JP2004212782A - 表示装置及びこれを備えた電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示モードとミラーモードを切換えて実行できる表示装置において、表示品位の向上並びに装置全体の薄型化及び軽量化を達成する。
【解決手段】第1偏光を透過させると共に第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する反射型偏光板110と、表示領域Vの範囲内で反射型偏光板110へ第1偏光を供給できる表示系120,130,140,150,160とを有する表示装置100Aである。表示系の表示領域V内の一部はミラー領域Mと設定され、他の一部又は全部は照明領域Lと設定される。ミラー領域M内では表示系から第1偏光を出射させないことにより、反射型偏光板110の表面を鏡として用い、照明領域L内では表示系から第1偏光を出射することにより、鏡面の前方を明るく照明する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1偏光を透過させると共に第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する反射型偏光板110と、表示領域Vの範囲内で反射型偏光板110へ第1偏光を供給できる表示系120,130,140,150,160とを有する表示装置100Aである。表示系の表示領域V内の一部はミラー領域Mと設定され、他の一部又は全部は照明領域Lと設定される。ミラー領域M内では表示系から第1偏光を出射させないことにより、反射型偏光板110の表面を鏡として用い、照明領域L内では表示系から第1偏光を出射することにより、鏡面の前方を明るく照明する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置及びこれを備えた電子機器に関する。特に、表示画面を表示モードと鏡面モードとの間で切換えることのできる表示装置及び電子機器に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、2つの液晶パネルを重ね合せることによって、通常の表示を行うことができる表示モードと、全体が鏡面状態になるミラーモードとを切換え可能に構成した表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、通常の液晶表示装置と同様の構造を有する表示部の観察側に表示切換部が設けられ、この表示切換部には、表示部の側から観察側へ向けて順に反射型偏光板、液晶パネル、吸収型偏光板が配置された表示装置がある。
【0003】
この表示装置において、表示切換部の反射型偏光板は、第1偏光を透過し、この第1偏光と直交する偏光軸を有する第2偏光を反射する。また、液晶パネルは、第1偏光を第2偏光に変化させて透過させる状態と、偏光軸を変化させないで透過させる状態とを切換え可能に構成される。また、吸収型偏光板は、例えば第1偏光を透過し、第2偏光を吸収する。また、表示部は、表示切換部に対して第1偏光を出射し、この第1偏光によって適宜の表示画像が形成される。
【0004】
上記のように構成れた表示装置においては、表示切換部の液晶パネルが偏光軸を変化させないで透過させる状態になっていれば、表示部から出射された第1偏光が反射型偏光板を透過して液晶パネルに入射し、第1偏光のままで吸収型偏光板を透過して観察されるため、表示部の表示態様を視認することができる。これが表示モードの動作である。
【0005】
また、液晶パネルが第1偏光を第2偏光に変化させて透過させる状態になっていれば、表示部から出射された第1偏光が反射型偏光板を通過して液晶パネルに入射すると、この第1偏光は液晶パネルによって第2偏光に変化して、さらに吸収型偏光板によって吸収され、表示態様は視認されない。このとき、外光が装置に入射すると、外光は吸収型偏光板を透過して第1偏光となり、液晶パネルを透過することによって第2偏光になるので、反射型偏光板により反射され、再び、液晶パネルを透過することによって第1偏光に変化し、吸収型偏光板を通過する。従って、表示面は鏡面状態に視認される。これがミラーモードの動作である。
【特許文献1】
特開2001−318374号(第7頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の表示装置においては、表示モードとミラーモードのいずれにおいても、表示切換部に設けられた液晶パネルを透過した光を視認することになるので、表示切換部の表裏両面等における界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部に起因する色付き、視覚特性の悪化、表示画素の滲み等が生じ易いという問題点がある。いずれにしても、従来の表示装置においては、表示部と表示切換部の2重構造に起因する表示品位の低下が避けられない。
【0007】
また、上記従来の構成では、通常の表示部の観察側に、さらに液晶パネルを含む表示切換部を配置しているので、装置が厚くなり、重量も増大するという問題点がある。この問題点は、特に携帯型電子機器に搭載する場合には携帯性を損なうことから大きな欠点となる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、表示切換部の存在に起因するコントラストの低下、色付き、視野角の狭小化、滲み等といった表示品位の低下を抑制できると共に、薄型化及び軽量化を達成できる表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る第1の表示装置は、第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、表示領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0010】
上記構成において、偏光選択手段は反射型偏光板、例えば、▲1▼国際出願公開WO95/27919号に記載された、複数種類の相互に異なる複屈折性の高分子フィルムを積層した積層体や、▲2▼コレステリック液晶の表面に1/4波長板を配置した構造等を用いることができる。上記の積層体としては、例えば、3M社により提供されるDBEFという商品名の積層フィルムがある。
【0011】
また、表示手段は、例えば、液晶パネル、ELパネル等といった電気光学パネルを含む表示系によって構成できる。
【0012】
また、「表示モードを実現する手段」、「ミラーモードを実現する手段」及び「モード選択手段」は、特定の機能を実現するための手段であって、具体的には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶媒体等を含むコンピュータによって機能として実現できる。また、これらの手段は、コンピュータを含まない制御回路によって構成することもできる。また、これらの手段はそれぞれを単独の回路によって構成しても良く、あるいは、共通の回路を別々の手段として機能させるようにしても良い。
【0013】
上記構成の表示装置によれば、表示手段の観察側に偏光選択手段が配置され、この偏光選択手段は、第1偏光を透過すると共に第2偏光を反射するように構成されている。従って、表示モードが選択された場合には、表示手段から出射された第1偏光が上記偏光選択手段を透過して表示光として視認される。このとき、外光に含まれる第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側とは反対側に入射し、他方、外光に含まれる第2偏光は偏光選択手段により反射される。
【0014】
ここで、外光のうちの強い光は、一般に、観察者が視認する方向とは異なる方向から入射するので、強い外光の正反射は観察者の目に入り難い。このため、表示手段から表示光が偏光選択手段を通して視認される表示モードでは、偏光選択手段から出射される表示光に基づく表示態様を視認することができる。
【0015】
一方、ミラーモードが選択された場合には、表示手段のミラー領域内では第1偏光が出射されないので、表示手段から観察者へは光は到達しない。このため、偏光選択手段における観察側の表面は、外光の反射光により鏡面状に視認される。
【0016】
以上のように、本発明では、表示手段に含まれる構成要素として、観察側に偏光選択手段を配置するだけで良いため、偏光選択手段の観察側に透過偏光軸可変手段を配置しない構成とすることができる。従って、上記従来の表示手段の観察側に液晶パネル等といった透過偏光軸可変手段を配置する場合に比べて、界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部の光学特性に起因する色付き、視角特性の悪化、表示画像の滲み等といった表示品位の悪化を回避することができる。また、2重のパネル構造を必要とせず簡易な構造にできるので、表示装置が厚くなることを抑制し、重量を軽減できる。
【0017】
また、本発明では、ミラーモードにおいて、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。このように、ミラーモード時の照明手段として、特別な照明手段を用いるのでなく、表示モード時にバックライトとして使用する照明装置を兼用するようにしたので、部品コスト、製造コスト、維持コスト等といった経費が高くなることがない。
【0018】
(2)上記構成の表示装置において、前記ミラーモードを実現する手段は、前記ミラー領域内において前記表示手段からの光の出射を停止することが好ましい。こうすれば、ミラー領域内において表示手段が光を出射しなくなるため、該ミラー領域内における鏡面の品位をさらに向上できる。
【0019】
(3)上記構成の表示装置において、前記ミラー領域の位置及び面積並びに前記照明領域の位置及び面積は時間的に変化しないことが望ましい。こうすれば、表示装置の一定位置を鏡として使用でき、しかも、一定の位置から一定の光量で照明を行うことができる。
【0020】
(4)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域の一部又は全部であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺を効率良く照明できる。
【0021】
(5)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領内の上下対称部分、左右対称部分又は斜め対称部分であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺をミラー領域を中心として対称に照明できる。
【0022】
(6)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域内のコ字状部分であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺の特定の片寄った領域を故意に強く照明できる。
【0023】
(7)上記構成の表示装置において、前記ミラーモードを実現する手段は、前記第1偏光の強度を前記表示モード時における強度よりも強くすることが望ましい。こうすれば、鏡として機能しているミラー領域の周辺をより一層明るく照明できる。
【0024】
(8)次に、本発明に係る他の表示装置は、第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、表示又はミラー領域及び照明領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、前記表示又はミラー領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示又はミラー領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示又はミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0025】
上記(1)に記載した表示装置では、ミラーモード実現手段が電気制御的な手法、例えばコンピュータのソフト的な処理、によって表示領域をミラー領域と照明領域とに区分けした。これに対し、ここに記載した表示装置では、前記表示手段を予め表示又はミラー領域と照明領域とに物理的に区分けしておいて、これらの領域を、必要に応じて、表示モード実現手段又はミラーモード実現手段によって独自に駆動するようにしている。物理的な区分けの仕方としては、例えば、表示又はミラー領域と照明領域とを駆動するドライバを別個独立に設けることができる。
【0026】
(9)次に、本発明に係る他の表示装置は、第1偏光を透過すると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する第1偏光選択手段と、表示領域の範囲内で第3偏光の少なくとも一部を前記第1偏光に変換して出射できる透過偏光軸可変手段と、前記第3偏光を透過できると共に該第3偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第4偏光を吸収又は反射する第2偏光選択手段と、前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射せず、前記照明領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0027】
上記構成の表示装置によれば、透過偏光軸可変手段の観察側に第1偏光選択手段が配置され、この第1偏光選択手段は、第1偏光を透過すると共に第2偏光を反射するように構成されている。従って、表示モードが選択された場合には、透過偏光軸可変手段から出射された第1偏光が上記偏光選択手段を透過して表示光として視認される。このとき、外光に含まれる第1偏光は第1偏光選択手段を透過して観察側とは反対側に入射し、他方、外光に含まれる第2偏光は第1偏光選択手段により反射される。
【0028】
ここで、外光のうちの強い光は、一般に、観察者が視認する方向とは異なる方向から入射するので、強い外光の正反射は観察者の目に入り難い。このため、透過偏光軸可変手段から表示光が第1偏光選択手段を通して視認される表示モードでは、第1偏光選択手段から出射される表示光に基づく表示態様を視認することができる。
【0029】
一方、ミラーモードが選択された場合には、透過偏光軸可変手段のミラー領域内では第1偏光が出射されないので、透過偏光軸可変手段から観察者へは光は到達しない。このため、第1偏光選択手段における観察側の表面は、外光の反射光により鏡面状に視認される。
【0030】
以上のように、本発明では、透過偏光軸可変手段の観察側に第1偏光選択手段を配置するだけで良いため、第1偏光選択手段の観察側に別の透過偏光軸可変手段を配置しない構成とすることができる。従って、表示手段の観察側に液晶パネル等といった透過偏光軸可変手段を配置するという従来の表示装置に比べて、界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部の光学特性に起因する色付き、視角特性の悪化、表示画像の滲み等といった表示品位の悪化を回避することができる。また、2重のパネル構造を必要とせず簡易な構造にできるので、表示装置が厚くなることを抑制し、重量を軽減できる。
【0031】
また、本発明では、ミラーモードにおいて、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は第1偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。
【0032】
(10)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段の観察側には、他の透過偏光軸可変手段、例えば液晶パネル、が配置されないことが好ましい。こうすれば、表示モードにおける視認性の低下を抑制できる。
【0033】
(11)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択と前記透過偏光軸可変手段との間には、前記第1偏光を透過すると共に前記第2偏光を吸収する第3偏光選択手段が配置されることが好ましい。一般に、第1偏光選択手段、例えば反射型偏光板、として入手できる部材の偏光選択度(すなわち、入射した自然光に対する透過光中の、偏光透過軸に平行な振動面を有する偏光成分の割合)は、吸収型偏光板の偏光選択度に比べて低いため、そのままでは表示モードのコントラストが低下するが、第3偏光選択手段、例えば吸収型偏光板、を配置することにより、偏光選択度を向上できるので、表示のコントラストを高めることができる。
【0034】
(12)上記構成の表示装置においては、前記第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段と、前記第2偏光選択手段と前記照明手段との間に配置された第4偏光選択手段とを有し、前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を吸収し、前記第4偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を反射することが望ましい。こうすれば、表示のコントラスト及び明るさを、さらに高めることができる。
【0035】
(13)上記構成の表示装置において、前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に第4偏光を反射するもの、例えば反射型偏光板、とすることができる。これにより、背面側から液晶パネルを照明した場合、照明光のうち第2偏光選択手段を透過しない光を背面側に反射させて戻すことができるので、この反射光を、散乱や反射によって偏光状態を変化させた上で再び観察側へ戻すことができるため、表示を明るくすることができる。
【0036】
(14)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段における観察側の表面は平坦であることが好ましい。こうすれば、ミラーモードの鏡面状態をより良好に実現できると共に、表示モードにおいて観察者の目に入る外光の正反射光以外の散乱光を低減することができるため、表示態様の視認性を向上できる。(15)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段における観察側の表面上に透光性の保護膜が形成されることが好ましい。こうすれば、第1偏光選択手段の観察側の表面に直接に傷が生じたり塵埃が付着したりすることを防止できる。この場合、保護膜の表面に硬化処理が施されているか、あるいは、透明な硬質膜が形成されていることが望ましい。
【0037】
(16)上記構成の表示装置においては、第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段を設けることが好ましい。照明手段を設けることにより、表示モードにおける画像表示状態を確実に実現できる。
【0038】
(17)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段と前記照明手段との間には、表示に寄与する態様で外光を観察側に向けて反射する光反射要素が配置されていないことが望ましい。表示体の内部に光反射要素を配置しないことにより、透過型の表示体が構成されるので、照明手段からの光が表示に利用される効率、すなわち利用効率を高めることができる。これにより、第1偏光選択手段による外光の反射があっても、照明手段からの光を利用した表示を確実に視認できるようになる。なお、上記光反射要素とは、その反射光が表示に寄与し得る、画素領域内に配置された反射層や反射板を含むものであり、表示に寄与しない反射光を生じる金属遮光膜等は含まない。
【0039】
(18)上記構成の表示装置において、前記照明手段の照明光の出射角分布では、法線方向に出射される光量が最も多いことが好ましい。法線方向に出射される光量を最も多くすることによって、表示モードにおいて照明光のうち観察者の目に入る表示に寄与する光の割合を高めることができるので、第1偏光選択手段による外光反射の影響を低減することができ、表示品位を高めることができる。(19)この場合において、前記照明手段の照明光は、主として出射角が0°〜40°の範囲内で分布していることが望ましい。この出射角の範囲では、外光の正反射量が比較的少ないので、外光の反射に影響されずに表示品位を高めることができる。
【0040】
