JP2004204559A - 杭頭の接合装置および接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の杭頭の接合装置1は、土中に埋設された杭2と、この杭2の上部に構築される建築基礎部3との間に配置される杭頭4の接合装置において、杭2の杭頭4および建築基礎部3の一方に固定され、球面状凸部5を備えた鉄筋コンクリート製の球面座6と、杭頭4および建築基礎部3の他方に固定され、球面状凸部5に非固定状態で面状に当接する球面状凹部7を備えた鉄筋コンクリート製の保持部材8とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に埋設された杭の杭頭と、建築基礎とを接合する接合装置および接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟弱地盤に建造物を構築するときは、地盤沈下による影響を防止するために、地中に杭を打ち込み、この杭頭上に基礎梁等の建築基礎部を形成している。
【0003】
杭と基礎梁との接合には、剛接合が多く用いられていたが、阪神・淡路大震災の後の調査では、杭頭部の損傷事例が多く報告されている。これは、地震によって杭頭部に大きな曲げモーメントが働いたためである。
【0004】
近年、曲げモーメントによる杭頭部の破損を防止するために、杭頭部と基礎梁との間に免震装置を設けた接合構造や(特許文献1参照)、杭頭部と基礎梁とを、ピン接合によって接合した接合装置が考案されている。
【0005】
免震装置としては、例えば、杭頭部と基礎梁の間に回転可能なボールを配置した転がり支承タイプ、保持部材を配置したすべり支承タイプ、およびゴム板を積層した積層ゴム支承タイプが多く用いられており、それぞれ杭頭部の変位より基礎梁の変位が小さくなるように工夫されている。
【0006】
一方、杭頭部と基礎梁とをピン接合で接合した接合装置においては、高層建築物等のような大重量の建築物を支持するために、杭頭部と基礎梁との間に加わる引張力と圧縮力とを考慮する必要がある。このため、鋳造により製造され、伸び特性に優れたダクタイル鋳鉄を用いて、杭頭部と基礎梁とを摺動可能に連結している。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−326066号公報 (第2頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のような免震装置を用いた方法においては、装置の形状が複雑であるため故障しやすく、また、基礎梁が杭頭部から離れて揺動するので、強風によって建造物に揺れが発生するという問題がある。
【0009】
一方、ダクタイル鋳鉄を用いた接合装置においては、厚みを有する大型の構造物であり精密鋳造が困難であるため、通常は砂型を用いて鋳造されるが、この場合には表面粗さが大きくなる。このため、摺動部分の仕上げ加工を行う必要があるが、鋳鉄は難切削性を有するため加工が困難で製造に時間がかかるという問題がある。
【0010】
また、接合装置は、多種の杭頭の形状に合わせて、多品種を用意する必要があるが、特殊な形状の杭に合わせて鋳型を用意し、製造することに多大な手間と時間がかかるため、汎用性および機動性に欠けるという問題がある。さらに、引張力を考慮する必要がない軽量の建造物においては、ダクタイル鋳鉄のような過剰な引張力は必要なく、もっと短時間で簡単に製造できる接合装置が望まれていた。
【0011】
そこで本発明が解決しようとする課題は、地震による杭頭部の破損を防止して、多様な形状の要求に迅速に対応できる杭頭の接合装置および接合構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の杭頭の接合装置は、土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される建築基礎部との間に配置される杭頭の接合装置において、前記杭の杭頭および前記建築基礎部の一方に固定され、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、前記杭頭および前記建築基礎部の他方に固定され、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を備えた鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えている。
