JP2004205643A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中抜け画像がない良質な画像であって、多重転写時においても高い転写率を確保し、廃トナー回収系の無い小型、高密度、低コストのクリーナーレス画像形成装置に対応可能にする。
【解決手段】所定の移動方向に移動し所定のトナーTによるトナー像を担持する像担持体1と、前記像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動する被転写体2と、前記像担持体1上のトナー像を前記被転写体2に転写する転写手段3とを有する画像形成装置において、像担持体1の移動速度をVp、被転写体2の移動速度をVt、両者の移動速度比を|(Vt−Vp)|/Vp=Vrとしたとき、Vr≧0.009なる関係を満たすと共に、像担持体1の動摩擦係数をμk、像担持体1上の算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03なる関係を満たす。
【選択図】 図1
【解決手段】所定の移動方向に移動し所定のトナーTによるトナー像を担持する像担持体1と、前記像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動する被転写体2と、前記像担持体1上のトナー像を前記被転写体2に転写する転写手段3とを有する画像形成装置において、像担持体1の移動速度をVp、被転写体2の移動速度をVt、両者の移動速度比を|(Vt−Vp)|/Vp=Vrとしたとき、Vr≧0.009なる関係を満たすと共に、像担持体1の動摩擦係数をμk、像担持体1上の算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03なる関係を満たす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置に関し、特に、像担持体上のトナー像を被転写体上に高効率で転写することができ、クリーナレスに対応可能な画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルカラー画像を形成する場合に、像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に転写する方式として、搬送ベルト上に搬送される記録紙等に直接転写を行う直接転写方式と、像担持体と所定の転写位置において同方向に移動する中間転写ベルト等の中間転写体に繰り返しトナー像を転写し、四色のトナー像を中間転写体上に形成して、記録紙等へ一括転写する中間転写方式とが用いられている。
近年では、フルカラー画像の高画質化や各種記録紙への対応等の要請から、特に中間転写方式が広く用いられるとともに、転写手段には、コロトロンなどの非接触方式のものより、転写ロールなどの接触方式のものが主流となっている。
また、いずれの方式を用いる場合であっても、像担持体上のトナー像が記録紙や中間転写体に転写された後、像担持体上の残留トナーは、クリーナによってクリーニングされる。
【0003】
上記態様においては、転写率が低く、残留トナーが多いとトナーの消費量が多くなるとともに、クリーナによるクリーニング負担が増加することによりランニングコストが高くなり、また、像担持体の摩耗が早くなってしまうという問題が生じてしまう。
更に、フルカラー画像を形成する場合に、中間転写体に各色トナー像が順次多重転写されるのに伴って、中間転写体上のトナー層が厚くなる。このため、中間転写体と像担持体とが当接する転写位置において、当接圧が高くなり、像担持体上のトナーの付着力が局所的に強くなってしまう。
この結果、像担持体上に形成されたトナー像の一部が中間転写体上に転写されない「中抜け現象」が生じてしまう問題もある。
【0004】
このような問題を解決するために、以下のような先行技術が提案されてきた。例えば、感光ドラム(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の周速(Vdrum)と中間転写ベルト(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)の周速(Vitb)との比を1.002≦Vitb/Vdrum≦1.020とし、且つ、感光ドラムと中間転写ベルトとが当接する当接圧を10g/cm以上、70g/cm以下に設定することで、一次転写部位において、中抜け画像の発生を防止する提案(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、潜像形成媒体(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の移送速度は、記録媒体(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)の移送速度よりも速く設定されることを特徴とし、転写時の静電気力に加え、記録媒体と潜像形成媒体外周との間に摩擦力を与え、トナー像を潜像形成媒体から引き剥がすようにすることで、トナー像の残留を防止する提案(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
更に、転写回転体(本件では転写手段に相当する。以下同じ。)の表面移動速度を像担持体の表面移動速度よりも速く駆動させることで、転写回転体と像担持体との間を通過する被記録材(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)と、像担持体との移動速度に差を設け、且つ、転写回転体の表面摩擦力を像担持体の表面摩擦力に対し3〜20倍に設定することにより、文字画像の中抜けを防止すると同時に、転写回転体のクリーニング性を維持する提案(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
更にまた、感光体(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の表面保護層が、5.0〜70.0重量%のフッ素原子含有樹脂粒子を含有し、且つ、表面粗さを10点平均面粗さ0.1〜5.0μmに設定すると共に、感光体の表面保護層の表面摩擦係数を0.001〜1.2にすることでクリーニング性を有する提案(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−162899号公報(第3−7頁、図1)
【特許文献2】
特開平1−237582号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献3】
特開平10−142971号公報(第4−8頁、図1)
【特許文献4】
特開平6−130711号公報(第4−6頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1〜4にあっては、以下のような技術的課題が見られる。
例えば、フルカラー画像を形成する場合において、多重色の転写性を上げるために、転写位置における印加電圧を高くすると、「リトランスファー現象」が生じる。
このような現象は、高い印加電圧により、像担持体と被転写体との当接部において放電が発生し、この放電により被転写体上のトナーのうち上層側(像担持体側)のトナーが本来の帯電極性とは逆極性に帯電してしまうことによるものである。
この結果、被転写体上に転写されたトナーは、像担持体上に再転移し、リトランスファートナーとなってしまう。
このため、多重転写時において、中抜けの防止には有効であっても、転写残留トナーを目視確認できない程度まで転写率を向上させるには不十分である。
また、特許文献3又は4のように、像担持体の動摩擦係数だけを小さくして、像担持体に対するトナーの付着力を弱めたり、像担持体表面の粗さだけを大きくして、像担持体に対するトナーの接触面積を小さくしたりしても、多重転写時において転写残留トナーは、目視確認できる程度になってしまい、転写率は向上しない。
【0010】
このように、像担持体(感光ドラム、潜像形成媒体等)と被転写体(中間転写ベルト、記録媒体等)との間に速度差を設け、静電気力に加えて速度差による外力を与え、トナーを像担持体から引き剥がす技術や、像担持体の表面粗さだけを大きく設定し、トナーと像担持体との接触面積を小さくし、トナーと像担持体との付着力を小さくする技術では、多重転写時においてリトランスファー現象の問題がある。
そのため、クリーナ装置が必須となり、画像形成装置の小型化、像担持体の高寿命化の観点から好ましくない。
【0011】
本発明は、以上の技術的課題を解決するために、中抜け画像がなく、多重転写時においても高い転写率を確保することができる画像形成装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1(a)(b)に示すように、所定の移動方向に移動し所定のトナーTによるトナー像を担持する像担持体1と、前記像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動する被転写体2と、前記像担持体1上のトナー像を前記被転写体2に転写する転写手段3とを有する画像形成装置において、像担持体1の移動速度をVp、被転写体2の移動速度をVt、両者の移動速度比を|(Vt−Vp)|/Vp=Vrとしたとき、Vr≧0.009なる関係を満たすと共に、像担持体1の動摩擦係数をμk、像担持体1上の算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03なる関係を満たすことを特徴とする。
