JP2004216495A - 工具ホルダ - Google Patents
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Abstract
【課題】応力の集中による工具の破損を防ぐとともに、加工時の切削油剤の供給や切屑の排出を確実かつ円滑に行うことが可能な工具ホルダを提供する。
【解決手段】柱状をなすホルダ本体11の先端部15に、工具が挿入されて固定される挿入孔がホルダ本体11の長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、このホルダ本体11の先端部15の長手方向に直交する断面における外形をホルダ本体11の後端部12よりも小さくする。
【選択図】 図1
【解決手段】柱状をなすホルダ本体11の先端部15に、工具が挿入されて固定される挿入孔がホルダ本体11の長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、このホルダ本体11の先端部15の長手方向に直交する断面における外形をホルダ本体11の後端部12よりも小さくする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小径軸状の工具が取り付けられて工作機械に装着される工具ホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の工具ホルダとしては、例えば特許文献1に、両端に切刃を有する軸状のチップ(ボーリングバー)を保持するホルダが提案されている。すなわち、この特許文献1記載の工具ホルダは、図26に示すように円柱状のホルダ本体1と、このホルダ本体1に螺合された位置決めボルト2とを備え、ホルダ本体1にはその径方向中央部を軸方向に沿って貫通する挿入孔3と、該挿入孔3から偏心してホルダ本体1の後端面から軸方向前方に向かって延びる位置決めボルト孔4と、ホルダ本体1の先端部にて挿入孔3と直交する固定ボルト孔5とが形成され、挿入孔3にはボーリングバー6が挿入されるとともに、位置決めボルト孔4および固定ボルト孔5には、それぞれ上記位置決めボルト2および固定ボルト7が螺合されている。従って、このような工具ホルダによれば、上記挿入孔3に挿入されたボーリングバー6の未使用の切刃に連なる逃げ面を、位置決めボルト2を締め込むことによってその先端で前方に押圧して、ボーリングバー6をその軸方向に移動させることにより、上記未使用の切刃を傷つけることなく、使用側の切刃を高精度に位置出しすることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−71204号公報(第3頁、図1〜3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この特許文献1記載の工具ホルダにあっては、上述のようにホルダ本体1が円柱状をなしていて、その径方向中央部に形成された挿入孔3に小径軸状のボーリングバー6が挿入されて位置決めボルト2により位置決めされ、固定ボルト7により固定されるようになされており、従ってこのようにホルダ本体1にボーリングバー6が取り付けられて構成される切削工具にあっては、小径軸状のボーリングバー6が円柱状のホルダ本体1の先端から突出する部分で、その工具外径が工具後端側から先端側に向けて急激に小さくなるように形成されることとなる。しかしながら、そうして形成された切削工具においては、このように工具外径が急激に変化する部分では工具剛性も急激に変化するために切削時に作用する負荷による応力が集中しやすく、すなわち大径で剛性の高いホルダ本体1の挿入孔3にボーリングバー6が挿入されて固定ボルト7により固定された部分から、小径で剛性の低い該ボーリングバー6がホルダ本体1先端に突出する付け根部分で工具剛性が急激に小さくなるので、ボーリングバー6先端の切刃に作用する切削負荷による応力がこの付け根部分に集中し、場合によってはボーリングバー6の折損を招いたりするおそれがある。
【0005】
また、このように工具外径がその後端側のホルダ本体1から先端に突出したボーリングバー6で急激に小さくなるようにされた切削工具では、該ボーリングバー6先端の切刃によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合、例えば図27に示すように工作機械側に設けられたノズルNから切削油剤Lを噴射して外部給油により下穴H内の加工部位の冷却や潤滑を行おうとしても、ホルダ本体1の先端外周部が下穴Hの開口部を塞ぐような形となって切削油剤Lを加工部位に確実に供給することができなくなるという問題があった。さらに、こうして下穴Hの開口部がホルダ本体1によって塞がれることにより、例えば図28に示すように内径加工時に生成された切屑Cの排出が困難となるおそれがあり、かかる切屑Cが下穴H内で詰まりを生じたりボーリングバー6に絡まったりして円滑な加工を阻害するという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたもので、応力の集中による工具の破損を防ぐとともに、加工時の切削油剤の供給や切屑の排出を確実かつ円滑に行うことが可能な工具ホルダを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、柱状をなすホルダ本体の先端部に、工具が挿入されて固定される挿入孔が上ホルダ本体の記長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、上記ホルダ本体の先端部の上記長手方向に直交する断面における外形を該ホルダ本体の後端部よりも小さくしたことを特徴とする。従って、このような工具ホルダによれば、工具が挿入されて固定される上記挿入孔が形成されたホルダ本体の先端部が、後端部よりも外形が小さくされているので、たとえこの工具が上記ボーリングバーのような小径軸状のものであっても、こうして工具を取り付けた切削工具において、この工具がホルダ本体から突出する部分とホルダ本体先端部との間での工具外径の変化を小さくすることができ、これにより工具剛性が急激に変化するのも抑えることができるので、この工具がホルダ本体先端に突出するその付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを防ぐことができる。また、こうしてホルダ本体先端部が後端部よりも外形が小さくされることにより、上記工具によってワークの下穴の内径加工を行うような場合でも、この下穴の開口部がホルダ本体先端部によって塞がれてしまうのを避けることができ、外部給油によっても切削油剤を下穴内の加工部位に確実に供給可能となるとともに、この下穴内からの切屑の排出も円滑に行うことが可能となる。
