JP2004205175A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機の信頼性を確保しながら密閉ケース内の油面を迅速に適正に保つことができ、しかも構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる冷凍装置を提供する。
【解決手段】圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lを油管16a,16b、集合管19、油管20a,20bを介して冷媒吸込管14a,14bに導く。冷媒吸込管14a,14bと圧縮機1a,1bとのとの間に気液分離器15a,15bを設けている。そして、圧縮機1a,1bの密閉ケース51におけるカバー57の上部開口57aと油管16a,16bの接続口との間の容積を、気液分離器15a,15bの容積に応じて定まる所定値未満に設定している。
【選択図】 図1
【解決手段】圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lを油管16a,16b、集合管19、油管20a,20bを介して冷媒吸込管14a,14bに導く。冷媒吸込管14a,14bと圧縮機1a,1bとのとの間に気液分離器15a,15bを設けている。そして、圧縮機1a,1bの密閉ケース51におけるカバー57の上部開口57aと油管16a,16bの接続口との間の容積を、気液分離器15a,15bの容積に応じて定まる所定値未満に設定している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数台の圧縮機を備えた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍装置に搭載されるロータリ圧縮機は、内部空間が高圧の密閉ケースで被われている。密閉ケースには、その密閉ケース内の部品の潤滑作用を保つため、潤滑油が入っている。この潤滑油の一部は、圧縮機から吐出される冷媒ガスと共に、冷凍サイクル中に流出する。流出した潤滑油は、冷媒と共に、冷凍サイクルを循環して圧縮機に吸込まれる。
【0003】
複数台の圧縮機を備えた冷凍装置の場合、各圧縮機から流出する潤滑油の量が圧縮機ごとに異なり、各圧縮機に戻る潤滑油の量も圧縮機ごとに異なる。このため、各圧縮機の密閉ケース内の潤滑油量に、差が生じる。
【0004】
密閉ケース内の潤滑油量が少なくなると、密閉ケース内の摺動部における各部品の潤滑作用を十分に保つことができなくなる。
【0005】
(従来例1)
そこで、従来、密閉ケース内空間が高圧型の圧縮機が複数台並列に接続された冷凍装置において、各圧縮機の密閉ケース内の油面を適正に保つようにしたものとして、例えば次のようなものがある。
各圧縮機の密閉ケースに、キャピラリチューブ等の減圧手段を介した均油管を接続し、各密閉ケース内の潤滑油の余剰分を、これら均油管を通して各圧縮機の冷媒吸込管に導くことで、各密閉ケース間の油面を適正にバランスさせるようにしている(特許文献1参照)。
【0006】
(従来例2)
また、従来例1の構成に加えて、各圧縮機の高圧側配管に共通の油分離器を設けて所定量の潤滑油を溜め、この所定量を超えた潤滑油を油分離器の側部に接続した油戻し管を通して、各圧縮機の冷媒吸込管に戻すとともに、油分離器の底部から油供給管を通して冷媒吸込側に戻すようにすることで、据付条件、冷凍サイクル配管の長短、室内機の接続台数の多少等で使用範囲が広くなるマルチ形空気調和機に使用した場合でも、冷凍サイクル全体として必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないように油分離器に潤滑油を所定量溜めておくことができるとともに、圧縮機の密閉ケース内の油面が低下しやすいときには、油分離器から潤滑油を供給できるようにしている(先願発明;特願2001−322760号)。
【0007】
(従来例3)
さらに、それぞれ複数台の圧縮機を設けた複数台の室外機を並列接続した空気調和機において、各室外機の高圧側にそれぞれ油分離器を設け、この油分離器に溜まった潤滑油の余剰分を各室外機共通の油容器に集め、この油容器に溜まった余剰油を各室外機の各圧縮機の吸込側に戻すことで、複数台の室外機を使用した冷凍サイクル全体で必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないようにできるとともに、各圧縮機の油面を適正に保つようにしている(特許文献2)
【0008】
【特許文献1】
特開平8−159580号公報(図2)
【0009】
【特許文献2】
特開平10−232056号公報(図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1および従来例2に使用される圧縮機は、通常、密閉ケース内空間が高圧型のロータリ圧縮機であり、構造上、冷媒ガスを直接圧縮室に吸込むようになっているため気液分離器を設けて、圧縮室に液冷媒を吸込ませないようにしている。
【0011】
また、気液分離器は、冷凍サイクルから戻ってきた冷媒を冷媒ガスと液冷媒に分離して液冷媒圧縮を防止するほか、冷媒に混じって戻ってきた潤滑油が気液分離器内に滞留するのを防止する機能を有している。潤滑油が気液分離器内に滞留するのを防止するために、気液分離器内で液冷媒と分離された冷媒ガスを圧縮室に吸込ませるパイプの下部に油戻し穴を設け、この油戻し穴から潤滑油を吸込ませて冷媒ガスと一緒に密閉ケース内に戻すようにしている。
【0012】
この油戻し穴は、冷凍サイクルの冷媒循環量や圧力条件が変化しても潤滑油が気液分離器内に滞留しないように、かつ冷媒ガスと一緒に圧縮室に吸込まれても油圧縮しないような大きさに設計されている。
【0013】
ところが、上記のように、各圧縮機に密閉ケースに均油管が設けられている場合、冷媒循環量が少ない時や、圧縮比が小さい時には、密閉ケース内の均油管の高さ位置から圧縮室吐出カバー開口の高さ位置までの間に溜まる潤滑油は、吐出冷媒と一緒に吐油されず、均圧管を通して冷媒吸込側に戻される。
【0014】
そのため、均圧管を通して冷媒吸込側に戻された余剰油が気液分離器に滞留してしまい、過渡的な液バック状態が発生した場合には、気液分離器内で気液冷媒と余剰油が混合したままの状態で上記圧縮室に吸込まれ、液圧縮あるいは油圧縮による圧縮機の破損の危険がある。
【0015】
また、従来例2のように、マルチ形空気調和機のような冷凍サイクル全体で必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないように油分離器に潤滑油を所定量溜めておけるものでも、冷凍サイクル全体として必要とする潤滑油量を確保するために油量を追加した場合や、冷凍サイクルの配管長が短い場合には、冷凍サイクル全体として余剰油が発生することがある。その場合、油分離器に溜まった余剰油を圧縮機の吸込側に戻すことになるので、余剰油は気液分離器に滞留するとともに、圧縮機から吐出されなければ密閉ケース内に滞留することになる。そのうえ、均圧管を設けているので、冷媒循環量や圧縮機比が小さい場合には、さらに多量の余剰油が気液分離器や密閉ケースに滞留することになるので、気液分離器や密閉ケースの大形化が必要になってくる。
【0016】
さらに、従来例3のように、複数台の各室外機の各油分離器の余剰油を共通の油容器に集め、この油容器に溜まった余剰油を各圧縮機に戻すようにしたものでは、油分離器のほかに共通の油容器を別途設ける必要があり、冷凍サイクル構成が複雑になり空気調和機全体が高価になる等、実用的ではない。
【0017】
この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、密閉ケース内の高圧型の圧縮機の密閉ケース内に保有される余剰油の最大保有油量と気液分離器の容積の関係を適切に設定し、この余剰油のほぼ全量が気液分離器に戻されるようなことがあっても、気液分離器の機能を損なうことがなく、かつ上記最大保有油量を超えた潤滑油が吐出しやすくなって油分離器に確実に所定量溜めておくことができ、よって圧縮機の信頼性を確保しながら密閉ケース内の油面を迅速に適正に保つことができるとともに構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の冷凍装置は、複数台の圧縮機、複数の冷媒吸込管、複数の気液分離器、複数の第1油管、集合管、複数の第2油管を備えている。各圧縮機は、潤滑油が入った内部空間が高圧の密閉ケースで被われ、冷媒を圧縮室に吸込んで圧縮し、圧縮した冷媒を圧縮室の開口からその圧縮室の開口と対応する位置に設けられたカバーの上部開口を通して密閉ケース内に放出し、その放出冷媒を密閉ケースの上部から吐出させる。各冷媒吸込管は、各圧縮機の冷媒吸込口に冷媒を導く。各気液分離器は、各冷媒吸込管と各圧縮機の冷媒吸込口との間に設けられ、各冷媒吸込管から導かれる冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、分離したガス冷媒を各圧縮機の冷媒吸込口に導く。各第1油管は各圧縮機の密閉ケースの側部に接続されており、これら第1油管に密閉ケース内の潤滑油の余剰分が流入し、その流入した潤滑油が集合管に合流する。集合管に合流した潤滑油は、各第2油管により各冷媒吸込管に導かれる。油分離器は、各圧縮機から吐出される冷媒に含まれている潤滑油を分離して収容する。油戻し管は、油分離器の側部に接続されており、油分離器に収容されている潤滑油のうち当該接続位置より上方に存する潤滑油を上記集合管に導く。とくに、各圧縮機の密閉ケースにおけるカバーの上部開口の高さ位置と第1油管の接続口の高さ位置との間の容積が、気液分離器の容積に応じて定まる所定値未満に設定されている。
【0019】
【発明の実施の形態】
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1a,1bは密閉ケース内空間が高圧冷媒で満たされるいわゆる高圧型のロータリ圧縮機で、冷媒を吸込んで圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。これら圧縮機1a,1bは密閉ケースで被われており、その密閉ケースには内部の摺動部における各部品の潤滑作用を保つために潤滑油Lが入っている。この潤滑油Lの一部が、冷媒の吐出に伴い、密閉ケースから流出する。
【0020】
圧縮機1a,1bから吐出される冷媒(および潤滑油Lの一部)は吐出管2a,2bおよびその吐出管2bに設けられている逆流防止用の逆止弁3を介して高圧側配管4に流れる。高圧側配管4に流れた冷媒は、油分離器5および四方弁6を介して室外熱交換器7に流れる。油分離器5は、冷媒に含まれている潤滑油Lを分離して収容する。
【0021】
室外熱交換器7に流れた冷媒は、室外ファン8から供給される外気と熱交換して液化する。この液冷媒が複数の流量調整弁9を介して複数の室内熱交換器10に流れる。各室内熱交換器10に流れた液冷媒は、室内ファン11により循環する室内空気と熱交換してガス化する。このガス冷媒は上記四方弁6およびアキュームレータ12を介して低圧側配管13に流れる。低圧側配管13に流れた冷媒は、冷媒吸込管14a,14bに分流し、その冷媒吸込管14a,14bにより圧縮機1a,1bの冷媒吸込口に導かれる。
【0022】
冷媒吸込管14a,14bと圧縮機1a,1bの冷媒吸込口との間に、それぞれ気液分離器(サクションカップともいう)15a,15bが設けられている。気液分離器15a,15bは、冷媒吸込管14a,14bから導かれる冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、分離したガス冷媒を圧縮機1a,1bの冷媒吸込口に導く。
【0023】
以上の構成により、ヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されるとともに、1台の室外ユニットAおよび複数台の室内ユニットBからなる空気調和機が構成されている。
【0024】
室外ユニットAには、上記圧縮機1a,1b、吐出管2a,2b、逆止弁3、高圧側配管4、油分離器5、四方弁6、室外熱交換器7、室外ファン8、アキュームレータ12、低圧側配管13、冷媒吸込管14a,14b、気液分離器15a,15bが搭載されている。各室内ユニットBには、上記各室内熱交換器10および各室内ファン11がそれぞれ搭載されている。なお、上記各流量調整弁9,9は各室内ユニットBに搭載されてもよい。
【0025】
そして、圧縮機1a,1bの密閉ケースの側壁に、第1油管16a,16bの一端が接続されている。この油管16a,16bに、逆止弁17a,17bおよび減圧手段たとえばキャピラリチューブ18a,18bが設けられている。逆止弁17a,17bは、集合管19から圧縮機1a,1b側への冷媒および潤滑油Lの逆流を阻止する。
【0026】
圧縮機1a,1bの密閉ケースには、油面高さの許容下限位置が予め定められている。油面高さの許容下限位置は、圧縮機1a,1bの運転に必要な最小限の潤滑油量に相当する。この油面高さの許容下限位置より高い位置に、油管16a,16bが接続されている。したがって、圧縮機1a,1bの密閉ケース内の潤滑油Lの余剰分が、油管16a,16bに流入する。
【0027】
油管16a,16bの他端は1本の集合管19に接続され、この集合管19から上記冷媒吸込管14a,14bにかけて、第2油管20a,20bが接続されている。この油管20a,20bに、減圧手段たとえばキャピラリチューブ21a,21bが設けられている。キャピラリチューブ21a,21bは、キャピラリチューブ18a,18bよりも小さい抵抗(絞り)を有している。
【0028】
上記油分離器5の側部に第1油戻し管22の一端が接続され、その油戻し管22の他端が減圧手段23を介して集合管19に接続されている。油戻し管22は、油分離器5に収容されている潤滑油Lのうち当該接続位置より上方に存する潤滑油Lを集合管19に導く。油戻し管22が接続された高さまでの容積が、油分離器5への所定保有油量に相当する。
