JP2004211117A - 高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬度、強度、耐熱性に優れたアルミニウム合金固化材及びその製造方法を提供すること
【解決手段】アルミニウム合金材の組成を、一般式:AlbalFeaXb(但し、XはTi、Cr、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素であり、またa、bは原子パーセントで0.4≦a≦4、0.2≦b≦8)で示される組成とする。
上記合金材は、電子ビーム蒸着法によって基板上に上記組成を有する合金を堆積させることによって製造できる。蒸着によって得た材料は、拡散速度の低い前記元素の添加により高い熱的安定性を示すが、更に熱処理及び/又は熱間塑性加工を施して微細な析出物を結晶粒内に整合析出させることにより、硬度及び強度が上昇し、熱的安定性が高めることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】アルミニウム合金材の組成を、一般式:AlbalFeaXb(但し、XはTi、Cr、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素であり、またa、bは原子パーセントで0.4≦a≦4、0.2≦b≦8)で示される組成とする。
上記合金材は、電子ビーム蒸着法によって基板上に上記組成を有する合金を堆積させることによって製造できる。蒸着によって得た材料は、拡散速度の低い前記元素の添加により高い熱的安定性を示すが、更に熱処理及び/又は熱間塑性加工を施して微細な析出物を結晶粒内に整合析出させることにより、硬度及び強度が上昇し、熱的安定性が高めることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は機械部品等の構造材として用いる高強度アルミニウム合金固化材及びその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来の急冷凝固させたアルミニウム合金の微細結晶組織は、急冷凝固法による組織の微細化により高強度化されている。また、微細結晶組織ではなく、さらに特定組成において急冷してアモルファス相を得ることによりさらに高強度な材料が得られている。
【0003】
しかしながら、急冷凝固法又はメカニカルアロイング法などの手法で得られた微細組織を有する合金は、通常薄帯又は粉末に形状が限定されており、機械部品等の構造材として用いるためには、薄帯又は粉末等を集成固化させる必要があった。集成固化の方法としては、熱間押出法、鍛造法等が通常用いられているが、その熱履歴により、急冷によって得られたアモルファスが加熱によって結晶化し、また、微細結晶組織は加熱によって粒成長するために、強度特性は熱間加工後に低下するという問題点があった。
【0004】
一方、金属間化合物等を第二相粒子として分散させる場合は、第二相粒子での応力集中によって、靭性や延性が低下するという問題がある。又、原料としての薄帯又は粉末の表面の酸化を防ぐには雰囲気の制御では限界があり、表面酸化物の残存による固化の不健全さやガス成分、特に吸着水、結晶水等に起因する水素脆性、粉末ハンドリング時のコンタミネーションの混入等が成形後の製品特性に問題を生じさせる問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は先に、一般式:AlbalMaXb(ただし、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の元素、XはLi、Mg、Si、Ti、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Mm(ミッシュメタル)、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、bは原子パーセントで、a=0.5〜10%、b=0.5〜10%)、さらには一般式:AlbalMaXbQc(M、X、a、bは前記と同じ、QはB、C、N、Oから選ばれる少なくとも1種の元素、cは原子パーセントで5%以下)よりなる高強度アルミニウム合金固化材及びその製造方法を開発した(特許文献1参照)。
【0006】
また、本出願人は一般式:AlbalMa(ただし、MはTiまたはFeから選ばれる元素であり、aは原子パーセントで0<a≦20)で示される組成からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を開発した(特許文献2参照)。
また、本出願人は、一般式:AlbalMa(ただし、MはCrまたはZrから選ばれる元素であり、aは原子パーセントで0<a≦12)からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を開発し(特許文献3参照)、次いで、一般式:AlbalTia(ただし、aは原子パーセントで0<a≦20)で示される組成からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を熱処理又は/及び熱間塑性加工を施す方法を開発した(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−283921号公報
【特許文献2】
特開2000−265251公報
【特許文献3】
特開2000−355743号公報
【特許文献4】
特開2001−123255号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記本出願人が先に開発した製造法によって得られた合金固化材は、高硬度、高強度を有し、延性、靭性及び加工性に優れたものであるが、得られる材料の特性には、更なる耐熱性、熱間加工性に改善の余地があるものである。本発明は、このような総合的に優れた特性を有する材料(固化材)をより硬度、強度、耐熱性に優れた材料にする高強度、高耐熱性アルミニウム合金固化材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、前記従来の先行技術においてAlに特にFe、Ti、Cr、Zrを添加することにより、より硬度、強度、耐熱性に優れた材料(固化材)を提供することができることを見出した。
上記課題を解決するため、本件発明は次の構成を有する。
