JP2004215728A - スチームアイロン - Google Patents
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Abstract
【課題】アイロン本体からタンクを片手で外すことができるスチームアイロンを提供する。
【解決手段】タンクロックボタン27を含めたカセットタンク17の着脱機構26の可動部を、カセットタンク17側に設ける。これにより、タンクロックボタン27を片手で押したまま、その手を利用してカセットタンク17をアイロン本体1から引き出すことができる。また着脱機構26の可動部がカセットタンク17の後部にあるので、スチーム用の弁体などがカセットタンク17の底部に設けられていても、着脱機構26の可動部が他の機構部の邪魔にならない。
【選択図】 図5
【解決手段】タンクロックボタン27を含めたカセットタンク17の着脱機構26の可動部を、カセットタンク17側に設ける。これにより、タンクロックボタン27を片手で押したまま、その手を利用してカセットタンク17をアイロン本体1から引き出すことができる。また着脱機構26の可動部がカセットタンク17の後部にあるので、スチーム用の弁体などがカセットタンク17の底部に設けられていても、着脱機構26の可動部が他の機構部の邪魔にならない。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類などのプレス仕上げに使用するスチームアイロンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のスチームアイロンは、例えば特許文献1に開示されるように、掛面であるベースに気化室を形成し、この気化室にカセットタンクから滴下ノズルによって水を滴下し、ここで発生したスチームを気化室に連通した噴出孔から外部に噴出するようにしている。
【0003】
ここで特許文献1におけるスチームアイロンの構造を図17および図18に示す。同図において、201はアイロン本体で、このアイロン本体201の下部には加熱手段であるヒータ202を備えたベース203が設けられる。また、206はベース203に形成された気化室であり、気化室206の上部にタンクたるカセットタンク214が設けられる。そして、カセットタンク214の底部に設けられた滴下ノズル216からカセットタンク214の水を滴下させて気化室206へ導き、ヒータ202で加熱された気化室206で水を気化させて、ベース203の下面に設けた噴出孔207からスチームを発生するように構成される。
【0004】
一方、前記カセットタンク214は把持部であるハンドル212の前方に着脱可能に設けられ、ハンドル212の一側面に突出して設けたタンクロックボタン216を操作すると、カセットタンク214とアイロン本体201との係合が解除される。すなわち、タンクロックボタン216と、タンクロックボタン216を操作すると上方に移動する昇降体217と、昇降体217を常時下方に付勢する弾性部材としてのスプリング218とにより、カセットタンク214の着脱機構の可動部が構成され、カセットタンク214の装着時において、昇降体217の下部に突設した爪部219が、カセットタンク214の後面に形成した凹部220(着脱機構の固定部)に係合する一方、タンクロックボタン216を押動操作して昇降体217を上方に移動させると、爪部219と凹部220との係合が外れて、カセットタンク214をアイロン本体201から離脱できるようになっている。
【0005】
図17および図18に示すスチームアイロンは、上記スチーム噴射機構の他に、スチーム噴射量を増量できるショット機構が配置されている。具体的には、スチーム噴射機構およびショット機構の切換えボタン230が、ハンドル212の上面に連なるカセットタンク214の上面に設けられている。カセットタンク214の内部には、図示しないポンプ装置が設けられており、切換えボタン230がロック状態とならない範囲で、この切換えボタン230を操作すると、ポンプ装置を利用して一時的に気化室206に大量の水を送り出すいわゆる増量スチームを行なうことが可能になる。
【0006】
その他、ハンドル212の上部には操作パネル232が設けられており、ここにはベース203の設定温度を可変若しくは切状態にする設定ボタン233と、複数の発光ダイオードすなわちLED234により現在の設定温度を表示する温度表示部235が各々設けられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−96098号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記構成では、カセットタンク214をアイロン本体201から離脱させるには、アイロン本体201側に設けられたタンクロックボタン216を片方の手で押動操作し、もう一方の手でカセットタンク214を引き出さなければならず、両手を用いなければならない煩わしさがあった。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、アイロン本体からタンクを片手で外すことができるスチームアイロンを提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のスチームアイロンでは、操作体を含めたタンクの着脱機構が、アイロン本体側ではなくタンク側に設けられているので、操作体を片手で押したまま、その手を利用してタンクをアイロン本体から引き出すことができる。また着脱機構がタンクの後部にあるので、スチーム用の弁体などがタンクの底部に設けられているものにおいて、着脱機構が他の機構部の邪魔にならない。
【0011】
請求項2の発明のスチームアイロンでは、簡単な爪係合により、タンクの後部においてこのタンクとアイロン本体とを確実に装着固定することができる。また、把持部には爪部に係合する収納部だけがあればよく、ハンドル内部に広い実装スペースを確保できる。
【0012】
請求項3の発明のスチームアイロンでは、仮にタンクの上部にスチーム噴射機構やショット機構の切換えボタンなどが配置されていても、こうした切換えボタンに干渉することなく、操作体や、この操作体を含めた着脱機構を配置することが可能になる。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、本発明のスチームアイロンの各実施例について、添付図面を参照しながら説明する。図1〜図6は、本発明の第1実施例を示すもので、これらの各図において、1はアイロン本体、2はアイロン本体1の下部にあって、アルミダイカストにより形成された掛面としてのベースで、このベース2の内部に加熱手段としてのヒータ3が埋設される。このベース2の底面には、固定部材としてのネジ4によって、ベース裏板5が着脱可能に固定されている。ベース2の内部には、ヒータ3の近傍に位置して蒸気室すなわちスチーム手段としての気化室6が形成され、この気化室6に連通する複数の噴出孔7がベース3の下面に設けられる。また、8はベース3の上部に設けられた遮熱カバー、9は遮熱カバー8の上方に設けられた把手、10は気化室6の上面に取付けられた蓋板である。
【0014】
把手9の上側は把手カバー11によって覆われ、把手9にはアイロン本体1を把持する際に手を差し入れるための空洞12が形成される。また、把手9の上部と把手カバー10とで、アイロン本体1を把持するための取手部13が形成される。この取手部13を含むハンドル14は、側面から見て空洞12を有するU字状になっていて、これにより握り部としての取手部13は、アイロン本体1の前後方向に延びて位置する。取手部13は空洞12から開口部15を介して後方へ開口した形状となっており、取手部13の後方から空洞12へ手を差し入れることができるようになっている。
【0015】
ハンドル14の前方に位置して、カバー8の上部には、タンクに相当する容器たるカセットタンク17がアイロン本体1に対し着脱可能に設けられる。カセットタンク17は例えば合成樹脂で形成され、上面から見た形状がほぼU字状で、その両側がハンドル14の前端部側から後端部側の両側にかけて跨がるように配置されている。また、カセットタンク17の前面には注水口18が形成され、この注水口18に注水口蓋19が開閉自在に取付けられている。そして、この注水口蓋19からカセットタンク17内に水を収容し、かつ、カセットタンク17内の不要水を廃棄できるようになっている。
【0016】
カセットタンク17は、より詳細には図5に示すように、水を貯溜するタンク本体21と、このタンク本体21の前部に設けられたカバー部材22とにより構成される。また、カバー部材22の注水口18に対応して設けたタンク本体21の開口部23には、漏水防止用のパッキン24が設けられる。さらに、カバー部材22に支持される注水口蓋19の内面にはキャップ25が設けられる。
【0017】
カセットタンク17をアイロン本体1に着脱させる着脱機構26として、本実施例では、ハンドル14の一側面にやや突出して操作体であるタンクロックボタン27が設けられており、このタンクロックボタン27を操作することにより上方に移動する上下動可能な昇降体28が、弾性部材たるスプリング29により常時下方に付勢されている。そして、昇降体28の下部に突設した爪部30が、ハンドル14の傾斜する下面に形成した収納部としての凹部31に係合する構成になっている。すなわち、ここではタンクロックボタン27,爪部30を含む昇降体28およびスプリング29が、着脱機構26の可動部としてカセットタンク17の後部に設けられる一方で、着脱機構26の固定部である凹部31が、爪部30に係合可能なハンドル14の前側部に設けられている。
【0018】
カセットタンク17の内部には弁装置33が設けられており、この弁装置33の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手34が設けられている。通水継手34は、ベース2上に取付けられた遮熱板35により形成され、遮熱板35に前記遮熱カバー8が設けられる。弁装置33は、タンク本体21に貫通し支持部36により直立状態にかつ摺動自在に支持された弁杆としてのスチーム開閉棒37と、このスチーム開閉棒37を常時下方に付勢する付勢部材としてのスプリング38と、カセットタンク17の上面より突出する切換えボタン39と、カセットタンク17の下部にあって、気化室6に臨ませた滴下ノズル(図示せず)とにより構成され、前記スチーム開閉棒37は滴下ノズルに対し上下動自在に支持される。なお、切換えボタン39はスチーム噴射機構およびショット機構を兼用するものであるが、その詳細な動作については第2実施例で説明する。