【0008】
なお、このようにホルダ本体の先端部の外形を後端部よりも小さくするには、例えばホルダ本体が上記特許文献1記載の工具ホルダのように概略円柱状をなしている場合には、その先端部の外径が後端部よりも小さくされていればよく、また例えばホルダ本体が断面概略正方形の正四角柱状をなしていたりする場合には、その長手方向に直交する断面がなす正方向の1辺の長さが先端部において後端部よりも短くされていればよい。さらには、このホルダ本体の長手方向に直交する断面において、先端部の断面積が後端部の断面積よりも小さくされるのが望ましい。ただし、このホルダ本体の先端面外周に面取りが施されたりしている場合には、この面取りによって先端部の外径や1辺の長さ、あるいは断面積が小さくなっている部分は、本発明における「先端部」からは除くものとする。言い換えれば、本発明では、柱状をなすホルダ本体の先端部に、工具が挿入されて固定される挿入孔が上記ホルダ本体の長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、上記ホルダ本体の先端部の上記長手方向に直交する断面における外形が、このホルダ本体に施される面取り部分を除いて、該ホルダ本体の後端部よりも小さくされていればよい。
【0009】
ここで、少なくとも上記先端部には、この先端部の外周から上記工具取付孔に貫通する工具クランプネジ孔が形成されるのが望ましい。すなわち上記構成の工具ホルダでは、上述のようにホルダ本体の先端部が後端部よりも外形が小さくされることにより、従来の工具ホルダのようにホルダ本体が外形一定の円柱状とされるのに比べて、先端部でその剛性が損なわれてしまうことは避けられないが、この先端部に工具クランプネジ孔を形成して上記固定ボルト等のクランプネジにより工具を固定することで、工具をその突出部分により近い位置でクランプして高い剛性で保持することができ、これによりホルダ本体の剛性が低下するのを補って安定した切削を可能とすることができる。また、上記ホルダ本体の先端部は後端部に対して段差状に外形が小さくなるようにされていてもよいが、このホルダ本体の先端部に、後端側に向けて外形が漸次大きくなるテーパ部を形成することにより、応力の集中をさらに確実に防ぎつつもホルダ本体の剛性低下を抑えることができる。ただし、こうしてテーパ部を形成する場合には、その外周面の上記長手方向に沿った断面における傾斜角は、少なくとも該テーパ部の先端で45°未満とされるのが望ましく、これよりも傾斜角が大きくて上記テーパ部の外周面の先端側から後端側へ向けての勾配が急であるとホルダ本体の先後端部間が段差状に近くなり、テーパ部を形成することによる一層の応力集中防止やホルダ本体先端部の剛性低下抑制といった作用効果を十分に奏することができなくなるおそれが生じる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1ないし図8は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態においてホルダ本体11は鋼材等から形成されて、その後端部12は軸線Oを中心として該軸線O方向を長手方向とする外径Dの概略円柱状をなしており、この後端部12の外周には互いに平行かつ上記軸線Oにも平行とされた一対の平坦面13,13が軸線Oを挟んで互いに反対側にホルダ本体11の後端面14から先端側に向けて延びるように形成されている。そして、このような後端部12に対して、ホルダ本体11の先端部15は、その外径dが後端部12の上記外径Dよりも小さくされていて、上記軸線Oに直交する断面すなわち上記長手方向に直交する断面における外形が後端部12よりも小さくなるようにされている。ここで、本実施形態では、この先端部15は、その先端側部分が軸線Oを中心とする上記外径dの概略円柱状に形成されるとともに、この先端部15の上記後端部12側には、後端側に向かうに従いその外径が上記外径dから外径Dへと漸次大きくなる軸線Oを中心とした円錐台状のテーパ部16が形成されている。従って、このテーパ部16の外周面17が軸線Oに対してなす傾斜角θは、本実施形態では一定とされることとなり、かつ45°未満とされている。
【0011】
また、このホルダ本体11には、上記後端面14から軸線Oに沿って当該ホルダ本体11の先端面18に貫通する貫通孔19が形成されており、この貫通孔19の先端側部分は図4に示すように一段小径とされてテーパ部16から先端部15内を通り先端面18に開口して、後述する工具Tが挿入される挿入孔20とされている。なお、このように貫通孔19および挿入孔20が形成されたホルダ本体11にあっては、その軸線Oに直交する断面における断面積も、図5および図6に示すように先端部15が後端部12より小さくなるようにされている。さらに、ホルダ本体11の先端側には、その外周面から軸線Oに垂直に穿設されて上記挿入孔20に開口する複数の工具クランプネジ孔21…が軸線O方向に並ぶように形成されており、このうち先端側の工具クランプネジ孔21は小径とされた上記先端部15に形成されている。なお、本実施形態では3つの工具クランプネジ孔21…が形成されていて、最も先端側の工具クランプネジ孔21が上記先端部15に形成されており、残りの2つの工具クランプネジ孔21,21は後端部12の一方の上記平坦面13上に、先端側の工具クランプネジ孔21から略等間隔に並ぶように形成されている。さらに、上記先端面18および後端面14の外周には、本実施形態ではC1未満の面取り22が施されている。
【0012】