(20)また、前記照明手段の照明光は、出射角が45°を越える範囲内で法線方向の光量の1/50以下であることが望ましい。出射角が45°を越える範囲の光はほとんど表示に寄与しないので、無駄な光を低減することにより、効率的に表示モードの表示状態を実現できる。
【0041】
(21)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段よりも背面側にカラーフィルタが配置されることが好ましい。これにより、表示モードにおいてカラー表示が可能になる。
【0042】
(22)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段と前記透過偏光軸可変手段の間に位相差板を配置することが好ましい。この位相差板は、色付き等を低減する光学補償板、あるいは、視野角特性を改善する視角補償板として用いることができる。
【0043】
(23)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段の観察側に透明部材が直接又は間接的に密接して配置されることが望ましい。こうすれば、第1偏光選択手段の観察側の表面を保護できると共に、第1偏光選択手段を確実に位置決めできる。
【0044】
(24)この場合、前記第1偏光選択手段は、前記透明部材に対して透明物質を介して接着されることが望ましい。透明部材に第1偏光選択手段が固着される態様としては、第1偏光選択手段のみを透明部材に固着する場合と、第1偏光選択手段と共に透過偏光軸可変手段を固着する場合とが挙げられる。後者の場合、透明部材に対して弾性を有する透明接着層介して固着することが望ましい。こうすれば、透過偏光軸可変手段に対する外部応力、例えば衝撃等、の影響を緩和することができ、表示装置の耐衝撃性を高めることができる。
【0045】
(25)また、前記透明部材の前記第1偏光選択手段の側の表面は平坦であることが望ましい。こうすれば、当該表面に密接された第1偏光選択手段の観察側の表面を平坦にできる。特に、第1偏光選択手段は可撓性を有するシート材として入手されることが多いので、透明部材の背面側の表面を平坦に構成し、当該表面に対して第1偏光選択手段を密接させたり、あるいは、接着したりすることにより、第1偏光選択手段を平坦に保持することができる。これにより、ミラーモードにおける鏡面状態を高品位化することができる。
【0046】
(26)さらに、前記透明部材の観察側の表面は曲面であることが望ましい。こうすれば、透明部材を光学レンズとして用いることができるので、表示画像を適宜に拡大又は縮小した状態で視認できるようになる。
【0047】
(27)また、上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段は前記ミラー領域と同じ広さか、あるいは、それよりも広く、且つ前記表示領域よりも狭くすることが望ましい。第1偏光選択手段を表示領域よりも狭くすれば、照明領域に対応する位置から第1偏光選択手段を除去することができ、それ故、照明領域から出射する照明光が第1偏光選択手段の存在によって減衰することを防止できる。
【0048】
(28)次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の表示装置を有することを特徴とする。この表示装置は、上述したように、表示手段の観察側に偏光選択手段を配置するだけで表示モードとミラーモードとが切換え可能に構成されているので、表示品位の悪化を回避することができると共に、小型化及び軽量化を図ることができる。従って、携帯電話機や形態情報端末等といった携帯型電子機器として構成されることが好ましい。
【0049】
(29)また、本発明の電子機器は、以上に記載した構成の表示装置と、前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段とを有することを特徴とする。この表示装置は、観察側に別の透過偏光軸可変手段を配置しなくても上述のように表示モードとミラーモードとを切換えることができるので、表示モードにおける表示品位を改善することができる。特に、表示装置の薄型化や軽量化が可能であるため、携帯電話機や携帯型情報端末等といった携帯型電子機器として構成されることが好ましい。
【0050】
(30)さらに、本発明に係る電子機器は、前記照明手段を備えた表示装置と、前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段とを有することを特徴とする。特に、表示駆動手段と照明駆動手段とが連動して動作するように構成すれば、照明手段を非点灯状態にすると同時に、透過偏光軸可変手段を制御することにより光遮断状態とすることができる。従って、ミラーモードにおいて光漏れを低減することが可能になり、その鏡面状態をさらに良好な態様で構成可能となる。
【0051】
(31)また、上記構成の電子機器においては、前記表示装置の動作を操作できる、又は前記表示装置の表示にデータ入力を行える入力部を行える入力部をさらに備え、該入力部を操作することによって前記表示モード実現手段又は前記ミラーモード実現手段を選択的に作動させることが望ましい。
【0052】
このように、電子機器の入力部を操作することによって表示モードとミラーモードとを切換えできるようにすれば、観察者の思いのままに表示モードとミラーモードのいずれかをいつでも実現できる。ここで、入力部としては、データ入力キーボタン等といった各種操作ボタン、電源スイッチ等といった各種操作スイッチ、操作ダイヤル等といった操作部材を挙げることができる。
【0053】
(32)上記の各表示装置において、前記表示手段や前記透過偏光軸可変手段は電気光学装置、例えば液晶装置、有機EL装置、によって構成されることが好ましい。こうすれば、薄型構造が可能になり、携帯機器等にも適用可能な表示装置が実現できる。特に、本発明の表示装置は切換えによりミラーモードにおいて表示画面を鏡面状に構成することが可能であるため、携帯機器によって手鏡としても利用できる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る表示装置及び電子機器を実施形態を挙げて説明する。
【0055】
(表示装置の第1実施形態)
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態を示している。ここに示す表示装置100Aでは、観察側(すなわち、図の上方)から順に、第1偏光選択手段としての反射型偏光板110と、第3偏光選択手段としての吸収型偏光板120と、位相差板130と、透過偏光軸可変手段としての液晶パネル140と、第2偏光選択手段としての吸収型偏光板150と、照明手段としてのバックライト160とが配置されている。
【0056】
なお、本発明における「第1偏光を供給できる表示手段」は、本実施形態では、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160から成る表示光学系によって構成されている。
【0057】
反射型偏光板110は、その透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分を透過し、透過偏光軸と交差する方向、望ましくは直交する方向に平行な振動面を有する偏光成分を反射する機能を有する。この反射型偏光板としては、例えば、▲1▼国際出願公開WO95/27919号に記載された、複数種類の相互に異なる複屈折性の高分子フィルムを積層した積層体や、▲2▼コレステリック液晶の表面に1/4波長板を配置した構造等を用いることができる。上記の積層体としては、例えば、3M社により提供されるDBEFという商品名の積層フィルムがある。
【0058】
吸収型偏光板120及び150としては、その偏光透過軸と平行な振動面を有する偏光成分を透過し、偏光透過軸と交差する方向、望ましくは直交する方向に平行な振動面を有する偏光成分を吸収する公知の吸収型偏光板が用いられる。偏光板120と偏光板150は、液晶装置の構成上必要な配置、例えば液晶パネル140が90°のツイスト角を有するTN(Twisted Nematic)液晶セルである場合にはニコル配置に設定される。
【0059】
吸収型偏光板120は、その偏光透過軸が反射型偏光板110の偏光透過軸と一致するように配置される。ここで、反射型偏光板110の偏光透過軸と吸収型偏光板120の偏光透過軸との交差角は必ずしも0°である必要はないが、交差角が大きくなるに従って表示のコントラストは低下するので、例えば交差角が15°以下であることが望ましく、特に5°以下であることが望ましい。
【0060】
吸収型偏光板120は、光学的には省略することができる。但し、反射型偏光板110の偏光選択度は一般に吸収型偏光板に比べて低いため、偏光板120を省略すると、表示モードにおけるコントラストが低下する。逆に言えば、反射型偏光板110の偏光選択度が問題にならないのであれば、表示手段に含まれる吸収型偏光板120は省略できる。この場合、吸収型偏光板120の機能は、反射型偏光板110によって果たされる。
【0061】
なお、吸収型偏光板120を省略できるということは、以下に説明する各実施形態であって、吸収型偏光板120を含む全ての実施形態にも同様に言えることである。
【0062】
また、吸収型偏光板150としては、上記のような吸収型偏光板ではなく、反射型偏光板110と同様に構成された反射型偏光板を用いることも可能である。また、位相差板130は、特に液晶パネル140がSTN(Super Twisted Nematic)モードである場合には、表示の着色を低減するための光学補償板として機能する。また、位相差板130は、液晶表示の視野角依存性を向上させる視角補償板として機能するように構成することもできる。なお、位相差板130を設けなくても表示自体は可能である。
【0063】
液晶パネル140は、ガラスやプラスチック等といった透明基板で構成される2枚の基板141及び142を含む。基板141の内面上にはカラーフィルタ144が形成されている。カラーフィルタ144には、例えば、赤、緑、青等といった複数色の着色層が所定の配列パターン(例えば、ストライプ配列、デルタ配列、斜めモザイク配列等)で配列される。
【0064】
これらの着色層は透明な保護膜151で覆われることが望ましい。カラーフィルタ144上には、ITO(Indium Tin Oxide)等で構成された透明電極145が着色層の配列に対応した配列で形成されている。透明電極145上には、ポリイミド樹脂等で構成される配向膜146が形成されている。また、基板142の内面上には、上記透明電極145及び上記配向膜146と同様の透明電極147及び配向膜148が形成されている。
【0065】
上記一対の基板141及び142の素材としては、ガラスや、石英を用いたり、樹脂を用いたり、あるいは、一方にガラスを用い他方に樹脂を用いたりすることができる。特に、基板141及び142の素材として樹脂材料を用いれば、表示装置の薄型化を図ることができると共に、耐衝撃性の向上を図ることもできる。
【0066】
基板141と基板142はシール材143を介して貼り合わされ、その内部に液晶149が層として配置されている。このようにして構成された液晶パネル140の液晶モードとしては、TNモード、STNモード、ECB(ElectricallyControlled Birefringence)モード等が望ましい。これらの液晶モードによる表示においては、いずれも偏光板を用いて表示を実現するように構成されているため、比較的低い駆動電圧で高い表示品位を得ることができ、特に携帯型電子機器に搭載する場合に望ましい。
【0067】
また、液晶パネル140の駆動モードとしては、TFT(Thin Film Transistor)やTFD(Thin Film Diode)等といった能動素子を用いたアクティブマトリクス駆動等といったアクティブ駆動モードと、能動素子を用いない単純駆動又はマルチプレックス駆動等といったパッシブ駆動モードのいずれであっても良い。
【0068】
さらに、液晶パネル140は、本実施形態の場合、内部や外部に反射層や反射板を備えていない透過型パネルである。すなわち、本実施形態では、反射型パネルや反射半透過型パネルのように画素内において外光を観察側に反射させるための光反射要素(すなわち、反射面)を備えていない。ここで言う光反射要素とは、表示に寄与する領域(すなわち、画素内)に存在する光反射機能を有する要素を言い、表示に寄与しない金属遮光層等を含まない概念である。もちろん、金属遮光膜等といった表示に寄与しない光反射要素についても存在しないことが望ましい。
【0069】
バックライト160は、背後から液晶パネル140に対してほぼ均一な照度で照明を行うことができるものであれば良い。例えば、導光板と、この導光板の端面部に配置された光源とを含む端面発光型のバックライトや、導光板と、この導光板の背面に配置された光源とを含む背面発光型のバックライト等が挙げられる。
【0070】
図1の実施形態では、バックライト160は、光源161と、この光源161を端面に対向して配置させた導光板162とを備えている。導光板162には、光源161から導入された光を液晶パネル140側にほぼ均一に導くための金属層や印刷層等といった光反射要素又は光散乱要素163が設けられることが望ましい。
【0071】
偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160によって構成された表示手段では、電極145と電極147との交差部分、すなわち表示の最小単位である表示ドットが観察側から見てマトリクス状に配列し、これらの表示ドットの集まりによって表示領域Vが構成される。表示手段は、基本的に、この表示領域Vの範囲内において第1偏光のみを出射する。表示モードにおいては、液晶パネル140内に構成された複数の表示ドットについてそれぞれ第1偏光の出射の有無又は第1偏光の出射量が制御され、その結果、希望する画像が表示領域Vの範囲内において図1の上側である観察側に表示される。
【0072】
図2は、図1の表示装置100Aの動作を制御する制御装置を機能ブロック図の形で示している。この制御装置は、図1の表示領域V内に像を表示させる表示モードを実現する表示モード実現手段301と、表示領域Vを鏡として用いるミラーモードを実現するミラーモード実現手段302と、表示モード実現手段301又はミラーモード実現手段302を選択的に動作させるモード選択手段303とを有する。
【0073】
これらの手段301,302及び303は特定の機能を実現するための手段であって、具体的には、例えば、CPUを含んで構成されたコンピュータによってそれぞれの機能として実現できる。また、これらの手段は、コンピュータを含まない制御回路によって構成することもできる。また、これらの手段はそれぞれを単独の回路によって構成しても良く、あるいは、共通の回路を別々の手段として機能させるようにしても良い。
【0074】
記憶媒体304の所定領域には、例えば、図1に示すようなミラー領域M及び照明領域Lを特定するためのデータが、表示領域Vに関連する形で記憶されている。照明領域Lは表示領域Vの周囲に枠状に設定された領域である。また、ミラー領域Mは、表示領域Vに対して照明領域L分だけ狭い領域である。
【0075】
図2において、表示モード実現手段301には表示データ供給手段306が接続される。この表示データ供給手段306は表示領域V内に表示したいと希望する情報を液晶パネル140に適した形式で表示モード実現手段301へ伝送するための機能実現部である。
【0076】
以下、図3に示すフローチャートを参照して、図2に示す制御装置の動作を説明する。まず、表示装置100Aを操作するオペレータによってスタートが指示されると、制御装置は図3のステップS1において各構成機能部分を初期設定して始動に備える。その後、キーボードその他の操作入力手段を介してオペレータによって表示モードが指示されると、図3のステップS2においてそのことがチェックされ(ステップS2でYES)、ステップS3へ進んで図2の表示モード実現手段301が選択される。すると、ステップS4へ進んで、図1の表示領域Vの範囲内で、図2の表示データ供給手段306から送られた情報に基づいて、希望の表示、例えば携帯電話機や携帯情報端末機等といった各種電子機器に関する情報の表示が行われる。
【0077】
一方、キーボードその他の操作入力手段を介してオペレータによってミラーモードが指示されると、ステップS2及びステップS5においてそのことがチェックされ(すなわち、ステップS2でNO、ステップS5でYES)、ステップS6へ進んで図2のミラーモード実現手段302が選択される。すると、図1の表示装置100Aのミラー領域Mを鏡として用いるモードが実行される。
【0078】
具体的には、図3のステップS7において、図2のミラーモード実現手段302は図1の表示領域V内を、図2の記憶媒体304に記憶されたデータに基づいて、ミラー領域Mと照明領域Lとに区分けし、ミラー領域Mに対応する液晶パネル140の部分を第1偏光を出射しない状態セットする。また、ステップS8において、照明領域Lに対応する液晶パネル140の部分を第1偏光を出射する状態にセットする。これらは、各部分に対応する情報ドットに印加する電圧を制御することによって行われる。
【0079】
なお、ミラーモード時にバックライト160から出射される光の強度φ2は、表示モード時にバックライト160から出射される光の強度φ1よりも大きくなるように設定されている。このような光強度の調節は、例えば、バックライト160内の光源161へ供給する電流を制御することによって行うことができる。ミラーモード時におけるバックライト160の光強度を表示モード時におけるバックライト160の光強度よりも大きくすれば、鏡面として機能するミラー領域Mを明るく表示できる。
【0080】
以上のようにして図1のミラー領域Mが第1偏光を出射しない状態にセットされると、この領域に対応する部分の反射型偏光板110の観察側には光が出ないので、このミラー領域Mは反射型偏光板110の性質に従って反射板として機能し、これにより、ミラー領域Mを鏡として使用できる。
【0081】
このとき、照明領域Lは第1偏光を出射する状態にセットされるので、こうして出射された第1偏光は反射型偏光板110を透過して外部へ出射する。こうして照明領域Lから出た光は、ミラー領域Mの周りを明るく照明し、これにより、ミラー領域M内に明るい鏡像を映し出すことができる。
【0082】
なお、ステップS7において、ミラー領域Mで第1偏光を出射しないようにするための方法としては、例えば、第1偏光は出射しないがそれ以外の偏光成分は出射される状態にある場合や、全ての光が出ないように遮光を行う場合が考えられる。ミラー領域Mを鏡として機能させるためには、そのミラー領域Mから光が完全に漏れ出ない方が良い。この観点からすれば、ミラー領域Mで第1偏光を出射しないようにするステップS7では、ミラー領域Mに対応する部分の液晶パネル140を遮光状態に設定することが望ましい。
【0083】
また、ミラーモード時、ミラー領域Mの位置及び面積並びに照明領域Lの位置及び面積は時間的に変化しないことが望ましい。ミラー領域M及び照明領域Lが経時的に変化するようであると、表示装置100Aを鏡として使用することに関して不便であると考えられるが、これらの領域の形状等を経時的に変化しないように制御すれば、オペレータは、ミラーモード時において、常に一定の領域を鏡として使用でき、さらに、常に一定の領域から出射する照明光によって照明を受けることができる。
【0084】
なお、何等かの特別な効果を狙う場合には、ミラー領域M及び/又は照明領域Lの形状や面積を故意に経時的に変化させることも可能である。こうすれば、鏡面となる領域の形状や面積が経時的に変化することになる。
【0085】
図1において、表示装置100Aには、表示モード時の使用状態において外光R0が観察側から入射する。その外光R0のうち、反射型偏光板110の偏光透過軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は反射型偏光板110を透過して内部へ導入される。一方、反射型偏光板110の偏光透過軸と直交する振動面を有する偏光成分R2は、反射型偏光板110で反射して観察側へ戻る。
【0086】
バックライト160の光出射面160aから面状の光が放出される場合、その光は、吸収型偏光板150を通過して直線偏光になり、液晶パネル140にてその偏光状態が変換されるか、あるいは、そのまま変換されること無く通過し、偏光板120においてその偏光透過軸に平行な振動面を有する偏光成分のみが出射される。この偏光成分は反射型偏光板110もそのまま透過し、観察側において視認される。従って、液晶パネル140が画像を表示する状態にあれば、その表示画像に応じて形成される透過領域において光は液晶パネル140を透過し、さらに反射型偏光板110を透過して透過光Tとして視認される。