【0019】
図3や図6に示すように、前記ベース2上にはヒータ3によるベース2の温度を制御する自動温度調節器41が設けられる。この自動温度調節器41の可動調節部に、カセットタンク17から水密的に隔離された空間を貫通して上下自在に設けた操作杆42の下端が連結されている。さらに、この自動温度調節器41は、ベース2に取付けられた感温素子としてのバイメタル43と、このバイメタル43に当接してヒータ3の通電回路(図示せず)を開閉する接点開閉機構44と、操作杆42の上端に当接し、接点開閉機構44を連動させる上下動可能な調節棒45とを備えている。一方、ハンドル14の上部にある取手部13には、使用者により操作される温度調節カム46が、アイロン本体1を上面から見て左右に回動自在に設けられており、この温度調節カム46の操作に連動して、調節棒45が上下動する。そして、この調節棒45の上下動に伴い前記接点開閉機構44が開閉し、この開閉動作によりヒータ3の通電が制御され、ベース2の温度が温度調節カム46で選択された設定温度を保つようになっている。
【0020】
次に上記構成について、特にカセットタンク17の着脱に関する作用を説明すると、カセットタンク17がアイロン本体1の前部に装着された状態では、タンクロックボタン27を押動操作しない限り、スプリング29の弾性力により昇降体28が下方に付勢され、カセットタンク17側に設けた着脱機構26の爪部30が、アイロン本体1側にある凹部31に嵌り込む。この状態で、スプリング29の弾性力に抗してタンクロックボタン27を片方の手で押動操作すると、昇降体28が爪部30と共に上方に移動し、爪部30とハンドル14の凹部31との係合が解除される。ここで片方の手はタンクロックボタン27を押したままの状態であるが、タンクロックボタン27がカセットタンク17側に設けられているので、片方の手でカセットタンク17を掴んで、アイロン本体1よりカセットタンク17を取外すことができる。
【0021】
一方、カセットタンク17をアイロン本体1に装着する場合は、カセットタンク17側の爪部30を、収納部である凹部31に一致させるようにして、そのまま押し込めばよい。すなわち、カセットタンク17を押し込んで行くと、先ず爪部30の下端にある傾斜面に凹部31の上縁部が当接するが、この爪部30の傾斜面は、カセットタンク17の押し込みを妨げず、かつ昇降体28を上方に持ち上げるように形成されているので、スプリング29の弾性力に抗して、カセットタンク17を押し込んで行くに従って、昇降体28が上方に移動し、爪部30の傾斜面が凹部31の上縁部を乗り越えると、スプリング29の弾性力によって爪部30が凹部31に収納状態で係合し、カセットタンク17がアイロン本体1に固定される。
【0022】
また、カセットタンク17の構造上、スチーム噴射機構やショット機構を行なうための可動機構(スチーム開閉棒37,スプリング38,切換えボタン39,滴下ノズル)が、カセットタンク17の上部から下部に連続して設けられているので、タンクロックボタン27は、切換えボタン39の配置箇所であるカセットタンク17の上面を避けたカセットタンク17の側面に設けるのが好ましい。その際、タンクロックボタン27を除く着脱機構26の可動部を、スチーム噴射機構やショット機構を行なうための可動機構よりも後側に設け、それに対応して着脱機構26の固定部である凹部31を、ハンドル14の前側面に設けるのが、円滑な部品配置を実現でき好ましい。
【0023】
以上のように本実施例では、把持部であるハンドル14を備えたアイロン本体1と、スチーム手段である気化室6に水すなわち液体を供給するタンクとしてのカセットタンク17と、操作体であるタンクロックボタン27を操作すると、カセットタンク17をアイロン本体1から離脱させる着脱機構26とを備えたスチームアイロンにおいて、着脱機構26の可動部であるタンクロックボタン27,爪部30を含む昇降体28およびスプリング29を、カセットタンク17の後部に設けている。
【0024】
このようにすると、タンクロックボタン27を含めたカセットタンク17の着脱機構26の可動部が、アイロン本体1側ではなくカセットタンク17側に設けられているので、タンクロックボタン27を片手で押したまま、その手を利用してカセットタンク17をアイロン本体1から引き出すことができる。また着脱機構26の可動部がカセットタンク17の後部にあるので、スチーム用の弁体などの弁装置33がカセットタンク17の底部に設けられているものにおいて、着脱機構26の可動部が他の機構部の邪魔にならないという利点がある。
【0025】
また、その場合、着脱機構26の可動部はタンクロックボタン27に連動する爪部30を有し、この爪部30の収納部である凹部31をハンドル14に設けるのが好ましい。これにより、簡単な爪係合により、カセットタンク17の後部において、このカセットタンク17とアイロン本体1とを確実に装着固定することができる。また、ハンドル14には爪部30に係合する凹部31だけがあればよく、ハンドル14の内部に広い実装スペースを確保できる。
【0026】
さらに、タンクロックボタン27をカセットタンク17の側面に設けてもよい。こうすれば、仮にカセットタンク17の上部にスチーム噴射機構やショット機構の切換えボタン39などが配置されていても、こうした切換えボタン39に干渉することなく、タンクロックボタン27や、このタンクロックボタン27を含めた着脱機構26の可動部を配置することが可能になる。
【0027】
次に、図7〜図16を参照しながら、本発明の第2実施例について説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0028】
これらの各図において、前記第1実施例の説明箇所と異なるのは、着脱機構26の可動部がハンドル17側にあって、凹部31がカセットタンク14の後部にある点である。但しこの機構は、第1実施例のものを利用してもよい。また、設定温度の制御機構も、以下に説明するように第1実施例とは異なる。さらに、本実施例ではコードレス式のスチームアイロンについて説明するが、第1実施例のようなコード付きのスチームアイロンであってもよい。
【0029】
その他の構成を説明すると、カセットタンク17の内部には弁装置33が設けられており、この弁装置33の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手34が設けられている。弁装置33は、支持体51により直立状態にかつ摺動自在に支持されたスチーム開閉体たるスチーム開閉棒37と、支持体51の凹底面上に設けられたパッキン52と、このパッキン52を常時支持体51の凹底面側に付勢して密着状態を保持する付勢部材としてのスプリング38とを備え、スチーム開閉棒37の下端部に形成した弾性を有する弁体54は、カセットタンク17の底面に形成した流出孔55の中心部に臨んで設けられている。また、通水継手34とベース2との間には、ベース2からの熱を遮断する遮熱板35が介在してある。この遮熱板35の下方には、気化室6の上部開口部を覆うようにして前述の蓋板10が設けられる。
【0030】
56は通水継手34の途中に設けられたノズルであって、このノズル56を開閉する開閉弁57が、前記遮熱板35および蓋板10に共通して設けられた開口部よりベース2の凹部58に向けて下方に突出している。このベース2の凹部58には、感熱応動体に相当する反転式のバイメタル59が収容されており、凹部58の近傍にある気化室6が所定の温度に達すると、バイメタル59が凹部58の内部で反転し、スプリング60の付勢に抗して開閉弁57を押し上げることにより、ノズル56を開くように構成してある。
【0031】
前記ハンドル14は、把持部に相当する取手部13の他に、この取手部13の下方に位置するアイロン本体1の腹部61と取手部13との間に、手を差し入れるための空洞12を形成してある。なお、ここでいう腹部61とは、カセットタンク17の両側を除く取手部13に対向したアイロン本体1の平坦状の中央上面部を指すものであって、腹部61はカセットタンク17の両側の上端面よりも低い位置に形成される。そして、この両側の上端面より腹部61にかけての空洞12の下面は、手を差し入れやすいように、手の甲に沿ってなだらかな凹状に形成してある。
【0032】
ハンドル14の上部には、切状態若しくはベース2の設定温度を変えるための設定ボタン62が設けられる。またハンドル14の内部には、ヒータ3を適宜通断電することによりベース2を所定温度に制御する温度制御装置63が設けられる。この温度制御装置63は、具体的には前記設定ボタン62のスイッチ部64や、複数の発光ダイオードすなわちLED65の他に、温度設定の切替時や不適温状態を使用者に報知する報知手段としてのブザー66や、現在の設定温度を記憶保持し、設定ボタン62の受付けを可能にする二次電池あるいはコンデンサなどの蓄電装置67などを、基板68の上面に実装して構成される。前記LED65の光は取手部13を透過し、この取手部13の上部に配置されるカセットタンク17の一部に配設した温度表示部17Aによって、現在の設定温度を表示するようになっている。69は基板68の後方に形成された基板支持部であり、この基板支持部69に支持されて、別の基板70がアイロン本体1内の後部に設けられている。また、71はアイロン本体1の後部外殻をなす後カバーであり、後カバー71の下側に形成した凹部72には、アイロン本体1に電力を供給する一対の給電端子73が突出した状態で取付けられている。
【0033】
一方、74はアイロン本体1の載置が可能な載置台であり、これは上面が一方向に傾斜した載置部75の傾斜下端側に受部76が突設される。受部76には、前記給電端子73に対応して板バネ状の電源接点77が設けられており、アイロン本体1を載置台74の載置部75に載置すると、給電端子73が電源接点77に当接して、コンセント(図示せず)に接続した電源コード90からアイロン本体1内に、必要に応じて電源供給が行なわれるようになっている。
