JP2004215095A - スキャナ用切り貼り原稿の段差影消し装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】家庭用又は一般事務用のスキャナ装置において原稿に凹凸があることにより生ずる影を消去するための低廉の段差影消し装置を提供すること。
【解決手段】段差影消し装置30は、原稿面12を斜め方向から照明する光源18と受光素子22とを有するイメージセンサ部10を含み原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置100に装着される。段差影消し装置は、受光素子への反射光の光路を含む面をはさんで光源18とは反対の側のイメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、受光素子の視野を照明する補助光源34を有し、原稿の段差Sにより影になる領域Eにも照明光を当てて、読み取られた画像において段差による影を実質的に消去する。
【選択図】 図2C
【解決手段】段差影消し装置30は、原稿面12を斜め方向から照明する光源18と受光素子22とを有するイメージセンサ部10を含み原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置100に装着される。段差影消し装置は、受光素子への反射光の光路を含む面をはさんで光源18とは反対の側のイメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、受光素子の視野を照明する補助光源34を有し、原稿の段差Sにより影になる領域Eにも照明光を当てて、読み取られた画像において段差による影を実質的に消去する。
【選択図】 図2C
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概ね、紙等の原稿を電子化された画像情報として取り込むスキャナ装置又は画像読取装置に係り、より詳細には、スキャナ装置により原稿を読取る際に発生する原稿の影を消す又は低減するための段差影消し装置及びかかる段差影消し装置を組み込んだスキャナ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータが、一般家庭やオフィスに普及するとともに、パーソナルコンピュータの周辺機器の一つであるスキャナ装置又はイメージスキャナも、一般家庭やオフィスにおいて普及し始めている。かかるスキャナ装置は、例えば、家庭やオフィスにおいて、年賀状、クリスマスカード、挨拶状、(比較的少数の)ちらしなどの原稿に描かれた絵や文字又は写真をコンピュータで処理される画像情報として取り込むために用いられている。家庭用又は一般事務用のスキャナ装置は、特殊な又は専門的な業務用機器ではないので、高精度又は高性能であるよりも、誰でも手軽に且容易に使うことができ、寸法がコンパクトであり、なおかつ比較的低廉であることが望ましい。実際、市場において、そのような手軽で低廉なスキャナ装置が種々流通している。
【0003】
上記の如きスキャナ装置は、典型的には、図1Aに模式的に示されている如き密着型イメージセンサを用いた構成により、紙等に描かれた原稿を光学的に読取り、画像情報として電子化する。簡単に説明すれば、かかる構成においては、原稿12が、読取られるべき紙面を下向きにして透明な原稿台板14の上に配置され、蓋部16により抑えられる。原稿台板14の直下には、イメージセンサ部10が矢印Aに示す如く原稿面に沿って移動できるよう設けられている。イメージセンサ部は、図1の面に垂直方向に原稿(例えば、A4又はB5用紙或いは葉書)の幅とほぼ同一の長さを有し、その長さ方向の概ね全体に亙って、光源、例えば、発光ダイオード(LED)18の列と受光素子22の列とが設けられている。図示の如く、光源18により発せられた光は、導光体20を介して、原稿上の一部の領域(図1の面に垂直方向の細い帯状又は線状領域)を照明し、照明された領域で反射された光は、セルホックレンズ24を介して受光素子22によって受光される。従って、照明光と受光素子へ入射する原稿面からの反射光の光路は、各々、面を郭定する。受光素子は、CCD又はCMOSセンサ等であり、受光した光の強弱、即ち、原稿上の画像の濃淡に対応した電気信号を発生し、電気信号は、電子データに変換され、任意の記憶装置、コンピュータ或いはプリンタなどの出力装置へ送られる。一時に照明され画像が読取られる線状領域、即ち、受光素子の視野は、光源アレイ及び受光素子アレイの長さと同様に、概ね原稿の幅と同一であり、かくして、イメージセンサ部10が、原稿面の長さ方向に沿って移動(走査又はスキャン)するとともに、照明光の面と反射光の面が移動し、逐次的に該原稿面上の照明された帯状領域の画像を光学的に読取り、最終的に原稿面全体(使用者により選択された領域)の画像が読み込まれ電子データに変換されることとなる。
【0004】
上記のスキャナ装置に於ける画像の読取りの動作、読取った画像の電子データへの変換及び出力は、図1Bのブロック図に概ね示されている信号処理システムにより制御される。簡単に述べれば、信号処理システムは、CPU110、RAM120、ROM130を有し、これらは、コモンバス140により互いに双方向に通信可能に連結されている。コモンバス140には、イメージセンサ部10を移動するためのモータMの作動を制御するモータ駆動制御ドライバ150と、光源18の作動を制御するI/O部160と、受光素子22からの(アナログの)電気信号をディジタル化されたデータにするA/D変換部170と、外部に接続されたコンピュータその他の機器とのデータ通信を行うFIFO(ファーストイン−ファーストアウト)部180及びUSB(又はI/F)ポート部190が接続され、また、照明光又は受光素子の感度のムラを補正するためのデータを保存するシェーディングメモリ部200が設けられている。かくして、よく知られているように、CPU110が、ROM130に記憶された所定のプログラムにより、信号処理システムとそれに接続された各部の動作を制御する。
【0005】
上記のイメージセンサ部においては、図1Aに示されている如く、受光素子は、原稿面に対して垂直方向に反射してくる光を受光するよう配置されているのに対し、光源18は、原稿面を傾めの方向から照明する。この場合、原稿が、例えば、一枚の平坦な紙であれば、原稿面全体が均一に照明されるところ、図1Cに示されている如く、例えば、原稿が切り貼り原稿である場合、即ち、写真や別の紙に描かれたもの12′を一枚の原稿用紙に部分的に貼りつけたものの如く、原稿面に段差Sがある場合には、段差の縁近傍領域Eの像を取りこむ際に、かかる段差Sによって読取られるべき原稿の領域への照明光Lが遮られてしまう。その結果、段差Sに隣接した領域Eは、読み込まれた画像において、黒い筋又は「影」として写ってしまう。特に、年賀状やクリスマスカードなどの原稿のように、作成者が個々に撮った写真や書いた文字を用いて原稿用紙や葉書の上にデザインして完成される原稿の場合には、慣習的に、切り貼りされる部分が多く、無視できないほど濃い影が、多数発生してしまう虞れがある。
