JP2004215061A - 折り返しループアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で良好な特性を有するなアンテナを提供する。
【解決手段】同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lを、直列に接続する。第1のループ導体部10Lは誘電体基板900の一面に形成されており、第2のループ導体部20Lはその裏面に形成されている。第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lとで構成した折り返し多重ループ導体部をアンテナとして用いる。
【選択図】 図3
【解決手段】同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lを、直列に接続する。第1のループ導体部10Lは誘電体基板900の一面に形成されており、第2のループ導体部20Lはその裏面に形成されている。第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lとで構成した折り返し多重ループ導体部をアンテナとして用いる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線周波数の信号を送受信するために用いるアンテナに関し、特に、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)や、携帯電話システムや、ブルートゥース(Bluetooth)などに利用される無線通信機器に用いるアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話などの携帯用の無線通信機器は、なるべく小さいことが好ましい。そのため、携帯用無線通信機器に用いられるアンテナの小型化を図りたいという要望があった。
【0003】
このような要望に応えるため、例えば、ヘリカルコイルを用いて物理的な長さを短くしたモノポール方式のアンテナが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−59130号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モノポール方式のアンテナは、その開放端と、アンテナに接続された電気回路の接地部分(通信機器の筐体や部品実装用プリント基板のアース等)との距離が遠いほど、アンテナと接地部分との電磁的相互作用が小さくなる。従って、アンテナの開放端と設置部分との距離が遠いほど、アンテナの反射係数や放射効率、利得が良くなる場合が多い。しかし、アンテナの特性を向上させるために、アンテナをプリント基板や筐体などから離れるように設置すると、アンテナの大きさが大きくなってしまい、通信機器も大型化してしまうという問題がある。一方、通信機器の小型化を図るために、アンテナをプリント基板や筐体に近づけて設置すると、アンテナの特性が下がるという問題がある。
【0006】
本発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、小型で良好な特性を有するアンテナを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明によるアンテナは、ループ状に形成された導体部を備えるアンテナであって、N周(Nは1以上の整数)のループ状の線路で構成された第1のループ導体部と、前記第1のループ導体部と同じ軸を囲むN周のループ状の線路で構成された第2のループ導体部と、を備え、前記第1と第2のループ導体部は、それぞれの一端が互いに接続されることによって、直列に接続されており、前記第1のループ導体部の外部回路との接続端から前記第2のループ導体部の外部回路との接続端へと至るように線路を辿ったときに、前記第1のループ導体部における線路の回る向きと、前記第2のループ導体部における線路の回る向きとが逆になるように構成されている。
【0008】
この発明によるアンテナは、第1と第2のループ導体部の線路の回る方向が逆向きとなるように構成されているので、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減できる。従って、良好な特性を維持しつつアンテナの小型化を図ることができる。
【0009】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、誘電体基板に形成されていることが好ましい。
【0010】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の位置がずれることを抑制することができる。
【0011】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、少なくとも一部が互いに重なるように構成されていることが好ましい。
【0012】
こうすることで、アンテナの構成に必要な領域を有効に利用することができるので、アンテナの大きさが大きくなることを抑制することができる。
【0013】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、互いに重ならないように構成されていることが好ましい。
【0014】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の間の電磁的相互作用を小さくすることができ、アンテナ特性を向上させることができる。
【0015】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の同一面上に形成されていることが好ましい。
【0016】
こうすることで、複数の平面にループ導体部を形成する必要がなくなるため、アンテナの製造を容易なものとすることができる。
【0017】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の表面と裏面にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0018】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の重なり具合を任意に設定することができるので、重なり具合を変えることによるアンテナの特性の調整を容易に行うことができる。
【0019】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路の長さは、M×λ/4(λは信号の周波数に対応する自由空間での波長。Mは奇数)と、ほぼ等価な値の範囲に設定されていることが好ましい。
【0020】
こうすることで、第1と第2のループ導体部を近づけて配置した場合でも、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減できる。従って、良好な特性を維持しつつアンテナの小型化を図ることができる。
【0021】
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記アンテナを備えた無線通信モジュールや、無線通信機器等の形態で実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0023】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての無線通信モジュールの構成を示すブロック図である。この無線通信モジュール50は、無線LANなどに利用される無線通信機器に搭載されるモジュールであり、無線通信用の周波数帯(例えば、900MHz帯や、2.4GHz帯)の信号の送受信を行う。
【0024】
この無線通信モジュール50は、アンテナ100と信号処理モジュール60とを備えている。アンテナ100が受信した信号は、信号処理モジュール60に送られて処理され、また、信号処理モジュール60が生成した送信信号は、アンテナ100によって送信される。信号処理モジュール60は、ベースバンドIC52と、無線周波数(RF)IC54と、ローノイズアンプ56と、パワーアンプ58と、バンドパスフィルタ(BPF)64と、ローパスフィルタ(LPF)66と、スイッチ72と、を備えている。
【0025】
ベースバンドIC52は、RFIC54を制御すると共に、RFIC54との間で低周波数の信号の受け渡しを行う機能を有する。RFIC54は、ベースバンドIC52から受けた低周波数の送信信号を無線周波数の信号に変換したり、無線周波数の受信信号を低周波数の信号に変換してベースバンドIC52に渡したりする機能を有する。
【0026】
スイッチ72は、送受信に応じて信号経路を切り換える。具体的には、受信の場合にはBPF側の信号経路を選択し、送信の場合にはLPF側の信号経路を選択する。
【0027】
信号処理モジュール60が信号を受信する場合には、受信信号はスイッチ72を介してBPF64に入力され、そこで帯域制限を受けた後、ローノイズアンプ56で増幅されてRFIC54に出力される。RFIC54は、受信信号を無線通信用の周波数帯から低周波帯に変換して、ベースバンドIC52に渡す。
【0028】
逆に、信号処理モジュール60が信号を送信する場合には、ベースバンドIC52から低周波数の送信信号がRFIC54に渡され、RFIC54において、低周波帯から無線通信用の周波数帯に変換される。その送信信号は、パワーアンプ58で増幅され、LPF66で低周波帯域がカットされた後、スイッチ72を介してアンテナ100から送信される。
【0029】
図2(a)は無線通信モジュール50の斜視図であり、図2(b)は、無線通信モジュール50の側面図である。この実施例では、信号処理モジュール60は部品実装用基板800上に構築されている。アンテナ100は、平板形状を有するセラミックや樹脂等の誘電体基板上にループ状の導体部を形成したものであり、プラスチック等の絶縁体で構成された脚部810によって部品実装用基板800上に固定されている。アンテナ100と信号処理モジュール60とは、2つの給電ライン500a、500bによって接続されている。
【0030】
なお、アンテナ100と向かい合う部品実装用基板800の領域に、電気的な接地導体部(アース、グラウンドとも呼ばれる。)を形成しても良い。こうすれば、部品実装用基板800の裏側に電子部品の実装が可能となり実装領域を広くすることができる。また、接地導体部によって、その方向への電波の放射が制限されるため、アンテナ100から放射される電波の向きを制限することができる。なお、この場合、アンテナ100の特性向上の観点からは、アンテナ100と部品実装用基板800との距離hが大きいのが好ましい。しかし、ループ形状を有するアンテナを用いる場合には、距離hを、送受信する信号の波長λと比べて小さい値としても、アンテナの特性を維持することができる。距離hとしては、波長λの1%以上が好ましく、波長λの2%以上が特に好ましい。このように、ループ形状を有するアンテナ100を用いることによって、アンテナ100と部品実装用基板800との距離を短くし、通信機器の小型化を図ることができる。
【0031】
なお、アンテナ100と向かい合う部品実装用基板800の領域に、電気的な接地導体部を形成する場合には、アンテナ100と部品実装用基板800との間には、誘電率の高い物質を配置しないことが好ましい。誘電率の高い物質を配置すると、アンテナ100から放射される電波のうち、その物質によって集められてしまう割合が増え、外界へ放射される割合が減り、その結果、信号の送受信の効率が低下する場合がある。図2の例では、脚部810以外には何も配置されていない。すなわち、アンテナ100と部品実装用基板800の間に空気(比誘電率:約1)の層が設けられているので、信号の送受信を効率よく行うことができる。
【0032】
このような距離hの大きさの好ましい範囲や、アンテナと部品実装用基板800との間の物質の誘電率については、第1実施例のアンテナ100に限らず、後述する他の実施例においても同様である。
【0033】
図3(a)は、アンテナ100の斜視図であり、図3(b)は、アンテナ100の分解図である。アンテナ100は、酸化アルミナなどの誘電体で形成された、厚さTの平板状の誘電体基板900と、銅や銀などの導体によって形成されたループ状の第1と第2のループ導体部10L、20Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部10L、20Lは、いずれも、軸AXを囲むようにループ状に形成されている。この軸AXは、仮想的な軸であり、第1のループ導体部10Lが形成する平面と垂直な方向に沿った軸である。第1のループ導体部10Lは誘電体基板900の一面に形成されており、第2のループ導体部20Lはその裏面に形成されている。
