JPWO2019031145A1 - マグネシウム−リチウム系合金の接合方法及び接合体 - Google Patents

マグネシウム−リチウム系合金の接合方法及び接合体 Download PDF

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Abstract

少なくとも一方の被接合材をマグネシウム−リチウム系合金とする場合の簡便かつ効率的な摩擦攪拌接合方法であって、攪拌部に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる接合方法、及び当該接合方法によって得られる接合体を提供する。また、マグネシウム−リチウム系合金の任意の領域に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる改質方法、及び当該改質方法によって得られる金属構造体も提供する。一方の被接合材と他方の被接合材とを摩擦攪拌接合する方法であって、少なくとも一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、摩擦攪拌接合用ツールとして、超硬合金製ツール、サーメット製ツール、セラミックス製ツール、金属間化合物製ツール及びセラミックス被覆ツールのうちのいずれかを使用し、摩擦攪拌接合用ツールを一方の被接合材側に挿入すること、を特徴とする金属材の摩擦攪拌接合方法である。

Description

本発明は、少なくとも一方の被接合材をマグネシウム−リチウム系合金とする場合の接合方法及び当該接合方法によって得られる接合体に関し、より具体的には、摩擦攪拌接合を用いた効率的な接合方法及び当該接合方法によって得られる接合体に関する。
マグネシウムは比強度が高く、自動車、電車及び航空機等の軽量化の観点から、従来使用されてきた鉄鋼材料やアルミニウム合金の代替材料として注目されている。一方で、マグネシウム合金はHCP構造を有するため、一般的に室温での成形性に乏しい。
これに対し、Li(リチウム)元素の添加により優れた室温成形性を発現する極めて軽量なMg−Li(マグネシウム−リチウム)系合金が提案されているが、汎用的に活用するためには接合技術の確立が必要不可欠である。
しかしながら、マグネシウム−リチウム系合金は化学活性が高く、溶融溶接で良好な継手を得ることが困難である。例えば、非特許文献1(“Microstructure and mechanical properties of Mg−Li alloy after TIG welding”,Transactions of Nonferrous Metals Society of China,21.3(2011),477−481.)では、TIG溶接を用いてマグネシウム−リチウム系合金を接合した例が開示されているが、溶接時の温度履歴により、溶接部の結晶粒粗大化及び熱影響部の軟化が不可避である。
また、特許文献1(特開2008−254003号公報)では、マグネシウム−リチウム系合金板とアルミニウムまたはその合金の板とを重ね合わせ、これを摩擦攪拌により重ね合わせ接合した後、圧延することを特徴とするクラッド材の製造方法、が開示されている。
上記特許文献1記載のクラッド材の製造方法においては、摩擦攪拌により上下の板材が適度に攪拌拡散され固相状態で接合が行われるので、従来の圧延接合のように、マグネシウム−リチウム系合金板とアルミニウムまたはその合金の板とが当接する面を、予め酸洗いし、金属製ワイヤーブラシで磨いて酸化皮膜などを除去する前処理をしなくても強固な接合がなされ、この点で従来の圧延接合に比べて、製品コストおよび製造コストを低く抑えることができる、としている。
加えて、上記特許文献1記載のクラッド材の製造方法においては、摩擦攪拌接合により強固な接合が行われるので、摩擦攪拌接合の後に行われる圧延は、冷間(室温)で行っても接合力が維持されて低下することはなく、従来の圧延接合のように、室温での圧延の後にクラッド材を200〜300℃程度の温度で長時間にわたり熱処理して接合力や曲げ加工性を高める必要がなく、この点でも従来の圧延接合に比べて、製品コストおよび製造コストを低く抑えることができる、としている。
"Microstructure and mechanical properties of Mg−Li alloy after TIG welding",Transactions of Nonferrous Metals Society of China,21.3(2011),477−481.
