JP2004204703A - エンジンのシリンダブロック構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れ出るのを抑制できるエンジンのシリンダブロック構造を提供する。
【解決手段】ブロック本体2に鋳込まれる軸受部材10は、クランクシャフト6を支持する支持面12が形成された本体部11と、本体部11からメインオイル通路3近傍位置まで延出する延出部16と、支持面12に一端が開口し、本体部11及び延出部16を貫通して、他端が延出部16の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔18とを有し、ブロック本体2は、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔4を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】ブロック本体2に鋳込まれる軸受部材10は、クランクシャフト6を支持する支持面12が形成された本体部11と、本体部11からメインオイル通路3近傍位置まで延出する延出部16と、支持面12に一端が開口し、本体部11及び延出部16を貫通して、他端が延出部16の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔18とを有し、ブロック本体2は、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔4を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのシリンダブロック構造に関し、特にブロック本体にクランクシャフト用の軸受部材を鋳込むことによって構成されるエンジンのシリンダブロック構造に関する。
【0002】
【従来技術】
図5は、従来のエンジンのシリンダブロック構造を説明する概略図であり、直列4気筒エンジンのシリンダブロックをクランクケース側から見た概略図である。そして、図6は、図5のIII−III線断面図である。
【0003】
従来より、アルミニウム合金などの軽金属合金製のブロック本体102に、高強度素材からなるクランクシャフト用の軸受部材103を鋳込んでエンジンのシリンダブロック101を構成することが行われている。
【0004】
図6で符号105は、軸受部材103においてクランクシャフトを支持するジャーナル部支持面104に潤滑オイルを供給するためのオイル供給孔である。
【0005】
オイル供給孔105は、ブロック本体102に軸受部材103を鋳込んだ後に、回転ドリル等の切削工具(図示せず)で軸受部材103及びブロック本体102に切削孔加工を施すことによって形成され、軸受部材103のジャーナル部支持面104に一端が開口し、他端がブロック本体102内のメインオイル通路106に連通するように設けられる。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−337348号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミダイキャスト製のブロック本体102は、鋳巣が多いことから、鋳造後のブロック本体102に長い距離に亘って切削孔加工を施すと、鋳巣に当たる確率が高く、外部に通じる鋳巣に当たった場合にはオイル漏れの原因となるおそれがある。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れ出るのを抑制できるエンジンのシリンダブロック構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載のエンジンのシリンダブロック構造の発明は、潤滑オイルが圧送されるメインオイル通路を有するブロック本体に、クランクシャフト用の軸受部材を鋳込むことによって構成されるエンジンのシリンダブロック構造において、軸受部材は、クランクシャフトを支持する支持面が形成された本体部と、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔とを有し、ブロック本体は、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通する切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有することを特徴とする。
【0010】
この発明によると、ブロック本体に鋳込まれる軸受部材が、クランクシャフトを支持する支持面を有する本体部と、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔を有し、また、ブロック本体が、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有するので、ブロック本体に切削加工により穿孔されるブロック本体側オイル供給孔の距離を短くすることができる。
【0011】
したがって、ブロック本体に対する切削加工量を極力少なくすることができ、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くして、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れ出るのを抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンのシリンダブロック構造において、延出部が、略円柱形状を有していることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、延出部が略円柱形状を有しているので、ブロック本体への鋳込みにより、ブロック本体が熱収縮して延出部の外周囲を締め付けて、いわゆる焼きバメ状態とすることができる。これにより、軸受部材とブロック本体との間に界面隙間が生ずるのを防止し、潤滑オイルが漏れ出るのを防ぐことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエンジンのシリンダブロック構造において、延出部が、径方向外側に向かって突出するフランジを有することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、延出部が径方向外方に向かって突出するフランジを有するので、ブロック本体に鋳込むことによって、フランジをブロック本体内に食い込ませることができ、ブロック本体と軸受部材との結合状態をより強固なものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのシリンダブロック構造において、ブロック本体を、アルミニウム合金ダイキャスト製材料によって構成し、軸受部材を、金属基複合材料によって構成したことを特徴とする。