【0006】
かかる「影」を消去するために、図1Dに示されている如く、イメージセンサ部において、光源18及び導光体20とは(反射光の光路をはさんで)反対の向きから原稿面を照明するもう一組の光源18′及び導光体20′を設けることが提案されている(2方向光源方式)。この場合、原稿面上の像が読み取られている領域において、一方の光源からの光が原稿面の凹凸又は段差により遮られても、他方の光源から光L′により照明されるため、「影」を消去することができる(例えば、下記特許文献1及び2参照。)。
【0007】
しかしながら、2方向光源方式を採用すると、イメージセンサ部内に二組の光源及び導光体を設置しなければならず、従って、イメージセンサ部の筐体が大きくなるとともに構成部品数が増大し、かくして、装置の製造費が増大する。また、上記の如き「影」の発生は、原稿に切り貼り部分がある場合にのみ発生する問題であり、通常の紙原稿であれば、何の支障もないのであるから、影を消すためだけに、装置の製造コストが大幅に増大してしまうことは望ましくない(切り貼り原稿を殆ど又は全く用いない使用者にとっては、2方向光源方式を採用する必要はなく、従って、かかる方式を採用したための製造コストの増大は無駄になる。)。特に、スキャナ装置が家庭用又は一般事務用の製品である場合には、低廉であることが流通市場においては重要視される。このことから、現時点においては、2方向光源方式を採用したスキャナ装置は、やや高級な或いは業務用製品(大型の複製機等)のみであり、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置として流通しているものは、一つの光源を有するイメージセンサ部(1方向光源方式)を搭載した装置となっている。
【特許文献1】
特開平1−272374号公報
【特許文献2】
特開平8−79492号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置が一般に普及するにとともに、使用者層が拡大し、従って、使用者の趣向が多岐に亙る。従って、使用者によっては、切り貼り原稿を多く利用することもあり、その場合には、やはり、読取った画像に於ける「影」の発生が抑えられ、取りこんだ画像が使用者の希望通りであることが望ましい。
【0009】
しかしながら、既に述べた如く、「影」の発生を抑えられる2方向光源方式のイメージセンサ部は、製造コスト上の理由から、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置用の部品としては流通していない。また、現在市場で流通している1方向光源方式のスキャナ装置で満足する使用者層にとっては、不必要に製造コストのかかる2方向光源方式のスキャナ装置を提供することは避けるべきである。従って、切り貼り原稿を用いる使用者層のための製品を供給しようとすれば、現在市場で流通している1方向光源方式のイメージセンサ部の他に、更に2方向光源方式のイメージセンサ部を供給することとなる。しかしながら、2方向光源方式のイメージセンサ部の製造費が高いうえに、元来、方式によらずイメージセンサ部は精密機械部品であり、そのようなイメージセンサ部を、2種類の方式、即ち、1方向光源方式と2方向光源方式にて別々に製造し出荷するとなると、製造ラインに負担がかかり、結果として、製品全体の製造コストの増大にもつながってしまう。
【0010】
かくして、もし現在広く流通している1方向光源方式のイメージセンサ部をわずかな修正を加えるだけで、製造コストをさほどに増大せずに、「影」の発生を抑えられるようにできれば、好ましいであろう。
【0011】
従って、本発明の解決しようする課題の一つは、低廉にてスキャナ装置において走査される原稿面に凹凸又は段差があることにより生ずる影を消去するための段差影消し装置を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、低廉にて提供され、現在流通している1方向光源方式のイメージセンサ部に取りつけられる段差影消し装置を提供することである。
【0013】
本発明の更にもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、1方向光源方式のイメージセンサ部をわずかに修正するだけで取りこまれた画像において影を消去することのできる段差影消し装置とそれを組み込んだスキャナ装置を提供することである。
【0014】
本発明の更にもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、画像における影消し効果のためだけに新たなイメージセンサ部の設計及びそのための製造ラインを建設することなく、製造コストをさほどに増大することなく、影を消す作用を得ることのできる段差影消し装置とそれを組み込んだスキャナ装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、本発明によれば、筐体と該筐体内に配置され原稿面を斜め方向から照明する光源及び原稿面にて視野を有し該視野から反射された反射光を受光し反射光の強度を電気信号に変換する受光素子とを有するイメージセンサ部を含み、該イメージセンサ部を原稿面に沿って走査して該原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置に装着される段差影消し装置であって、受光素子への反射光の光路を含む面をはさんでイメージセンサ部内の光源とは反対の側のイメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、受光素子の視野を照明する補助光源を有することを特徴とする段差影消し装置によって達成される。
【0016】
上記の本発明の段差影消し装置において、補助光源は、白色発光ダイオードであってよい。また、補助光源は、該光源に電力を供給することのできる電気回路基板を担持する基台に設置されてよく、基台は、イメージセンサ部、例えば、既に市場に流通している一方向電源方式イメージセンサ部の筐体の側部に外付けされるよう構成されてよい(電気回路基板が直接筐体の側部に取り付けられるようになっていてよい。)。更に、イメージセンサ部の受光素子の視野を適切に照明できるようにするために、光路変更手段が設けられてよく、光路変更手段は、例えば、イメージセンサ部の筐体の側部に配置され、補助光源の光路を変更して、例えば、屈折して、補助光源から発せられた光が受光素子の視野に向うようにする。光路変更手段は、例えば、透明な(例えば、アクリル樹脂製の)柱状部材若しくはプリズム、又は、反射ミラーであってよい。
