JP2004215514A - 有機物固定化基体 - Google Patents

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秀則 塩塚
Takeshi Imamura
剛士 今村
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毅 野本
Tetsuya Yano
哲哉 矢野
Hiroshi Okura
央 大倉
Toru Den
透 田
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Abstract

【課題】有機物固定化基体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】部材11と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層12を有する基体、及び前記カ−ボン層12と親和性を有する結合ドメイン15を含み、該カ−ボン層12の少なくとも一部に固定されている有機物とを有する有機物固定化基体。部材と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体を用意する工程、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含む有機物を、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定する工程とを有する有機物固定化基体の製造方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物が基体に固定化されている有機物固定化基体、その製造方法、及びそれらを用いた検出装置やバイオリアクターに関する。
【0002】
【従来技術】
近年、環境ホルモン、生体高分子などに代表される有機高分子を検出する装置開発が盛んに行われている。核酸やタンパク質等の生体高分子の場合、分子が有する分子認識の選択性を産業的に利用した検出装置の開発が行われている。なかでも、デオキシリボ核酸(以下DNAと記す)の塩基配列依存の相補的水素結合を利用したDNAセンサ−チップ、抗原抗体反応に代表されるタンパク質分子と低分子またはタンパク質分子同士など抗体の特異的な分子認識能を利用して血液中に溶出する疾病マ−カ−等を検出する抗体センサ−、糖尿病患者のためのグルコ−スセンサ−に代表される酸化還元酵素や加水分解酵素を用いた酵素センサ−等のバイオセンサ−の研究開発が進められている。
【0003】
これら生体高分子を応用したバイオセンサ−の製品群は、基板にDNAなどの核酸分子や抗体・酵素等のタンパク質を基板または担体に固定化して使用されるのが一般的である。
【0004】
基板に対して有機高分子、特にタンパク質等の生体高分子の固定化方法としては、基板をタンパク質溶液に浸漬または塗布した後に乾燥することでタンパク質を基板上に固定化する物理吸着法や、基板またはタンパク質分子を化学修飾した後に双方を化学結合により固定化する化学結合法、ゲル等の網目状組織を有するポリマ−構造体中にタンパク質を包括し固定化する方法等が知られている。
【0005】
物理吸着法の一例としては、特開平06−003317号公報には、導電性基板上に有機電荷移動錯体層を形成し、さらに前記有機電荷移動層上にタンパク質溶液を塗布した後に乾燥させることでタンパク質を固定化する物理的吸着法による酵素電極作製方法が開示されている。
【0006】
化学結合法の一例としては、Sensor and Actuators B15−16 p127(1993)には白金蒸着したシリコン基板表面をアミン系シランカップリング剤処理した後にグルタルアルデヒド等架橋剤を用いて化学的結合による固定化する方法が開示されている。
【0007】
ゲルポリマ−などによる包括法の一例としては、特表2001−518315号公報において、酵素をポリ(ヒドロキシエチルメタクリレ−ト)のような網状組織を有するポリマ−の「ゲル」に包括する技術を開示している。
【0008】
しかしながら、前記のような物理吸着や架橋反応による化学的結合による生体高分子の固定化は、特に酵素や抗体等のタンパク質の場合、基板との結合に関与するタンパク質側の結合部位に対しての選択性が極めて低い。つまり、基板との結合に関与するタンパク質の部位が無作為に選択される為、目的の化合物の結合や酵素活性等に関わるの直接的な部位もしく間接的に関わる部位が基板との結合部位となり、活性が著しく低下することが懸念される。
【0009】
また、包括法な場合、例えばゲル包括されたタンパク質は常にあらゆる角度からゲル分子と種々の相互作用を受けており、その結果、タンパク質の分子認識能に必要な高次構造の柔軟性を損ったり、結合時の結合部位の構造変化の速度が低下することによる分子認識能を十分に発揮することができず、バイオセンサ−の感度を低下させることが懸念される。
【0010】
また、昨今のバイオセンサ−の要求品質のひとつに、μ−TASに代表される“高感度且つ小型化“が挙げられる。限られた面積の中で分子認識能を有する活性な生体高分子を固定化する高配向・高集積できる技術が必要となっている。
【0011】
生体高分子を高集積化する方法としては、基板を生体高分子を比表面積が大きいナノレベルでの規則的な細孔構造を有する多孔体を採用すること一般的に知られている。
【0012】
ナノオ−ダ−スケ−ルでの規則性を有する細孔構造形成の従来法としては、ポリマ−加工したメンブレンフィルタ−や、ポ−ラスガラス等が知られている。しかし、これらは直行する細孔がほぼ等間隔に平行して形成されるハニカム構造の形成や、細孔径、細孔間隔、細孔深さを制御することが極めて難しい。その為、微量物質を対象とした生体高分子固定化基板とした場合には定量性において十分とは言い難い。しかし、アルミニウムを陽極酸化して得られる陽極酸化アルミナ層は、電解することである程度制御されたハニカム構造を作製する事が知られている。また、この細孔は陽極酸化時の電圧によって孔間隔、時間によって孔の深さ、さらに得られる孔径は浴組成、浴温、電圧などに制御できることが知られている。このような多孔体の孔特性を制御できる陽極酸化アルミナ層は、微量物質を対象とした生体高分子固定化基板としては利用することが期待される。
【0013】
このような多孔性基板に生体高分子を固定化して得られた基板を利用して生体試料の微量物質を検出する方法の具体例として、前記基板を電極のひとつとして電気化学反応を用いた電極電子移動に伴なう電流値を測定する方法がある。
【0014】
しかしながら、前記陽極酸化アルミナ層に直接固定化したのでは電極として十分な特性を得ることが難しい。前記陽極酸化アルミナ層をセンサ−電極として使用する方法として、特開2000−314714号公報に基板上に導電性層、多孔体、カ−ボン層を順次設け、前記カ−ボン層を前記導電性基板と電気的に接続する方法が開示されている。これによれば、電位窓を従来の電極より大きくするとともにバックグランド電流と残余電流を抑制することができる技術が開示されている。
【0015】
このようなカ−ボン層等の導電層を表面に有する多孔体基板に分子認識能を十分に発揮できる活性なタンパク質を固定化方法を確立することで、バイオセンサ−の要求品質のひとつである“高感度且つ小型化“が達成できる可能性がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このような分子認識能を十分に発揮できる活性な生体高分子を固定化できる効率が低い場合、要求品質である“高感度且つ小型化“を実現するには問題が多い。例えば、感度を維持する為には活性型の生体高分子の数量を確保しなければならず、タンパク質をはじめとする生体高分子を固定する領域の面積を増やさなければならず装置小型化の妨げになる。さらに、高価な生体高分子材料を大量に使用しならずコストの面においても製品化する上で大きな問題となる。活性なタンパク質を固定化できる高配向技術が求められている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決すべくなされた本発明の構成を以下の通りである。
本発明に係る有機物固定化基体は、部材と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有することを特徴とする。
【0018】
前記有機物は、例えば前記結合ドメインと機能ドメインを有する有機高分子である。
前記有機高分子は、例えば生体高分子である。
【0019】
また、本発明に係る検出装置は、部材と、該部材表面にカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有する有機物固定化基体を備えていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るバイオリアクターは、部材と、該部材表面にカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有する有機物固定化基体を備えていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る有機物固定化基体の製造方法は、部材と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体を用意する工程、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含む有機物を、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定する工程とを有することを特徴とする。
【0022】
前記結合ドメインの少なくとも一部のアミノ酸配列は、例えば
Trp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser(配列番号:10)、
