JP2004207584A - 太陽電池モジュールとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気絶縁信頼性及び作業性に優れた電力リード引き出し構造を備え、かつ耐火性を有し安価な太陽電池モジュールとその製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池の正極および負極の電力リード部材116を、裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体128からなる端子箱内に導入し、端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子124に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、裏面保護部材は、少なくとも、電力リード部材を貫通させる貫通孔117を備えた導電性材料からなる導電性補強層111を有してなり、かつ、中空構造体は、貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、電力リード部材貫通用のリード穴118を備え、さらに、貫通孔の直径(D1)とリード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】太陽電池の正極および負極の電力リード部材116を、裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体128からなる端子箱内に導入し、端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子124に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、裏面保護部材は、少なくとも、電力リード部材を貫通させる貫通孔117を備えた導電性材料からなる導電性補強層111を有してなり、かつ、中空構造体は、貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、電力リード部材貫通用のリード穴118を備え、さらに、貫通孔の直径(D1)とリード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、太陽電池モジュール、特に、太陽電池で発生した電力を外部に取り出す電力リード引き出し装置の構造とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池としては、結晶系,非結晶系の双方が使用されるが、非晶質太陽電池を用いた薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0003】
近年では、プラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発がすすめられており、このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステップロール方式等の製造方法により大量生産が可能となっている。
【0004】
上記薄膜太陽電池モジュールとして、電気絶縁性を有するフィルム基板上に形成された太陽電池を、電気絶縁性の保護材により封止するために、太陽電池の受光面側および非受光面側の双方に保護層を設けたものが知られている。
【0005】
図3および図4は、本願出願人により提案された特許文献1に記載された太陽電池モジュールの構造の一例を示し、その電力リード引き出し装置構造の詳細を、図5および図6に示す。
【0006】
図3,4に示す太陽電池モジュールにおいては、太陽電池1の太陽光入射側である受光面側に、EVA(エチレンビニルアセテート)などを使用した接着層2、並びにETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)などを使用した防湿層3、EVAにガラス繊維を充填して機械的強度を高めた強化層4、その上にETFEなどを使用した汚損物質付着防止の表面保護層5からなる耐候性保護層としての受光面側保護層6が積層され、太陽電池1を保護している。
【0007】
また太陽光入射側と反対側である非受光面側には、接着層7、防水と電気絶縁を兼ねたETFEやポリイミドを使用した絶縁層8、補強層11との接合の役目をなすEVAなどを使用した接着層9が積層されて非受光面側保護層10が形成され、その上に積層された金属製平板などを使用した補強層11が接着されており、上記各層は加圧熱融着ラミネートで一体化されている。なお、各層のラミネートは、一般に、図4における紙面上部の表面保護層5から順に下方に向かって行われるが、太陽電池1と接着層2は、あらかじめ一体化されている。また、ニーズに応じて、一部の層を省略することがある。
【0008】
さらに、受光面側保護層6、非受光面側保護層10、補強層11は太陽電池1の側方の非発電領域まで延長され、非発電領域には略四角形状の太陽電池1の両側辺に沿って平行的に平箔銅線の電力リード線12が配置され、導電性粘着テープ若しくはハンダ付け平箔銅線の渡り線13で太陽電池1の図示しないプラス極、またはマイナス極にそれぞれ接続されている。
【0009】
また、電力リード線12の端部近傍には、発電した電力を外部に引出す中継をなす電力端子箱14が補強層11に接着、またはネジ止めで固定されており、電力リード線12とケーブル15が接続線16で電気的に接続されて全体として四角形で平板状の太陽電池モジュール50を形成している。
【0010】
ここで、電力リードの取出し構造について、以下に詳述する。図5は電力端子箱14の断面図で図4とは上下反対に示している。また図6は電力端子箱14のフタ27を外した上面図である。
【0011】
図5,6において、電力リード線12のほぼ直上から補強層11、接着層9、絶縁層8、接着層7を貫通して穴17が開けられ、電力リード線12の表面が露出し、また穴17の上に電力端子箱14の穴18がほぼ同軸上に並ぶように、補強層11に当接してベース台28が配置され、補強層11に接着固定、または図示しないネジで締結固定されている。
【0012】