【0017】
かくして、既存のスキャナ装置において切り貼り原稿の画像を読取る際に、原稿面上における段差によって、原稿面上にイメージセンサ部の光源からの光が遮られる領域があったとしても、本発明の段差影消し装置によれば、補助光源の光は、イメージセンサ部の光源に対して受光素子が受光する反射光光路を含む面をはさんだ反対側から、原稿面に到達するため、かかる段差によって遮られることはなく、影を消去又は無視しうる程度に低減する。しかも、本発明の段差影消し装置のかかる作用は、既存の1方向光源方式のイメージセンサ部にわずかな構成要素を外付けするだけで達成され、2方向光源方式のイメージセンサ部を新たに設計し、そのための製造ラインを建設する必要はない。
【0018】
また、本発明の段差影消し装置は、完成されたスキャナ装置用の後付けの付属装置として製造されてもよいが、スキャナ装置の製造過程において、イメージセンサ部に組み込まれてもよい。その場合にも、イメージセンサ部の製造ラインは、既存の1方向光源方式のイメージセンサ部用のものだけでよい。
【0019】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の好ましい実施態様の説明により、当業者にとって明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図2A−2Cを参照して、概ね符号30にて示された本発明の段差影消し装置が適用されるスキャナ装置100が模式的に示されている。スキャナ装置は、据置型の「フラットベッド型」のスキャナ装置であり、本発明の段差影消し装置が外付けされている点を除き、図1A及びBを参照して上記に説明した家庭用又は一般事務用として市販されているスキャナ装置と同様である。図中の符号は、図1Aにおいて示されている部位又は構成要素と同様のものを示しており、スキャナ装置の基本的な構成及び作動は、上記の図1A及び1Bの説明を参照されたい。なお、ここに示されているスキャナ装置は、原稿12がイメージセンサ部10の上方にて、読取るべき紙面を下向きにして配置され、イメージセンサ部10が原稿面に沿って水平に平行移動して、原稿面を走査する形式であるが、その他の形式、例えば、イメージセンサ部10が不動であり、原稿が移動される形式(「シート移動型」)又は、読取られる画像面が上向きになるように原稿が配置され、その上方にイメージセンサ部が配置される形式であってもよい。
【0022】
既に述べた如く、原稿面12又は12′に段差Sがあると、取り込んだ画像において、イメージセンサ部の進行方向の段差に隣接した領域Eが影となって写りこむことがある。かかる影は、原稿面の段差によって、受光素子の視野に到達されるべき照明光が遮られてしまうことによる(図1C及びその説明を参照)。本発明の段差影消し装置30によれば、原稿面から受光素子へ反射光の光路面をはさんでイメージセンサ部10の光源18とは反対の側に配置された補助光源より照明光を受光素子の視野に入射させるので、補助光源の光は、段差によって遮られることはなく、かくして、影を消去又は無視できる程度に低減することが可能となる。
【0023】
本発明の段差影消し装置は、図2A乃至2Cから理解されるように、1方向光源方式のイメージセンサ部10と概ね同一の長さを有し該イメージセンサ部10の底部からその左の側部へ突き出た基台32と、該基台32上に設置された補助光源34と、イメージセンサ部の側部の上方に配置された光路変更手段36とを含む。
【0024】
基台32は、任意の手段、例えば、固定用金具32a、両面テープ又は接着剤等により、イメージセンサ部10に取りつけられるようになっていてよい。また、イメージセンサ部10を原稿面に沿って移動するための駆動部(図示せず)へ、該イメージセンサ部を取り付けるための固定用ホルダ(図示せず)が設けられている形式のスキャナ装置の場合には、基台32は、イメージセンサ部10の筐体に直接に取りつけられるのではなく、該固定用ホルダに取りつけられて、イメージセンサ部10の側部に位置決めされるようになっていてよい(一般に、固定用ホルダのみの改造は、イメージセンサ部の筐体を改造するよりもコストがかからないため有利である。)。
【0025】
補助光源34は、本実施形態においては、白色LED又はLEDアレイが用いられているが、小型の螢光灯、又は、赤青緑のLEDを適当に組み合わせたLEDアレイが用いられてもよい。或いは又、長手方向の一端又は両端に設けられた白色LED等の光源からの光を散乱される微粒子を含んだ棒状体とされてもよい。補助光源34が設置されている基台32には、電気回路基板が設けられており、外部の電源(図示せず)から電力の供給を受け、補助光源34を点灯する。外部の電源は、スキャナ装置の電源又はイメージセンサ部内のLED18用の電源から電力の一部を取り入れるようになっていてもよいが、独立の電源であってもよく(バッテリ形式であってもよい。)、個別に補助光源への電力供給のための専用切換スイッチを有していてもよい。また、補助光源34への電力供給は、スキャナ装置の電源のオンオフと連動していてもよいが、独立にオンオフできるようになっていてもよい。後者の場合、切り貼り原稿において、取りこんだ画像に影が発生する場合においてのみ、補助光源を点灯するように使用者が選択することができるようになる。また、補助光源34の作動は、図1Bに示されている信号処理システムに、補助光源34のためのI/O部(図示せず)を更に設け、CPUにより信号処理システムの一部として制御されてよい。
【0026】
光路変更手段36は、本実施態様においては、例えば、イメージセンサ部10と概ね同一の長さを有するアクリル樹脂製の角柱部材又はプリズムであり、その上端38が僅かにイメージセンサ部10の上面40よりも上に突き出るように配置される。プリズム36の外面42において、光を反射するためのコーティングが施されていることが好ましい。また、プリズムに代えて、又はプリズムとともに反射ミラーが用いられてもよい。プリズムの光の入射面44及び出射面46において、光の強度の場所によるムラを減らすために拡散板が設けられてよい。光路変更手段36は、任意の手段、例えば、固定用金具、両面テープ又は接着剤等により、イメージセンサ部の筐体の側部に取りつけられるようになっていてよい。更に、プリズム(又は反射ミラー)のイメージセンサ部の筐体に対する取り付け角度は、受光素子22の視野50へ補助光源からの光が到達するよう適宜調節可能であってよい。また、かかる取りつけ角度は、本発明の段差影消し装置が取りつけられるべきイメージセンサ部の寸法又は仕様が決定されている場合、予め影消し作用に効果的な角度にて固定されてよい。