特開2008−254003号公報
しかしながら、上記非特許文献1で開示されている溶接方法では、得られるマグネシウム−リチウム系合金の継手強度は母材の84%以下となり、延性も母材より低下する。加えて、マグネシウム−リチウム系合金の溶融溶接では、雰囲気中の酸素を完全に排除するために大量のアルゴンを使用しなければならない。
また、上記特許文献1に開示されているクラッド材の製造方法では、上側に配置されたアルミニウム合金板側から摩擦攪拌接合用のツールを挿入して、上側のアルミニウム合金板と下側のマグネシウム−リチウム系合金板を接合するものであり、マグネシウム−リチウム合金板側ではツールの作用による材料流動が殆ど生じておらず、「摩擦攪拌技術」の観点からはアルミニウム合金の摩擦攪拌接合に準ずるものである。即ち、摩擦攪拌接合によってマグネシウム−リチウム系合金の良好な継手を得る方法は確立されているとは言い難い。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、少なくとも一方の被接合材をマグネシウム−リチウム系合金とする場合の簡便かつ効率的な摩擦攪拌接合方法であって、攪拌部に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる接合方法、及び当該接合方法によって得られる接合体を提供することにある。また、本発明は、マグネシウム−リチウム系合金の任意の領域に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる改質方法、及び当該改質方法によって得られる金属構造体を提供することも目的としている。
本発明者は上記目的を達成すべく、摩擦攪拌接合用ツールの材質等について鋭意研究を重ねた結果、ツール表面への被接合材(マグネシウム−リチウム系合金)の凝着を抑制すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
一方の被接合材と他方の被接合材とを摩擦攪拌接合する方法であって、
少なくとも前記一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、
摩擦攪拌接合用ツールとして、超硬合金製ツール、サーメット製ツール、セラミックス製ツール、金属間化合物製ツール及びセラミックス被覆ツールのうちのいずれかを使用し、
前記摩擦攪拌接合用ツールを前記一方の被接合材側に挿入すること、
を特徴とする金属材の摩擦攪拌接合方法、を提供する。
アルミニウム合金やマグネシウム合金は鋼製のツールで容易に摩擦攪拌することができ、ツール寿命についても特段の問題が生じないため、従来の摩擦攪拌接合ではツール価格等の観点からも鋼製(例えば、熱間工具鋼:SKD61等)のツールが使用されてきた。
しかしながら、本発明者が工具鋼製のツールを用いた従来公知の摩擦攪拌接合方法で、マグネシウム−リチウム系合金の接合を試みたところ、軟化したマグネシウム−リチウム系合金がツール表面に凝着し、良好な攪拌部を形成させることが困難であった。
これに対し、本発明の金属材の摩擦攪拌接合方法では、摩擦攪拌接合用ツールとして、超硬合金製ツール、サーメット製ツール、セラミックス製ツール、金属間化合物製ツール及びセラミックス被覆ツールのうちのいずれかを使用することで、被接合材であるマグネシウム−リチウム系合金の凝着を効果的に低減することができる。ここで、ツール表面を無機非金属製とすることで、マグネシウム−リチウム系合金との親和性を低下させることができる(超硬合金やサーメットは金属結合相を有するが、無機非金属相が主成分である)。また、その結果、摩擦攪拌接合の温度を低下させることができ、より微細かつ均質な組織を有する、強度及び塑性加工性に優れた攪拌部を形成することができる。
また、本発明の金属材の接合方法では、(1)金属板の端部同士を突き合わせて接合部とし、回転ツールをその加工部の長手方向に沿って回転させつつ移動させて金属板同士を接合する接合、(2)金属板の端部同士を突き合わせて接合部とし、回転ツールをその接合部で移動させずに回転させて接合するスポット接合、(3)金属板同士を接合部において重ね合わせ、接合部に回転ツールを挿入し、回転ツールをその箇所で移動させずに回転させて金属板同士を接合するスポット接合、(4)金属板同士を接合部において重ね合わせ、接合部に回転ツールを挿入し、回転ツールをその接合部の長手方向に沿って回転させつつ移動させて金属板同士を接合する接合の(1)〜(4)の4つの態様およびこれらの組み合わせを含むが、摩擦攪拌接合用ツールはマグネシウム−リチウム系合金に挿入する。本発明の金属材の接合方法ではツール表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着が抑制されることに加え、塑性変形抵抗が小さなマグネシウム−リチウム系合金にツールを挿入することで、ツール寿命を向上させることもできる。
本発明の金属材の接合方法では、摩擦攪拌接合用ツールを一方の被接合材側(マグネシウム−リチウム系合金側)に挿入すること、を特徴の一つとしている。より具体的には、一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、他方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金以外である場合、突合せ接合においては、摩擦攪拌接合用ツールの中心(プローブ部の中心)を突合せ面よりも一方の被接合材側とし、重ね合わせ接合においては、一方の被接合材を上側に配置し、当該一方の被接合材側から摩擦攪拌接合用ツールを挿入する。
