JP4067556B2 - 薄型ステータと同ステータを備えた軸方向空隙型ブラシレス振動モータ - Google Patents
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駆動回路付きのブラシレス振動モータとしては、コアード型で、複数個の等分に配置した突極に電機子コイルを巻回してなるコアード型で駆動回路部材をステータの側方に配置した非円形なものが知られている。(特許文献3参照)
しかしながら、このようなものは、側方向のサイズが大となってしまい、セットの印刷配線板にSMD方式では実装効率が悪く、またコアード型のため、厚みが大とならざるを得ず実用性がない。
また、コアード、コアレススロットレス型を含んだもので複数個の電機子コイルの一部を削除して空所を設け、この空所に駆動回路部材を配置したものが提案されている。(特許文献4参照)
また、1個のホールセンサで駆動させる単相型では、ロータのマグネットの位置を次回確実に起動できる特定のところに停止させておくために磁性体からなるディテントトルク発生部材が必要である。
このディテントトルク発生部材は、所要のディテントトルク発生力を得るには、ある程度厚みが必要だから、ブラケット上に配置するものでは、配置空間がなかなか取れず、モータ自体の薄型化に対して逆行する問題となってしまう。
また、このディテントトルク発生部材は、たとえば印刷などで形成する場合、必要なディテントトルク発生力を得るようにするには、やはりある程度の厚みと幅が必要で、幅を大にするとディテントルク発生部の位置が不安定となり、幅を狭くすると今度は実質的には厚みが犠牲になることには変わりがない。
一方、ディテントトルク発生部材のディテントトルク部を空心電機子コイルの内径部に格納させて軸方向に突き出すことによってディテントトルク発生部材の厚みを実質的に無視できるようにしたものも提案されているが、今度はコイル内径のサイズが制約されコイルの巻き数が多く得られない問題がある。すなわち、ディテントトルク部の配置位置は、起動エラーを避けるために磁極の中心、あるいは磁極のニュートラルいずれの位置で停動するようになってもよいようにコイルの中心から故意にずらす必要があるが、コイルの内径が少ないとこのずらし角を大にできない。所定のずらし角が維持できないとトルクに寄与する有効導体部の本数と位置が犠牲となって起動トルクの減少を招く。
本発明のさらなる目的は、ディテントトルク発生部材のディテントトルク部の配置厚みを全く無視できるようにしてコイルの内径大小に関わらず所定の最適なディテントトルク発生部材の位置(ずらし角)が得られるようにして極めて薄いステータと同ステータを備えた軸方向空隙型ブラシレス振動モータを提供することにある。
前記ブラケットは、前記軸支承部の一側であって前記駆動回路部材の配置される位置に凹所が設けられ、さらにその延長上に側方に給電端子載置部が延設され、
前記ステータベースは、前記給電端子載置部の位置に給電端子部が延設されると共に、前記駆動回路部材が配置される両側に前記給電端子部に達する切り込みが形成され、前記凹所に少なくとも前記ステータベースの厚み部分の少なくとも一部が埋め込まれているもので達成できる。
このようなステータを使用して軸方向空隙型ブラシレス振動モータにするには、請求項2に示すように請求項1に記載の薄型ステータと、この薄型ステータに軸方向空隙を介して組み合わせたロータとが備えられ、前記ロータにはロータヨークと、このロータヨークに固着された軸方向空隙型マグネットと、偏心ウエイトとが備えられ、このロータを覆うように外部ケースが前記ステータに組み付けられたもので達成できる。
このような振動モータの別の形態としては、請求項3に示すように前記外部ケースは少なくとも天井部が非磁性又は弱磁性で構成されると共に、側周に磁性体があり、その磁性体の下部は周方向にフランジとして延設され、前記ステータのブラケットと組み合わされたものにするのがよい。
請求項2に示す発明では、軸方向空隙型モータとして駆動回路部材の厚みを押さえ込み、極めて薄い振動モータが得られる。
請求項3に示す発明では、振動モータとして機能するほか、電磁音響変換器の中央磁極に利用できる。
このブラケット1はさらに凹所として角孔1bが空けられ、その延長上に側方に給電端子載置部1cが延設される。
このブラケット1の上面には厚みが0.1mm程度の磁性ステンレス板からなるディテントトルク発生部材3が前記バーリング1aに、位置決め孔3aをブラケット1に設けられている突起1dに合わせながら中央の透孔3bをはめることによって配置される。
このディテントトルク発生部材3は、さらに、前記中央の透孔3bから径方向に後述のステータベースに形成した溝孔4cと同一ピッチで形成したディテントトルク部3cが設けられている。
