JP2002058479A - 構造認識アミノ酸配列の取得方法 - Google Patents

構造認識アミノ酸配列の取得方法

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JP2002058479A
JP2002058479A JP2000245677A JP2000245677A JP2002058479A JP 2002058479 A JP2002058479 A JP 2002058479A JP 2000245677 A JP2000245677 A JP 2000245677A JP 2000245677 A JP2000245677 A JP 2000245677A JP 2002058479 A JP2002058479 A JP 2002058479A
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amino acid
acid sequence
peptide
chemical substance
screening
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JP2000245677A
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Takeshi Nomoto
毅 野本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 標的化学物質のみと選択的に結合するアミノ
酸配列を有し、他に雑多な化学物質を含有する生体試料
中に、目的とする標的化学物質が存在するか否かを高い
確度で検定する目的にも利用が可能なペプチドに用いる
構造認識アミノ酸配列を簡便に見出す方法の提供。 【解決手段】 標的化学物質との結合能に基づき、ペプ
チドライブラリーをスクリーングした後、選別される標
的化学物質との結合能を有する一群のペプチドについ
て、その他の生体物質を含む生体試料を用いて、他の生
体物質との結合は実質的に起こさないペプチドのみを更
にスクリーニングすると、挟雑物による干渉を排し、目
的とする標的化学物質とのみ選択的に結合するペプチド
のアミノ酸配列を採取することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体試料に含有さ
れる標的化学物質と選択的に結合するペプチドの、かか
る結合形成に関与するアミノ酸配列を取得する方法に関
する。より具体的には、標的化学物質の構造を識別し
て、それと特異的に結合を形成するペプチド上、その構
造認識に関与するアミノ酸配列を取得する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ヒトや哺乳動物などから採取される生体
試料、例えば、血液や体液などの中には種々の化学物質
が存在している。それら生体試料中に含有されて化学物
質には、ある種の疾病に罹ったときに出現したり増加す
るタンパク質性マーカーや、極微量で生体機能を司るタ
ンパク質ペプチドホルモンなどが含まれ、この種の生体
内の状況を反映する化学物質を検出、識別する技術の開
発は極めて有用である。
【0003】従来、生体試料中の標的化学物質を認識し
て、選択的に結合する物質として、モノクローナル抗体
が知られている。また、固相合成により調製されたペプ
チドライブラリーやファージ・ディスプレイ・ペプチド
ライブラリーの中から、標的化学物質を認識して、それ
と結合する画分を分取し、その画分に含まれるペプチド
を単離して、そのアミノ酸配列を決定する手法を利用
し、標的化学物質と選択的な結合をするペプチド、特
に、その目的とする構造認識アミノ酸配列を取得する方
法も知られている。
【0004】なお、従来のモノクローナル抗体を創製す
る技術の概略は、先ず、免疫動物を標的化学物質を用い
て免疫感作し、この標的化学物質に対する抗体の産生能
を獲得した動物から脾臓細胞を取り出す。次いで、かか
る獲得免疫による抗体産生能を示す細胞と、ミエローマ
細胞などの試験管内で培養できる細胞とを融合した細胞
(ハイブリドーマ)を作製する。融合細胞(ハイブリド
ーマ)群をスクリーニングして、目的の反応性を有する
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を
選別する。選別されたハイブリドーマ細胞株を培養し
て、目的とするモノクローナル抗体の調製を行うという
ものである。
【0005】一方、ファージ・ディスプレイ・ペプチド
ライブラリーを利用して、標的化学物質と選択的な結合
能を有するぺプチト゛を採取する従来方法の概略は次の通
りである。予め、ランダムなアミノ酸配列を有するペプ
チドをコードする合成DNAを、繊維状ファージベクタ
ーM13もしくはfdのコート蛋白質であるpIIIの遺
伝子の中にクローン化して、ペプチドライブラリを構築
する。この合成DNAでコードされるペプチドは、pII
Iの機能に有意に干渉することのない部位に挿入され、
ファージ粒子表面のpIIIの一部として発現される。従
って、ランダムなアミノ酸配列をコードする、挿入され
た合成DNAに応じて、非常に大きなペプチドライブラ
リーを構築することができる(Science, 249,386 (199
0)やProc.Natl. Acad. Sci. USA, 87, 6378 (1990)など
を参照)。カラムやプレート上に精製した標的タンパク
質を直接固定化する、あるいは抗体などを介して固定化
するなどして、この固定化された標的タンパク質に上記
ファージ・ディスプレイ・ペプチドライブラリーを接触
させる。非結合ファージは洗浄して洗い流し、その後、
結合しているファージを酸などで溶出し、回収した画分
を中和した後、大腸菌に感染させて、ファージの増幅を
行う。
【0006】更に、前記の回収した画分に含まれるファ
ージを、再び、固定化された標的タンパク質に接触さ
せ、結合画分を分離回収する。この選別操作を、合計3
段回〜4段回繰り返すと、標的タンパク質に高い親和性
を示すファージが濃縮される。最終的に濃縮されたファ
ージ画分には同等の親和性を示すファージが数種含まれ
ることも多いが、このファージ画分から、単一なクロー
ンを分離・採取するため、再度大腸菌にファージを感染
させ、抗生物質などを含んだ寒天培地上でシングル・コ
ロニーを形成させる。個々のコロニーを液体培地に接種
し、再培養した後、上清中のファージをポリエチレング
リコールなどで沈澱濃縮する。単離した各クローン(フ
ァージ)について、所定の部位に挿入されている合成DN
Aの塩基配列を決定することにより、かかるクローンに
由来する、標的タンパク質と結合するペプチドのアミノ
酸配列を知ることができる。例えば、特開平11−29
597号公報には、前記の方法を利用して、大腸菌リボ
ヌクレアーゼHIと結合するペプチドを採取できること
が開示されている。また、特開平11−290076号
公報には、天然型タンパク質と変性型タンパク質との間
において、その構造的な差異を識別し、選択的にする結
合するペプチド、すなわち、構造認識アミノ酸配列を取