Asn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:11)、
Trp−His−Trp−Ser−Trp−Thr−Pro−Trp−Pro−Ser−His−His(配列番号:12)、
Trp−Pro−Trp−Ala−Trp−His−Pro−Ser−Arg−Asp−Val−Tyr(配列番号:13)、
Trp−His−Gly−Tyr−Trp−Tyr−Ser−Asn−Leu−Asn−Thr−Thr(配列番号:14)、
Trp−Trp−Thr−Pro−Trpmet−Ser−His−Ala−Tyr−Pro−Val(配列番号:15)、
Trp−Pro−Asn−Pro−Tyr−Trp−Gly−Trp−Phe−AlAala−Val(配列番号:16)、
Thr−Ser−Trp−His−Thr−Trp−Trp−Trp−Arg−Gln−Pro−Pro(配列番号:17)、
Asn−Ala−Trp−His−Lys−Tyr−Trp−Trp−Pro−Ile−Thr−Lys(配列番号:18)、
His−Pro−Asn−Asn−Asp−Trp−Ser−Lys−Ala−Pro−Gln−Phe(配列番号:19)、
Trp−Trp−Thr−Pro−Gln−Pro−Trp−Trp−Ser−Phe−Pro−Ile(配列番号:20)、
Trp−Pro−His−Thr−Ser−Trp−Trp−Gln−Thr−Pro−Leu−Thr(配列番号:21)、
Trp−His−Val−Asn−Trp−Asp−Pro−Met−Ala−Trp−Tyr−Arg(配列番号:22)、
Ser−Trp−Pro−Trp−Trp−Thr−Ala−Tyr−Arg−Val−His−Ser(配列番号:23)、
Trp−His−Ser−Asn−Trp−Tyr−Gln−Ser−Ile−Pro−Gln−Val(配列番号:24)、
Gly−Tyr−Trp−Pro−Trp−Lys−Phe−Glu−His−Ala−Thr−Val(配列番号:25)、
Ala−Trp−Trp−Pro−Thr−Thr−Phe−Pro−Pro−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号:26)、
Asn−Pro−Trp−Trp−Ser−His−Tyr−Tyr−Pro−Arg−Ser−Val(配列番号:27)、
Trp−Pro−His−Asn−Tyr−Pro−Leu−Asn−His−Ser−Asn−Pro(配列番号:28)、
Thr−Trp−Ala−His−Pro−Leu−Glu−Ser−Asp−Tyr−Leu−Arg(配列番号:29)、
His−Thr−Tyr−Tyr−His−Asp−Gly−Trp−Arg−Leu−Ala−Pro(配列番号:30)、
Thr−Phe−Val−Gln−Thr−Pro−Leu−Ser−His−Leu−Ile−Ala(配列番号:31)、
Arg−Val−Pro−Pro−Ser−Lys−Leu−Thr−Arg−Pro−Pro−Phe(配列番号:32)、
His−Ser−Ile−Tyr−Ser−Val−Thr−Pro−Ser−Thr−Ala−Ser(配列番号:33)、
Leu−Asn−Thr−Gln−Asn−His−Ala−Pro−Leu−Pro−Ser−Ile(配列番号:34)、
からなる群より選ばれた少なくとも1つの全部または一部である。
【0023】
前記結合ドメインのアミノ酸配列がTrp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser(配列番号:10)の全部または一部であってもよい。
【0024】
前記結合ドメインのアミノ酸配列がAsn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:11)の全部または一部であってもよい。
前記部材の少なくとも一部に多孔体を備え、該多孔体の孔の少なくとも一部の孔表面にカ−ボン層が形成されていてもよい。
【0025】
前記多孔体の孔径は、例えば10乃至1000nmである。
前記部材と前記カ−ボン層が電気的に接続していてもよい。
【0026】
また、本発明に係る有機物固定化基体の製造方法は、孔を備え、該孔表面にカ−ボン層が形成されている部材を用意する工程、及び該カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを有する有機物を該孔表面に固定する工程を有することを特徴とする。
【0027】
また本発明は、少なくとも一つの面の少なくとも一部にカ−ボン層を有する基板において、前記カ−ボン層上の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも一以上の化合物を結合または変換する機能ドメインと前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインから構成されることを特徴とする有機高分子固定化基板を含む。
【0028】
これにより、有機高分子の目的の化合物の結合部位または変換部位と異なる、独立した部位を選択的に基板に固定化することが可能となる。従来問題であった固定化による有機高分子の所望の機能における活性低下を抑制することができる。また、電位窓が広く、且つ水素過電圧が小さい為、生体高分子を始めとする有機高分子等の化合物の計測に適した装置とすることができる。
【0029】
更に、前記有機高分子がタンパク質からなり、少なくとも前記機能ドメインと前記結合ドメインから構成される融合タンパク質であることを特徴とする。
更に、前記結合ドメインが一以上のアミノ酸分子またはそれらの複合体から成ることを特徴とする。
【0030】
これらにより、前記機能ドメインと前記結合ドメインを有する有機高分子を遺伝工学的な操作により測定条件や種々の阻害因子の影響を踏まえた最適設計することが可能となり、化合物結合部位の活性を損なうことなく、結合ドメインを融合したタンパク質を得ることができる。
【0031】
更に、前記基板と前記カ−ボン層の間の少なくとも一部に多孔体が配され、前記多孔体の細孔の少なくとも一部の細孔表面にカ−ボン層を配され、前記孔表面の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも一以上の化合物を結合または変換する結合ドメインと前記カ−ボン層と結合するドメインから構成されることを特徴とする。
更に、前記多孔体が孔径が10乃至1000nmで形成されることを特徴とする。
【0032】
これにより、比表面積を大幅に増加することができ、単位面積あたりの固定化される有機高分子数を多くすることができる。また、有機高分子が固定化された孔内部の分子認識反応場に侵入する分子を大きさにより選択することができ、更には、平板に有機高分子を固定した場合に比べ、一つ一つの反応場の体積が縮小される。これにより、反応場内での化合物が有機高分子と結合するために必要な平均移動距離を大幅に短縮でき、分子認識反応効率を向上することが期待できる。
【0033】
更に、前記基板と前記カ−ボン層が電気的に接続していることを特徴とする。
これにより基板を介して、化合物結合前後での固定化された有機高分子の電気特性を測定することが可能となり、装置設計を比較的簡素化することができる。
更には、多孔体内部のみにカ−ボン層を設け、その上に有機高分子を設け、分子認識反応場を孔内の環境に限定することにより感度を更に向上させることが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
なお、以下では有機物として有機高分子を例に挙げ説明するがこれに限定されるものではない。
【0035】
本発明に係る有機物固定化基体は、部材(例えば以下に示す基板。)と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有することを特徴とする。ここで、結合ドメインとは、カーボン層と選択的にくっつく(固定化される)機能を有する部位のことである。
【0036】
図1は、本発明の基板表面上の少なくとも一部にカ−ボン層を有するカーボン被覆基板の一実施形態を示す断面図である。
図中、11は基板、12はカ−ボン層、13は有機高分子、14は前記機能ドメイン、15は結合ドメインである。
【0037】
基板11としては、従来公知の種々の材料から選択して用いることができるが。基板11を電極として使用したり、基板11上に設けるカ−ボン層12をCVDで蒸着して設ける場合、基板11は導電性基板が好ましい。具体的には、SiやPt、Au、Ni、Cu、Ag、Nb、Al等の金属類を少なくとも1種から選ばれる金属またはそれらの合金及びこれらの材料からなる積層基板からなる導電性基板や非導電性基板上に上記金属材料層を設けた積層基板をから適宜選択して用いることができる。
【0038】
また、本発明の一形態として基板表面上の少なくとも一部に多孔体を配した基板を使用してもよい。多孔体を配した基板としては、従来既知の種々の多孔体を基板上に配することができる。より好ましくは、陽極酸化法を用いて形成されるアルミナナノホ−ルである。陽極酸化法によって得られたアルミナ多孔体の細孔はナノオ−ダ−で作製することが可能で有り、細孔の凹凸による有機高分子を固定化するための比表面積増大させことができ、さらには細孔作製条件により細孔径の制御することが容易であり固定化する有機高分子の外径および検出の対象となる固定化された有機高分子を介した結合または変換反応の反応効率に応じた設計を可能とする。尚、本発明における多孔体は上記した陽極酸化法に限られるものではない。
【0039】
