JP2004212446A - 液晶素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対のガラス基板1、2を、導電性粒子13aを絶縁樹脂基材13bに含有させてなる異方性導電層の外枠Soとその内側に設けた絶縁樹脂基材13bのみからなる絶縁層の内枠Siからなる2重枠構造の異方性導電シール材13により接合する。そして、この2重枠構造の異方性導電シール材13を、絶縁保護膜11の端面で形成される段差Gより内側の走査電極3とその走査配線7が対向する領域Dlに絶縁層の内枠Siが位置するように、配置する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一対の基板にそれぞれ設けた各電極の端子を一方の基板にまとめた片側基板端子型の液晶素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶素子に、一対の基板にそれぞれ複数の電極を設け、これら電極に電圧を供給するための各端子を一方の基板にまとめて設置した、片側基板端子型の液晶素子がある。この片側基板端子型の液晶素子は、外部電気回路との接続が容易で実装構造が簡素化されるという利点を備えている。
【0003】
しかし、この片側基板端子型液晶素子においては、一方の基板に設けられた電極と、他方の基板に設けられた前記電極に電圧を供給するための引き回し配線やその接続端子(以下、配線部材という)とを導電接続する必要があり、そのための構造や工程がコストアップを引き起こす。特に、一方の基板に複数の信号電極を設け、他方の基板にそれらの信号電極に交差させて複数の走査電極を設ける所謂単純マトリクス型の液晶表示素子においては、片側基板端子化することにより構造や製造工程がより複雑化してしまう。
【0004】
上述のような片側基板端子構造の単純マトリクス型液晶表示素子であっても、異なる基板に設置された複数の電極とこれら電極に対応する配線部材とを作業性良く導電接続できる従来の方法として、一対の基板間に液晶を封入するためのシール材中に導電性粒子を含有させ、その導電性粒子を介して対応する電極と配線部材を導電接続する方法が知られている。(例えば特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−29729号公報(2頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上述したシール材中に導電性粒子を含有させた異方性導電シール材により対応する電極と配線部材を導電接続方法による場合、シール領域に、一方の基板の複数の電極と他方の基板の複数の配線とが配置されると、対応しない電極と配線とが導電接続されてしまう所謂ショートが発生してしまう。
【0007】
そこで従来、そのショートを防止するために、異方性導電シール材の配置領域を上述の電極とそれらの配線が配置された配線領域より外側に設けるか、或いは異方性導電シール材の配置領域より外側に上述の配線領域を設け、これにより電極と非対応配線とのショートを回避している。
【0008】
しかしその結果、同一基板上で異方性導電シール材の配置領域と電極の配線部材が配置される配線領域とがそれぞれ異なる領域に配設されることになるから、必然的に基板サイズが大きくなってしまい、液晶素子の小型化に不利となる。特に、上述したような単純マトリクス型の液晶表示素子については、表示領域に比してその周囲の所謂額縁が大きくなってしまうという不具合が発生する。
【0009】
本発明は、電極と配線のショートを発生させることなく小型化を大幅に促進可能で且つ製造が容易な片側基板端子型の液晶素子とその製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶素子は、複数の第1の電極及びこれら第1の電極にそれぞれ電圧を供給するための複数の第1接続端子が形成された第1の基板と、前記複数の第1の電極に対向する複数の第2の電極、及びこれら第2の電極に電圧を供給するための第2の配線、並びに前記第1接続端子に対応させて設けられ、前記複数の第1接続端子にそれぞれ接続される複数の第1被接続端子、及びこれら第1被接続端子に電圧を供給する第1の配線とが形成された第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板をそれぞれの電極形成面を対向させて所定の間隙を保ち接合する枠状をなす接合部材と、前記第1の基板及び前記第2の基板の対向する各内面と前記接合部材とで囲まれる空間に封入された液晶とからなる液晶素子であって、前記接合部材は、絶縁樹脂基材中に導電性粒子を含有させてなる異方性導電層からなる外側導電性シールとその内側に沿って設けられた絶縁樹脂材料からなる内側絶縁性シールとから形成され、前記第1の配線と前記第2の配線は、前記接合部材の内側絶縁性シールより内側に配列され、前記第1接続端子とこれに対応する前記第1被接続端子とは前記接合部材の外側導電性シールの内部に配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
