JP2004209115A - 酸素濃縮装置及び当該装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】患者に対して正確な装置の動作状況の通知を可能とすると共に、装置の動作時に発生する不具合を的確に検知することを可能とする酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】酸素濃縮装置において、加湿酸素の流量を検知して、当該検知流量が設定流量と比較して一定の閾値を越える程に低い状態が一定時間継続する場合に、加湿酸素の圧力を検知し、検知した圧力に応じて装置の動作状態を報知する。
【選択図】図1
【解決手段】酸素濃縮装置において、加湿酸素の流量を検知して、当該検知流量が設定流量と比較して一定の閾値を越える程に低い状態が一定時間継続する場合に、加湿酸素の圧力を検知し、検知した圧力に応じて装置の動作状態を報知する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素供給源からの酸素を加湿器により所定湿度に加湿するとともに、加湿された酸素(加湿酸素)の所定量を慢性の呼吸不全患者などの患者に吸入させるべく供給することができる医療用酸素濃縮装置及びその制御方法に関し、より詳細には当該酸素濃縮装置において酸素流量、酸素湿度及び酸素圧力を検知すると共に、当該検知された情報に基づいて装置の動作状態を判定し、異常状態と判定された場合に警告を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の酸素濃縮装置は、空気より窒素を優先的に吸着しうるゼオライトを吸着剤として用いた吸着法が広く使われている。この種の酸素濃縮装置は、空気取入口から取り込んだ空気を防塵フィルター(空気取入口フィルター)、吸気フィルターでゴミ等が除去された後、吸気用消音器を経て、コンプレッサーで圧縮し、熱交換器等で冷却し、配管流路を切替える切換弁を介して、吸着剤が充填された吸着筒に送り込まれる。吸着塔内ではガス分離が行われ生成された濃縮ガスは一時的に製品タンクに送り込まれ、減圧弁等を含む圧力調整器や流量設定器にて圧力、流量がコントロールされ加湿器により加湿され、可撓性チューブ、カニューラ等の導管を介して患者に供給されるように構成されている。
【0003】
この酸素濃縮装置において、加湿器の上流側(即ち、加湿器の入力側)や、下流側(即ち加湿器の出力側)に流量センサによる流量検出器を設けて加湿酸素流量の正常、異常の監視を行うことができる濃縮酸素濃縮装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2857044号
【0005】
【特許文献2】
特開2000−262619号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加湿器の上流側に流量センサを設置した場合には、加湿器で加湿された酸素がカニューラを介して患者に供給されるまでに経由するチューブにおいて詰まりなどが生じた場合や加湿器の取り付けの不具合によって漏れが生じた場合にこれを正確に検知することができないという問題がある。
【0007】
この問題を解消するために、加湿器の下流側に流量センサを設置しこれにより流量を検知する場合であっても、流量センサのみを用いた酸素流量測定においては、雰囲気湿度により測定誤差を生じ正確な測定ができないために、患者に対して誤った動作状況を通知することになるだけでなく、やはり、加湿器で加湿された酸素がカニューラを介して患者に供給されるまでに経由するチューブにおいて詰まりなどが生じた場合にこれを正確に検知することができないという問題を解決できない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決して加湿器の下流側において流量検出を行うことにより、患者に対して正確な装置の動作状況の通知を可能とすると共に、装置の動作時に発生する不具合を的確に検知することを可能とすることを目的とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明は、酸素供給源からの酸素を使用に供するために前記酸素を供給する流量を所定レベルに設定するための流量設定手段と、前記酸素に湿気を与えるための加湿手段とを経由させて酸素供給管を介して酸素吸入手段により加湿酸素を供給する酸素濃縮装置であって、前記加湿手段と加湿酸素の供給手段との間に配置され、前記加湿酸素の流速を検知するための流速検知手段と、前記加湿酸素の湿度を検知するための湿度検知手段とを含む流量検知手段と、前記流量設定手段と前記加湿手段との間に配置され、前記加湿手段に供給される前記加湿酸素の圧力を検知するための圧力検知手段と、前記流量検知手段により検知された流量と、前記流量設定手段により設定された流量とを比較して、前記加湿酸素の流量レベルを検知するための流量レベル検知手段と、前記検知された流量レベルが所定のレベルを下回る期間を計時するための計時手段と、前記計時手段において計時された期間が所定の期間を越える場合に、前記圧力検知手段により検知される圧力に応じて、前記酸素濃縮装置の動作状態を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明における前記報知手段は、前記検知手段により検知される圧力が、第1の圧力よりも高い場合に、前記酸素供給管及び酸素吸入手段の少なくともいずれかにおける異常を報知することができ、また、前記検知手段により検知される圧力が、第2の圧力よりも低い場合に、前記加湿手段に関する異常を報知することができる。さらに、前記流量検知手段は、所定の周期において前記流量を検知することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に対応した酸素濃縮装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、装置内に取り込まれる空気は、防塵フィルタ101と吸気フィルタ102とによりゴミが除去され、消音器103を介してコンプレッサー105で圧縮された後、熱交換器106等で冷却される。
【0013】
冷却された空気は配管流路を切替える切換弁107を介して、吸着剤が充填された吸着筒108に送り込まれる。吸着筒108内ではガス分離が行われ、生成された濃縮ガスは一時的に製品タンク111に送り込まれた後、さらに圧力調整器112と流量調節器115とを介して圧力と流量とがコントロールされ(このとき、酸素濃度は酸素濃度センサ114によって検知される。)、加湿器116を介して適度に加湿される。加湿器116と流量調節器115との間には、圧力センサ117が設置され、加湿器へ送られる酸素の圧力を検知する。また、加湿された酸素は、湿度センサ118及び流速センサ119によって流速が検知され、可撓性チューブ120を経由してカニューラ121等の導管を介して患者に供給されるように構成されている。
【0014】
また、この種の酸素濃縮装置は小型の場合、吸着筒108が1本又は2本で構成され、切換弁107により切替えられて吸脱着が行われている。例えば、吸着筒108が2本で構成されている場合、一方が吸着工程中においては濃縮されたガスの一部は、製品ガスとして使用し、他のガスはもう一方の吸着筒108に回され、吸着筒108内のゼオライトの再生及び再加圧用ガスとして使用される。
【0015】
吸着工程中の吸着筒108内の吸着破過が起こる前に切換弁107により他方に切替え同様のサイクルを繰り返し連続的に濃縮ガスを生成、供給するように構成されている。
【0016】
次に、図1の酸素濃縮装置は図2aに示すような外観を有する装置として実現することができる。この図2aは、酸素濃縮装置本体を正面からみた外観図である。ここで、200は、酸素濃縮装置本体(以下、本体200と称する。)を表す。本体200は、主として筐体部214aと筐体上部のカバー部214bとから構成される。201は、本体200の動作状況を表すフローモニタであり、その表示態様は後述する。115は、酸素流量を設定するための流量設定ダイヤルである。流量設定ダイヤル115は、カバー214bに構成された凹部202の奥側に設けられており、後述するカバー401によって、隠蔽可能に構成されている。
【0017】
203aは、本体200の運転・停止を切替えるための電源スイッチである。電源スイッチ203aは、カバー214bに構成された凹部203bの奥側に設けられており、カバーの表面に対して突出しないように設置されているので、誤って患者等の体が触れた場合であっても、電源スイッチ203aが押下されにくくなっている。116は、加湿器であり、116aは加湿器のキャップ部である。205は、鼻カニューラ121や延長チューブ120を接続するための酸素出力口である。
【0018】
206は、停電や装置内部の異常を知らせるための警報部である。この警報部206には、点検ランプ、ブザー及びメッセージを音声出力するためのスピーカーが内蔵されている。207aは、流量設定ダイヤル115で設定された流量を表示するための流量表示部である。この流量表示部207aは、図示のように本体200を正面から見た場合に加湿器116の右隣りに形成された凹部207bの奥側に設けられる。流量表示部207aはセグメントLEDにより構成されており、輝度を設置場所の明るさ(照度)に応じて制御可能に構成されている。
【0019】
208は、表示切替スイッチであり、流量表示部207aに表示される内容を切替えるためのスイッチであり、このスイッチ207を押すと表示部には、例えば5秒間だけ使用時間が表示される。
【0020】
212は、キャスターであり、本体200底面の四隅に固定されている。このキャスター212を使用して床面上を移動したり、本体200を設置するための搬送時において、作業者がこれらの取っ手213を把持することで本体200の移動またはリフト作業を行なえるようになっている。このために、各取っ手200の強度は、本体200を持ち上げる力に十分に耐える強度を有している。
【0021】
214aは、金属製または木製の筐体部である。筐体部214aは、上下方向に長い直方体の形状を成し、底部には、移動を容易にするためにキャスター212が設けられている。筐体部214a内には、図1に示すコンプレッサー105、熱交換器106、切換弁107、吸着筒108、製品タンク111等が収納されている。
【0022】
214bは、筐体部214aの上部を覆うカバーであって、219は床面から前面を覆うようにした平面状の前面化粧パネルである。この化粧パネル219は前面だけでなく、本体の全体に対して適用することもできる。
【0023】
カバー214bをベージュ乃至クリーム系の色とする一方で、前面化粧パネル219の色をブルー系とすることで、所謂ツートンカラーの近代的なデザインとしている。また、これらの色彩にバリエーションを持たせることにより、本体200が設置される環境に違和感無くとけ込ませることができる。
【0024】
図2bは、本体200を真上から見た外観図である。ここで、209は、空気取り入れ口であり、カバー210と防塵フィルター101がセットされている。211はメンテナンスカバーであり、吸気フィルター102の交換やメンテナンス情報を取得するためにメンテナンス作業者によって開閉される。