【0017】
この発明は、上述の請求項に記載の構成を具体的に示したものであり、これによれば、特に鋳巣が発生し易いアルミニウム合金ダイキャスト製材料への切削加工量を極力少なくすることができる。したがって、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くし、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れるのを抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるエンジンのシリンダブロックを概略的に示す全体斜視図、図2は、右側シリンダブロックの斜視図、図3は、図2のI−I線断面図、図4は、図3のII−II線断面図である。
【0020】
図1で符号1は、水平対向4気筒エンジンのシリンダブロックである。シリンダブロック1は、クランクシャフト6の回転中心軸線Lxを中心として左右に分割可能な構造を有しており、図示していない複数本の結合ボルトによって一体に結合されるように構成されている。
【0021】
シリンダブロック1のブロック本体2は、アルミニウム合金などの軽合金属材料によって構成されており、ダイキャスト製法によって鋳造成形され、図3に示すように、かかる鋳造成形によって潤滑オイルを圧送するためのメインオイル通路3が設けられる。メインオイル通路3は、回転中心軸線Lxから側方に離間した箇所で、回転中心軸線Lxに沿って延在するように形成されている。
【0022】
左側シリンダブロック1Aと右側シリンダブロック1Bが互いに結合される合わせ面部5には、図2に示すように、クランクシャフト6のジャーナル部(図示せず)を左右両側から挟み込んで回転可能に支持するための軸受部材10が回転中心軸線Lx方向に所定間隔をおいて複数設けられている。
【0023】
軸受部材10は、ブロック本体2よりも高強度、高弾性、耐摩耗性などを有する金属製材料、例えば、アルミニウム等の金属をマトリックス(母材)とし、異なる金属類からなる金属基複合材料、例えば、焼結(メタル・マトリックス・コンポジット;Metal Matlix Composite(MMC))、或いは、繊維状の強化材を加えた複合材料である繊維強化金属(ファイバー・レインフォースド・メタル:FRM)等によって構成されており、ブロック本体2を鋳造成形する際に鋳込まれ、一体に構成される。
【0024】
軸受部材10は、図3に示すように、所定の厚さを有する略矩形で平盤形状の本体部11と、この本体部11に一体に形成された略円柱形状の延出部16を有している。軸受部材10の本体部11は、回転中心軸線Lxを中心として合わせ面部5側を半円形状に切り欠き、クランクシャフト6のジャーナル部を支持するための支持面12が形成されている。また、本体部11の上部13及び下部14からそれぞれ上方及び下方に向かって突出するフランジ片15が設けられている。
【0025】
そして、軸受部材10の延出部16は、図4に示すように、本体部11の厚さよりも小さい直径を有して本体部11からメインオイル通路3に向かって突出し、先端がメインオイル通路3の近傍位置に位置する形状を有しており、その外周囲は、ブロック本体2によって覆われている。そして、延出部16の軸方向に向かって略中央位置には、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ17が形成されている。
【0026】
軸受部材10の所定箇所には、メインオイル通路3から支持面12に潤滑オイルを供給するための軸受部材側オイル供給孔18が予め設けられている。軸受部材側オイル供給孔18は、本体部11の支持面12に一端が開口し、本体部11及び延出部16を貫通して、他端が延出部16の先端に開口するように形成されている。
【0027】
一方、ブロック本体2側には、ブロック本体側オイル供給孔4が設けられている。ブロック本体側オイル供給孔4は、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間を連通するものであり、軸受部材10をブロック本体2に鋳込んだ後に、例えば回転ドリル等の切削工具(図示せず)を合わせ面部5側から軸受部材側オイル供給孔18内に挿入し、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間の部分を切削加工により穿孔することによって形成される。
【0028】
上記構成を有するエンジンのシリンダブロック構造によれば、ブロック本体2に鋳込む軸受部材10にブロック本体2のメインオイル通路3に向けて延出部16を形成し、延出部16及び本体部11を貫通して支持面12にオイルを供給するための軸受部材側オイル供給孔18を設けて、ブロック本体2に軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3とを連通するブロック本体側オイル供給孔4を穿設するので、ブロック本体2に切削加工により穿孔するブロック本体側オイル供給孔4の距離を極力短くすることができる。したがって、ブロック本体2に対するブロック本体側オイル供給孔4を穿設するための切削加工量を最小化してブロック本体側オイル供給孔4の距離を短くすることができ、ブロック本体側オイル供給孔4がブロック本体2の鋳巣に当たる確率を極力低くすることができる。したがって、外部に通じる鋳巣からオイル漏れが生ずるのを抑制することができる。
