JP2004215521A - カルシウム複合体の製造法 - Google Patents

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【課題】カルシウム強化を目的とするカルシウム複合体のカゼインミセルからの簡便な調製法の開発
【解決手段】カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することによって得ることができる、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成したカルシウム複合体の製造法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウム強化を目的とするカルシウム複合体の新規で簡便な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人口の高齢化に伴い、骨粗鬆症、骨折、あるいは腰痛等、種々の骨疾患を患う者が増加する傾向にある。これは、カルシウムの摂取量不足やカルシウムの吸収能力低下、あるいは閉経後のホルモンのアンバランス等が原因であるといわれている。そして、このような高齢化に伴う種々の骨疾患を予防するには、成長期から老年期にかけての全てのライフステージにおいて、生体内での吸収性の良好なカルシウムをできるだけ多く摂取する必要があるといわれている。しかし、日本人の平均的な食習慣では、十分な量のカルシウムを摂取することは非常に難しいとされており、我が国におけるカルシウムの摂取量は、厚生省の国民栄養調査にも示されているように、ここ20年間横ばい状態であり所要量を満たしていない現状にある。
【0003】
このような状況から、吸収性や生体利用性の高いカルシウムの摂取量をできるだけ増加させようとする種々の試みがなされている。本発明者らは、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤を提案し(例えば、特許文献1参照。)、この乳由来のカルシウム剤が、生体内での利用性に特に優れているということも報告した(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、研究を進めたところ、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシウム塩や、牛骨、卵殻、サンゴ、ウニ殻等から精製した天然カルシウム等に比べ、生体内での吸収性や利用性に優れているという特徴を有しているものの、中性域のpHでは水不溶性のカルシウムとなり、牛乳の形態でカルシウムを摂取するよりも生体内での吸収性や利用性の点で劣ることが判明した。すなわち、生体におけるカルシウム吸収の中心部位である小腸のpHは中性域であるため、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤は、水不溶性のカルシウム塩を形成し、その結果、牛乳の形態でカルシウムを摂取する場合よりも吸収効率が低下する。また、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤については、保存性を高める目的で、噴霧乾燥や凍結乾燥等の処理により粉末化される。しかし、この粉末化されたカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤は、中性域のpHで溶解性が悪く、このカルシウム剤を各種飲料やドリンク剤等に配合した場合、カルシウムが液面に浮上したり、強制攪拌等によりカルシウムを分散させても沈澱を生じるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、上述したカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを有効成分とする乳由来のカルシウム剤の欠点、すなわち、中性域のpHで水不溶性となったり、粉末化した場合の溶解性が劣るという問題を解決するべく、鋭意研究を行ってきた。その結果、特定のpH条件で、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを含む溶液に、ホスホペプチドを加えて混合することにより、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成することを見出した。そして、このカルシウム複合体は、中性域のpHでも水可溶性であり、また、粉末化しても溶解性が良好であり、さらに、生体内での吸収性及び利用性も高く、医薬、飲食品及び飼料等に配合するカルシウム剤として非常に優れているということを見出した(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
しかし、ホスホペプチドを調製する際には多量のエタノールを使用する必要があり(例えば、非特許文献2参照。)、膨大な費用がかかるという欠点があった。また、カゼインミセルからカルシウム複合体を調製する際には、特許文献2の方法ではカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを含む溶液にホスホペプチドを加えて混合する工程があるなど煩雑であり、従来の方法では実用化は難しい状況にあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平06−125740号公報
【特許文献2】
特許第2975337号公報
【非特許文献1】
日本栄養・食糧学会誌, 47巻, 1994年,p.385−390,
【非特許文献2】
ニュー フード インダストリー, 35巻, 1993年,p.1−8,
