JP2004212644A - 撮影レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な大きさのバックフォーカスを確保しつつ軽量化でき、しかも70度以上の比較的広画角な領域においても良好な結像性能が得られる構成の撮影レンズを提供する。
【解決手段】物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズと像側に隣接した正レンズを含んでなる第1レンズ群G1、絞りS、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズgrからなっており、レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、0.7<bf/f<3.0の条件を満たす構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズと像側に隣接した正レンズを含んでなる第1レンズ群G1、絞りS、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズgrからなっており、レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、0.7<bf/f<3.0の条件を満たす構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD等の固体撮像素子を用いた撮影レンズに関し、特に、比較的画角が大きく、バックフォーカスの長い撮影レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、比較的広画角を撮影可能な撮影レンズは、物体側より負の屈折力を有する第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群を備えた構成を有しており、例えば、下記の特許文献に開示されたもの等が知られている。また、近年の撮影装置(例えばカメラ)に用いられる撮影レンズでは、撮像素子との間にフィルターやプリズム等を配置する必要があるため、十分に大きいバックフォーカスが必要となるものが多い。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−66092号公報
【特許文献2】
特開平10−170818号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された比較的画角の広い撮影レンズにおいては、70度以上の広画角領域では十分なバックフォーカスを確保できない上、色収差(特に歪曲収差)の補正が不充分となって結像性能が低下していた。このため電子画像用カメラ、例えばビデオカメラやディジタルカメラ用の撮影レンズとして用いることは難しかった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、十分な大きさのバックフォーカスを確保しつつ軽量化でき、しかも70度以上の比較的広画角な領域においても良好な結像性能が得られる構成の撮影レンズを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズと像側に隣接した正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、0.7<bf/f<3.0の条件を満たす構成とする。
【0007】
本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができる。
【0008】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズにおける屈折率の分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものであるとともに、屈折率分布型レンズの光軸上における屈折率の変化量は、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間において(すなわち基準線での屈折率の変化量が)0.01以上であることが好ましい。このような構成であれば、これにより撮影レンズ全体のサイズを小さくすることができ、より小型でかつ軽量な構成とすることができる。本発明の実施例では、変化量は線形に変化するデータとして与えているが、非線形(2次ないしは高次項を含む形式等)で与えても同様な効果が得られる。
【0009】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群中のいずれかのレンズが屈折率分布型レンズからなっており、屈折率分布型レンズの物体側の有効径をC、撮影レンズ系全系の焦点距離をfとしたときに、0.5<C/f<5.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、屈折率分布型レンズの製作を容易にしてコストダウンを図ることができる。また、屈折率分布型レンズの有効径内に外部からの有害光が入ることを防止して、フレア等による画質の低下を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズの焦点距離をfaとしたときに、0.5<|fa/f|<8.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、屈折率分布型レンズの製作を容易にすることができる。また、コマ収差や像面湾曲収差の発生を低減して良好な結像性能が得られるようにすることができる。
【0011】
更に、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群中の負メニスカスレンズが非球面形状のレンズ面を有しており、第1レンズ群の焦点距離をf1、絞りの前後に位置するレンズ面同士の光軸上での間隔をdとしたときに、0.1<d/f1<3.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、高次のコマ収差や非点収差、及び像面湾曲の発生を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備えていわゆるレトロフォーカスタイプのレンズを構成している。このため光学系全体の焦点距離に比較して十分なバックフォーカスが確保でき、像面との間にフィルターやプリズム等の光学部材を配置し得るようになっている。このため本撮影レンズは例えばCCDを撮像素子とする電子画像機器等に用いるのに好適である。
【0013】
ここで、第1レンズ群と第2レンズ群との間に絞りが設けられているのは、像面に対して十分に射出瞳を遠くするためである。本撮影レンズと像面との間に色分解プリズムやダイクロイックミラー等の分解光学系が設置される場合には、画面の上部に至る光束と画面の下部に至る光束とがダイクロイックミラー等となす角度は異なってしまい、画面の上下で色ムラが生じてしまうが、本発明の撮影レンズのように像面に対して十分に射出瞳を遠くする構成とすれば、このような色ムラは防ぐことができる。また、第2レンズ群は両凸レンズを有しているため、本撮影レンズのように比較的広画角なレンズ系で問題となる諸収差を良好に補正することができる。
【0014】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが、光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっているため、小型であるにも拘わらず、収差発生の少ない、優れた結像性能が得られるようになっている。
【0015】
