JP2004204525A - 浮沈式汚濁拡散防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1箇所から給排気を行うことにより複数のフロート部を浮沈させることができるとともに排水をも行うことができる、取り扱いの簡便な浮沈式汚濁拡散防止装置を提供する。
【解決手段】複数のフロート部7の各沈下場所付近を経由するようにして給排気用の主管4を水底Wbに敷設し、この主管4からは、各フロート部7に対応した分配管6を分岐させて各フロート部7に接続する。これらの分配管6に止水バルブ8をそれぞれ介設しておく。そして、主管4の一端部に給排気用の第1のバルブ4aを設けるとともに、他端部に排水用の第2のバルブ4bを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のフロート部7の各沈下場所付近を経由するようにして給排気用の主管4を水底Wbに敷設し、この主管4からは、各フロート部7に対応した分配管6を分岐させて各フロート部7に接続する。これらの分配管6に止水バルブ8をそれぞれ介設しておく。そして、主管4の一端部に給排気用の第1のバルブ4aを設けるとともに、他端部に排水用の第2のバルブ4bを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
主に、港湾や湖または河川等において、護岸工事や荷役作業などを行う水域の周辺に配置し、作業中に発生した汚濁水や漏出した油等の拡散を抑え、水質汚染の広がりを防止する浮沈式汚濁拡散防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な浮沈式汚濁拡散防止装置(例えば、汚濁防止膜を備えたものやオイルフェンス等)は、空気を充填可能なフロート部をあらかじめ水中に沈下させておき、必要に応じて、フロート内部に空気を供給し浮力を与えることにより、フロート部を所定の水面に浮上させ設置する。こうして水面に設置したフロート部や汚濁の種類によりフロート部の下側に設けられている汚濁防止膜等で水の流通を阻害することにより、汚濁水や漏洩油などによる汚染の広がりを防止するものである。
【0003】
こうして用いられているフロート部は、一般的に、100m程度の長さの細長い形状を有したフロート単体から構成されており、このフロート単体を1ユニット(即ち、フロート部の全長が100mの場合)で用いるか、2本ないし3本を連結して用いられている。通常、このようなフロート部は、全長が300m以下となるように設定されている。これは、フロート部の全長が長いと沈下させる際に、端の方から順序良く沈ませることが難しいためである。
【0004】
即ち、フロート部には、一端部に給排気用のホースの一端が接続されており、他端には重錘が設けられている。そして、ホースからフロート内部の空気を排出して浮力を減少させると、重錘が取り付けられている部分が、その重錘の重さにより最初に沈み始める。これにより、フロート部は、ホースが接続されている端部を上にした状態で沈下するため、フロート内部の空気が十分に排出されるのであるが、その全長が長い場合には波の影響等により、中間部分が最初に沈み始めることがある。すると、その中間部分から重錘を設けている部分にかけて、空気が十分に排出されずに残るため、フロート部全体が完全に水中に沈下しない場合がある。
【0005】
これらのことから、フロート部は比較的全長の短いもの、つまり300m以下のものが用いられているため、汚染の広がりを広範囲に渡って防止するような場合には、それぞれに給排気ホースを接続したフロート部を水面に複数設置し、汚濁水や漏洩油等の拡散を防止している。
【0006】
そして、これらのフロート部を水面に浮かべて設置するには、普段は水中に沈められている給排気ホースを水上に引き上げ、その先端部に設けられている給排気バルブを開いた後に、作業船に搭載しているコンプレッサー等の空気供給装置から給排気ホースに空気を送給し、フロート部に空気を供給することで行われている。
【0007】
また、フロート部を沈下させる場合には、上述のように水上に引き上げた給排気バルブを開くことにより、給排気ホースを通してフロート内部の空気を排出することで行う。
【0008】