【0025】
図2cは、本発明の酸素濃縮装置200を患者(或いはユーザー)Pとともにほぼ同じ縮尺率で示した外観斜視図である。本図から分かるように、この本体200は、患者Pが特に上半身をかがめなくても所望のメンテナンスが可能な大きさと、メンテナンス部の配置が為されている。また、本体200は、設置範囲をできるだけ小さくするために上下方向に長いほぼ直方体(幅350mm×奥行き355mm×高さ675mm)の形状を有している。
【0026】
図2cにおいてカバー214bは、天井面から前面化粧パネルにかけて曲面を形成しており、図示のように標準身長の患者Pが起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さHの付近に、加湿器116を設けるための凹部215を略中央においてさらに連続形成している。このように中央に凹部215を形成することで、頻繁に行われる加湿器116の水補給作業を行なうときに、患者Pは立ったままの姿勢で行なうことができるので、従来の装置のようにいちいち座ったり、屈んだりする必要がなくなる。このため、患者の腹部への負担は大きく軽減される。さらに、凹部215は左右対称の構造を有しているので利き腕がどちらであるかに関係なく、不自由なく加湿器116を着脱することができる。
【0027】
また、図2dに示すように本体200の背面には。ブレーカースイッチ216が設けられており、万が一の過剰電流発生時における対処を可能にしている。また、ブレーカースイッチ216を本体200の背面に設置することにより、みだりにスイッチがいじられないようにして、電気的なトラブルを防止している。217は電源コードであり、商用電源コンセントに接続することで電源供給を可能な状態にする。218は本体200の下方に設けられた排気口であり、この排気口218を介して排気が行われる。
【0028】
このように、本体200のカバー214bの前面側の曲面のほぼ中心部分に加湿器116を着脱自在に設け、電源スイッチ203aと、酸素出口管205aとをカバー214bに形成された凹部203b、205bで取り囲むようにして加湿器116の左側に配置し、また流量表示部207aも凹部207bの奥になるようにして加湿器116の右側に設けることで、各部材が本体200の上面中央に集中して配置されることになり、操作性が向上される。また、例えば患者Pがつまづきカバー214bに対して激しくぶつかった場合でも樹脂製である衝撃吸収機能を備えたカバー214bの前面側の曲面表面で適度に衝撃吸収して怪我などをしないように安全上の配慮がされている。
【0029】
次に、本体200の各構成要素について以下に詳細な説明を行う。
【0030】
まず、図3は、フローモニタ201及び警報部206の表示形態を示す図である。フローモニタ201は、5つの緑・赤のLEDにより構成され、(a)は、本体200が正常に動作している場合の表示形態であり、5つの緑色LEDが点灯している。フローモニタ201の表示は、流速センサ119により検知される流速に基づいて求められる流量について、流量設定ダイヤル115で設定された流量の80%以上の流量が確保されている場合には5つが点灯するが、70%、60%、50%、40%と流量の低下に応じて点灯するLEDの数が減少し、例えば60%以上70%未満の流量が確保されている場合には(b)で示すように3つが点灯する。
【0031】
しかしながら、流量が低下し60%未満となった場合には(c)に示すように、点灯LEDの数が減少するだけでなく、点灯するLEDが緑から赤に切り替わる。赤のLEDを点灯させる際は、間欠的に点灯(即ち点滅)させてもよい。また、流量が低下した場合にはブザー音が「ピーピーピー」となり、患者に注意を促がす。
【0032】
このような流量の低下の原因としては、例えば、ダイヤルが目盛りの中間に位置しているなどの流量設定ダイヤル115による流量設定が完全でない場合や、加湿器が完全に装着されていない場合や、加湿器116のキャップ部116aがゆるんでいる場合、さらには延長チューブにおける詰まりやつぶれなどがある。
【0033】
流量の減少に基づく警報部206による警報の態様については、後段でより詳細に説明する。
【0034】
また、装置そのものに異常が発生した場合には、(f)に示す警報部206の点検ランプが点灯し、ブザー音と共に、業者への連絡を促すメッセージが音声出力される。この場合は、電源スイッチ203を押して装置の動作を停止すると共に、直ちにメンテナンス業者へ連絡する必要がある。
【0035】
さらに、電源に異常がある場合には、「ピー」というブザー音と共に、「コンセントとブレーカーを確認してください」との音声が出力される。このとき点検ランプは赤色に点滅する。このような電源の異常は、停電が発生した場合や、電源コード217の差し忘れ、もしくはコンセントとの接続が不完全な場合、もしくはブレーカーが作動した場合などが原因である。
【0036】
図4は、流量設定ダイヤル115及び流量表示部207aの外観を示す図である。(a)は、流量設定ダイヤル115に保護カバー401が取り付けられた状態を示している。この保護カバーにより、誤って流量設定ダイヤル115に触れてしまい流量が変更されることを防止する。また、(b)に示すように保護カバー401はつまみ402に指をかけて外して、流量設定ダイヤル115により流量を設定することができる。
【0037】
流量設定ダイヤル115により設定された流量は、流量表示部207aにデジタル表示され、容易に設定レベルを把握することができる。設定可能な流量は、例えば、0.25、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、1.75、2.00、2.50、3.00(L/分)である。また、表示切り替えボタン208を押せば、流量表示部207aの表示内容を流量から使用時間に一時的に切替えることができる。
【0038】
このように、設定流量ダイヤル115には保護カバーが設けられ、設定後のトラブルを防止できる。これにより、不用意に部品に接することが無くなるため、誤って流量が変更される危険性が少なくなる。また、ほぼ処方流量が固定であり設定流量を変更することのない患者に対しても、保護カバーを設けることで運転毎に確認する必要が無くなるので、監視負担を軽減することができる。
【0039】
次に、図5を参照して防塵フィルター101の交換について説明する。図5(a)は、カバー210が空気取り入れ口209に装着された状態を示している。このカバー210は凹部501に指かけて外すことができる。カバー210を外すと、(b)に示すようにカバー210と防塵フィルター101とを分離でき、水洗により洗浄するか、新品に交換することでカバー210にセットする。
【0040】
また、空気取り入れ口209は、(c)に示すように上部カバー214b本体頭部に位置しているので、患者が防塵フィルター101を交換する際に従来のようにかがむ必要がなくなり、防塵フィルター101の掃除が楽になる。また、(c)に示すように本体200を壁に沿って設置した場合でも壁による吸気への影響がなく、さらには、従来のように空気取り入れ口を装置下部に配置した場合のように、設置床面の埃の影響を受けることが少なくなる。さらに、空気取り入れ口209が位置する面502は壁に対して平行ではなく、本体200の後方斜め上向きに位置している(例えば、仰角を45°と設定することができる。)ので、空気の取り入れの際に発生する動作音が、壁503に反射して患者に不快感を与えることがなくなる。
【0041】
次に、図6を参照してメンテナンスカバー211の着脱について説明する。(a)は、メンテナンスカバー210が装着された状態を示している。このときの点線601における断面は、(c)に示すようになる。このように、メンテナンスカバー210の装着時は、係合部603が本体200とかみ合っている。例えば、(d)に示すように係合部603を患者などが指で押してメンテナンスカバー210の装着状態を解除しようとしても、係合部603には指への引っかかり部分がないために、カバー210自体を上に持ち上げることができず、装着状態を解除できなくなっている。
【0042】
しかし、プラスティック(或いはビニール又はゴム)製の吸盤602を利用することにより、簡単に装着状態を解除することができる。従って、装置内部のメンテナンスを設置業者が行う場合には、この吸盤602を利用してメンテナンスカバー210の取り外してメンテナンスを行うようにし、それ以外の場合はメンテナンスカバー210を装着して患者らによって不用意に装置内部がいじられないようにしている。
【0043】
そもそも本願発明のような酸素濃縮装置は、患者が1日24時間毎日使用するものであり、装置の動作が正常かどうかは患者の健康状態に著しい影響を与えるので、患者や補助者は装置の動作状態を常に用心深く監視する必要がある。即ち、患者やその補助者には相当の監視負担が課せられている。
【0044】
これに対して本願発明では、メンテナンスに必要となる要素が装置中心の上部に直線的に設置されているので患者のメンテナンス部分が明確化されるとともに、使用頻度の少ないものは保護カバーなどで隠され、患者に重要な部分を更に明確にすることを可能としている。これにより患者は操作又は装置の監視する際にも、装置のあちこちを見る必要性がなく、装置の中心上部の必要な箇所だけを監視すれば良い。また、加湿器への精製水やフィルターの清掃などの作業に際しても無理な姿勢を取る必要がないので、患者の負担を軽減することができる。これにより患者等に課せられる監視負担は、身体的、精神的に軽減される。
【0045】
次に、図7a及び図7bを参照して、装置内部のメンテナンスを行う場合について説明する。図7aは、内部メンテナンス部700のメンテナンスカバー210を取り外した状態を示している。また、図7bはメンテナンス部の構成を簡略して示すブロック図である。
【0046】
図7aにおいて、701及び702は、装置本体の動作状態を表示するためのLED表示部である。703は、LED表示部701に表示する項目を選択するためのロータリースイッチである。704は、リセットスイッチであり、装置の使用時間をリセットするために利用する。
【0047】
図7bにおいて、705はCPUであり、表示部701、703の表示内容を制御し、ロータリースイッチ702の切替及びリセットスイッチの押下を検知するとともに、各センサー類707からの出力を検知してメモリー706に書き込む。さらに、CPU705は、センサー類707からの出力に基づいて、フローモニタ201や警報部206の動作を含めてメモリー706に格納されたプログラムにより装置全体を制御する。また、706はメモリーであり、センサー類707から出力されるデータや、CPUのOSプログラムなど、装置の制御に必要なデータを格納している。707は、本体200内に実装されているセンサーであり、例えば、酸素濃度センサ114、圧力センサ117、湿度センサ118、流速センサ119等が含まれる。
【0048】