【0029】
油分離器5の下部(底部)に第2油戻し管24の一端が接続され、その油戻し管24の他端が開閉弁25を介して集合管19に接続されている。開閉弁25が開くと、油分離器5に溜まっている潤滑油Lが油戻し管24を通って集合管19に流れる。
なお、高圧側配管4および低圧側配管13に冷媒圧力検知用の圧力センサ26,27がそれぞれ設けられている。
【0030】
一方、制御部40に、四方弁6、各流量調整弁9、開閉弁25、圧力センサ26,27、インバータ31、および開閉接点32が接続されている。
【0031】
インバータ31は、商用交流電源30の電圧を整流して直流電圧に変換し、その直流電圧をスイッチングにより制御部40からの指令に応じた周波数の交流電圧に変換して出力する。この出力により、圧縮機1aが駆動される。インバータ31の出力電圧の周波数(以下、圧縮機1aの運転周波数Faという)が変化すると、圧縮機1aの容量が変化する。すなわち、圧縮機1aは、制御部40の指令に応じて容量が変化する、いわゆる容量可変圧縮機である。
【0032】
開閉接点32は、たとえば電磁接触器の接点であり、制御部40からの指令に応じて開閉する。開閉接点32が閉成すると、商用交流電源30の電圧が圧縮機1bに供給されて、圧縮機1bの運転が開始される。開閉接点32が開放すると、圧縮機1bの運転が停止する。すなわち、圧縮機1bは、開閉接点32の開閉により運転の開始・停止を繰り返し、かつ運転時の容量が常に一定の、いわゆる容量固定圧縮機である。
【0033】
圧縮機1aおよび気液分離器15aの具体的な構成を図2示している。
圧縮機1aは、密閉ケース51で被われている。密閉ケース51は、側部に2つの冷媒吸込口52を有するとともに、内部空間に2つのロータリ式の圧縮室(シリンダ)53を有している。圧縮室53は、内部の偏心ローラが回転することにより、冷媒吸込口52から冷媒を吸込んで圧縮し、圧縮した高圧冷媒を開口53aを通して密閉ケース51の内部空間に吐出する。
【0034】
密閉ケース51の内部空間には上下方向に沿って主軸54が回動自在に設けられ、その主軸54の下部に上記圧縮室53内の偏心ローラが装着されている。主軸54が回動することにより、偏心ローラが回転する。
【0035】
密閉ケース51の内部空間において、主軸54の上部にロータ55が装着され、そのロータ55の周囲にステータ56が配設されている。このロータ55およびステータ56により、モータが構成されている。
【0036】
密閉ケース51の内部空間において、圧縮室53の開口53aと対応する位置にカバー(吐出カバーともいう)57が設けられている。このカバー57は、圧縮室53の開口53aから吐出される冷媒の脈動を抑制するためのもので、フランジ形状を有し、主軸54の軸受け58を囲む状態に設けられている。また、カバー57の上縁と軸受け58の周面との間に隙間が形成されており、その隙間が上部開口57aとして機能する。すなわち、圧縮室53の開口53aから吐出されてカバー57の内部空間に充満する冷媒は、上部開口57aを通して密閉ケース51の内部空間に放出される。上部開口57aから放出された冷媒は、上記モータの隙間を通って上昇し、密閉ケース51の上部に接続されている吐出管2aを通って密閉ケース51外に吐出される。
【0037】
密閉ケース51の側部に、上記油管16aが挿入接続されている。密閉ケース51の内部空間のうち、カバー57の上部開口57aの高さ位置と油管16aの高さ位置との間の距離D1に相当する空間の容積は、気液分離器15aの容積に応じて定まる所定値未満、たとえば気液分離器15aの容積のほぼ50%未満に設定されている。前記Dに相当する容積は、密閉ケース51に保有される余剰油の最大保有油量に相当する。すなわち、潤滑油Lの油面の高さが上部開口57a以上であれば、吐出冷媒と一緒に吐出されてしまい余剰油として保有できないが、油面が上部開口57aと油管16aとの間の距離内にあれば、冷媒循環量が小さい時には、余剰油として密閉ケース51内に保有される。
【0038】
一方、気液分離器15aは、ケース60および2つの挿入管61により構成されている。ケース60は、冷媒吸込管14aから導かれる冷媒を取込むための開口60aを上部に有している。各挿入管61は、ケース60の下部からケース60内に挿入され、上端開口がケース60内の上部空間に存するとともに、下端部が圧縮機1aの各冷媒吸込口52に接続されている。冷媒吸込管14aからケース60内に取込まれる冷媒は、ケース60内の上部空間にガス分が存して、下部空間に液分が存する形で、ガス冷媒と液冷媒とに分離する。分離したガス冷媒は、各挿入管61の上端開口に流入する。流入したガス冷媒は、そのまま各挿入管61内を流れて圧縮機1aの各冷媒吸込口52に吸込まれる。
【0039】
また、各挿入管61は、ケース60内の下部空間と対応する位置に、潤滑油取込み用の開口61aを有している。ケース60内の下部空間に存する液冷媒に潤滑油Lが含まれている場合、その潤滑油Lが開口61aを通って挿入管61に取込まれる。この取込みにより、ケース60内に潤滑油Lが滞留しないようにしている。
【0040】
開口61aが大き過ぎると、圧縮機1aに多量の潤滑油Lや液冷媒が流れ、圧縮機1aで油圧縮や液圧縮を生じてしまうという不具合がある。逆に、開口61aが小さ過ぎると、潤滑油Lがケース60内に滞留してしまう不具合がある。このため、開口61aについては、これら不具合が生じないよう、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさが設定されている。
【0041】
気液分離器15aの容積とは、すなわちケース60の容積である。ケース60の内部空間のうち、底部からの高さD2に相当する空間が、ケース60の容積の50%に相当する。
【0042】
なお、圧縮機1bおよび気液分離器15bの構成は、圧縮機1aおよび気液分離器15aの構成と同じである。よって、圧縮機1bおよび気液分離器15bの具体的な構成の説明については省略する。
【0043】
つぎに、作用を説明する。
圧縮機1a,1bが運転されると、それぞれの密閉ケース51の内部圧力が高くなる。このとき、各密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16a,16bの接続位置よりも高ければ、その接続位置を超えている分の潤滑油Lが余剰分として油管16a,16bに流入する。
【0044】
油管16a,16bに流入した潤滑油Lは、逆止弁17a,17bおよびキャピラリチューブ18a,18bを通って集合管19に合流し、その集合管19から油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bに分流した潤滑油Lは、キャピラリチューブ21a,21bを通って冷媒吸込管14a,14bに流れる。冷媒吸込管14a,14bに流れた潤滑油Lは、冷凍サイクル中を循環した冷媒と共に、気液分離器15a,15bを介して圧縮機1a,1bに吸込まれる。
【0045】
集合管19から油管20a,20bへの潤滑油Lの分流に際しては、キャピラリチューブ21a,21bが抵抗となる。この抵抗作用により、集合管19内の潤滑油Lが油管20a,20bに均等に分流する。こうして、各密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が、圧縮機1a,1bに均等に補給される。この均等の補給により、圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分を圧縮機1a,1bの相互間で迅速に補給し合うことができる。
【0046】
圧縮機1aでは密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16aの接続位置よりも高くなって、圧縮機1bでは密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16bの接続位置よりも低くなることがある。この場合、圧縮機1a側の油管16aに潤滑油Lが流入し、圧縮機1b側の油管16bには高圧のガス冷媒が流入する。これら流入した潤滑油Lおよびガス冷媒は、集合管19で合流し、混合状態となって油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bにはキャピラリチューブ21a,21bの抵抗作用があるので、集合管19内の潤滑油Lおよびガス冷媒が油管20a,20bに均等に分流する。つまり、圧縮機1aにおける潤滑油Lの余剰分が圧縮機1a,1bに均等に補給される。
【0047】
圧縮機1bに対して一度に多量の潤滑油Lが不要に補給されることもなく、圧縮機1a,1bにおける潤滑油量を常に最適な状態に維持することができる。
【0048】
油管16a,16bに逆止弁17a,17bが設けられているので、油管16a,16bから各密閉ケース51への潤滑油Lの逆流を防ぐことができる。
【0049】
油管20a,20bにおけるキャピラリチューブ21a,21bの抵抗は、、油管16a,16bにおけるキャピラリチューブ18a,18bの抵抗よりも小さい。よって、冷媒吸込管14a,14bの吸入圧力が油管20a,20bおよび集合管19を通して油管16a,16bに確実に伝わる。したがって、各密閉ケース51から油管16a,16bに流入した潤滑油Lは、集合管19および油管20a,20bを通して冷媒吸込管14a,14bへ確実かつ効率的に流れる。潤滑油Lが油管16a,16bの相互間で移動することはなく、潤滑油Lが油管16a,16bに滞留することもない。
【0050】
各圧縮機の密閉ケース51から流出する潤滑油Lを1本の集合管19に集め、その集合管19に集まった潤滑油Lを各圧縮機に分配する構成であるから、圧縮機の台数がたとえ3台以上であっても、潤滑油Lを各圧縮機に均等に補給することが可能である。
【0051】
また、圧縮機1a,1bから吐出される冷媒は、吐出管2a,2bを介して高圧側配管4に流れる。高圧側配管4に流れた冷媒は、油分離器5を通って四方弁6側に流れる。このとき、油分離器5において、冷媒に含まれている潤滑油Lが分離される。分離された潤滑油Lは、油分離器5に収容される。
【0052】
油分離器5に収容されている潤滑油Lが一定量以上となって、その収容されている潤滑油Lの油面が油戻し管22の接続位置よりも高くなると、その接続位置を超えている分の潤滑油Lが油戻し管22に流入する。油戻し管22に流入した潤滑油Lは、キャピラリチューブ23を通って集合管19に合流し、その集合管19から油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bに分流した潤滑油Lは、キャピラリチューブ21a,21bを通って冷媒吸込管14a,14bに流れる。冷媒吸込管14a,14bに流れた潤滑油Lは、冷凍サイクル中を循環した冷媒と共に、気液分離器15a,15bを介して圧縮機1a,1bに吸込まれる。こうして、油分離器5に収容されている潤滑油Lの一部が、圧縮機1a,1bに均等に補給される。
【0053】
また、起動時のように圧縮機1a,1bの油面が低下しやすい運転条件の時には、必要に応じて第2油戻し管24を介して油分離器5から潤滑油Lが圧縮機1a,1bに供給される。
【0054】
ところで、上記したように、気液分離器15a,15bにおける各挿入管61の開口61aについては、圧縮機1a,1bで油圧縮や液圧縮が生じないよう、また潤滑油Lがケース60内に滞留しないよう、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさが設定されている。
【0055】
ただし、密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が油管16a,16bによって圧縮機1a,1bの吸込側に戻されるため、たとえ気液分離器15a,15bにおける各挿入管61が開口61aを有していても、その開口61aだけでは、ケース60内に潤滑油Lが滞留してしまう事態が避けられないことがある。
【0056】
とくに、空調負荷が小さくて、圧縮機1a,1bの運転周波数Faが低減された場合には、冷媒循環量が減少することにより、油管16a,16bの高さを超えた余剰油面が上部開口57aを超えることがなく、密閉ケース51内に滞留する。密閉ケース51内に滞留した余剰油は、油管16a,16bを通して気液分離器15a,15bに戻され、気液分離器15a,15bのケース60内に滞留する潤滑油Lが圧縮機1a,1bに吸込まれないまま徐々に増えてしまう。
【0057】
たとえ、気液分離器15a,15b内の潤滑油Lのいくらかがが圧縮機1aに吸込まれても、圧縮機1a,1bの運転周波数Faが低減された状態では、圧縮機1a,1bによる冷媒の循環量が少ないため、圧縮機1a,1bに吸込まれたいくらかの潤滑油Lはそのまま圧縮機1a,1b内に溜まり込むだけで圧縮機1a,1bからなかなか吐出されない。こうなると、油分離器5に潤滑油Lが溜まらなくなり、油分離器5から油管22への潤滑油Lの流入もなくなる。結局、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留するだけの状態が推移することになる。
【0058】
また、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留してその油面が上昇した状態では、過渡的に冷媒吸込管14a,14bから気液分離器15a,15bに流入する冷媒に多量の液冷媒が含まれるいわゆる液バック現象が生じた場合に、気液分離器15a,15bにおけるケース60内の液冷媒の液面や潤滑油Lの油面が一気に上昇して各挿入管61の上端開口に達してしまうことである。この場合、液冷媒や潤滑油Lが各挿入管61に多量に流入して圧縮機1a,1bに吸込まれる現象を生じ、圧縮機1a,1bで液圧縮や油圧縮を生じてしまい、圧縮機が破損に至る危険性がある。