上記穴17には、例えば銅線を使用した接続線16が挿入され、端部が電力リード線12とハンダ接合されている。接続線16はベース台28の穴18を通ってベース台28の端子台19に導かれ、その端部は端子台19のネジ20で逆流防止ダイオード21のリード線22と共に締結固定される。また逆流防止ダイオード21の他方のリード線23は端子台24に導かれ、ケーブル15の導体芯線25とともにネジ26で締結固定されている。なお、逆流防止ダイオード21は太陽電池1のプラス極側、若しくはマイナス極側のいずれか一方に挿入すれば、その役目を果たすことができるため、不要な場合は外して接続線16を直接、端子台24につなぎ込まれる。
【0013】
また、穴17、穴18には水分侵入による絶縁不良を無くすため、防水・絶縁性の樹脂が充填され、同様に端子台19、24ネジ20、26も防水性樹脂で覆われており、蓋27がベース台28に被せられ、接着もしくは図示しないネジで締結固定されて電力端子箱14を形成している。
【0014】
ところで、太陽電池モジュールを住宅の屋根に搭載する場合、防火に対する法規制に合致することが建築物として認可される上で必要な要件の1つである。例えば、木造建築物の場合、飛び火による延焼を防ぐため、屋根は不燃材で葺くこととされている。このため、従来構造の太陽電池を搭載するとき、屋根材としての太陽電池の耐火性を高めるために裏面保護部材に金属板、例えば鋼板を用いたものが用いられ、表面保護部材としては、ガラス板を用いたものが用いられている。太陽電池モジュールに可とう性をもたせるためには、ガラス板を用いずに、難燃性の前記ETFEを用いる場合もある。裏面保護部材としては、アルミニウム箔を耐候性フィルムでサンドイッチ構造とした耐候・耐湿フィルム、無塗装の亜鉛メッキ鋼板のような薄い鋼板、屈曲性や硬さなどの観点からポリエステル樹脂やアクリル樹脂がコーディングされた鋼板等が用いられる。
【0015】
上記のように、ニーズに応じて、種々の太陽電池モジュールのタイプがある。図7は、太陽電池モジュールの諸構造を概括的に示す模式的断面図で、主要部材のみを示している。図7(a)は、ガラス板を用いた一般的な構造の太陽電池モジュールに相当し、221は太陽電池、222は表面保護部材(ガラス板)、223は裏面保護部材としての背面材(アルミ箔ラミネートポリフッ化ビニール、224は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。
【0016】
図7(b)は、所謂スーパーストレート構造に相当し、ガラス基板に直接太陽電池を形成したもので、231はガラス基板太陽電池、233は背面材(アルミ箔ラミネートポリフッ化ビニール)、234は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。また、図7(c)は、所謂サブストレート構造であって、SUS基板またはプラスチック基板に太陽電池を形成し、表面保護部材としてプラスチックの保護膜を用いたもので、241は太陽電池、242は表面保護膜(ETFEまたはFEP)、243は背面構造支持体(表面処理AL−亜鉛鋼板)、244は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。
【0017】
さらに、図7(d)は、フレキシブルモジュールであって、表面保護部材および裏面保護部材としてプラスチックフィルムの保護膜を用いたもので、251は太陽電池、252は表面保護膜(ETFEまたはFEP)、253は裏面保護膜(ETFE,FEP,PVF等)、254は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。さらにまた、図7(e)は、図7(d)の表面保護部材および裏面保護部材において、強化層としてガラス不織布265を追加したものを示す。
【0018】
上記以外にも、種々の太陽電池モジュール構造があり、ニーズに適した構造が採用される。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−111032号公報(第2−3頁、図3−8)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図5および図6に示すような電力リード引き出し構造を備えた従来の太陽電池モジュールにおいては、以下のような問題点がある。
【0021】
図5において、接続線16が挿入される円形若しくは四角形の穴17は補強層11にも形成されるが、補強層11として、モジュールの耐火性向上のために、鋼板のような導電性材料を用いた場合、補強層11に穴を加工すると、導電材料が露出するため、その中を通る接続線16の位置精度によっては、導電材料と接触して絶縁不良が発生する可能性がある。
【0022】
この絶縁不良を回避する方法としては、穴17の導電材料露出部の絶縁処理や、充分な絶縁被覆を有する接続線16を使うなどの方法が考えられるが、いずれも部品コストおよび作業コストが増大する問題がある。
【0023】
また、接続線16の端部を電力リード線12とハンダ接合する工程に関しても、電力リード線12の所定の位置に、接続線16を精度よく位置合わせすることが困難であり、電気的な接続は、人手によるハンダ付け作業となるので、生産性が低く、量産には不向きであるという問題もある。
【0024】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、電気絶縁信頼性及び作業性に優れた電力リード引き出し構造を備え、かつ耐火性を有し安価な太陽電池モジュールとその製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明においては、表面保護部材と裏面保護部材との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の電力リード部材を、前記裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体からなる端子箱内に導入し、前記端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、前記裏面保護部材は、少なくとも、前記電力リード部材を貫通させる貫通孔を備えた導電性材料からなる導電性補強層を有してなり、かつ、前記端子箱の中空構造体は、前記貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、前記電力リード部材貫通用のリード穴を備え、さらに、前記貫通孔の直径(D1)と前記リード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、前記電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとする(請求項1の発明)。