得する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述するモノクローナ
ル抗体は一旦創製されると、一般に標的化学物質に対し
て優れた選択性を示すものの、目的とするモノクローナ
ル抗体を産生する融合細胞(ハイブリドーマ)が得られ
るか、否かは、多分に偶然に左右される。すなわち、獲
得免疫が確立されるか否かは、偶然に支配されることが
多い。加えて、獲得免疫の確立、ハイブリドーマの作
製、その後のスクリーニングなど、モノクローナル抗体
を産生する融合細胞(ハイブリドーマ)の創製自体、相
当の時間を要するものである。また、モノクローナル抗
体は、前記ハイブリドーマの培養物から単離・精製を経
て初めて入手できるものであり、市販されているもの
は、一般に高価である。
【0008】このような状況から、モノクローナル抗体
と比較しても、遜色の無い高い選択性を持って、標的化
学物質と結合でき、加えて、化学合成などで容易に、ま
た、安価に調製することができる標的化学物質と選択的
な結合能を有するぺプチト゛を、モノクローナル抗体に代
えて利用することが望まれる。前記の目的から、標的化
学物質との結合に関与する、構造認識アミノ酸配列を簡
便に解明することが必要となる。
【0009】確かに、ファージ・ディスプレイ・ペプチ
ドライブラリー法を利用すると、数多くの候補とクロー
ンの有するアミノ酸配列から、目的とする構造認識アミ
ノ酸配列に関するモチーフ(アミノ酸の種類とそれらの
相対的位置に関する情報)が得られる。ペプチドライブ
ラリーに含まれるペプチドの種類は、そのペプチド鎖長
(n)が長くなるほど大きくなるが(20n種類)、そ
の中から選別されるクローンの有するアミノ酸配列は、
標的化学物質に対する選択性も高くなることが期待でき
る。一般に、ペプチド鎖長が長くなると、標的化学物質
と結合する際、より多くのアミノ酸が結合と直接的に関
与し、その結果、より多点での識別が可能となると考え
られる。一方、ペプチド鎖長が長くなると、結合に関与
する部分アミノ酸配列(モチーフ)以外のアミノ酸数も
増し、その部分における配列の自由度も高くなる。従っ
て、結合に関与する部分アミノ酸配列を除く、これら自
由度を持つ複数のアミノ酸の選択によっては、生体試料
中に含まれる他の化学物質とも結合してしまうものとも
なる。つまり、ペプチド鎖長を長くしたからといって、
必ずしも標的化学物質に対する選択的な結合能が向上し
ない場合も少なからずある。
【0010】なお、先行技術の例として挙げた、特開平
11−290076号公報の事例では、天然型タンパク
質と変性型タンパク質との構造上の差異を識別する構造
認識アミノ酸配列を取得する方法を開示しているが、こ
の事例では、ペプチドライブラリーを、天然型タンパク
質に結合できることと、変性型タンパク質に結合できな
いことと、この二つの選択基準のみでスクリーニングし
ている。すなわち、生体試料中に含有する、他の多種類
のタンパク質などの化学物質との結合能の有無は検証さ
れておらず、原理的には、標的化学物質である天然型タ
ンパク質のみと選択的に結合するアミノ酸配列を取得す
る方法とは、言えないものである。対象とするタンパク
質が、天然型の構造か、変性しているか、その構造の区
別には適しているものの、モノクローナル抗体に代え
て、他に雑多な化学物質を含有する生体試料中に、目的
とする標的化学物質が存在するか否かを高い確度で検定
する目的には、厳密な意味では利用できないものであ
る。
【0011】すなわち、標的化学物質のみと選択的に結
合するアミノ酸配列を有し、モノクローナル抗体に代え
て、他に雑多な化学物質を含有する生体試料中に、目的
とする標的化学物質が存在するか否かを高い確度で検定
する目的にも利用が可能なペプチドを簡便に見出す方法
が望まれている。
【0012】本発明は前記の課題を解決するものであ
り、本発明の目的は、標的化学物質のみと選択的に結合
するアミノ酸配列を有し、モノクローナル抗体に代え
て、他に雑多な化学物質を含有する生体試料中に、目的
とする標的化学物質が存在するか否かを高い確度で検定
する目的にも利用が可能なペプチドを創製する上で必要
となる、構造認識アミノ酸配列を取得する方法を提供す
ることにある。より具体的には、安価に、また容易に化
学合成することができ、生体試料中の標的化学物質の構
造を識別し、これと選択的に結合することのできるペプ
チドを設計する際、その標的化学物質との結合に関与す
る構造認識アミノ酸配列を簡便に決定する方法を提供す
ることが、本発明の目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく、鋭意検討・研究を進め、その結果、目的
とする標的化学物質との結合能に基づき、ペプチドライ
ブラリーをスクリーングした後、選別される標的化学物
質との結合能を有する一群のペプチドについて、かかる
標的化学物質自体は含有しないが、その他の本来含むべ
き種々の生体物質を含む生体試料を用いて、それら他の
本来含むべき種々の生体物質との結合は実質的に起こさ
ないペプチドのみを更にスクリーニングすると、挟雑物
による干渉を排し、目的とする標的化学物質とのみ選択
的に結合するペプチドを採取することが可能であること
を見出した。すなわち、予め標的化学物質と高い結合能
を有するペプチドを選別し、その内、他の挟雑物との結
合能を示すものを排除することで、より効率的に目標と
する標的化学物質とのみ選択的に結合するペプチドを採
取することが可能であることを見出した。本発明者は、
然る後、採取された少数種のペプチドについて、そのア
ミノ酸配列を解析することにより、標的化学物質とのみ
選択的に結合する際、その結合に関与する構造認識アミ
ノ酸配列を取得することができることを確認して、本発
明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明の構造認識アミノ酸配列
の取得方法は、生体試料に含有されうる標的化学物質の
構造を認識し、前記標的化学物質と選択的な結合形成す
るペプチドに利用される構造認識アミノ酸配列を決定す
る方法であって、所定のアミノ酸長を有する可変領域が
ランダムなアミノ酸配列で構築されてなるペプチドライ
ブラリーから、前記標的化学物質のみを担体上に固定化
してなる第1のスクリーニング担体を用いて、前記第1
のスクリーニング担体上に吸着するペプチド画分を分取
する第1のスクリーニング工程と、前記第1のスクリー
ニング工程で採取される吸着するペプチド画分に含まれ
るペプチド群から、前記生体試料に含有される、前記標
的化学物質以外の生体物質を非選択的に担体上に固定化
してなる第2のスクリーニング担体を用いて、前記第2
のスクリーニング担体上に吸着するペプチド画分を除
き、前記第2のスクリーニング担体上に吸着しないペプ
チド画分のみを分取する第2のスクリーニング工程と、
前記第2のスクリーニング工程で採取される、前記標的
化学物質との結合能を有し、かつ、前記生体試料に含有
される、その他の生体物質とは有意に結合しないペプチ
ド画分から、それに含まれる各ペプチドについて、少な
くとも、その由来するペプチドライブラリーの可変領域
を含む、所定アミノ酸長の部分アミノ酸配列を決定する
アミノ酸配列解析工程とを含み、前記のアミノ酸配列解