カ−ボン層12は、カ−ボンブラックをメタノ−ル等の揮発性溶媒に分散させたカ−ボンブラック溶液を基板上に従来既知の方法によりコ−トし、溶剤を乾燥することで形成することができる。より好ましくはCVD法等炭化水素を気相炭化させる方法を用いることができる。炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、ベンゼン等の常温で気体であるものがより適している。CVDで形成する場合、高温での熱膨張率および溶解を考慮して基板材料を適時選択することが好ましい。カ−ボン層2の厚みについては、基板が平板の場合、所望の導電性等本発明に求める特性を考慮し設計することが好ましい。前記のような基板の少なくとも一部に多孔体部分を含む場合、多孔体の細孔内に有機高分子が導入できるように細孔の内径と固定化する有機高分子の直径を更に考慮に加えカ−ボン層厚を設計することが好ましい、この場合のようにナノオ−ダ−の層厚を形成する場合はCVD法などで行うことが好ましい。また、カ−ボン層を導電層とすることにより酵素電極等に使用される金や白金に比べ材料コストを削減できる。
【0040】
有機高分子13は、少なくとも一以上の目的の化合物を結合する結合能や一以上の化合物を目的の物質に変換する変換能等の機能を発揮する機能ドメインと前記カーボン層と親和性を有する結合ドメインから構成される。
【0041】
有機分子13は、従来既知の化合物から選択して用いることが可能ではあるが、塩基、核酸分子、アミノ酸またはタンパク質、糖鎖および糖鎖−タンパク質複合体から少なくとも一種類以上選択されることが望ましく。本発明においては、タンパク質もしくはタンパク質を含む複合体であることがより望ましい。
【0042】
核酸分子としては、デオキシリボ核酸分子、リボ核酸分子等が挙げられる。これの核酸分子に捕捉される化合物としては、核酸物質とそれ以外の物質に大別できる。化合物が核酸である場合、DNAチップに代表されるように各々の塩基配列に由来する塩基間の相補的な結合によって捕捉される。
【0043】
一方、核酸分子の立体構造に由来する分子認識能も最近は注目されている。これらの核酸分子はアプタマ−と総称され、SELEX法に代表される分子進化工学的手法により得ることが可能である。このようにして得られた化合物の認識能を有する核酸分子を固定することも可能である。
【0044】
このようなDNAを始めとする核酸分子の優れた分子認識能を本発明に利用して、少なくとも一以上の化合物を結合または変換する結合ドメインと前記カ−ボン層と結合するドメインから構成される分子認識分子として本発明に利用することもできる。
【0045】
本発明に利用するタンパク質分子としては、酵素、抗体、レセプタ−分子、または足場タンパク質分子が挙げられる。
本発明の有機高分子13がタンパク質である場合、有機高分子13は少なくとも前記機能ドメイン14と前記結合ドメイン15aから構成される融合タンパク質が好ましい。
【0046】
機能ドメイン14としては、従来既知の酵素分子、抗体分子および抗体断片分子、レセプタ−分子等から目的の化合物との親和性や環境安定性などを考慮して選択して用いることができる。
【0047】
抗体分子としては、抗原物質を被検体動物に導入し、その免疫反応の結果産出される免疫抗体や前記免疫抗体の構造を部分的もしくは全体的に遺伝工学的に改変された組換え抗体から適宜選択される免疫グロブリンから用いることができる。これら抗体は、モノクロ−ナルまたはポリクロ−ナルであってもよい。これら抗体は、任意の免疫グロブリンクラスに含まれ、以下のヒトIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEから選択できる。中でも、IgGクラス誘導体が、より好ましい。
【0048】
抗体断片分子としては、Fab、Fab’、F(ab’)2等が挙げられる。
例えば、Fab断片分子は、抗体グロブリンのパパイン分解によって得られる抗体断片分子とほぼ同じな断片分子である。F(ab’)2は、抗体グロブリンのペプシン分解によって得られる抗体断片分子とほぼ同じな断片分子である。
【0049】
このような抗体断片分子は、抗体グロブリンを前述のように酵素的または化学的分解する方法や、遺伝子工学的に産出する方法がある。好適に選択して用いることが可能である。本件で記した細孔内においては、これらの抗体断片分子中でも抗体が抗原を認識する為に最小必要単位である可変領域部(Fv)を構成する重鎖部(VH)、軽鎖部(VL)を互いにペプチド等をリンカ−にして結合して作製したscFv(single chain Fv)を用いてもよい。
【0050】
結合ドメイン15としては、足場タンパクやカ−ボン層12と特異的に結合するタンパク質もしくはアミノ酸配列から選択して使用することができる。本発明の結合ドメイン15として、好ましい一形態はカ−ボン層2に親和性を有する一以上のアミノ酸である。前記一以上のアミノ酸は、ランダムペプチドライブラリのスクリ−ニングによって決定されたアミノ酸配列もしくはカ−ボン層の化学的性質により合理的に設計されたアミノ酸配列である。
【0051】
本発明に用いられるランダムペプチドライブラリとしては、ランダムペプチドを可溶性の形で化学的に合成したランダム合成ペプチドライブラリ−や、樹脂ビ−ズ上で合成した固相固定化ペプチドライブラリ−、化学合成されたランダム配列のDNAをリボソ−ム無細胞系で生合成したペプチドライブラリ、例えばM13 系ファ−ジの表面蛋白質(例えばgeneIII 蛋白質)のN末端側遺伝子にランダム合成遺伝子を連結して調製されたファ−ジディスプレイペプチドライブラリ−、同様の手法で細菌の層タンパク質、Omp A(Francisco ら、1993、PNAS、90、10444−10448あるいはPistor と Hoborn、1989、Klin.Wochenschr.、66、110−116)、PAL(Fuchs ら、1991、Bio/Technology、9、1369−1372)、Lamb(Charbit ら、1988、Gene、70、181−189 及び Bradbury ら、1993、Bio/Technology、1565−1568)、フィンブリン(HedegAard と KlemM、1989、Gene、85、115−124 及び Hofnung、1991、Methods CelLBiol.、34、77−105)、およびIgAプロテア−ゼβ領域(Klauser ら、1990、EMBO J.、9、1991−1999)に融合して提示したランダムペプチドライブラリ、などを挙げることができる。
【0052】
これらのランダムペプチドライブラリを用いてカ−ボン層に対して親和性を有するアミノ酸配列をスクリ−ニング手法としては、化学合成ペプチドライブラリを用いる場合には、ペプチドライブラリとカ−ボン層2と同じ材料からなるカ−ボン被覆したカラムやプレ−ト等担体または基板とを接触させ、カ−ボン層に対して親和性を有しないペプチドを除き、しかる後にカ−ボン層に結合しているペプチドを回収しエドマン分解等を用いてそのアミノ酸配列を決定する。
【0053】
一方、ファ−ジディスプレイペプチドライブラリ−を用いる場合には、前記カ−ボン被覆担体や前記カ−ボン被覆基板表面に、上記のライブラリ−を添加することによって接触させ結合ファ−ジを残し非結合ファ−ジは洗浄で洗い流す。洗浄後残ったファ−ジを酸などにより溶出し緩衝液で中和した後大腸菌に感染させファ−ジを増幅する。この選別を複数回繰り返すと目的のカ−ボン層に親和性のある複数のクロ−ンが濃縮される。ここで単一なクロ−ンを得るため再度大腸菌に感染させた状態で培地プレ−ト上にコロニ−を作らせる。それぞれの単一コロニ−を液体培地で培養した後、培地上清中に存在するファ−ジをポリエチレングリコ−ル等で沈殿精製し、その塩基配列を解析すればペプチドの構造を知ることができる。
【0054】
ファ−ジディスプレイペプチドライブラリを用いたカ−ボン層に対して親和性を有するペプチドのスクリ−ニングは、カ−ボン層に対してより強く結合するファ−ジを濃縮する、いわゆるパンニング操作を含んでいるために、より信頼性のあるペプチド候補を選別できるので本発明に好適に用いることができる。ファ−ジランダムペプチドライブラリ−を構築する方法としては、例えばM13 系ファ−ジの表面蛋白質(例えばgeneIII 蛋白質)のN末端側遺伝子にランダム合成遺伝子を連結し作製すれば良い。その方法としてはScott、JK.and Smith、GP.、Science Vol.249、386、1990、やCwirla、SE et al.、Proc.Natl.Acad.Sci. USA Vol.87、6378、1990等の報告がある。挿入する遺伝子の大きさはペプチドが安定に発現できれば特に制限はないが、作製したライブラリ−がすべてのランダム配列を網羅し、しかも親和性を有するためには6から40アミノ酸に相当する長さ(分子量約600から4000に相当)が適当で、中でも7から18アミノ酸が好ましい。
【0055】
ファ−ジディスプレイペプチドライブラリのスクリ−ニングによって、カ−ボン層に対して親和性を有するペプチドが、二種類以上得られた場合には、これらのペプチドからなる群より選ばれた少なくとも1つのペプチドの、全部または一部分のアミノ酸配列を適当な組合せで直列に繋いだ配列を、カ−ボン層に対して親和性を有するペプチドとして用いても良い。この際、二種類のアミノ酸配列の間には適当なスペ−サ−配列を設けることが望ましい。スペ−サ−配列としては、約3〜約400アミノ酸が好ましく、また、スペ−サ−配列はいかなるアミノ酸を含んでもよい。最も好ましくは、スペ−サ−配列は、前記機能ドメインの機能を妨害せず、また、有機高分子がカ−ボン層に結合するのを妨害しないものである。
【0056】
本発明のカ−ボン層に対する親和性を有するアミノ酸配列は、ランダムペプチドライブラリのスクリ−ニングによって決定されたアミノ酸配列の他、カ−ボン層の化学的性質により合理的に設計されたアミノ酸配列とすることもできる。
カ−ボン層に対する有機高分子の固定化は、前記機能ドメインに融合され提示された前記結合ドメイン15中の前記操作により得られたカ−ボン層に対する親和性を有するアミノ酸配列(以下、カ−ボン層親和性部位15a)を介して成される。
【0057】
