JP2004215737A - カテーテル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カテーテルチューブのキンク現象や折れ現象を防止したカテーテルを提供する。
【解決手段】流体が流通可能な第1ルーメン7が長手方向に沿って形成してある外チューブ6の第2外チューブ部材6bと、流体が流通可能なポート64が形成してあり、第2外チューブ部材6bの近位端部が挿入され、第2外チューブ部材6bの第1ルーメン7とポート64とが連通している操作管60と、操作管60の遠位端側に位置し、第2外チューブ部材6bの近位端部が内部に挿入され、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材55と、を少なくとも備えたバルーンカテーテル2であって、第2外チューブ部材6bが、当該第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆する補強チューブ48を有し、補強チューブ48の遠位端が、低剛性部材55の遠位端より遠位端側に位置するように、補強チューブ48が低剛性部材55の内部に軸方向に沿って挿入されているバルーンカテーテル2。
【選択図】 図1
【解決手段】流体が流通可能な第1ルーメン7が長手方向に沿って形成してある外チューブ6の第2外チューブ部材6bと、流体が流通可能なポート64が形成してあり、第2外チューブ部材6bの近位端部が挿入され、第2外チューブ部材6bの第1ルーメン7とポート64とが連通している操作管60と、操作管60の遠位端側に位置し、第2外チューブ部材6bの近位端部が内部に挿入され、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材55と、を少なくとも備えたバルーンカテーテル2であって、第2外チューブ部材6bが、当該第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆する補強チューブ48を有し、補強チューブ48の遠位端が、低剛性部材55の遠位端より遠位端側に位置するように、補強チューブ48が低剛性部材55の内部に軸方向に沿って挿入されているバルーンカテーテル2。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カテーテル及びその製造方法に関し、特に血管拡張用バルーンカテーテルとして好適に用いられるカテーテル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療技術は、低侵襲治療に向かう傾向にある。例えば、冠状動脈の狭窄は、以前の冠状動脈バイパス手術に代わって、血管拡張用バルーンカテーテルによって処置されることが多くなってきている。この治療方法は、経済的な利点と共に、患者の負担を大きく軽減するために、ますます適用範囲を拡大している。
【0003】
また、血管拡張用バルーンカテーテル以外にも、例えば、IABP(大動脈内バルーンポンピング)用バルーンカテーテル、TD(熱稀釈法)用バルーンカテーテル、TPC(一時ペーシングカテーテル)用カテーテル等、各種の治療又は検査において、各種のカテーテルが使用されている。
【0004】
このようなカテーテルを構成するカテーテルチューブは、患者の血管内などに挿入されることから、必要最小限に小さな外径を有しており、患者の負担を軽減している。そして、当該カテーテルによる治療又は検査時において、この小さな外径のカテーテルチューブの操作性を向上させるために、当該カテーテルチューブの近位端部に、患者の体外に配置される操作管が設けられている。この操作管を操作してカテーテルを体内に挿入する際に、カテーテルチューブが湾曲すると、操作管の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中することとなる。
【0005】
そこで、例えば円錐管形状等のような遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材(テーパ状遠位端部)を、操作管の遠位端側に設けて、カテーテルチューブを被覆することにより、カテーテルチューブと操作管との間の剛性の急激な変化を緩和し、操作管の遠位端近傍のカテーテルチューブに生じるキンク(kink)現象を防止すると共に、低剛性部材をカテーテルチューブの湾曲に追随させて、カテーテルの操作性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−332994号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような低剛性部材は、その軸方向の長さが、カテーテルチューブと共に体内に挿入されない程度に制限されていると共に、その円錐管形状の遠位端側の薄肉化にも限界がある。このため、カテーテルチューブが湾曲すると、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中し、低剛性部材を設けているにも関わらず、カテーテルチューブにおけるキンク現象や折れ現象の発生を十分に防止できない場合がある。特に、カテーテルチューブが金属製チューブで構成される場合には折れ現象が大きな問題となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、カテーテルチューブと、操作管と、低剛性部材とを少なくとも備えたカテーテルの改良及び該カテーテルの製造方法に関し、特に、カテーテルチューブに生じるキンク現象や折れ現象を防止したカテーテル及び該カテーテルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的を達成するために、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブと、流体が流通可能なポートが形成してあり、前記カテーテルチューブの近位端部が挿入され、前記カテーテルチューブのルーメンと前記ポートが連通している操作管と、前記操作管の遠位端側に位置し、前記カテーテルチューブの近位端部が内部に挿入され、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材と、を少なくとも備えたカテーテルであって、前記カテーテルチューブが、前記カテーテルチューブの近位端部を被覆する補強チューブを有し、前記補強チューブの遠位端が、前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記補強チューブが前記低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されているカテーテルが提供される。
【0010】
上記発明において、前記カテーテルチューブの少なくとも一部が、金属で構成されていることが好ましい。また、本発明に用いられる補強チューブは、熱収縮チューブであることが好ましい。
【0011】
さらに、上記発明において、前記カテーテルチューブは、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してある外チューブと、前記外チューブのルーメンを軸方向に貫通している内チューブとを有し、前記操作管のポートが、前記外チューブのルーメンに連通しており、前記外チューブの遠位端部がバルーン部の近位端部に接合され、前記内チューブがバルーン部の内部を軸方向に貫通し、前記内チューブの遠位端部がバルーン部の遠位端部に接合され、前記外チューブのルーメンの内部を流通する流体により拡張可能な内部空間を有するバルーン部をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブの近位端部を補強チューブで被覆するステップと、前記補強チューブで被覆された前記カテーテルチューブの近位端部を、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材に貫通させるステップと、流体が流通可能なポートが形成してある操作管の前記ポートに、前記カテーテルチューブの近位端部を挿入し、前記カテーテルチューブの近位端部と前記操作管の遠位端部とを接合し、前記カテーテルチューブのルーメンと前記操作管のポートとを連通させるステップと、前記補強チューブの遠位端が前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記低剛性部材を、前記補強チューブに対して相対的に近位端側に移動させ、前記低剛性部材と前記操作管とを接合するステップとを少なくとも備えたカテーテルの製造方法が提供される。
【0013】
【作用】
本発明に係るカテーテルでは、カテーテルチューブの近位端部が補強チューブにより被覆され、当該補強チューブが低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されていると共に、補強チューブの遠位端が低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置している。
【0014】
このような構造により、補強チューブが、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブを補強することにより、体腔内に挿入されたカテーテルチューブの湾曲に低剛性部材が追従する際に、応力集中により生じる低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブのキンク現象や折れ現象を防止することが可能となる。
【0015】
また、万が一、カテーテルチューブが、低剛性部材の遠位端近傍において折れた場合であっても、補強チューブがカテーテルチューブを被覆しているため、カテーテルチューブ内を流通する流体が折れた箇所から漏洩するおそれが小さく、安全性にも優れている。
【0016】
また、カテーテルチューブの少なくとも一部が金属で構成されている場合には、本発明により、カテーテルチューブの近位端部が補強チューブで被覆されることで、当該金属製チューブ部材の折れの発生を著しく抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、補強チューブが熱収縮チューブである場合には、当該熱収縮チューブを加熱することで、カテーテルチューブの近位端部を容易に被覆することができる。
【0018】
また、カテーテルチューブが、ルーメンを有する外チューブと内チューブとから構成され、カテーテルが、前記ルーメンに連通した内部空間を有するバルーン部をさらに備えており、操作管のポート及び外チューブのルーメンを介して、バルーン部の内部空間に流体を導入し、当該バルーン部を拡張することにより、冠動脈内の狭窄部の拡張を行うことができる。
【0019】