【0026】
上記構成により、電力リード部材と導電性補強層との間の電気絶縁性が容易かつ精度よく確保でき、また、後述する請求項7の発明の製造方法により、量産に好適な作業性に優れた電力リードの引き出し構造が実現できる。
【0027】
また、前記発明の実施態様としては、下記請求項2ないし6の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記端子箱を、前記太陽電池の正極および負極の各々に対応して個別に設けたものとする(請求項2の発明)。この構成によれば、太陽電池の内部リード線の引き回し距離が短くなり、その分、電力損失が低減でき、また、作業性も向上する。
【0028】
さらに、請求項1または2に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材は、その一端を予め前記端子箱内に導入した前記接続ケーブルの端子に電気的に接続固定し、その他端を予め前記リード穴近傍に配設し、かつ弾性と導電性とを有するものとし、さらに、前記端子箱は、少なくとも前記リード穴と対向する蓋部材を有し、この蓋部材を開として前記電力リード部材の他端を押圧することにより、前記リード穴を貫通して前記太陽電池の正極または負極の電極部に接続可能に構成する(請求項3の発明)。この構成は、絶縁性の信頼性の確保の観点から好ましく、また、後述する請求項7に記載の製造方法との関連で好適である。
【0029】
上記効果は、下記請求項4の発明によれば、さらに向上する。即ち、前記請求項3に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材の他端は、断面コ字状もしくはコ字の対向する2辺の内の1辺が傾斜したコ字状であって前記蓋部材に対向して開いた形状を有し、前記リード穴を電力リード部材が貫通する際に、前記コ字状部がリード穴に挿入されることによって生ずる弾性力により、リード穴内に電力リード部材が位置決めされる構成を備えるものとする。
【0030】
また、耐火性向上の観点から、下記請求項5ないし6の発明が好ましい。即ち、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記中空構造体の内部とリード穴および貫通孔内に、耐熱性樹脂を充填してなるものとする(請求項5の発明)。さらに、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記少なくとも導電性補強層を有する裏面保護部材は、鋼板からなるものとする(請求項6の発明)。
【0031】
モジュールの製造方法としては、前述のように量産性の観点から、下記請求項7の発明が好ましい。即ち、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、下記の工程を含むこととする。
1)前記端子箱における中空構造体のリード穴上部もしくはリード穴に一部を貫通させて、前記電力リード部材を位置決めする工程。
2)前記位置決めされた電力リード部材における前記太陽電池の電極部に接続する側の端部を、接続ヘッドにより押圧し、前記電極部に当接する工程。
3)前記接続ヘッドを加熱し、前記電力リード部材の端部と前記太陽電池の電極部とを電気的に接続固着する工程。
【0032】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0033】
図1および図2は、この発明に関わる太陽電池モジュールの実施例の模式的構成図およびその製造方法の説明図を示し、それぞれ、電力リード取り出し部を拡大して示す。
【0034】
図1(a)は、非受光面側からみた太陽電池モジュールの部分拡大平面図、図1(b)はその側断面図である。
【0035】
図1において、太陽電池101の非受光面側には電極部112が太陽電池101と電気的に接続された状態で取付けられており、電極部112の非受光面側は、電極取出し部160を除いて、図示しない絶縁層により絶縁されている。また、太陽電池101の非受光面側には、絶縁性封止層108(例えば、EVAまたは難燃化したEVA)と導電性補強層111(例えば、ガルバリウム鋼板,川崎鋼板製 レジノカラーG)が一体化され非受光面側積層体110として配置され、この非受光面側積層体110には、内径D1の貫通孔117が予め開けられている。
【0036】
電極部112が取付けられた太陽電池101と非受光面側積層体110を、電極取出し部160と貫通孔117との位置が合うように位置合わせした状態で積層し、さらに、太陽電池101の受光面側に透光性封止層106(例えば、EVAを介してETFE)を積層した状態で、加圧熱接着ラミネートにより一体化し太陽電池モジュール150を形成する。
【0037】
接続ケーブル115には、端子124が電気的に接続された状態で取付けられ、貫通穴を通して、電気絶縁性材料、例えば、難燃性のザイロン(旭化成(株)
製 型番540Z)からなる中空構造体128内部に導入され、固定ネジ126により端子124が中空構造体128に固定されている。中空構造体128には内径D2のリード穴118が開けられており、非受光面側積層体110の貫通孔117と中空構造体128のリード穴118に中心が合うように位置合わせされた状態で、中空構造体128は導電性補強層111に接着固定されている。
【0038】
端子124には予め電力リード部材116が電気的に固定されており、この電力リード部材116をリード穴118と貫通孔117とを通して電極部112に接続することにより、太陽電池モジュール150の電力を接続ケーブル115に取り出すことができる。中空構造体128の内部および貫通孔117とリード穴118の内部は、図示ない充填剤(例えば、難燃性樹脂である信越化学製 KE200)を充填した後、蓋部材127を取付けて中空構造体128内を絶縁保護する。
