JP2004209522A - 金属間の摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルシウムを含有させることで難燃性の効果を持つマグネシウム合金同士、あるいは難燃性マグネシウム合金と異種金属との接合を、難燃性マグネシウム合金の特性を損なうことなく、強度低下や熱変形を抑制して行える金属間の摩擦攪拌接合方法を提供する。
【解決手段】工具10は、小径部11と、小径部11と同軸の大径部12を有し、小径部11の外面に回転方向Aに対して逆方向の螺子11aを形成した。接合しようとする複数の金属のうち、少なくとも1つの金属はカルシウムを含有した難燃性マグネシウム合金1,2からなる。被接合部3の開始位置3Aにマグネシウム薄板4を挿入したのち、開始位置3Aに小径部11を回転しながら圧入した状態で接合方向Bに相対移動させて、螺子11aにより圧入方向とは逆向きに攪拌しながら摩擦攪拌接合する。マグネシウム薄板によって摩擦熱の発生を促進でき、螺子により、底部で生じる塑性流動を、圧入方向とは逆向きに攪拌させながら表面(上面)まで押し上げることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の金属の被接合部に対して、工具を、回転しながら圧入した状態で接合方向に移動させることで、金属間を摩擦攪拌接合する接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常のマグネシウム(Mg)合金(例えば、AZ61、AZ91等)を溶融させてカルシウム(Ca)を含有したマグネシウム合金は、表面に酸化カルシウム被膜を形成させるため、カルシウムを含まないマグネシウム合金に比べて機械的強度(引張強さ、硬さ等)が低下しないだけでなく、燃焼試験において発火温度を上昇させる効果、すなわち難燃性を有する。これらの特性を持つマグネシウム合金、すなわち難燃性マグネシウム合金は、表面に酸化カルシウム被膜を形成しており、この被膜が酸化に対してきわめて有効な保護被膜として作用するため、難燃性効果を持っている(たとえば、特許文献1や非特許文献1参照。)。
【0003】
また、アルミニウム合金プレート同士を接合(突き合わせ、重ね合わせ、隅肉形状等)する方法として、非磨耗プローブを回転させながら、その先端部の小さな中央シリンダー部分を結合線に圧入する。結合線は、中央シリンダー部分の側面との摩擦により加熱されて高温に上昇すると、塑性変形抵抗を失い、中央シリンダー部分の回転に引きずられるようにして塑性流動を生じる。このような塑性流動を保持しながら結合線の方向に非磨耗プローブを移動させると、結合線の付近は逐次摩擦により攪拌・一体化されて接合が行われる(たとえば、特許文献2参照。)。
【0004】
そして、カルシウムを含まない通常のマグネシウム合金の接合には、これまでTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接やMIG(メタル・イナート・ガス)などが用いられている。
【0005】
上述したアルミニウム合金の摩擦攪拌接合では、板厚が2.0mmの場合、工具が高速回転(例えば、3000rpm)、接合速度が高速(例えば、500mm/分)で接合できる。このようなアルミニウム合金の摩擦攪拌接合は、アルミニウム合金製の鉄道車両をはじめ、自動車部品等に実用化されている。
【0006】
これに対して、カルシウムを含まない通常のマグネシウム合金(例えば、AZ31 板厚2.0mm)では、アルミニウム合金と同様に高温変形抵抗が小さく、塑性流動しやすいため、板厚が2.0mmの場合には工具を6000rpmのような高速回転、1250mm/分の高速度で接合しても良好な接合効果が得られる。通常のマグネシウム合金(AZ31)の摩擦攪拌接合については、溶接学会平成13年度秋季全国大会講演概要(第69集)132頁から133頁に示されている。
【0007】
しかしながら、難燃性マグネシウム合金は、アルミニウム合金に比べて硬いだけでなく、高温変形抵抗が大きい。このため、難燃性マグネシウム合金の摩擦攪拌接合では、たとえば非磨耗プローブを高速回転、高速度で接合すると、高温中で塑性流動しにくいため、金属組織の塑性流動が不連続になり、その結果として接合部に空隙(あるいは割れなどの欠陥)が形成される。接合部で連続的な塑性流動を起こすことによって、割れの発生を防止する接合方法が必要となる。
