JP2004208599A - 合成樹脂製刈払用コード - Google Patents
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Abstract
【課題】より切削性が優れ、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も従来と同等か、それより向上した合成樹脂製刈払用コードを提供する。
【解決手段】合成樹脂製の刈払用コード1であって、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2及び/又は3の稜線6及び/又は7に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が設けられている合成樹脂製刈払用コード。
【選択図】 図1
【解決手段】合成樹脂製の刈払用コード1であって、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2及び/又は3の稜線6及び/又は7に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が設けられている合成樹脂製刈払用コード。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の刈払用コード、例えば、刈払機の草刈り用の刃として使われる合成樹脂製の刈払用コードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、安全でかつ取扱いが容易ということから、高速回転するナイロンコードなどの合成樹脂製のコードを草刈り用の刃として用いる刈払機が実用に供されている。
【0003】
なお、合成樹脂製刈払用コードは、通常、刈払機の操作杆の先の収納カートリッジ内のリールに巻かれていて、所定長さ分だけ引き出した状態で収納カートリッジごと高速回転させ振り回して草を刈り取るように用いられる。刈払用コードが摩耗したり、断線したりした場合、その都度、所定長さ分だけリールから引き出して使うようにする。
【0004】
このように、合成樹脂製刈払用コードは従来の金属製回転刃の代わりに用いるものであるため、切削性と耐久性の2つ特性を兼ね備えている必要がある。従来、切削性を得るためには、その断面形状を四角形や星形とすることが行われている。(下記特許文献1〜3参照。)
【0005】
【特許文献1】
特許第2579411号公報
【0006】
【特許文献2】
実用新案登録第3054746号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平6−113644号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の刈払用ナイロンコードなどの合成樹脂製刈払用コードの切削性は、十分満足できるものであると言い切れず、更に切削性が改良された場合にはより一層好ましい。
【0009】
本発明は、合成樹脂製の刈払用コードの使用による根本折れや先割れなどの耐久性を低下させることなく切削性が改良された合成樹脂製の刈払用コードを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の合成樹脂製の刈払用コードは、合成樹脂製の刈払用コードであって、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の稜線に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の角度が30度〜90度の範囲であることが好ましい。
【0012】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6であることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmであることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、合成樹脂成分がナイロンであることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、刈払用コードが、セラミックス粉末が分散された合成樹脂からなることが好ましい。
【0016】
次に、本発明の理解を容易にするため、本発明の実施の形態を、図面などを引用しながら説明するが、本発明はこれらの実施の形態にのみに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係る合成樹脂製刈払用コードの一実施の形態の斜視図であり、図2は、図1に示した本発明の一実施の形態の合成樹脂製刈払用コードの長さ方向に対し垂直方向の断面図である。
【0018】
図1において、合成樹脂製刈払用コード1の長さ方向は、矢印20で示された方向である。図1、図2に示されるように、合成樹脂製刈払用コード1長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面4、5の面方向(矢印21で示した方向)に突出している角2及び/又は3の稜線6及び/又は7に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が設けられている。
【0019】