【0087】
ここで、表示モードにおいては、透過光Tによって文字、数字、図形等といった像が表示されるが、そのとき、外光R0に起因する反射光R2が存在するため、表示された像の視認性が低下するように思われる。しかし、外光R0は通常、主として観察者の観察方向とは異なる方向から表示装置100Aに入射するので、反射型偏光板110にて生じる反射光R2、すなわち正反射光、のうち観察者の目に直接に入射する光量は少なく、大部分は図示のように観察者の目とは異なる方向に反射されていく。従って、透過光Tが十分に強ければ、反射光R2による表示画像の視認性の低下は限定されたものとなる。
【0088】
一方、ミラーモードにおいては、ミラー領域M内では液晶パネル140が光遮断状態となることにより、透過光Tはほとんど存在しなくなる。このため、反射光R2が強く感じられることになり、表示面全体が鏡状に視認される。
【0089】
本実施形態では、観察側に反射型偏光板110を配置したので、ミラーモード時においてミラー領域Mの範囲内に極めて良好な鏡面状態を得ることができる。さらに、反射偏光板110の観察側に他の液晶パネルが存在しないので、表示モード時における表示画像に与える影響が低減され、表示品位を良好に保つことができる。また、2層のパネル構造を有しないので、表示装置を薄型化及び軽量化できる。
【0090】
次に、反射型偏光板110の観察側の表面は平坦であることが望ましい。こうすれば、ミラーモード時における鏡面表示状態の品位を高めることができる。またさらに、反射型偏光板110の表面が平坦でない場合に生じ得る不都合、例えば、表示モード時に光強度の高い外光R0の正反射光R2が観察者の目に入り易くなるといった事態が発生しなくなるため、表示モード時に表示される画像の視認性の低下を防止できる。なお、反射型偏光板110の観察側の表面は、特に、可視光領域において光学的に平坦(すなわち、オプティカルフラット)であることが望ましい。
【0091】
以上のように本実施形態では、ミラーモード時に、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。このように、ミラーモード時の照明手段として、特別な照明手段を用いるのでなく、表示モード時に使用する照明装置を兼用するようにしたので、部品コスト、製造コスト、維持コスト等といった経費が高くなることがない。
【0092】
(表示装置の第2実施形態)
図4は、本発明に係る表示装置の他の実施形態を示している。この表示装置の機械的な構成は図1と同じにすることができる。図1から図3に示した実施形態では、液晶パネル140の表示領域Vをミラーモード実現手段302によってソフト的にミラー領域Mと照明領域Lとに区分けした。そして、表示モード時には表示領域Vの範囲内に希望の像、例えば電子機器で必要となる情報、を表示した。また、ミラーモード時にはミラー領域Mを鏡面とし、照明領域Lから照明光として第1偏光を出射させた。
【0093】
これに対し、図4に示す本実施形態では、液晶パネル140の表示領域Vを予め、中央領域である表示又はミラー領域Mv及び周辺の枠状領域である照明領域Lに分けておき、それぞれに、ドライバ回路139a及び139bを独自に割り当ててある。なお、表示又はミラー領域Mvを構成する複数の表示ドットと照明領域Lを構成する複数の表示ドットは同じ構成であっても、あるいは、必要に応じてそれらを異なる構成にしても良い。本実施形態では、表示又はミラー領域Mvを構成する複数の表示ドットと照明領域Lを構成する複数の表示ドットは同じ構成であるものとする。
【0094】
本実施形態では、オペレータによって表示モードが選択されると(図5のステップS12でYES)、図4のモード選択手段303によって表示モード実現手段301が選択され(図5のステップS13)、これにより、液晶パネル140の表示又はミラー領域Mvの範囲内に希望の像、例えば携帯電話機等といった電子機器で必要となる情報を表示する(図5のステップS14)。このとき、液晶パネル140の照明領域Lの範囲内は第1偏光を表示しない状態に設定される。これにより、オペレータは、携帯電話機等に関する情報を表示又はミラー領域Mv内で視認できる。
【0095】
一方、オペレータによってミラーモードが選択されると(図5のステップS16でYES)、図4のモード選択手段303によってミラーモード実現手段302が選択され(図5のステップS17)、これにより、液晶パネル140の照明領域Lの範囲内で第1偏光が出射され(図5のステップS18)、さらに、表示又はミラー領域Mvの範囲内では第1偏光が出射されない状態にする(図5のステップS19)。これにより、オペレータは、液晶パネル140の表示又はミラー領域Mvを鏡として使用できる。そしてこのとき、照明領域Lからの出射光が照明光として機能して、鏡面付近を明るく照明する。
【0096】
なお、表示又はミラー領域Mvに対応する液晶パネル140の表示ドットと照明領域Lに対応する液晶パネル140の表示ドットとは、上記の通り、互いに同じ構成とすることができるし、あるいは、互いに異なる構成とすることもできる。両者を異なる構成とする場合には、例えば、照明領域Lに対応する表示ドットの面積を表示又はミラー領域Mvに対応する表示ドットの面積よりも大きく設定することが望ましい。こうすれば、ミラーモード時における照明領域Lからの照明光の光強度を強くすることができる。
【0097】
(変形例)
図1の実施形態では、照明光を発生するための照明領域Lは、表示領域Vの周辺の枠状領域の全部とした。しかしながら、照明領域Lは、枠状領域の任意の一部とすることもできる。
【0098】
また、照明領域Lは、図6(a)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の上下対称部分とすることもできるし、図6(b)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の左右対称部分とすることもできるし、図7(a)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内のコ字状部分とすることもできるし、あるいは、図7(b)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の斜め対称部分とすることもできる。
【0099】
さらに、図1の実施形態では、反射型偏光板110を表示領域Vと同じか、あるいはそれよりも少し広い大きさに設定した。こうすれば、液晶パネル140の表示領域Vから出射する偏光はその全てが反射型偏光板110に当ることになる。これに対し、反射型偏光板110の大きさは、図9に示すように、表示領域Vよりも小さく、しかし、ミラー領域Mと同じか、あるいはそれよりも広く設定できる。こうすれば、液晶パネル140の照明領域Lから出射する偏光、すなわち照明光を反射型偏光板110に当てることなく外部へ出射できるので、強度の強い照明光が得られる。
【0100】
(表示装置の第3実施形態)
次に、図10を参照して、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態について説明する。この実施形態で、図1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0101】
本実施形態の表示装置100Bでは、観察側から順に、反射型偏光板110、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150、バックライト160が配置されることにおいて図1の表示装置100Aと同じである。そして、偏光板150とバックライト160との間に反射型偏光板170が配置され点が異なっている。この反射型偏光板170は、反射型偏光板110と同じものであるが、その透過偏光軸が偏光板150の透過偏光軸と一致する姿勢で配置されている。
【0102】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0103】
図10に戻って、反射型偏光板170は、バックライト160から出射された照明光のうち、偏光板150を透過しない偏光成分をバックライト160側に反射する。この反射された偏光成分は、導光板162内に入射し、少なくとも一部の偏光状態が変化して再び観察側に反射され、その一部が反射型偏光板170及び偏光板150を透過し、透過光Tの一部となる。これにより、図1の表示装置100Aでは表示に利用されなかった光の一部を再利用することが可能となるため、表示画像の明るさを向上でき、表示モードの表示品位を高めることができる。
【0104】
なお、本実施形態では、偏光板150を省略して反射型偏光板170のみで表示手段を構成することもできる。但し、この場合には、反射型偏光板170の偏光選択度(すなわち、透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分の透過率、あるいは、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分の反射率)が吸収型偏光板に比べて低いことから、表示のコントラストが低下したり、表示の明るさが低下したりする。
【0105】
また、外光R0のうち、観察側の反射型偏光板110を透過した光の少なくとも一部(例えば、光遮断状態にある表示ドットに入射する光)が反射型偏光板170において反射されてしまうおそれがあり、その反射によって表示画像の視認性が低下することも考えられる。
【0106】
(表示装置の第4実施形態)
次に、図11を参照して、本発明に係るさらに他の実施形態について説明する。この実施形態では、図1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0107】
本実施形態の表示装置100Cでは、図10の表示装置100Bと同様に、観察側から順に、反射型偏光板110、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150、反射型偏光板170、バックライト160が配置されている。そして、図2の表示装置100Bとは異なって、表示装置100Cでは、反射型偏光板110の観察側の表面上に、透明な保護膜111が形成されている。
【0108】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0109】
保護膜111は、アクリル樹脂、SiO2、TiO2等の薄膜で構成できる。特に、SiO2、TiO2等といった無機ガラスと同等以上の硬度を有する硬質保護膜であることが好ましい。保護膜111は、透明な素材で構成されたフィルムやシート等を貼着したものであっても良く、反射型偏光板110の表面上に、塗布、蒸着、スパッタリング等により直接に成膜したものであっても良い。
【0110】
本実施形態では、反射型偏光板110の観察側の表面上に透明な保護膜111を設けたので、反射型偏光板110の表面に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止でき、よって、特に鏡面状態を良好に構成できる。
【0111】
(表示装置の第5実施形態)
図12は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Dでは、反射偏光板110の観察側に透明板180を配置する。そして、この透明板180に反射偏光板110を密着させた状態としている。この透明板180としては、例えば、携帯電話機、携帯情報端末機等といった電子機器の表示部の表示窓部材(すなわち、外部に露出する表示窓)が挙げられる。
【0112】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0113】
透明板180は、アクリル樹脂やガラス等といった透明素材で構成できる。反射偏光板110は、例えば、透明接着剤181を用いて透明板180に接着される。ここで、透明板180の背面部(図12の下側)の表面は平坦に構成されており、これによって、密接された反射偏光板110の観察側の表面が平坦に構成されている。
【0114】
偏光板120及び位相差板130も、また、透明板180に対して、反射偏光板110と共に直接に又は間接的に固定される。例えば、反射偏光板110に偏光板120が接着され、さらに、偏光板120に対して位相差板130が接着される。
【0115】
液晶パネル140及びバックライト160は、透明板180又はこれに固着された偏光板120や位相差板130に対して固着されていない。この場合には、液晶パネル140を透明板180とは別に機器の内部(例えば回路基板上等)に固定し、液晶パネル140と、透明板180に固着された積層構造との間に隙間が設けられるようにすることができる。
【0116】
こうすると、液晶パネル140と、反射偏光板110を含む積層構造とが別々に機器内に設置されるので、製造工程における製品の歩留まりを向上できる。もちろん、透明板180に対して液晶パネル140や偏光板150をも一体に固定することもできる。
【0117】
なお、偏光板150は、液晶パネル140の背面側の基板141の外面上に接着されることが好ましい。また、液晶パネル140とバックライト160とは、図12では間隙をおいて配置されているが、相互に密接又は接着された状態とされていても良い。すなわち、導光板162の観察側に偏光板150が密接又は接着されていても良い。
【0118】
(表示装置の第6実施形態)
図13は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Eでは、図12の表示装置100Dと同様の透明板180が設けられている。そして、この透明板180に対して、アクリル樹脂等といった透明接着剤181を介して反射偏光板110が接着されている。透明板180の背面側の表面は平坦に構成され、この表面に固着された反射偏光板110は図12の実施形態と同様の作用効果を示す。
【0119】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0120】
この実施形態においては、反射偏光板110と共に、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140及び偏光板150が透明板180に対して固着された状態になっている。透明接着剤181は、0.3mm以上の厚さに形成されていることが好ましい。これにより、透明板180が電子機器のケース体等に固定されている場合に、透明板180と液晶パネル140との間の固定構造に十分な弾性を持たせることが可能になるので、液晶パネル140を衝撃等から保護することができる。
【0121】
(表示装置の第7実施形態)
図14は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Fでは、透明板190に反射偏光板110を密接させてある。反射偏光板110は透明板190に固着されている。特に、反射偏光板110は図13の実施形態と同様の接着剤191を介して透明板190に接着されることが好ましい。
【0122】
この透明板190は図13の実施形態に示す透明板180と同様の材質によって構成できる。透明板190の背面側の表面は平坦に構成され、この表面に固着された反射偏光板110は図13の実施形態と同様の作用効果を示す。また、偏光板120及び位相差板130は、反射偏光板110に対して密接された状態となっている。これらもまた、粘着層や接着剤と介して相互に固着されていることが好ましい。
【0123】
液晶パネル140には、偏光板150及び反射偏光板170が固着された状態になっている。偏光板150及び反射偏光板170は、粘着層や接着剤を介して相互に固着されることが好ましい。
【0124】
透明板190は、観察側の表面のうち、少なくとも表示領域に対応する表面部分が曲面190Aとなっている。これにより、透明板190は光学レンズと同様の機能を有することになり、表示装置100Fによって構成される表示画面を拡大又は縮小した状態で視認することが可能になる。例えば、図示のように曲面190Aが凸曲面に構成されれば、表示画面を拡大した状態で視認することが可能になるので、表示装置の表示領域が小さい場合に文字等を拡大して視認性を向上できる。
【0125】
なお、この場合にも、透明板190に対して、反射偏光板110だけでなく、偏光板120や位相差板130を透明板190に固着できる。また、図13の実施形態と同様に、液晶パネル140や偏光板150(さらには反射偏光板170)も一体的に透明板190に固着させることもできる。
【0126】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0127】
(表示装置の第8実施形態)
図15は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Gは、図12に示した実施形態と同様の透明板180の背面側に反射偏光板110が密接されている。反射偏光板110は、図12の実施形態と同様の透明接着剤181を介して透明板180に対して接着されている。本実施形態では、透明板180に対して固着されているのは反射偏光板110だけであり、表示手段を構成する偏光板120、位相差板130、液晶パネル140及び偏光板150並びにバックライト160は、透明板180及び反射偏光板110に対して間隙をおいて配置されている。
【0128】
この実施形態では、表示手段は通常の各種電子機器と同様に内部に固定し、その表示手段の観察側に配置された透明板180の内面上に反射偏光板110を固着させてある。従って、通常の表示手段を内蔵した電子機器と全く同様の構成とし、透明板180の内面に反射偏光板110を固着させるだけで、本発明に係る表示装置を実現できるため、極めて簡単に且つ低コストで製造できる。
【0129】
(表示装置の第9実施形態)
図16は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置200においては、観察側から、反射型偏光板210、偏光板220、位相差板230が順次に配置され、これらの背後に透過偏光軸可変手段としての電気光学装置であるエレクトロルミネッセンスパネル(以下、単にELパネルという)240が配置されている。反射型偏光板210及び偏光板220は以上の各実施形態と全く同様のものである。本実施形態において、位相差板230は1/4波長板である。
【0130】
ELパネル240においては、基板241上に、ITO等といった透明導電体等によって電極242が形成され、この電極242上に発光体244が形成されている。さらに、この発光体244の上には対向電極245が形成されている。この対向電極245は、好ましくはアルミニウムその他の金属で構成される反射電極として構成される。
【0131】
なお、本実施形態では、ストライプ状に複数並列する帯状の電極242と、同様にストライプ状に複数並列する帯状の対向電極245とが相互に直交する態様で対向配置されている例(すなわち、パッシブマトリクス駆動方式に対応する電極構造)を示してあるが、その電極構造は任意であり、アクティブマトリクス駆動方式に対応する電極構造等、表示に必要な適宜の電極構造を有していれば良い。
【0132】
図17は、ELパネル240における3つの表示ドット部分の断面構造を示している。図17に示すように、ELパネル240は、発光体244R、244G、244Bを形成することにより、カラー表示可能に構成されている。これらの発光体244R、244G、244Bは、正孔注入層244Aと、R色発光層244r、G色発光層244g又はB色発光層244bとによって構成される。
【0133】
正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニン等といったフタロシアニン系化合物や芳香族アミン系化合物等が挙げられる。また、発光層の材料としては、ジスチリルベンゼン誘導体(青色発光)等といった芳香族環化合物、金属錯体系の8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体(Alq錯体)による有機蛍光体等といった複素環化合物、Alq錯体の誘導体の一種で、ヒドロキシキノリンの1つがトリフェニルシリカノール(Si化合物)に置換されて配位している混合配位錯体(青緑色発光)等といった特殊元素含有化合物が挙げられる。その他、青色以外の発光材料として、赤色のニトロベンゾチアゾールアゾ化合物、赤色のユーロビウム錯体、黄色のジスチリルピラジン、緑色の芳香族ジメチリディン等が挙げられる。