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記の問題点を鑑み、カゼインミセルからのカルシウム複合体の簡便な調製法を開発すべく、鋭意研究を行ってきた。
その結果、カゼインミセルをプロテアーゼで加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することによって、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体を簡便に調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、多量のエタノールを用いず、さらにカゼインミセルから簡便にカルシウム複合体を製造する方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体の製造法に関する。このカルシウム複合体は、カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することによって得られる。したがって、本発明は、カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することによって得られる、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体の製造法に関する。本発明のカルシウム複合体は、カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH4.8以下にしてもよい。また、複合体を形成させた後、膜処理して脱塩濃縮してもよいし、 凍結乾燥又は噴霧乾燥により粉末化してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成したカルシウム複合体(以下、カルシウム複合体ということがある)の製造法に関する。このカルシウム複合体は、カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することによって得ることができる。このような方法で製造されるカルシウム複合体は、通常は液状であるので、これを膜処理して脱塩濃縮してもよいし、また凍結乾燥あるいは噴霧乾燥して粉末化してもよい。
ところで、牛乳、山羊乳、水牛乳、羊乳等の哺乳動物の乳中でカルシウムは、溶解相に存在するものとカゼインミセル中に存在するものとに分けられる。カゼインミセル中に存在するものには、カゼインに直接結合しているものとコロイド状リン酸カルシウムとがあり、コロイド状リン酸カルシウムはミセル性リン酸カルシウムとも呼ばれている。本発明では、リン酸カルシウム−カゼイン複合体やリン酸カルシウム−クエン酸−カゼイン複合体等の、カゼインに結合し得るカルシウムをカゼイン結合性カルシウムといい、コロイド状リン酸カルシウムをコロイド状カルシウムという。
また、本発明では、リン酸基を有するアミノ酸を含有するペプチドをホスホペプチドという。
さらに、カゼインミセルは、カゼインが会合して溶液中で安定なミセル構造を形成しているものを指すが、本発明では、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを含有したカゼインミセルを含む画分をいい、次に述べる方法により調製する。
【0011】
カゼイン結合性カルシウムやコロイド状カルシウムは、次のような処理により得ることができる。まず、牛乳、山羊乳、水牛乳、羊乳等の哺乳動物の乳から、カゼインミセルを調製する。例えば、カゼインミセルとしてレンネットカゼインを調製する場合、常法に従い、pH 5.5以上の脱脂乳に適当量のレンネットを添加して乳を凝固させた後、カードナイフで細かくカットする。次に、カットしたカードを加温し、静置した後、ホエーを排除する。そして、カードに水を加えて数分間攪拌し、カードを洗浄した後、静置して水を排除するという操作を2〜3回実施し、レンネットカゼインを得る。また、例えば、カゼインミセルとして乳糖及び可溶性ミネラルを除去したカゼインを調製する場合、常法に従い、pH 5.5以上の全乳や脱脂乳を限外濾過膜(分画分子量50,000Da以上) 、精密濾過膜、逆浸透膜等の膜で処理するか、あるいは電気透析することにより、乳糖及び可溶性ミネラルを除去したカゼインを得る。調製したカゼインミセル中には、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムが含まれている。
【0012】
次に、このようにして調製したカゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解する。蛋白質分解酵素としては、トリプシン、パンクレアチン、キモトリプシン、ペプシン、パパイン、プロナーゼ、サーモリジン等を用いることができる。カゼイン重量に対して 0.001〜2%量の蛋白質分解酵素を加え、15〜60℃で約5分〜100時間程度インキュベーションする。反応後80〜120℃で約2秒〜10時間程度加熱し、酵素反応を停止させる。
【0013】
次にpHを 5.4以下に調整し、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することにより、カゼインミセルからカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを分離し、回収する。pHを5.4以下に調整する方法としては、例えば酸を添加する方法や、乳酸菌を添加して乳酸発酵を利用する方法等が挙げられる。具体的には、カゼインミセルに塩酸等の無機酸や酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸を加えてpHを 5.4以下にする。この際、ホモミキサーやコロイドミル等を使用して団塊形成を防止すると共に、酸が均一に分散するよう十分に攪拌、混練、磨砕等を行う。