【0029】
また、延出部16が、略円柱形状を有しているので、軸受部材10をブロック本体2に鋳込むと、ブロック本体2の熱収縮によって延出部16の外周囲を締め付けて、いわゆる焼きバメ状態とすることができる。したがって、軸受部材10とブロック本体2との間に界面隙間が生ずるのを防ぎ、かかる隙間から潤滑オイルが漏れ出るのを防止することができる。
【0030】
そして、延出部16は、径方向外方に向かって延出する鍔状のフランジ17を有するので、ブロック本体2への鋳込みによって、フランジ17をブロック本体2内に食い込ませることができる。したがって、ブロック本体2と軸受部材10との結合状態をより強固なものとすることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジンのシリンダブロック構造によれば、ブロック本体に鋳込まれる軸受部材が、クランクシャフトを支持する支持面を有する本体部及び、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔を有し、また、ブロック本体が、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有するので、ブロック本体に切削加工により設けられるブロック本体側オイル供給孔の距離を短くすることができる。したがって、ブロック本体に対する切削加工量を極力少なくすることができ、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くし、外部に通じる鋳巣からオイル漏れが生ずるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるエンジンのシリンダブロックを概略的に示す全体斜視図である。
【図2】右側シリンダブロックの斜視図である。
【図3】図2のI−I線断面図である。
【図4】図3のII−II線断面図である。
【図5】従来のエンジンのクランクシャフト用軸受構造を説明する概略図である。
【図6】図5のIII−III線断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 ブロック本体
3 メインオイル通路
4 ブロック本体側オイル供給孔
5 合わせ面部
6 クランクシャフト
10 軸受部材
11 本体部
12 支持面
16 延出部
17 フランジ
18 軸受部側オイル供給孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのシリンダブロック構造に関し、特にブロック本体にクランクシャフト用の軸受部材を鋳込むことによって構成されるエンジンのシリンダブロック構造に関する。
【0002】
【従来技術】
図5は、従来のエンジンのシリンダブロック構造を説明する概略図であり、直列4気筒エンジンのシリンダブロックをクランクケース側から見た概略図である。そして、図6は、図5のIII−III線断面図である。
【0003】
従来より、アルミニウム合金などの軽金属合金製のブロック本体102に、高強度素材からなるクランクシャフト用の軸受部材103を鋳込んでエンジンのシリンダブロック101を構成することが行われている。
【0004】
図6で符号105は、軸受部材103においてクランクシャフトを支持するジャーナル部支持面104に潤滑オイルを供給するためのオイル供給孔である。
【0005】
オイル供給孔105は、ブロック本体102に軸受部材103を鋳込んだ後に、回転ドリル等の切削工具(図示せず)で軸受部材103及びブロック本体102に切削孔加工を施すことによって形成され、軸受部材103のジャーナル部支持面104に一端が開口し、他端がブロック本体102内のメインオイル通路106に連通するように設けられる。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−337348号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミダイキャスト製のブロック本体102は、鋳巣が多いことから、鋳造後のブロック本体102に長い距離に亘って切削孔加工を施すと、鋳巣に当たる確率が高く、外部に通じる鋳巣に当たった場合にはオイル漏れの原因となるおそれがある。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れ出るのを抑制できるエンジンのシリンダブロック構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載のエンジンのシリンダブロック構造の発明は、潤滑オイルが圧送されるメインオイル通路を有するブロック本体に、クランクシャフト用の軸受部材を鋳込むことによって構成されるエンジンのシリンダブロック構造において、軸受部材は、クランクシャフトを支持する支持面が形成された本体部と、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔とを有し、ブロック本体は、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通する切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有することを特徴とする。
【0010】
この発明によると、ブロック本体に鋳込まれる軸受部材が、クランクシャフトを支持する支持面を有する本体部と、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔を有し、また、ブロック本体が、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有するので、ブロック本体に切削加工により穿孔されるブロック本体側オイル供給孔の距離を短くすることができる。