この液晶素子によれば、電極を設けた基板とは異なる基板に設けたその電極に対応する配線を枠状接合部材の内側に設けたから、その配線の腐食が防止されると共に基板の小型化に有利となる。そして、一対の基板の接合部材として、外側導電性シールとその内側の内側絶縁性シールからなる2重構造を備えた異方性導電シール材を液晶を信頼性良く封入するのに必要なシール幅にわたり枠状に形成すると共に、その領域に前記複数の第1接続端子にそれぞれ接続される複数の第1被接続端子を配置し、また内側絶縁性シール内に前記第1の配線と前記第2の配線が配置させたから、片側基板端子型液晶素子において、対応しない電極と配線のショートを引き起こすことなく基板の小型化が促進され、表示素子においては額縁幅が縮小される。
【0012】
本発明の液晶素子においては、請求項2に記載のように、外側導電性シールの前記絶縁樹脂基材と前記内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料とが同一材料であることが好ましく、またその場合、請求項3に記載のように、前記第1の基板或いは第2の基板の少なくとも何れか一方の基板の内面上に、前記外側導電性シールと前記内側絶縁性シールとの境界に対応させて段差が形成されていることがより好ましく、これにより、2重枠構造の液晶素子を容易に製造することができる。
【0013】
また、本発明の液晶素子は、請求項4に記載のように、前記外側導電性シールの絶縁樹脂基材として透水防止性能に優れた材料を用い、前記内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料として液晶に対する溶解性が低い材料を用いることが好ましく、これにより、小型で且つ電圧保持率が高い高性能の片側基板端子型液晶素子が得られる。
【0014】
第1の方法の発明は、それぞれの表面に電極が形成された一対の基板を電極形成面を対向させ枠状の接合部材を介して接合し、接合部材と前記一対の基板の対向する各内面とで囲まれた空間内に液晶を封入してなる液晶素子の製造方法であって、少なくとも一方の基板の電極形成面における前記接合部材が設置される領域の所定位置に段差が形成された一対の基板を用意する工程と、前記段差の液晶を封入する側とは反対側の外側の所定の枠状をなす領域に絶縁樹脂材料に導電性粒子を混合してなる接合材料を配置する工程と、前記一対の基板をそれぞれの電極形成面を対向させると共に対応する位置を合わせる工程と、位置合わせした前記一対の基板を挟圧し基板間隔を所定の間隔に圧縮する工程と、圧縮された基板間の前記接合材料を硬化させて接合部材を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
【0015】
この第1の方法の発明によれば、所定位置に導電性粒子の内側への進入を阻止する段差を設けた基板を用いるから、異方性導電層と絶縁層からなる2重枠構造の接合部材により接合された液晶素子を、一対の電極基板を単層の枠状接合部材で接合してなる通常の液晶表示素子の製造方法と略同じ工程数と工程内容により製造することができる。従って、単純マトリクス方式の片側基板端子型液晶表示素子であっても、小型化を大幅に促進できると共に対応しない電極と配線をショートさせることなく対応する電極と配線を確実に導通接続できる。その結果、上述のような高い品質を備えた液晶素子を低い製造コストで容易に製造することが可能となる。
【0016】
また、第2の方法の発明は、それぞれの表面に電極が形成された第1の基板と第2の基板とを各電極形成面を対向させ枠状の接合部材を介して接合し、この接合部材と前記第1の基板と第2の基板の各電極形成面とで囲まれた空間内に液晶を封入してなる液晶素子の製造方法であって、前記第1の基板の電極形成面上の第1の位置に絶縁樹脂材料に導電性粒子を混合してなる異方性導電材料を枠状に配置する工程と、前記第2の基板の電極形成面上の前記第1の位置に対応する位置より枠内側の第2の位置に絶縁樹脂材料を枠状に配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを各電極形成面を対向させて前記異方性導電材料の内側の所定位置に前記絶縁樹脂材料が位置するように位置を合わせる工程と、位置を合わせた前記第1及び第2の基板を挟圧し基板間隔を所定の間隔に圧縮する工程と、圧縮された基板間の前記異方性導電材料と前記絶縁樹脂材料を硬化させて接合部材を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
【0017】
