JP2004215367A - 軸方向空隙型ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動回路部材を内蔵しながらも簡単な構成で部材点数の軽減と各部材を薄くしながらも強度も十分に得る。
【解決手段】複数個の磁極を有する焼結金属で形成され軸方向空隙型マグネット8が備えられ、外周に弧状ウエイト9が溶着されたロータRと、このロータを軸方向空隙を介して駆動させるもので、ステータベース3に巻線型空心電機子コイル5A、5Bがあり、ヨークブラケット1に軸2が固着され、マグネットの内径部に焼結含油軸受7が備えられ、焼結含油軸受と前記軸方向空隙型マグネットの内径部を溶接し、これらを格納する非磁性カバー10が備えられた。
【選択図】 図2
【解決手段】複数個の磁極を有する焼結金属で形成され軸方向空隙型マグネット8が備えられ、外周に弧状ウエイト9が溶着されたロータRと、このロータを軸方向空隙を介して駆動させるもので、ステータベース3に巻線型空心電機子コイル5A、5Bがあり、ヨークブラケット1に軸2が固着され、マグネットの内径部に焼結含油軸受7が備えられ、焼結含油軸受と前記軸方向空隙型マグネットの内径部を溶接し、これらを格納する非磁性カバー10が備えられた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動体通信装置の無音報知手段などに用いて好適なもので駆動回路部材が内蔵された軸方向空隙型ブラシレスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータは、ブラシ、コミュテータに代わる駆動回路が必須要件であるが、上記従来の構造はいずれも駆動回路が内蔵されておらず、外付けのため引き出し端子も4端子以上が必要となって通常の2端子型直流モータのように取り扱うことができない問題があった。
しかも、通常のブラシレスモータでは、ステータは複数個の電機子コイルを均等に全周に配置しており、駆動回路装置もICを始め他の電子部品が必要なため、これらの駆動回路装置は通常ではとても内蔵できるものではなかった。
扁平な軸方向空隙型ブラシレス振動モータとして本出願人は、先にコアレススロットレス型で駆動回路部材を内蔵させないものを提案している。(特許文献1、特許文献2参照)
駆動回路付きのブラシレス振動モータとしては、コアード型で、複数個の等分に配置した突極に電機子コイルを巻回してなるコアード型で駆動回路部材をステータの側方に配置した非円形なものが知られている。(特許文献3参照)
しかしながら、このようなものは、側方向のサイズが大となってしまい、セットが印刷配線板にSMD方式では実装効率が悪く、またコアード型のため、厚みが大とならざるを得ず実用性がない。
そこで、本出願人は、先にコアード、スロットレスコアレス型を含んだもので複数個の電機子コイルの一部を削除して空所を設け、この空所に駆動回路部材を配置したものを提案している。(特許文献4参照)
【0003】
【特許文献1】実開平4−137463号公報
【特許文献2】特開2002−143767号公報
【特許文献3】特開2000−245103号公報
【特許文献4】特開2002−142227号公報(図8〜図11)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、上記特許文献4に開示された特開2002−142227号公報の図8〜図11の軸方向空隙型ブラシレス振動モータをさらに改良して薄型で簡単な構成で部材点数を少なくし、各部材を薄くしながらも強度を十分に得られ、駆動回路部品を内蔵できるようにし、通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにして携帯機器の無音報知源として極めて薄い小型ブラシレス振動モータを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するには、請求項1に示すように、複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットが備えられたロータと、このロータを軸方向空隙を介して駆動させるステータが備えられ、これらを格納するカバーが備えられた軸方向空隙型ブラシレスモータにおいて、前記ロータは前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用したものであるもので達成できる。
このようにすると、保持手段としてのマグネットは内径部分の着磁できないデットスペースを利用するので、特性的な問題は考えずに済み、ヨークを省くことができ、薄型化に寄与できる。
具体的には、請求項2、3に示すように前記ステータに軸が固着され、前記軸方向空隙型マグネットは焼結金属で形成され、このマグネットの内径部に軸支承部として焼結含油軸受が備えられ、前記内径部を軸支承部として利用する手段が前記焼結含油軸受と前記軸方向空隙型マグネットの内径部を溶接したもので、前記焼結含油軸受は前記軸方向空隙型マグネットより軸方向に突き出ていてこの突き出た部分を利用して溶接したものであるのがよい。
このようにすれば、マグネットの内径部分は軸受に容易に溶着できるので、この軸受を介してロータが回転自在となり、軸固定型として構成できる。
また、軸回転型としては、請求項4に示すように、前記ステータに軸受が固着され、前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用する手段が軸を前記内径部に溶接したものがよい。
このようにすれば、軸回転型が容易に構成できる。
請求項5に示すように、前記軸にマグネット内径部係止手段が備えられ、前記マグネットは、このマグネット内径部係止手段を介して前記軸に固着されたものにするのがよい。
このようにすれば、軸とマグネットの係止が容易にでき、軸回転型として容易に構成できる。
【0006】
また、請求項6、7に示すように、前記軸方向空隙型マグネットは少なくとも反ステータ側が磁性メッキされているか、前記カバーは非磁性体もしくは弱磁性体で構成されたものにするのがよい。
このようにすれば、わずかながらも磁気回路が構成できるので、ロータヨークを省くことによりロータを薄くできるようになり、マグネットから漏れ磁束があっても吸着ロスがでなくなる。
また、請求項8に示すように、前記軸方向空隙型マグネットの反ステータ側に薄い磁性板が添設されているものでもよい。
このようにすれば、磁気回路が構成できる。
別の課題として請求項9、10に示すように、前記軸方向空隙型マグネットの少なくとも外周に偏心ウエイトを一体化したものか、前記偏心ウエイトは反ステータ側に溶接代がある銅タングステン合金からなり、この溶接代の部分を利用して前記軸方向空隙型マグネットに溶接で一体化したものがよい。