上記のように給排気ホースに空気を送給する際、コンプレッサー等で生じた水が入り込むなどして、フロート内部や給排気ホース内に水が溜まる場合がある。この空気の流通を阻害する給排気ホース内の水を排出するには、フロート内部の空気を十分に排出し、フロート部を水中深くまで沈める。すると、フロート部は水圧で押し潰されたようになるため、その内部の水が空気と共に給排気ホースに押し出される。これにより給排気ホース内の水が、押し出されるようにして給排気バルブから外部に排出されるのである。
【0009】
このような給排気作業及び排水作業は、作業船を順次移動させてフロート部ごとに行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−280373号公報 (第1−3図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の汚濁拡散防止装置では、給排気作業や排水作業をフロート部ごとに行っているため手間がかかり、全てのフロート部を水面に浮上させるのに長時間を要したり、また、全てのフロート部を残らず沈下させるにも長い時間がかかる場合がある。排水作業についても同様で、全てのフロート部の作業を終了するまでには多くの時間を必要とする。
【0012】
そこで本発明は、1箇所から給排気を行うことにより複数のフロート部を浮沈させることができるとともに排水をも行うことができる、取り扱いの簡便な浮沈式汚濁拡散防止装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、一連に連設した給排気用の主管を、複数のフロート部の各沈下場所付近を経由するようにして水底に敷設するか、若しくは、前記複数のフロート部の全てに対応するように陸上に敷設する。前記複数のフロート部の全てに対応するように陸上に敷設するとは、前記複数のフロート部の各浮沈場所にそれぞれ面した場所を全て通るようにして陸上に敷設するということである。
【0014】
そして、前記主管から、前記各フロート部に対応した分配管を分岐させて前記各フロート部に接続する。これらの分配管には止水バルブをそれぞれ介設する。そして、前記主管の一端部に第1のバルブ(以下、第1バルブともいう)を設けるとともに、他端部に第2のバルブ(以下、第2バルブともいう)を設けることを特徴としている。
【0015】
請求項1の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管の第2バルブを閉じるとともに前記各止水バルブを開き、その後に前記第1バルブから空気を送給することにより、全ての前記フロート部に空気をほぼ同時に供給して浮力を与え浮上させることができる。
【0016】
また、前記第2バルブを閉じるとともに前記各止水バルブを開き、その状態で前記第1バルブを開くと、前記各フロート部内の空気は、前記分配管を通って前記主管に流入し、開いた前記第1バルブから外部に排出されるため、前記各フロート部は浮力を失い沈下する。このとき、前記第2バルブも開いた状態にしておくと、この第2バルブからも空気を排出することができるので、空気の排出をより素早く行うことが可能となる。従って、前記フロート部の沈下を早めることができる。
【0017】
さらに、前記第2バルブを開いた状態にして前記各止水バルブを閉じ、前記第1バルブから空気を送給することにより、前記各フロート部への水の流入を防止しつつ、前記各分配管の排水を行うことができる。即ち、前記第1バルブの一箇所から給排気を行うことで全ての前記フロート部を浮沈させることができ、しかも、全ての前記分配管の排水を行うことができる。
【0018】
請求項2記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、主管に一定の距離をあけて配置している貯水タンクを、その上部で前記主管に介設することを特徴としている。
【0019】
請求項2記載の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管に一定の距離をあけて前記貯水タンクを配置し、しかも、この貯水タンクをその上部で前記主管に介設するようにすれば、前記主管内に供給された空気の流通を阻害しないように、前記主管内の水を一時的に貯留しておくことができる。
【0020】
即ち、前記主管内の水は、供給された空気に押されるなどして前記貯水タンク内に入り貯留される。その水量が、水面が前記貯水タンク上部の主管が接続されている位置よりも下側にあるような量であれば、前記主管に送給された空気はスムーズに前記貯水タンク内部を通過するからである。従って、この間はフロート部への空気の供給には支障がないため、排水作業を行う必要がなくその手間を省くことができる。