主に表面が非極性であるカ−ボン層2、例えば前記グラファイトなどの炭素結晶からなる無機材料として用いる場合には、前記機能ドメイン14に融合され提示される前記カ−ボン層親和性部位15aとしては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリンなどの遊離の疎水性基を有するアミノ酸を多く含んだ配列を選ぶことによって、疎水吸着によって前記機能ドメイン14をカ−ボン層2に固定化することができる。
【0058】
上記方法により得られた前記カ−ボン層親和性部位15aは、通常の遺伝子工学的手法を用いて、前記機能ドメイン14に融合して利用される。前記カ−ボン層親和性部位は前記機能ドメイン14のN末端あるいはC末端に連結して発現することができる。また適当なスペ−サ−配列を挿入した結合ドメインとして発現することもできる。
【0059】
スペ−サ−配列としては、約3〜約400アミノ酸が好ましく、また、スペ−サ−配列はいかなるアミノ酸を含んでもよい。最も好ましくは、スペ−サ−配列は、前記機能ドメイン14が機能するのを妨害せず、また、前記機能ドメイン14がカ−ボン層12に結合するのを妨害しないものである。
【0060】
前記ファ−ジディスプレイペプチドライブラリのスクリ−ニングなどの操作によって、カ−ボン層に対して親和性を有するペプチドが、二種類以上決定された場合には、これらのペプチドをそれぞれ個別に前記機能ドメインに融合した、複数種類の前記機能ドメインを、混合物として本発明に用いることができる。
【0061】
前記機能ドメイン14と前記結合ドメインに含まれるカ−ボン層親和性部位15から構成される融合タンパク質の分離・精製方法は、前記前記機能ドメインの酵素活性が保持される方法であればいかなる方法をも用いることができる。
【0062】
前記カ−ボン層2に前記有機高分子13を結合ドメインに含まれるカ−ボン層親和性部位15aを介して固定化する工程は、前記有機高分子13を水性媒体中でカ−ボン層2と接触させることにより達成される。
【0063】
本工程の固定化用水性媒体の組成は、有機高分子13が行う目的化合物の結合または変換反応を妨げないものであればよいが、後の工程の省略化を図るために、前記結合または変換反応活性を発揮させ得る組成としておくこともできる。ここで、活性を発揮させ得る組成として、例えば緩衝液を用いることができる。緩衝液としては、生化学的反応に用いられる一般的な緩衝液、例えば、酢酸バッファ−、リン酸バッファ−、リン酸カリウムバッファ−、3−(N−モルフォリノ)プロパンスルフォン酸(MOPS)バッファ−、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルフォン酸(TAPS)バッファ−、トリス塩酸バッファ−、グリシンバッファ−、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルフォン酸(CHES)バッファ−などが好適に用いられる。PHA合成酵素の活性を発揮させ得る緩衝液の濃度は、一般的な濃度、即ち5mMから10Mの範囲で使用することができるが、望ましくは10〜200mMで行うことが好ましい。また、pHは5.5から9.0、好ましくは7.0から 8.5となるように調製する。
【0064】
有機高分子13のカ−ボン層2への固定化は、カ−ボン層2と有機高分子13を所定の水性媒体中で所定の濃度となるように混合することによって達成される。このとき、有機高分子13のカ−ボン層親和性部位15aがカ−ボン層の表面に均等に吸着されるよう、反応容器を適当な強度で振盪あるいは攪拌することが望ましい。
【0065】
上記固定化処理において、水性媒体の組成としては、水性媒体のpHや塩濃度によってカ−ボン層およびカ−ボン層親和性部位15aの表面電荷の電荷量、疎水性が変化するので、それを考慮した組成とするのが望ましい。例えば、塩濃度を上げることによって両者の疎水性を増やすことができる。
【0066】
また、予め電気泳動やぬれ角等を測定し、カ−ボン層2やカ−ボン層親和性部位15aの疎水性を調べることで、吸着に適した組成を設定することもできる。さらに、カ−ボン層2とカ−ボン層親和性部位15aとの吸着量を直接測定して組成を求めることもできる。吸着量の測定は、例えば、ある一定面積のカ−ボン層に濃度既知の有機高分子13を添加し、吸着処理を行った後、溶液中の有機高分子13の濃度を測定し、差し引き法により吸着量を求める等の方法を用いればよい。
【0067】
上記方法により作製された固定化有機高分子基板は、そのままでも用いることができるが、さらに凍結乾燥等を施した上で使用することもできる。有機高分子の固定化処理を行う時間は1分から48時間が望ましく、より望ましくは10分から3時間である。過剰な静置あるいは放置は有機高分子の所望の機能活性低下を招くので好ましくない。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の有機高分子固定化基板の構成について、実施例によって具体的に説明する。
【0069】
本実施例では、本発明の有機高分子の機能ドメインとしてPHA合成酵素、結合ドメインとしてカーボン層親和性ペプチドとしたカ−ボン層親和性ペプチドを融合したポリヒドロキシアルカネ−ト(PHA)合成酵素により作製した有機高分子固定基板及びその製造方法の例を示す。
【0070】
まず、(参照)にて本発明のカ−ボン層親和性ペプチドを融合したPHA合成酵素の比較を行う為のPHA合成酵素の調整方法及びその酵素活性測定方法について示す。
【0071】
次に、実施例1乃至7において、本発明のカ−ボン層親和性ペプチドとその取得方法、更にはカ−ボン層親和性ペプチドを融合したポリヒドロキシアルカネ−ト(PHA)合成酵素により作製した有機高分子固定基板及びその製造方法の例を示す。
なお、本発明はこれらの実施例の内容に限定されるものではない。
(参照)PHA合成酵素生産能を有する形質転換体の作製、及びPHA合成酵素の生産
【0072】
PHA合成酵素生産能を有する形質転換体を以下の方法で作製した。即ちYN2株を100 mlのLB培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、pH7.4)で30℃、一晩培養後、マ−マ−らの方法により染色体DNAを分離回収した。得られた染色体DNAを制限酵素Hind IIIで完全分解した。ベクタ−にはpUC18を使用し、制限酵素Hind IIIで切断した。末端の脱リン酸処理(Molecular Cloning、1、572、(1989); Cold SpringHarbor Laboratory出版)ののち、DNAライゲ−ションキットVer. II(宝酒造)を用いて、ベクタ−の切断部位(クロ−ニングサイト)と染色体DNAのHind III完全分解断片とを連結した。この染色体DNA断片を組み込んだプラスミドベクタ−を用いて、大腸菌(Escherichia coli)HB101株を形質転換し、YN2株のDNAライブラリ−を作製した。
【0073】
次に、YN2株のPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を選択するため、コロニ−・ハイブリダイズ用のプロ−ブ調製を行った。配列番号:5および配列番号:6の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し(アマシャムファルマシア・バイオテク)、このオリゴヌクレオチドをプライマ−に用いて、染色体DNAをテンプレ−トとしてPCRを行った。PCR増幅されてきたDNA断片をプロ−ブとして用いた。プロ−ブの標識化は、市販の標識酵素系AlkPhosDirect(アマシャムファルマシア・バイオテク)を利用して行った。得られた標識化プロ−ブを用いて、YN2株の染色体DNAライブラリ−からコロニ−ハイブリダイゼ−ション法によってPHA合成酵素遺伝子を含む組換えプラスミドを有する大腸菌菌株を選抜した。選抜した菌株から、アルカリ法によってプラスミドを回収することで、PHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を得ることができた。
【0074】
ここで取得した遺伝子DNA断片を、不和合性グル−プであるIncP、IncQ、あるいはIncWの何れにも属さない広宿主域複製領域を含むベクタ−pBBR122(MoBi Tec)に組み換えた。この組み換えプラスミドをシュ−ドモナス・チコリアイYN2ml株(PHA合成能欠損株)にエレクトロポレ−ション法により形質転換したところ、YN2ml株のPHA合成能が復帰し、相補性を示した。従って、選抜された遺伝子DNA断片は、シュ−ドモナス・チコリアイYN2ml株内において、PHA合成酵素に翻訳可能な、PHA合成酵素遺伝子領域を含むことが確認される。
【0075】
このPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片について、サンガ−法により塩基配列を決定した。その結果、決定された塩基配列中には、それぞれペプチド鎖をコ−ドする、配列番号:2および配列番号:4で示される塩基配列が存在することが確認された。下で述べるように、個々のペプチド鎖からなる蛋白質は、ともに酵素活性を有しており、配列番号:2および配列番号:4で示される塩基配列はそれぞれPHA合成酵素遺伝子であることを確認することができた。すなわち、配列番号:1に示すアミノ酸配列を配列番号:2の塩基配列はコ−ドしており、配列番号:3に示すアミノ酸配列を配列番号:4の塩基配列はコ−ドしており、この何れか一方のアミノ酸配列を有する蛋白質のみで、PHA合成能が発揮されることを確認した。
【0076】
配列番号:2で示される塩基配列のPHA合成酵素遺伝子について、染色体DNAをテンプレ−トとしてPCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を再調製した。
【0077】