このようにすれば、振動モータが容易に得られ、溶接代によって上方に突き出ることがなくなり、厚み方向が犠牲にならない。
これらは具体的には、請求項11に示すように、前記軸に支えられたロータと、この軸を支えるヨークブラケットと、このヨークブラケットに添設されたステータベースと、このステータベースに平面視アンバランスにならないように等分に配された複数個の軸方向空隙型であって少なくとも2個が巻線型で構成された空心電機子コイルと、この空心電機子コイルのほぼ外径を円とする配置エリア内で前記巻線型で構成された空心電機子コイルから軸方向に突き出ないように前記ステータベースに駆動回路装置を配し、前記ヨークブラケットは中心に軸支承部と、この軸支承部から半径方向に延びる支部と、この支部に一体の保持部とが形成され、この保持部に前記カバーの開口部が組み付けられたことを特徴とすることで達成できる。
このようにすると、軸方向空隙型でスロットレス方式の駆動回路を内蔵したブラシレスモータが得られる。
さらに具体的には、請求項12、13に示すように、前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心に軸の基端が固定され、少なくとも前記非磁性空間部分に樹脂が一体化され、前記偏心ロータはロータヨークの軸支承部に配された軸受を介して前記軸に回転自在に装着され、前記軸の先端がカバー部材の中心の凹部にはめ込まれているもので、前記軸の先端は前記凹部でカバー部材に溶着されているものにするのがよい。
このように軸固定型にすると、軸が細くても径方向の動きが防ぐことができ、局所のレーザ溶接によって耐衝撃性の十分なものが得られる
軸回転型では、請求項14に示すように、前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心の前記軸支承部に軸受が備えられ、少なくとも前記空間部分に樹脂が一体化され、前記軸は先端が前記ロータヨークの軸支承部に溶着され、この軸を回転自在に支える軸受部がステータベースの中心に配され、前記軸の基端がステータベース側にピボット支承されたものがよい。
このようにすると、軸回転型でブレーキ損の少ないものが得られる。
これらの具体的な構造は、請求項15、16に示すように、ステータベースはヨークブラケットの下部に配され、前記駆動回路部材は前記支部の間に格納され、前記空心電機子コイルを含めて樹脂で一体成形されているものか、前記カバーとヨークブラケットの組み付ける手段がレーザ溶接によるものであるのがよい。
このようにすると、樹脂によって各ステータ部材の補強が容易にでき、ブラケットが薄くても、落下などの衝撃に耐えられるものが得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型1ホールセンサ式コアレススロットレス方式ブラシレスモータの横方向切断平面図である。
図2は図1のA−A切断縦断面図である。
図3は図1の一部材の平面図である。
図4は図1の別の部材の平面図である。
図5は図1の変形例の要部断面図である。
図6は、この発明の第2の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
図7は図6のA−A切断縦断面図である。
図8は図6の一部材の平面図である。
図9はこの発明の第3の実施の形態を示すもので、軸回転型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの縦断面図である。
【0008】
以下、この発明の構成を図示する各実施の形態に基づいて説明する。
図1、図2に示すものは軸固定型の軸方向空隙型コアレススロットレス方式ホールセンサ型ブラシレス振動モータで、すなわち、ヨークブラケット1は鉄板より弱い磁性を有するステンレス板で厚みが0.15mmないし0.2mmの薄型で構成され、中央にバーリング状に突き立てた軸支承部1aがある。
図3に示すような半径方向に約120度開角で延設された3カ所の後述の軸方向界磁型マグネットの磁界を受ける磁性体からなる支部としてディテントトルク発生部1b及びさらに半径方向に延在されたものでリング状の補強を兼ねた保持部1cを有し、この保持部の一部がさらに半径方向に突き出されて給電端子載置部1dとなっている。このヨークブラケット1は、後述の軸方向界磁型マグネット8の磁極を特定の位置に停止しておくために前記のディテントトルク発生部1bの間は非磁性の空間部分1eを構成している。
このように構成したヨークブラケット1の上面には、前記軸支承部1aに0.5mmの細手の軸2が基端で圧入されると共に、この周囲にフレキシブル印刷配線板ステータベース3が載置され、さらに、前記ヨークブラケット1が骨幹となるように液晶、ポリフエニレンサルファイドなどのリフロー半田に耐えられる耐熱性樹脂4で一体化される。この耐熱性樹脂は前記非磁性空間1eにも充填され、ヨークブラケット1を補強すると共に、前記非磁性空間1eを塞いでいる。前記ステータベース3には、2個の巻線型空心電機子コイル5A、5Bが対向して載置され、単相となるようにシリーズに結線される。
これらの巻線型空心電機子コイル5A、5B間には1個のホールセンサHとIC化された駆動回路部材Dからなる駆動回路装置が前記ステータベースに配置される。
ここで、ディテントトルク発生部1bと単相の空心電機子コイルの位置関係は、空心電機子コイルの有効導体部が後記の軸方向界磁型のマグネット8の磁極に合わせて設定され、コギングトルク発生部1bの形状はマグネットの磁力によって停止させておくに当たって最小の停動トルクが得られるように設定されるのがよい。
したがって、これらのステータ部材は、平面視重畳してないことになり、薄型に構成できる。
ここでは、前記耐熱性樹脂4の一部をガイド4a、4bとして立ち上げ、このガイド4a、4bを利用して前記空心電機子コイル5A、5Bを載置したものを示したが、ステータ側は他の部材と含めて樹脂4で一体成形してもよい。このようにすると、ステータ側の全体の補強ができる。
【0009】
一方、前記軸に回転自在に装着される偏心ロータRは、図4にも示すように軸方向空隙型マグネット8の内径部に焼結含油軸受7が図中Yで示されるレーザ溶接によって取り付けられ、この軸方向空隙型マグネット8の外周で前記マグネット8に溶接代9aの部分で円弧状にレーザ溶接Yされた弧状ウエイト9を有する。
ここで、前記マグネット8は、表面に純鉄などの磁性メッキが施され、ロータヨークが削除されている。
したがって、ロータヨーク分だけ薄くできることになる。
前記マグネット8は、ここではN、S交互に6極着磁され、その駆動原理は公知であるので、その説明は省略する。