この第2の方法の発明によれば、2重枠構造の接合部材を構成する異方性導電層と絶縁層の各材料をそれぞれ第1の基板と第2の基板に分けて所定の位置に配置し、この後に両基板を接合するから、異方性導電層と絶縁層とを境界部に隙間を発生させることなく互いに密着した状態で所期の位置へそれぞれより正確に設置することができる。その結果、小型化に極めて有利であり且つ信頼性に優れた所望の液晶封入効果が奏されると共に対応しない電極と配線間のショートがより確実に防止される高品質の液晶素子を、容易に製造することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、第1の発明としての液晶素子の実施形態について、図1乃至図3に基づき説明する。なお、図1は本実施形態としての液晶表示素子の全体を示す斜視図で、図2はその液晶表示素子の略半分を一方の基板を透視して示す平面図、及び図3はそのA−A断面図である。また、図2及び図3で図示されていない略半分も図示されている半分と同じ構成である。
【0019】
図1において、液晶表示素子LCは、電極(不図示)が形成された一対のガラス基板1、2を、それぞれの電極形成面を対向させて枠状シール材(不図示)を介し接合し、枠状シール材で囲まれたガラス基板1、2間に液晶を封入し、構成されている。一対のガラス基板1、2のうちの他方のガラス基板1には、一端部を一方のガラス基板2の端面から突出させて、突出部1aが形成されている。なお、本液晶表示素子LCは、表示領域Avに比して周囲の額縁Afを小さくした狭額縁化液晶表示素子である。
【0020】
また、本例の液晶表示素子LCは、図2に示すように、単純マトリクス型液晶表示素子であり、ガラス基板2のガラス基板1に対向させた面(以下、内面という)に、複数の走査電極(二点鎖線で示す)3が基板長手方向に平行に延在させて形成されている。そして、他方のガラス基板1の内面には、複数の信号電極4が前記走査電極2に対して直交する方向に平行に延在させて形成されている。
【0021】
ガラス基板1における突出部1aの表面(内面の延長面)には、本例の液晶表示素子LCを駆動する駆動回路素子5がCOG(Chip On Glass)方式により直接搭載されている。即ち、各信号電極4からそれぞれ信号配線6が、駆動回路素子5の配設位置に向けて引き出され、これら引き出された信号配線6の各端子(不図示)が、駆動回路素子5の裏面の対応する接続バンプ(不図示)の配列と同一の配列で突出部1aの所定位置に配設され、この端子列に駆動回路素子5の対応する接続バンプが異方性導電接着剤等のコネクタを介して導通接続されている。
【0022】
一方、本例の液晶表示素子における走査電極3は、1本置きに、その半数の端部がガラス基板2の長手方向における一方の端部に引き出され、残りの半数の反対側の端部がガラス基板2の他方の端部に引き出され、引き出されたそれぞれの端部は、基板間の導通接続(以下、クロス接続という)を行うためのクロス接続パッド3aに形成されている。
【0023】
これらクロス接続パッド3aに対向させて、ガラス基板1側にも被クロス接続パッド3bが配設され、これら被クロス接続パッド3bから走査配線7が駆動回路素子5の配設位置に向けてそれぞれ引き出されている。これら走査配線7の各端子(不図示)も、駆動回路素子5の裏面の対応する接続バンプ(不図示)の配列と同一の配列で突出部1aの所定位置に配設され、この端子列に駆動回路素子5の対応する接続バンプが異方性導電接着剤等のコネクタを介して導通接続されている。
【0024】
ここで、ガラス基板1、2の各内面上の積層構造について図3のA−A断面図に基づき説明する。
ガラス基板1の内面には、複数の信号電極4とそれらから引き出された信号配線(不図示)や対向基板2側の走査電極3と導電接続するための被クロス接続パッド3b、及びこれらから引き出された走査配線7等が配設されている。そして、これら電極及び配線部材を覆って配向膜8が一様に被着されている。この配向膜8の被着範囲は、被クロス接続パッド3bを覆わないように設定されている。
【0025】
走査電極3が設けられるガラス基板2の内面には、遮光膜9が設置されている。遮光膜9には、走査電極3と信号電極4とが交差する領域に形成される画素に対応させて開口部9aが設けられている。これら開口部9aには、それぞれ赤、緑、青の3種類のカラーフィルタ要素10R、10G、10Bの何れかが所定の配列で配設されている。本例では、各カラーフィルタ要素10R、10G、10Bが対応する信号電極4に沿ってストライプ状に形成されその対向領域の開口部9a列を覆うように配設されている。
【0026】