本実施形態ではロータリースイッチ703により0番から5番までの6種類の項目の切替が可能であり、選択された項目はLED表示部702に番号表示される。本実施形態では、0番を製品タンク内圧力(MPa)、1番を酸素濃度(%)、2番を酸素流量(L/分)、3番を吸着時間(秒)、4番を積算時間(h)、5番を電源電圧(v)としている。よって、図7は、ロータリースイッチが1番にセットされ、その値として95.1%が表示されている様子を示している。また、4番の積算時間は、設置業者によるメンテナンスが行われる際は約4000時間(1日24時間で半年間使用の場合)を表示しており、メンテナンスが終了する際にリセットスイッチ704によりリセットを行う。
【0049】
このように酸素濃縮装置には安全性を考慮し様々なセンサー類が搭載されていたが、従来は、センサーからの出力結果を患者に対しては装置の正常/異常を通知するために利用しているだけであり、メンテナンス時は計測器などを用いていた。しかし、本実施形態では、センサー類707からの出力を表示部701に表示させて、メンテナンス時に確認することができるので、緊急時や簡易測定器などが使用できなくなった場合などに、応急的に装置の性能判断が行えるだけでなく、設置業者が測定器を患者宅に持ち込まなくても、メンテナンスが可能となる。また、メンテナンスの際には、内部メンテナンス部700を確認すれば、必要な情報を取得できるので、メンテナンス効率が大幅に改善される。
【0050】
また、メンテナンス部700は、図2bから分かるように装置の上部に位置しており、メンテナンスカバー210は、上方に開閉が可能となっているので、装置内部のメンテナンスを行うために逐一装置を設置場所から移動して、壁との距離を取る必要もなく、設置場所においてメンテナンスが可能となる。また、移動の自由が少ない場所に設置されている場合などは、不必要な装置の移動を排除することができる。従って、メンテナンスにおける作業効率を著しく改善することが可能である。
【0051】
さらに、従来は空気取り入れ口が装置下部に設置された関係で吸気フィルターを交換するために本体を設置場所から移動して筐体のビスなどを外していたが、本実施形態では、図7に示すように吸気フィルター102は内部メンテナンス部700に設置されており、設置業者が装置内部のメンテナンスを行う際に、併せて吸気フィルター102を交換できるので、メンテナンス効率が著しく向上する。
【0052】
一般に、設置業者によるメンテナンス時間は、検査内容が同一であるならば短ければ短いほど良い。本発明はメンテナンス作業を集中的に行うことが可能となるだけでなく、装置の移動や、メンテナンス箇所を検査するためのカバーの取り外し等の、メンテナンスに必要となる補助的作業を最小限として作業時間を大幅に短縮することができる。よって、上記の要求を充分に満足することができるので、ユーザーである患者や補助者に対する充分なサポートが可能となる。
【0053】
図8及び図9を参照して、本発明における酸素流量の検知処理について説明する。図8aは、本発明における湿度センサ118の概略構成を示す図であり、図8b及びcは、流速センサ119の概略構成を示す図である。
【0054】
まず、図8aにおいて、湿度センサは、電源801、サーミスタ802、803、可変抵抗R1、差動増幅器805、増幅器806で構成される。湿度センサ118は、サーミスタ802と803を利用して、湿気と乾気との熱伝導率の差を利用して湿度を測定する。サーミスタ802及び803は、特性のそろった抵抗素子をガラスコートすることによって構成される。また、サーミスタ802は、孔のあいた金属ケースに装填された湿度検出のための湿度検出素子であり、サーミスタ803は、乾燥空気を封入し密閉された金属ケースに装填された温度補償のための温度補償素子である。図8aのように、サーミスタ802及び803は直列接続されブリッジ回路が構成される。
【0055】
差動増幅回路805へは、804における電位V1と可変抵抗R1によって決定される電圧値V2とが入力される。湿度の計測以前では、予めサーミスタ802及び803は自己加熱されて200℃前後に調整されており、また、サーミスタ803にかかる電圧V1とR1の抵抗値によりブリッジのゼロバランス(V1=V2)が取られており、差動アンプの出力は0となっている。
【0056】
計測を開始すると、サーミスタ802には湿った酸素が流入してくるので、サーミスタ803と比べて熱発散に相違があるために、ブリッジのバランスが崩れ出力電圧が発生する。この出力電圧は増幅器806において増幅されて湿度を表す出力電圧値が得られる(807)。
【0057】
検知湿度に対応する出力値は、CPUへ送信され、出力電圧(V)と湿度(%)との対応を登録するテーブルに基づいて湿度が決定される。
【0058】
次に、図8b、cに基づいて流速センサの構成を説明する。流速センサ119は、電源810、サーミスタ811、812、可変抵抗R2、R3、差動増幅器813、補正回路814、増幅器815によって構成される。
【0059】
まず、サーミスタ811、812は図8cに示すように、加湿器116を介して加湿された酸素を鼻カニューラ121へ送り出すためのチューブにおいて、811が鼻カニューラ121側(下流)、812が湿度センサ118側(上流)に位置するようにチューブ内に設置されており、加湿済みの酸素はチューブ内を矢印818に示す方向に流れる。
【0060】
本発明の流量検知処理においては、上流側に位置するサーミスタ812においてサーミスタを所定の温度に加熱しておき、その熱によってチューブ内の酸素を加熱する。加熱された酸素は、カニューラ121へ向けて下流方向へ流れていく。このとき下流側に位置するサーミスタ811は、チューブ内の酸素の温度を検知する。
【0061】
流速が速い(流量が多い)場合には、サーミスタ812による加熱の影響は少なくなるのでチューブ内の酸素温度は上昇しない。従って、サーミスタ811によって検知される温度は低くなる。この場合、サーミスタ811における電気抵抗は高くなるのでV3は小さくなる。従って、サーミスタ812に基づく出力電圧V4とサーミスタ811に基づく出力電圧値V3の差は大きくなる。
【0062】
一方、流速が遅い場合、即ち流量が少ない場合には、チューブ内の酸素がサーミスタ812による加熱の影響を受けて温度が上昇するために、サーミスタ811によって検知される温度は高くなる。従って、サーミスタ811における電気抵抗は低くなり、結果として出力電圧V3は大きくなるので、V3とV4の差が小さくなる。
【0063】
このように、得られた出力電圧値V3及びV4を差動増幅器813に入力して、その差分に応じた出力を得る。差動増幅器813から得られた出力は増幅器814により増幅された後、CPU705へ出力される。
【0064】
CPU705では、得られた出力に基づいて流量を決定する。しかし、上述のように、サーミスタは湿度に応じて熱発散が異なるため正確な流量値を得るためには、チューブ内を流れる気体の湿度に基づいて補償しなければならない。
【0065】
図9aは、流量設定ダイヤル115によりチューブを流れる酸素の流速を所定のレベルに設定し、酸素の湿度を変化させてチューブ内を流した場合に検知される流速値を示したグラフである。このように、湿度が上昇するに従って、検知される流速値は流量設定ダイヤル115により設定される値よりも大きくなってしまうことが分かる。
【0066】
本発明の酸素濃縮装置は加湿器により適度に湿気を与えて酸素を患者に供給することが求められているために、湿度による流速値のずれを補償して正確な流量を検知する必要がある。
【0067】
そこで、図9bに示すように、検出された湿度に応じて流量値を補正する。例えば、分速3リットルにおいては、湿度50%で1.02とする。
【0068】
次に、圧力センサ117、湿度センサ118及び流速センサ119による検知結果に基づいて、患者に対する警報を制御する処理について説明する。図10は、警報制御処理の一例に対応するフローチャートである。図10に対応する処理のプログラムはメモリー706に格納され、CPU705において実行される。
【0069】
まず、ステップS1001において流量値Fvを検知する。この流量値は、流速センサ119により得られる出力と、湿度センサ118により得られる出力から得られた湿度Mに基づいて決定される。次に、ステップS1002において、流量設定ダイヤル115によって設定されている流量設定値Fdを検知する。
【0070】
次に、ステップS1003では、Fv/Fd×100の演算に基づいて流量レベルFL(%)を求めて、ある時点における流量レベルFLと閾値Th1との比較を行う。この閾値Th1は、例えば50(%)と設定することができる。この比較の結果、FL>Th1が成立する場合には、ステップS1004へ移行して後述するタイマーをリセットし、さらにステップS1005において再度湿度Mを読出してきて、湿度Mについて湿度判定のための閾値Th2との比較を行う(S1006)。この閾値Th2は、例えば30%と設定することができる。この結果、M<Th2が成立する場合には、加湿器116内の蒸留水が不足していると判定され、ステップS1007において警報部206により、蒸留水の補給メッセージを出力すると共に、点検ランプを点灯させ、かつ、ブザー音を鳴らす。一方、M<Th2が成立しない場合には、ステップS1001へ移行して処理を繰り返す。
【0071】
説明をステップS1003に戻してFL>Th1が成立しない場合とは、流量が設定レベルに対して一定以上に低くなっている場合であるから、何らかの異常が発生している可能性が高いことが分かる。
【0072】
そこで、ステップS1008では、まずタイマーが既に始動されているかどうかを判定し、始動されていない場合はステップS1009においてタイマーを始動する。このタイマーは、流量レベルの異常状態が継続する時間を計時するための計時手段であって、タイマーのカウント値をTとする。ステップS1010では、カウント値Tが所定の時間閾値Tthに達したかどうかを監視する。もし、カウント値が時間閾値Tthに達していない場合には、ステップS1001へ戻って、ステップS1001からステップS1003までの流量レベル判定を繰り返す。
【0073】
従って、タイマー値がTthに一致する以前に、流量レベルが回復した場合には、ステップS1003で「YES」と判定され、ステップS1004においてタイマーがリセットされるので、ステップS1011以降の圧力検知処理を行うことはない。一方、流量レベルが閉塞検知閾値Th1より高いレベルに回復する以前にカウント値Tが閾値Tthを越えた場合には、ステップS1011へ移行する。ここで、閾値Tthは、所定時分、例えば5分と設定することができるが、設定内容は5分に限定されることはない。
【0074】
このように、ステップS1001からステップS1003及びステップS1008からステップS1010までの処理を実行することにより、ステップS1001における流量値検知処理が所定の期間(サンプリング周期)毎に実行され、装置の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。この所定の期間とは、例えば1ミリ秒或いは1秒と設定される。
【0075】
