JP2004210864A - インクジェットプリンター用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルからのインキの吐出が安定し、形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性が良好で、インキ(画像)の定着性に優れたインクジェットプリンター用水性インクを提供すること。
【解決手段】少なくとも色材と樹脂とを含む水性インクにおいて、樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックを有し、各ブロックがビニルエーテル系ポリマーからなる共重合体であり、親水性ブロックのビニルエーテル系ポリマーはアニオン性基を有することを特徴とするインクジェットプリンター用インク。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも色材と樹脂とを含む水性インクにおいて、樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックを有し、各ブロックがビニルエーテル系ポリマーからなる共重合体であり、親水性ブロックのビニルエーテル系ポリマーはアニオン性基を有することを特徴とするインクジェットプリンター用インク。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンターに好適に使用できる水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙面上でのインクの耐水性、定着性を向上させる為に、色材として水不溶性色材の顔料等を用いる試み、又は染料に凝集機能や水不溶化機能を持たせる試みがある。例えば、色材として顔料を用い、分散安定剤として三元共重合体等の分散剤を用いたインク(特許文献1参照)、染料の対イオンとしてアンモニウム塩を用いたインク(特許文献2)、あるいは染料と分岐状アミン系化合物を含有することで凝集機能や水不溶化機能を持たせたインク(特許文献3)が提案されている。
【0003】
しかし、顔料、分散剤を用いた場合、耐擦過性、耐マーカー性において不十分である場合が多い。又、染料に凝集機能や水不溶化機能を持たせた場合、染料の初期の溶解性は良好であっても、インク中から徐々にアンモニアが揮発することにより染料の溶解性が低下したり、インク中にアニオン性とカチオン性を同時に含むため、インクの長期保存安定性が低下する場合がある。又、アニオン性ポリマー含有インクとカチオン性ポリマー含有インクを互いに接触させて印刷媒体上に適用する試みがあるが(特許文献4参照)、耐水性において境界にじみが生じる等の問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−81843号公報
【特許文献2】
特開平3−91577号公報
【特許文献3】
特開2001−131449号公報
【特許文献4】
特開平7−145336号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ノズルからのインクの吐出が安定し、形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性が良好であり、定着性に優れたインクジェットプリンター用水性インクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも色材と樹脂とを含む水性インクにおいて、樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックを有し、各ブロックはビニルエーテル系ポリマーからなり、親水性ブロックのビニルエーテル系ポリマーはアニオン性基を有することを特徴とするインクジェットプリンター用インク及び前記のインクを用い、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用する樹脂は、インクが紙等の記録材に付与された後は、記録材に対して色材を定着させる作用をするものであり、樹脂は1種類のホモポリマーでもよいが、ポリマーの物性を最適化すべく、それぞれ少なくとも1種類の親水性ブロック及び疎水性ブロックからなり、各ブロックがビニルエーテル系重合体からなる共重合体であり、親水性ブロックを形成するビニルエーテル系ポリマーにはアニオン性基が存在するものが好ましい。さらに好ましくは、共重合体の形態はブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等である。より好ましいのはブロック共重合体であり、ブロック共重合体はそれぞれ1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックからなる共重合体、いずれか一方が1種、他方が2種のブロック共重合体等のブロックの存在態様は種々あるが、いずれでもよい。
【0008】
上記樹脂を形成する、疎水性を有するビニルエーテル類のブロックとしては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するブロックが好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
上記の一般式(1)において、R1は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表わす。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
【0009】
またR1は、−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R4若しくは−(CH2)m−(O)n−R4で表される基でもよい。この場合、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表わし、R4は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2を表わし、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子と置換されていてもよい。R4の炭素数は1〜18が好ましい。pは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
【0010】
R1及びR4において、アルキル基またはアルケニル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイル等であり、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル等である。
【0011】
次に、親水性を有するビニルエーテル類のブロックとしては、下記一般式(2)で選ばれる繰り返し単位構造を有するブロックが好ましい。
−(CH2−CH(OR5))− (2)
上記一般式(2)において、R5は、−(CH2−CH2−O)k−R6、−(CH2)m−(O)n−R6、−R7−X、−(CH2−CH2−O)k−R7−X、−(CH2)m−(O)n−Xで表わされる基である。この場合、R6は、水素原子、炭素数1から4までの直鎖または分枝状のアルキル基、及び−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2を表わし、R7はアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基またはシクロアルケニレン基のような脂肪族炭化水素基、フェニレン基、ピリジレン基、ベンジレン基、トルイレン基、キシリレン基、アルキルフェニレン基、フェニレンアルキレン基、ビフェニレン基、フェニルピリジレン基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)を表わし、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子と置換されていてもよい。Xは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基から選ばれるアニオン性を有する基を表わす。R7の炭素数は1〜18が好ましい。kは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
