JP2004205081A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱源水の循環および冷凍サイクルの運転による空調を可能とし、しかも室内ユニットに収容する各熱交換器の種類を共通化して室内ユニットの小形化を図りながら必要十分な空調能力を確保することができる空気調和機を提供する。
【解決手段】熱源水を冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9に通してファンコイル54に導き、そのファンコイル54から流出する水を冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器5に通して排出する。熱源水の一部をファンコイル53に導き、そのファンコイル53から流出する水をファンコイル54から冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに合流させる。そして、空調負荷に応じて冷凍サイクルの運転・停止を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱源水を冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9に通してファンコイル54に導き、そのファンコイル54から流出する水を冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器5に通して排出する。熱源水の一部をファンコイル53に導き、そのファンコイル53から流出する水をファンコイル54から冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに合流させる。そして、空調負荷に応じて冷凍サイクルの運転・停止を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱源水の循環により空調を行う空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルに設置された熱源水供給装置等で作られる熱源水(冷水または温水)をファンコイル式熱交換器に流すとともに、冷媒/空気熱交換器を有する冷凍サイクルを熱源として設け、室内から吸込んだ空気を上記ファンコイル式熱交換器および上記冷媒/空気熱交換器に通して室内に吹出すことにより、室内を冷房または暖房する空気調和機がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−68392号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、構造が互いに異なるファンコイル式熱交換器および冷媒/空気熱交換器を吸込み空気の流路に設けるものでは、両熱交換器が形状面で干渉し合うなどの理由により、両熱交換器の設置に大きなスペースを要してしまう。ひいては、両熱交換器が収容される室内ユニットが大型化してしまう。
【0005】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、熱源水の循環および冷凍サイクルの運転による空調を可能とし、しかも室内ユニットに収容する各熱交換器の種類を共通化して室内ユニットの小形化を図りながら必要十分な空調能力を確保することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の空気調和機は、室内空気を吸込み、その吸込み空気を第1熱交換器および第2熱交換器に通して室内に吹出す室内ユニットと、圧縮機、第1冷媒/水熱交換器、流量調整弁、第2冷媒/水熱交換器を通して冷媒を循環させる冷凍サイクルと、を備えている。さらに、熱源水を第2冷媒/水熱交換器に通して第2熱交換器に導き、その第2熱交換器から流出する水を第1冷媒/水熱交換器に通して排出するとともに、熱源水の一部を第1熱交換器に導き、その第1熱交換器から流出する水を第2熱交換器から第1冷媒/水熱交換器に向かう水の流れに合流させる水循環手段を備え、空調負荷に応じて冷凍サイクルの運転・停止を制御する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、圧縮機1から吐出されるガス冷媒が吐出管2を介して四方弁3に供給される。四方弁3は冷房時に通電オフされて図示の状態となり、暖房時に通電オンされて切換作動する。
【0008】
四方弁3が通電オフのとき、吐出管2内のガス冷媒がガス側管4を介して第1冷媒/水熱交換器5の流路5rに流れる。冷媒/水熱交換器5は、小形でしかも熱交換性能が高いプレート式熱交換器で、流路5rに流入するガス冷媒と流路5wに流入する水との熱交換を行う。流路5rに流入するガス冷媒は、流路5wに流入する水に放熱して凝縮する。凝縮して流路5rから流出する液冷媒は、液側管6、流量調整弁7、および液側管8を通り、第2冷媒/水熱交換器9の流路9rに流れる。冷媒/水熱交換器9は、小形でしかも熱交換性能が高いプレート式熱交換器で、流路9rに流入する液冷媒と流路9wに流入する水との熱交換を行う。流路9rに流入する液冷媒が、流路9wに流入する水から熱を奪って蒸発することになる。蒸発して流路9rから流出するガス冷媒は、ガス側管10、四方弁3、および吸込管11を通り、圧縮機1に吸込まれる。
【0009】
四方弁3が通電オンによって切換作動した場合は、吐出管2内のガス冷媒がガス側管10を介して冷媒/水熱交換器9の流路9rに導かれる。流路9rに流入するガス冷媒は、流路9wに流入する水に放熱して凝縮する。凝縮して流路9rから流出する液冷媒は、液側管8、流量調整弁7、および液側管6を通り、冷媒/水熱交換器5の流路5rに流れる。流路5rに流入した液冷媒は、流路5wに流入する水から熱を奪って蒸発する。蒸発して流路5wから流出するガス冷媒は、ガス側管4、四方弁3、および吸込管11を通り、圧縮機1に吸込まれる。
【0010】
これら圧縮機1から吸込管11にかけての構成により、四方弁3の通電オン,オフによって冷房回路と暖房回路の選択的な形成が可能なヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されている。
【0011】
圧縮機1の駆動用としてインバータ12が設けられている。インバータ12は、商用交流電源13の電圧を整流し、整流後の直流電圧を制御部60の指令に応じた周波数の交流電圧に変換し、出力する。この出力により、圧縮機1が駆動される。インバータ12の出力周波数が変化すると、圧縮機1の容量(能力)が変化する。
【0012】
一方、ビル等に設置されている熱源水供給装置20で作られる熱源水(冷水または温水)は、水管31に供給される。水管31に供給された熱源水は、水/水熱交換器32の第1流路32a、水管33、冷媒/水熱交換器9の流路9w、および水管34により、第2熱交換器たとえばファンコイル式熱交換器(以下、ファンコイルという)54に導かれる。このファンコイル54は、室内ユニット50に収容されており、水管34から供給される水と室内ファン52により吸込まれる室内空気との熱交換を行う。
【0013】
ファンコイル54から流出する水は、水管35および二方弁(開閉弁ともいう)36を通り、上記冷媒/水熱交換器5の流路5wに導かれる。流路5wから流出する水は、水管37により上記熱源水供給装置20に導かれる(排出される)。
【0014】
水/水熱交換器32の流路32aを経た水管33内の水の一部(ほぼ50%の量)が、水管38に分流して第1熱交換器たとえばファンコイル式熱交換器(以下、ファンコイルという)53に導かれる。このファンコイル53は、上記ファンコイル54と共に室内ユニット50に収容されており、水管38から供給される水と室内ファン52により吸込まれる室内空気との熱交換を行う。ファンコイル53から流出する水は、水管39により、ファンコイル54から二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水管35の水の流れに合流する。そして、この合流後の水管35内の水の一部が、水管40に分流して水/水熱交換器32の流路32b、水管41、流量絞り機構たとえば流量絞り弁42を通り、二方弁36から冷媒/水熱交換器5に向かう水管35の水の流れに戻される。
【0015】
熱源水供給装置20で作られた熱源水が上記のように流れる経路のことを第1水循環路と称する。
【0016】
この第1水循環路は二方弁36の開放により形成されるもので、二方弁36が閉成された場合は次の第2水循環路が形成される。
【0017】
すなわち、第2水循環路では、熱源水供給装置20で作られた熱源水が、水管31、水/水熱交換器32の流路32a、水管33、冷媒/水熱交換器9の流路9w、および水管34を通り、ファンコイル54に導かれる。ファンコイル54から流出する水は、水管35、水管40、水/水熱交換器32の流路32b、水管41、および流量絞り弁42を通り、冷媒/水熱交換器5の流路5wに導かれる。流路5wから流出する水は、水管37により熱源水供給装置20に導かれる。また、水/水熱交換器32の流路32aを経た水管33内の水の一部が、水管38に分流してファンコイル53に導かれる。ファンコイル53から流出する水は、水管39により、ファンコイル54から水/水熱交換器32に向かう水管35内の水の流れに合流される。
【0018】
上記室内ユニット50は、室内空気の吸気口50a、この吸気口50aに設けられたフィルタ51、この吸込口50aおよびフィルタ51を通して室内空気を吸込むための室内ファン52、この室内ファン52の吸込み空気を室内に吹出す吹出口50b、吸込口50aと室内ファン52との間の通風路に設けられた上記ファンコイル53,54、吸込口50aとファンコイル53との間の通風路に設けられた室内温度センサ55を有している。吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53が配置され、下流側にファンコイル54が配置される関係となっている。室内温度センサ55は、吸込み空気の温度を室内温度Taとして検知する。