【0027】
図2Cは、本発明の段差影消し装置により、原稿の段差に起因する影の発生を抑える作用を示している。同図においては、原稿面を走査中のイメージセンサ部10の受光素子22の視野50が原稿面の段差を通りすぎた直後の状態が示されている。この状態では、既に述べた如く、イメージセンサ部10の光源18からの光は、段差により遮断され、視野50には、到達されない(但し、光の回折の効果によりある程度の光は到達する。)。他方、本発明の段差影消し装置による照明光L″は、反射光路面の光源18とは反対の側に配置された補助光源34から発せられた後、プリズムの入射面44を通り、プリズム内で反射又は屈折し、イメージセンサ部10の上面より僅かに突き出たプリズム上端部の出射面から出射し、受光素子の視野50に到達する。かくして、受光素子には、常にいずれかの光源から照明光が受けられるようになり、取り込んだ画像において影が消去若しくは無視し得る程度に低減されることとなる。
【0028】
【発明の効果】
既に述べた如く、スキャナ装置が、家庭用又は一般事務用の機器として手軽に利用できるものとするためには、製造コストをできるだけ抑えることが重要である。如何に高性能又は高精度に原稿に描かれた画像を読取ることができたとしても、コストにおいて、採算のとれない製品では実用的に利用できない。種々の研究機関や医療機関における画像を利用した測定や診断などの画像上の種々の数値(輝度又は強度或いは彩度等)が高精度に取得できることが必要である場合やその他の画像処理専門の業者においては、相当の製造コストを投入しても採算がとれるため、予想される不具合の全てを解決した高級な装置が利用されるであろう。しかしながら、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置は、一般家庭にて或いは学校等で使用される場合には、年賀状や教育用の教材などの作成及び複製するために用いられ、また、一般事務用としては、広告用のチラシや、プレゼンテーションなどの参考資料又はテキストの作成及び複製に用いられるため、不必要に高精度又は高性能を有する高価な機器ではなく、低廉で手軽に誰でも利用できるものが望ましい。
【0029】
また、画像に於ける影の発生は、切り貼り原稿を用いた場合の特有の問題である。切り貼り原稿が多く用いられるのは、年賀状、ちらし、プレゼンテーション用の参照資料等の作成であるので、スキャナ装置の使用機会のうちの一部に過ぎない。即ち、影の発生という問題は、スキャナ装置を使用すれば、常に発生する問題ではなく、また、発生しても、その多くの場合、厳密な高精度の画像数値の取得が要求されない場合である。もちろん、影が発生すれば、除去されるべきであるが、その場合でも、かかる問題を解決するためのコストアップを最小に抑えつつ、人間の目で見て無視でき得る程度で影が低減されれば(実質的に消去されれば)十分であると考えられる。
【0030】
従って、画像において、原稿の凹凸に起因する影を消すという効果を得るために、初めから製造コストのかかる2方向光源方式のイメージセンサ部を採用することは、費用効果的に不利である。
【0031】
本発明の段差影消し装置によれば、現在流通している1方向光源方式の低廉に製造されるスキャナ装置における原稿の凹凸に起因する影の発生という問題を、かかるスキャナ装置の低廉性という有利な利点を損なわずに解決することができる。上記に説明されている如く、本発明の段差影消し装置は、1方向光源方式のイメージセンサ部に外付けの付属装置として適用されるものであり、段差影消し装置自体の構成要素は、いずれも比較的低廉で容易に利用できるものであるので、2方向光源方式のイメージセンサ部を採用することに比して、極めて費用効果的である。
【0032】
ところで、本発明の段差影消し装置においては、切り貼り原稿の凹凸による影を人間の目で見て無視でき得る程度に消去することで十分であるので、補助光源の仕様は、イメージセンサ部内の光源よりも小さくすることができ、従って、製造コストだけでなく、スキャナ装置作動時の消費電力、即ち、作動コストをも低減することができる。また、本発明の段差影消し装置は、既存のスキャナ装置に追加のできる付属装置であるため、取り外し可能であってよい。従って、スキャナ装置の使用者が段差影消し装置を任意に脱着できるようにすることが可能である(又は、販売店等において、スキャナ装置のオプションとして取り付け販売されてよい。)。また、スキャナ装置を既に所有している使用者が、本発明の段差影消し装置のみを購入し、既に使用しているスキャナ装置のイメージセンサ部に後付けして使用することもできる。その場合、新規にスキャナ装置を購入する必要はなく、費用効果的である。
【0033】
以上の説明は、本発明の実施の態様に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易になされることは、理解されるべきであり、本発明は、上記に例示された実施態様のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1A】1方向光源方式のイメージセンサ部を担持するスキャナ装置の模式的な断面図。
【図1B】イメージセンサ部及びその他のスキャナ装置の各部を制御する信号処理システムのブロック図。
【図1C】図1のスキャナ装置のイメージセンサ部の拡大図。切り貼り原稿を走査する際に原稿の段差により取り込んだ画像に「影」が生ずる様子を示す。
【図1D】2方向光源方式のイメージセンサ部を担持するスキャナ装置の模式的な断面図。
【図2A】本発明による段差影消し装置を適用した図1と同様のスキャナ装置の模式的な断面図。
【図2B】本発明による段差影消し装置と、イメージセンサ部との模式的な斜視図。イメージセンサ部は、点線にて概形のみ示されている。
【図2C】本発明による段差影消し装置とそれを適用したイメージセンサ部の拡大図。影を消す作用が示されている。
【符号の説明】
10…イメージセンサ部
12…原稿
12′…切り貼り部分
14…原稿台板
16…蓋部
18…光源(LED)
20…導光体
22…受光素子
24…セルホックレンズ
30…段差影消し装置
32…基台
32a…固定用金具
34…補助光源(LED)
36…光路変更手段(プリズム)
【発明の属する技術分野】