【0012】
下記に、上記で説明した繰り返し単位を含むモノマー(I−a〜I−o)及びポリマー(II−a〜II−e)の構造を例示するが、本発明に用いられるポリビニルエーテル構造は、これらに限定されるものではない。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
更に、ポリビニルエーテルの繰り返し単位数[上記(II−a)〜(II−e)においては、m、n、l]は、それぞれ独立に、1〜10,000であることが好ましい。また、その合計が[上記(II−a)〜(II−e)においては、m+n+l]が、10〜20,000であることがより好ましい。また、数平均分子量で、500〜20,000,000ものが好ましく、1,000〜5,000,000のものがより好ましく、2,000〜2,000,000のものが最も好ましい。また、これらポリビニルエーテルは、それを他の高分子にグラフト結合させたもの使用しても良いし、他の繰り返し単位構造と共重合されたものを使用しても良い。
【0016】
ビニルエーテル系ポリマーブロックを有する共重合体の合成方法は、特に限定されないが、カチオンリビング重合法を用いることにより長さ(分子量)を正確に揃えたホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等の様々なポリマーを合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。
【0017】
本発明のインクジェットプリンター用水性インク、少なくとも色材と前記の樹脂を含むものである。樹脂は、親水性ブロック中のアニオン性基をアンモニア又はアミンで中和してこれらの塩として使用することが画像形成後の耐水性等を向上させるので好ましい。該アニオン性基のカウンターイオンとして、アルカリ金属(Na、K,等)を用いた場合、画像形成後の耐水性、例えば、印字物の一部に水分が付着した場合に、水分が接触した印字物の部分と、接触していない部分との間での境界にじみ等の問題が生じる場合がある。
【0018】
又、水性インクにはアルミニウム又はアルミニウムイオンを存在させることが好ましい。その場合、樹脂とアルミニウム(アルミニウムイオン)とのモル比は1:5〜10000:3が好ましく、更に好ましいモル比は100:6〜1000:3が好ましい。樹脂に対してアルミニウムのモル比が少なすぎると、本発明のインクによって形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性等、インクの記録材への定着性が十分でない場合があり、また、樹脂に対してアルミニウムのモル比が多すぎると、水性インクの吐出安定性が低下する場合がある。アルミニウム以外のアルミニウム化合物としては、有機及び無機の化合物が使用される。例えば、アルミナ、水酸化アルミニム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、チーグラーナッタ触媒のアルミニウム化合物等が挙げられる。
【0019】
水性インクを上記の構成にすることにより、インクの吐出安定性が良く、画像を形成した際の定着性、耐水性、耐擦過性が向上する。これは、樹脂中の少なくとも1種の親水性ブロック部がアニオン性基を有することにより、水媒体中での分散安定性が良好となる。更に、該アニオン性基をそのカウンターイオンとしてのアンモニウムイオン若しくはアミン塩として用いることにより、印字後はアンモニウム或いはアミンが揮発し、親水性を失うため、耐水性が向上すると考えられる。また、樹脂が有するアニオン部分若しくはエーテル部分とカチオン性を有するアルミニウム、例えば、アルミニウムイオン、アルミナ、水酸化アルミニウム等とが作用して樹脂が凝集することにより定着性、耐擦過性が向上すると考えられる。
【0020】
尚、ビニルエーテル系ポリマーの製造において、有機アルミニウム化合物を触媒として使用する場合には、樹脂とアルミニウムを前記のモル比にするために、ポリマーを精製してアルミニウム含有量を低減することが好ましく、酸性水溶液による分液、透析、限外濾過、再沈、吸着剤による吸着等があるが、これに限定されるものではない。また、ポリマー中の残存アルミニウム量が判る場合には、このアルミニウム量も含めたモル比を設定する。
【0021】
本発明で使用する色材は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、分散染料、無機顔料、有機顔料、等を用いることができる。より好ましくは、油溶性染料である。
以下に、染料、顔料の例を示すが、これらに限定されるものではない。
(直接染料)
C.I.ダイレクトブラック−17,−19,−22,−32,−38,−51,−62,−71,−108,−146,−154;C.I.ダイレクトイエロー−12,−24,−26,−44,−86,−87,−98,−100,−130,−142;C.I.ダイレクトレッド−1,−4,−13,−17,−23,−28,−31,−62,−79,−81,−83,−89,−227,−240,−242,−243;C.I.ダイレクトブルー−6,−22,−25,−71,−78,−86,−90,−106,−199;C.I.ダイレクトオレンジ,−34,−39,−44,−46,−60;C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−48;C.I.ダイレクトブラウン−109;C.I.ダイレクトグリーン−59等、
【0022】
(酸性染料)
C.I.アシッドブラック−2,−7,−24,−26,−31,−52,−63,−112,−118,−168,−172,−208;C.I.アシッドイエロー−11,−17,−23,−25,−29,−42,−49,−61,−71;C.I.アシッドレッド−1,−6,−8,−32,−37,−51,−52,−80,−85,−87,−92,−94,−115,−180,−254,−256,−289,−315,−317;C.I.アシッドブルー−9,−22,−40,−59,−93,−102,−104,−113,−117,−120,−167,−229,−234,−254;C.I.アシッドオレンジ−7,−19;C.I.アシッドバイオレット−49等、
【0023】
(反応染料)
C.I.リアクティブブラック−1,−5,−8,−13,−14,−23,−31,−34,−39;C.I.リアクティブイエロー−2,−3,−13,−15,−17,−18,−23,−24,−37,−42,−57,−58,−64,−75,−76,−77,−79,−81,−84,−85,−87,−88,−91,−92,−93,−95,−102,−111,−115,−116,−130,−131,−132,−133,−135,−137,−139,−140,−142,−143,−144,−145,−146,−147,−148,−151,−162,−163;C.I.リアクティブレッド−3,−13,−16,−21,−22,−23,−24,−29,−31,−33,−35,−45,−49,−55,−63,−85,−106,−109,−111,−112,−113,−114,−118,−126,−128,−130,−131,−141,−151,−170,−171,−174,−176,−177,−183,−184,−186,−187,−188,−190,−193,−194,−195,−196,−200,−201,−202,−204,−206,−218,−221;