【0019】
60は当該空気調和機を制御する制御部である。この制御部60に、上記四方弁3、流量調整弁7、インバータ12、室内温度センサ55、リモートコントロール式の操作部(以下、リモコンという)61、および水温センサ62が接続されている。水温センサ62は、上記水管31に供給される熱源水の温度Tiを検知する。
【0020】
制御部60は、主要な機能として、次の(A)〜(J)の手段を備えている。
(A)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1未満のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを停止する第1の冷房運転手段。
【0021】
(B)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを冷房回路運転する第2の冷房運転手段。
【0022】
(C)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第2水循環路を形成し、冷凍サイクルを冷房回路運転する第3の冷房運転手段。
【0023】
(D)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1未満のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを停止する第1の暖房運転手段。
【0024】
(E)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを暖房回路運転する第2の暖房運転手段。
【0025】
(F)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第2水循環路を形成し、冷凍サイクルを暖房回路運転する第3の暖房運転手段。
【0026】
(G)第1の冷房運転手段および第3の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷ΔTに応じて室内ユニット50の吸込み空気量(室内ファン52の風量)を制御する制御手段。
【0027】
(H)第1の暖房運転手段および第3の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷ΔTに応じて室内ユニット50の吸込み空気量(室内ファン52の風量)を制御する制御手段。
【0028】
(I)第2の冷房運転手段および第4の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量(インバータ12の出力周波数)を制御する制御手段。
【0029】
(J)第2の暖房運転手段および第4の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量(インバータ12の出力周波数)を制御する制御手段。
【0030】
つぎに、図2のフローチャートを参照しながら作用について説明する。
【0031】
(1)通常冷房モード
室内温度センサ55により室内温度Taが検知され(ステップ101)、その検知温度Taとリモコン61で設定される室内設定温度Tsとの差ΔT(=Ta−Ts)が冷房負荷として検出される(ステップ102)。さらに、熱源水供給装置20から水管31に供給される熱源水の温度Tiが、水温センサ62により検知される(ステップ103)。
【0032】
この冷房に際しては(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃未満で(ステップ105のYES;熱源水が冷水)、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1未満で(ステップ106のYES)、かつ冷房負荷ΔTが零(ΔT=0)でなければ(ステップ107のNO)、圧縮機1が停止され(ステップ108)、二方弁36が開放され(ステップ109)、室内ファン52が運転される(ステップ110)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、室内ファン52の風量が増大方向に制御される(ステップ111)。
【0033】
二方弁36が開放すると、第1水循環路が形成される。第1水循環路では、冷水が水/水熱交換器32の流路32aおよび冷媒/水熱交換器9を通ってファンコイル54に流れる。このとき、圧縮機1が停止(冷凍サイクルが停止)しているので、冷媒/水熱交換器9は単なる水路となる。
【0034】
ファンコイル54に供給された冷水は、室内からの吸込み空気を冷却する。この冷却後の水は、ファンコイル54から二方弁36および冷媒/水熱交換器5を経て、熱源水供給装置20に戻る。冷媒/水熱交換器5は、圧縮機1が停止(冷凍サイクルが停止)していることにより、単なる水路となる。
【0035】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する冷水の一部が分流し、ファンコイル53に導かれる。ファンコイル53に供給された冷水は、室内からの吸込み空気を冷却する。この冷却後の水は、ファンコイル53から二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに合流する。
【0036】
ファンコイル53,54から流出して二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水の一部が、水/水熱交換器32側に分流し、その水/水熱交換器32の流路32bおよび流量絞り弁42を通って、二方弁36から冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに戻る。こうして、少量の水が水/水熱交換器32の流路32bを通ることにより、流路32bおよびその周辺部に水が滞留しなくなる。水が滞留しないことにより、管路の腐食や水の変質を防ぐことができる。
【0037】
以上のように、冷水を2つのファンコイル53,54に通して循環させることにより、室内を効率良く冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて室内ファン52の風量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。冷水の循環だけで、冷凍サイクルを運転しないので、省エネルギ効果を得ることができる。
【0038】
水と空気の熱交換を行う同じ種類のファンコイル53,54を採用したことにより、ファンコイル53,54を形状面での干渉などを生じることなく設置して室内ユニット50内に収容することができる。これにより、室内ユニット50の小形化が図れる。
【0039】
その後、室内温度Taが設定室内温度Tsまで低下して冷房負荷ΔTが零になると(ステップ107のYES)、二方弁36が閉成される(ステップ112)。
【0040】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成される。第2水循環路では、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0041】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、吸込み空気と熱交換した後であるため温度上昇しており、その上昇値は室内温度Taに近い25℃程度となる。この25℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32aの冷水と熱交換することにより、水/水熱交換器32の流路32aから流出してファンコイル53,54へ流れる冷水の温度も室内温度Taに近い温度となる。しかも、流路32bから流出して空気/水熱交換器5へと流れる水の流路には流量絞り弁42の流路抵抗が存在するので、冷水の循環流量が少なくなる。
【0042】
このように、冷房負荷ΔTが零の場合は、室内温度Taに近い温度の少量の水がファンコイル53,54を通して循環することにより、冷房能力がほぼ零となる。室内ファン52の運転による送風のみ継続する。
【0043】
(2)高能力冷房モード
上記の通常冷房が実施されているとき、冷房負荷ΔTが増大し、ファンコイル53,54の熱交換のみでは能力不足となった場合、以下の高能力冷房が実施される。
【0044】
すなわち、冷房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃未満で(ステップ105のYES;熱源水が冷水)、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上になると(ステップ106のNO)、四方弁3が通電オフされ(ステップ113のYES、ステップ114)、二方弁36が開放され(ステップ116)、圧縮機1が運転され(ステップ117)、室内ファン52が運転される(ステップ118)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ119)。
【0045】
この場合も二方弁36の開放により、第1水循環路が形成される。通常冷房モードと異なるのは、圧縮機1が冷房回路運転されて、冷媒/水熱交換器9が蒸発器として機能し、冷媒/水熱交換器5が凝縮器として機能する点である。冷媒/水熱交換器9が蒸発器として機能することにより、ファンコイル54に供給される冷水が冷却される。この冷却作用によって冷水から奪われる熱は、冷媒/水熱交換器5を通る水に排出される。