【0034】
つぎに、電気的な構成を図12に基づき説明する。前記温度制御装置63は、具体的にマイクロコンピュータなどから構成され、このマイクロコンピュータの図示しない記憶装置に記憶されたプログラムの制御シーケンスに従って一連の動作を行うように構成されている。温度制御装置63の入力側には、前記設定ボタン62の他に、ベース2の温度を検知する例えばサーミスタなどの温度検出手段78と、アイロン本体1が載置台74に載置されたか否かを判定するアイロン載置検知手段79などが各々接続される。また、温度制御装置63の出力側には、前記ヒータ3,温度表示部17A,ブザー66などが接続される。
【0035】
温度制御装置42は、アイロン本体1が載置台74に載置されているか否かに拘らず、前記設定ボタン62からの操作信号を受けて、ベース2の温度設定を例えば低温を意味する「低」、中程度の温度を意味する「中」、および高温を意味する「高」の三段階に切替設定する温度設定手段80と、同じくアイロン本体1が載置台74に載置されているか否かに拘らず、前記設定ボタン62からの操作信号を受けてアイロン本体1を切状態に設定する切状態設定手段81とを備えている。そして、本実施例では、設定ボタン62を1回操作する毎に、温度設定手段80または切状態設定手段81における各設定モードが「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に、一段ずつ高い温度設定に切替わるようになっている。ただし、高温に設定されている場合は、設定ボタン62を操作すると、切状態の設定モードになるようになっている。
【0036】
なお、本実施例のように、ベース2の設定温度を段階的ではなく、連続的に可変設定できるように温度設定手段80を構成してもよい。この場合、操作手段として押ボタン式の設定ボタン62の代わりに、例えばスライド式のスイッチを用いてもよい。また、ベース2の温度設定を切替える操作手段と、切状態を指示する操作手段とを別々に設けてもよい。つまり、アイロン本体1が載置台74から離脱しているときであっても、操作手段からの操作信号を受けて、ベース3の設定温度を切替え設定できるような温度設定手段80を、温度制御増置63に備えてあればよい。温度設定手段80または切状態設定手段81により一旦設定された上記設定モードは、アイロン本体1がが載置台74から離脱しているときに、バックアップ用の蓄電装置67により所定時間、保持記憶されるようになっている。
【0037】
温度制御装置63は、アイロン載置検知手段79によりアイロン本体1が載置台74に載置されたことを検知すると、温度検知手段78で検知されたベース2の温度が、前記温度設定手段80で設定された設定温度に一致するように、加熱手段であるヒータ3を通電制御する。また、温度制御装置52は、アイロン載置検知手段68がアイロン本体1が載置台74に載置されていることを検知すると、温度検知手段78で検知されたベース2の温度が前記温度設定手段80で設定された設定温度に一致するように、加熱手段であるヒータ3を通電制御するようになっている。
【0038】
また、温度制御装置63は、温度表示部17Aおよびブザー66を制御する報知・表示制御手段82を備えており、アイロン本体1の載置時において、前記温度検知手段78で検知されたベース2の温度が設定温度付近の適温範囲にあるときには、この設定温度に対応する温度表示部17AのLED65を点灯状態にし、かつブザー66による報知を行う一方、ベース2の温度が前記適温範囲外にあるときには、設定温度に対応する温度表示部17AのLED65を点滅状態にし、ブザー66による報知は行わないように構成されている。
【0039】
一方、アイロン本体1が載置台74から離脱すると、載置台74からアイロン本体1側への電源供給が遮断されることにより、ヒータ3は断電状態となる。このとき、温度制御装置63は蓄電装置67からの給電により引き続き動作し、温度検知手段78により検知されたベース2の温度を監視するとともに、設定ボタン62による操作信号を受付けるようになっている。そして、このベース2の温度が、温度設定手段80で設定された設定温度付近の適温範囲よりも下がったとき、あるいは、設定ボタン62が操作されて、温度設定手段80における設定温度がそれまでよりも高温に切替えられたときに、報知・表示制御手段82がブザー66あるいは温度表示部17AのLED65によって、アイロン本体1の載置台74への載置を促す給電報知または表示を行うように構成されている。
【0040】
ここで、本実施例におけるカセットタンク17の構造について、図12および図13をも参照しながら詳述する。カセットタンク17の内部には、このカセットタンク17から気化室6に対し一時的に多量の水を圧送するためのポンプ装置92が設けられる。ポンプ装置92は、支持体51の後方寄りに形成した円筒状のシリンダ93と、このシリンダ93内の垂直方向に沿って摺動自在に設けられたピストン94と、ピストン94を手動で操作するための操作釦95とにより概ね構成され、気化室6に連通する噴出孔7から通常のスチームもしくは増量スチームを噴出するようになっている。前記操作釦95は、カセットタンク17の上面より突出して押動操作可能に設けられており、カセットタンク17から気化室6に至る通水路中に設けた弁体96を、操作釦95の操作に応じて開閉する開閉制御部としての回転子97と、この回転子97の下方にあって前記スチーム開閉棒37の上部に連結し、操作釦95の押動位置に応じて、カセットタンク17の内部で上下動する継手98とを備えている。
【0041】
前記回転子97は下面が開口した凹状に形成され、この凹部にピストン94の上部に形成した棒体110が挿入し、その上端が当接している。ピストン94の下部に形成したフランジ部111は、シリンダ93の内周面に密着状態で当接しており、シリンダ93の底面および内周面と、ピストン94の下面とにより囲まれた水導入室112内に、ピストン94を上方に付勢するピストン付勢体としてのスプリング99が配設される。また、シリンダ93の上面と継手98との間にも、継手98ひいてはスチーム開閉棒37を上方に付勢する継手付勢体としてのスプリング100が設けられる。回転子97は、操作釦95と連動して操作釦95の押動力をピストン94に伝達するとともに、操作釦95をその動作下端にまで押し下げると、カセットタンク17内に形成した係合部(図示せず)に係合してロック状態となり、操作釦95ひいてはピストン94をその位置に保持するように構成している。このとき、継手98および継手98に連結するスチーム開閉棒37はスプリング100の付勢に抗して下方に移動し、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54が流出孔55を閉塞して、カセットタンク17から気化室6への水の供給を遮断する。一方、回転子97がロックした状態から、操作釦95をさらに下方へ押し込むと、回転子97とカセットタンク17内の係合部との係合状態は解除され、シリンダ93内にあるスプリング99の弾性反発力により、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、元の位置に復帰する。この動作の途中で、スプリング100の弾性反発力も作用して継手98が押し上げられ、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54が流出孔55を開放して、カセットタンク17から気化室6への水の供給を可能にする。このように、操作釦95の押動操作によって、弁体54による流出孔55の開閉すなわちドライとスチームの切換えを行なうように構成している。
【0042】
ポンプ装置92の下方には、それぞれ水導入室112に連通する流入口113と流出口114が形成される。カセットタンク17内の水をシリンダ93内に取り入れる流入口113内には、スプリング付きの逆止弁101が設けられるとともに、シリンダ93から気化室6に水を送り出す流出口114内にも、別のスプリング付きの逆止弁115が設けられる。そして、前記回転子97がロック状態とならない範囲内で、操作釦95を途中まで押し込むと、流入口113内の逆止弁101が閉じる代わりに、流出口114内の逆止弁115が開いて、水導入室112内の水が流出口114から気化室6に吐き出される一方、操作釦95から指を離すと、スプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、流出口114内の逆止弁115が閉じる代わりに、流入口113内の逆止弁101が開いて、カセットタンク17内の水が流入口113を介して水導入室112内に収容される。このように、回転子97がロック状態とならない範囲で操作釦95を操作する間は、ポンプ装置92を利用して一時的に気化室6に多量の水を送り出すいわゆる増量スチームを行なうことが可能になる。なお、前記スプリング100は、増量スチームと通常のスチーム・ドライ切換との誤動作をなくすため、スプリング99よりも荷重を大きく設定してある。
【0043】
前記流入口113はカセットタンク17内の水収容部に直接連通させてもよいが、本実施例ではベース2の気化能力に応じて、カセットタンク17内に一定量の水を収容できるサブタンク102を設け、増量スチーム時に必要とする水を、このサブタンク102から通水路たるパイプ103にてポンプ装置92に吸上げる構成となっている。これは、増量スチームを使用すると同時にベース2の気化能力が衰え、気化室6で全ての水を気化しきれず、湯滴となって噴出口7から噴出することを防止するためのものである。この場合、例えばベース2の気化能力が5CC(ml)ならば、5CCの水を収容できるようにサブタンク102を形成し、5CC以上の増量スチームを噴出できないように構成する。なおここでは、アイロン本体1を水平状態にして使用するだけでなく、ハンガーなどに掛けたスーツなどの衣類に対し、アイロン本体1を略垂直にしてポンプ装置92により衣類に増量スチームを噴射する使い方もある。
【0044】
