JP2004207623A - 薄膜コンデンサ - Google Patents

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JP2004207623A JP2002377405A JP2002377405A JP2004207623A JP 2004207623 A JP2004207623 A JP 2004207623A JP 2002377405 A JP2002377405 A JP 2002377405A JP 2002377405 A JP2002377405 A JP 2002377405A JP 2004207623 A JP2004207623 A JP 2004207623A
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Toru Hara
亨 原
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Abstract

【課題】高湿度下において高い電界強度が印加された状況で使用されても、誘電体の還元による絶縁劣化が起きにくい薄膜コンデンサを提供する。
【解決手段】下部電極層2と上部電極層4との間に配置された薄膜誘電体層3を、BaXSr1-XTiO3の中間層の薄膜誘電体層3bをBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の上下層の薄膜誘電体層3a、3cで挟んだ構造とした。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は下部電極層、薄膜誘電体層、上部電極層とを順次積層した薄膜コンデンサに関するものである。特に薄膜誘電体層が1μm以下の膜厚である薄膜コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSIのダウンサイジングに伴い、LSIの電源ラインに接続するデカップリングコンデンサにおいても、小型化することが求められている。
【0003】
小型化されたデカップリングコンデンサは、支持基板上に下部電極層、薄膜誘電体層、上部電極層をスパッタリング法等の薄膜製造プロセスにより形成した薄膜コンデンサが検討されている。
【0004】
このような薄膜コンデンサでは、薄膜誘電体層の厚みが薄いため、このような薄膜コンデンサを、例えば、LSIパッケージやLSIチップとマザーボードとの間隙に介在させて接続させることができ、高密度実装が可能となる。
【0005】
薄膜コンデンサは、図1の断面構造図に示すように、支持基板1上に下部電極層2、薄膜誘電体層3、上部電極層4が順次被着形成されて容量発生領域が構成される。そして、下部電極層2の一分が容量発生領域から延出している。
そして、この延出部の一部及び上部電極層4の一部を露出するように保護膜5が形成されている。そして、この露出部分に、外部端子6、7が形成された構造となっている。
【0006】
このような下部電極層2、薄膜誘電体層3、上部電極層4は、支持基板1上にスパッタリング法等の薄膜製造プロセスにより、順次被着形成される。上述したように、薄膜誘電体層3の厚みは、高密度実装を達成するために重要となるが、その反面、薄膜誘電体層3の膜厚が薄いと、印加電圧が低くても、非常に高い電界強度が薄膜誘電体層3にかかることになり、特に、高湿度下において高い電界強度が印加された状況で使用されると、容量発生領域であるコンデンサ形成部に水が浸入した際に、水が電気分解され、発生した水素が電極にて触媒反応によりラジカルを生成し、これが誘電体を還元するため、経時的な絶縁劣化が起こりやすくなるという課題があった。
【0007】
誘電体の経時的な絶縁劣化を解決するために、薄膜誘電体層3を構成する誘電体にドナーを添加し、かつ、ドナー濃度が膜厚方向において中央に行くほど高くなるような層構成にすることも提案されている(非特許文献1参照)。
【0008】
このような層構成にすることで、酸素欠陥の移動を抑制することができる。
【非特許文献1】
Applied Physics Letters, Volumu 79, Number 1, p.111-113, 2001
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者の調査によれば、高湿度下において高い電界強度が印加された状況で使用されると、誘電体の還元は電極近傍から進行するため、ドナー濃度が膜厚方向において中央に行くほど高くなるような層構成は、低湿度下では有効であるものの、高湿度下における経時的な絶縁劣化を有効に抑制できないという問題があった。