このように、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状にし、扁平面の面方向に突出している角の稜線に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯が設けられていることにより、草刈りや芝生刈りなどに使用した場合に、鋸歯状のギザギザ歯が設けられているので、草等がより一層切断されやすく、また、断面が扁平なので、断面形状が扁平状でない従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べて、ナイフの刃に例えられるようにやや薄目の形状にされていることも作用してより切削性が向上する構造となっている。しかも、扁平六角形状としたので、従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べてやや厚みが薄くなっているが、刈払用コードが草に当たった際の面積が全体として薄めになっているので、従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べて全体として草に当接される部分のの面積が小さく、従って草に当接された際に刈払用コードが受ける衝撃が従来品に比べて比較的小さくなり、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も同等か、それより向上する。
【0020】
尚、特に限定するものではないが、本発明の理解を更に容易にするため、本発明の合成樹脂製の刈払用コードが、どの様な刈払機を用いて使用されるか、簡単に説明しておく。
【0021】
合成樹脂製の刈払用コードを使用するコード式刈払機の構造を簡単に説明すると図3、図4に示すように、刈払機32の操作杆33には、その先端に収納カートリッジ34が設けられており、該収納カートリッジ34内のリール35には本発明に係る合成樹脂製刈払用コード1が巻回されている。そして、合成樹脂製刈払用コード1を所定長さ分だけ収納カートリッジ34の開口36より引き出し、収納カートリッジ34ごと高速回転させれば、草を刈り取ることができる。尚、合成樹脂製刈払用コード1が摩耗したり、断線したりした場合には、その都度、合成樹脂製刈払用コード1を所定長さ分だけリール35から引き出して使用する。尚、図5に収納カートリッジに設けられた開口の形状の一例を説明するために図3のII側から見た収納カートリッジ34の開口部が設けられた部分の部分的側面図を示した。収納カートリッジ34の開口36の形状は、合成樹脂製刈払用コード1の扁平面4、5が上下を向き、鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が左右略水平方向(角2と3を結ぶ直線の方向)に向いた状態で開口36より引き出せるように、例えば図5に示したように、開口36の形状を、上下方向が左右方向より短い扁平形状の開口としておくか、あるいは、前記開口部分に、扁平面4、5が上下を向くように、用いる合成樹脂製刈払用コード1の断面形状に合わせて、取り付け及び取り外し可能な扁平な開口形状を有するガイドを取り付けておく構造(図示せず)としておくと便利である。尚、本発明の合成樹脂製の刈払用コードが使用されるコード式刈払機の構造が、上記のものに限定されるものではない。
【0022】
本発明の刈払用コードにおいて、その長さ方向に沿って、鋸歯状のギザギザ歯は、図1においては刈払用コードの稜線6及び7の両方に沿って鋸歯状のギザギザ歯8及び9が設けられている態様を図示したが、鋸歯状のギザギザ歯は、いずれか一方側に設けたものでもよい。鋸歯状のギザギザ歯が払用コードの稜線の一方側にしか設けられていない場合には、刈払機32のカートリッジ34の回転方向に鋸歯状のギザギザ歯が向くようにセットして使用することが必要になるが、鋸歯状のギザギザ歯が刈払用コードの両方の稜線6及び7に沿って設けられている場合には、鋸歯状のギザギザ歯の向きを注意することなく使用できるので好ましい。
【0023】
本発明の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2、3の角度α、βがそれぞれ30度〜90度の範囲であることが好ましく、より好ましくは40度〜80度の範囲である。あまりにこの角度が大きすぎると、切削性が低下する傾向になり、あまりにこの角度が小さすぎると、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向になるので、上記の範囲は、切削性、耐久性が良好で好ましい。尚、本発明の刈払用コードの断面形状において、上記扁平六角形状断面の角のうち、角2、3以外の角は丸みを帯びていてもよい。
【0024】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6であることが好ましく、0.2〜0.5の範囲がより好ましい。b/aの比率があまりに大きい場合には、切削性が低下する傾向になり、b/aの比率があまりに小さい場合には、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向を示したり、不必要にコードの幅が大きくなりすぎてコストがアップしたり、刈払機のリールに巻き付けられる量が低下したりする傾向にある。
【0025】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmであることが好ましく、1.5mm〜4mmの範囲がより好ましい。厚さbがあまりに厚すぎる場合には、切削性が低下したり、不必要にコードの厚みが大きくなりすぎて回転速度が低下したり、草に当接された際に受ける衝撃が大きくなり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も若干低下する傾向になる。厚さbがあまりに薄すぎる場合には、刈払用コードがねじれ易くなり鋸歯状のギザギザ歯が刈払される草の方向を向かずに、ねじれて少なくとも一部が上又は上斜め方向ないし下又は下斜め方向を向きやすくなり、切削効率が低下する傾向になったり、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向を示したりする。従って、上記の範囲とすることにより、より確実に前記の傾向を防止でき好ましい。
【0026】
またギザギザ歯の大きさについては、刈払機の種類や大きさ、特に刈払したい植物の種類や太さ、などに応じて適宜決定すればよく、例えば底辺(刈払用コード1本体との付け根の部分)の長さは1〜3mmであり、ギザギザ歯の高さ(ギザギザ歯の底辺からギザギザ歯の頂点までの長さ)は0.3mm〜3mmの略3角形状であり、やや頂点が丸みを帯びた略三角形状のギザギザ歯もギザギザ歯の摩耗が少なく好ましい。