本発明のカテーテルの製造方法では、カテーテルチューブの近位端部を補強チューブで被覆し、カテーテルチューブの近位端部を筒状の低剛性部材に挿入して貫通させ、さらに操作管のポートに挿入し、カテーテルチューブの近位端部を操作管の遠位端部と接合し、カテーテルチューブのルーメンと操作管のポートとを連通させる。そして、補強チューブの遠位端が低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、低剛性部材を補強チューブに対して相対的に近位端側に移動させ、低剛性部材と操作管とを接合する。このような製造方法により、上記のような構成のカテーテルを比較的容易に製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル全体の要部断面図、図2(A)、(B)及び(C)は本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の側面図、平面図及び背面図、図3(A)、(B)及び(C)は本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の製造工程を説明するための断面図、図4は図3(B)のIV−IV線に沿うカテーテルチューブ、補強チューブ及び操作管の接合部の要部断面図である。
【0021】
図1に示す本実施形態に係るバルーンカテーテル2は、たとえば経皮的冠動脈形成術(PTCA)、四肢等の血管の拡張術、上部尿管の拡張術、腎血管拡張術などの方法に用いられ、血管あるいはその他の体腔に形成された狭窄部を拡張するために用いられるバルーンカテーテルである。
【0022】
図1に示すように、バルーンカテーテル2は、バルーン部4と、外チューブ6及び内チューブ11から構成されるカテーテルチューブ5と、当該カテーテルチューブ5の近位端部が挿入されたカテーテル操作部50とを有する。
【0023】
バルーン部4は、冠動脈血管内の狭窄部を拡張するために流体により拡張する内部空間を有する筒状体であり、バルーンカテーテル2の遠位端側に位置する。
【0024】
カテーテルチューブ5は、外チューブ6と内チューブ11とから構成されており、内チューブ11が遠位端側から軸方向に沿って外チューブ6の内部を貫通したいわゆる二重管構造を有していると共に、内チューブ11の近位端部において、外チューブ6のチューブ壁を貫通して内チューブ11が開口したモノレール方式のバルーンカテーテルに適した構造を有している。
【0025】
カテーテルチューブ5を構成する外チューブ6の内部には、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるための第1ルーメン7が軸方向に沿って形成されている。外チューブ6の遠位端部の外周面は、バルーン部4の近位端部4dに接合されており、外チューブ6の第1ルーメン7は、バルーン部4の内部空間と連通している。
【0026】
カテーテルチューブ5を構成する内チューブ11の内部には、バルーン部4を冠動脈内の所定位置に案内するためのガイドワイヤ42を挿通させる第2ルーメン12が軸方向に沿って形成されている。外チューブ6の第1ルーメン7を貫通する内チューブ11は、さらにバルーン部4の内部空間をも貫通し、内チューブ11の遠位端部の外周にバルーン部4の遠位端部4eが接合されている。従って、内チューブ11に形成された第2ルーメン12と、バルーン部4の内部空間及び外チューブ6の第1ルーメン7とは連通していない。
【0027】
さらに、カテーテルチューブ5の近位端部、より詳しくは、外チューブ6の近位端部は補強チューブ48で被覆されており、当該被覆された外チューブ6はカテーテル操作部50に挿入されている。カテーテル操作部50は、体内に挿入されるカテーテルチューブ5を操作するための操作管60と、当該操作管60の遠位端側に設けられ、遠位端側に向かって剛性が低くなっている筒状の低剛性部材55とを有している。操作管60には、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるためのポート64が形成されている。補強チューブ48で被覆されたカテーテルチューブ5の外チューブ6は、低剛性部材55に挿入され、外チューブ6の第1ルーメン7と、操作管60のポート64とが連通している。外チューブ6を被覆して低剛性部材55に挿入されている補強チューブ48の遠位端は、低剛性部材55の遠位端からさらに距離L3だけ遠位端側に位置している。
【0028】
以上のように構成されるバルーンカテーテル2は、内チューブ11の第2ルーメン12にガイドワイヤ42が挿通され、バルーン部4が体腔内に挿入されて、冠動脈内の所定位置に案内され、操作管60のポート64と外チューブ6の第1ルーメン7とを介して、外部装置よりバルーン部4の内部空間に流体が導入され、当該流体によりバルーン部4を拡張させることにより、冠動脈内の狭窄部の拡張を行うものである。
【0029】
以下、各構成要素について、詳細に説明する。
図1に示すように、バルーン部4は、その中央部に、拡張した状態で外チューブ6の外径よりも大きな外径の筒状部分4aを有し、さらに、当該筒状部分4aから遠位端側に向けて先細となる遠位端側テーパ部4c、及びさらにその遠位端側に位置して内チューブ11の遠位端部と接合される遠位端部4eと、当該筒状部分4aから近位端側に向けて先細となる近位端側テーパ部4b、及びさらにその近位端側に位置して外チューブ6の遠位端部と接合される近位端部4dとが一体成形された筒状体であり、これらによりバルーン部4の内部空間が形成されている。なお、バルーン部4の筒状部分4aは、筒状であれば特に限定されず、円筒または多角筒形状でも良い。
【0030】
バルーン部4は、ある程度の可撓性を有する材質から構成されており、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアミドエラストマーなどから構成されている。
【0031】
バルーン部4の膜厚は、特に限定されないが、5〜500μm、血管拡張用として用いる場合には、好ましくは10〜60μmであり、内部空間に流体が導入されることにより拡張可能なようにチューブ6、11より薄い膜厚で構成されている。
【0032】
拡張時のバルーン部4の外径は、血管の内径などの因子によって決定され、通常1〜10mm程度、好ましくは、1.5〜5.0mmである。このバルーン部4の軸方向の長さは、冠動脈内の狭窄部の大きさなどの因子によって決定され、特に限定されないが、5〜50mm、好ましくは10〜40mmである。拡張する前のバルーン部4は、内チューブ11の周囲に折り畳まれて巻き付けられ、可能な限り外径が小さくなっている。内チューブ11の周囲に折り畳まれて巻き付けられた状態のバルーン部4の外径は、特に限定されないが、0.5〜3.5mmが好ましい。
【0033】
図1に示すように、カテーテルチューブ5を構成する外チューブ6は、さらに、第1外チューブ部材6aと、当該第1外チューブ部材6aの近位端部に接合されている第2外チューブ部材6bと、から構成されている。第2外チューブ部材6bの遠位端部が第1外チューブ部材6aの近位端部に挿入され、接合部9において熱融着又は接着などの手段で接合されることにより、第1外チューブ部材6aと第2外チューブ部材6bとが接合されている。この接合により、第1外チューブ部材6a及び第2外チューブ部材6bのそれぞれの内部に長手方向に沿って形成されたルーメン同士が連通し、外チューブ6の第1ルーメン7が形成されている。
【0034】
第1外チューブ部材6aは、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、天然ゴムなどが使用でき、好ましくは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシレジン(PFA)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)などの可撓性を有する合成樹脂製のチューブ部材である。第1外チューブ部材6aの軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは100〜400mm、さらに好ましくは200〜300mmであり、その外径は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmである。また、当該第1外チューブ部材6aの肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜0.2mmである。
【0035】
第2外チューブ部材6bは、例えば、ステンレス、Ni−Ti合金などの金属材料から構成される金属製のチューブ部材である。第2外チューブ部材6bの軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは500〜2000mm、さらに好ましくは、700〜1500mmであり、その外径は第1外チューブ部材6aの外径と同程度であり、またその肉厚は好ましくは0.01mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。
【0036】
さらに、第2外チューブ部材6bの遠位端部には、第2外チューブ部材6bの軸方向に対して鋭角な平面で切断した形状にすることにより低曲げ剛性部分10が設けられている。このような低曲げ剛性部分10を設けて、曲げ剛性を遠位端側に向かって徐々に小さくする(曲がりやすくする)ことで、低曲げ剛性部分10を設けない場合と比較して、外チューブ部材6a、6b同士の接合部分における曲げ剛性の急激な変化が小さくなり、第1外チューブ部材6aにキンク現象や折れ現象が発生しにくくなる。
【0037】
カテーテルチューブ5を構成する内チューブ11は、その長手方向に沿って貫通した第2ルーメン12が形成された管状体であり、第1外チューブ部材6aと同様な材質の軟質合成樹脂で構成することができるが、第1外チューブ部材6aよりも硬質の合成樹脂で構成しても良い。内チューブ11の外径は、第1外チューブ部材6aとの間に隙間が形成されるように決定され、特に限定されないが、好ましくは0.15〜3.0mm、さらに好ましくは0.3〜0.8mmであり、その内径は、ガイドワイヤ42を挿通可能な径であれば特に限定されず、たとえば0.36〜1.0mm、好ましくは0.4〜0.6mmである。
【0038】
以上に説明したバルーン部4と第1外チューブ部材6aとは、図1に示すように、バルーン部4の近位端部4d及び第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周で、熱融着または接着などの手段で接合されている。また、バルーン部4と内チューブ11とは、バルーン部4の遠位端部4e及び内チューブ11の遠位端部の外周で、熱融着または接着などの手段で接合されている。
【0039】
内チューブ11の遠位端部は、上述のバルーン部4の遠位端部4eとの接合部分よりさらに遠位端側に位置しており、内チューブ11の第2ルーメン12が、内チューブ11の遠位端開口部13で外部に開口している。そして、内チューブ11は、近位端側に向かって、バルーン部4の内部空間を貫通し、さらに第1外チューブ部材6aの第1ルーメン7の内部を軸方向に伸びている。内チューブ11の近位端部は、第1外チューブ部材6aのチューブ壁に形成された第1貫通孔8を介して、内チューブ11の近位端開口部14で外部に開口している。第1外チューブ部材6aの遠位端部から第1貫通孔8までの長さは、好ましくは150〜350mm、さらに好ましくは200〜300mmである。なお、内チューブ11の近位端開口部14の孔縁は、第1外チューブ部材6aの第1貫通孔8の孔縁と、熱融着又は接着などの手段により接合されており、外チューブ6の第1ルーメン7を流通する流体が外部に漏洩することはない。この内チューブ11の第2ルーメン12は、バルーンカテーテル2を体腔内に案内するためのガイドワイヤ42が挿通するガイドワイヤ挿入用ルーメンとなる。ガイドワイヤ42は、たとえばステンレス鋼、銅、銅合金、チタン、チタン合金などの単線または撚り線で構成してあり、その外径は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜1.0mm、さらに好ましくは0.25〜0.6mmである。