なお、ツールの回転速度、移動速度、挿入量及び印加荷重等の一般的な摩擦攪拌接合条件は、攪拌部における欠陥形成及び接合効率等の観点から適宜設定すればよい。また、ツールの形状は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の摩擦攪拌接合用ツールの形状を用いることができる。
また、本発明の金属材の接合方法においては、前記他方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であること、が好ましい。被接合材を共にマグネシウム−リチウム系合金とすることで、マグネシウム−リチウム系合金に対する摩擦攪拌作用の重要性が増加することから、本発明の金属材の接合方法の作用効果をより顕著に得ることができる。
また、本発明の金属材の接合方法においては、前記摩擦攪拌接合用ツールの表面に溝加工が施されていないこと、が好ましい。アルミニウム合金やマグネシウム合金の摩擦攪拌接合ではツール摩耗やツール破断が生じ難いため、ツールによる攪拌効果を増大させるためにショルダ部底面やプローブ部側面に螺子加工等の溝加工が施されるのが一般的である。これに対し、それらの溝加工をツールに施さないことで、ツール表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着を抑制することができる。一方で、マグネシウム−リチウム系合金は優れた塑性加工性を有していることから、溝加工を有さないツールでも十分に材料流動が生じ、攪拌部を形成させることができる。なお、溝加工が施されていない摩擦攪拌接合用ツールとは、平面状態のショルダ底面及びプローブ側面を有するツールを意味する。
また、本発明の金属材の接合方法においては、前記摩擦攪拌接合用ツールのショルダ部最外周の周速を23.6mm/s〜78.5mm/sとすること、が好ましい。当該周速範囲はマグネシウム合金の摩擦攪拌接合においては常識外の低速領域であるが、室温加工性を有するマグネシウム−リチウム系合金を被接合材とする場合は、十分な摩擦攪拌作用を得ることができる。ここで、ショルダ部最外周の周速を23.6mm/s以上とすることで、攪拌不足による欠陥の形成を抑制することができ、78.5mm/s以下とすることで、ツール表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着による欠陥の形成、攪拌部の表面酸化及び液相の生成を抑制することができる。
また、本発明の金属材の接合方法においては、前記摩擦攪拌接合用ツールのプローブ部最外周の周速を9.5mm/s〜31.4mm/sとすること、が好ましい。当該周速範囲はマグネシウム合金の摩擦攪拌接合においては常識外の低速領域であるが、室温加工性を有するマグネシウム−リチウム系合金を被接合材とする場合は、十分な摩擦攪拌作用を得ることができる。ここで、プローブ部最外周の周速を9.5mm/s以上とすることで、攪拌不足による欠陥の形成を抑制することができ、31.4mm/s以下とすることで、ツール表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着による欠陥の形成を抑制することができる。
また、本発明の金属材の接合方法においては、突合せ接合とすることが好ましい。突合せ接合では重ね合わせ接合と比較して攪拌部の形成が重要になるところ、本発明の金属材の接合方法ではマグネシウム−リチウム系合金を被接合材とした場合であっても良好な攪拌部を形成させることができるため、突合せ接合であっても効率的に接合を達成することができる。
なお、接合を目的とする摩擦攪拌接合と改質を目的とする摩擦攪拌プロセスは基本的に同じ原理を用いた技術であり、上述の本発明の金属材の接合方法は、金属材の改質方法としても用いることができる。具体的には、所望する改質部の形状、大きさ及び位置等を考慮して、適当な形状及びサイズを有するツールを用いて摩擦攪拌を施せばよい。
また、本発明は、
一方の被接合材と他方の被接合材とが攪拌部を介して接合された接合体であって、
少なくとも前記一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、
前記攪拌部に前記マグネシウム−リチウム系合金のα相の再結晶粒を含み、
前記再結晶粒の結晶方位がランダム化していること、
を特徴とする接合体、も提供する。
本発明の接合体では、比較的低温の摩擦攪拌接合によって攪拌部が形成されていることから、当該攪拌部にはHCP構造を有するα相及びBCC構造を有するβ相の再結晶粒が含まれており、α相の再結晶粒は母材と比較して明確に微細化されている。
また、攪拌部において、α相の結晶方位はランダム化されている。α相はHCP構造を有しているため、一般に、押出や圧延等、単純なせん断応力が印加される加工プロセスを経た後は、強い集合組織が形成されてしまう。これに対し、本発明の接合方法を用いて適当な条件で摩擦攪拌することにより、α相の結晶方位をランダム化することができ、強い集合組織に起因する機械的性質の低下及び異方性を抑制することができる。ここで、ランダム化されているとはα相の強い底面集合組織が形成されていないことを意味し、例えば、EBSD測定の方位マップにおいて、α相の再結晶粒が同一系統色のみで表示されなければよい。より具体的には、極点図において、Texture Intensityが1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