析工程において、解明された前記各ペプチドの有する部
分アミノ酸配列から前記ペプチドライブラリーの可変領
域に相当する構造認識アミノ酸配列を決定することを特
徴とする構造認識アミノ酸配列の取得方法である。
【0015】なお、前記標的化学物質がタンパク質であ
る際、本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法は、よ
り有効な方法となる。また、前記第2のスクリーニング
担体の調製にもちいる担体として、陽イオン交換樹脂と
陰イオン交換樹脂との混合物からなる担体を用いること
が好ましい。
【0016】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法
は、前記標的化学物質を含有する可能性を有する生体試
料自体は、血漿または細胞破砕抽出液である際、より好
ましい方法となる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の構造認識アミノ酸配列の
取得方法がその対象とする標的化学物質は、生体試料中
に含有する種々の成分のうち、タンパク質、脂質、核
酸、糖鎖、ならびにそれらの複合体など、その存在の有
無、存在量の多寡が、生体自体の状態、例えば、疾病の
有無やその進行状態などを反映する化学物質であって、
加えて、何らかのペプチドと分子間の相互作用により結
合を形成するものである。前記標的化学物質とペプチド
との結合は、これらタンパク質、脂質、核酸、糖鎖、な
らびにそれらの複合体などにおいて、その分子表面上の
特定な部位においてのみ、標的化学物質の構造が認識さ
れるものをいう。従って、標的化学物質の分子量自体、
その上限については特に限定はないものの、標的化学物
質の種類に応じて、自ずからそれぞれ分子量の下限があ
る。例えば、タンパク質であれば、一般に、抗原決定基
として免疫系を発動する際、最低限必要とされるアミノ
酸数、具体的には、4〜5個のアミノ酸がペプチド結合
したペプチド鎖を有するものであり、従って、その分子
量の下限はおおよそ500以上となる。また、糖鎖につい
ても、同様に、少なくとも3〜5個の糖が重合した部分鎖
を有するものであり、その分子量の下限はおおよそ200
以上となる。一方、核酸に関しては、一本鎖か二本鎖か
にもよるが、少なくとも、3〜5個の塩基を含む鎖を含む
ものである。脂質に関しては、対応する脂肪酸グリセリ
ド部分を有するため、その分子量下限は、自ずから定ま
り、おおよそ200以上となる。
【0018】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法
は、ランダム・ペプチドライブラリーから標的化学物質
にのみ選択的に結合するペプチドを選別するが、利用す
るペプチドライブラリーには、コンビナトリアルケミス
トリーの手法を用いて、例えば、ビーズなどの粒状固相
上に化学合成することにより調製したものや、遺伝子工
学的手法を用いて、例えばM13ファージのような非溶菌
性ファージのマイナーコートタンパク質上に発現させた
ランダムペプチドライブラリー(ファージ・ディスプレ
イ・ペプチドライブラリー)などを用いることができ
る。
【0019】前記のファージ・ディスプレイ・ランダム
ペプチドライブラリーを構築する方法には、例えば、M1
3 系ファージの表面蛋白質(例えば、geneIII 蛋白質)
をコードする遺伝子中、geneIII 蛋白質のN末端側に相
当する部位に、別途調製したランダムな塩基配列を持つ
合成遺伝子を連結して作製する手法を利用できる。この
ようなファージ・ディスプレイ・ペプチドライブラリー
の構築方法は、既にScott, JK.and Smith, GP., Scienc
e Vol. 249, 386, 1990, やCwirla, SE et al., Proc.N
atl. Acad. Sci. USA Vol. 87, 6378, 1990などに報告
がある。ファージ・ディスプレイ・ペプチドライブラリ
ーの構築に際し、挿入する合成遺伝子の大きさ;対応す
るペプチド鎖のアミノ酸数は、かかるペプチドが安定に
発現できる限り、特に制限はない。しかしながら、構築
したライブラリーは、発現される挿入ペプチド部分が他
のタンパク質などとの結合能を有するためには、少なく
とも6アミノ酸長以上であることが望ましい。一方、構
築したライブラリーは、すべてのランダム配列を網羅す
るものであるので、その挿入ペプチド部分が40アミノ
酸長を超えると、その全体量(種類)が多くなり過ぎ
る。従って、挿入ペプチド部分は、6〜40アミノ酸に
相当する長さ(分子量約600から4000に相当)の
範囲に選択するのがが適当で、通常、6〜35アミノ酸の
範囲に選択することが好ましい。
【0020】前記の挿入ペプチド部分のアミノ酸長を満
たす限り、本発明の方法に利用されるファージ・ディス
プレイ・ランダムペプチドライブラリーの種類及び調製
方法は特に限定されない。具体的には、公知の方法(西
徹ら、実験医学, Vol.11, No.13, pp.1759-1764)に従っ
て作製したものを用いればよいが、市販のファージ・デ
ィスプレイ・ランダムペプチドライブラリー、例えば、
The pSKAN Phagemid Display System (MOLECULAR BIOLO
GISCHE TECHNOLOGIE社製) などを購入して用いてもよ
い。
【0021】本発明の方法を実施する際、好適に使用で
きるファージ・ディスプレイ・ランダムペプチドライブ
ラリーは、その構築に利用するファージとして、M13
ファージ、fdファージまたはf1ファージのような公
知の繊維状ファージを用いるものである。これらM13
ファージ、fdファージまたはf1ファージなどは、極
めて近い類縁関係にあり、何れも大腸菌のF+ 菌株にの
み感染することができる。これらファージの感染は、F
+ 菌の性線毛に吸着することによって開始される。その
選択的吸着は、ファージ尾部の先端に露出しているタン
パク質が、F+菌の性線毛に対して特異的な親和性を有
することに起因する。そこで、これらのファージ遺伝子
中、このタンパク質をコードする部分に、ランダムペプ
チドをコードする合成遺伝子を組み込む。これによっ
て、合成遺伝子によりコードされるランダムペプチドが
挿入されたタンパク質を、ファージの先端に露出させる
ことができる。この遺伝子組換え操作と、タンパク質発
現の詳細な方法は、例えば下記の文献に記載されてい
る。 ・Stephen F.Parmley and George P.Smith; Antibody-s
electablefilamentous fd phage vectors: affinity pu
rification of targetgenes; Gene,73(1988),pp.305-31
8 ・John McCafferty et al.; Phage antibodies: filame
ntous phagedisplayingantibody vaiable domains; NAT
URE,vol.348,6(1990) 後述する方法によってスクリーニングされたファージク
ローンから、ディスプレイされている挿入ペプチド部の