【0024】
C.I.リアクティブブルー−2,−3,−5,−8,−10,−13,−14,−15,−18,−19,−21,−25,−27,−28,−38,−39,−40,−41,−49,−52,−63,−71,−72,−74,−75,−77,−78,−79,−89,−100,−101,−104,−105,−119,−122,−147,−158,−160,−162,−166,−169,−170,−171,−172,−173,−174,−176,−179,−184,−190,−191,−194,−195,−198,−204,−211,−216,−217;C.I.リアクティブオレンジ−5,−7,−11,−12,−13,−15,−16,−35,−45,−46,−56,−62,−70,−72,−74,−82,−84,−87,−91,−92,−93,−95,−97,−99;C.I.リアクティブバイオレット−1,−4,−5,−6,−22,−24,−33,−36,−38;C.I.リアクティブグリーン−5,−8,−12,−15,−19,−23;C.I.リアクティブブラウン−2,−7,−8,−9,−11,−16,−17,−18,−21,−24,−26,−31,−32,−33等、
【0025】
(塩基性染料)
C.I.ベーシックブラック−2;C.I.ベーシックレッド−1,−2,−9,−12,−13,−14,−27;C.I.ベーシックブルー−1,−3,−5,−7,−9,−24,−25,−26,−28,−29;C.I.ベーシックバイオレット−7,−14,−27;C.I.フードブラック−1,−2等、
【0026】
(油溶性染料)
C.I.ソルベントイエロー1,2,3,13,19,22,29,36,37,38,39,40,43,44,45,47,62,63,71,76,81,85,86等;C.I.ソルベントレッド35,36,37,38,39,40,58,60,65,69,81,86,89,92,97,99,100,09,118,119,122等;C.I.ソルベントブルー14,24,26,34,37,39,42,43,45,48,52,53,55,59,67等;C.I.ソルベントブラック5,8,14,17,19,20,22,24,26,28,43等、
【0027】
(顔料)
Raven760Ultra、Raven1060Ultra、Raven1080、Raven1100Ultra、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500Ultra、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
【0028】
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、ColorBlack S160、Color Black S170、SpecialBlack 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220、(以上三菱化学社製)等,
【0029】
C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等;C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.PigmentRed−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.PigmentRed−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等;
【0030】
C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.PigmentYellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、 C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等。
【0031】
以上の色材と樹脂とのインク中における質量比率は、固形分比で1:0.01〜1:2であることが好ましい。樹脂量が少なすぎると、本発明のインクによって形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性等、インクの記録材への定着性が十分でない場合があり、また、樹脂量が多すぎると、水性インクの粘性が高くなり、水性インクの吐出安定性や耐目詰まり性が低下する場合がある。
【0032】
本発明の水性インクは、前記の色材及び樹脂を分散又は溶解させる液媒体が必要であり、該液媒体は少なくとも水溶性の有機溶剤を含んでいてもよい。好ましくは水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を水性インクの液媒体として使用する。本発明において液媒体に占める水溶性有機溶剤の割合は、例えば、5〜50質量%が好ましく、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0033】
上記水溶性有機溶剤は、本発明のインクに、ノズル部分での乾燥による水性インクの固化を防止するために使用するものであって、具体的には、炭素数1から4のアルキルアルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等);ケトン又はケトアルコール類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等);エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等);ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等);アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等);多価アルコール等のアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、トリエチレンモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等)、さらにはN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0034】
特に好ましい水溶性有機溶媒は、グリセリン、多価アルコール(例えば、ジエチレングリコールやエチレングリコール等)であり、グリセリン以外の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールやプロピレングリコール等が挙げられる。水性インク中にはこれらの水性有機溶媒を2種類以上混合して用いてもよい。
【0035】
本発明のインクは上記水溶性有機溶剤とともに水を含有する。液媒体に占める水の割合としては、例えば、50〜100質量%、更には60〜100質量%であることが好ましい。また、水としては純水又はイオン交換水を用いることが好ましい。
【0036】
本発明のインク中における色材の水性インク全質量に占める割合は、例えば、0.1〜20質量%、さらには1〜10質量%であることが好ましい。色材の量が1質量%未満では印字画像に十分な画像濃度が得られず、色材の量が10質量%を超えると、ノズルにおける目詰り等の吐出安定性が低下するだけで、画像の濃度が特別向上するわけでもない。
【0037】