【0040】
さらに、図2に示すように、第2外チューブ部材6bの近位端部は、補強チューブ48で被覆されており、当該被覆された第2外チューブ部材6bが、カテーテル操作部50に挿入されている。
【0041】
図1及び図3(A)に示すように、補強チューブ48は、第2外チューブ部材6bの近位端から距離L1の位置から遠位端側に向かって、第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆している。距離L1は、0〜50mmが好ましく、より好ましくは5〜20mmである。第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆した補強チューブ48の全長L2は、10〜200mmであり、より好ましくは20〜100mmであり、その外径は0.5〜6.0mmであり、より好ましくは0.5〜1.5mmである。また、補強チューブ48の肉厚は、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜300μmである。補強チューブ48を構成する材料としては、特に限定されないが合成樹脂製チューブであることが好ましく、特に熱収縮チューブであることがより好ましい。熱収縮チューブとしては、例えば、塩化ビニル系熱収縮チューブ、ポリオレフィン系熱収縮チューブ、シリコーンゴム系熱収縮チューブ、フッ素樹脂系熱収縮チューブ、エチレンプロピレンゴム系熱収縮チューブ、ポリエステル系熱収縮チューブ等を用いることができる。
【0042】
補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bが挿入されたカテーテル操作部50は、体内に挿入されるカテーテルチューブ5を操作するための操作管60と、当該操作管60の遠位端側に設けられ、遠位端側に向かって剛性が低くなっている筒状の低剛性部材55と、取手として機能する操作ハブ51とから構成されている。なお、本実施形態では、カテーテルの操作性を向上させるために、低剛性部材と操作管との間に操作ハブを設けているが、本発明においては特にこれに限定されることなく、例えば、操作ハブを設けずに低剛性部材及び操作管のみでカテーテル操作部を構成しても良い。
【0043】
図1及び図3に示すように、カテーテル操作部50の操作管60は、遠位端側から第1段差部61及び第2段差部62を経てその外径を段階的に大きくし、第2段差部62から近位端側に向けてテーパ状に広がる略円錐形状の第1テーパ形状部63を有しており、その内部には軸方向に沿って貫通するポート64が形成されている。ポート64は、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるための通路であり、同図に示すように近位端側に向かって徐々にその内径を大きくしている。第1テーパ形状部63の近位端部の外周には、バルーン部4の内部空間に流体を導入するための装置などと螺合するための螺旋溝が形成されている。操作管60を構成する材質は、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂である。なお、第1テーパ形状部63の断面形状は円形に限定されず、楕円や多角形としても良い。
【0044】
図1及び図3に示すように、操作管60の遠位端側に取り付けられた低剛性部材55は、遠位端側に向かって薄肉となる略円錐管形状の第2テーパ形状部56と、第2テーパ形状部56の近位端側に位置し、第2テーパ形状部56より大きな外径を有する鍔部57とを有している。このようなテーパ状の遠位端側に向かって剛性が低くなる低剛性部材55を、操作管60の遠位端側に設けることにより、カテーテルチューブ5と操作管60との間の剛性の急激な変化が緩和される。
【0045】
さらに、第2テーパ形状部56及び鍔部57の内部には、補強チューブ48が挿入可能な第3貫通孔58が形成されている。また、第3貫通孔58の近位端側には、操作管60の遠位端部が挿入可能なような大きな内径を持つ第3凹部59が形成されている。なお、第2テーパ形状部56は、遠位端側に向かって先細となる形状であれば、その断面形状は円形に限定されず、楕円や多角形としても良い。
【0046】
この低剛性部材55の第2テーパ形状部56の全長は30〜50mmが好ましく、第2テーパ形状部56の近位端部の外径は5〜10mmが好ましく、当該第2テーパ形状部56の遠位端部の外径は2〜3mmが好ましい。また、低剛性部材55の内部に形成された第3貫通孔58の内径は、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bが挿入可能であれば特に限定されないが、好ましくは0.6〜1.6mmである。低剛性部材55は、カテーテル操作部50の当該低剛性部材55以外の構成要素より可撓性を有する材質で構成することが好ましい。その材質としては、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリエチレン、ポリエチレン−ビニルアルコール共重合体、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、その他各種エラストマー、ゴム等である。なお、本実施形態では、低剛性部材と操作管とを別部材として説明したが、本発明においてはこれに限定されることなく、低剛性部材を操作管と一体に成形しても良い。
【0047】
本実施形態において、上述の操作管60と低剛性部材55との間に位置する操作ハブ51は、略半円盤形状であり、その内部に操作管60を挿入して貫通させるための第2貫通孔52が長手方向に沿って形成されている。第2貫通孔52の遠位端部には、低剛性部材55と係合する第1凹部53が形成されており、第2貫通孔52の近位端部には、操作管60と係合する第2凹部54が形成されている。操作ハブ51の外形は、操作者がバルーンカテーテル2を操作し易いような形状であれば特に限定されない。
【0048】
操作ハブ51は、第2貫通孔52及び2つの凹部53、54が一体で成形されており、その材質としては、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂である。
【0049】
なお、操作管60の遠位端から第1段差部61までの形状と、低剛性部材55の第3凹部59の形状とは、本実施形態では断面円形形状を有しているが、互いに係合可能であれば特に限定されない。また、操作管60の第1段差部61から第2段差部62までの形状と、操作ハブ51の第2貫通孔52の形状とは、本実施形態では略楕円断面形状を有しているが、互いに係合可能であれば特に限定されない。
【0050】
図1及び図3(C)に示すように、このように構成されるカテーテル操作部50は、補強チューブ48に被覆された第2外チューブ部材6bが低剛性部材55の第3貫通孔58を貫通して操作管60のポート64に遠位端側から挿入され、第2外チューブ部材6bと、補強チューブ48と、操作管60とが接着などにより接合されており、第2外チューブ部材6bの第1ルーメン7と操作管60のポート64とが連通している。第2外チューブ部材6bが挿入された操作管60の遠位端部は、操作ハブ51の第2貫通孔52を貫通し、低剛性部材55の第3凹部59に挿入されている。操作ハブ51と操作管60とは、操作ハブ51の第2凹部54と、操作管60の第2段差部62とが係合し、接着などにより接合されている。また、操作ハブ51と低剛性部材55とは、低剛性部材55の鍔部57と、操作ハブ51の第1凹部53とが係合し、接着などにより接合されている。
【0051】
上記のカテーテル操作部50に挿入された補強チューブ48の遠位端は、低剛性部材55の遠位端からさらに距離L3だけ遠位端側に位置している。この距離L3は、5〜50mmが好ましく、さらに好ましくは10〜30mmである。これにより、補強チューブ48が低剛性部材55の遠位端近傍の第2外チューブ部材6bを補強し、第2外チューブ部材6bにキンク現象や折れ現象が発生するのを防止することが可能となる。
【0052】
なお、距離L3を5mmより短くした場合には、従来と同様に、第2外チューブ部材6bの近位端部に応力が集中し、第2外チューブ部材6bにキンク現象や折れ現象が発生するおそれがある。これに対し、距離L3を、50mmより長くした場合には、補強チューブ48が太いためにバルーンカテーテル2の体腔内への挿入を妨げるおそれがある。
【0053】
操作管60のポート64及び外チューブ6の第1ルーメン7を介してバルーン部4の内部空間に導入される流体としては、特に限定されないが、たとえば放射線不透過性媒体と生理食塩水との50/50混合水溶液などが用いられる。放射線不透過性媒体を含ませるのは、バルーンカテーテル2の使用時に、放射線を用いてバルーン部4および外チューブ6の位置を造影するためである。バルーン部4を拡張させるための流体の圧力は、特に限定されないが、絶対圧で3.04×105〜24.32×105[Pa]、好ましくは、4.13×105〜18.24×105[Pa]程度である。
【0054】
以下に、本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテル2の製造方法の一例について説明する。
【0055】
まず、図1に示すバルーン部4を形成する。バルーン部4は、バルーン膜成形用マンドレルを溶液中に浸して成形するディッピング法、又はブロー成形により成形される。
【0056】
次に、第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周に、バルーン部4の近位端部4dを重複させ、当該重複部分を金型などで押圧加熱することで、バルーン部4の近位端部4dを第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周に接合する。加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。
【0057】
次に、第1外チューブ部材6aの軸方向所定位置のチューブ壁に、第1貫通孔8を形成し、内チューブ11を、当該第1貫通孔8から第1外チューブ部材6aの第1ルーメン7に通して、内チューブ11の遠位端部をバルーン部4の遠位端部4eから突出させる。
【0058】
次に、第1外チューブ部材6aに形成された第1貫通孔8と、内チューブ11の近位端部とを金型で押圧加熱して接合する。加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。上記の熱融着後に、内チューブ11の近位端部と第1貫通孔8の内縁との熱融着部を残し、当該熱融着部から外側に位置する内チューブ11の不要部分をカッタなどで切断して除去する。
【0059】