ステップS1011では、圧力センサ117からの出力値Pvを検知し、続くステップS1011において圧力値Pvを閾値Th3と比較して所定のレベルにあるかどうかを判定する。このTh3は、例えば15KPaと設定することができる。このようにチューブの閉塞状態を検知するための閾値を閉塞検知閾値と呼ぶ。正常時には、圧力値Pvは0KPaに近い値を取っており、Pv>Th3が成立する場合には、圧力が一定以上に高くなっていることが分かり、チューブ内で詰まりが発生しているか、又は、チューブが折り曲げられたかつぶれたかにより、酸素の送り出しが妨げられている可能性が高い。
【0076】
そこで、ステップS1013では、チューブの詰まりを患者に通知するために、警報部206によりブザー音を鳴らし、点検ランプを点灯させ、チューブの詰まりが発生している旨を患者に対して報知する。
【0077】
もし、ステップS1012においてPv>Th3が成立しない場合には、ステップS1014へ進み、さらに閾値Th4との比較を行い、圧力が一定レベルよりも低下しているかどうかを判定する。この閾値Th4は、例えば閉塞検知閾値と同じく15KPaと設定しても良いし、より低い値に設定しても良い。ステップS1014においてPv<Th4が成立すると判定された場合、延長チューブ120に送られる酸素量の流量が低下し、かつ、圧力が低下していることから、加湿器116が装着されていない状況が発生していると考えられる。そこでステップS1015では、加湿器116が正しく装着されていない旨を患者に通知するために、警報部206によりブザー音を鳴らすと共に、点検ランプを点灯させ、加湿器116の装着を促すメッセージを通知する。
【0078】
以上のステップS1007、ステップS1013、ステップS1015における警報は、ステップS1001からの処理を繰り返すことにより、当該警報の原因となった装置の異常が改善されるまで継続される。
【0079】
上述の警報制御処理を、図11及び図12のグラフを参照して更に説明する。
【0080】
まず、図11は、可撓性チューブやカニューラにおける詰まりを警報する場合の流量レベルと圧力値の対応関係を示すグラフである。図11において、(a)は、チューブ等に詰まりが発生していると考えられる場合の流量レベルの推移を表すグラフであり、縦軸が流量レベル(%)を表し、横軸が時間(分)を表している。(a)では、0分からt1分までは流量レベルがほぼ100%を保ち、流量設定ダイヤル115により設定された流量が維持されている。しかし、t1分後以降では、流量レベルが下降を始め、t2分後には閉塞検知閾値Th1と一致するレベルまで流量レベルが下がっている。
【0081】
流量レベルが閉塞検知閾値Th1と一致すると、タイマーによるカウントが開始される。t3は、t2におけるカウント開始後、時間閾値Tthが経過したときの時間であり、t3−t2=Tthとなる。t2で流量レベルが閉塞検知閾値と一致した後、t3までの期間において流量レベルが閉塞検知閾値を下回るレベルで推移している場合には、t3分後(即ち、t2から時間閾値Tth経過後)において圧力センサ117による圧力検知を行う。
【0082】
また、もしt2分後、t3分以前に図11(a)において一点鎖線で示すように、流量レベルが回復した場合には、異常状態を脱したこととなる。よって、このような流量レベルの変化があった場合には、タイマーがリセットされて再び流量レベルが閉塞検知閾値Th1を下回るレベルになるかどうかが監視される。
【0083】
図11(b)は流量レベルに対応する圧力値の推移を示すグラフであり、このグラフから分かるように、流量レベルが減少し始めるのに対応して、圧力センサ117による圧力値が上昇する。(b)では、t2’後に閾値Th3と一致するレベルまで上昇し、流量レベルが低レベルにおいて落ち着くのに対応して、所定の高レベルにおいて安定する。従って、t3分後における圧力値が検知されると、当該圧力値は、閾値Th3を下回っているので、流量レベル及び圧力値において異常が発生しており、可撓性チューブやカニューラにおける詰まりが発生していると判定される。
【0084】
次に、図12は、加湿器116が正しく装着されていないことを警報する場合の流量レベルと圧力値の対応関係を示すグラフである。図12(a)は、図11(a)と同様である。
【0085】
図12(b)は流量レベルに対応する圧力値の推移を示すグラフであり、加湿器116が正しく装着されていない場合には、流量レベルが減少しても圧力センサ117による圧力値が際だって上昇することはない。従って、t3分後における圧力値が検知されても、当該圧力値は閾値Th4を下回り、圧力値における異常は発生しておらず、異常は流量レベルのみに発生していることとなるので、加湿器116が正しく装着されていないと判定される。
【0086】
以上に説明した流量レベルと圧力値の状態に対応する表示・アラームの態様を示すと図13のようになる。
【0087】
即ち、圧力値及び流量レベルが正常時には装置は正常状態にあり、警報部206のランプが点灯又は点滅したり、アラームが報知されることはない。圧力値が正常であっても、流量レベルに異常が検知される場合には、ランプが点灯又は点滅して加湿器116が正しく装着されていないとの警報が警報部206より報知(表示)される。これと合わせて、その旨の音声ガイドを行ってもよい。流量レベルに加えて、圧力値の異常まで検知される場合には、ランプが点灯又は点滅して可撓性チューブやカニューラにおける詰まりが発生していることが警報部206から報知(表示)される。これと合わせて、その旨の音声ガイドを行ってもよい。
【0088】
このように、本発明によれば、圧力センサ117、湿度センサ118、流速センサ119による検知結果に基づいて、酸素濃縮装置におけるエラー状況を患者に通知することが可能となる。
【0089】
また、流量レベルは一定の周期において検知されるので、酸素濃縮装置の動作状況をリアルタイムに監視することができる。
【0090】
従来は、加湿器116における蒸留水の残量については従来は患者らが視覚的に蒸留水の残量を把握して補給を行っていたが、患者の中には目の不自由な方もおり、また、透明の容器において無色透明の蒸留水の残量を把握するのは、患者等にとっては容易とは言えなかった。これに対して、本発明では、蒸留水の残量が少なくなり補給が必要となれば警報部206のランプにより視覚的に通知するだけでなく、音声により蒸留水の補給が必要な旨を通知することができるので、視覚、聴覚の障害を有する患者であっても簡単かつ確実に補給のタイミングを把握することができる。
【0091】
また、本発明では、閉塞検知装置を設けることなく流量検知と圧力検知を組み合わせることによって、チューブの詰まりや加湿器の外れている状態を区別して検知することが可能となるので、装置における細かいエラー状況を認識して患者に通知することが可能となる。よって、患者らは、自らエラーの種別を判断する必要が無くなり、より迅速にエラー状況を改善することが可能となる。
【0092】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、患者にカニューラの閉塞、キンクなどの異常を閉塞検知装置を使用することなく検出できると共に、加湿器の装着異常を検知して、患者に警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に対応した酸素濃縮装置の構成の一例を示す図である。
【図2a】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を正面から捉えた図である。
【図2b】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を上から捉えた図である。
【図2c】本発明に対応した酸素濃縮装置の使用を説明する図である。
【図2d】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を背面から捉えた図である。
【図3】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるフローモニタ201の表示形態の一例を示す図である。
【図4】本発明に対応した酸素濃縮装置における流量設定ダイヤル115及び流量表示部207の外観を示す図である。
【図5】本発明に対応した酸素濃縮装置における防塵フィルター101の交換を説明するための図である。
【図6】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるメンテナンスカバー210の構成を説明するための図である。
【図7a】本発明に対応した酸素濃縮装置における装置内部のメンテナンスを説明するための図である。
【図7b】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるメンテナンス部の概略構成を示すブロック図である。
【図8a】本発明に対応した湿度センサ118の構成の一例を示す図である。
【図8b】本発明に対応した流速センサ119の構成の一例を示す図である。
【図8c】本発明に対応した流速センサ119の構成の一例を示す図である。
【図9a】本発明に対応した、酸素の流量値と湿度との関係を示すグラフである。
【図9b】本発明に対応した、酸素の湿度に対応した流量値の補正量を示すグラフである。
【図10】本発明に対応した警報制御処理の一例に対応するフローチャートである。
【図11】本発明に対応したチューブ等における詰まりを警報する場合の流量レベルと圧力値の関係を示すグラフである。
【図12】本発明に対応した加湿器の装着異常を警報する場合の流量レベルと圧力値の関係を示すグラフである。
【図13】本発明に対応した流量レベル及び圧力値の状態と、装置の状態の対応を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素供給源からの酸素を加湿器により所定湿度に加湿するとともに、加湿された酸素(加湿酸素)の所定量を慢性の呼吸不全患者などの患者に吸入させるべく供給することができる医療用酸素濃縮装置及びその制御方法に関し、より詳細には当該酸素濃縮装置において酸素流量、酸素湿度及び酸素圧力を検知すると共に、当該検知された情報に基づいて装置の動作状態を判定し、異常状態と判定された場合に警告を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の酸素濃縮装置は、空気より窒素を優先的に吸着しうるゼオライトを吸着剤として用いた吸着法が広く使われている。この種の酸素濃縮装置は、空気取入口から取り込んだ空気を防塵フィルター(空気取入口フィルター)、吸気フィルターでゴミ等が除去された後、吸気用消音器を経て、コンプレッサーで圧縮し、熱交換器等で冷却し、配管流路を切替える切換弁を介して、吸着剤が充填された吸着筒に送り込まれる。吸着塔内ではガス分離が行われ生成された濃縮ガスは一時的に製品タンクに送り込まれ、減圧弁等を含む圧力調整器や流量設定器にて圧力、流量がコントロールされ加湿器により加湿され、可撓性チューブ、カニューラ等の導管を介して患者に供給されるように構成されている。
【0003】