次に、図14のフローチャートに基づいて、上記構成のスチームアイロンにおける動作を説明する。予め注水口蓋19から水をカセットタンク17内に収容するとともに、このカセットタンク17をハンドル14の前部から差し込むと、カセットタンク17の上面がスプリング29に抗して爪部30を押し上げ、最終的に凹部31に爪部30が係止することで、カセットタンク17がアイロン本体1の所定位置にセットされる。次いで、図14のステップS1において、アイロン本体1を載置台74に載置した状態で、電源コード90を図示しないコンセントに差し込むと、載置台74の電源接点77からアイロン本体1内の温度制御装置63および蓄電装置67に電源が供給される。温度制御装置63においては、初期状態として切状態設定手段81による切状態の設定モードが先ず設定され、報知・表示制御手段82によって温度表示部17Aの「切」に対応するLED55が点灯する。なお、この切状態では、安全のためにヒータ3への通電は行なわない。その後、ステップS2において設定ボタン62を押動操作すると、設定モードは「切」から「低」,「中」,「高」の順に切換わり、これに対応するLED55が点灯する。そして、ステップS3にて、「切」以外の温度設定手段80の設定モードに切換わると、温度制御装置63によりヒータ3が通電される。
【0045】
温度制御装置63は、次のステップS4において、アイロン本体1が載置中であるか離脱中であるかをアイロン載置検知手段79により検知する。アイロン本体1が引き続き載置台74に載置される状態では、ベース2が温度設定手段80にて設定した温度に達するまで、ヒータ3によるベース2への加熱が行なわれる。このとき、温度制御装置63は、ベース2が設定温度に近い適温範囲内であるか否かを、温度検知手段78からの検知出力により判断する(ステップS5)。そして、ベース3の温度が適温範囲を外れているときには、次のステップS6に移行して、設定温度に対応する温度表示部17AのLED55を点滅状態にし、ブザー66による報知は行わないようにして、ベース2が不適温状態であることを使用者に知らせる。一方、前記ステップS5において、ベース2の温度が適温範囲内にあるときには、ステップS7に移行して、設定温度に対応する温度表示部17AのLED55を点灯状態にするとともに、ブザー66を一定時間鳴動させて、使用者にアイロン掛けが可能なことを報知する。そして、温度制御装置63は、アイロン本体1が載置台74に載置されている限り、ベース2の温度が適温範囲内に維持されるように、ヒータ3を通断電制御するとともに、ベース2の温度が適温か不適温であるかに拘らず、前述のステップS4の手順に戻る。
【0046】
その後、ステップS4において、アイロン掛けのためにアイロン本体1を載置台74から離脱すると、載置台74からアイロン本体1側への電源供給が遮断され、ヒータ2は断電状態となる。温度制御装置63は、蓄電装置67からの給電により引き続き動作するが、次のステップS8において、ベース2の温度が適温範囲よりも下がったとき、あるいは、設定釦39を操作することにより、温度設定手段80における設定温度がそれまでよりも高温に切換ったときに、ブザー66あるいはLED55を利用して、アイロン本体1の載置台74への載置を促す給電報知または表示を行なう。そして、その後はステップS4の手順に再び戻る。
【0047】
アイロン掛けを行なう場合、アイロン本体1の空洞12から手を差入れた後、ハンドル14の取手部13を掌で抱えるようにして握る。この際、取手部13の下方にあるアイロン本体1の腹部61は、アイロン本体1の両側部に沿って設けたカセットタンク17の両側よりも低い位置にあり、取手部13と腹部61との間には広い空洞12が確保されているので、取手部13を握った状態では、手の甲すなわち手の背面がアイロン本体1の腹部61に当たりにくくなり、ハンドル14を楽に持つことができるようになる。また、ベース2の先端部に対する目視を良好にするために、カセットタンク17の前端面は、アイロン本体1の後方側に向けて比較的大きく倒れるように傾斜させてあるが、本実施例におけるカセットタンク17の両側は、充分な水量を収容できるだけの高さを確保してあるので、従来のような水タンクの容量不足を解消することが可能になる。
【0048】
一方、アイロン掛け中にドライ動作を行なうには、スプリング99,100の弾性に抗して、カセットタンク17内の係合部に回転子97が係合する位置まで操作釦95を押し下げる。すると、操作釦95の動作下端で回転子97によりロックされ、他の回転子97,継手98およびピストン94なども操作釦95により押し込まれた位置に保持される。この操作釦95を押し下げる動作中に、回転子97の下部に継手98が接して継手98が下方に移動すると、継手98に連結するスチーム開閉棒37も下方に移動し、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54の下端が流出孔55を閉塞するとともに、弁体54の外周面が流出孔55より放射状に広がる円錐面を密着状態で閉塞する。これにより、カセットタンク17から弁装置33を経て気化室6に供給する水の通路が確実に遮断される。また、回転子97により操作釦95がロックされると、カセットタンク17内にあるピストン94も動かなくなるので、ポンプ装置92による気化室6への水の供給も遮断される。こうして、カセットタンク17から気化室6への水の供給が全て遮断され、噴出孔7からはスチームが噴出しないドライ動作となる。
【0049】
一方、ドライ動作から通常のスチーム動作への切換えを行なうには、再度操作釦95を押し下げて、回転子97による操作釦95のロック状態を解除する。こうすると、シリンダ93内にあるスプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94が押し上げられるとともに、回転子97や操作釦95も同時に押し上げられる。回転子97によるロック状態の解除と連動して、継手98の下方にあるスプリング100が継手98を持ち上げ、流出孔55を開く方向に弁体54およびスチーム開閉棒37を操作する。これにより、ポンプ装置92は作動しないものの、カセットタンク17から弁装置33を経て気化室6に供給する水の通路が確保され、ヒータ3により気化室6で加熱された水が、噴出孔7からスチームとして噴出する。このときのスチーム量は、弁装置33による水の通過量で規定された通常のものとなる。
【0050】
一方、通常よりも多量のスチームを噴出孔7から一時的に噴出する増量スチーム動作は、回転子97がロック状態とならない範囲内で操作釦95により、回転子97を介してピストン94をシリンダ93内でスプリング99の弾性反発力を利用して摺動自在に操作することで行なわれる。具体的には、回転子97がロック状態とならない範囲内で、操作釦95を途中まで押し込むと、流入口113内の逆止弁101が閉じるとともに、流出口114内の逆止弁115が開いて、水導入室112内の水が流出口114から気化室6に吐き出される。その後、操作釦95から指を離すと、スプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、流出口114内の逆止弁115が閉じる代わりに、流入口113内の逆止弁101が開いて、カセットタンク17内の水が流入口113を介して水導入室112内に収容される。この操作釦95の操作を繰り返せば、ポンプ装置92を利用して一時的に気化室6に多量の水を送り出すことができる。
【0051】
ところで、従来のスチームアイロンでは、図16に示すように、設定温度を表示するためのLED301が取手部の上面に設けられていたため、アイロン掛け中にハンドル302を手で握った状態では、LED301による表示が手で確認できない。そのため、アイロン掛け中に現在の設定温度を知りたい場合は、手を放していちいち表示を確認する必要があった。また、アイロン掛け中に設定温度を間違っていても気付かないことがあり、この場合は布地を焦がしたり、布地を好ましい状態に仕上げられない問題があった。
【0052】
この点に関し、本実施例におけるスチームアイロンは図15に示すように、表示手段であるLED55が、取手部13の空洞12よりも前方のハンドル14上面に位置しているために、アイロン掛けなどの際に取手部13を握ってもLED55を手が隠すことはない。したがって、アイロン掛け中に現在の設定温度を知りたい場合に、取手部13に手を握ったまま表示を容易に確認できると共に、誤設定により布地を一掃できる。
【0053】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。
【0054】
【発明の効果】
請求項1の発明のスチームアイロンでは、アイロン本体からタンクを片手で外すことができると共に、他の機構部の邪魔にならないように着脱機構を無理なく配置できる。
【0055】
請求項2の発明のスチームアイロンでは、簡単な爪係合により、タンクとアイロン本体とを確実な装着固定が実現する他に、把持部内部に広い実装スペースを確保できる。
【0056】
請求項3の発明のスチームアイロンでは、スチーム噴射機構やショット機構の切換えボタンなどに干渉することなく、操作体や、この操作体を含めた着脱機構を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるスチームアイロンの側面図である。
【図2】同上、スチームアイロンの平面図である。
【図3】同上、スチームアイロンの分解斜視図である。
【図4】同上遮熱カバーより下方にある各部品の断面図である。
【図5】同上、カセットタンクの分解斜視図である。
【図6】同上、要部の分解斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すスチームアイロンの全体平面図である。
【図8】同上、スチームアイロンの側面図である。
【図9】同上、非載置時におけるスチームアイロンの全体断面図である。
【図10】同上、載置時におけるスチームアイロンの全体断面図である。
【図11】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図12】同上、カセットタンクの断面図である。
【図13】同上、要部の拡大断面図である。
【図14】同上、動作手順を示すフローチャートである。
【図15】同上、手で握った状態のスチームアイロンを示す平面図である。