アミノ酸配列を決定するには、合成遺伝子の挿入部位は
既知であるので、増幅したファージからDNAを抽出し、
前記挿入部位を含む領域を適当なプライマーを用いてPC
R反応を行うことによって採取する。得られたPCR産物か
ら、それに含まれるランダム領域の塩基配列をシークエ
ンシングして、コードしているアミノ酸配列を解明すれ
ばよい。
【0022】ランダムなアミノ酸配列を有するペプチド
ライブラリーの作製方法としては、前述のファージ・デ
ィスプレイ・ランダムペプチドライブラリーを利用する
以外に、化学合成したペプチドを用いることも可能であ
る。この化学合成ペプチドからなるペプチドライブラリ
ーの調製方法としては、例えば、ビーズを用いる方法(L
am,KS et al, Nature,354, 82, 1991)、液相フォーカシ
ング法(Houghton, RAet al., Nature, 354,84, 1991)、
マイクロプレート法(Fodor, SPA et al., Science, 25
1, 767, 1991)などが報告されている。
【0023】本発明の方法において、第1のスクリーニ
ング工程では、担体上に固定化した標的化学物質を用い
てスクリーニングを行う。この標的化学物質固定化する
担体には、標的化学物質を固定化しうるものであれば何
れも利用できるが、利用可能な担体の例として、架橋デ
キストランビーズ、ポリスチレンビーズ、イオン交換樹
脂ビーズ、ポリスチレン、ガラス、セルロース、ポリビ
ニルアルコール、ポリサルフォン、シリカゲルなどがあ
げられる。固定化に用いる担体の形状としては、リガン
ドである標的化学物質を固定化する面積が広くなるの
で、例えば、プレート、シャーレおよびビーズが好まし
く、より好ましくは、ビーズ形状とする。本発明の方法
において、標的化学物質の担体上への固定化は、疎水性
相互作用に基づく物理的吸着、あるいは、静電的相互作
用に基づく非共有結合、さらには架橋構造を形成させる
共有結合などの結合形成、これらのいずれの手段を用い
た固定化であってもよい。
【0024】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法
では、先ず、第1のスクリーニング工程において、前記
標的化学物質のみを担体上に固定化してなる第1のスク
リーニング担体に、上記ランダムなアミノ酸配列を有す
るペプチドライブラリーを共存させ、固定化された標的
化学物質にアフィニティーを有するペプチドをスクリー
ニングする。非吸着画分を洗浄により除去した後、第1
のスクリーニング担体上に吸着した画分は、酸などによ
る溶出を経て分画される。例えば、ファージ・ディスプ
レイ・ランダムペプチドライブラリーを利用する場合、
分画されたペプチドディスプレイ・ファージは、大腸菌
などに感染させることによって増幅させることができ
る。この増殖した、吸着画分のペプチドディスプレイ・
ファージを次の第2のスクリーニング工程に用いること
ができる。
【0025】本発明の方法では、第2のスクリーニング
工程では、前記生体試料に含有される、前記標的化学物
質以外の生体物質を非選択的に担体上に固定化してなる
第2のスクリーニング担体が利用される。この第2のス
クリーニング担体を調製する際、標的化学物質のみを含
まない生体試料が利用される。例えば、標的化学物質が
タンパク質である場合、生体試料に対して、この標的タ
ンパク質に対するモノクローナル抗体を用いたアフィニ
ティークロマトグラフィーを行い、その通過画分を分取
することによって調製することができる。標的化学物質
がタンパク質でっても、それに対するモノクローナル抗
体が利用できない場合は、別途、標的タンパク質をコー
ドする遺伝子を取得し、遺伝子組み換えによって、その
一部分に精製用のタグを予め導入し、組み換え型標的タ
ンパク質中に存在するこの精製用タグに対するアフィニ
ティークロマトグラフィーを行うことによって、効率的
に組み換え型標的タンパク質のみを生体試料中から分
離、除去することができる。さらには、例えば、標的タ
ンパク質を欠失した細胞をクローン化することによって
標的タンパク質を含まない生体試料を調製することもで
きる。また、標的化学物質が、タンパク質と、脂質、核
酸、糖鎖のいずれかが複合した複合体の場合にも、前記
の手法を利用して、標的化学物質を含まない生体試料を
調製することもできる。標的化学物質が、脂質、糖鎖で
ある場合にも、適当なアフィニティークロマトグラフィ
ー法を利用して、選択的に生体試料中から除去を図るこ
とができる。一方、標的化学物質が、核酸である場合に
は、標的核酸に対して相補的な塩基配列と除去用配列と
を有する核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション
法を利用することで、選択的に生体試料中から除去を図
ることができる。
【0026】なお、標的化学物質がある種の疾病に関連
するものである場合には、かかる疾病に罹患していない
健常者から採取される生体試料は、標的化学物質を本質
的に含有しないこともある。その場合には、標的化学物
質を本質的に含有しない、健常者から採取される生体試
料をもって、標的化学物質を選択的に除去した生体試料
の代用とすることができる。この場合、生体試料として
は、血清または細胞破砕抽出液が好ましい。これら血清
や細胞破砕抽出液など生体試料のうち何れを利用できる
かは、標的化学物質が何に由来するかに基づいて決定す
ることができる。
【0027】前記生体試料に含有される、標的化学物質
以外の生体物質を非選択的に担体上に固定化してなる第
2のスクリーニング担体に利用する担体には、タンパク
質、脂質および核酸など生体試料中に含有される生体物
質を固定化しうるものであれば、どのような担体を用い
てもよい。利用可能な担体の例として、、架橋デキスト
ランビーズ、ポリスチレンビーズ、イオン交換樹脂ビー
ズ、ポリスチレン、ガラス、セルロース、ポリビニルア
ルコール、ポリサルフォン、シリカゲルなどがあげられ
る。固定化に用いる担体の形状としては、リガンドであ
る生体試料中の種々の生体物質成分を固定化する面積が
広くなるので、プレート、シャーレならびにビーズ形状
が好ましく、ビーズ形状がより好ましい。
【0028】この第2のスクリーニング担体を調製する
際、生体試料中の各種の生体物質成分の固定化には、疎
水性相互作用に基づく物理的吸着、あるいは、静電的相
互作用に基づく非共有結合、さらには架橋構造を形成さ
せる共有結合などの結合形成、これらのいずれの手段を
用いた固定化であってもよい。一般に、生体試料中には
タンパク質や核酸など多種類の成分が共存しており、例
えば、タンパク質についてみても、タンパク質個々は様
々な疎水的性質、親水的性質、そして荷電を有してい
る。第2のスクリーニング担体は、これら性質が異なる
多種・多様な成分をその種類に依らず、可能な限り全て
を担体上に固定化することが望ましい。従って、利用す
る担体として、その表面の性質が異なる担体複数種を混
合使用することで、多種・多様な成分をより効率的に固
定化することが望ましい。具体的には、利用可能な担体
の例として上に挙げたものから、その表面の性質が異な
る担体複数種を選択し、適当な割合で混合したものを担