(1)一般式:AlbalFeaXb(但し、XはTi、Cr、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素であり、またa、bは原子パーセントで0.4≦a≦4、0.2≦b≦8)で示される組成からなり、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(2)一般式:AlbalFecTid(c、dは原子パーセントで0.6≦c≦3.5、1≦d≦4.5)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(3)一般式:AlbalFeeCrf(e、fは原子パーセントで0.5≦e≦2.5、2≦f≦7)で、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
【0010】
(4)一般式:AlbalFegZrh(g、hは原子パーセントで0.4≦g≦4、0.2≦h≦8)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(5)250℃〜450℃での熱処理による経時的な硬度変化が殆どないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(6)実質的に平均結晶粒径が40nm〜10μmの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体からなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
【0011】
(7)前記組織中に、金属間化合物(L12相)が析出してなることを特徴とする上記(1)、(2)、(4)〜(6)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(8)合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
(9)合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させのち、堆積物に熱処理又は/及び熱間塑性加工を施すことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の添加成分であるFe、Ti、Cr及びZrの各成分の詳細について述べる。
【0013】
〈Fe〉:Feは組織の微細化、固溶強化に非常に高い効果がある。これにより、少ない添加元素で、靭性を損なうことなく高強度化が可能となる。4at%を超えると、延性が低下し、更にはアモルファス相を形成しやすくなり、延性、熱的安定性、加工性に問題が生じる。0.4at%未満では組織の微細化、固溶強化が不十分となり、強度が低下する。
【0014】
Feの拡散速度はAl中では中程度であり、Alへの単独添加の場合高温では過飽和固溶しているFeが分解、結晶成長、金属間化合物の形成により粒界析出が起こるため、高温強度、熱間加工性が低くなる。従って、耐熱性を向上させるためには以下に示す第三元素の添加が必要不可欠となる。なおFeの添加量は第三添加元素がTiの場合は0.6〜3.5at%、Crの場合は0.5〜2.5at%、Zrの場合は0.4〜4at%であるのが好ましい。
【0015】
〈Ti〉:Tiを1〜4.5at%添加することにより、組織の微細化、固溶強化に効果がある。これにより少ない元素で靭性を損なうことなく高強度化が可能となる。またAl中における拡散速度が遅いため組織の耐熱性を高めることができ、高強度、高硬度で熱間加工性に優れた材料が得られる。1at%より少ないと十分な耐熱性が得られず、4.5at%を超えるとマトリックスとしてのアルミニウムまたはアルミニウムの過飽和固溶体の延性が低下してしまう。またアモルファス相を形成しやすくなり、熱的安定性や、加工性、延性に問題が生じる。
【0016】
〈Cr〉:Crは2〜7at%添加することにより、組織の微細化、固溶強化に効果がある。これにより靭性を損なうことなく高強度化が行える。またTi同様Al中の拡散速度が遅いため、組織の耐熱性を高めることができ、高強度、高硬度で熱間加工性に優れた材料、高温強度に優れた材料が得られる。添加量が2at%より少なくなると、十分な耐熱性が得られず、逆に添加量が7at%を超えるとマトリックスとしてのアルミニウムまたアルミニウムの過飽和固溶体の延性が低下してしまう。また、アモルファス相を形成しやすくなり、熱的安定性や、加工性、延性に問題が生じる。
【0017】
〈Zr〉:Zrは0.2〜8at%添加することにより組織の微細化、析出強化、耐熱性向上効果がある。ZrはTi、Cr同様Al中での拡散速度が遅い元素であるため、耐熱性を向上させる。また0.2at%以上では堆積基板温度の制御または熱処理および熱間塑性加工によりL12相を整合微細析出させることができ、靭性を損なうことなく高強度化が行える。一般の金属間化合物が析出、分散することによる強化は靱性を低下させるが、L12相はAlマトリックスに微細・整合析出するため、靱性の低下がなく、高強度化が可能となるほか、L12相は耐熱性に優れる。添加量が0.2%より少ないと、十分な耐熱性が得られず、8at%より多くなるとL12相が整合に析出することにより生じるひずみが大きくなりすぎるため、延性が低下し加工性に問題が生じる。
次に本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の組織、平均結晶粒径について詳述する。
【0018】
〈組 織〉
一般式:AlbalFecTid(c、dは原子パーセントで0.6≦c≦3.5、1≦d≦4.5)で示される組成Al-Fe-Ti系及び一般式:AlbalFeeCrf(e、fは原子パーセントで0.5≦e≦2.5、2≦f≦7)で示されるAl-Fe-Cr系の組織は実質的にα−Alの過飽和固溶体単相からなる。Al-Fe-Ti系ではFe及び/またはTiがAl中に過飽和に固溶し、 Al-Fe-Cr系ではFe及び/またはCr、がAl中に過飽和に固溶しており、これにより靭性が高くなる。
【0019】
一般式:AlbalFegZrh(g、hは原子パーセントで0.4≦g≦4、0.2≦h≦8)で示される組成Al-Fe-Zr系の組織は、実質的にα−Alの過飽和固溶体単相からなりFe及び/またはZrがAl中に過飽和に固溶している状態であるが、堆積基板温度の制御、及び特定組成範囲とすることにより、結晶粒内にL12型整合析出組織を微細析出させることもでき、靭性を損なうことなく高強度化が行える。また析出形態の改善により、熱処理又は/及び熱間加工による強度上昇が行えるとともに耐熱性が向上する。 尚、L12型整合析出組織はFeを0.4%以上添加することでL12型整合析出組織の変化及び結晶粒成長が抑制され非常に高い耐熱性が得られる。このため超塑性、加工性に優れる。
【0020】
〈平均結晶粒径〉
平均結晶粒径が40nm〜10μmのα−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体とすることにより、通常のAl結晶と同等の延性、加工性を備えたものとすることができる。
【0021】
次に本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の製造方法について述べる。