【0034】
第1のループ導体部10Lは、2つの端部10ca、10cbを有している。第2のループ導体部20Lも、同様に、2つの端部20ca、20cbを有している。第1と第2のループ導体部10L、20Lのそれぞれの第1の端部10ca、20caは、誘電体基板900の側面に形成された接続部100cによって互いに接続されている。一方、2つのループ導体部10L、20Lのそれぞれの第2の端部10cb、20cbは、給電ライン500a、500bに、それぞれ接続されている。すなわち、それぞれの第2の端部10cb、20cbが、外部回路との接続端としての機能を有する。
【0035】
接続部100cは、アンテナ用の誘電体基板900の側面に形成されているので、2つの端部10ca、20caを接続するために誘電体基板900に穴を開けて接続部を通すといった加工が不要となり、アンテナの製造を容易に行うことができる。
【0036】
なお、3つの導体部10L、20L、100cを誘電体基板900上に形成する方法としては、例えば、誘電体基板900の表面に、銀ペーストを各導体部10L、20L、100cの形状にスクリーン印刷し、その後、所望の温度で焼き付けすることによって形成する方法を用いることができる。また、表面の全面に銀などの導体部が形成された誘電体基板に、必要となるアンテナパターンのマスキング処理を行った後に、導体部の不要な部分を溶かす処理を行ってアンテナを形成する方法を用いてもよい。又、誘電体基板に蒸着によって導体部を形成してもよい。このように、誘電体基板900の表面に導体部10L、20L、100cを形成することによって、アンテナ100の製造が容易となる。
【0037】
図4(a)(b)は、第1と第2のループ導体部10L、20Lの平面図である。図4(c)は、2つのループ導体部10L、20Lの重なり状態を示している。
【0038】
図4(a)に示すように、第1のループ導体部10Lは、幅Wの線状線路が、仮想的な軸AXを囲む略四角形状を成すように構成されたものであり、軸AXの周りをほぼ1周する形状(ループ形状)を成している。また、図中の距離LWは四角形状の長辺の外寸法を示し、距離LHは四角形上の短辺の外寸法を示している。また、第1のループ導体部10Lの2つの端部10ca、10cbは、その四角形状の1つの長辺のほぼ中央にギャップを挟んで対向している。
【0039】
図4(b)に示すように、第2のループ導体部20Lも、第1のループ導体部10Lと同様に、同じ幅Wの線状線路が、仮想的な軸AXを囲む略四角形状を成すように構成されたものであり、軸AXの周りをほぼ1周する形状(ループ形状)を成している。また、その四角形状の大きさは、第1のループ導体部10Lとほぼ同一である。また、第2のループ導体部20Lの2つの端部20ca、20cbも、その四角形状の1つの長辺のほぼ中央にギャップを挟んで対向している。
【0040】
図4(c)は、第1と第2のループ導体部10L、20Lを、軸AXの方向から合わせて見た場合の平面図である。第2のループ導体部20Lは、その形と、大きさと、軸AXと垂直な方向の位置とが、第1のループ導体部10Lとほぼ同じとなるように構成されている。すなわち、第1と第2のループ導体部10L、20Lの線状線路は、誘電体基板900を挟んで、軸AXの方向に互いに重なるように構成されている。
【0041】
前述したように、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbと、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbには、それぞれ、給電ライン500a、500bが接続されている。給電ライン500a、500bは互いに重ならない位置に配置されているので、これらに接続されるアンテナの端部10cb、20cbも互いにずれた位置に設けられている。このため、2つのループ導体部10L、20Lの形状は、これらの端部10cb、20cbの位置だけが異なるように形成されている。より具体的に言えば、図4(b)に示す第2のループ導体部20Lの2つの端部20ca、20cbの間のギャップは、図4(a)に示す第1のループ導体部10Lの2つの端部10ca、10cbの間のギャップよりも大きく設定されている。
【0042】
図4(a)、(b)において一点鎖線で示すように、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbに向かって線路を辿ると、その経路の方向が接続部100cにおいて逆向きに折り返される。すなわち、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第1の端部10caに至る経路は反時計回り(左回り)であり、第2のループ導体部20Lの第1の端部20caから第2の端部20caに至る経路は時計回り(右回り)である。換言すれば、2つのループ導体部10L、20Lは、途中で線路が逆向きに折り返される多重ループ導体部を構成する。なお、本明細書において、折り返し多重ループ導体部とは、その一端から他端へ線路を辿った場合に、その途中で線路の回転方向が逆向きとなるループ導体部をいう。
【0043】
図5は、第1実施例のアンテナ100の反射係数と周波数の関係を示すグラフである。横軸は給電ラインから供給する信号の周波数であり、縦軸はアンテナの反射係数である。アンテナの反射係数は、その値が小さいほど、反射成分が小さい、すなわち、効率が良いことを示している(単位はdBで表されている)。また、このグラフは、アンテナ100の各寸法(図3、図4)を以下の値に設定した場合の実験結果を示している。すなわち、四角形状の長辺側の長さLWが32mmであり、短辺側の長さLHが21mmであり、線路の幅Wが3mmであり、誘電体基板900の厚さT(図3)、すなわち、平行に配置された第1と第2のループ導体部10L、20Lの距離が1mmである。この場合には、図5に示すように、反射係数は、2.2GHz周辺において小さくなっており、このアンテナ100が2.2GHz帯に対応していることがわかる。このように、第1と第2のループ導体部10L、20Lを用い、折り返し多重ループ導体部を形成するように構成したアンテナ100は、無線信号の送受信のためのアンテナとして用いることができる。
【0044】
折り返し多重ループ導体部を有するアンテナの動作については、以下のように考えることができる。図6は、アンテナの線路上の電流分布と、周波数との関係を説明する説明図である。図6(a)では、アンテナ100の形状が簡略化して描かれている。
【0045】
図6(b)は、アンテナ100の線状線路上における位置と、その位置を流れる電流の大きさを示すグラフである。横軸は、アンテナ100の線路上における、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbからの距離DSを示しており、縦軸は電流Iを示している。電流Iは、アンテナ上に生じた定在波の電流を示しており、電流の大きさが大きくなった瞬間の電流分布を示している。電流Iの向きは、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbへ至るように線路を辿る方向を正としている。第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLは、信号の周波数に対応する自由空間(空気中)での波長λの1/4に設定されている。なお、前述したように、2つのループ導体部10L、20Lの長さは、実際には若干異なっているが、図6では同一の長さLであるとして簡略化している。但し、2つのループ導体部10L、20Lの長さが異なっていても、その差が小さければ、特性上の差異は現実には問題とならない程度である。
【0046】
図6(b)の例では、ループ導体部10L、20Lのそれぞれの長さLが波長λの4分の1に相当しているので、距離DSがL(波長λの4分の1)だけ増える毎に、電流分布の腹と節とが交互に現れる。この例では、距離DSがLである位置(端部10ca、20ca)が電流分布の節に相当し、電流Iの大きさがゼロとなる。また、距離DSが0、または、2Lの位置、すなわち、端部10cb、20cbの位置が電流分布の腹に相当し、電流Iの大きさが最大となる。なお、電流Iの向きは、節の両側では逆向きとなる。よって、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbにおける電流Iの向きと、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流Iの向きとは逆になる。
【0047】
図6(c)は、第1のループ導体部10Lにおける電流分布を説明する説明図である。図中の第1のループ導体部10Lにおいては、図6(b)の電流分布の、腹の位置の近傍には、電流Iの向きを示す矢印が付され、また、節の位置の近傍には、電流Iがゼロであることを示す「I=0」の記号が付されている。この例では、第2の端部10cbにおける電流の向きは、軸AXの方向からみて左回りの方向となる。
【0048】
図6(d)は、第2のループ導体部2Lにおける電流分布を説明する説明図である。図中の第2のループ導体部20Lにおいては、図6(b)の電流分布の、腹の位置の近傍には、電流Iの向きを示す矢印が付され、また、節の位置の近傍には、電流Iがゼロであることを示す「I=0」の記号が、それぞれ付されている。この例では、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流Iは、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbにおける電流Iとは逆の負の値となる。しかし、この例のアンテナ100は、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbへと線路を辿った場合の線路回る向きが、第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lとで逆向きとなるように構成されている。よって、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流の流れる向きも、軸AXの方向からみて左回りの方向となる。
【0049】
このように、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLが、信号の波長λの4分の1となるように構成すれば、第1と第2のループ導体部10L、20L上の任意の位置において、軸AXの方向から見た電流の向きが互いに同じとなる。仮に、第1と第2のループ導体部10L、20Lの電流の向きが逆になると、電波の放射が互いに干渉し、打ち消し合って、アンテナの特性が低下する。本実施例のアンテナ100では、このようなループ導体部同士の干渉を低減できるので、アンテナの特性低下を抑制することができる。また、2つのループ導体部10L、20Lを互いに近い位置に配置することができるので、アンテナの小型化を図ることができる。
【0050】
図7は、図6とは周波数が異なる場合のアンテナ100の線路上の電流分布を説明する説明図である。図7(a)は、ループ導体部10L、20Lの長さLが、波長λの4分の3倍である場合の電流Iの大きさを示すグラフである。この場合も、距離DSが0の位置(第2の端部10cb)が電流分布の腹に相当する。また、距離DSが0の位置からみて、距離DSが波長λの4分の1だけ増える毎に、電流分布の節と腹とが交互に現れる。その結果、第1のループ導体部10L上には、2つの腹と節が形成され、第2のループ導体部20L上にも、2つの腹と節が形成される。また、図6の例と同様に、第1と第2のループ導体部10L、20Lの接続位置(端部10ca、20ca)が電流分布の節に相当する。よって、第1と第2のループ導体部10L、20L上の電流の向きは、電流分布が0(節)となる接続位置(端部10ca、20ca)を中心として180°の回転対称となる。
【0051】
図7(b)は第1のループ導体部10L上の電流分布図であり、図7(c)は第2のループ導体部20L上の電流分布図である。図中の記号の意味は図6(c)(d)と同様である。図7(b)(c)に示すように、第1と第2のループ導体部10L、20Lには、電流分布の腹と節がそれぞれ2つずつ形成されている。さらに、図7(a)のグラフに示す通り、第1と第2のループ導体部10L、20Lを流れる電流Iの向きは、その接続位置(端部10ca、20ca)を中心として180°の回転対称となる。従って、第1と第2のループ導体部10L、20L上の互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。この結果、図6の場合と同様に、2つのループ導体部10L、20Lの電流による電波の放射が互いにうち消し合うことによるアンテナの特性低下を抑制することができる。