【0013】
杭頭に、球面座および保持部材のうちの一方の部材を固定し、他方の部材を、球面状凹部と球面状凸部とが当接するようにして載置する。なお、球面座を杭頭に配置し、保持部材をその上部に被せて使用した場合と、保持部材を杭頭に配置し、球面座をその上部に被せて使用した場合の性能に変わりはなく、同じ様に杭頭の破損を防止することができる。球面座の球面状凸部と、保持部材の球面状凹部は、鉄筋コンクリート製であるので、型枠に流し込んで養生し、固化させた後に型枠を外すと、砂型を用いて鋳造されたダクタイル鋳鉄に比べて表面を滑らかに形成することができ、摺動抵抗が小さくなるので、手間のかかる後加工を行うことなく使用することができる。
【0014】
建造物を構築した後、地震等による大きな力が地盤に加わったときは、球面座の球面状凸部と、保持部材の球面状凹部は、面状に直接当接して摺動することができる。なお、このとき、球面座の中心は移動しない。
【0015】
地震が発生して杭に横方向への力が加わると、剛接合の場合は杭頭に大きな曲げモーメントが加わるが、本発明の接合装置を用いた場合は、球面座の球面状凸部と、保持部材の球面状凹部が摺動移動してこの曲げモーメントは伝達しないので、杭頭の損傷を防止することができる。
【0016】
通常、鉄筋コンクリート製品を摺動部材として用いることはないが、本発明の接合装置の場合、このような摺動が発生するのは、地震が発生したときだけであり、地震が発生したときに、剛接合による杭頭の破断する場合と、摺動により当接面が摩耗する場合を比べると、摺動により摩耗する場合の方が、杭頭が受けるダメージは非常に少ない。
【0017】
また、球面座および保持部材は、当接しているだけで、引張力は加わらないので、圧縮力のみを受ける状態にでき、コンクリートの長所を生かして過剰品質とならないように構成することができる。
【0018】
一方、球面座の球面状凹部が保持部材の球面状凹部に当接した状態では、球面状凸部の中心は移動しないので、強風が吹いて、建造物およびこれを支持する建築基礎部に横方向の力が加わっても、建築基礎部が杭に対して横移動することはなく、建造物や内部の家具等が揺動することはない。
【0019】
前記球面座と前記保持部材とを形成するコンクリートに、100N/mm2以上の圧縮強度と、0.010以下の粗度係数を付与すると、表面の摩耗が減少し、震度7以下または加速度400Gal以下の地震での杭頭の損傷を防止することができる。
ここで、粗度係数とは、コンクリートで管や溝形ブロックを形成し、流速をV(m/s)、径深をR(m)、勾配をIとしたときに、マニングの公式V=1/n・R2/3・I1/2から求められるnの値をいう。
【0020】
コンクリートにセラミック骨材、砕石、砕砂等の骨材を混入して球面座および保持部材を形成することにより、圧縮強度を増加することができる。また、コンクリートに消泡剤や分散剤等の混和剤を混入することにより粗度係数を小さくすることができる。
【0021】
圧縮強度が100N/mm2より小さい場合は、大重量の建造物を保持したときに、振動により当接面が削れてしまい、建造物を確実に保持することが困難になることがあるが、100N/mm2以上に設定することにより、震度7以下または加速度400Gal以下の地震であれば1本の杭に加わる荷重が500t以下となる建造物を確実に保持することができる。
【0022】
また、粗度係数が0.010を超える場合には、車両の通行時に地盤を伝わる小さな振動により球面状凸部と球面状凹部の当接面の摩耗が進行する場合があるが、0.010以下にすることにより、摩耗の進行を防止し、通常の状態で80年以上の長寿命を有する製品とすることができる。
【0023】
前記建築基礎部に固定される前記球面座または前記保持部材の上面に、前記建築基礎部に埋設される滑動防止部を形成すると、建築基礎部をコンクリートを打設して形成するときに、滑動防止部にコンクリートが流れ込んで固化し、建築基礎部と前記他方の部材とが一体的に形成されるので、前記他方の部材に水平方向の力が加わったときに、活動防止部によってこの力を受け、建築基礎部と前記他方の部材の分離を防止することができる。滑動防止部は、例えば、表面に形成された、溝、凸部または凹部によって構成することができる。
【0024】
前記杭頭に固定される前記球面座または前記保持部材の下部に、前記杭頭を挿入可能な凹部を形成すると、杭頭への接合強度を増加させることができる。球面座および保持部材は、コンクリートで形成されるので、杭の形状が異形であっても、型枠および製品の製造を短期間で行うことができる。