このように構成した偏心ロータRは、ブレーキ損失を軽減させるために少なくとも2枚に積層したスラストワッシャS1を介して前記軸2に回転自在に装着される。その後、薄い非磁性ステンレス材からなる浅いキャップ状のカバー部材10が被せられ、前記軸の先端が前記カバー部材10の中央に形成されたバーリング孔10aにスラストワッシャS2を介してはめ込まれる。ここで、このバーリング孔は先端が軸径よりさらに細くなっており、軸2の先端が突き出ないようになっていてこの先端部分は変形予防のために前記カバー部材10にレーザ溶接Yされると共に、カバー部材10の開口部は前記ヨークブラケット1の保持部1cスポット状にレーザ溶接で組み付けられる。
したがって、このように溶接によって組み立てられるので、薄手の部材を使用しても強度が十分得られることになる。
このように、ステータベース3上に設けた巻線電機子コイル5A、5B、ホールセンサHおよび駆動回路部材Dなどからなるステータ側部材をカバー部材10の内部に格納することによってモータ外部へは給電端子載置部1dから一対の電源端子を導出するだけでよいので、ブラシレスモータでありながら通常のモータと同様に取り扱うことができる。
また、カバーとして非磁性ステンレスにすれば、断熱効果があるので、リフローに耐えられる。
【0010】
次に図5において、上記第1の実施の形態の第1の変形例を説明するが、上記の実施の形態と同一の部材または同一機能を有する略同一部材については同一符号を付してその説明を省略する場合がある。
この変形例は、マグネット8の上面に厚みが0.05mm程度の薄いヨーク板6を添設したもので、当然ながらこのヨーク板6は、強度を確保するためのものでなく、単なる磁気回路を構成するだけのものである。
したがって、軸受にはマグネット内径部が溶着されるのには変わりがない。
このようにすれば、マグネット8の上方への漏洩磁束は少なくなるので、カバーは通常の少し磁性のあるステンレスにしてもよい。
【0011】
図6、7に示すものは、この発明の第2の実施の形態として軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータで、すなわち、ヨークブラケット1は弱い磁性を有するステンレス板で厚みが0.17ないし0.2mm程度で構成され、中央にバーリング状に突き立てて0.5mmの細手の軸2が基端で圧入された軸支承部1aと、図8に示すような、軸支承部1aから半径方向延在させた支幹1b及びさらにこの支幹1bに一体で、半径方向へ延びた各支幹1bの先端を繋いで補強し後述のカバー部材10との組み付け部を兼ねたリング状保持部1cからなり、この保持部の一部がさらに半径方向に突き出されて給電端子載置部1dとなっている。
保持部材1は、軸支承部1aと支幹1bに対して、図7における下方向へ一段下がった状態で形成され、ヨークブラケット1の下部、すなわち軸支承部1aと支幹1bの下側には、フレキシブル印刷配線板あるいはガラスクロスエポキシ基板からなるステータベース3が添設される。
また、ステータベース3の一部が突出して構成される給電端子部は、保持部1cと軸支承部1aとの段差を利用して給電端子載置部1dの上側に保持される。このステータベース3には、3相の電機子コイル、すなわち3個の巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cと、これらの空心電機子コイルにシリーズに結線された平面視6個の印刷配線空心電機子コイル5a、5b‥‥5fが等分に形成されている。
【0012】
巻線型空心電機子コイル5A、5B、5Cは、片側開角180度以内に配置され、6個の内3個の印刷配線型空心電機子コイル5a、5b、5cが同位置に重なって配置されている。
ここで、印刷配線コイルの替わりに薄い、たとえば0.05mm程度の粘着剤を表面に塗布したシートに直径0.05mmの絶縁銅線を1層に巻回子ながら付着して形成したものでもよい。
ステータベース3上で、これらの巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cの中心を介して反対側には、支幹1bの間になるように残りの3個の印刷配線型空心電機子コイル5d,5e、5fの位置にセンサレスIC化された駆動回路部材Dとその付属部品が配置される。すなわち、ステータベース3はヨークブラケット1の軸支承部1aと支幹1bの下方に位置し、軸支承部1aと支幹1bは巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cおよび駆動回路部材Dとその付属部品等を除けた位置で、その厚み以内に設けられる。
当然ながら、これらの駆動回路部材の結線パターンは必要になるので、この駆動回路部材配置側の印刷配線空心電機子コイル5a、5b、5cは裏面のみに形成され、表面は前記駆動回路部材の結線パターンを避けて巻き始め端末引き出しパターン程度だけとする。
【0013】
そして、これらは前記ヨークブラケット1の支幹1bが骨幹となるように液晶樹脂、ポリフエニレンサルファイドなどのリフロー半田に耐えられる耐熱性樹脂4で一体化される。
したがって、これらのステータベース3に配置される巻線型空心電機子コイル、駆動回路部材、支幹1b等は、印刷配線をのぞいて平面視重畳してないことになるので薄型にできる。また、支幹1bを一体に樹脂成形することによりステータベース3を中心としたステータ部分の強度を強くすることができる。
特に図示しないが、前記耐熱性樹脂4は一体成形の替わりに前記空心電機子コイル載置ガイドを立ち上げ、このガイドに前記空心電機子コイルを載置してもよい。
その後、薄い非磁性もしくは鉄より磁性が弱いステンレス材からなる扁平カップ状のカバー部材10が被せられ、前記軸の先端がカバー部材10の中央に形成されたバーリング孔10aにスラストワッシャS2を介してはめ込まれる。ここで、このバーリング孔は軸径よりさらに細くなっており、軸2の先端が突き出ないようになっていて、この先端部分は変形予防のために前記カバー部材10にレーザ溶接Yされる。
【0014】
カバー部材10の開口部は前記ヨークブラケット1のリング状保持部1cにレーザスポット溶接で組み付けられる。
このように溶接によって組み立てられた振動モータは、薄手の部材を使用しても強度が十分得られることになる。
このように構成したセンサレス型扁平モータの駆動原理は、空心電機子コイル自体の逆起電力の方向を検出して駆動するものが採用されるが、その説明は公知のため省略する。
【0015】
次に図9において、第4の実施の形態である軸回転型の構成を説明する。
ここでも、上記の実施の形態と同一の部材または同一機能を有する略同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する場合がある。
すなわち、ヨークブラケット11の中央には、第1の実施の形態と比較して少し大径の軸支部11aがバーリング状に上方に突き出され、ここに焼結含油軸受7が格納される。ヨークブラケット11のその他の部位は前記第1の実施の形態と同様なためその説明は省略する。