【0021】
一方、前記貯水タンク内部の水量が、水面が前記主管が接続された位置まで達するような量となると、前記貯水タンク内部を空気が流通しにくくなるため、前記各フロート部へ空気が供給されにくくなる。従って、前記フロート部の浮上に時間がかかったり浮上しなくなったりする。
【0022】
これらのことから、前記貯水タンクを、前記主管の分配管の位置よりも前記給排気バルブ側に介設しておくと、前記フロート部の状態で容易に前記貯水タンク内の水量を把握することができるため、無駄な排水作業をなくすことができる。
【0023】
請求項3記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、前記主管の適所に、フレキシブルホースを介設することを特徴としている。請求項3の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管の適所にフレキシブルホースを介設しておくと、そのフレキシブルホースの部分で簡単に曲がり、前記主管にかかる負荷を軽減することができる。従って、水流に煽られることで受ける曲げ等の外力による損傷を受けにくい主管を有したものとすることができる。
【0024】
請求項4記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、主管を水底に敷設するとともに、その両端をそれぞれ陸上まで延長し、一方の延長部に第1バルブを設けるとともに、他方の延長部に第2バルブを設けることを特徴としている。請求項4記載の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管を水底に設置した場合にも、前記第1バルブや第2バルブを陸上に設けることにより、足場の不安定な水上に出なくても、前記第1バルブや第2バルブの操作を行うことができるようになる。
【0025】
また、前記分配管の各止水バルブを電動式やエア式のものとして、その開閉を陸から制御できるようにすれば、前記主管を水底に設置した場合にも、前記フロート部の浮沈作業や前記主管の排水作業を陸上の作業のみで行うことができるようになる。
【0026】
請求項5記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、フロート部を少なくとも3本以上備えており、前記主管にあって、隣り合う前記分配管の分岐間ごとに中間バルブを介設するとともに、これらの中間バルブ間からそれぞれ予備配管を分岐させ、それらの先端部に給排気バルブを設けたことを特徴としている。
【0027】
請求項5の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、各フロート部を個別に浮沈させることができる。
【0028】
即ち、分配管の分岐間にある中間バルブをそれぞれ閉状態とし、第1バルブや第2バルブから空気を送給すると、これらのバルブに最も近い前記分配管にのみ空気が流入することとなるため、それらの分配管に接続されている前記フロート部にのみ空気が供給される(この際、分配間の止水バルブは開状態)。また、前記中間バルブ間で分岐されている前記予備配管の給排気バルブから空気を送給する(この際、分配間の止水バルブは開状態)と、前記予備配管に流入した空気は、前記中間バルブ間において、前記主管を経由した後に前記分配管を通り、その分配管の接続されている前記フロート部内へ流入することとなる。なお、これらのフロート部内へ供給された空気は、流入した経路を逆に辿るようにして、前記第1バルブや第2バルブおよび前記給排気バルブからそれぞれ外部へ排出される。
【0029】
このように、各フロート部ごとに空気の供給・排出を行うことができるので、フロート部を個別に浮沈させることが可能となる。
【0030】
なお、2本のフロート部を備えている場合には、前記主管の前記分配管の分岐間に中間バルブを介設し、その中間バルブを閉状態として、第1バルブや第2バルブから空気を送給する。すると、前記主管に送給された空気はそれぞれ、中間バルブを境にして前記第1バルブ側または第2バルブ側の分配管を通り、各分配管が接続されている前記フロート部内へ流入することとなる。また、このフロート部内の空気は流入した経路を逆に辿るようにして、前記第1バルブや第2バルブから外部に排出される。この際には、前記分配管の止水バルブは開いた状態としておく。このように、前記フロート部の給排気を個別に行い浮沈させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の実施の形態について図1〜6に基づいて以下に説明する。