本発明のアルミニウム合金固化材は、好適には、電子ビーム蒸着法により蒸着堆積基板上に堆積することにより得ることができる。
電子ビーム蒸着法により堆積したマクロ構造における粒子の大きさは平均粒子径で1〜10μmであるが、このような粒子径とすることにより、隙間が生じにくく、相対密度95%以上の固化材とすることができる。
【0022】
電子ビーム蒸着装置の具体例を模式的に示したのが図1である。真空チャンバー内において蒸着源材料ロッド2、2をそれぞれ銅製のるつぼ1、1内に下方から上方に向かって移動可能に配し、これらに電子銃3、3により電子ビーム4、4をそれぞれ照射し、蒸発源材料を加熱溶融させ、さらに蒸発させる。蒸発した粒子5はるつぼ1、1と対向して設けられた堆積基板6上に蒸着堆積し、堆積層7を形成する。なお、るつぼ1、1と堆積基板6との間にシャッタを設け、基板温度及び蒸着粒子が適した条件となった場合にのみ開くようにしてもよい。また、図1においては、電子銃3を2つ示しているが、1個~複数個、蒸発面積と蒸発源の数に合わせて設けることも可能である。
【0023】
このような電子ビーム蒸着は高い冷却状態が得られるので、前記本発明の組織を得るのに適しており、他の物理的蒸着技術に比して高い堆積速度であるため比較的短時間での作製や厚板化が可能である。真空装置内の真空度は4×10-4〜3×10-3Paが適当である。又、前記組織を得るためには、蒸着物堆積基板6の温度を423〜623Kに制御することが好ましい。423Kより低温であると非平衡な状態が得られるが、緻密な材料が得られにくく、柱状になり易い問題がある。また623Kより高温であると結晶粒径が大きくなり、強度特性が劣化するとともに、金属間化合物の析出、晶出現象が起こり、延性、靭性、加工性が低下してしまう。
【0024】
次に上記のようにして得られたアルミニウム合金固化材の熱処理又は/及び熱間加工処理について説明する。
上記のようにして得られた特定組成の合金固化材に対して後述する特定の温度で熱処理又は/及び熱間塑性加工処理を施すことにより、α−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体からなる組織に極めて微細な析出物が析出し、これが組織中に微細分散することにより、硬度及び強度が上昇し、熱的安定性が高まる。
【0025】
上述したようにこの処理には大きく分けて2つの態様があり、一つは熱処理であり、もう一つは熱間塑性加工処理である。
熱処理を施す場合には、固化材を熱処理し、熱処理後の固化材を成形、加工(切断、プレス成形、その他冷間あるいは温間での塑性加工)して、上記優れた合金固化材をその使用目的により、多少延性、靭性及び加工性を犠牲にしても、強度を重視しその強度をより向上させた後に使用する。また、熱間塑性加工処理を施す場合は、延性、靭性及び加工性に優れた上記固化材の段階で熱間塑性加工を施し、加工後の材料は、多少前記特性を失わせても強度を重視しその強度をより向上させて用いる。(なお上記において、熱処理と熱間塑性加工を組み合わせることもできる。)
【0026】
具体的な熱処理/及び熱間塑性加工の温度としては、500K〜750Kであることが好ましく、500K未満の場合、熱処理又は/及び熱間塑性加工を施すことによる強度の向上等の効果が得られない。また、750Kを超える場合、結晶粒径が急激に成長し、熱処理又は/及び熱間加工前に持つ強度を含めた、優れた特性が失われるとともに析出する化合物(金属間化合物)も粗大化しやすく、前記特性に悪影響を与える。
【0027】
具体的な熱処理又は/及び熱間塑性加工の時間については、前記熱処理又は/及び熱間塑性加工を行うことによりその効果が現れ、工業的に適用可能な時間内においては、その効果が失われないため、特に限定されるものではないが、熱処理又は/及び熱間塑性加工温度によっても異なるが、より有効な範囲としては、1〜60分、さらには1〜30分であることが好ましい。
【0028】
本発明の組成及び組織構造の材料に上述のような熱処理、又は/及び熱間塑性加工を施すことにより、マトリックスである過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体(具体的には、α−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体)の結晶成長はほとんどなく、熱処理又は/及び熱間塑性加工前の材料の組織構造を維持できる。また、組織中には、微細な析出物が析出させることもでき、この析出物(金属間化合物、実質的にはL12型整合析出相)により、マトリックスの結晶成長がほとんどないため、延性、加工性などの特性の低下も小さく抑えることができる。
【0029】
具体的には析出する金属間化合物はAl−Fe−Zr系においてAl3Zr(実質的にはAlもしくはZrの一部をFeが置換)であり化合物の平均粒径は、100nm以下、前記に記載の効果をより顕著にする場合、化合物の平均粒径は、10nm以下に制御することが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。
【0031】
図1に示す電子ビーム蒸着装置により蒸着源材料としてAlロッドと所定成分Fe−Ti合金ロッドとを用いアルミニウム合金固化材を作製した。具体的な作製方法は直径31mm、長さ235mmのAl母合金からなる蒸着源材料2を一方のるつぼ1に配し、また直径37mm長さ250mmの所定成分組成のFe−Ti合金からなる蒸着源材料ロッド2を他方側のるつぼ1に配し、真空装置内の真空度を4×10-4〜3×10-3Paとする。さらに真空装置内に配される堆積基板6は基板回転速度を20rpmとするとともに、堆積基板温度を573Kとする。なお、堆積基板6を回転することにより、複数個の組成成分の異なる蒸着源配置に起因する組成の不均一性を防ぐ。又、堆積基板6の温度は赤外線ランプ及び水冷により制御され、また適切な温度に保持される。
【0032】
電子ビ−ム蒸着装置による蒸着条件は、Alからなる蒸着源ロッドに対し、電子ビーム投入電力を7kWとし、所定成分組成のFe−Ti合金からなる蒸着源材料ロッドに対し、電子ビーム投入電力を0.5〜4kWとした。また、これらの蒸着源材料ロッドの供給速度は0〜0.22mm/minとした。添加される所定成分組成Fe−Ti合金の添加量は、電子ビームの強さを変えることにより、蒸着する速度を制御し、変化させた。具体的には所定成分組成のFe−Ti合金は0.5〜4kWと変化させて蒸着を行った。電子ビーム蒸着法では電子ビームが照射される蒸着源材料の部分が減少するが、蒸着源材料がるつぼの下方から上方に向かって連続的に移動することにより、連続的な蒸着が行え、厚い堆積層を形成することができる。
【0033】