【0052】
一般的には、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLと、波長λとが、以下の条件を満たせば、第1と第2のループ導体部10L、20L上の互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。
【0053】
(条件1)第1と第2のループ導体部の長さLが、波長λの4分のM倍(Mは奇数)の値M・λ/4と、ほぼ等価な値の範囲にある。
【0054】
なお、「長さLが波長λの4分のM倍の値M・λ/4と、ほぼ等価な値の範囲にある」とは、長さLが値M・λ/4の±40%以内の値であることを意味している。値M・λ/4の±40%以内の範囲は、アンテナの特性上、ほぼ同じ値と言える範囲である。ループの長さLは値M・λ/4の±40%以内が好ましく、±30%以内とすることが特に好ましく、±20%以内とすることが最も好ましい。こうすることによって、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなる線路が互いに近い位置とならないようにすることができる。また、第1と第2のループ導体部の長さの合計(以下、折り返し多重ループ導体部の全長と呼ぶ)は、波長λの2分のM倍の値(以下目標長と呼ぶ)とほぼ等しくなる。ここで、折り返し多重ループ導体部の全長から目標長を引いた差分は、波長λの−30%〜+20%以内に収めることが好ましく、−20%〜+10%以内に収めることが特に好ましい。こうすることによって、アンテナを、折り返し多重ループ導体部の全長が波長λの2分のM倍の長さに相当する周波数に共振させることができるので、さらに良好な特性を得ることができる。ここで、目標長と比べてより短い方の許容範囲が広い理由は、送受信する信号の周波数が同じであっても、導体内での波長は、自由空間での波長λと比べて若干短くなる傾向があるからである。
【0055】
第1実施例のアンテナ100では、ループ導体部10L、20Lにおける電流分布は、線路の長さのみならず、線路の幅や形状の影響を受け、さらに、2つのループ導体部10L、20L間の電磁的相互作用や、周囲に配置される物質の影響を受ける。そのため、ループ導体部10L、20Lの電流分布を正確に求めるには、これらの影響を与えるパラメータ(例えば、線路の幅)を考慮して計算するのが好ましい。しかし、アンテナの反射係数などの特性向上の観点においては、第1と第2のループ導体部10L、20L上の電流の向きと大きさとが完全に一致している必要はなく、電流の大きさが大きく、かつ、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなるような線路が互いに近い位置になければよい。そのため、アンテナの反射係数と周波数との関係については、線路の中心線に沿った長さを用いることによって判断することができる。
【0056】
図5に示すグラフを得た際に用いたアンテナ100においては、第1と第2のループ導体部10L、20Lのいずれも、線路の中心線に沿った長さは約94mmである。また、反射係数が小さい周波数2.2GHzでの波長λは約136mmとなり、その波長λの4分の3の大きさは約102mmとなる。つまり、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さ(約94mm)は、波長λの4分の3の長さ(約102mm)の、アンテナ特性上ほぼ等価な値の範囲(±40%)内にある。よって、アンテナ100は、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さが波長λの4分の3となる周波数帯(約2.2GHz)で良好な特性を示している(図5)。
【0057】
このように、第1実施例のアンテナ100は、2つのループ導体部10L、20Lを直列に接続した折り返し多重ループ導体部を有しているので、アンテナの特性を過度に損なうことなく、通常の1周のループアンテナと比べて小さくすることができる。さらに、第1と第2のループ導体部における1周の長さがほぼ波長λの4分の3であるので、ループ1周の長さが波長λと同じであるループアンテナと比べても、小さくすることができる。
【0058】
B.第2実施例:
図8は、第2実施例のアンテナ110を説明する説明図である。上述の第1実施例のアンテナ100との差異は、第2のループ導体部21Lが第1のループ導体部11Lよりも小さくなるように構成されている点である。
【0059】
図8(a)は、第2実施例のアンテナ110の分解図である。この実施例のアンテナ110は、厚さT1の誘電体基板910と、第1と第2のループ導体部11L、21Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部11L、21Lは、それぞれ、誘電体基板910の一面とその裏面に形成される。なお、誘電体基板910の大きさは、第1のループ導体部11Lの外寸法と同じとなるように構成されている。
【0060】
図8(b)は、第1のループ導体部11Lを説明する平面図である。第1のループ導体部11Lは、上述の第1実施例の第1のループ導体部10L(図4)と同じ形状を有している。
【0061】
図8(c)は、第2のループ導体部21Lを説明する平面図である。第2のループ導体部12Lの大きさは、第1実施例のアンテナ100の第2のループ導体部20Lよりもひと回り小さく、第1と第2のループ導体部11L、21Lの線状線路が、軸AXの方向からみたときに互いに重ならないように構成されている。すなわち、第2のループ導体部21Lの長辺側の外寸法LW21は、第1のループ導体部11Lの長辺側の外寸法LW11よりも小さく、さらに、短辺側の外寸法LH21も、第1のループ導体部11Lの短辺側の外寸法LH11よりも小さくなるように、構成されている。
【0062】
第1と第2のループ導体部11L、21Lの第1の端部11ca、21caは接続部110cによって接続されている。第2のループ導体部21Lは、第1のループ導体部11Lよりも、すなわち、誘電体基板910よりも小さく、さらに、誘電体基板910の中心に位置している。そのため、端部21caは、誘電体基板910の外縁よりも内側に位置している。そこで、接続部110cは、誘電体基板910の側面から、第2のループ導体部21Lが形成される面上を端部21caの方向に延びるように形成されることによって、2つの端部11ca、21caを接続する。一方、第1と第2のループ導体部11L、21Lの第2の端部11cb、21cbには、それぞれ、給電ライン500a、500bが接続されている。
【0063】
図9は、第2実施例のアンテナ110の反射係数と周波数との関係を示すグラフである。縦軸と横軸の意味は、図5のグラフと同じであり、縦軸は反射係数を示し、横軸が周波数を示している。このグラフは、図8に示すアンテナ110における各寸法を以下の値に設定した場合の実験結果を示している。すなわち、第1のループ導体部11Lの長辺側の長さLW11が32mmであり、短辺側の長さLH11が21mmであり、線路の幅W11が3mmであり、第2のループ導体部21Lの長辺側の長さLW21が26mmであり、短辺側の長さLH21が15mmであり、線路の幅W21が3mmであり、誘電体基板910の厚さT1が1mmである。
【0064】
図9に示すとおり、この実施例のアンテナ110は、図5の例とは異なり、反射係数が900MHz周辺において小さくなっている。すなわち、このアンテナ110が900MHz帯に対応していることがわかる。また、この実施例では、第1のループ導体部11Lの中心に沿った長さは約94mmであり、第2のループ導体部21Lの中心の沿った長さは約70mmである。一方、900MHzの周波数に対応する自由空間での波長λは約333mmであり、その4分の1の長さは約83mmとなる。つまり、第1と第2のループ導体部11L、21Lの長さ(約94mmと約70mm)は、波長λの4分の1の長さ(約83mm)とほぼ同じ値と言える範囲(±40%)にある。よって、アンテナ110は、ループの長さが波長λの4分の1となる周波数帯(約900MHz)で良好な特性を示している。このように、第2実施例のアンテナ110は、2つのループ導体部11L、21Lの長さがほぼ波長λの4分の1である。従って、ループ1周の長さが波長λと同じであるループアンテナと比べても、小さくなるように構成されている。
【0065】
このように、第1と第2のループ導体部11L、21Lの軸AXの方向からみた重なり具合を変えることによって、アンテナのインピーダンス、すなわち、反射係数を調整することが可能となる。図9に示すグラフを得た際に用いたアンテナ110では、第1と第2のループ導体部11L、21Lは、軸AXの方向から見たときに重ならないように構成されている。こうすることによって、第1と第2のループ導体部11L、21Lの間の電磁的相互作用を小さくすることができる。その結果、図9の例では、約900MHzと約2.2GHzの2つの周波数帯において、反射係数が小さくなっている。
【0066】
なお、第1と第2のループ導体部11L、21Lの大きさを、軸AXの方向から見たときに、それぞれの線路の一部が重なるように構成しても良い。このように、線路の一部を重ね、さらに、その重なる領域の割合を調整することによって、目標とする周波数帯における反射係数の調整を行うことができる。その結果、アンテナが効率的に送受信できる周波数帯域(例えば、反射係数が−10dB以下となる周波数の幅)を広くすることができる。また、線路の一部が重なるように構成すれば、アンテナの構成に必要な領域を有効に利用することができるので、アンテナの小型化を図ることができる。
【0067】
C.第3実施例:
図10は、第3実施例のアンテナ120を説明する説明図である。上述の各実施例のアンテナ100、110との差異は、第1と第2のループ導体部12L、22Lが、誘電体基板920の同じ面に形成されている点である。
【0068】
図10(a)は、第3実施例のアンテナ120の斜視図である。この実施例のアンテナ120は、厚さT2の誘電体基板920の一面に第1と第2のループ導体部12L、22Lが形成されている。
【0069】
図10(b)は、第1と第2のループ導体部12L、22Lを説明する平面図である。第2のループ導体部22Lは、第1のループ導体部12Lの内側に隣接するように形成されている。また、2つのループ導体部12L、22Lの、それぞれの第1の端部12ca、22caは、互いに隣接して形成されている。この実施例では、2つの端部12ca、22caがほぼ同じ位置に形成されているので、第1、第2実施例のような接続部100c、110cを用いずに接続することが可能である。2つのループ導体部12L、22Lのそれぞれの第2の端部12cb、22cbは、それぞれ、給電ライン500a、500bに接続されている。
【0070】
この実施例のアンテナ120は、上述の各実施例のアンテナ100、110と同様に、折り返し多重ループ導体部を有している。そのため、第1と第2のループ導体部12L、22Lの長さを、波長λの4分の1の奇数倍とほぼ等価な値の範囲に設定することによって、第1と第2のループ導体部12L、22L上の、互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。よって、2つのループ導体部12L、22Lの電流による電波の放射が互いにうち消し合うことによるアンテナの特性低下を抑制することができる。
【0071】
また、この実施例のように、第1と第2のループ導体部12L、22Lを誘電体基板の同じ表面上に形成すれば、アンテナをより容易に製造することができる。
【0072】
D.第4実施例:
図11は、第4実施例のアンテナ130を説明する説明図である。上述の各実施例のアンテナ100〜120との差異は、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれが、軸AXの周りを1周ではなく、複数周、回るように構成されている点である。
【0073】
図11(a)は、第4実施例のアンテナ130の分解図である。この実施例のアンテナ130は、厚さT3の誘電体基板930と、第1と第2のループ導体部13L、23Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部13L、23Lは、それぞれ、誘電体基板930の一面とその裏面に形成される。