【0134】
発光体244Rは、正孔注入層244A、R色発光層244r及びB色発光層244bで構成され、B色発光層244bは平坦性を確保する層及び電子注入輸送層として機能する。また、発光体244Gは正孔注入層244A、G色発光層244g及びB色発光層244bで構成され、B色発光層244bは平坦性を確保する層及び電子注入輸送層として機能する。さらに、発光体244Bは正孔注入層244A及びB色発光層244bで構成される。
【0135】
基板241上に絶縁樹脂(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等)でバンク243を形成し、このバンク243によって仕切られた各画素領域内に上記の各発光体を形成する。このような構成を採用することにより、上記各種の材料に溶媒を添加すること等により、液状化した液状材料を液滴吐出によって各画素領域に配置し、その配置された液状材料を乾燥又は硬化させることによって各発光体を形成することができる。
【0136】
ELパネル240の電極242と対向電極245との間に所定の電圧を印加することにより、各発光体を発光させることができる。そして、各発光体から放出された光は、位相差板230を通過し、その後に偏光板220に入射し、偏光板220の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分は透過し、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分は吸収される。さらに、偏光板220を透過した偏光成分は、第1偏光選択手段である反射型偏光板210に入射する。
【0137】
ここで、反射型偏光板210は偏光板220の透過偏光軸と同じ方向に透過偏光軸を向けて配置されているため、偏光板220を透過した偏光成分はそのまま反射型偏光板210を透過して透過光Tとして観察側において視認される(表示モード)。
【0138】
一方、外光R0が表示装置200に入射すると、反射型偏光板210の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は透過するが、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分R2は反射される。この反射される偏光成分R2は、上記表示モードにおいてELパネル240から出射された表示光が反射型偏光板210を透過する場合には目立たず、ELパネル240の表示光によって構成される適宜の表示画像が視認される。
【0139】
しかし、ELパネル240の発光を停止し、反射型偏光板210の背後から光が出射しないように構成すると、反射型偏光板210の外光反射による視認態様が支配的になり、表示画面が鏡状に視認される(ミラーモード)。
【0140】
なお、外光R0のうち、反射型偏光板210の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は、そのまま反射型偏光板210及びこれと同じ方向に透過偏光軸を有する偏光板220を透過し、位相差板230に入射する。位相差板230では、この偏光成分は1/4位相が進んで、例えば右回りの円偏光となり、ELパネル240内に入射して反射電極245にて反射される。
【0141】
この反射光は左回りの円偏光となるので、再び位相差板230を透過することにより、反射型偏光板210及び偏光板220の透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分となる。従って、この偏光成分はそのまま偏光板220にて吸収され、観察側には放出されない。
【0142】
従って、外光R0のうち、反射型偏光板210の表面にて反射される偏光成分R2以外の偏光成分が観察側に戻ってくることは無いので、表示モードにおいては、観察される外光の量を低減できることから、視認性の悪化を低減できると共に、ミラーモードにおいては、反射型偏光板の表面以外で反射される反射光を無くすことができることから、ブレがなく、見易いミラー状態を実現できる。
【0143】
(表示装置の第10実施形態)
図18は、本発明に係る表示装置で用いることができる照明装置の発光特性の一例を示している。この発光特性を有する照明装置は、以上に説明した各表示装置を構成する照明装置160として好適に用いることができる。
【0144】
図18は、照明装置の輝度の出射角分布を示すグラフである。本実施形態では、表示画像の視認性を高めるために、表示画像の法線方向(すなわち、出射角=0°)を中心とした低出射角範囲で強い輝度を有し、法線方向から離れた高出射角範囲で低い輝度を有するバックライトが望まれる。ここで、低出射角範囲とは、例えば出射角が0°〜40°の範囲を言い、高出射角範囲とは、例えば出射角が40°を越える範囲を言う。図18の例では、出射角が0°の光について見ると、約2000cd/m2の輝度が得られるが、出射角が50°の光については20〜30cd/m2の輝度まで低下している。
【0145】
本実施形態のように、照明手段であるバックライトからの照明光の出射角分布において、低出射角範囲では光量が多く、高出射角範囲では光量が少なくなるように構成することにより、表示モードにおいて観察者の目に入る透過光Tの光量を増加させることができるため、反射光R2による表示画面の視認性の低下をさらに抑制することができる。
【0146】
ここで、表示モードにおける表示画面の視認性を向上させると共に、バックライトの光量を抑制して消費電力を低減するためには、バックライトの光出射特性を、出射角が40°を超える高出射角範囲で、法線方向の輝度(光量)の1/5以下の輝度(光量)となるように構成することが好ましい。
【0147】
なお、上記のようなバックライトの照明光の出射角分布は、導光板162の形状、光反射要素又は光散乱要素163の構造、別途設けられたフィルタや散乱板(拡散板)等によって適宜に構成することができる。
【0148】
上記のバックライトの照明光の出射角分布は、そのまま、図16の実施形態のELパネル240における表示光の出射角分布に適用することができる。すなわち、ELパネル240の表示光の出射角分布を図18に示すように構成することにより、消費電力を増大させること無く表示光を効率的に視認できるように構成できると共に、反射型偏光板による正反射光が存在するにも関わらず、表示モード時における視認性を向上させることができる。
【0149】
(表示装置の第11実施形態)
図8は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示しており、特に制御部分の構成を示している。この実施形態における機械的な構成は図1に示す構成を用いることができる。ここに示す制御回路は、機能的には、図2又は図3に示した機能ブロック図と同じである。
【0150】
図8において、モード選択手段313、データ供給手段316及び表示駆動制御手段319は、それぞれ、独立した回路によって構成される。また、表示手段320は、例えば、図1における偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160から成る表示光学系によって構成される。
【0151】
図8の制御回路では、データ供給手段316及び表示駆動制御手段319の組合わせから成る回路が、文字、数字、図形等といった像を表示する動作形態である表示モードと、表示領域を鏡として機能させる動作形態であるミラーモードとの両方から、希望に応じて任意の一方を選択的に達成する。また、モード選択手段313が、表示モードとミラーモードのいずれを実行するかをデータ供給手段316に指示する。
【0152】
表示モード時における表示手段320の動作、及びミラーモード時における表示手段320の動作は、図2の制御回路又は図4の制御回路に関連して行った説明と同じである。
【0153】
(電子機器の実施形態)
図19及び図20は、本発明を電子機器の一例である携帯電話機に適用した場合の一実施形態を示している。特に、図19はその携帯電話機の電気制御系の構成をブロック図として示しており、図20はその携帯電話機の外観形状を示している。
【0154】
図19において、携帯電話機1000には、表示装置100Hに設けられた液晶パネル140を駆動するための表示駆動部140Xと、バックライト160を制御するための照明制御部160Xと、表示駆動部140X及び照明制御部160Xを制御する制御部100Xとが設けられる。なお、上記構成は機能実現手段の結合といった形で表示制御系を示すものであり、実際の回路構成や回路素子の実装構成を示すものではない。
【0155】
従って、上記の各部は表示装置100H内に全て構成されていても良く、また、表示装置100Hの外部、すなわち、表示装置100H以外の電子機器1000の内部に構成されていても良く、さらには、一部が表示装置100H内に、残りが表示装置100H以外の電子機器1000の内部に構成されていても構わない。
【0156】
表示駆動部140Xは、液晶パネル140の表示領域内に構成された複数の表示ドットをそれぞれに駆動するための駆動電圧を供給するものであり、例えば、マルチプレックス駆動方式やアクティブ駆動方式では、走査信号及びこの走査信号に対応するデータ信号を、液晶パネル140のコモン端子(走査線端子)及びセグメント端子(データ線端子)にそれぞれ同期させて供給する。画像データ等といった表示データは、携帯電話機1000のメイン回路から制御部100Xを介してこの表示駆動部140Xへ送られる。
【0157】
一方、照明制御部160Xは、バックライト160への電力供給を制御し、例えば、バックライト160の点灯状態と消灯状態とを切換える。
【0158】
制御部100Xは、表示駆動部140X及び照明制御部160Xを制御し、各部に対する制御指令やデータ送出等を行う。また、制御部100X、表示駆動部140X及び照明制御部160Xは、機能的には、例えば、図2に示した機能や、図4に示した機能を達成する。つまり、表示装置100Hを表示モードにする場合には、表示駆動部140Xによって液晶パネル140を駆動して表示を行うと同時に、照明制御部160Xによりバックライト160を点灯状態にする。
【0159】
また、表示装置100Hをミラー状態にする場合には、表示駆動部140Xによって液晶パネル140を制御し、ミラー領域では液晶パネル140を含む表示系を第1偏光を透過させない状態に制御し、照明領域では液晶パネル140を含む表示系を第1偏光を透過させる状態に制御する。これにより、照明領域からの光によってミラー領域の周辺を照明しながら、ミラー領域を鏡として使用できる。
【0160】
本実施形態の携帯電話機1000は、図20に示すように、本体部1001と、表示体部1002とを有する。表示装置100Hは、表示体部1002の内部に配置され、表示体部1002にて表示画面1003を視認できるように構成する。こうすると、各種操作や各種状況に応じて、表示画面1003において、適宜の表示画面を視認できるようにしたり、鏡面状態が視認されるようにしたりできる。従って、携帯電話機等といった電子機器1000をミラーとして用いることができる。
【0161】
なお、携帯電話機1000は表示体部1002の内側表面に表示画面1003を有するが、表示体部1002の外側表面には別の表示画面を設けることもできるし、あるいは、特別な表示画面を設けなくても良い。図21は、そのように表示体部1002の外側表面に別の表示画面を設ける場合の他の実施形態を示している。
【0162】
図21に示す携帯電話機2000においては、本体部2001に対して折り畳まれた状態の表示体部2002の外面上に、図20に示すメインの表示画面(例えば、符号1003で示すものと同様のもの)とは別に、もう1つの表示画面2004を設け、この表示画面2004により、表示体部2002を本体部2001から開くことなく、適宜の表示を視認できるように構成しても良い。
【0163】
この場合には、図19に破線で示すメインの表示装置100Jに加えて上記の表示装置100Hを設けることにより、メインの表示画面とは別に、表示画面2004が表示装置100Hにより視認できる構造となる。この実施形態の携帯電話機2000では、折り畳まれた状態にて表示を視認できると共に、折り畳まれた状態でミラーとして用いることができる。
【0164】
携帯電話機1000や携帯電話機2000には、表示モードとミラーモードとを切換えるための専用の、あるいは、他の機能を実現するためのものと兼用の、操作スイッチ、操作ボタン、操作ダイヤル等といった入力部を設けることが好ましい。例えば、携帯電話機1000の本体部1001上に設けた専用あるいは兼用の操作部材を操作することによって、その操作状態が制御部100Xに伝達され、表示モードとミラーモードのいずれにも切換えることができるように構成される。
【0165】
また、携帯電話機2000では、図21に示す折り畳み状態で操作可能な操作部材を設け、この操作部材を操作することによって、その操作状態が制御部100Xに伝達され、表示モードとミラーモードのいずれにも切換えることができるように構成される。入力部を構成する兼用の操作部材としては、例えば、携帯電話機、パソコン等といった各種電子機器におけるデータ入力用キーボタン、電源オン・オフボタン等が挙げられる。
【0166】
なお、図16の実施形態のELパネル240を有する表示装置200を電子機器内に設置した場合には、図16の照明制御部160Xは不要であり、その代わりに、制御部100Xと表示駆動部140Xの機能を含む制御手段によって表示モードにおける所定の表示状態と、ミラーモードにおける鏡面状態とを実現できる。ここで、ミラーモードにおいて、上記の制御手段はELパネル240の発光を停止する。
【0167】
(その他の実施形態)
本発明の表示装置及び電子機器は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることはもちろんである。
【0168】
例えば、上述した実施形態では、電気光学装置の一種である液晶装置に適用した場合について主として説明したが、本発明はこれに限定されず、図16に示すようなエレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、X線シャッタ等を用いた小型テレビ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置等といった各種の電気光学装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の制御系によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る表示装置で用いられる制御系の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図5】図4の制御系によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】ミラー領域及び照明領域の変形例を示す平面図である。
【図7】ミラー領域及び照明領域の他の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の他の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図9】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図17】図16の表示装置の要部の断面構造を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置に適用できる照明装置の発光特性を示すグラフである。
【図19】本発明に係る電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図20】本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る電子機器のさらに他の実施形態である携帯電話機を示す斜視図である。
【符号の説明】
100A〜100J:表示装置、110:反射型偏光板、111:保護膜、120:吸収型偏光板、130:位相差板、140:液晶パネル、150:偏光板、160:バックライト、170:反射型偏光板、180:透明板、190:透明板、200:表示装置、210:反射型偏光板、220:偏光板、230:位相差板、240:ELパネル、1000:携帯電話機(電子機器)、2000:携帯電話機(電子機器)
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置及びこれを備えた電子機器に関する。特に、表示画面を表示モードと鏡面モードとの間で切換えることのできる表示装置及び電子機器に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、2つの液晶パネルを重ね合せることによって、通常の表示を行うことができる表示モードと、全体が鏡面状態になるミラーモードとを切換え可能に構成した表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、通常の液晶表示装置と同様の構造を有する表示部の観察側に表示切換部が設けられ、この表示切換部には、表示部の側から観察側へ向けて順に反射型偏光板、液晶パネル、吸収型偏光板が配置された表示装置がある。
【0003】
この表示装置において、表示切換部の反射型偏光板は、第1偏光を透過し、この第1偏光と直交する偏光軸を有する第2偏光を反射する。また、液晶パネルは、第1偏光を第2偏光に変化させて透過させる状態と、偏光軸を変化させないで透過させる状態とを切換え可能に構成される。また、吸収型偏光板は、例えば第1偏光を透過し、第2偏光を吸収する。また、表示部は、表示切換部に対して第1偏光を出射し、この第1偏光によって適宜の表示画像が形成される。
【0004】
上記のように構成れた表示装置においては、表示切換部の液晶パネルが偏光軸を変化させないで透過させる状態になっていれば、表示部から出射された第1偏光が反射型偏光板を透過して液晶パネルに入射し、第1偏光のままで吸収型偏光板を透過して観察されるため、表示部の表示態様を視認することができる。これが表示モードの動作である。
【0005】
また、液晶パネルが第1偏光を第2偏光に変化させて透過させる状態になっていれば、表示部から出射された第1偏光が反射型偏光板を通過して液晶パネルに入射すると、この第1偏光は液晶パネルによって第2偏光に変化して、さらに吸収型偏光板によって吸収され、表示態様は視認されない。このとき、外光が装置に入射すると、外光は吸収型偏光板を透過して第1偏光となり、液晶パネルを透過することによって第2偏光になるので、反射型偏光板により反射され、再び、液晶パネルを透過することによって第1偏光に変化し、吸収型偏光板を通過する。従って、表示面は鏡面状態に視認される。これがミラーモードの動作である。
【特許文献1】
特開2001−318374号(第7頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の表示装置においては、表示モードとミラーモードのいずれにおいても、表示切換部に設けられた液晶パネルを透過した光を視認することになるので、表示切換部の表裏両面等における界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部に起因する色付き、視覚特性の悪化、表示画素の滲み等が生じ易いという問題点がある。いずれにしても、従来の表示装置においては、表示部と表示切換部の2重構造に起因する表示品位の低下が避けられない。
【0007】
また、上記従来の構成では、通常の表示部の観察側に、さらに液晶パネルを含む表示切換部を配置しているので、装置が厚くなり、重量も増大するという問題点がある。この問題点は、特に携帯型電子機器に搭載する場合には携帯性を損なうことから大きな欠点となる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、表示切換部の存在に起因するコントラストの低下、色付き、視野角の狭小化、滲み等といった表示品位の低下を抑制できると共に、薄型化及び軽量化を達成できる表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る第1の表示装置は、第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、表示領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0010】