また上記の具体例はAl−Fe−Ti合金を作製する場合について述べたものであるが、Al−Fe−Cr合金を作製する場合は蒸発源材料のFe−Ti合金ロッドをFe−Cr合金ロッドに替え、またAl−Fe−Zr合金を作製する場合は蒸発源材料をFe−Zr合金ロッドに替えて作製した。
【0034】
上記のように作製した各種供試材(固化材)について、硬度(Hv)を測定した結果を表1〜3に示す。なお硬度(Hv)は50g荷重の微細ビッカース硬度計による測定値(DPN)で示す。表1によれば、本発明のアルミニウム合金固化材においては全体で、硬度(Hv)160〜410、Al−Fe−Ti系は160〜360、Al−Fe−Cr系は230〜410、Al−Fe−Zr系は190〜380の範囲にあり優れていることが分かる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
さらにAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、Al95.8Fe0.8Zr3.4についてX線回折を行い、その組織構造を調べた。その結果を図2に示す。図2によれば、 Al93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、はα−Alの過飽和固溶体単相からなることがわかる。TEM観察を行った結果、堆積した粒子の大きさは平均粒子径1μm〜10μmで隙間なく緻密な構造となっているとともに前記α−Alの過飽和固溶体の結晶粒径も40nm〜10μmの範囲で存在した。
【0039】
また、Al95.8Fe0.8Zr3.4については19°付近に回折ピークが見られ、合わせておこなったTEM観察、及び電子線回折の結果、アルミ結晶粒内には、L12構造からなるAl3Zr金属間化合物がマトリックスに整合に微細均一分散した組織であり、その大きさは10nm以下の非常に微細なものであった。
【0040】
次に上記Al93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、 Al95.8Fe0.8Zr3.4についてDSC熱分析曲線(示差走査熱量分析曲線)を図3に示す。図3には比較のためAl98.3Fe1.7のDSC熱分析曲線も示す。
その結果Al−Fe2元素系であるAl98.3Fe1.7の発熱ピークが308℃付近であるのに対し、Al93.6Fe2.8Ti3.6では366℃、Al94.2Fe2.8Cr3.0では413℃、Al95.6Fe3.8Zr0.6では340℃付近に発熱ピークが見られた。また過飽和固溶体とL12相の微細分散した組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4においては、測定温度範囲では明瞭な発熱ピークは認められず、本発明のアルミニウム合金固化材は高温まで熱的に安定であることがわかる。
【0041】
次に過飽和固溶体単相からなるAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、 Al95.6Fe1.0Zr0.3、及び過飽和固溶体とL12相の微細分散組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4について250℃での熱処理による硬さの経時変化を図4に示す。また比較のためAl98.3Fe1.7の測定結果についても示す。Al−Fe2元系であるAl98.3Fe1.7は熱処理時間とともに硬度が低下し、3時間では熱処理硬度の1/2以下になる。これに対して3元合金は実験範囲内においては何れの場合もほとんど変化しない、さらに第三元素の添加量の多いAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0 、Al95.8Fe0.8Zr3.4についてはいずれも高硬度を維持している。これより、第3元素添加は耐熱性向上に効果あり、さらにその添加量が多いほどよりよい傾向が見られる。
【0042】
さらに過飽和固溶体とL12相の微細分散組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4について450℃の高温での熱処理による硬さの経時変化を図5に示す。その結果、450℃の高温での熱処理においても硬度はほとんど変化せず、非常に高い耐熱性を持つことが分かる。これは、L12相自身の分解温度が高いことに加え、AlもしくはZrの一部をFeが置換することが更にL12相を安定化し分解温度を上げるために、微細分散組織の維持、結晶内成長の抑制が可能となったためと考えられる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な組織を有する高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材が得られ、高強度、高硬度、高耐熱性を有し、延性、靭性及び加工性に優れた固化材を提供できる。
また電子ビーム蒸着法を利用した場合、母合金から直接高密度な固化材を得ることができ、従来の熱間押出法等による熱履歴による影響を受けることなく、また、前述の製造上の問題を生じさせることなく、安定した製品を提供できる。さらに、本発明の製造方法によれば、上記優れた特性を備えた固化材を容易に提供することができる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム合金固化材を製造するために用いる電子ビーム蒸着装置を模式的に示した図である。
【図2】本発明のアルミニウム合金固化材のX線回折図である。
【図3】本発明のアルミニウム合金固化材のDSC熱分析曲線を示す図である。
【図4】本発明のアルミニウム合金固化材を250℃で熱処理した場合の、熱処理時間とビッカース硬さとの関係を示す図である。
【図5】本発明のアルミニウム合金固化材を450℃で熱処理した場合の、熱処理時間とビッカース硬さとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 るつぼ
2 蒸着源材料ロッド
3 電子銃
4 電子ビーム
5 蒸発粒子
6 堆積基板
7 堆積層
【発明の属する技術分野】
本発明は機械部品等の構造材として用いる高強度アルミニウム合金固化材及びその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
従来の急冷凝固させたアルミニウム合金の微細結晶組織は、急冷凝固法による組織の微細化により高強度化されている。また、微細結晶組織ではなく、さらに特定組成において急冷してアモルファス相を得ることによりさらに高強度な材料が得られている。
【0003】