そして、それらカラーフィルタ要素10R、10G、10B等を覆って絶縁保護膜11が一様に積層されている。この絶縁保護膜11はカラーフィルタ要素10R、10G、10Bを保護すると共にその凸凹表面を平坦化するために設けられており、透明な感光性樹脂材料を例えばスピンコート法等により透明基板2のカラーフィルタ要素10R、10G、10Bが形成された表面に一様に被覆した後、硬化、露光、現像の各工程を経て所定の形状にパターニングする。このパターニングプロセスにおいては、絶縁保護膜11の端面11aが、両基板1、2を適正に接合した状態においてクロス接続パッド3a、3bが対向するクロス接続領域Dcと走査配線7の配設領域Dlとの境界部に位置するように、露光マスクが設計される。これにより、前記境界部に段差Gが形成される。また、絶縁保護膜11の端面11aは、その硬化条件等を調整することにより、本例のようにそのエッジ角度θが125〜145度程度になるように傾斜させることが好ましい。これにより、その上に積層される走査電極3の断線が防止される。
【0027】
絶縁保護膜11の表面には、上述したように複数の走査電極3が平行に積層されている。これら走査電極3の各端部は、絶縁保護膜11の端面11aを超えて所定の位置まで引き出されており、この引き出された部分がクロス接続パッド3aとなる。そして、それら複数の走査電極3を覆って配向膜12が一様に積層されている。この配向膜12は、クロス接続パッド3aを被覆しないようにその積層領域が設定されている。
【0028】
而して、上述のように構成されたガラス基板1、2の各積層体は、枠状に配置された異方性導電シール材13により所定の基板間隔を保って接合されている。この第1の発明に係わる異方性導電シール材13は、導電性粒子13aと絶縁樹脂基材13bで構成されている。ここで、導電性粒子13aの粒径dは、所期の液晶封入間隙(液晶層厚)tを得るために必要な基板間隙rから両クロス接続パッド3a、3bの厚さを差し引いた寸法に設定されている。これにより、導電性粒子13aは、両クロス接続パッド3a、3bを導通接続するコネクタとなると共に必要な液晶層厚tを得る為のスペーサとしての機能も果たす。なお、本例の導電性粒子13aは、樹脂粒子の表面に金をメッキ処理により被着して形成されている。
【0029】
上述のような導電性粒子13aを含有する異方性導電シール材13は、基板接合用シール材として必要なシール幅Wsを確保すると共に、絶縁樹脂基材中に導電性粒子13aを含有する異方性導電層からなる外枠Soと、この内側(液晶封入側)に沿った導電性粒子13aが含まれない絶縁樹脂基材のみの絶縁層からなる内枠Siとを備えた、2重枠構造に形成されている。そして、この2重枠構造の異方性導電シール材13は、異方性導電層からなる外枠Soがクロス接続領域Dcとそれより外側の領域に位置し、絶縁層からなる内枠Siが走査配線領域Dlに位置するように、配置されている。
【0030】
以上のように、一対のガラス基板1、2を接合する接合部材として前記2重枠構造のシール部材13を配置することにより、液晶を信頼性良く封入するのに必要なシール幅Wsが確保されると共に、走査配線領域Dlにも異方性導電シール材13の一部を配置して基板の小型化が促進され、表示素子においては額縁幅が縮小される。そして、走査配線領域Dlに絶縁層の内枠Siを、クロス接続領域Dcに異方性導電層の外枠Soを、それぞれ選択配置してあるから、対応しない走査電極3と走査配線7間のショートが内枠Siの絶縁層により防止されると共に、対応するクロス接続バッド3aと被クロス接続パッド3bが外枠Soの異方性導電層により確実且つ容易に導通接続される。
【0031】
次に、上述した第1実施形態としての液晶表示素子LCを製造する方法の発明を、図4(a)〜(c)に基づき説明する。
まず図4(a)に示すように、導電性粒子13aを未硬化の絶縁樹脂基材13b中に混合してなる異方性導電シール材料M13を段差Gの外側に沿って枠状に塗布する。この場合の塗布エリアaは、その内側端部が段差Gより適長だけ外側に位置するように設定され、その塗布高さhは、この異方性導電シール材料M13の先端と他方の信号電極4が設けられたガラス基板1の被クロス接続パッド3bとが接触した際に、両基板1、2の各内面(各配向膜表面)の対向距離Ra が導電性粒子13aの粒径d以下となるように設定されるのが好ましい。このように異方性導電シール材料M13が塗布されたガラス基板2の電極形成面の上方に、信号電極4が設けられたガラス基板1をその電極形成面を対向させて位置させ、アライメントマーク等の基準に従って位置を合わせる。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、対向させたガラス基板2をガラス基板1に対して合わせた位置をずらさないように近づけ、異方性導電シール材料M13を押し潰して行く。これにより、異方性導電シール材料M13が平面方向に広がるが、段差Gより内側へはこの段差Gにより導電性粒子13aの移動が阻止されて絶縁樹脂基材13bのみが進入する。
【0033】
