壊する。こうした二塩基酸のエステ
ルば、これまで発泡ポリスチレンの減容に使用されてき
たような、天然有機化合物の蒸気中で発泡ポリスチレン
を溶解することによって発泡ポリスチレンに作用する蒸
気法とは異なるものである。
【0022】本発明の化学物質は、液体として作用する
ものである。二塩基酸のエステルは、沸点が196〜2
55℃であり、蒸気圧は、20℃で0.2mmHgしか
ない。二塩基酸のエステルの蒸発速度は、一般に言及さ
れる酢酸ブチルの1/10である。比重は水よりわずか
に大きく、相溶性は限定されたものであるので、水及ぴ
エチレングリコール等の配合物からの分離は容易であ
る。また、二塩基酸のエステルは、水及ぴエチレングリ
コール等への溶解度が低く、多くのアルコールへの溶解
度が極めて高いので、二塩基酸エステル混合物を回収す
るに当たっての分離工程をアルコールとエチレングリコ
ール等を用いることで容易に実施することが可能とな
る。
【0023】本発明の減容剤は、実質的に、二塩基酸の
エステル、例えばグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメ
チル及び琥珀酸ジメチルのいずれか、あるいはそれらの
組み合わせから構成されるが、その活性成分は、少なく
とも50重量%のアジピン酸ジメチルを含有し、残部が
5〜40重量%のグルタル酸ジメチル、および45〜1
0重量%の琥珀酸ジメチルからなる混合物であることが
好ましい。また、主たる活性成分が、少なくとも50重
量%のアジピン酸ジメチルを含有し、残部が50重量%
までのグルタル酸ジメチルからなる混合物であることも
できる。また、主たる活性成分が、少なくとも50重量
%のグルタル酸ジメチルを含有し、残部が5〜40重量
%のアジピン酸ジメチル、および45〜10重量%の琥
珀酸ジメチルからなる混合物であることもできる。さら
に、 主たる活性成分が、少なくとも50重量%のグル
タル酸ジメチルを含有し、残部が50重量%までのアジ
ピン酸ジメチルからなる混合物であってもよい。
【0024】二塩基酸のエステルを使用すると、特に混
合物として使用した場合には、これまでの減容・回収方
法のように、減容剤として使用されてきたd一リモネン
が蒸発することによって大量に失われるといった事態が
解消される。これまでも、多くの用途で活性成分の蒸発
によって、費用の点から、方法の有効性が一部損なわれ
てしまうことがあった。本発明は、こうした損失が極め
て少ないので、原価効率が優れている。また、本発明の
二塩基酸エステル混合物は、その組成により、例えば7
5℃以上の高い引火点を有するので、従来の溶剤に比べ
て、その貯蔵、輸送及び取り扱いが容易である。
【0025】活性成分は、さらにいくつかの大切な特性
を備えている必要がある。活性成分はゴミや廃棄物と混
ざることになるので、環境に対して安全である必要があ
る。理想的には、活性成分は、直ちに気化したり、時間
が経つにつれて蒸発して埋め立て物中で蒸気の層を形成
したりするような範囲の沸点、並びに蒸気圧を有するべ
きではない。
【0026】発泡ポリスチレンに作用する溶剤は、ほと
んどが、環境上問題のある化学物質である。イソプレノ
イド並びにテルペン化合物と一般に称される一群の化学
物質は、環境上ほぼ安全な天然に誘導された化合物を含
むものであるが、こうした化合物の大半は、揮発性が比
較的高く、少なくともゴミとなった状況下では、蒸気の
層を形成してしまう。
【0027】本発明の二塩基酸のエステルは、揮発性が
十分低いので、ゴミ中で蒸気の層を形成することがな
い。本発明の二塩基酸のエステルを使用すると、ゴミ上
に形成された非透明性の層が、人工的な現象、あるいは
自然現象、例えば地震によって、破れたり、損傷したり
するようなことがあっても、蒸気が大規模に放散すると
いう問題は将来的に回避されることになる。
【0028】活性化についての特許(米国特許第5,223,
