JP2004217539A - ヒドロキシメチル基含有ノルボルネン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノルボルネンカルボン酸から、特定の還元剤を用いて還元する事で、光学材料に有用なノルボルネン誘導体を工業的に安価に、かつ、安全に得る方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立にして、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは0または1である。)で表される化合物のカルボン酸基を下記一般式(2)
XAlH2(OY)2 または、 XAlH(OY)3 (2)
(式中、Xは、ナトリウム原子又はリチウム原子を示し、Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基を示す。)で表される化合物を作用させ還元することを特徴とする下記一般式(3)
(式中、R1、R2、R3及びnは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(1)
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立にして、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは0または1である。)で表される化合物のカルボン酸基を下記一般式(2)
XAlH2(OY)2 または、 XAlH(OY)3 (2)
(式中、Xは、ナトリウム原子又はリチウム原子を示し、Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基を示す。)で表される化合物を作用させ還元することを特徴とする下記一般式(3)
(式中、R1、R2、R3及びnは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前記一般式(3)で表されるノルボルネン誘導体の製造方法に関する。このようなノルボルネン誘導体は、耐熱性、透明性、耐湿性に優れた光学材料や、感放射性樹脂組成物の単量体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒドロキシメチル基含有ノルボルネン誘導体の製造方法としては、以下に示す方法がある。
特開平11−265067号公報には、アクリル酸エステルとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって得られた、ノルボルネンカルボン酸エステルをLiAlH4で還元しアルコールを製造する方法が実施例に記載されている。しかしながら、LiAlH4は高価である上、その取り扱いの点で工業的には好ましくない。また、収率も72%と未だ不十分である。
【0003】
ロシアン ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Russian Journalof Organic Chemistry、1997年、第33巻、2号、228頁)には、アリルアルコールとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって製造する方法が記載されているが、この方法は、反応の選択性が低く、収率の点で工業的に満足する方法でない。
【0004】
米国特許第4391284号明細書には、アリルアルデヒドとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって得られた、ノルボルネンアルデヒドをNaBH4で還元しアルコールを製造する方法が実施例に記載されているが、この方法は、不安定なアリルアルデヒドを使用する点で工業的に満足する方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明はノルボルネンカルボン酸類を原料として、安全かつ安価に、高品質なヒドロキシメチル基含有ノルボルネン誘導体を製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造を有するアルミニウム系還元剤を用いることにより、簡便且つ収率よく目的物が製造できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、
下記一般式(1)
【0007】
【化4】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立にして、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは0または1である。)で表される化合物のカルボン酸基を下記一般式(2)
【0008】
【化5】
XAlH2(OY)2 または、 XAlH(OY)3 (2)
(式中、Xは、ナトリウム原子又はリチウム原子を示し、Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基を示す。)で表される化合物を作用させ還元することを特徴とする下記一般式(3)
【0009】
【化6】
(式中、R1、R2、R3及びnは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物のカルボン酸基を上記一般式(2)で表される化合物により還元し上記一般式(3)で表される化合物に誘導するものである。
(反応基質)
上記一般式(1)におけるR1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基である。このうち、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、モノブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基等が挙げられる。
【0011】
このうち少なくとも1つ以上が水素原子である方が好ましく、より好ましくはR1及びR3が共に水素原子のものである。
また、nは0又は1である。
上記一般式(1)で表される化合物のnが0である化合物の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−エチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−プロピル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−プロピル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−ブチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−ブチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン等を挙げることができる。
【0012】
また、上記一般式(1)のnが1である化合物の具体例としては、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロピル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−プロピル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−n−ブチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−iso−ブチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−モノフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ジフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−トリフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−モノブロムメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ジブロモメチル−8−カルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−トリブロムヒドロキシメチル−8−カルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、等を挙げることができる。
【0013】
(還元剤)
上記一般式(2)におけるXは、ナトリウム原子又はリチウム原子であり、このうち好ましくはナトリウム原子である。
Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、このうちアルキル基としては炭素数1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2のものである。また、アルコキシアルキル基としては炭素数1〜8のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4である。
【0014】
上記アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基が挙げられ、このうち好ましくはメチル基、エチル基又はt−ブチル基が挙げられ、より好ましくはエチル基が挙げられる。
上記アルコキシアルキル基として具体的には、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基等が挙げられ、このうち好ましくはメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、又はエトキシエチル基が挙げられ、より好ましくはメトキシエチル基が挙げられる。
【0015】
一般式(2)で表される還元剤の具体例としては、モノヒドロトリメトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリエトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリノルマルプロポキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリイソプロプロポキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロノルマルブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロイソブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロターシャリーブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリメトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリエトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリノルマルプロポキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリイソプロポキシアルミニウムリチウム、モノヒドロノルマルブトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロイソブトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロターシャリーブトキシアルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、 ジヒドロビス(2−ブトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシプロポオキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−ブトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、 ジヒドロビス(2−ブトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−ブトキシブトキシ)アルミニウムリチウム等が挙げられる。
【0016】
このうち、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが最も好ましい。
【0017】
(反応条件)
本発明の方法において、上記一般式(2)で表される還元剤の使用量は、一般式(1)で表される化合物の1モルに対して、通常、1モル程度以上の範囲で用いられる。但し、あまり多すぎると、コスト及び後処理の点等で好ましくないため、通常10モル以下、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下の範囲で用いられる。
【0018】
本発明の方法においては、通常、窒素ガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気下で反応が行われる。
また、通常、溶媒が使用され、その使用される溶媒としては、反応に関与しなければ特に制限はないが、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などを挙げることができ、このうち、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル又はテトラヒドロフランなどが好ましい。これらの溶媒は単独でも混合して用いてもよい。
【0019】
本発明において有機溶媒の使用量は、上記一般式(1)で表される化合物の濃度として、0.1〜99.9%(重量比)の割合になる量であればよく、1〜50%(重量比)の割合になる量が好ましく、1〜30%(重量比)の割合になる量が更に好ましい。
本発明の方法における反応様式としては、一般式(1)で表される化合物含有液中に一般式(2)で表される還元剤を添加する方法、一般式(2)で表される還元剤含有液中に一般式(1)で表される化合物又はその溶液を添加する方法、反応基中に一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される還元剤を同時に添加する方法等が挙げられるが、このうち一般式(2)で表される還元剤含有液中に一般式(1)で表される化合物又はその溶液を添加する方法が好ましい。
【0020】
反応温度、反応時間は、一般式(1)で表される化合物の反応性及び反応液中の原料濃度、還元剤の種類及び使用量に依存するが、通常50℃〜130℃であればよく、反応時間は1〜8時間程度である。
反応終了後、反応液に希酸水溶液等を加えて過剰の還元剤を不活性化した後、抽出・濃縮・洗浄・精製等の一般的な単離・精製操作を組み合わせることにより、目的とする生成物を得ることができる。
【0021】
このようにして得られる一般式(3)で表される化合物としては、上述の一般式(1)で表される化合物のカルボン酸基がヒドロキシメチル基に変換された化合物であり、nが0である化合物の具体例としては、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−プロピル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−プロピル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−ブチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−ブチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチル−5−カルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン等を挙げることができる。
【0022】
また、nが1である化合物の具体例としては、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,101 ]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロピル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.112,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−プロピル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−n−ブチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−ブチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−モノフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ジフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−トリフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−モノブロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ジブロモメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−トリブロモメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、等を挙げることができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1