そして、図4(c)に示すように、導電性粒子13aが両クロス接続パッド3a、3bに挟持されるまでガラス基板2をガラス基板1に近づける。この段階においては、異方性導電シール材料M13が液晶を信頼性良く封入するのに必要とされるシール幅Wsを得ることができる幅Wmまで広がり、導電性粒子13aがその周表面を両クロス接続パッド3a、3bに確実に直接接触させている。この後、異方性導電シール材料M13中の絶縁樹脂基材13bを硬化させることにより、基板の接合作業が完了する。この異方性導電シール材料M13が硬化して異方性導電シール材13となり基板の接合が完了した段階においては、樹脂材料が硬化により収縮して異方性導電シール材料M13の広がり幅WMが必要とされるシール幅Wsに縮小している。なお、絶縁樹脂基材13bとしては熱硬化性樹脂或いは紫外線硬化型樹脂等、種々の絶縁樹脂材料を用いることができる。
【0034】
以上のように、本発明の製造方法は、通常の単層枠構造の接合部材を用いた液晶表示素子の製造方法と工程数及びその工程内容は略同じである。従って、本発明の製造方法によれば、額縁幅が小さく且つ対応しない電極と配線をショートさせることなく異なる基板の電極と対応する配線を確実に導通接続できる単純マトリクス方式の片側基板端子型液晶表示素子を、製造コストをアップさせることなく容易に製造することができる。
【0035】
つぎに、第1の発明の第2実施形態について、図5に基づき説明する。
本例の液晶表示素子は、まず、絶縁保護膜15がガラス基板2の内面の略全域に積層されている点で、第1実施形態と構成が異なっている。従って、第1実施形態で形成されていた段差Gが形成されていない。
【0036】
また、異方性導電シール材16が、導電性粒子16aを絶縁樹脂基材16b中に含有させてなる異方性導電層の外枠Soと、前記絶縁樹脂基材16bとは材質が異なる絶縁樹脂材16cからなる絶縁層の内枠Siとを備えた2重枠構造に形成されている点でも、第1実施形態と構成が異なっている。本例では、外枠Soの絶縁樹脂基材16bとして水分等を透過させ難い例えばエポキシ系の樹脂材料等を用い、内枠Siの絶縁樹脂材16cとしては液晶にイオン性不純物等の異物を溶出させない耐薬品性に優れた例えばシリコーン系の樹脂材料等を用いている。これにより、防湿性及び耐薬品性に優れた極めて信頼性の高いシール効果が得られる。さらに、絶縁樹脂基材16bと絶縁樹脂材16cの未硬化状態におけるそれぞれの材料の粘度も、外枠Soの絶縁樹脂基材16bの材料粘度を内枠Siの絶縁樹脂材16cの材料粘度より低く設定してある。これにより、導電性粒子16aが内枠Si中に混入し難くすることができる。
【0037】
そして、この2重枠構造の異方性導電シール材16は、第1実施形態と同様に、異方性導電層からなる外枠Soがクロス接続領域Dcとそれより外側の領域に位置し、絶縁層からなる内枠Siが走査配線領域Dlに位置するように、配置されている。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0038】
以上のように、一対のガラス基板1、2を接合する接合部材として上述した材質が互いに異なる2重枠構造の異方性導電シール材16を配置することにより、前述した第1実施形態の液晶表示素子の良好な効果に加えて、防湿性及び耐薬品性に優れた極めて信頼性の高いシール効果が奏される、高品質の液晶表示素子を得ることができる。
【0039】
次に、第2の発明の方法としての本例の液晶表示素子の製造方法を、図6(a)〜図6(c)に基づき説明する。
まず、図6(a)に示すように、ガラス基板1の信号電極4を形成した表面に内枠材料としての絶縁樹脂材料M16c を、少なくとも走査配線領域DLの外側所定幅部分を含むように予め設定されている内枠配置領域Dsiに沿って枠状に塗布する。この場合、絶縁樹脂材料M16c を、設定されている内枠配置領域Dsiの内側部分に適長幅の空白領域が残るように、外側部分へ偏らせて塗布する。
【0040】
一方、他方のガラス基板2の走査電極3を形成した表面には、外枠材料としての異方性導電材料M16abを、少なくともクロス接続領域Dcを含むように予め設定されている外枠配置領域Dsoに沿って枠状に塗布する。この場合は、異方性導電材料M16abを、設定されている外枠配置領域Dsoの外側部分に適長幅の空白領域が残るように、内側部分へ偏らせて塗布する。
【0041】
そして、上述のようにそれぞれ未硬化状態の材料M16c 、M16abが所定位置に塗布されたガラス基板1、2を、位置を合せて対向させる。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、一方の例えばガラス基板1を他方のガラス基板2に対して合わせた位置をずらさないように近づけ、それぞれの基板1、2に塗布した各材料M16c 、M16abを押し潰して行く。これにより、両材料M16c 、M16abは、平面方向に広がって内枠と外枠の境界部分で接触すると共に互いに進入し合って空洞部分を発生させずに密着し合う。ここで、前述したように内枠材料M16c の粘度を外枠材料M16abの粘度よりも高く調製してあるから、境界部において内枠材料M16c が外枠材料M16abを押し出すような状態となり、導電性粒子16aが内枠材料M16c 中に混入し難く、従って、導電性粒子16aが走査配線領域Dlに進入する虞はない。