次に、内チューブ11の遠位端部とバルーン部4の遠位端部4eとを金型で押圧加熱して接合する。この熱融着時の加熱温度は、特に限定されないが、100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。なお、以上の工程の熱融着時において、熱融着箇所の表面を熱から保護するために、当該熱融着箇所は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどで構成される耐熱性フィルムで覆われている。また、押圧時における第1外チューブ部材6a及び内チューブ11の潰れを防止するために、それぞれにマンドレルが挿入されている。
【0060】
次に、第1外チューブ部材6aと第2外チューブ部材6bとを接合する。第1外チューブ部材6aのルーメンの近位端部に、第2外チューブ部材6bの遠位端部の低曲げ剛性部分10を挿入し、接合部9で接着剤等を用いて接合する。
【0061】
次に、第2外チューブ部材6bと、カテーテル操作部50との接合を行う。まず、図3(A)に示すように、この接合に際して、熱収縮チューブからなる補強チューブ48を所定の長さに予め切断しておく。なお、本実施例においては、補強チューブ48として、ポリエチレン系熱収縮チューブを使用した。
【0062】
次に、この切断された補強チューブ48を、第2外チューブ部材6bの近位端側から挿入し、第2外チューブ部材6bの近位端から補強チューブ48の近位端までの距離が、距離L1となるように補強チューブ48を位置させる。その後、補強チューブ48を加熱して、補強チューブ48を熱収縮させて第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆する。この被覆時の加熱温度は、補強チューブ48として使用する熱収縮チューブの種類によって決定されるが、一般的に100〜300℃であり、好ましくは150〜250℃である。なお、補強チューブ48が、加熱により収縮しない合成樹脂製チューブである場合には、第2外チューブ部材6bに挿入後の補強チューブ48を、加熱下又は常温下で軸方向に延伸させることで、第2外チューブ部材6bを被覆することができる。
【0063】
次に、低剛性部材55の第3貫通孔58及び操作ハブ51の第2貫通孔52を、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bの近位端部が貫通するように、第2外チューブ部材6bの近位端部を、低剛性部材55及び操作ハブ51に挿入する(図3(A)の矢印の方向)。次に、図3(B)に示すように、まず、第2外チューブ部材6bの内部にマンドレル30を挿入する。次に、第2外チューブ部材6bの近位端部及び補強チューブ48の近位端部が、操作管60のポート64の内部に位置するように、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bの近位端部を操作管60に挿入する(同図の矢印の方向。)。そして、図4に示すように、操作管60の側壁に形成された第1接着用孔65に接着剤を注入して、操作管60と、第2外チューブ部材6bとを接合する。同様に、操作管60の側壁に形成された第2接着用孔66に接着剤を注入して、操作管60と、補強チューブ48とを接合する。
【0064】
次に、操作管60の遠位端部から第2段差部62までの間の表面に接着剤を塗布する。そして、図3(C)に示すように、操作ハブ51を近位端側(同図の矢印の方向。)に移動させて、操作ハブ51の第2凹部54と、操作管60の第2段差部62とを係合させて、操作ハブ51と操作管60とを接合する。
【0065】
次に、低剛性部材55の鍔部57の近位端側の表面に接着剤を塗布する。その後、図3(C)に示すように、低剛性部材55を近位端側(同図の矢印の方向)に移動させて、低剛性部材55の鍔部57と操作ハブ51の第1凹部53とを係合させて、低剛性部材55と操作ハブ51とを接合する。同時に、低剛性部材55の第3凹部59に、操作管60の遠位端から第1段差部61までの部分が挿入され、低剛性部材55と操作管60とが接合される。
【0066】
低剛性部材55を上記のように近位端側に移動させる際に、補強チューブ48の遠位端が低剛性部材55の遠位端から遠位端側に向かって距離L3突出し、外部に露出する。接着剤が十分に硬化したら、マンドレル30を第2外チューブ部材6bから引き抜く。なお、以上に用いられる接着剤としては、ウレタン系接着剤などを例示することが出来る。
【0067】
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル2の製造方法では、第2外チューブ部材6bのキンク現象や折れ現象の発生を防止したバルーンカテーテル2を比較的に容易に製造することができる。
【0068】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。上述した実施形態では、本発明に係るカテーテルを有する血管拡張用バルーンカテーテルについて説明したが、本発明に係るカテーテルが用いられるカテーテルの種類や用途は特に限定されない。例えば、IABP用バルーンカテーテル、TD用カテーテル、TPC用カテーテルなど、各種のカテーテルとして好適に用いることができる。
【0069】
また、カテーテルチューブと操作管との間の剛性の急激な変化を緩和する低剛性部材は、上記のような遠位端側に向かった薄肉化による剛性変化の緩和に限定されることなく、例えば、筒状体に遠位端側に向かって幅広となるような複数の凹部が設けることにより剛性変化を緩和したり、筒状体の遠位端側に向かって間隔が広くなるような複数の凹部が設けることにより剛性変化を緩和したり、或いは、遠位端側に向かうに従いその材質の柔軟性を増加させることにより剛性変化を緩和しても良い。
【0070】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。
実施例1
第2外チューブ部材に、外径0.63mm、肉厚50μmのステンレス製チューブを用い、補強チューブに、外径1.5mm、内径1.2mmのポリエチレン系熱収縮チューブを用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって1mm突出させて、第2外チューブ部材、補強チューブ及びカテーテル操作部から構成されるカテーテルのサンプルを作製した。なお、第2外チューブ部材の遠位端側は、低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって30mmの位置で切断されている。低剛性部材はポリエチレンで構成されており、操作ハブ及び操作管はポリカーボネートで構成されている。
【0071】
実施例2
第1実施例と同様の第2外チューブ、補強チューブ及びカテーテル操作部を用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって2mm突出させて、カテーテルのサンプルを作製した。
【0072】
実施例3
第2外チューブ部材の、外径0.63mm、肉厚70μmのステンレス製チューブを用いた以外は、第1実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0073】
実施例4
第3実施例と同様の第2外チューブ部材、補強チューブ及びカテーテル操作部を用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって2mm突出させて、カテーテルのサンプルを作製した。
【0074】
比較例1
補強チューブを用いなかった以外は、第1実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0075】
比較例2
補強チューブを用いなかった以外は、第3実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0076】
評価
作製されたカテーテルの各サンプルに対して、以下の補強チューブによる補強効果の評価を行った。
【0077】
補強効果の評価は、第2外チューブ部材を遠位端面を固定ブロックに当接させてから、操作管を10mm/secの速度で固定ブロックに向かって20mm移動させたときに押圧された第2外チューブ部材に折れが発生するか否かの確認することにより行った。
【0078】
表1に示すように、補強チューブで第2外チューブ部材を被覆し、補強チューブの遠位端部を、低剛性部材の遠位端部から遠位端側に向かって突出させた実施例1〜4のいずれにおいても、第2外チューブ部材に折れが発生しなかった。これに対して、補強チューブで被覆を行わなかった比較例1及び2では、第2外チューブ部材に折れが発生した。これにより、第2外チューブ部材の近位端部を補強チューブで被覆することにより、第2外チューブ部材の折れを防止できることが明確となった。
【表1】
【0079】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、補強チューブでカテーテルチューブの近位端部を被覆し、当該補強チューブが低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されていると共に、補強チューブの遠位端が、低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置しており、カテーテルチューブの近位端部を補強している。このため、カテーテルチューブに外力が加わって、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中しても、カテーテルチューブにキンク現象や折れ現象が発生するのを防止したカテーテルを提供することができる。
【0080】
また、本発明に係るカテーテルの製造方法では、カテーテルチューブのキンク現象や折れ現象の発生を防止したカテーテルを比較的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル全体の要部断面図である。
【図2】図2(A)、(B)及び(C)は、本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の側面図、平面図及び背面図である。
【図3】図3(A)、(B)及び(C)は、本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図4は図3(B)のIV−IV線に沿うカテーテルチューブ、補強チューブ及び操作管の接合部の要部断面図である。
【符号の説明】
2…バルーンカテーテル
4…バルーン部
5…カテーテルチューブ
6…外チューブ
11…内チューブ
48…補強チューブ
50…カテーテル操作部
51…操作ハブ
52…第2貫通孔
53…第1凹部
54…第2凹部
55…低剛性部材
56…第2テーパ形状部
57…鍔部
58…第3貫通孔
59…第3凹部
60…操作管
61…第1段差部
62…第2段差部
63…第1テーパ形状部
64…ポート
【発明の属する技術分野】