【0046】
このように、冷水を2つのファンコイル53,54に通して循環させながら、ファンコイル54に供給される冷水を冷凍サイクルの運転によってさらに冷却することにより、冷房負荷ΔTの増大にかかわらず、室内を効率良く冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。
【0047】
とくに、吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53を配置し、下流側にファンコイル54を配置していることにより、吸込み空気は先ずファンコイル53の冷水で冷却され、続くファンコイル54ではさらに低温度の冷水で冷却される。このように、冷却温度域が順に低くなる2段構えの冷却を行うことにより、吸込み空気に対する冷却効率が大幅に向上する。
【0048】
しかも、水/水熱交換器32の流路32aから流出する冷水は、ほぼ半分の量が冷媒/水熱交換器9の流路9wを通してファンコイル54に供給され、残りのほぼ半分の量がファンコイル53に供給される。冷媒/水熱交換器9の流路9wに供給される冷水量が全量のほぼ半分に抑えられることにより、冷水に対する冷媒/水熱交換器9の冷却効率が向上し、冷媒/水熱交換器9の冷却作用を存分に受けて温度低下した冷水をファンコイル54に供給することができる。
【0049】
なお、ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気との熱交換によって温度上昇した状態にある。この温度上昇した水により、水/水熱交換器32の流路32a側を通る冷水(冷媒/水熱交換器9に向かう冷水)の温度が不要に上がってしまうのではないかという心配が生じる。しかしながら、ファンコイル54に供給される冷水が冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9で十分に冷却された状態にあるため、流路32bに流入する水の温度は流路32a側を流れる冷水の温度に対してそれほど高くはならない。流路32a側の冷水の温度がいくらか上昇しても、その温度上昇分は次段の冷媒/水熱交換器9の冷却作用によって十分に吸収される。よって、上記の心配は不要である。
【0050】
(3)温水による冷房モード(いわゆる逆冷房モード)
冷房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃以上であれば(ステップ105のNO)、熱源水が温水になったとの判断の下に、四方弁3が通電オフされ(ステップ120のYES、ステップ121)、二方弁36が閉成され(ステップ123)、圧縮機1が運転され(ステップ124)、室内ファン52が運転される(ステップ125)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ126)。
【0051】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成されて、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0052】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気と熱交換した後であるため温度上昇するが、その上昇値は室内温度Taに近い25℃程度である。この25℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32a側の温水と熱交換することにより、流路32aから流出する温水の温度が低下する。たとえば、流路32aに流入する温水の温度が45℃〜50℃の場合、流路32aから流出する温水の温度は30℃程度まで低下する。この温度低下した温水は、冷媒/水熱交換器9によって冷房に十分な10℃程度まで冷却され、ファンコイル54に供給される。
【0053】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する30℃程度の温水の一部が分流してファンコイル53にも流れるが、そのファンコイル53に流れる温水の温度と室内温度Taとの差は小さく、しかも二方弁36の閉成に基づく流量絞り弁42の投入によって温水の全体流量が減少することから、ファンコイル53を通過する吸込み空気の温度上昇分はごくわずかである。しかも、このわずかな温度上昇分は、次段のファンコイル54の冷却作用によって十分に吸収される。よって、温水の一部がファンコイル53に流れることによる冷房能力への悪影響は生じない。
【0054】
以上のように、熱源水が温水であっても、その温水を冷凍サイクルの運転によって冷却してからファンコイル54に供給することにより、室内を確実に冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。
【0055】
温水を水/水熱交換器32の熱交換によって予め温度低下させてから冷媒/水熱交換器9に導くようにしているので、その温度低下分だけ、冷凍サイクルの運転能力(圧縮機1の容量)を節減できる。これは、省エネルギ効果の向上につながる。
【0056】
(4)通常暖房モード
室内温度センサ55により室内温度Taが検知され(ステップ101)、その検知温度Taとリモコン61で設定される室内設定温度Tsとの差ΔT(=Ts−Ta)が暖房負荷として検出される(ステップ102)。さらに、熱源水供給装置20から水管31に供給される熱源水の温度Tiが、水温センサ62により検知される(ステップ103)。
【0057】
この暖房に際し(ステップ104のNO)、熱源水の温度Tiが25℃以上で(ステップ127のYES;熱源水が温水)、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1未満で(ステップ106のYES)、かつ暖房負荷ΔTが零(ΔT=0)でなければ(ステップ107のNO)、圧縮機1が停止され(ステップ108)、二方弁36が開放され(ステップ109)、室内ファン52が運転される(ステップ110)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、室内ファン52の風量が増大方向に制御される(ステップ111)。
【0058】
二方弁36が開放すると、第1水循環路が形成されて、温水がファンコイル53,54に流れる。第1水循環路での温水の流れについては、通常冷房モードの冷水の流れと同じなので、その説明は省略する。
【0059】
このように、温水を2つのファンコイル53,54に通して循環させることにより、室内を効率良く暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて室内ファン52の風量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。温水の循環だけで、冷凍サイクルを運転しないので、省エネルギ効果を得ることができる。
【0060】
その後、室内温度Taが設定室内温度Tsまで上昇して暖房負荷ΔTが零になると(ステップ107のYES)、二方弁36が閉成される(ステップ112)。
【0061】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成される。この場合、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0062】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、吸込み空気と熱交換した後であるため温度低下しており、その低下値は室内温度Taに近い20℃程度となる。この20℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32aの温水と熱交換することにより、水/水熱交換器32の流路32aから流出してファンコイル53,54へ流れる温水の温度も室内温度Taに近い温度となる。しかも、流路32bから流出して空気/水熱交換器5へと流れる水の流路に流量絞り弁42の流路抵抗が存在しているので、温水の循環流量が少なくなる。
【0063】
このように、暖房負荷ΔTが零の場合は、室内温度Taに近い温度の少量の水がファンコイル53,54を通して循環することにより、暖房能力がほぼ零となる。
【0064】
(5)高能力暖房モード
上記の通常暖房が実施されているとき、暖房負荷ΔTが増大し、ファンコイル53,54の熱交換のみでは能力不足となった場合、以下の高能力暖房が実施される。
【0065】
すなわち、暖房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃以上で(ステップ105のYES;熱源水が温水)、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上になると(ステップ106のNO)、四方弁3が通電オンされ(ステップ113のNO、ステップ115)、二方弁36が開放され(ステップ116)、圧縮機1が運転され(ステップ117)、室内ファン52が運転される(ステップ118)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ119)。
【0066】
この場合も二方弁36の開放により、第1水循環路が形成される。通常暖房モードと異なるのは、圧縮機1が暖房回路運転されて、冷媒/水熱交換器9が凝縮器として機能し、冷媒/水熱交換器5が蒸発器として機能する点である。冷媒/水熱交換器9が凝縮器として機能することにより、ファンコイル54に供給される温水が加熱される。この加熱用の熱が、冷媒/水熱交換器5を通る水から汲み上げられる。