配列番号:2で示される塩基配列に対して、上流側プライマ−となる、その開始コドンよりも上流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:7)および下流側プライマ−となる、終止コドンよりも下流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:8)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマ−として、染色体DNAをテンプレ−トとしてPCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0078】
同様に、配列番号:4で示される塩基配列のPHA合成酵素遺伝子についても、染色体DNAをテンプレ−トとしてPCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を再調製した。配列番号:4で示される塩基配列に対して、上流側プライマ−となる、その開始コドンよりも上流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:38)および下流側プライマ−となる、終止コドンよりも下流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:39)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマ−として、PCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0079】
次に、得られたPHA合成酵素遺伝子の完全長を含むPCR増幅断片を、それぞれについて制限酵素Hind IIIを用いて完全分解した。また、発現ベクタ−pTrc99Aも制限酵素Hind IIIで切断し、脱リン酸化処理(Molecular Cloning、1巻、572頁、1989年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)した。この発現ベクタ−pTrc99Aの切断部位に、両末端の不用な塩基配列を除いたPHA合成酵素遺伝子の完全長を含むDNA断片を、DNAライゲ−ションキットVer.II(宝酒造)を用いて連結した。
【0080】
得られた組換えプラスミドで大腸菌(Escherichia coli HB101:宝酒造)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた組換え体を培養し、組換えプラスミドの増幅を行い、組換えプラスミドをそれぞれ回収した。配列番号:2の遺伝子DNAを保持する組換えプラスミドをpYN2−C1(配列番号2由来)、配列番号:4の遺伝子DNAを保持する組換えプラスミドをpYN2−C2(配列番号4由来)とした。
【0081】
pYN2−C1、pYN2−C2で大腸菌(Escherichia coli HB101fB fadB欠損株)を塩化カルシウム法により形質転換し、それぞれの組換えプラスミドを保持する組換え大腸菌株、pYN2−C1組換え株、pYN2−C2組換え株を得た。
【0082】
pYN2−C1組換え株、pYN2−C2組換え株それぞれを酵母エキス0.5%、オクタン酸0.1%とを含むM9培地200mlに植菌して、37℃、125ストロ−ク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、常法によりプラスミドDNAを回収した。
【0083】
pYN2−C1に対して、上流側プライマ−となる、オリゴヌクレオチド(配列番号:5)および下流側プライマ−となる、オリゴヌクレオチド(配列番号:6)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマ−として、pYN2−C1をテンプレ−トとしてPCRを行い、上流にBamHIおよびSacI制限部位、下流にSpeIおよびXhoI制限部位を有するPHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0084】
同様にpYN2−C2に対して、上流側プライマ−となる、オリゴヌクレオチド(配列番号:9)および下流側プライマ−となる、オリゴヌクレオチド(配列番号:8)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。
このオリゴヌクレオチドをプライマ−として、pYN2−C2をテンプレ−トとしてPCRを行い、上流にBamHI制限部位、下流にXhoI制限部位を有するPHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0085】
精製したそれぞれのPCR増幅産物をBamHIおよびXhoIにより消化し、プラスミドpGEX−6P−1(アマシャムファルマシア・バイオテク社製)の対応する部位に挿入した。これらのベクタ−(pGEX−C1およびpGEX−C2)を用いて大腸菌(JM109)を形質転換し、発現用菌株を得た。菌株の確認は、Miniprep(Wizard Minipreps DNA Purification Systems、PROMEGA社製)を用いて大量に調製したプラスミドDNAをBamHI、XhoIで処理して得られるDNA断片により行った。得られた菌株をLB−Amp培地10mlで一晩プレ・カルチャ−した後、その0.1mlを、10mlのLB−Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4 ̄12時間培養を続けた。
【0086】
IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケ−ションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS−PAGEで確認した後、誘導され発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロ−ス4B(Glutathion SePHArose 4B beads: アマシャムファルマシア・バイオテク社製)で精製した。
【0087】
使用したグルタチオンセファロ−スは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロ−スを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。
前処理したグルタチオンセファロ−ス 40μLを、無細胞抽出液1ml に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST−YN2−C1およびGST−YN2−C2をグルタチオンセファロ−スに吸着させた。
【0088】
吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロ−スを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS−PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。
【0089】
各GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテア−ゼ(アマシャムファルマシア・バイオテク、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロ−スに通してプロテア−ゼとGSTを除去した。フロ−スル−分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質YN2−C1およびYN2−C2の最終精製物を得た。SDS−PAGEによりそれぞれ60.8kDa、および61.5kDaのシングルバンドを示すことを確認した。
【0090】
各精製酵素活性は以下の方法で測定した。
PHA合成酵素の活性測定は、3−ヒドロキシアシルCoAがPHA合成酵素の触媒作用により重合してPHAになる過程で放出されるCoAを、5、5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)で発色させて測定することを測定原理とする、以下に示す方法によって測定した。
【0091】
試薬1:ウシ血清アルブミン(Sigma社製)を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に3.0 mg/ml溶解、試薬2:3−ヒドロキシオクタノイルCoAを0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に3.0 mM溶解、試薬3:トリクロロ酢酸を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に10 mg/ml溶解、試薬4:5、5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に2.0 mM溶解。第1反応(PHA合成反応):試料(酵素)溶液100μlに試薬1を100μl添加して混合し、30℃で1分間プレインキュベートする。ここに、試薬2を100μl添加して混合し、30℃で1〜30分間インキュベートしたのち、試薬3を添加して反応を停止させる。第2反応(遊離CoAの発色反応):反応停止した第1反応液を遠心分離(15、000×g、10分間)し、この上清500μlに試薬4を500μl添加し、30℃で10分間インキュベートしたのち、412 nmの吸光度を測定した。
【0092】
酵素活性の算出:1分間に1μmolのCoAを放出させる酵素量を1単位(U)とする。
【0093】
また、試料中のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。各精製酵素の活性測定の結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