本発明は、概ね、紙等の原稿を電子化された画像情報として取り込むスキャナ装置又は画像読取装置に係り、より詳細には、スキャナ装置により原稿を読取る際に発生する原稿の影を消す又は低減するための段差影消し装置及びかかる段差影消し装置を組み込んだスキャナ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータが、一般家庭やオフィスに普及するとともに、パーソナルコンピュータの周辺機器の一つであるスキャナ装置又はイメージスキャナも、一般家庭やオフィスにおいて普及し始めている。かかるスキャナ装置は、例えば、家庭やオフィスにおいて、年賀状、クリスマスカード、挨拶状、(比較的少数の)ちらしなどの原稿に描かれた絵や文字又は写真をコンピュータで処理される画像情報として取り込むために用いられている。家庭用又は一般事務用のスキャナ装置は、特殊な又は専門的な業務用機器ではないので、高精度又は高性能であるよりも、誰でも手軽に且容易に使うことができ、寸法がコンパクトであり、なおかつ比較的低廉であることが望ましい。実際、市場において、そのような手軽で低廉なスキャナ装置が種々流通している。
【0003】
上記の如きスキャナ装置は、典型的には、図1Aに模式的に示されている如き密着型イメージセンサを用いた構成により、紙等に描かれた原稿を光学的に読取り、画像情報として電子化する。簡単に説明すれば、かかる構成においては、原稿12が、読取られるべき紙面を下向きにして透明な原稿台板14の上に配置され、蓋部16により抑えられる。原稿台板14の直下には、イメージセンサ部10が矢印Aに示す如く原稿面に沿って移動できるよう設けられている。イメージセンサ部は、図1の面に垂直方向に原稿(例えば、A4又はB5用紙或いは葉書)の幅とほぼ同一の長さを有し、その長さ方向の概ね全体に亙って、光源、例えば、発光ダイオード(LED)18の列と受光素子22の列とが設けられている。図示の如く、光源18により発せられた光は、導光体20を介して、原稿上の一部の領域(図1の面に垂直方向の細い帯状又は線状領域)を照明し、照明された領域で反射された光は、セルホックレンズ24を介して受光素子22によって受光される。従って、照明光と受光素子へ入射する原稿面からの反射光の光路は、各々、面を郭定する。受光素子は、CCD又はCMOSセンサ等であり、受光した光の強弱、即ち、原稿上の画像の濃淡に対応した電気信号を発生し、電気信号は、電子データに変換され、任意の記憶装置、コンピュータ或いはプリンタなどの出力装置へ送られる。一時に照明され画像が読取られる線状領域、即ち、受光素子の視野は、光源アレイ及び受光素子アレイの長さと同様に、概ね原稿の幅と同一であり、かくして、イメージセンサ部10が、原稿面の長さ方向に沿って移動(走査又はスキャン)するとともに、照明光の面と反射光の面が移動し、逐次的に該原稿面上の照明された帯状領域の画像を光学的に読取り、最終的に原稿面全体(使用者により選択された領域)の画像が読み込まれ電子データに変換されることとなる。
【0004】
上記のスキャナ装置に於ける画像の読取りの動作、読取った画像の電子データへの変換及び出力は、図1Bのブロック図に概ね示されている信号処理システムにより制御される。簡単に述べれば、信号処理システムは、CPU110、RAM120、ROM130を有し、これらは、コモンバス140により互いに双方向に通信可能に連結されている。コモンバス140には、イメージセンサ部10を移動するためのモータMの作動を制御するモータ駆動制御ドライバ150と、光源18の作動を制御するI/O部160と、受光素子22からの(アナログの)電気信号をディジタル化されたデータにするA/D変換部170と、外部に接続されたコンピュータその他の機器とのデータ通信を行うFIFO(ファーストイン−ファーストアウト)部180及びUSB(又はI/F)ポート部190が接続され、また、照明光又は受光素子の感度のムラを補正するためのデータを保存するシェーディングメモリ部200が設けられている。かくして、よく知られているように、CPU110が、ROM130に記憶された所定のプログラムにより、信号処理システムとそれに接続された各部の動作を制御する。
【0005】
上記のイメージセンサ部においては、図1Aに示されている如く、受光素子は、原稿面に対して垂直方向に反射してくる光を受光するよう配置されているのに対し、光源18は、原稿面を傾めの方向から照明する。この場合、原稿が、例えば、一枚の平坦な紙であれば、原稿面全体が均一に照明されるところ、図1Cに示されている如く、例えば、原稿が切り貼り原稿である場合、即ち、写真や別の紙に描かれたもの12′を一枚の原稿用紙に部分的に貼りつけたものの如く、原稿面に段差Sがある場合には、段差の縁近傍領域Eの像を取りこむ際に、かかる段差Sによって読取られるべき原稿の領域への照明光Lが遮られてしまう。その結果、段差Sに隣接した領域Eは、読み込まれた画像において、黒い筋又は「影」として写ってしまう。特に、年賀状やクリスマスカードなどの原稿のように、作成者が個々に撮った写真や書いた文字を用いて原稿用紙や葉書の上にデザインして完成される原稿の場合には、慣習的に、切り貼りされる部分が多く、無視できないほど濃い影が、多数発生してしまう虞れがある。
【0006】
かかる「影」を消去するために、図1Dに示されている如く、イメージセンサ部において、光源18及び導光体20とは(反射光の光路をはさんで)反対の向きから原稿面を照明するもう一組の光源18′及び導光体20′を設けることが提案されている(2方向光源方式)。この場合、原稿面上の像が読み取られている領域において、一方の光源からの光が原稿面の凹凸又は段差により遮られても、他方の光源から光L′により照明されるため、「影」を消去することができる(例えば、下記特許文献1及び2参照。)。
【0007】
しかしながら、2方向光源方式を採用すると、イメージセンサ部内に二組の光源及び導光体を設置しなければならず、従って、イメージセンサ部の筐体が大きくなるとともに構成部品数が増大し、かくして、装置の製造費が増大する。また、上記の如き「影」の発生は、原稿に切り貼り部分がある場合にのみ発生する問題であり、通常の紙原稿であれば、何の支障もないのであるから、影を消すためだけに、装置の製造コストが大幅に増大してしまうことは望ましくない(切り貼り原稿を殆ど又は全く用いない使用者にとっては、2方向光源方式を採用する必要はなく、従って、かかる方式を採用したための製造コストの増大は無駄になる。)。特に、スキャナ装置が家庭用又は一般事務用の製品である場合には、低廉であることが流通市場においては重要視される。このことから、現時点においては、2方向光源方式を採用したスキャナ装置は、やや高級な或いは業務用製品(大型の複製機等)のみであり、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置として流通しているものは、一つの光源を有するイメージセンサ部(1方向光源方式)を搭載した装置となっている。
【特許文献1】
特開平1−272374号公報
【特許文献2】