上記構成において、偏光選択手段は反射型偏光板、例えば、▲1▼国際出願公開WO95/27919号に記載された、複数種類の相互に異なる複屈折性の高分子フィルムを積層した積層体や、▲2▼コレステリック液晶の表面に1/4波長板を配置した構造等を用いることができる。上記の積層体としては、例えば、3M社により提供されるDBEFという商品名の積層フィルムがある。
【0011】
また、表示手段は、例えば、液晶パネル、ELパネル等といった電気光学パネルを含む表示系によって構成できる。
【0012】
また、「表示モードを実現する手段」、「ミラーモードを実現する手段」及び「モード選択手段」は、特定の機能を実現するための手段であって、具体的には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶媒体等を含むコンピュータによって機能として実現できる。また、これらの手段は、コンピュータを含まない制御回路によって構成することもできる。また、これらの手段はそれぞれを単独の回路によって構成しても良く、あるいは、共通の回路を別々の手段として機能させるようにしても良い。
【0013】
上記構成の表示装置によれば、表示手段の観察側に偏光選択手段が配置され、この偏光選択手段は、第1偏光を透過すると共に第2偏光を反射するように構成されている。従って、表示モードが選択された場合には、表示手段から出射された第1偏光が上記偏光選択手段を透過して表示光として視認される。このとき、外光に含まれる第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側とは反対側に入射し、他方、外光に含まれる第2偏光は偏光選択手段により反射される。
【0014】
ここで、外光のうちの強い光は、一般に、観察者が視認する方向とは異なる方向から入射するので、強い外光の正反射は観察者の目に入り難い。このため、表示手段から表示光が偏光選択手段を通して視認される表示モードでは、偏光選択手段から出射される表示光に基づく表示態様を視認することができる。
【0015】
一方、ミラーモードが選択された場合には、表示手段のミラー領域内では第1偏光が出射されないので、表示手段から観察者へは光は到達しない。このため、偏光選択手段における観察側の表面は、外光の反射光により鏡面状に視認される。
【0016】
以上のように、本発明では、表示手段に含まれる構成要素として、観察側に偏光選択手段を配置するだけで良いため、偏光選択手段の観察側に透過偏光軸可変手段を配置しない構成とすることができる。従って、上記従来の表示手段の観察側に液晶パネル等といった透過偏光軸可変手段を配置する場合に比べて、界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部の光学特性に起因する色付き、視角特性の悪化、表示画像の滲み等といった表示品位の悪化を回避することができる。また、2重のパネル構造を必要とせず簡易な構造にできるので、表示装置が厚くなることを抑制し、重量を軽減できる。
【0017】
また、本発明では、ミラーモードにおいて、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。このように、ミラーモード時の照明手段として、特別な照明手段を用いるのでなく、表示モード時にバックライトとして使用する照明装置を兼用するようにしたので、部品コスト、製造コスト、維持コスト等といった経費が高くなることがない。
【0018】
(2)上記構成の表示装置において、前記ミラーモードを実現する手段は、前記ミラー領域内において前記表示手段からの光の出射を停止することが好ましい。こうすれば、ミラー領域内において表示手段が光を出射しなくなるため、該ミラー領域内における鏡面の品位をさらに向上できる。
【0019】
(3)上記構成の表示装置において、前記ミラー領域の位置及び面積並びに前記照明領域の位置及び面積は時間的に変化しないことが望ましい。こうすれば、表示装置の一定位置を鏡として使用でき、しかも、一定の位置から一定の光量で照明を行うことができる。
【0020】
(4)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域の一部又は全部であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺を効率良く照明できる。
【0021】
(5)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領内の上下対称部分、左右対称部分又は斜め対称部分であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺をミラー領域を中心として対称に照明できる。
【0022】
(6)上記構成の表示装置において、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域内のコ字状部分であることが望ましい。こうすれば、ミラー領域の周辺の特定の片寄った領域を故意に強く照明できる。
【0023】
(7)上記構成の表示装置において、前記ミラーモードを実現する手段は、前記第1偏光の強度を前記表示モード時における強度よりも強くすることが望ましい。こうすれば、鏡として機能しているミラー領域の周辺をより一層明るく照明できる。
【0024】
(8)次に、本発明に係る他の表示装置は、第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、表示又はミラー領域及び照明領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、前記表示又はミラー領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示又はミラー領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示又はミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0025】
上記(1)に記載した表示装置では、ミラーモード実現手段が電気制御的な手法、例えばコンピュータのソフト的な処理、によって表示領域をミラー領域と照明領域とに区分けした。これに対し、ここに記載した表示装置では、前記表示手段を予め表示又はミラー領域と照明領域とに物理的に区分けしておいて、これらの領域を、必要に応じて、表示モード実現手段又はミラーモード実現手段によって独自に駆動するようにしている。物理的な区分けの仕方としては、例えば、表示又はミラー領域と照明領域とを駆動するドライバを別個独立に設けることができる。
【0026】
(9)次に、本発明に係る他の表示装置は、第1偏光を透過すると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する第1偏光選択手段と、表示領域の範囲内で第3偏光の少なくとも一部を前記第1偏光に変換して出射できる透過偏光軸可変手段と、前記第3偏光を透過できると共に該第3偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第4偏光を吸収又は反射する第2偏光選択手段と、前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射せず、前記照明領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射することを特徴とする。
【0027】
上記構成の表示装置によれば、透過偏光軸可変手段の観察側に第1偏光選択手段が配置され、この第1偏光選択手段は、第1偏光を透過すると共に第2偏光を反射するように構成されている。従って、表示モードが選択された場合には、透過偏光軸可変手段から出射された第1偏光が上記偏光選択手段を透過して表示光として視認される。このとき、外光に含まれる第1偏光は第1偏光選択手段を透過して観察側とは反対側に入射し、他方、外光に含まれる第2偏光は第1偏光選択手段により反射される。
【0028】
ここで、外光のうちの強い光は、一般に、観察者が視認する方向とは異なる方向から入射するので、強い外光の正反射は観察者の目に入り難い。このため、透過偏光軸可変手段から表示光が第1偏光選択手段を通して視認される表示モードでは、第1偏光選択手段から出射される表示光に基づく表示態様を視認することができる。
【0029】
一方、ミラーモードが選択された場合には、透過偏光軸可変手段のミラー領域内では第1偏光が出射されないので、透過偏光軸可変手段から観察者へは光は到達しない。このため、第1偏光選択手段における観察側の表面は、外光の反射光により鏡面状に視認される。
【0030】
以上のように、本発明では、透過偏光軸可変手段の観察側に第1偏光選択手段を配置するだけで良いため、第1偏光選択手段の観察側に別の透過偏光軸可変手段を配置しない構成とすることができる。従って、表示手段の観察側に液晶パネル等といった透過偏光軸可変手段を配置するという従来の表示装置に比べて、界面反射に起因するコントラストの低下、表示切換部の光学特性に起因する色付き、視角特性の悪化、表示画像の滲み等といった表示品位の悪化を回避することができる。また、2重のパネル構造を必要とせず簡易な構造にできるので、表示装置が厚くなることを抑制し、重量を軽減できる。
【0031】
また、本発明では、ミラーモードにおいて、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は第1偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。
【0032】
(10)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段の観察側には、他の透過偏光軸可変手段、例えば液晶パネル、が配置されないことが好ましい。こうすれば、表示モードにおける視認性の低下を抑制できる。
【0033】
(11)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択と前記透過偏光軸可変手段との間には、前記第1偏光を透過すると共に前記第2偏光を吸収する第3偏光選択手段が配置されることが好ましい。一般に、第1偏光選択手段、例えば反射型偏光板、として入手できる部材の偏光選択度(すなわち、入射した自然光に対する透過光中の、偏光透過軸に平行な振動面を有する偏光成分の割合)は、吸収型偏光板の偏光選択度に比べて低いため、そのままでは表示モードのコントラストが低下するが、第3偏光選択手段、例えば吸収型偏光板、を配置することにより、偏光選択度を向上できるので、表示のコントラストを高めることができる。
【0034】
(12)上記構成の表示装置においては、前記第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段と、前記第2偏光選択手段と前記照明手段との間に配置された第4偏光選択手段とを有し、前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を吸収し、前記第4偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を反射することが望ましい。こうすれば、表示のコントラスト及び明るさを、さらに高めることができる。
【0035】
(13)上記構成の表示装置において、前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に第4偏光を反射するもの、例えば反射型偏光板、とすることができる。これにより、背面側から液晶パネルを照明した場合、照明光のうち第2偏光選択手段を透過しない光を背面側に反射させて戻すことができるので、この反射光を、散乱や反射によって偏光状態を変化させた上で再び観察側へ戻すことができるため、表示を明るくすることができる。
【0036】
(14)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段における観察側の表面は平坦であることが好ましい。こうすれば、ミラーモードの鏡面状態をより良好に実現できると共に、表示モードにおいて観察者の目に入る外光の正反射光以外の散乱光を低減することができるため、表示態様の視認性を向上できる。(15)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段における観察側の表面上に透光性の保護膜が形成されることが好ましい。こうすれば、第1偏光選択手段の観察側の表面に直接に傷が生じたり塵埃が付着したりすることを防止できる。この場合、保護膜の表面に硬化処理が施されているか、あるいは、透明な硬質膜が形成されていることが望ましい。
【0037】
(16)上記構成の表示装置においては、第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段を設けることが好ましい。照明手段を設けることにより、表示モードにおける画像表示状態を確実に実現できる。
【0038】
(17)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段と前記照明手段との間には、表示に寄与する態様で外光を観察側に向けて反射する光反射要素が配置されていないことが望ましい。表示体の内部に光反射要素を配置しないことにより、透過型の表示体が構成されるので、照明手段からの光が表示に利用される効率、すなわち利用効率を高めることができる。これにより、第1偏光選択手段による外光の反射があっても、照明手段からの光を利用した表示を確実に視認できるようになる。なお、上記光反射要素とは、その反射光が表示に寄与し得る、画素領域内に配置された反射層や反射板を含むものであり、表示に寄与しない反射光を生じる金属遮光膜等は含まない。
【0039】
(18)上記構成の表示装置において、前記照明手段の照明光の出射角分布では、法線方向に出射される光量が最も多いことが好ましい。法線方向に出射される光量を最も多くすることによって、表示モードにおいて照明光のうち観察者の目に入る表示に寄与する光の割合を高めることができるので、第1偏光選択手段による外光反射の影響を低減することができ、表示品位を高めることができる。(19)この場合において、前記照明手段の照明光は、主として出射角が0°〜40°の範囲内で分布していることが望ましい。この出射角の範囲では、外光の正反射量が比較的少ないので、外光の反射に影響されずに表示品位を高めることができる。
【0040】
(20)また、前記照明手段の照明光は、出射角が45°を越える範囲内で法線方向の光量の1/50以下であることが望ましい。出射角が45°を越える範囲の光はほとんど表示に寄与しないので、無駄な光を低減することにより、効率的に表示モードの表示状態を実現できる。
【0041】
(21)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段よりも背面側にカラーフィルタが配置されることが好ましい。これにより、表示モードにおいてカラー表示が可能になる。
【0042】
(22)上記構成の表示装置においては、前記第1偏光選択手段と前記透過偏光軸可変手段の間に位相差板を配置することが好ましい。この位相差板は、色付き等を低減する光学補償板、あるいは、視野角特性を改善する視角補償板として用いることができる。
【0043】
(23)上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段の観察側に透明部材が直接又は間接的に密接して配置されることが望ましい。こうすれば、第1偏光選択手段の観察側の表面を保護できると共に、第1偏光選択手段を確実に位置決めできる。
【0044】
(24)この場合、前記第1偏光選択手段は、前記透明部材に対して透明物質を介して接着されることが望ましい。透明部材に第1偏光選択手段が固着される態様としては、第1偏光選択手段のみを透明部材に固着する場合と、第1偏光選択手段と共に透過偏光軸可変手段を固着する場合とが挙げられる。後者の場合、透明部材に対して弾性を有する透明接着層介して固着することが望ましい。こうすれば、透過偏光軸可変手段に対する外部応力、例えば衝撃等、の影響を緩和することができ、表示装置の耐衝撃性を高めることができる。
【0045】
(25)また、前記透明部材の前記第1偏光選択手段の側の表面は平坦であることが望ましい。こうすれば、当該表面に密接された第1偏光選択手段の観察側の表面を平坦にできる。特に、第1偏光選択手段は可撓性を有するシート材として入手されることが多いので、透明部材の背面側の表面を平坦に構成し、当該表面に対して第1偏光選択手段を密接させたり、あるいは、接着したりすることにより、第1偏光選択手段を平坦に保持することができる。これにより、ミラーモードにおける鏡面状態を高品位化することができる。
【0046】
(26)さらに、前記透明部材の観察側の表面は曲面であることが望ましい。こうすれば、透明部材を光学レンズとして用いることができるので、表示画像を適宜に拡大又は縮小した状態で視認できるようになる。
【0047】
(27)また、上記構成の表示装置において、前記第1偏光選択手段は前記ミラー領域と同じ広さか、あるいは、それよりも広く、且つ前記表示領域よりも狭くすることが望ましい。第1偏光選択手段を表示領域よりも狭くすれば、照明領域に対応する位置から第1偏光選択手段を除去することができ、それ故、照明領域から出射する照明光が第1偏光選択手段の存在によって減衰することを防止できる。
【0048】
(28)次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の表示装置を有することを特徴とする。この表示装置は、上述したように、表示手段の観察側に偏光選択手段を配置するだけで表示モードとミラーモードとが切換え可能に構成されているので、表示品位の悪化を回避することができると共に、小型化及び軽量化を図ることができる。従って、携帯電話機や形態情報端末等といった携帯型電子機器として構成されることが好ましい。
【0049】
(29)また、本発明の電子機器は、以上に記載した構成の表示装置と、前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段とを有することを特徴とする。この表示装置は、観察側に別の透過偏光軸可変手段を配置しなくても上述のように表示モードとミラーモードとを切換えることができるので、表示モードにおける表示品位を改善することができる。特に、表示装置の薄型化や軽量化が可能であるため、携帯電話機や携帯型情報端末等といった携帯型電子機器として構成されることが好ましい。
【0050】
(30)さらに、本発明に係る電子機器は、前記照明手段を備えた表示装置と、前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段と、前記照明手段を制御する照明制御手段とを有することを特徴とする。特に、表示駆動手段と照明駆動手段とが連動して動作するように構成すれば、照明手段を非点灯状態にすると同時に、透過偏光軸可変手段を制御することにより光遮断状態とすることができる。従って、ミラーモードにおいて光漏れを低減することが可能になり、その鏡面状態をさらに良好な態様で構成可能となる。
【0051】
(31)また、上記構成の電子機器においては、前記表示装置の動作を操作できる、又は前記表示装置の表示にデータ入力を行える入力部を行える入力部をさらに備え、該入力部を操作することによって前記表示モード実現手段又は前記ミラーモード実現手段を選択的に作動させることが望ましい。
【0052】
このように、電子機器の入力部を操作することによって表示モードとミラーモードとを切換えできるようにすれば、観察者の思いのままに表示モードとミラーモードのいずれかをいつでも実現できる。ここで、入力部としては、データ入力キーボタン等といった各種操作ボタン、電源スイッチ等といった各種操作スイッチ、操作ダイヤル等といった操作部材を挙げることができる。
【0053】
(32)上記の各表示装置において、前記表示手段や前記透過偏光軸可変手段は電気光学装置、例えば液晶装置、有機EL装置、によって構成されることが好ましい。こうすれば、薄型構造が可能になり、携帯機器等にも適用可能な表示装置が実現できる。特に、本発明の表示装置は切換えによりミラーモードにおいて表示画面を鏡面状に構成することが可能であるため、携帯機器によって手鏡としても利用できる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る表示装置及び電子機器を実施形態を挙げて説明する。
