JP2004217444A - ハイドロタルサイト様化合物由来の多孔質複合体、その製造方法、および該多孔質複合体から成る窒素酸化物の常温還元触媒 - Google Patents

ハイドロタルサイト様化合物由来の多孔質複合体、その製造方法、および該多孔質複合体から成る窒素酸化物の常温還元触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】水素を還元剤とし常温に近い温度で酸素や水蒸気の存在下に、窒素酸化物を効率的に還元することのできる触媒などとして有用な新しい材料を提供する。
【解決手段】2価の金属M(Mは例えばMg)の金属酸化物が(1−x)に対して3価の金属M(Mは例えばAl)がx(0.15≦x≦0.35)の比率から成る層状複合酸化物の層間に、白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の微粒子が導入されて層間が架橋されている多孔質複合体。M 1−x (NO(OH)・HOで表わされるハイドロタルサイト様化合物を少なくとも一種の上記貴金属の陰イオン性貴金属化合物の水溶液で処理して層間の硝酸イオンを陰イオン性貴金属と交換した後に還元により貴金属の微粒子を形成させることにより製造できる。水素を還元剤として100℃以下で作動する窒素酸化物還元触媒として有用である。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性無機構造体を創製して利用する技術分野に属し、特にハイドロタルサイト様化合物由来の多孔質複合体、その製造方法、および該多孔質複合体から成る窒素酸化物の常温還元触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
大気汚染物質であるNOやNOなどの窒素酸化物、所謂ノックス(NOx)については、その除去あるいは浄化のために種々の対策が講じられている。
窒素酸化物(NOx)を除去するために従来より提示されている技術に、還元剤を供給して触媒による分解除去する方法があり、例えば、還元剤としてアンモニアを用い、温度300〜400℃で窒素酸化物を分解除去する方法がある(特開2002−153755号公報)(特許文献1)。この方法は、有害なアンモニアを用いること、比較的高温(300〜400℃)で処理せねばならぬこと、窒素酸化物の変動に追随した処理が困難で未反応アンモニアの処理が必要であるという課題を有している。また、常温におけるNOx除去法として吸着剤を用いる方法が提案されている(特開平11−342313号公報)(特許文献2)。この方法は、窒素酸化物のうち一酸化窒素に対する吸着性能が悪く、一酸化窒素含有ガスはオゾン等の酸化剤で酸化し易い二酸化窒素に換えておく必要がある。また、吸着した窒素酸化物を脱着し吸着剤を再生させる場合、300〜400℃の高温で処理することも必要である。
【0003】
一方、水素を還元剤とするNOx浄化方法は、低温(100℃以下)で作動可能な唯一の触媒プロセスである。水素は水から製造できるので、加熱装置および毒性の還元剤を必要としないNOx浄化技術として期待できる。しかしながら、室温に近い低温で、しかも阻害成分である空気(酸素)や水蒸気の共存下に、反応を効果的に触媒する材料の検討は十分なされていないのが現状である。
【特許文献1】特開2002−153755号公報
【特許文献1】特開平11−342313号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水素を還元剤とし常温(室温)に近い温度で酸素や水蒸気の存在下に、窒素酸化物を効率的に還元することのできる触媒などとして有用な新しい材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、検討を重ねた結果、特定のハイドロタルサイト様化合物の層間を白金などの貴金属で架橋した多孔性複合体を調製し、得られた複合体を用いて窒素酸化物の還元触媒反応について検討したところ、優れた触媒活性が得られることを見出し、本発明を導き出したものである。
【0006】
かくして、2価の金属M(Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)の金属酸化物が(1−x)に対して3価の金属M(Mは、Al、Cr、Mn、Fe、CoまたはGaである)の金属酸化物がx(0.15≦x≦0.35)の比率から成る層状複合酸化物の層間に、白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の微粒子が導入されて層間が架橋されていることを特徴とする多孔質複合体が提供される。
【0007】