しかしながら、急冷凝固法又はメカニカルアロイング法などの手法で得られた微細組織を有する合金は、通常薄帯又は粉末に形状が限定されており、機械部品等の構造材として用いるためには、薄帯又は粉末等を集成固化させる必要があった。集成固化の方法としては、熱間押出法、鍛造法等が通常用いられているが、その熱履歴により、急冷によって得られたアモルファスが加熱によって結晶化し、また、微細結晶組織は加熱によって粒成長するために、強度特性は熱間加工後に低下するという問題点があった。
【0004】
一方、金属間化合物等を第二相粒子として分散させる場合は、第二相粒子での応力集中によって、靭性や延性が低下するという問題がある。又、原料としての薄帯又は粉末の表面の酸化を防ぐには雰囲気の制御では限界があり、表面酸化物の残存による固化の不健全さやガス成分、特に吸着水、結晶水等に起因する水素脆性、粉末ハンドリング時のコンタミネーションの混入等が成形後の製品特性に問題を生じさせる問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は先に、一般式:AlbalMaXb(ただし、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の元素、XはLi、Mg、Si、Ti、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Mm(ミッシュメタル)、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、bは原子パーセントで、a=0.5〜10%、b=0.5〜10%)、さらには一般式:AlbalMaXbQc(M、X、a、bは前記と同じ、QはB、C、N、Oから選ばれる少なくとも1種の元素、cは原子パーセントで5%以下)よりなる高強度アルミニウム合金固化材及びその製造方法を開発した(特許文献1参照)。
【0006】
また、本出願人は一般式:AlbalMa(ただし、MはTiまたはFeから選ばれる元素であり、aは原子パーセントで0<a≦20)で示される組成からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を開発した(特許文献2参照)。
また、本出願人は、一般式:AlbalMa(ただし、MはCrまたはZrから選ばれる元素であり、aは原子パーセントで0<a≦12)からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を開発し(特許文献3参照)、次いで、一般式:AlbalTia(ただし、aは原子パーセントで0<a≦20)で示される組成からなり、実質的に組織が過飽和固溶体相からなるアルミニウム合金固化材を熱処理又は/及び熱間塑性加工を施す方法を開発した(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−283921号公報
【特許文献2】
特開2000−265251公報
【特許文献3】
特開2000−355743号公報
【特許文献4】
特開2001−123255号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記本出願人が先に開発した製造法によって得られた合金固化材は、高硬度、高強度を有し、延性、靭性及び加工性に優れたものであるが、得られる材料の特性には、更なる耐熱性、熱間加工性に改善の余地があるものである。本発明は、このような総合的に優れた特性を有する材料(固化材)をより硬度、強度、耐熱性に優れた材料にする高強度、高耐熱性アルミニウム合金固化材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、前記従来の先行技術においてAlに特にFe、Ti、Cr、Zrを添加することにより、より硬度、強度、耐熱性に優れた材料(固化材)を提供することができることを見出した。
上記課題を解決するため、本件発明は次の構成を有する。
(1)一般式:AlbalFeaXb(但し、XはTi、Cr、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素であり、またa、bは原子パーセントで0.4≦a≦4、0.2≦b≦8)で示される組成からなり、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(2)一般式:AlbalFecTid(c、dは原子パーセントで0.6≦c≦3.5、1≦d≦4.5)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(3)一般式:AlbalFeeCrf(e、fは原子パーセントで0.5≦e≦2.5、2≦f≦7)で、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
【0010】
(4)一般式:AlbalFegZrh(g、hは原子パーセントで0.4≦g≦4、0.2≦h≦8)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする上記(1)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(5)250℃〜450℃での熱処理による経時的な硬度変化が殆どないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(6)実質的に平均結晶粒径が40nm〜10μmの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体からなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
【0011】
(7)前記組織中に、金属間化合物(L12相)が析出してなることを特徴とする上記(1)、(2)、(4)〜(6)記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
(8)合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
(9)合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させのち、堆積物に熱処理又は/及び熱間塑性加工を施すことを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の添加成分であるFe、Ti、Cr及びZrの各成分の詳細について述べる。
【0013】
〈Fe〉:Feは組織の微細化、固溶強化に非常に高い効果がある。これにより、少ない添加元素で、靭性を損なうことなく高強度化が可能となる。4at%を超えると、延性が低下し、更にはアモルファス相を形成しやすくなり、延性、熱的安定性、加工性に問題が生じる。0.4at%未満では組織の微細化、固溶強化が不十分となり、強度が低下する。
【0014】