【0032】
図1は本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の設置状態を示している平面図であり、図2は図1におけるA部の拡大図である。また、図3は図2におけるB−B断面図であり、図4は本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管と図2におけるC、D、E部の拡大図であり、図5は主管の両端部の拡大図である。図6は貯水タンクの側面図である(一部切り欠き部を含む)。
【0033】
図1に示すように、本実施例の浮沈式汚濁拡散防止装置1では、フロート部7,7,7が、海岸2から約50m離れた沖合に横一列で設けられている離岸堤3より沖合の水面にあって、離岸堤3の各隙間3a,3a,3aを塞ぐようにして浮かべて設置されている。そして、一本の連続する主管4がフロート部7,7,7の各沈下場所付近を経由するように離岸堤3に沿って水底に敷設されている。この主管4の両端部はそれぞれ陸上まで延長されており、一方の延長部4aは岸壁5上に設けられ、他方の延長部4bは海岸2上に設けられている。そして、各フロート部7に対応して主管4から分配管6が分岐されており、それらの先端部は各フロート部7の一端部にそれぞれ接続されている(図2参照)。
【0034】
フロート部7は長さ100m程度の長細い形状を有しており、その断面形状は、図3(a)に示すように直径約600mmの円形状となっている。そして、その下端部には汚濁防止膜9が吊り下げられた状態で取り付けられている。この汚濁防止膜9の上下方向の長さは、本実施の形態においては2mに設定されている。この長さは、フロート部を浮かべて設置する場所の水深や、拡散を防止する対象物等によって設定されるが、概ね10m以内となっている。フロート部7の長手方向両側に、左右一対の補助用ブイ10,10が配置されており、各補助用ブイ10は補助アンカーワイヤー11によってフロート部7とそれぞれ連結されている。さらに、各補助用ブイ10にはアンカーワイヤー12の一端部が繋がれており、その他端部がフロート部7の長手方向から見て左右に引張った状態で、水深約4.5mの水底Wbに設置されたアンカーブロック13に固定されている。
【0035】
このようにして補助用ブイ10やアンカーブロック13等が、フロート部7の長手方向に所定の間隔で設けられている(図2参照)。また、フロート部7の両端部側の水面にもそれぞれ補助用ブイ10が配置され、水底Wbにはアンカーブロック13がおのおの設置されており、上記と同様にして補助アンカーワイヤー11とアンカーワイヤー12により連結されている。このようにして各アンカーブロック13に係留されているフロート部7は、常に所定の水面に浮上することができるようになっている。
【0036】
主管4は図4(a)に示すように、両端部にフランジ14が取り付けられている長さ5m程度の鋼管4cを、そのフランジ14同士を突合せてボルトで締結し、この方法で鋼管4aを順次連結したものである。また、曲がり部分に5mの短尺のフレキシブルホース6bを介設している(図2C部)。このフレキシブルホース6bは、図4(b)に示すように、その両端部のフランジ14を鋼管4cのフランジ14とボルトで締結するようにして主管4に介設されている。そして、主管4には曲がり部以外にも、所定の間隔でフレキシブルホース6bを介設している(図2D部)。フロート部7が浮沈する場所付近(図2E部)には、鋼管4cの代わりに、図4(d)に示すような分岐管4bが用いられている。分岐されたその先端部にはフランジ14が取り付けられており、そのフランジ14と分配管6のフランジ14とがボルトで締結されている。
【0037】
この分配管6は、10mの長尺のフレキシブルホース6aと5mのフレキシブルホース6bとが連結されたものである。これらの連結は、それぞれの端部に取り付けられているフランジ14同士をボルトで締結することにより行われており、長尺のフレキシブルホース6aの先端部がフロート部7に接続されており、フレキシブルホース6bの先端部が分岐管4bに接続されている。そして、フレキシブルホース6aには止水バルブ8が介設されており、フロート部7への空気や水の流通を遮断することができるようになっている。
【0038】
