JP2004211238A - 古紙パルプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミネート粕が確実に除去されながら、目穴又はスリットの詰まりが生じず、しかも環境への影響が少ない古紙パルプの製造方法となる。
【解決手段】ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得る。
【選択図】なし
【解決手段】ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得る。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、古紙パルプの製造方法に関する。より詳しくは、ラミネート古紙や、ラミネート古紙を含む無選別古紙から古紙パルプを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、古紙パルプの製造には、新聞古紙や雑誌古紙などが利用されていた。しかし、近年では、これらに加え、飲料カップや、牛乳パック、本のカバーなどの表面がプラスチックフィルムでラミネートされたラミネート古紙の利用が試みられている。資源をより一層有効利用するため、あるいは選別の煩わしさを回避するためである。
【0003】
ラミネート古紙から古紙パルプを製造する方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、ラミネート古紙を含む製紙原料を、孔径10〜40mmのストレーナを備えたパルパーにより、前記ストレーナを通る程度の紙片に破砕し、10時間以上リテンションタワーにおいて水和及び膨潤させて紙片とラミネート片との結合を弱め、孔径3〜6mmのスクリーンにおいてラミネート片を除去する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、ラミネート古紙にアルカリを添加してフレーク状に離解して、タワー内で30分以上熟成させ、スラリー濃度10%以下に希釈して異物を分離除去する方法が開示されている。さらに、下記特許文献3には、微細に裁断されたラミネート古紙を離解し、得られたパルプスラリーを濃縮するなどした後、機械的な剪断力を加え、次いで、ホールスクリーンやスリットスクリーンなどの除塵手段でラミネート粕を除去する方法が示されている。そして、この方法においては、ラミネート古紙を1cm×10cmより小さく裁断する。このように小さく裁断するのは、現実のラミネート古紙からは、大小さまざまなラミネート粕(プラスチックフィルム)が回収されるところ、大きなラミネート粕によって除塵手段の目穴やスリットが詰まるのを防止するためである。
【特許文献1】
特開昭60−134089号公報
【特許文献2】
特開平4−163385号公報
【特許文献3】
特開平10−96182号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の方法には、以下の問題がある。
すなわち、特許文献1の方法は、紙片とラミネート片との結合を弱めるための水和及び膨潤させる特別な工程が必要になるという問題がある。
また、特許文献2の方法は、アルカリを添加してフレーク状に離解するため、その排出物による環境への悪影響が心配されるという問題がある。
さらに、特許文献3の方法は、ラミネート古紙を1cm×10cmより小さく、つまり微細に裁断するので、微細化されたラミネート粕が除塵手段を通過してしまい、得られる古紙パルプに異物として残る可能性がある。微細化されたラミネート粕を除去するためには、除塵手段の目穴を小さくし、あるいはスリット幅を狭くするということも考えられるが、これでは、目穴やスリットの詰まりという問題が発生するおそれがあるほか、設備負荷が大きくなり、設備的に大きなものとなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、ラミネート粕が確実に除去されながら、目穴又はスリットの詰まりが生じず、しかも環境への影響が少ない古紙パルプの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
ラミネート古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0007】
<請求項2記載の発明>
離解時間を10〜30分とした請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
【0008】
<請求項3記載の発明>
ラミネート古紙を含む無選別古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
少なくとも前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を含む無選別古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0009】
(作用効果)
ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmと従来の方法に比して大きく裁断するので、ラミネート粕が確実に除去される。
【0010】
また、ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmと大きく裁断するものの、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通すので、大きなラミネート粕によってスクリーンが詰まるという問題が生じない。このラミネート粕の段階的除去は、ラミネート古紙を大きく裁断することから可能となるものである(ラミネート古紙を微細に裁断すると、一度に除去する必要が生じる。)。また、段階的除塵は、設備的に効率がよい。
【0011】
さらに、温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解するので、ラミネート粕は軟化し、古紙パルプとの摩擦によって変形するので、小さなラミネート粕も、特に幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段で確実に回収することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔ラミネート古紙〕
本発明の方法が対象とするラミネート古紙は、基紙の表面にプラスチックフィルムがラミネートされたものである。例えば、飲料カップや、牛乳パック、本のカバーなどである。もちろん、使用後に回収されたもののほか、製造工程で発生した裁断くずや、廃棄処分されたものなども含まれる。
【0013】
プラスチックフィルムがラミネートされている場所、範囲等は、特に限定されない。例えば、基紙の一方の表面にのみラミネートされていても、基紙の両方の表面にラミネートされていてもよい。基紙表面全体に渡ってラミネートされていても、基紙表面の一部にのみラミネートされていてもよい。また、ラミネートされているプラスチックフィルムは、どのような種類のプラスチックからなるものであってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、エチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、などからなるプラスチックフィルムを対象とすることができる。その他、本発明が対象とするラミネート古紙は、ラミネートがどのような方法によってなされていてもよい。例えば、ドライラミネート、ウェトラミネート、押出しラミネートなどの方法によってラミネートされたものを対象とすることができる。
【0014】
〔裁断工程〕
古紙パルプの製造にあたっては、まず、以上のようなラミネート古紙を、あるいは以上のようなラミネート古紙を含む無選別古紙(無選別古紙とは、新聞古紙、チラシ古紙、雑誌古紙などの古紙とラミネート古紙とが、選別されずに混ざり合った状態にある古紙をいう。)を、幅10〜100mm、長さ10〜500mmに、好ましくは幅50〜100mm、長さ50〜100mmに裁断する。この裁断を小さく(細かく)しすぎると、微細化されたラミネート粕が除塵手段を通過して、得られる古紙パルプに異物として残る可能性がある。逆に、裁断を大きくしすぎると、後述する除塵手段において、目穴又はスリットにラミネート粕がつまるおそれがあり、また、ラミネート粕排出設備でラガー状の固まりになるおそれがある。
【0015】
裁断のために用いる装置は、特に、限定されない。例えば、破砕機や、裁断機、カッター、シュレッダーなどを用いることができる。
【0016】
〔離解工程〕
裁断したラミネート古紙、あるいはラミネート古紙を含む無選別古紙(少なくともラミネート古紙は裁断されている必要がある。もちろん、無選別古紙全てが裁断されていてもよい。)は、次いで、パルパーなどで離解する。この離解工程において、プラスチックフィルムが繊維から分離される。
【0017】
この離解は、温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で、好ましくは温度47〜60℃、パルプ濃度15〜20質量%の条件下で行う。離解する際の温度が低いと、プラスチックフィルムは、軟化せず繊維との摩擦によっても変形しなくなるので、微細なプラスチックフィルム(ラミネート粕)の除去が困難になる。また、パルプ濃度が低い場合は、プラスチックフィルムが微細に分散されることになるため、その除去が困難になる。
【0018】
裁断古紙の離解時間は、10〜30分とするのが好ましく、25〜30分とするのが特に好ましい。離解時間が短いと、プラスチックフィルムが繊維から完全に分離されないおそれがある。離解時間が長いと、プラスチックフィルムが溶け、あるいは微細に分散されてしまうため、その除去が困難になる。もちろん、生産性も悪くなる。
【0019】