【0059】
ところが、この場合、各密閉ケース51内の潤滑油Lの最大余剰分として、各密閉ケース51の内部空間のうち、各カバー57の上部開口57aの高さ位置と油管16a,16bの高さ位置との間の距離に相当するそれぞれの空間の容積が、各気液分離器15a,15bのそれぞれの容積のほぼ50%未満に設定されている。そのため、各密閉ケース51内の潤滑油Lの最大余剰分のほぼ全てが油管16a,16bを通して各気液分離器15a,15bに戻ってきて滞留した状態において、仮に過渡的な液バック状態が発生したとしても、各ケース60内の挿入管61の上端を潤滑油Lと冷媒が混合した状態でオーバーフローすることがなく、各気液分離器15a,15bとしての機能を損なうことはない。
【0060】
また、上記のように冷媒循環量が減少された状態から、空調負荷が増大し、圧縮機1a,1bの運転周波数が増大され、冷媒循環量が増大された状態で運転された場合には、各気液分離器15a,15bの各ケース60内に滞留した潤滑油Lが各挿入管61の開口61aから圧縮機1a,1bに戻され、密閉ケース51内の油面が上昇する。その油面が油管16a,16bの高さ位置から各カバー57の上部開口57aの高さ位置までの間の余剰油については、油管16a,16bから各冷媒吸込管14a,14bを通して各気液分離器15a,15b内に戻され、各挿入管61に設けられた各開口61aから各圧縮機1a,1bに戻され、各圧縮機の油面は適正にバランスする。また、密閉ケース51内で上昇した油面が各カバー57の上部開口57aの高さ位置を超えた余剰油については、吐出冷媒に混じって密閉ケース51から吐出されて油分離器5に入り、ここで冷媒と分離されて収容される。この油分離器5に収容された潤滑油Lは、油分離器5の所定保有量、すなわち油戻し管22の高さ位置まで溜められる。
【0061】
据付時の配管長が様々に変化する可能性のあるマルチ形空気調和機では、配管長に応じた必要量に対して所定量多い潤滑油Lが封入されることから、据付時の配管長が短かった場合には冷凍サイクル中の潤滑油Lが余り気味となってしまう。ただし、この余り気味の潤滑油Lは、油分離器5に収容され、圧縮機1a,1bや気液分離器15a,15bに余剰油として溜まり込むことがない。
【0062】
このように、油分離器5の存在によって、圧縮機1a,1bおよび気液分離器15a,15bにおける余剰油の溜まり込みを防ぐことができるので、余剰油を保有するために圧縮機1a,1bの密閉ケース51を大きくする必要性がない。このことは、圧縮機1a,1bの小形化および低コスト化につながる。油分離器5の存在により、潤滑油Lの保有手段として別のタンクを設ける必要もないので、冷凍サイクルの構成が簡略化することができる。
【0063】
[2]第2の実施形態について説明する。
制御部40により、図3のフローチャートに示す制御が実行される。
まず、通常の制御として、運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ101)。たとえば、空調負荷が小さい場合は圧縮機1aのみが運転され(1台運転)、圧縮機1aの運転周波数Faが空調負荷の変化に応じて制御される。空調負荷が増えると、圧縮機1aの運転に加えて圧縮機1bも運転され(2台運転)、圧縮機1aの運転周波数Faが空調負荷の変化に応じて制御される。
【0064】
そして、上記問題を解消するための制御として、容量可変型の圧縮機1aが運転しているとき(ステップ102のYES)、タイムカウントtが実行され(ステップ103)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ104)。
【0065】
タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ104のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ105)、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大される(ステップ106)。
【0066】
この運転周波数Faの増大(圧縮機1aの容量増大)に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ107)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t2とが比較される(ステップ108)。タイムカウントtが一定時間t2に達すると(ステップ108のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ109)、ステップ101の通常の制御に復帰する。
【0067】
上記のように運転周波数Faが所定値F1まで増大されると、圧縮機1aによる冷媒循環量が増大することにより、気液分離器15aのケース60内の潤滑油Lが滞りなく圧縮機1aに取込まれるようになる。また、圧縮機1aの密閉ケース51におけるカバー57の上部開口57aから放出される冷媒の循環量が増大し、この放出冷媒に伴い、密閉ケース51内に残留する潤滑油Lの余剰分が上部開口57aを超えて密閉ケース51から出ていく。
【0068】
圧縮機1aから潤滑油Lが出て行くことにより、油分離器5に潤滑油Lが溜まるようになり、油分離器5から油管22への潤滑油Lの流入が生じる。油管22に流入した潤滑油Lは、集合管19、油管20a,20b、冷媒吸込管14a,14bを介して気液分離器15a,15bへと流れる。
【0069】
このように、定期的(設定時間t1ごと)に一定時間t2だけ圧縮機1aの運転周波数Faを増大することにより、潤滑油Lを圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に循環させる作用が生じ、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。
【0070】
気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留しなくなって、そのケース60内の潤滑油Lの油面が上昇しなければ、冷媒吸込管14a,14bから気液分離器15a,15bに流入する冷媒に多量の液冷媒が含まれる液バック現象が生じても、ケース60内の液冷媒の液面や潤滑油Lの油面が各挿入管61の上端開口に達することがない。よって、液冷媒や潤滑油Lが各挿入管61の上端から多量に流入して圧縮機1a,1bに吸込まれる現象を回避することができ、ひいては圧縮機1a,1bでの液圧縮や油圧縮を未然に防ぐことができて圧縮機1a,1bの安全を確保することができる。
【0071】
しかも、圧縮機1a,1bの密閉ケース51については、カバー57の上部開口57aと油管16aとの間の距離D1に相当する空間の容積が、気液分離器15a,15bのそれぞれのケース60の容積のほぼ50%未満に設定されている。したがって、運転周波数Faが所定値F1へ増大されたとき、仮に、密閉ケース51内のカバー57の上部開口57aの上方まで残留する潤滑油Lが密閉ケース51から一気に吐出され、それが油分離器5を経由して気液分離器15a,15bのいずれかのケース60に一度に流入したとしても、ケース60の内部空間が冷媒や潤滑油Lで満杯になることはない。
気液分離器15a,15bのケース60の内部空間が冷媒や潤滑油Lで満杯にならないので、気液分離器15a,15bの機能つまりガス冷媒と液冷媒との分離作用を常に確保することができる。
【0072】
しかも、従来のように油分離器に加えて油容器を設ける必要がないので、構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる。
【0073】
他の構成、作用、効果については第1の実施形態と同じである。
【0074】
[3]第3の実施形態について説明する。
制御部40により、図4のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ201)。
【0075】
冷凍サイクルの高圧側配管の冷媒圧力(=圧縮機1a,1bの吐出冷媒圧力)Pdが圧力センサ26で検知され、冷凍サイクルの低圧側配管の冷媒圧力(=圧縮機1a,1bの吸込冷媒圧力)Psが圧力センサ27で検知され、その検知圧力Pd,PSの比が圧縮機1a,1bの圧縮比Paとして検出されるとともに、検知圧力Pd,PSの差が高低圧差ΔPaとして検出される(ステップ202)。
【0076】
圧縮機1aの運転周波数Faが予め定められている所定値Fas以下に低減されたとき(ステップ203のYES)、圧縮比Paが予め定められている設定値Pas以下であれば(ステップ204のYES)、あるいは高低圧差ΔPが予め定められている設定値ΔPs以下であれば(ステップ205のYES)、密閉ケース51および気液分離器15a,15bに潤滑油Lが滞留し易いとの判断の下に、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大される(ステップ206)。そして、タイムカウントtが実行される(ステップ207)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t3とが比較される(ステップ208)。タイムカウントtが一定時間t3に達すると(ステップ208のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ209)、ステップ201の通常の制御に復帰する。
【0077】
すなわち、第1の実施形態では圧縮機1aの運転周波数Fa(=圧縮機1aの容量増大)を増大する制御を定期的に一定時間t2だけ実行したが、この第2の実施形態では、圧縮機1aの運転周波数Faを増大する制御を、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値Fas以下で、かつ各圧縮機の吐出冷媒圧力Pdと各圧縮機の吸込冷媒圧力Psとの比Paまたは差ΔPが設定値以下の場合に、一定時間t3だけ実行するようにしている。
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0078】
[4]第4の実施形態について説明する。
図5に示すように、油管16a,16bにおける逆止弁17a,17bに代えて、開閉弁28a,28bが設けられている。これら開閉弁28a,28bは、制御部40により開閉制御される。
【0079】
制御部40により、図6のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ301)。
【0080】
タイムカウントtが実行され(ステップ302)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ303)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ303のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ304)、圧縮機1a側の余剰油排出制御が実行される(ステップ305)。圧縮機1bが運転中であれば、圧縮機1b側の余剰油排出制御も実行される(ステップ306)。すなわち、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大されるとともに、開閉弁28a,28bが閉成される。
【0081】
この余剰油排出制御に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ307)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t4とが比較される(ステップ308)。タイムカウントtが一定時間t4に達すると(ステップ308のYES)、開閉弁28a,28bが開放されるとともに(ステップ309)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ304)、ステップ301の通常の制御に復帰する。
【0082】
開閉弁28a,28bを閉成するのは、圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が油管16a,16bに流入するのを遮断するためである。この状態で、圧縮機1aの運転周波数Fa(=圧縮機1aの容量)を所定値F1まで増大することにより、潤滑油Lが圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に且つ効率よく循環するようになる。
【0083】
この開閉弁28a,28bの閉成および運転周波数Faの増大が定期的に一定時間t4だけ実行されることにより、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0084】
[5]第5の実施形態について説明する。
油分離器5への所定保有油量に相当する容積、すなわち油戻し管22が接続された高さまでの油分離器5の容積が、気液分離器15a,15bのそれぞれのケース60の容積を合計した総容積に応じて定まる所定値未満、たとえば各ケース60の合計の総容積のほぼ50%未満に設定されている。
【0085】
したがって、油分離器5の底部から集合管19にかけて接続されている油戻し管24が開閉弁25の開放によって導通され、油分離器5に溜まっている全ての潤滑油Lが気液分離器15a,15bの各ケース60に一度に流入したとしても、各ケース60の内部空間が潤滑油Lで満杯にならない。
気液分離器15a,15bの各ケース60の内部空間が潤滑油Lで満杯にならないので、気液分離器15a,15bの機能つまりガス冷媒と液冷媒および潤滑油Lとの分離作用を常に確保することができる。
【0086】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