543号)では、力点はd−リモネンにあった。d−リモ
ネンが選ばれたのは、費用並びに揮発性の理由からであ
り、これは、従来の使用では、化学物質を活性化された
液体として大気に露出した領域に散布していたので、迅
速に作用することが必須であったからである。数時間か
ら数日の範囲の長期に亘って蒸気が生じる各種の液状揮
発成分を使用することも包含されていた。本発明の二塩
基酸のエステルの発泡ポリスチレンの減容剤としての使
用も、有効である。本発明は、蒸気の損失を大幅に低減
し、投棄ゴミ中で蒸気の層が生じるのを防止し、通常2
70℃以上の温度で行われる再処理過程での損失を低減
した点で、d−リモネンを主成分とする減容剤より優れ
ている。
【0029】本発明の減容処理で使用する物質も、再処
理を行う際に除去することによって回収が可能であり、
乾燥、他の有機化合物との相溶性、熱ストリッピングを
組み合わせることによって、水分並びに揮発性有機物質
から使用化合物の大半を容易に分離することができる。
また、これらの物質は、環境に対する毒性を有していな
い。
【0030】特に好適な態様では、グルタル酸ジメチ
ル、アジピン酸ジメチルおよび琥珀酸ジメチルからなる
二塩基酸のエステルの混合物を密閉容器に吹き込み、発
泡ポリスチレン廃棄物の流れに吹きつける。この発泡ポ
リスチレン廃棄物は、通常、飲食店の発泡ポリスチレン
製の皿や容器の残査、あるいは食品や産業物品の梱包材
の残査である。二塩基酸のエステルの混合物が発泡ポリ
スチレンに吹きつけられると、発泡ポリスチレンはつぶ
れて容積が急激に減少する。その際に生じた粘着性物質
は、落とし込むか、あるいは好適にはポンプ輸送するこ
とによって容器に入れ、ゴミ堆積場に送るか(この場
合、占有容積は大幅に低減している)、あるいは、再処
理装置に送って、活性物質である二塩基酸のエステル
と、ポリスチレン重合体とを回収する。該混合物は、密
閉カップ法による自己発火温度が約375℃であり且つ
引火点が約104℃であるため、その輸送性はより高
い。
【0031】第二の態様では、上記混合物として、平均
分子量約173の、アジピン酸ジメチル90%以上の精
製された形態のアジピン酸ジメチルが使用される。アジ
ピン酸ジメチルは、ポチエチレンバッグが張られた大箱
のような容器内で、発泡ポリスチレン1ポンド当たり、
アジピン酸ジメチルを全部で少なくとも3ポンド、理想
的には4ポンドを、少なくとも3回、発泡ポリスチレン
にスプレーされる。発泡体及び化学物質の混合物は前記
容器又はバッグ中に保持され、アジピン酸ジメチルは、
溶剤の引火点が高い利点により輸送が安全であり且つ溶
剤及び該溶剤で溶解された重合体が低毒性のために輸送
が安全である前記混合物中で、発泡体を溶解しつづけ
る。
【0032】第三の態様では、上記第二の態様における
アジピン酸ジメチルは、発泡ポリスチレンにスプレーす
る前に、少なくとも150°Fの温度に加熱される。、
【0033】第四の態様では、上記第三の態様の加熱さ
れたアジピン酸ジメチルは、前記容器の頂部又は頂側部
から、溶解されず且つ先にスプレーされた溶剤及びポリ
スチレン溶液に浮いている発泡ポリスチレンが熱い新し
いアジピン酸ジメチルと最初に接触するように、発泡体
にスプレーされる。
【0034】第五の態様では、充分な混合に耐え且つ重
合体の未溶解発泡体が塊りとなるのを防止する混練作用
を与えるために、発泡体、溶剤及び溶剤/重合体溶液の
混合物を機械的撹拌力を加えることにより、加熱アジピ
ン酸ジメチルの溶媒和作用がさらに高められる。
【0035】第六の、やや好ましくない態様では、グル
タル酸のジメチルエステルが、他の二塩基酸エステルの
混合物において、少なくとも95%の濃度で使用され
る。また、このエステルは発泡ポリスチレンの良好な溶
媒和剤であるが、アジピン酸エステルよりもやや低活性
である。上記のいアジピン酸ジメチルを多く使用する上
記態様の全ては、グルタル酸ジメチルエステルの多い場