また、本発明の水性インク中における前記樹脂の水性インク全質量に占める割合は、例えば、0.001〜40質量%、更には0.01〜20質量%であることが好ましい。前記樹脂の量が0.01質量%未満では得られる画像の耐擦過性、耐マーカ性等が低下し、一方、前記樹脂の量が20質量%を超えると、水性インクの粘性が高くなり、ノズルにおける水性インクの目詰り等の吐出安定性が低下する。
【0038】
尚、本発明の水性インクには、前記成分以外にも、例えば、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤等各種の添加剤を添加してもよい。また、本発明の水性インクの粘度は25℃において1.0mPa・s〜5.0mPa・sであることが好ましい。
【0039】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、以下の記載で「部」又は「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。又、以下の実施例において樹脂の分子量及び分子量分布はGPC(Gel Permeation Chromatography:東ソー社製HLC−8220GPCを使用)、樹脂の同定はNMR(ブルカー・バイオスピン社製DPX400を使用)により、アルミニウムの濃度はICP発光分析装置(誘導結合プラズマ発光分析装置)(セイコーインスツルメンツ社製SPS 1700HVを使用)により、pHはpHメーター(堀場製作所製 カスタニーACTpHメーターD−24を使用)を用いて測定した値である。
【0040】
まず、実施例及び比較例に使用するポリビニルエーテル構造を含むブロック共(1)ABCトリブロックポリマーの合成:
(i)ブロックポリマー[1]の作製
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱して吸着水を除去した。系を室温に戻した後、1−イソブトキシエチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、及びトルエン11mlを加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、トリブロックポリマーのA成分を合成した。分子量を時分割にGPCを用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いでB成分である2−メトキシエチルビニルエーテル12ミリモルを添加することで合成を行い、上記と同様にGPCを用いてモニタリングし、B成分の重合が完了した後、次いでC成分である4−(2−ビニロキシエトキシ)−エチルベンゾエート12ミリモルを添加して合成を行い、重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行った。得られたトリブロックポリマーの同定には、NMR及びGPCを用いて行い、いずれも満足のいくスペクトルを得ることができた(数平均分子量(標準ポリスチレン換算)Mn=3.7×104、Mn/Mw=1.3(Mw:重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)))。
【0041】
得られた樹脂のアルミニウム量を調整するため、0.6Nの塩酸水溶液で分液し、樹脂とアルミニウムのモル比が表1記載の値となるように精製を行った。アルミニウムのモル数は、アルミニウムの濃度から求めた値である。
【0042】
上記樹脂のC成分のエステル部分は水酸化カリウム/メタノール中で加水分解させ、カルボン酸型に変換させた。更に透析及びイオン交換樹脂でカリウムイオンを除去し、水酸化アンモニウム水溶液を滴下して中和し、カルボン酸のカウンターイオンをアンモニウムイオンに変えた。得られた樹脂のpHは8.0であった。
【0043】
(ii)ブロックポリマー[2]の作製
C成分のカルボン酸のカウンターイオン調整以外は、ブロックポリマー[1]と同様にしてブロックポリマーを作製した。C成分のカルボン酸のカウンターイオンは、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して中和し、そのカウンターイオンをナトリウムイオンに変えた。得られた樹脂のpHは8.0であった。
【0044】
又、樹脂の比較例としてスチレンマレイン酸モノエステルコポリマーアンモニウム塩(第一工業製薬社製 ディスコートN−14)を用意した。
【0045】
実施例1〜4および比較例1〜8
インクジェットプリンター用水性インクを以下のようにして調製した。
上記の2種のブロックポリマー、比較例樹脂のそれぞれとアルミニウム、及び色材とを表1に記載の割合で混合し、10分間攪拌した後、ジエチレングリコール20質量%、アセチレノールEH0.15質量%を添加し、最終的に水性インク中の色材の固形分が5量%になるように水を加え、1時間攪拌を行った。
得られた水性インクを0.2μmのメンブランフィルター(東洋濾紙社製)を用いて減圧ろ過を行い、実施例及び比較例の水性インクを調製した。
【0046】
【0047】
上記各実施例及び比較例の水性インクを用いて、市販コピー用紙(普通紙)HK原紙[大昭和製紙社製]及び光沢紙SP101[キヤノン社製]に記録を行った。画像形成(印字)は、水性インクジェットプリンターF660[キヤノン社製]を用いて行った。印字物の評価は以下のように行った。評価結果を表2に示す。結果は普通紙,光沢紙ともに表2に記載の良好な結果が得られた。
【0048】
(耐擦過性)
印字から12時間以上放置後、印字した紙上にキムワイプを載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の重りを載せ、5往復したときの白紙部の汚れや、べた画像、文字印字部の擦れ具合から目視にて観察した。評価基準は下記の通りとして、評価結果を下記表2に示す。
○:白紙部に汚れがなく、べた画像、文字印字部の擦れなし。
△:白紙部にやや汚れがあり、べた画像及び文字印字部にやや擦った跡がある。
×:白紙部に汚れがあり、べた画像及び文字印字部の一部が擦り取られている。
【0049】
(耐水性)
印字から12時間以上放置後、印字物を5分間水道水中に静止し、水を乾燥させた後の画像の反射濃度を測定し、耐水性試験前と耐水性試験後の反射濃度の残存率を求め耐水性の尺度とした。評価基準は下記の通りとして、評価結果を下記表2に示す。
◎:画像濃度の残存率が95%以上。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が70%以上80%未満。
【0050】
(耐マーカー性)
ZEBRA社製イエロー蛍光ペンを用い文字印字後12時間以上放置した後に、文字部を通常の筆圧で一度マークし、耐マーカー性を下記の評価基準で評価した。評価結果を下記表2に示す。
○:印字部に滲みや白字部分の汚れが認められず、ペン先も汚れていない。
△:白字部分にやや汚れがあり、印字部の滲みもややある。
×:白字部分に汚れ、印字部の滲みがある。
【0051】
(吐出性)
印字画像の状態及び印字後のインクヘッドのヒーター面を観察し、下記の評価基準で評価した。
○:べた画像部分、文字印字部が充分きれいに印字でき、ヒーター面に堆積物がほとんど見られない。
△:べた画像部分、文字印字部が充分きれいに印字できるが、ヒーター面に堆積物がややある。
×:べた画像部分、文字印字部がかすれ、ヒーター面に堆積物が多くみられる。