このように構成された工具ホルダは、例えば図7や図8に示すように上記挿入孔20にボーリングバー31のような小径軸状の工具Tが挿入された上で、上記工具クランプネジ孔21…に図示されないクランプネジがねじ込まれることにより、該工具Tが挿入孔20の内周に押圧されてホルダ本体11に取り付けられ、こうして工具Tを保持して構成された切削工具が工作機械の刃物台等に載置、保持されて、これらの図に示されるようにワークWに形成された下穴Hの内径加工に使用されたりする。なお、ホルダ本体11の後端部12の上記平坦面13,13は、こうして上記切削工具が工作機械の刃物台に載置される際の接地面となる。ここで、これらの図示の例では工具T(ボーリングバー31)は、超硬合金等の硬質材料によって一体成型されたもので、先端側には上記下穴Hの内径を切削する切刃部32が形成されるとともに、後端側には上記挿入孔20に嵌挿可能な外径の概略円柱状のシャンク部33を有し、このシャンク部33の先端側から上記切刃部32を軸線Oに沿って上記先端面18から突出させるようにして、ホルダ本体11に取り付けられる。なお、このシャンク部33の外周には、こうして当該工具Tがホルダ本体11に取り付けられる際に上記クランプネジに当接する平坦面34が形成されている。また、この工具Tは、上記特許文献1に記載のボーリングバー6と同様に、シャンク部33の両端に切刃部32が形成されたものであってもよい。
【0013】
しかして、このような構成の工具ホルダにおいては、上述のようにホルダ本体11の先端部15の外径dが後端部12の外径Dよりも小径とされることにより、軸線Oに直交する断面における外形が後端部12よりも先端部15が小さくされていて、ホルダ本体11が先細りの形状とされているので、この先端部15から突出した工具Tからホルダ本体11の後端側に向けての上記切削工具の外径の変化を、この工具Tの外径から先端部15の小径の外径dを経て後端部12の大径の外径Dへと徐々に大きくなるようにすることができ、これに伴い当該切削工具の剛性も後端側に向けて徐々に大きくなるようにすることができる。このため、上記構成の工具ホルダによれば、工具Tがホルダ本体11の先端に突出するその付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを避けることができ、このような応力の集中によって工具Tがこの付け根部分から折損してしまったりしてその寿命が費えてしまうような事態を防ぐことが可能となる。なお、本実施形態ではホルダ本体11最先端の先端面18の外周に面取り22が形成されているが、このような面取り22が施されている場合には、この面取り22を除いた部分のホルダ本体11の先端部15の上記外形が後端部12よりも小さくされていればよい。
【0014】
また、このようにホルダ本体11の先端部15が後端部12よりも外形が小さくされることにより、図7および図8に示したようにこのホルダ本体11に工具Tを取り付けた切削工具によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合などには、この下穴Hの開口部を、ホルダ本体11の先端部15によって覆い塞ぐことなく、比較的大きく開け拡げた状態とすることができる。このため、図7に示すようにノズルNからの外部給油によって切削油剤Lを供給する場合でも、ホルダ本体11の上記先端部15と干渉させることなく切削油剤Lを確実に下穴H内の加工部位(切刃部32の刃先位置)に供給することが可能となり、この加工部位におけるワークWや工具Tの効率的な潤滑、冷却を図ることが可能となる。また、こうして下穴Hの開口部が塞がれることなく開放されることにより、図8に示すように内径加工の際に生成される切屑Cもこの大きく開放された開口部からホルダ本体11と干渉することなく確実に排出することができ、かかる切屑Cが詰まりを生じて工具Tに絡まったりするような事態が生じるのを防いで、円滑かつ安定した切削を促すことも可能となる。
【0015】
ところで、上記構成の工具ホルダでは、このようにホルダ本体11が先細り形状とされることにより、このホルダ本体11の工作機械側に保持される上記後端部12の外径Dが同じならば、ホルダ本体11の先端部15の剛性は、ホルダ本体1がその全長に亙って外径の一定な円柱状とされた上記従来の工具ホルダよりも低下することは避けられない。しかるに、これに対して本実施形態の工具ホルダでは、こうして剛性が低下することとなるホルダ本体11の先端部15にも、工具Tを押圧して保持するためのクランプネジがねじ込まれる工具クランプネジ孔21が形成されており、従って工具Tがホルダ本体11の先端面18から突き出す位置により近い位置で該工具Tをクランプして高い剛性で保持することができるので、これによりホルダ本体11の剛性不足を補って上記切削工具としては高い剛性を維持することができ、ビビリ振動等の発生のない安定した切削を可能とすることができる。
【0016】
さらに、本実施形態では、こうして小径とされた先端部15の後端側に、この後端側に向けて外径が漸次大きくなり、従って軸線Oに直交する断面における外形も漸次大きくなるテーパ部16が形成されており、このためこのテーパ部16においてはホルダ本体11の剛性も後端側に向けて漸次大きくなるように変化することとなるので、切削負荷による応力の集中をより確実に防ぐことができる。また、その一方で、このようなテーパ部16を形成することにより、例えば小径の先端部15をそのまま延長して大径の後端部12に段差状に接続したりするのに比べ、この先端部15の肉厚を大きく確保することができるので、上述のようなホルダ本体11の先端部15の剛性低下を抑えることができて、一層安定した切削を促すことが可能となる。
【0017】
ただし、このようにテーパ部16を形成した場合において、このテーパ部16の外形が後端側に向かうに従い大きくなる勾配、すなわちテーパ部16の外周面17が軸線Oに沿った断面において該軸線Oに対してなす傾斜角θが大きすぎると、該テーパ部16が段差状になってしまって上述の応力の集中防止が図られなくなるおそれがあるとともに、先後端部15,12の外径d,Dが同じ場合には先端部15を後端側に延長するか、逆に後端部12の先端位置をホルダ本体11の先端面18寄りにしなければならず、前者の場合は先端部15の剛性低下が抑えられなくなり、後者の場合には大径の後端部12がホルダ本体11の先端側に位置するため、外部給油による切削油剤Lの供給や切屑Cの排出に干渉するおそれも生じる。従って、この傾斜角θは、本実施形態のように45°未満とされるのが望ましい。
【0018】