【0039】
次に請求項7の発明に関わり、電力リード部材116の電極部112への接続方法について、図2に基き説明する。
【0040】
図2の(a)〜(d)は前記接続工程を段階的に示す電力リード取出し部の側断面図である。
【0041】
図2(a)に示すように、本実施例においては、ほぼZ形状に折り曲げ加工した電力リード部材116を、電力リード部材116の先端の折り曲げ部分が中空構造体128のリード穴118の中心を跨ぐように位置決めした状態で、中空構造体128に固定された端子124に電気的に固定する。次に、図2(b)および(c)に示すように、リード穴118の中心の上方に設置され上下方向に移動可能な接続ヘッド180を下降させて、電力リード部材116をリード穴118に押し込むことにより電力リード部材116を成形していく。
【0042】
続いて、図2(d)に示すように、電力リード部材116を電極部112に押した状態で下降を停止し、接続ヘッド180を加熱して電力リード部材116と電極部112とを半田を介して電気的に接続する。所定時間加熱して接続後、接続ヘッド180を冷却して上昇させ、接続工程を終了する。
【0043】
本実施例では、貫通孔117の内径D1を10mmとして非受光面側積層体110の加工を行い、リード穴118の内径D2を5mmとして中空構造体128の加工を行い、幅3mm厚さ0.2mmの断面形状を持つハンダコート銅線を電力リード部材116と電極部112とに使用して、前述の接続を行った。その結果、非受光面側積層体110と中空構造体128の位置精度、つまり貫通孔117とリード穴118の中心位置のズレが1mm以内であれば必要絶縁距離1mmが確保でき、良好な接続結果が得られることが確認できた。
【0044】
なお、電力リード部材116の形状は、この発明の技術思想に適合するものであればよく、上記実施例に限定されない。例えば、前述の例では、電力リード部材116を、ほぼZ形状に折り曲げ加工し、かつ、その先端の折り曲げ部分が中空構造体128のリード穴118の中心を跨ぐように位置決めするように構成し、さらに、電力リード部材116をリード穴118に押し込むことで電力リード部材116を成形するものとしたが、予め、図2(c)に示す状態のような形状にしておいてもよい。また、電力リード部材116の電極部112と接続される端部の形状は、左右対称のコ字状でもよい。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、表面保護部材と裏面保護部材との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の電力リード部材を、前記裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体からなる端子箱内に導入し、前記端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、前記裏面保護部材は、少なくとも、前記電力リード部材を貫通させる貫通孔を備えた導電性材料からなる導電性補強層を有してなり、かつ、前記端子箱の中空構造体は、前記貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、前記電力リード部材貫通用のリード穴を備え、さらに、前記貫通孔の直径(D1)と前記リード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、前記電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとし、
前記モジュールの製造方法として、1)前記端子箱における中空構造体のリード穴上部もしくはリード穴に一部を貫通させて、前記電力リード部材を位置決めする工程、2)前記位置決めされた電力リード部材における前記太陽電池の電極部に接続する側の端部を、接続ヘッドにより押圧し、前記電極部に当接する工程、および3)前記接続ヘッドを加熱し、前記電力リード部材の端部と前記太陽電池の電極部とを電気的に接続固着する工程とを含むこととしたので、
電気絶縁信頼性及び作業性に優れた電力リード引き出し構造を備え、安価な太陽電池モジュールとその製造方法を提供することを提供することができる。また、前述のように、各種材料を不燃性もしくは難燃性とすることにより、耐火性に優れたモジュールが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関わる太陽電池モジュールの模式的部分拡大図
【図2】本発明に関わる電力リード部材の電極部への接続工程を示す図
【図3】従来の太陽電池モジュールの一例の上面図
【図4】図3のA−A側断面図
【図5】従来の電力端子箱の側断面図
【図6】図5の電力端子箱の上面図
【図7】従来の太陽電池モジュールの諸構造を概括的に示す模式的断面図
【符号の説明】
101:太陽電池、106:透光性樹脂層、108:絶縁性樹脂層、110:非受光面側積層体、111:導電性補強層、112:電極部、115:接続ケーブル、116:電力リード部材、117:貫通孔、118:リード穴、124:端子、126:固定ネジ、127:蓋部材、128:中空構造体、150:太陽電池モジュール、160:電極取出し部、180:接続ヘッド。
【発明の属する技術分野】
この発明は、太陽電池モジュール、特に、太陽電池で発生した電力を外部に取り出す電力リード引き出し装置の構造とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池としては、結晶系,非結晶系の双方が使用されるが、非晶質太陽電池を用いた薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コストの安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太陽電池の主流となると考えられ、電力供給用以外に、建物の屋根や窓などにとりつけて利用される業務用,一般住宅用にも需要が広がってきている。
【0003】
近年では、プラスチックフィルムを用いたフレキシブルタイプの太陽電池の研究開発がすすめられており、このフレキシブル性を生かし、ロールツーロール方式やステップロール方式等の製造方法により大量生産が可能となっている。