【0013】
このような技術的手段において、本発明の対象となる画像形成装置は、例えば一つの像担持体1に複数の現像装置(図示外)を配設する態様のものは勿論のこと、複数の像担持体1にそれぞれの現像装置を配設する態様のもの(所謂タンデム型)や、これらを組み合わせた態様のもの等も含まれる。
また、像担持体1としては、トナー像を担持するものを広く含むものであり、感光体、誘電体等適宜選定して差し支えなく、その形状についてもドラム状、ベルト状を問わない。
ここで、例えば中間転写型の画像形成装置は、トナー像が形成担持される像形成担持体に中間転写体を備えた態様であるが、本態様の場合には、像形成担持体、中間転写体のいずれもが像担持体1になり得る。
【0014】
また、被転写体2の態様としては、像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動するものであればよく、例えば、直接転写型の画像形成装置にあっては、像担持体1上のトナー像を直接転写する用紙等の記録材が被転写体2であり、また、中間転写型の画像形成装置にあっては、一次転写部位であれば像形成担持体が像担持体1、中間転写体が被転写体2であるし、二次転写部位であれば中間転写体が像担持体1、用紙等の記録材が被転写体2である。
【0015】
そして、転写手段3は、像担持体1上のトナー像を被転写体2へ転写するものであれば、例えば転写ロール等の接触転写部材と、この接触転写部材に転写電圧を印加する転写電源とを具備する等適宜選定して差し支えない。
【0016】
また、移動速度比Vrは、像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとの速度比であるが、移動速度Vpと移動速度Vtとの大小関係はどちらでもよく、転写性を良好に保つという観点からすれば、Vr≧0.009の範囲に設定すればよい。
更に、色ずれを有効に抑えるという観点からすれば、移動速度比VrをVr≦0.05の範囲に設定することがより好ましい。
尚、Vr≧0.009という要件については実施の形態にて詳述する。
【0017】
ここで、図1(b)に示すせん断力Fは、像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtの差によってトナーTに働く力であり、このせん断力FによってトナーTは、像担持体1上を移動する。
つまり、移動速度比Vrが0である場合(像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとが同じとき)、像担持体1上のトナーTが受けるせん断力Fは無く、トナーTは、像担持体1上を移動することはない。
一方、移動速度比Vrがある場合(像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとが異なるとき)、トナーTは、せん断力Fを受けることによって像担持体1上を移動する。
【0018】
また、動摩擦係数μkは、像担持体1上を滑るか転がっているトナーTの動きとは反対方向で、像担持体1とトナーTとの接触面に平行な摩擦力fと、像担持体1とトナーTとが相互に押し合っている接触面に直角に作用する力との比である。
更に、算術平均粗さRaは、図2に示すように、像担持体1表面の粗さ曲線f(x)からその平均線mの方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線mから粗さ曲線f(x)までの偏差の絶対値を合計し、平均した値であり、図に示す式で表される。
【0019】
ここで、動摩擦係数μkと算術平均粗さRaの関係について説明する。
図3(a)▲1▼に示すように、像担持体1の動摩擦係数μkが大きい場合、トナーTと像担持体1との間の摩擦力fが大きいため、トナーTに対してせん断力Fを与えても、トナーTは、像担持体1上を移動しにくい。
一方、図3(a)▲2▼に示すように、像担持体1の動摩擦係数μkが小さい場合、トナーTと像担持体1との間の摩擦力fが小さいため、トナーTは、像担持体1上を移動する。この結果、トナーTは、転写されやすい状態となる。
【0020】
また、図3(b)▲1▼に示すように、トナーTは完全な球形ではないため、像担持体1表面の算術平均粗さRaが小さい場合(平面に近い状態)、トナーTは、ある接触面積Sをもって像担持体1の表面と接触している。この接触面積Sは、像担持体1が平面に近い状態であるため大きくなり、トナーTと像担持体1との間の付着力は大きく働く。
一方、図2(b)▲2▼に示すように、像担持体1表面の算術平均粗さRaが大きい場合(粗面の状態)、接触面積Sは小さく、トナーTと像担持体1とは、点接触に近い状態である。このため、トナーTと像担持体1との間の付着力は小さい状態であり、せん断力FによってトナーTは、容易に像担持体1上を移動することができる。
したがって、像担持体1の動摩擦係数μkが小さく、算術平均粗さRaが大きい状態、つまりRa/μkが大きい像担持体1ほどトナーTと像担持体1との間の付着力は低下し、トナーTに対するせん断力Fの作用が大きくなり、この結果転写性が向上することになる。
尚、転写性を良好に保つという観点からすれば、Ra/μk>0.03の範囲に設定すればよく、この範囲の要件については実施の形態にて詳述する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、いわゆる中間転写型のカラー画像形成装置であり、例えば駆動モータにより回転駆動される像担持体として感光体ドラム10を有し、この感光体ドラム10に対向する位置に中間転写体として中間転写ベルト20を配設すると共に、この中間転写ベルト20の所定部位に二次転写装置として二次転写ロール30を配設し、この二次転写ロール30による二次転写部位を通過した記録材搬送路の下流側に定着装置40を配設したものである。
【0022】
本実施の形態において、感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電器(本例ではスコロトロン)11と、感光体ドラム10上に各色成分(本例では、イエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))静電潜像を書き込むレーザ走査装置等の露光装置12と、感光体ドラム10上の各色成分静電潜像を対応する色トナー(Y,M,C,K)にて可視像化する現像装置(本例ではロータリー型現像装置)13と、感光体ドラム10上に残留する未転写トナー(残留トナー)を清掃するクリーニング装置14とが配設されている。
【0023】
また、中間転写ベルト20は、例えば複数の張架ロール21〜26に掛け渡され、張架ロール21を駆動ロール、張架ロール22を従動ロール、張架ロール23〜25をテンションロールとして、感光体ドラム10との対向部で同方向に回転するように循環回転せしめられている。
そして、感光体ドラム10に対向する中間転写ベルト20の裏面には、例えば、一次転写装置として一次転写ロール27が配設されており、一次転写ロール27には、図示外のバイアス電源から転写電圧が印加され、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との間には、一次転写に必要な転写電界が形成されるようになっている。
更に、中間転写ベルト20のうち、二次転写部位の下流には、中間転写ベルト20上の残留トナーを清掃するベルトクリーニング装置28が設けられている。
【0024】
また、本実施の形態において、二次転写ロール30は、張架ロール26をバックアップロールとして中間転写ベルト20に対向配置されており、中間転写ベルト20と二次転写ロール30との間には、二次転写に必要な転写電界が形成されるようになっている。
更に、記録材Pの搬送系は、二次転写ロール30の上流側に配設されたレジストロール31にて記録材Pを一旦位置決めした後に二次転写部位へ搬送し、ガイドプレート32及び搬送ベルト33を経て記録材Pを定着装置40に搬送するようになっている。
尚、本実施の形態における画像形成装置で画像が形成されるプロセス速度は、二次転写位置で記録材Pに四色の多重色トナー像が転写される速度、すなわち中間転写ベルト20が循環移動する速度に一致するように設定されている。
【0025】
本実施の形態において、感光体ドラム10は、表面の動摩擦係数μkを調整するため、例えば表面層にポリテトラフルオエチレン(以下「PTFE」と称する。)の微粒子を含有したもの等を用いた。
更に、感光体ドラム10の表面粗さは、表面粗さ測定機Surfcom(東京精密株式会社製)を用いて測定し、感光体ドラム10上の算術平均粗さRaを求めた。
【0026】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト20の材料としては、例えばポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂又はゴム等適宜選定して差し支えない。
また、中間転写ベルト20の体積抵抗については、カーボン等の抵抗調整剤を所定量分散配合することによって適宜調整される。
【0027】