このディテントトルク発生部材3が組み合わされるステータベース4は印刷配線ランドを含めた厚さが0.15mm程度のフレキシブル基板からなり、中央に前記ディテントトルク発生部材3の中央外形に装着される透孔4aとその外方に60°ピッチで形成した4個の空心電機子コイル装着用ガイド孔4bが空けられ、前記透孔4aに連結して径方向に4本の溝孔4cが配置開角60°で空けられ、空心電機子コイル結線パターン4p、駆動回路部材Dの接続パターン4qが形成される。
前記溝孔4cは配置されるべき空心電機子コイルの中心である前記各電機子コイル装着用ガイド孔4bの中心から配置開角約15°の位置に設けられ、薄いステータベース4の強度確保のため、前記各電機子コイル装着用ガイド孔4bと連結しないように隔離して設けられ、後述の空心電機子コイルの巻き始め端末導出用逃げ溝4eが前記各電機子コイル装着用ガイド孔4bと連結して設けられる。このステータベース4には、さらに側外方に前記給電端子載置部の位置で給電端子部4fが延設される。当然ながら、各ランドパターンは、ハッチングで表示した各半田結線部を除いてレジスト処理される。
前記ディテントトルク部3cの配置開角はコイルの中心から15°となっており、組み合わせるべきロータの軸方向空隙型マグネットの磁極の開角が60°の場合、磁極のピーク、ニュートラルのいずれのところに該マグネットが停止してもよい位置として定められる。
前記ステータベース4には、図3の組立て図でも示すように空心電機子コイル装着用ガイド孔4bとほぼ同サイズの巻軸で卷線された4個の空心電機子コイル5(厚さが0.35mm程度)が前記空心電機子コイル装着用ガイド孔4bの位置にジグなどを利用してUV硬化型嫌気性接着剤で固着され、単相となるようにその端末が前記所定の配線パターン4pに半田結線されている。
上記は薄型狙いのため4個の空心電機子コイルからなるものを示したが、この単相に結線されているからには、厚みが許容されれば1個〜2個の空心電機子コイルで構成してもよい。
なお、図3では、ステータベース4が複雑になるので、空心電機子コイル端末、各結線ランドパターンなどは省略してある。
前記空心電機子コイル5を駆動するホールセンサ内蔵型駆動回路部材D(厚さが0.5mm程度)が前記空心電機子コイル5と平面視重畳しないように、かつ適切な電気的中性点が得られる位置に半田結線される。ここで、内蔵したホールセンサの位置は、組み合わせるマグネットの磁極に応じて定められ、ここでは6極の磁極からなるマグネットでは前記空心電機子コイルの中心から90°、150°及び210°のいずれかの位置に来るように配置される。
前記ステータベース4には、配置された駆動回路部材Dの両側の位置で前記ブラケット1の角孔1bの位置で切り込み4gが設けられているので、前記ステータベース4はこの駆動回路部材Dの位置で前記角孔1bに容易に折り曲げ埋め込むことが出来る。
このようにしたステータベース4は、紫外線硬化型嫌気性接着剤を介して前記ブラケット1に添設される。この時、前記溝孔4cには前記ディテントトルク部3cが装着され、透孔4aはディテントルク発生部材3の中央部外形の外方に収まるので、厚みが0.1mm程度のディテントトルク発生部材3は少なくともディテントトルク部3cが厚みが0.15mm程度のステータベース4に厚み方向で完全に収まる。つまり、ディテントトルク発生部材3はステータベース上面に突き出ないように配され、結果的にはその厚みは全く考慮しなくてすむことになる。
したがって、ディテントトルク発生部材3を空心電機子コイルの内径に無理に収めることなく、すなわち、コイル内径に無関係になるので、コイルは巻き数を十分な起動トルクが得られるように設定できることになる。
ここで、前記角孔1bから紫外線硬化型嫌気性接着剤が流出しないようにブラケット1に底部をシールして紫外線が透過する透明ジグなどで駆動回路部材Dの高さを整えて紫外線を照射して固着される。
なお、紫外線硬化型嫌気性接着剤の代わりに合成樹脂等の樹脂で駆動回路部材Dを固定したり、前記空心電機子コイル5を含めて一体成形して駆動回路部材Dを固定してもよい。このように、ステータベース4の駆動回路部材Dが配置される部分をブラケット1の角孔1bに埋め込んだ状態で、駆動回路部材Dと共にブラケット1に固着することにより、駆動回路部材Dが浮き上がることを確実に防止することができる。
このように、少なくとも駆動回路部材Dが配置される部分のステータベースをブラケット1に埋め込むことにより、駆動回路部材Dの厚みが空心電機子コイル5の厚みよりも大きい場合であっても、駆動回路部材Dの厚みによってロータ側が犠牲にならないような極めて薄いステータが得られる。
なお、本実施例では角孔1bを形成しているが、空心電機子コイル5と駆動回路部材Dの厚み関係によっては、完全な孔ではなく凹部(溝)であっても良い。
ステータ側は一部を除いてすでにその構成を説明しているので省略する。