Figure 2004215514
【0095】
前記酵素を生体溶液試料濃縮剤(みずぶとりくんAB−1100、アト−(株)製)を用いて濃縮し、10 U/mlの精製酵素溶液を得た。
【0096】
以下、実施例では比活性の高いYN−C1を用いる。
(実施例1)
カーボンブラックに対する親和性を有するアミノ酸配列の取得
本発明のカーボン層作製に用いる材料の一例として示したカーボンブラックに対して親和性を有する複数のアミノ酸を以下の方法により取得する。
▲1▼カーボンブラック (シグマ アルドリッチ ジャパン社製)を0.1%Tween−20を含むTBSバッファー(50 mM Tris−HCl pH 7.5、 150 mM NaCl)に5 mg/mlの濃度に成るように懸濁した。この10μlをエッペンドルフチューブに加え、990μl TBSTバッファー(TBSバッファー + 0.1%Tween−20)を加えて希釈した。
▲2▼Ph.D.−12ファージディスプレイペプチドライブラリ(New England BioLabs社製)の4 x 1010pfu相当をチューブに添加し、25℃で10分間静置した。
▲3▼チューブを遠心分離(20,630×g、5分間)した後、上清を捨て沈殿として顔料を回収した。回収した顔料を再びTBSTバッファーに懸濁し遠心分離を繰返すことによって、顔料をTBSTバッファーで10回洗浄した。
▲4▼100μlの溶出バッファー(0.2M Glycine−HCl(pH2.2)、 1mg/ml BSA)を加えて1分間静置した後、遠心分離(20,630×g、5分間)し、上清を別のエッペンドルフチューブに移し、15mlの1M Tris−HCl(pH9.1)を加えて中和し、溶出されたファージを得た。
▲5▼溶出されたファージを対数増殖初期の大腸菌ER2537(New England BioLabs社製)に感染させ増幅した。37℃で4.5時間培養した。次にファージを遠心分離により細胞から分離し、ポリエチレングリコールの沈殿により精製した。精製、増幅されたファージはTBSバッファーに懸濁され、適当な希釈系列を大腸菌に感染させることによって力価(titer)を測定した。
▲6▼増幅されたファージを用いて、前記▲1▼から▲5▼をあと4回繰返した。ただし用いるTBSTバッファー中のTween−20の濃度を0.5%に上げることによって、洗浄の条件を厳しくした。
【0097】
2回目からは、エッペンドルフチューブに対しても同様の操作を行い、コントロールとした。各サイクルにおいて溶出されたファージの力価(titer)を表17に示す。
【0098】
【表2】
Figure 2004215514
【0099】
最終的に溶出されたファージを大過剰の大腸菌に感染させることによってクローン化した。各クローンを大腸菌に感染させ増幅した後、ssDNAを調製し、ランダム領域の塩基配列を解読することによって、カーボンブラックに対して親和性を有するアミノ酸配列を取得した。結果のアミノ酸配列と頻度を表に示す。
【0100】
【表3】
Figure 2004215514
Figure 2004215514
【0101】
(実施例2)
以下のようにカーボンブラックに対する親和性を有するPHA合成酵素を調製した。
【0102】
実施例4にて得られたアミノ酸配列(配列番号:10から配列番号:34)に対して、スペーサー配列GSを介して、PHA合成酵素のN末端に融合して発現する大腸菌発現ベクターを次のようにして構築した。これらのアミノ酸配列をコードするDNAは二本鎖DNAとして作製するために、次に挙げる合成オリゴヌクレオチドのセットを用意した。
【0103】
【表4】
Figure 2004215514
Figure 2004215514
【0104】
表に挙げたそれぞれのアミノ酸配列に対する2種の合成DNAを夫々製造業者の説明に従いT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Gibco製)を用いてリン酸化した。
続いて2種の合成DNAを等モル混合し、80℃で5分間加熱し、その後室温までゆっくり冷却させることによって二本鎖DNA断片を形成させた。形成された二本鎖DNA断片は、その後のクローニングに直接用いた。
【0105】
プラスミドpGEX‐C1をBamHIおよびSacIにより消化し、前記二本鎖DNA断片を挿入した。このベクターを用いて大腸菌(JM109)を形質転換し、発現用菌株を得た。菌株の確認は、Miniprep(Wizard Minipreps DNA Purification Systems、PROMEGA社製)を用いて調製したプラスミドDNAをテンプレートとしてpGEX 5’ Sequencing Primer(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いたシークエンシングによってインサートの塩基配列を決定することにより行った。得られた菌株をLB−Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その0.1mLを、10mLのLB−Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。
その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4 ̄12時間培養を続けた。
【0106】
IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS−PAGEで確認した後、誘導され発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムファルマシア・バイオテク社製)で精製した。
【0107】
使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST−Aa10−YN2−C1〜GST−Aa34−YN2−C1をグルタチオンセファロースに吸着させた。[融合タンパク質GST−Aa△△−YN2−C1におけるAa△△は、配列番号△△のアミノ酸配列からなるポリペプチドをPHA合成酵素とGSTの間に融合して発現していることを意味する。]
【0108】
吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS−PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。
【0109】
各GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムファルマシア・バイオテク、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、それぞれの発現タンパク質Aa10−YN2−C1(cb)〜Aa34−YN2−C1(cb)の最終精製物を得た。[発現タンパク質Aa△△−YN2−C1(cb)におけるAa△△は配列番号△△のアミノ酸配列からなるポリペプチドをPHA酵素のN末端に融合して発現していることを意味する。]
【0110】
それぞれの精製酵素の活性は前述の方法で測定した。また、試料中のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。酵素濃度は1.9 U/mlまた比活性は 4.0 U/mgタンパク質であった。精製酵素を生体溶液試料濃縮剤(みずぶとりくんAB−1100、アトー(株)製)を用いて濃縮し、10 U/mlの精製酵素溶液を得た。
【0111】
(実施例3)
カーボンブラックに対する親和性の評価
カーボンブラックを、0.1%Tween−20を含むTBSバッファーに0.5%(w/v)になるように懸濁した。この10mlをテフロン(登録商標)製遠沈管にとり、ここに、実施例20で調整したPHA合成酵素Aa39−YN2−C1(cb)〜Aa63−YN2−C1(cb)、および参考例1で調整したYN2−C1の0.5U相当を加え、室温で30分間振とうした。遠心分離操作(10、000 x g、4℃、10分間)によってカーボンブラック粒子を沈殿として回収し、カーボンブラックに結合しなかった酵素を含む上清と分離した。カーボンブラックを再び0.1%Tween−20を含むTBSバッファーに懸濁し、遠心操作を繰返すことによって、カーボンブラックを洗浄した。洗浄したカーボンブラックの懸濁液の酵素活性を測定した結果を示す。
【0112】
【表5】
Figure 2004215514
Figure 2004215514
【0113】
コントロールの酵素YN2−C1に比べて、カーボンブラック結合配列を融合した酵素Aa10−YN2−C1(cb)〜Aa34−YN2−C1(cb)の方が、酵素活性が高く、酵素を有効に基材表面に固定化できることが確かめられた。
【0114】
(実施例4)
カーボンブラックに対する親和性を有する以下の二種類のアミノ酸配列、Trp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser(配列番号:10)およびAsn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:11)の全部を、スペーサー配列Gly−Gly−Gly−Ser−Gly−Gly−Gly−Serを介してこの順番に直列に繋いだ配列、
Trp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Gly−Gly−Gly−Ser−Asn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:35)を、さらにスペーサー配列GSを介して、PHA合成酵素のN末端に融合して発現する大腸菌発現ベクターを次のようにして構築した。このアミノ酸配列をコードするDNAは、二種類の合成オリゴヌクレオチド、