ここで、屈折率分布型レンズについて説明する。一般に、光学ガラス材料には、無色、透明、均質なものが用いられているが、屈折率分布型レンズとは均質ではなく、屈折率が媒質中で連続的に変化しているものをいう。そして、基本的には、アキシャル型、ラディアル型があることが知られている。アキシャル型とは、光軸方向に屈折率が連続的に変化しているものをいい、ラディアル型とは、光軸と垂直な方向に屈折率が連続的に変化しているものをいう。また、これらの組み合わせもあり得る。図7(A)はアキシャル型の屈折率分布型レンズ1を光軸と垂直な方向から見た断面図であり、光軸と垂直な線は屈折率が等しいポイントを連ねている(すなわち屈折率の等高線を示している)。また、図7(B)はラディアル型の屈折率分布型レンズ2を光軸と垂直な方向から見た断面図であり、光軸と平行な線は屈折率が等しいポイントを連ねている。そして、このアキシャル型の屈折率分布型レンズは、近年、大口径のものの製作が可能となったため、実用に供することが可能となった。
【0016】
このアキシャル型の屈折率分布型レンズについてもう少し述べると、屈折面及び媒質内での局所的な屈折率変化によって、非球面レンズのような作用を有することや、ガラス分散値がレンズ内で連続的に変化することにより、貼り合わせレンズのような効果を有することから、単レンズでも良好な色収差補正能力を有している。このため、高価な非球面レンズや特殊低分散ガラスでしか達し得ない(通常のガラスでは達し得ない)良好な色収差補正が可能である。
【0017】
このため本発明に係る撮影レンズでは、色収差補正が良好に補正されることとなり、70度以上の広画角においても優れた結像性能が得られる。また、屈折率分布型レンズを使用することにより収差補正に要するレンズ枚数を少なくすることができるので、安価かつ軽量コンパクトな構成にすることもできる。
【0018】
また、本発明に係る撮影レンズでは、上記構成に加え、撮影レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、下の条件式(1)を満たすようにしている。
【0019】
【数1】
0.7<bf/f<3.0 … (1)
【0020】
上記条件式(1)は、撮影レンズ全系の焦点距離に対するバックフォーカスの大きさの適切な範囲を定めたものである。ここで、bf/fの値が条件式(1)の上限値を上回るとバックフォーカスが大きくなり過ぎ、撮影レンズ全体の大型化を招くので不都合である。また、後玉径が大きくなり過ぎてしまい、これによっても撮影レンズ全体の大型化を招き易いてしまう。更に、歪曲収差が負側に大きくなり易く、結像性能の点からも不都合である。
【0021】
逆に、bf/fの値が条件式(1)の下限値を下回るとバックフォーカスが小さくなり過ぎ、像面との間にフィルターやプリズム等を配置する空間スペースを確保することが困難になり不都合である。また、射出瞳が像面に近くなる傾向となり、シェーディングが発生し易くなり不都合である。ここで、フィルター等がレンズ後方に配置されている場合には、バックフォーカスbfは最終レンズ面からフィルター等を除いた像面までの距離を指すものとする。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(1)の上限値を1.5とすることが好ましい。また、下限値については0.9とすることが好ましい。
【0022】
このように本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式(1)を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができるようになっている。
【0023】
ここで、屈折率分布型レンズにおける光軸方向の屈折率の分布は、光線の進行方向に屈折率が減少するものであることが好ましい。このようにすれば光線が光軸より離れるに従ってその光線の屈折角は小さくなり、歪曲収差を減少させる補正を極めて有効に行うことができるからである。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、屈折率分布型レンズの光軸上における屈折率の変化量は、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間において(すなわち基準線での屈折率の変化量が)0.01以上であることが好ましい。これにより撮影レンズ全体のサイズを小さくすることができ、より小型でかつ軽量な構成とすることができる。
【0024】
また、本発明に係る撮影レンズでは、上述の構成に加え、第1レンズ群中のいずれかのレンズが上記屈折率分布型レンズからなっており、屈折率分布型レンズの物体側の有効径(直径)をCとしたときに、下の条件式(2)を満たす構成となっていることが好ましい。
【0025】
【数2】
0.5<C/f<5.0 … (2)
【0026】
上記条件式(2)は、屈折率分布型レンズの有効径の適切な範囲を撮影レンズ全系の焦点距離との比で規定するものである。ここで、C/fの値が上記条件式(2)の上限値を上回ると屈折率分布型レンズの径が大きくなり過ぎ、屈折率分布型レンズの製作が困難となりコストアップに繋がる。また、屈折率分布型レンズの有効径内に外部からの有害光が入り易くなり、フレア等による画質の低下を招き易くなる。反対に、C/fの値が上記条件式(2)の下限値を下回ると、屈折率分布型レンズの適切な有効径が小さくなり過ぎて、周辺光量が不足してしまう傾向が強まり、画質の低下を招き易くなる。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(2)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については1.5とすることが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズの焦点距離をfaとしたときに、下の条件式(3)を満たす構成であることが好ましい。
【0028】
【数3】
0.5<|fa/f|<8.0 … (3)
【0029】
上記条件式(3)は、屈折率分布型レンズの焦点距離の適切な範囲を規定する。|fa/f|の値が上記条件式(3)の上限値を上回ると、屈折率分布型レンズが芯取り困難な形状となって、屈折率分布型レンズの製作が困難となる不都合が生じる。また、|fa/f|の値が上記条件式(3)の下限値を下回ると、屈折率分布型レンズの焦点距離の大きさが小さくなり過ぎてしまい、その結果、各レンズ面の曲率半径が小さくなり過ぎてしまって屈折率分布型レンズが製造しづらくなる不都合があるばかりか、コマ収差や像面湾曲収差の発生が甚大となってしまい、良好な結像性能が得られなくなってしまう。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(3)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については1.5とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、収差の補正上、上記第1レンズ群中の負メニスカスレンズが非球面形状のレンズ面を有しており、第1レンズ群の焦点距離をf1、絞りの前後に位置するレンズ面同士の光軸上での間隔をd(図1、図3及び図5参照)としたときに、下の条件式(4)を満たす構成であることが好ましい。
【0031】
【数4】
0.1<d/f1<3.0 … (4)
【0032】