【0043】
次いで、図6(c)に示すように、導電性粒子16aが両クロス接続パッド3a、3bに挟持されるまでガラス基板2をガラス基板1に近づける。この段階においては、異方性導電シール材料M16が液晶を信頼性良く封入するのに必要とされるシール幅Wsを得ることができる幅Wmまで広がり、導電性粒子16aがその周表面を両クロス接続パッド3a、3bに確実に直接接触させている。この後、異方性導電シール材料M16中の絶縁樹脂基材16bと絶縁樹脂材16cを硬化させることにより、基板の接合が完了する。この異方性導電シール材料M16が硬化して異方性導電シール材16となり基板の接合が完了した段階においては、樹脂材料が硬化により収縮して異方性導電シール材料M16の広がり幅Wmが必要とするシール幅Wsに縮小している。
【0044】
以上のように、本発明の製造方法によれば、2重枠構造の接合部材を構成する異方性導電層と絶縁層の各材料をそれぞれ異なるガラス基板1、2に分けて所定の位置に配置し、この後に両ガラス基板1、2を接合するから、異方性導電層と絶縁層とを境界部に隙間を発生させることなく互いに密着した状態で所期の位置へそれぞれより正確に設置することができる。その結果、小型化に極めて有利であり且つ信頼性に優れた所望の液晶封入効果が奏されると共に対応しない電極と配線間のショートがより確実に防止される高品質の液晶素子を、容易に製造することが可能となる。
【0045】
次に、本発明とは別発明となる類似液晶素子について、その一実施形態としての液晶表示素子を示す図7の断面図に基づき説明する。なお、図7の断面図に対応する平面図は、本発明の第1実施形態を示した図2の平面図と同じであるから、省略する。
【0046】
本例の液晶表示素子では、クロス接続パッド部3aと被クロス接続パッド部33bに、それぞれ、金属等の導体材料からなる導体当接層17a、17bが積層されている。また、異方性導電シール材18は、導電性粒子18aを絶縁樹脂基材18b中に含有させた異方性導電層のみからなる単層枠構造に形成されている。そして、導電性粒子18aの粒径をガラス基板1の走査配線7とガラス基板2の走査電極3とが対向する領域の各配向膜8、12間距離(本例では液晶封入間隙tと同じ)より小さく設定してある。従って当然のことであるが、導電性粒子18aの粒径は走査配線7と走査電極3の対向間隔よりも小さい。その他の構成は第1の発明の第1実施形態や第2実施形態と略同一である
【0047】
ここで、導電性粒子18aの粒径と各導体当接層17a、17bの厚さは、次のように設定される。
即ち、図7に示されるように、導体当接層17a、17b間に導電性粒子18aが直接挟持されて両クロス接続パッド部3a、3bが確実に導通接続された基板接合完了状態において、液晶封入間隙tよりも導電性粒子18aの粒径が充分に小さい構成となるように、導電性粒子18aの粒径と各導体当接層17a、17bの厚さが設定される。これにより、導電性粒子18aが走査配線領域Dlに存在していても対応しない走査電極3と走査配線7をショートさせる虞はなくなる。
【0048】
なお、本例の導体当接層17a、17bは、無電解メッキによりニッケル(Ni)層を各クロス接続パッド部3a、3b上に積層して形成されているが、これに限らず、他の種々の成膜方法や導体材料を適用できる。また、導体当接層17a、17bは、何れか一方だけを設けるようにしても良い。
【0049】
以上のように、この発明の液晶素子は、異方性導電シール材18が単層枠構造であり、且つ配線領域に導電性粒子が存在していても対応しない電極と配線のショートを引き起こさないように構成されている。従って、本発明の液晶素子を製造する際に、異方性導電シール材の配置位置が多少ずれてもクロス導通不良やショート不良は引き起こされない。よって、第1の発明の液晶素子と同等の良好な効果を奏する液晶素子を、より低い製造コストで容易に製造することが可能となる。
【0050】
なお、第1の発明の液晶素子とその2通りの製造方法及び第2の発明の液晶素子は、上述したそれぞれの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲において種々の変形が可能であることは勿論である。
【0051】
例えば、第1の発明の液晶表示素子における接合部材は、第1実施形態のように全周に亘って2重枠構造に形成せずに、異なる基板に分かれた電極と配線が対向する領域(第1実施形態における走査配線領域Dl)に沿った範囲だけを2重枠構造としてもよい。
【0052】
また、図4に示す製造方法においては、異方性導電シール材料M13を段差を設けていないガラス基板1側に塗布してもよい。
【0053】