この酸素濃縮装置において、加湿器の上流側(即ち、加湿器の入力側)や、下流側(即ち加湿器の出力側)に流量センサによる流量検出器を設けて加湿酸素流量の正常、異常の監視を行うことができる濃縮酸素濃縮装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2857044号
【0005】
【特許文献2】
特開2000−262619号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加湿器の上流側に流量センサを設置した場合には、加湿器で加湿された酸素がカニューラを介して患者に供給されるまでに経由するチューブにおいて詰まりなどが生じた場合や加湿器の取り付けの不具合によって漏れが生じた場合にこれを正確に検知することができないという問題がある。
【0007】
この問題を解消するために、加湿器の下流側に流量センサを設置しこれにより流量を検知する場合であっても、流量センサのみを用いた酸素流量測定においては、雰囲気湿度により測定誤差を生じ正確な測定ができないために、患者に対して誤った動作状況を通知することになるだけでなく、やはり、加湿器で加湿された酸素がカニューラを介して患者に供給されるまでに経由するチューブにおいて詰まりなどが生じた場合にこれを正確に検知することができないという問題を解決できない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決して加湿器の下流側において流量検出を行うことにより、患者に対して正確な装置の動作状況の通知を可能とすると共に、装置の動作時に発生する不具合を的確に検知することを可能とすることを目的とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明は、酸素供給源からの酸素を使用に供するために前記酸素を供給する流量を所定レベルに設定するための流量設定手段と、前記酸素に湿気を与えるための加湿手段とを経由させて酸素供給管を介して酸素吸入手段により加湿酸素を供給する酸素濃縮装置であって、前記加湿手段と加湿酸素の供給手段との間に配置され、前記加湿酸素の流速を検知するための流速検知手段と、前記加湿酸素の湿度を検知するための湿度検知手段とを含む流量検知手段と、前記流量設定手段と前記加湿手段との間に配置され、前記加湿手段に供給される前記加湿酸素の圧力を検知するための圧力検知手段と、前記流量検知手段により検知された流量と、前記流量設定手段により設定された流量とを比較して、前記加湿酸素の流量レベルを検知するための流量レベル検知手段と、前記検知された流量レベルが所定のレベルを下回る期間を計時するための計時手段と、前記計時手段において計時された期間が所定の期間を越える場合に、前記圧力検知手段により検知される圧力に応じて、前記酸素濃縮装置の動作状態を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明における前記報知手段は、前記検知手段により検知される圧力が、第1の圧力よりも高い場合に、前記酸素供給管及び酸素吸入手段の少なくともいずれかにおける異常を報知することができ、また、前記検知手段により検知される圧力が、第2の圧力よりも低い場合に、前記加湿手段に関する異常を報知することができる。さらに、前記流量検知手段は、所定の周期において前記流量を検知することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に対応した酸素濃縮装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、装置内に取り込まれる空気は、防塵フィルタ101と吸気フィルタ102とによりゴミが除去され、消音器103を介してコンプレッサー105で圧縮された後、熱交換器106等で冷却される。
【0013】
冷却された空気は配管流路を切替える切換弁107を介して、吸着剤が充填された吸着筒108に送り込まれる。吸着筒108内ではガス分離が行われ、生成された濃縮ガスは一時的に製品タンク111に送り込まれた後、さらに圧力調整器112と流量調節器115とを介して圧力と流量とがコントロールされ(このとき、酸素濃度は酸素濃度センサ114によって検知される。)、加湿器116を介して適度に加湿される。加湿器116と流量調節器115との間には、圧力センサ117が設置され、加湿器へ送られる酸素の圧力を検知する。また、加湿された酸素は、湿度センサ118及び流速センサ119によって流速が検知され、可撓性チューブ120を経由してカニューラ121等の導管を介して患者に供給されるように構成されている。
【0014】
また、この種の酸素濃縮装置は小型の場合、吸着筒108が1本又は2本で構成され、切換弁107により切替えられて吸脱着が行われている。例えば、吸着筒108が2本で構成されている場合、一方が吸着工程中においては濃縮されたガスの一部は、製品ガスとして使用し、他のガスはもう一方の吸着筒108に回され、吸着筒108内のゼオライトの再生及び再加圧用ガスとして使用される。
【0015】
吸着工程中の吸着筒108内の吸着破過が起こる前に切換弁107により他方に切替え同様のサイクルを繰り返し連続的に濃縮ガスを生成、供給するように構成されている。
【0016】
次に、図1の酸素濃縮装置は図2aに示すような外観を有する装置として実現することができる。この図2aは、酸素濃縮装置本体を正面からみた外観図である。ここで、200は、酸素濃縮装置本体(以下、本体200と称する。)を表す。本体200は、主として筐体部214aと筐体上部のカバー部214bとから構成される。201は、本体200の動作状況を表すフローモニタであり、その表示態様は後述する。115は、酸素流量を設定するための流量設定ダイヤルである。流量設定ダイヤル115は、カバー214bに構成された凹部202の奥側に設けられており、後述するカバー401によって、隠蔽可能に構成されている。
【0017】
203aは、本体200の運転・停止を切替えるための電源スイッチである。電源スイッチ203aは、カバー214bに構成された凹部203bの奥側に設けられており、カバーの表面に対して突出しないように設置されているので、誤って患者等の体が触れた場合であっても、電源スイッチ203aが押下されにくくなっている。116は、加湿器であり、116aは加湿器のキャップ部である。205は、鼻カニューラ121や延長チューブ120を接続するための酸素出力口である。
【0018】
206は、停電や装置内部の異常を知らせるための警報部である。この警報部206には、点検ランプ、ブザー及びメッセージを音声出力するためのスピーカーが内蔵されている。207aは、流量設定ダイヤル115で設定された流量を表示するための流量表示部である。この流量表示部207aは、図示のように本体200を正面から見た場合に加湿器116の右隣りに形成された凹部207bの奥側に設けられる。流量表示部207aはセグメントLEDにより構成されており、輝度を設置場所の明るさ(照度)に応じて制御可能に構成されている。
【0019】
208は、表示切替スイッチであり、流量表示部207aに表示される内容を切替えるためのスイッチであり、このスイッチ207を押すと表示部には、例えば5秒間だけ使用時間が表示される。
【0020】
212は、キャスターであり、本体200底面の四隅に固定されている。このキャスター212を使用して床面上を移動したり、本体200を設置するための搬送時において、作業者がこれらの取っ手213を把持することで本体200の移動またはリフト作業を行なえるようになっている。このために、各取っ手200の強度は、本体200を持ち上げる力に十分に耐える強度を有している。
【0021】
214aは、金属製または木製の筐体部である。筐体部214aは、上下方向に長い直方体の形状を成し、底部には、移動を容易にするためにキャスター212が設けられている。筐体部214a内には、図1に示すコンプレッサー105、熱交換器106、切換弁107、吸着筒108、製品タンク111等が収納されている。
【0022】
214bは、筐体部214aの上部を覆うカバーであって、219は床面から前面を覆うようにした平面状の前面化粧パネルである。この化粧パネル219は前面だけでなく、本体の全体に対して適用することもできる。
【0023】
カバー214bをベージュ乃至クリーム系の色とする一方で、前面化粧パネル219の色をブルー系とすることで、所謂ツートンカラーの近代的なデザインとしている。また、これらの色彩にバリエーションを持たせることにより、本体200が設置される環境に違和感無くとけ込ませることができる。
【0024】
図2bは、本体200を真上から見た外観図である。ここで、209は、空気取り入れ口であり、カバー210と防塵フィルター101がセットされている。211はメンテナンスカバーであり、吸気フィルター102の交換やメンテナンス情報を取得するためにメンテナンス作業者によって開閉される。
【0025】
図2cは、本発明の酸素濃縮装置200を患者(或いはユーザー)Pとともにほぼ同じ縮尺率で示した外観斜視図である。本図から分かるように、この本体200は、患者Pが特に上半身をかがめなくても所望のメンテナンスが可能な大きさと、メンテナンス部の配置が為されている。また、本体200は、設置範囲をできるだけ小さくするために上下方向に長いほぼ直方体(幅350mm×奥行き355mm×高さ675mm)の形状を有している。
【0026】
図2cにおいてカバー214bは、天井面から前面化粧パネルにかけて曲面を形成しており、図示のように標準身長の患者Pが起立状態で両手を下げた腰部分に略該当する高さHの付近に、加湿器116を設けるための凹部215を略中央においてさらに連続形成している。このように中央に凹部215を形成することで、頻繁に行われる加湿器116の水補給作業を行なうときに、患者Pは立ったままの姿勢で行なうことができるので、従来の装置のようにいちいち座ったり、屈んだりする必要がなくなる。このため、患者の腹部への負担は大きく軽減される。さらに、凹部215は左右対称の構造を有しているので利き腕がどちらであるかに関係なく、不自由なく加湿器116を着脱することができる。
【0027】
また、図2dに示すように本体200の背面には。ブレーカースイッチ216が設けられており、万が一の過剰電流発生時における対処を可能にしている。また、ブレーカースイッチ216を本体200の背面に設置することにより、みだりにスイッチがいじられないようにして、電気的なトラブルを防止している。217は電源コードであり、商用電源コンセントに接続することで電源供給を可能な状態にする。218は本体200の下方に設けられた排気口であり、この排気口218を介して排気が行われる。
【0028】
このように、本体200のカバー214bの前面側の曲面のほぼ中心部分に加湿器116を着脱自在に設け、電源スイッチ203aと、酸素出口管205aとをカバー214bに形成された凹部203b、205bで取り囲むようにして加湿器116の左側に配置し、また流量表示部207aも凹部207bの奥になるようにして加湿器116の右側に設けることで、各部材が本体200の上面中央に集中して配置されることになり、操作性が向上される。また、例えば患者Pがつまづきカバー214bに対して激しくぶつかった場合でも樹脂製である衝撃吸収機能を備えたカバー214bの前面側の曲面表面で適度に衝撃吸収して怪我などをしないように安全上の配慮がされている。