合にも採用することができる。上記の種々の態様の各々
において、アジピン酸エステルをグルタル酸エステルに
置き換えることにより、実施態様をさらに発展させるこ
とができる。
【0036】第七の、やや好ましくないが機能的な態様
では、琥珀酸のジメチルエステル、即ち琥珀酸ジメチル
は、上記第三〜第六の態様におけるアジピン酸ジメチル
に置き換えることができる。琥珀酸エステルは、ゆっく
りとした溶解能力を有しているので、少なくとも90%
の濃度で使用されるが、溶解時間は大きな因子ではない
から、非常に有用である。
【0037】第八の態様では、少なくとも二種の、許容
されるならば三種の二塩基酸のエステルが、発泡ポリス
チレンに、該発泡体にスプレーされる溶剤と共に使用さ
れる。二塩基酸エステルの混合物は、重合体及び繊維に
使用されるアジピン酸の製造においてしばしば側流とし
て生成するので、これを使用することは重要な経済的利
点である。このような側流又は共生成物は種々な組成を
有しているが、典型的には20重量%以下の琥珀酸ジメ
チル、およびグルタル酸及びアジピン酸の二塩基酸の組
み合わせからなる二塩基酸エステル混合物の残部からな
る混合物に容易に精製することができる。このエステル
混合物は、室温で又は加熱スプレーで発泡ポリスチレン
にスプレーされ、該発泡ポリスチレンは該エステルによ
り溶解され、発泡構造の崩壊として著しく容積が減少す
る。発泡体を80%又はそれ以上に減少させるために
は、典型的には、少なくとも二倍の加熱された溶剤およ
び三倍の室温の溶剤が必要であり、ポリスチレン材料の
全部の溶解を確実にするためには、しばしば理論量より
過剰が使用される。
【0038】第九の態様では、室温の又は加熱された二
塩基酸エステル混合物あるいは特に精製された二塩基酸
エステルが発泡ポリスチレンにスプレーされ、溶剤及び
ポリスチレンの溶液を、容器内の発泡体の溶解をさらに
促進する加熱溶液を維持するための加熱器を底部又は下
側部に有する容器へ、滴下することが可能となる。
【0039】第十の態様では、室温の又は加熱された二
塩基酸エステル混合物あるいは特に精製された二塩基酸
エステルが発泡ポリスチレンにスプレーされ、溶剤及び
ポリスチレンの溶液を容器へ滴下することを可能にし、
該容器から液状溶液流がポンブ輸送され、ついで該溶液
流の少なくとも一部が加熱され、そして、発泡体の減容
及び溶解をさらに助ける混合作用を与える容器へ強力に
戻される。
【0040】実施例 62重量%のグルタル酸ジメチル、20重量%のアジピ
ン酸ジメチル及び18重量%の琥珀酸ジメチルからなる
二塩基酸エステル混合物を含有する減溶剤を調製した。
該減溶剤50ml中に、1cm角の大きさの発泡ポリス
チレン10個(発泡倍率約50倍)を投入し、該発泡体
が完全に溶解するまでの時間を測定した。その結果、前
記減溶剤の温度が、室温(22℃)である場合は1分6
秒であり、56℃の場合は10秒であった。また、d−
リモネンを用いて、上記と同様に実施したところ、室温
での溶解時間は1分4秒であり、56℃ではd−リモネ
ンの引火点が低いために実施不能であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 25:00 105:04 105:26 C08L 25:06 (71)出願人 597031092 1701 NW Madrid Way, B oca Raton, FL. 33432, U.S.A. (72)発明者 ハーベイ カッツ アメリカ合衆国 フロリダ 33432, ボ カ レイトン, スパニッシュ リバー ロード 1015 (72)発明者 クラウディア イオビーノ アメリカ合衆国 フロリダ 33433, ボ カ レイトン, アンバーウッズ ドライ ブ 6364 (72)発明者 デビッド ウォシュバーン アメリカ合衆国 フロリダ 33407, ウ エスト パーム ビーチ, エイ パイン ストリート 308 (72)発明者 ジェフリー ディ マーシャル アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01938, イプスウィッチ, ミッチェル ロード 18 (72)発明者 ディック イアントスカ アメリカ合衆国 フロリダ 33462, ラ ンタナ, チャレンジャー サークル 3732