また、本発明の接合体では、攪拌部の組織が母材よりも微細化されることから、母材よりも高硬度となる。加えて、攪拌部の外縁に接合中の温度上昇に伴う熱影響部が存在しないことから、母材よりも硬度が低くなる領域が存在しない。
また、本発明の接合体では、前記接合体の前記マグネシウム−リチウム系合金の領域における最低硬度が50HV以上であること、が好ましく、前記一方の被接合材に対する継手効率が100%であること、がより好ましい。適当な条件で摩擦攪拌接合を施すことにより、当該機械的性質を有する接合体を得ることができる。
また、本発明の接合体では、前記攪拌部の引張強度が前記一方の被接合材の母材引張強度の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることが最も好ましい。一般的な摩擦攪拌接合で形成される攪拌部に関しても、比較的入熱が小さくなる接合条件では、攪拌部の引張強度が母材の引張強度よりも若干高くなる場合がある。しかしながら、本発明の接合体では、マグネシウム合金の摩擦攪拌接合としては常識外の低入熱条件で攪拌部を形成し、当該攪拌部をナノ組織化(α相の平均結晶粒径が1μm未満)することで、攪拌部の引張強度を一方の被接合材の引張強度の1.1倍以上とすることができる。加えて、当該ナノ組織を有する攪拌部は優れた超塑性能を発現することから、加工性の観点からも好ましい。
更に、本発明の接合体では、前記他方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であること、が好ましく、突合せ接合体であること、がより好ましい。被接合材を共にマグネシウム−リチウム系合金とし、突合せ接合体とすることで、極めて効率的に接合体の軽量化を図ることができる。
なお、本発明の接合体は、上述の本発明の金属材の接合方法によって好適に製造することができる。
更に、本発明は、
マグネシウム−リチウム系合金の改質部を含む金属構造体であって、
前記改質部に前記マグネシウム−リチウム系合金のα相の再結晶粒を含み、
前記再結晶粒の結晶方位がランダム化していること、
を特徴とする金属構造体、も提供する。
本発明の金属構造体は、ランダム化したα相の再結晶粒を含む改質部を有していることから、等方的に優れた機械的性質及び塑性加工性を有している。
本発明の金属構造体は、前記再結晶粒の平均粒径が1μm未満であること、が好ましい。再結晶粒の平均粒径を1μm未満とすることで、改質部をより高硬度及び高強度とすることができることに加え、優れた超塑性能を付与することができる。
なお、本発明の金属構造体は、上述の本発明の金属材の接合方法と同様の金属材の改質方法によって好適に製造することができる。
本発明によれば、少なくとも一方の被接合材をマグネシウム−リチウム系合金とする場合の簡便かつ効率的な摩擦攪拌接合方法であって、攪拌部に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる接合方法、及び当該接合方法によって得られる接合体を提供することができる。また、本発明によれば、マグネシウム−リチウム系合金の任意の領域に母材以上の強度及び塑性加工性を付与することができる改質方法、及び当該改質方法によって得られる金属構造体を提供することもできる。
本発明の金属材の接合方法の一態様を示す模式図である。 本発明の接合体における接合部近傍の概略断面図である。 実施例で得られた接合部の断面写真である。 実施例で得られた接合部断面の硬度分布である。 実施例で得られた接合部の引張特性である。 塑性変形特性評価後の攪拌部試験片の概観写真である。 母材及び実施例で得られた攪拌部中心のSEM写真である。 母材及び実施例で得られた攪拌部中心のα相の方位マップ像である。
以下、図面を参照しながら本発明の金属材の接合方法及び接合体の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
(1)金属材の接合方法
本発明の金属材の接合方法では、摩擦攪拌接合を用いる。摩擦攪拌接合とは、FSW(Friction Stir Welding)と称され、接合しようとする二つの金属材からなる被接合材それぞれの端部を突き合わせ、回転ツールの先端に設けられた突起部(プローブ)を両者の端部の間に挿入し、これら端部の長手方向に沿って回転ツールを回転させつつ移動させることによって、二つの金属部材を接合する方法である。
本発明における金属材の接合方法は、上述のとおり、(1)金属板の端部同士を突き合わせて接合部とし、回転ツールをその加工部の長手方向に沿って回転させつつ移動させて金属板同士を接合する接合、(2)金属板の端部同士を突き合わせて接合部とし、回転ツールをその接合部で移動させずに回転させて接合するスポット接合、(3)金属板同士を接合部において重ね合わせ、接合部に回転ツールを挿入し、回転ツールをその箇所で移動させずに回転させて金属板同士を接合するスポット接合、(4)金属板同士を接合部において重ね合わせ、接合部に回転ツールを挿入し、回転ツールをその接合部の長手方向に沿って回転させつつ移動させて金属板同士を接合する接合の(1)〜(4)の4つの態様およびこれらの組み合わせを含むが、以下、代表的な態様として、「(1)金属板の端部同士を突き合わせて接合部とし、回転ツールをその加工部の長手方向に沿って回転させつつ移動させて金属板同士を接合する接合」について詳細に説明する。