【図16】従来の手で握った状態のスチームアイロンを示す平面図である。
【図17】従来例を示すスチームアイロンの全体断面図である。
【図18】従来例を示すスチームアイロンの全体平面図である。
【符号の説明】
1 アイロン本体
14 ハンドル
17 カセットタンク(タンク)
26 着脱機構
27 タンクロックボタン(操作体)
30 爪部
31 凹部(収納部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類などのプレス仕上げに使用するスチームアイロンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のスチームアイロンは、例えば特許文献1に開示されるように、掛面であるベースに気化室を形成し、この気化室にカセットタンクから滴下ノズルによって水を滴下し、ここで発生したスチームを気化室に連通した噴出孔から外部に噴出するようにしている。
【0003】
ここで特許文献1におけるスチームアイロンの構造を図17および図18に示す。同図において、201はアイロン本体で、このアイロン本体201の下部には加熱手段であるヒータ202を備えたベース203が設けられる。また、206はベース203に形成された気化室であり、気化室206の上部にタンクたるカセットタンク214が設けられる。そして、カセットタンク214の底部に設けられた滴下ノズル216からカセットタンク214の水を滴下させて気化室206へ導き、ヒータ202で加熱された気化室206で水を気化させて、ベース203の下面に設けた噴出孔207からスチームを発生するように構成される。
【0004】
一方、前記カセットタンク214は把持部であるハンドル212の前方に着脱可能に設けられ、ハンドル212の一側面に突出して設けたタンクロックボタン216を操作すると、カセットタンク214とアイロン本体201との係合が解除される。すなわち、タンクロックボタン216と、タンクロックボタン216を操作すると上方に移動する昇降体217と、昇降体217を常時下方に付勢する弾性部材としてのスプリング218とにより、カセットタンク214の着脱機構の可動部が構成され、カセットタンク214の装着時において、昇降体217の下部に突設した爪部219が、カセットタンク214の後面に形成した凹部220(着脱機構の固定部)に係合する一方、タンクロックボタン216を押動操作して昇降体217を上方に移動させると、爪部219と凹部220との係合が外れて、カセットタンク214をアイロン本体201から離脱できるようになっている。
【0005】
図17および図18に示すスチームアイロンは、上記スチーム噴射機構の他に、スチーム噴射量を増量できるショット機構が配置されている。具体的には、スチーム噴射機構およびショット機構の切換えボタン230が、ハンドル212の上面に連なるカセットタンク214の上面に設けられている。カセットタンク214の内部には、図示しないポンプ装置が設けられており、切換えボタン230がロック状態とならない範囲で、この切換えボタン230を操作すると、ポンプ装置を利用して一時的に気化室206に大量の水を送り出すいわゆる増量スチームを行なうことが可能になる。
【0006】
その他、ハンドル212の上部には操作パネル232が設けられており、ここにはベース203の設定温度を可変若しくは切状態にする設定ボタン233と、複数の発光ダイオードすなわちLED234により現在の設定温度を表示する温度表示部235が各々設けられる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−96098号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記構成では、カセットタンク214をアイロン本体201から離脱させるには、アイロン本体201側に設けられたタンクロックボタン216を片方の手で押動操作し、もう一方の手でカセットタンク214を引き出さなければならず、両手を用いなければならない煩わしさがあった。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、アイロン本体からタンクを片手で外すことができるスチームアイロンを提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のスチームアイロンでは、操作体を含めたタンクの着脱機構が、アイロン本体側ではなくタンク側に設けられているので、操作体を片手で押したまま、その手を利用してタンクをアイロン本体から引き出すことができる。また着脱機構がタンクの後部にあるので、スチーム用の弁体などがタンクの底部に設けられているものにおいて、着脱機構が他の機構部の邪魔にならない。
【0011】
請求項2の発明のスチームアイロンでは、簡単な爪係合により、タンクの後部においてこのタンクとアイロン本体とを確実に装着固定することができる。また、把持部には爪部に係合する収納部だけがあればよく、ハンドル内部に広い実装スペースを確保できる。
【0012】
請求項3の発明のスチームアイロンでは、仮にタンクの上部にスチーム噴射機構やショット機構の切換えボタンなどが配置されていても、こうした切換えボタンに干渉することなく、操作体や、この操作体を含めた着脱機構を配置することが可能になる。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、本発明のスチームアイロンの各実施例について、添付図面を参照しながら説明する。図1〜図6は、本発明の第1実施例を示すもので、これらの各図において、1はアイロン本体、2はアイロン本体1の下部にあって、アルミダイカストにより形成された掛面としてのベースで、このベース2の内部に加熱手段としてのヒータ3が埋設される。このベース2の底面には、固定部材としてのネジ4によって、ベース裏板5が着脱可能に固定されている。ベース2の内部には、ヒータ3の近傍に位置して蒸気室すなわちスチーム手段としての気化室6が形成され、この気化室6に連通する複数の噴出孔7がベース3の下面に設けられる。また、8はベース3の上部に設けられた遮熱カバー、9は遮熱カバー8の上方に設けられた把手、10は気化室6の上面に取付けられた蓋板である。
【0014】
把手9の上側は把手カバー11によって覆われ、把手9にはアイロン本体1を把持する際に手を差し入れるための空洞12が形成される。また、把手9の上部と把手カバー10とで、アイロン本体1を把持するための取手部13が形成される。この取手部13を含むハンドル14は、側面から見て空洞12を有するU字状になっていて、これにより握り部としての取手部13は、アイロン本体1の前後方向に延びて位置する。取手部13は空洞12から開口部15を介して後方へ開口した形状となっており、取手部13の後方から空洞12へ手を差し入れることができるようになっている。
【0015】
ハンドル14の前方に位置して、カバー8の上部には、タンクに相当する容器たるカセットタンク17がアイロン本体1に対し着脱可能に設けられる。カセットタンク17は例えば合成樹脂で形成され、上面から見た形状がほぼU字状で、その両側がハンドル14の前端部側から後端部側の両側にかけて跨がるように配置されている。また、カセットタンク17の前面には注水口18が形成され、この注水口18に注水口蓋19が開閉自在に取付けられている。そして、この注水口蓋19からカセットタンク17内に水を収容し、かつ、カセットタンク17内の不要水を廃棄できるようになっている。
【0016】
カセットタンク17は、より詳細には図5に示すように、水を貯溜するタンク本体21と、このタンク本体21の前部に設けられたカバー部材22とにより構成される。また、カバー部材22の注水口18に対応して設けたタンク本体21の開口部23には、漏水防止用のパッキン24が設けられる。さらに、カバー部材22に支持される注水口蓋19の内面にはキャップ25が設けられる。
【0017】
カセットタンク17をアイロン本体1に着脱させる着脱機構26として、本実施例では、ハンドル14の一側面にやや突出して操作体であるタンクロックボタン27が設けられており、このタンクロックボタン27を操作することにより上方に移動する上下動可能な昇降体28が、弾性部材たるスプリング29により常時下方に付勢されている。そして、昇降体28の下部に突設した爪部30が、ハンドル14の傾斜する下面に形成した収納部としての凹部31に係合する構成になっている。すなわち、ここではタンクロックボタン27,爪部30を含む昇降体28およびスプリング29が、着脱機構26の可動部としてカセットタンク17の後部に設けられる一方で、着脱機構26の固定部である凹部31が、爪部30に係合可能なハンドル14の前側部に設けられている。
【0018】
カセットタンク17の内部には弁装置33が設けられており、この弁装置33の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手34が設けられている。通水継手34は、ベース2上に取付けられた遮熱板35により形成され、遮熱板35に前記遮熱カバー8が設けられる。弁装置33は、タンク本体21に貫通し支持部36により直立状態にかつ摺動自在に支持された弁杆としてのスチーム開閉棒37と、このスチーム開閉棒37を常時下方に付勢する付勢部材としてのスプリング38と、カセットタンク17の上面より突出する切換えボタン39と、カセットタンク17の下部にあって、気化室6に臨ませた滴下ノズル(図示せず)とにより構成され、前記スチーム開閉棒37は滴下ノズルに対し上下動自在に支持される。なお、切換えボタン39はスチーム噴射機構およびショット機構を兼用するものであるが、その詳細な動作については第2実施例で説明する。
【0019】
