JP2004214441A - 半導体レーザ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体レーザ装置Sは、LDチップ1とサブマウント2と高熱伝導ステム3とを備えている。LDチップ1とステム3とは、両者間にサブマウント2をサンドウィッチ状に挟むように配置されている。LDチップ1は、低融点半田材4により、サブマウント2のLDチップ側表面に接合されている。高熱伝導ステム3は、接合樹脂5により、サブマウント2の高熱伝導ステム側表面に接合されている。この半導体レーザ装置Sの製造においては、LDチップ1を低融点半田材4によりサブマウント2に接合するプロセスと、高熱伝導ステム3を接合樹脂5によりサブマウント2に接合するプロセスとが同時に行われる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱性が高く、半導体レーザチップに加わる応力が少なく、かつ安定した接合が可能な半導体レーザ装置の構成と、その製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体レーザ装置においては、レーザ発振により半導体レーザチップ(LDチップ)内に熱が発生する。そこで、この熱を除去するために、半導体レーザチップを、金属からなる放熱用のステムに取り付けた半導体レーザ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、半導体レーザチップとステムとの間での線膨張係数差に起因する熱応力を緩和するために、半導体レーザチップとステムとの間にサブマウントを介設した半導体レーザ装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、半導体レーザチップは、通常、放熱性を確保するため、ジャンクションダウン(J/D)構造とされる。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−218244号公報([0010]〜[0012]、図1)
【特許文献2】
特開2000−68583号公報([0008]、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、半導体レーザ装置の高出力化の要求、あるいはパッケージの小型化の要求に伴い、より放熱性の高い半導体レーザ装置(パッケージ)が求められている。そこで、ステムを形成する金属材料を、従来用いられているFe系材料より熱伝導率の高い材料(例えば、Cuなど)に切り換える必要性が高まっている。しかし、一般的に熱伝導率の高い材料は、線膨張係数が大きいので、半導体レーザチップとステムとの間の線膨張係数差により生じる熱応力により、半導体レーザチップにダメージが生じることが懸念される。
【0005】
この熱応力は、前記のとおり線膨張係数差に依存するほか、接合材である半田材の融点(凝固点)が高くなるのに伴って(比例して)大きくなる。このため、ステムの材料として熱伝導率の高い金属材料を用い、かつ融点の高いAu系の半田材(例えば、AuSn半田材の融点は283℃である。)を用いると、熱応力が非常に大きくなってしまうといった問題がある。
【0006】
そこで、このような問題を解決するため、接合材として低融点の半田材を用いるといった対応が考えられる。しかし、この場合、AuSn半田材より融点が低いAu系の半田材は非常に少ないので、実用上はAu系以外の半田材を採用せざるを得ないが、Au系以外の半田材を用いた場合、接合時にステムのAuメッキと半田材とにより、硬くてもろい性質の金属間化合物が生成される。このため、安定した接合を得ることができないといった問題がある。
【0007】
また、接合材として樹脂を用いるといった対応も考えられる。しかし、この場合、ジャンクションダウン構造の半導体レーザチップをサブマウントに樹脂で接合(ダイボンド)すると、半導体レーザチップのサイズが微小(極小)であるのに加え、側面への樹脂の這い上がりによって半導体レーザチップがショートしてしまうといった問題があるため、樹脂の塗布量を微細ないし微小にコントロールしなければならないが、このようなコントロールは非常に困難である。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、放熱性が高く、半導体レーザチップに加わる応力が低減され、かつ安定した接合が可能な半導体レーザ装置と、かかる半導体レーザ装置の製造方法とを提供することを目的ないしは解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる半導体レーザ装置は、半導体レーザチップとステムとがサブマウントを介して配置されている半導体レーザ装置であって、半導体レーザチップが低融点半田材によりサブマウントに接合される一方、ステムが樹脂によりサブマウントに接合されていることを特徴とするものである。また、本発明にかかる上記半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザチップを低融点半田材によりサブマウントに接合する工程と、ステムを樹脂によりサブマウントに接合する工程とを同時に行うことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