体として用いることが望ましい。例えば、陽イオン交換
樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物は、試料の水素イオン
濃度に依らず、多くの種類のタンパク質を吸着すること
ができ、本発明の方法において、第2のスクリーニング
担体を調製する際の担体に好適に利用することができ
る。
【0029】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法
では、第2のスクリーニング工程において、第1のスク
リーニング工程で分取された画分、あるいは、分取され
た画分に含まれる一群のファージを予め増幅したペプチ
ドディスプレイ・ファージを、上記第2のスクリーニン
グ担体に対して共存させ、それと結合するものを排除す
る。生体試料中に含まれる、標的化学物質以外の各種生
体物質に対してアフィニティーを持たないペプチドのス
クリーニングを行う。この第2のスクリーニング工程に
より選別されるペプチドは、標的化学物質に対する高い
結合能を有するものの、それ以外の各種生体物質に対し
ては、結合能を示さないペプチドとなる。
【0030】なお、ファージ・ディスプレイ・ランダム
ペプチドライブラリーを利用している際には、この第2
のスクリーニング工程おいて分画されたペプチド・ディ
スプレイファージは、大腸菌などに感染させることによ
って増幅させることができる。最終的に選別されたペプ
チドディスプレイ・ファージ分画には、複数種のペプチ
ドディスプレイ・ファージが含まれることもあるが、そ
れから単一なクローンを得るため、再度大腸菌にファー
ジを感染させ、抗生物質を含んだ寒天培地上でシングル
コロニーを形成させる。採取される個々のコロニーを液
体培地で培養した後、上清中のファージをポリエチレン
グリコール等で沈澱・濃縮し、所定の位置に組み込まれ
た合成DNAを含む部分領域の塩基配列を決定することに
より、標的化学物質との結合に関与するペプチドの一次
構造(アミノ酸配列)を知ることができる。
【0031】一方、化学合成によって作製されたランダ
ムペプチドライブラリーを利用している際には、分取さ
れた一群のペプチド、例えば、粒状固相上に合成された
ペプチドを単離し、そのN末端からエドマン分解による
シークエンシングによってアミノ酸配列を決定すること
ができる。
【0032】なお、化学合成によって作製されたペプチ
ドライブラリーを用いる際、アミノ酸配列解析工程に要
するペプチド量を確保する目的で、第1のスクリーニン
グ工程後、一旦アミノ酸配列を決定することにより、標
的化学物質に対する結合活性を示すアミノ酸モチーフ
を、おおよその絞り込みを行う。改めて、このアミノ酸
モチーフを含むペプチドライブラリーを合成によって調
製し、この粗い絞り込みを終えたペプチドライブラリー
を、第2のスクリーニング工程に使用することもでき、
同じく、本発明の効果が得られる。
【0033】この一連の工程により取得された構造認識
アミノ酸配列は、生体試料中の標的化学物質に対して選
択的な結合活性を示すものである。この構造認識アミノ
酸配列に基づき、それを部分アミノ酸配列として含むよ
うに調製されたペプチドは、標的化学物質の選択的標識
やアフィニティーリガンドとして利用することが可能で
ある。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体
的に説明する。なお、これら実施例は、本発明の最良の
実施の形態の一例ではあるものの、本発明は、これら実
施例に限定されるものではない。
【0035】(実施例1)タンパク質フォスファターゼ
1(PP1)に対する構造認識アミノ酸配列の取得タンパク質
フォスファターゼ1(PP1, EC 3.1.3.16.)は、真核生物の
細胞内に存在するセリン/スレオニン フォスファター
ゼの一種である。このPP1は、炭水化物や脂質の代謝機
構、カルシウム輸送、イオンチャンネルの開閉、筋肉の
収縮、核の構成、タンパク質の生合成、有糸分裂、減数
分裂など、多くの細胞活動において、重要な役割を担っ
ていると考えられている。
【0036】PP1は、ヘテロダイメリックな構造をして
おり、セリン/スレオニン フォスファターゼ酵素活性
を持つキャタリティック・サブユニット(PP1α)と、基
質特異性を決めるターゲッティング・サブユニットとか
ら構成されている。例えば、ヒト肝臓由来のPP1では、
そのPP1αは330個のアミノ酸から成っているが、PP1α
に対する構造認識アミノ酸配列として、従来より、Val-
Xaa-PheまたはVal-Xaa-Tyrというモチーフを含むアミノ
酸配列が知られている。ただし、Xaaは、HisまたはArg
である(Zhao S, Lee EY J. Biol. Chem. 1997 Nov 7;
272(45):28368-28372)。報告には、この三アミノ酸か
らなる配列モチーフ以外は、特に限定されていないが、
前記配列モチーフ以外のアミノ酸配列の選択によって
は、生体試料中に含まれる夾雑物と非特異的な結合を起
こすことも想定できる。その場合には、PP1α上の標的
構造の特異的認識が妨げられてしまう可能性がある。そ
こで、本実施例では、この三アミノ酸からなる配列モチ
ーフ以外のアミノ酸配列を含め、標的タンパク質PP1に
対する構造認識アミノ酸配列を取得するため、本発明の
方法が有効であることを検証した。
【0037】(1) PP1α溶液の調製 シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製タンパク質フ
ォスファターゼ1 (PP1α)を、リン酸緩衝液(組成:6g/
L Na2HPO4, 3g/L KH2PO4, 0.5g/L NaCl, 1g/LNH4Cl, pH
7.4)に溶解し、同じリン酸緩衝液で平衡化したセファ
クリルS-200を用いたゲル濾過法により精製した。その
後、透析して脱塩し、300mg/mlのタンパク質濃度になる
ように希釈して、PP1α溶液を調製した。
【0038】(2) PP1αの固定化 PP1α溶液を、0.1M炭酸水素ナトリウム(pH8.6)に対して
透析した後、100mg/mlのタンパク質濃度になるように希
釈した。この希釈液1.5 mlをポリスチレン製プレートに
入れ、4℃で12時間放置した。その後、ウシ血清アルブ
ミン(BSA)を含むブロッキングバッファー(0.1M NaHCO3
(pH8.6), 5mg/ml BSA, 0.1mg/ml streptavidin, 0.02%N
aN3)をプレートに満たし、4℃で1時間静置し、余分な
結合サイトをブロッキングした。ブロッキングバッファ
ーを捨て、TBSTバッファー(TBSバッファー + 0.1%Twee
n-20)でプレートを10回洗浄した。
【0039】(3) ファージ・ディスプレイ・ペプチドラ
イブラリーからのパンニング PP1αの固定化を施したプレートに、1.5×1011pfuのPh.
D.-12ファージ・ディスプレイ・ライブラリー(NewEngl
and Biolabs, Inc.)を加え、1時間室温に放置した。そ
の後、TBST(50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.