【0067】
このように、温水を2つのファンコイル53,54に通して循環させながら、ファンコイル54に供給される温水を冷凍サイクルの運転によってさらに加熱することにより、暖房負荷ΔTの増大にかかわらず、室内を効率良く暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。
【0068】
とくに、吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53を配置し、下流側にファンコイル54を配置していることにより、吸込み空気は先ずファンコイル53の温水で加熱され、続くファンコイル54ではさらに高温度の温水で加熱される。このように、加熱温度域が順に高くなる2段構えの加熱を行うことにより、吸込み空気に対する加熱効率が大幅に向上する。
【0069】
しかも、水/水熱交換器32の流路32aから流出する温水は、ほぼ半分の量が冷媒/水熱交換器9の流路32aを通してファンコイル54に供給され、残りのほぼ半分の量がファンコイル53に供給される。冷媒/水熱交換器9の流路32aに供給される温水量が全量のほぼ半分に抑えられることにより、温水に対する冷媒/水熱交換器9の加熱効率が向上し、冷媒/水熱交換器9の加熱作用を存分に受けて温度上昇した温水をファンコイル54に供給することができる。
【0070】
なお、ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気との熱交換によって温度低下した状態にある。この温度低下した水により、水/水熱交換器32の流路32a側を通る温水(冷媒/水熱交換器9に向かう温水)の温度が不要に下がってしまうのではないかという心配が生じる。しかしながら、ファンコイル54に供給される温水が冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9で十分に加熱された状態にあるため、流路32bに流入する水の温度は流路32a側を流れる温水の温度に対してそれほど低くはならない。流路32a側の温水の温度がいくらか低下しても、その温度低下分は次段の冷媒/水熱交換器9の加熱作用によって十分に吸収される。よって、上記の心配は不要である。
【0071】
(6)冷水による暖房モード(いわゆる逆暖房モード)
暖房時(ステップ104のNO)、熱源水の温度Tiが25℃未満であれば(ステップ127のNO)、熱源水が冷水になったとの判断の下に、四方弁3が通電オンされ(ステップ120のNO、ステップ122)、二方弁36が閉成され(ステップ123)、圧縮機1が運転され(ステップ124)、室内ファン52が運転される(ステップ125)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ126)。
【0072】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成されて、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0073】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気と熱交換した後であるため温度低下するが、その低下値は室内温度Taに近い20℃程度である。この20℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32a側の冷水(たとえば17℃)と熱交換することにより、流路32aから流出する冷水の温度が20℃程度まで上昇する。この温度上昇した冷水は、冷媒/水熱交換器9によって暖房に十分な40℃程度まで加熱され、ファンコイル54に供給される。
【0074】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する20℃程度の冷水の一部が分流してファンコイル53にも流れるが、そのファンコイル53に流れる冷水の温度と室内温度Taとの差は小さく、しかも二方弁36の閉成に基づく流量絞り弁42の投入によって冷水の全体流量が減少することから、ファンコイル53を通過する吸込み空気の温度低下分はごくわずかである。しかも、このわずかな温度低下分は、次段のファンコイル54の加熱作用によって十分に吸収される。よって、冷水の一部がファンコイル53に流れることによる暖房能力への悪影響は生じない。
【0075】
以上のように、熱源水が冷水であっても、その冷水を冷凍サイクルの運転によって加熱してからファンコイル54に供給することにより、室内を確実に暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。
【0076】
冷水を水/水熱交換器32の熱交換によって予め温度上昇させてから冷媒/水熱交換器9に導くようにしているので、その温度上昇分だけ、冷凍サイクルの運転能力(圧縮機1の容量)を節減できる。これは、省エネルギ効果の向上につながる。
【0077】
各運転モードの動作パターンを図3にまとめて示している。
【0078】
なお、上記実施形態において、二方弁36に代えて、水管35と水管40との接続部に三方弁を設け、ファンコイル53,54から流出する水を水管35(冷媒/水熱交換器5の流路5w)側に導く第1の流路、およびファンコイル53,54から流出する水を水管40(水/水熱交換器32の流路32b)側に導く第2の流路のいずれか一方を、選択的に形成する構成としてもよい。
【0079】
冷房能力および暖房能力を制御するために圧縮機1の容量を変化させたが、水の循環経路にポンプまたは流量調整弁を設け、ポンプの容量変化あるいは流量調整弁の開度変化に基づく水循環量の調節によって冷房能力および暖房能力を制御する構成としてもよい。
【0080】
その他、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0081】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、熱源水の循環および冷凍サイクルの運転による空調を可能とし、しかも室内ユニットに収容する各熱交換器の種類を共通化して室内ユニットの小形化を図りながら必要十分な空調能力を確保することができる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の構成を示す図。
【図2】一実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図3】一実施形態の各運転モードにおける動作パターンを示す図。
【符号の説明】
1…圧縮機、3…四方弁、5…冷媒/水熱交換器、9…冷媒/水熱交換器、20…熱源水供給装置、32…水/水熱交換器、36…二方弁、42…流量絞り弁(流量絞り機構)、50…室内ユニット、50a…吸込口、50b…吹出口、52…室内ファン、53…ファンコイル式熱交換器(第2熱交換器)、54…ファンコイル式熱交換器(第1熱交換器)、55…室内温度センサ、60…制御部、62…水温センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱源水の循環により空調を行う空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルに設置された熱源水供給装置等で作られる熱源水(冷水または温水)をファンコイル式熱交換器に流すとともに、冷媒/空気熱交換器を有する冷凍サイクルを熱源として設け、室内から吸込んだ空気を上記ファンコイル式熱交換器および上記冷媒/空気熱交換器に通して室内に吹出すことにより、室内を冷房または暖房する空気調和機がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−68392号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、構造が互いに異なるファンコイル式熱交換器および冷媒/空気熱交換器を吸込み空気の流路に設けるものでは、両熱交換器が形状面で干渉し合うなどの理由により、両熱交換器の設置に大きなスペースを要してしまう。ひいては、両熱交換器が収容される室内ユニットが大型化してしまう。
【0005】
この発明は、上記の事情を考慮したもので、熱源水の循環および冷凍サイクルの運転による空調を可能とし、しかも室内ユニットに収容する各熱交換器の種類を共通化して室内ユニットの小形化を図りながら必要十分な空調能力を確保することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の空気調和機は、室内空気を吸込み、その吸込み空気を第1熱交換器および第2熱交換器に通して室内に吹出す室内ユニットと、圧縮機、第1冷媒/水熱交換器、流量調整弁、第2冷媒/水熱交換器を通して冷媒を循環させる冷凍サイクルと、を備えている。さらに、熱源水を第2冷媒/水熱交換器に通して第2熱交換器に導き、その第2熱交換器から流出する水を第1冷媒/水熱交換器に通して排出するとともに、熱源水の一部を第1熱交換器に導き、その第1熱交換器から流出する水を第2熱交換器から第1冷媒/水熱交換器に向かう水の流れに合流させる水循環手段を備え、空調負荷に応じて冷凍サイクルの運転・停止を制御する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、圧縮機1から吐出されるガス冷媒が吐出管2を介して四方弁3に供給される。四方弁3は冷房時に通電オフされて図示の状態となり、暖房時に通電オンされて切換作動する。
【0008】