ところで、このようなテーパ部16を形成するに際して、上記第1の実施形態では、ホルダ本体11の先端部15を外径dが一定の円柱状に形成して、その後端側に外径が後端側に向けて一定の傾斜角θで漸次大きくなる円錐台状のテーパ部16を形成しているが、例えば図9ないし図11に示す第2の実施形態のように、この先端部15全体を後端側に向かうに従い外径dが一定の傾斜角θで漸次大きくなる円錐台状のテーパ部16として形成するようにしてもよく、この場合には、第1の実施形態に比べて傾斜角θをより緩やかとして応力の集中を防ぎつつも、先端部15の肉厚を確保してその剛性の一層の向上を図ることが可能となる。ここで、この第2の実施形態におけるテーパ部16(先端部15)の上記長手方向の幅は面取り22よりも大きくされ、また傾斜角θは面取り22の角度より小さくされている。なお、この図9ないし図11に示す第2の実施形態や、以降の図12ないし図25に示す第3〜第7の実施形態においては、上記第1の実施形態と共通する部分にこれと同一の符号を配して説明を省略する。
【0019】
また、例えば図12ないし図14に示す第3の実施形態のように、こうして先端部15をテーパ部16として形成する場合でも、このテーパ部16の外周面17をその軸線Oに沿った断面が先端外周側に膨らむ凸曲線状をなすように形成して、テーパ部16の傾斜角θが後端側に向かうに従い漸次小さくなるようにしたり、あるいはこれとは逆に、例えば図15ないし図17に示す第4の実施形態のように、第1の実施形態におけるテーパ部16の外周面17をその軸線Oに沿った断面が後端内周側に凹む凹曲線状をなすように形成して、テーパ部16の傾斜角θが後端側に向かうに従い漸次大きくなるようにしたりして、この傾斜角θが変化するように形成してもよい。なお、これらの場合において上記傾斜角θは、テーパ部16の少なくとも先端側(第3の実施形態においては先端部15の先端)において45°未満とされるのが望ましい。
【0020】
一方、これら第1〜第4の実施形態では、ホルダ本体11の先後端部15,12やテーパ部16が軸線Oに直交する断面においてその外形が円形をなすように円柱状や円錐台状等に形成されており、この円の外径(直径)を、後端部12の外径Dよりも先端部15の外径dが小さくなるようにして、これに伴い上記外形も後端部12より先端部15が小さくなるようにしているが、例えば図18ないし図25に示す第5〜第7の実施形態のように、ホルダ本体11が軸線Oに直交する断面においてこの軸線Oを中心とした概略正方形状をなす正四角柱状とされている場合には、このホルダ本体11の後端部12における断面がなす上記正方形の1辺の長さEに対して先端部15における断面がなす正方形の1辺の長さeを短くすることにより、この先端部15の外形を後端部12よりも小さくするようにしてもよい。なお、これら第5〜第7の実施形態は、先端部15を含めたホルダ本体11の平面視の形状(あるいは軸線Oに沿った断面形状)が、それぞれ順に第1〜第3の実施形態と共通するように構成されたものであり、従って第5、第6の実施形態のテーパ部16は軸線Oを中心とした角錐台状を呈することとなり、また第7の実施形態のテーパ部16は、その外周面17が後端側に向かうに従い先端外周側に膨らみつつ外周側に向かう4つの曲面によって構成されることとなる。また、こうしてホルダ本体11が断面正方形等の角柱状とされた場合には、その後端部12の平坦な側面が工作機械の刃物台等への接地面とされる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホルダ本体の先端部を、その長手方向に直交する断面における外形が後端部よりも小さくなるように形成することにより、この先端部から突出する工具の付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを防いで工具の破損を防止することができるとともに、外部給油による加工部位への切削油剤の供給や加工時に生成される切屑の排出を確実かつ円滑にし、これらによって安定した切削を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の正面図である。
【図3】図2におけるXX断面図である。
【図4】図1におけるYY断面図である。
【図5】図1におけるZZ断面図である。
【図6】図1に示す実施形態の先端部15周辺の斜視図である。
【図7】図1に示す実施形態に取り付けた工具TによってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合に、外部給油によって切削油剤Lを供給する状態を示す図である。
【図8】図1に示す実施形態に取り付けた工具TによってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合の切屑Cの排出状態を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す平面図である。
【図10】図9に示す実施形態の正面図である。
【図11】図10におけるXX断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態を示す平面図である。
【図13】図12に示す実施形態の正面図である。
【図14】図13におけるXX断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す実施形態の正面図である。
【図17】図16におけるXX断面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態を示す平面図である。
【図19】図18に示す実施形態の正面図である。
【図20】図18におけるYY断面図である。
【図21】図18におけるZZ断面図である。
【図22】本発明の第6の実施形態を示す平面図である。
【図23】図22に示す実施形態の正面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態を示す平面図である。
【図25】図24に示す実施形態の正面図である。
【図26】従来の工具ホルダを示す側断面図である。
【図27】図26に示す従来の工具ホルダに取り付けたボーリングバー6によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合に、外部給油によって切削油剤Lを供給する状態を示す図である。
【図28】図26に示す従来の工具ホルダに取り付けたボーリングバー6によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合の切屑Cの排出状態を示す図である。
【符号の説明】
11 ホルダ本体
12 ホルダ本体11の後端部
15 ホルダ本体11の先端部
16 テーパ部
17 テーパ部16の外周面
20 挿入孔
21 工具クランプネジ孔
31 ボーリングバー