【0027】
上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードを構成する合成樹脂成分としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66の共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などのナイロン(ポリアミド)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ弗化ビニリデンなどのポリハロゲン化炭化水素、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル及びこれらを主成分とする共重合体やポリマーブレンドなどの溶融押し出し成形によりガット状のモノフィラメントが形成可能な合成樹脂が好ましく用いられる。このうち、特に耐久性の点からナイロン樹脂が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、あるいは、ナイロン6とナイロン66の共重合ナイロンなどが好ましい。強度・耐久性を確保する上で上記ナイロンの高粘度のものが良く、98%硫酸による溶液相対粘度が3.4以上のものがより望ましい。これに限らず、上記の材料に、他のポリアミド類、例えばナイロン610、612、11、12、46、などをさらにブレンドしたり、他のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル類、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性ポリマーを、ブレンドしたりして、耐摩耗性や耐熱性などのコード特性の改善を図るようにしてもよい。さらに、耐候剤、着色剤を添加するようにしてもよい。
【0028】
また、切削性を更に向上させたり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性を向上させるため、セラミックス粉末を前記合成樹脂成分に配合して用いることも好ましい。用いるセラミックス粉末としては、好ましくは平均粒径が0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜10μmのセラミックス粉末を0.1〜10重量%の割合で前記合成樹脂成分に配合して用いることが好ましい。セラミックス粉末としては、例えば、ケイ酸ジルコニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、コーデイライト、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ホウ化チタン、サイアロン等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0030】
(実施例1)
材料として、ナイロン6とナイロン66の共重合品(共重合比率;85:15)であるナイロンチップ(三菱化成社製品、2030J、98%硫酸溶液相対粘度;4.5)を用いた。この材料を、押出成型機の図2に示したような扁平六角形状断面口金から紡糸温度;280℃、紡糸速度;10.5m/minで溶融紡糸し、28℃の水浴中で冷却した後、80℃の温水浴中で延伸倍率;2.7で延伸し、断面が略扁平6角形のナイロンコード(まだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコード)得た。次いで図6に示すように、溝41を有していて当該溝の底部にまだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコードに鋸歯状のギザギザ歯を賦形するための歯車42を具備している溝つきローラ40と、前記溝つきローラ40の溝41に嵌め込まれるギザギザ歯を賦形するための歯車44を有するもう一つのローラ43の一対を用意し(図6(a)参照)、これを240℃のチャンバー内に設置して、前記2.7倍に延伸されたまだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコード1´を、図6(b)に示す様に、ローラ40の歯車42とローラ43の歯車44との間に供給して、両稜線6、7にギザギザ歯型を賦形した。その後通常のリラックス処理(240℃、8%の弛緩処理)を行い刈払用ナイロンコード1を作製した(図1参照)。
【0031】
得られた刈払用ナイロンコード1は、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2、3の角度α、βがそれぞれ約60度であり、左右2つの角2、3間の頂点間の長さaがギザギザ歯の頂点間の長さで4.5mm、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが2mmであり従ってb/aの比が0.44であった(図2参照)。また、ギザギザ歯の底辺(ナイロンコード1本体との付け根の部分)の長さは1mmであり、ギザギザ歯の高さ(ギザギザ歯の底辺からギザギザ歯の頂点までの長さ)は0.5mmのやや頂点が丸みを帯びた略三角形状のギザギザ歯が形成された刈払用ナイロンコードを得た。
【0032】
比較として、同様のナイロン樹脂を用いて、上記とほぼ同様にして(但し、ギザギザ歯用付形ローラによるギザギザ歯の付形工程はなし)、特許第2579411号の図1に示されたような断面星形(太さ最大径2.7mm)ナイロンコードも作成した。
【0033】