また、本発明は、上記の多孔質複合体を製造する方法であって、式M 1−x (NO(OH)・HOで表わされるハイドロタルサイト様化合物(Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnから選ばれる2価の金属であり、Mは、Al、Cr、Mn、Fe、CoまたはGaから選ばれる3価の金属であり、0.15≦x≦0.35である)を白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の陰イオン性貴金属化合物の水溶液で処理して層間の硝酸イオンを陰イオン性貴金属と交換する工程、および前記イオン交換工程の後に還元により貴金属の微粒子を形成する工程を含むことを特徴とする方法も提供する。
【0008】
本発明に従えば、さらに、上記の多孔質複合体を利用する物の発明として、その多孔質複合体から成り水素を還元剤として100℃以下で作動することを特徴とする窒素酸化物還元触媒が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
窒素酸化物の還元触媒等として有用な本発明の多孔質複合体は、ハイドロタルサイト様化合物の特異な構造を利用して製造され、層状の複合酸化物の層間に貴金属の微粒子が導入されて層間が架橋されている新しいタイプの多孔質(多孔性)複合化合物である。
【0010】
ここで、ハイドロタルサイト様化合物とは、よく知られているように、層状複水酸化物であり、その組成式は一般に、M 1−x (OH)n− x/n・nHOで表わされる(式中、MとMは、それぞれ2価と3価の金属(金属イオン)を表わし、An−はn価の陰イオン(アニオン)を表わし、xは一般に約0.1から約0.4の間で変化する)。
【0011】
ハイドロタルサイト様化合物は[M 1−x (OH)]で表わされる部分をホスト層とし、このホスト層とホスト層との間に[An− x/n・nHO]に相当する部分、すなわち、陰イオン(An−)およびその陰イオン同志の隙間を埋めるように水分子が存在する構造から成る。ハイドロタルサイトとは、正確には、MgAl(OH)16・CO・nHOで表わされる天然鉱物の名称であり、これに類似の前記組成式で表わされる化合物をハイドロタルサイト様化合物(またはハイドロタルサイト系化合物)と一般に称している。
【0012】
ハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト様化合物の特性の一つは、基本的な層状構造を保持しながら、層間(ホスト層間)の陰イオン(ゲスト層中の陰イオン)をインターカレーションによって交換できるということである。
かくして、当該技術分野では一般にピラリング(pillaring)と呼ばれるように、ホスト層間が特定の陰イオンにより架橋された(連結された)ハイドロタルサイト構造から成る各種の機能性材料が提供されている。
【0013】
本発明は、以上のようなハイドロタルサイト様化合物に属し下記の式(I)で表わされる化合物、すなわち、ホスト層が特定の金属の組み合わせの複水酸化物から成り、そのホスト層間に陰イオンとして硝酸イオン(NO )が存在するような構造のハイドロタルサイト様化合物を利用する多孔質複合体の製造に係るものである。
1−x (NO(OH)・HO〔0.15≦x≦0.35〕 (I)
式(I)中、MはMg、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnから選ばれる2価の金属であり、MはAl、Cr、Mn、Fe、CoまたはGaから選ばれる3価の金属であり、また、0.15≦x≦0.35である。本発明において用いられる式(I)のハイドロタルサイト様化合物として好ましい例は、ハイドロタルサイト構造に典型的なMがMg(マグネシウム)でありMがAl(アルミニウム)の場合であるが、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明に従い窒素酸化物の還元触媒として好適な多孔質複合体を製造するには、上記の式(I)で表わされるハイドロタルサイト様化合物を白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の陰イオン性貴金属化合物の水溶液で処理して層間の硝酸イオンを貴金属の陰イオン性貴金属と交換し、このイオン交換工程の後に還元により貴金属の微粒子を形成させる。
【0015】
原料となる式(I)で表わされるハイドロタルサイト様化合物は、一般に、各金属の硝酸塩の混合水溶液からNH共沈法により合成できる。すなわち、式(I)のxの値に応じてM(NO(例えばMg(NO)とM(NO(例えばAl(NO)の割合を調整したM(NO−M(NO混合水溶液をアンモニア水溶液に滴下し、生成した沈殿物を洗浄、乾燥する。
【0016】