また、本実施の形態において、現像装置13に用いる各色トナーは、形状係数Kが134以下、平均粒径が5.0μm以上9μm以下の球形トナー(例えば重合トナー)であれば適宜選定して差し支えなく、クリーニング性、転写性、帯電維持性を確保するため外添剤を添加してもよい。
ここで、形状係数Kは、例えば、光学顕微鏡(ミクロフォトFXA;ニコン社製)で得た該トナーの拡大写真を、イメージアナライザーLuzex3(NIRECO社製)により画像解析を行って、次式より算出した値である。
K={(トナー径の絶対最大長)2/トナーの投影面積}×100π/2
【0028】
尚、形状係数Kは、トナーの投影面積と、それに外接する円の面積の比で表しており、真球の場合100となり、形状が崩れるにつれ増加する。
また、形状係数Kは、トナー粒子複数個に対して計算され、その平均値を代表値としている。
更に、本実施の形態では、0.009≦Vr≦0.05、Ra/μk>0.03を満たすように設定されている。
【0029】
次に本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
感光体ドラム10は、駆動モータにより回転駆動され、帯電器11によりマイナス数百ボルトに均一帯電された後、露光装置12により露光されて静電潜像が形成され、感光体ドラム10上には、現像装置13により順次イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成され、これらトナー像は、順次中間転写ベルト20に一次転写される。
【0030】
一方、中間転写ベルト20は、最初に一次転写されたイエロのトナー像を保持したまま、感光体ドラム10と同一周期で回動し、中間転写ベルト20上には、順次マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像がイエロのトナー像に重ねて転写される。
【0031】
このとき、図1(b)に示すように、感光体ドラム10の移動速度Vpと中間転写ベルト20の移動速度Vtに差を設けることにより、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との間にあるトナーTは、せん断力Fを受け、感光体ドラム10上を移動する。
本実施の形態では、感光体ドラム10の動摩擦係数μkは、小さく設定され且つ算術平均粗さRaは、大きく設定されているため、トナーTと感光体ドラム10との間の付着力は低下し、せん断力FがトナーTに対して有効に働く。この結果、高転写率が得られる。
【0032】
ここで、本実施の形態に係る画像形成装置において、中間転写ベルト20の移動速度Vtが、画像を形成するプロセス速度と一致しており、移動速度比Vrを生じさせるためには、感光体ドラム10の移動速度Vpを変更する必要がある。このため、例えば、中間転写ベルト20の移動速度Vtが感光体ドラム10の移動速度Vpよりも大きい場合において、感光体ドラム10上のトナー像は、中間転写ベルト20に、一次転写されるときには、伸張されることになる。
このとき、移動速度差が極端に異なる場合を除外すれば、記録媒体上に形成される最終画像においては、画像の乱れは生じず、高画質で、且つ高転写率を得ることができる。
【0033】
このように、上記作用によって中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は、図4に示すように、中間転写ベルト20の回動に伴って、張架ロール26(バックアップロール)と二次転写ロール30とが対向する二次転写位置へと搬送される。この二次転写位置へ搬送されたトナー像は、レジストロール31によって所定のタイミングで二次転写位置へ搬送される記録材P上に静電転写される。そして、転写後の記録材Pは、搬送ベルト33によって定着装置40へと導かれ、定着装置40によって定着処理がなされる。
本実施の形態によれば、多重転写時に高転写率の画像形成を実現でき、この性能評価については、実施例に委ねる。
【0034】
【実施例】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態1における画像形成装置を用い(図4参照)、画質及び転写率の測定、評価を行ったものである。
本実施例において、中間転写ベルト20は、ポリイミド樹脂で構成され、100V印加時において、体積抵抗が10logΩ・cmに設定されたものを用い、感光体ドラム10は、表面層にポリテトラフルオエチレンの微粒子を含有したものを使用した。
また、本実施例において、感光体ドラム10の移動速度を200mm/s、中間転写ベルト20の移動速度を202mm/sに設定し、トナーは、平均粒径6.5μm、形状係数Kが118の球形トナーを用い、クリーニング性、転写性、帯電維持性を確保するため外添剤が添加されている。
【0035】
本実施例において、画質評価は、文字、パッチ画像(ベタ画像、ハーフトーン画像)、線画像からなる混合画像チャートを用い、中抜け及び転写ムラを評価する。
また、転写率測定は、ベタパッチ画像の一次色(YMCK:100%)、二次色(Blue,Red:200%)、三次色(Process Black:300%)が並んだチャートを用いて測定する。
【0036】
また、本実施例において、測定方法は、トナー像を形成した後、中間転写ベルト20に一次転写し、中間転写ベルト20上にトナー像が形成され、記録材Pに二次転写される前の状態で画像形成装置を止めて行う。
例えば、トナー像をY,M,C,K色の順で形成する場合、C色が中間転写ベルト20に一次転写された後、クリーニング装置14によりクリーニングされる前に画像形成装置を停止する。
このとき、感光体ドラム10上には、C色の転写残トナーと、中間転写ベルト20上に一次転写されているY,M色の一部が感光体ドラム10上に転移したリトランスファートナーとが載っている。
この転写残トナーとリトランスファートナーとを全てテープ上に転写させて、そのテープとトナー残量限度見本(図5参照)とを対比することにより、転写率のグレード付け評価を行う。
【0037】
図6は、上記測定において、YMCK各色のトナー像を形成する毎に、転写残トナー量とリトランスファートナー量をそれぞれ測定した結果を示す図であり、縦軸は、転写残トナー量及びリトランスファートナー量とトナー残量限度見本とを対比したグレードを表し、横軸は、一次転写ロール27(図4参照)が印加されている転写電圧の大きさを表している。
また、転写残トナー量の測定結果(黒四角印)は、各色のトナー像を形成したときの転写残トナー量のうち、転写残トナー量が最も多い色の傾向曲線を表し、リトランスファートナー量の測定結果(白丸印)は、各色のトナー像を形成したときのリトランスファートナー量のうち、リトランスファーが最も早い色の傾向曲線を表したものである。
【0038】
上記測定結果により、一次転写における転写電圧が高くなると、転写残トナー量は減少するが、一方、転写電圧が高くなるにつれて感光体ドラム10と中間転写ベルト20との当接部において放電が促進されるので、リトランスファートナー量は増加することが理解される。
ここで、本実施例では、両方の傾向曲線の交点をクロスポイントと定義し、クロスポイントにおけるグレードが2以下となるように転写残トナー量及びリトランスファートナー量を制御し、グレード2以下を目標値とした。
このグレード2以下は、最も転写率が悪い状態(通常三次色、あるいは一次色)と、リトランスファー現象が発生しつつある状態とを含めた値であるため、クリーニング装置により、転写後のトナーをクリーニングしなくて済む状態に相当する。
【0039】
尚、K色トナーがY色トナーに混色した場合は、最も色差として感知されるため、Y色トナーの転写残トナーが、残トナー領域として確認できると(グレード3の状態)、色差は、目視により感知されてしまう。
したがって、グレード2の状態におけるトナー残量は、わずかに存在が確認されるが、許容レベルであるため、そのK色トナーの転写残トナーがクリーニングされずにY色と混色されたとしても、色差変動が起きないので、グレード2の評価を得られたものは、転写残トナーをクリーナーで回収しないクリーナーレス画像形成装置に適用できることになる。
【0040】
◎実施例2
本実施例は、実施の形態1に係る画像形成装置を用い(図4参照)、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との周速比を変化させたときにおける画質及び転写率を評価したものである。
尚、本実施例において、周速比は、感光体ドラム10の移動速度Vpと中間転写ベルト20の移動速度Vtとの大小関係を比較するため、(Vt−Vp)/Vpで表される数値を用いている。
【0041】
また、本実施例では、周速比を−0.05〜+0.06まで変化させ、それぞれの周速比において、実施例1と同様の評価をしてクロスポイントを測定した。そして、このクロスポイントにおける中抜け及び転写ムラを評価し、グレードを目視により評価した(図5参照)。
尚、感光体ドラム10、中間転写ベルト20、トナーは、実施例1と略同様のものを使用した。
【0042】
図7は、本実施例の測定結果を示す図である。
同図において、○印、△印、×印は、中抜けと転写ムラの発生状態を表す評価基準であり、それぞれの意味は、○印:発生せず、△印:一部発生が見られる、×印:顕著に発生が見られる、である。
【0043】
同図によれば、周速比が+0.009以上、−0.009以下において、「転写−リトランスファークロスポイント(グレード)」は、2以下の評価が得られた。