O ホルダ本体11の中心軸線
D 後端部12の外径
d 先端部15の外径
T 工具
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に小径軸状の工具が取り付けられて工作機械に装着される工具ホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の工具ホルダとしては、例えば特許文献1に、両端に切刃を有する軸状のチップ(ボーリングバー)を保持するホルダが提案されている。すなわち、この特許文献1記載の工具ホルダは、図26に示すように円柱状のホルダ本体1と、このホルダ本体1に螺合された位置決めボルト2とを備え、ホルダ本体1にはその径方向中央部を軸方向に沿って貫通する挿入孔3と、該挿入孔3から偏心してホルダ本体1の後端面から軸方向前方に向かって延びる位置決めボルト孔4と、ホルダ本体1の先端部にて挿入孔3と直交する固定ボルト孔5とが形成され、挿入孔3にはボーリングバー6が挿入されるとともに、位置決めボルト孔4および固定ボルト孔5には、それぞれ上記位置決めボルト2および固定ボルト7が螺合されている。従って、このような工具ホルダによれば、上記挿入孔3に挿入されたボーリングバー6の未使用の切刃に連なる逃げ面を、位置決めボルト2を締め込むことによってその先端で前方に押圧して、ボーリングバー6をその軸方向に移動させることにより、上記未使用の切刃を傷つけることなく、使用側の切刃を高精度に位置出しすることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−71204号公報(第3頁、図1〜3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この特許文献1記載の工具ホルダにあっては、上述のようにホルダ本体1が円柱状をなしていて、その径方向中央部に形成された挿入孔3に小径軸状のボーリングバー6が挿入されて位置決めボルト2により位置決めされ、固定ボルト7により固定されるようになされており、従ってこのようにホルダ本体1にボーリングバー6が取り付けられて構成される切削工具にあっては、小径軸状のボーリングバー6が円柱状のホルダ本体1の先端から突出する部分で、その工具外径が工具後端側から先端側に向けて急激に小さくなるように形成されることとなる。しかしながら、そうして形成された切削工具においては、このように工具外径が急激に変化する部分では工具剛性も急激に変化するために切削時に作用する負荷による応力が集中しやすく、すなわち大径で剛性の高いホルダ本体1の挿入孔3にボーリングバー6が挿入されて固定ボルト7により固定された部分から、小径で剛性の低い該ボーリングバー6がホルダ本体1先端に突出する付け根部分で工具剛性が急激に小さくなるので、ボーリングバー6先端の切刃に作用する切削負荷による応力がこの付け根部分に集中し、場合によってはボーリングバー6の折損を招いたりするおそれがある。
【0005】
また、このように工具外径がその後端側のホルダ本体1から先端に突出したボーリングバー6で急激に小さくなるようにされた切削工具では、該ボーリングバー6先端の切刃によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合、例えば図27に示すように工作機械側に設けられたノズルNから切削油剤Lを噴射して外部給油により下穴H内の加工部位の冷却や潤滑を行おうとしても、ホルダ本体1の先端外周部が下穴Hの開口部を塞ぐような形となって切削油剤Lを加工部位に確実に供給することができなくなるという問題があった。さらに、こうして下穴Hの開口部がホルダ本体1によって塞がれることにより、例えば図28に示すように内径加工時に生成された切屑Cの排出が困難となるおそれがあり、かかる切屑Cが下穴H内で詰まりを生じたりボーリングバー6に絡まったりして円滑な加工を阻害するという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたもので、応力の集中による工具の破損を防ぐとともに、加工時の切削油剤の供給や切屑の排出を確実かつ円滑に行うことが可能な工具ホルダを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、柱状をなすホルダ本体の先端部に、工具が挿入されて固定される挿入孔が上ホルダ本体の記長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、上記ホルダ本体の先端部の上記長手方向に直交する断面における外形を該ホルダ本体の後端部よりも小さくしたことを特徴とする。従って、このような工具ホルダによれば、工具が挿入されて固定される上記挿入孔が形成されたホルダ本体の先端部が、後端部よりも外形が小さくされているので、たとえこの工具が上記ボーリングバーのような小径軸状のものであっても、こうして工具を取り付けた切削工具において、この工具がホルダ本体から突出する部分とホルダ本体先端部との間での工具外径の変化を小さくすることができ、これにより工具剛性が急激に変化するのも抑えることができるので、この工具がホルダ本体先端に突出するその付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを防ぐことができる。また、こうしてホルダ本体先端部が後端部よりも外形が小さくされることにより、上記工具によってワークの下穴の内径加工を行うような場合でも、この下穴の開口部がホルダ本体先端部によって塞がれてしまうのを避けることができ、外部給油によっても切削油剤を下穴内の加工部位に確実に供給可能となるとともに、この下穴内からの切屑の排出も円滑に行うことが可能となる。
【0008】
なお、このようにホルダ本体の先端部の外形を後端部よりも小さくするには、例えばホルダ本体が上記特許文献1記載の工具ホルダのように概略円柱状をなしている場合には、その先端部の外径が後端部よりも小さくされていればよく、また例えばホルダ本体が断面概略正方形の正四角柱状をなしていたりする場合には、その長手方向に直交する断面がなす正方向の1辺の長さが先端部において後端部よりも短くされていればよい。さらには、このホルダ本体の長手方向に直交する断面において、先端部の断面積が後端部の断面積よりも小さくされるのが望ましい。ただし、このホルダ本体の先端面外周に面取りが施されたりしている場合には、この面取りによって先端部の外径や1辺の長さ、あるいは断面積が小さくなっている部分は、本発明における「先端部」からは除くものとする。言い換えれば、本発明では、柱状をなすホルダ本体の先端部に、工具が挿入されて固定される挿入孔が上記ホルダ本体の長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、上記ホルダ本体の先端部の上記長手方向に直交する断面における外形が、このホルダ本体に施される面取り部分を除いて、該ホルダ本体の後端部よりも小さくされていればよい。