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、高湿度下において高い電界強度が印加された状況で使用されても、誘電体の還元による絶縁劣化が起きにくい薄膜コンデンサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持基板上に下部電極層、薄膜誘電体層、上部電極層を順次積層して成る薄膜コンデンサあって、
前記薄膜誘電体層は、BaXSr1-XTiO3の中間層をBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層で挟んだ積層構造であることを特徴とする薄膜コンデンサである。
【0012】
また、BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層が10nm以上の厚さを有することが望ましい。
【作用】
本発明の薄膜コンデンサによれば、上記構成にて薄膜誘電体層が形成され、特に、BaXSr1-XTiO3の中間層をBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層で挟んだ積層構造としている。
【0013】
したがって、電極近傍での誘電体の還元が起こりにくく、高湿度下で使用されても絶縁劣化を抑制できる。これは、ドナーを高密度に有する層が電極近傍に存在するため、電極近傍での還元が抑制できるためである。
【0014】
尚、BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層が10nm以上の厚さを有すると、一般的な高周波スパッタリング法にて形成された場合にも連続膜となっているので、絶縁劣化を抑制する効果が確実に発揮され得る。
【0015】
以上の通り、本発明の薄膜コンデンサは、高湿度下において高い電界強度が印加された状況で使用されても、誘電体の還元による絶縁劣化が起きにくいため、例えば、LSI用の電源ラインに接続されるデカップリングコンデンサとして好適となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薄膜コンデンサを図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明にかかる薄膜コンデンサを示す断面図であり、図2は、その平面図である。尚、図1は、図2中のA−A線の断面構造を示す。
【0018】
同図において、1は支持基板であり、支持基板1の上に下部電極層2を形成し、この下部電極層2の上に薄膜誘電体層3が形成されている。薄膜誘電体層3上には、上部電極層4、保護層5を順次積層する。ここで、下部電極層2と上部電極層4とに挟持された薄膜誘電体層3の領域が容量発生領域となる。そして、下部電極層2の一部は、容量発生領域から延出しており、この延出部の一部は、保護層5から露出している。また、上部電極層4の一部は、保護層5から露出している。そして、この保護層5から露出する下部電極層2の一部及び上部電極層4の一部には、はんだボールにより外部端子6、7が形成される。
【0019】
支持基板1は、薄膜コンデンサを機械的に支持するためのものであり、材質、製法は特に制限されないが、サファイア単結晶などが例示できる。
【0020】
下部電極層2は、薄膜誘電体層3に直流電圧を印加するために配置される。
【0021】
この下部電極層2はニッケル、金、白金などの導電性の高い金属のうち少なくとも1種類で構成され、支持基板1上にDCスパッタリング法等により形成される。なお、基板との密着性を向上するためにチタニアやその他の金属酸化物の層を介する場合もある。
【0022】
薄膜誘電体層3は、下部電極層2と上部電極層4との間にあって、両電極から直流電圧を印加されることにより電荷を蓄積し、最終的な使用形態において、電源ラインを通じてLSIへ電流を供給するために配置される。
【0023】
薄膜誘電体層3には、チタン酸ストロンチウムバリウム、およびチタン酸ストロンチウムバリウムのチタンサイトを、5〜20%の範囲でドナーにより置換したものが用いられる。ドナーにはニオブ、およびタンタルなどがあり、また、ドナーを添加した場合にはAサイト欠陥が生成するため、その分、バリウムとストロンチウムの量を減らしておく必要がある。Aサイト欠陥には、酸素欠陥の生成と移動を抑制する効果がある。
【0024】
一般的に知られているように、ドナーの添加量が少ない場合はAサイト欠陥は生成されずに伝導電子が生成する。また、ドナーの添加量が多い場合には、酸素欠陥の移動を抑制する効果は高くなるが、誘電率は低下する。本発明者の薄膜コンデンサでは、ドナーの添加量を5〜20%として、酸素欠陥の生成(すなわち還元)と移動を抑制し、誘電率の低下もある程度抑えている。