四方弁3が通電オフのとき、吐出管2内のガス冷媒がガス側管4を介して第1冷媒/水熱交換器5の流路5rに流れる。冷媒/水熱交換器5は、小形でしかも熱交換性能が高いプレート式熱交換器で、流路5rに流入するガス冷媒と流路5wに流入する水との熱交換を行う。流路5rに流入するガス冷媒は、流路5wに流入する水に放熱して凝縮する。凝縮して流路5rから流出する液冷媒は、液側管6、流量調整弁7、および液側管8を通り、第2冷媒/水熱交換器9の流路9rに流れる。冷媒/水熱交換器9は、小形でしかも熱交換性能が高いプレート式熱交換器で、流路9rに流入する液冷媒と流路9wに流入する水との熱交換を行う。流路9rに流入する液冷媒が、流路9wに流入する水から熱を奪って蒸発することになる。蒸発して流路9rから流出するガス冷媒は、ガス側管10、四方弁3、および吸込管11を通り、圧縮機1に吸込まれる。
【0009】
四方弁3が通電オンによって切換作動した場合は、吐出管2内のガス冷媒がガス側管10を介して冷媒/水熱交換器9の流路9rに導かれる。流路9rに流入するガス冷媒は、流路9wに流入する水に放熱して凝縮する。凝縮して流路9rから流出する液冷媒は、液側管8、流量調整弁7、および液側管6を通り、冷媒/水熱交換器5の流路5rに流れる。流路5rに流入した液冷媒は、流路5wに流入する水から熱を奪って蒸発する。蒸発して流路5wから流出するガス冷媒は、ガス側管4、四方弁3、および吸込管11を通り、圧縮機1に吸込まれる。
【0010】
これら圧縮機1から吸込管11にかけての構成により、四方弁3の通電オン,オフによって冷房回路と暖房回路の選択的な形成が可能なヒートポンプ式冷凍サイクルが構成されている。
【0011】
圧縮機1の駆動用としてインバータ12が設けられている。インバータ12は、商用交流電源13の電圧を整流し、整流後の直流電圧を制御部60の指令に応じた周波数の交流電圧に変換し、出力する。この出力により、圧縮機1が駆動される。インバータ12の出力周波数が変化すると、圧縮機1の容量(能力)が変化する。
【0012】
一方、ビル等に設置されている熱源水供給装置20で作られる熱源水(冷水または温水)は、水管31に供給される。水管31に供給された熱源水は、水/水熱交換器32の第1流路32a、水管33、冷媒/水熱交換器9の流路9w、および水管34により、第2熱交換器たとえばファンコイル式熱交換器(以下、ファンコイルという)54に導かれる。このファンコイル54は、室内ユニット50に収容されており、水管34から供給される水と室内ファン52により吸込まれる室内空気との熱交換を行う。
【0013】
ファンコイル54から流出する水は、水管35および二方弁(開閉弁ともいう)36を通り、上記冷媒/水熱交換器5の流路5wに導かれる。流路5wから流出する水は、水管37により上記熱源水供給装置20に導かれる(排出される)。
【0014】
水/水熱交換器32の流路32aを経た水管33内の水の一部(ほぼ50%の量)が、水管38に分流して第1熱交換器たとえばファンコイル式熱交換器(以下、ファンコイルという)53に導かれる。このファンコイル53は、上記ファンコイル54と共に室内ユニット50に収容されており、水管38から供給される水と室内ファン52により吸込まれる室内空気との熱交換を行う。ファンコイル53から流出する水は、水管39により、ファンコイル54から二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水管35の水の流れに合流する。そして、この合流後の水管35内の水の一部が、水管40に分流して水/水熱交換器32の流路32b、水管41、流量絞り機構たとえば流量絞り弁42を通り、二方弁36から冷媒/水熱交換器5に向かう水管35の水の流れに戻される。
【0015】
熱源水供給装置20で作られた熱源水が上記のように流れる経路のことを第1水循環路と称する。
【0016】
この第1水循環路は二方弁36の開放により形成されるもので、二方弁36が閉成された場合は次の第2水循環路が形成される。
【0017】
すなわち、第2水循環路では、熱源水供給装置20で作られた熱源水が、水管31、水/水熱交換器32の流路32a、水管33、冷媒/水熱交換器9の流路9w、および水管34を通り、ファンコイル54に導かれる。ファンコイル54から流出する水は、水管35、水管40、水/水熱交換器32の流路32b、水管41、および流量絞り弁42を通り、冷媒/水熱交換器5の流路5wに導かれる。流路5wから流出する水は、水管37により熱源水供給装置20に導かれる。また、水/水熱交換器32の流路32aを経た水管33内の水の一部が、水管38に分流してファンコイル53に導かれる。ファンコイル53から流出する水は、水管39により、ファンコイル54から水/水熱交換器32に向かう水管35内の水の流れに合流される。
【0018】
上記室内ユニット50は、室内空気の吸気口50a、この吸気口50aに設けられたフィルタ51、この吸込口50aおよびフィルタ51を通して室内空気を吸込むための室内ファン52、この室内ファン52の吸込み空気を室内に吹出す吹出口50b、吸込口50aと室内ファン52との間の通風路に設けられた上記ファンコイル53,54、吸込口50aとファンコイル53との間の通風路に設けられた室内温度センサ55を有している。吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53が配置され、下流側にファンコイル54が配置される関係となっている。室内温度センサ55は、吸込み空気の温度を室内温度Taとして検知する。
【0019】
60は当該空気調和機を制御する制御部である。この制御部60に、上記四方弁3、流量調整弁7、インバータ12、室内温度センサ55、リモートコントロール式の操作部(以下、リモコンという)61、および水温センサ62が接続されている。水温センサ62は、上記水管31に供給される熱源水の温度Tiを検知する。
【0020】
制御部60は、主要な機能として、次の(A)〜(J)の手段を備えている。
(A)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1未満のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを停止する第1の冷房運転手段。
【0021】
(B)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを冷房回路運転する第2の冷房運転手段。
【0022】
(C)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第2水循環路を形成し、冷凍サイクルを冷房回路運転する第3の冷房運転手段。
【0023】
(D)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1未満のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを停止する第1の暖房運転手段。
【0024】
(E)熱源水の温度Tiが設定値25℃以上で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第1水循環路を形成し、冷凍サイクルを暖房回路運転する第2の暖房運転手段。
【0025】
(F)熱源水の温度Tiが設定値25℃未満で、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上のとき、第2水循環路を形成し、冷凍サイクルを暖房回路運転する第3の暖房運転手段。
【0026】
(G)第1の冷房運転手段および第3の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷ΔTに応じて室内ユニット50の吸込み空気量(室内ファン52の風量)を制御する制御手段。
【0027】
(H)第1の暖房運転手段および第3の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷ΔTに応じて室内ユニット50の吸込み空気量(室内ファン52の風量)を制御する制御手段。
【0028】
(I)第2の冷房運転手段および第4の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量(インバータ12の出力周波数)を制御する制御手段。
【0029】
(J)第2の暖房運転手段および第4の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量(インバータ12の出力周波数)を制御する制御手段。
【0030】
つぎに、図2のフローチャートを参照しながら作用について説明する。
【0031】
(1)通常冷房モード
室内温度センサ55により室内温度Taが検知され(ステップ101)、その検知温度Taとリモコン61で設定される室内設定温度Tsとの差ΔT(=Ta−Ts)が冷房負荷として検出される(ステップ102)。さらに、熱源水供給装置20から水管31に供給される熱源水の温度Tiが、水温センサ62により検知される(ステップ103)。
【0032】
この冷房に際しては(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃未満で(ステップ105のYES;熱源水が冷水)、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1未満で(ステップ106のYES)、かつ冷房負荷ΔTが零(ΔT=0)でなければ(ステップ107のNO)、圧縮機1が停止され(ステップ108)、二方弁36が開放され(ステップ109)、室内ファン52が運転される(ステップ110)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、室内ファン52の風量が増大方向に制御される(ステップ111)。
【0033】
