JP2004212862A - 板状電子部品の洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶表示パネル10を支持機構20により略鉛直状態に支持するとともに、その液晶表示パネル10をパネル厚さ方向に挟むように配置した1対の洗浄機構30,30により、該液晶表示パネル10を倒れないように支え合いつつその両面を同時に洗浄するようにする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルなどの板状電子部品を洗浄するようにした板状電子部品の洗浄装置に関し、特に、洗浄むらや割れなどの不具合の発生を抑える対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示パネルの製造過程では、2枚のガラス板を貼り合わせて1枚のパネルにし、このパネルを所定の大きさに切断した後、2枚のガラス板の間に液晶を注入して封止するようになされており、その後、この液晶表示パネルの両面に偏光板を貼り付けるようになっている。
【0003】
ところで、パネルを所定の大きさに切断する工程では、切断に伴って発生したカレット(ガラスの粉や小さなかけら)がパネルの表面にこびりつくように付着(固着)した状態が発生しやすい。
【0004】
また、液晶を注入する工程では、注入口を封止する際に封止剤が注入口付近のパネル表面に付着した状態が発生しやすい。
【0005】
このように、カレットや封止樹脂などの異物が液晶表示パネルの表面に付着したままであると、次工程の偏光板貼付時などに不良が発生することになる。そこで、洗浄装置を用いて、それらの異物を除去する必要がある。
【0006】
ところで、液晶表示パネルやウェハなどの板状電子部品を洗浄するようにした洗浄装置としては、特許文献1に記載されているような「カッター刃回転タイプ」(従来例1)のもの,特許文献2に記載されているような「シート回転研磨タイプ」(従来例2)のもの,特許文献3に記載されているような「シート洗浄タイプのもの」(従来例3)の3種類が挙げられる。
【0007】
「カッター刃回転タイプのもの」では、図6に示すように、2枚以上の刃物200,200,…に鉛直軸心回りの自転と公転とを与えつつ、その刃先を、ステージ201上に載置された液晶表示パネル202の上側のパネル面に接触させることで、異物を削り落として除去するようになっている。
【0008】
「シート回転研磨タイプのもの」では、図7に示すように、ステージ203の下面に液晶表示パネル204を支持し、研磨台205を鉛直軸心回りに回転させつつ該研磨台205上の研磨シート206に液晶表示パネル204の下側のパネル面を面接触させるようになっている。
【0009】
「シート洗浄タイプのもの」では、図8に示すように、回転ユニット207を鉛直軸心回りに回転させつつ、該回転ユニット207内の1対のロール208,208間に保持された研磨シート209を、ステージ210上に載置された液晶表示パネル211の上側のパネル面に線接触させるようになっている。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−39282号公報(第3頁,図3)
【特許文献2】
特開平8−25214号公報(第2頁,図6および図7)
【特許文献3】
特開2002−66899号公報(第3〜第4頁,図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例1〜従来例3の場合には、次のような共通の問題がある。
1)ステージの平滑精度に起因する洗浄むらやセルギャップむらが発生しやすい。特に、液晶表示パネルの大形化に伴ってステージが大形化するほど、この問題は顕著になる。
2)ステージと液晶表示パネルとの間に異物が介在していると、液晶表示パネルのその部分が盛り上がることによる洗浄むらおよびセルギャップむらや、その部分に応力が集中することによるパネル割れが発生しやすい。
