JP2004210983A - 共役ジエン重合体及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シス1,4−構造の含有量が高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を製造する方法において、効果的に重合体の分子量を調節する方法を提供することである。さらに、上記の特徴を有する重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)希土類金属化合物のメタロセン型錯体、及び
(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む組成物を重合触媒とする共役ジエン重合体の製造において、
(C)M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)を用いて分子量の調節を行うことを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)希土類金属化合物のメタロセン型錯体、及び
(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む組成物を重合触媒とする共役ジエン重合体の製造において、
(C)M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)を用いて分子量の調節を行うことを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒組成物を用いた新規な共役ジエン重合体の製造方法及び該製造方法により得られる新規な共役ジエン重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの重合触媒に関しては、従来数多くの提案がなされており、その幾つかは工業化されている。例えば、高シス−1,4構造の共役ジエン重合体の製造方法としては、チタン、コバルト、ニッケル等の化合物と有機アルミニウムの組み合せがよく用いられる。
【0003】
一方、極めて高いシス1,4結合含有率および優れた重合活性を有する、希土類金属化合物と第I〜III族の有機金属化合物からなる複合触媒系の研究が知られている。例えば、特開2000−226408号公報(特許文献1)では、ネオジム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒により高いシス1,4結合含有率と狭い分子量分布を有するポリブタジエンの製造方法が開示されている。
【0004】
従来以上の高い熱的特性(熱安定性等)・機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性率、耐摩耗性等)を有する高分子材料の開発が強く望まれているが、この課題を解決するための有力な手段の一つとして、共役ジエン重合触媒を用いて、シス1,4−構造の含有量が高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を製造する試みがなされている。例えば特開2000−313710号公報(特許文献2)では、サマリウムメタロセン型錯体を用いて、シス1,4−構造の含有量が90%以上で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下のポリブタジエンを得る方法が開示されている。しかしながら、この方法において実用的な範囲の分子量に制御する手段はこれまで知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−226408号公報
【特許文献2】
特開2000−313710号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、シス1,4−構造の含有量が高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を製造する方法において、効果的に重合体の分子量を調節する方法を提供することである。さらに、上記の特徴を有する重合体及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、希土類金属メタロセン型の重合触媒と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む助触媒とを組み合わせた触媒組成物を用い、水素化合物、または水素分子を分子量調節剤として、共役ジエン類を実用的な分子量に制御し、かつ、効率よく重合できることを見出した。さらに、上記の方法により、シス1,4−構造の含有量が極めて高く、しかも分子量分布が狭い共役ジエン重合体を実用的な分子量で製造できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)希土類金属化合物のメタロセン型錯体、及び
(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む組成物を重合触媒とする共役ジエン重合体の製造において、
(C)M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)を用いて分子量の調節を行うことを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、メタロセン型錯体がサマリウム錯体であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、イオン性化合物がトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、さらに周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記の方法で共役ジエンを重合することにより得られることを特徴とする共役ジエン重合体に関する。
【0013】
また、本発明は、ミクロ構造におけるシス1,4−構造の含有量が80 mol%以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下であることを特徴とする上記の共役ジエン重合体に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
希土類金属化合物のメタロセン型錯体としては、例えば、一般式(I):RaMXb・Lc又は一般式(II):RaMXbQXb(式中、Mは希土類金属を示し;Rはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基、又は置換フルオレニル基を示し;Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、又は炭素数1から20の炭化水素基を示し;Lはルイス塩基性化合物を示し;Qは周期律表第III族元素を示し;aは1、2、又は3の整数を示し;bは0、1、又は2の整数を示し;cは0、1、又は2の整数を示す)で示される2価又は3価の希土類金属化合物が挙げられる。
【0015】
上記一般式(I)において、Mが示す希土類金属としては、周期律表中の原子番号57から71の元素を用いることができる。希土類金属の具体例としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができ、これらのうちサマリウム、ガドリニウムが好ましい。aが2である場合、2個のRは同一でも異なっていてもよい。同様に、b又はcが2である場合には、2個のX又はLはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0016】
置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、又は置換フルオレニル基における置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基などのほか、トリメチルシリル基などの珪素原子を含有する炭化水素基などを挙げることができる。RはXの一部と互いにジメチルシリル基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されていてもよく、また、Rどうしが互いにジメチルシリル基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されていてもよい。
【0017】