Feの拡散速度はAl中では中程度であり、Alへの単独添加の場合高温では過飽和固溶しているFeが分解、結晶成長、金属間化合物の形成により粒界析出が起こるため、高温強度、熱間加工性が低くなる。従って、耐熱性を向上させるためには以下に示す第三元素の添加が必要不可欠となる。なおFeの添加量は第三添加元素がTiの場合は0.6〜3.5at%、Crの場合は0.5〜2.5at%、Zrの場合は0.4〜4at%であるのが好ましい。
【0015】
〈Ti〉:Tiを1〜4.5at%添加することにより、組織の微細化、固溶強化に効果がある。これにより少ない元素で靭性を損なうことなく高強度化が可能となる。またAl中における拡散速度が遅いため組織の耐熱性を高めることができ、高強度、高硬度で熱間加工性に優れた材料が得られる。1at%より少ないと十分な耐熱性が得られず、4.5at%を超えるとマトリックスとしてのアルミニウムまたはアルミニウムの過飽和固溶体の延性が低下してしまう。またアモルファス相を形成しやすくなり、熱的安定性や、加工性、延性に問題が生じる。
【0016】
〈Cr〉:Crは2〜7at%添加することにより、組織の微細化、固溶強化に効果がある。これにより靭性を損なうことなく高強度化が行える。またTi同様Al中の拡散速度が遅いため、組織の耐熱性を高めることができ、高強度、高硬度で熱間加工性に優れた材料、高温強度に優れた材料が得られる。添加量が2at%より少なくなると、十分な耐熱性が得られず、逆に添加量が7at%を超えるとマトリックスとしてのアルミニウムまたアルミニウムの過飽和固溶体の延性が低下してしまう。また、アモルファス相を形成しやすくなり、熱的安定性や、加工性、延性に問題が生じる。
【0017】
〈Zr〉:Zrは0.2〜8at%添加することにより組織の微細化、析出強化、耐熱性向上効果がある。ZrはTi、Cr同様Al中での拡散速度が遅い元素であるため、耐熱性を向上させる。また0.2at%以上では堆積基板温度の制御または熱処理および熱間塑性加工によりL12相を整合微細析出させることができ、靭性を損なうことなく高強度化が行える。一般の金属間化合物が析出、分散することによる強化は靱性を低下させるが、L12相はAlマトリックスに微細・整合析出するため、靱性の低下がなく、高強度化が可能となるほか、L12相は耐熱性に優れる。添加量が0.2%より少ないと、十分な耐熱性が得られず、8at%より多くなるとL12相が整合に析出することにより生じるひずみが大きくなりすぎるため、延性が低下し加工性に問題が生じる。
次に本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の組織、平均結晶粒径について詳述する。
【0018】
〈組 織〉
一般式:AlbalFecTid(c、dは原子パーセントで0.6≦c≦3.5、1≦d≦4.5)で示される組成Al-Fe-Ti系及び一般式:AlbalFeeCrf(e、fは原子パーセントで0.5≦e≦2.5、2≦f≦7)で示されるAl-Fe-Cr系の組織は実質的にα−Alの過飽和固溶体単相からなる。Al-Fe-Ti系ではFe及び/またはTiがAl中に過飽和に固溶し、 Al-Fe-Cr系ではFe及び/またはCr、がAl中に過飽和に固溶しており、これにより靭性が高くなる。
【0019】
一般式:AlbalFegZrh(g、hは原子パーセントで0.4≦g≦4、0.2≦h≦8)で示される組成Al-Fe-Zr系の組織は、実質的にα−Alの過飽和固溶体単相からなりFe及び/またはZrがAl中に過飽和に固溶している状態であるが、堆積基板温度の制御、及び特定組成範囲とすることにより、結晶粒内にL12型整合析出組織を微細析出させることもでき、靭性を損なうことなく高強度化が行える。また析出形態の改善により、熱処理又は/及び熱間加工による強度上昇が行えるとともに耐熱性が向上する。 尚、L12型整合析出組織はFeを0.4%以上添加することでL12型整合析出組織の変化及び結晶粒成長が抑制され非常に高い耐熱性が得られる。このため超塑性、加工性に優れる。
【0020】
〈平均結晶粒径〉
平均結晶粒径が40nm〜10μmのα−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体とすることにより、通常のAl結晶と同等の延性、加工性を備えたものとすることができる。
【0021】
次に本発明の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材の製造方法について述べる。
本発明のアルミニウム合金固化材は、好適には、電子ビーム蒸着法により蒸着堆積基板上に堆積することにより得ることができる。
電子ビーム蒸着法により堆積したマクロ構造における粒子の大きさは平均粒子径で1〜10μmであるが、このような粒子径とすることにより、隙間が生じにくく、相対密度95%以上の固化材とすることができる。
【0022】
電子ビーム蒸着装置の具体例を模式的に示したのが図1である。真空チャンバー内において蒸着源材料ロッド2、2をそれぞれ銅製のるつぼ1、1内に下方から上方に向かって移動可能に配し、これらに電子銃3、3により電子ビーム4、4をそれぞれ照射し、蒸発源材料を加熱溶融させ、さらに蒸発させる。蒸発した粒子5はるつぼ1、1と対向して設けられた堆積基板6上に蒸着堆積し、堆積層7を形成する。なお、るつぼ1、1と堆積基板6との間にシャッタを設け、基板温度及び蒸着粒子が適した条件となった場合にのみ開くようにしてもよい。また、図1においては、電子銃3を2つ示しているが、1個~複数個、蒸発面積と蒸発源の数に合わせて設けることも可能である。
【0023】
このような電子ビーム蒸着は高い冷却状態が得られるので、前記本発明の組織を得るのに適しており、他の物理的蒸着技術に比して高い堆積速度であるため比較的短時間での作製や厚板化が可能である。真空装置内の真空度は4×10-4〜3×10-3Paが適当である。又、前記組織を得るためには、蒸着物堆積基板6の温度を423〜623Kに制御することが好ましい。423Kより低温であると非平衡な状態が得られるが、緻密な材料が得られにくく、柱状になり易い問題がある。また623Kより高温であると結晶粒径が大きくなり、強度特性が劣化するとともに、金属間化合物の析出、晶出現象が起こり、延性、靭性、加工性が低下してしまう。
【0024】
次に上記のようにして得られたアルミニウム合金固化材の熱処理又は/及び熱間加工処理について説明する。
上記のようにして得られた特定組成の合金固化材に対して後述する特定の温度で熱処理又は/及び熱間塑性加工処理を施すことにより、α−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体からなる組織に極めて微細な析出物が析出し、これが組織中に微細分散することにより、硬度及び強度が上昇し、熱的安定性が高まる。
【0025】