【0074】
図11(b)は、第1のループ導体部13Lを説明する平面図であり、図11(c)は、第2のループ導体部23Lを説明する平面図である。第1と第2のループ導体部13L、23Lは、それぞれ、ほぼ同一の形状を有しており、その線路は軸AXの周りを2周するように構成されている。2つのループ導体部13L、23Lの第2の端部13cb、23cbは、給電ライン500a、500bにそれぞれ接続されている。2つのループ導体部13L、23Lの第1の端部13ca、23caは、接続部130cによって接続されている。接続部130cは誘電体基板930を貫通している。
【0075】
このように、この実施例のアンテナ130では、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれの線路が、軸AXの周りを2周する。よって、第1と第2のループ導体部の線路が軸AXの周りを1周するように構成したアンテナと比べて、その大きさを小さくすることができる。ただし、この場合には、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さは、それぞれ、波長λの4分の1とほぼ等価な値の範囲に設定することが好ましい。第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さが波長λの4分の1よりも長い場合には、電流分布において、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれに電流の向きが逆となる腹が複数箇所現れる。そのため、電流の向きが逆となる線路どうしが近くに位置する可能性がある。しかし、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さがほぼ波長λの4分の1であれば、第1と第2のループ導体部13L、23L上の任意の位置において、軸AXの方向から見た電流の向きが同じとなる。よって、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなる線路が互いに近くに位置することによって、電波の放射が互いにうち消し合うことを抑制することができる。
【0076】
なお、図11の例では、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路は、それぞれ、同一平面上に形成されているが、同一平面上に形成する代わりに、立体的なコイル形状をなすように形成しても良い。すなわち、線路が軸AXの周りを回るにしたがって、線路の軸AX方向の位置が移動するように構成してもよい。
【0077】
以上説明したように、上述の各実施例のアンテナは、同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1と第2のループ導体部を直列に接続した構成を有しているので、通常のループアンテナと比べて小さいアンテナを提供することができる。さらに、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の1の奇数倍の長さに相当する周波数の信号に関して良好な特性を得ることができる。なお、ループアンテナの放射効率は、ループが囲む面積が大きいほど良くなる傾向がある。そのため、アンテナの特性向上の観点からは、ループの長さが長いことが好ましく、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の3とほぼ同じと言える範囲にあることが好ましい。一方、アンテナの小型化の観点からは、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の1とほぼ同じと言える範囲にあることが好ましい。
【0078】
ところで、一般に、折り返し多重ループ導体部において、第1と第2のループ導体部の互いに接続される2つの端部(上述の各実施例においては、第1の端部)は、互いに近傍に位置するように構成することが好ましい。換言すれば、これらの2つの端部の距離が短いことが好ましい。この距離が長くなると、これら2つの端部を接続する接続部の長さも長くなり、第1と第2のループ導体部における電流分布の位相が、接続部の長さだけずれることになる。とくに、接続部の長さが波長λの4分の1以上になると、電流分布の腹と節に相当する線路どうしが近くなったり、軸AXの方向から見た電流の向きが逆向きとなる線路どうしが近くなったりする場合がある。そのため、互いに接続される2つの端部の距離は、波長λの4分の1以下であることが好ましく、波長λの10分の1以下であることが特に好ましい。例えば、上述の図3や図8、図11に示す各実施例においては、誘電体基板900、910、930の厚さT、T1、T3の値が、2つの端部の距離となっている。そのため、これらの距離T、T2、T3の値を波長λの10分の1以下とすることが特に好ましい。また、このように2つの端部の距離が短くなるように構成するということは、第1と第2のループ導体部の距離を近づけることを意味している。その結果、第1と第2のループ導体部を配置するのに必要な領域を小さくすることができるので、アンテナの小型化を図ることもできる。
【0079】
なお、この発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0080】
E.変形例:
E1.変形例1:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部がそれぞれ略四角形状となるように構成され、さらに、給電位置が四角形状の長辺の途中に設けられていたが、給電位置は、長辺の途中に限らず、短辺の途中に設けても良く、また、頂点の位置に設けても良い。さらに、第1と第2のループ導体部の形状は、略四角形状に限らず、楕円形状や卵形の形状としても良い。いずれの場合も、同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1と第2のループ導体部を有する折り返し多重ループ導体部をアンテナとして用いることによって、アンテナの小型化を図ることができる。
【0081】
E2.変形例2:
上述の各実施例においては、第1と第2のループ導体部を構成する線状線路は、直線状の辺で構成されているが、線状線路が蛇行して、軸AXの周りを回るように構成してもよい。図12は、上述の第3実施例の線状線路を蛇行させた変形例を示す平面図である。このように、線状線路を蛇行させることによって、アンテナ自体の大きさに対する、ループ導体部の線路の長さを長くすることができる。よって、アンテナの小型化を図ることができる。
【0082】
E3.変形例3:
上述の各実施例の無線通信モジュール50(図2)では、アンテナと信号処理モジュール60とが、部品実装用基板800の同じ面に配置されているが、アンテナを信号処理モジュール60と逆の面に配置する構成としても良い。こうすれば、アンテナと信号処理モジュール60との間の電磁相互作用を抑制することができる。また、信号処理モジュール60の全てを1つの部品実装用基板800上に構築する必要はなく、複数の部品実装用基板に分割して構築しても良い。さらに、アンテナを、部品実装用基板800の代わりに、通信機器の筐体に固定しても良い。こうすれば、無線通信モジュール50は、通信機器の形と大きさに柔軟に対応することができる。さらに、アンテナ専用の誘電体基板を用いる代わりに、部品実装用基板800の表面に第1と第2のループ導体部を形成しても良い。こうすれば、無線通信モジュール50を容易に製造することができる。いずれの場合も、通信機器の使用の際に安定な動作が可能であれば良い。
【0083】
E4.変形例4:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部が、同じ誘電体基板に形成されていたが、それぞれ別の誘電体基板に形成する構成としても良い。例えば、誘電体基板を2枚準備し、1枚に第1のループ導体部を形成し、他の1枚に第2のループ導体部を形成し、これら2枚の誘電体基板を平行に並べるとともに、第1と第2のループ導体部の第1の端部を接続部を用いて接続する構成としても良い。この場合も、2枚の誘電体基板を近づけて配置すれば、アンテナの小型化を図ることができる。なお、上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部が完全に平行であったが、多少傾いていてもほぼ平行であれば、お互いの電流分布の腹の位置を近づけることができるので、お互いの電流による電波の放射を強め合うことができる。但し、平行からのずれは、20度以内とすることが好ましく、10度以内とすることが特に好ましい。
【0084】
E5.変形例5:
上述の各実施例において、アンテナと信号処理モジュールとの間に、インピーダンス整合回路を設けても良い。インピーダンス整合回路を用いてアンテナと信号処理モジュールとの間のインピーダンスの整合をとることによって、さらに、反射係数を小さくし、アンテナが対応する周波数帯域を広くすることができる。
【0085】
E6.変形例6:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部を、誘電体基板の表面に形成していたが、誘電体基板の内部に形成する構成としてもよい。こうすることによって、これらのループ導体部が周囲に配置された部品等と電気的に接触することを容易に抑制することができる。また、誘電体基板を用いる代わりに、これらのループ導体部を、絶縁体被服で覆われた線状線路、例えば、エナメル線やポリウレタン線を加工して形成しても良い。
【0086】
E7.変形例7:
第1と第2のループ導体部の線路の長さは、アンテナの小型化の観点においては、ほぼ同じ長さに設定することが好ましい。すなわち、それぞれの長さを同じ目標値(例えば、同じ値Mから算出される値M・λ/4)の±40%以内の値に設定することが好ましく、±30%以内の値に設定することが特に好ましく、±20%以内の値に設定することが最も好ましい。こうすることによって、一方のループ導体部が極端に大きくならないので、アンテナの大きさが大きくなることを抑制することができる。上述の各実施例においては、第1と第2のループ導体部の線路の長さは、ほぼ同じとなるように設定されているので、アンテナの小型化を図ることができる。ところで、アンテナの反射係数などの特性向上の観点においては、第1と第2のループ導体部がほぼ同じ長さを有している必要はなく、電流の大きさが大きく、かつ、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなるような線路が互いに近い位置になければよい。こうすることによって、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無線通信モジュールの構成を示すブロック図。
【図2】無線通信モジュールの概略構成図。
【図3】アンテナ100の概略構成図。
【図4】第1と第2のループ導体部10L、20Lの概要を示す平面図。
【図5】第1実施例のアンテナ100の反射係数と周波数の関係を示すグラフ。
【図6】アンテナの線路上の電流分布と、周波数との関係を説明する説明図。
【図7】アンテナの線路上の電流分布を説明する説明図。
【図8】第2実施例のアンテナ110を説明する説明図。
【図9】第2実施例のアンテナ110の反射係数と周波数との関係を示すグラフ。
【図10】第3実施例のアンテナ120を説明する説明図。
【図11】第4実施例のアンテナ130を説明する説明図。
【図12】線状線路を蛇行させた場合の例を示す平面図。
【符号の説明】
100〜130…アンテナ
100c〜130c…接続部
10L〜13L…第1のループ導体部
20L〜23L…第2のループ導体部
10ca〜13ca…第1の端部
10cb〜13cb…第2の端部
20ca〜23ca…第1の端部
20cb〜23cb…第2の端部
800…部品実装用基板
810…脚部
500a、500b…給電ライン
900〜930…誘電体基板
50…無線通信モジュール
52…ベースバンドIC
54…無線周波数(RF)IC
56…ローノイズアンプ
58…パワーアンプ
60…信号処理モジュール
64…バンドパスフィルタ
66…ローパスフィルタ
72…スイッチ