上記条件式(4)は、絞りの前方に位置するレンズ群、すなわち第1レンズ群の焦点距離f1に対する絞りの前後に位置するレンズ面の間隔の適切な範囲を定めている。d/f1の値が上記条件式(4)の上限値を上回ると、前玉径も後玉径もいずれも大きくなり過ぎて不都合となるばかりか、高次のコマ収差や非点収差が発生し易くなってしまう。逆に、d/f1の値が上記条件式(4)の下限値を下回ると、全体の収差バランスが悪くなり、像面湾曲とコマ収差の補正が困難となってしまい不都合である。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(4)の上限値を1.0とすることが好ましい。また、下限値については0.3とすることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、撮影レンズ全系の最も物体側に位置する負メニスカスレンズ(第1レンズ群中に設けられた上記負メニスカスレンズ)における物体側の面の半径をr1、像側の面の半径をr2としたときに、下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
【0034】
【数5】
1.0<(r1+r2)/(r1−r2)<3.0 … (5)
【0035】
上記条件式(5)は、第1レンズ群中の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの形状の適切な範囲を規定する。ここで、(r1+r2)/(r1−r2)の値が上記条件式(5)の上限値を上回ると、レンズの研磨や芯取りが困難となり、コストアップに繋がる。反対に、(r1+r2)/(r1−r2)の値が上記条件式(5)の下限値を下回ると、非点収差や倍率色収差などの軸収差の劣化が大きくなり好ましくない。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(5)の上限値を2.0とすることが好ましい。また、第1レンズ群中の最も物体側に位置する負メニスカスレンズに非球面や回折光学面を設けるときには、上記r1及びr2の値はそれぞれ、その負メニスカスレンズの近軸曲率半径を示すものとする。そして、負メニスカスレンズの物体側の面に回折光学面を配置するようにすれば、倍率色収差の補正に極めて有効であるため、特に好ましい。
【0036】
更に、本発明に係る撮影レンズにおいては、下の条件式(6)を満たす構成であることが好ましい。
【0037】
【数6】
1.0<f1/f<4.0 … (6)
【0038】
上記条件式(6)は、撮影レンズ全系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の適切な範囲を定めている。上述したように、本発明に係る撮影レンズは、いわゆるレトロフォーカスタイプを基本構成としており、物体側に位置する負の屈折力を有したレンズ群(すなわち第1レンズ群)のレンズ系全体に対する屈折力配分は、レンズ光学系全体の構成上極めて重要である。かかる屈折力配分は、バックフォーカスの大きさや、軸外収差の発生量等に大きく寄与し、最終的なレンズ光学系の具体的構成や達成性能に大きな影響を与えるためである。
【0039】
本発明による撮影レンズにおいては、先ず、第1レンズ群の焦点距離に関して、適切な範囲を定めた。f1/fの値が上記条件式(6)の上限値を上回ると、ペッツバール和が負側に変移し易くなるため、像面湾曲が正側に過大となり易く、また、十分な大きさのバックフォーカスが得られないので不都合である。更に、歪曲収差が正側に大きくなり易く、良好な結像性能を得ることが困難となる。逆に、f1/fの値が上記条件式(6)の下限値を下回ると、ペッツバール和が正側に変移し易くなるため、像面湾曲が負側に過大となり易く、不都合である。また、歪曲収差が負側に大きくなり易く、良好な結像性能を得ることが困難となる。更に、レンズ光学系の全長が長くなる傾向になり、本撮影レンズの小型化を図ることが困難となる。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(5)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については2.0とすることが好ましい。
【0040】
本発明に係る撮影レンズを実際に構成する場合、第1レンズ群の最も物体側の位置には物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズが設けられるとともに、その像側に隣接して凸レンズが設けられることが好ましい。そして、更には、その凸レンズは両凸レンズであることが好ましい。このような構成であれば、下方コマ収差をはじめとする諸収差の補正を十分に行うことができる。このとき、上記凸レンズは屈折率が1.62以上であることが好ましい。これらは画角70度以上を達成するためには重要である。
【0041】
また、第2レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ、凸レンズ、凸レンズとなる構成であることが望ましい。ここで、CCD等の撮像面とレンズ面との反射によるゴーストやフレアを軽減するため、最も像側に位置する上記凸レンズは、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きくなっていることが望ましい。そして、最も像側に位置するレンズの屈折率は1.55以上とすることが望ましい。更には、第2レンズ群中には非球面レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。これにより、上側のコマ収差の補正を良好に行うことができる。
【0042】
また、本発明に係る撮影レンズは、この撮影レンズのブレを検出するブレ検出手段と、ブレ検出手段からの信号とカメラの作動のシーケンス制御を行う制御手段とに基づいて適正なブレ補正量を定めるブレ制御装置と、ブレ制御装置により定められたブレ補正量に基づいて防振レンズ群を移動させる駆動機構とを組み合わせて、防振レンズシステムを構成することもできる。
【0043】
また、本発明に係る撮影レンズでは、近距離物体へのフォーカシング(合焦)は、レンズ系全体を物体側に繰り出す方式が最も機構的に簡単であるが、第2レンズ群を固定としたまま、第1レンズ群のみを物体側に繰り出す方式としてもよい。この方式の方が全体繰り出し方式より、周辺での像が劣化しにくいので好ましい。また、第1レンズ群と第2レンズ群との互いの軸状空気間隔を変えながら物体側に繰り出す方式(いわゆるフローティングフォーカス方式)とすれば、より良い近距離性能が得られる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明に係る撮影レンズの具体的な実施例について説明する。下に示す3つの実施例では、図1、図3及び図5に示すように、本発明の撮影レンズそれぞれが、物体側から順に、負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群G1、絞りS、両凸レンズを含んでなる第2レンズ群G2を備えるとともに、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなる構成とした。また、各実施例においては、収差特性の算出対象としてd線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)、e線(波長546.1nm)、C線(波長656.3nm)及びF線(波長486.1nm)の各スペクトル線を選んだ。
【0045】
(第1実施例)
図1に、本発明の第1実施例に係る撮影レンズML1のレンズ構成を示す。本第1実施例に用いた撮影レンズML1では、図1に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0046】