実施の形態1は、半導体レーザ装置の構造にかかるものである。
図1は、本発明にかかる半導体レーザ装置の構成を示す立面図である。図1に示すように、半導体レーザ装置Sは、レーザダイオードチップ1(以下、「LDチップ1」という。)と、サブマウント2と、高熱伝導ステム3(あるいは、通常のFeステムでもよい。)とを備えている。ここで、LDチップ1と高熱伝導ステム3とは、両者間にサブマウント2をサンドウィッチ状に挟むように配置されている。なお、この半導体レーザ装置Sは、例えば、光ストレージ、光通信等に用いられる。
【0011】
詳しくは図示していないが、LDチップ1は、ジャンクションダウン構造の半導体レーザチップであって、その活性層(図示せず)は、LDチップ1内のサブマウントに近い部位に形成されている。これにより、レーザ発振に伴ってLDチップ1内に発生する熱の高熱伝導ステム3への放出ないし移動が促進される。そして、このLDチップ1では、p電極(図示せず)とn電極(図示せず)との間に電圧が印加されてしきい値以上の電流が流れると、活性層付近でレーザ発振が起こり、レーザ光が生成され、このレーザ光は活性層付近に形成された光導波路(図示せず)を通って外部に放射される。
【0012】
サブマウント2は、炭化ケイ素(SiC)あるいは窒化アルミニウム(AlN)等で形成され、LDチップ1と高熱伝導ステム3との間での線膨張係数差に起因する熱応力を緩和する。また、高熱伝導ステム3は、銅(Cu)等の熱伝導度の高い金属で形成され、その表面には、金メッキが施されている。そして、高熱伝導ステム3は、レーザ発振によりLDチップ1で発生した熱を受け入れて外部に放出する。つまり、高熱伝導ステム3はLDチップ1を冷却する。
【0013】
この半導体レーザ装置Sにおいて、LDチップ1は、低融点半田材4により、サブマウント2のLDチップ側表面に接合されている。ここで、低融点半田材4は、金メッキが施された高熱伝導ステム3とは接触しないので、Au系の半田材を用いる必要はなく、低融点半田材を用いても安定した接合を得ることができる(例えば、InPb半田)。
【0014】
他方、高熱伝導ステム3は、接合樹脂5により、サブマウント2の高熱伝導ステム側表面に接合されている。接合樹脂5は、炭化ケイ素、窒化アルミニウム等からなるサブマウント2と、銅等からなり金メッキされた高熱伝導ステム3とを接合することができる樹脂であれば、どのようなものでもよく、例えば熱硬化性のエポキシ樹脂等を用いることができる。接合樹脂5は、熱伝導度が高いものであるのが好ましいが、LD活性層で発生した熱はサブマウント内で広がるため、半田材よりも熱伝導率が低い樹脂を使用しても、放熱性にはさほど影響はない。
【0015】
実施の形態1にかかる半導体レーザ装置Sでは、LDチップ1とサブマウント2とを、接合材として低融点半田材4を用いて、低温で接合する(ダイボンドを行う)ようにしている。そして、かかる半田材による接合では、半田蒸着や半田メッキなどにより、半田材の供給量を微細ないし微小にコントロールすることができるので、接合材の過剰供給による半田のもり上がりでLDチップショートが発生することはなく、安定した接合を得ることができる。なお、LDチップ1とサブマウント2とを樹脂で接合する場合は、その供給量を微細ないし微小にコントロールすることは、極めて困難である。
【0016】
また、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置Sでは、高熱伝導ステム3とサブマウント2とを、接合材として接合樹脂5を用いて、低温で接合する(ダイボンドを行う)ようにしている。このように、接合材として樹脂を用いているので、高熱伝導ステム3とサブマウントとの間に、硬くてもろい性質の金属間化合物は生成されず、安定した接合を得ることができる。なお、高熱伝導ステム3とサブマウント2とをAu系ではない低融点半田材で接合する場合は、硬くてもろい性質の金属間化合物が生成され、安定した接合を得ることは困難である。
【0017】