AX…仮想的な軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線周波数の信号を送受信するために用いるアンテナに関し、特に、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)や、携帯電話システムや、ブルートゥース(Bluetooth)などに利用される無線通信機器に用いるアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話などの携帯用の無線通信機器は、なるべく小さいことが好ましい。そのため、携帯用無線通信機器に用いられるアンテナの小型化を図りたいという要望があった。
【0003】
このような要望に応えるため、例えば、ヘリカルコイルを用いて物理的な長さを短くしたモノポール方式のアンテナが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−59130号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モノポール方式のアンテナは、その開放端と、アンテナに接続された電気回路の接地部分(通信機器の筐体や部品実装用プリント基板のアース等)との距離が遠いほど、アンテナと接地部分との電磁的相互作用が小さくなる。従って、アンテナの開放端と設置部分との距離が遠いほど、アンテナの反射係数や放射効率、利得が良くなる場合が多い。しかし、アンテナの特性を向上させるために、アンテナをプリント基板や筐体などから離れるように設置すると、アンテナの大きさが大きくなってしまい、通信機器も大型化してしまうという問題がある。一方、通信機器の小型化を図るために、アンテナをプリント基板や筐体に近づけて設置すると、アンテナの特性が下がるという問題がある。
【0006】
本発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、小型で良好な特性を有するアンテナを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明によるアンテナは、ループ状に形成された導体部を備えるアンテナであって、N周(Nは1以上の整数)のループ状の線路で構成された第1のループ導体部と、前記第1のループ導体部と同じ軸を囲むN周のループ状の線路で構成された第2のループ導体部と、を備え、前記第1と第2のループ導体部は、それぞれの一端が互いに接続されることによって、直列に接続されており、前記第1のループ導体部の外部回路との接続端から前記第2のループ導体部の外部回路との接続端へと至るように線路を辿ったときに、前記第1のループ導体部における線路の回る向きと、前記第2のループ導体部における線路の回る向きとが逆になるように構成されている。
【0008】
この発明によるアンテナは、第1と第2のループ導体部の線路の回る方向が逆向きとなるように構成されているので、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減できる。従って、良好な特性を維持しつつアンテナの小型化を図ることができる。
【0009】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、誘電体基板に形成されていることが好ましい。
【0010】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の位置がずれることを抑制することができる。
【0011】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、少なくとも一部が互いに重なるように構成されていることが好ましい。
【0012】
こうすることで、アンテナの構成に必要な領域を有効に利用することができるので、アンテナの大きさが大きくなることを抑制することができる。
【0013】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、互いに重ならないように構成されていることが好ましい。
【0014】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の間の電磁的相互作用を小さくすることができ、アンテナ特性を向上させることができる。
【0015】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の同一面上に形成されていることが好ましい。
【0016】
こうすることで、複数の平面にループ導体部を形成する必要がなくなるため、アンテナの製造を容易なものとすることができる。
【0017】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の表面と裏面にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0018】
こうすることで、第1と第2のループ導体部の重なり具合を任意に設定することができるので、重なり具合を変えることによるアンテナの特性の調整を容易に行うことができる。
【0019】
上記各アンテナにおいて、前記第1と第2のループ導体部の線路の長さは、M×λ/4(λは信号の周波数に対応する自由空間での波長。Mは奇数)と、ほぼ等価な値の範囲に設定されていることが好ましい。
【0020】
こうすることで、第1と第2のループ導体部を近づけて配置した場合でも、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減できる。従って、良好な特性を維持しつつアンテナの小型化を図ることができる。
【0021】
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記アンテナを備えた無線通信モジュールや、無線通信機器等の形態で実現することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0023】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての無線通信モジュールの構成を示すブロック図である。この無線通信モジュール50は、無線LANなどに利用される無線通信機器に搭載されるモジュールであり、無線通信用の周波数帯(例えば、900MHz帯や、2.4GHz帯)の信号の送受信を行う。
【0024】
この無線通信モジュール50は、アンテナ100と信号処理モジュール60とを備えている。アンテナ100が受信した信号は、信号処理モジュール60に送られて処理され、また、信号処理モジュール60が生成した送信信号は、アンテナ100によって送信される。信号処理モジュール60は、ベースバンドIC52と、無線周波数(RF)IC54と、ローノイズアンプ56と、パワーアンプ58と、バンドパスフィルタ(BPF)64と、ローパスフィルタ(LPF)66と、スイッチ72と、を備えている。
【0025】
ベースバンドIC52は、RFIC54を制御すると共に、RFIC54との間で低周波数の信号の受け渡しを行う機能を有する。RFIC54は、ベースバンドIC52から受けた低周波数の送信信号を無線周波数の信号に変換したり、無線周波数の受信信号を低周波数の信号に変換してベースバンドIC52に渡したりする機能を有する。
【0026】
スイッチ72は、送受信に応じて信号経路を切り換える。具体的には、受信の場合にはBPF側の信号経路を選択し、送信の場合にはLPF側の信号経路を選択する。
【0027】
信号処理モジュール60が信号を受信する場合には、受信信号はスイッチ72を介してBPF64に入力され、そこで帯域制限を受けた後、ローノイズアンプ56で増幅されてRFIC54に出力される。RFIC54は、受信信号を無線通信用の周波数帯から低周波帯に変換して、ベースバンドIC52に渡す。
【0028】
逆に、信号処理モジュール60が信号を送信する場合には、ベースバンドIC52から低周波数の送信信号がRFIC54に渡され、RFIC54において、低周波帯から無線通信用の周波数帯に変換される。その送信信号は、パワーアンプ58で増幅され、LPF66で低周波帯域がカットされた後、スイッチ72を介してアンテナ100から送信される。
【0029】
図2(a)は無線通信モジュール50の斜視図であり、図2(b)は、無線通信モジュール50の側面図である。この実施例では、信号処理モジュール60は部品実装用基板800上に構築されている。アンテナ100は、平板形状を有するセラミックや樹脂等の誘電体基板上にループ状の導体部を形成したものであり、プラスチック等の絶縁体で構成された脚部810によって部品実装用基板800上に固定されている。アンテナ100と信号処理モジュール60とは、2つの給電ライン500a、500bによって接続されている。
【0030】
なお、アンテナ100と向かい合う部品実装用基板800の領域に、電気的な接地導体部(アース、グラウンドとも呼ばれる。)を形成しても良い。こうすれば、部品実装用基板800の裏側に電子部品の実装が可能となり実装領域を広くすることができる。また、接地導体部によって、その方向への電波の放射が制限されるため、アンテナ100から放射される電波の向きを制限することができる。なお、この場合、アンテナ100の特性向上の観点からは、アンテナ100と部品実装用基板800との距離hが大きいのが好ましい。しかし、ループ形状を有するアンテナを用いる場合には、距離hを、送受信する信号の波長λと比べて小さい値としても、アンテナの特性を維持することができる。距離hとしては、波長λの1%以上が好ましく、波長λの2%以上が特に好ましい。このように、ループ形状を有するアンテナ100を用いることによって、アンテナ100と部品実装用基板800との距離を短くし、通信機器の小型化を図ることができる。
【0031】
なお、アンテナ100と向かい合う部品実装用基板800の領域に、電気的な接地導体部を形成する場合には、アンテナ100と部品実装用基板800との間には、誘電率の高い物質を配置しないことが好ましい。誘電率の高い物質を配置すると、アンテナ100から放射される電波のうち、その物質によって集められてしまう割合が増え、外界へ放射される割合が減り、その結果、信号の送受信の効率が低下する場合がある。図2の例では、脚部810以外には何も配置されていない。すなわち、アンテナ100と部品実装用基板800の間に空気(比誘電率:約1)の層が設けられているので、信号の送受信を効率よく行うことができる。
【0032】
このような距離hの大きさの好ましい範囲や、アンテナと部品実装用基板800との間の物質の誘電率については、第1実施例のアンテナ100に限らず、後述する他の実施例においても同様である。
【0033】
図3(a)は、アンテナ100の斜視図であり、図3(b)は、アンテナ100の分解図である。アンテナ100は、酸化アルミナなどの誘電体で形成された、厚さTの平板状の誘電体基板900と、銅や銀などの導体によって形成されたループ状の第1と第2のループ導体部10L、20Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部10L、20Lは、いずれも、軸AXを囲むようにループ状に形成されている。この軸AXは、仮想的な軸であり、第1のループ導体部10Lが形成する平面と垂直な方向に沿った軸である。第1のループ導体部10Lは誘電体基板900の一面に形成されており、第2のループ導体部20Lはその裏面に形成されている。
【0034】
第1のループ導体部10Lは、2つの端部10ca、10cbを有している。第2のループ導体部20Lも、同様に、2つの端部20ca、20cbを有している。第1と第2のループ導体部10L、20Lのそれぞれの第1の端部10ca、20caは、誘電体基板900の側面に形成された接続部100cによって互いに接続されている。一方、2つのループ導体部10L、20Lのそれぞれの第2の端部10cb、20cbは、給電ライン500a、500bに、それぞれ接続されている。すなわち、それぞれの第2の端部10cb、20cbが、外部回路との接続端としての機能を有する。
【0035】
接続部100cは、アンテナ用の誘電体基板900の側面に形成されているので、2つの端部10ca、20caを接続するために誘電体基板900に穴を開けて接続部を通すといった加工が不要となり、アンテナの製造を容易に行うことができる。
【0036】
なお、3つの導体部10L、20L、100cを誘電体基板900上に形成する方法としては、例えば、誘電体基板900の表面に、銀ペーストを各導体部10L、20L、100cの形状にスクリーン印刷し、その後、所望の温度で焼き付けすることによって形成する方法を用いることができる。また、表面の全面に銀などの導体部が形成された誘電体基板に、必要となるアンテナパターンのマスキング処理を行った後に、導体部の不要な部分を溶かす処理を行ってアンテナを形成する方法を用いてもよい。又、誘電体基板に蒸着によって導体部を形成してもよい。このように、誘電体基板900の表面に導体部10L、20L、100cを形成することによって、アンテナ100の製造が容易となる。