【0012】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、液晶表示パネルなどの板状電子部品の両面に付着している異物を除去するようにした板状電子部品の洗浄装置において、板状電子部品の支持状態に工夫を加えることで、ステージを用いることに起因する不具合の発生を回避し、しかも、作業能率を高められるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、液晶表示パネルを略鉛直状態に配置することとし、1対の洗浄機構により、その液晶表示パネルを倒れないように支え合うことで、ステージを不要にし、しかも、支え合いつつ両面を同時に洗浄するようにした。
【0014】
具体的には、請求項1の発明では、板状電子部品の両板面上の異物を取り除くようにした板状電子部品の洗浄装置を前提としている。
【0015】
そして、上記の板状電子部品を板面が略鉛直になる状態に支持する支持機構を備えるとともに、板状電子部品の板面との摩擦接触により該板面状の異物を取り除く摩擦シートを保持するための保持部と、この保持部を上記支持機構上の板状電子部品の対応する板面に略垂直な軸心回りに回転駆動する回転手段と、保持部を該保持部上の摩擦シートが上記板状電子部品の対応する板面に摩擦接触するように押圧する押圧手段とを有していて、上記板状電子部品を板厚方向に挟むように対向配置された1対の洗浄機構を備えるようにした。
【0016】
この発明によれば、両洗浄機構は、各摩擦シートを支持機構上の板状電子部品の対応する板面に摩擦接触させることで、その板状電子部品を互いに支え合って対応する板面の洗浄が行えるようになる。よって、板状電子部品の板面に面接触して該板状電子部品を支持するステージが不要であるので、ステージの平滑精度に起因する不具合や、ステージと板状電子部品との間に異物が存在することによる不具合は発生せず、しかも、板状電子部品の両板面が同時に洗浄されるので、従来のように片面ずつ洗浄する場合に比べて、洗浄作業の効率が向上する。
【0017】
尚、摩擦シートが板状電子部品に摩擦接触することにより、板状電子部品に負荷が加わるとき、各摩擦シートは、該摩擦シートのみが板状電子部品に接触しただけでは摩擦接触したことにはならず、両摩擦シートが共に板状電子部品に接触したときに、始めて摩擦接触したことになる。つまり、板状電子部品に対する2つの摩擦シートの摩擦接触は、同時に起きる。よって、摩擦シートの摩擦接触により板状電子部品に負荷が加わる回数(アタック回数)は、従来のようにステージ上に支持されて1つの摩擦シートに摩擦接触される場合と同じであるので、摩擦シートが2つであるにも拘わらず、摩擦シートのアタックに起因する板状電子部品のダメージは増大しない。
【0018】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、各保持部は、摩擦シートを板状電子部品の対応する板面に線接触させるように構成されているものとする。
【0019】
このように、摩擦シートが板状電子部品の板面に線接触することで、従来例2(図7参照)のように摩擦シートが板状電子部品の板面に面接触する場合とは異なり、板状電子部品と摩擦シートとの間に介在する異物による引き擦りが回避される。よって、そのような引き擦りにより板状電子部品の板面に傷が付いたり異物が再付着したりするという事態は未然に防止される。
【0020】
請求項3の発明では、請求項1および2の発明において、各保持部が、摩擦シートが繰出可能に巻き付けられる繰出ロールと、該繰出ロール上の摩擦シートを巻き取る巻取ロールとを有するものである場合に、上記繰出ロールおよび巻取ロールは、上記保持部の回転軸心上に軸方向に並ぶように配置されているものとする。
【0021】
これにより、摩擦シートが繰出ロールから巻取ロールに巻き取られるのに伴って、保持部の重心が移動する際に、その重心が常に保持部の回転軸心上に位置するので、保持部の回転バランスは崩れない。よって、従来例3(図8参照)の場合には、重心が回転軸心に直交する方向に移動するために、回転バランスが崩れ、板状電子部品に対する摩擦シートの接触状態が不安定になり、その結果、洗浄むらの発生や、洗浄能力の不安定化を招きやすいが、この発明では、そのような事態は回避される。
【0022】