【0009】
ここで、少なくとも上記先端部には、この先端部の外周から上記工具取付孔に貫通する工具クランプネジ孔が形成されるのが望ましい。すなわち上記構成の工具ホルダでは、上述のようにホルダ本体の先端部が後端部よりも外形が小さくされることにより、従来の工具ホルダのようにホルダ本体が外形一定の円柱状とされるのに比べて、先端部でその剛性が損なわれてしまうことは避けられないが、この先端部に工具クランプネジ孔を形成して上記固定ボルト等のクランプネジにより工具を固定することで、工具をその突出部分により近い位置でクランプして高い剛性で保持することができ、これによりホルダ本体の剛性が低下するのを補って安定した切削を可能とすることができる。また、上記ホルダ本体の先端部は後端部に対して段差状に外形が小さくなるようにされていてもよいが、このホルダ本体の先端部に、後端側に向けて外形が漸次大きくなるテーパ部を形成することにより、応力の集中をさらに確実に防ぎつつもホルダ本体の剛性低下を抑えることができる。ただし、こうしてテーパ部を形成する場合には、その外周面の上記長手方向に沿った断面における傾斜角は、少なくとも該テーパ部の先端で45°未満とされるのが望ましく、これよりも傾斜角が大きくて上記テーパ部の外周面の先端側から後端側へ向けての勾配が急であるとホルダ本体の先後端部間が段差状に近くなり、テーパ部を形成することによる一層の応力集中防止やホルダ本体先端部の剛性低下抑制といった作用効果を十分に奏することができなくなるおそれが生じる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1ないし図8は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本実施形態においてホルダ本体11は鋼材等から形成されて、その後端部12は軸線Oを中心として該軸線O方向を長手方向とする外径Dの概略円柱状をなしており、この後端部12の外周には互いに平行かつ上記軸線Oにも平行とされた一対の平坦面13,13が軸線Oを挟んで互いに反対側にホルダ本体11の後端面14から先端側に向けて延びるように形成されている。そして、このような後端部12に対して、ホルダ本体11の先端部15は、その外径dが後端部12の上記外径Dよりも小さくされていて、上記軸線Oに直交する断面すなわち上記長手方向に直交する断面における外形が後端部12よりも小さくなるようにされている。ここで、本実施形態では、この先端部15は、その先端側部分が軸線Oを中心とする上記外径dの概略円柱状に形成されるとともに、この先端部15の上記後端部12側には、後端側に向かうに従いその外径が上記外径dから外径Dへと漸次大きくなる軸線Oを中心とした円錐台状のテーパ部16が形成されている。従って、このテーパ部16の外周面17が軸線Oに対してなす傾斜角θは、本実施形態では一定とされることとなり、かつ45°未満とされている。
【0011】
また、このホルダ本体11には、上記後端面14から軸線Oに沿って当該ホルダ本体11の先端面18に貫通する貫通孔19が形成されており、この貫通孔19の先端側部分は図4に示すように一段小径とされてテーパ部16から先端部15内を通り先端面18に開口して、後述する工具Tが挿入される挿入孔20とされている。なお、このように貫通孔19および挿入孔20が形成されたホルダ本体11にあっては、その軸線Oに直交する断面における断面積も、図5および図6に示すように先端部15が後端部12より小さくなるようにされている。さらに、ホルダ本体11の先端側には、その外周面から軸線Oに垂直に穿設されて上記挿入孔20に開口する複数の工具クランプネジ孔21…が軸線O方向に並ぶように形成されており、このうち先端側の工具クランプネジ孔21は小径とされた上記先端部15に形成されている。なお、本実施形態では3つの工具クランプネジ孔21…が形成されていて、最も先端側の工具クランプネジ孔21が上記先端部15に形成されており、残りの2つの工具クランプネジ孔21,21は後端部12の一方の上記平坦面13上に、先端側の工具クランプネジ孔21から略等間隔に並ぶように形成されている。さらに、上記先端面18および後端面14の外周には、本実施形態ではC1未満の面取り22が施されている。
【0012】
このように構成された工具ホルダは、例えば図7や図8に示すように上記挿入孔20にボーリングバー31のような小径軸状の工具Tが挿入された上で、上記工具クランプネジ孔21…に図示されないクランプネジがねじ込まれることにより、該工具Tが挿入孔20の内周に押圧されてホルダ本体11に取り付けられ、こうして工具Tを保持して構成された切削工具が工作機械の刃物台等に載置、保持されて、これらの図に示されるようにワークWに形成された下穴Hの内径加工に使用されたりする。なお、ホルダ本体11の後端部12の上記平坦面13,13は、こうして上記切削工具が工作機械の刃物台に載置される際の接地面となる。ここで、これらの図示の例では工具T(ボーリングバー31)は、超硬合金等の硬質材料によって一体成型されたもので、先端側には上記下穴Hの内径を切削する切刃部32が形成されるとともに、後端側には上記挿入孔20に嵌挿可能な外径の概略円柱状のシャンク部33を有し、このシャンク部33の先端側から上記切刃部32を軸線Oに沿って上記先端面18から突出させるようにして、ホルダ本体11に取り付けられる。なお、このシャンク部33の外周には、こうして当該工具Tがホルダ本体11に取り付けられる際に上記クランプネジに当接する平坦面34が形成されている。また、この工具Tは、上記特許文献1に記載のボーリングバー6と同様に、シャンク部33の両端に切刃部32が形成されたものであってもよい。
【0013】