【0037】
図4(a)(b)は、第1と第2のループ導体部10L、20Lの平面図である。図4(c)は、2つのループ導体部10L、20Lの重なり状態を示している。
【0038】
図4(a)に示すように、第1のループ導体部10Lは、幅Wの線状線路が、仮想的な軸AXを囲む略四角形状を成すように構成されたものであり、軸AXの周りをほぼ1周する形状(ループ形状)を成している。また、図中の距離LWは四角形状の長辺の外寸法を示し、距離LHは四角形上の短辺の外寸法を示している。また、第1のループ導体部10Lの2つの端部10ca、10cbは、その四角形状の1つの長辺のほぼ中央にギャップを挟んで対向している。
【0039】
図4(b)に示すように、第2のループ導体部20Lも、第1のループ導体部10Lと同様に、同じ幅Wの線状線路が、仮想的な軸AXを囲む略四角形状を成すように構成されたものであり、軸AXの周りをほぼ1周する形状(ループ形状)を成している。また、その四角形状の大きさは、第1のループ導体部10Lとほぼ同一である。また、第2のループ導体部20Lの2つの端部20ca、20cbも、その四角形状の1つの長辺のほぼ中央にギャップを挟んで対向している。
【0040】
図4(c)は、第1と第2のループ導体部10L、20Lを、軸AXの方向から合わせて見た場合の平面図である。第2のループ導体部20Lは、その形と、大きさと、軸AXと垂直な方向の位置とが、第1のループ導体部10Lとほぼ同じとなるように構成されている。すなわち、第1と第2のループ導体部10L、20Lの線状線路は、誘電体基板900を挟んで、軸AXの方向に互いに重なるように構成されている。
【0041】
前述したように、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbと、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbには、それぞれ、給電ライン500a、500bが接続されている。給電ライン500a、500bは互いに重ならない位置に配置されているので、これらに接続されるアンテナの端部10cb、20cbも互いにずれた位置に設けられている。このため、2つのループ導体部10L、20Lの形状は、これらの端部10cb、20cbの位置だけが異なるように形成されている。より具体的に言えば、図4(b)に示す第2のループ導体部20Lの2つの端部20ca、20cbの間のギャップは、図4(a)に示す第1のループ導体部10Lの2つの端部10ca、10cbの間のギャップよりも大きく設定されている。
【0042】
図4(a)、(b)において一点鎖線で示すように、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbに向かって線路を辿ると、その経路の方向が接続部100cにおいて逆向きに折り返される。すなわち、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第1の端部10caに至る経路は反時計回り(左回り)であり、第2のループ導体部20Lの第1の端部20caから第2の端部20caに至る経路は時計回り(右回り)である。換言すれば、2つのループ導体部10L、20Lは、途中で線路が逆向きに折り返される多重ループ導体部を構成する。なお、本明細書において、折り返し多重ループ導体部とは、その一端から他端へ線路を辿った場合に、その途中で線路の回転方向が逆向きとなるループ導体部をいう。
【0043】
図5は、第1実施例のアンテナ100の反射係数と周波数の関係を示すグラフである。横軸は給電ラインから供給する信号の周波数であり、縦軸はアンテナの反射係数である。アンテナの反射係数は、その値が小さいほど、反射成分が小さい、すなわち、効率が良いことを示している(単位はdBで表されている)。また、このグラフは、アンテナ100の各寸法(図3、図4)を以下の値に設定した場合の実験結果を示している。すなわち、四角形状の長辺側の長さLWが32mmであり、短辺側の長さLHが21mmであり、線路の幅Wが3mmであり、誘電体基板900の厚さT(図3)、すなわち、平行に配置された第1と第2のループ導体部10L、20Lの距離が1mmである。この場合には、図5に示すように、反射係数は、2.2GHz周辺において小さくなっており、このアンテナ100が2.2GHz帯に対応していることがわかる。このように、第1と第2のループ導体部10L、20Lを用い、折り返し多重ループ導体部を形成するように構成したアンテナ100は、無線信号の送受信のためのアンテナとして用いることができる。
【0044】
折り返し多重ループ導体部を有するアンテナの動作については、以下のように考えることができる。図6は、アンテナの線路上の電流分布と、周波数との関係を説明する説明図である。図6(a)では、アンテナ100の形状が簡略化して描かれている。
【0045】
図6(b)は、アンテナ100の線状線路上における位置と、その位置を流れる電流の大きさを示すグラフである。横軸は、アンテナ100の線路上における、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbからの距離DSを示しており、縦軸は電流Iを示している。電流Iは、アンテナ上に生じた定在波の電流を示しており、電流の大きさが大きくなった瞬間の電流分布を示している。電流Iの向きは、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbへ至るように線路を辿る方向を正としている。第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLは、信号の周波数に対応する自由空間(空気中)での波長λの1/4に設定されている。なお、前述したように、2つのループ導体部10L、20Lの長さは、実際には若干異なっているが、図6では同一の長さLであるとして簡略化している。但し、2つのループ導体部10L、20Lの長さが異なっていても、その差が小さければ、特性上の差異は現実には問題とならない程度である。
【0046】
図6(b)の例では、ループ導体部10L、20Lのそれぞれの長さLが波長λの4分の1に相当しているので、距離DSがL(波長λの4分の1)だけ増える毎に、電流分布の腹と節とが交互に現れる。この例では、距離DSがLである位置(端部10ca、20ca)が電流分布の節に相当し、電流Iの大きさがゼロとなる。また、距離DSが0、または、2Lの位置、すなわち、端部10cb、20cbの位置が電流分布の腹に相当し、電流Iの大きさが最大となる。なお、電流Iの向きは、節の両側では逆向きとなる。よって、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbにおける電流Iの向きと、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流Iの向きとは逆になる。
【0047】
図6(c)は、第1のループ導体部10Lにおける電流分布を説明する説明図である。図中の第1のループ導体部10Lにおいては、図6(b)の電流分布の、腹の位置の近傍には、電流Iの向きを示す矢印が付され、また、節の位置の近傍には、電流Iがゼロであることを示す「I=0」の記号が付されている。この例では、第2の端部10cbにおける電流の向きは、軸AXの方向からみて左回りの方向となる。
【0048】
図6(d)は、第2のループ導体部2Lにおける電流分布を説明する説明図である。図中の第2のループ導体部20Lにおいては、図6(b)の電流分布の、腹の位置の近傍には、電流Iの向きを示す矢印が付され、また、節の位置の近傍には、電流Iがゼロであることを示す「I=0」の記号が、それぞれ付されている。この例では、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流Iは、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbにおける電流Iとは逆の負の値となる。しかし、この例のアンテナ100は、第1のループ導体部10Lの第2の端部10cbから第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbへと線路を辿った場合の線路回る向きが、第1のループ導体部10Lと第2のループ導体部20Lとで逆向きとなるように構成されている。よって、第2のループ導体部20Lの第2の端部20cbにおける電流の流れる向きも、軸AXの方向からみて左回りの方向となる。
【0049】
このように、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLが、信号の波長λの4分の1となるように構成すれば、第1と第2のループ導体部10L、20L上の任意の位置において、軸AXの方向から見た電流の向きが互いに同じとなる。仮に、第1と第2のループ導体部10L、20Lの電流の向きが逆になると、電波の放射が互いに干渉し、打ち消し合って、アンテナの特性が低下する。本実施例のアンテナ100では、このようなループ導体部同士の干渉を低減できるので、アンテナの特性低下を抑制することができる。また、2つのループ導体部10L、20Lを互いに近い位置に配置することができるので、アンテナの小型化を図ることができる。
【0050】
図7は、図6とは周波数が異なる場合のアンテナ100の線路上の電流分布を説明する説明図である。図7(a)は、ループ導体部10L、20Lの長さLが、波長λの4分の3倍である場合の電流Iの大きさを示すグラフである。この場合も、距離DSが0の位置(第2の端部10cb)が電流分布の腹に相当する。また、距離DSが0の位置からみて、距離DSが波長λの4分の1だけ増える毎に、電流分布の節と腹とが交互に現れる。その結果、第1のループ導体部10L上には、2つの腹と節が形成され、第2のループ導体部20L上にも、2つの腹と節が形成される。また、図6の例と同様に、第1と第2のループ導体部10L、20Lの接続位置(端部10ca、20ca)が電流分布の節に相当する。よって、第1と第2のループ導体部10L、20L上の電流の向きは、電流分布が0(節)となる接続位置(端部10ca、20ca)を中心として180°の回転対称となる。
【0051】
図7(b)は第1のループ導体部10L上の電流分布図であり、図7(c)は第2のループ導体部20L上の電流分布図である。図中の記号の意味は図6(c)(d)と同様である。図7(b)(c)に示すように、第1と第2のループ導体部10L、20Lには、電流分布の腹と節がそれぞれ2つずつ形成されている。さらに、図7(a)のグラフに示す通り、第1と第2のループ導体部10L、20Lを流れる電流Iの向きは、その接続位置(端部10ca、20ca)を中心として180°の回転対称となる。従って、第1と第2のループ導体部10L、20L上の互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。この結果、図6の場合と同様に、2つのループ導体部10L、20Lの電流による電波の放射が互いにうち消し合うことによるアンテナの特性低下を抑制することができる。
【0052】
一般的には、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さLと、波長λとが、以下の条件を満たせば、第1と第2のループ導体部10L、20L上の互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。
【0053】
(条件1)第1と第2のループ導体部の長さLが、波長λの4分のM倍(Mは奇数)の値M・λ/4と、ほぼ等価な値の範囲にある。
【0054】
なお、「長さLが波長λの4分のM倍の値M・λ/4と、ほぼ等価な値の範囲にある」とは、長さLが値M・λ/4の±40%以内の値であることを意味している。値M・λ/4の±40%以内の範囲は、アンテナの特性上、ほぼ同じ値と言える範囲である。ループの長さLは値M・λ/4の±40%以内が好ましく、±30%以内とすることが特に好ましく、±20%以内とすることが最も好ましい。こうすることによって、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなる線路が互いに近い位置とならないようにすることができる。また、第1と第2のループ導体部の長さの合計(以下、折り返し多重ループ導体部の全長と呼ぶ)は、波長λの2分のM倍の値(以下目標長と呼ぶ)とほぼ等しくなる。ここで、折り返し多重ループ導体部の全長から目標長を引いた差分は、波長λの−30%〜+20%以内に収めることが好ましく、−20%〜+10%以内に収めることが特に好ましい。こうすることによって、アンテナを、折り返し多重ループ導体部の全長が波長λの2分のM倍の長さに相当する周波数に共振させることができるので、さらに良好な特性を得ることができる。ここで、目標長と比べてより短い方の許容範囲が広い理由は、送受信する信号の周波数が同じであっても、導体内での波長は、自由空間での波長λと比べて若干短くなる傾向があるからである。