特開平8−79492号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置が一般に普及するにとともに、使用者層が拡大し、従って、使用者の趣向が多岐に亙る。従って、使用者によっては、切り貼り原稿を多く利用することもあり、その場合には、やはり、読取った画像に於ける「影」の発生が抑えられ、取りこんだ画像が使用者の希望通りであることが望ましい。
【0009】
しかしながら、既に述べた如く、「影」の発生を抑えられる2方向光源方式のイメージセンサ部は、製造コスト上の理由から、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置用の部品としては流通していない。また、現在市場で流通している1方向光源方式のスキャナ装置で満足する使用者層にとっては、不必要に製造コストのかかる2方向光源方式のスキャナ装置を提供することは避けるべきである。従って、切り貼り原稿を用いる使用者層のための製品を供給しようとすれば、現在市場で流通している1方向光源方式のイメージセンサ部の他に、更に2方向光源方式のイメージセンサ部を供給することとなる。しかしながら、2方向光源方式のイメージセンサ部の製造費が高いうえに、元来、方式によらずイメージセンサ部は精密機械部品であり、そのようなイメージセンサ部を、2種類の方式、即ち、1方向光源方式と2方向光源方式にて別々に製造し出荷するとなると、製造ラインに負担がかかり、結果として、製品全体の製造コストの増大にもつながってしまう。
【0010】
かくして、もし現在広く流通している1方向光源方式のイメージセンサ部をわずかな修正を加えるだけで、製造コストをさほどに増大せずに、「影」の発生を抑えられるようにできれば、好ましいであろう。
【0011】
従って、本発明の解決しようする課題の一つは、低廉にてスキャナ装置において走査される原稿面に凹凸又は段差があることにより生ずる影を消去するための段差影消し装置を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、低廉にて提供され、現在流通している1方向光源方式のイメージセンサ部に取りつけられる段差影消し装置を提供することである。
【0013】
本発明の更にもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、1方向光源方式のイメージセンサ部をわずかに修正するだけで取りこまれた画像において影を消去することのできる段差影消し装置とそれを組み込んだスキャナ装置を提供することである。
【0014】
本発明の更にもう一つの課題は、上述の如き段差影消し装置であって、画像における影消し効果のためだけに新たなイメージセンサ部の設計及びそのための製造ラインを建設することなく、製造コストをさほどに増大することなく、影を消す作用を得ることのできる段差影消し装置とそれを組み込んだスキャナ装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、本発明によれば、筐体と該筐体内に配置され原稿面を斜め方向から照明する光源及び原稿面にて視野を有し該視野から反射された反射光を受光し反射光の強度を電気信号に変換する受光素子とを有するイメージセンサ部を含み、該イメージセンサ部を原稿面に沿って走査して該原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置に装着される段差影消し装置であって、受光素子への反射光の光路を含む面をはさんでイメージセンサ部内の光源とは反対の側のイメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、受光素子の視野を照明する補助光源を有することを特徴とする段差影消し装置によって達成される。
【0016】
上記の本発明の段差影消し装置において、補助光源は、白色発光ダイオードであってよい。また、補助光源は、該光源に電力を供給することのできる電気回路基板を担持する基台に設置されてよく、基台は、イメージセンサ部、例えば、既に市場に流通している一方向電源方式イメージセンサ部の筐体の側部に外付けされるよう構成されてよい(電気回路基板が直接筐体の側部に取り付けられるようになっていてよい。)。更に、イメージセンサ部の受光素子の視野を適切に照明できるようにするために、光路変更手段が設けられてよく、光路変更手段は、例えば、イメージセンサ部の筐体の側部に配置され、補助光源の光路を変更して、例えば、屈折して、補助光源から発せられた光が受光素子の視野に向うようにする。光路変更手段は、例えば、透明な(例えば、アクリル樹脂製の)柱状部材若しくはプリズム、又は、反射ミラーであってよい。
【0017】
かくして、既存のスキャナ装置において切り貼り原稿の画像を読取る際に、原稿面上における段差によって、原稿面上にイメージセンサ部の光源からの光が遮られる領域があったとしても、本発明の段差影消し装置によれば、補助光源の光は、イメージセンサ部の光源に対して受光素子が受光する反射光光路を含む面をはさんだ反対側から、原稿面に到達するため、かかる段差によって遮られることはなく、影を消去又は無視しうる程度に低減する。しかも、本発明の段差影消し装置のかかる作用は、既存の1方向光源方式のイメージセンサ部にわずかな構成要素を外付けするだけで達成され、2方向光源方式のイメージセンサ部を新たに設計し、そのための製造ラインを建設する必要はない。
【0018】
また、本発明の段差影消し装置は、完成されたスキャナ装置用の後付けの付属装置として製造されてもよいが、スキャナ装置の製造過程において、イメージセンサ部に組み込まれてもよい。その場合にも、イメージセンサ部の製造ラインは、既存の1方向光源方式のイメージセンサ部用のものだけでよい。
【0019】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の好ましい実施態様の説明により、当業者にとって明らかになるであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図2A−2Cを参照して、概ね符号30にて示された本発明の段差影消し装置が適用されるスキャナ装置100が模式的に示されている。スキャナ装置は、据置型の「フラットベッド型」のスキャナ装置であり、本発明の段差影消し装置が外付けされている点を除き、図1A及びBを参照して上記に説明した家庭用又は一般事務用として市販されているスキャナ装置と同様である。図中の符号は、図1Aにおいて示されている部位又は構成要素と同様のものを示しており、スキャナ装置の基本的な構成及び作動は、上記の図1A及び1Bの説明を参照されたい。なお、ここに示されているスキャナ装置は、原稿12がイメージセンサ部10の上方にて、読取るべき紙面を下向きにして配置され、イメージセンサ部10が原稿面に沿って水平に平行移動して、原稿面を走査する形式であるが、その他の形式、例えば、イメージセンサ部10が不動であり、原稿が移動される形式(「シート移動型」)又は、読取られる画像面が上向きになるように原稿が配置され、その上方にイメージセンサ部が配置される形式であってもよい。