[6]第6の実施形態について説明する。
圧縮機1bの駆動用として新たにインバータ(図示しない)が設けられ、その圧縮機1bが圧縮機1aと同じく容量可変圧縮機として使用される。
制御部40により、図7のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1a,1bの運転周波数Fa,Fbがそれぞれ制御される(ステップ401)。
【0088】
タイムカウントtが実行され(ステップ402)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ403)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ403のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ404)、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値ΔFだけ増大され(ステップ405)、圧縮機1bの運転周波数Fbが所定値ΔFだけ低減される(ステップ406)。
【0089】
この運転周波数Fa,Fbの増減制御に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ407)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t5とが比較される(ステップ408)。タイムカウントtが設定時間t5に達すると(ステップ408のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ409)、ステップ401の通常の制御に復帰する(運転周波数Fa,Fbの増減制御が解除される)。
【0090】
運転周波数Fa,Fb(=圧縮機1a,1bの容量)を相対的に増減することにより、圧縮機1aにおける密閉ケース51の内部圧力と圧縮機1bにおける密閉ケース51の内部圧力とに差が生じる。
【0091】
この圧力差を確保する制御が定期的に一定時間t5だけ実行されることにより、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分を圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。容量を減少させた圧縮機1aの油面を適正にするとともに、容量を増加させた圧縮機1bの油面を上昇させて油分離器5に効率的に排出できる。
【0092】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0093】
[7]第7の実施形態について説明する。
図8に示すように、複数台の室外ユニットAが設けられている。そして、各室外ユニットAにおいて、油分離器5の下部(低部)から低圧側配管13にかけて油戻し管24が接続され、その油戻し管24に開閉弁(第1開閉弁)25および開閉弁(第2開閉弁)71が設けられている。各開閉弁25および各開閉弁71は、制御部40により開閉制御される。各開閉弁71に対し、後述の油流通管70に液冷媒が溜まり込むのを防ぐためのキャピラリチューブ72が並列に接続されている。
【0094】
各室外ユニットAの油戻し管24における開閉弁25と開閉弁71との間の位置に、油流通管70が相互接続されている。また、各室外ユニットAの油戻し管24における開閉弁25と開閉弁71との間の位置に、油流通管70から油分離器5側への潤滑油Lの逆流を阻止するための逆止弁73が設けられている。
【0095】
各室外ユニットAの油分離器5に油量検知器74が取付けられている。これら油量検知器74は、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量を検知する。
【0096】
制御部40により、図9のタイムチャートおよび図10のフローチャートに示す制御が室外ユニットAごとに実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Faが制御される(ステップ501)。
【0097】
タイムカウントtが実行され(ステップ502)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ503)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ503のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ504)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ505)。検知結果が第1検知結果として、制御部40の内部メモリに記憶される。
【0098】
油量検知器74による油量検知に続き、開閉弁25,71が開放されるとともに(ステップ506)、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値F1まで増大される(ステップ507)。この状態でタイムカウントtが開始され(ステップ508)、そのタイムカウントtが予め定められている一定時間t6とが比較される(ステップ509)。
【0099】
開閉弁25,71が開放されることにより、各室外ユニットAの油分離器5に収容されている潤滑油Lが油戻し管24を通って低圧側配管13に流れるとともに、油戻し管24内の潤滑油Lが油流通管70を通して各室外ユニットAの相互で流通する。しかも、この場合、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値F1まで増大されているので、潤滑油Lが圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に且つ効率よく循環するようになる。これにより、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。 タイムカウントtが一定時間t6に達すると(ステップ509のYES)、開閉弁25,71が閉成されるとともに(ステップ510)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ511)。この検知結果が第2検知結果として制御部40の内部メモリに記憶される。そして、この第2検知結果と上記記憶された第1検知結果との差が、一定時間t6における油分離器5内の潤滑油Lの減少量として検出される(ステップ512)。同時に、タイムカウントtがクリアされる(ステップ513)。そして、タイムカウントtが開始され(ステップ514)、そのタイムカウントtが予め定められている所定時間t7とが比較される(ステップ515)。
【0100】
タイムカウントtが所定時間t7に達すると(ステップ515のYES)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ516)。この検知結果と上記記憶された第2検知結果との差が、所定時間t7における油分離器5内の潤滑油Lの増加量として検出される(ステップ517)。そして、この増加量が、上記検出された減少量をパラメータとして可変設定される設定値に達しているか否か、判定される(ステップ518)。同時に、タイムカウントtがクリアされる(ステップ519)。
【0101】
増加量が上記設定値に達していれば(判定結果が肯定;ステップ520のYES)、つまり圧縮機1a,1bから油分離器5に所定量の潤滑油Lが供給されていれば、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが足りているとの判断の下に、通常の制御に復帰する。つまり、ステップ501からの処理が繰り返される。
【0102】
ただし、増加量が上記設定値に達していない場合は(判定結果が否定;ステップ520のNO)、つまり圧縮機1a,1bから油分離器5に所定量の潤滑油Lが供給されていなければ、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが不足しているとの判断の下に、上記ステップ505からの処理が繰り返される。
【0103】
以上の制御が定期的に実行されることにより、各室外ユニットAにおける圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分をその圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。
【0104】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0105】
[8]第8の実施形態について説明する。
制御部40により、図11のフローチャートに示す制御が室外ユニットAごとに実行される。
【0106】
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Faが制御される(ステップ601)。
【0107】
油分離器5に収容されている潤滑油Lの変化量が、油量検知器74の検知結果に応じて、検出される(ステップ602)。検出された変化量が設定値以下の場合(ステップ603のYES)、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが不足しているとの判断の下に、第6の実施形態で説明したステップ505からステップ520の処理が実行される。
【0108】
以上の制御が実行されることにより、各室外ユニットAにおける圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分をその圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。
【0109】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0110】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、密閉ケース内の高圧型の圧縮機の密閉ケース内に保有される余剰油の最大保有油量と気液分離器の容積の関係を適切に設定したので、この余剰油のほぼ全量が気液分離器に戻されるようなことがあっても、気液分離器の機能を損なうことがなく、かつ上記最大保有油量を超えた潤滑油が吐出しやすくなって油分離器に確実に所定量溜めておくことができ、よって圧縮機の信頼性を確保しながら密閉ケース内の油面を迅速に適正に保つことができるとともに構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2、第3、第5の実施形態の構成を示す図。
【図2】各実施形態における圧縮機および気液分離器の具体的な構成を示す図。
【図3】第2の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図4】第3の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図5】第4の実施形態の構成を示す図。
【図6】第4の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図7】第6の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図8】第7の実施形態の構成を示す図。
【図9】第7の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図10】第7の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図11】第8の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
A…室外ユニット、B…室内ユニット、1a,1b…圧縮機、2a,2b…吐出管、4…高圧側配管、5…油分離器、7…室外熱交換器、10…室内熱交換器、13…低圧側配管、14a,14b…冷媒吸込管、15a,15b…気液分離器、16a,16b…第1油管、19…集合管、20a,20b…第2油管、28a,28b…開閉弁、31…インバータ、32…開閉接点、40…制御部、51…密閉ケース、53…圧縮室、54…主軸、55…ロータ、56…ステータ、57…カバー、57a…上部開口、60…ケース、61…挿入管、61a…開口、70…油流通管、71…開閉弁、74…油量検知器
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数台の圧縮機を備えた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍装置に搭載されるロータリ圧縮機は、内部空間が高圧の密閉ケースで被われている。密閉ケースには、その密閉ケース内の部品の潤滑作用を保つため、潤滑油が入っている。この潤滑油の一部は、圧縮機から吐出される冷媒ガスと共に、冷凍サイクル中に流出する。流出した潤滑油は、冷媒と共に、冷凍サイクルを循環して圧縮機に吸込まれる。
【0003】
複数台の圧縮機を備えた冷凍装置の場合、各圧縮機から流出する潤滑油の量が圧縮機ごとに異なり、各圧縮機に戻る潤滑油の量も圧縮機ごとに異なる。このため、各圧縮機の密閉ケース内の潤滑油量に、差が生じる。
【0004】
密閉ケース内の潤滑油量が少なくなると、密閉ケース内の摺動部における各部品の潤滑作用を十分に保つことができなくなる。
【0005】
(従来例1)
そこで、従来、密閉ケース内空間が高圧型の圧縮機が複数台並列に接続された冷凍装置において、各圧縮機の密閉ケース内の油面を適正に保つようにしたものとして、例えば次のようなものがある。
各圧縮機の密閉ケースに、キャピラリチューブ等の減圧手段を介した均油管を接続し、各密閉ケース内の潤滑油の余剰分を、これら均油管を通して各圧縮機の冷媒吸込管に導くことで、各密閉ケース間の油面を適正にバランスさせるようにしている(特許文献1参照)。