【0055】
第1実施例のアンテナ100では、ループ導体部10L、20Lにおける電流分布は、線路の長さのみならず、線路の幅や形状の影響を受け、さらに、2つのループ導体部10L、20L間の電磁的相互作用や、周囲に配置される物質の影響を受ける。そのため、ループ導体部10L、20Lの電流分布を正確に求めるには、これらの影響を与えるパラメータ(例えば、線路の幅)を考慮して計算するのが好ましい。しかし、アンテナの反射係数などの特性向上の観点においては、第1と第2のループ導体部10L、20L上の電流の向きと大きさとが完全に一致している必要はなく、電流の大きさが大きく、かつ、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなるような線路が互いに近い位置になければよい。そのため、アンテナの反射係数と周波数との関係については、線路の中心線に沿った長さを用いることによって判断することができる。
【0056】
図5に示すグラフを得た際に用いたアンテナ100においては、第1と第2のループ導体部10L、20Lのいずれも、線路の中心線に沿った長さは約94mmである。また、反射係数が小さい周波数2.2GHzでの波長λは約136mmとなり、その波長λの4分の3の大きさは約102mmとなる。つまり、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さ(約94mm)は、波長λの4分の3の長さ(約102mm)の、アンテナ特性上ほぼ等価な値の範囲(±40%)内にある。よって、アンテナ100は、第1と第2のループ導体部10L、20Lの長さが波長λの4分の3となる周波数帯(約2.2GHz)で良好な特性を示している(図5)。
【0057】
このように、第1実施例のアンテナ100は、2つのループ導体部10L、20Lを直列に接続した折り返し多重ループ導体部を有しているので、アンテナの特性を過度に損なうことなく、通常の1周のループアンテナと比べて小さくすることができる。さらに、第1と第2のループ導体部における1周の長さがほぼ波長λの4分の3であるので、ループ1周の長さが波長λと同じであるループアンテナと比べても、小さくすることができる。
【0058】
B.第2実施例:
図8は、第2実施例のアンテナ110を説明する説明図である。上述の第1実施例のアンテナ100との差異は、第2のループ導体部21Lが第1のループ導体部11Lよりも小さくなるように構成されている点である。
【0059】
図8(a)は、第2実施例のアンテナ110の分解図である。この実施例のアンテナ110は、厚さT1の誘電体基板910と、第1と第2のループ導体部11L、21Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部11L、21Lは、それぞれ、誘電体基板910の一面とその裏面に形成される。なお、誘電体基板910の大きさは、第1のループ導体部11Lの外寸法と同じとなるように構成されている。
【0060】
図8(b)は、第1のループ導体部11Lを説明する平面図である。第1のループ導体部11Lは、上述の第1実施例の第1のループ導体部10L(図4)と同じ形状を有している。
【0061】
図8(c)は、第2のループ導体部21Lを説明する平面図である。第2のループ導体部12Lの大きさは、第1実施例のアンテナ100の第2のループ導体部20Lよりもひと回り小さく、第1と第2のループ導体部11L、21Lの線状線路が、軸AXの方向からみたときに互いに重ならないように構成されている。すなわち、第2のループ導体部21Lの長辺側の外寸法LW21は、第1のループ導体部11Lの長辺側の外寸法LW11よりも小さく、さらに、短辺側の外寸法LH21も、第1のループ導体部11Lの短辺側の外寸法LH11よりも小さくなるように、構成されている。
【0062】
第1と第2のループ導体部11L、21Lの第1の端部11ca、21caは接続部110cによって接続されている。第2のループ導体部21Lは、第1のループ導体部11Lよりも、すなわち、誘電体基板910よりも小さく、さらに、誘電体基板910の中心に位置している。そのため、端部21caは、誘電体基板910の外縁よりも内側に位置している。そこで、接続部110cは、誘電体基板910の側面から、第2のループ導体部21Lが形成される面上を端部21caの方向に延びるように形成されることによって、2つの端部11ca、21caを接続する。一方、第1と第2のループ導体部11L、21Lの第2の端部11cb、21cbには、それぞれ、給電ライン500a、500bが接続されている。
【0063】
図9は、第2実施例のアンテナ110の反射係数と周波数との関係を示すグラフである。縦軸と横軸の意味は、図5のグラフと同じであり、縦軸は反射係数を示し、横軸が周波数を示している。このグラフは、図8に示すアンテナ110における各寸法を以下の値に設定した場合の実験結果を示している。すなわち、第1のループ導体部11Lの長辺側の長さLW11が32mmであり、短辺側の長さLH11が21mmであり、線路の幅W11が3mmであり、第2のループ導体部21Lの長辺側の長さLW21が26mmであり、短辺側の長さLH21が15mmであり、線路の幅W21が3mmであり、誘電体基板910の厚さT1が1mmである。
【0064】
図9に示すとおり、この実施例のアンテナ110は、図5の例とは異なり、反射係数が900MHz周辺において小さくなっている。すなわち、このアンテナ110が900MHz帯に対応していることがわかる。また、この実施例では、第1のループ導体部11Lの中心に沿った長さは約94mmであり、第2のループ導体部21Lの中心の沿った長さは約70mmである。一方、900MHzの周波数に対応する自由空間での波長λは約333mmであり、その4分の1の長さは約83mmとなる。つまり、第1と第2のループ導体部11L、21Lの長さ(約94mmと約70mm)は、波長λの4分の1の長さ(約83mm)とほぼ同じ値と言える範囲(±40%)にある。よって、アンテナ110は、ループの長さが波長λの4分の1となる周波数帯(約900MHz)で良好な特性を示している。このように、第2実施例のアンテナ110は、2つのループ導体部11L、21Lの長さがほぼ波長λの4分の1である。従って、ループ1周の長さが波長λと同じであるループアンテナと比べても、小さくなるように構成されている。
【0065】
このように、第1と第2のループ導体部11L、21Lの軸AXの方向からみた重なり具合を変えることによって、アンテナのインピーダンス、すなわち、反射係数を調整することが可能となる。図9に示すグラフを得た際に用いたアンテナ110では、第1と第2のループ導体部11L、21Lは、軸AXの方向から見たときに重ならないように構成されている。こうすることによって、第1と第2のループ導体部11L、21Lの間の電磁的相互作用を小さくすることができる。その結果、図9の例では、約900MHzと約2.2GHzの2つの周波数帯において、反射係数が小さくなっている。
【0066】
なお、第1と第2のループ導体部11L、21Lの大きさを、軸AXの方向から見たときに、それぞれの線路の一部が重なるように構成しても良い。このように、線路の一部を重ね、さらに、その重なる領域の割合を調整することによって、目標とする周波数帯における反射係数の調整を行うことができる。その結果、アンテナが効率的に送受信できる周波数帯域(例えば、反射係数が−10dB以下となる周波数の幅)を広くすることができる。また、線路の一部が重なるように構成すれば、アンテナの構成に必要な領域を有効に利用することができるので、アンテナの小型化を図ることができる。
【0067】
C.第3実施例:
図10は、第3実施例のアンテナ120を説明する説明図である。上述の各実施例のアンテナ100、110との差異は、第1と第2のループ導体部12L、22Lが、誘電体基板920の同じ面に形成されている点である。
【0068】
図10(a)は、第3実施例のアンテナ120の斜視図である。この実施例のアンテナ120は、厚さT2の誘電体基板920の一面に第1と第2のループ導体部12L、22Lが形成されている。
【0069】
図10(b)は、第1と第2のループ導体部12L、22Lを説明する平面図である。第2のループ導体部22Lは、第1のループ導体部12Lの内側に隣接するように形成されている。また、2つのループ導体部12L、22Lの、それぞれの第1の端部12ca、22caは、互いに隣接して形成されている。この実施例では、2つの端部12ca、22caがほぼ同じ位置に形成されているので、第1、第2実施例のような接続部100c、110cを用いずに接続することが可能である。2つのループ導体部12L、22Lのそれぞれの第2の端部12cb、22cbは、それぞれ、給電ライン500a、500bに接続されている。
【0070】
この実施例のアンテナ120は、上述の各実施例のアンテナ100、110と同様に、折り返し多重ループ導体部を有している。そのため、第1と第2のループ導体部12L、22Lの長さを、波長λの4分の1の奇数倍とほぼ等価な値の範囲に設定することによって、第1と第2のループ導体部12L、22L上の、互いに近い位置において、軸AXの方向から見た電流の向きを同じとすることができる。よって、2つのループ導体部12L、22Lの電流による電波の放射が互いにうち消し合うことによるアンテナの特性低下を抑制することができる。
【0071】
また、この実施例のように、第1と第2のループ導体部12L、22Lを誘電体基板の同じ表面上に形成すれば、アンテナをより容易に製造することができる。
【0072】
D.第4実施例:
図11は、第4実施例のアンテナ130を説明する説明図である。上述の各実施例のアンテナ100〜120との差異は、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれが、軸AXの周りを1周ではなく、複数周、回るように構成されている点である。
【0073】
図11(a)は、第4実施例のアンテナ130の分解図である。この実施例のアンテナ130は、厚さT3の誘電体基板930と、第1と第2のループ導体部13L、23Lとで構成されている。第1と第2のループ導体部13L、23Lは、それぞれ、誘電体基板930の一面とその裏面に形成される。
【0074】
図11(b)は、第1のループ導体部13Lを説明する平面図であり、図11(c)は、第2のループ導体部23Lを説明する平面図である。第1と第2のループ導体部13L、23Lは、それぞれ、ほぼ同一の形状を有しており、その線路は軸AXの周りを2周するように構成されている。2つのループ導体部13L、23Lの第2の端部13cb、23cbは、給電ライン500a、500bにそれぞれ接続されている。2つのループ導体部13L、23Lの第1の端部13ca、23caは、接続部130cによって接続されている。接続部130cは誘電体基板930を貫通している。
【0075】
このように、この実施例のアンテナ130では、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれの線路が、軸AXの周りを2周する。よって、第1と第2のループ導体部の線路が軸AXの周りを1周するように構成したアンテナと比べて、その大きさを小さくすることができる。ただし、この場合には、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さは、それぞれ、波長λの4分の1とほぼ等価な値の範囲に設定することが好ましい。第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さが波長λの4分の1よりも長い場合には、電流分布において、第1と第2のループ導体部13L、23Lのそれぞれに電流の向きが逆となる腹が複数箇所現れる。そのため、電流の向きが逆となる線路どうしが近くに位置する可能性がある。しかし、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路の長さがほぼ波長λの4分の1であれば、第1と第2のループ導体部13L、23L上の任意の位置において、軸AXの方向から見た電流の向きが同じとなる。よって、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなる線路が互いに近くに位置することによって、電波の放射が互いにうち消し合うことを抑制することができる。