したがって、評価2以下を得た周速比の範囲においては、実施例1の結果より、トナー残量は許容レベルであるため、転写残トナーをクリーナーで回収しないクリーナーレス画像形成装置に適用できる。
よって、転写性を良くするという観点から、周速比は−0.009以下、+0.009以上であることが必要であると理解される。
【0044】
一方、同図において、中抜けは、周速比が0(中間転写ベルト20と感光体ドラム10とが等速)の場合に一部発生が見られ、また、転写ムラは、周速比が±0.05のときに一部発生が見られ、+0.06では顕著に発生が見られた。
この転写ムラは、通常の転写不良と異なり、周期性のある筋状の濃度変動によるもので、速度差が大き過ぎてしまうと、感光体ドラム10又は中間転写ベルト20のいずれかが引きずられ、一部回転が生じるためと考えられる。また、この一部回転により色ずれ等が生じてしまうと考えられる。
したがって、周速比を−0.05以上、+0.05以下の範囲に設定することにより、色ずれのない、より良好な画質が得られることになる。
以上の測定結果から、転写性が良く、より良好な画質を得るという観点から、|(Vt−Vp)|/Vp=Vrで表される移動速度比Vrは、0.009以上0.05以下であることが好ましいと理解される。
【0045】
また、本実施例において、周速比が+0.03と−0.03の場合を比較すると、+0.03の場合の方が、転写性の良い結果が得られた。
したがって、転写性を良くするためには、中間転写ベルト20の移動速度Vtを感光体ドラム10の移動速度Vpよりも大きくすることが好ましいことが理解される。
【0046】
◎実施例3
本実施例は、異なる感光体ドラムA〜Eを用い、転写残グレードを測定した実施例である。
本実施例において、感光体ドラムA〜Eの動摩擦係数μkは、図8に示す測定装置50を用いて行った。
同図において、測定装置50は、表面性測定機(HEIDON−14;新東科学社製)であり、測定プローブ51には、平滑なテープ上にトナーを一層均一に形成させたサンプル52を取り付け、そのサンプル52を感光体ドラムA〜Eに接触させるとともに、測定プローブ51上に重り53を載せて、感光体ドラムA〜Eを矢印A方向に回転させたときのロードセル54における動摩擦力を測定するものである。
そして、重り53の種類を横軸、ロードセル54における動摩擦力を縦軸とし、各測定値を結んだ傾きにより感光体ドラムA〜Eの動摩擦係数μkを求めた。尚、本実施例では、サンプル52の大きさを10mm×10mm、重り53を50g、100g、200gに変化させ、それぞれの動摩擦係数μkを測定した。
【0047】
また、本実施例では、感光体ドラムA〜Eの表面粗さは、表面粗さ測定機(Surfcom 590A;東京精密株式会社製)を用いて測定し、感光体ドラムA〜Eの算術平均粗さRaを求めた。
尚、本実施例では、実施例2で用いた画像形成装置に夫々の感光体ドラムA〜Eを取り付け、転写残グレードを評価した。
【0048】
図9は、本実施例の測定結果を示す説明図である。
同図において、動摩擦係数μkが小さい感光体ドラムA、Cは、転写性(転写残グレード)が良いが、これに対し、感光体ドラムB,D,Eに関しては、必ずしも動摩擦係数μkの大小に転写性(転写残グレード)が関係していない。
つまり、図10(a)に示すように、動摩擦係数μkが1.01である感光体ドラムBでは、転写残グレード2が得られるのに対し、動摩擦係数μkがそれよりも小さい0.95である感光体ドラムDでは、転写残グレード4となってしまう。
また、算術平均粗さRaについては、転写性(転写残グレード)と算術平均粗さRaとの間に相関関係が一部見られるが、完全に一致していない。
つまり、図10(b)に示すように、算術平均粗さRaが共に0.02である感光体ドラムCと感光体ドラムDとでは、転写残グレード1と転写残グレード4とになり、転写性(転写残グレード)が一致していない。
【0049】
これに対し、図10(c)に示すように、算術平均粗さRaを動摩擦係数μkで割った指標Ra/μkと転写性(転写残グレード)との間には、相関関係が見られた。
つまり、Ra/μkが大きいほど転写性(転写残グレード)は良くなるという結果が得られた。これは、動摩擦係数μkが小さく且つ算術平均粗さRaが大きいほど、トナーと感光体ドラム(A〜E)との間の付着力が低下し、有効にせん断力がトナーに対して働くためであると理解される。
したがって、本実施例の結果から、動摩擦係数をμk、算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03を満たす像担持体(感光体ドラム)を使用することにより、高い転写性を得ることができる。
【0050】
◎実施例4
本実施例は、トナー粒径及び形状係数Kが異なる5種類のトナーを用いたときにおける画質と転写率を測定した実施例である。
なお、本実施例は、実施例1における画像形成装置を用い(図4参照)、移動速度比Vrを0.01に設定し、その他の装置については実施例1と同様である。
また、評価方法は、実施例2と同様に行った。
【0051】
図11は、本実施例の測定結果を示す図である。
同図によれば、粉砕トナーIにおいては、中抜け発生が顕著に見られ、転写ムラも一部に発生が見られた。
しかし、形状係数Kが134以下と比較的小さく、球形に近い重合トナー(E〜H)においては、これらの画像欠陥は見られなかった。
【0052】
本実施例において、粉砕トナーIは、重合トナー(E〜H)と比べてクロスポイントのグレードが非常に悪化するので、トナー形状は、高い転写率を達成するための一つの制御因子となることが明らかである。
また、重合トナー(E〜H)において、クロスポイントのグレードが最も良好なものは、粒径が6.5μmである重合トナーFのもので、それより粒径が小さくてもグレードが悪化し(例えばE)、一方、粒径が10μmである重合トナーGでは、グレードが大幅に悪化し、目標グレード(グレード2)に達しない。
これは、粒径が小さいトナーは、付着力が強くなるので転写性が悪化し、また粒径が大きいトナーは、トナー層の厚みが増すので、特に多重色の転写性が悪化するためと考えられる。
したがって、134以下の形状係数K、及び5μm以上且つ9μm以下の平均粒径であるトナーを使用することにより、画質と転写率の双方を良好に保つことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体と被転写体との移動速度差を所定レベル以上に増加させ、しかも、像担持体上の算術平均粗さRaを像担持体の動摩擦係数μkで割った指標を一定値以上に設定することにより、以下のような効果を奏する。
すなわち、像担持体と被転写体とに所定の移動速度差を与え、且つ、像担持体の表面性について最適化を図り、トナー低付着性の像担持体を構成するようにしたので、目視限界レベル以下の高転写率を得ることができ、中抜け現象等の転写不良を有効に防止することができる。
また、本発明においては、高転写率を実現することが可能になるため、像担持体については、クリーニング装置により転写後のトナーをクリーニングしなくて済む状態になり、次の画像形成プロセス時の混色による色差を許容レベル内に抑えることができる。
このため、本発明によれば、所謂クリーナーレスの画像形成装置に対応可能になり、廃トナー回収系の無い小型、高密度、低コストの画像形成装置が実現でき、更に、クリーニングブレードによる劣化の無い、長期にわたる像担持体の信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は、転写領域におけるトナーの動きを示す説明図である。
【図2】像担持体の算術平均粗さを求める説明図である。
【図3】(a)は、像担持体の動摩擦係数とトナーとの関係を示す説明図、(b)は、像担持体の算術平均粗さとトナーとの関係を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置の説明図である。
【図5】トナー残量限度見本を示す説明図である。
【図6】YMCK各色のトナー像を形成する毎に転写残トナーとリトランスファートナー量をそれぞれ測定した結果を示す説明図である。
【図7】周速比を−0.05から+0.06まで変化させたときにおける画質と転写率を測定した結果を示す説明図である。
【図8】動摩擦係数を測定する方法を示す説明図である。
【図9】感光体ドラムを変化させたときにおける動摩擦係数、算術平均粗さ及び転写残グレードとの関係を示す説明図である。
【図10】(a)は、感光体ドラムA〜Eにおける動摩擦係数と転写残グレードとの関係を示す説明図、(b)は、算術平均粗さと転写残グレードとの関係を示す説明図、(c)は、算術平均粗さを動摩擦係数で割った指標と転写残グレードとの関係を示す説明図である。
【図11】トナー粒径及び形状係数が異なる5種類のトナーを用いたときにおける画質と転写率を測定した結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1…像担持体,2…被転写体,3…転写手段,T…トナー,Vp…像担持体の移動速度,Vt…被転写体の移動速度,f…摩擦力,Ra…算術平均粗さ,F…せん断力