このようにして得られたハイドロタルサイト様化合物を、白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の陰イオン性貴金属化合物の水溶液で処理するイオン交換工程に供する。ここで、陰イオン性貴金属化合物とは、貴金属が当該貴金属を含む陰イオン(アニオン)として水溶液中で電離、存在するような化合物を指称する。そのような陰イオンは、一般に、貴金属を中心元素とする錯陰イオンであり、PtCl 2−(ヘキサクロロ白金酸イオン)やPdCl 2−(テトラクロロパラジウム酸イオン)などで例示されるハロゲン化金属酸イオンが典型例として挙げられ、具体的には、それらのカリウム塩やナトリウム塩を陰イオン性貴金属化合物として用いる。本発明のイオン交換工程において用いることができる陰イオン性貴金属化合物としては、以上に例示したものの他、KPtF、KPt(OH)、KPt(C、KRhF、KRuCl(HO)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明に従うイオン交換工程は、上述したような陰イオン性貴金属化合物の水溶液中に式(I)で表わされるハイドロタルサイト様化合物を添加し、室温下に20〜30時間攪拌するという簡単な操作により実施される。かくして、層(ホスト層)間の硝酸イオン(NO )は、陰イオン性貴金属(貴金属を含む陰イオン、例えばPtCl 2−)と交換される。
【0018】
本発明に従う多孔質複合体の製造方法の特徴の一つは、ハイドロタルサイト様化合物を利用する従来の機能性材料の調製におけるようにハイドロタルサイト構造の層間の陰イオンを交換するだけでなく、イオン交換処理によって層間に新たに存在する陰イオン性貴金属を還元し、これによって貴金属の微粒子を形成することにある。還元処理としては、各種の有機または無機の還元剤を用いる水溶液中の還元も可能であるが、窒素酸化物の還元触媒として有用な多孔質複合体を得るには、一般に、水素気流中で300℃以上の温度、特に400〜600℃の温度に4〜6時間加熱することが好ましい。
【0019】
以上のような還元工程を経ることにより、式(I)で表わされるハイドロタルサイト様化合物由来の層状構造を保持しながら、その層間(ホスト層間)にインターカレーションされた陰イオン性貴金属(例えば、PtCl 2−)が還元された貴金属の微粒子となり且つ該層間に残存していた硝酸イオンと水が分解除去され、さらにホスト層中の金属(MおよびM)の複水酸化物が複合酸化物に変化した複合構造体、すなわち、2価の金属Mの金属酸化物(例えば酸化マグネシウム)が(1−x)に対して、3価の金属Mの金属酸化物(例えば酸化アルミニウム)がx(0.15≦x≦0.35)の比率から成る層状複合酸化物の層間に、白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の微粒子が導入されて層間が架橋されている多孔質複合体が得られる。
【0020】
このような本発明に従う多孔質複合体は、比表面積および貴金属分散度のきわめて大きい多孔質材料として調製することができる。すなわち、本発明の多孔質複合体は、その好ましい態様として、比表面積が、200m/g以上、一般的には200〜250m/gであり、且つ、貴金属の分散度が50%以上という特性を有する。ここで、比表面積とはBET法によって測定された値であり、また、貴金属の分散度とは、(表面に露出した貴金属の原子数)÷(貴金属の全原子数)によって定義され、一酸化炭素(CO)あるいは水素(H)の吸着量を測定することによって求められる。
かくして、本発明の多孔質複合体は、水素を還元剤として100℃以下の低温で作動し、特に、酸素や水蒸気の共存下において高活性の窒素酸化物還元触媒として有用である。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明の特徴を更に具体的に示すために実施例を示すが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。
実施例1:多孔質複合体の合成
Mg(NOが(1−x)に対してAl(NOがxである(0.15≦x≦0.35)組成のMg(NO−Al(NO混合水溶液を調製し、これを0.5Mのアンモニア水溶液にゆっくりと滴下した。生成した沈殿物を十分水洗した後、減圧乾燥することにより、ハイドロタルサイト様化合物Mg1−xAl(NO(OH)・HOを得た。
x=0.26の場合について乾燥後のハイドロタルサイト様化合物に塩化白金酸カリウム(KPtCl)水溶液中、24時間攪拌した。十分洗浄した後、減圧乾燥し、塩化白金酸イオン交換体を得た。用いた塩化白金酸は1wt%に相当する。同様にして、塩化パラジウム酸カリウム(KPdCl)水溶液を用いて塩化パラジウム酸イオン交換体にも合成した。イオン交換する前のハイドロタルサイト様化合物及びそのイオン交換体をそれぞれ空気中及び水素気流中、200〜700℃で5時間加熱した。
【0022】
実施例2:多孔質複合体等の物性測定
実施例1で得られた各工程の生成物についてその物性を測定した。
イオン交換による物性変化
図1に実施例1で調製したハイドロタルサイト様化合物(x=0.26:以下、単にHTと記すことがある)について、イオン交換処理前およびイオン交換処理後の粉末X線回折パターンを示している。HTは主に底面反射による回折を示し、その面間隔はイオン交換後も殆ど変化せず、層状構造が保持されていることが確認された。
また、FT−IR測定により、HTの層間イオンのNO イオンの一部がPtCl イオンまたはPdCl イオンと交換されていることが確認された。