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基、ベンジルシクロペンタジエニル基、ビニルシクロペンタジエニル基、2−メトキシエチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、フェニルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジ(tert−ブチル)シクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−ベンジル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−フェニル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリメチルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリフルオロメチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基などが挙げられる。Rとしてはペンタメチルシクロペンタジエニル基が好ましい。
【0018】
Xが表わすアルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの脂肪族アルコキシ基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基などのアリールオキシド基のいずれでもよいが、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
【0019】
Xが表わすチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基などの脂肪族チオラート基、チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基などのアリールチオラート基のいずれでもよいが、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
【0020】
アミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基などの脂肪族アミド基、フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基などのアリールアミド基のいずれでもよいが、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基が好ましい。
【0021】
Xが表わすハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子やヨウ素原子が好ましい。炭素数1から20の炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチルなどの直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基、フェニル基、トリル基、ナフチル基など芳香族炭化水素基、ベンジル基などのアラルキル基などのほか、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基などのケイ素原子を含有する炭化水素基であってもよい。これらのうち、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基などが好ましい。Xとしては、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1から20の炭化水素基が好ましい。
【0022】
Lが示すルイス塩基性化合物としては、対電子をもって金属に配位できるルイス塩基性の化合物であれば特に限定されず、無機化合物又は有機化合物のいずれであってもよい。ルイス塩基性化合物として、例えば、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、シリルオキシ化合物などを用いることができるが、これらに限定されることはない。一般式(II)においてQは周期律表第III族元素を示すが、該元素の具体例としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどを挙げることができ、アルミニウムが好ましい。
【0023】
式(I)で表される希土類金属化合物のメタロセン型錯体の具体例としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウム、メチルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウム、クロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウム、又はヨードビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウムなどが挙げられ、式(II)で表わされる希土類金属化合物のメタロセン型錯体の具体例としては、例えば、ジメチルアルミニウム(μ−ジメチル)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムなどが挙げられる。
【0024】
助触媒として用いられるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなるものであれば特に限定されないが、例えば、上記希土類金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物などを挙げることができる。非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)フェニルボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
【0025】
カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するメタロセニウムカチオンなどを挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0026】
該イオン性化合物は、非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。例えば、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。遷移金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるルイス酸としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムなどを用いることができ、これらを前記のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0027】
助触媒として用いられるアルミノキサンとしては、例えば、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものを用いることができ、より具体的には、一般式(−Al(R’)O−)n で示される鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサンを用いることができる。上記式において、R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、該炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい。nは重合度を示し、好ましくは5以上、より好ましくは10以上である。R’としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基などが挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられ、特に好ましいのはトリメチルアルミニウムである。トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンも好適に用いることができる。さらに、上述したアルミノキサンを前述のイオン性化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明における触媒組成物は、上記の成分(A)及び(B)を含み、さらに成分(B’)として周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物を含んでいてもよい。有機金属化合物として、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。より具体的には、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどを用いることができる。さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物を用いてもよい。これらの有機金属化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明における成分(C)は、一般式