本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL1が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表1参照)。
【0047】
下の表1に、本第1実施例における各レンズの諸元を示す(長さの単位は全てmmであるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。他の実施例についても同じ)。表1における面番号1〜11は、それぞれ図1における符号1〜11に対応する。また、表1におけるrはレンズ面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径)を、dはレンズ面の間隔を、n(d)はd線に対する屈折率を、n(g)はg線に対する屈折率を、n(e)はe線に対する屈折率を、n(C)はC線に対する屈折率を、n(F)はF線に対する屈折率をそれぞれ示している(他の実施例についても同じ)。
【0048】
【表1】
【0049】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL1)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0050】
図2は第1実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図であり、dはd線を、gはg線を、eはe線を、CはC線を、FはF線をそれぞれ示している。また、球面収差図におけるHは最大の入射高を1に規格化した入射高を、非点収差図及び歪曲収差図におけるYは像高の最大値をそれぞれ示している。更に、非点収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している(後述する第2実施例についても同様)。これら収差図より、本第1実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML1全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0051】
(第2実施例)
図3に、本発明の第2実施例に係る撮影レンズML2のレンズ構成を示す。本第2実施例に用いた撮影レンズML2では、図3に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0052】
本実施例では、第1レンズ群G1の両凸レンズL2が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表2参照)。
【0053】
下の表2に、本第2実施例における各レンズの諸元を示す。表2における面番号1〜11は、それぞれ図3における符号1〜11に対応する。
【0054】
【表2】
【0055】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL2)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0056】
図4は第2実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図である。これら収差図より、本第2実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML2全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0057】
(第3実施例)
図5に、本発明の第3実施例に係る撮影レンズML3のレンズ構成を示す。本第2実施例に用いた撮影レンズML2では、図5に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0058】
本実施例では、第1レンズ群G2の両凸レンズL5が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表3参照)。
【0059】
下の表3に、本第3実施例における各レンズの諸元を示す。表3における面番号1〜11は、それぞれ図5における符号1〜11に対応する。
【0060】
【表3】
【0061】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL5)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0062】
図6は第3実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図である。これら収差図より、本第3実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML3全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】第1実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】第2実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図6】第3実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図7】(A)はアキシャル型の屈折率分布型レンズを光軸と垂直な方向から見た断面図であり、(B)はラディアル型の屈折率分布型レンズを光軸と垂直な方向から見た断面図である。
【符号の説明】
ML1 撮影レンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
gr 屈折率分布型レンズ
I 像面
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD等の固体撮像素子を用いた撮影レンズに関し、特に、比較的画角が大きく、バックフォーカスの長い撮影レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、比較的広画角を撮影可能な撮影レンズは、物体側より負の屈折力を有する第1レンズ群、絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群を備えた構成を有しており、例えば、下記の特許文献に開示されたもの等が知られている。また、近年の撮影装置(例えばカメラ)に用いられる撮影レンズでは、撮像素子との間にフィルターやプリズム等を配置する必要があるため、十分に大きいバックフォーカスが必要となるものが多い。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−66092号公報
【特許文献2】
特開平10−170818号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された比較的画角の広い撮影レンズにおいては、70度以上の広画角領域では十分なバックフォーカスを確保できない上、色収差(特に歪曲収差)の補正が不充分となって結像性能が低下していた。このため電子画像用カメラ、例えばビデオカメラやディジタルカメラ用の撮影レンズとして用いることは難しかった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、十分な大きさのバックフォーカスを確保しつつ軽量化でき、しかも70度以上の比較的広画角な領域においても良好な結像性能が得られる構成の撮影レンズを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズと像側に隣接した正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、0.7<bf/f<3.0の条件を満たす構成とする。