前記ステータSTに軸方向空隙を介して対向させた偏心ロータRは、軸方向空隙型マグネットMと、このマグネットMの外周の一部に配された弧状の偏心ウエイト8と、これらを固着する厚みが0.15mm程度の磁性金属製ロータケース6と、該ロータケース6の回転中心に溶接などで固着されたフランジ型軸受7とが備えられたもので、このロータケース6は、前記マグネットMの上面が接着される平坦部6dとこれに続いて第1の外径側垂下部6eと前記軸受7を支える内径側垂下部6fが形成される。
ここでは、偏心ロータRの重量による耐衝撃性強度確保のために軸2の先端は、外部ケース9の浅いバーリング状中央孔9aにレーザ溶接L2されている。
前記偏心ウエイト8は、電機子コイル5の側外方に垂下された土手部8aを有しており、マグネットMの外方に固着されている。その固着手段としては弧状の偏心ウエイト8の内径部を大きく面取りして凹所8bを形成し、この凹所8bを利用して錫が主体の銀、銅合金製の鉛フリー半田HDでロータケース6の外径側垂下部6eの肩に接合することによって達成できる。より強度を確保するには、上記の下方の脇にも同様に半田付けすればよい。
このようにした偏心ロータRは前記ステータSTに軸支承部として固定された軸2に、互いに径を変えた3枚のスラストワッシャSWを介して回転自在に装着される。
この偏心ロータを覆う外部ケース9の開口部は前記ステータ側のブラケット1の外周でレーザスポット溶接Yで組み付けられる。
本実施例の軸方向空隙型ブラシレス振動モータは、図5に示すように、外部ケース99の下部が周方向にフランジ99aとして延設され、ステータのブラケット11と凹凸結合Kで組み合わされ、外部ケース99の周囲に磁性体99mが配されているもので、図中Mgはスピーカ側の励磁マグネット、Cは励磁コイル、SSは振動薄板、そして、Hはスピーカハウジングである。
ここで、前記外部ケース99は、スピーカ側の励磁マグネットMgの漏洩磁束がロータのマグネットMに影響がでないように非磁性又は弱磁性で構成され、前記励磁マグネットMgの磁束は前記磁性体99mで受け止められる。
なお、スピーカ側の励磁マグネットMgの漏洩磁束がロータのマグネットMに影響がでないようにするためには、外部ケース99の少なくとも天井部を非磁性又は弱磁性で構成すればよい。したがって、磁性体99mを別に配着させるにあたって径方向サイズが問題となるなら、外部ケース99は非磁性円盤板状の天井部と磁性側周部を組み合わせたものにしてもよい。
また、上述の実施例では、駆動回路部材として1個のホールセンサ型の単相空心電機子コイルからなるものを示したが、ディテントトルク発生部材が不要な3個の空心電機子コイルからなるセンサレス型でも構成できる。
この発明は、その技術的思想、特徴から逸脱することなく、他のいろいろな実施の形態をとることができる。そのため、前述の実施の形態は単なる例示に過ぎないため、限定的に解釈してはならない。この発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には拘束されない。
2 軸
3 ディテントトルク発生部材
3a 位置決め孔
3b 透孔
3c ディテントトルク部
4 ステータベース
4a 透孔
4b 空心電機子コイル装着用ガイド孔
4c 溝孔
5 空心電機子コイル
6 ロータケース
7 フランジ型軸受
8 偏心ウエイト
9、99 外部ケース
ST ステータ
R 偏心ロータ
D 駆動回路部材
M 軸方向空隙型マグネット
Claims (3)
- 中央に軸支承部が配されたブラケットと、
前記軸支承部の外方で前記ブラケット上に添設されたフレキシブル印刷配線板からなるステータベースと、
このステータベース上面に配された空心電機子コイルと、
前記空心電機子コイルと重畳しないように前記ステータベース上に配されたホールセンサ内蔵型の駆動回路部材とが備えられた薄型ステータであって、
前記ブラケットは、前記軸支承部の一側であって前記駆動回路部材の配置される位置に凹所が設けられ、さらにその延長上に側方に給電端子載置部が延設され、
前記ステータベースは、前記給電端子載置部の位置に給電端子部が延設されると共に、前記駆動回路部材が配置される両側に前記給電端子部に達する切り込みが形成され、前記凹所に少なくとも前記ステータベースの厚み部分の少なくとも一部が埋め込まれている薄型ステータ。 - 請求項1に記載の薄型ステータと、この薄型ステータに軸方向空隙を介して組み合わせたロータとが備えられ、
前記ロータにはロータヨークと、このロータヨークに固着された軸方向空隙型マグネットと偏心ウエイトとが備えられ、
このロータを覆うように外部ケースが前記ステータに組み付けられた軸方向空隙型ブラシレス振動モータ。 - 前記外部ケースは少なくとも天井部が非磁性又は弱磁性で構成されると共に、側周に磁性体があり、その磁性体の下部は周方向にフランジとして延設され、前記ステータのブラケットと組み合わされた請求項2に記載の軸方向空隙型ブラシレス振動モータ。
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