前記のとおり、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置Sでは、LDチップ1とサブマウント2は低温で接合され、かつ高熱伝導ステム3とサブマウント2も低温で接合される。このため、接合工程では、LDチップ1、サブマウント2あるいは高熱伝導ステム3はさほど温度が高くならない。このため、高熱伝導ステム3の材料として、熱伝導度は高いが逆に線膨張係数の高い銅等の金属材料が用いられているのにもかかわらず、接合工程でLDチップ1にかかる熱応力が低減される。その結果、放熱性が高く、かつ応力の低い半導体レーザ装置Sを得ることができる。低温での接合が可能であるため、サブマウントを高熱伝導にすることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0018】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を説明する。この実施の形態2は、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置Sの製造方法にかかるものである。
実施の形態2にかかる半導体レーザ装置Sの製造方法によれば、単一の接合工程で、LDチップ1を低融点半田材4によりサブマウント2に接合するプロセスと、高熱伝導ステム3を接合樹脂5によりサブマウント2に接合するプロセスとが同時に行われる。
【0019】
この半導体レーザ装置Sの製造方法においては、低融点半田材4及び接合樹脂5は、低融点半田材4の融点(凝固点)と接合樹脂5のキュア温度(硬化温度)とがほぼ等しくなるように選定する。そして、LDチップ1(又はサブマウント2のLDチップ側表面)に半田蒸着や半田メッキなどにより低融点半田材4の薄層を形成する一方、高熱伝導ステム3(又はサブマウント2の高熱伝導ステム側表面)に熱硬化性の接合樹脂5を薄く塗布する。
【0020】
次に、LDチップ1とサブマウント2と高熱伝導ステム3とを所定の形態に組み立てた上で、この組立体を、低融点半田材4の融点ないし接合樹脂5のキュア温度よりやや高い温度となるように加熱する。これにより、低融点半田材4は熔融してLDチップ1とサブマウント2とに付着し、接合樹脂5は硬化して高熱伝導ステム3とサブマウント2とを接合する。この後、上記組立体を常温まで冷却する。これにより、低融点半田材4は凝固して、LDチップ1とサブマウント2とを接合する。キュア時間が足りない場合は、高温槽やリフローでバッチ処理する。
【0021】
実施の形態2にかかる半導体レーザ装置Sの製造方法によれば、LDチップ1とサブマウント2と高熱伝導ステム3とを比較的低温(例えば150℃〜250℃程度)で接合することができるので、これらはさほど温度が高くならない。このため、高熱伝導ステム3の材料として、熱伝導度が高く、したがって線膨張係数の高い銅等の金属材料が用いられているのにもかかわらず、接合工程でLDチップ1にかかる熱応力が低減される。よって、放熱性が高く、かつ応力の低い半導体レーザ装置Sを得ることができる。また、単一の接合工程で、LDチップ1とサブマウント2と高熱伝導ステム3とを接合することができるので、半導体レーザ装置Sの製造工程が簡素化され、半導体レーザ装置Sの製造に要する時間及びコストを低減することができる。
【0022】
なお、前記の半導体レーザ装置Sないしその製造方法においては、接合樹脂5としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いているが、熱可塑性樹脂を用いてもよい。この場合は、LDチップ1とサブマウント2と高熱伝導ステム3とからなる組立体を、低融点半田材4の融点ないし接合樹脂5の熔融温度よりやや高い温度まで加熱した後、常温まで冷却すればよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、放熱性が高く、半導体レーザチップに加わる応力が低減され、かつ安定した接合が可能な半導体レーザ装置と、かかる半導体レーザ装置の製造方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる半導体レーザ装置の模式的な立面図である。
【符号の説明】
S 半導体レーザ装置、 1 LDチップ(レーザダイオードチップ)、 2サブマウント、 3 高熱伝導ステム、 4 低融点半田材、 5 接合樹脂。
Claims (2)
- 半導体レーザチップとステムとがサブマウントを介して配置されている半導体レーザ装置であって、
半導体レーザチップが低融点半田材によりサブマウントに接合される一方、ステムが樹脂によりサブマウントに接合されていることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 半導体レーザチップとステムとがサブマウントを介して配置され、半導体レーザチップが低融点半田材によりサブマウントに接合される一方、ステムが樹脂によりサブマウントに接合されている半導体レーザ装置の製造方法であって、
半導体レーザチップを低融点半田材によりサブマウントに接合する工程と、ステムを樹脂によりサブマウントに接合する工程とを同時に行うことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
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