【0007】
本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができる。
【0008】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズにおける屈折率の分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものであるとともに、屈折率分布型レンズの光軸上における屈折率の変化量は、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間において(すなわち基準線での屈折率の変化量が)0.01以上であることが好ましい。このような構成であれば、これにより撮影レンズ全体のサイズを小さくすることができ、より小型でかつ軽量な構成とすることができる。本発明の実施例では、変化量は線形に変化するデータとして与えているが、非線形(2次ないしは高次項を含む形式等)で与えても同様な効果が得られる。
【0009】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群中のいずれかのレンズが屈折率分布型レンズからなっており、屈折率分布型レンズの物体側の有効径をC、撮影レンズ系全系の焦点距離をfとしたときに、0.5<C/f<5.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、屈折率分布型レンズの製作を容易にしてコストダウンを図ることができる。また、屈折率分布型レンズの有効径内に外部からの有害光が入ることを防止して、フレア等による画質の低下を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズの焦点距離をfaとしたときに、0.5<|fa/f|<8.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、屈折率分布型レンズの製作を容易にすることができる。また、コマ収差や像面湾曲収差の発生を低減して良好な結像性能が得られるようにすることができる。
【0011】
更に、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群中の負メニスカスレンズが非球面形状のレンズ面を有しており、第1レンズ群の焦点距離をf1、絞りの前後に位置するレンズ面同士の光軸上での間隔をdとしたときに、0.1<d/f1<3.0の条件を満たすことが好ましい。このような構成であれば、高次のコマ収差や非点収差、及び像面湾曲の発生を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備えていわゆるレトロフォーカスタイプのレンズを構成している。このため光学系全体の焦点距離に比較して十分なバックフォーカスが確保でき、像面との間にフィルターやプリズム等の光学部材を配置し得るようになっている。このため本撮影レンズは例えばCCDを撮像素子とする電子画像機器等に用いるのに好適である。
【0013】
ここで、第1レンズ群と第2レンズ群との間に絞りが設けられているのは、像面に対して十分に射出瞳を遠くするためである。本撮影レンズと像面との間に色分解プリズムやダイクロイックミラー等の分解光学系が設置される場合には、画面の上部に至る光束と画面の下部に至る光束とがダイクロイックミラー等となす角度は異なってしまい、画面の上下で色ムラが生じてしまうが、本発明の撮影レンズのように像面に対して十分に射出瞳を遠くする構成とすれば、このような色ムラは防ぐことができる。また、第2レンズ群は両凸レンズを有しているため、本撮影レンズのように比較的広画角なレンズ系で問題となる諸収差を良好に補正することができる。
【0014】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが、光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっているため、小型であるにも拘わらず、収差発生の少ない、優れた結像性能が得られるようになっている。
【0015】
ここで、屈折率分布型レンズについて説明する。一般に、光学ガラス材料には、無色、透明、均質なものが用いられているが、屈折率分布型レンズとは均質ではなく、屈折率が媒質中で連続的に変化しているものをいう。そして、基本的には、アキシャル型、ラディアル型があることが知られている。アキシャル型とは、光軸方向に屈折率が連続的に変化しているものをいい、ラディアル型とは、光軸と垂直な方向に屈折率が連続的に変化しているものをいう。また、これらの組み合わせもあり得る。図7(A)はアキシャル型の屈折率分布型レンズ1を光軸と垂直な方向から見た断面図であり、光軸と垂直な線は屈折率が等しいポイントを連ねている(すなわち屈折率の等高線を示している)。また、図7(B)はラディアル型の屈折率分布型レンズ2を光軸と垂直な方向から見た断面図であり、光軸と平行な線は屈折率が等しいポイントを連ねている。そして、このアキシャル型の屈折率分布型レンズは、近年、大口径のものの製作が可能となったため、実用に供することが可能となった。
【0016】
このアキシャル型の屈折率分布型レンズについてもう少し述べると、屈折面及び媒質内での局所的な屈折率変化によって、非球面レンズのような作用を有することや、ガラス分散値がレンズ内で連続的に変化することにより、貼り合わせレンズのような効果を有することから、単レンズでも良好な色収差補正能力を有している。このため、高価な非球面レンズや特殊低分散ガラスでしか達し得ない(通常のガラスでは達し得ない)良好な色収差補正が可能である。
【0017】
このため本発明に係る撮影レンズでは、色収差補正が良好に補正されることとなり、70度以上の広画角においても優れた結像性能が得られる。また、屈折率分布型レンズを使用することにより収差補正に要するレンズ枚数を少なくすることができるので、安価かつ軽量コンパクトな構成にすることもできる。
【0018】
また、本発明に係る撮影レンズでは、上記構成に加え、撮影レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、下の条件式(1)を満たすようにしている。
【0019】
【数1】
0.7<bf/f<3.0 … (1)
【0020】
上記条件式(1)は、撮影レンズ全系の焦点距離に対するバックフォーカスの大きさの適切な範囲を定めたものである。ここで、bf/fの値が条件式(1)の上限値を上回るとバックフォーカスが大きくなり過ぎ、撮影レンズ全体の大型化を招くので不都合である。また、後玉径が大きくなり過ぎてしまい、これによっても撮影レンズ全体の大型化を招き易いてしまう。更に、歪曲収差が負側に大きくなり易く、結像性能の点からも不都合である。
【0021】
逆に、bf/fの値が条件式(1)の下限値を下回るとバックフォーカスが小さくなり過ぎ、像面との間にフィルターやプリズム等を配置する空間スペースを確保することが困難になり不都合である。また、射出瞳が像面に近くなる傾向となり、シェーディングが発生し易くなり不都合である。ここで、フィルター等がレンズ後方に配置されている場合には、バックフォーカスbfは最終レンズ面からフィルター等を除いた像面までの距離を指すものとする。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(1)の上限値を1.5とすることが好ましい。また、下限値については0.9とすることが好ましい。
