JP2004205719A - 巻き付け型光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長手方向にスリットが設けられたスペーサ2と、該スペーサ2のスリット3に収納された光ファイバ4と、該光ファイバ4を収納したスリット3の開口部を覆った覆い体5と、該覆い体5の外周に設けられた保護層7とを備えてなり、前記覆い体5は硬質物で形成されていることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻き付け型光ファイバケーブルに関するものであり、特に外部衝撃対策を施した巻き付け型光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、架空送電線分野においても光ファイバを使って情報を伝達することが行われており、光ファイバを架空送電線に適用するための実施形態としては、二つの形態がある。
【0003】
その一つは架空地線に光ファイバを内臓させた光ファイバ内蔵型架空地線(OPGW)であり、他の一つは既設の架空地線の外周に、光ファイバケーブルを所定のピッチで巻き付ける、いわゆる巻き付け型光ファイバケーブル(GWWOP)である。
【0004】
光ファイバ内蔵型架空地線(OPGW)は、光ファイバをアルミ被覆鋼撚り線等からなる架空地線の内部に内蔵させた構造である。このように、光ファイバ内蔵型架空地線においては、光ファイバがアルミ被覆鋼撚り線等からなる架空地線の内部に内蔵されているため、光ファイバは外からの衝撃に対しては非常に強いという利点があるが、一旦光ファイバに断線等があると、その修理補修が困難で架空地線全体を張替えなければならないという問題がある。
【0005】
一方、巻き付け型光ファイバケーブル(GWWOP)は、既設の架空地線を利用して迅速にしかも低コストで情報伝達システムを構築できると共に点検・保守等が容易であるという利点があるが、外部衝撃に弱いという問題があった。
【0006】
すなわち、図4に示すように、従来の巻き付け型光ファイバケーブル20は、FRPロッド等からなるテンションメンバ21の周りに光ファイバ素線22を撚り合わせ、その外周に遮熱テープを巻き付けて遮熱層23を形成し、その外周に耐熱性のフッソ樹脂層24を形成した構造であり、この巻き付け型光ファイバケーブル20は、図5に示すように架空地線30の外周に所定のピッチで巻き付けて使用するものである。
【0007】
上記のように、従来の巻き付け型光ファイバケーブル20は光ファイバ素線22の外周が樹脂層で覆われた構造であるため、外部衝撃、例えばカラスの嘴でつつかれる、飛来物が衝突する等の外部衝撃によって光ファイバ素線22が断線する等の問題があった。
【0008】
上記問題を解決するために、特許文献1に記載されているように、外周に光ファイバケーブルを巻き付けた架空電線を鉄塔に引き留めてなる鉄塔付近の架空電線の外周に光ファイバ保護カバーを装着したものがある。
【0009】
【特許文献1】特開平8−280124号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、鉄塔付近の架空電線の外周に光ファイバ保護カバーを装着すると、鉄塔付近の光ファイバケーブルを、カラスの害から守ることが出来るが、保護カバーが無い部分の光ファイバケーブルは保護できないという問題があった。
【0011】
そこで光ファイバケーブルを広範囲に保護するために、保護カバーを鉄塔付近だけではなく広範囲に装着することが考えられるが、このようにすると風圧が増加するという問題があると共に保護カバーと光ファイバケーブルの接触部分が増加し、振動などで保護カバーが振れると光ファイバケーブルが磨耗・損傷しやすくなるという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決した巻き付け型光ファイバケーブルを提供するもので、その構成は、長手方向にスリットが設けられたスペーサと、該スペーサのスリットに収納された光ファイバと、該光ファイバを収納したスリットの開口部を覆った覆い体と、該覆い体の外周に設けられた保護層とを備えてなり、前記覆い体は硬質物で形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
覆い体は、スリットの開口部と共にスペーサ外周も覆っておくことが好ましい。
【0014】
また、スペーサおよび覆い体はアルミまたはFRPで形成することが好ましい。
【0015】
上記のように、スペーサのスリットに光ファイバを収納し、該スリットの開口部を硬質物の覆い体で覆うと、光ファイバを硬質物の覆い体で保護することができる。このために光ファイバを外部衝撃から守ることができる。
【0016】
覆い体で、スリットの開口部と共にスペーサ外周も覆っておくと、光ファイバを大きな外部衝撃から守ることができる。
【0017】
また、スペーサおよび覆い体をアルミまたはFRPで形成すると、光ファイバを大きな外部衝撃から守ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る巻き付け型光ファイバケーブルの断面図、図2は図1の要部拡大断面図である。