M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)
で表される水素化合物であり、分子量調節剤として機能する。具体的には、例えばアルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、典型金属水素化物、遷移金属水素化物、水素分子が上げられる。さらに具体的には、例えば、水素、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化ルビジウム、水素化セシウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ストロンチウム、水素化バリウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムホウ素、ジアルキルボランハイドライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、ジアルキルガリウムハイドライド、シラン、モノアルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、ジシラン、ゲルマン、モノアルキルゲルマン、ジアルキルゲルマン、トリアルキルゲルマン、スタナン、モノアルキルスタナン、ジアルキルスタナン、トリアルキルスタナン、プランバン、モノアルキルプランバン、ジアルキルプランバン、トリアルキルプランバン、などが挙げられる。中でも、水素分子、ジアルキルアルミニウムハイドライドが好ましく、水素分子、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0030】
本発明の触媒組成物における上記成分(A)及び(B)の配合割合は、重合すべきモノマーの種類は反応の種類や条件に応じて適宜選択することが可能である。一般的には、希土類金属化合物とアルミノキサンとを含む組成物では、(B)/(A)(モル比)を1〜10000、好ましくは 10〜1000、さらに好ましくは 50〜500が望ましい。希土類金属化合物とイオン性化合物とを含む組成物では、(B)/(A)(モル比)を0.1 〜10、好ましくは0.2〜5、さらに好ましくは0.5〜2が望ましい。また、成分(B’)を含む触媒組成物では、(B’)/(A)(モル比)は、例えば、0.1〜1000、好ましくは0.2〜500、さらに好ましくは0.5〜50が望ましい。
【0031】
本発明における上記成分(C)の配合割合は、重合すべきモノマーの種類は反応の種類や条件に応じて適宜選択することが可能であり、所望の分子量の重合体が得られる量だけ用いることが好ましい。一般的には、(C)/(A)(モル比)を1〜1000、好ましくは 2〜500、さらに好ましくは5〜100が望ましい。成分(C)として水素分子を用いる場合は、重合系の気相部における分圧が0.001〜10Kg/cm2、好ましくは0.01〜5Kg/cm2、さらに好ましくは0.05〜2Kg/cm2が望ましい。
【0032】
本発明の重合方法で重合可能な共役ジエン化合物モノマーの種類は特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3− ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、又は2,4−ヘキサジエンなどを挙げることができ、これらのうち1,3−ブタジエンが好ましい。これらのモノマー成分を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の重合方法は、溶媒の存在下又は非存在下のいずれで行なってもよい。溶媒を用いる場合には、溶媒が重合反応において実質的に不活性であり、モノマー及び触媒組成物に対して十分な溶解性を有していれば、その種類は特に限定されない。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、クロルトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられるが、これらのうち、トルエンが好ましい。また、溶媒を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本発明の重合方法における重合温度は、例えば‐100〜100℃の範囲、好ましくは‐50〜80℃の範囲である。重合時間は、例えば1分〜12時間程度であり、好ましくは5分〜5時間程度である。これらの反応条件は、モノマーの種類や触媒組成物の種類に応じて、適宜選択でき、上述した範囲に限定されない。所定の重合率に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えて停止させ、通常の方法に従って重合体を反応系から分離することができる。本発明における重合体のシス構造の含有量は、通常は80 mol% 以上であり、好ましくは90 mol% 以上、より好ましくは95 mol%以上、特に好ましくは98 mol%以上である。また、分子量分布に関しては、Mw/Mnが2.00以下、好ましくは 1.80以下、より好ましくは 1.60以下、さらに好ましくは 1.40以下、特に好ましくは 1.30以下である。本発明の重合体は、高い熱安定性と機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性率、耐摩耗性等)を有することが期待され、多様な用途に利用することが可能である。
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中のポリブタジエンのミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス1,4構造 740cm−1、トランス1,4構造 967 cm−1、1,2−構造910 cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0036】
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及びそれらの比で表される分子量分布Mw/Mn は、ポリスチレンを標準物質として用いたGPC から求めた。
【0037】
固有粘度[η]は、トルエン中30℃で測定した。
【0038】
トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
【0039】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS6300に準拠して測定した。
【0040】
【実施例1】
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン310mlを仕込んで攪拌する。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1mol/Lトルエン溶液3ml、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBALH)の1mol/Lトルエン溶液0.5mlを添加して3分間攪拌を続けた。次いで、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウムの0.1mol/Lトルエン溶液3ml、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)0.43mol/Lのトルエン溶液0.7mlの順に加えたのち1,3−ブタジエン90mlを添加し、重合温度0℃で50分間重合を行った。
反応後、Irganox1076を含有するエタノールを注入して反応を停止させた後、大過剰量のエタノールを加えて重合体を分離し、60℃で真空乾燥した。表1〜2に重合結果を示した。
【0041】
【実施例2】
DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を1ml用いたほかは、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0042】
【実施例3】
DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を1.5ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0043】