ここでステータは、図6の変形例で、厚みの異なる巻線型空心電機子コイル同士からなるもので、すなわち、フレキシブル印刷配線板(図示せず)に厚い空心電機子コイル5A、5B及び5Cに対向して印刷配線空心電機子コイル5e、5dおよび5fのかわりに巻線で形成した薄い空心電機子コイルを配置し、その薄い空心電機子コイルに重畳するように前記センサレスIC化された駆動回路部材Dとその付属部品が配置されるようにしたものである。
一方、偏心ロータR1は、軸の先端が前記のようなマグネット8の内径部に鳩目状チューブ2aを介して溶着される。
ここで、前記鳩目状チューブ2aは軸に圧入されているが、あくまで位置決めであって、溶着の主体は軸とマグネット内径部にある。この軸22の他端は、0.3mm程度のボールベアリングBを介してヨークブラケット11に一体化した耐熱性樹脂の受け部にピボット支承される。
【0016】
ここで前記ボールベアリングBの替わりに軸に基端を丸く形成してもよい。
偏心ロータR1は、ヨークブラケット側へ吸引されるので、スラストワッシャは不要となる。当然ながらカバー部材100は、ここではめくら型でよいことになる。
【0017】
この発明は、その技術的思想、特徴から逸脱することなく、他のいろいろな実施の形態をとることができる。そのため、前述の実施の形態は単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。この発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には拘束されない。
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成したので、部材点数を少なくし、駆動回路装置をモータ内部に内蔵できるようにして給電端子も正負の2端子にすることができ、通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにし、各部材を薄くしながらも強度も十分なようにして極めて薄いブラシレス振動モータを提供できる。
すなわち、請求項1の発明では、保持手段としてのマグネットは内径部分の着磁できないデットスペースを利用するので、特性的な問題は考えずに済み、ヨークを省くことができ、薄型化に寄与できる。
請求項2、3の発明では、マグネットの内径部分は軸受に容易に溶着できるので、この軸受を介してロータが回転自在となり、軸固定型として構成できる。
請求項4、5発明では、このようにすれば、軸回転型が容易に構成でき、軸とマグネットの係止が容易にでき、軸回転型として容易に構成できる。
請求項6、7の発明では、このようにすれば、わずかながらも磁気回路が構成できるので、ロータヨークを省くことによりロータを薄くできるようになり、マグネットから漏れ磁束があっても吸着ロスがでなくなる。
請求項8の発明では、このようにすれば、磁気回路が構成できる。
請求項9、10の発明では、振動モータが容易に得られ、溶接代によって上方に突き出ることなくなり、厚み方向が犠牲にならない。
請求項11の発明では、軸方向空隙型でもスロットレス方式の駆動回路を内蔵したブラシレスモータが得られる。
請求項13の発明では、軸が細くても径方向の動きを防ぐことができ、局所のレーザ溶接によって耐衝撃性の十分なものが得られる。
請求項14の発明では、軸回転型でブレーキ損の少ないものが得られる。
これらの具体的な構造として請求項15、16の発明では、樹脂によって各ステータ部材の補強が容易にでき、ブラケットが薄くても、落下などの衝撃に耐えられるものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型1ホールセンサ型コアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
【図2】図1のA−A切断縦断面図である。
【図3】図1の一部材の平面図である。
【図4】図1の別の部材の平面図である。
【図5】図1の変形例の要部断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
【図7】図6のA−A切断縦断面図である。
【図8】図6の一部材の平面図である。
【図9】この発明の第3の実施の形態を示すもので、軸回転型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの縦断面図である。
【符号の説明】
1、11 ヨークブラケット
2 軸
3 ステータベース
4 耐熱性樹脂
5A、5B 空心電機子コイル
6、66 ロータヨーク
R、R1 偏心ロータ
H ホールセンサ
D 駆動回路部材
7 焼結含油軸受
8 マグネット
9 弧状ウエイト
10 カバー部材
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動体通信装置の無音報知手段などに用いて好適なもので駆動回路部材が内蔵された軸方向空隙型ブラシレスモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータは、ブラシ、コミュテータに代わる駆動回路が必須要件であるが、上記従来の構造はいずれも駆動回路が内蔵されておらず、外付けのため引き出し端子も4端子以上が必要となって通常の2端子型直流モータのように取り扱うことができない問題があった。
しかも、通常のブラシレスモータでは、ステータは複数個の電機子コイルを均等に全周に配置しており、駆動回路装置もICを始め他の電子部品が必要なため、これらの駆動回路装置は通常ではとても内蔵できるものではなかった。
扁平な軸方向空隙型ブラシレス振動モータとして本出願人は、先にコアレススロットレス型で駆動回路部材を内蔵させないものを提案している。(特許文献1、特許文献2参照)
駆動回路付きのブラシレス振動モータとしては、コアード型で、複数個の等分に配置した突極に電機子コイルを巻回してなるコアード型で駆動回路部材をステータの側方に配置した非円形なものが知られている。(特許文献3参照)
しかしながら、このようなものは、側方向のサイズが大となってしまい、セットが印刷配線板にSMD方式では実装効率が悪く、またコアード型のため、厚みが大とならざるを得ず実用性がない。
そこで、本出願人は、先にコアード、スロットレスコアレス型を含んだもので複数個の電機子コイルの一部を削除して空所を設け、この空所に駆動回路部材を配置したものを提案している。(特許文献4参照)
【0003】
【特許文献1】実開平4−137463号公報
【特許文献2】特開2002−143767号公報
【特許文献3】特開2000−245103号公報