【0014】
カゼインミセルのpHを下げていくと、pHが 5.4付近で最初にコロイド状カルシウムが解離してくるが、カゼイン結合性カルシウムはまだ解離してこない。さらに、徐々にpHを下げて、pH を5.1以下にすると、カゼインに結合していたカルシウムは切断され、さらに、pHが 4.8付近でカゼイン結合性カルシウムは完全にカゼインから解離してくる。したがって、カゼイン結合性カルシウムとコロイド状カルシウムとをそれぞれ別々に分離し、回収したい場合には、上記したpHの違いによる解離作用を利用して、カゼイン結合性カルシウムやコロイド状カルシウムを分離し、回収することができる。カゼインミセルのpHを5.4以下にするのは、pH5.4でコロイド状カルシウムが解離してくるためで、pH5.4を超えるpH値ではコロイド状カルシウムが解離してこない。
【0015】
また、カゼイン結合性カルシウムとコロイド状カルシウムとを一緒に分離し、回収したい場合には、pHを 4.8以下に調整し、さらに、高速攪拌機等を使用して激しく分散処理した後、静置することにより、カゼインミセルからカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムが分離し、カゼインは水不溶性のまま沈澱するので、上清のみを回収することにより、容易にカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを分離し、回収することができる。
不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去するためには、酸処理後に遠心分離を行ってもよい。
【0016】
さらに、限外濾過膜で処理することにより、カゼインミセルからカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを分離し、回収することもできる。すなわち、カゼインミセルのpHを 5.4以下に調整し、攪拌して均一化した溶液を限外濾過膜(分画分子量50,000Da以下)で処理することにより、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムを分離し、透過側に回収することができる。なお、限外濾過膜で処理して得られるカゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムは、塩素イオン等の陰イオンを多く含んでいるので、電気透析等の処理により陰イオンを除去してカルシウム含量を高めると良い。
【0017】
不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去したカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液のpHを6.6以上になるように調整し、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホペプチドとでカルシウム複合体を形成させる。pHを6.6以上に調整する方法としては、例えば上記溶液にアルカリを添加する方法等が挙げられる。用いるアルカリとしては水酸化ナトリウムが好ましい。不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去した溶液のpHが6.6未満では、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホペプチドとのカルシウム複合体が形成し難い。
このような方法で製造されたカルシウム複合体は、通常は液状である。
このように、本発明の方法では、リン酸基を有するアミノ酸を含有するペプチドであるホスホペプチドを、カゼインミセルからカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを得るのと同一の工程の中で、いわゆるワンパスで得ることができ、ホスホペプチドを別の工程で製造したり、ホスホペプチドとカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを充分な攪拌により混合するという工程を省くことができ、極めて簡便である。
【0018】
本発明のカルシウム複合体は、必要に応じ、エバポレーターや限外濾過膜等で濃縮処理することにより得られる濃縮液として使用し、あるいは、噴霧乾燥や凍結乾燥の処理を行うことにより得られる粉末として使用すれば良い。なお、限外濾過膜や精密濾過膜等の膜で処理することにより、1価のイオンを除去したり、カルシウム複合体を形成していない遊離のカゼイン結合性カルシウムやコロイド状カルシウム、あるいは、ホスホペプチド等を除去することができるので、より高純度のカルシウム複合体を得ることができる。
次に、実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
【参考例1】
生乳を遠心分離して脱脂乳を調製し、この脱脂乳にレンネットを添加してカゼインミセルであるレンネットカゼインを調製した。
【0020】
【実施例1】