【0029】
次に、本体200の各構成要素について以下に詳細な説明を行う。
【0030】
まず、図3は、フローモニタ201及び警報部206の表示形態を示す図である。フローモニタ201は、5つの緑・赤のLEDにより構成され、(a)は、本体200が正常に動作している場合の表示形態であり、5つの緑色LEDが点灯している。フローモニタ201の表示は、流速センサ119により検知される流速に基づいて求められる流量について、流量設定ダイヤル115で設定された流量の80%以上の流量が確保されている場合には5つが点灯するが、70%、60%、50%、40%と流量の低下に応じて点灯するLEDの数が減少し、例えば60%以上70%未満の流量が確保されている場合には(b)で示すように3つが点灯する。
【0031】
しかしながら、流量が低下し60%未満となった場合には(c)に示すように、点灯LEDの数が減少するだけでなく、点灯するLEDが緑から赤に切り替わる。赤のLEDを点灯させる際は、間欠的に点灯(即ち点滅)させてもよい。また、流量が低下した場合にはブザー音が「ピーピーピー」となり、患者に注意を促がす。
【0032】
このような流量の低下の原因としては、例えば、ダイヤルが目盛りの中間に位置しているなどの流量設定ダイヤル115による流量設定が完全でない場合や、加湿器が完全に装着されていない場合や、加湿器116のキャップ部116aがゆるんでいる場合、さらには延長チューブにおける詰まりやつぶれなどがある。
【0033】
流量の減少に基づく警報部206による警報の態様については、後段でより詳細に説明する。
【0034】
また、装置そのものに異常が発生した場合には、(f)に示す警報部206の点検ランプが点灯し、ブザー音と共に、業者への連絡を促すメッセージが音声出力される。この場合は、電源スイッチ203を押して装置の動作を停止すると共に、直ちにメンテナンス業者へ連絡する必要がある。
【0035】
さらに、電源に異常がある場合には、「ピー」というブザー音と共に、「コンセントとブレーカーを確認してください」との音声が出力される。このとき点検ランプは赤色に点滅する。このような電源の異常は、停電が発生した場合や、電源コード217の差し忘れ、もしくはコンセントとの接続が不完全な場合、もしくはブレーカーが作動した場合などが原因である。
【0036】
図4は、流量設定ダイヤル115及び流量表示部207aの外観を示す図である。(a)は、流量設定ダイヤル115に保護カバー401が取り付けられた状態を示している。この保護カバーにより、誤って流量設定ダイヤル115に触れてしまい流量が変更されることを防止する。また、(b)に示すように保護カバー401はつまみ402に指をかけて外して、流量設定ダイヤル115により流量を設定することができる。
【0037】
流量設定ダイヤル115により設定された流量は、流量表示部207aにデジタル表示され、容易に設定レベルを把握することができる。設定可能な流量は、例えば、0.25、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、1.75、2.00、2.50、3.00(L/分)である。また、表示切り替えボタン208を押せば、流量表示部207aの表示内容を流量から使用時間に一時的に切替えることができる。
【0038】
このように、設定流量ダイヤル115には保護カバーが設けられ、設定後のトラブルを防止できる。これにより、不用意に部品に接することが無くなるため、誤って流量が変更される危険性が少なくなる。また、ほぼ処方流量が固定であり設定流量を変更することのない患者に対しても、保護カバーを設けることで運転毎に確認する必要が無くなるので、監視負担を軽減することができる。
【0039】
次に、図5を参照して防塵フィルター101の交換について説明する。図5(a)は、カバー210が空気取り入れ口209に装着された状態を示している。このカバー210は凹部501に指かけて外すことができる。カバー210を外すと、(b)に示すようにカバー210と防塵フィルター101とを分離でき、水洗により洗浄するか、新品に交換することでカバー210にセットする。
【0040】
また、空気取り入れ口209は、(c)に示すように上部カバー214b本体頭部に位置しているので、患者が防塵フィルター101を交換する際に従来のようにかがむ必要がなくなり、防塵フィルター101の掃除が楽になる。また、(c)に示すように本体200を壁に沿って設置した場合でも壁による吸気への影響がなく、さらには、従来のように空気取り入れ口を装置下部に配置した場合のように、設置床面の埃の影響を受けることが少なくなる。さらに、空気取り入れ口209が位置する面502は壁に対して平行ではなく、本体200の後方斜め上向きに位置している(例えば、仰角を45°と設定することができる。)ので、空気の取り入れの際に発生する動作音が、壁503に反射して患者に不快感を与えることがなくなる。
【0041】
次に、図6を参照してメンテナンスカバー211の着脱について説明する。(a)は、メンテナンスカバー210が装着された状態を示している。このときの点線601における断面は、(c)に示すようになる。このように、メンテナンスカバー210の装着時は、係合部603が本体200とかみ合っている。例えば、(d)に示すように係合部603を患者などが指で押してメンテナンスカバー210の装着状態を解除しようとしても、係合部603には指への引っかかり部分がないために、カバー210自体を上に持ち上げることができず、装着状態を解除できなくなっている。
【0042】
しかし、プラスティック(或いはビニール又はゴム)製の吸盤602を利用することにより、簡単に装着状態を解除することができる。従って、装置内部のメンテナンスを設置業者が行う場合には、この吸盤602を利用してメンテナンスカバー210の取り外してメンテナンスを行うようにし、それ以外の場合はメンテナンスカバー210を装着して患者らによって不用意に装置内部がいじられないようにしている。
【0043】
そもそも本願発明のような酸素濃縮装置は、患者が1日24時間毎日使用するものであり、装置の動作が正常かどうかは患者の健康状態に著しい影響を与えるので、患者や補助者は装置の動作状態を常に用心深く監視する必要がある。即ち、患者やその補助者には相当の監視負担が課せられている。
【0044】
これに対して本願発明では、メンテナンスに必要となる要素が装置中心の上部に直線的に設置されているので患者のメンテナンス部分が明確化されるとともに、使用頻度の少ないものは保護カバーなどで隠され、患者に重要な部分を更に明確にすることを可能としている。これにより患者は操作又は装置の監視する際にも、装置のあちこちを見る必要性がなく、装置の中心上部の必要な箇所だけを監視すれば良い。また、加湿器への精製水やフィルターの清掃などの作業に際しても無理な姿勢を取る必要がないので、患者の負担を軽減することができる。これにより患者等に課せられる監視負担は、身体的、精神的に軽減される。
【0045】
次に、図7a及び図7bを参照して、装置内部のメンテナンスを行う場合について説明する。図7aは、内部メンテナンス部700のメンテナンスカバー210を取り外した状態を示している。また、図7bはメンテナンス部の構成を簡略して示すブロック図である。
【0046】
図7aにおいて、701及び702は、装置本体の動作状態を表示するためのLED表示部である。703は、LED表示部701に表示する項目を選択するためのロータリースイッチである。704は、リセットスイッチであり、装置の使用時間をリセットするために利用する。
【0047】
図7bにおいて、705はCPUであり、表示部701、703の表示内容を制御し、ロータリースイッチ702の切替及びリセットスイッチの押下を検知するとともに、各センサー類707からの出力を検知してメモリー706に書き込む。さらに、CPU705は、センサー類707からの出力に基づいて、フローモニタ201や警報部206の動作を含めてメモリー706に格納されたプログラムにより装置全体を制御する。また、706はメモリーであり、センサー類707から出力されるデータや、CPUのOSプログラムなど、装置の制御に必要なデータを格納している。707は、本体200内に実装されているセンサーであり、例えば、酸素濃度センサ114、圧力センサ117、湿度センサ118、流速センサ119等が含まれる。
【0048】
本実施形態ではロータリースイッチ703により0番から5番までの6種類の項目の切替が可能であり、選択された項目はLED表示部702に番号表示される。本実施形態では、0番を製品タンク内圧力(MPa)、1番を酸素濃度(%)、2番を酸素流量(L/分)、3番を吸着時間(秒)、4番を積算時間(h)、5番を電源電圧(v)としている。よって、図7は、ロータリースイッチが1番にセットされ、その値として95.1%が表示されている様子を示している。また、4番の積算時間は、設置業者によるメンテナンスが行われる際は約4000時間(1日24時間で半年間使用の場合)を表示しており、メンテナンスが終了する際にリセットスイッチ704によりリセットを行う。
【0049】
このように酸素濃縮装置には安全性を考慮し様々なセンサー類が搭載されていたが、従来は、センサーからの出力結果を患者に対しては装置の正常/異常を通知するために利用しているだけであり、メンテナンス時は計測器などを用いていた。しかし、本実施形態では、センサー類707からの出力を表示部701に表示させて、メンテナンス時に確認することができるので、緊急時や簡易測定器などが使用できなくなった場合などに、応急的に装置の性能判断が行えるだけでなく、設置業者が測定器を患者宅に持ち込まなくても、メンテナンスが可能となる。また、メンテナンスの際には、内部メンテナンス部700を確認すれば、必要な情報を取得できるので、メンテナンス効率が大幅に改善される。
【0050】
また、メンテナンス部700は、図2bから分かるように装置の上部に位置しており、メンテナンスカバー210は、上方に開閉が可能となっているので、装置内部のメンテナンスを行うために逐一装置を設置場所から移動して、壁との距離を取る必要もなく、設置場所においてメンテナンスが可能となる。また、移動の自由が少ない場所に設置されている場合などは、不必要な装置の移動を排除することができる。従って、メンテナンスにおける作業効率を著しく改善することが可能である。
【0051】
さらに、従来は空気取り入れ口が装置下部に設置された関係で吸気フィルターを交換するために本体を設置場所から移動して筐体のビスなどを外していたが、本実施形態では、図7に示すように吸気フィルター102は内部メンテナンス部700に設置されており、設置業者が装置内部のメンテナンスを行う際に、併せて吸気フィルター102を交換できるので、メンテナンス効率が著しく向上する。
【0052】