【0006】
(従来例2)
また、従来例1の構成に加えて、各圧縮機の高圧側配管に共通の油分離器を設けて所定量の潤滑油を溜め、この所定量を超えた潤滑油を油分離器の側部に接続した油戻し管を通して、各圧縮機の冷媒吸込管に戻すとともに、油分離器の底部から油供給管を通して冷媒吸込側に戻すようにすることで、据付条件、冷凍サイクル配管の長短、室内機の接続台数の多少等で使用範囲が広くなるマルチ形空気調和機に使用した場合でも、冷凍サイクル全体として必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないように油分離器に潤滑油を所定量溜めておくことができるとともに、圧縮機の密閉ケース内の油面が低下しやすいときには、油分離器から潤滑油を供給できるようにしている(先願発明;特願2001−322760号)。
【0007】
(従来例3)
さらに、それぞれ複数台の圧縮機を設けた複数台の室外機を並列接続した空気調和機において、各室外機の高圧側にそれぞれ油分離器を設け、この油分離器に溜まった潤滑油の余剰分を各室外機共通の油容器に集め、この油容器に溜まった余剰油を各室外機の各圧縮機の吸込側に戻すことで、複数台の室外機を使用した冷凍サイクル全体で必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないようにできるとともに、各圧縮機の油面を適正に保つようにしている(特許文献2)
【0008】
【特許文献1】
特開平8−159580号公報(図2)
【0009】
【特許文献2】
特開平10−232056号公報(図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1および従来例2に使用される圧縮機は、通常、密閉ケース内空間が高圧型のロータリ圧縮機であり、構造上、冷媒ガスを直接圧縮室に吸込むようになっているため気液分離器を設けて、圧縮室に液冷媒を吸込ませないようにしている。
【0011】
また、気液分離器は、冷凍サイクルから戻ってきた冷媒を冷媒ガスと液冷媒に分離して液冷媒圧縮を防止するほか、冷媒に混じって戻ってきた潤滑油が気液分離器内に滞留するのを防止する機能を有している。潤滑油が気液分離器内に滞留するのを防止するために、気液分離器内で液冷媒と分離された冷媒ガスを圧縮室に吸込ませるパイプの下部に油戻し穴を設け、この油戻し穴から潤滑油を吸込ませて冷媒ガスと一緒に密閉ケース内に戻すようにしている。
【0012】
この油戻し穴は、冷凍サイクルの冷媒循環量や圧力条件が変化しても潤滑油が気液分離器内に滞留しないように、かつ冷媒ガスと一緒に圧縮室に吸込まれても油圧縮しないような大きさに設計されている。
【0013】
ところが、上記のように、各圧縮機に密閉ケースに均油管が設けられている場合、冷媒循環量が少ない時や、圧縮比が小さい時には、密閉ケース内の均油管の高さ位置から圧縮室吐出カバー開口の高さ位置までの間に溜まる潤滑油は、吐出冷媒と一緒に吐油されず、均圧管を通して冷媒吸込側に戻される。
【0014】
そのため、均圧管を通して冷媒吸込側に戻された余剰油が気液分離器に滞留してしまい、過渡的な液バック状態が発生した場合には、気液分離器内で気液冷媒と余剰油が混合したままの状態で上記圧縮室に吸込まれ、液圧縮あるいは油圧縮による圧縮機の破損の危険がある。
【0015】
また、従来例2のように、マルチ形空気調和機のような冷凍サイクル全体で必要とする潤滑油量に変化が生じても不足がないように油分離器に潤滑油を所定量溜めておけるものでも、冷凍サイクル全体として必要とする潤滑油量を確保するために油量を追加した場合や、冷凍サイクルの配管長が短い場合には、冷凍サイクル全体として余剰油が発生することがある。その場合、油分離器に溜まった余剰油を圧縮機の吸込側に戻すことになるので、余剰油は気液分離器に滞留するとともに、圧縮機から吐出されなければ密閉ケース内に滞留することになる。そのうえ、均圧管を設けているので、冷媒循環量や圧縮機比が小さい場合には、さらに多量の余剰油が気液分離器や密閉ケースに滞留することになるので、気液分離器や密閉ケースの大形化が必要になってくる。
【0016】
さらに、従来例3のように、複数台の各室外機の各油分離器の余剰油を共通の油容器に集め、この油容器に溜まった余剰油を各圧縮機に戻すようにしたものでは、油分離器のほかに共通の油容器を別途設ける必要があり、冷凍サイクル構成が複雑になり空気調和機全体が高価になる等、実用的ではない。
【0017】
この発明は、上記事情を考慮してなされたもので、密閉ケース内の高圧型の圧縮機の密閉ケース内に保有される余剰油の最大保有油量と気液分離器の容積の関係を適切に設定し、この余剰油のほぼ全量が気液分離器に戻されるようなことがあっても、気液分離器の機能を損なうことがなく、かつ上記最大保有油量を超えた潤滑油が吐出しやすくなって油分離器に確実に所定量溜めておくことができ、よって圧縮機の信頼性を確保しながら密閉ケース内の油面を迅速に適正に保つことができるとともに構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の冷凍装置は、複数台の圧縮機、複数の冷媒吸込管、複数の気液分離器、複数の第1油管、集合管、複数の第2油管を備えている。各圧縮機は、潤滑油が入った内部空間が高圧の密閉ケースで被われ、冷媒を圧縮室に吸込んで圧縮し、圧縮した冷媒を圧縮室の開口からその圧縮室の開口と対応する位置に設けられたカバーの上部開口を通して密閉ケース内に放出し、その放出冷媒を密閉ケースの上部から吐出させる。各冷媒吸込管は、各圧縮機の冷媒吸込口に冷媒を導く。各気液分離器は、各冷媒吸込管と各圧縮機の冷媒吸込口との間に設けられ、各冷媒吸込管から導かれる冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、分離したガス冷媒を各圧縮機の冷媒吸込口に導く。各第1油管は各圧縮機の密閉ケースの側部に接続されており、これら第1油管に密閉ケース内の潤滑油の余剰分が流入し、その流入した潤滑油が集合管に合流する。集合管に合流した潤滑油は、各第2油管により各冷媒吸込管に導かれる。油分離器は、各圧縮機から吐出される冷媒に含まれている潤滑油を分離して収容する。油戻し管は、油分離器の側部に接続されており、油分離器に収容されている潤滑油のうち当該接続位置より上方に存する潤滑油を上記集合管に導く。とくに、各圧縮機の密閉ケースにおけるカバーの上部開口の高さ位置と第1油管の接続口の高さ位置との間の容積が、気液分離器の容積に応じて定まる所定値未満に設定されている。
【0019】
【発明の実施の形態】
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1a,1bは密閉ケース内空間が高圧冷媒で満たされるいわゆる高圧型のロータリ圧縮機で、冷媒を吸込んで圧縮し、圧縮した冷媒を吐出する。これら圧縮機1a,1bは密閉ケースで被われており、その密閉ケースには内部の摺動部における各部品の潤滑作用を保つために潤滑油Lが入っている。この潤滑油Lの一部が、冷媒の吐出に伴い、密閉ケースから流出する。
【0020】
圧縮機1a,1bから吐出される冷媒(および潤滑油Lの一部)は吐出管2a,2bおよびその吐出管2bに設けられている逆流防止用の逆止弁3を介して高圧側配管4に流れる。高圧側配管4に流れた冷媒は、油分離器5および四方弁6を介して室外熱交換器7に流れる。油分離器5は、冷媒に含まれている潤滑油Lを分離して収容する。
【0021】
室外熱交換器7に流れた冷媒は、室外ファン8から供給される外気と熱交換して液化する。この液冷媒が複数の流量調整弁9を介して複数の室内熱交換器10に流れる。各室内熱交換器10に流れた液冷媒は、室内ファン11により循環する室内空気と熱交換してガス化する。このガス冷媒は上記四方弁6およびアキュームレータ12を介して低圧側配管13に流れる。低圧側配管13に流れた冷媒は、冷媒吸込管14a,14bに分流し、その冷媒吸込管14a,14bにより圧縮機1a,1bの冷媒吸込口に導かれる。
【0022】
冷媒吸込管14a,14bと圧縮機1a,1bの冷媒吸込口との間に、それぞれ気液分離器(サクションカップともいう)15a,15bが設けられている。気液分離器15a,15bは、冷媒吸込管14a,14bから導かれる冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、分離したガス冷媒を圧縮機1a,1bの冷媒吸込口に導く。
【0023】
以上の構成により、ヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されるとともに、1台の室外ユニットAおよび複数台の室内ユニットBからなる空気調和機が構成されている。
【0024】
室外ユニットAには、上記圧縮機1a,1b、吐出管2a,2b、逆止弁3、高圧側配管4、油分離器5、四方弁6、室外熱交換器7、室外ファン8、アキュームレータ12、低圧側配管13、冷媒吸込管14a,14b、気液分離器15a,15bが搭載されている。各室内ユニットBには、上記各室内熱交換器10および各室内ファン11がそれぞれ搭載されている。なお、上記各流量調整弁9,9は各室内ユニットBに搭載されてもよい。
【0025】
そして、圧縮機1a,1bの密閉ケースの側壁に、第1油管16a,16bの一端が接続されている。この油管16a,16bに、逆止弁17a,17bおよび減圧手段たとえばキャピラリチューブ18a,18bが設けられている。逆止弁17a,17bは、集合管19から圧縮機1a,1b側への冷媒および潤滑油Lの逆流を阻止する。
【0026】
圧縮機1a,1bの密閉ケースには、油面高さの許容下限位置が予め定められている。油面高さの許容下限位置は、圧縮機1a,1bの運転に必要な最小限の潤滑油量に相当する。この油面高さの許容下限位置より高い位置に、油管16a,16bが接続されている。したがって、圧縮機1a,1bの密閉ケース内の潤滑油Lの余剰分が、油管16a,16bに流入する。
【0027】
油管16a,16bの他端は1本の集合管19に接続され、この集合管19から上記冷媒吸込管14a,14bにかけて、第2油管20a,20bが接続されている。この油管20a,20bに、減圧手段たとえばキャピラリチューブ21a,21bが設けられている。キャピラリチューブ21a,21bは、キャピラリチューブ18a,18bよりも小さい抵抗(絞り)を有している。
【0028】
上記油分離器5の側部に第1油戻し管22の一端が接続され、その油戻し管22の他端が減圧手段23を介して集合管19に接続されている。油戻し管22は、油分離器5に収容されている潤滑油Lのうち当該接続位置より上方に存する潤滑油Lを集合管19に導く。油戻し管22が接続された高さまでの容積が、油分離器5への所定保有油量に相当する。
【0029】
油分離器5の下部(底部)に第2油戻し管24の一端が接続され、その油戻し管24の他端が開閉弁25を介して集合管19に接続されている。開閉弁25が開くと、油分離器5に溜まっている潤滑油Lが油戻し管24を通って集合管19に流れる。
なお、高圧側配管4および低圧側配管13に冷媒圧力検知用の圧力センサ26,27がそれぞれ設けられている。
【0030】
一方、制御部40に、四方弁6、各流量調整弁9、開閉弁25、圧力センサ26,27、インバータ31、および開閉接点32が接続されている。
【0031】
インバータ31は、商用交流電源30の電圧を整流して直流電圧に変換し、その直流電圧をスイッチングにより制御部40からの指令に応じた周波数の交流電圧に変換して出力する。この出力により、圧縮機1aが駆動される。インバータ31の出力電圧の周波数(以下、圧縮機1aの運転周波数Faという)が変化すると、圧縮機1aの容量が変化する。すなわち、圧縮機1aは、制御部40の指令に応じて容量が変化する、いわゆる容量可変圧縮機である。
【0032】
開閉接点32は、たとえば電磁接触器の接点であり、制御部40からの指令に応じて開閉する。開閉接点32が閉成すると、商用交流電源30の電圧が圧縮機1bに供給されて、圧縮機1bの運転が開始される。開閉接点32が開放すると、圧縮機1bの運転が停止する。すなわち、圧縮機1bは、開閉接点32の開閉により運転の開始・停止を繰り返し、かつ運転時の容量が常に一定の、いわゆる容量固定圧縮機である。
【0033】
圧縮機1aおよび気液分離器15aの具体的な構成を図2示している。
圧縮機1aは、密閉ケース51で被われている。密閉ケース51は、側部に2つの冷媒吸込口52を有するとともに、内部空間に2つのロータリ式の圧縮室(シリンダ)53を有している。圧縮室53は、内部の偏心ローラが回転することにより、冷媒吸込口52から冷媒を吸込んで圧縮し、圧縮した高圧冷媒を開口53aを通して密閉ケース51の内部空間に吐出する。
【0034】
密閉ケース51の内部空間には上下方向に沿って主軸54が回動自在に設けられ、その主軸54の下部に上記圧縮室53内の偏心ローラが装着されている。主軸54が回動することにより、偏心ローラが回転する。
【0035】
密閉ケース51の内部空間において、主軸54の上部にロータ55が装着され、そのロータ55の周囲にステータ56が配設されている。このロータ55およびステータ56により、モータが構成されている。
【0036】
密閉ケース51の内部空間において、圧縮室53の開口53aと対応する位置にカバー(吐出カバーともいう)57が設けられている。このカバー57は、圧縮室53の開口53aから吐出される冷媒の脈動を抑制するためのもので、フランジ形状を有し、主軸54の軸受け58を囲む状態に設けられている。また、カバー57の上縁と軸受け58の周面との間に隙間が形成されており、その隙間が上部開口57aとして機能する。すなわち、圧縮室53の開口53aから吐出されてカバー57の内部空間に充満する冷媒は、上部開口57aを通して密閉ケース51の内部空間に放出される。上部開口57aから放出された冷媒は、上記モータの隙間を通って上昇し、密閉ケース51の上部に接続されている吐出管2aを通って密閉ケース51外に吐出される。