【0025】
本発明の杭頭の接合構造は、土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される建築基礎部とを、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を有する鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えた接合装置を用いて連結する杭頭の接合構造であって、前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭の杭頭に配置される方には、アンカー部材を挿通可能な取付用孔部が形成され、前記杭の外周には、リング状部材が締結固定され、前記取付用孔部に挿通されたアンカー部材は、一端部を前記取付用孔部に挿通して締結固定され、他端部を、前記杭の外周に締結固定されたリング状部材に溶接固定されていることを特徴とする。
【0026】
地中に打ち込まれた杭のレベルが一定にならず、高止まりが生じた場合には、杭頭を切断してレベルを合わせる。このとき、アンカー部材も同時に切断すると、作業時間が短縮されるが、杭頭への接合強度が低くなる。
【0027】
本発明での杭頭の接合構造においては、杭の外周に締結固定したリング状部材にアンカー部材を溶接固定するので、杭頭のレベル合わせ時にはアンカー部材を切断して作業を短時間で終了することができる。また、杭に埋設されていたアンカー部材を切断しても、杭頭へ固定される球面座または保持部材の接合強度が弱くなることを防止できる。
【0028】
本発明の他の杭頭の接合構造は、土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される建築基礎部とを、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を有する鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えた接合装置を用いて連結する杭頭の接合構造であって、前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭の杭頭に配置される方には、アンカー部材を挿通可能な取付用孔部が形成され、前記杭頭には、先端が上方に突出したアンカー部材が埋設され、このアンカー部材には、所定高さに形成され、かつ前記アンカー部材を挿通可能な挿通孔が形成された鉄筋コンクリート製のスペーサ部材が挿通されて前記杭頭に固定され、前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭頭に配置される方は、前記アンカー部材に外挿されて前記スペーサ部材の上部に固定されている。
【0029】
杭頭のレベルが他の杭の杭頭より低くなった場合には、他の杭頭をすべて切断するよりもレベルが低くなった杭頭のレベルを補正した方が作業効率がよい。
杭頭のレベルを、スペーサ部材を用いて高くすることにより、レベルを任意の高さに調整することができる。また、スペーサ部材は鉄筋コンクリート製であり、アンカー部材を挿通孔の内部に配置するので、錆の発生による強度の劣化を防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1(A)は本発明の第1の実施の形態の杭頭の接合装置の使用状態を示す正断面図、(B)は同接合装置の保持部材の平面図である。図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の杭頭の接合装置1は、土中に埋設された杭2と、この杭2の上部に構築される鉄筋コンクリート製の建築基礎部3との間に配置され、杭頭の破損を防止する装置である。
【0031】
接合装置1は、杭2の杭頭4に固定され、球面状凸部5を備えた鉄筋コンクリート製の球面座6と、建築基礎部3に固定され、球面状凸部5に非固定状態で面状に当接する球面状凹部7を備えた鉄筋コンクリート製の保持部材8とを備えている。
【0032】
杭2は、鉄筋コンクリート製の中空杭の内部にソイルセメントや中詰め用コンクリートを充填したもので、外周の上端からは複数の長尺ボルトからなるアンカー部材9が上方に突出している。