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置に関し、特に、像担持体上のトナー像を被転写体上に高効率で転写することができ、クリーナレスに対応可能な画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルカラー画像を形成する場合に、像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に転写する方式として、搬送ベルト上に搬送される記録紙等に直接転写を行う直接転写方式と、像担持体と所定の転写位置において同方向に移動する中間転写ベルト等の中間転写体に繰り返しトナー像を転写し、四色のトナー像を中間転写体上に形成して、記録紙等へ一括転写する中間転写方式とが用いられている。
近年では、フルカラー画像の高画質化や各種記録紙への対応等の要請から、特に中間転写方式が広く用いられるとともに、転写手段には、コロトロンなどの非接触方式のものより、転写ロールなどの接触方式のものが主流となっている。
また、いずれの方式を用いる場合であっても、像担持体上のトナー像が記録紙や中間転写体に転写された後、像担持体上の残留トナーは、クリーナによってクリーニングされる。
【0003】
上記態様においては、転写率が低く、残留トナーが多いとトナーの消費量が多くなるとともに、クリーナによるクリーニング負担が増加することによりランニングコストが高くなり、また、像担持体の摩耗が早くなってしまうという問題が生じてしまう。
更に、フルカラー画像を形成する場合に、中間転写体に各色トナー像が順次多重転写されるのに伴って、中間転写体上のトナー層が厚くなる。このため、中間転写体と像担持体とが当接する転写位置において、当接圧が高くなり、像担持体上のトナーの付着力が局所的に強くなってしまう。
この結果、像担持体上に形成されたトナー像の一部が中間転写体上に転写されない「中抜け現象」が生じてしまう問題もある。
【0004】
このような問題を解決するために、以下のような先行技術が提案されてきた。例えば、感光ドラム(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の周速(Vdrum)と中間転写ベルト(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)の周速(Vitb)との比を1.002≦Vitb/Vdrum≦1.020とし、且つ、感光ドラムと中間転写ベルトとが当接する当接圧を10g/cm以上、70g/cm以下に設定することで、一次転写部位において、中抜け画像の発生を防止する提案(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、潜像形成媒体(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の移送速度は、記録媒体(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)の移送速度よりも速く設定されることを特徴とし、転写時の静電気力に加え、記録媒体と潜像形成媒体外周との間に摩擦力を与え、トナー像を潜像形成媒体から引き剥がすようにすることで、トナー像の残留を防止する提案(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
更に、転写回転体(本件では転写手段に相当する。以下同じ。)の表面移動速度を像担持体の表面移動速度よりも速く駆動させることで、転写回転体と像担持体との間を通過する被記録材(本件では被転写体に相当する。以下同じ。)と、像担持体との移動速度に差を設け、且つ、転写回転体の表面摩擦力を像担持体の表面摩擦力に対し3〜20倍に設定することにより、文字画像の中抜けを防止すると同時に、転写回転体のクリーニング性を維持する提案(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
更にまた、感光体(本件では像担持体に相当する。以下同じ。)の表面保護層が、5.0〜70.0重量%のフッ素原子含有樹脂粒子を含有し、且つ、表面粗さを10点平均面粗さ0.1〜5.0μmに設定すると共に、感光体の表面保護層の表面摩擦係数を0.001〜1.2にすることでクリーニング性を有する提案(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−162899号公報(第3−7頁、図1)
【特許文献2】
特開平1−237582号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献3】
特開平10−142971号公報(第4−8頁、図1)
【特許文献4】
特開平6−130711号公報(第4−6頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1〜4にあっては、以下のような技術的課題が見られる。
例えば、フルカラー画像を形成する場合において、多重色の転写性を上げるために、転写位置における印加電圧を高くすると、「リトランスファー現象」が生じる。
このような現象は、高い印加電圧により、像担持体と被転写体との当接部において放電が発生し、この放電により被転写体上のトナーのうち上層側(像担持体側)のトナーが本来の帯電極性とは逆極性に帯電してしまうことによるものである。
この結果、被転写体上に転写されたトナーは、像担持体上に再転移し、リトランスファートナーとなってしまう。
このため、多重転写時において、中抜けの防止には有効であっても、転写残留トナーを目視確認できない程度まで転写率を向上させるには不十分である。
また、特許文献3又は4のように、像担持体の動摩擦係数だけを小さくして、像担持体に対するトナーの付着力を弱めたり、像担持体表面の粗さだけを大きくして、像担持体に対するトナーの接触面積を小さくしたりしても、多重転写時において転写残留トナーは、目視確認できる程度になってしまい、転写率は向上しない。
【0010】
このように、像担持体(感光ドラム、潜像形成媒体等)と被転写体(中間転写ベルト、記録媒体等)との間に速度差を設け、静電気力に加えて速度差による外力を与え、トナーを像担持体から引き剥がす技術や、像担持体の表面粗さだけを大きく設定し、トナーと像担持体との接触面積を小さくし、トナーと像担持体との付着力を小さくする技術では、多重転写時においてリトランスファー現象の問題がある。
そのため、クリーナ装置が必須となり、画像形成装置の小型化、像担持体の高寿命化の観点から好ましくない。
【0011】
本発明は、以上の技術的課題を解決するために、中抜け画像がなく、多重転写時においても高い転写率を確保することができる画像形成装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1(a)(b)に示すように、所定の移動方向に移動し所定のトナーTによるトナー像を担持する像担持体1と、前記像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動する被転写体2と、前記像担持体1上のトナー像を前記被転写体2に転写する転写手段3とを有する画像形成装置において、像担持体1の移動速度をVp、被転写体2の移動速度をVt、両者の移動速度比を|(Vt−Vp)|/Vp=Vrとしたとき、Vr≧0.009なる関係を満たすと共に、像担持体1の動摩擦係数をμk、像担持体1上の算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03なる関係を満たすことを特徴とする。
【0013】
このような技術的手段において、本発明の対象となる画像形成装置は、例えば一つの像担持体1に複数の現像装置(図示外)を配設する態様のものは勿論のこと、複数の像担持体1にそれぞれの現像装置を配設する態様のもの(所謂タンデム型)や、これらを組み合わせた態様のもの等も含まれる。
また、像担持体1としては、トナー像を担持するものを広く含むものであり、感光体、誘電体等適宜選定して差し支えなく、その形状についてもドラム状、ベルト状を問わない。
ここで、例えば中間転写型の画像形成装置は、トナー像が形成担持される像形成担持体に中間転写体を備えた態様であるが、本態様の場合には、像形成担持体、中間転写体のいずれもが像担持体1になり得る。
【0014】
また、被転写体2の態様としては、像担持体1に接触配置され且つ当該像担持体1と所定の転写位置において同方向に移動するものであればよく、例えば、直接転写型の画像形成装置にあっては、像担持体1上のトナー像を直接転写する用紙等の記録材が被転写体2であり、また、中間転写型の画像形成装置にあっては、一次転写部位であれば像形成担持体が像担持体1、中間転写体が被転写体2であるし、二次転写部位であれば中間転写体が像担持体1、用紙等の記録材が被転写体2である。
【0015】
そして、転写手段3は、像担持体1上のトナー像を被転写体2へ転写するものであれば、例えば転写ロール等の接触転写部材と、この接触転写部材に転写電圧を印加する転写電源とを具備する等適宜選定して差し支えない。
【0016】
また、移動速度比Vrは、像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとの速度比であるが、移動速度Vpと移動速度Vtとの大小関係はどちらでもよく、転写性を良好に保つという観点からすれば、Vr≧0.009の範囲に設定すればよい。
更に、色ずれを有効に抑えるという観点からすれば、移動速度比VrをVr≦0.05の範囲に設定することがより好ましい。