1% Tween-20)で10回洗浄し、未結合のファージを除去
した。次いで、pH2.2のバッファー(0.2Mグリシン-HCl
(pH2.2)、1mg/mlBSA)により、プレート上に結合したフ
ァージを回収した。回収したファージを、大腸菌ER2537
株(NewEngland Biolabs, Inc.)に感染させ、増幅を行
った。この一次スクリーニングで分画、増幅されたファ
ージを用いて、同様の操作で二次スクリーニングを実施
した。合計3段回、スクリーニング操作を繰返した。
【0040】この多段スクリーニング後、最終的に増幅
されたファージを一部採り、これをクローン化した。単
離された35個のクローンから、それぞれssDNAを調製
し、ランダム領域の塩基配列を決定した。表1に、解読
された塩基配列がコードするランダム領域のアミノ酸配
列を示す。なお、既に報告されているVal-Xaa-Pheまた
はVal-Xaa-Tyrの共通する三アミノ酸部分を対応させ
て、相互のアミノ酸配列を対比させている。
【0041】
【表1】
【0042】(4) PP1を含まない生体試料の調製 PP1は細胞内に局在するタンパク質であり、通常血漿中
には見出されない。細胞が何らかの原因で障害を受けた
際、血液中に溶出されてくる。そこで、ウシ血清(シグ
マ アルドリッチ ジャパン株式会社製)を更なる精製を
施さず、そのままPP1を含まない生体試料として、代用
した。
【0043】(5) PP1を含まない生体試料中の生体物質
成分の固定化 強陰イオン交換樹脂(アマシャム・ファルマシア・バイ
オテク株式会社製Q Sepharose HP)、および強陽イオン
交換樹脂(アマシャム・ファルマシア・バイオテク株式
会社製SP Sepharose HP)に、それぞれ結合容量の2倍量
のタンパク質量を含むウシ血清を加え、1時間放置する
ことによって固定化した。その後、強陰イオン交換樹脂
は50mMリン酸緩衝液(pH7.4)で、また、強陽イオン交換
樹脂は50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で、それぞれ
洗浄し、未固定の成分を除いた。
【0044】(6) パンニング (3)の工程で最終的に増幅されたファージを、(5)の工程
で調製した、生体試料中の生体物質成分の固定化処理を
施した強陰イオン交換樹脂に添加し、室温で1時間放置
した。デカンテーションにより上清を分取し、この上清
を、生体試料中の生体物質成分の固定化処理を施した強
陽イオン交換樹脂に添加し、さらに室温で1時間放置し
た。デカンテーションによって上清を採り、採取した未
吸着画分に含まれるファージを、大腸菌ER2537株に感染
させ、増幅した。
【0045】増幅されたファージを一部採り、これをク
ローン化した。単離された35個のクローンから、それぞ
れssDNAを調製し、ランダム領域の塩基配列を決定し
た。表2に、解読された塩基配列がコードするランダム
領域のアミノ酸配列を示す。なお、既に報告されている
Val-Xaa-PheまたはVal-Xaa-Tyrの共通する三アミノ酸部
分を対応させて、相互のアミノ酸配列を対比させてい
る。
【0046】
【表2】
【0047】(7) アミノ酸配列の選択的構造認識機能の
比較 (3)の工程でPP1αに対する親和性に基づいて選別された
10種類のアミノ酸配列(R1〜R10)、(6)の工程で血清タン
パク質に対する非親和性に基づいて、さらに選別された
2種類のアミノ酸配列(S1=R1、S2=R5)について、これら
計10種のアミノ酸配列を含有するペプチドをFmoc法を
用いて化学合成した。その際、各ペプチドのC末端側
に、Ser-Ser-Ser-Gly-Cysの5アミノ酸長の配列を付加
し、全長を(12アミノ酸+5アミノ酸)とした。
【0048】合成した各ペプチドを、そのC末端Cys残基
のSH基を介して、表面プラズモン共鳴センサ(SPRセン
サ 電気化学計器株式会社製)金薄膜センサチップ上に
固定化した。次いで、ウシ血清アルブミン(BSA)でブロ
ッキングを施した後、TBSTに溶解させた各種濃度のPP1
αをSPRセンサに導入し、共鳴角度の時間変化をモニタ
ーすることによって、各ペプチドとPP1αとの親和性を
解析した。
【0049】さらに、ウシ血清中にPP1αを加え、これ
をSPRセンサに導入し、同様にセンサグラムを測定し
た。図1は、アミノ酸配列S1のペプチドを固定化した場
合のセンサグラムの測定結果を示す。アミノ酸配列S2の
ペプチドを固定化した場合にも、図1に示す結果と同様
なセンサグラムが得られた。図1に示すように、PP1α
の導入濃度が高くなるつれて、共鳴角変化量は大きくな
り、本実施例で取得したアミノ酸配列S1とS2のペプチド
は、血清タンパク質の影響を受けず、PP1αを選択的に
識別して結合していることが判る。図2、図3は、アミ
ノ酸配列R6とR7のペプチドをそれぞれ固定化した場合の
センサグラムの結果を示す。この対比から、夾雑タンパ
ク質に対する結合能に基づく、第2のスクリーニング工
程を設けていない、従来法で取得されるアミノ酸配列、
例えば、R6とR7のペプチドでは、血清中に存在する夾雑
タンパク質の非特異的吸着のため、定量的なPP1αの応
答が得られないことがわかる。図4に、アミノ酸配列S1
とS2のペプチド、ならびにアミノ酸配列R6とR7のペプチ
ド、それぞれのペプチドを用いた場合について、測定さ
れた共鳴角変化量の、ウシ血清中に含まれる標的タンパ
ク質PP1α濃度に対する依存性を示す。
【0050】(実施例2)トロポニンC(TnC)に対する構
造認識アミノ酸配列の取得 トロポニンCは、トロポニンを構成する3種類のサブユニ
ットのうちの一つであり、トロポニンを6M尿素で処理す
ることにより分離される。トロポニンCは、SDS-PAGEで
分子量18kDaのバンドを与え、他のサブユニット、40kD
a、24kDaのバンドはそれぞれトロポニンT(TnT)、トロポ
ニンI(TnI)と呼ばれる。TnCは酸性タンパク質で、高い
水溶性を有する。TnCは、カルシウムイオンを4mol/mol
結合し、カルシウムの結合に伴い、その立体構造が変わ
る。カルシウム結合型のTnCは、TnIと強く結合し、TnI
のATPアーゼ阻害活性を抑える。トロポニンの活性は、T
nT:TnI:TnC=1:1:1のモル比のとき最大となる。トロポニ
ン自体は、トロポミオシン(TM)およびアクチンと、モル
比1:1:7の割合で結合し、筋フィラメントを形成する。
【0051】TnCに対する構造認識アミノ酸配列とし
て、(V/L)(D/E)XLKXXLXXLAというモチーフを含むアミノ
酸配列が従来より知られている(Pierce H.H.ら J. Bio
l. Chem. 1998 Sept. 4; 273(36):23448-23453)。な
お、Xは任意のアミノ酸を意味するが、その選択によっ
ては、生体試料中に含まれる夾雑物との非特異的な結合
を起こす可能性がある。その場合、標的TnCに対する、
構造特異的な認識が妨げられてしまう。そこで、本実施
例では、上記の配列モチーフに含まれるXの部分を含
め、TnCに対する選択性に優れた構造認識アミノ酸配列
を取得する際、本発明の方法が有効であることを検証し
た。
【0052】(1) TnCの調製 シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製トロポニン(T
n)を6M尿素で処理し、他のサブユニットと分離した後、
Phenyl-Sepharoseカラムを用いたクロマトグラフィーに
より精製した。精製したTnCは、150mM NaClを含む50mM
リン酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、TnC溶液とした。
【0053】(2) TnCの固定化 TnC溶液を0.1M炭酸水素ナトリウム(pH8.6)に対して透析
した後、100mg/mlのタンパク質濃度になるように希釈し
た。この希釈液1.5 mlをポリスチレン製プレートに入
れ、4℃で12時間放置した。その後、ウシ血清アルブミ
ン(BSA)を含むブロッキングバッファー(0.1M NaHCO3(p
H8.6), 5mg/ml BSA, 0.1mg/ml streptavidin, 0.02%NaN
3)をプレートに満たし、4℃で1時間静置し、余分な結
合サイトをブロッキングした。ブロッキングバッファー
を捨て、TBSTバッファー(TBSバッファー + 0.1%Tween-
20)でプレートを10回洗浄した。
【0054】(3) ファージ・ディスプレイ・ペプチドラ
イブラリーからのパンニング TnCの固定化を施したプレートに、1.5×1011pfuのPh.D.