【0011】
したがって、ブロック本体に対する切削加工量を極力少なくすることができ、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くして、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れ出るのを抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンのシリンダブロック構造において、延出部が、略円柱形状を有していることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、延出部が略円柱形状を有しているので、ブロック本体への鋳込みにより、ブロック本体が熱収縮して延出部の外周囲を締め付けて、いわゆる焼きバメ状態とすることができる。これにより、軸受部材とブロック本体との間に界面隙間が生ずるのを防止し、潤滑オイルが漏れ出るのを防ぐことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエンジンのシリンダブロック構造において、延出部が、径方向外側に向かって突出するフランジを有することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、延出部が径方向外方に向かって突出するフランジを有するので、ブロック本体に鋳込むことによって、フランジをブロック本体内に食い込ませることができ、ブロック本体と軸受部材との結合状態をより強固なものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのシリンダブロック構造において、ブロック本体を、アルミニウム合金ダイキャスト製材料によって構成し、軸受部材を、金属基複合材料によって構成したことを特徴とする。
【0017】
この発明は、上述の請求項に記載の構成を具体的に示したものであり、これによれば、特に鋳巣が発生し易いアルミニウム合金ダイキャスト製材料への切削加工量を極力少なくすることができる。したがって、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くし、外部に通じる鋳巣から潤滑オイルが漏れるのを抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態におけるエンジンのシリンダブロックを概略的に示す全体斜視図、図2は、右側シリンダブロックの斜視図、図3は、図2のI−I線断面図、図4は、図3のII−II線断面図である。
【0020】
図1で符号1は、水平対向4気筒エンジンのシリンダブロックである。シリンダブロック1は、クランクシャフト6の回転中心軸線Lxを中心として左右に分割可能な構造を有しており、図示していない複数本の結合ボルトによって一体に結合されるように構成されている。
【0021】
シリンダブロック1のブロック本体2は、アルミニウム合金などの軽合金属材料によって構成されており、ダイキャスト製法によって鋳造成形され、図3に示すように、かかる鋳造成形によって潤滑オイルを圧送するためのメインオイル通路3が設けられる。メインオイル通路3は、回転中心軸線Lxから側方に離間した箇所で、回転中心軸線Lxに沿って延在するように形成されている。
【0022】
左側シリンダブロック1Aと右側シリンダブロック1Bが互いに結合される合わせ面部5には、図2に示すように、クランクシャフト6のジャーナル部(図示せず)を左右両側から挟み込んで回転可能に支持するための軸受部材10が回転中心軸線Lx方向に所定間隔をおいて複数設けられている。
【0023】
軸受部材10は、ブロック本体2よりも高強度、高弾性、耐摩耗性などを有する金属製材料、例えば、アルミニウム等の金属をマトリックス(母材)とし、異なる金属類からなる金属基複合材料、例えば、焼結(メタル・マトリックス・コンポジット;Metal Matlix Composite(MMC))、或いは、繊維状の強化材を加えた複合材料である繊維強化金属(ファイバー・レインフォースド・メタル:FRM)等によって構成されており、ブロック本体2を鋳造成形する際に鋳込まれ、一体に構成される。
【0024】
軸受部材10は、図3に示すように、所定の厚さを有する略矩形で平盤形状の本体部11と、この本体部11に一体に形成された略円柱形状の延出部16を有している。軸受部材10の本体部11は、回転中心軸線Lxを中心として合わせ面部5側を半円形状に切り欠き、クランクシャフト6のジャーナル部を支持するための支持面12が形成されている。また、本体部11の上部13及び下部14からそれぞれ上方及び下方に向かって突出するフランジ片15が設けられている。
【0025】
そして、軸受部材10の延出部16は、図4に示すように、本体部11の厚さよりも小さい直径を有して本体部11からメインオイル通路3に向かって突出し、先端がメインオイル通路3の近傍位置に位置する形状を有しており、その外周囲は、ブロック本体2によって覆われている。そして、延出部16の軸方向に向かって略中央位置には、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ17が形成されている。
【0026】
軸受部材10の所定箇所には、メインオイル通路3から支持面12に潤滑オイルを供給するための軸受部材側オイル供給孔18が予め設けられている。軸受部材側オイル供給孔18は、本体部11の支持面12に一端が開口し、本体部11及び延出部16を貫通して、他端が延出部16の先端に開口するように形成されている。
【0027】
一方、ブロック本体2側には、ブロック本体側オイル供給孔4が設けられている。ブロック本体側オイル供給孔4は、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間を連通するものであり、軸受部材10をブロック本体2に鋳込んだ後に、例えば回転ドリル等の切削工具(図示せず)を合わせ面部5側から軸受部材側オイル供給孔18内に挿入し、軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3との間の部分を切削加工により穿孔することによって形成される。