本発明は、カテーテル及びその製造方法に関し、特に血管拡張用バルーンカテーテルとして好適に用いられるカテーテル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療技術は、低侵襲治療に向かう傾向にある。例えば、冠状動脈の狭窄は、以前の冠状動脈バイパス手術に代わって、血管拡張用バルーンカテーテルによって処置されることが多くなってきている。この治療方法は、経済的な利点と共に、患者の負担を大きく軽減するために、ますます適用範囲を拡大している。
【0003】
また、血管拡張用バルーンカテーテル以外にも、例えば、IABP(大動脈内バルーンポンピング)用バルーンカテーテル、TD(熱稀釈法)用バルーンカテーテル、TPC(一時ペーシングカテーテル)用カテーテル等、各種の治療又は検査において、各種のカテーテルが使用されている。
【0004】
このようなカテーテルを構成するカテーテルチューブは、患者の血管内などに挿入されることから、必要最小限に小さな外径を有しており、患者の負担を軽減している。そして、当該カテーテルによる治療又は検査時において、この小さな外径のカテーテルチューブの操作性を向上させるために、当該カテーテルチューブの近位端部に、患者の体外に配置される操作管が設けられている。この操作管を操作してカテーテルを体内に挿入する際に、カテーテルチューブが湾曲すると、操作管の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中することとなる。
【0005】
そこで、例えば円錐管形状等のような遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材(テーパ状遠位端部)を、操作管の遠位端側に設けて、カテーテルチューブを被覆することにより、カテーテルチューブと操作管との間の剛性の急激な変化を緩和し、操作管の遠位端近傍のカテーテルチューブに生じるキンク(kink)現象を防止すると共に、低剛性部材をカテーテルチューブの湾曲に追随させて、カテーテルの操作性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−332994号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような低剛性部材は、その軸方向の長さが、カテーテルチューブと共に体内に挿入されない程度に制限されていると共に、その円錐管形状の遠位端側の薄肉化にも限界がある。このため、カテーテルチューブが湾曲すると、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中し、低剛性部材を設けているにも関わらず、カテーテルチューブにおけるキンク現象や折れ現象の発生を十分に防止できない場合がある。特に、カテーテルチューブが金属製チューブで構成される場合には折れ現象が大きな問題となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、カテーテルチューブと、操作管と、低剛性部材とを少なくとも備えたカテーテルの改良及び該カテーテルの製造方法に関し、特に、カテーテルチューブに生じるキンク現象や折れ現象を防止したカテーテル及び該カテーテルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的を達成するために、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブと、流体が流通可能なポートが形成してあり、前記カテーテルチューブの近位端部が挿入され、前記カテーテルチューブのルーメンと前記ポートが連通している操作管と、前記操作管の遠位端側に位置し、前記カテーテルチューブの近位端部が内部に挿入され、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材と、を少なくとも備えたカテーテルであって、前記カテーテルチューブが、前記カテーテルチューブの近位端部を被覆する補強チューブを有し、前記補強チューブの遠位端が、前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記補強チューブが前記低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されているカテーテルが提供される。
【0010】
上記発明において、前記カテーテルチューブの少なくとも一部が、金属で構成されていることが好ましい。また、本発明に用いられる補強チューブは、熱収縮チューブであることが好ましい。
【0011】
さらに、上記発明において、前記カテーテルチューブは、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してある外チューブと、前記外チューブのルーメンを軸方向に貫通している内チューブとを有し、前記操作管のポートが、前記外チューブのルーメンに連通しており、前記外チューブの遠位端部がバルーン部の近位端部に接合され、前記内チューブがバルーン部の内部を軸方向に貫通し、前記内チューブの遠位端部がバルーン部の遠位端部に接合され、前記外チューブのルーメンの内部を流通する流体により拡張可能な内部空間を有するバルーン部をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブの近位端部を補強チューブで被覆するステップと、前記補強チューブで被覆された前記カテーテルチューブの近位端部を、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材に貫通させるステップと、流体が流通可能なポートが形成してある操作管の前記ポートに、前記カテーテルチューブの近位端部を挿入し、前記カテーテルチューブの近位端部と前記操作管の遠位端部とを接合し、前記カテーテルチューブのルーメンと前記操作管のポートとを連通させるステップと、前記補強チューブの遠位端が前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記低剛性部材を、前記補強チューブに対して相対的に近位端側に移動させ、前記低剛性部材と前記操作管とを接合するステップとを少なくとも備えたカテーテルの製造方法が提供される。
【0013】
【作用】
本発明に係るカテーテルでは、カテーテルチューブの近位端部が補強チューブにより被覆され、当該補強チューブが低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されていると共に、補強チューブの遠位端が低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置している。
【0014】
このような構造により、補強チューブが、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブを補強することにより、体腔内に挿入されたカテーテルチューブの湾曲に低剛性部材が追従する際に、応力集中により生じる低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブのキンク現象や折れ現象を防止することが可能となる。
【0015】
また、万が一、カテーテルチューブが、低剛性部材の遠位端近傍において折れた場合であっても、補強チューブがカテーテルチューブを被覆しているため、カテーテルチューブ内を流通する流体が折れた箇所から漏洩するおそれが小さく、安全性にも優れている。
【0016】
また、カテーテルチューブの少なくとも一部が金属で構成されている場合には、本発明により、カテーテルチューブの近位端部が補強チューブで被覆されることで、当該金属製チューブ部材の折れの発生を著しく抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、補強チューブが熱収縮チューブである場合には、当該熱収縮チューブを加熱することで、カテーテルチューブの近位端部を容易に被覆することができる。
【0018】
また、カテーテルチューブが、ルーメンを有する外チューブと内チューブとから構成され、カテーテルが、前記ルーメンに連通した内部空間を有するバルーン部をさらに備えており、操作管のポート及び外チューブのルーメンを介して、バルーン部の内部空間に流体を導入し、当該バルーン部を拡張することにより、冠動脈内の狭窄部の拡張を行うことができる。
【0019】
本発明のカテーテルの製造方法では、カテーテルチューブの近位端部を補強チューブで被覆し、カテーテルチューブの近位端部を筒状の低剛性部材に挿入して貫通させ、さらに操作管のポートに挿入し、カテーテルチューブの近位端部を操作管の遠位端部と接合し、カテーテルチューブのルーメンと操作管のポートとを連通させる。そして、補強チューブの遠位端が低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、低剛性部材を補強チューブに対して相対的に近位端側に移動させ、低剛性部材と操作管とを接合する。このような製造方法により、上記のような構成のカテーテルを比較的容易に製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル全体の要部断面図、図2(A)、(B)及び(C)は本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の側面図、平面図及び背面図、図3(A)、(B)及び(C)は本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の製造工程を説明するための断面図、図4は図3(B)のIV−IV線に沿うカテーテルチューブ、補強チューブ及び操作管の接合部の要部断面図である。
【0021】
図1に示す本実施形態に係るバルーンカテーテル2は、たとえば経皮的冠動脈形成術(PTCA)、四肢等の血管の拡張術、上部尿管の拡張術、腎血管拡張術などの方法に用いられ、血管あるいはその他の体腔に形成された狭窄部を拡張するために用いられるバルーンカテーテルである。
【0022】
図1に示すように、バルーンカテーテル2は、バルーン部4と、外チューブ6及び内チューブ11から構成されるカテーテルチューブ5と、当該カテーテルチューブ5の近位端部が挿入されたカテーテル操作部50とを有する。
【0023】
バルーン部4は、冠動脈血管内の狭窄部を拡張するために流体により拡張する内部空間を有する筒状体であり、バルーンカテーテル2の遠位端側に位置する。
【0024】
カテーテルチューブ5は、外チューブ6と内チューブ11とから構成されており、内チューブ11が遠位端側から軸方向に沿って外チューブ6の内部を貫通したいわゆる二重管構造を有していると共に、内チューブ11の近位端部において、外チューブ6のチューブ壁を貫通して内チューブ11が開口したモノレール方式のバルーンカテーテルに適した構造を有している。
【0025】
カテーテルチューブ5を構成する外チューブ6の内部には、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるための第1ルーメン7が軸方向に沿って形成されている。外チューブ6の遠位端部の外周面は、バルーン部4の近位端部4dに接合されており、外チューブ6の第1ルーメン7は、バルーン部4の内部空間と連通している。
【0026】