8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エンの合成
フラスコに、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムリチウムの70%トルエン溶液136ml(471mmol)およびトルエン245ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気中で30℃に保持した。次いで、トルエン105mlに懸濁した8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン42.7g(209mmol)を、滴下ロートを用いて30分かけて添加したのち、50℃で2時間反応させた。次いで、反応溶液を氷冷し、10%塩酸水溶液180gを徐々に添加した。次いで、析出した塩をセライトで濾過した。酢酸エチル250mlで塩を洗浄し、飽和食塩水250mlを加え、分液した。さらに、飽和重曹水250mlと飽和食塩水250mlで1回ずつ洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、その後トルエン、酢酸エチルを留去して、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エンの粗生成物37gを得た。その粗生成物を、減圧蒸留し、114−123℃ /0.9mmHgの留分34g(0.179mmol、収率85%)を得た。
物性値
1H−NMR(CDCl3 、300MHz)δ:0.40−0.95(2H、m)、1.1−1.7(3H、m)、1.8−2.0(6H、m)、2.9(2H、s)、3.3−3.5(2H、m、1級アルコールメチレンプロトン)、5.9−6.1(2H、m)
実施例2
5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エンの合成
フラスコに、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムリチウムの65%トルエン溶液106g(342mmol)およびトルエン180ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気中で50℃に保持した。次いで、トルエン100mlとテトラヒドロフラン20mlに懸濁した5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン30g(146mmol)を、滴下ロートより1時間30分かけて添加したのち、85℃で2時間反応させた。次いで、反応溶液を氷冷し、10%塩酸水溶液135gを徐々に添加した。次いで、反応液にトルエンを100ml添加し、析出した塩をセライトで濾過した。酢酸エチル250mlで2回塩を洗浄した。飽和重曹水200mlで中和後、さらに析出した塩をセライト濾過した。水相を分液し、有機相を飽和食塩水200mlで2回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、その後トルエン、酢酸エチルを留去して、5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エンの粗生成物を、減圧蒸留し、95℃/25mmHgの留分21g(109mmol、収率75%)を得た。
物性値
1H−NMR(CDCl3 、400MHz)δ:0.82−1.9(4H、m)、2.93(1H、s)、3.05−3.15(1H、m)、3.24−4.0(2H、m、1級アルコールメチレンプロトン)、6.0−6.3(2H、m)
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ノルボルネンカルボン酸を、アルキル置換されたリチウム化合物を用いて還元する事で、光学材料に有用な、ノルボルネンアルコール体を工業的に、安価に、安全に得る事ができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、前記一般式(3)で表されるノルボルネン誘導体の製造方法に関する。このようなノルボルネン誘導体は、耐熱性、透明性、耐湿性に優れた光学材料や、感放射性樹脂組成物の単量体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒドロキシメチル基含有ノルボルネン誘導体の製造方法としては、以下に示す方法がある。
特開平11−265067号公報には、アクリル酸エステルとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって得られた、ノルボルネンカルボン酸エステルをLiAlH4で還元しアルコールを製造する方法が実施例に記載されている。しかしながら、LiAlH4は高価である上、その取り扱いの点で工業的には好ましくない。また、収率も72%と未だ不十分である。
【0003】
ロシアン ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Russian Journalof Organic Chemistry、1997年、第33巻、2号、228頁)には、アリルアルコールとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって製造する方法が記載されているが、この方法は、反応の選択性が低く、収率の点で工業的に満足する方法でない。
【0004】
米国特許第4391284号明細書には、アリルアルデヒドとジシクロペンタジエンからディールズアルダー反応によって得られた、ノルボルネンアルデヒドをNaBH4で還元しアルコールを製造する方法が実施例に記載されているが、この方法は、不安定なアリルアルデヒドを使用する点で工業的に満足する方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明はノルボルネンカルボン酸類を原料として、安全かつ安価に、高品質なヒドロキシメチル基含有ノルボルネン誘導体を製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造を有するアルミニウム系還元剤を用いることにより、簡便且つ収率よく目的物が製造できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、
下記一般式(1)
【0007】
【化4】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立にして、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を示し、nは0または1である。)で表される化合物のカルボン酸基を下記一般式(2)
【0008】
【化5】
XAlH2(OY)2 または、 XAlH(OY)3 (2)
(式中、Xは、ナトリウム原子又はリチウム原子を示し、Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基を示す。)で表される化合物を作用させ還元することを特徴とする下記一般式(3)
【0009】
【化6】
(式中、R1、R2、R3及びnは前記と同義である。)で表される化合物の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で表される化合物のカルボン酸基を上記一般式(2)で表される化合物により還元し上記一般式(3)で表される化合物に誘導するものである。
(反応基質)
上記一般式(1)におけるR1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基である。このうち、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、モノブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基等が挙げられる。
【0011】
このうち少なくとも1つ以上が水素原子である方が好ましく、より好ましくはR1及びR3が共に水素原子のものである。
また、nは0又は1である。