加えて、第2の発明の液晶素子においては、図7に示した実施形態のようにクロス接続パッド部に導体当接層を積層することによりクロス接続間隙を小さくするのではなく、クロス接続パッド部の下にスペーサ層を介在させてクロス接続間隙を小さくしてもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明の液晶素子によれば、電極を設けた基板とは異なる基板に設けたその電極に対応する配線を枠状接合部材の内側に設けたから、その配線の腐食が防止されると共に基板の小型化に有利となる。そして、一対の基板の接合部材として、外側導電性シールとその内側の内側絶縁性シールからなる2重構造を備えた異方性導電シール材を液晶を信頼性良く封入するのに必要なシール幅にわたり枠状に形成すると共に、その領域に前記複数の第1接続端子にそれぞれ接続される複数の第1被接続端子を配置し、また内側絶縁性シール内に前記第1の配線と前記第2の配線が配置させたから、片側基板端子型液晶素子において、対応しない電極と配線のショートを引き起こすことなく基板の小型化が促進され、表示素子においては額縁幅が縮小される。
【0055】
また、本発明の液晶素子において、請求項2に記載のように、外側導電性シールの前記絶縁樹脂基材と内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料とが同一材料とし、請求項3に記載のように、前記第1の基板或いは第2の基板の少なくとも何れか一方の基板の内面上に、前記外側導電性シールと前記内側絶縁性シールとの境界に対応させて段差を形成することにより、接合部材が単層枠構造である従来の液晶素子と略同じ製造方法により本発明の接合部材が2重枠構造である液晶素子を容易に製造することができる。
【0056】
また、請求項4に記載のように、前記外側導電性シールの絶縁樹脂基材として透水防止性能に優れた材料を用い、前記内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料として液晶に対する溶解性が低い材料を用いることにより、小型で且つ電圧保持率が高い高性能の片側基板端子型液晶素子が得られる。
【0057】
第1の方法の発明によれば、所定位置に導電性粒子の内側への進入を阻止する段差を設けた基板を用いるから、異方性導電層と絶縁層からなる2重枠構造の接合部材により接合された液晶素子を、一対の電極基板を単層の枠状接合部材で接合してなる通常の液晶表示素子の製造方法と略同じ工程数と工程内容により製造することができる。従って、単純マトリクス方式の片側基板端子型液晶表示素子であっても、小型化を大幅に促進できると共に対応しない電極と配線をショートさせることなく対応する電極と配線を確実に導通接続できる。その結果、上述のような高い品質を備えた液晶素子を低い製造コストで容易に製造することが可能となる。
【0058】
また、第2の方法の発明によれば、2重枠構造の接合部材を構成する異方性導電層と絶縁層の各材料をそれぞれ第1の基板と第2の基板に分けて所定の位置に配置し、この後に両基板を接合するから、異方性導電層と絶縁層とを境界部に隙間を発生させることなく互いに密着した状態で所期の位置へそれぞれより正確に設置することができる。その結果、小型化に極めて有利であり且つ信頼性に優れた所望の液晶封入効果が奏されると共に対応しない電極と配線間のショートがより確実に防止される高品質の液晶素子を、容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての液晶表示素子を示す斜視図である。
【図2】上記第1実施形態としての液晶表示素子の略半分を示す平面図である。
【図3】図2の平面図におけるA−A断面図である。
【図4】上記第1実施形態の液晶表示素子の製造方法を3段階に分けて示す説明図で、第1の方法の発明の一実施形態を示すものである。
【図5】本発明の液晶素子の第2実施形態を示す図3に対応するA−A断面図である。
【図6】上記第2実施形態の液晶表示素子の製造方法を3段階に分けて示す説明図で、第2の方法の発明の一実施形態を示すものである。
【図7】本発明とは別発明の液晶素子の一実施形態を示す図3に対応するA−A断面図である。
【符号の説明】
1、2…ガラス基板
3…走査電極
4…信号電極
5…駆動回路素子
6…信号配線
7…走査配線
8、12…配向膜
9…遮光膜
10R、10G、10B…カラーフィルタ要素
11、15…絶縁保護膜
13、16、18…異方性導電シール材
13a、16a、18a…導電性粒子
13b、16b、18b…絶縁樹脂基材
LC、LC´…液晶表示素子
G…段差
So…外枠
Si…内枠
Claims (6)
- 複数の第1の電極及びこれら第1の電極にそれぞれ電圧を供給するための複数の第1接続端子が形成された第1の基板と、