【0004】
上記薄膜太陽電池モジュールとして、電気絶縁性を有するフィルム基板上に形成された太陽電池を、電気絶縁性の保護材により封止するために、太陽電池の受光面側および非受光面側の双方に保護層を設けたものが知られている。
【0005】
図3および図4は、本願出願人により提案された特許文献1に記載された太陽電池モジュールの構造の一例を示し、その電力リード引き出し装置構造の詳細を、図5および図6に示す。
【0006】
図3,4に示す太陽電池モジュールにおいては、太陽電池1の太陽光入射側である受光面側に、EVA(エチレンビニルアセテート)などを使用した接着層2、並びにETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン)などを使用した防湿層3、EVAにガラス繊維を充填して機械的強度を高めた強化層4、その上にETFEなどを使用した汚損物質付着防止の表面保護層5からなる耐候性保護層としての受光面側保護層6が積層され、太陽電池1を保護している。
【0007】
また太陽光入射側と反対側である非受光面側には、接着層7、防水と電気絶縁を兼ねたETFEやポリイミドを使用した絶縁層8、補強層11との接合の役目をなすEVAなどを使用した接着層9が積層されて非受光面側保護層10が形成され、その上に積層された金属製平板などを使用した補強層11が接着されており、上記各層は加圧熱融着ラミネートで一体化されている。なお、各層のラミネートは、一般に、図4における紙面上部の表面保護層5から順に下方に向かって行われるが、太陽電池1と接着層2は、あらかじめ一体化されている。また、ニーズに応じて、一部の層を省略することがある。
【0008】
さらに、受光面側保護層6、非受光面側保護層10、補強層11は太陽電池1の側方の非発電領域まで延長され、非発電領域には略四角形状の太陽電池1の両側辺に沿って平行的に平箔銅線の電力リード線12が配置され、導電性粘着テープ若しくはハンダ付け平箔銅線の渡り線13で太陽電池1の図示しないプラス極、またはマイナス極にそれぞれ接続されている。
【0009】
また、電力リード線12の端部近傍には、発電した電力を外部に引出す中継をなす電力端子箱14が補強層11に接着、またはネジ止めで固定されており、電力リード線12とケーブル15が接続線16で電気的に接続されて全体として四角形で平板状の太陽電池モジュール50を形成している。
【0010】
ここで、電力リードの取出し構造について、以下に詳述する。図5は電力端子箱14の断面図で図4とは上下反対に示している。また図6は電力端子箱14のフタ27を外した上面図である。
【0011】
図5,6において、電力リード線12のほぼ直上から補強層11、接着層9、絶縁層8、接着層7を貫通して穴17が開けられ、電力リード線12の表面が露出し、また穴17の上に電力端子箱14の穴18がほぼ同軸上に並ぶように、補強層11に当接してベース台28が配置され、補強層11に接着固定、または図示しないネジで締結固定されている。
【0012】
上記穴17には、例えば銅線を使用した接続線16が挿入され、端部が電力リード線12とハンダ接合されている。接続線16はベース台28の穴18を通ってベース台28の端子台19に導かれ、その端部は端子台19のネジ20で逆流防止ダイオード21のリード線22と共に締結固定される。また逆流防止ダイオード21の他方のリード線23は端子台24に導かれ、ケーブル15の導体芯線25とともにネジ26で締結固定されている。なお、逆流防止ダイオード21は太陽電池1のプラス極側、若しくはマイナス極側のいずれか一方に挿入すれば、その役目を果たすことができるため、不要な場合は外して接続線16を直接、端子台24につなぎ込まれる。
【0013】
また、穴17、穴18には水分侵入による絶縁不良を無くすため、防水・絶縁性の樹脂が充填され、同様に端子台19、24ネジ20、26も防水性樹脂で覆われており、蓋27がベース台28に被せられ、接着もしくは図示しないネジで締結固定されて電力端子箱14を形成している。
【0014】
ところで、太陽電池モジュールを住宅の屋根に搭載する場合、防火に対する法規制に合致することが建築物として認可される上で必要な要件の1つである。例えば、木造建築物の場合、飛び火による延焼を防ぐため、屋根は不燃材で葺くこととされている。このため、従来構造の太陽電池を搭載するとき、屋根材としての太陽電池の耐火性を高めるために裏面保護部材に金属板、例えば鋼板を用いたものが用いられ、表面保護部材としては、ガラス板を用いたものが用いられている。太陽電池モジュールに可とう性をもたせるためには、ガラス板を用いずに、難燃性の前記ETFEを用いる場合もある。裏面保護部材としては、アルミニウム箔を耐候性フィルムでサンドイッチ構造とした耐候・耐湿フィルム、無塗装の亜鉛メッキ鋼板のような薄い鋼板、屈曲性や硬さなどの観点からポリエステル樹脂やアクリル樹脂がコーディングされた鋼板等が用いられる。
【0015】
上記のように、ニーズに応じて、種々の太陽電池モジュールのタイプがある。図7は、太陽電池モジュールの諸構造を概括的に示す模式的断面図で、主要部材のみを示している。図7(a)は、ガラス板を用いた一般的な構造の太陽電池モジュールに相当し、221は太陽電池、222は表面保護部材(ガラス板)、223は裏面保護部材としての背面材(アルミ箔ラミネートポリフッ化ビニール、224は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。
【0016】
図7(b)は、所謂スーパーストレート構造に相当し、ガラス基板に直接太陽電池を形成したもので、231はガラス基板太陽電池、233は背面材(アルミ箔ラミネートポリフッ化ビニール)、234は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。また、図7(c)は、所謂サブストレート構造であって、SUS基板またはプラスチック基板に太陽電池を形成し、表面保護部材としてプラスチックの保護膜を用いたもので、241は太陽電池、242は表面保護膜(ETFEまたはFEP)、243は背面構造支持体(表面処理AL−亜鉛鋼板)、244は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。
【0017】