【0028】
上記構成を有するエンジンのシリンダブロック構造によれば、ブロック本体2に鋳込む軸受部材10にブロック本体2のメインオイル通路3に向けて延出部16を形成し、延出部16及び本体部11を貫通して支持面12にオイルを供給するための軸受部材側オイル供給孔18を設けて、ブロック本体2に軸受部材側オイル供給孔18とメインオイル通路3とを連通するブロック本体側オイル供給孔4を穿設するので、ブロック本体2に切削加工により穿孔するブロック本体側オイル供給孔4の距離を極力短くすることができる。したがって、ブロック本体2に対するブロック本体側オイル供給孔4を穿設するための切削加工量を最小化してブロック本体側オイル供給孔4の距離を短くすることができ、ブロック本体側オイル供給孔4がブロック本体2の鋳巣に当たる確率を極力低くすることができる。したがって、外部に通じる鋳巣からオイル漏れが生ずるのを抑制することができる。
【0029】
また、延出部16が、略円柱形状を有しているので、軸受部材10をブロック本体2に鋳込むと、ブロック本体2の熱収縮によって延出部16の外周囲を締め付けて、いわゆる焼きバメ状態とすることができる。したがって、軸受部材10とブロック本体2との間に界面隙間が生ずるのを防ぎ、かかる隙間から潤滑オイルが漏れ出るのを防止することができる。
【0030】
そして、延出部16は、径方向外方に向かって延出する鍔状のフランジ17を有するので、ブロック本体2への鋳込みによって、フランジ17をブロック本体2内に食い込ませることができる。したがって、ブロック本体2と軸受部材10との結合状態をより強固なものとすることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジンのシリンダブロック構造によれば、ブロック本体に鋳込まれる軸受部材が、クランクシャフトを支持する支持面を有する本体部及び、本体部からメインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、支持面に一端が開口し、本体部及び延出部を貫通して、他端が延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔を有し、また、ブロック本体が、軸受部材側オイル供給孔とメインオイル通路との間を連通するように切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有するので、ブロック本体に切削加工により設けられるブロック本体側オイル供給孔の距離を短くすることができる。したがって、ブロック本体に対する切削加工量を極力少なくすることができ、ブロック本体側オイル供給孔がブロック本体の鋳巣に当たる確率を極力低くし、外部に通じる鋳巣からオイル漏れが生ずるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるエンジンのシリンダブロックを概略的に示す全体斜視図である。
【図2】右側シリンダブロックの斜視図である。
【図3】図2のI−I線断面図である。
【図4】図3のII−II線断面図である。
【図5】従来のエンジンのクランクシャフト用軸受構造を説明する概略図である。
【図6】図5のIII−III線断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 ブロック本体
3 メインオイル通路
4 ブロック本体側オイル供給孔
5 合わせ面部
6 クランクシャフト
10 軸受部材
11 本体部
12 支持面
16 延出部
17 フランジ
18 軸受部側オイル供給孔
Claims (4)
- 潤滑オイルが圧送されるメインオイル通路を有するブロック本体に、クランクシャフト用の軸受部材を鋳込むことによって構成されるエンジンのシリンダブロック構造において、
前記軸受部材は、
前記クランクシャフトを支持する支持面が形成された本体部と、
該本体部から前記メインオイル通路近傍位置まで延出する延出部と、
前記支持面に一端が開口し、前記本体部及び延出部を貫通して、他端が前記延出部の先端に開口する軸受部材側オイル供給孔とを有し、
前記ブロック本体は、
前記軸受部材側オイル供給孔と前記メインオイル通路との間を連通する切削加工によって形成されたブロック本体側オイル供給孔を有することを特徴とするエンジンのシリンダブロック構造。 - 前記延出部は、
略円柱形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダブロック構造。 - 前記延出部は、
径方向外側に向かって突出するフランジを有することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのシリンダブロック構造。 - 前記ブロック本体を、アルミニウム合金ダイキャスト製材料によって構成し、
前記軸受部材を、金属基複合材料によって構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのシリンダブロック構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371595A JP2004204703A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | エンジンのシリンダブロック構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002371595A JP2004204703A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | エンジンのシリンダブロック構造 |
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