【0023】
加熱処理による変化
図2にイオン交換処理を行なわないHTおよび塩化白金酸イオン交換体の加熱処理に伴うX線回折パターンの変化を示す。加熱雰囲気はイオン交換してない試料については空気中、塩化白金酸イオン交換体については水素気流中とした。いずれも、ピーク強度は焼成温度の上昇とともに減少していることから理解されるようにハイドロタルサイトの層構造は加熱に伴なう脱水によって収縮はするが、300℃までは保持されており、400℃以上では、これに代わってMgOの弱くブロードな回折線のみが認められる。なお、Alを含まない水酸化マグネシウムを加熱した場合に得られるMgOの回折強度はこれらの試料に比べて非常に強く、HT由来の本発明の多孔質複合体は同型置換したAlの存在によって結晶化が著しく抑制された低結晶性の構造から成ることが理解される。
500℃で加熱後の生成物のSEM写真を比較したところ、いずれも数ミクロンの二次粒子が多く観察されるが、イオン交換処理しないHT由来のものでは比較的平坦な粒子表面を有するのに対して、塩化白金酸交換体から得られた試料にはサブミクロンの微細な粒子が多く認められた。
【0024】
比表面積および細孔分布
図3にイオン交換処理を行なわないHT(図中、単にHTと記す)および塩化白金酸イオン交換体(図中Pt/HTと記す)のBET法による比表面積を示す。イオン交換処理を行なわないHTの場合は400℃以上に焼成しても表面積の増加は110m/g程度までにすぎない。これに対して、塩化白金酸イオン交換体では、200℃以上での焼成で、表面積は急激に増加し、300℃から600℃において200m/g以上の高表面積が維持され、白金微粒子がハイドロタルサイト層間に析出した架橋型構造を形成することを示唆している。但し、粉末X線回折パターンからも明らかなように、この複合体は周期性に乏しい積層構造を有する。白金−ハイドロタルサイト複合体(Pt/HT)の表面積は700℃以上では減少するため多孔性構造は特に600℃までの耐熱性を有することがわかる。
イオン交換処理を行なわないHT(HT)および塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)を600℃に加熱したものについて77Kにおける窒素吸脱着等温線を測定したところ、いずれの場合も等温線は、IV型でミクロ孔とメソ孔との共存を示した。また、吸脱着に伴なうヒステリシスはHTでは相対圧0.6〜1.0、Pt/HTでは相対圧0.4〜0.7にかけて認められた。図4に、吸着曲線および脱離曲線から求めた細孔分布を示す。イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト単独(HT)は本発明に従う白金複合体(Pt/HT)と比べてミクロ孔が比較的少なく、逆にメソ孔が多いことが分かる。特に、吸着曲線からもとめた分布では白金複合体(Pt/HT)は0.4nmに強いピークを示す点がHTと大きく異なっており、また脱離曲線から求めた分布ではメソ領域の分布もHTと大きく異なる。イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト単独(HT)の場合、水酸化物相の熱分解によって二次粒子内部に生じた隙間がメソ孔を形成するものと考えられる。白金複合体(Pt/HT)の場合、これに加えて、2nm付近に鋭いピークを示しており、後述するように層間への白金の析出に起因する細孔形成と対応している。
【0025】
白金分散度
図5に実施例1で得られた種々の温度でH還元した白金複合体(Pt/HT)の白金分散度を示す。白金分散度は500℃で最大値65%を示し、700℃での焼成では57%まで減少した。低温側での低い分散度は層間の塩化白金酸イオンが完全に還元されていないことに起因する。得られた白金分散度をもとに球形粒子を仮定して白金粒子半径を産出したところ、500℃から700℃還元後はおよそ1nmに相当する(図6)。これはメソ孔領域の細孔分布(図4)において認められたピークとほぼ一致する。
【0026】
実施例3:窒素酸化物の還元
実施例1で得られた多孔質複合体Pt/HT(白金−ハイドロタルサイト様化合物複合体)の窒素酸化物還元反応に対する触媒特性を調べた。用いた反応ガスは、0.08%NO、0.28%H、10%O、Heバランスの混合ガス、すなわち、多量の酸素が共存する混合ガスであり、接触時間W/F=0.24g cm−3・s−1で供給して測定した。
図7に種々の温度でH還元して得られた白金複合体のNOx転化率の温度依存性を示す。焼成温度(還元温度)の上昇とともに、最大NO転化率を示す温度は、より低温側へと移行し、600℃で焼成した触媒では、70℃で82%の高いNO転化率を示した。700℃焼成では、最大NOx転化率を示す温度は、高温側へと移行し、活性は低下した。このように、MgOが発現し(図2参照)且つ200m/g以上の高比表面積が得られる(図3参照)400〜600℃における水素還元により特に優れた触媒活性が発揮されることが分かる。