【0022】
このように本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式(1)を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができるようになっている。
【0023】
ここで、屈折率分布型レンズにおける光軸方向の屈折率の分布は、光線の進行方向に屈折率が減少するものであることが好ましい。このようにすれば光線が光軸より離れるに従ってその光線の屈折角は小さくなり、歪曲収差を減少させる補正を極めて有効に行うことができるからである。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、屈折率分布型レンズの光軸上における屈折率の変化量は、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間において(すなわち基準線での屈折率の変化量が)0.01以上であることが好ましい。これにより撮影レンズ全体のサイズを小さくすることができ、より小型でかつ軽量な構成とすることができる。
【0024】
また、本発明に係る撮影レンズでは、上述の構成に加え、第1レンズ群中のいずれかのレンズが上記屈折率分布型レンズからなっており、屈折率分布型レンズの物体側の有効径(直径)をCとしたときに、下の条件式(2)を満たす構成となっていることが好ましい。
【0025】
【数2】
0.5<C/f<5.0 … (2)
【0026】
上記条件式(2)は、屈折率分布型レンズの有効径の適切な範囲を撮影レンズ全系の焦点距離との比で規定するものである。ここで、C/fの値が上記条件式(2)の上限値を上回ると屈折率分布型レンズの径が大きくなり過ぎ、屈折率分布型レンズの製作が困難となりコストアップに繋がる。また、屈折率分布型レンズの有効径内に外部からの有害光が入り易くなり、フレア等による画質の低下を招き易くなる。反対に、C/fの値が上記条件式(2)の下限値を下回ると、屈折率分布型レンズの適切な有効径が小さくなり過ぎて、周辺光量が不足してしまう傾向が強まり、画質の低下を招き易くなる。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(2)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については1.5とすることが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、屈折率分布型レンズの焦点距離をfaとしたときに、下の条件式(3)を満たす構成であることが好ましい。
【0028】
【数3】
0.5<|fa/f|<8.0 … (3)
【0029】
上記条件式(3)は、屈折率分布型レンズの焦点距離の適切な範囲を規定する。|fa/f|の値が上記条件式(3)の上限値を上回ると、屈折率分布型レンズが芯取り困難な形状となって、屈折率分布型レンズの製作が困難となる不都合が生じる。また、|fa/f|の値が上記条件式(3)の下限値を下回ると、屈折率分布型レンズの焦点距離の大きさが小さくなり過ぎてしまい、その結果、各レンズ面の曲率半径が小さくなり過ぎてしまって屈折率分布型レンズが製造しづらくなる不都合があるばかりか、コマ収差や像面湾曲収差の発生が甚大となってしまい、良好な結像性能が得られなくなってしまう。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(3)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については1.5とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、収差の補正上、上記第1レンズ群中の負メニスカスレンズが非球面形状のレンズ面を有しており、第1レンズ群の焦点距離をf1、絞りの前後に位置するレンズ面同士の光軸上での間隔をd(図1、図3及び図5参照)としたときに、下の条件式(4)を満たす構成であることが好ましい。
【0031】
【数4】
0.1<d/f1<3.0 … (4)
【0032】
上記条件式(4)は、絞りの前方に位置するレンズ群、すなわち第1レンズ群の焦点距離f1に対する絞りの前後に位置するレンズ面の間隔の適切な範囲を定めている。d/f1の値が上記条件式(4)の上限値を上回ると、前玉径も後玉径もいずれも大きくなり過ぎて不都合となるばかりか、高次のコマ収差や非点収差が発生し易くなってしまう。逆に、d/f1の値が上記条件式(4)の下限値を下回ると、全体の収差バランスが悪くなり、像面湾曲とコマ収差の補正が困難となってしまい不都合である。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(4)の上限値を1.0とすることが好ましい。また、下限値については0.3とすることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係る撮影レンズにおいては、撮影レンズ全系の最も物体側に位置する負メニスカスレンズ(第1レンズ群中に設けられた上記負メニスカスレンズ)における物体側の面の半径をr1、像側の面の半径をr2としたときに、下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
【0034】
【数5】
1.0<(r1+r2)/(r1−r2)<3.0 … (5)
【0035】
上記条件式(5)は、第1レンズ群中の最も物体側に位置する負メニスカスレンズの形状の適切な範囲を規定する。ここで、(r1+r2)/(r1−r2)の値が上記条件式(5)の上限値を上回ると、レンズの研磨や芯取りが困難となり、コストアップに繋がる。反対に、(r1+r2)/(r1−r2)の値が上記条件式(5)の下限値を下回ると、非点収差や倍率色収差などの軸収差の劣化が大きくなり好ましくない。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(5)の上限値を2.0とすることが好ましい。また、第1レンズ群中の最も物体側に位置する負メニスカスレンズに非球面や回折光学面を設けるときには、上記r1及びr2の値はそれぞれ、その負メニスカスレンズの近軸曲率半径を示すものとする。そして、負メニスカスレンズの物体側の面に回折光学面を配置するようにすれば、倍率色収差の補正に極めて有効であるため、特に好ましい。
【0036】
更に、本発明に係る撮影レンズにおいては、下の条件式(6)を満たす構成であることが好ましい。
【0037】
【数6】
1.0<f1/f<4.0 … (6)
【0038】
上記条件式(6)は、撮影レンズ全系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の適切な範囲を定めている。上述したように、本発明に係る撮影レンズは、いわゆるレトロフォーカスタイプを基本構成としており、物体側に位置する負の屈折力を有したレンズ群(すなわち第1レンズ群)のレンズ系全体に対する屈折力配分は、レンズ光学系全体の構成上極めて重要である。かかる屈折力配分は、バックフォーカスの大きさや、軸外収差の発生量等に大きく寄与し、最終的なレンズ光学系の具体的構成や達成性能に大きな影響を与えるためである。
【0039】