尚、Vr≧0.009という要件については実施の形態にて詳述する。
【0017】
ここで、図1(b)に示すせん断力Fは、像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtの差によってトナーTに働く力であり、このせん断力FによってトナーTは、像担持体1上を移動する。
つまり、移動速度比Vrが0である場合(像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとが同じとき)、像担持体1上のトナーTが受けるせん断力Fは無く、トナーTは、像担持体1上を移動することはない。
一方、移動速度比Vrがある場合(像担持体1の移動速度Vpと被転写体2の移動速度Vtとが異なるとき)、トナーTは、せん断力Fを受けることによって像担持体1上を移動する。
【0018】
また、動摩擦係数μkは、像担持体1上を滑るか転がっているトナーTの動きとは反対方向で、像担持体1とトナーTとの接触面に平行な摩擦力fと、像担持体1とトナーTとが相互に押し合っている接触面に直角に作用する力との比である。
更に、算術平均粗さRaは、図2に示すように、像担持体1表面の粗さ曲線f(x)からその平均線mの方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線mから粗さ曲線f(x)までの偏差の絶対値を合計し、平均した値であり、図に示す式で表される。
【0019】
ここで、動摩擦係数μkと算術平均粗さRaの関係について説明する。
図3(a)▲1▼に示すように、像担持体1の動摩擦係数μkが大きい場合、トナーTと像担持体1との間の摩擦力fが大きいため、トナーTに対してせん断力Fを与えても、トナーTは、像担持体1上を移動しにくい。
一方、図3(a)▲2▼に示すように、像担持体1の動摩擦係数μkが小さい場合、トナーTと像担持体1との間の摩擦力fが小さいため、トナーTは、像担持体1上を移動する。この結果、トナーTは、転写されやすい状態となる。
【0020】
また、図3(b)▲1▼に示すように、トナーTは完全な球形ではないため、像担持体1表面の算術平均粗さRaが小さい場合(平面に近い状態)、トナーTは、ある接触面積Sをもって像担持体1の表面と接触している。この接触面積Sは、像担持体1が平面に近い状態であるため大きくなり、トナーTと像担持体1との間の付着力は大きく働く。
一方、図2(b)▲2▼に示すように、像担持体1表面の算術平均粗さRaが大きい場合(粗面の状態)、接触面積Sは小さく、トナーTと像担持体1とは、点接触に近い状態である。このため、トナーTと像担持体1との間の付着力は小さい状態であり、せん断力FによってトナーTは、容易に像担持体1上を移動することができる。
したがって、像担持体1の動摩擦係数μkが小さく、算術平均粗さRaが大きい状態、つまりRa/μkが大きい像担持体1ほどトナーTと像担持体1との間の付着力は低下し、トナーTに対するせん断力Fの作用が大きくなり、この結果転写性が向上することになる。
尚、転写性を良好に保つという観点からすれば、Ra/μk>0.03の範囲に設定すればよく、この範囲の要件については実施の形態にて詳述する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、いわゆる中間転写型のカラー画像形成装置であり、例えば駆動モータにより回転駆動される像担持体として感光体ドラム10を有し、この感光体ドラム10に対向する位置に中間転写体として中間転写ベルト20を配設すると共に、この中間転写ベルト20の所定部位に二次転写装置として二次転写ロール30を配設し、この二次転写ロール30による二次転写部位を通過した記録材搬送路の下流側に定着装置40を配設したものである。
【0022】
本実施の形態において、感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電器(本例ではスコロトロン)11と、感光体ドラム10上に各色成分(本例では、イエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K))静電潜像を書き込むレーザ走査装置等の露光装置12と、感光体ドラム10上の各色成分静電潜像を対応する色トナー(Y,M,C,K)にて可視像化する現像装置(本例ではロータリー型現像装置)13と、感光体ドラム10上に残留する未転写トナー(残留トナー)を清掃するクリーニング装置14とが配設されている。
【0023】
また、中間転写ベルト20は、例えば複数の張架ロール21〜26に掛け渡され、張架ロール21を駆動ロール、張架ロール22を従動ロール、張架ロール23〜25をテンションロールとして、感光体ドラム10との対向部で同方向に回転するように循環回転せしめられている。
そして、感光体ドラム10に対向する中間転写ベルト20の裏面には、例えば、一次転写装置として一次転写ロール27が配設されており、一次転写ロール27には、図示外のバイアス電源から転写電圧が印加され、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との間には、一次転写に必要な転写電界が形成されるようになっている。
更に、中間転写ベルト20のうち、二次転写部位の下流には、中間転写ベルト20上の残留トナーを清掃するベルトクリーニング装置28が設けられている。
【0024】
また、本実施の形態において、二次転写ロール30は、張架ロール26をバックアップロールとして中間転写ベルト20に対向配置されており、中間転写ベルト20と二次転写ロール30との間には、二次転写に必要な転写電界が形成されるようになっている。
更に、記録材Pの搬送系は、二次転写ロール30の上流側に配設されたレジストロール31にて記録材Pを一旦位置決めした後に二次転写部位へ搬送し、ガイドプレート32及び搬送ベルト33を経て記録材Pを定着装置40に搬送するようになっている。
尚、本実施の形態における画像形成装置で画像が形成されるプロセス速度は、二次転写位置で記録材Pに四色の多重色トナー像が転写される速度、すなわち中間転写ベルト20が循環移動する速度に一致するように設定されている。
【0025】
本実施の形態において、感光体ドラム10は、表面の動摩擦係数μkを調整するため、例えば表面層にポリテトラフルオエチレン(以下「PTFE」と称する。)の微粒子を含有したもの等を用いた。
更に、感光体ドラム10の表面粗さは、表面粗さ測定機Surfcom(東京精密株式会社製)を用いて測定し、感光体ドラム10上の算術平均粗さRaを求めた。
【0026】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト20の材料としては、例えばポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂又はゴム等適宜選定して差し支えない。
また、中間転写ベルト20の体積抵抗については、カーボン等の抵抗調整剤を所定量分散配合することによって適宜調整される。
【0027】
また、本実施の形態において、現像装置13に用いる各色トナーは、形状係数Kが134以下、平均粒径が5.0μm以上9μm以下の球形トナー(例えば重合トナー)であれば適宜選定して差し支えなく、クリーニング性、転写性、帯電維持性を確保するため外添剤を添加してもよい。
ここで、形状係数Kは、例えば、光学顕微鏡(ミクロフォトFXA;ニコン社製)で得た該トナーの拡大写真を、イメージアナライザーLuzex3(NIRECO社製)により画像解析を行って、次式より算出した値である。
K={(トナー径の絶対最大長)2/トナーの投影面積}×100π/2
【0028】
尚、形状係数Kは、トナーの投影面積と、それに外接する円の面積の比で表しており、真球の場合100となり、形状が崩れるにつれ増加する。
また、形状係数Kは、トナー粒子複数個に対して計算され、その平均値を代表値としている。
更に、本実施の形態では、0.009≦Vr≦0.05、Ra/μk>0.03を満たすように設定されている。
【0029】
次に本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
感光体ドラム10は、駆動モータにより回転駆動され、帯電器11によりマイナス数百ボルトに均一帯電された後、露光装置12により露光されて静電潜像が形成され、感光体ドラム10上には、現像装置13により順次イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成され、これらトナー像は、順次中間転写ベルト20に一次転写される。
【0030】
一方、中間転写ベルト20は、最初に一次転写されたイエロのトナー像を保持したまま、感光体ドラム10と同一周期で回動し、中間転写ベルト20上には、順次マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像がイエロのトナー像に重ねて転写される。
【0031】
このとき、図1(b)に示すように、感光体ドラム10の移動速度Vpと中間転写ベルト20の移動速度Vtに差を設けることにより、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との間にあるトナーTは、せん断力Fを受け、感光体ドラム10上を移動する。