さらに、図7(d)は、フレキシブルモジュールであって、表面保護部材および裏面保護部材としてプラスチックフィルムの保護膜を用いたもので、251は太陽電池、252は表面保護膜(ETFEまたはFEP)、253は裏面保護膜(ETFE,FEP,PVF等)、254は接着性樹脂封止材(EVA)を示す。さらにまた、図7(e)は、図7(d)の表面保護部材および裏面保護部材において、強化層としてガラス不織布265を追加したものを示す。
【0018】
上記以外にも、種々の太陽電池モジュール構造があり、ニーズに適した構造が採用される。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−111032号公報(第2−3頁、図3−8)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図5および図6に示すような電力リード引き出し構造を備えた従来の太陽電池モジュールにおいては、以下のような問題点がある。
【0021】
図5において、接続線16が挿入される円形若しくは四角形の穴17は補強層11にも形成されるが、補強層11として、モジュールの耐火性向上のために、鋼板のような導電性材料を用いた場合、補強層11に穴を加工すると、導電材料が露出するため、その中を通る接続線16の位置精度によっては、導電材料と接触して絶縁不良が発生する可能性がある。
【0022】
この絶縁不良を回避する方法としては、穴17の導電材料露出部の絶縁処理や、充分な絶縁被覆を有する接続線16を使うなどの方法が考えられるが、いずれも部品コストおよび作業コストが増大する問題がある。
【0023】
また、接続線16の端部を電力リード線12とハンダ接合する工程に関しても、電力リード線12の所定の位置に、接続線16を精度よく位置合わせすることが困難であり、電気的な接続は、人手によるハンダ付け作業となるので、生産性が低く、量産には不向きであるという問題もある。
【0024】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、電気絶縁信頼性及び作業性に優れた電力リード引き出し構造を備え、かつ耐火性を有し安価な太陽電池モジュールとその製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明においては、表面保護部材と裏面保護部材との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の電力リード部材を、前記裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体からなる端子箱内に導入し、前記端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、前記裏面保護部材は、少なくとも、前記電力リード部材を貫通させる貫通孔を備えた導電性材料からなる導電性補強層を有してなり、かつ、前記端子箱の中空構造体は、前記貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、前記電力リード部材貫通用のリード穴を備え、さらに、前記貫通孔の直径(D1)と前記リード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、前記電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとする(請求項1の発明)。
【0026】
上記構成により、電力リード部材と導電性補強層との間の電気絶縁性が容易かつ精度よく確保でき、また、後述する請求項7の発明の製造方法により、量産に好適な作業性に優れた電力リードの引き出し構造が実現できる。
【0027】
また、前記発明の実施態様としては、下記請求項2ないし6の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記端子箱を、前記太陽電池の正極および負極の各々に対応して個別に設けたものとする(請求項2の発明)。この構成によれば、太陽電池の内部リード線の引き回し距離が短くなり、その分、電力損失が低減でき、また、作業性も向上する。
【0028】
さらに、請求項1または2に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材は、その一端を予め前記端子箱内に導入した前記接続ケーブルの端子に電気的に接続固定し、その他端を予め前記リード穴近傍に配設し、かつ弾性と導電性とを有するものとし、さらに、前記端子箱は、少なくとも前記リード穴と対向する蓋部材を有し、この蓋部材を開として前記電力リード部材の他端を押圧することにより、前記リード穴を貫通して前記太陽電池の正極または負極の電極部に接続可能に構成する(請求項3の発明)。この構成は、絶縁性の信頼性の確保の観点から好ましく、また、後述する請求項7に記載の製造方法との関連で好適である。
【0029】
上記効果は、下記請求項4の発明によれば、さらに向上する。即ち、前記請求項3に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材の他端は、断面コ字状もしくはコ字の対向する2辺の内の1辺が傾斜したコ字状であって前記蓋部材に対向して開いた形状を有し、前記リード穴を電力リード部材が貫通する際に、前記コ字状部がリード穴に挿入されることによって生ずる弾性力により、リード穴内に電力リード部材が位置決めされる構成を備えるものとする。
【0030】
また、耐火性向上の観点から、下記請求項5ないし6の発明が好ましい。即ち、前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記中空構造体の内部とリード穴および貫通孔内に、耐熱性樹脂を充填してなるものとする(請求項5の発明)。さらに、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記少なくとも導電性補強層を有する裏面保護部材は、鋼板からなるものとする(請求項6の発明)。
【0031】
モジュールの製造方法としては、前述のように量産性の観点から、下記請求項7の発明が好ましい。即ち、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、下記の工程を含むこととする。