【0055】
(表示装置の第1実施形態)
図1は、本発明に係る表示装置の一実施形態を示している。ここに示す表示装置100Aでは、観察側(すなわち、図の上方)から順に、第1偏光選択手段としての反射型偏光板110と、第3偏光選択手段としての吸収型偏光板120と、位相差板130と、透過偏光軸可変手段としての液晶パネル140と、第2偏光選択手段としての吸収型偏光板150と、照明手段としてのバックライト160とが配置されている。
【0056】
なお、本発明における「第1偏光を供給できる表示手段」は、本実施形態では、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160から成る表示光学系によって構成されている。
【0057】
反射型偏光板110は、その透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分を透過し、透過偏光軸と交差する方向、望ましくは直交する方向に平行な振動面を有する偏光成分を反射する機能を有する。この反射型偏光板としては、例えば、▲1▼国際出願公開WO95/27919号に記載された、複数種類の相互に異なる複屈折性の高分子フィルムを積層した積層体や、▲2▼コレステリック液晶の表面に1/4波長板を配置した構造等を用いることができる。上記の積層体としては、例えば、3M社により提供されるDBEFという商品名の積層フィルムがある。
【0058】
吸収型偏光板120及び150としては、その偏光透過軸と平行な振動面を有する偏光成分を透過し、偏光透過軸と交差する方向、望ましくは直交する方向に平行な振動面を有する偏光成分を吸収する公知の吸収型偏光板が用いられる。偏光板120と偏光板150は、液晶装置の構成上必要な配置、例えば液晶パネル140が90°のツイスト角を有するTN(Twisted Nematic)液晶セルである場合にはニコル配置に設定される。
【0059】
吸収型偏光板120は、その偏光透過軸が反射型偏光板110の偏光透過軸と一致するように配置される。ここで、反射型偏光板110の偏光透過軸と吸収型偏光板120の偏光透過軸との交差角は必ずしも0°である必要はないが、交差角が大きくなるに従って表示のコントラストは低下するので、例えば交差角が15°以下であることが望ましく、特に5°以下であることが望ましい。
【0060】
吸収型偏光板120は、光学的には省略することができる。但し、反射型偏光板110の偏光選択度は一般に吸収型偏光板に比べて低いため、偏光板120を省略すると、表示モードにおけるコントラストが低下する。逆に言えば、反射型偏光板110の偏光選択度が問題にならないのであれば、表示手段に含まれる吸収型偏光板120は省略できる。この場合、吸収型偏光板120の機能は、反射型偏光板110によって果たされる。
【0061】
なお、吸収型偏光板120を省略できるということは、以下に説明する各実施形態であって、吸収型偏光板120を含む全ての実施形態にも同様に言えることである。
【0062】
また、吸収型偏光板150としては、上記のような吸収型偏光板ではなく、反射型偏光板110と同様に構成された反射型偏光板を用いることも可能である。また、位相差板130は、特に液晶パネル140がSTN(Super Twisted Nematic)モードである場合には、表示の着色を低減するための光学補償板として機能する。また、位相差板130は、液晶表示の視野角依存性を向上させる視角補償板として機能するように構成することもできる。なお、位相差板130を設けなくても表示自体は可能である。
【0063】
液晶パネル140は、ガラスやプラスチック等といった透明基板で構成される2枚の基板141及び142を含む。基板141の内面上にはカラーフィルタ144が形成されている。カラーフィルタ144には、例えば、赤、緑、青等といった複数色の着色層が所定の配列パターン(例えば、ストライプ配列、デルタ配列、斜めモザイク配列等)で配列される。
【0064】
これらの着色層は透明な保護膜151で覆われることが望ましい。カラーフィルタ144上には、ITO(Indium Tin Oxide)等で構成された透明電極145が着色層の配列に対応した配列で形成されている。透明電極145上には、ポリイミド樹脂等で構成される配向膜146が形成されている。また、基板142の内面上には、上記透明電極145及び上記配向膜146と同様の透明電極147及び配向膜148が形成されている。
【0065】
上記一対の基板141及び142の素材としては、ガラスや、石英を用いたり、樹脂を用いたり、あるいは、一方にガラスを用い他方に樹脂を用いたりすることができる。特に、基板141及び142の素材として樹脂材料を用いれば、表示装置の薄型化を図ることができると共に、耐衝撃性の向上を図ることもできる。
【0066】
基板141と基板142はシール材143を介して貼り合わされ、その内部に液晶149が層として配置されている。このようにして構成された液晶パネル140の液晶モードとしては、TNモード、STNモード、ECB(ElectricallyControlled Birefringence)モード等が望ましい。これらの液晶モードによる表示においては、いずれも偏光板を用いて表示を実現するように構成されているため、比較的低い駆動電圧で高い表示品位を得ることができ、特に携帯型電子機器に搭載する場合に望ましい。
【0067】
また、液晶パネル140の駆動モードとしては、TFT(Thin Film Transistor)やTFD(Thin Film Diode)等といった能動素子を用いたアクティブマトリクス駆動等といったアクティブ駆動モードと、能動素子を用いない単純駆動又はマルチプレックス駆動等といったパッシブ駆動モードのいずれであっても良い。
【0068】
さらに、液晶パネル140は、本実施形態の場合、内部や外部に反射層や反射板を備えていない透過型パネルである。すなわち、本実施形態では、反射型パネルや反射半透過型パネルのように画素内において外光を観察側に反射させるための光反射要素(すなわち、反射面)を備えていない。ここで言う光反射要素とは、表示に寄与する領域(すなわち、画素内)に存在する光反射機能を有する要素を言い、表示に寄与しない金属遮光層等を含まない概念である。もちろん、金属遮光膜等といった表示に寄与しない光反射要素についても存在しないことが望ましい。
【0069】
バックライト160は、背後から液晶パネル140に対してほぼ均一な照度で照明を行うことができるものであれば良い。例えば、導光板と、この導光板の端面部に配置された光源とを含む端面発光型のバックライトや、導光板と、この導光板の背面に配置された光源とを含む背面発光型のバックライト等が挙げられる。
【0070】
図1の実施形態では、バックライト160は、光源161と、この光源161を端面に対向して配置させた導光板162とを備えている。導光板162には、光源161から導入された光を液晶パネル140側にほぼ均一に導くための金属層や印刷層等といった光反射要素又は光散乱要素163が設けられることが望ましい。
【0071】
偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160によって構成された表示手段では、電極145と電極147との交差部分、すなわち表示の最小単位である表示ドットが観察側から見てマトリクス状に配列し、これらの表示ドットの集まりによって表示領域Vが構成される。表示手段は、基本的に、この表示領域Vの範囲内において第1偏光のみを出射する。表示モードにおいては、液晶パネル140内に構成された複数の表示ドットについてそれぞれ第1偏光の出射の有無又は第1偏光の出射量が制御され、その結果、希望する画像が表示領域Vの範囲内において図1の上側である観察側に表示される。
【0072】
図2は、図1の表示装置100Aの動作を制御する制御装置を機能ブロック図の形で示している。この制御装置は、図1の表示領域V内に像を表示させる表示モードを実現する表示モード実現手段301と、表示領域Vを鏡として用いるミラーモードを実現するミラーモード実現手段302と、表示モード実現手段301又はミラーモード実現手段302を選択的に動作させるモード選択手段303とを有する。
【0073】
これらの手段301,302及び303は特定の機能を実現するための手段であって、具体的には、例えば、CPUを含んで構成されたコンピュータによってそれぞれの機能として実現できる。また、これらの手段は、コンピュータを含まない制御回路によって構成することもできる。また、これらの手段はそれぞれを単独の回路によって構成しても良く、あるいは、共通の回路を別々の手段として機能させるようにしても良い。
【0074】
記憶媒体304の所定領域には、例えば、図1に示すようなミラー領域M及び照明領域Lを特定するためのデータが、表示領域Vに関連する形で記憶されている。照明領域Lは表示領域Vの周囲に枠状に設定された領域である。また、ミラー領域Mは、表示領域Vに対して照明領域L分だけ狭い領域である。
【0075】
図2において、表示モード実現手段301には表示データ供給手段306が接続される。この表示データ供給手段306は表示領域V内に表示したいと希望する情報を液晶パネル140に適した形式で表示モード実現手段301へ伝送するための機能実現部である。
【0076】
以下、図3に示すフローチャートを参照して、図2に示す制御装置の動作を説明する。まず、表示装置100Aを操作するオペレータによってスタートが指示されると、制御装置は図3のステップS1において各構成機能部分を初期設定して始動に備える。その後、キーボードその他の操作入力手段を介してオペレータによって表示モードが指示されると、図3のステップS2においてそのことがチェックされ(ステップS2でYES)、ステップS3へ進んで図2の表示モード実現手段301が選択される。すると、ステップS4へ進んで、図1の表示領域Vの範囲内で、図2の表示データ供給手段306から送られた情報に基づいて、希望の表示、例えば携帯電話機や携帯情報端末機等といった各種電子機器に関する情報の表示が行われる。
【0077】
一方、キーボードその他の操作入力手段を介してオペレータによってミラーモードが指示されると、ステップS2及びステップS5においてそのことがチェックされ(すなわち、ステップS2でNO、ステップS5でYES)、ステップS6へ進んで図2のミラーモード実現手段302が選択される。すると、図1の表示装置100Aのミラー領域Mを鏡として用いるモードが実行される。
【0078】
具体的には、図3のステップS7において、図2のミラーモード実現手段302は図1の表示領域V内を、図2の記憶媒体304に記憶されたデータに基づいて、ミラー領域Mと照明領域Lとに区分けし、ミラー領域Mに対応する液晶パネル140の部分を第1偏光を出射しない状態セットする。また、ステップS8において、照明領域Lに対応する液晶パネル140の部分を第1偏光を出射する状態にセットする。これらは、各部分に対応する情報ドットに印加する電圧を制御することによって行われる。
【0079】
なお、ミラーモード時にバックライト160から出射される光の強度φ2は、表示モード時にバックライト160から出射される光の強度φ1よりも大きくなるように設定されている。このような光強度の調節は、例えば、バックライト160内の光源161へ供給する電流を制御することによって行うことができる。ミラーモード時におけるバックライト160の光強度を表示モード時におけるバックライト160の光強度よりも大きくすれば、鏡面として機能するミラー領域Mを明るく表示できる。
【0080】
以上のようにして図1のミラー領域Mが第1偏光を出射しない状態にセットされると、この領域に対応する部分の反射型偏光板110の観察側には光が出ないので、このミラー領域Mは反射型偏光板110の性質に従って反射板として機能し、これにより、ミラー領域Mを鏡として使用できる。
【0081】
このとき、照明領域Lは第1偏光を出射する状態にセットされるので、こうして出射された第1偏光は反射型偏光板110を透過して外部へ出射する。こうして照明領域Lから出た光は、ミラー領域Mの周りを明るく照明し、これにより、ミラー領域M内に明るい鏡像を映し出すことができる。
【0082】
なお、ステップS7において、ミラー領域Mで第1偏光を出射しないようにするための方法としては、例えば、第1偏光は出射しないがそれ以外の偏光成分は出射される状態にある場合や、全ての光が出ないように遮光を行う場合が考えられる。ミラー領域Mを鏡として機能させるためには、そのミラー領域Mから光が完全に漏れ出ない方が良い。この観点からすれば、ミラー領域Mで第1偏光を出射しないようにするステップS7では、ミラー領域Mに対応する部分の液晶パネル140を遮光状態に設定することが望ましい。
【0083】
また、ミラーモード時、ミラー領域Mの位置及び面積並びに照明領域Lの位置及び面積は時間的に変化しないことが望ましい。ミラー領域M及び照明領域Lが経時的に変化するようであると、表示装置100Aを鏡として使用することに関して不便であると考えられるが、これらの領域の形状等を経時的に変化しないように制御すれば、オペレータは、ミラーモード時において、常に一定の領域を鏡として使用でき、さらに、常に一定の領域から出射する照明光によって照明を受けることができる。
【0084】
なお、何等かの特別な効果を狙う場合には、ミラー領域M及び/又は照明領域Lの形状や面積を故意に経時的に変化させることも可能である。こうすれば、鏡面となる領域の形状や面積が経時的に変化することになる。
【0085】
図1において、表示装置100Aには、表示モード時の使用状態において外光R0が観察側から入射する。その外光R0のうち、反射型偏光板110の偏光透過軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は反射型偏光板110を透過して内部へ導入される。一方、反射型偏光板110の偏光透過軸と直交する振動面を有する偏光成分R2は、反射型偏光板110で反射して観察側へ戻る。
【0086】
バックライト160の光出射面160aから面状の光が放出される場合、その光は、吸収型偏光板150を通過して直線偏光になり、液晶パネル140にてその偏光状態が変換されるか、あるいは、そのまま変換されること無く通過し、偏光板120においてその偏光透過軸に平行な振動面を有する偏光成分のみが出射される。この偏光成分は反射型偏光板110もそのまま透過し、観察側において視認される。従って、液晶パネル140が画像を表示する状態にあれば、その表示画像に応じて形成される透過領域において光は液晶パネル140を透過し、さらに反射型偏光板110を透過して透過光Tとして視認される。
【0087】
ここで、表示モードにおいては、透過光Tによって文字、数字、図形等といった像が表示されるが、そのとき、外光R0に起因する反射光R2が存在するため、表示された像の視認性が低下するように思われる。しかし、外光R0は通常、主として観察者の観察方向とは異なる方向から表示装置100Aに入射するので、反射型偏光板110にて生じる反射光R2、すなわち正反射光、のうち観察者の目に直接に入射する光量は少なく、大部分は図示のように観察者の目とは異なる方向に反射されていく。従って、透過光Tが十分に強ければ、反射光R2による表示画像の視認性の低下は限定されたものとなる。
【0088】
一方、ミラーモードにおいては、ミラー領域M内では液晶パネル140が光遮断状態となることにより、透過光Tはほとんど存在しなくなる。このため、反射光R2が強く感じられることになり、表示面全体が鏡状に視認される。
【0089】
本実施形態では、観察側に反射型偏光板110を配置したので、ミラーモード時においてミラー領域Mの範囲内に極めて良好な鏡面状態を得ることができる。さらに、反射偏光板110の観察側に他の液晶パネルが存在しないので、表示モード時における表示画像に与える影響が低減され、表示品位を良好に保つことができる。また、2層のパネル構造を有しないので、表示装置を薄型化及び軽量化できる。
【0090】
次に、反射型偏光板110の観察側の表面は平坦であることが望ましい。こうすれば、ミラーモード時における鏡面表示状態の品位を高めることができる。またさらに、反射型偏光板110の表面が平坦でない場合に生じ得る不都合、例えば、表示モード時に光強度の高い外光R0の正反射光R2が観察者の目に入り易くなるといった事態が発生しなくなるため、表示モード時に表示される画像の視認性の低下を防止できる。なお、反射型偏光板110の観察側の表面は、特に、可視光領域において光学的に平坦(すなわち、オプティカルフラット)であることが望ましい。
【0091】
以上のように本実施形態では、ミラーモード時に、ミラー領域以外に照明領域が設定され、この照明領域内では第1偏光が出射される。この第1偏光は偏光選択手段を透過して観察側へ出射して、上記のミラー領域の前方を照明する。これにより、鏡面として機能しているミラー領域の前方にある鏡像、例えば観察者の顔等を明るく照明できる。このように、ミラーモード時の照明手段として、特別な照明手段を用いるのでなく、表示モード時に使用する照明装置を兼用するようにしたので、部品コスト、製造コスト、維持コスト等といった経費が高くなることがない。
【0092】
(表示装置の第2実施形態)
図4は、本発明に係る表示装置の他の実施形態を示している。この表示装置の機械的な構成は図1と同じにすることができる。図1から図3に示した実施形態では、液晶パネル140の表示領域Vをミラーモード実現手段302によってソフト的にミラー領域Mと照明領域Lとに区分けした。そして、表示モード時には表示領域Vの範囲内に希望の像、例えば電子機器で必要となる情報、を表示した。また、ミラーモード時にはミラー領域Mを鏡面とし、照明領域Lから照明光として第1偏光を出射させた。
【0093】
これに対し、図4に示す本実施形態では、液晶パネル140の表示領域Vを予め、中央領域である表示又はミラー領域Mv及び周辺の枠状領域である照明領域Lに分けておき、それぞれに、ドライバ回路139a及び139bを独自に割り当ててある。なお、表示又はミラー領域Mvを構成する複数の表示ドットと照明領域Lを構成する複数の表示ドットは同じ構成であっても、あるいは、必要に応じてそれらを異なる構成にしても良い。本実施形態では、表示又はミラー領域Mvを構成する複数の表示ドットと照明領域Lを構成する複数の表示ドットは同じ構成であるものとする。
【0094】
本実施形態では、オペレータによって表示モードが選択されると(図5のステップS12でYES)、図4のモード選択手段303によって表示モード実現手段301が選択され(図5のステップS13)、これにより、液晶パネル140の表示又はミラー領域Mvの範囲内に希望の像、例えば携帯電話機等といった電子機器で必要となる情報を表示する(図5のステップS14)。このとき、液晶パネル140の照明領域Lの範囲内は第1偏光を表示しない状態に設定される。これにより、オペレータは、携帯電話機等に関する情報を表示又はミラー領域Mv内で視認できる。
【0095】
一方、オペレータによってミラーモードが選択されると(図5のステップS16でYES)、図4のモード選択手段303によってミラーモード実現手段302が選択され(図5のステップS17)、これにより、液晶パネル140の照明領域Lの範囲内で第1偏光が出射され(図5のステップS18)、さらに、表示又はミラー領域Mvの範囲内では第1偏光が出射されない状態にする(図5のステップS19)。これにより、オペレータは、液晶パネル140の表示又はミラー領域Mvを鏡として使用できる。そしてこのとき、照明領域Lからの出射光が照明光として機能して、鏡面付近を明るく照明する。
【0096】
なお、表示又はミラー領域Mvに対応する液晶パネル140の表示ドットと照明領域Lに対応する液晶パネル140の表示ドットとは、上記の通り、互いに同じ構成とすることができるし、あるいは、互いに異なる構成とすることもできる。両者を異なる構成とする場合には、例えば、照明領域Lに対応する表示ドットの面積を表示又はミラー領域Mvに対応する表示ドットの面積よりも大きく設定することが望ましい。こうすれば、ミラーモード時における照明領域Lからの照明光の光強度を強くすることができる。
【0097】
(変形例)
図1の実施形態では、照明光を発生するための照明領域Lは、表示領域Vの周辺の枠状領域の全部とした。しかしながら、照明領域Lは、枠状領域の任意の一部とすることもできる。
【0098】