【特許文献4】特開2002−142227号公報(図8〜図11)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、上記特許文献4に開示された特開2002−142227号公報の図8〜図11の軸方向空隙型ブラシレス振動モータをさらに改良して薄型で簡単な構成で部材点数を少なくし、各部材を薄くしながらも強度を十分に得られ、駆動回路部品を内蔵できるようにし、通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにして携帯機器の無音報知源として極めて薄い小型ブラシレス振動モータを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するには、請求項1に示すように、複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットが備えられたロータと、このロータを軸方向空隙を介して駆動させるステータが備えられ、これらを格納するカバーが備えられた軸方向空隙型ブラシレスモータにおいて、前記ロータは前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用したものであるもので達成できる。
このようにすると、保持手段としてのマグネットは内径部分の着磁できないデットスペースを利用するので、特性的な問題は考えずに済み、ヨークを省くことができ、薄型化に寄与できる。
具体的には、請求項2、3に示すように前記ステータに軸が固着され、前記軸方向空隙型マグネットは焼結金属で形成され、このマグネットの内径部に軸支承部として焼結含油軸受が備えられ、前記内径部を軸支承部として利用する手段が前記焼結含油軸受と前記軸方向空隙型マグネットの内径部を溶接したもので、前記焼結含油軸受は前記軸方向空隙型マグネットより軸方向に突き出ていてこの突き出た部分を利用して溶接したものであるのがよい。
このようにすれば、マグネットの内径部分は軸受に容易に溶着できるので、この軸受を介してロータが回転自在となり、軸固定型として構成できる。
また、軸回転型としては、請求項4に示すように、前記ステータに軸受が固着され、前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用する手段が軸を前記内径部に溶接したものがよい。
このようにすれば、軸回転型が容易に構成できる。
請求項5に示すように、前記軸にマグネット内径部係止手段が備えられ、前記マグネットは、このマグネット内径部係止手段を介して前記軸に固着されたものにするのがよい。
このようにすれば、軸とマグネットの係止が容易にでき、軸回転型として容易に構成できる。
【0006】
また、請求項6、7に示すように、前記軸方向空隙型マグネットは少なくとも反ステータ側が磁性メッキされているか、前記カバーは非磁性体もしくは弱磁性体で構成されたものにするのがよい。
このようにすれば、わずかながらも磁気回路が構成できるので、ロータヨークを省くことによりロータを薄くできるようになり、マグネットから漏れ磁束があっても吸着ロスがでなくなる。
また、請求項8に示すように、前記軸方向空隙型マグネットの反ステータ側に薄い磁性板が添設されているものでもよい。
このようにすれば、磁気回路が構成できる。
別の課題として請求項9、10に示すように、前記軸方向空隙型マグネットの少なくとも外周に偏心ウエイトを一体化したものか、前記偏心ウエイトは反ステータ側に溶接代がある銅タングステン合金からなり、この溶接代の部分を利用して前記軸方向空隙型マグネットに溶接で一体化したものがよい。
このようにすれば、振動モータが容易に得られ、溶接代によって上方に突き出ることがなくなり、厚み方向が犠牲にならない。
これらは具体的には、請求項11に示すように、前記軸に支えられたロータと、この軸を支えるヨークブラケットと、このヨークブラケットに添設されたステータベースと、このステータベースに平面視アンバランスにならないように等分に配された複数個の軸方向空隙型であって少なくとも2個が巻線型で構成された空心電機子コイルと、この空心電機子コイルのほぼ外径を円とする配置エリア内で前記巻線型で構成された空心電機子コイルから軸方向に突き出ないように前記ステータベースに駆動回路装置を配し、前記ヨークブラケットは中心に軸支承部と、この軸支承部から半径方向に延びる支部と、この支部に一体の保持部とが形成され、この保持部に前記カバーの開口部が組み付けられたことを特徴とすることで達成できる。
このようにすると、軸方向空隙型でスロットレス方式の駆動回路を内蔵したブラシレスモータが得られる。
さらに具体的には、請求項12、13に示すように、前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心に軸の基端が固定され、少なくとも前記非磁性空間部分に樹脂が一体化され、前記偏心ロータはロータヨークの軸支承部に配された軸受を介して前記軸に回転自在に装着され、前記軸の先端がカバー部材の中心の凹部にはめ込まれているもので、前記軸の先端は前記凹部でカバー部材に溶着されているものにするのがよい。
このように軸固定型にすると、軸が細くても径方向の動きが防ぐことができ、局所のレーザ溶接によって耐衝撃性の十分なものが得られる
軸回転型では、請求項14に示すように、前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心の前記軸支承部に軸受が備えられ、少なくとも前記空間部分に樹脂が一体化され、前記軸は先端が前記ロータヨークの軸支承部に溶着され、この軸を回転自在に支える軸受部がステータベースの中心に配され、前記軸の基端がステータベース側にピボット支承されたものがよい。
このようにすると、軸回転型でブレーキ損の少ないものが得られる。
これらの具体的な構造は、請求項15、16に示すように、ステータベースはヨークブラケットの下部に配され、前記駆動回路部材は前記支部の間に格納され、前記空心電機子コイルを含めて樹脂で一体成形されているものか、前記カバーとヨークブラケットの組み付ける手段がレーザ溶接によるものであるのがよい。
このようにすると、樹脂によって各ステータ部材の補強が容易にでき、ブラケットが薄くても、落下などの衝撃に耐えられるものが得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型1ホールセンサ式コアレススロットレス方式ブラシレスモータの横方向切断平面図である。
図2は図1のA−A切断縦断面図である。
図3は図1の一部材の平面図である。
図4は図1の別の部材の平面図である。
図5は図1の変形例の要部断面図である。
図6は、この発明の第2の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