図1は、本発明の金属材の接合方法の一態様を示す模式図である。被接合材2(一方の被接合材)及び被接合材2’(他方の被接合材)を突き合わせ、回転させたツール4を所望の接合領域に挿入し、被接合線に沿って移動させることで接合部6を得ることができる。ここで、被接合材2及び被接合材2’を共にマグネシウム−リチウム系合金とする場合、基本的には突合せ線とツール4の突起部(プローブ部)8の中心を一致させるように挿入する。また、被接合材2をマグネシウム−リチウム系合金とし、被接合材2’をその他の金属材とする場合、本発明の金属材の接合方法では、ツール4を構成する突起部(プローブ部)8及び本体部(ショルダ部)10の大半が被接合材2の側に当接することになる。
また、ツール4としては、超硬合金製ツール、サーメット製ツール、セラミックス製ツール、金属間化合物製ツール及びセラミックス被覆ツールのうちのいずれかを使用することで、被接合材であるマグネシウム−リチウム系合金の凝着を効果的に低減することができる。ここで、ツール4の表面を無機非金属製とすることで、マグネシウム−リチウム系合金との親和性を低下させることができる。また、その結果、摩擦攪拌接合の温度を低下させることができ、より微細かつ均質な組織を有する、強度及び塑性加工性に優れた攪拌部12を形成することができる。
ここで、ツール材質として用いる超硬合金、サーメット、セラミックス及び金属間化合物の組成及び組織は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限されず、従来公知の種々の組成及び組織とすることができるが、超硬合金及びサーメットに関しては金属結合相を低減させることが好ましい。また、セラミックスとしては、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、窒化ホウ素、ジルコニア、アルミナ、二ホウ化チタン等を用いることができ、金属間化合物としては、例えば、Ti−Al系やNi−Al系の金属間化合物を用いることができる。
また、セラミックス被覆する場合はツール4の本体を金属製としてもよく、例えば、熱間工具鋼(SKD61)製とすることができる。セラミックス被膜の組成、組織及び膜厚等については本発明の効果を損なわない限りにおいて特に制限されず、従来公知の種々の組成、組織及び膜厚とすることができ、例えば、切削工具用として使用されている種々の硬質被膜を用いることができる。
また、上述のツール材質及びセラミックス被膜については、マグネシウム−リチウム系合金との濡れ性の観点から選定することが好ましく、マグネシウム液滴とこれらの材料との接触角を90°以上とすることが好ましい。接触角が90°以上となるツール材質及びセラミックス被膜を選定することで、ツール4に印加されるトルクを低減することができる。
また、図1に示すのは、円柱状の本体部(ショルダ部)10の底面に円柱状の突起部(プローブ部)8を有するツール4を用いた場合であるが、ツール4の形状は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の摩擦攪拌接合用ツールの形状を用いることができる。また、被接合材2,2’に当接する本体部(ショルダ部)10の底面及び突起部(プローブ部)8の側面には、螺子加工等の溝加工を有さないことが好ましい。当該溝加工をツールに施さないことで、ツール4表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着を抑制することができる。一方で、マグネシウム−リチウム系合金は優れた塑性加工性を有していることから、溝加工を有さないツールでも十分に攪拌部12を形成させることができる。
本発明の金属材の接合方法で少なくとも一方の被接合材とするマグネシウム−リチウム系合金は、マグネシウムを主成分とし、これに室温での塑性加工性を付与するためにリチウムを添加した合金を広く含むものである。例えば、当該合金には、強度や耐熱性を向上させるために、アルミニウム、亜鉛、マンガン、イットリウム、ランタノイド、ジルコニウム、銀、シリコン、カルシウム等を添加されたものが含まれる。
ここで、リチウムは5〜15重量%の範囲内で含有されるのが好ましい。リチウムの含有量が5重量%を下回ると室温での塑性加工性があまり改善されず、逆にリチウムの含有量が15重量%を上回ると粒界割れ(表面亀裂)の原因となることがあり、またリチウムが高価であるためコスト高になる。
また、他方の被接合材2’もマグネシウム−リチウム系合金であることが好ましい。被接合材2,2’を共にマグネシウム−リチウム系合金とすることで、マグネシウム−リチウム系合金に対する摩擦攪拌作用の重要性が増加することから、本発明の金属材の接合方法の効果をより顕著に得ることができる。
なお、ツール4の回転速度、移動速度、挿入量及び印加荷重等の一般的な摩擦攪拌接合条件は、攪拌部12における欠陥形成及び接合効率等の観点から適宜設定すればよい。