【比較例1】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を1.5ml用い、DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0044】
【比較例2】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を3ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0045】
【比較例3】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を4ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0046】
【比較例4】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を5ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0047】
【実施例4】
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン310mlを仕込んで攪拌する。次いで、20℃、1気圧換算で200mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入し、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1mol/Lトルエン溶液3mlを添加して3分間攪拌を続けた。次いで、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウムの0.1mol/Lトルエン溶液3ml、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)0.43mol/Lのトルエン溶液0.7mlの順に加えたのち1,3−ブタジエン90mlを添加し、重合温度0℃で50分間重合を行った。
反応後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含有するエタノールを注入して反応を停止させた後、溶媒を蒸発させ乾燥した。表3〜4に重合結果を示した。
【0048】
【実施例5】
20℃、1気圧換算で400mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入した以外は、実施例4と同様に重合を行った。表3〜4に重合結果を示した。
【0049】
【実施例6】
20℃、1気圧換算で800mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入した以外は、実施例4と同様に重合を行った。表3〜4に重合結果を示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】本発明の触媒組成物を用いると、ミクロ構造におけるシス1,4−構造の含量が極めて高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を、実用的な分子量に制御して製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒組成物を用いた新規な共役ジエン重合体の製造方法及び該製造方法により得られる新規な共役ジエン重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの重合触媒に関しては、従来数多くの提案がなされており、その幾つかは工業化されている。例えば、高シス−1,4構造の共役ジエン重合体の製造方法としては、チタン、コバルト、ニッケル等の化合物と有機アルミニウムの組み合せがよく用いられる。
【0003】
一方、極めて高いシス1,4結合含有率および優れた重合活性を有する、希土類金属化合物と第I〜III族の有機金属化合物からなる複合触媒系の研究が知られている。例えば、特開2000−226408号公報(特許文献1)では、ネオジム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒により高いシス1,4結合含有率と狭い分子量分布を有するポリブタジエンの製造方法が開示されている。
【0004】
従来以上の高い熱的特性(熱安定性等)・機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性率、耐摩耗性等)を有する高分子材料の開発が強く望まれているが、この課題を解決するための有力な手段の一つとして、共役ジエン重合触媒を用いて、シス1,4−構造の含有量が高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を製造する試みがなされている。例えば特開2000−313710号公報(特許文献2)では、サマリウムメタロセン型錯体を用いて、シス1,4−構造の含有量が90%以上で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下のポリブタジエンを得る方法が開示されている。しかしながら、この方法において実用的な範囲の分子量に制御する手段はこれまで知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−226408号公報
【特許文献2】
特開2000−313710号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、シス1,4−構造の含有量が高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を製造する方法において、効果的に重合体の分子量を調節する方法を提供することである。さらに、上記の特徴を有する重合体及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、希土類金属メタロセン型の重合触媒と、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む助触媒とを組み合わせた触媒組成物を用い、水素化合物、または水素分子を分子量調節剤として、共役ジエン類を実用的な分子量に制御し、かつ、効率よく重合できることを見出した。さらに、上記の方法により、シス1,4−構造の含有量が極めて高く、しかも分子量分布が狭い共役ジエン重合体を実用的な分子量で製造できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)希土類金属化合物のメタロセン型錯体、及び
(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む組成物を重合触媒とする共役ジエン重合体の製造において、
(C)M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)を用いて分子量の調節を行うことを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、メタロセン型錯体がサマリウム錯体であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、イオン性化合物がトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、さらに周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物を含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記の方法で共役ジエンを重合することにより得られることを特徴とする共役ジエン重合体に関する。
【0013】
また、本発明は、ミクロ構造におけるシス1,4−構造の含有量が80 mol%以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下であることを特徴とする上記の共役ジエン重合体に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