本発明による撮影レンズにおいては、先ず、第1レンズ群の焦点距離に関して、適切な範囲を定めた。f1/fの値が上記条件式(6)の上限値を上回ると、ペッツバール和が負側に変移し易くなるため、像面湾曲が正側に過大となり易く、また、十分な大きさのバックフォーカスが得られないので不都合である。更に、歪曲収差が正側に大きくなり易く、良好な結像性能を得ることが困難となる。逆に、f1/fの値が上記条件式(6)の下限値を下回ると、ペッツバール和が正側に変移し易くなるため、像面湾曲が負側に過大となり易く、不都合である。また、歪曲収差が負側に大きくなり易く、良好な結像性能を得ることが困難となる。更に、レンズ光学系の全長が長くなる傾向になり、本撮影レンズの小型化を図ることが困難となる。なお、本発明の効果を十分に発揮させるには、上記条件式(5)の上限値を3.0とすることが好ましい。また、下限値については2.0とすることが好ましい。
【0040】
本発明に係る撮影レンズを実際に構成する場合、第1レンズ群の最も物体側の位置には物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズが設けられるとともに、その像側に隣接して凸レンズが設けられることが好ましい。そして、更には、その凸レンズは両凸レンズであることが好ましい。このような構成であれば、下方コマ収差をはじめとする諸収差の補正を十分に行うことができる。このとき、上記凸レンズは屈折率が1.62以上であることが好ましい。これらは画角70度以上を達成するためには重要である。
【0041】
また、第2レンズ群は、物体側から順に、両凹レンズ、凸レンズ、凸レンズとなる構成であることが望ましい。ここで、CCD等の撮像面とレンズ面との反射によるゴーストやフレアを軽減するため、最も像側に位置する上記凸レンズは、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きくなっていることが望ましい。そして、最も像側に位置するレンズの屈折率は1.55以上とすることが望ましい。更には、第2レンズ群中には非球面レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。これにより、上側のコマ収差の補正を良好に行うことができる。
【0042】
また、本発明に係る撮影レンズは、この撮影レンズのブレを検出するブレ検出手段と、ブレ検出手段からの信号とカメラの作動のシーケンス制御を行う制御手段とに基づいて適正なブレ補正量を定めるブレ制御装置と、ブレ制御装置により定められたブレ補正量に基づいて防振レンズ群を移動させる駆動機構とを組み合わせて、防振レンズシステムを構成することもできる。
【0043】
また、本発明に係る撮影レンズでは、近距離物体へのフォーカシング(合焦)は、レンズ系全体を物体側に繰り出す方式が最も機構的に簡単であるが、第2レンズ群を固定としたまま、第1レンズ群のみを物体側に繰り出す方式としてもよい。この方式の方が全体繰り出し方式より、周辺での像が劣化しにくいので好ましい。また、第1レンズ群と第2レンズ群との互いの軸状空気間隔を変えながら物体側に繰り出す方式(いわゆるフローティングフォーカス方式)とすれば、より良い近距離性能が得られる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明に係る撮影レンズの具体的な実施例について説明する。下に示す3つの実施例では、図1、図3及び図5に示すように、本発明の撮影レンズそれぞれが、物体側から順に、負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群G1、絞りS、両凸レンズを含んでなる第2レンズ群G2を備えるとともに、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなる構成とした。また、各実施例においては、収差特性の算出対象としてd線(波長587.6nm)、g線(波長435.8nm)、e線(波長546.1nm)、C線(波長656.3nm)及びF線(波長486.1nm)の各スペクトル線を選んだ。
【0045】
(第1実施例)
図1に、本発明の第1実施例に係る撮影レンズML1のレンズ構成を示す。本第1実施例に用いた撮影レンズML1では、図1に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0046】
本実施例では、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL1が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表1参照)。
【0047】
下の表1に、本第1実施例における各レンズの諸元を示す(長さの単位は全てmmであるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。他の実施例についても同じ)。表1における面番号1〜11は、それぞれ図1における符号1〜11に対応する。また、表1におけるrはレンズ面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径)を、dはレンズ面の間隔を、n(d)はd線に対する屈折率を、n(g)はg線に対する屈折率を、n(e)はe線に対する屈折率を、n(C)はC線に対する屈折率を、n(F)はF線に対する屈折率をそれぞれ示している(他の実施例についても同じ)。
【0048】
【表1】
【0049】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL1)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0050】
図2は第1実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図であり、dはd線を、gはg線を、eはe線を、CはC線を、FはF線をそれぞれ示している。また、球面収差図におけるHは最大の入射高を1に規格化した入射高を、非点収差図及び歪曲収差図におけるYは像高の最大値をそれぞれ示している。更に、非点収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している(後述する第2実施例についても同様)。これら収差図より、本第1実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML1全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0051】
(第2実施例)
図3に、本発明の第2実施例に係る撮影レンズML2のレンズ構成を示す。本第2実施例に用いた撮影レンズML2では、図3に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0052】
本実施例では、第1レンズ群G1の両凸レンズL2が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表2参照)。
【0053】
下の表2に、本第2実施例における各レンズの諸元を示す。表2における面番号1〜11は、それぞれ図3における符号1〜11に対応する。
【0054】
【表2】
【0055】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL2)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0056】
図4は第2実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図である。これら収差図より、本第2実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML2全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0057】