【0022】
既に述べた如く、原稿面12又は12′に段差Sがあると、取り込んだ画像において、イメージセンサ部の進行方向の段差に隣接した領域Eが影となって写りこむことがある。かかる影は、原稿面の段差によって、受光素子の視野に到達されるべき照明光が遮られてしまうことによる(図1C及びその説明を参照)。本発明の段差影消し装置30によれば、原稿面から受光素子へ反射光の光路面をはさんでイメージセンサ部10の光源18とは反対の側に配置された補助光源より照明光を受光素子の視野に入射させるので、補助光源の光は、段差によって遮られることはなく、かくして、影を消去又は無視できる程度に低減することが可能となる。
【0023】
本発明の段差影消し装置は、図2A乃至2Cから理解されるように、1方向光源方式のイメージセンサ部10と概ね同一の長さを有し該イメージセンサ部10の底部からその左の側部へ突き出た基台32と、該基台32上に設置された補助光源34と、イメージセンサ部の側部の上方に配置された光路変更手段36とを含む。
【0024】
基台32は、任意の手段、例えば、固定用金具32a、両面テープ又は接着剤等により、イメージセンサ部10に取りつけられるようになっていてよい。また、イメージセンサ部10を原稿面に沿って移動するための駆動部(図示せず)へ、該イメージセンサ部を取り付けるための固定用ホルダ(図示せず)が設けられている形式のスキャナ装置の場合には、基台32は、イメージセンサ部10の筐体に直接に取りつけられるのではなく、該固定用ホルダに取りつけられて、イメージセンサ部10の側部に位置決めされるようになっていてよい(一般に、固定用ホルダのみの改造は、イメージセンサ部の筐体を改造するよりもコストがかからないため有利である。)。
【0025】
補助光源34は、本実施形態においては、白色LED又はLEDアレイが用いられているが、小型の螢光灯、又は、赤青緑のLEDを適当に組み合わせたLEDアレイが用いられてもよい。或いは又、長手方向の一端又は両端に設けられた白色LED等の光源からの光を散乱される微粒子を含んだ棒状体とされてもよい。補助光源34が設置されている基台32には、電気回路基板が設けられており、外部の電源(図示せず)から電力の供給を受け、補助光源34を点灯する。外部の電源は、スキャナ装置の電源又はイメージセンサ部内のLED18用の電源から電力の一部を取り入れるようになっていてもよいが、独立の電源であってもよく(バッテリ形式であってもよい。)、個別に補助光源への電力供給のための専用切換スイッチを有していてもよい。また、補助光源34への電力供給は、スキャナ装置の電源のオンオフと連動していてもよいが、独立にオンオフできるようになっていてもよい。後者の場合、切り貼り原稿において、取りこんだ画像に影が発生する場合においてのみ、補助光源を点灯するように使用者が選択することができるようになる。また、補助光源34の作動は、図1Bに示されている信号処理システムに、補助光源34のためのI/O部(図示せず)を更に設け、CPUにより信号処理システムの一部として制御されてよい。
【0026】
光路変更手段36は、本実施態様においては、例えば、イメージセンサ部10と概ね同一の長さを有するアクリル樹脂製の角柱部材又はプリズムであり、その上端38が僅かにイメージセンサ部10の上面40よりも上に突き出るように配置される。プリズム36の外面42において、光を反射するためのコーティングが施されていることが好ましい。また、プリズムに代えて、又はプリズムとともに反射ミラーが用いられてもよい。プリズムの光の入射面44及び出射面46において、光の強度の場所によるムラを減らすために拡散板が設けられてよい。光路変更手段36は、任意の手段、例えば、固定用金具、両面テープ又は接着剤等により、イメージセンサ部の筐体の側部に取りつけられるようになっていてよい。更に、プリズム(又は反射ミラー)のイメージセンサ部の筐体に対する取り付け角度は、受光素子22の視野50へ補助光源からの光が到達するよう適宜調節可能であってよい。また、かかる取りつけ角度は、本発明の段差影消し装置が取りつけられるべきイメージセンサ部の寸法又は仕様が決定されている場合、予め影消し作用に効果的な角度にて固定されてよい。
【0027】
図2Cは、本発明の段差影消し装置により、原稿の段差に起因する影の発生を抑える作用を示している。同図においては、原稿面を走査中のイメージセンサ部10の受光素子22の視野50が原稿面の段差を通りすぎた直後の状態が示されている。この状態では、既に述べた如く、イメージセンサ部10の光源18からの光は、段差により遮断され、視野50には、到達されない(但し、光の回折の効果によりある程度の光は到達する。)。他方、本発明の段差影消し装置による照明光L″は、反射光路面の光源18とは反対の側に配置された補助光源34から発せられた後、プリズムの入射面44を通り、プリズム内で反射又は屈折し、イメージセンサ部10の上面より僅かに突き出たプリズム上端部の出射面から出射し、受光素子の視野50に到達する。かくして、受光素子には、常にいずれかの光源から照明光が受けられるようになり、取り込んだ画像において影が消去若しくは無視し得る程度に低減されることとなる。
【0028】
【発明の効果】
既に述べた如く、スキャナ装置が、家庭用又は一般事務用の機器として手軽に利用できるものとするためには、製造コストをできるだけ抑えることが重要である。如何に高性能又は高精度に原稿に描かれた画像を読取ることができたとしても、コストにおいて、採算のとれない製品では実用的に利用できない。種々の研究機関や医療機関における画像を利用した測定や診断などの画像上の種々の数値(輝度又は強度或いは彩度等)が高精度に取得できることが必要である場合やその他の画像処理専門の業者においては、相当の製造コストを投入しても採算がとれるため、予想される不具合の全てを解決した高級な装置が利用されるであろう。しかしながら、家庭用又は一般事務用のスキャナ装置は、一般家庭にて或いは学校等で使用される場合には、年賀状や教育用の教材などの作成及び複製するために用いられ、また、一般事務用としては、広告用のチラシや、プレゼンテーションなどの参考資料又はテキストの作成及び複製に用いられるため、不必要に高精度又は高性能を有する高価な機器ではなく、低廉で手軽に誰でも利用できるものが望ましい。
【0029】