裁断古紙を離解するための設備は、その種類が特に限定されない。例えば、パルパーのほか、セパレーターをも使用することができる。パルパーとしては、例えば、ハイドラパルパー、ローターパルパー、横型パルパーなどの低濃度パルパーや、縦型バッチ式パルパー、ドラム型連続式パルパーなどの高濃度パルパーなどを適宜使用することができる。
【0020】
〔除塵工程〕
裁断古紙を離解してパルプスラリーとしたら、除塵手段において、その中に含まれるラミネート粕を回収(除去)する。
本発明において、この除去は、パルプスラリーを直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通すことにより、行う。パルプスラリーを、かかる順に通すことによりラミネート粕は段階的に効率よく除去される。つまり、目穴を有する除塵手段で、まず、面状のラミネート粕が除去され、スリットを有する除塵手段で、糸状のラミネート粕が除去され、直径ないしスリット幅が段階的に小さく・狭くなることで、ラミネート粕が効率的にかつ確実に除去される。例えば、目穴を有する除塵手段と、スリットを有する除塵手段と、の前後関係を逆にすると、スリットを有する除塵手段において、面状のラミネート粕が詰まるおそれがある。なお、本発明では、ラミネート粕を「短冊状」に裁断するため、離解後のパルプスラリー中においては、糸状のラミネート粕よりも面状のラミネート粕が支配的なものとなる。
【0021】
目穴を有する除塵手段としては、例えば、ホールスクリーンなどを、スリットを有する除塵手段としては、例えば、スリットスクリーンなどを、例示することができる。
【0022】
本工程におけるラミネート粕の除去により、抄紙工程における抄紙網の目詰まりや、ラミネート粕のロールへの付着などが防止される。また、ラミネート粕の除去にともなって、例えば、雑誌の背糊などとして使用されているホットメルトなども回収されうる。
【0023】
本発明においては、以上の各除塵手段の間に、他の除塵手段を配置し、除塵を4段、5段、あるいはそれ以上とすることもできる。かかる他の除塵手段としては、例えば、ホールスクリーンやスリットスクリーンなどを例示することができる。
【0024】
〔その他〕
(1) 本発明においては、適宜、クリーナーなどによって、プラスチックフィルム以外の異物、例えば、石、ガラスなどを除去(粗選、精選)することができる。
【0025】
(2) 本発明においては、適宜、フローテーターなどによって、脱墨処理を行うことができる。
【0026】
(3) 本発明においては、適宜、過酸化水素などによって、繊維の漂白処理を行うことができる。
【0027】
(4) 本発明においては、適宜、サイズ剤、紙力増強剤、染顔料、歩留まり向上剤、填料、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、難燃剤などを使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の効果を明らかにするために、実施例を説明する。
ラミネート古紙又は無線別古紙を、まず、シュレッダーで所定の大きさに裁断した。そして、この裁断古紙をパルパーで離解してパルプスラリーとした後、ラミネート粕を除去(多段)して古紙パルプを得た。評価項目は、除去されなかったラミネート粕の量、及び目穴又はスリットの詰まりの有無とした。裁断の大きさや、離解温度などの条件とともに、結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
〔ラミネート粕の評価方法〕
JIS P 8209に基づいて、除去工程を経た後の古紙パルプから手すきシートを500枚作成し、ラミネート粕の有無を目視にて確認した。ラミネート粕の混入したシートが存在しなかった場合を◎、ラミネート粕の混入したシートが存在したが、全体(500枚)の1%未満であった場合を○、ラミネート粕の混入したシートが全体の1%以上であった場合を×、とした。
【0031】
〔目穴又はスリットの詰まり〕
古紙パルプを製造するに際して、3時間ごとに一段目の除去手段を分解し、目穴の目詰まり状況を目視にて確認した。詰まりがなかった場合を○、詰まりがあった場合を×とした。
【0032】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、ラミネート粕が確実に除去されながら、目穴又はスリットの詰まりが生じず、しかも環境への影響が少ない古紙パルプの製造方法となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、古紙パルプの製造方法に関する。より詳しくは、ラミネート古紙や、ラミネート古紙を含む無選別古紙から古紙パルプを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、古紙パルプの製造には、新聞古紙や雑誌古紙などが利用されていた。しかし、近年では、これらに加え、飲料カップや、牛乳パック、本のカバーなどの表面がプラスチックフィルムでラミネートされたラミネート古紙の利用が試みられている。資源をより一層有効利用するため、あるいは選別の煩わしさを回避するためである。
【0003】