また、照明領域Lは、図6(a)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の上下対称部分とすることもできるし、図6(b)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の左右対称部分とすることもできるし、図7(a)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内のコ字状部分とすることもできるし、あるいは、図7(b)に示すように表示領域Vの周辺の枠状領域内の斜め対称部分とすることもできる。
【0099】
さらに、図1の実施形態では、反射型偏光板110を表示領域Vと同じか、あるいはそれよりも少し広い大きさに設定した。こうすれば、液晶パネル140の表示領域Vから出射する偏光はその全てが反射型偏光板110に当ることになる。これに対し、反射型偏光板110の大きさは、図9に示すように、表示領域Vよりも小さく、しかし、ミラー領域Mと同じか、あるいはそれよりも広く設定できる。こうすれば、液晶パネル140の照明領域Lから出射する偏光、すなわち照明光を反射型偏光板110に当てることなく外部へ出射できるので、強度の強い照明光が得られる。
【0100】
(表示装置の第3実施形態)
次に、図10を参照して、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態について説明する。この実施形態で、図1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0101】
本実施形態の表示装置100Bでは、観察側から順に、反射型偏光板110、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150、バックライト160が配置されることにおいて図1の表示装置100Aと同じである。そして、偏光板150とバックライト160との間に反射型偏光板170が配置され点が異なっている。この反射型偏光板170は、反射型偏光板110と同じものであるが、その透過偏光軸が偏光板150の透過偏光軸と一致する姿勢で配置されている。
【0102】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0103】
図10に戻って、反射型偏光板170は、バックライト160から出射された照明光のうち、偏光板150を透過しない偏光成分をバックライト160側に反射する。この反射された偏光成分は、導光板162内に入射し、少なくとも一部の偏光状態が変化して再び観察側に反射され、その一部が反射型偏光板170及び偏光板150を透過し、透過光Tの一部となる。これにより、図1の表示装置100Aでは表示に利用されなかった光の一部を再利用することが可能となるため、表示画像の明るさを向上でき、表示モードの表示品位を高めることができる。
【0104】
なお、本実施形態では、偏光板150を省略して反射型偏光板170のみで表示手段を構成することもできる。但し、この場合には、反射型偏光板170の偏光選択度(すなわち、透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分の透過率、あるいは、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分の反射率)が吸収型偏光板に比べて低いことから、表示のコントラストが低下したり、表示の明るさが低下したりする。
【0105】
また、外光R0のうち、観察側の反射型偏光板110を透過した光の少なくとも一部(例えば、光遮断状態にある表示ドットに入射する光)が反射型偏光板170において反射されてしまうおそれがあり、その反射によって表示画像の視認性が低下することも考えられる。
【0106】
(表示装置の第4実施形態)
次に、図11を参照して、本発明に係るさらに他の実施形態について説明する。この実施形態では、図1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0107】
本実施形態の表示装置100Cでは、図10の表示装置100Bと同様に、観察側から順に、反射型偏光板110、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150、反射型偏光板170、バックライト160が配置されている。そして、図2の表示装置100Bとは異なって、表示装置100Cでは、反射型偏光板110の観察側の表面上に、透明な保護膜111が形成されている。
【0108】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0109】
保護膜111は、アクリル樹脂、SiO2、TiO2等の薄膜で構成できる。特に、SiO2、TiO2等といった無機ガラスと同等以上の硬度を有する硬質保護膜であることが好ましい。保護膜111は、透明な素材で構成されたフィルムやシート等を貼着したものであっても良く、反射型偏光板110の表面上に、塗布、蒸着、スパッタリング等により直接に成膜したものであっても良い。
【0110】
本実施形態では、反射型偏光板110の観察側の表面上に透明な保護膜111を設けたので、反射型偏光板110の表面に傷が付いたり、異物が付着したりすることを防止でき、よって、特に鏡面状態を良好に構成できる。
【0111】
(表示装置の第5実施形態)
図12は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Dでは、反射偏光板110の観察側に透明板180を配置する。そして、この透明板180に反射偏光板110を密着させた状態としている。この透明板180としては、例えば、携帯電話機、携帯情報端末機等といった電子機器の表示部の表示窓部材(すなわち、外部に露出する表示窓)が挙げられる。
【0112】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0113】
透明板180は、アクリル樹脂やガラス等といった透明素材で構成できる。反射偏光板110は、例えば、透明接着剤181を用いて透明板180に接着される。ここで、透明板180の背面部(図12の下側)の表面は平坦に構成されており、これによって、密接された反射偏光板110の観察側の表面が平坦に構成されている。
【0114】
偏光板120及び位相差板130も、また、透明板180に対して、反射偏光板110と共に直接に又は間接的に固定される。例えば、反射偏光板110に偏光板120が接着され、さらに、偏光板120に対して位相差板130が接着される。
【0115】
液晶パネル140及びバックライト160は、透明板180又はこれに固着された偏光板120や位相差板130に対して固着されていない。この場合には、液晶パネル140を透明板180とは別に機器の内部(例えば回路基板上等)に固定し、液晶パネル140と、透明板180に固着された積層構造との間に隙間が設けられるようにすることができる。
【0116】
こうすると、液晶パネル140と、反射偏光板110を含む積層構造とが別々に機器内に設置されるので、製造工程における製品の歩留まりを向上できる。もちろん、透明板180に対して液晶パネル140や偏光板150をも一体に固定することもできる。
【0117】
なお、偏光板150は、液晶パネル140の背面側の基板141の外面上に接着されることが好ましい。また、液晶パネル140とバックライト160とは、図12では間隙をおいて配置されているが、相互に密接又は接着された状態とされていても良い。すなわち、導光板162の観察側に偏光板150が密接又は接着されていても良い。
【0118】
(表示装置の第6実施形態)
図13は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Eでは、図12の表示装置100Dと同様の透明板180が設けられている。そして、この透明板180に対して、アクリル樹脂等といった透明接着剤181を介して反射偏光板110が接着されている。透明板180の背面側の表面は平坦に構成され、この表面に固着された反射偏光板110は図12の実施形態と同様の作用効果を示す。
【0119】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0120】
この実施形態においては、反射偏光板110と共に、偏光板120、位相差板130、液晶パネル140及び偏光板150が透明板180に対して固着された状態になっている。透明接着剤181は、0.3mm以上の厚さに形成されていることが好ましい。これにより、透明板180が電子機器のケース体等に固定されている場合に、透明板180と液晶パネル140との間の固定構造に十分な弾性を持たせることが可能になるので、液晶パネル140を衝撃等から保護することができる。
【0121】
(表示装置の第7実施形態)
図14は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Fでは、透明板190に反射偏光板110を密接させてある。反射偏光板110は透明板190に固着されている。特に、反射偏光板110は図13の実施形態と同様の接着剤191を介して透明板190に接着されることが好ましい。
【0122】
この透明板190は図13の実施形態に示す透明板180と同様の材質によって構成できる。透明板190の背面側の表面は平坦に構成され、この表面に固着された反射偏光板110は図13の実施形態と同様の作用効果を示す。また、偏光板120及び位相差板130は、反射偏光板110に対して密接された状態となっている。これらもまた、粘着層や接着剤と介して相互に固着されていることが好ましい。
【0123】
液晶パネル140には、偏光板150及び反射偏光板170が固着された状態になっている。偏光板150及び反射偏光板170は、粘着層や接着剤を介して相互に固着されることが好ましい。
【0124】
透明板190は、観察側の表面のうち、少なくとも表示領域に対応する表面部分が曲面190Aとなっている。これにより、透明板190は光学レンズと同様の機能を有することになり、表示装置100Fによって構成される表示画面を拡大又は縮小した状態で視認することが可能になる。例えば、図示のように曲面190Aが凸曲面に構成されれば、表示画面を拡大した状態で視認することが可能になるので、表示装置の表示領域が小さい場合に文字等を拡大して視認性を向上できる。
【0125】
なお、この場合にも、透明板190に対して、反射偏光板110だけでなく、偏光板120や位相差板130を透明板190に固着できる。また、図13の実施形態と同様に、液晶パネル140や偏光板150(さらには反射偏光板170)も一体的に透明板190に固着させることもできる。
【0126】
なお、表示モード及びミラーモードを実施するための構成は、図1から図3に示した構成でも良いし、図4及び図5に示した構成でも良い。
【0127】
(表示装置の第8実施形態)
図15は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置100Gは、図12に示した実施形態と同様の透明板180の背面側に反射偏光板110が密接されている。反射偏光板110は、図12の実施形態と同様の透明接着剤181を介して透明板180に対して接着されている。本実施形態では、透明板180に対して固着されているのは反射偏光板110だけであり、表示手段を構成する偏光板120、位相差板130、液晶パネル140及び偏光板150並びにバックライト160は、透明板180及び反射偏光板110に対して間隙をおいて配置されている。
【0128】
この実施形態では、表示手段は通常の各種電子機器と同様に内部に固定し、その表示手段の観察側に配置された透明板180の内面上に反射偏光板110を固着させてある。従って、通常の表示手段を内蔵した電子機器と全く同様の構成とし、透明板180の内面に反射偏光板110を固着させるだけで、本発明に係る表示装置を実現できるため、極めて簡単に且つ低コストで製造できる。
【0129】
(表示装置の第9実施形態)
図16は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示している。ここに示す表示装置200においては、観察側から、反射型偏光板210、偏光板220、位相差板230が順次に配置され、これらの背後に透過偏光軸可変手段としての電気光学装置であるエレクトロルミネッセンスパネル(以下、単にELパネルという)240が配置されている。反射型偏光板210及び偏光板220は以上の各実施形態と全く同様のものである。本実施形態において、位相差板230は1/4波長板である。
【0130】
ELパネル240においては、基板241上に、ITO等といった透明導電体等によって電極242が形成され、この電極242上に発光体244が形成されている。さらに、この発光体244の上には対向電極245が形成されている。この対向電極245は、好ましくはアルミニウムその他の金属で構成される反射電極として構成される。
【0131】
なお、本実施形態では、ストライプ状に複数並列する帯状の電極242と、同様にストライプ状に複数並列する帯状の対向電極245とが相互に直交する態様で対向配置されている例(すなわち、パッシブマトリクス駆動方式に対応する電極構造)を示してあるが、その電極構造は任意であり、アクティブマトリクス駆動方式に対応する電極構造等、表示に必要な適宜の電極構造を有していれば良い。
【0132】
図17は、ELパネル240における3つの表示ドット部分の断面構造を示している。図17に示すように、ELパネル240は、発光体244R、244G、244Bを形成することにより、カラー表示可能に構成されている。これらの発光体244R、244G、244Bは、正孔注入層244Aと、R色発光層244r、G色発光層244g又はB色発光層244bとによって構成される。
【0133】
正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニン等といったフタロシアニン系化合物や芳香族アミン系化合物等が挙げられる。また、発光層の材料としては、ジスチリルベンゼン誘導体(青色発光)等といった芳香族環化合物、金属錯体系の8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体(Alq錯体)による有機蛍光体等といった複素環化合物、Alq錯体の誘導体の一種で、ヒドロキシキノリンの1つがトリフェニルシリカノール(Si化合物)に置換されて配位している混合配位錯体(青緑色発光)等といった特殊元素含有化合物が挙げられる。その他、青色以外の発光材料として、赤色のニトロベンゾチアゾールアゾ化合物、赤色のユーロビウム錯体、黄色のジスチリルピラジン、緑色の芳香族ジメチリディン等が挙げられる。
【0134】
発光体244Rは、正孔注入層244A、R色発光層244r及びB色発光層244bで構成され、B色発光層244bは平坦性を確保する層及び電子注入輸送層として機能する。また、発光体244Gは正孔注入層244A、G色発光層244g及びB色発光層244bで構成され、B色発光層244bは平坦性を確保する層及び電子注入輸送層として機能する。さらに、発光体244Bは正孔注入層244A及びB色発光層244bで構成される。
【0135】
基板241上に絶縁樹脂(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミド等)でバンク243を形成し、このバンク243によって仕切られた各画素領域内に上記の各発光体を形成する。このような構成を採用することにより、上記各種の材料に溶媒を添加すること等により、液状化した液状材料を液滴吐出によって各画素領域に配置し、その配置された液状材料を乾燥又は硬化させることによって各発光体を形成することができる。
【0136】
ELパネル240の電極242と対向電極245との間に所定の電圧を印加することにより、各発光体を発光させることができる。そして、各発光体から放出された光は、位相差板230を通過し、その後に偏光板220に入射し、偏光板220の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分は透過し、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分は吸収される。さらに、偏光板220を透過した偏光成分は、第1偏光選択手段である反射型偏光板210に入射する。
【0137】
ここで、反射型偏光板210は偏光板220の透過偏光軸と同じ方向に透過偏光軸を向けて配置されているため、偏光板220を透過した偏光成分はそのまま反射型偏光板210を透過して透過光Tとして観察側において視認される(表示モード)。
【0138】
一方、外光R0が表示装置200に入射すると、反射型偏光板210の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は透過するが、透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分R2は反射される。この反射される偏光成分R2は、上記表示モードにおいてELパネル240から出射された表示光が反射型偏光板210を透過する場合には目立たず、ELパネル240の表示光によって構成される適宜の表示画像が視認される。
【0139】
しかし、ELパネル240の発光を停止し、反射型偏光板210の背後から光が出射しないように構成すると、反射型偏光板210の外光反射による視認態様が支配的になり、表示画面が鏡状に視認される(ミラーモード)。
【0140】
なお、外光R0のうち、反射型偏光板210の透過偏光軸と平行な振動面を有する偏光成分R1は、そのまま反射型偏光板210及びこれと同じ方向に透過偏光軸を有する偏光板220を透過し、位相差板230に入射する。位相差板230では、この偏光成分は1/4位相が進んで、例えば右回りの円偏光となり、ELパネル240内に入射して反射電極245にて反射される。
【0141】
この反射光は左回りの円偏光となるので、再び位相差板230を透過することにより、反射型偏光板210及び偏光板220の透過偏光軸と直交する振動面を有する偏光成分となる。従って、この偏光成分はそのまま偏光板220にて吸収され、観察側には放出されない。
【0142】
従って、外光R0のうち、反射型偏光板210の表面にて反射される偏光成分R2以外の偏光成分が観察側に戻ってくることは無いので、表示モードにおいては、観察される外光の量を低減できることから、視認性の悪化を低減できると共に、ミラーモードにおいては、反射型偏光板の表面以外で反射される反射光を無くすことができることから、ブレがなく、見易いミラー状態を実現できる。
【0143】
(表示装置の第10実施形態)
図18は、本発明に係る表示装置で用いることができる照明装置の発光特性の一例を示している。この発光特性を有する照明装置は、以上に説明した各表示装置を構成する照明装置160として好適に用いることができる。
【0144】
図18は、照明装置の輝度の出射角分布を示すグラフである。本実施形態では、表示画像の視認性を高めるために、表示画像の法線方向(すなわち、出射角=0°)を中心とした低出射角範囲で強い輝度を有し、法線方向から離れた高出射角範囲で低い輝度を有するバックライトが望まれる。ここで、低出射角範囲とは、例えば出射角が0°〜40°の範囲を言い、高出射角範囲とは、例えば出射角が40°を越える範囲を言う。図18の例では、出射角が0°の光について見ると、約2000cd/m2の輝度が得られるが、出射角が50°の光については20〜30cd/m2の輝度まで低下している。
【0145】
本実施形態のように、照明手段であるバックライトからの照明光の出射角分布において、低出射角範囲では光量が多く、高出射角範囲では光量が少なくなるように構成することにより、表示モードにおいて観察者の目に入る透過光Tの光量を増加させることができるため、反射光R2による表示画面の視認性の低下をさらに抑制することができる。
【0146】
ここで、表示モードにおける表示画面の視認性を向上させると共に、バックライトの光量を抑制して消費電力を低減するためには、バックライトの光出射特性を、出射角が40°を超える高出射角範囲で、法線方向の輝度(光量)の1/5以下の輝度(光量)となるように構成することが好ましい。
【0147】
なお、上記のようなバックライトの照明光の出射角分布は、導光板162の形状、光反射要素又は光散乱要素163の構造、別途設けられたフィルタや散乱板(拡散板)等によって適宜に構成することができる。
【0148】
上記のバックライトの照明光の出射角分布は、そのまま、図16の実施形態のELパネル240における表示光の出射角分布に適用することができる。すなわち、ELパネル240の表示光の出射角分布を図18に示すように構成することにより、消費電力を増大させること無く表示光を効率的に視認できるように構成できると共に、反射型偏光板による正反射光が存在するにも関わらず、表示モード時における視認性を向上させることができる。