二方弁36が開放すると、第1水循環路が形成される。第1水循環路では、冷水が水/水熱交換器32の流路32aおよび冷媒/水熱交換器9を通ってファンコイル54に流れる。このとき、圧縮機1が停止(冷凍サイクルが停止)しているので、冷媒/水熱交換器9は単なる水路となる。
【0034】
ファンコイル54に供給された冷水は、室内からの吸込み空気を冷却する。この冷却後の水は、ファンコイル54から二方弁36および冷媒/水熱交換器5を経て、熱源水供給装置20に戻る。冷媒/水熱交換器5は、圧縮機1が停止(冷凍サイクルが停止)していることにより、単なる水路となる。
【0035】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する冷水の一部が分流し、ファンコイル53に導かれる。ファンコイル53に供給された冷水は、室内からの吸込み空気を冷却する。この冷却後の水は、ファンコイル53から二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに合流する。
【0036】
ファンコイル53,54から流出して二方弁36および冷媒/水熱交換器5に向かう水の一部が、水/水熱交換器32側に分流し、その水/水熱交換器32の流路32bおよび流量絞り弁42を通って、二方弁36から冷媒/水熱交換器5に向かう水の流れに戻る。こうして、少量の水が水/水熱交換器32の流路32bを通ることにより、流路32bおよびその周辺部に水が滞留しなくなる。水が滞留しないことにより、管路の腐食や水の変質を防ぐことができる。
【0037】
以上のように、冷水を2つのファンコイル53,54に通して循環させることにより、室内を効率良く冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて室内ファン52の風量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。冷水の循環だけで、冷凍サイクルを運転しないので、省エネルギ効果を得ることができる。
【0038】
水と空気の熱交換を行う同じ種類のファンコイル53,54を採用したことにより、ファンコイル53,54を形状面での干渉などを生じることなく設置して室内ユニット50内に収容することができる。これにより、室内ユニット50の小形化が図れる。
【0039】
その後、室内温度Taが設定室内温度Tsまで低下して冷房負荷ΔTが零になると(ステップ107のYES)、二方弁36が閉成される(ステップ112)。
【0040】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成される。第2水循環路では、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0041】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、吸込み空気と熱交換した後であるため温度上昇しており、その上昇値は室内温度Taに近い25℃程度となる。この25℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32aの冷水と熱交換することにより、水/水熱交換器32の流路32aから流出してファンコイル53,54へ流れる冷水の温度も室内温度Taに近い温度となる。しかも、流路32bから流出して空気/水熱交換器5へと流れる水の流路には流量絞り弁42の流路抵抗が存在するので、冷水の循環流量が少なくなる。
【0042】
このように、冷房負荷ΔTが零の場合は、室内温度Taに近い温度の少量の水がファンコイル53,54を通して循環することにより、冷房能力がほぼ零となる。室内ファン52の運転による送風のみ継続する。
【0043】
(2)高能力冷房モード
上記の通常冷房が実施されているとき、冷房負荷ΔTが増大し、ファンコイル53,54の熱交換のみでは能力不足となった場合、以下の高能力冷房が実施される。
【0044】
すなわち、冷房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃未満で(ステップ105のYES;熱源水が冷水)、冷房負荷ΔTが所定値ΔT1以上になると(ステップ106のNO)、四方弁3が通電オフされ(ステップ113のYES、ステップ114)、二方弁36が開放され(ステップ116)、圧縮機1が運転され(ステップ117)、室内ファン52が運転される(ステップ118)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ119)。
【0045】
この場合も二方弁36の開放により、第1水循環路が形成される。通常冷房モードと異なるのは、圧縮機1が冷房回路運転されて、冷媒/水熱交換器9が蒸発器として機能し、冷媒/水熱交換器5が凝縮器として機能する点である。冷媒/水熱交換器9が蒸発器として機能することにより、ファンコイル54に供給される冷水が冷却される。この冷却作用によって冷水から奪われる熱は、冷媒/水熱交換器5を通る水に排出される。
【0046】
このように、冷水を2つのファンコイル53,54に通して循環させながら、ファンコイル54に供給される冷水を冷凍サイクルの運転によってさらに冷却することにより、冷房負荷ΔTの増大にかかわらず、室内を効率良く冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。
【0047】
とくに、吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53を配置し、下流側にファンコイル54を配置していることにより、吸込み空気は先ずファンコイル53の冷水で冷却され、続くファンコイル54ではさらに低温度の冷水で冷却される。このように、冷却温度域が順に低くなる2段構えの冷却を行うことにより、吸込み空気に対する冷却効率が大幅に向上する。
【0048】
しかも、水/水熱交換器32の流路32aから流出する冷水は、ほぼ半分の量が冷媒/水熱交換器9の流路9wを通してファンコイル54に供給され、残りのほぼ半分の量がファンコイル53に供給される。冷媒/水熱交換器9の流路9wに供給される冷水量が全量のほぼ半分に抑えられることにより、冷水に対する冷媒/水熱交換器9の冷却効率が向上し、冷媒/水熱交換器9の冷却作用を存分に受けて温度低下した冷水をファンコイル54に供給することができる。
【0049】
なお、ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気との熱交換によって温度上昇した状態にある。この温度上昇した水により、水/水熱交換器32の流路32a側を通る冷水(冷媒/水熱交換器9に向かう冷水)の温度が不要に上がってしまうのではないかという心配が生じる。しかしながら、ファンコイル54に供給される冷水が冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9で十分に冷却された状態にあるため、流路32bに流入する水の温度は流路32a側を流れる冷水の温度に対してそれほど高くはならない。流路32a側の冷水の温度がいくらか上昇しても、その温度上昇分は次段の冷媒/水熱交換器9の冷却作用によって十分に吸収される。よって、上記の心配は不要である。
【0050】
(3)温水による冷房モード(いわゆる逆冷房モード)
冷房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃以上であれば(ステップ105のNO)、熱源水が温水になったとの判断の下に、四方弁3が通電オフされ(ステップ120のYES、ステップ121)、二方弁36が閉成され(ステップ123)、圧縮機1が運転され(ステップ124)、室内ファン52が運転される(ステップ125)。そして、冷房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ126)。
【0051】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成されて、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0052】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気と熱交換した後であるため温度上昇するが、その上昇値は室内温度Taに近い25℃程度である。この25℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32a側の温水と熱交換することにより、流路32aから流出する温水の温度が低下する。たとえば、流路32aに流入する温水の温度が45℃〜50℃の場合、流路32aから流出する温水の温度は30℃程度まで低下する。この温度低下した温水は、冷媒/水熱交換器9によって冷房に十分な10℃程度まで冷却され、ファンコイル54に供給される。
【0053】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する30℃程度の温水の一部が分流してファンコイル53にも流れるが、そのファンコイル53に流れる温水の温度と室内温度Taとの差は小さく、しかも二方弁36の閉成に基づく流量絞り弁42の投入によって温水の全体流量が減少することから、ファンコイル53を通過する吸込み空気の温度上昇分はごくわずかである。しかも、このわずかな温度上昇分は、次段のファンコイル54の冷却作用によって十分に吸収される。よって、温水の一部がファンコイル53に流れることによる冷房能力への悪影響は生じない。
【0054】