【0025】
薄膜誘電体層3は高周波スパッタリング法等により形成される。まず、下部電極層2の上からBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTaY=0.05〜0.2]の下層の薄膜誘電体層3aが高周波スパッタリング法においては少なくとも10nmの厚さに形成され、続いて、BaXSr1-XTiO3の中間層の薄膜誘電体層3bが使用される電圧と必要とされる静電容量とに合わせた任意の厚さに形成され、最後にBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の上層の薄膜誘電体層3cが、高周波スパッタリング法においては少なくとも10nmの厚さに形成される。このような積層構成にすることにより、薄膜誘電体層3と下部電極層2との界面、および、薄膜誘電体層3と上部電極層4との界面には、酸素欠陥の生成と移動を抑制できるドナー添加層が存在することになり、高湿度下においても絶縁劣化しにくくなる。尚、薄膜誘電体層3の符合について、単に符合3と記す場合には、下層の薄膜誘電体層3a、中間層の薄膜誘電体層3b、上層の薄膜誘電体層3cを合わせた場合をいう。
【0026】
ドナー添加層の厚さが厚いほうが絶縁劣化を抑制する効果は高くなるが、静電容量が低くなる。また、薄すぎると絶縁劣化を抑制する効果が不十分なものとなる。最低限必要な厚さは、成膜方法にも依存するが、一般的に用いられる高周波スパッタリング法においては、10nm程度になる。これは、高周波スパッタリング法にて上記薄膜誘電体層3を形成する場合、10nm以上の厚さがないと連続膜にならず、疎な膜になるためと考えられる。
【0027】
上部電極層4は、下部電極層2と同じく、薄膜誘電体層3に直流電圧を印加するために配置される。この上部電極層4はニッケル、金、白金などの導電性の高い金属のうち少なくとも1種類で構成され、薄膜誘電体層3の上にDCスパッタリング法等により形成される。
【0028】
保護層5は、下部電極層2、薄膜誘電体層3、上部電極層4からなる容量発生領域を外部の湿気から遮断するとともに、外部端子6、7の形成位置を特定するために配置される。この保護層5は、ポリイミド、ポリベンゾシクロブテン、シリカ、チッ化珪素などのうち少なくとも1種類で構成され、上部電極層4の上にスピンコーティング法、CVD法などにより形成される。
【0029】
外部端子6、7は、電源ラインと下部電極層2および上部電極層4とを接続するために配置される。この外部端子6、7は、錫を主成分とし、銀、銅などを副成分とするはんだで構成され、スクリーン印刷法などにより形成される。
【0030】
上部電極層4の一部、即ち、保護膜5から露出する領域には、外部端子6が形成され、下部電極層2の一部、すなわち、保護膜5から露出する領域には、外部端子7が形成される。保護層5に各露出領域を形成するように、保護層5の成膜用マスクを制御して貫通孔を形成したり、必要に応じて薄膜誘電体層3、上部電極層4、および、保護層5にウエットエッチング法、または、ドライエッチング法により貫通孔を形成する。エッチングに用いられるエッチャントには、ウエットエッチングでは、種々の酸や、特に金をエッチングする場合にはシアン化カリウム水溶液などが用いられる。また、ドライエッチングでは、アルゴン、酸素、フレオンなどが用いられる。
【0031】
かくして本発明の薄膜コンデンサによれば、薄膜誘電体層3は、中間層の薄膜誘電体層3bを、BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の下層及び上層の薄膜誘電体層3a、3cで挟んだ構造とすることで、高湿度下で使用されても、電極近傍での還元が抑制できるため、これによって、絶縁劣化を抑制できる。
【0032】
そして、かかる本発明の薄膜コンデンサはLSIの電源ラインに接続されるデカップリング用の薄膜コンデンサに好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明の薄膜コンデンサについて具体例を説明する。
【0034】
〔実施例1〕
サファイア単結晶からなる支持基板1(厚さ0.25mm)上に、チタニア−白金層(厚さは、下から順に、チタニアが10nm、白金が50nm)からなる下部電極層2をDCスパッタリング法で成膜し、これをアルゴンでドライエッチングして所望の形状に加工した。
【0035】