希土類金属化合物のメタロセン型錯体としては、例えば、一般式(I):RaMXb・Lc又は一般式(II):RaMXbQXb(式中、Mは希土類金属を示し;Rはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、フルオレニル基、又は置換フルオレニル基を示し;Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、又は炭素数1から20の炭化水素基を示し;Lはルイス塩基性化合物を示し;Qは周期律表第III族元素を示し;aは1、2、又は3の整数を示し;bは0、1、又は2の整数を示し;cは0、1、又は2の整数を示す)で示される2価又は3価の希土類金属化合物が挙げられる。
【0015】
上記一般式(I)において、Mが示す希土類金属としては、周期律表中の原子番号57から71の元素を用いることができる。希土類金属の具体例としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができ、これらのうちサマリウム、ガドリニウムが好ましい。aが2である場合、2個のRは同一でも異なっていてもよい。同様に、b又はcが2である場合には、2個のX又はLはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0016】
置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、又は置換フルオレニル基における置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基などのほか、トリメチルシリル基などの珪素原子を含有する炭化水素基などを挙げることができる。RはXの一部と互いにジメチルシリル基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されていてもよく、また、Rどうしが互いにジメチルシリル基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、エチレン基、置換エチレン基等の架橋基で結合されていてもよい。
【0017】
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基、ベンジルシクロペンタジエニル基、ビニルシクロペンタジエニル基、2−メトキシエチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、フェニルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジ(tert−ブチル)シクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、1−エチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−ベンジル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−フェニル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリメチルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−トリフルオロメチル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基などが挙げられる。Rとしてはペンタメチルシクロペンタジエニル基が好ましい。
【0018】
Xが表わすアルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの脂肪族アルコキシ基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基などのアリールオキシド基のいずれでもよいが、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
【0019】
Xが表わすチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基などの脂肪族チオラート基、チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基などのアリールチオラート基のいずれでもよいが、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
【0020】
アミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基などの脂肪族アミド基、フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基などのアリールアミド基のいずれでもよいが、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基が好ましい。
【0021】
Xが表わすハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子やヨウ素原子が好ましい。炭素数1から20の炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチルなどの直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基、フェニル基、トリル基、ナフチル基など芳香族炭化水素基、ベンジル基などのアラルキル基などのほか、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基などのケイ素原子を含有する炭化水素基であってもよい。これらのうち、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基などが好ましい。Xとしては、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1から20の炭化水素基が好ましい。
【0022】
Lが示すルイス塩基性化合物としては、対電子をもって金属に配位できるルイス塩基性の化合物であれば特に限定されず、無機化合物又は有機化合物のいずれであってもよい。ルイス塩基性化合物として、例えば、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アミン化合物、ホスフィン化合物、シリルオキシ化合物などを用いることができるが、これらに限定されることはない。一般式(II)においてQは周期律表第III族元素を示すが、該元素の具体例としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどを挙げることができ、アルミニウムが好ましい。
【0023】
式(I)で表される希土類金属化合物のメタロセン型錯体の具体例としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウム、メチルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウム、クロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウム、又はヨードビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)サマリウムなどが挙げられ、式(II)で表わされる希土類金属化合物のメタロセン型錯体の具体例としては、例えば、ジメチルアルミニウム(μ−ジメチル)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムなどが挙げられる。
【0024】
助触媒として用いられるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなるものであれば特に限定されないが、例えば、上記希土類金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物などを挙げることができる。非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)フェニルボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
【0025】
カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するメタロセニウムカチオンなどを挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0026】
該イオン性化合物は、非配位性アニオン及びカチオンの中から、それぞれ任意に選択して組み合わせたものを好ましく用いることができる。例えば、イオン性化合物としては、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。遷移金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるルイス酸としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムなどを用いることができ、これらを前記のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0027】