【0008】
さらに難燃性マグネシウム合金は、硬いだけでなく、熱伝導性が悪い。このため、摩擦攪拌接合を開始する位置で、非磨耗プローブを回転させながら接合部に圧入して時間が経過しても、難燃性マグネシウム合金と非磨耗プローブとの間に摩擦熱が発生しない。摩擦熱が発生しない状況では、摩擦攪拌接合ができないだけでなく、非磨耗プローブが硬い難燃性マグネシウム合金との間で生じる摩擦によって摩耗することになる。摩擦熱の発生を促進するために非磨耗プローブの回転数を早くすると、非磨耗プローブの摩耗が顕著になるため、高速回転は不適である。このような状況を防止するとともに、摩擦攪拌接合を可能にするためには、摩擦攪拌接合を開始する位置で非磨耗プローブを圧入して摩擦熱を発生させる方法が必要となる。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−109963(第2−3頁、図1)
【0010】
【特許文献2】
特許第2712838号公報(第2−3頁、第1図)
【0011】
【非特許文献1】
坂本満、秋山茂、荻尾剛、大城桂作著「鋳造工学 第69巻 第3号」(社)日本鋳造工学会出版、1997年3月25日、P.227−233
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、難燃性マグネシウム合金は、難燃性だけでなく軽量やリサイクル性を生かして鉄道車両、自動車、エレベーター用の筐体などの電機製品など、広範な産業分野で応用が期待されている。この難燃性マグネシウム合金は、上記種々の製品の構造体や部品を製作する上で、接合することが不可欠となっている。
【0013】
その際に、難燃性マグネシウム合金の接合にTIG溶接方法やMIG溶接方法を採用したときには、難燃性マグネシウム合金を溶かして接合するため、入熱が過大になり、熱変形が大きくなるだけでなく、接合部にブローホールなどの欠陥が発生して、強度を大きく低下させることが指摘されている。
【0014】
さらに難燃性マグネシウム合金は、本合金中に酸化カルシウム被膜を形成する複合材料となって酸化に対する保護作用を持っている。このような難燃性マグネシウム合金の接合に、上述のTIG溶接、MIG溶接や電子ビーム溶接などの溶融接合を用いると、酸化カルシウム被膜が溶融するため、難燃性の効果が損なわれることになる。
【0015】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、通常のマグネシウム合金を溶融してカルシウムを含有させることによって難燃性の効果を持つマグネシウム合金同士、あるいは難燃性マグネシウム合金と異種金属との接合を、難燃性マグネシウム合金の特性を損なうことなく、強度低下や熱変形を抑制して行える金属間の摩擦攪拌接合方法を提供することを目的としたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の金属間の摩擦攪拌接合方法は、複数の金属の被接合部に対して、工具を、回転しながら圧入した状態で接合方向に移動させることで、金属間を摩擦攪拌接合する接合方法であって、前記工具は、被接合部に圧入する小径部と、この小径部と同軸の大径部とを有するとともに、小径部の外面には回転方向に対して逆方向の螺子が形成されており、接合しようとする複数の金属のうち、少なくとも1つの金属はカルシウムを含有した難燃性マグネシウム合金からなり、これら金属の被接合部の開始位置にマグネシウム薄板を挿入したのち、被接合部の開始位置に工具の小径部を回転しながら圧入した状態で接合方向に相対移動させて、逆方向の螺子により圧入方向とは逆向きに攪拌しながら摩擦攪拌接合することを特徴としたものである。
【0017】
したがって請求項1の発明によると、工具を回転しながら、その小径部を被接合部に圧入させるとともに、工具を接合方向に移動させることによって、被接合部に生じる摩擦熱により接合部の変形抵抗を減少させ、塑性流動させて、金属間に接合部を形成しながら固相接合し得る。
【0018】