しかして、このような構成の工具ホルダにおいては、上述のようにホルダ本体11の先端部15の外径dが後端部12の外径Dよりも小径とされることにより、軸線Oに直交する断面における外形が後端部12よりも先端部15が小さくされていて、ホルダ本体11が先細りの形状とされているので、この先端部15から突出した工具Tからホルダ本体11の後端側に向けての上記切削工具の外径の変化を、この工具Tの外径から先端部15の小径の外径dを経て後端部12の大径の外径Dへと徐々に大きくなるようにすることができ、これに伴い当該切削工具の剛性も後端側に向けて徐々に大きくなるようにすることができる。このため、上記構成の工具ホルダによれば、工具Tがホルダ本体11の先端に突出するその付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを避けることができ、このような応力の集中によって工具Tがこの付け根部分から折損してしまったりしてその寿命が費えてしまうような事態を防ぐことが可能となる。なお、本実施形態ではホルダ本体11最先端の先端面18の外周に面取り22が形成されているが、このような面取り22が施されている場合には、この面取り22を除いた部分のホルダ本体11の先端部15の上記外形が後端部12よりも小さくされていればよい。
【0014】
また、このようにホルダ本体11の先端部15が後端部12よりも外形が小さくされることにより、図7および図8に示したようにこのホルダ本体11に工具Tを取り付けた切削工具によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合などには、この下穴Hの開口部を、ホルダ本体11の先端部15によって覆い塞ぐことなく、比較的大きく開け拡げた状態とすることができる。このため、図7に示すようにノズルNからの外部給油によって切削油剤Lを供給する場合でも、ホルダ本体11の上記先端部15と干渉させることなく切削油剤Lを確実に下穴H内の加工部位(切刃部32の刃先位置)に供給することが可能となり、この加工部位におけるワークWや工具Tの効率的な潤滑、冷却を図ることが可能となる。また、こうして下穴Hの開口部が塞がれることなく開放されることにより、図8に示すように内径加工の際に生成される切屑Cもこの大きく開放された開口部からホルダ本体11と干渉することなく確実に排出することができ、かかる切屑Cが詰まりを生じて工具Tに絡まったりするような事態が生じるのを防いで、円滑かつ安定した切削を促すことも可能となる。
【0015】
ところで、上記構成の工具ホルダでは、このようにホルダ本体11が先細り形状とされることにより、このホルダ本体11の工作機械側に保持される上記後端部12の外径Dが同じならば、ホルダ本体11の先端部15の剛性は、ホルダ本体1がその全長に亙って外径の一定な円柱状とされた上記従来の工具ホルダよりも低下することは避けられない。しかるに、これに対して本実施形態の工具ホルダでは、こうして剛性が低下することとなるホルダ本体11の先端部15にも、工具Tを押圧して保持するためのクランプネジがねじ込まれる工具クランプネジ孔21が形成されており、従って工具Tがホルダ本体11の先端面18から突き出す位置により近い位置で該工具Tをクランプして高い剛性で保持することができるので、これによりホルダ本体11の剛性不足を補って上記切削工具としては高い剛性を維持することができ、ビビリ振動等の発生のない安定した切削を可能とすることができる。
【0016】
さらに、本実施形態では、こうして小径とされた先端部15の後端側に、この後端側に向けて外径が漸次大きくなり、従って軸線Oに直交する断面における外形も漸次大きくなるテーパ部16が形成されており、このためこのテーパ部16においてはホルダ本体11の剛性も後端側に向けて漸次大きくなるように変化することとなるので、切削負荷による応力の集中をより確実に防ぐことができる。また、その一方で、このようなテーパ部16を形成することにより、例えば小径の先端部15をそのまま延長して大径の後端部12に段差状に接続したりするのに比べ、この先端部15の肉厚を大きく確保することができるので、上述のようなホルダ本体11の先端部15の剛性低下を抑えることができて、一層安定した切削を促すことが可能となる。
【0017】
ただし、このようにテーパ部16を形成した場合において、このテーパ部16の外形が後端側に向かうに従い大きくなる勾配、すなわちテーパ部16の外周面17が軸線Oに沿った断面において該軸線Oに対してなす傾斜角θが大きすぎると、該テーパ部16が段差状になってしまって上述の応力の集中防止が図られなくなるおそれがあるとともに、先後端部15,12の外径d,Dが同じ場合には先端部15を後端側に延長するか、逆に後端部12の先端位置をホルダ本体11の先端面18寄りにしなければならず、前者の場合は先端部15の剛性低下が抑えられなくなり、後者の場合には大径の後端部12がホルダ本体11の先端側に位置するため、外部給油による切削油剤Lの供給や切屑Cの排出に干渉するおそれも生じる。従って、この傾斜角θは、本実施形態のように45°未満とされるのが望ましい。
【0018】
ところで、このようなテーパ部16を形成するに際して、上記第1の実施形態では、ホルダ本体11の先端部15を外径dが一定の円柱状に形成して、その後端側に外径が後端側に向けて一定の傾斜角θで漸次大きくなる円錐台状のテーパ部16を形成しているが、例えば図9ないし図11に示す第2の実施形態のように、この先端部15全体を後端側に向かうに従い外径dが一定の傾斜角θで漸次大きくなる円錐台状のテーパ部16として形成するようにしてもよく、この場合には、第1の実施形態に比べて傾斜角θをより緩やかとして応力の集中を防ぎつつも、先端部15の肉厚を確保してその剛性の一層の向上を図ることが可能となる。ここで、この第2の実施形態におけるテーパ部16(先端部15)の上記長手方向の幅は面取り22よりも大きくされ、また傾斜角θは面取り22の角度より小さくされている。なお、この図9ないし図11に示す第2の実施形態や、以降の図12ないし図25に示す第3〜第7の実施形態においては、上記第1の実施形態と共通する部分にこれと同一の符号を配して説明を省略する。
【0019】
また、例えば図12ないし図14に示す第3の実施形態のように、こうして先端部15をテーパ部16として形成する場合でも、このテーパ部16の外周面17をその軸線Oに沿った断面が先端外周側に膨らむ凸曲線状をなすように形成して、テーパ部16の傾斜角θが後端側に向かうに従い漸次小さくなるようにしたり、あるいはこれとは逆に、例えば図15ないし図17に示す第4の実施形態のように、第1の実施形態におけるテーパ部16の外周面17をその軸線Oに沿った断面が後端内周側に凹む凹曲線状をなすように形成して、テーパ部16の傾斜角θが後端側に向かうに従い漸次大きくなるようにしたりして、この傾斜角θが変化するように形成してもよい。なお、これらの場合において上記傾斜角θは、テーパ部16の少なくとも先端側(第3の実施形態においては先端部15の先端)において45°未満とされるのが望ましい。