上記一般式(1)で表される化合物のnが0である化合物の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−エチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−プロピル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−プロピル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−ブチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−ブチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリブロモメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン等を挙げることができる。
【0012】
また、上記一般式(1)のnが1である化合物の具体例としては、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロピル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−プロピル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−n−ブチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−iso−ブチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−モノフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ジフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−トリフルオロメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−モノブロムメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ジブロモメチル−8−カルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−トリブロムヒドロキシメチル−8−カルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、等を挙げることができる。
【0013】
(還元剤)
上記一般式(2)におけるXは、ナトリウム原子又はリチウム原子であり、このうち好ましくはナトリウム原子である。
Yは、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシアルキル基であり、このうちアルキル基としては炭素数1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2のものである。また、アルコキシアルキル基としては炭素数1〜8のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜4である。
【0014】
上記アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基が挙げられ、このうち好ましくはメチル基、エチル基又はt−ブチル基が挙げられ、より好ましくはエチル基が挙げられる。
上記アルコキシアルキル基として具体的には、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基等が挙げられ、このうち好ましくはメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、又はエトキシエチル基が挙げられ、より好ましくはメトキシエチル基が挙げられる。
【0015】
一般式(2)で表される還元剤の具体例としては、モノヒドロトリメトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリエトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリノルマルプロポキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリイソプロプロポキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロノルマルブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロイソブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロターシャリーブトキシアルミニウムナトリウム、モノヒドロトリメトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリエトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリノルマルプロポキシアルミニウムリチウム、モノヒドロトリイソプロポキシアルミニウムリチウム、モノヒドロノルマルブトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロイソブトキシアルミニウムリチウム、モノヒドロターシャリーブトキシアルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−プロポキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、 ジヒドロビス(2−ブトキシプロポキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシブトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−メトキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−エトキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシメトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシプロポオキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−プロポキシブトキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−ブトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−ブトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、 ジヒドロビス(2−ブトキシプロポキシ)アルミニウムリチウム、ジヒドロビス(2−ブトキシブトキシ)アルミニウムリチウム等が挙げられる。
【0016】
このうち、ジヒドロビス(2−メトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムナトリウム、ジヒドロビス(2−エトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが最も好ましい。
【0017】
(反応条件)
本発明の方法において、上記一般式(2)で表される還元剤の使用量は、一般式(1)で表される化合物の1モルに対して、通常、1モル程度以上の範囲で用いられる。但し、あまり多すぎると、コスト及び後処理の点等で好ましくないため、通常10モル以下、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下の範囲で用いられる。
【0018】
本発明の方法においては、通常、窒素ガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気下で反応が行われる。
また、通常、溶媒が使用され、その使用される溶媒としては、反応に関与しなければ特に制限はないが、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などを挙げることができ、このうち、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル又はテトラヒドロフランなどが好ましい。これらの溶媒は単独でも混合して用いてもよい。
【0019】
本発明において有機溶媒の使用量は、上記一般式(1)で表される化合物の濃度として、0.1〜99.9%(重量比)の割合になる量であればよく、1〜50%(重量比)の割合になる量が好ましく、1〜30%(重量比)の割合になる量が更に好ましい。