【0037】
密閉ケース51の側部に、上記油管16aが挿入接続されている。密閉ケース51の内部空間のうち、カバー57の上部開口57aの高さ位置と油管16aの高さ位置との間の距離D1に相当する空間の容積は、気液分離器15aの容積に応じて定まる所定値未満、たとえば気液分離器15aの容積のほぼ50%未満に設定されている。前記Dに相当する容積は、密閉ケース51に保有される余剰油の最大保有油量に相当する。すなわち、潤滑油Lの油面の高さが上部開口57a以上であれば、吐出冷媒と一緒に吐出されてしまい余剰油として保有できないが、油面が上部開口57aと油管16aとの間の距離内にあれば、冷媒循環量が小さい時には、余剰油として密閉ケース51内に保有される。
【0038】
一方、気液分離器15aは、ケース60および2つの挿入管61により構成されている。ケース60は、冷媒吸込管14aから導かれる冷媒を取込むための開口60aを上部に有している。各挿入管61は、ケース60の下部からケース60内に挿入され、上端開口がケース60内の上部空間に存するとともに、下端部が圧縮機1aの各冷媒吸込口52に接続されている。冷媒吸込管14aからケース60内に取込まれる冷媒は、ケース60内の上部空間にガス分が存して、下部空間に液分が存する形で、ガス冷媒と液冷媒とに分離する。分離したガス冷媒は、各挿入管61の上端開口に流入する。流入したガス冷媒は、そのまま各挿入管61内を流れて圧縮機1aの各冷媒吸込口52に吸込まれる。
【0039】
また、各挿入管61は、ケース60内の下部空間と対応する位置に、潤滑油取込み用の開口61aを有している。ケース60内の下部空間に存する液冷媒に潤滑油Lが含まれている場合、その潤滑油Lが開口61aを通って挿入管61に取込まれる。この取込みにより、ケース60内に潤滑油Lが滞留しないようにしている。
【0040】
開口61aが大き過ぎると、圧縮機1aに多量の潤滑油Lや液冷媒が流れ、圧縮機1aで油圧縮や液圧縮を生じてしまうという不具合がある。逆に、開口61aが小さ過ぎると、潤滑油Lがケース60内に滞留してしまう不具合がある。このため、開口61aについては、これら不具合が生じないよう、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさが設定されている。
【0041】
気液分離器15aの容積とは、すなわちケース60の容積である。ケース60の内部空間のうち、底部からの高さD2に相当する空間が、ケース60の容積の50%に相当する。
【0042】
なお、圧縮機1bおよび気液分離器15bの構成は、圧縮機1aおよび気液分離器15aの構成と同じである。よって、圧縮機1bおよび気液分離器15bの具体的な構成の説明については省略する。
【0043】
つぎに、作用を説明する。
圧縮機1a,1bが運転されると、それぞれの密閉ケース51の内部圧力が高くなる。このとき、各密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16a,16bの接続位置よりも高ければ、その接続位置を超えている分の潤滑油Lが余剰分として油管16a,16bに流入する。
【0044】
油管16a,16bに流入した潤滑油Lは、逆止弁17a,17bおよびキャピラリチューブ18a,18bを通って集合管19に合流し、その集合管19から油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bに分流した潤滑油Lは、キャピラリチューブ21a,21bを通って冷媒吸込管14a,14bに流れる。冷媒吸込管14a,14bに流れた潤滑油Lは、冷凍サイクル中を循環した冷媒と共に、気液分離器15a,15bを介して圧縮機1a,1bに吸込まれる。
【0045】
集合管19から油管20a,20bへの潤滑油Lの分流に際しては、キャピラリチューブ21a,21bが抵抗となる。この抵抗作用により、集合管19内の潤滑油Lが油管20a,20bに均等に分流する。こうして、各密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が、圧縮機1a,1bに均等に補給される。この均等の補給により、圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分を圧縮機1a,1bの相互間で迅速に補給し合うことができる。
【0046】
圧縮機1aでは密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16aの接続位置よりも高くなって、圧縮機1bでは密閉ケース51内の潤滑油Lの油面が油管16bの接続位置よりも低くなることがある。この場合、圧縮機1a側の油管16aに潤滑油Lが流入し、圧縮機1b側の油管16bには高圧のガス冷媒が流入する。これら流入した潤滑油Lおよびガス冷媒は、集合管19で合流し、混合状態となって油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bにはキャピラリチューブ21a,21bの抵抗作用があるので、集合管19内の潤滑油Lおよびガス冷媒が油管20a,20bに均等に分流する。つまり、圧縮機1aにおける潤滑油Lの余剰分が圧縮機1a,1bに均等に補給される。
【0047】
圧縮機1bに対して一度に多量の潤滑油Lが不要に補給されることもなく、圧縮機1a,1bにおける潤滑油量を常に最適な状態に維持することができる。
【0048】
油管16a,16bに逆止弁17a,17bが設けられているので、油管16a,16bから各密閉ケース51への潤滑油Lの逆流を防ぐことができる。
【0049】
油管20a,20bにおけるキャピラリチューブ21a,21bの抵抗は、、油管16a,16bにおけるキャピラリチューブ18a,18bの抵抗よりも小さい。よって、冷媒吸込管14a,14bの吸入圧力が油管20a,20bおよび集合管19を通して油管16a,16bに確実に伝わる。したがって、各密閉ケース51から油管16a,16bに流入した潤滑油Lは、集合管19および油管20a,20bを通して冷媒吸込管14a,14bへ確実かつ効率的に流れる。潤滑油Lが油管16a,16bの相互間で移動することはなく、潤滑油Lが油管16a,16bに滞留することもない。
【0050】
各圧縮機の密閉ケース51から流出する潤滑油Lを1本の集合管19に集め、その集合管19に集まった潤滑油Lを各圧縮機に分配する構成であるから、圧縮機の台数がたとえ3台以上であっても、潤滑油Lを各圧縮機に均等に補給することが可能である。
【0051】
また、圧縮機1a,1bから吐出される冷媒は、吐出管2a,2bを介して高圧側配管4に流れる。高圧側配管4に流れた冷媒は、油分離器5を通って四方弁6側に流れる。このとき、油分離器5において、冷媒に含まれている潤滑油Lが分離される。分離された潤滑油Lは、油分離器5に収容される。
【0052】
油分離器5に収容されている潤滑油Lが一定量以上となって、その収容されている潤滑油Lの油面が油戻し管22の接続位置よりも高くなると、その接続位置を超えている分の潤滑油Lが油戻し管22に流入する。油戻し管22に流入した潤滑油Lは、キャピラリチューブ23を通って集合管19に合流し、その集合管19から油管20a,20bへと分流する。油管20a,20bに分流した潤滑油Lは、キャピラリチューブ21a,21bを通って冷媒吸込管14a,14bに流れる。冷媒吸込管14a,14bに流れた潤滑油Lは、冷凍サイクル中を循環した冷媒と共に、気液分離器15a,15bを介して圧縮機1a,1bに吸込まれる。こうして、油分離器5に収容されている潤滑油Lの一部が、圧縮機1a,1bに均等に補給される。
【0053】
また、起動時のように圧縮機1a,1bの油面が低下しやすい運転条件の時には、必要に応じて第2油戻し管24を介して油分離器5から潤滑油Lが圧縮機1a,1bに供給される。
【0054】
ところで、上記したように、気液分離器15a,15bにおける各挿入管61の開口61aについては、圧縮機1a,1bで油圧縮や液圧縮が生じないよう、また潤滑油Lがケース60内に滞留しないよう、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさが設定されている。
【0055】
ただし、密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が油管16a,16bによって圧縮機1a,1bの吸込側に戻されるため、たとえ気液分離器15a,15bにおける各挿入管61が開口61aを有していても、その開口61aだけでは、ケース60内に潤滑油Lが滞留してしまう事態が避けられないことがある。
【0056】
とくに、空調負荷が小さくて、圧縮機1a,1bの運転周波数Faが低減された場合には、冷媒循環量が減少することにより、油管16a,16bの高さを超えた余剰油面が上部開口57aを超えることがなく、密閉ケース51内に滞留する。密閉ケース51内に滞留した余剰油は、油管16a,16bを通して気液分離器15a,15bに戻され、気液分離器15a,15bのケース60内に滞留する潤滑油Lが圧縮機1a,1bに吸込まれないまま徐々に増えてしまう。
【0057】
たとえ、気液分離器15a,15b内の潤滑油Lのいくらかがが圧縮機1aに吸込まれても、圧縮機1a,1bの運転周波数Faが低減された状態では、圧縮機1a,1bによる冷媒の循環量が少ないため、圧縮機1a,1bに吸込まれたいくらかの潤滑油Lはそのまま圧縮機1a,1b内に溜まり込むだけで圧縮機1a,1bからなかなか吐出されない。こうなると、油分離器5に潤滑油Lが溜まらなくなり、油分離器5から油管22への潤滑油Lの流入もなくなる。結局、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留するだけの状態が推移することになる。
【0058】
また、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留してその油面が上昇した状態では、過渡的に冷媒吸込管14a,14bから気液分離器15a,15bに流入する冷媒に多量の液冷媒が含まれるいわゆる液バック現象が生じた場合に、気液分離器15a,15bにおけるケース60内の液冷媒の液面や潤滑油Lの油面が一気に上昇して各挿入管61の上端開口に達してしまうことである。この場合、液冷媒や潤滑油Lが各挿入管61に多量に流入して圧縮機1a,1bに吸込まれる現象を生じ、圧縮機1a,1bで液圧縮や油圧縮を生じてしまい、圧縮機が破損に至る危険性がある。
【0059】
ところが、この場合、各密閉ケース51内の潤滑油Lの最大余剰分として、各密閉ケース51の内部空間のうち、各カバー57の上部開口57aの高さ位置と油管16a,16bの高さ位置との間の距離に相当するそれぞれの空間の容積が、各気液分離器15a,15bのそれぞれの容積のほぼ50%未満に設定されている。そのため、各密閉ケース51内の潤滑油Lの最大余剰分のほぼ全てが油管16a,16bを通して各気液分離器15a,15bに戻ってきて滞留した状態において、仮に過渡的な液バック状態が発生したとしても、各ケース60内の挿入管61の上端を潤滑油Lと冷媒が混合した状態でオーバーフローすることがなく、各気液分離器15a,15bとしての機能を損なうことはない。
【0060】
また、上記のように冷媒循環量が減少された状態から、空調負荷が増大し、圧縮機1a,1bの運転周波数が増大され、冷媒循環量が増大された状態で運転された場合には、各気液分離器15a,15bの各ケース60内に滞留した潤滑油Lが各挿入管61の開口61aから圧縮機1a,1bに戻され、密閉ケース51内の油面が上昇する。その油面が油管16a,16bの高さ位置から各カバー57の上部開口57aの高さ位置までの間の余剰油については、油管16a,16bから各冷媒吸込管14a,14bを通して各気液分離器15a,15b内に戻され、各挿入管61に設けられた各開口61aから各圧縮機1a,1bに戻され、各圧縮機の油面は適正にバランスする。また、密閉ケース51内で上昇した油面が各カバー57の上部開口57aの高さ位置を超えた余剰油については、吐出冷媒に混じって密閉ケース51から吐出されて油分離器5に入り、ここで冷媒と分離されて収容される。この油分離器5に収容された潤滑油Lは、油分離器5の所定保有量、すなわち油戻し管22の高さ位置まで溜められる。
【0061】
据付時の配管長が様々に変化する可能性のあるマルチ形空気調和機では、配管長に応じた必要量に対して所定量多い潤滑油Lが封入されることから、据付時の配管長が短かった場合には冷凍サイクル中の潤滑油Lが余り気味となってしまう。ただし、この余り気味の潤滑油Lは、油分離器5に収容され、圧縮機1a,1bや気液分離器15a,15bに余剰油として溜まり込むことがない。
【0062】
このように、油分離器5の存在によって、圧縮機1a,1bおよび気液分離器15a,15bにおける余剰油の溜まり込みを防ぐことができるので、余剰油を保有するために圧縮機1a,1bの密閉ケース51を大きくする必要性がない。このことは、圧縮機1a,1bの小形化および低コスト化につながる。油分離器5の存在により、潤滑油Lの保有手段として別のタンクを設ける必要もないので、冷凍サイクルの構成が簡略化することができる。
【0063】
[2]第2の実施形態について説明する。
制御部40により、図3のフローチャートに示す制御が実行される。
まず、通常の制御として、運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ101)。たとえば、空調負荷が小さい場合は圧縮機1aのみが運転され(1台運転)、圧縮機1aの運転周波数Faが空調負荷の変化に応じて制御される。空調負荷が増えると、圧縮機1aの運転に加えて圧縮機1bも運転され(2台運転)、圧縮機1aの運転周波数Faが空調負荷の変化に応じて制御される。
【0064】