【0052】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性に優れ、またノズルでのインク吐出安定性の良好なインクジェット用インクが提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンターに好適に使用できる水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙面上でのインクの耐水性、定着性を向上させる為に、色材として水不溶性色材の顔料等を用いる試み、又は染料に凝集機能や水不溶化機能を持たせる試みがある。例えば、色材として顔料を用い、分散安定剤として三元共重合体等の分散剤を用いたインク(特許文献1参照)、染料の対イオンとしてアンモニウム塩を用いたインク(特許文献2)、あるいは染料と分岐状アミン系化合物を含有することで凝集機能や水不溶化機能を持たせたインク(特許文献3)が提案されている。
【0003】
しかし、顔料、分散剤を用いた場合、耐擦過性、耐マーカー性において不十分である場合が多い。又、染料に凝集機能や水不溶化機能を持たせた場合、染料の初期の溶解性は良好であっても、インク中から徐々にアンモニアが揮発することにより染料の溶解性が低下したり、インク中にアニオン性とカチオン性を同時に含むため、インクの長期保存安定性が低下する場合がある。又、アニオン性ポリマー含有インクとカチオン性ポリマー含有インクを互いに接触させて印刷媒体上に適用する試みがあるが(特許文献4参照)、耐水性において境界にじみが生じる等の問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−81843号公報
【特許文献2】
特開平3−91577号公報
【特許文献3】
特開2001−131449号公報
【特許文献4】
特開平7−145336号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ノズルからのインクの吐出が安定し、形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性が良好であり、定着性に優れたインクジェットプリンター用水性インクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも色材と樹脂とを含む水性インクにおいて、樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックを有し、各ブロックはビニルエーテル系ポリマーからなり、親水性ブロックのビニルエーテル系ポリマーはアニオン性基を有することを特徴とするインクジェットプリンター用インク及び前記のインクを用い、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用する樹脂は、インクが紙等の記録材に付与された後は、記録材に対して色材を定着させる作用をするものであり、樹脂は1種類のホモポリマーでもよいが、ポリマーの物性を最適化すべく、それぞれ少なくとも1種類の親水性ブロック及び疎水性ブロックからなり、各ブロックがビニルエーテル系重合体からなる共重合体であり、親水性ブロックを形成するビニルエーテル系ポリマーにはアニオン性基が存在するものが好ましい。さらに好ましくは、共重合体の形態はブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等である。より好ましいのはブロック共重合体であり、ブロック共重合体はそれぞれ1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックからなる共重合体、いずれか一方が1種、他方が2種のブロック共重合体等のブロックの存在態様は種々あるが、いずれでもよい。
【0008】
上記樹脂を形成する、疎水性を有するビニルエーテル類のブロックとしては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位構造を有するブロックが好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
上記の一般式(1)において、R1は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表わす。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
【0009】
またR1は、−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R4若しくは−(CH2)m−(O)n−R4で表される基でもよい。この場合、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表わし、R4は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素基、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2を表わし、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子と置換されていてもよい。R4の炭素数は1〜18が好ましい。pは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
【0010】
R1及びR4において、アルキル基またはアルケニル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイル等であり、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル等である。
【0011】
次に、親水性を有するビニルエーテル類のブロックとしては、下記一般式(2)で選ばれる繰り返し単位構造を有するブロックが好ましい。
−(CH2−CH(OR5))− (2)
上記一般式(2)において、R5は、−(CH2−CH2−O)k−R6、−(CH2)m−(O)n−R6、−R7−X、−(CH2−CH2−O)k−R7−X、−(CH2)m−(O)n−Xで表わされる基である。この場合、R6は、水素原子、炭素数1から4までの直鎖または分枝状のアルキル基、及び−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2を表わし、R7はアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基またはシクロアルケニレン基のような脂肪族炭化水素基、フェニレン基、ピリジレン基、ベンジレン基、トルイレン基、キシリレン基、アルキルフェニレン基、フェニレンアルキレン基、ビフェニレン基、フェニルピリジレン基等のような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)を表わし、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子と置換されていてもよい。Xは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基から選ばれるアニオン性を有する基を表わす。R7の炭素数は1〜18が好ましい。kは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
【0012】
下記に、上記で説明した繰り返し単位を含むモノマー(I−a〜I−o)及びポリマー(II−a〜II−e)の構造を例示するが、本発明に用いられるポリビニルエーテル構造は、これらに限定されるものではない。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
更に、ポリビニルエーテルの繰り返し単位数[上記(II−a)〜(II−e)においては、m、n、l]は、それぞれ独立に、1〜10,000であることが好ましい。また、その合計が[上記(II−a)〜(II−e)においては、m+n+l]が、10〜20,000であることがより好ましい。また、数平均分子量で、500〜20,000,000ものが好ましく、1,000〜5,000,000のものがより好ましく、2,000〜2,000,000のものが最も好ましい。また、これらポリビニルエーテルは、それを他の高分子にグラフト結合させたもの使用しても良いし、他の繰り返し単位構造と共重合されたものを使用しても良い。