以上のように、熱源水が温水であっても、その温水を冷凍サイクルの運転によって冷却してからファンコイル54に供給することにより、室内を確実に冷房することができる。冷房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、冷房負荷ΔTに応じた最適な冷房能力を確保することができる。
【0055】
温水を水/水熱交換器32の熱交換によって予め温度低下させてから冷媒/水熱交換器9に導くようにしているので、その温度低下分だけ、冷凍サイクルの運転能力(圧縮機1の容量)を節減できる。これは、省エネルギ効果の向上につながる。
【0056】
(4)通常暖房モード
室内温度センサ55により室内温度Taが検知され(ステップ101)、その検知温度Taとリモコン61で設定される室内設定温度Tsとの差ΔT(=Ts−Ta)が暖房負荷として検出される(ステップ102)。さらに、熱源水供給装置20から水管31に供給される熱源水の温度Tiが、水温センサ62により検知される(ステップ103)。
【0057】
この暖房に際し(ステップ104のNO)、熱源水の温度Tiが25℃以上で(ステップ127のYES;熱源水が温水)、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1未満で(ステップ106のYES)、かつ暖房負荷ΔTが零(ΔT=0)でなければ(ステップ107のNO)、圧縮機1が停止され(ステップ108)、二方弁36が開放され(ステップ109)、室内ファン52が運転される(ステップ110)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、室内ファン52の風量が増大方向に制御される(ステップ111)。
【0058】
二方弁36が開放すると、第1水循環路が形成されて、温水がファンコイル53,54に流れる。第1水循環路での温水の流れについては、通常冷房モードの冷水の流れと同じなので、その説明は省略する。
【0059】
このように、温水を2つのファンコイル53,54に通して循環させることにより、室内を効率良く暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて室内ファン52の風量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。温水の循環だけで、冷凍サイクルを運転しないので、省エネルギ効果を得ることができる。
【0060】
その後、室内温度Taが設定室内温度Tsまで上昇して暖房負荷ΔTが零になると(ステップ107のYES)、二方弁36が閉成される(ステップ112)。
【0061】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成される。この場合、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0062】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、吸込み空気と熱交換した後であるため温度低下しており、その低下値は室内温度Taに近い20℃程度となる。この20℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32aの温水と熱交換することにより、水/水熱交換器32の流路32aから流出してファンコイル53,54へ流れる温水の温度も室内温度Taに近い温度となる。しかも、流路32bから流出して空気/水熱交換器5へと流れる水の流路に流量絞り弁42の流路抵抗が存在しているので、温水の循環流量が少なくなる。
【0063】
このように、暖房負荷ΔTが零の場合は、室内温度Taに近い温度の少量の水がファンコイル53,54を通して循環することにより、暖房能力がほぼ零となる。
【0064】
(5)高能力暖房モード
上記の通常暖房が実施されているとき、暖房負荷ΔTが増大し、ファンコイル53,54の熱交換のみでは能力不足となった場合、以下の高能力暖房が実施される。
【0065】
すなわち、暖房時(ステップ104のYES)、熱源水の温度Tiが25℃以上で(ステップ105のYES;熱源水が温水)、暖房負荷ΔTが所定値ΔT1以上になると(ステップ106のNO)、四方弁3が通電オンされ(ステップ113のNO、ステップ115)、二方弁36が開放され(ステップ116)、圧縮機1が運転され(ステップ117)、室内ファン52が運転される(ステップ118)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ119)。
【0066】
この場合も二方弁36の開放により、第1水循環路が形成される。通常暖房モードと異なるのは、圧縮機1が暖房回路運転されて、冷媒/水熱交換器9が凝縮器として機能し、冷媒/水熱交換器5が蒸発器として機能する点である。冷媒/水熱交換器9が凝縮器として機能することにより、ファンコイル54に供給される温水が加熱される。この加熱用の熱が、冷媒/水熱交換器5を通る水から汲み上げられる。
【0067】
このように、温水を2つのファンコイル53,54に通して循環させながら、ファンコイル54に供給される温水を冷凍サイクルの運転によってさらに加熱することにより、暖房負荷ΔTの増大にかかわらず、室内を効率良く暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。
【0068】
とくに、吸込み空気の流れ方向に沿う上流側にファンコイル53を配置し、下流側にファンコイル54を配置していることにより、吸込み空気は先ずファンコイル53の温水で加熱され、続くファンコイル54ではさらに高温度の温水で加熱される。このように、加熱温度域が順に高くなる2段構えの加熱を行うことにより、吸込み空気に対する加熱効率が大幅に向上する。
【0069】
しかも、水/水熱交換器32の流路32aから流出する温水は、ほぼ半分の量が冷媒/水熱交換器9の流路32aを通してファンコイル54に供給され、残りのほぼ半分の量がファンコイル53に供給される。冷媒/水熱交換器9の流路32aに供給される温水量が全量のほぼ半分に抑えられることにより、温水に対する冷媒/水熱交換器9の加熱効率が向上し、冷媒/水熱交換器9の加熱作用を存分に受けて温度上昇した温水をファンコイル54に供給することができる。
【0070】
なお、ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気との熱交換によって温度低下した状態にある。この温度低下した水により、水/水熱交換器32の流路32a側を通る温水(冷媒/水熱交換器9に向かう温水)の温度が不要に下がってしまうのではないかという心配が生じる。しかしながら、ファンコイル54に供給される温水が冷凍サイクルの冷媒/水熱交換器9で十分に加熱された状態にあるため、流路32bに流入する水の温度は流路32a側を流れる温水の温度に対してそれほど低くはならない。流路32a側の温水の温度がいくらか低下しても、その温度低下分は次段の冷媒/水熱交換器9の加熱作用によって十分に吸収される。よって、上記の心配は不要である。
【0071】
(6)冷水による暖房モード(いわゆる逆暖房モード)
暖房時(ステップ104のNO)、熱源水の温度Tiが25℃未満であれば(ステップ127のNO)、熱源水が冷水になったとの判断の下に、四方弁3が通電オンされ(ステップ120のNO、ステップ122)、二方弁36が閉成され(ステップ123)、圧縮機1が運転され(ステップ124)、室内ファン52が運転される(ステップ125)。そして、暖房負荷ΔTが大きいほど、圧縮機1の容量が増大方向に制御される(ステップ126)。
【0072】
二方弁36が閉成すると、第2水循環路が形成されて、ファンコイル53,54から流出する水の全てが水/水熱交換器32の流路32aに流入するようになり、その流路32aから流出する水が流量絞り弁42および空気/水熱交換器5を通って熱源水供給装置20に流れる。
【0073】
ファンコイル53,54から流出して水/水熱交換器32の流路32bに流入する水は、室内空気と熱交換した後であるため温度低下するが、その低下値は室内温度Taに近い20℃程度である。この20℃程度の水が水/水熱交換器32の流路32bに流れて流路32a側の冷水(たとえば17℃)と熱交換することにより、流路32aから流出する冷水の温度が20℃程度まで上昇する。この温度上昇した冷水は、冷媒/水熱交換器9によって暖房に十分な40℃程度まで加熱され、ファンコイル54に供給される。
【0074】
水/水熱交換器32の流路32aから流出する20℃程度の冷水の一部が分流してファンコイル53にも流れるが、そのファンコイル53に流れる冷水の温度と室内温度Taとの差は小さく、しかも二方弁36の閉成に基づく流量絞り弁42の投入によって冷水の全体流量が減少することから、ファンコイル53を通過する吸込み空気の温度低下分はごくわずかである。しかも、このわずかな温度低下分は、次段のファンコイル54の加熱作用によって十分に吸収される。よって、冷水の一部がファンコイル53に流れることによる暖房能力への悪影響は生じない。
【0075】
以上のように、熱源水が冷水であっても、その冷水を冷凍サイクルの運転によって加熱してからファンコイル54に供給することにより、室内を確実に暖房することができる。暖房負荷ΔTに応じて圧縮機1の容量を制御するので、暖房負荷ΔTに応じた最適な暖房能力を確保することができる。
【0076】
冷水を水/水熱交換器32の熱交換によって予め温度上昇させてから冷媒/水熱交換器9に導くようにしているので、その温度上昇分だけ、冷凍サイクルの運転能力(圧縮機1の容量)を節減できる。これは、省エネルギ効果の向上につながる。
【0077】
各運転モードの動作パターンを図3にまとめて示している。
【0078】