続いて、下部電極層2の上からBa0.5Sr0.5TiO3のターゲット、および、Ba0.475Sr0.475Ti0.9Nb0.13のターゲットを用いて、高周波スパッタリング法によって薄膜誘電体層3を形成した。
【0036】
具体的には基板温度640℃で、Nbを添加した厚さ10nmの下層の薄膜誘電体層3a、Nbを添加しない厚さ350nmの中間層の薄膜誘電体層3b、Nbを添加した厚さ10nmの上層の薄膜誘電体層3cを形成した。
【0037】
次に、成膜された薄膜誘電体層3を市販のフッ硝酸でウエットエッチングして所望の形状に加工した。
【0038】
続いて、薄膜誘電体層3上に、金―ニッケル−金の積層膜(厚さは、下から順に、金が300nm、ニッケルが1000nm、金が100nm)からなる上部電極層4をDCスパッタリング法で成膜し、これを、市販のシアン化カリウム水溶液、希硝酸、シアン化カリウム水溶液の順にエッチャントを用いてウエットエッチングして所望の形状に加工した。
【0039】
続いて、上部電極層4の上に、シリカ(厚さ2000nm)およびポリベンゾシクロブテン(厚さ3000nm)からなる保護層5を、シリカをCVD法で、ポリベンゾシクロブテンをスピンコーティング法で成膜して、これを酸素、フレオンで順次ドライエッチングして所望の形状に加工した。
【0040】
最後に、露出した下部電極層2の一部、および、露出した上部電極層4の一部の上に、市販の錫系はんだペーストをスクリーン印刷し、リフロー炉中において300℃で熱処理し、下部電極層2、または、上部電極層4に接した外部端子6、7を形成した。
【0041】
かくして薄膜コンデンサAを得た。
【0042】
尚、この条件下で成膜した誘電体の1kHzにおける誘電率は661を示した。
〔比較例1〕
本例においては、前記薄膜コンデンサAを作製するに当り、薄膜誘電体層3を、Ba0.5Sr0.5TiO3のターゲットのみを用いて形成し、即ち、単層構造の薄膜誘電体層を形成し、その他の構成は同一にして、薄膜コンデンサBを得た。尚、1kHzにおける誘電率は700であった。
〔比較例2〕
本例においては、前記薄膜コンデンサAを作製するに当り、薄膜誘電体層3を、Nbを添加しない厚さ180nmの下層の薄膜誘電体層3a、Nbを添加した厚さ10nmの中間層の薄膜誘電体層3b、Nbを添加しない厚さ180nmの上層の薄膜誘電体層3cを形成し、その他の構成は同一にして、薄膜コンデンサCを得た。尚、1kHzにおける誘電率は690であった。
〔比較例3〕
本例においては、前記薄膜コンデンサAを作製するに当り、薄膜誘電体層3を、Ba0.5Sr0.5TiO3のターゲット、および、Ba0.4975Sr0.4975Ti0.99Nb0.013のターゲットを用いて形成し、その他の構成は同一にして、薄膜コンデンサDを得た。尚、1kHzにおける誘電率は692であった。
〔比較例4〕
本例においては、前記薄膜コンデンサAを作製するに当り、薄膜誘電体層3を、Ba0.5Sr0.5TiO3のターゲット、および、Ba0.425Sr0.425Ti0.7Nb0.33のターゲットを用いて形成し、その他の構成は同一にして、薄膜コンデンサEを得た。尚、1kHzにおける誘電率は616であった。
〔比較例5〕
本例においては、前記薄膜コンデンサAを作製するに当り、Nbを添加した厚さ5nmの下層の薄膜誘電体層3a、Nbを添加しない厚さ360nmの中間層の薄膜誘電体層3b、Nbを添加した厚さ5nmの上層の薄膜誘電体層3cを形成し、その他の構成は同一にして、薄膜コンデンサFを得た。尚、1kHzにおける誘電率は684であった。
【0043】
これら薄膜コンデンサA、B、C、D、E、Fに関し、121℃/85%RH/2.5Vでのプレッシャー・クッカー・バイアステスト(以下PCBTと略す。)を48時間行った。試験前後での電流密度−電界強度特性(以下、J−E特性と略す。)を比較した結果を図3乃至図8に示す。
【0044】
図3は、本発明の製造方法にかかる薄膜コンデンサAの特性を示し、図4は比較例1の薄膜コンデンサBの特性を示し、図5は比較例2の薄膜コンデンサCの特性を示し、図6は比較例3の薄膜コンデンサDの特性を示し、図7は比較例4の薄膜コンデンサEの特性を示し、図8は比較例5の薄膜コンデンサFの特性を示す。各特性図において、黒塗り四角印は、初期状態の薄膜コンデンサを示し、黒塗り三角印は、PCBT48時間後良品(2.5Vにおける絶縁抵抗≧10MΩ)の薄膜コンデンサを示し、バツ印は、PCBT48時間後不良品(2.5Vにおける絶縁抵抗<10MΩ)の薄膜コンデンサを示す。
【0045】