図3や図6に示すように、前記ベース2上にはヒータ3によるベース2の温度を制御する自動温度調節器41が設けられる。この自動温度調節器41の可動調節部に、カセットタンク17から水密的に隔離された空間を貫通して上下自在に設けた操作杆42の下端が連結されている。さらに、この自動温度調節器41は、ベース2に取付けられた感温素子としてのバイメタル43と、このバイメタル43に当接してヒータ3の通電回路(図示せず)を開閉する接点開閉機構44と、操作杆42の上端に当接し、接点開閉機構44を連動させる上下動可能な調節棒45とを備えている。一方、ハンドル14の上部にある取手部13には、使用者により操作される温度調節カム46が、アイロン本体1を上面から見て左右に回動自在に設けられており、この温度調節カム46の操作に連動して、調節棒45が上下動する。そして、この調節棒45の上下動に伴い前記接点開閉機構44が開閉し、この開閉動作によりヒータ3の通電が制御され、ベース2の温度が温度調節カム46で選択された設定温度を保つようになっている。
【0020】
次に上記構成について、特にカセットタンク17の着脱に関する作用を説明すると、カセットタンク17がアイロン本体1の前部に装着された状態では、タンクロックボタン27を押動操作しない限り、スプリング29の弾性力により昇降体28が下方に付勢され、カセットタンク17側に設けた着脱機構26の爪部30が、アイロン本体1側にある凹部31に嵌り込む。この状態で、スプリング29の弾性力に抗してタンクロックボタン27を片方の手で押動操作すると、昇降体28が爪部30と共に上方に移動し、爪部30とハンドル14の凹部31との係合が解除される。ここで片方の手はタンクロックボタン27を押したままの状態であるが、タンクロックボタン27がカセットタンク17側に設けられているので、片方の手でカセットタンク17を掴んで、アイロン本体1よりカセットタンク17を取外すことができる。
【0021】
一方、カセットタンク17をアイロン本体1に装着する場合は、カセットタンク17側の爪部30を、収納部である凹部31に一致させるようにして、そのまま押し込めばよい。すなわち、カセットタンク17を押し込んで行くと、先ず爪部30の下端にある傾斜面に凹部31の上縁部が当接するが、この爪部30の傾斜面は、カセットタンク17の押し込みを妨げず、かつ昇降体28を上方に持ち上げるように形成されているので、スプリング29の弾性力に抗して、カセットタンク17を押し込んで行くに従って、昇降体28が上方に移動し、爪部30の傾斜面が凹部31の上縁部を乗り越えると、スプリング29の弾性力によって爪部30が凹部31に収納状態で係合し、カセットタンク17がアイロン本体1に固定される。
【0022】
また、カセットタンク17の構造上、スチーム噴射機構やショット機構を行なうための可動機構(スチーム開閉棒37,スプリング38,切換えボタン39,滴下ノズル)が、カセットタンク17の上部から下部に連続して設けられているので、タンクロックボタン27は、切換えボタン39の配置箇所であるカセットタンク17の上面を避けたカセットタンク17の側面に設けるのが好ましい。その際、タンクロックボタン27を除く着脱機構26の可動部を、スチーム噴射機構やショット機構を行なうための可動機構よりも後側に設け、それに対応して着脱機構26の固定部である凹部31を、ハンドル14の前側面に設けるのが、円滑な部品配置を実現でき好ましい。
【0023】
以上のように本実施例では、把持部であるハンドル14を備えたアイロン本体1と、スチーム手段である気化室6に水すなわち液体を供給するタンクとしてのカセットタンク17と、操作体であるタンクロックボタン27を操作すると、カセットタンク17をアイロン本体1から離脱させる着脱機構26とを備えたスチームアイロンにおいて、着脱機構26の可動部であるタンクロックボタン27,爪部30を含む昇降体28およびスプリング29を、カセットタンク17の後部に設けている。
【0024】
このようにすると、タンクロックボタン27を含めたカセットタンク17の着脱機構26の可動部が、アイロン本体1側ではなくカセットタンク17側に設けられているので、タンクロックボタン27を片手で押したまま、その手を利用してカセットタンク17をアイロン本体1から引き出すことができる。また着脱機構26の可動部がカセットタンク17の後部にあるので、スチーム用の弁体などの弁装置33がカセットタンク17の底部に設けられているものにおいて、着脱機構26の可動部が他の機構部の邪魔にならないという利点がある。
【0025】
また、その場合、着脱機構26の可動部はタンクロックボタン27に連動する爪部30を有し、この爪部30の収納部である凹部31をハンドル14に設けるのが好ましい。これにより、簡単な爪係合により、カセットタンク17の後部において、このカセットタンク17とアイロン本体1とを確実に装着固定することができる。また、ハンドル14には爪部30に係合する凹部31だけがあればよく、ハンドル14の内部に広い実装スペースを確保できる。
【0026】
さらに、タンクロックボタン27をカセットタンク17の側面に設けてもよい。こうすれば、仮にカセットタンク17の上部にスチーム噴射機構やショット機構の切換えボタン39などが配置されていても、こうした切換えボタン39に干渉することなく、タンクロックボタン27や、このタンクロックボタン27を含めた着脱機構26の可動部を配置することが可能になる。
【0027】
次に、図7〜図16を参照しながら、本発明の第2実施例について説明する。なお、上記第1実施例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0028】
これらの各図において、前記第1実施例の説明箇所と異なるのは、着脱機構26の可動部がハンドル17側にあって、凹部31がカセットタンク14の後部にある点である。但しこの機構は、第1実施例のものを利用してもよい。また、設定温度の制御機構も、以下に説明するように第1実施例とは異なる。さらに、本実施例ではコードレス式のスチームアイロンについて説明するが、第1実施例のようなコード付きのスチームアイロンであってもよい。
【0029】
その他の構成を説明すると、カセットタンク17の内部には弁装置33が設けられており、この弁装置33の下部には、気化室6に連通する導水路たる通水継手34が設けられている。弁装置33は、支持体51により直立状態にかつ摺動自在に支持されたスチーム開閉体たるスチーム開閉棒37と、支持体51の凹底面上に設けられたパッキン52と、このパッキン52を常時支持体51の凹底面側に付勢して密着状態を保持する付勢部材としてのスプリング38とを備え、スチーム開閉棒37の下端部に形成した弾性を有する弁体54は、カセットタンク17の底面に形成した流出孔55の中心部に臨んで設けられている。また、通水継手34とベース2との間には、ベース2からの熱を遮断する遮熱板35が介在してある。この遮熱板35の下方には、気化室6の上部開口部を覆うようにして前述の蓋板10が設けられる。
【0030】
56は通水継手34の途中に設けられたノズルであって、このノズル56を開閉する開閉弁57が、前記遮熱板35および蓋板10に共通して設けられた開口部よりベース2の凹部58に向けて下方に突出している。このベース2の凹部58には、感熱応動体に相当する反転式のバイメタル59が収容されており、凹部58の近傍にある気化室6が所定の温度に達すると、バイメタル59が凹部58の内部で反転し、スプリング60の付勢に抗して開閉弁57を押し上げることにより、ノズル56を開くように構成してある。
【0031】
前記ハンドル14は、把持部に相当する取手部13の他に、この取手部13の下方に位置するアイロン本体1の腹部61と取手部13との間に、手を差し入れるための空洞12を形成してある。なお、ここでいう腹部61とは、カセットタンク17の両側を除く取手部13に対向したアイロン本体1の平坦状の中央上面部を指すものであって、腹部61はカセットタンク17の両側の上端面よりも低い位置に形成される。そして、この両側の上端面より腹部61にかけての空洞12の下面は、手を差し入れやすいように、手の甲に沿ってなだらかな凹状に形成してある。
【0032】
ハンドル14の上部には、切状態若しくはベース2の設定温度を変えるための設定ボタン62が設けられる。またハンドル14の内部には、ヒータ3を適宜通断電することによりベース2を所定温度に制御する温度制御装置63が設けられる。この温度制御装置63は、具体的には前記設定ボタン62のスイッチ部64や、複数の発光ダイオードすなわちLED65の他に、温度設定の切替時や不適温状態を使用者に報知する報知手段としてのブザー66や、現在の設定温度を記憶保持し、設定ボタン62の受付けを可能にする二次電池あるいはコンデンサなどの蓄電装置67などを、基板68の上面に実装して構成される。前記LED65の光は取手部13を透過し、この取手部13の上部に配置されるカセットタンク17の一部に配設した温度表示部17Aによって、現在の設定温度を表示するようになっている。69は基板68の後方に形成された基板支持部であり、この基板支持部69に支持されて、別の基板70がアイロン本体1内の後部に設けられている。また、71はアイロン本体1の後部外殻をなす後カバーであり、後カバー71の下側に形成した凹部72には、アイロン本体1に電力を供給する一対の給電端子73が突出した状態で取付けられている。
【0033】
一方、74はアイロン本体1の載置が可能な載置台であり、これは上面が一方向に傾斜した載置部75の傾斜下端側に受部76が突設される。受部76には、前記給電端子73に対応して板バネ状の電源接点77が設けられており、アイロン本体1を載置台74の載置部75に載置すると、給電端子73が電源接点77に当接して、コンセント(図示せず)に接続した電源コード90からアイロン本体1内に、必要に応じて電源供給が行なわれるようになっている。
【0034】
つぎに、電気的な構成を図12に基づき説明する。前記温度制御装置63は、具体的にマイクロコンピュータなどから構成され、このマイクロコンピュータの図示しない記憶装置に記憶されたプログラムの制御シーケンスに従って一連の動作を行うように構成されている。温度制御装置63の入力側には、前記設定ボタン62の他に、ベース2の温度を検知する例えばサーミスタなどの温度検出手段78と、アイロン本体1が載置台74に載置されたか否かを判定するアイロン載置検知手段79などが各々接続される。また、温度制御装置63の出力側には、前記ヒータ3,温度表示部17A,ブザー66などが接続される。
【0035】