また、画像に於ける影の発生は、切り貼り原稿を用いた場合の特有の問題である。切り貼り原稿が多く用いられるのは、年賀状、ちらし、プレゼンテーション用の参照資料等の作成であるので、スキャナ装置の使用機会のうちの一部に過ぎない。即ち、影の発生という問題は、スキャナ装置を使用すれば、常に発生する問題ではなく、また、発生しても、その多くの場合、厳密な高精度の画像数値の取得が要求されない場合である。もちろん、影が発生すれば、除去されるべきであるが、その場合でも、かかる問題を解決するためのコストアップを最小に抑えつつ、人間の目で見て無視でき得る程度で影が低減されれば(実質的に消去されれば)十分であると考えられる。
【0030】
従って、画像において、原稿の凹凸に起因する影を消すという効果を得るために、初めから製造コストのかかる2方向光源方式のイメージセンサ部を採用することは、費用効果的に不利である。
【0031】
本発明の段差影消し装置によれば、現在流通している1方向光源方式の低廉に製造されるスキャナ装置における原稿の凹凸に起因する影の発生という問題を、かかるスキャナ装置の低廉性という有利な利点を損なわずに解決することができる。上記に説明されている如く、本発明の段差影消し装置は、1方向光源方式のイメージセンサ部に外付けの付属装置として適用されるものであり、段差影消し装置自体の構成要素は、いずれも比較的低廉で容易に利用できるものであるので、2方向光源方式のイメージセンサ部を採用することに比して、極めて費用効果的である。
【0032】
ところで、本発明の段差影消し装置においては、切り貼り原稿の凹凸による影を人間の目で見て無視でき得る程度に消去することで十分であるので、補助光源の仕様は、イメージセンサ部内の光源よりも小さくすることができ、従って、製造コストだけでなく、スキャナ装置作動時の消費電力、即ち、作動コストをも低減することができる。また、本発明の段差影消し装置は、既存のスキャナ装置に追加のできる付属装置であるため、取り外し可能であってよい。従って、スキャナ装置の使用者が段差影消し装置を任意に脱着できるようにすることが可能である(又は、販売店等において、スキャナ装置のオプションとして取り付け販売されてよい。)。また、スキャナ装置を既に所有している使用者が、本発明の段差影消し装置のみを購入し、既に使用しているスキャナ装置のイメージセンサ部に後付けして使用することもできる。その場合、新規にスキャナ装置を購入する必要はなく、費用効果的である。
【0033】
以上の説明は、本発明の実施の態様に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易になされることは、理解されるべきであり、本発明は、上記に例示された実施態様のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1A】1方向光源方式のイメージセンサ部を担持するスキャナ装置の模式的な断面図。
【図1B】イメージセンサ部及びその他のスキャナ装置の各部を制御する信号処理システムのブロック図。
【図1C】図1のスキャナ装置のイメージセンサ部の拡大図。切り貼り原稿を走査する際に原稿の段差により取り込んだ画像に「影」が生ずる様子を示す。
【図1D】2方向光源方式のイメージセンサ部を担持するスキャナ装置の模式的な断面図。
【図2A】本発明による段差影消し装置を適用した図1と同様のスキャナ装置の模式的な断面図。
【図2B】本発明による段差影消し装置と、イメージセンサ部との模式的な斜視図。イメージセンサ部は、点線にて概形のみ示されている。
【図2C】本発明による段差影消し装置とそれを適用したイメージセンサ部の拡大図。影を消す作用が示されている。
【符号の説明】
10…イメージセンサ部
12…原稿
12′…切り貼り部分
14…原稿台板
16…蓋部
18…光源(LED)
20…導光体
22…受光素子
24…セルホックレンズ
30…段差影消し装置
32…基台
32a…固定用金具
34…補助光源(LED)
36…光路変更手段(プリズム)
Claims (6)
- 筐体と該筐体内に配置され原稿面を斜め方向から照明する光源及び前記原稿面に視野を有し該視野から反射された反射光を受光し前記反射光の強度を電気信号に変換する受光素子とを有するイメージセンサ部を含み、該イメージセンサ部を前記原稿面に沿って走査して該原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置に装着される段差影消し装置であって、前記受光素子への前記反射光の光路を含む面をはさんで前記イメージセンサ部内の光源とは反対の側の前記イメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、前記受光素子の視野を照明する補助光源を有することを特徴とする段差影消し装置。
- 請求項1の段差影消し装置であって、前記補助光源が白色発光ダイオードである段差影消し装置。
- 請求項1の段差影消し装置であって、前記イメージセンサ部に取り付け可能な基台と光路変更手段とを含み、前記補助光源が前記基台に設置され、該補助光源からの光がその光路を前記光路変更手段により変更されて前記受光素子の視野へ到達することを特徴とする段差影消し装置。
- 請求項3の段差影消し装置であって、前記光路変更手段が前記イメージセンサ部の筐体の前記側部に設けられたプリズム部材である段差影消し装置。
- 請求項3の段差影消し装置であって、前記光路変更手段が前記イメージセンサ部の筐体の前記側部に設けられた反射ミラーである段差影消し装置。
- 筐体と該筐体内に配置され原稿面を斜め方向から照明する光源及び前記原稿面に視野を有し該視野から反射された反射光を受光し前記反射光の強度を電気信号に変換する受光素子とを有するイメージセンサ部を含み、該イメージセンサ部を前記原稿面に沿って走査して該原稿面上の画像を光学的に読取るスキャナ装置であって、前記受光素子への前記反射光の光路を含む面をはさんで前記イメージセンサ部内の光源とは反対の側の前記イメージセンサ部の筐体の側部に外付けされ、前記受光素子の視野を照明する補助光源を有する段差影消し装置を有することを特徴とするスキャナ装置。
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Cited By (1)
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JP2010016499A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Canon Finetech Inc | 画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置 |
-
2003
- 2003-01-07 JP JP2003001413A patent/JP2004215095A/ja active Pending
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