【0019】
この巻き付け型光ファイバケーブル1は、スペーサ2と、該スペーサ2のスリット3に収納された光ファイバ4と、該光ファイバ4が収納されたスペーサ2のスリット3を覆った覆い体5と、該覆い体5の外周に形成された保護層7とを備えている。
【0020】
スペーサ2は、アルミ又はFRP等の樹脂で形成されており、長手方向にスリット3が形成されている。スリット3は、スペーサ2の外周の4箇所に等間隔で設けられていると共に長手方向に螺旋状に形成されており、かつ底が角ばって形成されている。なお、スリットの底の形状は丸みを持って形成してもよい。
【0021】
スリット3には、光ファイバ4が収納されている。なお本発明において光ファイバ4とは、光ファイバ素線、該光ファイバ素線を撚り合わせた光ファイバユニット、該光ファイバユニットに被覆を被せた光ファイバケーブル等指すものである。実施例においては、6芯の光ファイバユニット4が各スリット3内に収納されている。
【0022】
スリット溝3の開口部には、段部6が形成されており(図2参照)、該段部6に覆い体5が取り付けられている。これによってスリット溝3の開口部が閉じられている。覆い体5は、アルミ等の金属またはFRP等の樹脂で作られている。段部6の深さは覆い体5の厚さに略等しくしてある。これによって覆い体5の外周とスペーサ2の外周が滑らかに接するようになり、後述する保護層7の形成が容易になる。
【0023】
覆い体5及びスペーサ2の外周にはフッソ樹脂等の耐熱性樹脂の保護層7が形成されている。
【0024】
上記構成の巻き付け型光ファイバケーブルは、架空地線等の外周に所定のピッチで巻き付けて使用するが、スペーサ2のスリット3に光ファイバ4を収納し、スリット3の開口部を硬質物の覆い体5で覆うため、光ファイバ4を外部衝撃から守ることができる。
【0025】
図3は本発明に係る巻き付け型光ファイバケーブルの他の実施形態を示す断面図である。
この巻き付け型光ファイバケーブルは、スペーサ2と、該スペーサ2のスリット3に収納された光ファイバ4と、該光ファイバ4が収納されたスペーサ2のスリット3を覆った覆い体5と、該覆い体5の外周に形成された保護層7とを備えている点は前記実施形態と同じであるが、スリット3の数が3個である点、スリット3の底面が円弧状である点、覆い体5はスペーサ2のスリット3部分のみでなく、スペーサ2の外周も覆っている点で前記実施例と相違している。
【0026】
覆い体5は、半円形状の二つ割型で、アルミまたはFRP等で形成されており、スペーサ2のスリット3部分及びスペーサ2の外周部分を覆って取り付けられている。この覆い体5はスリット3部分及びスペーサ2の外周部分を覆って取り付けた際、二つ割型の接合面51が相互に嵌合するように、接合面51には凹凸部が形成されている。この接合面51は接着等をせずに滑りが生じるようにしておくと、架空地線等に巻き付ける際に巻き付けやすくなって好ましい。
【0027】
なお、上記実施形態においては、覆い体5を半円形状の二つ割型にしたが、覆い体5は三つ割型、四つ割り型等としてもよい。また覆い体5はパイプ状に一体化した構造としてもよい。
【0028】
このように、覆い体5でスペーサ2のスリット3部分のみでなく、スペーサ2の外周も覆うと、光ファイバ4を強い外部衝撃から守ることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る巻き付け型光ファイバケーブルは、スペーサのスリットに光ファイバを収納し、該スリットの開口部を硬質物の覆い体で覆う構造であるため、光ファイバを外部衝撃から守ることができる。また従来のように保護カバーを必要としないので風圧を増加させることがなく、しかも保護カバーで架空地線等に巻き付けた光ファイバケーブルを損傷させるという問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻き付け型光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図。
【図4】従来の巻き付け型光ファイバケーブルの一実施形態を示す断面図。
【図5】巻き付け型光ファイバケーブルの使用状態を示す正面図。
【符号の説明】
1 巻き付け型光ファイバケーブル
2 スペーサ
3 スリット
4 光ファイバ
5 覆い体
7 保護層
Claims (3)
- 長手方向にスリットが設けられたスペーサと、該スペーサのスリットに収納された光ファイバと、該光ファイバを収納したスリットの開口部を覆った覆い体と、該覆い体の外周に設けられた保護層とを備えてなり、前記覆い体は硬質物で形成されていることを特徴とする巻き付け型光ファイバケーブル。
- 覆い体は、スリットの開口部と共にスペーサ外周も覆っていることを特徴とする請求項1記載の巻き付け型光ファイバケーブル。
- スペーサおよび覆い体がアルミまたはFRPで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の巻き付け型光ファイバケーブル。
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