ここで、ツール4の本体部(ショルダ部)10の最外周の周速は23.6mm/s〜78.5mm/sとすること、が好ましい。当該周速範囲はマグネシウム合金の摩擦攪拌接合においては常識外の低速領域であるが、室温加工性を有するマグネシウム−リチウム系合金を被接合材2,2’とする場合は十分な摩擦攪拌作用を得ることができる。ここで、本体部(ショルダ部)10の最外周の周速を23.6mm/s以上とすることで、攪拌不足による欠陥の形成を抑制することができ、78.5mm/s以下とすることで、ツール4の表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着による欠陥の形成、攪拌部12の表面酸化及び液相の生成を抑制することができる。なお、ツール4の本体部(ショルダ部)10の直径が15mmの場合、最外周の周速は回転速度を30rpmとすることで略23.6mm/sとなり、100rpmとすることで略78.5mm/sとなる。
また、ツール4の突起部(プローブ部)8の最外周の周速は9.5mm/s〜31.4mm/sとすること、が好ましい。当該周速範囲はマグネシウム合金の摩擦攪拌接合においては常識外の低速領域であるが、室温加工性を有するマグネシウム−リチウム系合金を被接合材2,2’とする場合は十分な摩擦攪拌作用を得ることができる。ここで、突起部(プローブ部)8の最外周の周速を9.5mm/s以上とすることで、攪拌不足による欠陥の形成を抑制することができ、31.4mm/s以下とすることで、ツール4の表面へのマグネシウム−リチウム系合金の凝着による欠陥の形成を抑制することができる。なお、ツール4の突起部(プローブ部)8の直径が6mmの場合、最外周の周速は回転速度を30rpmとすることで略9.5mm/sとなり、100rpmとすることで略31.4mm/sとなる。
また、突合せ接合では重ね合わせ接合と比較して攪拌部12の形成が重要になるところ、本発明の金属材の接合方法ではマグネシウム−リチウム系合金を被接合材2,2’とした場合であっても良好な攪拌部12を形成させることができるため、本発明の接合方法を用いることで、効率的に接合を達成することができる。
(2)接合体
図2に、本発明の接合体における接合部近傍の概略断面図を示す。なお、本発明の接合体における接合部の代表的な態様として、図2では突合せ接合部を示している。
本発明の接合体20は、一方の被接合材2と他方の被接合材2’とが攪拌部12を介して接合された接合体であって、少なくとも一方の被接合材2がマグネシウム−リチウム系合金であり、攪拌部12のマグネシウム−リチウム系合金の領域において、α相の再結晶を含むこと、を特徴としている。なお、被接合材2,2’の形状及びサイズは本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、本発明の接合方法によって接合可能であればよい。
マグネシウム−リチウム系合金はHCP構造のα相とBCC構造のβ相を有しているが、押出材や圧延材では、α相が伸長して筋状に分布している。これに対し、攪拌部12においてもα相はマクロ的には筋状に分布しているが、α相は再結晶しており、等軸状のα相が集合した状態となっている。
少なくとも一方の被接合材2とするマグネシウム−リチウム系合金は、マグネシウムを主成分とし、これに室温での塑性加工性を付与するためにリチウムを添加した合金を広く含むものである。例えば、当該合金には、強度や耐熱性を向上させるために、アルミニウム、亜鉛、マンガン、イットリウム、ランタノイド、ジルコニウム、銀、シリコン、カルシウム等を添加されたものが含まれる。
ここで、リチウムは5〜15重量%の範囲内で含有されるのが好ましい。リチウムの含有量が5重量%を下回ると室温での塑性加工性があまり改善されず、逆にリチウムの含有量が15重量%を上回ると粒界割れ(表面亀裂)の原因となることがあり、またリチウムが高価であるためコスト高になる。
接合体20では、攪拌部12の組織が母材よりも微細化されることから、母材よりも高硬度となる。また、攪拌部12の外縁に接合中の温度上昇に伴う熱影響部が存在しないことから、母材よりも硬度が低くなる領域が存在しない。なお、α相の再結晶粒の平均粒径は5μm未満とすることが好ましく、3μm未満とすることがより好ましく、1μm未満とすることが最も好ましい。α相の再結晶粒を微細化することで、攪拌部12の硬度及び強度を高くすることができるだけでなく、良好な塑性変形能を付与することができる。
また、接合体20の一方の被接合材2(マグネシウム−リチウム系合金)の領域における最低硬度は50HV以上であること、が好ましく、接合体20の一方の被接合材2(マグネシウム−リチウム系合金)に対する継手効率は100%であること、がより好ましい。
また、攪拌部12の引張強度は一方の被接合材2の引張強度の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることが最も好ましい。一般的な摩擦攪拌接合で形成される攪拌部に関しても、比較的入熱が小さくなる接合条件では、攪拌部の引張強度が母材の引張強度よりも若干高くなる場合がある。しかしながら、接合体20では、マグネシウム合金の摩擦攪拌接合としては常識外の低入熱条件で攪拌部12を形成し、攪拌部12をナノ組織化(α相の平均結晶粒径が1μm未満)することで、攪拌部12の引張強度を一方の被接合材2の引張強度の1.1倍以上とすることができる。加えて、当該ナノ組織を有する攪拌部12は優れた超塑性能を発現することから、加工性の観点からも好ましい。