【0016】
ビニルエーテル系ポリマーブロックを有する共重合体の合成方法は、特に限定されないが、カチオンリビング重合法を用いることにより長さ(分子量)を正確に揃えたホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマー等の様々なポリマーを合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。
【0017】
本発明のインクジェットプリンター用水性インク、少なくとも色材と前記の樹脂を含むものである。樹脂は、親水性ブロック中のアニオン性基をアンモニア又はアミンで中和してこれらの塩として使用することが画像形成後の耐水性等を向上させるので好ましい。該アニオン性基のカウンターイオンとして、アルカリ金属(Na、K,等)を用いた場合、画像形成後の耐水性、例えば、印字物の一部に水分が付着した場合に、水分が接触した印字物の部分と、接触していない部分との間での境界にじみ等の問題が生じる場合がある。
【0018】
又、水性インクにはアルミニウム又はアルミニウムイオンを存在させることが好ましい。その場合、樹脂とアルミニウム(アルミニウムイオン)とのモル比は1:5〜10000:3が好ましく、更に好ましいモル比は100:6〜1000:3が好ましい。樹脂に対してアルミニウムのモル比が少なすぎると、本発明のインクによって形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性等、インクの記録材への定着性が十分でない場合があり、また、樹脂に対してアルミニウムのモル比が多すぎると、水性インクの吐出安定性が低下する場合がある。アルミニウム以外のアルミニウム化合物としては、有機及び無機の化合物が使用される。例えば、アルミナ、水酸化アルミニム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、チーグラーナッタ触媒のアルミニウム化合物等が挙げられる。
【0019】
水性インクを上記の構成にすることにより、インクの吐出安定性が良く、画像を形成した際の定着性、耐水性、耐擦過性が向上する。これは、樹脂中の少なくとも1種の親水性ブロック部がアニオン性基を有することにより、水媒体中での分散安定性が良好となる。更に、該アニオン性基をそのカウンターイオンとしてのアンモニウムイオン若しくはアミン塩として用いることにより、印字後はアンモニウム或いはアミンが揮発し、親水性を失うため、耐水性が向上すると考えられる。また、樹脂が有するアニオン部分若しくはエーテル部分とカチオン性を有するアルミニウム、例えば、アルミニウムイオン、アルミナ、水酸化アルミニウム等とが作用して樹脂が凝集することにより定着性、耐擦過性が向上すると考えられる。
【0020】
尚、ビニルエーテル系ポリマーの製造において、有機アルミニウム化合物を触媒として使用する場合には、樹脂とアルミニウムを前記のモル比にするために、ポリマーを精製してアルミニウム含有量を低減することが好ましく、酸性水溶液による分液、透析、限外濾過、再沈、吸着剤による吸着等があるが、これに限定されるものではない。また、ポリマー中の残存アルミニウム量が判る場合には、このアルミニウム量も含めたモル比を設定する。
【0021】
本発明で使用する色材は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、分散染料、無機顔料、有機顔料、等を用いることができる。より好ましくは、油溶性染料である。
以下に、染料、顔料の例を示すが、これらに限定されるものではない。
(直接染料)
C.I.ダイレクトブラック−17,−19,−22,−32,−38,−51,−62,−71,−108,−146,−154;C.I.ダイレクトイエロー−12,−24,−26,−44,−86,−87,−98,−100,−130,−142;C.I.ダイレクトレッド−1,−4,−13,−17,−23,−28,−31,−62,−79,−81,−83,−89,−227,−240,−242,−243;C.I.ダイレクトブルー−6,−22,−25,−71,−78,−86,−90,−106,−199;C.I.ダイレクトオレンジ,−34,−39,−44,−46,−60;C.I.ダイレクトバイオレット,−47,−48;C.I.ダイレクトブラウン−109;C.I.ダイレクトグリーン−59等、
【0022】
(酸性染料)
C.I.アシッドブラック−2,−7,−24,−26,−31,−52,−63,−112,−118,−168,−172,−208;C.I.アシッドイエロー−11,−17,−23,−25,−29,−42,−49,−61,−71;C.I.アシッドレッド−1,−6,−8,−32,−37,−51,−52,−80,−85,−87,−92,−94,−115,−180,−254,−256,−289,−315,−317;C.I.アシッドブルー−9,−22,−40,−59,−93,−102,−104,−113,−117,−120,−167,−229,−234,−254;C.I.アシッドオレンジ−7,−19;C.I.アシッドバイオレット−49等、
【0023】
(反応染料)
C.I.リアクティブブラック−1,−5,−8,−13,−14,−23,−31,−34,−39;C.I.リアクティブイエロー−2,−3,−13,−15,−17,−18,−23,−24,−37,−42,−57,−58,−64,−75,−76,−77,−79,−81,−84,−85,−87,−88,−91,−92,−93,−95,−102,−111,−115,−116,−130,−131,−132,−133,−135,−137,−139,−140,−142,−143,−144,−145,−146,−147,−148,−151,−162,−163;C.I.リアクティブレッド−3,−13,−16,−21,−22,−23,−24,−29,−31,−33,−35,−45,−49,−55,−63,−85,−106,−109,−111,−112,−113,−114,−118,−126,−128,−130,−131,−141,−151,−170,−171,−174,−176,−177,−183,−184,−186,−187,−188,−190,−193,−194,−195,−196,−200,−201,−202,−204,−206,−218,−221;
【0024】
C.I.リアクティブブルー−2,−3,−5,−8,−10,−13,−14,−15,−18,−19,−21,−25,−27,−28,−38,−39,−40,−41,−49,−52,−63,−71,−72,−74,−75,−77,−78,−79,−89,−100,−101,−104,−105,−119,−122,−147,−158,−160,−162,−166,−169,−170,−171,−172,−173,−174,−176,−179,−184,−190,−191,−194,−195,−198,−204,−211,−216,−217;C.I.リアクティブオレンジ−5,−7,−11,−12,−13,−15,−16,−35,−45,−46,−56,−62,−70,−72,−74,−82,−84,−87,−91,−92,−93,−95,−97,−99;C.I.リアクティブバイオレット−1,−4,−5,−6,−22,−24,−33,−36,−38;C.I.リアクティブグリーン−5,−8,−12,−15,−19,−23;C.I.リアクティブブラウン−2,−7,−8,−9,−11,−16,−17,−18,−21,−24,−26,−31,−32,−33等、