このようにして、少なくとも1つが難燃性マグネシウム合金からなる複数の金属間の摩擦攪拌接合を行えるのであり、その際に開始位置に挿入しているマグネシウム薄板によって摩擦熱の発生を促進し得、以て接合を好適に行える。また小径部に形成した逆方向の螺子により、底部で生じる塑性流動を、圧入方向とは逆向きに攪拌させながら表面(上面)まで押し上げ得るとともに、大径部の面による押え込み作用によって、塑性流出を規制し得、以て充分な攪拌を行えることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、金属の突き合わせ溶接に採用した状態として、図1、図2に基づいて説明する。
【0020】
接合しようとする2枚の金属は、カルシウムを含有した難燃性マグネシウム合金1,2であって、これら難燃性マグネシウム合金1,2の被接合部(たとえば、突き合わせ溶接の場合は2枚の難燃性マグネシウム合金1,2の界面)3で、摩擦攪拌接合の開始位置3Aには、マグネシウム薄板(純マグネシウム、あるいは通常のマグネシウム合金)4が板厚方向に挿入される。そして2枚の難燃性マグネシウム合金1,2は、クランプ手段(図示せず。)によって相対位置が定着されている。
【0021】
円筒状の工具10は、接合部に圧入する下端の小径部11と、この小径部11と同軸で中間の大径部12と、上部の本体部13とを有し、回転駆動装置(図示せず。)に保持された状態で、縦方向軸心14の回りに回転自在に構成される。前記小径部11の外面には回転方向Aに対して逆方向の螺子11aが形成されており、また大径部12の下面によって流出阻止面12aが形成されている。なお工具10は、その前進角度θを[3°]として傾斜させた縦方向軸心14の回りに回転自在に構成されている。
【0022】
摩擦攪拌接合を行うに、まず図1(a)(b)の実線に示すように、被接合部3の開始位置3Aに小径部11を対向させた状態から、工具10を縦方向軸心14の回りに回転させながら、小径部11を開始位置3Aに接近移動させ、図1(a)(b)の仮想線に示すように、小径部11を開始位置3Aに当接させる。そして小径部11をさらに移動させて、図1(c)に示すように、小径部11を開始位置3Aに圧入させるとともに、流出阻止面12aを難燃性マグネシウム合金1,2の表面に部分的に押し付け(圧接させ)る。
【0023】
これにより被接合部3は、小径部11の側面および大径部12の下面との摩擦熱により加熱されて高温に上昇することになり、以て塑性変形抵抗を失い(減少させ)、小径部11の回転に引きずられるようにして塑性流動を生じる。このような塑性流動を保持しながら接合方向Bに工具10を移動させることで、図1(d)や図2、図4(a)に示すように、被接合部3の付近は逐次摩擦により攪拌・一体化され、以て接合部5を形成しながらの固相接合が行われる。
【0024】
このようにして2枚の難燃性マグネシウム合金1,2間の摩擦攪拌接合が行われるのであり、その際に開始位置3Aには、マグネシウム薄板4が挿入されていることで、摩擦熱の発生を促進し得、以て接合を好適に行える。また小径部11に逆方向の螺子11aが形成されていることで、底部で生じる塑性流動を、圧入方向とは逆向きに攪拌させながら表面(上面)まで押し上げ得るとともに、流出阻止面12aによる押え込み作用によって、塑性流出を規制し得、以て充分な攪拌を行えることになる。
【0025】
上記した実施の形態に示すように、摩擦攪拌接合を開始する位置3Aで工具10の小径部11を圧入して、難燃性マグネシウム合金1,2との間で摩擦熱の発生を促進させ方法によると、摩擦攪拌接合を開始する位置3Aの付近にだけマグネシウム薄板4を板厚方向に挿入するだけで、摩擦熱が発生し接合ができるようになる。しかも、小径部11における逆方向の螺子11aや大径部12における流出阻止面12aの摩耗が減少することが明らかになった。被接合部3に挿入するマグネシウム薄板4の板厚は、2.0mm以上あれば、摩擦熱を発生させる効果があることが確認された。摩擦熱の発生を促進するマグネシウム薄板4は、開始位置3Aの近傍の難燃性マグネシウム合金中1,2に固溶しており、難燃性の効果を損なうことない。
【0026】
難燃性マグネシウム合金1,2の摩擦攪拌接合では、工具10を低速(たとえば、1500rpm)で回転させながら、接合速度を低速(たとえば、100mm/分)で接合することが必要である。また、接合部5に広い範囲で高温領域を形成させるための専用工具が必要となる。難燃性マグネシウム合金1,2用の工具10は、小径部11と大径部12との形状・寸法が重要な要素なる。表1は、難燃性マグネシウム合金1,2の板厚が2.0mmの場合の小径部11と大径部12との径寸法(直径寸法)を示したものであり、ここで小径部11の長さは板厚と同じ2mmである。