また、接合体20では、攪拌部12の再結晶領域において、α相の結晶方位がランダム化されていることが好ましい。上述の本発明の接合方法を用いて適当な条件で摩擦攪拌することにより、α相の結晶方位をランダム化することができ、強い集合組織に起因する機械的性質の低下や異方性を抑制することができる。
更に、接合体20では、他方の被接合材2もマグネシウム−リチウム系合金であること、が好ましく、突合せ接合体であること、がより好ましい。被接合材2,2’を共にマグネシウム−リチウム系合金とし、突合せ接合体とすることで、極めて効率的に接合体20の軽量化を図ることができる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本発明の金属構造体における改質部は、本発明の接合体における攪拌部と同様の特性を有している。
≪実施例≫
図1に示す配置で長さ200mm,幅65mm,厚さ3mmのLZ91マグネシウム合金(9wt%Li−1wt%Zn−Mg Bal.)板同士を突合せ、摩擦攪拌接合によって接合体を得た。摩擦攪拌接合用のツールにはショルダ径15mm,プローブ径6mm,プローブ長2.8mmの超硬合金製ツールを用い、ツール回転速度25〜300rpm,ツール移動速度20〜100mm/min,前進角3°の条件で、ツール位置制御にて摩擦攪拌接合を行った。なお、摩擦攪拌接合中にシールドガスは使用しておらず、ツールのショルダ部底部及びプローブ部側面に溝加工は施していない。
≪比較例≫
ツールの材質を熱間工具鋼(SKD61)製としたこと以外は実施例1と同様にして、摩擦攪拌接合を行った。
[適切接合条件]
良好な接合体を得るための適切な接合条件を確認するため、接合部(攪拌部)の表面及び断面を光学顕微鏡によって観察した。攪拌部に欠陥が形成している場合は×、欠陥は形成していないが大量のバリや表面の荒れが認められた場合は△、欠陥が形成されず攪拌部の表面状態も滑らかな場合は○とし、実施例の結果を表1に示した。なお、比較例においては全ての条件で欠陥が形成されたため(全ての条件で×の評価)、示していない。
接合部の断面観察結果の一例として、実施例で得られた接合部(ツール回転速度200rpm,ツール移動速度100mm/min)の断面写真を図3に示す。欠陥の形成は認められず、良好な攪拌部が得られている。
実施例では25rpmと回転速度を最も遅くした場合で攪拌部に小さな欠陥が形成されたが、それ以外の条件で欠陥の形成は認められず、攪拌部の表面も良好な状態を有していた。当該結果から、本発明の接合方法では広い接合条件で良好な継手が得られることが分かる。なお、回転速度が150rpmよりも高くなると攪拌部表面の金属光沢が失われており、当該原因としては、接合温度の上昇に伴う酸化や液相の生成が考えられる。なお、シールドガスとしてアルゴンガスを使用することで、金属光沢を維持した良好な攪拌部表面を得ることができた。一方で、比較例では全ての接合条件で被接合材がツール表面に凝着し、攪拌部には溝状の欠陥が形成された。
[ツール表面への被接合材の凝着]
ツール回転速度100rpm,ツール移動速度100mm/minの接合条件に関して、摩擦攪拌接合後のツール表面状態を目視観察した。また、本発明に用いることができるツールとして、窒化ケイ素製ツール、炭化ケイ素製ツール、サイアロン製ツール、サーメット製ツール、工具鋼製本体部の表面にTiAl被膜を形成させたツールに関しても同様の摩擦攪拌接合を行い、当該接合後のツール表面状態を目視観察した。
比較例として用いた工具鋼製ツールでは、被接合材がプローブ部側面及びショルダ部底面に凝着し、ツール原型の把握が困難な状況であった。これに対し、それ以外のツールではプローブ部側面及びショルダ部底面に被接合材に起因する着色が認められる部分は存在するものの、顕著な凝着は確認されなかった。
[硬度測定]
比較例では全ての接合条件で攪拌部に溝状欠陥が形成されたため、実施例で得られた接合部の断面に対してビッカース硬度測定を行った。なお、ビッカース硬度測定は荷重:0.1kgf、荷重負荷時間:15sの条件で行った。
図4に、ツール移動速度100mm/min,ツール回転速度100〜300rpmで得られた接合部断面の硬度分布(板厚中心における接合部水平方向)を示す。全ての攪拌部の硬度が母材よりも高くなっており、特に、より低いツール回転速度において攪拌部の硬度上昇が顕著である。また、攪拌部の外縁に軟化領域は認められない。
[引張試験]
比較例では全ての接合条件で攪拌部に溝状欠陥が形成されたため、実施例で得られた継手に対して引張特性を評価した。引張試験には、長さ50mm×幅12mm×厚さ2mmの平行部(突合せ面を平行部中心とする)を有する引張試験片を用い、継手の板幅方向を引張軸とした。なお、引張速度は1mm/minとした。
図5に、ツール移動速度100mm/min,ツール回転速度30〜100rpmで得られた継手の引張特性を示す。なお、比較として、母材の引張試験結果を示している。また、攪拌部の引張特性を評価するために、ツール移動速度100/min,ツール回転速度30rpmで得られた攪拌部内から、長さ4mm×幅2mm×厚さ2mmの平行部を有する小型の引張試験片を作製し、接合方向を引張軸として、引張速度0.08mm/minで評価した結果も示す。
実施例で得られた継手は母材と同等の引張特性を有しており、継手効率は100%となっている。また、攪拌部の引張特性は母材よりも顕著に高くなっており、引張強度は母材の約2倍となっている。