図7は図6のA−A切断縦断面図である。
図8は図6の一部材の平面図である。
図9はこの発明の第3の実施の形態を示すもので、軸回転型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの縦断面図である。
【0008】
以下、この発明の構成を図示する各実施の形態に基づいて説明する。
図1、図2に示すものは軸固定型の軸方向空隙型コアレススロットレス方式ホールセンサ型ブラシレス振動モータで、すなわち、ヨークブラケット1は鉄板より弱い磁性を有するステンレス板で厚みが0.15mmないし0.2mmの薄型で構成され、中央にバーリング状に突き立てた軸支承部1aがある。
図3に示すような半径方向に約120度開角で延設された3カ所の後述の軸方向界磁型マグネットの磁界を受ける磁性体からなる支部としてディテントトルク発生部1b及びさらに半径方向に延在されたものでリング状の補強を兼ねた保持部1cを有し、この保持部の一部がさらに半径方向に突き出されて給電端子載置部1dとなっている。このヨークブラケット1は、後述の軸方向界磁型マグネット8の磁極を特定の位置に停止しておくために前記のディテントトルク発生部1bの間は非磁性の空間部分1eを構成している。
このように構成したヨークブラケット1の上面には、前記軸支承部1aに0.5mmの細手の軸2が基端で圧入されると共に、この周囲にフレキシブル印刷配線板ステータベース3が載置され、さらに、前記ヨークブラケット1が骨幹となるように液晶、ポリフエニレンサルファイドなどのリフロー半田に耐えられる耐熱性樹脂4で一体化される。この耐熱性樹脂は前記非磁性空間1eにも充填され、ヨークブラケット1を補強すると共に、前記非磁性空間1eを塞いでいる。前記ステータベース3には、2個の巻線型空心電機子コイル5A、5Bが対向して載置され、単相となるようにシリーズに結線される。
これらの巻線型空心電機子コイル5A、5B間には1個のホールセンサHとIC化された駆動回路部材Dからなる駆動回路装置が前記ステータベースに配置される。
ここで、ディテントトルク発生部1bと単相の空心電機子コイルの位置関係は、空心電機子コイルの有効導体部が後記の軸方向界磁型のマグネット8の磁極に合わせて設定され、コギングトルク発生部1bの形状はマグネットの磁力によって停止させておくに当たって最小の停動トルクが得られるように設定されるのがよい。
したがって、これらのステータ部材は、平面視重畳してないことになり、薄型に構成できる。
ここでは、前記耐熱性樹脂4の一部をガイド4a、4bとして立ち上げ、このガイド4a、4bを利用して前記空心電機子コイル5A、5Bを載置したものを示したが、ステータ側は他の部材と含めて樹脂4で一体成形してもよい。このようにすると、ステータ側の全体の補強ができる。
【0009】
一方、前記軸に回転自在に装着される偏心ロータRは、図4にも示すように軸方向空隙型マグネット8の内径部に焼結含油軸受7が図中Yで示されるレーザ溶接によって取り付けられ、この軸方向空隙型マグネット8の外周で前記マグネット8に溶接代9aの部分で円弧状にレーザ溶接Yされた弧状ウエイト9を有する。
ここで、前記マグネット8は、表面に純鉄などの磁性メッキが施され、ロータヨークが削除されている。
したがって、ロータヨーク分だけ薄くできることになる。
前記マグネット8は、ここではN、S交互に6極着磁され、その駆動原理は公知であるので、その説明は省略する。
このように構成した偏心ロータRは、ブレーキ損失を軽減させるために少なくとも2枚に積層したスラストワッシャS1を介して前記軸2に回転自在に装着される。その後、薄い非磁性ステンレス材からなる浅いキャップ状のカバー部材10が被せられ、前記軸の先端が前記カバー部材10の中央に形成されたバーリング孔10aにスラストワッシャS2を介してはめ込まれる。ここで、このバーリング孔は先端が軸径よりさらに細くなっており、軸2の先端が突き出ないようになっていてこの先端部分は変形予防のために前記カバー部材10にレーザ溶接Yされると共に、カバー部材10の開口部は前記ヨークブラケット1の保持部1cスポット状にレーザ溶接で組み付けられる。
したがって、このように溶接によって組み立てられるので、薄手の部材を使用しても強度が十分得られることになる。
このように、ステータベース3上に設けた巻線電機子コイル5A、5B、ホールセンサHおよび駆動回路部材Dなどからなるステータ側部材をカバー部材10の内部に格納することによってモータ外部へは給電端子載置部1dから一対の電源端子を導出するだけでよいので、ブラシレスモータでありながら通常のモータと同様に取り扱うことができる。
また、カバーとして非磁性ステンレスにすれば、断熱効果があるので、リフローに耐えられる。
【0010】
次に図5において、上記第1の実施の形態の第1の変形例を説明するが、上記の実施の形態と同一の部材または同一機能を有する略同一部材については同一符号を付してその説明を省略する場合がある。
この変形例は、マグネット8の上面に厚みが0.05mm程度の薄いヨーク板6を添設したもので、当然ながらこのヨーク板6は、強度を確保するためのものでなく、単なる磁気回路を構成するだけのものである。
したがって、軸受にはマグネット内径部が溶着されるのには変わりがない。
このようにすれば、マグネット8の上方への漏洩磁束は少なくなるので、カバーは通常の少し磁性のあるステンレスにしてもよい。
【0011】
図6、7に示すものは、この発明の第2の実施の形態として軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータで、すなわち、ヨークブラケット1は弱い磁性を有するステンレス板で厚みが0.17ないし0.2mm程度で構成され、中央にバーリング状に突き立てて0.5mmの細手の軸2が基端で圧入された軸支承部1aと、図8に示すような、軸支承部1aから半径方向延在させた支幹1b及びさらにこの支幹1bに一体で、半径方向へ延びた各支幹1bの先端を繋いで補強し後述のカバー部材10との組み付け部を兼ねたリング状保持部1cからなり、この保持部の一部がさらに半径方向に突き出されて給電端子載置部1dとなっている。
保持部材1は、軸支承部1aと支幹1bに対して、図7における下方向へ一段下がった状態で形成され、ヨークブラケット1の下部、すなわち軸支承部1aと支幹1bの下側には、フレキシブル印刷配線板あるいはガラスクロスエポキシ基板からなるステータベース3が添設される。
また、ステータベース3の一部が突出して構成される給電端子部は、保持部1cと軸支承部1aとの段差を利用して給電端子載置部1dの上側に保持される。このステータベース3には、3相の電機子コイル、すなわち3個の巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cと、これらの空心電機子コイルにシリーズに結線された平面視6個の印刷配線空心電機子コイル5a、5b‥‥5fが等分に形成されている。