助触媒として用いられるアルミノキサンとしては、例えば、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものを用いることができ、より具体的には、一般式(−Al(R’)O−)n で示される鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサンを用いることができる。上記式において、R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、該炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよい。nは重合度を示し、好ましくは5以上、より好ましくは10以上である。R’としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基などが挙げられるが、メチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられ、特に好ましいのはトリメチルアルミニウムである。トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンも好適に用いることができる。さらに、上述したアルミノキサンを前述のイオン性化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明における触媒組成物は、上記の成分(A)及び(B)を含み、さらに成分(B’)として周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物を含んでいてもよい。有機金属化合物として、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。より具体的には、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ベンジルリチウム、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、ビストリメチルシリルメチルリチウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどを用いることができる。さらに、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのような有機金属ハロゲン化合物、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドのような水素化有機金属化合物を用いてもよい。これらの有機金属化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明における成分(C)は、一般式
M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)
で表される水素化合物であり、分子量調節剤として機能する。具体的には、例えばアルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、典型金属水素化物、遷移金属水素化物、水素分子が上げられる。さらに具体的には、例えば、水素、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化ルビジウム、水素化セシウム、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ストロンチウム、水素化バリウム、ボラン、水素化アルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムホウ素、ジアルキルボランハイドライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、ジアルキルガリウムハイドライド、シラン、モノアルキルシラン、ジアルキルシラン、トリアルキルシラン、ジシラン、ゲルマン、モノアルキルゲルマン、ジアルキルゲルマン、トリアルキルゲルマン、スタナン、モノアルキルスタナン、ジアルキルスタナン、トリアルキルスタナン、プランバン、モノアルキルプランバン、ジアルキルプランバン、トリアルキルプランバン、などが挙げられる。中でも、水素分子、ジアルキルアルミニウムハイドライドが好ましく、水素分子、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが特に好ましい。
【0030】
本発明の触媒組成物における上記成分(A)及び(B)の配合割合は、重合すべきモノマーの種類は反応の種類や条件に応じて適宜選択することが可能である。一般的には、希土類金属化合物とアルミノキサンとを含む組成物では、(B)/(A)(モル比)を1〜10000、好ましくは 10〜1000、さらに好ましくは 50〜500が望ましい。希土類金属化合物とイオン性化合物とを含む組成物では、(B)/(A)(モル比)を0.1 〜10、好ましくは0.2〜5、さらに好ましくは0.5〜2が望ましい。また、成分(B’)を含む触媒組成物では、(B’)/(A)(モル比)は、例えば、0.1〜1000、好ましくは0.2〜500、さらに好ましくは0.5〜50が望ましい。
【0031】
本発明における上記成分(C)の配合割合は、重合すべきモノマーの種類は反応の種類や条件に応じて適宜選択することが可能であり、所望の分子量の重合体が得られる量だけ用いることが好ましい。一般的には、(C)/(A)(モル比)を1〜1000、好ましくは 2〜500、さらに好ましくは5〜100が望ましい。成分(C)として水素分子を用いる場合は、重合系の気相部における分圧が0.001〜10Kg/cm2、好ましくは0.01〜5Kg/cm2、さらに好ましくは0.05〜2Kg/cm2が望ましい。
【0032】
本発明の重合方法で重合可能な共役ジエン化合物モノマーの種類は特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3− ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチルペンタジエン、4−メチルペンタジエン、又は2,4−ヘキサジエンなどを挙げることができ、これらのうち1,3−ブタジエンが好ましい。これらのモノマー成分を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の重合方法は、溶媒の存在下又は非存在下のいずれで行なってもよい。溶媒を用いる場合には、溶媒が重合反応において実質的に不活性であり、モノマー及び触媒組成物に対して十分な溶解性を有していれば、その種類は特に限定されない。例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素;1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロルベンゼン、ブロムベンゼン、クロルトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられるが、これらのうち、トルエンが好ましい。また、溶媒を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本発明の重合方法における重合温度は、例えば‐100〜100℃の範囲、好ましくは‐50〜80℃の範囲である。重合時間は、例えば1分〜12時間程度であり、好ましくは5分〜5時間程度である。これらの反応条件は、モノマーの種類や触媒組成物の種類に応じて、適宜選択でき、上述した範囲に限定されない。所定の重合率に達した後、公知の重合停止剤を重合系に加えて停止させ、通常の方法に従って重合体を反応系から分離することができる。本発明における重合体のシス構造の含有量は、通常は80 mol% 以上であり、好ましくは90 mol% 以上、より好ましくは95 mol%以上、特に好ましくは98 mol%以上である。また、分子量分布に関しては、Mw/Mnが2.00以下、好ましくは 1.80以下、より好ましくは 1.60以下、さらに好ましくは 1.40以下、特に好ましくは 1.30以下である。本発明の重合体は、高い熱安定性と機械的特性(引張り弾性率、曲げ弾性率、耐摩耗性等)を有することが期待され、多様な用途に利用することが可能である。