上述したようにこの処理には大きく分けて2つの態様があり、一つは熱処理であり、もう一つは熱間塑性加工処理である。
熱処理を施す場合には、固化材を熱処理し、熱処理後の固化材を成形、加工(切断、プレス成形、その他冷間あるいは温間での塑性加工)して、上記優れた合金固化材をその使用目的により、多少延性、靭性及び加工性を犠牲にしても、強度を重視しその強度をより向上させた後に使用する。また、熱間塑性加工処理を施す場合は、延性、靭性及び加工性に優れた上記固化材の段階で熱間塑性加工を施し、加工後の材料は、多少前記特性を失わせても強度を重視しその強度をより向上させて用いる。(なお上記において、熱処理と熱間塑性加工を組み合わせることもできる。)
【0026】
具体的な熱処理/及び熱間塑性加工の温度としては、500K〜750Kであることが好ましく、500K未満の場合、熱処理又は/及び熱間塑性加工を施すことによる強度の向上等の効果が得られない。また、750Kを超える場合、結晶粒径が急激に成長し、熱処理又は/及び熱間加工前に持つ強度を含めた、優れた特性が失われるとともに析出する化合物(金属間化合物)も粗大化しやすく、前記特性に悪影響を与える。
【0027】
具体的な熱処理又は/及び熱間塑性加工の時間については、前記熱処理又は/及び熱間塑性加工を行うことによりその効果が現れ、工業的に適用可能な時間内においては、その効果が失われないため、特に限定されるものではないが、熱処理又は/及び熱間塑性加工温度によっても異なるが、より有効な範囲としては、1〜60分、さらには1〜30分であることが好ましい。
【0028】
本発明の組成及び組織構造の材料に上述のような熱処理、又は/及び熱間塑性加工を施すことにより、マトリックスである過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体(具体的には、α−Alの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体)の結晶成長はほとんどなく、熱処理又は/及び熱間塑性加工前の材料の組織構造を維持できる。また、組織中には、微細な析出物が析出させることもでき、この析出物(金属間化合物、実質的にはL12型整合析出相)により、マトリックスの結晶成長がほとんどないため、延性、加工性などの特性の低下も小さく抑えることができる。
【0029】
具体的には析出する金属間化合物はAl−Fe−Zr系においてAl3Zr(実質的にはAlもしくはZrの一部をFeが置換)であり化合物の平均粒径は、100nm以下、前記に記載の効果をより顕著にする場合、化合物の平均粒径は、10nm以下に制御することが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。
【0031】
図1に示す電子ビーム蒸着装置により蒸着源材料としてAlロッドと所定成分Fe−Ti合金ロッドとを用いアルミニウム合金固化材を作製した。具体的な作製方法は直径31mm、長さ235mmのAl母合金からなる蒸着源材料2を一方のるつぼ1に配し、また直径37mm長さ250mmの所定成分組成のFe−Ti合金からなる蒸着源材料ロッド2を他方側のるつぼ1に配し、真空装置内の真空度を4×10-4〜3×10-3Paとする。さらに真空装置内に配される堆積基板6は基板回転速度を20rpmとするとともに、堆積基板温度を573Kとする。なお、堆積基板6を回転することにより、複数個の組成成分の異なる蒸着源配置に起因する組成の不均一性を防ぐ。又、堆積基板6の温度は赤外線ランプ及び水冷により制御され、また適切な温度に保持される。
【0032】
電子ビ−ム蒸着装置による蒸着条件は、Alからなる蒸着源ロッドに対し、電子ビーム投入電力を7kWとし、所定成分組成のFe−Ti合金からなる蒸着源材料ロッドに対し、電子ビーム投入電力を0.5〜4kWとした。また、これらの蒸着源材料ロッドの供給速度は0〜0.22mm/minとした。添加される所定成分組成Fe−Ti合金の添加量は、電子ビームの強さを変えることにより、蒸着する速度を制御し、変化させた。具体的には所定成分組成のFe−Ti合金は0.5〜4kWと変化させて蒸着を行った。電子ビーム蒸着法では電子ビームが照射される蒸着源材料の部分が減少するが、蒸着源材料がるつぼの下方から上方に向かって連続的に移動することにより、連続的な蒸着が行え、厚い堆積層を形成することができる。
【0033】
また上記の具体例はAl−Fe−Ti合金を作製する場合について述べたものであるが、Al−Fe−Cr合金を作製する場合は蒸発源材料のFe−Ti合金ロッドをFe−Cr合金ロッドに替え、またAl−Fe−Zr合金を作製する場合は蒸発源材料をFe−Zr合金ロッドに替えて作製した。
【0034】
上記のように作製した各種供試材(固化材)について、硬度(Hv)を測定した結果を表1〜3に示す。なお硬度(Hv)は50g荷重の微細ビッカース硬度計による測定値(DPN)で示す。表1によれば、本発明のアルミニウム合金固化材においては全体で、硬度(Hv)160〜410、Al−Fe−Ti系は160〜360、Al−Fe−Cr系は230〜410、Al−Fe−Zr系は190〜380の範囲にあり優れていることが分かる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
さらにAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、Al95.8Fe0.8Zr3.4についてX線回折を行い、その組織構造を調べた。その結果を図2に示す。図2によれば、 Al93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、はα−Alの過飽和固溶体単相からなることがわかる。TEM観察を行った結果、堆積した粒子の大きさは平均粒子径1μm〜10μmで隙間なく緻密な構造となっているとともに前記α−Alの過飽和固溶体の結晶粒径も40nm〜10μmの範囲で存在した。
【0039】
また、Al95.8Fe0.8Zr3.4については19°付近に回折ピークが見られ、合わせておこなったTEM観察、及び電子線回折の結果、アルミ結晶粒内には、L12構造からなるAl3Zr金属間化合物がマトリックスに整合に微細均一分散した組織であり、その大きさは10nm以下の非常に微細なものであった。
【0040】
次に上記Al93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、Al95.6Fe3.8Zr0.6、 Al95.8Fe0.8Zr3.4についてDSC熱分析曲線(示差走査熱量分析曲線)を図3に示す。図3には比較のためAl98.3Fe1.7のDSC熱分析曲線も示す。