前記複数の第1の電極に対向する複数の第2の電極、及びこれら第2の電極に電圧を供給するための第2の配線、並びに前記第1接続端子に対応させて設けられ、前記複数の第1接続端子にそれぞれ接続される複数の第1被接続端子、及びこれら第1被接続端子に電圧を供給する第1の配線とが形成された第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板をそれぞれの電極形成面を対向させて所定の間隙を保ち接合する枠状をなす接合部材と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の対向する各内面と前記接合部材とで囲まれる空間に封入された液晶とからなる液晶素子であって、
前記接合部材は、絶縁樹脂基材中に導電性粒子を含有させてなる異方性導電層からなる外側導電性シールとその内側に沿って設けられた絶縁樹脂材料からなる内側絶縁性シールとから形成され、
前記第1の配線と前記第2の配線は、前記接合部材の内側絶縁性シールより内側に配列され、前記第1接続端子とこれに対応する前記第1被接続端子とは前記接合部材の外側導電性シールの内部に配置されていることを特徴とする液晶素子。 - 外側導電性シールの前記絶縁樹脂基材と、前記内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料とが同一材料であることを特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
- 前記第1の基板或いは第2の基板の少なくとも何れか一方の基板の内面上に、前記外側導電性シールと前記内側絶縁性シールとの境界に対応させて段差が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶素子。
- 前記外側導電性シールの絶縁樹脂基材が透水防止性能に優れた材料からなり、前記内側絶縁性シールの絶縁樹脂材料が液晶に対する溶解性が低い材料からなることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
- それぞれの表面に電極が形成された一対の基板を各電極形成面を対向させ枠状の接合部材を介して接合し、前記接合部材と前記一対の基板の各電極形成面とで囲まれた空間内に液晶を封入してなる液晶素子の製造方法であって、
少なくとも一方の基板の電極形成面上における前記接合部材を設置する領域の所定位置に段差が形成された一対の基板を用意する工程と、
前記段差の液晶を封入する側とは反対側の外側の所定の枠状をなす領域に絶縁樹脂材料に導電性粒子を混合してなる接合材料を配置する工程と、
前記一対の基板をそれぞれの電極形成面を対向させると共に対応する位置を合わせる工程と、
位置合わせした前記一対の基板を挟圧し基板間隔を所定の間隔に圧縮する工程と、
圧縮された基板間の前記接合材料を硬化させて接合部材を形成する工程とを、
有することを特徴とする液晶素子の製造方法。 - それぞれの表面に電極が形成された第1の基板と第2の基板とを各電極形成面を対向させ枠状の接合部材を介して接合し、接合部材と前記第1の基板及び前記第2の基板の各電極形成面とで囲まれた空間内に液晶を封入してなる液晶素子の製造方法であって、
前記第1の基板の電極形成表面上の第1の位置に絶縁樹脂材料に導電性粒子を混合してなる異方性導電材料を枠状に配置する工程と、
前記第2の基板の電極形成面上の前記第1の位置に対応する位置より枠内側の第2の位置に絶縁樹脂材料を枠状に配置する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを各電極形成面を対向させて前記異方性導電材料の内側の所定位置に前記絶縁樹脂材料が位置するように位置を合わせる工程と、
位置を合わせた前記第1及び第2の基板を挟圧し基板間隔を所定の間隔に圧縮する工程と、
圧縮された基板間の前記第1接合材料と前記第2接合材料を硬化させて接合部材を形成する工程とを、
有することを特徴とする液晶素子の製造方法。
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US8711310B2 (en) | 2011-02-17 | 2014-04-29 | Samsung Display Co., Ltd. | Liquid crystal display |
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WO2020087684A1 (zh) * | 2018-10-31 | 2020-05-07 | 武汉华星光电技术有限公司 | 显示面板及显示模组 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002379017A patent/JP2004212446A/ja active Pending
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