【0149】
(表示装置の第11実施形態)
図8は、本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示しており、特に制御部分の構成を示している。この実施形態における機械的な構成は図1に示す構成を用いることができる。ここに示す制御回路は、機能的には、図2又は図3に示した機能ブロック図と同じである。
【0150】
図8において、モード選択手段313、データ供給手段316及び表示駆動制御手段319は、それぞれ、独立した回路によって構成される。また、表示手段320は、例えば、図1における偏光板120、位相差板130、液晶パネル140、偏光板150及びバックライト160から成る表示光学系によって構成される。
【0151】
図8の制御回路では、データ供給手段316及び表示駆動制御手段319の組合わせから成る回路が、文字、数字、図形等といった像を表示する動作形態である表示モードと、表示領域を鏡として機能させる動作形態であるミラーモードとの両方から、希望に応じて任意の一方を選択的に達成する。また、モード選択手段313が、表示モードとミラーモードのいずれを実行するかをデータ供給手段316に指示する。
【0152】
表示モード時における表示手段320の動作、及びミラーモード時における表示手段320の動作は、図2の制御回路又は図4の制御回路に関連して行った説明と同じである。
【0153】
(電子機器の実施形態)
図19及び図20は、本発明を電子機器の一例である携帯電話機に適用した場合の一実施形態を示している。特に、図19はその携帯電話機の電気制御系の構成をブロック図として示しており、図20はその携帯電話機の外観形状を示している。
【0154】
図19において、携帯電話機1000には、表示装置100Hに設けられた液晶パネル140を駆動するための表示駆動部140Xと、バックライト160を制御するための照明制御部160Xと、表示駆動部140X及び照明制御部160Xを制御する制御部100Xとが設けられる。なお、上記構成は機能実現手段の結合といった形で表示制御系を示すものであり、実際の回路構成や回路素子の実装構成を示すものではない。
【0155】
従って、上記の各部は表示装置100H内に全て構成されていても良く、また、表示装置100Hの外部、すなわち、表示装置100H以外の電子機器1000の内部に構成されていても良く、さらには、一部が表示装置100H内に、残りが表示装置100H以外の電子機器1000の内部に構成されていても構わない。
【0156】
表示駆動部140Xは、液晶パネル140の表示領域内に構成された複数の表示ドットをそれぞれに駆動するための駆動電圧を供給するものであり、例えば、マルチプレックス駆動方式やアクティブ駆動方式では、走査信号及びこの走査信号に対応するデータ信号を、液晶パネル140のコモン端子(走査線端子)及びセグメント端子(データ線端子)にそれぞれ同期させて供給する。画像データ等といった表示データは、携帯電話機1000のメイン回路から制御部100Xを介してこの表示駆動部140Xへ送られる。
【0157】
一方、照明制御部160Xは、バックライト160への電力供給を制御し、例えば、バックライト160の点灯状態と消灯状態とを切換える。
【0158】
制御部100Xは、表示駆動部140X及び照明制御部160Xを制御し、各部に対する制御指令やデータ送出等を行う。また、制御部100X、表示駆動部140X及び照明制御部160Xは、機能的には、例えば、図2に示した機能や、図4に示した機能を達成する。つまり、表示装置100Hを表示モードにする場合には、表示駆動部140Xによって液晶パネル140を駆動して表示を行うと同時に、照明制御部160Xによりバックライト160を点灯状態にする。
【0159】
また、表示装置100Hをミラー状態にする場合には、表示駆動部140Xによって液晶パネル140を制御し、ミラー領域では液晶パネル140を含む表示系を第1偏光を透過させない状態に制御し、照明領域では液晶パネル140を含む表示系を第1偏光を透過させる状態に制御する。これにより、照明領域からの光によってミラー領域の周辺を照明しながら、ミラー領域を鏡として使用できる。
【0160】
本実施形態の携帯電話機1000は、図20に示すように、本体部1001と、表示体部1002とを有する。表示装置100Hは、表示体部1002の内部に配置され、表示体部1002にて表示画面1003を視認できるように構成する。こうすると、各種操作や各種状況に応じて、表示画面1003において、適宜の表示画面を視認できるようにしたり、鏡面状態が視認されるようにしたりできる。従って、携帯電話機等といった電子機器1000をミラーとして用いることができる。
【0161】
なお、携帯電話機1000は表示体部1002の内側表面に表示画面1003を有するが、表示体部1002の外側表面には別の表示画面を設けることもできるし、あるいは、特別な表示画面を設けなくても良い。図21は、そのように表示体部1002の外側表面に別の表示画面を設ける場合の他の実施形態を示している。
【0162】
図21に示す携帯電話機2000においては、本体部2001に対して折り畳まれた状態の表示体部2002の外面上に、図20に示すメインの表示画面(例えば、符号1003で示すものと同様のもの)とは別に、もう1つの表示画面2004を設け、この表示画面2004により、表示体部2002を本体部2001から開くことなく、適宜の表示を視認できるように構成しても良い。
【0163】
この場合には、図19に破線で示すメインの表示装置100Jに加えて上記の表示装置100Hを設けることにより、メインの表示画面とは別に、表示画面2004が表示装置100Hにより視認できる構造となる。この実施形態の携帯電話機2000では、折り畳まれた状態にて表示を視認できると共に、折り畳まれた状態でミラーとして用いることができる。
【0164】
携帯電話機1000や携帯電話機2000には、表示モードとミラーモードとを切換えるための専用の、あるいは、他の機能を実現するためのものと兼用の、操作スイッチ、操作ボタン、操作ダイヤル等といった入力部を設けることが好ましい。例えば、携帯電話機1000の本体部1001上に設けた専用あるいは兼用の操作部材を操作することによって、その操作状態が制御部100Xに伝達され、表示モードとミラーモードのいずれにも切換えることができるように構成される。
【0165】
また、携帯電話機2000では、図21に示す折り畳み状態で操作可能な操作部材を設け、この操作部材を操作することによって、その操作状態が制御部100Xに伝達され、表示モードとミラーモードのいずれにも切換えることができるように構成される。入力部を構成する兼用の操作部材としては、例えば、携帯電話機、パソコン等といった各種電子機器におけるデータ入力用キーボタン、電源オン・オフボタン等が挙げられる。
【0166】
なお、図16の実施形態のELパネル240を有する表示装置200を電子機器内に設置した場合には、図16の照明制御部160Xは不要であり、その代わりに、制御部100Xと表示駆動部140Xの機能を含む制御手段によって表示モードにおける所定の表示状態と、ミラーモードにおける鏡面状態とを実現できる。ここで、ミラーモードにおいて、上記の制御手段はELパネル240の発光を停止する。
【0167】
(その他の実施形態)
本発明の表示装置及び電子機器は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることはもちろんである。
【0168】
例えば、上述した実施形態では、電気光学装置の一種である液晶装置に適用した場合について主として説明したが、本発明はこれに限定されず、図16に示すようなエレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、X線シャッタ等を用いた小型テレビ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置等といった各種の電気光学装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す表示装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】図2の制御系によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る表示装置で用いられる制御系の他の実施形態を示す機能ブロック図である。
【図5】図4の制御系によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】ミラー領域及び照明領域の変形例を示す平面図である。
【図7】ミラー領域及び照明領域の他の変形例を示す平面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の他の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図9】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図11】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図16】本発明に係る表示装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図17】図16の表示装置の要部の断面構造を示す断面図である。
【図18】本発明に係る表示装置に適用できる照明装置の発光特性を示すグラフである。
【図19】本発明に係る電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図20】本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る電子機器のさらに他の実施形態である携帯電話機を示す斜視図である。
【符号の説明】
100A〜100J:表示装置、110:反射型偏光板、111:保護膜、120:吸収型偏光板、130:位相差板、140:液晶パネル、150:偏光板、160:バックライト、170:反射型偏光板、180:透明板、190:透明板、200:表示装置、210:反射型偏光板、220:偏光板、230:位相差板、240:ELパネル、1000:携帯電話機(電子機器)、2000:携帯電話機(電子機器)
Claims (32)
- 第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、
表示領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、
前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、
前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、
前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、
前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射する
ことを特徴とする表示装置。 - 請求項1において、前記ミラーモードを実現する手段は、前記ミラー領域において前記表示手段からの光の出射を停止することを特徴とする表示装置。
- 請求項1又は請求項2において、前記ミラー領域の位置及び面積並びに前記照明領域の位置及び面積は時間的に変化しないことを特徴とする表示装置。
- 請求項1から請求項3の少なくともいずれか1つにおいて、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域の一部又は全部であることを特徴とする表示装置。
- 請求項1から請求項3の少なくともいずれか1つにおいて、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域の上下対称部分、左右対称部分又は斜め対称部分であることを特徴とする表示装置。
- 請求項1から請求項3の少なくともいずれか1つにおいて、前記照明領域は前記表示領域の周辺の枠状領域のコ字状部分であることを特徴とする表示装置。
- 請求項1から請求項6の少なくともいずれか1つにおいて、前記ミラーモードを実現する手段は、前記第1偏光の強度を前記表示モード時における強度よりも強くすることを特徴とする表示装置。
- 第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、
表示又はミラー領域及び照明領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、
前記表示又はミラー領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、
前記表示又はミラー領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、
前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、
前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示又はミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射する
ことを特徴とする表示装置。 - 第1偏光を透過すると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する第1偏光選択手段と、
表示領域の範囲内で第3偏光の少なくとも一部を前記第1偏光に変換して出射できる透過偏光軸可変手段と、
前記第3偏光を透過できると共に該第3偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第4偏光を吸収又は反射する第2偏光選択手段と、
前記表示領域内に像を表示させる表示モードを実現する手段と、
前記表示領域を鏡として用いるミラーモードを実現する手段と、
前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に動作させるモード選択手段とを有し、
前記ミラーモードを実現する手段は、前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射せず、前記照明領域内では前記透過偏光軸可変手段は前記第1偏光を出射する
ことを特徴とする表示装置。 - 請求項9において、前記第1偏光選択手段の観察側には他の透過偏光軸可変手段が配置されないことを特徴とする表示装置。
- 請求項9又は請求項10において、前記第1偏光選択手段と前記透過偏光軸可変手段との間に、前記第1偏光を透過すると共に前記第2偏光を吸収する第3偏光選択手段が配置されることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項11の少なくともいずれか1つにおいて、
前記第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段と、
前記第2偏光選択手段と前記照明手段との間に配置された第4偏光選択手段とを有し、
前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を吸収し、
前記第4偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を反射する
ことを特徴とする表示装置。 - 請求項9から請求項12の少なくともいずれか1つにおいて、前記第2偏光選択手段は、前記第3偏光を透過すると共に前記第4偏光を反射することを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項13の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段における観察側の表面は平坦であることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項14の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段における観察側の表面上に透光性の保護膜が設けられることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項11の少なくともいずれか1つにおいて、前記第2偏光選択手段へ光を供給する照明手段を有することを特徴とする表示装置。
- 請求項16において、前記第1偏光選択手段と前記照明手段との間に、表示に寄与する態様で外光を観察側へ反射する光反射要素が配置されないことを特徴とする表示装置。
- 請求項16又は請求項17のいずれか1つにおいて、前記照明手段の照明光の出射角分布では、法線方向に出射される光量が最も多いことを特徴とする表示装置。
- 請求項16から請求項18の少なくともいずれか1つにおいて、前記照明手段の照明光は、主として出射角が0°〜40°の範囲内で分布していることを特徴とする表示装置。
- 請求項16から請求項19の少なくともいずれか1つにおいて、前記照明手段の照明光は、出射角が45°を越える範囲内で法線方向の光量の1/50以下になることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項20の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段よりも背面側にカラーフィルタが配置されることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項21の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段と前記透過偏光軸可変手段の間に位相差板が配置されることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項22の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段の観察側に透明部材が直接又は間接的に密接して配置されることを特徴とする表示装置。
- 請求項23において、前記第1偏光選択手段は、前記透明部材に対して透明物質を介して接着されることを特徴とする表示装置。
- 請求項23又は請求項24において、前記透明部材の前記第1偏光選択手段の側の表面は平坦であることを特徴とする表示装置。
- 請求項23から請求項25の少なくともいずれか1つにおいて、前記透明部材の観察側の表面は曲面であることを特徴とする表示装置。
- 請求項9から請求項26の少なくともいずれか1つにおいて、前記第1偏光選択手段は前記ミラー領域と同じ広さか、あるいは、それよりも広く、且つ前記表示領域よりも狭いことを特徴とする表示装置。
- 第1偏光を透過させると共に該第1偏光の偏光軸に交差する偏光軸を有する第2偏光を反射する偏光選択手段と、
表示領域の範囲内で前記偏光選択手段へ前記第1偏光を供給できる表示手段と、
前記表示領域内の一部をミラー領域とし、他の一部又は全部を照明領域とし、前記ミラー領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射させず、さらに、前記照明領域内では前記表示手段から前記第1偏光を出射するミラーモードを実現する手段と
を有することを特徴とする表示装置。 - 請求項1から請求項8の少なくともいずれか1つに記載の表示装置を有することを特徴とする電子機器。
- 請求項9から請求項11のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段と
を有することを特徴とする電子機器。 - 請求項12又は請求項16から請求項20のいずれか1つに記載の表示装置と、
前記透過偏光軸可変手段を駆動する表示駆動手段と、
前記照明手段を制御する照明制御手段と
を有することを特徴とする電子機器。 - 請求項29から請求項31の少なくともいずれか1つにおいて、情報を入力するための入力部をさらに有し、該入力部を操作することによって前記表示モードを実現する手段又は前記ミラーモードを実現する手段を選択的に作動させることを特徴とすることを特徴とする電子機器。
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