ラミネート古紙から古紙パルプを製造する方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、下記特許文献1には、ラミネート古紙を含む製紙原料を、孔径10〜40mmのストレーナを備えたパルパーにより、前記ストレーナを通る程度の紙片に破砕し、10時間以上リテンションタワーにおいて水和及び膨潤させて紙片とラミネート片との結合を弱め、孔径3〜6mmのスクリーンにおいてラミネート片を除去する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、ラミネート古紙にアルカリを添加してフレーク状に離解して、タワー内で30分以上熟成させ、スラリー濃度10%以下に希釈して異物を分離除去する方法が開示されている。さらに、下記特許文献3には、微細に裁断されたラミネート古紙を離解し、得られたパルプスラリーを濃縮するなどした後、機械的な剪断力を加え、次いで、ホールスクリーンやスリットスクリーンなどの除塵手段でラミネート粕を除去する方法が示されている。そして、この方法においては、ラミネート古紙を1cm×10cmより小さく裁断する。このように小さく裁断するのは、現実のラミネート古紙からは、大小さまざまなラミネート粕(プラスチックフィルム)が回収されるところ、大きなラミネート粕によって除塵手段の目穴やスリットが詰まるのを防止するためである。
【特許文献1】
特開昭60−134089号公報
【特許文献2】
特開平4−163385号公報
【特許文献3】
特開平10−96182号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の方法には、以下の問題がある。
すなわち、特許文献1の方法は、紙片とラミネート片との結合を弱めるための水和及び膨潤させる特別な工程が必要になるという問題がある。
また、特許文献2の方法は、アルカリを添加してフレーク状に離解するため、その排出物による環境への悪影響が心配されるという問題がある。
さらに、特許文献3の方法は、ラミネート古紙を1cm×10cmより小さく、つまり微細に裁断するので、微細化されたラミネート粕が除塵手段を通過してしまい、得られる古紙パルプに異物として残る可能性がある。微細化されたラミネート粕を除去するためには、除塵手段の目穴を小さくし、あるいはスリット幅を狭くするということも考えられるが、これでは、目穴やスリットの詰まりという問題が発生するおそれがあるほか、設備負荷が大きくなり、設備的に大きなものとなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、ラミネート粕が確実に除去されながら、目穴又はスリットの詰まりが生じず、しかも環境への影響が少ない古紙パルプの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
ラミネート古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0007】
<請求項2記載の発明>
離解時間を10〜30分とした請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
【0008】
<請求項3記載の発明>
ラミネート古紙を含む無選別古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
少なくとも前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を含む無選別古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0009】
(作用効果)
ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmと従来の方法に比して大きく裁断するので、ラミネート粕が確実に除去される。
【0010】
また、ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmと大きく裁断するものの、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通すので、大きなラミネート粕によってスクリーンが詰まるという問題が生じない。このラミネート粕の段階的除去は、ラミネート古紙を大きく裁断することから可能となるものである(ラミネート古紙を微細に裁断すると、一度に除去する必要が生じる。)。また、段階的除塵は、設備的に効率がよい。
【0011】
さらに、温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解するので、ラミネート粕は軟化し、古紙パルプとの摩擦によって変形するので、小さなラミネート粕も、特に幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段で確実に回収することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔ラミネート古紙〕