雑草が茂った雑草の密集地で、本発明の刈払用ナイロンコードと比較用の刈払用ナイロンコードを、それぞれ同じ性能の刈払機にセットし、毎分10,000回転の条件で5分間連続刈り取りを行い、切削面積を比較した。本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合には約10m2の面積をほぼ目的の長さに短く刈り込むことができた。これに対し比較用の刈払用ナイロンコードを用いた場合には約8.7m2の面積しかほぼ目的の長さに短く刈り込むことができなかった。次に、刈払用ナイロンコードを新しくせずにそのまま更に5分間の連続刈り込みを行ったところ、比較用の刈払用ナイロンコードの切削性の低下が生じやすく、後半は切削効率がかなり低下した(約7.4m2の面積しかほぼ目的の長さに短く刈り込むことができなかった)。これに対し、本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合には、切削効率の低下はより少なかった(約9.2m2の面積をほぼ目的の長さに短く刈り込むことができた)。
【0034】
また、刈払用ナイロンコードの15分間連続刈り取りテストをそれぞれの刈払用ナイロンコードを用いて、10回ずつ(各回各刈払用ナイロンコードの新しい部分を引き出して用いる)テストし、先割れ、根本折れ、引きちぎれについて、テストした結果、本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合の先割れは10回中1回、根本折れ0回、引きちぎれ0回であった。一方、比較用の刈払用ナイロンコードを用いた場合の先割れは10回中6回、根本折れ3回、引きちぎれ7回であった。
【0035】
以上の結果からも、本発明の刈払用コードは、切削性が良好で、切削効率が良く、また、コード切断などに対する耐久性も従来品より優れていることが認められる。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明の合成樹脂製刈払用コードは、より切削性が優れ、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性もより優れた合成樹脂製刈払用コードが提供できる。
【0037】
また、本発明の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の角度がそれぞれ30度〜90度の範囲である本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で且つ鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなることもなく耐久性が良好で好ましい。
【0038】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6である本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなることもなく、不必要にコードの幅が大きくなりすぎてコストがアップしたり、刈払機のリールに巻き付けられる量が低下したりすることもなく好ましい。
【0039】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmである本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で、不必要にコードの厚みが大きくなりすぎて回転速度が低下したり、草に当接された際に受ける衝撃が大きくなり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性が若干低下すると言うこともなく、また、刈払用コードがねじれにくく、鋸歯状のギザギザ歯が刈払される草の方向を向いた状態を保つことができ切削効率を良好に保つことができるとともに鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなると言うことも防止でき、好ましい。
【0040】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、合成樹脂成分がナイロンである本発明の好ましい態様とすることにより、耐摩耗性が良好で、切削性をより長時間保持することができ、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も良好な刈払用コードを提供でき好ましい。
【0041】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、刈払用コードが、セラミックス粉末が分散された合成樹脂からなる本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が更に向上し、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も良好な刈払用コードを提供でき好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合成樹脂製刈払用コードの一実施の形態の斜視図。
【図2】図1に示した本発明の一実施の形態の合成樹脂製刈払用コードの長さ方向に対し垂直方向の断面図。
【図3】コード式刈払機の要部断面図。
【図4】図3のIII−III断面図。
【図5】図3のII方向から見たカートリッジの刈払用コード引き出し開口を説明するための部分的側面図。
【図6】ギザギザ歯が付与されていない状態の合成樹脂製刈払用コードに鋸歯状のギザギザ歯を賦形するための工程を説明するための正面模式図。
【符号の説明】
1 合成樹脂製刈払用コード
2、3 扁平六角形状断面の角のうち、扁平面4、5の面方向に突出している角
4、5 扁平面
6、7 稜線
8、9 鋸歯状のギザギザ歯
20 合成樹脂製刈払用コード1の長さ方向を示す矢印
21 扁平面4、5の面方向を示す矢印
32 刈払機
33 操作杆
34 収納カートリッジ
35 リール
36 開口
40 溝つきローラ
41 溝
42 歯車
43 ローラ
44 歯車