また、上記のような重心変動に起因する回転バランスの崩れは、高速回転になるほど顕著であることから、高速回転時にも、板状電子部品に対する摩擦シートの摩擦接触は、より確実に、また、より安定して行われることとなり、よって、洗浄効率のさらなる向上が図れるようになる。
【0023】
請求項4の発明では、請求項1〜3の発明において、少なくとも一方の洗浄機構は、板状電子部品の対応する板面に対する摩擦シートの接触圧を検出する検出手段と、この検出手段により検出された接触圧に基づいて、押圧手段の押圧作動を制御する制御手段とを有するものとする。
【0024】
これにより、各摩擦シートは、板状電子部品の対応する板面に対し、適正でかつ安定した圧力でもって接触するようになるので、洗浄効果が向上するとともに、洗浄能力の安定化が図れるようになる。さらに、板状電子部品が液晶表示パネルである場合には、摩擦シートの接触圧の変動に起因するセルギャップむらの発生が回避されるという利点もある。
【0025】
請求項5の発明では、請求項1〜4の発明において、上記の板状電子部品が、対向配置された1対の電極基板間に液晶層を配置してなる液晶表示パネルである場合に、その液晶表示パネルは、1対の洗浄機構により支えられつつ洗浄される。よって、従来例1〜従来例3の場合とは異なり、ステージを用いることに起因する洗浄むらやパネル割れが発生せず、しかも、液晶表示パネルの両パネル面が同時に洗浄されるので、従来例1〜従来例3のように片面ずつ洗浄する場合に比べて、洗浄作業の効率が向上する他、上記請求項2〜請求項6の発明での作用が具体的に営まれる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る液晶表示パネル洗浄装置の全体構成を概略的に示している。尚、図1は、洗浄装置の縦断正面図であり、図2は、その左側面図である。
【0028】
この液晶表示パネル洗浄装置は、搬入された液晶表示パネル10を略鉛直状態に支持する支持機構20と、この支持機構20に支持された液晶表示パネル10をパネル厚さ方向に挟むように対向配置された1対の洗浄機構30,30とを備えている。
【0029】
支持機構20は、複数枚の液晶表示パネル10を同一平面上に1列に並べられた状態で所定の送り方向(図2に矢印で示す方向)に定寸送りするようになされたものであって、その送り方向に直交する水平方向両側(図1の左右方向両側)に該送り方向に並ぶように立設された複数本の支持ローラ21,21,…と、これら支持ローラ21,21,…の下方に送り方向に延びるように配置されたベルトコンベヤ22とを有する。ベルトコンベヤ22のコンベヤベルトには、各々、略鉛直状態に配置された液晶表示パネル10の下辺部をチャッキングするための複数のチャック23,23,…が所定間隔をおいて設けられている。そして、ベルトコンベヤ22の送り方向略中間部分に対応する送り位置は、1対の洗浄機構30,30による洗浄の行われる洗浄位置とされており、この洗浄位置では、送り方向において相隣る支持ローラ21,21間の間隔が他の位置の場合よりも広くなっている。
【0030】
各洗浄機構30は、支持機構20により洗浄位置に位置付けられた液晶表示パネルの対応するパネル面を洗浄する洗浄ユニット40と、この洗浄ユニット40を昇降移動させる昇降移動部90と、洗浄ユニット40を上記液晶表示パネル10に対し進退移動させる進退移動部100とを備えている。
【0031】
具体的には、支持機構20の両側(図1の左右両側)に、それぞれ、支柱91が立設されており、各支柱91上には昇降台93が配置されている。この昇降台93は、図外の案内支持機構を介して支柱91により昇降移動可能に案内支持されている。各昇降台93上には移動台103が配置されており、この移動台103は、図外の案内支持機構を介して昇降台93により進退移動可能に案内支持されている。そして、上記の洗浄ユニット40は、この移動台103上に配置されている。
【0032】