【0012】
巻線型空心電機子コイル5A、5B、5Cは、片側開角180度以内に配置され、6個の内3個の印刷配線型空心電機子コイル5a、5b、5cが同位置に重なって配置されている。
ここで、印刷配線コイルの替わりに薄い、たとえば0.05mm程度の粘着剤を表面に塗布したシートに直径0.05mmの絶縁銅線を1層に巻回子ながら付着して形成したものでもよい。
ステータベース3上で、これらの巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cの中心を介して反対側には、支幹1bの間になるように残りの3個の印刷配線型空心電機子コイル5d,5e、5fの位置にセンサレスIC化された駆動回路部材Dとその付属部品が配置される。すなわち、ステータベース3はヨークブラケット1の軸支承部1aと支幹1bの下方に位置し、軸支承部1aと支幹1bは巻線空心電機子コイル5A、5B、5Cおよび駆動回路部材Dとその付属部品等を除けた位置で、その厚み以内に設けられる。
当然ながら、これらの駆動回路部材の結線パターンは必要になるので、この駆動回路部材配置側の印刷配線空心電機子コイル5a、5b、5cは裏面のみに形成され、表面は前記駆動回路部材の結線パターンを避けて巻き始め端末引き出しパターン程度だけとする。
【0013】
そして、これらは前記ヨークブラケット1の支幹1bが骨幹となるように液晶樹脂、ポリフエニレンサルファイドなどのリフロー半田に耐えられる耐熱性樹脂4で一体化される。
したがって、これらのステータベース3に配置される巻線型空心電機子コイル、駆動回路部材、支幹1b等は、印刷配線をのぞいて平面視重畳してないことになるので薄型にできる。また、支幹1bを一体に樹脂成形することによりステータベース3を中心としたステータ部分の強度を強くすることができる。
特に図示しないが、前記耐熱性樹脂4は一体成形の替わりに前記空心電機子コイル載置ガイドを立ち上げ、このガイドに前記空心電機子コイルを載置してもよい。
その後、薄い非磁性もしくは鉄より磁性が弱いステンレス材からなる扁平カップ状のカバー部材10が被せられ、前記軸の先端がカバー部材10の中央に形成されたバーリング孔10aにスラストワッシャS2を介してはめ込まれる。ここで、このバーリング孔は軸径よりさらに細くなっており、軸2の先端が突き出ないようになっていて、この先端部分は変形予防のために前記カバー部材10にレーザ溶接Yされる。
【0014】
カバー部材10の開口部は前記ヨークブラケット1のリング状保持部1cにレーザスポット溶接で組み付けられる。
このように溶接によって組み立てられた振動モータは、薄手の部材を使用しても強度が十分得られることになる。
このように構成したセンサレス型扁平モータの駆動原理は、空心電機子コイル自体の逆起電力の方向を検出して駆動するものが採用されるが、その説明は公知のため省略する。
【0015】
次に図9において、第4の実施の形態である軸回転型の構成を説明する。
ここでも、上記の実施の形態と同一の部材または同一機能を有する略同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する場合がある。
すなわち、ヨークブラケット11の中央には、第1の実施の形態と比較して少し大径の軸支部11aがバーリング状に上方に突き出され、ここに焼結含油軸受7が格納される。ヨークブラケット11のその他の部位は前記第1の実施の形態と同様なためその説明は省略する。
ここでステータは、図6の変形例で、厚みの異なる巻線型空心電機子コイル同士からなるもので、すなわち、フレキシブル印刷配線板(図示せず)に厚い空心電機子コイル5A、5B及び5Cに対向して印刷配線空心電機子コイル5e、5dおよび5fのかわりに巻線で形成した薄い空心電機子コイルを配置し、その薄い空心電機子コイルに重畳するように前記センサレスIC化された駆動回路部材Dとその付属部品が配置されるようにしたものである。
一方、偏心ロータR1は、軸の先端が前記のようなマグネット8の内径部に鳩目状チューブ2aを介して溶着される。
ここで、前記鳩目状チューブ2aは軸に圧入されているが、あくまで位置決めであって、溶着の主体は軸とマグネット内径部にある。この軸22の他端は、0.3mm程度のボールベアリングBを介してヨークブラケット11に一体化した耐熱性樹脂の受け部にピボット支承される。
【0016】
ここで前記ボールベアリングBの替わりに軸に基端を丸く形成してもよい。
偏心ロータR1は、ヨークブラケット側へ吸引されるので、スラストワッシャは不要となる。当然ながらカバー部材100は、ここではめくら型でよいことになる。
【0017】
この発明は、その技術的思想、特徴から逸脱することなく、他のいろいろな実施の形態をとることができる。そのため、前述の実施の形態は単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。この発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には拘束されない。
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成したので、部材点数を少なくし、駆動回路装置をモータ内部に内蔵できるようにして給電端子も正負の2端子にすることができ、通常の直流モータと同様な取り扱いができるようにし、各部材を薄くしながらも強度も十分なようにして極めて薄いブラシレス振動モータを提供できる。
すなわち、請求項1の発明では、保持手段としてのマグネットは内径部分の着磁できないデットスペースを利用するので、特性的な問題は考えずに済み、ヨークを省くことができ、薄型化に寄与できる。
請求項2、3の発明では、マグネットの内径部分は軸受に容易に溶着できるので、この軸受を介してロータが回転自在となり、軸固定型として構成できる。
請求項4、5発明では、このようにすれば、軸回転型が容易に構成でき、軸とマグネットの係止が容易にでき、軸回転型として容易に構成できる。
請求項6、7の発明では、このようにすれば、わずかながらも磁気回路が構成できるので、ロータヨークを省くことによりロータを薄くできるようになり、マグネットから漏れ磁束があっても吸着ロスがでなくなる。
請求項8の発明では、このようにすれば、磁気回路が構成できる。
請求項9、10の発明では、振動モータが容易に得られ、溶接代によって上方に突き出ることなくなり、厚み方向が犠牲にならない。
請求項11の発明では、軸方向空隙型でもスロットレス方式の駆動回路を内蔵したブラシレスモータが得られる。