(第3実施例)
図5に、本発明の第3実施例に係る撮影レンズML3のレンズ構成を示す。本第2実施例に用いた撮影レンズML2では、図5に示すように、第1レンズ群G1には物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL1、両凸レンズL2を配置し、第2レンズ群G2には、両凹レンズL3、両凸レンズL4、両凸レンズL5を配置した。
【0058】
本実施例では、第1レンズ群G2の両凸レンズL5が屈折率分布型レンズgrからなっており、その屈折率分布は光線の進行方向に屈折率が減少するものとなるように構成した。更に本実施例では、第1レンズ群G1の最も物体側の位置に設けられた負メニスカスレンズ(ここでは負メニスカスレンズL1)の像側に隣接して位置する両凸レンズ(ここでは両凸レンズL2)の屈折率が1.62以上であるという前述の条件も満たしたものとなっている。更に、本実施例では、最も像側に位置するレンズ(ここでは両凸レンズL5)について、像側の面の曲率半径が物体側の面の曲率半径よりも大きいという条件及び屈折率が1.55以上であるという条件を満たしている(後述の表3参照)。
【0059】
下の表3に、本第3実施例における各レンズの諸元を示す。表3における面番号1〜11は、それぞれ図5における符号1〜11に対応する。
【0060】
【表3】
【0061】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(6)は全て満たされることが分かる。また、屈折率分布型レンズ(ここではレンズL5)の光軸上における屈折率の変化量は、上記のように、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間でd線、g線、e線、C線及びF線の全てについて0.01以上であった。
【0062】
図6は第3実施例における光学系の無限遠合焦点状態での諸収差図である。これら収差図より、本第3実施例では諸収差が良好に補正されており、撮影レンズML3全体において、優れた結像性能が確保されていることが分かる。なお、この実施例における画角はおよそ76度であった。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る撮影レンズでは、物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズ及び正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、像面に対して射出瞳が十分に遠いレトロフォーカスタイプの撮影レンズ系を構成することにより、歪曲収差を良好に補正しつつ、電子画像機器に好適な大きいバックフォーカスを確保できるようになっている。また、第1レンズ群及び第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、これにより構成レンズ数を少なくして鏡筒のみならず、装着するカメラ全体も軽量化することができるようになっている。そして更に、上記条件式を満足することにより、70度以上の画角領域において歪曲収差が適正な値に保たれるようにしており、比較的広画角な領域においても良好な結像性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】第1実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】第2実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す図である。
【図6】第3実施例における撮影レンズの諸収差図である。
【図7】(A)はアキシャル型の屈折率分布型レンズを光軸と垂直な方向から見た断面図であり、(B)はラディアル型の屈折率分布型レンズを光軸と垂直な方向から見た断面図である。
【符号の説明】
ML1 撮影レンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
gr 屈折率分布型レンズ
I 像面
Claims (5)
- 物体側から順に、少なくとも負メニスカスレンズと像側に隣接した正レンズを含んでなる第1レンズ群、絞り、少なくとも両凸レンズを含んでなる第2レンズ群を備え、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群中のいずれかのレンズが光軸方向に屈折率が連続的に変化する屈折率分布型レンズからなっており、レンズ全系の焦点距離をf、バックフォーカスをbfとしたときに、
0.7<bf/f<3.0
の条件を満たすことを特徴とする撮影レンズ。 - 前記屈折率分布型レンズにおける前記屈折率の分布は光線の進行方向に前記屈折率が減少するものであるとともに、前記屈折率分布型レンズの光軸上における前記屈折率の変化量は、最も物体側に位置する面から最も像側に位置する面までの間において0.01以上であることを特徴とする請求項1記載の撮影レンズ。
- 前記第1レンズ群中のいずれかのレンズが前記屈折率分布型レンズからなっており、前記屈折率分布型レンズの物体側の有効径をC、前記撮影レンズ系全系の焦点距離をfとしたときに、
0.5<C/f<5.0
の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の撮影レンズ。 - 前記屈折率分布型レンズの焦点距離をfaとしたときに、
0.5<|fa/f|<8.0
の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮影レンズ。 - 前記第1レンズ群中の前記負メニスカスレンズが非球面形状のレンズ面を有しており、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記絞りの前後に位置するレンズ面同士の光軸上での間隔をdとしたときに、
0.1<d/f1<3.0
の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の撮影レンズ。
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---|---|---|---|
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Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008008960A (ja) * | 2006-06-27 | 2008-01-17 | Kyocera Corp | レンズユニット |
US8189265B2 (en) | 2009-09-25 | 2012-05-29 | Canon Kabushiki Kaisha | Optical element having refractive index distribution and optical apparatus |
JP2012128294A (ja) * | 2010-12-16 | 2012-07-05 | Ricoh Co Ltd | 広角レンズ、撮像レンズユニット、カメラおよび情報装置 |
KR101522288B1 (ko) * | 2012-05-01 | 2015-05-22 | 삼성테크윈 주식회사 | 고정 초점 렌즈계 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002382141A patent/JP2004212644A/ja active Pending
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