そして、上記問題を解消するための制御として、容量可変型の圧縮機1aが運転しているとき(ステップ102のYES)、タイムカウントtが実行され(ステップ103)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ104)。
【0065】
タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ104のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ105)、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大される(ステップ106)。
【0066】
この運転周波数Faの増大(圧縮機1aの容量増大)に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ107)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t2とが比較される(ステップ108)。タイムカウントtが一定時間t2に達すると(ステップ108のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ109)、ステップ101の通常の制御に復帰する。
【0067】
上記のように運転周波数Faが所定値F1まで増大されると、圧縮機1aによる冷媒循環量が増大することにより、気液分離器15aのケース60内の潤滑油Lが滞りなく圧縮機1aに取込まれるようになる。また、圧縮機1aの密閉ケース51におけるカバー57の上部開口57aから放出される冷媒の循環量が増大し、この放出冷媒に伴い、密閉ケース51内に残留する潤滑油Lの余剰分が上部開口57aを超えて密閉ケース51から出ていく。
【0068】
圧縮機1aから潤滑油Lが出て行くことにより、油分離器5に潤滑油Lが溜まるようになり、油分離器5から油管22への潤滑油Lの流入が生じる。油管22に流入した潤滑油Lは、集合管19、油管20a,20b、冷媒吸込管14a,14bを介して気液分離器15a,15bへと流れる。
【0069】
このように、定期的(設定時間t1ごと)に一定時間t2だけ圧縮機1aの運転周波数Faを増大することにより、潤滑油Lを圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に循環させる作用が生じ、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。
【0070】
気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留しなくなって、そのケース60内の潤滑油Lの油面が上昇しなければ、冷媒吸込管14a,14bから気液分離器15a,15bに流入する冷媒に多量の液冷媒が含まれる液バック現象が生じても、ケース60内の液冷媒の液面や潤滑油Lの油面が各挿入管61の上端開口に達することがない。よって、液冷媒や潤滑油Lが各挿入管61の上端から多量に流入して圧縮機1a,1bに吸込まれる現象を回避することができ、ひいては圧縮機1a,1bでの液圧縮や油圧縮を未然に防ぐことができて圧縮機1a,1bの安全を確保することができる。
【0071】
しかも、圧縮機1a,1bの密閉ケース51については、カバー57の上部開口57aと油管16aとの間の距離D1に相当する空間の容積が、気液分離器15a,15bのそれぞれのケース60の容積のほぼ50%未満に設定されている。したがって、運転周波数Faが所定値F1へ増大されたとき、仮に、密閉ケース51内のカバー57の上部開口57aの上方まで残留する潤滑油Lが密閉ケース51から一気に吐出され、それが油分離器5を経由して気液分離器15a,15bのいずれかのケース60に一度に流入したとしても、ケース60の内部空間が冷媒や潤滑油Lで満杯になることはない。
気液分離器15a,15bのケース60の内部空間が冷媒や潤滑油Lで満杯にならないので、気液分離器15a,15bの機能つまりガス冷媒と液冷媒との分離作用を常に確保することができる。
【0072】
しかも、従来のように油分離器に加えて油容器を設ける必要がないので、構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる。
【0073】
他の構成、作用、効果については第1の実施形態と同じである。
【0074】
[3]第3の実施形態について説明する。
制御部40により、図4のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ201)。
【0075】
冷凍サイクルの高圧側配管の冷媒圧力(=圧縮機1a,1bの吐出冷媒圧力)Pdが圧力センサ26で検知され、冷凍サイクルの低圧側配管の冷媒圧力(=圧縮機1a,1bの吸込冷媒圧力)Psが圧力センサ27で検知され、その検知圧力Pd,PSの比が圧縮機1a,1bの圧縮比Paとして検出されるとともに、検知圧力Pd,PSの差が高低圧差ΔPaとして検出される(ステップ202)。
【0076】
圧縮機1aの運転周波数Faが予め定められている所定値Fas以下に低減されたとき(ステップ203のYES)、圧縮比Paが予め定められている設定値Pas以下であれば(ステップ204のYES)、あるいは高低圧差ΔPが予め定められている設定値ΔPs以下であれば(ステップ205のYES)、密閉ケース51および気液分離器15a,15bに潤滑油Lが滞留し易いとの判断の下に、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大される(ステップ206)。そして、タイムカウントtが実行される(ステップ207)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t3とが比較される(ステップ208)。タイムカウントtが一定時間t3に達すると(ステップ208のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ209)、ステップ201の通常の制御に復帰する。
【0077】
すなわち、第1の実施形態では圧縮機1aの運転周波数Fa(=圧縮機1aの容量増大)を増大する制御を定期的に一定時間t2だけ実行したが、この第2の実施形態では、圧縮機1aの運転周波数Faを増大する制御を、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値Fas以下で、かつ各圧縮機の吐出冷媒圧力Pdと各圧縮機の吸込冷媒圧力Psとの比Paまたは差ΔPが設定値以下の場合に、一定時間t3だけ実行するようにしている。
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0078】
[4]第4の実施形態について説明する。
図5に示すように、油管16a,16bにおける逆止弁17a,17bに代えて、開閉弁28a,28bが設けられている。これら開閉弁28a,28bは、制御部40により開閉制御される。
【0079】
制御部40により、図6のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Fa(インバータ31の出力周波数)が制御される(ステップ301)。
【0080】
タイムカウントtが実行され(ステップ302)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ303)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ303のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ304)、圧縮機1a側の余剰油排出制御が実行される(ステップ305)。圧縮機1bが運転中であれば、圧縮機1b側の余剰油排出制御も実行される(ステップ306)。すなわち、運転周波数Faが予め定められている設定値以上の所定値F1まで増大されるとともに、開閉弁28a,28bが閉成される。
【0081】
この余剰油排出制御に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ307)、そのタイムカウントtと予め定められている一定時間t4とが比較される(ステップ308)。タイムカウントtが一定時間t4に達すると(ステップ308のYES)、開閉弁28a,28bが開放されるとともに(ステップ309)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ304)、ステップ301の通常の制御に復帰する。
【0082】
開閉弁28a,28bを閉成するのは、圧縮機1a,1bの密閉ケース51内の潤滑油Lの余剰分が油管16a,16bに流入するのを遮断するためである。この状態で、圧縮機1aの運転周波数Fa(=圧縮機1aの容量)を所定値F1まで増大することにより、潤滑油Lが圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に且つ効率よく循環するようになる。
【0083】
この開閉弁28a,28bの閉成および運転周波数Faの増大が定期的に一定時間t4だけ実行されることにより、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0084】
[5]第5の実施形態について説明する。
油分離器5への所定保有油量に相当する容積、すなわち油戻し管22が接続された高さまでの油分離器5の容積が、気液分離器15a,15bのそれぞれのケース60の容積を合計した総容積に応じて定まる所定値未満、たとえば各ケース60の合計の総容積のほぼ50%未満に設定されている。
【0085】
したがって、油分離器5の底部から集合管19にかけて接続されている油戻し管24が開閉弁25の開放によって導通され、油分離器5に溜まっている全ての潤滑油Lが気液分離器15a,15bの各ケース60に一度に流入したとしても、各ケース60の内部空間が潤滑油Lで満杯にならない。
気液分離器15a,15bの各ケース60の内部空間が潤滑油Lで満杯にならないので、気液分離器15a,15bの機能つまりガス冷媒と液冷媒および潤滑油Lとの分離作用を常に確保することができる。
【0086】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
[6]第6の実施形態について説明する。
圧縮機1bの駆動用として新たにインバータ(図示しない)が設けられ、その圧縮機1bが圧縮機1aと同じく容量可変圧縮機として使用される。
制御部40により、図7のフローチャートに示す制御が実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1a,1bの運転周波数Fa,Fbがそれぞれ制御される(ステップ401)。
【0088】
タイムカウントtが実行され(ステップ402)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ403)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ403のYES)、タイムカウントtがクリアされるとともに(ステップ404)、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値ΔFだけ増大され(ステップ405)、圧縮機1bの運転周波数Fbが所定値ΔFだけ低減される(ステップ406)。
【0089】
この運転周波数Fa,Fbの増減制御に伴い、タイムカウントtが実行され(ステップ407)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t5とが比較される(ステップ408)。タイムカウントtが設定時間t5に達すると(ステップ408のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ409)、ステップ401の通常の制御に復帰する(運転周波数Fa,Fbの増減制御が解除される)。
【0090】
運転周波数Fa,Fb(=圧縮機1a,1bの容量)を相対的に増減することにより、圧縮機1aにおける密閉ケース51の内部圧力と圧縮機1bにおける密閉ケース51の内部圧力とに差が生じる。
【0091】
この圧力差を確保する制御が定期的に一定時間t5だけ実行されることにより、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分を圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。容量を減少させた圧縮機1aの油面を適正にするとともに、容量を増加させた圧縮機1bの油面を上昇させて油分離器5に効率的に排出できる。
【0092】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0093】
[7]第7の実施形態について説明する。
図8に示すように、複数台の室外ユニットAが設けられている。そして、各室外ユニットAにおいて、油分離器5の下部(低部)から低圧側配管13にかけて油戻し管24が接続され、その油戻し管24に開閉弁(第1開閉弁)25および開閉弁(第2開閉弁)71が設けられている。各開閉弁25および各開閉弁71は、制御部40により開閉制御される。各開閉弁71に対し、後述の油流通管70に液冷媒が溜まり込むのを防ぐためのキャピラリチューブ72が並列に接続されている。
【0094】
各室外ユニットAの油戻し管24における開閉弁25と開閉弁71との間の位置に、油流通管70が相互接続されている。また、各室外ユニットAの油戻し管24における開閉弁25と開閉弁71との間の位置に、油流通管70から油分離器5側への潤滑油Lの逆流を阻止するための逆止弁73が設けられている。
【0095】