本実施の形態では、感光体ドラム10の動摩擦係数μkは、小さく設定され且つ算術平均粗さRaは、大きく設定されているため、トナーTと感光体ドラム10との間の付着力は低下し、せん断力FがトナーTに対して有効に働く。この結果、高転写率が得られる。
【0032】
ここで、本実施の形態に係る画像形成装置において、中間転写ベルト20の移動速度Vtが、画像を形成するプロセス速度と一致しており、移動速度比Vrを生じさせるためには、感光体ドラム10の移動速度Vpを変更する必要がある。このため、例えば、中間転写ベルト20の移動速度Vtが感光体ドラム10の移動速度Vpよりも大きい場合において、感光体ドラム10上のトナー像は、中間転写ベルト20に、一次転写されるときには、伸張されることになる。
このとき、移動速度差が極端に異なる場合を除外すれば、記録媒体上に形成される最終画像においては、画像の乱れは生じず、高画質で、且つ高転写率を得ることができる。
【0033】
このように、上記作用によって中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は、図4に示すように、中間転写ベルト20の回動に伴って、張架ロール26(バックアップロール)と二次転写ロール30とが対向する二次転写位置へと搬送される。この二次転写位置へ搬送されたトナー像は、レジストロール31によって所定のタイミングで二次転写位置へ搬送される記録材P上に静電転写される。そして、転写後の記録材Pは、搬送ベルト33によって定着装置40へと導かれ、定着装置40によって定着処理がなされる。
本実施の形態によれば、多重転写時に高転写率の画像形成を実現でき、この性能評価については、実施例に委ねる。
【0034】
【実施例】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態1における画像形成装置を用い(図4参照)、画質及び転写率の測定、評価を行ったものである。
本実施例において、中間転写ベルト20は、ポリイミド樹脂で構成され、100V印加時において、体積抵抗が10logΩ・cmに設定されたものを用い、感光体ドラム10は、表面層にポリテトラフルオエチレンの微粒子を含有したものを使用した。
また、本実施例において、感光体ドラム10の移動速度を200mm/s、中間転写ベルト20の移動速度を202mm/sに設定し、トナーは、平均粒径6.5μm、形状係数Kが118の球形トナーを用い、クリーニング性、転写性、帯電維持性を確保するため外添剤が添加されている。
【0035】
本実施例において、画質評価は、文字、パッチ画像(ベタ画像、ハーフトーン画像)、線画像からなる混合画像チャートを用い、中抜け及び転写ムラを評価する。
また、転写率測定は、ベタパッチ画像の一次色(YMCK:100%)、二次色(Blue,Red:200%)、三次色(Process Black:300%)が並んだチャートを用いて測定する。
【0036】
また、本実施例において、測定方法は、トナー像を形成した後、中間転写ベルト20に一次転写し、中間転写ベルト20上にトナー像が形成され、記録材Pに二次転写される前の状態で画像形成装置を止めて行う。
例えば、トナー像をY,M,C,K色の順で形成する場合、C色が中間転写ベルト20に一次転写された後、クリーニング装置14によりクリーニングされる前に画像形成装置を停止する。
このとき、感光体ドラム10上には、C色の転写残トナーと、中間転写ベルト20上に一次転写されているY,M色の一部が感光体ドラム10上に転移したリトランスファートナーとが載っている。
この転写残トナーとリトランスファートナーとを全てテープ上に転写させて、そのテープとトナー残量限度見本(図5参照)とを対比することにより、転写率のグレード付け評価を行う。
【0037】
図6は、上記測定において、YMCK各色のトナー像を形成する毎に、転写残トナー量とリトランスファートナー量をそれぞれ測定した結果を示す図であり、縦軸は、転写残トナー量及びリトランスファートナー量とトナー残量限度見本とを対比したグレードを表し、横軸は、一次転写ロール27(図4参照)が印加されている転写電圧の大きさを表している。
また、転写残トナー量の測定結果(黒四角印)は、各色のトナー像を形成したときの転写残トナー量のうち、転写残トナー量が最も多い色の傾向曲線を表し、リトランスファートナー量の測定結果(白丸印)は、各色のトナー像を形成したときのリトランスファートナー量のうち、リトランスファーが最も早い色の傾向曲線を表したものである。
【0038】
上記測定結果により、一次転写における転写電圧が高くなると、転写残トナー量は減少するが、一方、転写電圧が高くなるにつれて感光体ドラム10と中間転写ベルト20との当接部において放電が促進されるので、リトランスファートナー量は増加することが理解される。
ここで、本実施例では、両方の傾向曲線の交点をクロスポイントと定義し、クロスポイントにおけるグレードが2以下となるように転写残トナー量及びリトランスファートナー量を制御し、グレード2以下を目標値とした。
このグレード2以下は、最も転写率が悪い状態(通常三次色、あるいは一次色)と、リトランスファー現象が発生しつつある状態とを含めた値であるため、クリーニング装置により、転写後のトナーをクリーニングしなくて済む状態に相当する。
【0039】
尚、K色トナーがY色トナーに混色した場合は、最も色差として感知されるため、Y色トナーの転写残トナーが、残トナー領域として確認できると(グレード3の状態)、色差は、目視により感知されてしまう。
したがって、グレード2の状態におけるトナー残量は、わずかに存在が確認されるが、許容レベルであるため、そのK色トナーの転写残トナーがクリーニングされずにY色と混色されたとしても、色差変動が起きないので、グレード2の評価を得られたものは、転写残トナーをクリーナーで回収しないクリーナーレス画像形成装置に適用できることになる。
【0040】
◎実施例2
本実施例は、実施の形態1に係る画像形成装置を用い(図4参照)、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との周速比を変化させたときにおける画質及び転写率を評価したものである。
尚、本実施例において、周速比は、感光体ドラム10の移動速度Vpと中間転写ベルト20の移動速度Vtとの大小関係を比較するため、(Vt−Vp)/Vpで表される数値を用いている。
【0041】
また、本実施例では、周速比を−0.05〜+0.06まで変化させ、それぞれの周速比において、実施例1と同様の評価をしてクロスポイントを測定した。そして、このクロスポイントにおける中抜け及び転写ムラを評価し、グレードを目視により評価した(図5参照)。
尚、感光体ドラム10、中間転写ベルト20、トナーは、実施例1と略同様のものを使用した。
【0042】
図7は、本実施例の測定結果を示す図である。
同図において、○印、△印、×印は、中抜けと転写ムラの発生状態を表す評価基準であり、それぞれの意味は、○印:発生せず、△印:一部発生が見られる、×印:顕著に発生が見られる、である。
【0043】
同図によれば、周速比が+0.009以上、−0.009以下において、「転写−リトランスファークロスポイント(グレード)」は、2以下の評価が得られた。
したがって、評価2以下を得た周速比の範囲においては、実施例1の結果より、トナー残量は許容レベルであるため、転写残トナーをクリーナーで回収しないクリーナーレス画像形成装置に適用できる。
よって、転写性を良くするという観点から、周速比は−0.009以下、+0.009以上であることが必要であると理解される。
【0044】
一方、同図において、中抜けは、周速比が0(中間転写ベルト20と感光体ドラム10とが等速)の場合に一部発生が見られ、また、転写ムラは、周速比が±0.05のときに一部発生が見られ、+0.06では顕著に発生が見られた。
この転写ムラは、通常の転写不良と異なり、周期性のある筋状の濃度変動によるもので、速度差が大き過ぎてしまうと、感光体ドラム10又は中間転写ベルト20のいずれかが引きずられ、一部回転が生じるためと考えられる。また、この一部回転により色ずれ等が生じてしまうと考えられる。
したがって、周速比を−0.05以上、+0.05以下の範囲に設定することにより、色ずれのない、より良好な画質が得られることになる。
以上の測定結果から、転写性が良く、より良好な画質を得るという観点から、|(Vt−Vp)|/Vp=Vrで表される移動速度比Vrは、0.009以上0.05以下であることが好ましいと理解される。
【0045】
また、本実施例において、周速比が+0.03と−0.03の場合を比較すると、+0.03の場合の方が、転写性の良い結果が得られた。
したがって、転写性を良くするためには、中間転写ベルト20の移動速度Vtを感光体ドラム10の移動速度Vpよりも大きくすることが好ましいことが理解される。
【0046】
◎実施例3
本実施例は、異なる感光体ドラムA〜Eを用い、転写残グレードを測定した実施例である。
本実施例において、感光体ドラムA〜Eの動摩擦係数μkは、図8に示す測定装置50を用いて行った。
同図において、測定装置50は、表面性測定機(HEIDON−14;新東科学社製)であり、測定プローブ51には、平滑なテープ上にトナーを一層均一に形成させたサンプル52を取り付け、そのサンプル52を感光体ドラムA〜Eに接触させるとともに、測定プローブ51上に重り53を載せて、感光体ドラムA〜Eを矢印A方向に回転させたときのロードセル54における動摩擦力を測定するものである。