請求項13の発明では、軸が細くても径方向の動きを防ぐことができ、局所のレーザ溶接によって耐衝撃性の十分なものが得られる。
請求項14の発明では、軸回転型でブレーキ損の少ないものが得られる。
これらの具体的な構造として請求項15、16の発明では、樹脂によって各ステータ部材の補強が容易にでき、ブラケットが薄くても、落下などの衝撃に耐えられるものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型1ホールセンサ型コアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
【図2】図1のA−A切断縦断面図である。
【図3】図1の一部材の平面図である。
【図4】図1の別の部材の平面図である。
【図5】図1の変形例の要部断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態を示すもので、軸固定型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの横方向切断平面図である。
【図7】図6のA−A切断縦断面図である。
【図8】図6の一部材の平面図である。
【図9】この発明の第3の実施の形態を示すもので、軸回転型の軸方向空隙型センサレスタイプのコアレススロットレス方式ブラシレス振動モータの縦断面図である。
【符号の説明】
1、11 ヨークブラケット
2 軸
3 ステータベース
4 耐熱性樹脂
5A、5B 空心電機子コイル
6、66 ロータヨーク
R、R1 偏心ロータ
H ホールセンサ
D 駆動回路部材
7 焼結含油軸受
8 マグネット
9 弧状ウエイト
10 カバー部材
Claims (16)
- 複数個の磁極を有する軸方向空隙型マグネットが備えられたロータと、このロータを軸方向空隙を介して駆動させるステータが備えられ、これらを格納するカバーが備えられた軸方向空隙型ブラシレスモータにおいて、前記ロータは前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用したものである軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記ステータに軸が固着され、前記軸方向空隙型マグネットは焼結金属で形成され、前記内径部を軸支承部として利用する手段が焼結含油軸受と前記軸方向空隙型マグネットの内径部を溶接したものである請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記焼結含油軸受は前記軸方向空隙型マグネットより軸方向に突き出ており、この突き出た部分の外径と前記マグネットの内径を溶接したものである請求項2に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記ステータに軸受が固着され、前記軸方向空隙型マグネットの内径部を軸支承部として利用する手段が軸を前記内径部に溶接したものである請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸にマグネット内径部係止手段が備えられ、前記マグネットは、このマグネット内径部係止手段を介して前記軸に固着された請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸方向空隙型マグネットは少なくとも反ステータ側が磁性メッキされている請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記カバーは非磁性体もしくは弱磁性体で構成された請求項6に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸方向空隙型マグネットの反ステータ側に薄い磁性板が添設されている請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸方向空隙型マグネットの少なくとも外周に偏心ウエイトを一体化した請求項1に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記偏心ウエイトは反ステータ側に溶接代がある銅タングステン合金からなり、この溶接代の部分を利用して前記軸方向空隙型マグネットに溶接で一体化した請求項8に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸に支えられたロータと、この軸を支えるヨークブラケットと、このヨークブラケットに添設されたステータベースと、このステータベースに平面視アンバランスにならないように等分に配された複数個の軸方向空隙型であって少なくとも2個が巻線型で構成された空心電機子コイルと、この空心電機子コイルのほぼ外径を円とする配置エリア内で前記巻線型で構成された空心電機子コイルから軸方向に突き出ないように前記ステータベースに駆動回路装置を配し、前記ヨークブラケットは中心に軸支承部と、この軸支承部から半径方向に延びる支部と、この支部に一体の保持部とが形成され、この保持部に前記カバーの開口部が組み付けられたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心に軸の基端が固定され、少なくとも前記非磁性空間部分に樹脂が一体化され、前記偏心ロータはロータヨークの軸支承部に配された軸受を介して前記軸に回転自在に装着され、前記軸の先端がカバー部材の中心の凹部にはめ込まれている請求項11に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記軸の先端は前記凹部でカバー部材に溶着されている請求項12に記載の駆動回路部材が内蔵された軸方向空隙型ブラシレス振動モータ。
- 前記ヨークブラケットは厚みが0.2mm以下で中心の前記軸支承部に軸受が備えられ、少なくとも前記空間部分に樹脂が一体化され、前記軸は先端が前記ロータヨークの軸支承部に溶着され、この軸を回転自在に支える軸受部がステータベースの中心に配され、前記軸の基端がステータベース側にピボット支承されたものである請求項11に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- ステータベースはヨークブラケットの下部に配され、前記駆動回路部材は前記支部の間に格納され、前記空心電機子コイルを含めて樹脂で一体成形されている請求項11に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
- 前記カバーとヨークブラケットの組み付ける手段がレーザ溶接によるものである請求項11に記載の軸方向空隙型ブラシレスモータ。
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