【0020】
一方、これら第1〜第4の実施形態では、ホルダ本体11の先後端部15,12やテーパ部16が軸線Oに直交する断面においてその外形が円形をなすように円柱状や円錐台状等に形成されており、この円の外径(直径)を、後端部12の外径Dよりも先端部15の外径dが小さくなるようにして、これに伴い上記外形も後端部12より先端部15が小さくなるようにしているが、例えば図18ないし図25に示す第5〜第7の実施形態のように、ホルダ本体11が軸線Oに直交する断面においてこの軸線Oを中心とした概略正方形状をなす正四角柱状とされている場合には、このホルダ本体11の後端部12における断面がなす上記正方形の1辺の長さEに対して先端部15における断面がなす正方形の1辺の長さeを短くすることにより、この先端部15の外形を後端部12よりも小さくするようにしてもよい。なお、これら第5〜第7の実施形態は、先端部15を含めたホルダ本体11の平面視の形状(あるいは軸線Oに沿った断面形状)が、それぞれ順に第1〜第3の実施形態と共通するように構成されたものであり、従って第5、第6の実施形態のテーパ部16は軸線Oを中心とした角錐台状を呈することとなり、また第7の実施形態のテーパ部16は、その外周面17が後端側に向かうに従い先端外周側に膨らみつつ外周側に向かう4つの曲面によって構成されることとなる。また、こうしてホルダ本体11が断面正方形等の角柱状とされた場合には、その後端部12の平坦な側面が工作機械の刃物台等への接地面とされる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホルダ本体の先端部を、その長手方向に直交する断面における外形が後端部よりも小さくなるように形成することにより、この先端部から突出する工具の付け根部分に切削負荷による応力が集中するのを防いで工具の破損を防止することができるとともに、外部給油による加工部位への切削油剤の供給や加工時に生成される切屑の排出を確実かつ円滑にし、これらによって安定した切削を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の正面図である。
【図3】図2におけるXX断面図である。
【図4】図1におけるYY断面図である。
【図5】図1におけるZZ断面図である。
【図6】図1に示す実施形態の先端部15周辺の斜視図である。
【図7】図1に示す実施形態に取り付けた工具TによってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合に、外部給油によって切削油剤Lを供給する状態を示す図である。
【図8】図1に示す実施形態に取り付けた工具TによってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合の切屑Cの排出状態を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す平面図である。
【図10】図9に示す実施形態の正面図である。
【図11】図10におけるXX断面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態を示す平面図である。
【図13】図12に示す実施形態の正面図である。
【図14】図13におけるXX断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す実施形態の正面図である。
【図17】図16におけるXX断面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態を示す平面図である。
【図19】図18に示す実施形態の正面図である。
【図20】図18におけるYY断面図である。
【図21】図18におけるZZ断面図である。
【図22】本発明の第6の実施形態を示す平面図である。
【図23】図22に示す実施形態の正面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態を示す平面図である。
【図25】図24に示す実施形態の正面図である。
【図26】従来の工具ホルダを示す側断面図である。
【図27】図26に示す従来の工具ホルダに取り付けたボーリングバー6によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合に、外部給油によって切削油剤Lを供給する状態を示す図である。
【図28】図26に示す従来の工具ホルダに取り付けたボーリングバー6によってワークWの下穴Hの内径加工を行う場合の切屑Cの排出状態を示す図である。
【符号の説明】
11 ホルダ本体
12 ホルダ本体11の後端部
15 ホルダ本体11の先端部
16 テーパ部
17 テーパ部16の外周面
20 挿入孔
21 工具クランプネジ孔
31 ボーリングバー
O ホルダ本体11の中心軸線
D 後端部12の外径
d 先端部15の外径
T 工具
Claims (4)
- 柱状をなすホルダ本体の先端部に、工具が挿入されて固定される挿入孔が上記ホルダ本体の長手方向に向けて形成されてなる工具ホルダにおいて、上記ホルダ本体の先端部の上記長手方向に直交する断面における外形が該ホルダ本体の後端部よりも小さくされていることを特徴とする工具ホルダ。
- 少なくとも上記先端部には、この先端部の外周から上記挿入孔に貫通する工具クランプネジ孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダ。
- 上記ホルダ本体の先端部には、後端側に向けて上記外形が漸次大きくなるテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の工具ホルダ。
- 上記テーパ部の外周面の上記長手方向に沿った断面における傾斜角が、少なくとも該テーパ部の先端で45°未満とされていることを特徴とする請求項3に記載の工具ホルダ。
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