杭2の外周部には、リング状の防水部材12が、アンカー部材9の周囲を覆うように設けられている。防水部材12は、例えば、ゴム等の可撓性部材を用いて形成することができる。
【0033】
球面座6は、杭2の外径に合わせて形成されたフランジ部10を、半球状に形成された球面状凸部5の下部外周に備え、フランジ部10には、アンカー部材9を挿通可能な取付用孔部11が複数形成されている。球面状凸部5の半径は、100〜300mm程度に形成されている。
【0034】
球面座6は、取付用孔部11をアンカー部材9に外挿し、アンカー部材9の上部をナット13により締結することにより、杭頭4に固定される。
【0035】
保持部材8の球面状凹部7は、球面状凸部5と略同じ半径の半球状に形成され、図1(A)に示すように、正断面の円弧部の長さは、球面状凸部5の円弧部の長さより短く形成されている。
球面状凹部7の円弧部の中心角は120°程度に形成されている。中心角が小さすぎると、横方向の力が加わったときに、球面状凸部5に乗り上げて外れてしまうことがあり、また、大きすぎると、型枠を外すときに抜けにくくなり、また、端部の表面に傷が付くことがある。
【0036】
保持部材8の上部は、所定厚みの矩形平板状に形成され、その上面には、滑動防止部14が形成されている。滑動防止部14は、十字状に形成された凸部を備え、建築基礎部3の下面は、滑動防止部14の凸部の周囲の平面部と同じレベルに配置されている。すなわち、滑動防止部14の凸部は、建築基礎部3に埋設する位置に配置されている。
なお、滑動防止部の形状は、他の形状に形成してもよく、また、凸部の代わりに凹部を形成することも可能である。例えば、滑動防止部として、矩形の平面部の内部に凹部を形成することも可能である。また、保持部材8の上部も例えば円板状に形成することが可能である。
建築基礎部3は、保持部材8の滑動防止部14とともに一体的に形成され、固化した後は、保持部材8とともに揺動することができる。
【0037】
保持部材8の上面には、先部をV字状に屈曲させた多数の鉄筋が設けられている。滑動防止部8および多数の鉄筋を設けることにより、アンカーボルトを設ける必要がなく、建築基礎部3の固定を簡単かつ迅速に行うことができるとともに、保持部材8にアンカーボルトの取り付け部を設ける必要がなく、製品をコンパクトに形成することができる。
【0038】
ここで、球面座6および保持部材8の材質について説明する。
球面座6および保持部材8は同一の材質で形成され、セメントを主体としたコンクリート材料に、骨材としてセラミック骨材、砕石、砕砂等を10〜20重量%以上使用し、また、混和材として消泡剤や分散剤等を5重量%以上使用している。かかる構成によって、球面座6と、保持部材8を形成するコンクリートの圧縮強度は、100kN/mm2以上になり、これに応じて硬度も高くなる。また、粗度係数は、0.010以下となる。コンクリート材料の硬度が高く、粗度係数が小さいので、球面状凸部5および球面状凹部7の摺動性を向上させることができる。
【0039】
建築基礎3上に、例えば重量が500t以下の軽量の建築物を構築すると、建築物の重量は、各接合装置1によって、分散して支持される。ここで、震度7の地震が発生すると、各接合装置1には、軸力と剪断力が加わるが、モーメントが加わらない構成となっており、また、接合装置1の圧縮強度を100kN/mm2以上に設定しているので、破損することはない。
また、地震の発生によって、球面状凸部5と球面状凹部7が摺動するが、粗度係数を0.010以下に設定しているので、摩耗量は小さく、地震後の保持強度には影響がない。
【0040】
なお、圧縮強度を増加させるためには、他にレジンコンクリート等の有機ポリマーを混練または含浸させたりすることができ、また、カーボンスチールや有機系繊維を使用することもできる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態の接合装置の正断面図である。図2に示すように、第2の実施の形態の接合装置15は、高止まりとなった杭2の上端部を切断した杭16の上部に設けられている。杭頭19の上端部には、アンカー部材は設けられていない。
【0042】
杭2が高止まりになった場合、接合装置1を固定するために、杭頭4のレベルを修正する必要がある。このとき、杭2のアンカー部材9を残さずに、同時に切断した場合には、第1の実施の形態の接合装置1で用いた球面座6は使用することができない。第2の実施の形態の接合装置の接合構造は、アンカー部材が設けられていない杭に固定することができるものである。