5’−GATCCTGGCCGCATGCGTGGAAAGTGTGGTGGCCGGCGAGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCAGCAACTGGTGGTGGCCGCCGTATATTCGTCATCAGCCGGAGCT−3’(配列番号:36)および5’−CCGGCTGATGACGAATATACGGCGGCCACCACCAGTTGCTGCCGCCGCCGCTGCCGCCGCCGCTCGCCGGCCACCACACTTTCCACGCATGCGGCCAG−3’(配列番号:37)をそれぞれT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Gibco製)を用いてリン酸化した後、等モル混合し、80℃で5分間加熱し、その後室温までゆっくり冷却させることによって二本鎖DNA断片として形成させた。形成された二本鎖DNA断片は、実施例20と同様にして、プラスミドpGEX‐C1のBamHI/SacIサイトに挿入し、このベクターを用いて大腸菌(JM109)を形質転換し、発現用菌株を得た。実施例2と同様にして、配列番号:35のアミノ酸配列をN末端に融合した発現タンパク質Aa35−YN2−C1(cb)を精製し、10 U/mlの精製酵素溶液を得た。実施例3と同様にして精製酵素のカーボンブラックに対する親和性を評価した。結果を表21に示す。
【0115】
【表6】
Figure 2004215514
【0116】
コントロールの酵素YN2−C1に比べて、カーボンブラック結合配列を融合した酵素Aa35−YN2−C1(cb)の方が、酵素活性が高く、酵素を有効に基材表面に固定化できることが確かめられた。
【0117】
(実施例5)
以下、カ−ボン被覆したポリスチレン基板上にカ−ボン層親和性ペプチドを融合したポリヒドロキシアルカネ−ト(PHA)合成酵素を固定して得られる有機高分子固定基板及びその製造方法の一例である。図1は、実施例1の概略断面図である。
【0118】
(1)カ−ボン被覆ポリスチレン基板の作製
本実施例の基板11としては、ポリスチレン基板を用いる。
カ−ボンブラック (シグマ アルドリッチ ジャパン社製)をメタノ−ルに5mg/mlの濃度に攪拌し、十分に分散した。ポリスチレン基板上にこの懸濁液を塗布し、メタノ−ルを蒸発させて除くことによって、ポリスチレン基板上にカ−ボンブラックの皮層を固着させる。固着したカ−ボン層は0.1%Tween−20を含むTBSバッファ−(50mMTris−HCl(pH7.5)、150mlNaCl)で洗浄しても脱離しないことの確認を行い、ポリスチレン基板11表面上にカ−ボン層2が被覆され、カ−ボン被覆ポリスチレン基板(以下、実施例1では基板と称する)を得た。
【0119】
(2)基板に対する親和性の評価
本実施例3の方法により得られた配列番号:10のアミノ酸配列をN末端に有するPHA合成酵素を用いて以下の評価を行った。
【0120】
基板を30mlTBSバッファ−が入ったシャ−レに浸漬しする。次に、上記(3)で調整したPHA合成酵素Aa35−YN2−C1(cb)および参照で調整したYN2−C1 2.5U相当を加え、室温でゆっくりと1時間間振とうする。基板を取り出した後、基板表面をTBSバッファ−に10回洗浄した。洗浄した基板の浸漬液のPHA合成酵素活性を前記方法においての測定値は下表になる。
【0121】
【表7】
Figure 2004215514
【0122】
コントロ−ルの酵素YN2−C1に比べて、カ−ボン層結合配列を融合した酵素Aa35−YN2−C1(cb)の方が、酵素活性が高く、酵素を有効に基材表面に固定化されてることが示され、バイオリアクターとして利用できることが示唆される。
【0123】
(実施例6)
本実施例6は、Si基板上にNb、Alを順にスパッタし、そのサンプルを陽極酸化し、カ−ボンを被覆した後に有機高分子を固定化することにより得られる図2に示す生体分子固定化基板及びその製造方法の例である。
【0124】
(1)多孔性基板の作製
本実施例のSi基板21としては、10−2Ωcmの抵抗値を有する鏡面研磨されたn型の単結晶Si基板を用いた。n型はリンド−プである。このSi基板21上に、RFスパッタ法によりに厚さ100nmのNb層22を成層する。その後、Al層23を500nm成層した。(ここで得られたAl層23/Nb層22/Si基板21を積層基板と称する。)
【0125】
次に、前記積層基板に対して陽極酸化を行なう。陽極酸化反応溶液は0.3Mのシュウ酸水溶液とし、恒温水槽により溶液を17℃に保持する。ここで陽極酸化電圧はDC40Vであり、電極は均一に陽極酸化が進行するように積層基板のSi基板21の裏側全面からとった。陽極酸化工程途中、陽極酸化がAl層23表面から進行しNb層22まで到達したことを示す電流を検知するため、陽極酸化電流をモニタ−する。反応が進行するに連れてAlが酸化され、絶縁層のアルミナになっていくのと同時に、細孔がAl層23表面からAl層23の厚み方向(Si基板側へ向って)成長していく。最終的にはAl層23の下地であるNb層22が細孔内部と部分的に導通させる。この陽極酸化処理により、図2aで示すAl層23を図2bで示す細孔24を有するアルミナ多孔体23となる。陽極酸化処理後、純水、およびイソプロピルアルコ−ルによる洗浄を行った。その後、サンプルを5wt%リン酸溶液中に20〜45分間浸してポアワイドニング処理を行い、適宜、細孔の孔径を広げる。
【0126】
(2)カーボン層の作製
ポアワイドニング処理後の前記積層基板を管状炉内に入れ、設定温度まで毎分5℃ずつ上昇させる。熱処理中は、常に2%H2 /98%Heを33sccmで流し、炭化水素ガスとして1%C2 H2 /99%He、1%C2 H4 /99%Heを66sccmで流して使用した。炭化水素熱分解時は、合計100sccmのガスが流れ、混合比はC2 H4 :H2 :He=1:1:1×102 である。2%H2 /98%He雰囲気で1000℃まで3時間20分かけて加熱し、10分間1000℃で保持し、その後1%C2 H2 /99%Heを10分間流した。その後、1000℃で1時間保持した後、3時間20分かけて冷却させる。その結果、図2cに示すように、アルミナ多孔体23上及び細孔24表面にカ−ボン層25を被覆する。
【0127】
取り出した試料の表面、断面をFE−SEM(Field Emission−Scanning Electron Microscope:電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。その結果、図2cに示したようにNb層22が細孔表面を被覆しているカ−ボン層25と接触している。(以下、ここで得られたカーボン層により被覆されたアルミナ多孔層/Nb層/Siの積層基板を実施例2で多孔体基板と称する。)
【0128】
(3)カーボン層親和性ペプチド融合したPHA合成酵素の調製
本実施例6の有機高分子として、実施例5と同じ調整方法により得られた配列番号:10のアミノ酸配列をN末端に結合したPHA合成酵素を用いる。
(4)多孔体基板に対する親和性の評価
多孔体基板を30mlTBSバッファ−が入ったシャ−レに浸漬する。次に、上記(2)で調整したPHA合成酵素Aa35−YN2−C2(cb)および参照で調整したYN2−C2 2.5U相当を加え、室温でゆっくりと30分間振とうした。基板を取り出した後、多孔性基板をTBSバッファ−に5分浸漬し、TBSバッファ−で洗浄する固定を10回を行う。洗浄した多孔性基板の懸濁液の酵素活性を実施例1と同様にして測定した結果を下表に示す。
【0129】
【表8】
Figure 2004215514
【0130】
コントロ−ルの酵素YN2−C1に比べて、カ−ボン層結合配列を融合した酵素Aa35−YN2−C1(cb)の方が、酵素活性が高く、PHA合成酵素が有効に多孔体基板表面に固定化されてることが示唆される。実施例5の平坦な基板と比較して、酵素活性が高いことから多孔性基板の方が固定化されたPHA合成酵素量が多いことが示され、バイオリアクターとして利用できることが示唆される。
【0131】
また、PHA合成酵素の活性測定において、前記測定方法において試薬2を試薬2−1;3‘−ヒドロキシオクタノイルCoA/0.1MTris−HClバッファー(pH8.0)溶液の濃度を1.5mM溶解、試薬2−2;3‘−ヒドロキシオクタノイルCoA/0.1MTris−HClバッファー(pH8.0)溶液の濃度を6.0mM溶解したものにそれぞれ変更し、PHA合成酵素活性を測定する。
【0132】
【表9】
Figure 2004215514
【0133】
3‘−ヒドロキシオクタノイルCoAの濃度依存的に活性の変化が確認できる。このことからバイオセンサーとして応用できることが示唆される。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、有機高分子を固定化した基板において、固定化される有機高分子が少なくとも機能ドメインと前記カ−ボン層と結合する結合ドメインから構成されることにより、有機高分子を機能ドメインと独立した部位をカーボン結合ドメインとして選択的に基板に固定化する製造方法および有機高分子固定化基板を得ることできる。これにより得られた有機高分子固定化基板は、機能ドメインの所望の機能に影響を最小限に抑え、効率的かつ高配向に有機高分子を基板上に固定されたものである。
【0135】
【配列表】
Figure 2004215514
Figure 2004215514
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【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機高分子固定化基板の一例を示す概略図である。
【図2】実施例6のAl層/Nb層/Si積層基板の一例を示す概略図であり、図2aは実施例6のAl層/Nb層/Si積層基板の一例を示す概略断面図、図2bは実施例6のAl層/Nb層/Si積層基板を陽極酸化して得られるアルミナ多孔体基板の概略断面図、図2cは実施例6で得られるアルミナ多孔体基板にカーボン層を設けた多孔性基板の概略断面図である。