カテーテルチューブ5を構成する内チューブ11の内部には、バルーン部4を冠動脈内の所定位置に案内するためのガイドワイヤ42を挿通させる第2ルーメン12が軸方向に沿って形成されている。外チューブ6の第1ルーメン7を貫通する内チューブ11は、さらにバルーン部4の内部空間をも貫通し、内チューブ11の遠位端部の外周にバルーン部4の遠位端部4eが接合されている。従って、内チューブ11に形成された第2ルーメン12と、バルーン部4の内部空間及び外チューブ6の第1ルーメン7とは連通していない。
【0027】
さらに、カテーテルチューブ5の近位端部、より詳しくは、外チューブ6の近位端部は補強チューブ48で被覆されており、当該被覆された外チューブ6はカテーテル操作部50に挿入されている。カテーテル操作部50は、体内に挿入されるカテーテルチューブ5を操作するための操作管60と、当該操作管60の遠位端側に設けられ、遠位端側に向かって剛性が低くなっている筒状の低剛性部材55とを有している。操作管60には、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるためのポート64が形成されている。補強チューブ48で被覆されたカテーテルチューブ5の外チューブ6は、低剛性部材55に挿入され、外チューブ6の第1ルーメン7と、操作管60のポート64とが連通している。外チューブ6を被覆して低剛性部材55に挿入されている補強チューブ48の遠位端は、低剛性部材55の遠位端からさらに距離L3だけ遠位端側に位置している。
【0028】
以上のように構成されるバルーンカテーテル2は、内チューブ11の第2ルーメン12にガイドワイヤ42が挿通され、バルーン部4が体腔内に挿入されて、冠動脈内の所定位置に案内され、操作管60のポート64と外チューブ6の第1ルーメン7とを介して、外部装置よりバルーン部4の内部空間に流体が導入され、当該流体によりバルーン部4を拡張させることにより、冠動脈内の狭窄部の拡張を行うものである。
【0029】
以下、各構成要素について、詳細に説明する。
図1に示すように、バルーン部4は、その中央部に、拡張した状態で外チューブ6の外径よりも大きな外径の筒状部分4aを有し、さらに、当該筒状部分4aから遠位端側に向けて先細となる遠位端側テーパ部4c、及びさらにその遠位端側に位置して内チューブ11の遠位端部と接合される遠位端部4eと、当該筒状部分4aから近位端側に向けて先細となる近位端側テーパ部4b、及びさらにその近位端側に位置して外チューブ6の遠位端部と接合される近位端部4dとが一体成形された筒状体であり、これらによりバルーン部4の内部空間が形成されている。なお、バルーン部4の筒状部分4aは、筒状であれば特に限定されず、円筒または多角筒形状でも良い。
【0030】
バルーン部4は、ある程度の可撓性を有する材質から構成されており、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアミドエラストマーなどから構成されている。
【0031】
バルーン部4の膜厚は、特に限定されないが、5〜500μm、血管拡張用として用いる場合には、好ましくは10〜60μmであり、内部空間に流体が導入されることにより拡張可能なようにチューブ6、11より薄い膜厚で構成されている。
【0032】
拡張時のバルーン部4の外径は、血管の内径などの因子によって決定され、通常1〜10mm程度、好ましくは、1.5〜5.0mmである。このバルーン部4の軸方向の長さは、冠動脈内の狭窄部の大きさなどの因子によって決定され、特に限定されないが、5〜50mm、好ましくは10〜40mmである。拡張する前のバルーン部4は、内チューブ11の周囲に折り畳まれて巻き付けられ、可能な限り外径が小さくなっている。内チューブ11の周囲に折り畳まれて巻き付けられた状態のバルーン部4の外径は、特に限定されないが、0.5〜3.5mmが好ましい。
【0033】
図1に示すように、カテーテルチューブ5を構成する外チューブ6は、さらに、第1外チューブ部材6aと、当該第1外チューブ部材6aの近位端部に接合されている第2外チューブ部材6bと、から構成されている。第2外チューブ部材6bの遠位端部が第1外チューブ部材6aの近位端部に挿入され、接合部9において熱融着又は接着などの手段で接合されることにより、第1外チューブ部材6aと第2外チューブ部材6bとが接合されている。この接合により、第1外チューブ部材6a及び第2外チューブ部材6bのそれぞれの内部に長手方向に沿って形成されたルーメン同士が連通し、外チューブ6の第1ルーメン7が形成されている。
【0034】
第1外チューブ部材6aは、例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリイミド、ポリイミドエラストマー、シリコーンゴム、天然ゴムなどが使用でき、好ましくは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシレジン(PFA)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEK)などの可撓性を有する合成樹脂製のチューブ部材である。第1外チューブ部材6aの軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは100〜400mm、さらに好ましくは200〜300mmであり、その外径は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜1.0mmである。また、当該第1外チューブ部材6aの肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜0.2mmである。
【0035】
第2外チューブ部材6bは、例えば、ステンレス、Ni−Ti合金などの金属材料から構成される金属製のチューブ部材である。第2外チューブ部材6bの軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは500〜2000mm、さらに好ましくは、700〜1500mmであり、その外径は第1外チューブ部材6aの外径と同程度であり、またその肉厚は好ましくは0.01mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。
【0036】
さらに、第2外チューブ部材6bの遠位端部には、第2外チューブ部材6bの軸方向に対して鋭角な平面で切断した形状にすることにより低曲げ剛性部分10が設けられている。このような低曲げ剛性部分10を設けて、曲げ剛性を遠位端側に向かって徐々に小さくする(曲がりやすくする)ことで、低曲げ剛性部分10を設けない場合と比較して、外チューブ部材6a、6b同士の接合部分における曲げ剛性の急激な変化が小さくなり、第1外チューブ部材6aにキンク現象や折れ現象が発生しにくくなる。
【0037】
カテーテルチューブ5を構成する内チューブ11は、その長手方向に沿って貫通した第2ルーメン12が形成された管状体であり、第1外チューブ部材6aと同様な材質の軟質合成樹脂で構成することができるが、第1外チューブ部材6aよりも硬質の合成樹脂で構成しても良い。内チューブ11の外径は、第1外チューブ部材6aとの間に隙間が形成されるように決定され、特に限定されないが、好ましくは0.15〜3.0mm、さらに好ましくは0.3〜0.8mmであり、その内径は、ガイドワイヤ42を挿通可能な径であれば特に限定されず、たとえば0.36〜1.0mm、好ましくは0.4〜0.6mmである。
【0038】
以上に説明したバルーン部4と第1外チューブ部材6aとは、図1に示すように、バルーン部4の近位端部4d及び第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周で、熱融着または接着などの手段で接合されている。また、バルーン部4と内チューブ11とは、バルーン部4の遠位端部4e及び内チューブ11の遠位端部の外周で、熱融着または接着などの手段で接合されている。
【0039】
内チューブ11の遠位端部は、上述のバルーン部4の遠位端部4eとの接合部分よりさらに遠位端側に位置しており、内チューブ11の第2ルーメン12が、内チューブ11の遠位端開口部13で外部に開口している。そして、内チューブ11は、近位端側に向かって、バルーン部4の内部空間を貫通し、さらに第1外チューブ部材6aの第1ルーメン7の内部を軸方向に伸びている。内チューブ11の近位端部は、第1外チューブ部材6aのチューブ壁に形成された第1貫通孔8を介して、内チューブ11の近位端開口部14で外部に開口している。第1外チューブ部材6aの遠位端部から第1貫通孔8までの長さは、好ましくは150〜350mm、さらに好ましくは200〜300mmである。なお、内チューブ11の近位端開口部14の孔縁は、第1外チューブ部材6aの第1貫通孔8の孔縁と、熱融着又は接着などの手段により接合されており、外チューブ6の第1ルーメン7を流通する流体が外部に漏洩することはない。この内チューブ11の第2ルーメン12は、バルーンカテーテル2を体腔内に案内するためのガイドワイヤ42が挿通するガイドワイヤ挿入用ルーメンとなる。ガイドワイヤ42は、たとえばステンレス鋼、銅、銅合金、チタン、チタン合金などの単線または撚り線で構成してあり、その外径は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜1.0mm、さらに好ましくは0.25〜0.6mmである。
【0040】
さらに、図2に示すように、第2外チューブ部材6bの近位端部は、補強チューブ48で被覆されており、当該被覆された第2外チューブ部材6bが、カテーテル操作部50に挿入されている。
【0041】
図1及び図3(A)に示すように、補強チューブ48は、第2外チューブ部材6bの近位端から距離L1の位置から遠位端側に向かって、第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆している。距離L1は、0〜50mmが好ましく、より好ましくは5〜20mmである。第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆した補強チューブ48の全長L2は、10〜200mmであり、より好ましくは20〜100mmであり、その外径は0.5〜6.0mmであり、より好ましくは0.5〜1.5mmである。また、補強チューブ48の肉厚は、10〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜300μmである。補強チューブ48を構成する材料としては、特に限定されないが合成樹脂製チューブであることが好ましく、特に熱収縮チューブであることがより好ましい。熱収縮チューブとしては、例えば、塩化ビニル系熱収縮チューブ、ポリオレフィン系熱収縮チューブ、シリコーンゴム系熱収縮チューブ、フッ素樹脂系熱収縮チューブ、エチレンプロピレンゴム系熱収縮チューブ、ポリエステル系熱収縮チューブ等を用いることができる。
【0042】
補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bが挿入されたカテーテル操作部50は、体内に挿入されるカテーテルチューブ5を操作するための操作管60と、当該操作管60の遠位端側に設けられ、遠位端側に向かって剛性が低くなっている筒状の低剛性部材55と、取手として機能する操作ハブ51とから構成されている。なお、本実施形態では、カテーテルの操作性を向上させるために、低剛性部材と操作管との間に操作ハブを設けているが、本発明においては特にこれに限定されることなく、例えば、操作ハブを設けずに低剛性部材及び操作管のみでカテーテル操作部を構成しても良い。