【0076】
なお、図11の例では、第1と第2のループ導体部13L、23Lの線路は、それぞれ、同一平面上に形成されているが、同一平面上に形成する代わりに、立体的なコイル形状をなすように形成しても良い。すなわち、線路が軸AXの周りを回るにしたがって、線路の軸AX方向の位置が移動するように構成してもよい。
【0077】
以上説明したように、上述の各実施例のアンテナは、同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1と第2のループ導体部を直列に接続した構成を有しているので、通常のループアンテナと比べて小さいアンテナを提供することができる。さらに、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の1の奇数倍の長さに相当する周波数の信号に関して良好な特性を得ることができる。なお、ループアンテナの放射効率は、ループが囲む面積が大きいほど良くなる傾向がある。そのため、アンテナの特性向上の観点からは、ループの長さが長いことが好ましく、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の3とほぼ同じと言える範囲にあることが好ましい。一方、アンテナの小型化の観点からは、第1と第2のループ導体部の長さが波長λの4分の1とほぼ同じと言える範囲にあることが好ましい。
【0078】
ところで、一般に、折り返し多重ループ導体部において、第1と第2のループ導体部の互いに接続される2つの端部(上述の各実施例においては、第1の端部)は、互いに近傍に位置するように構成することが好ましい。換言すれば、これらの2つの端部の距離が短いことが好ましい。この距離が長くなると、これら2つの端部を接続する接続部の長さも長くなり、第1と第2のループ導体部における電流分布の位相が、接続部の長さだけずれることになる。とくに、接続部の長さが波長λの4分の1以上になると、電流分布の腹と節に相当する線路どうしが近くなったり、軸AXの方向から見た電流の向きが逆向きとなる線路どうしが近くなったりする場合がある。そのため、互いに接続される2つの端部の距離は、波長λの4分の1以下であることが好ましく、波長λの10分の1以下であることが特に好ましい。例えば、上述の図3や図8、図11に示す各実施例においては、誘電体基板900、910、930の厚さT、T1、T3の値が、2つの端部の距離となっている。そのため、これらの距離T、T2、T3の値を波長λの10分の1以下とすることが特に好ましい。また、このように2つの端部の距離が短くなるように構成するということは、第1と第2のループ導体部の距離を近づけることを意味している。その結果、第1と第2のループ導体部を配置するのに必要な領域を小さくすることができるので、アンテナの小型化を図ることもできる。
【0079】
なお、この発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0080】
E.変形例:
E1.変形例1:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部がそれぞれ略四角形状となるように構成され、さらに、給電位置が四角形状の長辺の途中に設けられていたが、給電位置は、長辺の途中に限らず、短辺の途中に設けても良く、また、頂点の位置に設けても良い。さらに、第1と第2のループ導体部の形状は、略四角形状に限らず、楕円形状や卵形の形状としても良い。いずれの場合も、同じ仮想的な軸AXの周りを回る第1と第2のループ導体部を有する折り返し多重ループ導体部をアンテナとして用いることによって、アンテナの小型化を図ることができる。
【0081】
E2.変形例2:
上述の各実施例においては、第1と第2のループ導体部を構成する線状線路は、直線状の辺で構成されているが、線状線路が蛇行して、軸AXの周りを回るように構成してもよい。図12は、上述の第3実施例の線状線路を蛇行させた変形例を示す平面図である。このように、線状線路を蛇行させることによって、アンテナ自体の大きさに対する、ループ導体部の線路の長さを長くすることができる。よって、アンテナの小型化を図ることができる。
【0082】
E3.変形例3:
上述の各実施例の無線通信モジュール50(図2)では、アンテナと信号処理モジュール60とが、部品実装用基板800の同じ面に配置されているが、アンテナを信号処理モジュール60と逆の面に配置する構成としても良い。こうすれば、アンテナと信号処理モジュール60との間の電磁相互作用を抑制することができる。また、信号処理モジュール60の全てを1つの部品実装用基板800上に構築する必要はなく、複数の部品実装用基板に分割して構築しても良い。さらに、アンテナを、部品実装用基板800の代わりに、通信機器の筐体に固定しても良い。こうすれば、無線通信モジュール50は、通信機器の形と大きさに柔軟に対応することができる。さらに、アンテナ専用の誘電体基板を用いる代わりに、部品実装用基板800の表面に第1と第2のループ導体部を形成しても良い。こうすれば、無線通信モジュール50を容易に製造することができる。いずれの場合も、通信機器の使用の際に安定な動作が可能であれば良い。
【0083】
E4.変形例4:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部が、同じ誘電体基板に形成されていたが、それぞれ別の誘電体基板に形成する構成としても良い。例えば、誘電体基板を2枚準備し、1枚に第1のループ導体部を形成し、他の1枚に第2のループ導体部を形成し、これら2枚の誘電体基板を平行に並べるとともに、第1と第2のループ導体部の第1の端部を接続部を用いて接続する構成としても良い。この場合も、2枚の誘電体基板を近づけて配置すれば、アンテナの小型化を図ることができる。なお、上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部が完全に平行であったが、多少傾いていてもほぼ平行であれば、お互いの電流分布の腹の位置を近づけることができるので、お互いの電流による電波の放射を強め合うことができる。但し、平行からのずれは、20度以内とすることが好ましく、10度以内とすることが特に好ましい。
【0084】
E5.変形例5:
上述の各実施例において、アンテナと信号処理モジュールとの間に、インピーダンス整合回路を設けても良い。インピーダンス整合回路を用いてアンテナと信号処理モジュールとの間のインピーダンスの整合をとることによって、さらに、反射係数を小さくし、アンテナが対応する周波数帯域を広くすることができる。
【0085】
E6.変形例6:
上述の各実施例では、第1と第2のループ導体部を、誘電体基板の表面に形成していたが、誘電体基板の内部に形成する構成としてもよい。こうすることによって、これらのループ導体部が周囲に配置された部品等と電気的に接触することを容易に抑制することができる。また、誘電体基板を用いる代わりに、これらのループ導体部を、絶縁体被服で覆われた線状線路、例えば、エナメル線やポリウレタン線を加工して形成しても良い。
【0086】
E7.変形例7:
第1と第2のループ導体部の線路の長さは、アンテナの小型化の観点においては、ほぼ同じ長さに設定することが好ましい。すなわち、それぞれの長さを同じ目標値(例えば、同じ値Mから算出される値M・λ/4)の±40%以内の値に設定することが好ましく、±30%以内の値に設定することが特に好ましく、±20%以内の値に設定することが最も好ましい。こうすることによって、一方のループ導体部が極端に大きくならないので、アンテナの大きさが大きくなることを抑制することができる。上述の各実施例においては、第1と第2のループ導体部の線路の長さは、ほぼ同じとなるように設定されているので、アンテナの小型化を図ることができる。ところで、アンテナの反射係数などの特性向上の観点においては、第1と第2のループ導体部がほぼ同じ長さを有している必要はなく、電流の大きさが大きく、かつ、軸AXの方向からみた電流の方向が逆向きとなるような線路が互いに近い位置になければよい。こうすることによって、第1と第2のループ導体部同士の干渉を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無線通信モジュールの構成を示すブロック図。
【図2】無線通信モジュールの概略構成図。
【図3】アンテナ100の概略構成図。
【図4】第1と第2のループ導体部10L、20Lの概要を示す平面図。
【図5】第1実施例のアンテナ100の反射係数と周波数の関係を示すグラフ。
【図6】アンテナの線路上の電流分布と、周波数との関係を説明する説明図。
【図7】アンテナの線路上の電流分布を説明する説明図。
【図8】第2実施例のアンテナ110を説明する説明図。
【図9】第2実施例のアンテナ110の反射係数と周波数との関係を示すグラフ。
【図10】第3実施例のアンテナ120を説明する説明図。
【図11】第4実施例のアンテナ130を説明する説明図。
【図12】線状線路を蛇行させた場合の例を示す平面図。
【符号の説明】
100〜130…アンテナ
100c〜130c…接続部
10L〜13L…第1のループ導体部
20L〜23L…第2のループ導体部
10ca〜13ca…第1の端部
10cb〜13cb…第2の端部
20ca〜23ca…第1の端部
20cb〜23cb…第2の端部
800…部品実装用基板
810…脚部
500a、500b…給電ライン
900〜930…誘電体基板
50…無線通信モジュール
52…ベースバンドIC
54…無線周波数(RF)IC
56…ローノイズアンプ
58…パワーアンプ
60…信号処理モジュール
64…バンドパスフィルタ
66…ローパスフィルタ
72…スイッチ
AX…仮想的な軸
Claims (8)
- ループ状に形成された導体部を備えるアンテナであって、
N周(Nは1以上の整数)のループ状の線路で構成された第1のループ導体部と、
前記第1のループ導体部と同じ軸を囲むN周のループ状の線路で構成された第2のループ導体部と、を備え、
前記第1と第2のループ導体部は、それぞれの一端が互いに接続されることによって、直列に接続されており、
前記第1のループ導体部の外部回路との接続端から前記第2のループ導体部の外部回路との接続端へと至るように線路を辿ったときに、前記第1のループ導体部における線路の回る向きと、前記第2のループ導体部における線路の回る向きとが逆になるように構成されている、アンテナ。 - 請求項1に記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部は、誘電体基板に形成されている、アンテナ。 - 請求項2に記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、少なくとも一部が互いに重なるように構成されている、アンテナ。 - 請求項2に記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部の線路は、前記第1のループ導体部が形成されている平面に垂直な方向から見たときに、互いに重ならないように構成されている、アンテナ。 - 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の同一面上に形成されている、アンテナ。 - 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部は、前記誘電体基板の表面と裏面にそれぞれ形成されている、アンテナ。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアンテナであって、
前記第1と第2のループ導体部の線路の長さは、M×λ/4(λは信号の周波数に対応する自由空間での波長。Mは奇数)と、ほぼ等価な値の範囲に設定されている、アンテナ。 - 無線周波数の信号を送受信するための無線通信モジュールであって、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のアンテナと、前記アンテナに接続された信号処理回路と、を備えた無線通信モジュール。
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