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中のポリブタジエンのミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス1,4構造 740cm−1、トランス1,4構造 967 cm−1、1,2−構造910 cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
【0036】
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及びそれらの比で表される分子量分布Mw/Mn は、ポリスチレンを標準物質として用いたGPC から求めた。
【0037】
固有粘度[η]は、トルエン中30℃で測定した。
【0038】
トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
【0039】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS6300に準拠して測定した。
【0040】
【実施例1】
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン310mlを仕込んで攪拌する。次いで、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1mol/Lトルエン溶液3ml、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBALH)の1mol/Lトルエン溶液0.5mlを添加して3分間攪拌を続けた。次いで、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウムの0.1mol/Lトルエン溶液3ml、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)0.43mol/Lのトルエン溶液0.7mlの順に加えたのち1,3−ブタジエン90mlを添加し、重合温度0℃で50分間重合を行った。
反応後、Irganox1076を含有するエタノールを注入して反応を停止させた後、大過剰量のエタノールを加えて重合体を分離し、60℃で真空乾燥した。表1〜2に重合結果を示した。
【0041】
【実施例2】
DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を1ml用いたほかは、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0042】
【実施例3】
DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を1.5ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0043】
【比較例1】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を1.5ml用い、DIBALHの1mol/Lトルエン溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0044】
【比較例2】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を3ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0045】
【比較例3】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を4ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0046】
【比較例4】
TIBAの1mol/Lトルエン溶液を5ml用いた以外は、実施例1と同様に重合を行った。表1〜2に重合結果を示した。
【0047】
【実施例4】
内容量2Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、トルエン310mlを仕込んで攪拌する。次いで、20℃、1気圧換算で200mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入し、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)の1mol/Lトルエン溶液3mlを添加して3分間攪拌を続けた。次いで、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(テトラヒドロフラン)サマリウムの0.1mol/Lトルエン溶液3ml、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)0.43mol/Lのトルエン溶液0.7mlの順に加えたのち1,3−ブタジエン90mlを添加し、重合温度0℃で50分間重合を行った。
反応後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含有するエタノールを注入して反応を停止させた後、溶媒を蒸発させ乾燥した。表3〜4に重合結果を示した。
【0048】
【実施例5】
20℃、1気圧換算で400mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入した以外は、実施例4と同様に重合を行った。表3〜4に重合結果を示した。
【0049】
【実施例6】
20℃、1気圧換算で800mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入した以外は、実施例4と同様に重合を行った。表3〜4に重合結果を示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】本発明の触媒組成物を用いると、ミクロ構造におけるシス1,4−構造の含量が極めて高く、かつ狭い分子量分布を有する重合体を、実用的な分子量に制御して製造することができる。
Claims (6)
- (A)希土類金属化合物のメタロセン型錯体、及び
(B)非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物及び/又はアルミノキサンを含む組成物を重合触媒とする共役ジエン重合体の製造において、
(C)M−H(但しMは水素または金属原子を含む置換基を表し、Hは水素原子を表す)を用いて分子量の調節を行うことを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。 - メタロセン型錯体がサマリウム錯体である請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- イオン性化合物がトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである請求項1又は2に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- さらに周期律表第I〜III族元素の有機金属化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- 請求項1〜4に記載の方法で共役ジエンを重合することにより得られることを特徴とする共役ジエン重合体。
- ミクロ構造におけるシス1,4−構造の含有量が80 mol%以上であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2以下であることを特徴とする請求項5に記載の重合体。
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JP2003000563A JP2004210983A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | 共役ジエン重合体及び製造方法 |
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JP4925297B2 (ja) * | 2005-01-21 | 2012-04-25 | 独立行政法人理化学研究所 | 三座配位子を含む金属錯体、およびそれを含む重合用触媒 |
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- 2003-01-06 JP JP2003000563A patent/JP2004210983A/ja active Pending
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