【0043】
図1及び図3に示すように、カテーテル操作部50の操作管60は、遠位端側から第1段差部61及び第2段差部62を経てその外径を段階的に大きくし、第2段差部62から近位端側に向けてテーパ状に広がる略円錐形状の第1テーパ形状部63を有しており、その内部には軸方向に沿って貫通するポート64が形成されている。ポート64は、バルーン部4を拡張させる流体を流通させるための通路であり、同図に示すように近位端側に向かって徐々にその内径を大きくしている。第1テーパ形状部63の近位端部の外周には、バルーン部4の内部空間に流体を導入するための装置などと螺合するための螺旋溝が形成されている。操作管60を構成する材質は、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂である。なお、第1テーパ形状部63の断面形状は円形に限定されず、楕円や多角形としても良い。
【0044】
図1及び図3に示すように、操作管60の遠位端側に取り付けられた低剛性部材55は、遠位端側に向かって薄肉となる略円錐管形状の第2テーパ形状部56と、第2テーパ形状部56の近位端側に位置し、第2テーパ形状部56より大きな外径を有する鍔部57とを有している。このようなテーパ状の遠位端側に向かって剛性が低くなる低剛性部材55を、操作管60の遠位端側に設けることにより、カテーテルチューブ5と操作管60との間の剛性の急激な変化が緩和される。
【0045】
さらに、第2テーパ形状部56及び鍔部57の内部には、補強チューブ48が挿入可能な第3貫通孔58が形成されている。また、第3貫通孔58の近位端側には、操作管60の遠位端部が挿入可能なような大きな内径を持つ第3凹部59が形成されている。なお、第2テーパ形状部56は、遠位端側に向かって先細となる形状であれば、その断面形状は円形に限定されず、楕円や多角形としても良い。
【0046】
この低剛性部材55の第2テーパ形状部56の全長は30〜50mmが好ましく、第2テーパ形状部56の近位端部の外径は5〜10mmが好ましく、当該第2テーパ形状部56の遠位端部の外径は2〜3mmが好ましい。また、低剛性部材55の内部に形成された第3貫通孔58の内径は、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bが挿入可能であれば特に限定されないが、好ましくは0.6〜1.6mmである。低剛性部材55は、カテーテル操作部50の当該低剛性部材55以外の構成要素より可撓性を有する材質で構成することが好ましい。その材質としては、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリエチレン、ポリエチレン−ビニルアルコール共重合体、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、その他各種エラストマー、ゴム等である。なお、本実施形態では、低剛性部材と操作管とを別部材として説明したが、本発明においてはこれに限定されることなく、低剛性部材を操作管と一体に成形しても良い。
【0047】
本実施形態において、上述の操作管60と低剛性部材55との間に位置する操作ハブ51は、略半円盤形状であり、その内部に操作管60を挿入して貫通させるための第2貫通孔52が長手方向に沿って形成されている。第2貫通孔52の遠位端部には、低剛性部材55と係合する第1凹部53が形成されており、第2貫通孔52の近位端部には、操作管60と係合する第2凹部54が形成されている。操作ハブ51の外形は、操作者がバルーンカテーテル2を操作し易いような形状であれば特に限定されない。
【0048】
操作ハブ51は、第2貫通孔52及び2つの凹部53、54が一体で成形されており、その材質としては、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアクリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂である。
【0049】
なお、操作管60の遠位端から第1段差部61までの形状と、低剛性部材55の第3凹部59の形状とは、本実施形態では断面円形形状を有しているが、互いに係合可能であれば特に限定されない。また、操作管60の第1段差部61から第2段差部62までの形状と、操作ハブ51の第2貫通孔52の形状とは、本実施形態では略楕円断面形状を有しているが、互いに係合可能であれば特に限定されない。
【0050】
図1及び図3(C)に示すように、このように構成されるカテーテル操作部50は、補強チューブ48に被覆された第2外チューブ部材6bが低剛性部材55の第3貫通孔58を貫通して操作管60のポート64に遠位端側から挿入され、第2外チューブ部材6bと、補強チューブ48と、操作管60とが接着などにより接合されており、第2外チューブ部材6bの第1ルーメン7と操作管60のポート64とが連通している。第2外チューブ部材6bが挿入された操作管60の遠位端部は、操作ハブ51の第2貫通孔52を貫通し、低剛性部材55の第3凹部59に挿入されている。操作ハブ51と操作管60とは、操作ハブ51の第2凹部54と、操作管60の第2段差部62とが係合し、接着などにより接合されている。また、操作ハブ51と低剛性部材55とは、低剛性部材55の鍔部57と、操作ハブ51の第1凹部53とが係合し、接着などにより接合されている。
【0051】
上記のカテーテル操作部50に挿入された補強チューブ48の遠位端は、低剛性部材55の遠位端からさらに距離L3だけ遠位端側に位置している。この距離L3は、5〜50mmが好ましく、さらに好ましくは10〜30mmである。これにより、補強チューブ48が低剛性部材55の遠位端近傍の第2外チューブ部材6bを補強し、第2外チューブ部材6bにキンク現象や折れ現象が発生するのを防止することが可能となる。
【0052】
なお、距離L3を5mmより短くした場合には、従来と同様に、第2外チューブ部材6bの近位端部に応力が集中し、第2外チューブ部材6bにキンク現象や折れ現象が発生するおそれがある。これに対し、距離L3を、50mmより長くした場合には、補強チューブ48が太いためにバルーンカテーテル2の体腔内への挿入を妨げるおそれがある。
【0053】
操作管60のポート64及び外チューブ6の第1ルーメン7を介してバルーン部4の内部空間に導入される流体としては、特に限定されないが、たとえば放射線不透過性媒体と生理食塩水との50/50混合水溶液などが用いられる。放射線不透過性媒体を含ませるのは、バルーンカテーテル2の使用時に、放射線を用いてバルーン部4および外チューブ6の位置を造影するためである。バルーン部4を拡張させるための流体の圧力は、特に限定されないが、絶対圧で3.04×105〜24.32×105[Pa]、好ましくは、4.13×105〜18.24×105[Pa]程度である。
【0054】
以下に、本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテル2の製造方法の一例について説明する。
【0055】
まず、図1に示すバルーン部4を形成する。バルーン部4は、バルーン膜成形用マンドレルを溶液中に浸して成形するディッピング法、又はブロー成形により成形される。
【0056】
次に、第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周に、バルーン部4の近位端部4dを重複させ、当該重複部分を金型などで押圧加熱することで、バルーン部4の近位端部4dを第1外チューブ部材6aの遠位端部の外周に接合する。加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。
【0057】
次に、第1外チューブ部材6aの軸方向所定位置のチューブ壁に、第1貫通孔8を形成し、内チューブ11を、当該第1貫通孔8から第1外チューブ部材6aの第1ルーメン7に通して、内チューブ11の遠位端部をバルーン部4の遠位端部4eから突出させる。
【0058】
次に、第1外チューブ部材6aに形成された第1貫通孔8と、内チューブ11の近位端部とを金型で押圧加熱して接合する。加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。上記の熱融着後に、内チューブ11の近位端部と第1貫通孔8の内縁との熱融着部を残し、当該熱融着部から外側に位置する内チューブ11の不要部分をカッタなどで切断して除去する。
【0059】
次に、内チューブ11の遠位端部とバルーン部4の遠位端部4eとを金型で押圧加熱して接合する。この熱融着時の加熱温度は、特に限定されないが、100〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。なお、以上の工程の熱融着時において、熱融着箇所の表面を熱から保護するために、当該熱融着箇所は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどで構成される耐熱性フィルムで覆われている。また、押圧時における第1外チューブ部材6a及び内チューブ11の潰れを防止するために、それぞれにマンドレルが挿入されている。
【0060】
次に、第1外チューブ部材6aと第2外チューブ部材6bとを接合する。第1外チューブ部材6aのルーメンの近位端部に、第2外チューブ部材6bの遠位端部の低曲げ剛性部分10を挿入し、接合部9で接着剤等を用いて接合する。
【0061】
次に、第2外チューブ部材6bと、カテーテル操作部50との接合を行う。まず、図3(A)に示すように、この接合に際して、熱収縮チューブからなる補強チューブ48を所定の長さに予め切断しておく。なお、本実施例においては、補強チューブ48として、ポリエチレン系熱収縮チューブを使用した。
【0062】
次に、この切断された補強チューブ48を、第2外チューブ部材6bの近位端側から挿入し、第2外チューブ部材6bの近位端から補強チューブ48の近位端までの距離が、距離L1となるように補強チューブ48を位置させる。その後、補強チューブ48を加熱して、補強チューブ48を熱収縮させて第2外チューブ部材6bの近位端部を被覆する。この被覆時の加熱温度は、補強チューブ48として使用する熱収縮チューブの種類によって決定されるが、一般的に100〜300℃であり、好ましくは150〜250℃である。なお、補強チューブ48が、加熱により収縮しない合成樹脂製チューブである場合には、第2外チューブ部材6bに挿入後の補強チューブ48を、加熱下又は常温下で軸方向に延伸させることで、第2外チューブ部材6bを被覆することができる。
【0063】