【符号の説明】
11 ポリスチレン基板
12 カーボン層
13 有機高分子
14 機能ドメイン
15 結合ドメイン
15a カーボン層親和性部位
15b スペーサ−配列
21 シリコン基板
22 Nb層
23 Al層
24 細孔
25 カーボン層

Claims (20)

  1. 部材と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有することを特徴とする有機物固定化基体。
  2. 前記有機物は、前記結合ドメインと機能ドメインを有する有機高分子である請求項1記載の有機物固定化基体。
  3. 前記有機高分子は、生体高分子である請求項2記載の有機物固定化基体。
  4. 部材と、該部材表面にカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有する有機物固定化基体を備えている検出装置。
  5. 部材と、該部材表面にカーボン層を有する基体、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含み、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定されている有機物とを有する有機物固定化基体を備えているバイオリアクター。
  6. 部材と、該部材表面に該部材とは材料が異なるカーボン層を有する基体を用意する工程、及び前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを含む有機物を、該カ−ボン層の少なくとも一部に固定する工程とを有することを特徴とする有機物固定化基体の製造方法。
  7. 前記有機高分子がタンパク質からなり、少なくとも前記機能ドメインと前記結合ドメインから構成される融合タンパク質であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  8. 前記結合ドメインが一以上のアミノ酸からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  9. 前記結合ドメインの少なくとも一部のアミノ酸配列が
    Trp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser(配列番号:10)、
    Asn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:11)、
    Trp−His−Trp−Ser−Trp−Thr−Pro−Trp−Pro−Ser−His−His(配列番号:12)、
    Trp−Pro−Trp−Ala−Trp−His−Pro−Ser−Arg−Asp−Val−Tyr(配列番号:13)、
    Trp−His−Gly−Tyr−Trp−Tyr−Ser−Asn−Leu−Asn−Thr−Thr(配列番号:14)、
    Trp−Trp−Thr−Pro−Trpmet−Ser−His−Ala−Tyr−Pro−Val(配列番号:15)、
    Trp−Pro−Asn−Pro−Tyr−Trp−Gly−Trp−Phe−AlAala−Val(配列番号:16)、
    Thr−Ser−Trp−His−Thr−Trp−Trp−Trp−Arg−Gln−Pro−Pro(配列番号:17)、
    Asn−Ala−Trp−His−Lys−Tyr−Trp−Trp−Pro−Ile−Thr−Lys(配列番号:18)、
    His−Pro−Asn−Asn−Asp−Trp−Ser−Lys−Ala−Pro−Gln−Phe(配列番号:19)、
    Trp−Trp−Thr−Pro−Gln−Pro−Trp−Trp−Ser−Phe−Pro−Ile(配列番号:20)、
    Trp−Pro−His−Thr−Ser−Trp−Trp−Gln−Thr−Pro−Leu−Thr(配列番号:21)、
    Trp−His−Val−Asn−Trp−Asp−Pro−Met−Ala−Trp−Tyr−Arg(配列番号:22)、
    Ser−Trp−Pro−Trp−Trp−Thr−Ala−Tyr−Arg−Val−His−Ser(配列番号:23)、
    Trp−His−Ser−Asn−Trp−Tyr−Gln−Ser−Ile−Pro−Gln−Val(配列番号:24)、
    Gly−Tyr−Trp−Pro−Trp−Lys−Phe−Glu−His−Ala−Thr−Val(配列番号:25)、
    Ala−Trp−Trp−Pro−Thr−Thr−Phe−Pro−Pro−Tyr−Tyr−Tyr(配列番号:26)、
    Asn−Pro−Trp−Trp−Ser−His−Tyr−Tyr−Pro−Arg−Ser−Val(配列番号:27)、
    Trp−Pro−His−Asn−Tyr−Pro−Leu−Asn−His−Ser−Asn−Pro(配列番号:28)、
    Thr−Trp−Ala−His−Pro−Leu−Glu−Ser−Asp−Tyr−Leu−Arg(配列番号:29)、
    His−Thr−Tyr−Tyr−His−Asp−Gly−Trp−Arg−Leu−Ala−Pro(配列番号:30)、
    Thr−Phe−Val−Gln−Thr−Pro−Leu−Ser−His−Leu−Ile−Ala(配列番号:31)、
    Arg−Val−Pro−Pro−Ser−Lys−Leu−Thr−Arg−Pro−Pro−Phe(配列番号:32)、
    His−Ser−Ile−Tyr−Ser−Val−Thr−Pro−Ser−Thr−Ala−Ser(配列番号:33)、
    Leu−Asn−Thr−Gln−Asn−His−Ala−Pro−Leu−Pro−Ser−Ile(配列番号:34)、
    からなる群より選ばれた少なくとも1つの全部または一部である請求項1乃至8のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  10. 前記結合ドメインのアミノ酸配列がTrp−Pro−His−Ala−Trp−Lys−Val−Trp−Trp−Pro−Ala−Ser(配列番号:10)の全部または一部である請求項1乃至9のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  11. 前記結合ドメインのアミノ酸配列がAsn−Trp−Trp−Trp−Pro−Pro−Tyr−Ile−Arg−His−Gln−Pro(配列番号:11)の全部または一部である請求項1乃至10のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  12. 前記部材の少なくとも一部に多孔体を備え、該多孔体の孔の少なくとも一部の孔表面にカ−ボン層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至11記載の有機物固定化基体。
  13. 前記多孔体の孔径が10乃至1000nmであることを特徴とする請求項12記載される有機物固定化基体。
  14. 前記部材と前記カ−ボン層が電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の有機物固定化基体。
  15. 表面にカ−ボン層を有する基体において、前記カ−ボン層上の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも機能ドメインと前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインから構成されることを特徴とする有機高分子固定化基板をモジュ−ルとして含むバイオセンサ−。
  16. 一つの面の少なくとも一部にカ−ボン層を有する基板において、前記カ−ボン層上の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも機能ドメインと前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインから構成されることを特徴とする有機高分子固定化基板をモジュ−ルとして含むバイオリアクタ−。
  17. 前記基板の少なくとも一部に多孔体が配され、前記多孔体の細孔の少なくとも一部の細孔表面にカ−ボン層を配され、前記孔表面の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも機能ドメインと前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインから構成されることを特徴とする有機高分子固定化基板をモジュ−ルとして含むバイオセンサ−。
  18. 前記基板と前記カ−ボン層の間の少なくとも一部に多孔体が配され、前記多孔体の細孔の少なくとも一部の細孔表面にカ−ボン層を配され、前記孔表面の少なくとも一部に有機高分子が担持され、前記有機高分子が少なくとも機能ドメインと前記カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインから構成されることを特徴とする有機高分子固定化基板をモジュ−ルとして含むバイオリアクタ−。
  19. 孔を備え、該孔表面にカ−ボン層が形成されている部材を用意する工程、及び該カ−ボン層と親和性を有する結合ドメインを有する有機物を該孔表面に固定する工程を有することを特徴とする有機物固定化基体の製造方法。
  20. 前記有機物がタンパク質を含む有機高分子であって、少なくとも機能ドメインと前記結合ドメインから構成される融合タンパク質であることを特徴とする請求項119記載の有機物固定化基体の製造方法。
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