一般に、設置業者によるメンテナンス時間は、検査内容が同一であるならば短ければ短いほど良い。本発明はメンテナンス作業を集中的に行うことが可能となるだけでなく、装置の移動や、メンテナンス箇所を検査するためのカバーの取り外し等の、メンテナンスに必要となる補助的作業を最小限として作業時間を大幅に短縮することができる。よって、上記の要求を充分に満足することができるので、ユーザーである患者や補助者に対する充分なサポートが可能となる。
【0053】
図8及び図9を参照して、本発明における酸素流量の検知処理について説明する。図8aは、本発明における湿度センサ118の概略構成を示す図であり、図8b及びcは、流速センサ119の概略構成を示す図である。
【0054】
まず、図8aにおいて、湿度センサは、電源801、サーミスタ802、803、可変抵抗R1、差動増幅器805、増幅器806で構成される。湿度センサ118は、サーミスタ802と803を利用して、湿気と乾気との熱伝導率の差を利用して湿度を測定する。サーミスタ802及び803は、特性のそろった抵抗素子をガラスコートすることによって構成される。また、サーミスタ802は、孔のあいた金属ケースに装填された湿度検出のための湿度検出素子であり、サーミスタ803は、乾燥空気を封入し密閉された金属ケースに装填された温度補償のための温度補償素子である。図8aのように、サーミスタ802及び803は直列接続されブリッジ回路が構成される。
【0055】
差動増幅回路805へは、804における電位V1と可変抵抗R1によって決定される電圧値V2とが入力される。湿度の計測以前では、予めサーミスタ802及び803は自己加熱されて200℃前後に調整されており、また、サーミスタ803にかかる電圧V1とR1の抵抗値によりブリッジのゼロバランス(V1=V2)が取られており、差動アンプの出力は0となっている。
【0056】
計測を開始すると、サーミスタ802には湿った酸素が流入してくるので、サーミスタ803と比べて熱発散に相違があるために、ブリッジのバランスが崩れ出力電圧が発生する。この出力電圧は増幅器806において増幅されて湿度を表す出力電圧値が得られる(807)。
【0057】
検知湿度に対応する出力値は、CPUへ送信され、出力電圧(V)と湿度(%)との対応を登録するテーブルに基づいて湿度が決定される。
【0058】
次に、図8b、cに基づいて流速センサの構成を説明する。流速センサ119は、電源810、サーミスタ811、812、可変抵抗R2、R3、差動増幅器813、補正回路814、増幅器815によって構成される。
【0059】
まず、サーミスタ811、812は図8cに示すように、加湿器116を介して加湿された酸素を鼻カニューラ121へ送り出すためのチューブにおいて、811が鼻カニューラ121側(下流)、812が湿度センサ118側(上流)に位置するようにチューブ内に設置されており、加湿済みの酸素はチューブ内を矢印818に示す方向に流れる。
【0060】
本発明の流量検知処理においては、上流側に位置するサーミスタ812においてサーミスタを所定の温度に加熱しておき、その熱によってチューブ内の酸素を加熱する。加熱された酸素は、カニューラ121へ向けて下流方向へ流れていく。このとき下流側に位置するサーミスタ811は、チューブ内の酸素の温度を検知する。
【0061】
流速が速い(流量が多い)場合には、サーミスタ812による加熱の影響は少なくなるのでチューブ内の酸素温度は上昇しない。従って、サーミスタ811によって検知される温度は低くなる。この場合、サーミスタ811における電気抵抗は高くなるのでV3は小さくなる。従って、サーミスタ812に基づく出力電圧V4とサーミスタ811に基づく出力電圧値V3の差は大きくなる。
【0062】
一方、流速が遅い場合、即ち流量が少ない場合には、チューブ内の酸素がサーミスタ812による加熱の影響を受けて温度が上昇するために、サーミスタ811によって検知される温度は高くなる。従って、サーミスタ811における電気抵抗は低くなり、結果として出力電圧V3は大きくなるので、V3とV4の差が小さくなる。
【0063】
このように、得られた出力電圧値V3及びV4を差動増幅器813に入力して、その差分に応じた出力を得る。差動増幅器813から得られた出力は増幅器814により増幅された後、CPU705へ出力される。
【0064】
CPU705では、得られた出力に基づいて流量を決定する。しかし、上述のように、サーミスタは湿度に応じて熱発散が異なるため正確な流量値を得るためには、チューブ内を流れる気体の湿度に基づいて補償しなければならない。
【0065】
図9aは、流量設定ダイヤル115によりチューブを流れる酸素の流速を所定のレベルに設定し、酸素の湿度を変化させてチューブ内を流した場合に検知される流速値を示したグラフである。このように、湿度が上昇するに従って、検知される流速値は流量設定ダイヤル115により設定される値よりも大きくなってしまうことが分かる。
【0066】
本発明の酸素濃縮装置は加湿器により適度に湿気を与えて酸素を患者に供給することが求められているために、湿度による流速値のずれを補償して正確な流量を検知する必要がある。
【0067】
そこで、図9bに示すように、検出された湿度に応じて流量値を補正する。例えば、分速3リットルにおいては、湿度50%で1.02とする。
【0068】
次に、圧力センサ117、湿度センサ118及び流速センサ119による検知結果に基づいて、患者に対する警報を制御する処理について説明する。図10は、警報制御処理の一例に対応するフローチャートである。図10に対応する処理のプログラムはメモリー706に格納され、CPU705において実行される。
【0069】
まず、ステップS1001において流量値Fvを検知する。この流量値は、流速センサ119により得られる出力と、湿度センサ118により得られる出力から得られた湿度Mに基づいて決定される。次に、ステップS1002において、流量設定ダイヤル115によって設定されている流量設定値Fdを検知する。
【0070】
次に、ステップS1003では、Fv/Fd×100の演算に基づいて流量レベルFL(%)を求めて、ある時点における流量レベルFLと閾値Th1との比較を行う。この閾値Th1は、例えば50(%)と設定することができる。この比較の結果、FL>Th1が成立する場合には、ステップS1004へ移行して後述するタイマーをリセットし、さらにステップS1005において再度湿度Mを読出してきて、湿度Mについて湿度判定のための閾値Th2との比較を行う(S1006)。この閾値Th2は、例えば30%と設定することができる。この結果、M<Th2が成立する場合には、加湿器116内の蒸留水が不足していると判定され、ステップS1007において警報部206により、蒸留水の補給メッセージを出力すると共に、点検ランプを点灯させ、かつ、ブザー音を鳴らす。一方、M<Th2が成立しない場合には、ステップS1001へ移行して処理を繰り返す。
【0071】
説明をステップS1003に戻してFL>Th1が成立しない場合とは、流量が設定レベルに対して一定以上に低くなっている場合であるから、何らかの異常が発生している可能性が高いことが分かる。
【0072】
そこで、ステップS1008では、まずタイマーが既に始動されているかどうかを判定し、始動されていない場合はステップS1009においてタイマーを始動する。このタイマーは、流量レベルの異常状態が継続する時間を計時するための計時手段であって、タイマーのカウント値をTとする。ステップS1010では、カウント値Tが所定の時間閾値Tthに達したかどうかを監視する。もし、カウント値が時間閾値Tthに達していない場合には、ステップS1001へ戻って、ステップS1001からステップS1003までの流量レベル判定を繰り返す。
【0073】
従って、タイマー値がTthに一致する以前に、流量レベルが回復した場合には、ステップS1003で「YES」と判定され、ステップS1004においてタイマーがリセットされるので、ステップS1011以降の圧力検知処理を行うことはない。一方、流量レベルが閉塞検知閾値Th1より高いレベルに回復する以前にカウント値Tが閾値Tthを越えた場合には、ステップS1011へ移行する。ここで、閾値Tthは、所定時分、例えば5分と設定することができるが、設定内容は5分に限定されることはない。
【0074】
このように、ステップS1001からステップS1003及びステップS1008からステップS1010までの処理を実行することにより、ステップS1001における流量値検知処理が所定の期間(サンプリング周期)毎に実行され、装置の異常をリアルタイムに検出することが可能となる。この所定の期間とは、例えば1ミリ秒或いは1秒と設定される。
【0075】
ステップS1011では、圧力センサ117からの出力値Pvを検知し、続くステップS1011において圧力値Pvを閾値Th3と比較して所定のレベルにあるかどうかを判定する。このTh3は、例えば15KPaと設定することができる。このようにチューブの閉塞状態を検知するための閾値を閉塞検知閾値と呼ぶ。正常時には、圧力値Pvは0KPaに近い値を取っており、Pv>Th3が成立する場合には、圧力が一定以上に高くなっていることが分かり、チューブ内で詰まりが発生しているか、又は、チューブが折り曲げられたかつぶれたかにより、酸素の送り出しが妨げられている可能性が高い。
【0076】
そこで、ステップS1013では、チューブの詰まりを患者に通知するために、警報部206によりブザー音を鳴らし、点検ランプを点灯させ、チューブの詰まりが発生している旨を患者に対して報知する。
【0077】
もし、ステップS1012においてPv>Th3が成立しない場合には、ステップS1014へ進み、さらに閾値Th4との比較を行い、圧力が一定レベルよりも低下しているかどうかを判定する。この閾値Th4は、例えば閉塞検知閾値と同じく15KPaと設定しても良いし、より低い値に設定しても良い。ステップS1014においてPv<Th4が成立すると判定された場合、延長チューブ120に送られる酸素量の流量が低下し、かつ、圧力が低下していることから、加湿器116が装着されていない状況が発生していると考えられる。そこでステップS1015では、加湿器116が正しく装着されていない旨を患者に通知するために、警報部206によりブザー音を鳴らすと共に、点検ランプを点灯させ、加湿器116の装着を促すメッセージを通知する。
【0078】
以上のステップS1007、ステップS1013、ステップS1015における警報は、ステップS1001からの処理を繰り返すことにより、当該警報の原因となった装置の異常が改善されるまで継続される。
【0079】
上述の警報制御処理を、図11及び図12のグラフを参照して更に説明する。
【0080】
まず、図11は、可撓性チューブやカニューラにおける詰まりを警報する場合の流量レベルと圧力値の対応関係を示すグラフである。図11において、(a)は、チューブ等に詰まりが発生していると考えられる場合の流量レベルの推移を表すグラフであり、縦軸が流量レベル(%)を表し、横軸が時間(分)を表している。(a)では、0分からt1分までは流量レベルがほぼ100%を保ち、流量設定ダイヤル115により設定された流量が維持されている。しかし、t1分後以降では、流量レベルが下降を始め、t2分後には閉塞検知閾値Th1と一致するレベルまで流量レベルが下がっている。