[塑性変形特性評価]
母材及び、実施例のツール移動速度100/min,ツール回転速度30rpmで得られた攪拌部内から、長さ4mm×幅2mm×厚さ2mmの平行部を有する小型の引張試験片をそれぞれ作製し、200℃,3×10−4のひずみ速度条件下での引張変形量を評価した。
母材及び攪拌部の破断までの変形量はそれぞれ略150%及び略1100%となり、攪拌部には極めて顕著な超塑性変形能が付与されていることが確認された。評価終了後の攪拌部試験片の概観写真を図6に示す。長さ4mmの平行部が、破断時には略44mmとなっている。
[微細組織観察]
攪拌部における結晶粒の粒径及び形状を確認するため、接合部の断面のSEM観察及びEBSD測定を行った。なお、SEM観察及びEBSD測定にはFE−SEM(日本電子株式会社製JSM−7001FA)及びTSL社製のOIM data Collection ver5.31を用いた。
母材及び実施例(ツール移動速度100mm/min,ツール回転速度100〜300rpm)で得られた攪拌部中心のSEM写真及びα相の方位マップ像を図7及び図8にそれぞれ示す。母材はα相とβ相から構成され、α相は筋状に分布している。これに対し、実施例で得られた攪拌部ではα相が分断され、等軸状の再結晶粒となっていることが分かる。加えて、母材のα相は強い集合組織を有しているが、攪拌部のα相はランダムに配向している。なお、攪拌部の結晶粒径は母材よりも微細化されており、ツール回転速度が低い条件においてより顕著である。なお、α相の平均結晶粒径は、300rpmの場合は5μm未満、200rpmの場合は3μm未満、100rpmの場合は1μm未満となっている。
2,2’・・・被接合材、
4・・・ツール、
6・・・接合部、
8・・・突起部(プローブ部)、
10・・・本体部(ショルダ部)、
12・・・攪拌部、
20・・・接合体。

Claims (14)

  1. 一方の被接合材と他方の被接合材とが攪拌部を介して接合された接合体であって、
    少なくとも前記一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、
    前記攪拌部に前記マグネシウム−リチウム系合金のα相の再結晶粒を含み、
    前記再結晶粒の結晶方位がランダム化していること、
    を特徴とする接合体。
  2. 前記攪拌部の外縁に母材よりも軟化した領域が存在しないこと、
    を特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記マグネシウム−リチウム系合金の領域における最低硬度が50HV以上であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 前記攪拌部の引張強度が前記一方の被接合材の引張強度の1.1倍以上であること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の接合体。
  5. 前記他方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の接合体。
  6. 突合せ接合体であること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の接合体。
  7. マグネシウム−リチウム系合金の改質部を含む金属構造体であって、
    前記改質部に前記マグネシウム−リチウム系合金のα相の再結晶粒を含み、
    前記再結晶粒の結晶方位がランダム化していること、
    を特徴とする金属構造体。
  8. 前記再結晶粒の平均粒径が1μm未満であること、
    を特徴とする請求項7に記載の金属構造体。
  9. 一方の被接合材と他方の被接合材とを摩擦攪拌接合する方法であって、
    少なくとも前記一方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であり、
    摩擦攪拌接合用ツールとして、超硬合金製ツール、サーメット製ツール、セラミックス製ツール、金属間化合物製ツール及びセラミックス被覆ツールのうちのいずれかを使用し、
    前記摩擦攪拌接合用ツールを前記一方の被接合材側に挿入すること、
    を特徴とする金属材の摩擦攪拌接合方法。
  10. 前記他方の被接合材がマグネシウム−リチウム系合金であること、
    を特徴とする請求項9に記載の金属材の摩擦攪拌接合方法。
  11. 前記摩擦攪拌接合用ツールの表面に溝加工が施されていないこと、
    を特徴とする請求項9又は10に記載の金属材の摩擦攪拌接合方法。
  12. 前記摩擦攪拌接合用ツールのショルダ部最外周の周速を23.6mm/s〜78.5mm/sとすること、
    を特徴とする請求項9〜11のうちのいずれかに記載の金属材の摩擦攪拌接合方法。
  13. 前記摩擦攪拌接合用ツールのプローブ部最外周の周速を9.5mm/s〜31.4mm/sとすること、
    を特徴とする請求項9〜12のうちのいずれかに記載の金属材の摩擦攪拌接合方法。
  14. 突合せ接合であること、
    を特徴とする請求項9〜13のうちのいずれかに記載の金属材の摩擦攪拌接合方法。
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