-12ファージ・ディスプレイ・ライブラリー(NewEnglan
d Biolabs, Inc.)を加え、1時間室温に放置した。その
後、TBSTバッファー(50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM
NaCl、0.1% Tween-20)で10回洗浄し、未結合のファー
ジを除去した。次いで、pH2.2のバッファー(0.2Mグリ
シン-HCl(pH2.2)、1mg/mlBSA)により、プレートに結合
したファージを回収した。回収した結合分画のファージ
を、大腸菌ER2537(NewEngland Biolabs, Inc.)に感染さ
せ、増幅を行った。この一次スクリーニングで分画、増
幅されたファージを用いて、同様の操作で二次スクリー
ニングを実施した。合計3段回、スクリーニング操作を
繰返した。
【0055】この多段スクリーニング後、最終的に増幅
されたファージを一部採り、これをクローン化した。単
離された35個のクローンから、それぞれssDNAを調製
し、ランダム領域の塩基配列を決定した。表3に、解読
された塩基配列がコードするランダム領域のアミノ酸配
列を示す。なお、既に報告されている配列モチーフ(V/
L)(D/E)XLKXXLXXLAの共通するアミノ酸部分を対応させ
て、相互のアミノ酸配列を対比させている。
【0056】
【表3】
【0057】(4) TnCを含まない生体試料の調製 TnCは細胞内に局在するタンパク質であり、通常血漿中
には見出されない。細胞が何らかの原因で障害を受けた
際、血液中に溶出されてくる。そこで、ウシ血清(シグ
マ アルドリッチ ジャパン株式会社製)を更なる精製を
施さず、そのままTnCを含まない生体試料として、代用
した。
【0058】(5) TnCを含まない生体試料中の生体物質
成分の固定化 強陰イオン交換樹脂(アマシャム・ファルマシア・バイ
オテク株式会社製Q Sepharose HP)、および強陽イオン
交換樹脂(アマシャム・ファルマシア・バイオテク株式
会社製SP Sepharose HP)の1:1混合物に総結合容量の2
倍量のタンパク質量のウシ血清を加え1時間放置するこ
とによって固定化した。固定化を施したイオン交換樹脂
混合物は、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄し、未吸着
分を除去した。
【0059】(6) パンニング (3)の工程で最終的に増幅されたファージを、(5)の工程
で調製した、生体試料中の生体物質成分の固定化処理を
施したイオン交換樹脂の混合物に添加し、室温で1時間
放置した。デカンテーションによって上清を採り、採取
した未吸着画分に含まれるファージを、大腸菌ER2537株
に感染させ、増幅した。
【0060】増幅されたファージを一部採り、これをク
ローン化した。単離された35個のクローンから、それぞ
れssDNAを調製し、ランダム領域の塩基配列を決定し
た。表2に、解読された塩基配列がコードするランダム
領域のアミノ酸配列を示す。なお、既に報告されている
相同性を有するアミノ酸を対応させて、相互のアミノ酸
配列を対比させている。
【0061】
【表4】
【0062】(7) アミノ酸配列の選択的構造認識機能の
比較 (3)の工程でTnCに対する親和性に基づいて選別された10
種類のアミノ酸配列(R21〜R30)、(6)の工程で血清タン
パク質に対する非親和性に基づいて、さらに選別された
2種類のアミノ酸配列(S3=R22、S4=R24)について、これ
ら計10種のアミノ酸配列を含有するペプチドをFmoc法
を用いて化学合成した。その際、各ペプチドのC末端側
に、Ser-Ser-Ser-Gly-Cysの5アミノ酸長の配列を付加
し、全長を(12アミノ酸+5アミノ酸)とした。
【0063】合成した各ペプチドを、そのC末端Cys残基
のSH基を介して、表面プラズモン共鳴センサ(SPRセン
サ 電気化学計器株式会社製)金薄膜センサチップ上に
固定化した。次いで、ウシ血清アルブミン(BSA)でブロ
ッキングを施した後、TBSTに溶解させた各種濃度のTnC
をSPRセンサに導入し、共鳴角度の時間変化をモニター
することによって、各ペプチドとTnCとの親和性を解析
した。
【0064】さらに、ウシ血清中にTnCを加え、これをS
PRセンサに導入し、同様にセンサグラムを測定した。図
5は、アミノ酸配列S3のペプチドを固定化した場合のセ
ンサグラムの測定結果を示す。アミノ酸配列S4のペプチ
ドを固定化した場合にも、図5に示す結果と同様なセン
サグラムが得られた。図5に示すように、TnCの導入濃
度が高くなるつれて、共鳴角変化量は大きくなり、本実
施例で取得したアミノ酸配列S3とS4のペプチドは、血清
タンパク質の影響を受けず、 TnCを選択的に識別して結
合していることが判る。図6、図7は、アミノ酸配列R2
6とR27のペプチドをそれぞれ固定化した場合のセンサグ
ラムの結果を示す。この対比から、夾雑タンパク質に対
する結合能に基づく、第2のスクリーニング工程を設け
ていない、従来法で取得されるアミノ酸配列、例えば、
R26とR27のペプチドでは、血清中に存在する夾雑タンパ
ク質の非特異的吸着のため、定量的なTnCの応答が得ら
れないことがわかる。図8に、アミノ酸配列S3とS4のペ
プチド、ならびにアミノ酸配列R26とR27のペプチド、そ
れぞれのペプチドを用いた場合について、測定された共
鳴角変化量の、ウシ血清中に含まれる標的タンパク質Tn
C濃度に対する依存性を示す。
【0065】
【発明の効果】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方
法は、ランダム・ペプチドライブラリーを利用し、その
なかから、生体試料中の標的化学物質に対して特異的な
結合能力を有するペプチドのスクリーニングで選別し、
その全アミノ酸配列中に含まれる構造認識アミノ酸配列
を取得する際、ペプチドライブラリーをスクリーングし
た後、選別される標的化学物質との結合能を有する一群
のペプチドについて、かかる標的化学物質自体は含有し
ないが、その他の本来含むべき種々の生体物質を含む生
体試料を用いて、それら他の本来含むべき種々の生体物
質との結合は実質的に起こさないペプチドのみを更にス
クリーニングすると、挟雑物による干渉を排し、標的化
学物質とのみ選択的に結合するペプチドに含まれる構造