なお、これらのフレキブルホース6a,6bは、外部の水圧や内部の空気圧により断面形状が変形しないように、ワイヤーや帆布等により補強された耐圧用のものが用いられている。
【0039】
また、主管4の延長部4aには、図5に示すように、15m程度のフレキシブルホース15が設けられており、その先端部にボールバルブの第1バルブ15aが取り付けられている。この第1バルブ15aは本実施の形態においては、給排気用として用いられている。また、反対側の延長部4bには図5(b)に示すように、延長部4aと同じフレキシブルホース15が設けられており、その先端部にはボールバルブの第2バルブ15bが取り付けられている。この第2バルブ15bは本実施の形態においては、排水用として用いられている。
【0040】
このように構成されている主管4には、図6(a)に示すような貯水タンク16が、各分岐管4b付近の延長部4a側に各々設けるようにして、約100〜200mごとに介設されている(図2参照)。この貯水タンク16は、タンク本体16aの上部に流入口16cと排出口16dとが設けられているもので、それらに鋼管4cのフランジ14を接続するようにして介設されている。
【0041】
次に、フロート部7を浮沈させる場合の作用について説明する。
【0042】
主管4の延長部4aの第1バルブ15aとコンプレッサー(図示せず)とを接続する。このとき、フロート部7は図3(b)に示すように、水中に沈下しており、主管4の第2バルブ15bを閉じ、各分配管6の止水バルブ8は開いた状態としておく。そして、コンプレッサーを駆動させて空気を主管4に送給すると、その空気は、分岐管4bから各分配管6へ送られ各々のフロート部7へ供給される。空気が供給されたフロート部7は徐々に膨らみながら、浮力が増すため水面に向かってゆっくりと上昇し始める。全てのフロート部7が水面に浮上し、それらの内部に十分に空気が充填されるとコンプレサーを停止させて空気の送給を止めた後、第1バルブ15aを閉じる。
【0043】
そして、これらのフロート部7を沈下させるには、各分配管6の止水バルブ8と第2バルブ15bとはそのままにしておいて、第1バルブ15aを開ける。すると、各フロート部7内の空気は、各分配管6を通って主管4に流入し、第1バルブ15aから外部に排出される。こうして内部の空気が排出されるにしたがって、フロート部7は浮力を失い、錘や自身の重さによって徐々に沈下していく。そして、各フロート部7が、船舶の航行等の障害とならないような水深まで沈下したところで第1バルブ15aを閉じる。
【0044】
なお、フロート部7を沈下させる際に、第2バルブ15bについても開状態としておくと、第2バルブ15bからも空気を排出することができるため、より素早く主管4内の空気を外部に排出することが可能となる。従って、フロート部7の沈下を早めることができる。
【0045】
また、このようなフロート部7の浮沈作業は、任意のフロート部7を選択して行うことができる。即ち、選択したフロート部7の分配管6に設けられている止水バルブ8を開いた状態とし、それ以外のフロート部7の止水バルブ8を閉じた状態にしておくと、選択したフロート部7に対してのみ、空気の給排気を行うことができるようになるからである。これにより、例えば破損したフロート部7がある場合には、その分配管6の止水バルブ8を閉じた状態にしておくことで、その破損したフロート部7への空気の流入を遮断し、供給された空気の漏洩を防ぐことができる。従って、他の正常なフロート部7へのスムーズな空気の供給を維持することができるのである。
【0046】
このように空気の給排気を繰り返していると、主管4内や分配管6等に水が溜まることがある。この水は、給気の際にコンプレッサー内の水が、空気と共に主管4内に流入したものや鋼管4c同士の継ぎ目部分等から沁み込んだ海水である。
【0047】
このような水は、主管4に介設している貯水タンク17に一時的に貯留しておくことができる。この水量が、水面が流入口16cや排出口16dの位置より下側となるような量であれば、主管4に送給された空気は、水に阻害されることなくタンク内部16bを通過することができる。従って、各フロート部7に空気がスムーズに供給されることとなる。
【0048】
一方、貯水タンク16の水量が、水面が流入口16cや排出口16dの位置に達するような量となると、空気が水によって貯水タンク16を通過しにくくなり、フロート部7へ供給されにくくなる。すると、フロート部7の浮上する速度が遅くなったり浮上しないといったことが起こる。このことから、水が満杯になっている貯水タンク16を容易に見分けることができ、その貯水タンク16を引き上げてタンク内部16bの水を排出する。