【0081】
流量レベルが閉塞検知閾値Th1と一致すると、タイマーによるカウントが開始される。t3は、t2におけるカウント開始後、時間閾値Tthが経過したときの時間であり、t3−t2=Tthとなる。t2で流量レベルが閉塞検知閾値と一致した後、t3までの期間において流量レベルが閉塞検知閾値を下回るレベルで推移している場合には、t3分後(即ち、t2から時間閾値Tth経過後)において圧力センサ117による圧力検知を行う。
【0082】
また、もしt2分後、t3分以前に図11(a)において一点鎖線で示すように、流量レベルが回復した場合には、異常状態を脱したこととなる。よって、このような流量レベルの変化があった場合には、タイマーがリセットされて再び流量レベルが閉塞検知閾値Th1を下回るレベルになるかどうかが監視される。
【0083】
図11(b)は流量レベルに対応する圧力値の推移を示すグラフであり、このグラフから分かるように、流量レベルが減少し始めるのに対応して、圧力センサ117による圧力値が上昇する。(b)では、t2’後に閾値Th3と一致するレベルまで上昇し、流量レベルが低レベルにおいて落ち着くのに対応して、所定の高レベルにおいて安定する。従って、t3分後における圧力値が検知されると、当該圧力値は、閾値Th3を下回っているので、流量レベル及び圧力値において異常が発生しており、可撓性チューブやカニューラにおける詰まりが発生していると判定される。
【0084】
次に、図12は、加湿器116が正しく装着されていないことを警報する場合の流量レベルと圧力値の対応関係を示すグラフである。図12(a)は、図11(a)と同様である。
【0085】
図12(b)は流量レベルに対応する圧力値の推移を示すグラフであり、加湿器116が正しく装着されていない場合には、流量レベルが減少しても圧力センサ117による圧力値が際だって上昇することはない。従って、t3分後における圧力値が検知されても、当該圧力値は閾値Th4を下回り、圧力値における異常は発生しておらず、異常は流量レベルのみに発生していることとなるので、加湿器116が正しく装着されていないと判定される。
【0086】
以上に説明した流量レベルと圧力値の状態に対応する表示・アラームの態様を示すと図13のようになる。
【0087】
即ち、圧力値及び流量レベルが正常時には装置は正常状態にあり、警報部206のランプが点灯又は点滅したり、アラームが報知されることはない。圧力値が正常であっても、流量レベルに異常が検知される場合には、ランプが点灯又は点滅して加湿器116が正しく装着されていないとの警報が警報部206より報知(表示)される。これと合わせて、その旨の音声ガイドを行ってもよい。流量レベルに加えて、圧力値の異常まで検知される場合には、ランプが点灯又は点滅して可撓性チューブやカニューラにおける詰まりが発生していることが警報部206から報知(表示)される。これと合わせて、その旨の音声ガイドを行ってもよい。
【0088】
このように、本発明によれば、圧力センサ117、湿度センサ118、流速センサ119による検知結果に基づいて、酸素濃縮装置におけるエラー状況を患者に通知することが可能となる。
【0089】
また、流量レベルは一定の周期において検知されるので、酸素濃縮装置の動作状況をリアルタイムに監視することができる。
【0090】
従来は、加湿器116における蒸留水の残量については従来は患者らが視覚的に蒸留水の残量を把握して補給を行っていたが、患者の中には目の不自由な方もおり、また、透明の容器において無色透明の蒸留水の残量を把握するのは、患者等にとっては容易とは言えなかった。これに対して、本発明では、蒸留水の残量が少なくなり補給が必要となれば警報部206のランプにより視覚的に通知するだけでなく、音声により蒸留水の補給が必要な旨を通知することができるので、視覚、聴覚の障害を有する患者であっても簡単かつ確実に補給のタイミングを把握することができる。
【0091】
また、本発明では、閉塞検知装置を設けることなく流量検知と圧力検知を組み合わせることによって、チューブの詰まりや加湿器の外れている状態を区別して検知することが可能となるので、装置における細かいエラー状況を認識して患者に通知することが可能となる。よって、患者らは、自らエラーの種別を判断する必要が無くなり、より迅速にエラー状況を改善することが可能となる。
【0092】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、患者にカニューラの閉塞、キンクなどの異常を閉塞検知装置を使用することなく検出できると共に、加湿器の装着異常を検知して、患者に警告することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に対応した酸素濃縮装置の構成の一例を示す図である。
【図2a】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を正面から捉えた図である。
【図2b】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を上から捉えた図である。
【図2c】本発明に対応した酸素濃縮装置の使用を説明する図である。
【図2d】本発明に対応した酸素濃縮装置の外観を背面から捉えた図である。
【図3】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるフローモニタ201の表示形態の一例を示す図である。
【図4】本発明に対応した酸素濃縮装置における流量設定ダイヤル115及び流量表示部207の外観を示す図である。
【図5】本発明に対応した酸素濃縮装置における防塵フィルター101の交換を説明するための図である。
【図6】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるメンテナンスカバー210の構成を説明するための図である。
【図7a】本発明に対応した酸素濃縮装置における装置内部のメンテナンスを説明するための図である。
【図7b】本発明に対応した酸素濃縮装置におけるメンテナンス部の概略構成を示すブロック図である。
【図8a】本発明に対応した湿度センサ118の構成の一例を示す図である。
【図8b】本発明に対応した流速センサ119の構成の一例を示す図である。
【図8c】本発明に対応した流速センサ119の構成の一例を示す図である。
【図9a】本発明に対応した、酸素の流量値と湿度との関係を示すグラフである。
【図9b】本発明に対応した、酸素の湿度に対応した流量値の補正量を示すグラフである。
【図10】本発明に対応した警報制御処理の一例に対応するフローチャートである。
【図11】本発明に対応したチューブ等における詰まりを警報する場合の流量レベルと圧力値の関係を示すグラフである。
【図12】本発明に対応した加湿器の装着異常を警報する場合の流量レベルと圧力値の関係を示すグラフである。
【図13】本発明に対応した流量レベル及び圧力値の状態と、装置の状態の対応を示す図である。
Claims (8)
- 酸素供給源からの酸素を使用に供するために前記酸素を供給する流量を所定レベルに設定するための流量設定手段と、前記酸素に湿気を与えるための加湿手段とを経由させて酸素供給管を介して酸素吸入手段により加湿酸素を供給する酸素濃縮装置であって、
前記加湿手段と加湿酸素の供給手段との間に配置され、前記加湿酸素の流速を検知するための流速検知手段と、前記加湿酸素の湿度を検知するための湿度検知手段とを含む流量検知手段と、
前記流量設定手段と前記加湿手段との間に配置され、前記加湿手段に供給される前記加湿酸素の圧力を検知するための圧力検知手段と、
前記流量検知手段により検知された流量と、前記流量設定手段により設定された流量とを比較して、前記加湿酸素の流量レベルを検知するための流量レベル検知手段と、
前記検知された流量レベルが所定のレベルを下回る期間を計時するための計時手段と、
前記計時手段において計時された期間が所定の期間を越える場合に、前記圧力検知手段により検知される圧力に応じて、前記酸素濃縮装置の動作状態を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする酸素濃縮装置。 - 前記報知手段は、前記検知手段により検知される圧力が、第1の圧力よりも高い場合に、前記酸素供給管及び酸素吸入手段の少なくともいずれかにおける異常を報知することを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
- 前記報知手段は、前記検知手段により検知される圧力が、第2の圧力よりも低い場合に、前記加湿手段又は前記流量設定手段に関する異常を報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮装置。
- 前記流量検知手段は、所定の周期において前記流量を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸素濃縮装置。
- 酸素供給源からの酸素を使用に供するために前記酸素を供給する流量を所定レベルに設定するための流量設定手段と、前記酸素に湿気を与えるための加湿手段とを経由させて酸素供給管を介して酸素吸入手段により加湿酸素を供給する酸素濃縮装置であって、前記加湿手段と加湿酸素の供給手段との間に配置され、前記加湿酸素の流速を検知するための流速検知手段と、前記加湿酸素の湿度を検知するための湿度検知手段とを含む流量検知手段と、前記流量設定手段と前記加湿手段との間に配置され、前記加湿手段に供給される前記加湿酸素の圧力を検知するための圧力検知手段とを備える酸素濃縮装置の制御方法であって、
前記流量検知手段により検知された流量と、前記流量設定手段により設定された流量とを比較して、前記加湿酸素の流量レベルを検知するための流量レベル検知工程と、
前記検知された流量レベルが所定のレベルを下回る期間を計時するための計時工程と、
前記計時工程において計時された期間が所定の期間を越える場合に、前記圧力検知手段により検知される圧力に応じて、前記酸素濃縮装置の動作状態を報知する報知工程と
を備えることを特徴とする酸素濃縮装置の制御方法。 - 前記報知工程では、前記検知工程において検知される圧力が、第1の圧力よりも高い場合に、前記酸素供給管及び酸素吸入手段の少なくともいずれかにおける異常を報知することを特徴とする請求項5に記載の酸素濃縮装置の制御方法。
- 前記報知工程では、前記検知工程において検知される圧力が、第2の圧力よりも低い場合に、前記加湿手段に関する異常を報知することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の酸素濃縮装置の制御方法。
- 前記流量検知工程では、所定の周期において前記流量を検知することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の酸素濃縮装置の制御方法。
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-
2003
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