次に、低剛性部材55の第3貫通孔58及び操作ハブ51の第2貫通孔52を、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bの近位端部が貫通するように、第2外チューブ部材6bの近位端部を、低剛性部材55及び操作ハブ51に挿入する(図3(A)の矢印の方向)。次に、図3(B)に示すように、まず、第2外チューブ部材6bの内部にマンドレル30を挿入する。次に、第2外チューブ部材6bの近位端部及び補強チューブ48の近位端部が、操作管60のポート64の内部に位置するように、補強チューブ48で被覆された第2外チューブ部材6bの近位端部を操作管60に挿入する(同図の矢印の方向。)。そして、図4に示すように、操作管60の側壁に形成された第1接着用孔65に接着剤を注入して、操作管60と、第2外チューブ部材6bとを接合する。同様に、操作管60の側壁に形成された第2接着用孔66に接着剤を注入して、操作管60と、補強チューブ48とを接合する。
【0064】
次に、操作管60の遠位端部から第2段差部62までの間の表面に接着剤を塗布する。そして、図3(C)に示すように、操作ハブ51を近位端側(同図の矢印の方向。)に移動させて、操作ハブ51の第2凹部54と、操作管60の第2段差部62とを係合させて、操作ハブ51と操作管60とを接合する。
【0065】
次に、低剛性部材55の鍔部57の近位端側の表面に接着剤を塗布する。その後、図3(C)に示すように、低剛性部材55を近位端側(同図の矢印の方向)に移動させて、低剛性部材55の鍔部57と操作ハブ51の第1凹部53とを係合させて、低剛性部材55と操作ハブ51とを接合する。同時に、低剛性部材55の第3凹部59に、操作管60の遠位端から第1段差部61までの部分が挿入され、低剛性部材55と操作管60とが接合される。
【0066】
低剛性部材55を上記のように近位端側に移動させる際に、補強チューブ48の遠位端が低剛性部材55の遠位端から遠位端側に向かって距離L3突出し、外部に露出する。接着剤が十分に硬化したら、マンドレル30を第2外チューブ部材6bから引き抜く。なお、以上に用いられる接着剤としては、ウレタン系接着剤などを例示することが出来る。
【0067】
本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル2の製造方法では、第2外チューブ部材6bのキンク現象や折れ現象の発生を防止したバルーンカテーテル2を比較的に容易に製造することができる。
【0068】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。上述した実施形態では、本発明に係るカテーテルを有する血管拡張用バルーンカテーテルについて説明したが、本発明に係るカテーテルが用いられるカテーテルの種類や用途は特に限定されない。例えば、IABP用バルーンカテーテル、TD用カテーテル、TPC用カテーテルなど、各種のカテーテルとして好適に用いることができる。
【0069】
また、カテーテルチューブと操作管との間の剛性の急激な変化を緩和する低剛性部材は、上記のような遠位端側に向かった薄肉化による剛性変化の緩和に限定されることなく、例えば、筒状体に遠位端側に向かって幅広となるような複数の凹部が設けることにより剛性変化を緩和したり、筒状体の遠位端側に向かって間隔が広くなるような複数の凹部が設けることにより剛性変化を緩和したり、或いは、遠位端側に向かうに従いその材質の柔軟性を増加させることにより剛性変化を緩和しても良い。
【0070】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。
実施例1
第2外チューブ部材に、外径0.63mm、肉厚50μmのステンレス製チューブを用い、補強チューブに、外径1.5mm、内径1.2mmのポリエチレン系熱収縮チューブを用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって1mm突出させて、第2外チューブ部材、補強チューブ及びカテーテル操作部から構成されるカテーテルのサンプルを作製した。なお、第2外チューブ部材の遠位端側は、低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって30mmの位置で切断されている。低剛性部材はポリエチレンで構成されており、操作ハブ及び操作管はポリカーボネートで構成されている。
【0071】
実施例2
第1実施例と同様の第2外チューブ、補強チューブ及びカテーテル操作部を用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって2mm突出させて、カテーテルのサンプルを作製した。
【0072】
実施例3
第2外チューブ部材の、外径0.63mm、肉厚70μmのステンレス製チューブを用いた以外は、第1実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0073】
実施例4
第3実施例と同様の第2外チューブ部材、補強チューブ及びカテーテル操作部を用い、補強チューブを低剛性部材の遠位端から遠位端側に向かって2mm突出させて、カテーテルのサンプルを作製した。
【0074】
比較例1
補強チューブを用いなかった以外は、第1実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0075】
比較例2
補強チューブを用いなかった以外は、第3実施例と同様のカテーテルのサンプルを作製した。
【0076】
評価
作製されたカテーテルの各サンプルに対して、以下の補強チューブによる補強効果の評価を行った。
【0077】
補強効果の評価は、第2外チューブ部材を遠位端面を固定ブロックに当接させてから、操作管を10mm/secの速度で固定ブロックに向かって20mm移動させたときに押圧された第2外チューブ部材に折れが発生するか否かの確認することにより行った。
【0078】
表1に示すように、補強チューブで第2外チューブ部材を被覆し、補強チューブの遠位端部を、低剛性部材の遠位端部から遠位端側に向かって突出させた実施例1〜4のいずれにおいても、第2外チューブ部材に折れが発生しなかった。これに対して、補強チューブで被覆を行わなかった比較例1及び2では、第2外チューブ部材に折れが発生した。これにより、第2外チューブ部材の近位端部を補強チューブで被覆することにより、第2外チューブ部材の折れを防止できることが明確となった。
【表1】
【0079】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、補強チューブでカテーテルチューブの近位端部を被覆し、当該補強チューブが低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されていると共に、補強チューブの遠位端が、低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置しており、カテーテルチューブの近位端部を補強している。このため、カテーテルチューブに外力が加わって、低剛性部材の遠位端近傍のカテーテルチューブに応力が集中しても、カテーテルチューブにキンク現象や折れ現象が発生するのを防止したカテーテルを提供することができる。
【0080】
また、本発明に係るカテーテルの製造方法では、カテーテルチューブのキンク現象や折れ現象の発生を防止したカテーテルを比較的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るバルーンカテーテル全体の要部断面図である。
【図2】図2(A)、(B)及び(C)は、本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の側面図、平面図及び背面図である。
【図3】図3(A)、(B)及び(C)は、本発明の実施形態に係るカテーテル操作部の製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図4は図3(B)のIV−IV線に沿うカテーテルチューブ、補強チューブ及び操作管の接合部の要部断面図である。
【符号の説明】
2…バルーンカテーテル
4…バルーン部
5…カテーテルチューブ
6…外チューブ
11…内チューブ
48…補強チューブ
50…カテーテル操作部
51…操作ハブ
52…第2貫通孔
53…第1凹部
54…第2凹部
55…低剛性部材
56…第2テーパ形状部
57…鍔部
58…第3貫通孔
59…第3凹部
60…操作管
61…第1段差部
62…第2段差部
63…第1テーパ形状部
64…ポート
Claims (5)
- 流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブと、
流体が流通可能なポートが形成してあり、前記カテーテルチューブの近位端部が挿入され、前記カテーテルチューブのルーメンと前記ポートが連通している操作管と、
前記操作管の遠位端側に位置し、前記カテーテルチューブの近位端部が内部に挿入され、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材と、を少なくとも備えたカテーテルであって、
前記カテーテルチューブが、前記カテーテルチューブの近位端部を被覆する補強チューブを有し、
前記補強チューブの遠位端が、前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記補強チューブが前記低剛性部材の内部に軸方向に沿って挿入されているカテーテル。 - 前記カテーテルチューブの少なくとも一部が、金属で構成されている請求項1記載のカテーテル。
- 前記補強チューブが、熱収縮チューブである請求項1又は2記載のカテーテル。
- 前記カテーテルチューブは、
流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してある外チューブと、
前記外チューブのルーメンを軸方向に貫通している内チューブとを有し、
前記操作管のポートが、前記外チューブのルーメンに連通しており、
前記外チューブの遠位端部がバルーン部の近位端部に接合され、前記内チューブがバルーン部の内部を軸方向に貫通し、前記内チューブの遠位端部がバルーン部の遠位端部に接合され、前記外チューブのルーメンの内部を流通する流体により拡張可能な内部空間を有するバルーン部をさらに備えた請求項1〜3の何れかに記載のカテーテル。 - 流体が流通可能なルーメンが長手方向に沿って形成してあるカテーテルチューブの近位端部を補強チューブで被覆するステップと、
前記補強チューブで被覆された前記カテーテルチューブの近位端部を、遠位端側に向かって剛性が低くなる筒状の低剛性部材に貫通させるステップと、
流体が流通可能なポートが形成してある操作管の前記ポートに、前記カテーテルチューブの近位端部を挿入し、前記カテーテルチューブの近位端部と前記操作管の遠位端部とを接合し、前記カテーテルチューブのルーメンと前記操作管のポートとを連通させるステップと、
前記補強チューブの遠位端が前記低剛性部材の遠位端より遠位端側に位置するように、前記低剛性部材を、前記補強チューブに対して相対的に近位端側に移動させ、前記低剛性部材と前記操作管とを接合するステップとを少なくとも備えたカテーテルの製造方法。
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- 2003-01-10 JP JP2003004094A patent/JP2004215737A/ja active Pending
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