【0027】
【表1】
Figure 2004209522
表1に示すように、難燃性マグネシウム合金1,2用の工具10においては、その小径部11と大径部12との径は、アルミニウム合金や通常のマグネシウム合金の場合よりも大きい。すなわち、板厚2.0mmのアルミニウム合金や通常のマグネシウム合金では、小径部の径は3.0mm、大径部の径は10mm以下である。これに対して、難燃性マグネシウム合金1,2における小径部11の径は4.0mm、大径部12の径は14mm以上である。
【0028】
すなわち、難燃性マグネシウム合金1,2の摩擦攪拌接合に用いる工具10の小径部11および大径部12の径は、アルミニウム合金やカルシウムを含まない通常のマグネシウム合金の場合における小径部や大径部の径よりも大きくしている。この理由は、摩擦攪拌によって塑性流動を生じる領域を大きくして高温領域を拡大することによって、連続的な塑性流動が形成されるようにするためである。なお、難燃性マグネシウム合金1,2の摩擦攪拌接合方法は、たとえばアルミニウム合金の摩擦攪拌接合(特許第3070735号)とは異なるものである。
【0029】
さらに難燃性マグネシウム合金1,2の摩擦攪拌接合に際しては、小径部11に逆方向の螺子11aを切っており、これにより、底部で生じる塑性流動を攪拌させながら板表面まで押し上げる構造にしている。なお、小径部に回転方向と同方向の螺子を切った場合は、欠陥が生じやすい底面付近の塑性流動が生じにくいことになる。また、小径部に螺子を切らない工具もあるが、この場合、螺子を切った工具に比べて摩擦による発熱効果が小さい。
【0030】
以下に、本発明の一実施例を説明する。
難燃性マグネシウム合金として、(AZ60+Ca)同士を摩擦攪拌接合した。ここで、AZ60とは、A(アルミニウムの略称)が6%、Z(亜鉛の略称)が0%、残りがマグネシウムというマグネシウム合金の化学成分を表示する方法である。難燃性マグネシウム合金(たとえば、AZ60+Ca)は、カルシウムを含まない通常のマグネシウム合金(AZ60)を溶融させてカルシウム(Ca)を含有させたものである。
【0031】
板厚が2.0mmの難燃性マグネシウム合金板を、突き合わせ形状にして摩擦攪拌接合した。主な接合条件は、工具の回転数1500rpm、接合速度100mm/分である。接合を開始する位置付近の突き合わせ部のみに板厚0.2mmの純マグネシウム板を挿入した。
【0032】
接合した継手性能は、図3に示すように、平行部を持つ引張試験片に加工して引張試験における引張強さや伸びを調べ、難燃性マグネシウム合金母材と比較した(単位はmm)。これに対して、難燃性マグネシウム合金を突き合わせ形状でTIG溶接を行い、接合部の組織観察や継手の引張強さを調べ、摩擦攪拌接合の結果と比較した。
【0033】
(AZ60+Ca)同士を摩擦攪拌接合した接合部の金属組織を観察した結果、接合表面のビードは連続的に形成されており、欠陥は観察されなかった。また、接合部の底面付近を組織観察した結果、接合不良時に形成されやすいキッシング・ボンドと言われる微小な未密着部は検出されなかった。これに対して、TIG溶接では、接合部の裏面付近で明瞭な割れが数多く観察され、欠陥が発生することが明らかになった。また、酸化カルシウムは、摩擦攪拌によって寸断されて微細化し、ほぼ均一に分布していた。
【0034】
なお、工具を高速回転(例えば、3000rpm)、高速度(例えば、500mm/分)で摩擦攪拌接合した接合部を組織観察した結果、酸化カルシウムは微細化するものの、不均一に分布していた。このような酸化カルシウムの不均一な分布は、接合部において難燃性を低下させることを示唆している。
【0035】
摩擦攪拌接合継手とTIG溶接継手の引張強さを調べた結果は、表2に示すとおりである。
【0036】
【表2】
Figure 2004209522
表2において、TIG溶接の場合、継手の引張強さは247MPaで、継手は接合部で破断した。これに対して、摩擦攪拌接合継手の引張強さは273MPaであり、継手は難燃性マグネシウム合金の母材部で破断した。摩擦攪拌接合継手の伸びは、6.0%で母材と同等であるのに対して、TIG溶接継手の伸びは僅か1.2%であった。以上の接合結果より、固相接合の摩擦攪拌接合は、TIG溶接に代表される溶融接合に比べて難燃性マグネシウム合金の接合方法として適している。