その結果Al−Fe2元素系であるAl98.3Fe1.7の発熱ピークが308℃付近であるのに対し、Al93.6Fe2.8Ti3.6では366℃、Al94.2Fe2.8Cr3.0では413℃、Al95.6Fe3.8Zr0.6では340℃付近に発熱ピークが見られた。また過飽和固溶体とL12相の微細分散した組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4においては、測定温度範囲では明瞭な発熱ピークは認められず、本発明のアルミニウム合金固化材は高温まで熱的に安定であることがわかる。
【0041】
次に過飽和固溶体単相からなるAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0、 Al95.6Fe1.0Zr0.3、及び過飽和固溶体とL12相の微細分散組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4について250℃での熱処理による硬さの経時変化を図4に示す。また比較のためAl98.3Fe1.7の測定結果についても示す。Al−Fe2元系であるAl98.3Fe1.7は熱処理時間とともに硬度が低下し、3時間では熱処理硬度の1/2以下になる。これに対して3元合金は実験範囲内においては何れの場合もほとんど変化しない、さらに第三元素の添加量の多いAl93.6Fe2.8Ti3.6、Al94.2Fe2.8Cr3.0 、Al95.8Fe0.8Zr3.4についてはいずれも高硬度を維持している。これより、第3元素添加は耐熱性向上に効果あり、さらにその添加量が多いほどよりよい傾向が見られる。
【0042】
さらに過飽和固溶体とL12相の微細分散組織を有するAl95.8Fe0.8Zr3.4について450℃の高温での熱処理による硬さの経時変化を図5に示す。その結果、450℃の高温での熱処理においても硬度はほとんど変化せず、非常に高い耐熱性を持つことが分かる。これは、L12相自身の分解温度が高いことに加え、AlもしくはZrの一部をFeが置換することが更にL12相を安定化し分解温度を上げるために、微細分散組織の維持、結晶内成長の抑制が可能となったためと考えられる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な組織を有する高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材が得られ、高強度、高硬度、高耐熱性を有し、延性、靭性及び加工性に優れた固化材を提供できる。
また電子ビーム蒸着法を利用した場合、母合金から直接高密度な固化材を得ることができ、従来の熱間押出法等による熱履歴による影響を受けることなく、また、前述の製造上の問題を生じさせることなく、安定した製品を提供できる。さらに、本発明の製造方法によれば、上記優れた特性を備えた固化材を容易に提供することができる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム合金固化材を製造するために用いる電子ビーム蒸着装置を模式的に示した図である。
【図2】本発明のアルミニウム合金固化材のX線回折図である。
【図3】本発明のアルミニウム合金固化材のDSC熱分析曲線を示す図である。
【図4】本発明のアルミニウム合金固化材を250℃で熱処理した場合の、熱処理時間とビッカース硬さとの関係を示す図である。
【図5】本発明のアルミニウム合金固化材を450℃で熱処理した場合の、熱処理時間とビッカース硬さとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 るつぼ
2 蒸着源材料ロッド
3 電子銃
4 電子ビーム
5 蒸発粒子
6 堆積基板
7 堆積層
Claims (9)
- 一般式:AlbalFeaXb(但し、XはTi、Cr、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素であり、またa、bは原子パーセントで0.4≦a≦4、0.2≦b≦8)で示される組成からなり、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 一般式:AlbalFecTid(c、dは原子パーセントで0.6≦c≦3.5、1≦d≦4.5)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする請求項1記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 一般式:AlbalFeeCrf(e、fは原子パーセントで0.5≦e≦2.5、2≦f≦7)で、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする請求項1記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 一般式:AlbalFegZrh(g、hは原子パーセントで0.4≦g≦4、0.2≦h≦8)で示され、組織が実質的に過飽和固溶体の単相からなるか又は過飽和固溶体相と金属間化合物相とからなることを特徴とする請求項1記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 250℃〜450℃での熱処理による経時的な硬度変化が殆どないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 実質的に平均結晶粒径が40nm〜10μmの過飽和固溶体相又は/及び過飽和固溶体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 前記組織中に、金属間化合物(L12相)が析出してなることを特徴とする請求項1、2、4〜6記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材。
- 合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
- 合金成分を含む蒸着源材料に電子ビームを照射して合金成分を蒸発させ、これを堆積基板上に蒸着させることによって堆積基板上に高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を堆積させのち、堆積物に熱処理又は/及び熱間塑性加工を施すことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高強度・高耐熱性アルミニウム合金固化材を製造する方法。
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2002
- 2002-12-27 JP JP2002378961A patent/JP2004211117A/ja active Pending
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