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の刈払用コード、例えば、刈払機の草刈り用の刃として使われる合成樹脂製の刈払用コードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、安全でかつ取扱いが容易ということから、高速回転するナイロンコードなどの合成樹脂製のコードを草刈り用の刃として用いる刈払機が実用に供されている。
【0003】
なお、合成樹脂製刈払用コードは、通常、刈払機の操作杆の先の収納カートリッジ内のリールに巻かれていて、所定長さ分だけ引き出した状態で収納カートリッジごと高速回転させ振り回して草を刈り取るように用いられる。刈払用コードが摩耗したり、断線したりした場合、その都度、所定長さ分だけリールから引き出して使うようにする。
【0004】
このように、合成樹脂製刈払用コードは従来の金属製回転刃の代わりに用いるものであるため、切削性と耐久性の2つ特性を兼ね備えている必要がある。従来、切削性を得るためには、その断面形状を四角形や星形とすることが行われている。(下記特許文献1〜3参照。)
【0005】
【特許文献1】
特許第2579411号公報
【0006】
【特許文献2】
実用新案登録第3054746号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平6−113644号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の刈払用ナイロンコードなどの合成樹脂製刈払用コードの切削性は、十分満足できるものであると言い切れず、更に切削性が改良された場合にはより一層好ましい。
【0009】
本発明は、合成樹脂製の刈払用コードの使用による根本折れや先割れなどの耐久性を低下させることなく切削性が改良された合成樹脂製の刈払用コードを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の合成樹脂製の刈払用コードは、合成樹脂製の刈払用コードであって、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の稜線に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の角度が30度〜90度の範囲であることが好ましい。
【0012】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6であることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmであることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、合成樹脂成分がナイロンであることが好ましい。
【0015】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、刈払用コードが、セラミックス粉末が分散された合成樹脂からなることが好ましい。
【0016】
次に、本発明の理解を容易にするため、本発明の実施の形態を、図面などを引用しながら説明するが、本発明はこれらの実施の形態にのみに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係る合成樹脂製刈払用コードの一実施の形態の斜視図であり、図2は、図1に示した本発明の一実施の形態の合成樹脂製刈払用コードの長さ方向に対し垂直方向の断面図である。
【0018】
図1において、合成樹脂製刈払用コード1の長さ方向は、矢印20で示された方向である。図1、図2に示されるように、合成樹脂製刈払用コード1長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面4、5の面方向(矢印21で示した方向)に突出している角2及び/又は3の稜線6及び/又は7に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が設けられている。
【0019】
このように、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状にし、扁平面の面方向に突出している角の稜線に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯が設けられていることにより、草刈りや芝生刈りなどに使用した場合に、鋸歯状のギザギザ歯が設けられているので、草等がより一層切断されやすく、また、断面が扁平なので、断面形状が扁平状でない従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べて、ナイフの刃に例えられるようにやや薄目の形状にされていることも作用してより切削性が向上する構造となっている。しかも、扁平六角形状としたので、従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べてやや厚みが薄くなっているが、刈払用コードが草に当たった際の面積が全体として薄めになっているので、従来の棒状の合成樹脂製刈払用コードに比べて全体として草に当接される部分のの面積が小さく、従って草に当接された際に刈払用コードが受ける衝撃が従来品に比べて比較的小さくなり、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も同等か、それより向上する。
【0020】
尚、特に限定するものではないが、本発明の理解を更に容易にするため、本発明の合成樹脂製の刈払用コードが、どの様な刈払機を用いて使用されるか、簡単に説明しておく。
【0021】