【0043】
杭16の外周には、鋼製のリング状部材18が締結固定されている。リング状部材18の下端部の内側には、輪状の止水ゴム17が設けられ、また、リング状部材18の上端部は、杭16の杭頭19の上端レベルより少し上方に配置されている。
【0044】
リング状部材18の外周には、長尺ボルトからなるアンカー部材23の下部が溶接固定され、アンカー部材23の上部は、上方に突出して配置されている。
【0045】
球面座20および保持部材21の直径は、杭16の直径より大きく形成されており、球面座20のフランジ部22には、アンカー部材23を挿通可能な取付用孔部24が形成されている。
【0046】
球面座20は、アンカー部材23に取付用孔部24を外挿して、下面の外周部をリング状部材18の上端に当接させて配置している。そして、ナット26を用いて、球面座20をアンカー部材23の上部に締結固定している。
【0047】
リング状部材18の内側の空間部にはグラウト材が充填され、球面座20の下面は、グラウト材を介して杭16の上端部に固定されている。
球面材20は、このようにして固定されている。なお、保持部材21は、第1の実施の形態の保持部材8と同様の固定方法により固定されているので説明は省略する。
【0048】
球面座20を引き抜こうとすると、この力は、アンカー部材23を介してリング状部材18に伝達され、さらにグラウト材を介して杭頭19の外周面に伝達される。引張力を杭頭19の外周面の広い範囲で受けることができるので、引抜きを確実に防止することができる。なお、球面座と保持部材は、上下に離反可能に設けられているので、球面座20に直接引張力が加わることはなく、発生する引張力は、球面座と保持部材を剛接合した場合に比べると非常に小さいものである。
【0049】
(第3の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態の接合装置の正断面図である。図3に示すように、第3の実施の形態の接合装置の接合構造は、第1の実施の形態の接合装置1の杭頭4と球面座6との間にスペーサ部材27を配置したものである。第3の実施の形態の接合装置の接合構造は、杭頭のレベルが低くなった場合、これを修正する場合に使用することができる。
【0050】
スペーサ部材27は、鉄筋コンクリート製の円板状の部材で、スペーサ部材27の厚みは、基準レベルと、レベルが低くなった杭28の杭頭29のレベルとの差に合わせて形成され、直径は、杭28の直径に合わせて形成されている。
スペーサ部材27には、杭頭29の複数のアンカー部材9を挿通可能な複数の挿通孔30が形成されている。
【0051】
スペーサ部材27は、杭頭29のアンカー部材9に挿通孔30を外挿して配置され、その上部に球面座6を固定している。このようにして、接合装置のレベルをスペーサ部材27の高さ分だけ高くすることができる。
【0052】
(第4の実施の形態)
図4(A)は、第4の実施の形態の接合装置の正断面図、(B)は、同接合装置の平断面図である。図4に示すように、第4の実施の形態の接合装置31は、第1の接合装置1に歯止め部材32を追加したものである。
【0053】
歯止め部材32は、球面座6のフランジ部10の上部の4箇所に均等配置された台形状の部材で、発泡スチロール等の軽量で強度が低い材料で形成されている。歯止め部材32は、球面座6と保持部材8の間に挟持され、建築基礎部3を製造するまで、保持部材8の揺動を防止している。歯止め部材32は、建築基礎部3を製造した後に取り外してもよいが、そのまま使用してもよい。歯止め部材32は、強度が小さいので、そのまま取り付けていても性能劣化の原因となることはない。
【0054】
なお、歯止め部材32の代わりに、平面視して溝形に形成された対となる歯止め部材を使用することも可能で、この歯止め部材を、フランジ部10の上面に沿って両側方から挿入し、保持部材8に当接させることによって、保持部材8の揺動を止めることができる。
【0055】
(第5の実施の形態)
図5(A)、(B)、図6(A)、(B)、および図7(A)、(B)は、第5の実施の形態の接合装置を用いた接合構造の施工手順を示す説明図である。
図6(B)に示すように、第5の実施の形態の接合装置33は、球面状凸部34を有する球面座35と、球面状凹部36を有する保持部材37とを備え、保持部材37を杭38の杭頭39に固定し、球面座36を建築基礎部3(図7参照)に固定して使用する。
【0056】