各室外ユニットAの油分離器5に油量検知器74が取付けられている。これら油量検知器74は、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量を検知する。
【0096】
制御部40により、図9のタイムチャートおよび図10のフローチャートに示す制御が室外ユニットAごとに実行される。
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Faが制御される(ステップ501)。
【0097】
タイムカウントtが実行され(ステップ502)、そのタイムカウントtと予め定められている設定時間t1とが比較される(ステップ503)。タイムカウントtが設定時間t1に達すると(ステップ503のYES)、タイムカウントtがクリアされ(ステップ504)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ505)。検知結果が第1検知結果として、制御部40の内部メモリに記憶される。
【0098】
油量検知器74による油量検知に続き、開閉弁25,71が開放されるとともに(ステップ506)、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値F1まで増大される(ステップ507)。この状態でタイムカウントtが開始され(ステップ508)、そのタイムカウントtが予め定められている一定時間t6とが比較される(ステップ509)。
【0099】
開閉弁25,71が開放されることにより、各室外ユニットAの油分離器5に収容されている潤滑油Lが油戻し管24を通って低圧側配管13に流れるとともに、油戻し管24内の潤滑油Lが油流通管70を通して各室外ユニットAの相互で流通する。しかも、この場合、圧縮機1aの運転周波数Faが所定値F1まで増大されているので、潤滑油Lが圧縮機1aから油分離器5、油分離器5から気液分離器15a,15b、気液分離器15a,15bから圧縮機1a,1bへとほぼ強制的に且つ効率よく循環するようになる。これにより、気液分離器15a,15bのケース60内に潤滑油Lが滞留する事態を解消することができる。 タイムカウントtが一定時間t6に達すると(ステップ509のYES)、開閉弁25,71が閉成されるとともに(ステップ510)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ511)。この検知結果が第2検知結果として制御部40の内部メモリに記憶される。そして、この第2検知結果と上記記憶された第1検知結果との差が、一定時間t6における油分離器5内の潤滑油Lの減少量として検出される(ステップ512)。同時に、タイムカウントtがクリアされる(ステップ513)。そして、タイムカウントtが開始され(ステップ514)、そのタイムカウントtが予め定められている所定時間t7とが比較される(ステップ515)。
【0100】
タイムカウントtが所定時間t7に達すると(ステップ515のYES)、油分離器5に収容されている潤滑油Lの量が油量検知器74により検知される(ステップ516)。この検知結果と上記記憶された第2検知結果との差が、所定時間t7における油分離器5内の潤滑油Lの増加量として検出される(ステップ517)。そして、この増加量が、上記検出された減少量をパラメータとして可変設定される設定値に達しているか否か、判定される(ステップ518)。同時に、タイムカウントtがクリアされる(ステップ519)。
【0101】
増加量が上記設定値に達していれば(判定結果が肯定;ステップ520のYES)、つまり圧縮機1a,1bから油分離器5に所定量の潤滑油Lが供給されていれば、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが足りているとの判断の下に、通常の制御に復帰する。つまり、ステップ501からの処理が繰り返される。
【0102】
ただし、増加量が上記設定値に達していない場合は(判定結果が否定;ステップ520のNO)、つまり圧縮機1a,1bから油分離器5に所定量の潤滑油Lが供給されていなければ、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが不足しているとの判断の下に、上記ステップ505からの処理が繰り返される。
【0103】
以上の制御が定期的に実行されることにより、各室外ユニットAにおける圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分をその圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。
【0104】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0105】
[8]第8の実施形態について説明する。
制御部40により、図11のフローチャートに示す制御が室外ユニットAごとに実行される。
【0106】
運転中の室内ユニット10で検知される室内温度に応じた空調負荷が検出され、その空調負荷に応じて圧縮機1a,1bの運転台数および圧縮機1aの運転周波数Faが制御される(ステップ601)。
【0107】
油分離器5に収容されている潤滑油Lの変化量が、油量検知器74の検知結果に応じて、検出される(ステップ602)。検出された変化量が設定値以下の場合(ステップ603のYES)、圧縮機1a,1b内の潤滑油Lが不足しているとの判断の下に、第6の実施形態で説明したステップ505からステップ520の処理が実行される。
【0108】
以上の制御が実行されることにより、各室外ユニットAにおける圧縮機1a,1b内の潤滑油Lの余剰分をその圧縮機1a,1bの相互間で効率的に補給し合うことができる。
【0109】
他の構成、作用、効果は、第1の実施形態と同じである。
【0110】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、密閉ケース内の高圧型の圧縮機の密閉ケース内に保有される余剰油の最大保有油量と気液分離器の容積の関係を適切に設定したので、この余剰油のほぼ全量が気液分離器に戻されるようなことがあっても、気液分離器の機能を損なうことがなく、かつ上記最大保有油量を超えた潤滑油が吐出しやすくなって油分離器に確実に所定量溜めておくことができ、よって圧縮機の信頼性を確保しながら密閉ケース内の油面を迅速に適正に保つことができるとともに構成の複雑化およびコストの上昇を回避することができる冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2、第3、第5の実施形態の構成を示す図。
【図2】各実施形態における圧縮機および気液分離器の具体的な構成を示す図。
【図3】第2の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図4】第3の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図5】第4の実施形態の構成を示す図。
【図6】第4の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図7】第6の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図8】第7の実施形態の構成を示す図。
【図9】第7の実施形態の作用を説明するためのタイムチャート。
【図10】第7の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図11】第8の実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
A…室外ユニット、B…室内ユニット、1a,1b…圧縮機、2a,2b…吐出管、4…高圧側配管、5…油分離器、7…室外熱交換器、10…室内熱交換器、13…低圧側配管、14a,14b…冷媒吸込管、15a,15b…気液分離器、16a,16b…第1油管、19…集合管、20a,20b…第2油管、28a,28b…開閉弁、31…インバータ、32…開閉接点、40…制御部、51…密閉ケース、53…圧縮室、54…主軸、55…ロータ、56…ステータ、57…カバー、57a…上部開口、60…ケース、61…挿入管、61a…開口、70…油流通管、71…開閉弁、74…油量検知器
Claims (9)
- 潤滑油が入った密閉ケースで被われ、冷媒を圧縮室に吸込んで圧縮し、圧縮した冷媒を圧縮室の開口からその圧縮室の開口と対応する位置に設けられたカバーの上部開口を通して密閉ケース内に放出し、その放出冷媒を密閉ケースの上部から吐出させる密閉ケース内空間が高圧型の複数台の圧縮機と、
前記各圧縮機の冷媒吸込口に冷媒を導くための複数の冷媒吸込管と、
前記各冷媒吸込管と前記各圧縮機の冷媒吸込口との間にそれぞれ設けられ、前記各冷媒吸込管から導かれる冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、分離したガス冷媒を前記各圧縮機の冷媒吸込口に導く気液分離器と、
前記各圧縮機の密閉ケースの側部にそれぞれ接続され、密閉ケース内の潤滑油の余剰分が流入する第1油管と、
前記各第1油管内の潤滑油が合流する集合管と、
前記集合管から前記各冷媒吸込管にかけてそれぞれ接続された第2油管と、
前記各圧縮機から吐出される冷媒に含まれている潤滑油を分離して収容する油分離器と、
前記油分離器の側部に接続され、その油分離器に収容されている潤滑油のうち当該接続位置より上方に存する潤滑油を前記集合管に導く油戻し管と、
を備え、前記各圧縮機の密閉ケースにおける前記カバーの上部開口の高さ位置と前記第1油管の接続口の高さ位置との間の容積を、前記気液分離器の容積に応じて定まる所定値未満にしたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量を定期的に一定時間だけ設定値以上に増大する制御手段、をさらに備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量が所定値以下で、かつ前記各圧縮機の吐出冷媒圧力と同各圧縮機の吸込冷媒圧力との比または差が設定値以下のとき、前記少なくとも1つの圧縮機の容量を一定時間だけ設定値以上に増大する制御手段、をさらに備えたことを特徴とする記載の冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各第1油管に設けられた複数の開閉弁と、
定期的に一定時間だけ、前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量を設定値以上に増加し且つ前記各開閉弁を閉じる制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記油分離器は、前記油戻し管が接続された高さまでの容積が、前記気液分離器の容積に応じて定まる所定値未満であることを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各圧縮機の容量を定期的に一定時間だけ相対的に増減する制御手段、をさらに備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各圧縮機、前記各第1油管、前記各冷媒吸込管、前記集合管、前記第2油管、前記油分離器、前記油戻し管が設けられた複数台の室外ユニットと、
前記各室外ユニットにおける前記油分離器の下部から同各室外ユニットにおける前記各冷媒吸込管にかけてそれぞれ接続された第2油戻し管と、
前記各第2油戻し管に設けられた第1開閉弁および第2開閉弁と、
前記各第2油戻し管における前記第1開閉弁と前記第2開閉弁との間の位置に相互接続された油流通管と、
定期的に、前記各開閉弁を開くとともに前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量を設定値以上に増加する制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1に記載の冷凍装置において、
前記各圧縮機、前記各第1油管、前記各冷媒吸込管、前記集合管、前記第2油管、前記油分離器、前記油戻し管が設けられた複数台の室外ユニットと、
前記各室外ユニットにおける前記油分離器の下部から同各室外ユニットにおける前記各冷媒吸込管にかけてそれぞれ接続された第2油戻し管と、
前記各第2油戻し管に設けられた第1開閉弁および第2開閉弁と、
前記各第2油戻し管における前記第1開閉弁と前記第2開閉弁との間の位置に相互接続された油流通管と、
前記各室外ユニットにおける前記油分離器に収容されている潤滑油の量を検知する油量検知器と、
前記油量検知器の検知結果に応じて、前記各室外ユニットにおける前記油分離器に収容されている潤滑油の変化量を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出される変化量が設定値以下のとき、前記各開閉弁を開くとともに前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量を設定値以上に増加する制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項7または請求項8に記載の冷凍装置において、
前記制御手段は、前記各開閉弁を開くとともに前記各圧縮機の少なくとも1つの圧縮機の容量を設定値以上に増加する制御を一定時間実行し、その一定時間における前記油分離器内の潤滑油の減少量を検出し、前記一定時間の経過後、所定時間における前記油分離器内の潤滑油の増加量を検出し、その増加量が前記検出された減少量に応じて定まる設定値に達しているか否かを判定し、この判定結果が否定の場合に前記一定時間の制御を繰り返し実行することを特徴とする冷凍装置。
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