合成樹脂製の刈払用コードを使用するコード式刈払機の構造を簡単に説明すると図3、図4に示すように、刈払機32の操作杆33には、その先端に収納カートリッジ34が設けられており、該収納カートリッジ34内のリール35には本発明に係る合成樹脂製刈払用コード1が巻回されている。そして、合成樹脂製刈払用コード1を所定長さ分だけ収納カートリッジ34の開口36より引き出し、収納カートリッジ34ごと高速回転させれば、草を刈り取ることができる。尚、合成樹脂製刈払用コード1が摩耗したり、断線したりした場合には、その都度、合成樹脂製刈払用コード1を所定長さ分だけリール35から引き出して使用する。尚、図5に収納カートリッジに設けられた開口の形状の一例を説明するために図3のII側から見た収納カートリッジ34の開口部が設けられた部分の部分的側面図を示した。収納カートリッジ34の開口36の形状は、合成樹脂製刈払用コード1の扁平面4、5が上下を向き、鋸歯状のギザギザ歯8及び/又は9が左右略水平方向(角2と3を結ぶ直線の方向)に向いた状態で開口36より引き出せるように、例えば図5に示したように、開口36の形状を、上下方向が左右方向より短い扁平形状の開口としておくか、あるいは、前記開口部分に、扁平面4、5が上下を向くように、用いる合成樹脂製刈払用コード1の断面形状に合わせて、取り付け及び取り外し可能な扁平な開口形状を有するガイドを取り付けておく構造(図示せず)としておくと便利である。尚、本発明の合成樹脂製の刈払用コードが使用されるコード式刈払機の構造が、上記のものに限定されるものではない。
【0022】
本発明の刈払用コードにおいて、その長さ方向に沿って、鋸歯状のギザギザ歯は、図1においては刈払用コードの稜線6及び7の両方に沿って鋸歯状のギザギザ歯8及び9が設けられている態様を図示したが、鋸歯状のギザギザ歯は、いずれか一方側に設けたものでもよい。鋸歯状のギザギザ歯が払用コードの稜線の一方側にしか設けられていない場合には、刈払機32のカートリッジ34の回転方向に鋸歯状のギザギザ歯が向くようにセットして使用することが必要になるが、鋸歯状のギザギザ歯が刈払用コードの両方の稜線6及び7に沿って設けられている場合には、鋸歯状のギザギザ歯の向きを注意することなく使用できるので好ましい。
【0023】
本発明の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2、3の角度α、βがそれぞれ30度〜90度の範囲であることが好ましく、より好ましくは40度〜80度の範囲である。あまりにこの角度が大きすぎると、切削性が低下する傾向になり、あまりにこの角度が小さすぎると、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向になるので、上記の範囲は、切削性、耐久性が良好で好ましい。尚、本発明の刈払用コードの断面形状において、上記扁平六角形状断面の角のうち、角2、3以外の角は丸みを帯びていてもよい。
【0024】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6であることが好ましく、0.2〜0.5の範囲がより好ましい。b/aの比率があまりに大きい場合には、切削性が低下する傾向になり、b/aの比率があまりに小さい場合には、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向を示したり、不必要にコードの幅が大きくなりすぎてコストがアップしたり、刈払機のリールに巻き付けられる量が低下したりする傾向にある。
【0025】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmであることが好ましく、1.5mm〜4mmの範囲がより好ましい。厚さbがあまりに厚すぎる場合には、切削性が低下したり、不必要にコードの厚みが大きくなりすぎて回転速度が低下したり、草に当接された際に受ける衝撃が大きくなり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も若干低下する傾向になる。厚さbがあまりに薄すぎる場合には、刈払用コードがねじれ易くなり鋸歯状のギザギザ歯が刈払される草の方向を向かずに、ねじれて少なくとも一部が上又は上斜め方向ないし下又は下斜め方向を向きやすくなり、切削効率が低下する傾向になったり、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなる傾向を示したりする。従って、上記の範囲とすることにより、より確実に前記の傾向を防止でき好ましい。
【0026】
またギザギザ歯の大きさについては、刈払機の種類や大きさ、特に刈払したい植物の種類や太さ、などに応じて適宜決定すればよく、例えば底辺(刈払用コード1本体との付け根の部分)の長さは1〜3mmであり、ギザギザ歯の高さ(ギザギザ歯の底辺からギザギザ歯の頂点までの長さ)は0.3mm〜3mmの略3角形状であり、やや頂点が丸みを帯びた略三角形状のギザギザ歯もギザギザ歯の摩耗が少なく好ましい。
【0027】
上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードを構成する合成樹脂成分としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66の共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などのナイロン(ポリアミド)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ弗化ビニリデンなどのポリハロゲン化炭化水素、ポリオキシメチレンなどのポリエーテル及びこれらを主成分とする共重合体やポリマーブレンドなどの溶融押し出し成形によりガット状のモノフィラメントが形成可能な合成樹脂が好ましく用いられる。このうち、特に耐久性の点からナイロン樹脂が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、あるいは、ナイロン6とナイロン66の共重合ナイロンなどが好ましい。強度・耐久性を確保する上で上記ナイロンの高粘度のものが良く、98%硫酸による溶液相対粘度が3.4以上のものがより望ましい。これに限らず、上記の材料に、他のポリアミド類、例えばナイロン610、612、11、12、46、などをさらにブレンドしたり、他のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル類、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性ポリマーを、ブレンドしたりして、耐摩耗性や耐熱性などのコード特性の改善を図るようにしてもよい。さらに、耐候剤、着色剤を添加するようにしてもよい。