温度制御装置42は、アイロン本体1が載置台74に載置されているか否かに拘らず、前記設定ボタン62からの操作信号を受けて、ベース2の温度設定を例えば低温を意味する「低」、中程度の温度を意味する「中」、および高温を意味する「高」の三段階に切替設定する温度設定手段80と、同じくアイロン本体1が載置台74に載置されているか否かに拘らず、前記設定ボタン62からの操作信号を受けてアイロン本体1を切状態に設定する切状態設定手段81とを備えている。そして、本実施例では、設定ボタン62を1回操作する毎に、温度設定手段80または切状態設定手段81における各設定モードが「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に、一段ずつ高い温度設定に切替わるようになっている。ただし、高温に設定されている場合は、設定ボタン62を操作すると、切状態の設定モードになるようになっている。
【0036】
なお、本実施例のように、ベース2の設定温度を段階的ではなく、連続的に可変設定できるように温度設定手段80を構成してもよい。この場合、操作手段として押ボタン式の設定ボタン62の代わりに、例えばスライド式のスイッチを用いてもよい。また、ベース2の温度設定を切替える操作手段と、切状態を指示する操作手段とを別々に設けてもよい。つまり、アイロン本体1が載置台74から離脱しているときであっても、操作手段からの操作信号を受けて、ベース3の設定温度を切替え設定できるような温度設定手段80を、温度制御増置63に備えてあればよい。温度設定手段80または切状態設定手段81により一旦設定された上記設定モードは、アイロン本体1がが載置台74から離脱しているときに、バックアップ用の蓄電装置67により所定時間、保持記憶されるようになっている。
【0037】
温度制御装置63は、アイロン載置検知手段79によりアイロン本体1が載置台74に載置されたことを検知すると、温度検知手段78で検知されたベース2の温度が、前記温度設定手段80で設定された設定温度に一致するように、加熱手段であるヒータ3を通電制御する。また、温度制御装置52は、アイロン載置検知手段68がアイロン本体1が載置台74に載置されていることを検知すると、温度検知手段78で検知されたベース2の温度が前記温度設定手段80で設定された設定温度に一致するように、加熱手段であるヒータ3を通電制御するようになっている。
【0038】
また、温度制御装置63は、温度表示部17Aおよびブザー66を制御する報知・表示制御手段82を備えており、アイロン本体1の載置時において、前記温度検知手段78で検知されたベース2の温度が設定温度付近の適温範囲にあるときには、この設定温度に対応する温度表示部17AのLED65を点灯状態にし、かつブザー66による報知を行う一方、ベース2の温度が前記適温範囲外にあるときには、設定温度に対応する温度表示部17AのLED65を点滅状態にし、ブザー66による報知は行わないように構成されている。
【0039】
一方、アイロン本体1が載置台74から離脱すると、載置台74からアイロン本体1側への電源供給が遮断されることにより、ヒータ3は断電状態となる。このとき、温度制御装置63は蓄電装置67からの給電により引き続き動作し、温度検知手段78により検知されたベース2の温度を監視するとともに、設定ボタン62による操作信号を受付けるようになっている。そして、このベース2の温度が、温度設定手段80で設定された設定温度付近の適温範囲よりも下がったとき、あるいは、設定ボタン62が操作されて、温度設定手段80における設定温度がそれまでよりも高温に切替えられたときに、報知・表示制御手段82がブザー66あるいは温度表示部17AのLED65によって、アイロン本体1の載置台74への載置を促す給電報知または表示を行うように構成されている。
【0040】
ここで、本実施例におけるカセットタンク17の構造について、図12および図13をも参照しながら詳述する。カセットタンク17の内部には、このカセットタンク17から気化室6に対し一時的に多量の水を圧送するためのポンプ装置92が設けられる。ポンプ装置92は、支持体51の後方寄りに形成した円筒状のシリンダ93と、このシリンダ93内の垂直方向に沿って摺動自在に設けられたピストン94と、ピストン94を手動で操作するための操作釦95とにより概ね構成され、気化室6に連通する噴出孔7から通常のスチームもしくは増量スチームを噴出するようになっている。前記操作釦95は、カセットタンク17の上面より突出して押動操作可能に設けられており、カセットタンク17から気化室6に至る通水路中に設けた弁体96を、操作釦95の操作に応じて開閉する開閉制御部としての回転子97と、この回転子97の下方にあって前記スチーム開閉棒37の上部に連結し、操作釦95の押動位置に応じて、カセットタンク17の内部で上下動する継手98とを備えている。
【0041】
前記回転子97は下面が開口した凹状に形成され、この凹部にピストン94の上部に形成した棒体110が挿入し、その上端が当接している。ピストン94の下部に形成したフランジ部111は、シリンダ93の内周面に密着状態で当接しており、シリンダ93の底面および内周面と、ピストン94の下面とにより囲まれた水導入室112内に、ピストン94を上方に付勢するピストン付勢体としてのスプリング99が配設される。また、シリンダ93の上面と継手98との間にも、継手98ひいてはスチーム開閉棒37を上方に付勢する継手付勢体としてのスプリング100が設けられる。回転子97は、操作釦95と連動して操作釦95の押動力をピストン94に伝達するとともに、操作釦95をその動作下端にまで押し下げると、カセットタンク17内に形成した係合部(図示せず)に係合してロック状態となり、操作釦95ひいてはピストン94をその位置に保持するように構成している。このとき、継手98および継手98に連結するスチーム開閉棒37はスプリング100の付勢に抗して下方に移動し、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54が流出孔55を閉塞して、カセットタンク17から気化室6への水の供給を遮断する。一方、回転子97がロックした状態から、操作釦95をさらに下方へ押し込むと、回転子97とカセットタンク17内の係合部との係合状態は解除され、シリンダ93内にあるスプリング99の弾性反発力により、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、元の位置に復帰する。この動作の途中で、スプリング100の弾性反発力も作用して継手98が押し上げられ、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54が流出孔55を開放して、カセットタンク17から気化室6への水の供給を可能にする。このように、操作釦95の押動操作によって、弁体54による流出孔55の開閉すなわちドライとスチームの切換えを行なうように構成している。
【0042】
ポンプ装置92の下方には、それぞれ水導入室112に連通する流入口113と流出口114が形成される。カセットタンク17内の水をシリンダ93内に取り入れる流入口113内には、スプリング付きの逆止弁101が設けられるとともに、シリンダ93から気化室6に水を送り出す流出口114内にも、別のスプリング付きの逆止弁115が設けられる。そして、前記回転子97がロック状態とならない範囲内で、操作釦95を途中まで押し込むと、流入口113内の逆止弁101が閉じる代わりに、流出口114内の逆止弁115が開いて、水導入室112内の水が流出口114から気化室6に吐き出される一方、操作釦95から指を離すと、スプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、流出口114内の逆止弁115が閉じる代わりに、流入口113内の逆止弁101が開いて、カセットタンク17内の水が流入口113を介して水導入室112内に収容される。このように、回転子97がロック状態とならない範囲で操作釦95を操作する間は、ポンプ装置92を利用して一時的に気化室6に多量の水を送り出すいわゆる増量スチームを行なうことが可能になる。なお、前記スプリング100は、増量スチームと通常のスチーム・ドライ切換との誤動作をなくすため、スプリング99よりも荷重を大きく設定してある。
【0043】
前記流入口113はカセットタンク17内の水収容部に直接連通させてもよいが、本実施例ではベース2の気化能力に応じて、カセットタンク17内に一定量の水を収容できるサブタンク102を設け、増量スチーム時に必要とする水を、このサブタンク102から通水路たるパイプ103にてポンプ装置92に吸上げる構成となっている。これは、増量スチームを使用すると同時にベース2の気化能力が衰え、気化室6で全ての水を気化しきれず、湯滴となって噴出口7から噴出することを防止するためのものである。この場合、例えばベース2の気化能力が5CC(ml)ならば、5CCの水を収容できるようにサブタンク102を形成し、5CC以上の増量スチームを噴出できないように構成する。なおここでは、アイロン本体1を水平状態にして使用するだけでなく、ハンガーなどに掛けたスーツなどの衣類に対し、アイロン本体1を略垂直にしてポンプ装置92により衣類に増量スチームを噴射する使い方もある。
【0044】
次に、図14のフローチャートに基づいて、上記構成のスチームアイロンにおける動作を説明する。予め注水口蓋19から水をカセットタンク17内に収容するとともに、このカセットタンク17をハンドル14の前部から差し込むと、カセットタンク17の上面がスプリング29に抗して爪部30を押し上げ、最終的に凹部31に爪部30が係止することで、カセットタンク17がアイロン本体1の所定位置にセットされる。次いで、図14のステップS1において、アイロン本体1を載置台74に載置した状態で、電源コード90を図示しないコンセントに差し込むと、載置台74の電源接点77からアイロン本体1内の温度制御装置63および蓄電装置67に電源が供給される。温度制御装置63においては、初期状態として切状態設定手段81による切状態の設定モードが先ず設定され、報知・表示制御手段82によって温度表示部17Aの「切」に対応するLED55が点灯する。なお、この切状態では、安全のためにヒータ3への通電は行なわない。その後、ステップS2において設定ボタン62を押動操作すると、設定モードは「切」から「低」,「中」,「高」の順に切換わり、これに対応するLED55が点灯する。そして、ステップS3にて、「切」以外の温度設定手段80の設定モードに切換わると、温度制御装置63によりヒータ3が通電される。