1)前記端子箱における中空構造体のリード穴上部もしくはリード穴に一部を貫通させて、前記電力リード部材を位置決めする工程。
2)前記位置決めされた電力リード部材における前記太陽電池の電極部に接続する側の端部を、接続ヘッドにより押圧し、前記電極部に当接する工程。
3)前記接続ヘッドを加熱し、前記電力リード部材の端部と前記太陽電池の電極部とを電気的に接続固着する工程。
【0032】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0033】
図1および図2は、この発明に関わる太陽電池モジュールの実施例の模式的構成図およびその製造方法の説明図を示し、それぞれ、電力リード取り出し部を拡大して示す。
【0034】
図1(a)は、非受光面側からみた太陽電池モジュールの部分拡大平面図、図1(b)はその側断面図である。
【0035】
図1において、太陽電池101の非受光面側には電極部112が太陽電池101と電気的に接続された状態で取付けられており、電極部112の非受光面側は、電極取出し部160を除いて、図示しない絶縁層により絶縁されている。また、太陽電池101の非受光面側には、絶縁性封止層108(例えば、EVAまたは難燃化したEVA)と導電性補強層111(例えば、ガルバリウム鋼板,川崎鋼板製 レジノカラーG)が一体化され非受光面側積層体110として配置され、この非受光面側積層体110には、内径D1の貫通孔117が予め開けられている。
【0036】
電極部112が取付けられた太陽電池101と非受光面側積層体110を、電極取出し部160と貫通孔117との位置が合うように位置合わせした状態で積層し、さらに、太陽電池101の受光面側に透光性封止層106(例えば、EVAを介してETFE)を積層した状態で、加圧熱接着ラミネートにより一体化し太陽電池モジュール150を形成する。
【0037】
接続ケーブル115には、端子124が電気的に接続された状態で取付けられ、貫通穴を通して、電気絶縁性材料、例えば、難燃性のザイロン(旭化成(株)
製 型番540Z)からなる中空構造体128内部に導入され、固定ネジ126により端子124が中空構造体128に固定されている。中空構造体128には内径D2のリード穴118が開けられており、非受光面側積層体110の貫通孔117と中空構造体128のリード穴118に中心が合うように位置合わせされた状態で、中空構造体128は導電性補強層111に接着固定されている。
【0038】
端子124には予め電力リード部材116が電気的に固定されており、この電力リード部材116をリード穴118と貫通孔117とを通して電極部112に接続することにより、太陽電池モジュール150の電力を接続ケーブル115に取り出すことができる。中空構造体128の内部および貫通孔117とリード穴118の内部は、図示ない充填剤(例えば、難燃性樹脂である信越化学製 KE200)を充填した後、蓋部材127を取付けて中空構造体128内を絶縁保護する。
【0039】
次に請求項7の発明に関わり、電力リード部材116の電極部112への接続方法について、図2に基き説明する。
【0040】
図2の(a)〜(d)は前記接続工程を段階的に示す電力リード取出し部の側断面図である。
【0041】
図2(a)に示すように、本実施例においては、ほぼZ形状に折り曲げ加工した電力リード部材116を、電力リード部材116の先端の折り曲げ部分が中空構造体128のリード穴118の中心を跨ぐように位置決めした状態で、中空構造体128に固定された端子124に電気的に固定する。次に、図2(b)および(c)に示すように、リード穴118の中心の上方に設置され上下方向に移動可能な接続ヘッド180を下降させて、電力リード部材116をリード穴118に押し込むことにより電力リード部材116を成形していく。
【0042】
続いて、図2(d)に示すように、電力リード部材116を電極部112に押した状態で下降を停止し、接続ヘッド180を加熱して電力リード部材116と電極部112とを半田を介して電気的に接続する。所定時間加熱して接続後、接続ヘッド180を冷却して上昇させ、接続工程を終了する。
【0043】
本実施例では、貫通孔117の内径D1を10mmとして非受光面側積層体110の加工を行い、リード穴118の内径D2を5mmとして中空構造体128の加工を行い、幅3mm厚さ0.2mmの断面形状を持つハンダコート銅線を電力リード部材116と電極部112とに使用して、前述の接続を行った。その結果、非受光面側積層体110と中空構造体128の位置精度、つまり貫通孔117とリード穴118の中心位置のズレが1mm以内であれば必要絶縁距離1mmが確保でき、良好な接続結果が得られることが確認できた。
【0044】
なお、電力リード部材116の形状は、この発明の技術思想に適合するものであればよく、上記実施例に限定されない。例えば、前述の例では、電力リード部材116を、ほぼZ形状に折り曲げ加工し、かつ、その先端の折り曲げ部分が中空構造体128のリード穴118の中心を跨ぐように位置決めするように構成し、さらに、電力リード部材116をリード穴118に押し込むことで電力リード部材116を成形するものとしたが、予め、図2(c)に示す状態のような形状にしておいてもよい。また、電力リード部材116の電極部112と接続される端部の形状は、左右対称のコ字状でもよい。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば前述のように、表面保護部材と裏面保護部材との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の電力リード部材を、前記裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体からなる端子箱内に導入し、前記端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、前記裏面保護部材は、少なくとも、前記電力リード部材を貫通させる貫通孔を備えた導電性材料からなる導電性補強層を有してなり、かつ、前記端子箱の中空構造体は、前記貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、前記電力リード部材貫通用のリード穴を備え、さらに、前記貫通孔の直径(D1)と前記リード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、前記電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとし、