保持部材37の下部は杭38の直径より大きい円柱状に形成され、その下部には、杭38の杭頭39を挿入可能な凹部40が形成されている。また、球面座35の上面には、十字状の凸部を有する滑動防止部41と、先部をV字状に屈曲させた多数の鉄筋が設けられている。
【0057】
(杭設置)
まず、図5(A)に示すように、オーガやディーゼルハンマ等の建設機械を用いて、杭38を地中に所定深さまで圧入する。次いで、図5(B)に示すように杭頭39の周囲を掘削して、作業領域を確保する。高止まりが発生した場合には、この後に杭頭を切断する。
【0058】
(接合部材設置)
図6(A)に示すように、保持部材37をクレーンで持ち上げ、杭頭39に凹部40を被せる。凹部40と、杭頭39には、予めグラウト材を塗布しておくことが好ましい。図6(B)に示すように、保持部材37が杭頭39に固定された後、球面座35をクレーンで持ち上げ、保持部材37の球面状凹部36に、球面状凸部34が当接するようにして載置する。
【0059】
(建築基礎部形成)
図7(A)に示すように、球面座35の上面が水平になるように調整した後、型枠を形成し、配筋を行う。型枠を形成するときには、球面座35の滑動防止部41が型枠内に突出するように配置し、球面座35も型枠とともに固定する。
次いで、セメントを流し込み、これを固化させた後、図7(B)に示すように、型枠を外し、掘削した土砂を埋める。
このようにして、接合構造を形成することができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、球面座の球面状凸部と、保持部材の球面状凹部は、それぞれ逆に配置してもよい。また、杭の内部には、ソイルセメントや中詰め用コンクリートを充填しているが、これを省略することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば次の効果を奏する。
(1)本発明の杭頭の接合装置は、鉄筋コンクリート製の球面座と、鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えているので、鋳鉄に比べて表面を滑らかに形成することができ、手間のかかる後加工を行うことなく使用することができる。また、成形が鋳鉄に比べて簡単なので、地震による杭頭部の破損を防止しながら、多様な形状の要求に迅速に対応できる。
(2)前記球面座と前記保持部材とを形成するコンクリートに、100N/mm2以上の圧縮強度と、0.010以下の粗度係数を付与すると、表面の摩耗が減少し、500t以下の荷重が加わったときに、震度7以下または加速度400Gal以下の地震が発生したときの杭頭の損傷を防止することができる。
(3)建築基礎部に固定される球面座または保持部材の上面に、建築基礎部に埋設される滑動防止部を形成すると、建築基礎部と前記他方の部材とが一体的に形成されるので、建築基礎部と他方の部材の分離を防止することができる。
(4)杭頭に固定される球面座または保持部材の下部に、杭頭を挿入可能な凹部を形成すると、杭頭への接合強度を増加させることができる。特に、球面座および保持部材は、コンクリートで形成されるので、杭の形状が異形であっても、型枠および製品の製造を短期間で行うことができる。
(5)本発明の杭頭の接合構造は、杭の外周にリング状部材を締結固定し、杭頭に設けられた球面座または保持部材の一方と、リング状部材を、アンカー部材で固定したので、杭の高止まりが生じた場合に、杭頭をアンカー部材も同時に切断して、作業時間が短縮することができ、また、杭頭への接合強度の低下を防止することができる。
(6)本発明の他の杭頭の接合構造は、杭頭のアンカー部材に、鉄筋コンクリート製のスペーサ部材を挿通し、球面座または保持部材のうちの杭頭に配置される方を、前記アンカー部材に外挿してスペーサ部材の上部に固定するので、杭のレベルが低くなった場合の修正を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態の杭頭の接合装置の使用状態を示す正断面図、(B)は同接合装置の保持部材の平面図である。
【図2】第2の実施の形態の接合装置の正断面図である。
【図3】第3の実施の形態の接合装置の正断面図である。
【図4】(A)は、第4の実施の形態の接合装置の正断面図、(B)は、同接合装置の平断面図である。
【図5】第5の実施の形態の接合装置を用いた接合構造の施工手順を示す説明図である。