表1には、従来より知られた酸化マグネシウムに白金を担持して調製した触媒(Pt/MgO)と本発明の白金−ハイドロタルサイト様化合物複合体(Pt/HT)との触媒性能を比較して示す。本発明の多孔質複合体Pt/HTはPt/MgOと同様に酸化マグネシウムを主成分とするにも関わらず、比表面積においては7倍以上、白金分散度も10倍以上も高い値を示した。この結果、Pt/MgOに比べて20℃も低い温度において同等の活性を示すことが明らかになった。
【0027】
【表1】
Figure 2004217444
【0028】
【発明の効果】
本発明に従えば、安価で、毒性が全くなく、安全性の高い材料であるハイドロタルサイト様化合物の層間に触媒として有効な貴金属微粒子を挟み込み比表面積が大きく且つ貴金属分散度のきわめて高い多孔質複合体が得られる。
本発明の多孔質複合体は、水素を還元剤とする窒素酸化物の還元反応に対する高活性の触媒として有用であり、特に、酸素などの阻害成分が多量に共存していても、従来から知られた触媒より約20℃も低い60℃という低温において水素によるNOの還元除去に高い触媒活性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト様化合物(HT)、その塩化白金酸イオン交換体および塩化パラジウム酸イオン交換体のX線回折パターンを示す。
【図2】イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト様化合物(HT)および塩化白金酸イオン交換体の加熱に伴なうX線回折パターンの変化を示す。
【図3】イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト様化合物(HT)および塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)の加熱に伴なう比表面積の変化を示す。
【図4】イオン交換処理を行なわないハイドロタルサイト(HT)および塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)の600℃で加熱後の細孔分布を示す。
【図5】塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)の加熱に伴なう白金分散度の変化を示す。
【図6】塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)の加熱に伴なう白金粒子径の変化を示す。
【図7】本発明に従う塩化白金酸イオン交換体(Pt/HT)の加熱後のNO還元触媒特性を示す。

Claims (8)

  1. 2価の金属M(Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)の金属酸化物が(1−x)に対して3価の金属M(Mは、Al、Cr、Mn、Fe、CoまたはGaである)の金属酸化物がx(0.15≦x≦0.35)の比率から成る層状複合酸化物の層間に、白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の微粒子が導入されて層間が架橋されていることを特徴とする多孔質複合体。
  2. がMgであり、MがAlであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質複合体。
  3. 200m/g以上の比表面積を有し、貴金属の分散度が50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質複合体。
  4. 請求項1の多孔質複合体を製造する方法であって、式M 1−x (NO(OH)・HOで表わされるハイドロタルサイト様化合物(Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnから選ばれる2価の金属であり、Mは、Al、Cr、Mn、Fe、CoまたはGaから選ばれる3価の金属であり、0.15≦x≦0.35である)を白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウムから選ばれる少なくとも一種の貴金属の陰イオン性貴金属化合物の水溶液で処理して層間の硝酸イオンを陰イオン性貴金属と交換する工程、および前記イオン交換工程の後に還元により貴金属の微粒子を形成する工程を含むことを特徴とする方法。
  5. がMgであり、MがAlであることを特徴とする請求項4に記載の多孔質複合体の製造方法。
  6. 水素気流中で400〜600℃に加熱することにより還元を行うことを特徴とする請求項4または5に記載の多孔質複合体の製造方法。
  7. 請求項1の多孔質複合体から成り水素を還元剤として100℃以下で作動することを特徴とする窒素酸化物還元触媒。
  8. 酸素および/または水蒸気の存在下に作動することを特徴とする請求項7に記載の窒素酸化物還元触媒。
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