本発明の方法における反応様式としては、一般式(1)で表される化合物含有液中に一般式(2)で表される還元剤を添加する方法、一般式(2)で表される還元剤含有液中に一般式(1)で表される化合物又はその溶液を添加する方法、反応基中に一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される還元剤を同時に添加する方法等が挙げられるが、このうち一般式(2)で表される還元剤含有液中に一般式(1)で表される化合物又はその溶液を添加する方法が好ましい。
【0020】
反応温度、反応時間は、一般式(1)で表される化合物の反応性及び反応液中の原料濃度、還元剤の種類及び使用量に依存するが、通常50℃〜130℃であればよく、反応時間は1〜8時間程度である。
反応終了後、反応液に希酸水溶液等を加えて過剰の還元剤を不活性化した後、抽出・濃縮・洗浄・精製等の一般的な単離・精製操作を組み合わせることにより、目的とする生成物を得ることができる。
【0021】
このようにして得られる一般式(3)で表される化合物としては、上述の一般式(1)で表される化合物のカルボン酸基がヒドロキシメチル基に変換された化合物であり、nが0である化合物の具体例としては、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−エチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−プロピル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−プロピル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−n−ブチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−iso−ブチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチル−5−カルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−モノブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−ジブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン、5−トリブロモメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン等を挙げることができる。
【0022】
また、nが1である化合物の具体例としては、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,101 ]ドデカ−3−エン、8−エチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−n−プロピル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.0.112,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−プロピル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−n−ブチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−iso−ブチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−モノフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−ジフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−トリフルオロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−モノブロメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、8−ジブロモメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、8−トリブロモメチル−8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン、等を挙げることができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1
8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エンの合成
フラスコに、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムリチウムの70%トルエン溶液136ml(471mmol)およびトルエン245ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気中で30℃に保持した。次いで、トルエン105mlに懸濁した8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10 ]ドデカ−3−エン42.7g(209mmol)を、滴下ロートを用いて30分かけて添加したのち、50℃で2時間反応させた。次いで、反応溶液を氷冷し、10%塩酸水溶液180gを徐々に添加した。次いで、析出した塩をセライトで濾過した。酢酸エチル250mlで塩を洗浄し、飽和食塩水250mlを加え、分液した。さらに、飽和重曹水250mlと飽和食塩水250mlで1回ずつ洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、その後トルエン、酢酸エチルを留去して、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[ 4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エンの粗生成物37gを得た。その粗生成物を、減圧蒸留し、114−123℃ /0.9mmHgの留分34g(0.179mmol、収率85%)を得た。
物性値
1H−NMR(CDCl3 、300MHz)δ:0.40−0.95(2H、m)、1.1−1.7(3H、m)、1.8−2.0(6H、m)、2.9(2H、s)、3.3−3.5(2H、m、1級アルコールメチレンプロトン)、5.9−6.1(2H、m)
実施例2
5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エンの合成
フラスコに、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムリチウムの65%トルエン溶液106g(342mmol)およびトルエン180ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気中で50℃に保持した。次いで、トルエン100mlとテトラヒドロフラン20mlに懸濁した5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エン30g(146mmol)を、滴下ロートより1時間30分かけて添加したのち、85℃で2時間反応させた。次いで、反応溶液を氷冷し、10%塩酸水溶液135gを徐々に添加した。次いで、反応液にトルエンを100ml添加し、析出した塩をセライトで濾過した。酢酸エチル250mlで2回塩を洗浄した。飽和重曹水200mlで中和後、さらに析出した塩をセライト濾過した。水相を分液し、有機相を飽和食塩水200mlで2回洗浄した。無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、その後トルエン、酢酸エチルを留去して、5−トリフルオロメチル−5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプト−2−エンの粗生成物を、減圧蒸留し、95℃/25mmHgの留分21g(109mmol、収率75%)を得た。
物性値
1H−NMR(CDCl3 、400MHz)δ:0.82−1.9(4H、m)、2.93(1H、s)、3.05−3.15(1H、m)、3.24−4.0(2H、m、1級アルコールメチレンプロトン)、6.0−6.3(2H、m)
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ノルボルネンカルボン酸を、アルキル置換されたリチウム化合物を用いて還元する事で、光学材料に有用な、ノルボルネンアルコール体を工業的に、安価に、安全に得る事ができる。
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