なお、上記実施形態において、二方弁36に代えて、水管35と水管40との接続部に三方弁を設け、ファンコイル53,54から流出する水を水管35(冷媒/水熱交換器5の流路5w)側に導く第1の流路、およびファンコイル53,54から流出する水を水管40(水/水熱交換器32の流路32b)側に導く第2の流路のいずれか一方を、選択的に形成する構成としてもよい。
【0079】
冷房能力および暖房能力を制御するために圧縮機1の容量を変化させたが、水の循環経路にポンプまたは流量調整弁を設け、ポンプの容量変化あるいは流量調整弁の開度変化に基づく水循環量の調節によって冷房能力および暖房能力を制御する構成としてもよい。
【0080】
その他、この発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0081】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、熱源水の循環および冷凍サイクルの運転による空調を可能とし、しかも室内ユニットに収容する各熱交換器の種類を共通化して室内ユニットの小形化を図りながら必要十分な空調能力を確保することができる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の構成を示す図。
【図2】一実施形態の作用を説明するためのフローチャート。
【図3】一実施形態の各運転モードにおける動作パターンを示す図。
【符号の説明】
1…圧縮機、3…四方弁、5…冷媒/水熱交換器、9…冷媒/水熱交換器、20…熱源水供給装置、32…水/水熱交換器、36…二方弁、42…流量絞り弁(流量絞り機構)、50…室内ユニット、50a…吸込口、50b…吹出口、52…室内ファン、53…ファンコイル式熱交換器(第2熱交換器)、54…ファンコイル式熱交換器(第1熱交換器)、55…室内温度センサ、60…制御部、62…水温センサ
Claims (6)
- 室内空気を吸込み、その吸込み空気を第1熱交換器および第2熱交換器に通して室内に吹出す室内ユニットと、
圧縮機、第1冷媒/水熱交換器、流量調整弁、第2冷媒/水熱交換器を通して冷媒を循環させる冷凍サイクルと、
熱源水を前記第2冷媒/水熱交換器に通して前記第2熱交換器に導き、その第2熱交換器から流出する水を前記第1冷媒/水熱交換器に通して排出するとともに、前記熱源水の一部を前記第1熱交換器に導き、その第1熱交換器から流出する水を前記第2熱交換器から前記第1冷媒/水熱交換器に向かう水の流れに合流させる水循環手段と、
空調負荷に応じて前記冷凍サイクルの運転・停止を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする空気調和機。 - 室内空気を吸込み、その吸込み空気を第1熱交換器および第2熱交換器に通して室内に供給する室内ユニットと、
圧縮機から吐出される冷媒が第1冷媒/水熱交換器、流量調整弁、第2冷媒/水熱交換器を通って前記圧縮機に戻る冷房回路、および前記圧縮機から吐出される冷媒が前記第2冷媒/水熱交換器、前記流量調整弁、前記第1冷媒/水熱交換器を通って前記圧縮機に戻る暖房回路を選択的に形成する冷凍サイクルと、
前記熱源水を水/水熱交換器の第1流路および前記第2冷媒/水熱交換器に通して前記第2熱交換器に導き、その第2熱交換器から流出する水を前記第1冷媒/水熱交換器に通して排出するとともに、前記水/水熱交換器の第1流路から流出する水の一部を分流して前記第1熱交換器に導き、その第1熱交換器から流出する水を前記第2熱交換器から前記水/水熱交換器の第2流路に向かう水の流れに合流し、その合流後の水の一部を分流し前記水/水熱交換器および流量絞り機構に通して前記第2熱交換器から前記第1冷媒/水熱交換器に向かう水の流れに戻す第1水循環手段と、
熱源水を前記水/水熱交換器の第1流路および前記第2冷媒/水熱交換器に通して前記第2熱交換器に導き、その第2熱交換器から流出する水を前記水/水熱交換器の第2流路、前記流量絞り機構、および前記第1冷媒/水熱交換器に通して排出するとともに、前記水/水熱交換器の第1流路から流出する水の一部を分流して前記第1熱交換器に導き、その第1熱交換器から流出する水を前記第2熱交換器から前記水/水熱交換器の第2流路に向かう水の流れに合流させる第2水循環手段と、
前記熱源水の温度および空調負荷に応じて、前記各水循環路の選択的な形成および前記冷凍サイクルの冷房回路運転・暖房回路運転・停止を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする空気調和機。(全て有り) - 請求項2に記載の空気調和機において、
前記制御手段は、
前記熱源水の温度が設定値未満で、冷房負荷が所定値未満のとき、前記第1水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを停止する第1冷房運転手段と、
前記熱源水の温度が設定値未満で、冷房負荷が所定値以上のとき、前記第1水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを冷房回路運転する第2冷房運転手段と、
前記熱源水の温度が設定値以上で、冷房負荷が所定値以上のとき、前記第2水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを冷房回路運転する第3冷房運転手段と、
前記熱源水の温度が設定値以上で、暖房負荷が所定値未満のとき、前記第1水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを停止する第1暖房運転手段と、
前記熱源水の温度が設定値以上で、暖房負荷が所定値以上のとき、前記第1水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを暖房回路にて運転する第2暖房運転手段と、
前記熱源水の温度が設定値未満で、暖房負荷が所定値以上のとき、前記第2水循環路を形成し、前記冷凍サイクルを暖房回路にて運転する第3暖房運転手段と、
をさらに備えていることを特徴とする空気調和機。 - 請求項3に記載の空気調和機において、
前記第1冷房運転手段および前記第3の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷に応じて前記室内ユニットの吸込み空気量を制御する制御手段と、
前記第1の暖房運転手段および前記第3の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷に応じて前記室内ユニットの吸込み空気量を制御する制御手段と、
前記第2の冷房運転手段および前記第4の冷房運転手段による冷房運転時、冷房負荷に応じて前記圧縮機の容量を制御する制御手段と、
前記第2の暖房運転手段および前記第4の暖房運転手段による暖房運転時、暖房負荷に応じて前記圧縮機の容量を制御する制御手段と、
をさらに備えていることを特徴とする空気調和機。 - 請求項1または請求項2に記載の空気調和機において、
前記室内ユニットは、吸込み空気の流れ方向に沿う上流側に前記第1熱交換器を有し下流側に前記第2熱交換器を有することを特徴とする空気調和機。 - 請求項1に記載の空気調和機において、
前記冷凍サイクルは、四方弁により冷房回路と暖房回路を切換えるヒートポンプ式冷凍サイクルであることを特徴とする空気調和機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372626A JP2004205081A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 空気調和機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002372626A JP2004205081A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 空気調和機 |
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JP2004205081A true JP2004205081A (ja) | 2004-07-22 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004205081A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20120031130A1 (en) * | 2009-04-17 | 2012-02-09 | Mitsubishi Electric Corporation | Relay unit and air conditioning apparatus |
JP2018087674A (ja) * | 2016-11-30 | 2018-06-07 | 日本ピーマック株式会社 | 冷温水器、空気調和装置及び空気調和システム |
WO2018193615A1 (ja) * | 2017-04-21 | 2018-10-25 | 三菱電機株式会社 | ファンコイルシステム |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372626A patent/JP2004205081A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20120031130A1 (en) * | 2009-04-17 | 2012-02-09 | Mitsubishi Electric Corporation | Relay unit and air conditioning apparatus |
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