認識アミノ酸配列を、高い確度で、また再現性よく、簡
便に採取することが可能となる。この方法で取得される
構造認識アミノ酸配列に基づき調製される、その構造認
識アミノ酸配列を含むペプチドは、生体試料のような多
種多様なタンパク質など挟雑物が共存する試料であって
も、目的の標的化学物質、例えば、標的タンパク質を高
い定量性で検出したり、標識したりする際に利用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法を用
いて、標的タンパク質PP1αに対する構造認識アミノ酸
配列として取得されたアミノ酸配列S1を有するペプチド
について、その標的タンパク質PP1αの選択的な検出能
(結合能)を示す表面プラズモン共鳴センサを用いたセ
ンサグラムの結果である。
【図2】従来法によって取得された、標的タンパク質PP
1αに対する結合能を示すアミノ酸配列R6を有するペプ
チドについて、ウシ血清中に存在する夾雑タンパク質に
起因する、標的タンパク質PP1aに対する検出能(結合
能)の選択性の低下を示す表面プラズモン共鳴センサを
用いたセンサグラムの結果である。
【図3】従来法によって取得された、標的タンパク質PP
1αに対する結合能を示すアミノ酸配列R7を有するペプ
チドについて、ウシ血清中に存在する夾雑タンパク質に
起因する、標的タンパク質PP1αに対する検出能(結合
能)の選択性の低下を示す表面プラズモン共鳴センサを
用いたセンサグラムの結果である。
【図4】本発明の方法を用いて取得された、標的タンパ
ク質PP1αに対する構造認識アミノ酸配列S1とS2を有す
るペプチド、ならびに、従来法を用いて取得された、標
的タンパク質PP1αに対する高い結合能を示すアミノ酸
配列R6とR7を有するペプチドについて、夾雑タンパク質
を含むウシ血清中に溶解する標的タンパク質PP1aのタン
パク質濃度に対する、測定される表面プラズモン共鳴角
度変化量の依存性を示すグラフである。
【図5】本発明の構造認識アミノ酸配列の取得方法を用
いて、標的タンパク質TnCに対する構造認識アミノ酸配
列として取得されたアミノ酸配列S3を有するペプチドに
ついて、その標的タンパク質TnCの選択的な検出能(結
合能)を示す表面プラズモン共鳴センサを用いたセンサ
グラムの結果である。
【図6】従来法によって取得された、標的タンパク質Tn
Cに対する結合能を示すアミノ酸配列R26を有するペプチ
ドについて、ウシ血清中に存在する夾雑タンパク質に起
因する、標的タンパク質TnCに対する検出能(結合能)
の選択性の低下を示す表面プラズモン共鳴センサを用い
たセンサグラムの結果である。
【図7】従来法によって取得された、標的タンパク質Tn
Cに対する結合能を示すアミノ酸配列R27を有するペプチ
ドについて、ウシ血清中に存在する夾雑タンパク質に起
因する、標的タンパク質TnCに対する検出能(結合能)
の選択性の低下を示す表面プラズモン共鳴センサを用い
たセンサグラムの結果である。
【図8】本発明の方法を用いて取得された、標的タンパ
ク質TnCに対する構造認識アミノ酸配列S3とS4を有する
ペプチド、ならびに、従来法を用いて取得された、標的
タンパク質TnCに対する高い結合能を示すアミノ酸配列R
26とR27を有するペプチドについて、夾雑タンパク質を
含むウシ血清中に溶解する標的タンパク質TnCのタンパ
ク質濃度に対する、測定される表面プラズモン共鳴角度
変化量の依存性を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体試料に含有されうる標的化学物質の
    構造を認識し、前記標的化学物質と選択的な結合形成す
    るペプチドに利用される構造認識アミノ酸配列を決定す
    る方法であって、 所定のアミノ酸長を有する可変領域がランダムなアミノ
    酸配列で構築されてなるペプチドライブラリーから、前
    記標的化学物質のみを担体上に固定化してなる第1のス
    クリーニング担体を用いて、前記第1のスクリーニング
    担体上に吸着するペプチド画分を分取する第1のスクリ
    ーニング工程と、 前記第1のスクリーニング工程で採取される吸着するペ
    プチド画分に含まれるペプチド群から、前記生体試料に
    含有される、前記標的化学物質以外の生体物質を非選択
    的に担体上に固定化してなる第2のスクリーニング担体
    を用いて、前記第2のスクリーニング担体上に吸着する
    ペプチド画分を除き、前記第2のスクリーニング担体上
    に吸着しないペプチド画分のみを分取する第2のスクリ
    ーニング工程と、 前記第2のスクリーニング工程で採取される、前記標的
    化学物質との結合能を有し、かつ、前記生体試料に含有
    される、その他の生体物質とは有意に結合しないペプチ
    ド画分から、それに含まれる各ペプチドについて、少な
    くとも、その由来するペプチドライブラリーの可変領域
    を含む、所定アミノ酸長の部分アミノ酸配列を決定する
    アミノ酸配列解析工程とを含み、 前記のアミノ酸配列解析工程において、解明された前記
    各ペプチドの有する部分アミノ酸配列から前記ペプチド
    ライブラリーの可変領域に相当する構造認識アミノ酸配
    列を決定することを特徴とする構造認識アミノ酸配列の
    取得方法。
  2. 【請求項2】 前記標的化学物質がタンパク質であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の構造認識アミノ酸配列
    の取得方法。
  3. 【請求項3】 前記第2のスクリーニング担体の調製に
    もちいる担体として、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換
    樹脂との混合物からなる担体を用いることを特徴とする
    請求項1または2に記載の構造認識アミノ酸配列の取得
    方法。
  4. 【請求項4】 前記標的化学物質を含有する可能性を有
    する生体試料自体は、血漿または細胞破砕抽出液である
    ことを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の構造
    認識アミノ酸配列の取得方法。
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