そして、重り53の種類を横軸、ロードセル54における動摩擦力を縦軸とし、各測定値を結んだ傾きにより感光体ドラムA〜Eの動摩擦係数μkを求めた。尚、本実施例では、サンプル52の大きさを10mm×10mm、重り53を50g、100g、200gに変化させ、それぞれの動摩擦係数μkを測定した。
【0047】
また、本実施例では、感光体ドラムA〜Eの表面粗さは、表面粗さ測定機(Surfcom 590A;東京精密株式会社製)を用いて測定し、感光体ドラムA〜Eの算術平均粗さRaを求めた。
尚、本実施例では、実施例2で用いた画像形成装置に夫々の感光体ドラムA〜Eを取り付け、転写残グレードを評価した。
【0048】
図9は、本実施例の測定結果を示す説明図である。
同図において、動摩擦係数μkが小さい感光体ドラムA、Cは、転写性(転写残グレード)が良いが、これに対し、感光体ドラムB,D,Eに関しては、必ずしも動摩擦係数μkの大小に転写性(転写残グレード)が関係していない。
つまり、図10(a)に示すように、動摩擦係数μkが1.01である感光体ドラムBでは、転写残グレード2が得られるのに対し、動摩擦係数μkがそれよりも小さい0.95である感光体ドラムDでは、転写残グレード4となってしまう。
また、算術平均粗さRaについては、転写性(転写残グレード)と算術平均粗さRaとの間に相関関係が一部見られるが、完全に一致していない。
つまり、図10(b)に示すように、算術平均粗さRaが共に0.02である感光体ドラムCと感光体ドラムDとでは、転写残グレード1と転写残グレード4とになり、転写性(転写残グレード)が一致していない。
【0049】
これに対し、図10(c)に示すように、算術平均粗さRaを動摩擦係数μkで割った指標Ra/μkと転写性(転写残グレード)との間には、相関関係が見られた。
つまり、Ra/μkが大きいほど転写性(転写残グレード)は良くなるという結果が得られた。これは、動摩擦係数μkが小さく且つ算術平均粗さRaが大きいほど、トナーと感光体ドラム(A〜E)との間の付着力が低下し、有効にせん断力がトナーに対して働くためであると理解される。
したがって、本実施例の結果から、動摩擦係数をμk、算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03を満たす像担持体(感光体ドラム)を使用することにより、高い転写性を得ることができる。
【0050】
◎実施例4
本実施例は、トナー粒径及び形状係数Kが異なる5種類のトナーを用いたときにおける画質と転写率を測定した実施例である。
なお、本実施例は、実施例1における画像形成装置を用い(図4参照)、移動速度比Vrを0.01に設定し、その他の装置については実施例1と同様である。
また、評価方法は、実施例2と同様に行った。
【0051】
図11は、本実施例の測定結果を示す図である。
同図によれば、粉砕トナーIにおいては、中抜け発生が顕著に見られ、転写ムラも一部に発生が見られた。
しかし、形状係数Kが134以下と比較的小さく、球形に近い重合トナー(E〜H)においては、これらの画像欠陥は見られなかった。
【0052】
本実施例において、粉砕トナーIは、重合トナー(E〜H)と比べてクロスポイントのグレードが非常に悪化するので、トナー形状は、高い転写率を達成するための一つの制御因子となることが明らかである。
また、重合トナー(E〜H)において、クロスポイントのグレードが最も良好なものは、粒径が6.5μmである重合トナーFのもので、それより粒径が小さくてもグレードが悪化し(例えばE)、一方、粒径が10μmである重合トナーGでは、グレードが大幅に悪化し、目標グレード(グレード2)に達しない。
これは、粒径が小さいトナーは、付着力が強くなるので転写性が悪化し、また粒径が大きいトナーは、トナー層の厚みが増すので、特に多重色の転写性が悪化するためと考えられる。
したがって、134以下の形状係数K、及び5μm以上且つ9μm以下の平均粒径であるトナーを使用することにより、画質と転写率の双方を良好に保つことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、像担持体と被転写体との移動速度差を所定レベル以上に増加させ、しかも、像担持体上の算術平均粗さRaを像担持体の動摩擦係数μkで割った指標を一定値以上に設定することにより、以下のような効果を奏する。
すなわち、像担持体と被転写体とに所定の移動速度差を与え、且つ、像担持体の表面性について最適化を図り、トナー低付着性の像担持体を構成するようにしたので、目視限界レベル以下の高転写率を得ることができ、中抜け現象等の転写不良を有効に防止することができる。
また、本発明においては、高転写率を実現することが可能になるため、像担持体については、クリーニング装置により転写後のトナーをクリーニングしなくて済む状態になり、次の画像形成プロセス時の混色による色差を許容レベル内に抑えることができる。
このため、本発明によれば、所謂クリーナーレスの画像形成装置に対応可能になり、廃トナー回収系の無い小型、高密度、低コストの画像形成装置が実現でき、更に、クリーニングブレードによる劣化の無い、長期にわたる像担持体の信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図、(b)は、転写領域におけるトナーの動きを示す説明図である。
【図2】像担持体の算術平均粗さを求める説明図である。
【図3】(a)は、像担持体の動摩擦係数とトナーとの関係を示す説明図、(b)は、像担持体の算術平均粗さとトナーとの関係を示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置の説明図である。
【図5】トナー残量限度見本を示す説明図である。
【図6】YMCK各色のトナー像を形成する毎に転写残トナーとリトランスファートナー量をそれぞれ測定した結果を示す説明図である。
【図7】周速比を−0.05から+0.06まで変化させたときにおける画質と転写率を測定した結果を示す説明図である。
【図8】動摩擦係数を測定する方法を示す説明図である。
【図9】感光体ドラムを変化させたときにおける動摩擦係数、算術平均粗さ及び転写残グレードとの関係を示す説明図である。
【図10】(a)は、感光体ドラムA〜Eにおける動摩擦係数と転写残グレードとの関係を示す説明図、(b)は、算術平均粗さと転写残グレードとの関係を示す説明図、(c)は、算術平均粗さを動摩擦係数で割った指標と転写残グレードとの関係を示す説明図である。
【図11】トナー粒径及び形状係数が異なる5種類のトナーを用いたときにおける画質と転写率を測定した結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1…像担持体,2…被転写体,3…転写手段,T…トナー,Vp…像担持体の移動速度,Vt…被転写体の移動速度,f…摩擦力,Ra…算術平均粗さ,F…せん断力
Claims (3)
- 所定の移動方向に移動し所定のトナーによるトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体に接触配置され且つ当該像担持体と所定の転写位置において同方向に移動する被転写体と、前記像担持体上のトナー像を前記被転写体に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
像担持体の移動速度をVp、被転写体の移動速度をVt、両者の移動速度比を|(Vt−Vp)|/Vp=Vrとしたとき、Vr≧0.009なる関係を満たすと共に、
像担持体の動摩擦係数をμk、像担持体上の算術平均粗さをRaとしたとき、Ra/μk>0.03なる関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
像担持体と被転写体との移動速度比Vrが、Vr≦0.05なる関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
トナーは、134以下の形状係数、及び、5μm以上且つ9μm以下の平均粒径を有することを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (4)
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|---|---|---|---|---|
| JP2008070709A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Kyocera Mita Corp | 画像形成装置及び画像形成方法 |
| JP2008151928A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
| JP2009186812A (ja) * | 2008-02-07 | 2009-08-20 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置 |
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2002
- 2002-12-24 JP JP2002372330A patent/JP2004205643A/ja active Pending
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