このレンネットカゼイン6.17gに、水 200mlを加え、ホモミキサーで懸濁しながらトリプシンを20mg加え、37℃で6時間反応させた。100℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、1N塩酸を加えてpHを 4.6に調整した。そしてさらに、30分間攪拌を継続した後、遠心分離(8,000rpm、15分)によって沈殿を除去してカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液を得た。この溶液を1N水酸化ナトリウムにてpHを9.0に調整し、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体溶液を得た。このカルシウム複合体溶液を、限外濾過膜(分画分子量30,000Da)で処理し、カルシウム複合体濃縮液を得た。その濃縮液を凍結乾燥して、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成した白色のカルシウム複合体粉末 1.65gを得た。
表1に、得られたカルシウム複合体粉末の成分組成(重量%)を示す。
【0021】
【表1】
─────────────────────
カルシウム 9.2%
無機リン 3.5%
有機リン 1.8%
─────────────────────
【0022】
【試験例1】
実施例1で得られたカルシウム複合体 3.37mgを純水1mlに溶解し、HPLCに供して分析した。また、カルシウム複合体の有機リン濃度が7mM になるよう調整したカルシウム複合体溶液 1mlに、EDTA Na・2HO 5mg及びEDTA Na・4HO 8mgを加えてカルシウム複合体を解離させたものについても、同様にしてHPLCに供して分析した。HPLCカラムは TSK−GEL G 3000SW (7.5mm×60cm、東ソー社製) を用い、流速 0.7ml/minとして、流出液を235 nmでモニターした。その結果を図1に示す。
【0023】
これによると、実施例1で得られたカルシウム複合体のピーク(I) は、単量体のホスホペプチドのピーク(II)と別の位置にある(図1、A参照)。カルシウム複合体をEDTA処理すると、カルシウム複合体のピーク(I)が消失する(図1、B参照)。これは、強力なキレート剤であるEDTAによりカルシウムがカルシウム複合体から解離するためであり、その分、単量体のホスホペプチドのピーク(II)が増加している。このことから、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成したカルシウム複合体を確認することができる。
【0024】
【実施例2】
参考例1で得られたレンネットカゼイン6.17gに、水 200mlを加え、ホモミキサーで懸濁しながらトリプシンを20mg加え、37℃で6時間反応させた。100℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、1N塩酸を加えてpHを 5.1に調整した。そしてさらに、30分間攪拌を継続した後、遠心分離(8,000rpm、15分)によって沈殿を除去してカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液を得た。この溶液を1N水酸化ナトリウムにてpHを9.0に調整し、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体溶液を得た。このカルシウム複合体溶液を、限外濾過膜(分画分子量30,000Da)で処理し、カルシウム複合体濃縮液を得た。その濃縮液を凍結乾燥して、カゼイン結合性カルシウム及びコロイド状カルシウムとホスホペプチドとが複合体を形成した白色のカルシウム複合体粉末1.35gを得た。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、エタノールを用いないので費用が安価であり、さらに、リン酸基を有するアミノ酸を含有するペプチドであるホスホペプチドを、カゼインミセルからカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを得るのと同一の工程の中で得ることができるので、ホスホペプチドを別の工程で製造する必要がなく、しかも、ホスホペプチドとカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムを充分な攪拌により混合するという工程を省くことができ、極めて簡便である。
さらに、本発明の製造法によって製造したカルシウム複合体は、生体内での吸収性や利用性に優れているという特徴を有するので、カルシウム剤として、医薬、飲食品、あるいは飼料に配合してカルシウムを強化することができ、骨粗鬆症、骨折、リュウマチ、関節炎、腰痛等、種々の骨疾患の予防や治療に有用である。
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたカルシウム複合体、及び実施例1で得られたカルシウム複合体をEDTA処理して解離させたもののHPLC分析結果を示す。
【符号の説明】
A:実施例1で得られたカルシウム複合体のHPLCチャート
B:実施例1で得られたカルシウム複合体をEDTA処理して解離させたもののHPLCチャート
(I):カルシウム複合体のピーク
(II):ホスホペプチドのピーク

Claims (2)

  1. カゼインミセルを蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH5.4以下にし、不溶性のペプチドと未分解のカゼインを除去することによって得られるカゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとを含有する溶液をpH6.6以上に調整することを特徴とする、カゼイン結合性カルシウム及び/又はコロイド状カルシウムとホスホぺプチドとが複合体を形成しているカルシウム複合体の製造法。
  2. 蛋白質分解酵素で加水分解した後、pH4.8以下にする請求項1記載のカルシウム複合体の製造法。
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