本発明の方法が対象とするラミネート古紙は、基紙の表面にプラスチックフィルムがラミネートされたものである。例えば、飲料カップや、牛乳パック、本のカバーなどである。もちろん、使用後に回収されたもののほか、製造工程で発生した裁断くずや、廃棄処分されたものなども含まれる。
【0013】
プラスチックフィルムがラミネートされている場所、範囲等は、特に限定されない。例えば、基紙の一方の表面にのみラミネートされていても、基紙の両方の表面にラミネートされていてもよい。基紙表面全体に渡ってラミネートされていても、基紙表面の一部にのみラミネートされていてもよい。また、ラミネートされているプラスチックフィルムは、どのような種類のプラスチックからなるものであってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、エチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、などからなるプラスチックフィルムを対象とすることができる。その他、本発明が対象とするラミネート古紙は、ラミネートがどのような方法によってなされていてもよい。例えば、ドライラミネート、ウェトラミネート、押出しラミネートなどの方法によってラミネートされたものを対象とすることができる。
【0014】
〔裁断工程〕
古紙パルプの製造にあたっては、まず、以上のようなラミネート古紙を、あるいは以上のようなラミネート古紙を含む無選別古紙(無選別古紙とは、新聞古紙、チラシ古紙、雑誌古紙などの古紙とラミネート古紙とが、選別されずに混ざり合った状態にある古紙をいう。)を、幅10〜100mm、長さ10〜500mmに、好ましくは幅50〜100mm、長さ50〜100mmに裁断する。この裁断を小さく(細かく)しすぎると、微細化されたラミネート粕が除塵手段を通過して、得られる古紙パルプに異物として残る可能性がある。逆に、裁断を大きくしすぎると、後述する除塵手段において、目穴又はスリットにラミネート粕がつまるおそれがあり、また、ラミネート粕排出設備でラガー状の固まりになるおそれがある。
【0015】
裁断のために用いる装置は、特に、限定されない。例えば、破砕機や、裁断機、カッター、シュレッダーなどを用いることができる。
【0016】
〔離解工程〕
裁断したラミネート古紙、あるいはラミネート古紙を含む無選別古紙(少なくともラミネート古紙は裁断されている必要がある。もちろん、無選別古紙全てが裁断されていてもよい。)は、次いで、パルパーなどで離解する。この離解工程において、プラスチックフィルムが繊維から分離される。
【0017】
この離解は、温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で、好ましくは温度47〜60℃、パルプ濃度15〜20質量%の条件下で行う。離解する際の温度が低いと、プラスチックフィルムは、軟化せず繊維との摩擦によっても変形しなくなるので、微細なプラスチックフィルム(ラミネート粕)の除去が困難になる。また、パルプ濃度が低い場合は、プラスチックフィルムが微細に分散されることになるため、その除去が困難になる。
【0018】
裁断古紙の離解時間は、10〜30分とするのが好ましく、25〜30分とするのが特に好ましい。離解時間が短いと、プラスチックフィルムが繊維から完全に分離されないおそれがある。離解時間が長いと、プラスチックフィルムが溶け、あるいは微細に分散されてしまうため、その除去が困難になる。もちろん、生産性も悪くなる。
【0019】
裁断古紙を離解するための設備は、その種類が特に限定されない。例えば、パルパーのほか、セパレーターをも使用することができる。パルパーとしては、例えば、ハイドラパルパー、ローターパルパー、横型パルパーなどの低濃度パルパーや、縦型バッチ式パルパー、ドラム型連続式パルパーなどの高濃度パルパーなどを適宜使用することができる。
【0020】
〔除塵工程〕
裁断古紙を離解してパルプスラリーとしたら、除塵手段において、その中に含まれるラミネート粕を回収(除去)する。
本発明において、この除去は、パルプスラリーを直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通すことにより、行う。パルプスラリーを、かかる順に通すことによりラミネート粕は段階的に効率よく除去される。つまり、目穴を有する除塵手段で、まず、面状のラミネート粕が除去され、スリットを有する除塵手段で、糸状のラミネート粕が除去され、直径ないしスリット幅が段階的に小さく・狭くなることで、ラミネート粕が効率的にかつ確実に除去される。例えば、目穴を有する除塵手段と、スリットを有する除塵手段と、の前後関係を逆にすると、スリットを有する除塵手段において、面状のラミネート粕が詰まるおそれがある。なお、本発明では、ラミネート粕を「短冊状」に裁断するため、離解後のパルプスラリー中においては、糸状のラミネート粕よりも面状のラミネート粕が支配的なものとなる。
【0021】