【0025】
(塩基性染料)
C.I.ベーシックブラック−2;C.I.ベーシックレッド−1,−2,−9,−12,−13,−14,−27;C.I.ベーシックブルー−1,−3,−5,−7,−9,−24,−25,−26,−28,−29;C.I.ベーシックバイオレット−7,−14,−27;C.I.フードブラック−1,−2等、
【0026】
(油溶性染料)
C.I.ソルベントイエロー1,2,3,13,19,22,29,36,37,38,39,40,43,44,45,47,62,63,71,76,81,85,86等;C.I.ソルベントレッド35,36,37,38,39,40,58,60,65,69,81,86,89,92,97,99,100,09,118,119,122等;C.I.ソルベントブルー14,24,26,34,37,39,42,43,45,48,52,53,55,59,67等;C.I.ソルベントブラック5,8,14,17,19,20,22,24,26,28,43等、
【0027】
(顔料)
Raven760Ultra、Raven1060Ultra、Raven1080、Raven1100Ultra、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500Ultra、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);
【0028】
Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、ColorBlack S160、Color Black S170、SpecialBlack 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220、(以上三菱化学社製)等,
【0029】
C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等;C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.PigmentRed−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.PigmentRed−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等;
【0030】
C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.PigmentYellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、 C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等。
【0031】
以上の色材と樹脂とのインク中における質量比率は、固形分比で1:0.01〜1:2であることが好ましい。樹脂量が少なすぎると、本発明のインクによって形成される画像の耐擦過性、耐水性、耐マーカー性等、インクの記録材への定着性が十分でない場合があり、また、樹脂量が多すぎると、水性インクの粘性が高くなり、水性インクの吐出安定性や耐目詰まり性が低下する場合がある。
【0032】
本発明の水性インクは、前記の色材及び樹脂を分散又は溶解させる液媒体が必要であり、該液媒体は少なくとも水溶性の有機溶剤を含んでいてもよい。好ましくは水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を水性インクの液媒体として使用する。本発明において液媒体に占める水溶性有機溶剤の割合は、例えば、5〜50質量%が好ましく、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0033】
上記水溶性有機溶剤は、本発明のインクに、ノズル部分での乾燥による水性インクの固化を防止するために使用するものであって、具体的には、炭素数1から4のアルキルアルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等);ケトン又はケトアルコール類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等);エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等);ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等);アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等);多価アルコール等のアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、トリエチレンモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等)、さらにはN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0034】
特に好ましい水溶性有機溶媒は、グリセリン、多価アルコール(例えば、ジエチレングリコールやエチレングリコール等)であり、グリセリン以外の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールやプロピレングリコール等が挙げられる。水性インク中にはこれらの水性有機溶媒を2種類以上混合して用いてもよい。
【0035】
本発明のインクは上記水溶性有機溶剤とともに水を含有する。液媒体に占める水の割合としては、例えば、50〜100質量%、更には60〜100質量%であることが好ましい。また、水としては純水又はイオン交換水を用いることが好ましい。
【0036】
本発明のインク中における色材の水性インク全質量に占める割合は、例えば、0.1〜20質量%、さらには1〜10質量%であることが好ましい。色材の量が1質量%未満では印字画像に十分な画像濃度が得られず、色材の量が10質量%を超えると、ノズルにおける目詰り等の吐出安定性が低下するだけで、画像の濃度が特別向上するわけでもない。
【0037】
また、本発明の水性インク中における前記樹脂の水性インク全質量に占める割合は、例えば、0.001〜40質量%、更には0.01〜20質量%であることが好ましい。前記樹脂の量が0.01質量%未満では得られる画像の耐擦過性、耐マーカ性等が低下し、一方、前記樹脂の量が20質量%を超えると、水性インクの粘性が高くなり、ノズルにおける水性インクの目詰り等の吐出安定性が低下する。
【0038】
尚、本発明の水性インクには、前記成分以外にも、例えば、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤等各種の添加剤を添加してもよい。また、本発明の水性インクの粘度は25℃において1.0mPa・s〜5.0mPa・sであることが好ましい。
【0039】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、以下の記載で「部」又は「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。又、以下の実施例において樹脂の分子量及び分子量分布はGPC(Gel Permeation Chromatography:東ソー社製HLC−8220GPCを使用)、樹脂の同定はNMR(ブルカー・バイオスピン社製DPX400を使用)により、アルミニウムの濃度はICP発光分析装置(誘導結合プラズマ発光分析装置)(セイコーインスツルメンツ社製SPS 1700HVを使用)により、pHはpHメーター(堀場製作所製 カスタニーACTpHメーターD−24を使用)を用いて測定した値である。