この図から明らかなとおり、図3に示す本発明の薄膜コンデンサAは、比較例である薄膜コンデンサB、薄膜コンデンサC、薄膜コンデンサD、薄膜コンデンサFと比較して、PCBT後における薄膜コンデンサの絶縁抵抗の劣化が十分に抑えられている。また、薄膜コンデンサEは、薄膜コンデンサAと同程度にPCBT後における薄膜コンデンサの絶縁抵抗の劣化が抑えられているが、先に述べたように、誘電率の低下が問題となる。
【0046】
表1に誘電率、および、PCBT結果の概要を示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004207623
【0048】
本発明者は、前記薄膜誘電体層3を、BaXSr1-XTiO3の中間層の薄膜誘電体層3bを、BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTaY=0.05〜0.2]の上下層の薄膜誘電体層3a、3cで挟んだ構造とした。
【0049】
その結果、PCBTにおいて、酸素欠陥が上部電極層や下部電極層との界面に生成することを抑制でき、これによって、絶縁劣化を抑制できたと考える。
【0050】
また、実施例中に述べたように、BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層を極めて薄くしたことで、薄膜誘電体層3の誘電率低下を避けることができた。
【0051】
なお、ドナーとして、Nbの代わりにTaを用いても同様の効果が見られた。
【0052】
データ解析をする上での前提についてここで述べておく。
【0053】
J−E特性は局所電界を補正したショットキー型伝導モデルに基づいて解析している。ショットキー型伝導モデルの式は以下のように導出される。金属からの真空中への熱電子放出による電流密度:Jは、次式にしたがう。
【0054】
【数1】
Figure 2004207623
【0055】
金属から絶縁体中への電子放出による電流密度は、(1)式とのアナロジーから次式に従う。
【0056】
【数2】
Figure 2004207623
【0057】
イメージフォースによりバリアハイトは低くなる。
【0058】
【数3】
Figure 2004207623
【0059】
【数4】
Figure 2004207623
【0060】
さらに外部電界が加わることによりバリアハイトは低くなる。
【0061】
【数5】
Figure 2004207623
【0062】
【数6】
Figure 2004207623
【0063】
dφ’/dx=0よりφ’の極大値を求める。
【0064】
【数7】
Figure 2004207623
【0065】
【数8】
Figure 2004207623
【0066】
【数9】
Figure 2004207623
【0067】
正味のバリアハイトは
【0068】
【数10】
Figure 2004207623
【0069】
【数11】
Figure 2004207623
【0070】
よって、
【0071】
【数12】
Figure 2004207623
【0072】
これが通常のショットキー型伝導モデルの式である。
【0073】
ここで、金属/誘電体界面から誘電体の還元が進んで、その結果生じた酸素欠陥により局所電界がかかると
【0074】
【数13】
Figure 2004207623
【0075】
となると考える。eφB≒βSE(E+Elocal,VO1/2であると、バリアが消失し、ショットキー型の伝導モデルが有効でなくなり、ショットキー型の伝導モデルから外れるようになる。
【0076】
さらに、外部電界:Eも、印加した電界がそのままかかっていると考えるのではなく、本発明の薄膜コンデンサは多結晶体であるため、バウンダリの電圧分担を補正する必要がある。
【0077】
グレインとバウンダリの直列回路を考える。図9に示され、
ここで、
【0078】
【数14】
Figure 2004207623
【0079】
【数15】
Figure 2004207623
【0080】
であるから、電界はバウンダリに集中していることになる。
【0081】
J−E特性は、EBについてあらわす必要がある。
【0082】
【数16】
Figure 2004207623
【0083】
なお、直流印加において電圧を容量分担させるのは一般的なセオリーから外れているように感ずるむきもあるかと思われる。しかしながら、後述のように、絶縁性の非常に高い場合には直流印加でも電圧を容量分担するのがリーズナブルである。
二層誘電体の電圧分担は、一般的には
・衝撃波や高周波電圧の場合の場合・・・容量分担
【0084】
【数17】
Figure 2004207623
【0085】
・直流電圧における定常状態の場合・・・抵抗分担
【0086】
【数18】