詳しく説明すると、上記各支柱91には、出力軸を正逆両方向に回転させる昇降用モータ(図示せず)と、鉛直方向(図1および図2の各上下方向)に延びるように配置されていて、図外の軸受機構を介して支柱91に鉛直軸心回りに回転可能に支持された昇降用ボールねじ92とが設けられている。また、上記昇降用モータの出力軸は、昇降用ボールねじ92に連結されており、この昇降用ボールねじ92は、上記の昇降台93に螺合している。そして、これら支柱91,昇降用モータ,昇降用ボールねじ92,昇降台93により上記の昇降移動部90が構成されており、昇降用モータが出力軸を一方向に回転させることにより昇降台93が洗浄ユニット40と共に上昇移動し、一方、昇降用モータが出力軸を他方向に回転させることにより昇降台93が洗浄ユニット40と共に下降移動するようになっている。また、両洗浄機構30,30の昇降移動部90,90は、液晶表示パネル10に対する各研磨シート51の接触部位の水平方向位置が互いに同じになるように配置されているとともに、上記各接触部位の上下方向位置が互いに同じになるように同期して作動するようになされている。
【0033】
さらに、上記の各昇降台93上には、出力軸を正逆両方向に回転させる進退用モータ101と、液晶表示パネル10の対応するパネル面に直交する方向に延びるように配置されていて、図外の軸受機構を介して昇降台93に水平軸心回りに回転可能に支持された進退用ボールねじ102とが設けられている。また、進退用モータ101の出力軸は、進退用ボールねじ102に連結されており、進退用ボールねじ102は、上記の移動台103に螺合している。そして、これら進退用モータ101,進退用ボールねじ102,移動台103により上記の進退移動部100が構成されており、進退用モータ101が出力軸を一方向に回転させることにより移動台103が洗浄ユニット40と共に進出移動し、一方、進退用モータ101が出力軸を他方向に回転させることにより移動台103が洗浄ユニット40と共に後退移動するようになっている。
【0034】
上記の洗浄ユニット40は、図3の拡大断面図にも示すように、液晶表示パネル10のパネル面に摩擦接触して該パネル面上の異物を除去する研磨シート51を保持するための保持部としての回転部50と、この回転部50を支持機構20上の液晶表示パネル10に略直交する水平軸心回りに回転駆動する回転手段としての回転用モータ70と、回転部50上の研磨シート51が液晶表示パネル10の対応するパネル面に摩擦接触するように該回転部50を押圧する押圧手段としての押圧用シリンダ80とを有する。
【0035】
本実施形態では、研磨シート51として、例えばポリウレタン系合成樹脂の接着剤を使用してポリエステルタフタ製のベース材に研磨材としてのホワイトアルミナ粒子(粒子径は、5〜9μm)を塗布接着してなるものが用いられる。尚、研磨材を含んでいない単なるシートを用い、このシートにスラリー状の研磨材を供給して洗浄を行うようにすることもできる。
【0036】
上記の回転用モータ70は、移動台103上に配置されており、その出力軸には、図外のプーリが回転一体に連結されている。一方、移動台103上には、洗浄ユニット40の進退方向に延びるように配置された回転軸41が図外の軸受機構を介して水平軸心回りに回転可能に設けられている。この回転軸41の進出方向前端には、上記の回転部50が一体に連結されており、回転軸41の進出方向後端側には、図外のプーリが回転一体に連結されている。そして、回転用モータ70側のプーリと、回転軸41側のプーリとの間には、伝動ベルト71が巻き掛けられており、回転用モータ70が出力軸を回転させることにより、回転部50が水平軸心回りに回転するようになっている。尚、回転用モータ70の駆動力を回転軸41に伝達する手段としては、上記ベルト伝動機構の他に、例えば歯車伝動機構が挙げられる。
【0037】
両洗浄機構30,30の回転用モータ70,70同士は、同期して互いに同じ方向(図2に示す例では、同図の時計回り方向)に各回転部50を回転駆動するようになされており、また、各回転用モータ70による回転部50の回転速度は、例えば1000〜3000rpmの範囲で互いに一致するようになされている。
【0038】
上記の押圧用シリンダ80は、ロッド80aが進出方向に向かって出退移動させるように配置されており、そのロッド80aの先端は、回転軸41の進出方向後端に連結されている。そして、押圧用シリンダ80が伸張作動することにより、回転部50が進出方向に押圧されて液晶表示パネル10に対する研磨シート51の接触圧(液晶表示パネル10に加わる圧力)が高くなり、一方、押圧用シリンダ80が収縮作動することにより、回転部50が後退方向に引っ張られて液晶表示パネル10に対する研磨シート51の接触圧が低くなるようになっている。