【0040】
まず、実施例及び比較例に使用するポリビニルエーテル構造を含むブロック共(1)ABCトリブロックポリマーの合成:
(i)ブロックポリマー[1]の作製
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱して吸着水を除去した。系を室温に戻した後、1−イソブトキシエチルビニルエーテル12ミリモル、酢酸エチル16ミリモル、1−イソブトキシエチルアセテート0.1ミリモル、及びトルエン11mlを加え、系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロライド0.2ミリモルを加え重合を開始し、トリブロックポリマーのA成分を合成した。分子量を時分割にGPCを用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、次いでB成分である2−メトキシエチルビニルエーテル12ミリモルを添加することで合成を行い、上記と同様にGPCを用いてモニタリングし、B成分の重合が完了した後、次いでC成分である4−(2−ビニロキシエトキシ)−エチルベンゾエート12ミリモルを添加して合成を行い、重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行った。得られたトリブロックポリマーの同定には、NMR及びGPCを用いて行い、いずれも満足のいくスペクトルを得ることができた(数平均分子量(標準ポリスチレン換算)Mn=3.7×104、Mn/Mw=1.3(Mw:重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)))。
【0041】
得られた樹脂のアルミニウム量を調整するため、0.6Nの塩酸水溶液で分液し、樹脂とアルミニウムのモル比が表1記載の値となるように精製を行った。アルミニウムのモル数は、アルミニウムの濃度から求めた値である。
【0042】
上記樹脂のC成分のエステル部分は水酸化カリウム/メタノール中で加水分解させ、カルボン酸型に変換させた。更に透析及びイオン交換樹脂でカリウムイオンを除去し、水酸化アンモニウム水溶液を滴下して中和し、カルボン酸のカウンターイオンをアンモニウムイオンに変えた。得られた樹脂のpHは8.0であった。
【0043】
(ii)ブロックポリマー[2]の作製
C成分のカルボン酸のカウンターイオン調整以外は、ブロックポリマー[1]と同様にしてブロックポリマーを作製した。C成分のカルボン酸のカウンターイオンは、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して中和し、そのカウンターイオンをナトリウムイオンに変えた。得られた樹脂のpHは8.0であった。
【0044】
又、樹脂の比較例としてスチレンマレイン酸モノエステルコポリマーアンモニウム塩(第一工業製薬社製 ディスコートN−14)を用意した。
【0045】
実施例1〜4および比較例1〜8
インクジェットプリンター用水性インクを以下のようにして調製した。
上記の2種のブロックポリマー、比較例樹脂のそれぞれとアルミニウム、及び色材とを表1に記載の割合で混合し、10分間攪拌した後、ジエチレングリコール20質量%、アセチレノールEH0.15質量%を添加し、最終的に水性インク中の色材の固形分が5量%になるように水を加え、1時間攪拌を行った。
得られた水性インクを0.2μmのメンブランフィルター(東洋濾紙社製)を用いて減圧ろ過を行い、実施例及び比較例の水性インクを調製した。
【0046】
【0047】
上記各実施例及び比較例の水性インクを用いて、市販コピー用紙(普通紙)HK原紙[大昭和製紙社製]及び光沢紙SP101[キヤノン社製]に記録を行った。画像形成(印字)は、水性インクジェットプリンターF660[キヤノン社製]を用いて行った。印字物の評価は以下のように行った。評価結果を表2に示す。結果は普通紙,光沢紙ともに表2に記載の良好な結果が得られた。
【0048】
(耐擦過性)
印字から12時間以上放置後、印字した紙上にキムワイプを載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の重りを載せ、5往復したときの白紙部の汚れや、べた画像、文字印字部の擦れ具合から目視にて観察した。評価基準は下記の通りとして、評価結果を下記表2に示す。
○:白紙部に汚れがなく、べた画像、文字印字部の擦れなし。
△:白紙部にやや汚れがあり、べた画像及び文字印字部にやや擦った跡がある。
×:白紙部に汚れがあり、べた画像及び文字印字部の一部が擦り取られている。
【0049】
(耐水性)
印字から12時間以上放置後、印字物を5分間水道水中に静止し、水を乾燥させた後の画像の反射濃度を測定し、耐水性試験前と耐水性試験後の反射濃度の残存率を求め耐水性の尺度とした。評価基準は下記の通りとして、評価結果を下記表2に示す。
◎:画像濃度の残存率が95%以上。
○:画像濃度の残存率が90%以上。
△:画像濃度の残存率が80%以上90%未満。
×:画像濃度の残存率が70%以上80%未満。
【0050】
(耐マーカー性)
ZEBRA社製イエロー蛍光ペンを用い文字印字後12時間以上放置した後に、文字部を通常の筆圧で一度マークし、耐マーカー性を下記の評価基準で評価した。評価結果を下記表2に示す。
○:印字部に滲みや白字部分の汚れが認められず、ペン先も汚れていない。
△:白字部分にやや汚れがあり、印字部の滲みもややある。
×:白字部分に汚れ、印字部の滲みがある。
【0051】
(吐出性)
印字画像の状態及び印字後のインクヘッドのヒーター面を観察し、下記の評価基準で評価した。
○:べた画像部分、文字印字部が充分きれいに印字でき、ヒーター面に堆積物がほとんど見られない。
△:べた画像部分、文字印字部が充分きれいに印字できるが、ヒーター面に堆積物がややある。
×:べた画像部分、文字印字部がかすれ、ヒーター面に堆積物が多くみられる。
【0052】
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性に優れ、またノズルでのインク吐出安定性の良好なインクジェット用インクが提供される。
Claims (7)
- 少なくとも色材と樹脂とを含む水性インクにおいて、樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロック及び疎水性ブロックを有し、各ブロックはビニルエーテル系ポリマーからなり、親水性ブロックのビニルエーテル系ポリマーはアニオン性基を有することを特徴とするインクジェットプリンター用インク。
- 前記樹脂は、そのアニオン性基をそのアンモニウムイオン若しくはアミン塩として使用する請求項1に記載のインクジェットプリンター用インク。
- インク中にアルミニウム又はアルミニウム化合物を存在させる請求項1又は2に記載のインクジェットプリンター用インク。
- 前記樹脂とアルミニウムとのモル比が1:5〜10000:3である請求項3に記載のインクジェットプリンター用インク。
- 前記樹脂とアルミニウムとのモル比が100:6〜1000:3である請求項3に記載のインクジェットプリンター用インク。
- 上記色材が油溶性染料である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インク。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インクを用い、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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-
2002
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