【0028】
また、切削性を更に向上させたり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性を向上させるため、セラミックス粉末を前記合成樹脂成分に配合して用いることも好ましい。用いるセラミックス粉末としては、好ましくは平均粒径が0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜10μmのセラミックス粉末を0.1〜10重量%の割合で前記合成樹脂成分に配合して用いることが好ましい。セラミックス粉末としては、例えば、ケイ酸ジルコニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、コーデイライト、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ホウ化チタン、サイアロン等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0030】
(実施例1)
材料として、ナイロン6とナイロン66の共重合品(共重合比率;85:15)であるナイロンチップ(三菱化成社製品、2030J、98%硫酸溶液相対粘度;4.5)を用いた。この材料を、押出成型機の図2に示したような扁平六角形状断面口金から紡糸温度;280℃、紡糸速度;10.5m/minで溶融紡糸し、28℃の水浴中で冷却した後、80℃の温水浴中で延伸倍率;2.7で延伸し、断面が略扁平6角形のナイロンコード(まだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコード)得た。次いで図6に示すように、溝41を有していて当該溝の底部にまだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコードに鋸歯状のギザギザ歯を賦形するための歯車42を具備している溝つきローラ40と、前記溝つきローラ40の溝41に嵌め込まれるギザギザ歯を賦形するための歯車44を有するもう一つのローラ43の一対を用意し(図6(a)参照)、これを240℃のチャンバー内に設置して、前記2.7倍に延伸されたまだギザギザ歯が付与されていない状態のナイロンコード1´を、図6(b)に示す様に、ローラ40の歯車42とローラ43の歯車44との間に供給して、両稜線6、7にギザギザ歯型を賦形した。その後通常のリラックス処理(240℃、8%の弛緩処理)を行い刈払用ナイロンコード1を作製した(図1参照)。
【0031】
得られた刈払用ナイロンコード1は、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角2、3の角度α、βがそれぞれ約60度であり、左右2つの角2、3間の頂点間の長さaがギザギザ歯の頂点間の長さで4.5mm、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが2mmであり従ってb/aの比が0.44であった(図2参照)。また、ギザギザ歯の底辺(ナイロンコード1本体との付け根の部分)の長さは1mmであり、ギザギザ歯の高さ(ギザギザ歯の底辺からギザギザ歯の頂点までの長さ)は0.5mmのやや頂点が丸みを帯びた略三角形状のギザギザ歯が形成された刈払用ナイロンコードを得た。
【0032】
比較として、同様のナイロン樹脂を用いて、上記とほぼ同様にして(但し、ギザギザ歯用付形ローラによるギザギザ歯の付形工程はなし)、特許第2579411号の図1に示されたような断面星形(太さ最大径2.7mm)ナイロンコードも作成した。
【0033】
雑草が茂った雑草の密集地で、本発明の刈払用ナイロンコードと比較用の刈払用ナイロンコードを、それぞれ同じ性能の刈払機にセットし、毎分10,000回転の条件で5分間連続刈り取りを行い、切削面積を比較した。本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合には約10m2の面積をほぼ目的の長さに短く刈り込むことができた。これに対し比較用の刈払用ナイロンコードを用いた場合には約8.7m2の面積しかほぼ目的の長さに短く刈り込むことができなかった。次に、刈払用ナイロンコードを新しくせずにそのまま更に5分間の連続刈り込みを行ったところ、比較用の刈払用ナイロンコードの切削性の低下が生じやすく、後半は切削効率がかなり低下した(約7.4m2の面積しかほぼ目的の長さに短く刈り込むことができなかった)。これに対し、本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合には、切削効率の低下はより少なかった(約9.2m2の面積をほぼ目的の長さに短く刈り込むことができた)。
【0034】
また、刈払用ナイロンコードの15分間連続刈り取りテストをそれぞれの刈払用ナイロンコードを用いて、10回ずつ(各回各刈払用ナイロンコードの新しい部分を引き出して用いる)テストし、先割れ、根本折れ、引きちぎれについて、テストした結果、本発明の刈払用ナイロンコードを用いた場合の先割れは10回中1回、根本折れ0回、引きちぎれ0回であった。一方、比較用の刈払用ナイロンコードを用いた場合の先割れは10回中6回、根本折れ3回、引きちぎれ7回であった。
【0035】
以上の結果からも、本発明の刈払用コードは、切削性が良好で、切削効率が良く、また、コード切断などに対する耐久性も従来品より優れていることが認められる。
【0036】
【発明の効果】