【図6】第5の実施の形態の接合装置を用いた接合構造の施工手順を示す説明図である。
【図7】第5の実施の形態の接合装置を用いた接合構造の施工手順を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接合装置
2 杭
3 建築基礎部
4 杭頭
5 球面状凸部
6 球面座
7 球面状凹部
8 保持部材
9 アンカー部材
10 フランジ部
11 取付用孔部
12 防水部材
13 ナット
14 滑動防止部
15 接合装置
16 杭
17 止水ゴム
18 リング状部材
19 杭頭
20 球面座
21 保持部材
22 フランジ部
23 アンカー部材
24 取付用孔部
26 ナット
27 スペーサ部材
28 杭
29 杭頭
30 挿通孔
31 接合装置
32 歯止め部材
33 接合装置
34 球面状凸部
35 球面座
36 球面状凹部
37 保持部材
38 杭
39 杭頭
40 凹部
41 滑動防止部
Claims (6)
- 土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される鉄筋コンクリート製の建築基礎部との間に配置される杭頭の接合装置において、
前記杭の杭頭および前記建築基礎部の一方に固定され、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、
前記杭頭および前記建築基礎部の他方に固定され、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を備えた鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えていることを特徴とする杭頭の接合装置。 - 前記球面座と前記保持部材とを形成するコンクリートは、100N/mm2以上の圧縮強度と、0.010以下の粗度係数を有することを特徴とする請求項1に記載の杭頭の接合装置。
- 前記建築基礎部に固定される前記球面座または前記保持部材の上面には、前記建築基礎部に埋設される滑動防止部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の杭頭の接合装置。
- 前記杭頭に固定される前記球面座または前記保持部材の下部には、前記杭頭を挿入可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の杭頭の接合装置。
- 土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される建築基礎部とを、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を有する鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えた接合装置を用いて連結する杭頭の接合構造であって、
前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭の杭頭に配置される方には、アンカー部材を挿通可能な取付用孔部が形成され、
前記杭の外周には、リング状部材が締結固定され、
前記取付用孔部に挿通されたアンカー部材は、一端部を前記取付用孔部に挿通して締結固定され、他端部を、前記杭の外周に締結固定されたリング状部材に溶接固定されていることを特徴とする杭頭の接合構造。 - 土中に埋設された杭と、この杭の上部に構築される建築基礎部とを、球面状凸部を備えた鉄筋コンクリート製の球面座と、前記球面状凸部に非固定状態で面状に当接する球面状凹部を有する鉄筋コンクリート製の保持部材とを備えた接合装置を用いて連結する杭頭の接合構造であって、
前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭の杭頭に配置される方には、アンカー部材を挿通可能な取付用孔部が形成され、
前記杭頭には、先端が上方に突出したアンカー部材が埋設され、
このアンカー部材には、所定高さに形成され、かつ前記アンカー部材を挿通可能な挿通孔が形成された鉄筋コンクリート製のスペーサ部材が挿通されて前記杭頭に固定され、
前記球面座または前記保持部材のうち、前記杭頭に配置される方は、前記アンカー部材に外挿されて前記スペーサ部材の上部に固定されていることを特徴とする杭頭の接合構造。
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