目穴を有する除塵手段としては、例えば、ホールスクリーンなどを、スリットを有する除塵手段としては、例えば、スリットスクリーンなどを、例示することができる。
【0022】
本工程におけるラミネート粕の除去により、抄紙工程における抄紙網の目詰まりや、ラミネート粕のロールへの付着などが防止される。また、ラミネート粕の除去にともなって、例えば、雑誌の背糊などとして使用されているホットメルトなども回収されうる。
【0023】
本発明においては、以上の各除塵手段の間に、他の除塵手段を配置し、除塵を4段、5段、あるいはそれ以上とすることもできる。かかる他の除塵手段としては、例えば、ホールスクリーンやスリットスクリーンなどを例示することができる。
【0024】
〔その他〕
(1) 本発明においては、適宜、クリーナーなどによって、プラスチックフィルム以外の異物、例えば、石、ガラスなどを除去(粗選、精選)することができる。
【0025】
(2) 本発明においては、適宜、フローテーターなどによって、脱墨処理を行うことができる。
【0026】
(3) 本発明においては、適宜、過酸化水素などによって、繊維の漂白処理を行うことができる。
【0027】
(4) 本発明においては、適宜、サイズ剤、紙力増強剤、染顔料、歩留まり向上剤、填料、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、難燃剤などを使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の効果を明らかにするために、実施例を説明する。
ラミネート古紙又は無線別古紙を、まず、シュレッダーで所定の大きさに裁断した。そして、この裁断古紙をパルパーで離解してパルプスラリーとした後、ラミネート粕を除去(多段)して古紙パルプを得た。評価項目は、除去されなかったラミネート粕の量、及び目穴又はスリットの詰まりの有無とした。裁断の大きさや、離解温度などの条件とともに、結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
〔ラミネート粕の評価方法〕
JIS P 8209に基づいて、除去工程を経た後の古紙パルプから手すきシートを500枚作成し、ラミネート粕の有無を目視にて確認した。ラミネート粕の混入したシートが存在しなかった場合を◎、ラミネート粕の混入したシートが存在したが、全体(500枚)の1%未満であった場合を○、ラミネート粕の混入したシートが全体の1%以上であった場合を×、とした。
【0031】
〔目穴又はスリットの詰まり〕
古紙パルプを製造するに際して、3時間ごとに一段目の除去手段を分解し、目穴の目詰まり状況を目視にて確認した。詰まりがなかった場合を○、詰まりがあった場合を×とした。
【0032】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、ラミネート粕が確実に除去されながら、目穴又はスリットの詰まりが生じず、しかも環境への影響が少ない古紙パルプの製造方法となる。
Claims (3)
- ラミネート古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。 - 離解時間を10〜30分とした請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
- ラミネート古紙を含む無選別古紙から古紙パルプを製造する方法であって、
少なくとも前記ラミネート古紙を幅10〜100mm、長さ10〜500mmに裁断し、この裁断古紙を含む無選別古紙を温度45℃以上、パルプ濃度5〜25質量%の条件下で離解した後、直径5mm以上の目穴を有する除塵手段、直径0.5〜3.0mmの目穴を有する除塵手段、幅0.03〜0.15mmのスリットを有する除塵手段を順に通して得ることを特徴とする古紙パルプの製造方法。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009045533A (ja) * | 2007-08-17 | 2009-03-05 | Oji Paper Co Ltd | 使用済みチップ型電子部品梱包材の処理方法 |
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JP2016093772A (ja) * | 2014-11-13 | 2016-05-26 | 特定非営利活動法人 体育環境発明機構 | 複合紙容器のリサイクル方法及びそのリサイクルシステム並びにパルプ土壌、天然芝ブロック、保温保冷剤 |
WO2022028201A1 (zh) * | 2020-08-07 | 2022-02-10 | 山鹰纸业(广东)有限公司 | 一种干法废纸浆及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002380705A patent/JP2004211238A/ja not_active Withdrawn
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