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二塩基酸のエステル、例えばグルタル酸
    ジメチル、アジピン酸ジメチル及び琥珀酸ジメチルのい
    ずれか、あるいはそれらの組み合わせから構成され、発
    泡ポリスチレンに液体として接触し、接触時にこの発泡
    ポリスチレンの気泡膜を崩壊してゲル状物質を含む輸送
    が容易な圧縮ポリスチレンを形成するための、輸送が容
    易な発泡ポリスチレンの減容剤。
  2. 【請求項2】 主たる活性成分が、少なくとも50重量
    %のアジピン酸ジメチルを含有し、残部が5〜40重量
    %のグルタル酸ジメチル、および45〜10重量%の琥
    珀酸ジメチルからなる混合物である請求項1に記載の輸
    送が容易な発泡ポリスチレンの減容剤。
  3. 【請求項3】 主たる活性成分が、少なくとも50重量
    %のアジピン酸ジメチルを含有し、残部が50重量%ま
    でのグルタル酸ジメチルからなる混合物である請求項1
    に記載の輸送が容易な発泡ポリスチレンの減容剤。
  4. 【請求項4】 主たる活性成分が、少なくとも50重量
    %のグルタル酸ジメチルを含有し、残部が5〜40重量
    %のアジピン酸ジメチル、および45〜10重量%の琥
    珀酸ジメチルからなる混合物である請求項1に記載の輸
    送が容易な発泡ポリスチレンの減容剤。
  5. 【請求項5】 主たる活性成分が、少なくとも50重量
    %のグルタル酸ジメチルを含有し、残部が50重量%ま
    でのアジピン酸ジメチルからなる混合物である請求項1
    に記載の輸送が容易な発泡ポリスチレンの減容剤。
  6. 【請求項6】 発泡ポリスチレンの容積を減少させるに
    当たって、その減容剤を液体として使用することによ
    り、気泡膜を溶媒和させて発泡ポリスチレンを崩壊さ
    せ、減容させた発泡ポリスチレンを再生用に回収する方
    法において、請求項1〜5のいずれか一項に記載の減容
    剤を使用することを特徴とする発泡ポリスチレンの減容
    方法。
  7. 【請求項7】 前記二塩基酸のエステルが40重量%の
    濃度のグルタル酸ジメチル、およびアジピン酸ジメチル
    及び琥珀酸ジメチルとの組み合わせである請求項6に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 前記二塩基酸のエステルが40重量%の
    濃度のアジピン酸ジメチル、およびグルタル酸ジメチル
    及び琥珀酸ジメチルの組み合わせである請求項6記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 前記二塩基酸のエステルがアジピン酸ジ
    メチル及びグルタル酸ジメチルの組み合わせである請求
    項6記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の
    減容剤を液相で接触させることにより、発泡ポリスチレ
    ンの容積を減少させ、減容された発泡ポリスチレンを再
    生場所へ輸送し、ついで該減容剤を再使用のために熱回
    収法により回収することからなる回収システム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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