【0037】
上述した本発明における摩擦攪拌接合(難燃性マグネシウム合金同士あるいは難燃性マグネシウム合金と異種金属との組み合わせの場合)方法は、図4(a〜f)に示すように、板材の突き合わせ接合、板材の重ね合わせ接合、板材の隅肉の継手形状の接合などに適用し得るものである。なお、本発明における難燃性マグネシウム合金は、通常のマグネシウム合金を溶融させてカルシウムを含有させたものであり、1%〜3%のカルシウムを含有させるものが好適であるが、カルシウム含有量に制限はない。
【0038】
上記した実施の形態では、摩擦攪拌接合方法として、板材の突き合わせ接合、板材の重ね合わせ接合、板材の隅肉の継手形状の接合などに適用しているが、これはパイプ材を対象とした、突き合わせ接合、重ね合わせ接合、隅肉の継手形状の接合にも適用し得るものである。
【0039】
上記した実施の形態では、難燃性マグネシウム合金1,2同士の摩擦攪拌接合が示されているが、これは難燃性マグネシウム合金と異種金属、たとえば通常のマグネシウム合金、アルミニウム合金、銅合金などとの摩擦攪拌接合も同様である。
【0040】
上記した実施の形態では、工具10が、その前進角度θを[3°]として傾斜させた縦方向軸心14の回りに回転自在に構成されているが、この傾斜角度や傾斜方向は、板厚や金属材質によって任意に変更可能であり、場合によっては、傾斜がなく垂直状であってもよい。
【0041】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、工具を回転しながら、その小径部を被接合部に圧入させるとともに、工具を接合方向に移動させることによって、被接合部に生じる摩擦熱により接合部の変形抵抗を減少させ、塑性流動させて、金属間に接合部を形成しながら固相接合できる。このようにして、通常のマグネシウム合金を溶融してカルシウムを含有させることによって難燃性の効果を持つマグネシウム合金同士、あるいは難燃性マグネシウム合金と異種金属との接合を、難燃性マグネシウム合金の特性を損なうことなく、強度低下や熱変形を抑制して行うことができる。
【0042】
その際に開始位置に挿入しているマグネシウム薄板によって摩擦熱の発生を促進でき、以て接合を好適に行うことができる。また小径部に形成した逆方向の螺子により、底部で生じる塑性流動を、圧入方向とは逆向きに攪拌させながら表面(上面)まで押し上げることができるとともに、大径部の面による押え込み作用によって、塑性流出を規制でき、以て充分な攪拌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、金属間の摩擦攪拌接合方法の工程であって、(a)は接合開始前の正面図、(b)は接合開始前の側面図、(c)は接合開始時の側面図、(d)は接合中の側面図である。
【図2】同接合中の一部切り欠き斜視図である。
【図3】本発明の摩擦攪拌接合方法で得た継手と、TIG溶接方法で得た継手の引張試験片形状・寸法の説明図である。
【図4】本発明の摩擦攪拌接合方法が可能な継手形状例を示した概略斜視図である。
【符号の説明】
1 難燃性マグネシウム合金(金属)
2 難燃性マグネシウム合金(金属)
3 被接合部
3A 摩擦攪拌接合の開始位置
4 マグネシウム薄板
5 接合部
10 工具
11 小径部
11a 逆方向の螺子
12 大径部
12a 流出阻止面
13 本体部
14 縦方向軸心
A 回転方向
B 接合方向
θ 前進角度

Claims (1)

  1. 複数の金属の被接合部に対して、工具を、回転しながら圧入した状態で接合方向に移動させることで、金属間を摩擦攪拌接合する接合方法であって、
    前記工具は、被接合部に圧入する小径部と、この小径部と同軸の大径部とを有するとともに、小径部の外面には回転方向に対して逆方向の螺子が形成されており、接合しようとする複数の金属のうち、少なくとも1つの金属はカルシウムを含有した難燃性マグネシウム合金からなり、これら金属の被接合部の開始位置にマグネシウム薄板を挿入したのち、被接合部の開始位置に工具の小径部を回転しながら圧入した状態で接合方向に相対移動させて、逆方向の螺子により圧入方向とは逆向きに攪拌しながら摩擦攪拌接合することを特徴とする金属間の摩擦攪拌接合方法。
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