【0039】
上記押圧用シリンダ80のロッド80a先端と、上記回転軸41の後端との間には、液晶表示パネル10の対応するパネル面に対する研磨シート51の接触圧を検出する検出手段としてのロードセル42が介設されている。また、移動台103上には、ロードセル42により検出された接触圧に基づいて、押圧用シリンダ80の伸張作動を制御する制御手段としての制御部43が設けられている。そして、接触圧が適正な値(例えば、0.1〜0.2MPa)になるようになされている。
【0040】
上記の回転部50は、回転軸41の進出方向前端に一体に連結された略方形状の枠体52を有している。この枠体52内には、1対のシートロール53,54が配置されている。これらシートロール53,54は、回転部50の回転軸心上に軸方向に並ぶように配置されていて、枠体52により回転部50の軸心に直交する各軸心回りに回転可能に支持されている。進出方向後側のシートロール53は、研磨シート51が繰出可能に巻き付けられた繰出シートロールとされており、進出方向前側のシートロール54は、研磨シート51を巻き取る巻取シートロールとされている。
【0041】
図4の拡大側面図に示すように、上記巻取シートロール54には、繰出シートロール53上の研磨シート51を一定量だけ自動的に巻き取るシート自動送り機構が設けられている。具体的には、巻取シートロール54には、該シートロール54の軸心に直交する方向に延びるレバー55が一方向クラッチ(図示せず)を介して回転一体に連結されている。この一方向クラッチは、巻取シートロール54が研磨シート51を巻き取る方向(同図の時計回り方向)にレバー55が回動するときにはその回動を巻取シートロール54に伝達し、一方、上記巻取方向とは逆の方向(同図の反時計回り方向)にレバー55が回動するときには、巻取シートロール54への伝達を遮断するようになっている。また、レバー55と枠体52との間には、該レバー55を上記巻取方向とは逆の方向に回動付勢する引張コイルばね56が介装されている。さらに、枠体52には、引張コイルばね56の引張力に抗してレバー55を巻取方向に回動するように押圧するための巻取用シリンダ57が取り付けられている。上記のシート自動送り機構は、これらレバー55,一方向クラッチ,引張コイルばね56,巻取用シリンダ57により構成されており、巻取用シリンダ57の伸張作動時にレバー55が回動して巻取シートロール54が巻取方向に回転することにより、該巻取シートロール54に研磨シート51が一定量だけ巻き取られ、このことで、液晶表示パネル10の対応するパネル面に摩擦接触する研磨シート51の部位が、例えば液晶表示パネル10毎に新しくなるようになっている。
【0042】
図3のV−V線断面図である図5に示すように、枠体52の進出方向前縁部には、シートロール53,54に略平行に延びるように設けられたバックアップ部材58が配置されている。このバックアップ部材58は、両シートロール53,54間における研磨シート51の部位背面に線接触しているとともに、首振り機構により、回転軸41の軸心を含む平面上において揺動可能に支持されている。具体的には、枠体52の前縁部に、バックアップ部材58の揺動面に直交する方向に延びるベアリングシャフト59が取り付けられており、バックアップ部材58は、このベアリングシャフト59を中心にして、図5の時計回り方向および反時計回り方向に回動できるようになっている。これにより、バックアップ部材58が研磨シート51を介して液晶表示パネル10の対応するパネル面に対し非平行状態に接触したときに、その反力によりバックアップ部材58が上記パネル面に平行になるように回動することで、バックアップ部材58上の研磨シート51の部位が上記パネル面に線接触するようになっている。尚、液晶表示パネル10の対応するパネル面に対する研磨シート51の接触幅(線接触の接触線長さ)は、狭すぎると、全面清掃する際に洗浄ユニット40の昇降移動速度を遅くせざるを得なくなって、作業効率が低下する一方、広すぎると、パネル表面に微小な傷が発生するというダメージを与えやすくなることから、例えば5〜15mmとされる。