前記モジュールの製造方法として、1)前記端子箱における中空構造体のリード穴上部もしくはリード穴に一部を貫通させて、前記電力リード部材を位置決めする工程、2)前記位置決めされた電力リード部材における前記太陽電池の電極部に接続する側の端部を、接続ヘッドにより押圧し、前記電極部に当接する工程、および3)前記接続ヘッドを加熱し、前記電力リード部材の端部と前記太陽電池の電極部とを電気的に接続固着する工程とを含むこととしたので、
電気絶縁信頼性及び作業性に優れた電力リード引き出し構造を備え、安価な太陽電池モジュールとその製造方法を提供することを提供することができる。また、前述のように、各種材料を不燃性もしくは難燃性とすることにより、耐火性に優れたモジュールが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関わる太陽電池モジュールの模式的部分拡大図
【図2】本発明に関わる電力リード部材の電極部への接続工程を示す図
【図3】従来の太陽電池モジュールの一例の上面図
【図4】図3のA−A側断面図
【図5】従来の電力端子箱の側断面図
【図6】図5の電力端子箱の上面図
【図7】従来の太陽電池モジュールの諸構造を概括的に示す模式的断面図
【符号の説明】
101:太陽電池、106:透光性樹脂層、108:絶縁性樹脂層、110:非受光面側積層体、111:導電性補強層、112:電極部、115:接続ケーブル、116:電力リード部材、117:貫通孔、118:リード穴、124:端子、126:固定ネジ、127:蓋部材、128:中空構造体、150:太陽電池モジュール、160:電極取出し部、180:接続ヘッド。
Claims (7)
- 表面保護部材と裏面保護部材との間に、複数個の太陽電池素子を直列または並列接続した太陽電池を接着性樹脂により封止してなり、前記太陽電池の正極および負極の電力リード部材を、前記裏面保護部材を貫通させて、電気絶縁性材料製の中空構造体からなる端子箱内に導入し、前記端子箱内に別途導入した外部の接続ケーブルの端子に電気的に接続してなる太陽電池モジュールにおいて、前記裏面保護部材は、少なくとも、前記電力リード部材を貫通させる貫通孔を備えた導電性材料からなる導電性補強層を有してなり、かつ、前記端子箱の中空構造体は、前記貫通孔に対向してその中心を位置合わせした、前記電力リード部材貫通用のリード穴を備え、さらに、前記貫通孔の直径(D1)と前記リード穴の直径(D2)との差(D1−D2)の1/2が、少なくとも、前記電力リード部材と導電性補強層との間の所定の電気絶縁距離以上の寸法を備えるものとすることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記端子箱を、前記太陽電池の正極および負極の各々に対応して個別に設けたことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1または2に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材は、その一端を予め前記端子箱内に導入した前記接続ケーブルの端子に電気的に接続固定し、その他端を予め前記リード穴近傍に配設し、かつ弾性と導電性とを有するものとし、さらに、前記端子箱は、少なくとも前記リード穴と対向する蓋部材を有し、この蓋部材を開として前記電力リード部材の他端を押圧することにより、前記リード穴を貫通して前記太陽電池の正極または負極の電極部に接続可能に構成することを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項3に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記電力リード部材の他端は、断面コ字状もしくはコ字の対向する2辺の内の1辺が傾斜したコ字状であって前記蓋部材に対向して開いた形状を有し、前記リード穴を電力リード部材が貫通する際に、前記コ字状部がリード穴に挿入されることによって生ずる弾性力により、リード穴内に電力リード部材が位置決めされる構成を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記中空構造体の内部とリード穴および貫通孔内に、耐熱性樹脂を充填してなることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記少なくとも導電性補強層を有する裏面保護部材は、鋼板からなることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
1)前記端子箱における中空構造体のリード穴上部もしくはリード穴に一部を貫通させて、前記電力リード部材を位置決めする工程。
2)前記位置決めされた電力リード部材における前記太陽電池の電極部に接続する側の端部を、接続ヘッドにより押圧し、前記電極部に当接する工程。
3)前記接続ヘッドを加熱し、前記電力リード部材の端部と前記太陽電池の電極部とを電気的に接続固着する工程。
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JP2011054662A (ja) | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Sanyo Electric Co Ltd | 太陽電池モジュール |
JP2013143481A (ja) * | 2012-01-11 | 2013-07-22 | Sharp Corp | 太陽電池モジュール、及び、その製造方法 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376492A patent/JP2004207584A/ja active Pending
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