【0045】
温度制御装置63は、次のステップS4において、アイロン本体1が載置中であるか離脱中であるかをアイロン載置検知手段79により検知する。アイロン本体1が引き続き載置台74に載置される状態では、ベース2が温度設定手段80にて設定した温度に達するまで、ヒータ3によるベース2への加熱が行なわれる。このとき、温度制御装置63は、ベース2が設定温度に近い適温範囲内であるか否かを、温度検知手段78からの検知出力により判断する(ステップS5)。そして、ベース3の温度が適温範囲を外れているときには、次のステップS6に移行して、設定温度に対応する温度表示部17AのLED55を点滅状態にし、ブザー66による報知は行わないようにして、ベース2が不適温状態であることを使用者に知らせる。一方、前記ステップS5において、ベース2の温度が適温範囲内にあるときには、ステップS7に移行して、設定温度に対応する温度表示部17AのLED55を点灯状態にするとともに、ブザー66を一定時間鳴動させて、使用者にアイロン掛けが可能なことを報知する。そして、温度制御装置63は、アイロン本体1が載置台74に載置されている限り、ベース2の温度が適温範囲内に維持されるように、ヒータ3を通断電制御するとともに、ベース2の温度が適温か不適温であるかに拘らず、前述のステップS4の手順に戻る。
【0046】
その後、ステップS4において、アイロン掛けのためにアイロン本体1を載置台74から離脱すると、載置台74からアイロン本体1側への電源供給が遮断され、ヒータ2は断電状態となる。温度制御装置63は、蓄電装置67からの給電により引き続き動作するが、次のステップS8において、ベース2の温度が適温範囲よりも下がったとき、あるいは、設定釦39を操作することにより、温度設定手段80における設定温度がそれまでよりも高温に切換ったときに、ブザー66あるいはLED55を利用して、アイロン本体1の載置台74への載置を促す給電報知または表示を行なう。そして、その後はステップS4の手順に再び戻る。
【0047】
アイロン掛けを行なう場合、アイロン本体1の空洞12から手を差入れた後、ハンドル14の取手部13を掌で抱えるようにして握る。この際、取手部13の下方にあるアイロン本体1の腹部61は、アイロン本体1の両側部に沿って設けたカセットタンク17の両側よりも低い位置にあり、取手部13と腹部61との間には広い空洞12が確保されているので、取手部13を握った状態では、手の甲すなわち手の背面がアイロン本体1の腹部61に当たりにくくなり、ハンドル14を楽に持つことができるようになる。また、ベース2の先端部に対する目視を良好にするために、カセットタンク17の前端面は、アイロン本体1の後方側に向けて比較的大きく倒れるように傾斜させてあるが、本実施例におけるカセットタンク17の両側は、充分な水量を収容できるだけの高さを確保してあるので、従来のような水タンクの容量不足を解消することが可能になる。
【0048】
一方、アイロン掛け中にドライ動作を行なうには、スプリング99,100の弾性に抗して、カセットタンク17内の係合部に回転子97が係合する位置まで操作釦95を押し下げる。すると、操作釦95の動作下端で回転子97によりロックされ、他の回転子97,継手98およびピストン94なども操作釦95により押し込まれた位置に保持される。この操作釦95を押し下げる動作中に、回転子97の下部に継手98が接して継手98が下方に移動すると、継手98に連結するスチーム開閉棒37も下方に移動し、スチーム開閉棒37の下端部にある弁体54の下端が流出孔55を閉塞するとともに、弁体54の外周面が流出孔55より放射状に広がる円錐面を密着状態で閉塞する。これにより、カセットタンク17から弁装置33を経て気化室6に供給する水の通路が確実に遮断される。また、回転子97により操作釦95がロックされると、カセットタンク17内にあるピストン94も動かなくなるので、ポンプ装置92による気化室6への水の供給も遮断される。こうして、カセットタンク17から気化室6への水の供給が全て遮断され、噴出孔7からはスチームが噴出しないドライ動作となる。
【0049】
一方、ドライ動作から通常のスチーム動作への切換えを行なうには、再度操作釦95を押し下げて、回転子97による操作釦95のロック状態を解除する。こうすると、シリンダ93内にあるスプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94が押し上げられるとともに、回転子97や操作釦95も同時に押し上げられる。回転子97によるロック状態の解除と連動して、継手98の下方にあるスプリング100が継手98を持ち上げ、流出孔55を開く方向に弁体54およびスチーム開閉棒37を操作する。これにより、ポンプ装置92は作動しないものの、カセットタンク17から弁装置33を経て気化室6に供給する水の通路が確保され、ヒータ3により気化室6で加熱された水が、噴出孔7からスチームとして噴出する。このときのスチーム量は、弁装置33による水の通過量で規定された通常のものとなる。
【0050】
一方、通常よりも多量のスチームを噴出孔7から一時的に噴出する増量スチーム動作は、回転子97がロック状態とならない範囲内で操作釦95により、回転子97を介してピストン94をシリンダ93内でスプリング99の弾性反発力を利用して摺動自在に操作することで行なわれる。具体的には、回転子97がロック状態とならない範囲内で、操作釦95を途中まで押し込むと、流入口113内の逆止弁101が閉じるとともに、流出口114内の逆止弁115が開いて、水導入室112内の水が流出口114から気化室6に吐き出される。その後、操作釦95から指を離すと、スプリング99の弾性反発力が作用して、ピストン94ひいては回転子97および操作釦95が押し上げられ、流出口114内の逆止弁115が閉じる代わりに、流入口113内の逆止弁101が開いて、カセットタンク17内の水が流入口113を介して水導入室112内に収容される。この操作釦95の操作を繰り返せば、ポンプ装置92を利用して一時的に気化室6に多量の水を送り出すことができる。
【0051】
ところで、従来のスチームアイロンでは、図16に示すように、設定温度を表示するためのLED301が取手部の上面に設けられていたため、アイロン掛け中にハンドル302を手で握った状態では、LED301による表示が手で確認できない。そのため、アイロン掛け中に現在の設定温度を知りたい場合は、手を放していちいち表示を確認する必要があった。また、アイロン掛け中に設定温度を間違っていても気付かないことがあり、この場合は布地を焦がしたり、布地を好ましい状態に仕上げられない問題があった。
【0052】
この点に関し、本実施例におけるスチームアイロンは図15に示すように、表示手段であるLED55が、取手部13の空洞12よりも前方のハンドル14上面に位置しているために、アイロン掛けなどの際に取手部13を握ってもLED55を手が隠すことはない。したがって、アイロン掛け中に現在の設定温度を知りたい場合に、取手部13に手を握ったまま表示を容易に確認できると共に、誤設定により布地を一掃できる。
【0053】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。
【0054】
【発明の効果】
請求項1の発明のスチームアイロンでは、アイロン本体からタンクを片手で外すことができると共に、他の機構部の邪魔にならないように着脱機構を無理なく配置できる。
【0055】
請求項2の発明のスチームアイロンでは、簡単な爪係合により、タンクとアイロン本体とを確実な装着固定が実現する他に、把持部内部に広い実装スペースを確保できる。
【0056】
請求項3の発明のスチームアイロンでは、スチーム噴射機構やショット機構の切換えボタンなどに干渉することなく、操作体や、この操作体を含めた着脱機構を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるスチームアイロンの側面図である。
【図2】同上、スチームアイロンの平面図である。
【図3】同上、スチームアイロンの分解斜視図である。
【図4】同上遮熱カバーより下方にある各部品の断面図である。
【図5】同上、カセットタンクの分解斜視図である。
【図6】同上、要部の分解斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すスチームアイロンの全体平面図である。
【図8】同上、スチームアイロンの側面図である。
【図9】同上、非載置時におけるスチームアイロンの全体断面図である。
【図10】同上、載置時におけるスチームアイロンの全体断面図である。
【図11】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図12】同上、カセットタンクの断面図である。
【図13】同上、要部の拡大断面図である。
【図14】同上、動作手順を示すフローチャートである。
【図15】同上、手で握った状態のスチームアイロンを示す平面図である。
【図16】従来の手で握った状態のスチームアイロンを示す平面図である。
【図17】従来例を示すスチームアイロンの全体断面図である。
【図18】従来例を示すスチームアイロンの全体平面図である。
【符号の説明】
1 アイロン本体
14 ハンドル
17 カセットタンク(タンク)
26 着脱機構
27 タンクロックボタン(操作体)
30 爪部
31 凹部(収納部)
Claims (3)
- 把持部を備えたアイロン本体と、液体を供給するタンクと、離脱させる着脱機構とを備えたスチームアイロンにおいて、前記着脱機構を前記タンクの後部に設けたことを特徴とするスチームアイロン。
- 爪部を有し、収納部を前記把持部に設けたことを特徴とする請求項1記載のスチームアイロン。
- 操作体を前記タンクの側面に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のスチームアイロン。
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