【0043】
上記回転部50の背後には、洗浄時に液晶表示パネル10に向かって水を散布する複数の散水ノズル60,60,…と、各散水ノズル60から散布された水が周囲に飛散することを防止する水飛散防止カバー61とが配置されている。水飛散防止カバー61は、移動台103に設けられており、各散水ノズル60は、この水飛散防止カバー61に取り付けられている。
【0044】
尚、研磨材の粒子径が上限値9μmを超える場合、回転部50の回転速度が3000rpmを超える場合、研磨シート51の接触圧が0.2MPaを超える場合には、パネル表面に微小な傷や、むらなどが発生するというダメージを与えてしまう虞れがある。一方、研磨材の粒子径が下限値5μm未満である場合、回転部50の回転速度が1000rpm未満である場合、研磨シート51の接触圧が0.1MPa未満である場合には、異物除去能力が95%程度に低下する。
【0045】
次に、上記のように構成された液晶表示パネル洗浄装置の作動について説明する。
【0046】
まず、両洗浄機構30,30の各回転用モータ70が一定速度で所定の方向に回転することにより、この回転用モータ70の出力軸に伝動ベルト71を介して駆動連結された回転軸41が同方向に回転する。これにより、洗浄ユニット40の回転部50が同方向に一定の速度で回転する。この回転の開始とともに、各散水ノズル60,60,…から水の散布が開始される。このとき、散布された水が周囲へ飛散することは、水飛散防止カバー61により防止される。
【0047】
次いで、進退移動部100の作動により、洗浄ユニット40が前進移動する。そして、支持ローラ21,21,…により支持されつつベルトコンベヤ22により洗浄位置に位置付けられた液晶表示パネル10に対し、各洗浄ユニット40は、回転部50の研磨シート51が接触しない程度の位置で停止する。
【0048】
その後、洗浄ユニット40上において、押圧用シリンダ80の伸張作動により、回転部50が前進移動し、それにより、各研磨シート51が液晶表示パネル10の対応するパネル面に摩擦接触するようになる。このとき、各押圧用シリンダ80の伸張作動は、ロードセル42により検出された液晶表示パネル10に対する研磨シート51の接触圧が所定の値になるように制御部43により制御され、これにより、各研磨シート51は、適正な圧力でもって液晶表示パネル10に摩擦接触するようになる。
【0049】
また、パネル面上における研磨シート51との接触部位が回転部50の回転軸心に直交していない場合でも、首振り機構によりバックアップ部材58が研磨シート51を上記接触部位に線接触させることができるので、液晶表示パネル10の表面精度やうねりに対応することができるとともに、回転部50の回転が安定化して洗浄効率が向上する。また、液晶表示パネル10と研磨シート51との間に異物が噛み込まれたときでも、それによる引き擦りを回避することができるので、パネル傷の発生や異物の再付着を防ぐこともできる。
【0050】
各研磨シート51が液晶表示パネル10の対応するパネル面に摩擦接触した状態で、各洗浄ユニット40は、昇降移動部90の作動により、研磨シート51が常に液晶表示パネル10の同じ部位の両パネル面に摩擦接触するように両洗浄機構30,30間で同期しつつ上昇移動又は下降移動する。そして、洗浄ユニット40の1回の移動毎に、ベルトコンベヤ22により液晶表示パネル10が定寸送りされ、この繰返しにより、液晶表示パネル10の全面洗浄が行われることとなる。
【0051】
全面洗浄が完了した後、各散水ノズル60による水の散布および回転用モータ70による回転部50の回転が共に停止するとともに、各進退移動部100の作動により、両洗浄ユニット40,40は、同期して後退移動し、原点位置に戻る。一方、自動シート送り機構では、まず、巻取用シリンダ57の伸張作動によりロッド先端57aがレバー55を押圧して該レバー55を巻取方向に回動させる。このレバー55の回動により、巻取シートロール54が巻取方向に回転することで、その巻取シートロール54に研磨シート51が一定量だけ巻き取られる。これにより、洗浄を行う際に常に新しい研磨シート51の部位による洗浄が行われるとともに、研磨シート51の送り作業によるロスが回避される。