Figure 2004207623
【0087】
になる。しかしながら、RG、RB共に高い場合には単なる容量の直列接続と考えたほうが自然であり、したがって、直流印加でも電圧は容量分担となる。
【0088】
以上がデータ解析をする上での前提となる。
【0089】
次に、結果についての解釈を詳細に行う。
局所電界がなければ(16)式より
【0090】
【数19】
Figure 2004207623
【0091】
(19)式に示すように、図3のスロープからβSE/kTがわかり、(12)式よりこのスロープがεdと関連付けられる。
【0092】
薄膜コンデンサA、薄膜コンデンサB、薄膜コンデンサC、薄膜コンデンサD、薄膜コンデンサE、薄膜コンデンサFのいずれも、PCBT良品は初期品とくらべてもスロープはさほど変化していない。にもかかわらず、電流密度は、PCBT良品のほうが初期品にくらべて高くなっている。これは、誘電体が電極間にて還元されており、沿面電流が増えているが、電極/誘電体界面からの誘電体の還元はほとんど進んでいないことを示していると推測される。
【0093】
また、同じPCBT良品でも、薄膜コンデンサAのほうが、薄膜コンデンサB、薄膜コンデンサC、薄膜コンデンサD、薄膜コンデンサFよりも、初期品との電流密度の差が小さくなっている。これは沿面における誘電体の還元が抑えられていることを示していると推測される。
【0094】
さらに、薄膜コンデンサAにおいては、PCBT不良品が発生しなかった。これに対し、薄膜コンデンサB、薄膜コンデンサC、薄膜コンデンサD、薄膜コンデンサFにおいては、PCBT不良品が発生しており、低電界領域でショットキー型伝導モデルから外れている。これは、電極/誘電体界面から誘電体の還元が進行していることを示していると推測される。
【0095】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の薄膜コンデンサの製造方法によれば、薄膜誘電体層を、BaXSr1-XTiO3の中間層をBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層で挟んだ構造としたことで、薄膜誘電体層の耐還元性を向上することができ、このため、酸素欠陥が電極との界面に生成してできる局所電界を有効に抑えることができる。これによって、PCBTにおける絶縁劣化、通常利用の経時的な劣化を抑制できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる薄膜コンデンサの一例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す薄膜コンデンサの一例を示す平面図である。
【図3】本発明の薄膜コンデンサAのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図4】比較品の薄膜コンデンサBのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図5】比較品の薄膜コンデンサCのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図6】比較品の薄膜コンデンサDのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図7】比較品の薄膜コンデンサEのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図8】比較品の薄膜コンデンサFのPCBT前後での電流密度−電界強度特性を示す特性図である。
【図9】本発明の薄膜コンデンサの電流密度−電界強度特性の解析を行う上で使用した、バウンダリの電圧分担に関する電界強度補正のための概念図である。
【符号の説明】
1:支持基板
2:下部電極層
3:薄膜誘電体層
4:上部電極層
5:保護層
6、7:外部端子

Claims (2)

  1. 支持基板上に下部電極層、薄膜誘電体層、上部電極層を順次積層して成る薄膜コンデンサであって、
    前記薄膜誘電体層は、BaXSr1-XTiO3の中間層をBaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層で挟んだ積層構造であることを特徴とする薄膜コンデンサ。
  2. BaX-0.25YSr1-X-0.25YTi1-YY3[D:NbまたはTa Y=0.05〜0.2]の層が10nm以上の厚さを有することを特徴とする請求項1記載の薄膜コンデンサ。
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