以上、本発明の合成樹脂製刈払用コードは、より切削性が優れ、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性もより優れた合成樹脂製刈払用コードが提供できる。
【0037】
また、本発明の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の角度がそれぞれ30度〜90度の範囲である本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で且つ鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなることもなく耐久性が良好で好ましい。
【0038】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6である本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で、鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなることもなく、不必要にコードの幅が大きくなりすぎてコストがアップしたり、刈払機のリールに巻き付けられる量が低下したりすることもなく好ましい。
【0039】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmである本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が良好で、不必要にコードの厚みが大きくなりすぎて回転速度が低下したり、草に当接された際に受ける衝撃が大きくなり、根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性が若干低下すると言うこともなく、また、刈払用コードがねじれにくく、鋸歯状のギザギザ歯が刈払される草の方向を向いた状態を保つことができ切削効率を良好に保つことができるとともに鋸歯状のギザギザ歯が摩耗により消失しやすくなると言うことも防止でき、好ましい。
【0040】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいて、合成樹脂成分がナイロンである本発明の好ましい態様とすることにより、耐摩耗性が良好で、切削性をより長時間保持することができ、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も良好な刈払用コードを提供でき好ましい。
【0041】
また、上記本発明の合成樹脂製の刈払用コードにおいては、刈払用コードが、セラミックス粉末が分散された合成樹脂からなる本発明の好ましい態様とすることにより、切削性が更に向上し、使用による根本折れや先割れ、引きちぎれなどに対する耐久性も良好な刈払用コードを提供でき好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合成樹脂製刈払用コードの一実施の形態の斜視図。
【図2】図1に示した本発明の一実施の形態の合成樹脂製刈払用コードの長さ方向に対し垂直方向の断面図。
【図3】コード式刈払機の要部断面図。
【図4】図3のIII−III断面図。
【図5】図3のII方向から見たカートリッジの刈払用コード引き出し開口を説明するための部分的側面図。
【図6】ギザギザ歯が付与されていない状態の合成樹脂製刈払用コードに鋸歯状のギザギザ歯を賦形するための工程を説明するための正面模式図。
【符号の説明】
1 合成樹脂製刈払用コード
2、3 扁平六角形状断面の角のうち、扁平面4、5の面方向に突出している角
4、5 扁平面
6、7 稜線
8、9 鋸歯状のギザギザ歯
20 合成樹脂製刈払用コード1の長さ方向を示す矢印
21 扁平面4、5の面方向を示す矢印
32 刈払機
33 操作杆
34 収納カートリッジ
35 リール
36 開口
40 溝つきローラ
41 溝
42 歯車
43 ローラ
44 歯車
Claims (6)
- 合成樹脂製の刈払用コードであって、長さ方向に対し垂直方向の断面が扁平六角形状であり、前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の稜線に沿って刈払用コード長さ方向に鋸歯状のギザギザ歯が設けられていることを特徴とする合成樹脂製刈払用コード。
- 前記扁平六角形状断面の角のうち、扁平面の面方向に突出している角の角度が30度〜90度の範囲である請求項1に記載の合成樹脂製刈払用コード。
- 前記扁平六角形状断面の断面形状が、扁平面の面方向に突出している左右2つの角の頂点間の長さaと、扁平面の面に垂直な方向の厚さbとの比がb/a=0.15〜0.6である請求項1又は2のいずれかに記載の合成樹脂製刈払用コード。
- 扁平面の面に垂直な方向の厚さbが、1mm〜5mmである請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂製刈払用コード。
- 合成樹脂成分がナイロンである請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂製刈払用コード。
- 刈払用コードが、セラミックス粉末が分散された合成樹脂からなる請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製刈払用コード。
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JP2020150902A (ja) * | 2019-03-22 | 2020-09-24 | 株式会社マキタ | コードホルダおよび作業機 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002381982A patent/JP2004208599A/ja active Pending
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