【0052】
以上の作動が繰り返されることにより、複数枚の液晶表示パネル10,10,…が自動的に順次洗浄される。そして、上記の研磨シート51の材質と洗浄時の条件(接触圧や回転速度など)とを適正に組み合わせて液晶表示パネル10を洗浄るようにすれば、洗浄むらやセルギャップむらなど、液晶表示パネル10の品質上の不具合の発生も無く、両パネル面に付着したカレットや異物の99%以上を同時に除去することができる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、1対の洗浄機構30,30により液晶表示パネル10を支え合って洗浄することができるので、従来のようにステージに液晶表示パネル10を支持させて洗浄する場合に比べると、そのようなステージの平滑精度に起因する洗浄むらやパネルギャップむらの発生は起こらず、また、ステージと液晶表示パネルとの間に異物が存在することによる洗浄むらおよびセルギャップむらや、パネル割れの発生を回避することができる。
【0054】
しかも、液晶表示パネル51の両面を同時に洗浄することができるので、従来のように片面ずつ洗浄する場合に比べて、洗浄作業の効率を向上させることができる。
【0055】
また、研磨シート51を液晶表示パネル10の対応面に線接触させることで、液晶表示パネル10と研磨シート51との間に介在する異物による引き擦りを回避することができるので、従来例のように、パネル表面に研磨シートを面接触させるようにする場合とは異なり、そのような引き擦りによる傷の発生や、異物の再付着を回避することができる。
【0056】
また、回転部50において、研磨シート51が繰出シートロール53から巻取シートロール54に巻き取られる際に、回転部50の重心が常に回転軸心上に位置しているので、回転部50をバランスを崩さずに回転させることができる。よって、従来例3(図9参照)のように、上記重心が回転軸心に直交する方向に移動するために、保持部の回転バランスが崩れて液晶表示パネルに対する研磨シートの接触状態が不安定になり、その結果、洗浄むらおよびセルギャップむらの発生や洗浄能力の不安定化を招きやすいという場合とは異なり、そのような事態を回避することができる。
【0057】
また、液晶表示パネル10に対する研磨シート51の接触圧を検出しつつ押圧用シリンダ80の伸張作動を制御することで、接触圧の適正化および安定化を図ることができるので、洗浄むらやセルギャップむらの発生を回避することができるとともに、洗浄能力の安定化を図ることができる。
【0058】
尚、上記の実施形態においては、液晶表示パネル10を洗浄する場合について説明したが、本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置やプラズマ表示装置などの表示パネルの他、ウェハなど、種々の板状電子部品を洗浄する装置に適用することができる。
【0059】
また、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、1対の洗浄機構により板状電子部品を支え合いつつ洗浄することができるので、従来のようにステージを用いる場合に比べて、洗浄むらや板状電子部品割れの発生を抑えることができるとともに、従来のように片面ずつ洗浄する場合に比べて、洗浄作業の効率を向上させることができる。
【0061】
請求項2の発明によれば、保持部が摩擦シートを板状電子部品の対応する板面に線接触させることで、板状電子部品と摩擦シートとの間に介在する異物による引き擦りを回避することができ、よって、そのような引き擦りにより板状電子部品表面に傷が付いたり異物が再付着したりするという事態を未然に防止することができる。
【0062】
請求項3の発明によれば、保持部において摩擦シートを繰出ロールから巻取ロールに送るようにする場合に、それら繰出ロールおよび巻取ロールを保持部の回転軸心上に軸方向に並ぶように配置することで、摩擦シートが巻取ロールに巻き取られるのに応じて保持部の重心が移動する際に、その重心を保持部の回転軸心上で移動させることができるので、保持部の回転バランスが崩れて洗浄が不安定化するという事態を回避することができる。この結果、洗浄作動の安定性を損なうことなく保持部を高速回転させることができ、洗浄効率のさらなる向上を図ることができる。
【0063】
請求項4の発明によれば、少なくとも一方の洗浄機構の検出手段により検出された接触圧に基づいて、制御手段により押圧手段の押圧作動を制御することで、各摩擦シートを板状電子部品の対応面に適正でかつ安定した圧力でもって接触させることができ、洗浄効果を向上できるとともに洗浄能力の安定化を図ることができる。さらに、板状電子部品が液晶表示パネルである場合には、摩擦シートの接触圧の変動に起因するセルギャップむらの発生を回避することもできる。
【0064】
請求項5の発明によれば、上記の板状電子部品が液晶表示パネルである場合に、その液晶表示パネルを1対の洗浄機構により支え合いつつ洗浄することができるので、従来のようにステージを用いる場合に比べて、洗浄むらやパネル割れの発生を抑えることができ、しかも、液晶表示パネルの両面を同時に洗浄することができるので、従来のように片面ずつ洗浄する場合に比べて、洗浄作業の効率を向上させることができる他、上記請求項1〜請求項4の発明による効果を具体的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示パネル洗浄装置の全体構成を示す縦断正面図である。
【図2】液晶表示パネル洗浄装置の構成を示す側面図である。
【図3】両洗浄ユニットの構成を拡大して示す縦断正面図である。
【図4】保持部の構成を示す図3のIV−IV線断面図である。
【図5】シート自動送り機構を拡大して示す側面図である。
【図6】従来の液晶表示パネル洗浄装置(従来例1)の全体構成を示す正面図である。
【図7】従来の液晶表示パネル洗浄装置(従来例2)の全体構成を示す正面図である。
【図8】従来の液晶表示パネル洗浄装置(従来例3)の全体構成を示す正面図である。
【符号の説明】
10 液晶表示パネル(板状電子部品)
20 支持機構
30 洗浄機構
42 ロードセル(検出手段)
43 制御部(制御手段)
50 回転部(保持部)
51 研磨シート(摩擦シート)
53 繰出シートロール(繰出ロール)
54 巻取シートロール(巻取ロール)
70 回転用モータ(回転手段)
80 押圧用シリンダ(押圧手段)
Claims (5)
- 板状電子部品の両板面上の異物を取り除くようにした板状電子部品の洗浄装置であって、
上記板状電子部品を板面が略鉛直になる状態に支持する支持機構と、
上記板状電子部品の板面との摩擦接触により該板面状の異物を取り除く摩擦シートを保持するための保持部と、上記保持部を上記支持機構上の板状電子部品の対応する板面に略垂直な軸心回りに回転駆動する回転手段と、上記保持部を該保持部上の摩擦シートが上記板状電子部品の対応する板面に摩擦接触するように押圧する押圧手段とを有し、上記板状電子部品を板厚方向に挟むように対向配置された1対の洗浄機構とを備えていることを特徴とする板状電子部品の洗浄装置。 - 請求項1記載の板状電子部品の洗浄装置において、各保持部は、摩擦シートを板状電子部品の対応する板面に線接触させるように構成されていることを特徴とする板状電子部品の洗浄装置。
- 請求項1又は2記載の板状電子部品の洗浄装置において、各保持部は、摩擦シートが繰出可能に巻き付けられる繰出ロールと、該繰出ロール上の摩擦シートを巻き取る巻取ロールとを有し、上記繰出ロールおよび巻取ロールは、上記保持部の回転軸心上に軸方向に並ぶように配置されていることを特徴とする板状電子部品の洗浄装置。
- 請求項1,2又は3記載の板状電子部品の洗浄装置において、少なくとも一方の洗浄機構は、板状電子部品の対応面に対する摩擦シートの接触圧を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された接触圧に基づき、押圧手段の押圧作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする板状電子部品の洗浄装置。
- 請求項1,2,3又は4記載の板状電子部品の洗浄装置において、板状電子部品は、液晶表示パネルであることを特徴とする板状電子部品の洗浄装置。
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