【0049】
また、貯水タンク16を図6(b)に示すような構造とし主管4に介設しておくと、タンク内部16bに水が満杯になれば流入口16cや排出口dを確実に塞いで空気の流通を遮断するため、フロート部7が浮上しなくなる。従って、タンク内部16bの排水時期を正確に把握することができるようになる。
【0050】
なお、上記のような貯水タンク16を設けない場合の排水は、各止水バルブ8を閉じ第2バルブ15bを開く。その状態で第1バルブ15aから空気を送給すると、主管4内や分配管6の水が送給された空気により、第2バルブ15bから外部に押し出される。このとき、止水バルブ8を閉じたことにより、フロート部7へは水が流入しないようになっている。
【0051】
次に、上記とは別の実施の形態について図7〜9を参照しつつ説明する。
【0052】
図7に示す浮沈式汚濁拡散防止装置1′は、主に、先に記載した実施の形態にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置1に、中間バルブ17a,17b(図8参照)と予備配管18とを設けたものである。なお、先に記載した実施の形態と同じものについては同一の符号を付すこととし、説明については重複するため省略している(但し、各フロート部7の符号は説明の便宜上7a〜7cとしている)。
【0053】
中間バルブ17aは主管4の、フロート部7aの分配管6が接続されている分岐管4dと、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4dと間であって、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4d付近に介設されている(図8参照)。また、中間バルブ17bは主管4の、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4dと、フロート部7cの分配管6が接続されている分岐管4d(図9(b)参照)との間に介設されている。
【0054】
そして、主管4の中間バルブ17aと中間バルブ17bとの間に、分岐管4dが介設され、この分岐管4dに予備配管18の一端部が接続されている。このようにして、主管4から分岐されている予備配管18は、本実施の形態では、鋼管4cを分岐管4dから海岸2付近まで順次連結し、その先端部にフレキシブルホース15を設けた構成としている。このフレキシブルホース15は、海岸2上に配置されており、先端部にはボールバルブからなる給排気バルブ15cが取り付けられている。また、予備配管18の分岐管4d付近には開閉バルブ17cが介設され、この開閉バルブ17cを開閉することにより、適宜、予備配管18を用いて給排気できるようになっている。
【0055】
また、主管4には中間バルブ17a,17bの他にも、中間バルブ17d,17eが介設されている。中間バルブ17dは図9(a)に示すように、フロート部7aの分配管6が接続されている分岐管4d付近であって、第2バルブ15b側に配置されている。また、中間バルブ17eは図9(b)に示すように、フロート部7cの分配管6が接続されている分岐管4d付近であって、第1バルブ15a側に配置されている。これらの中間バルブ17d,17eにより、第1バルブ15aからフロート部7a間や第2バルブ15bからフロート部7c間の空気が流通する距離をより短くすることができる。
【0056】
このような構成を有する浮沈式汚濁拡散防止装置1′は、各フロート部に対して個別に浮沈作業を行うことができる。この作用について次に述べる。
【0057】
例えば、フロート部7aのみを浮沈させる場合には、中間バルブ17dを閉状態とし止水バルブ8を開状態として、第1バルブ15a(本実施の形態において、給排気用として用いられている。)から空気を送給する。そうすると、主管4に流入した空気は、中間バルブ17dより第2バルブ15b側へは流れず、フロート部7aに接続されている分配管6を通りフロート部7a内に流入する。このように、空気の供給されたフロート部7aのみが浮力を得て、水面に浮上することとなる。また、フロート部7aを沈下させる場合には、第1バルブを開状態として空気を排出すれば、フロート部7a内の空気が分配管6や主管4を通って外部に排出されるため、フロート部7aは浮力を失い水中に沈むこととなる。
【0058】
このように中間バルブ17dを閉じて止水バルブ8を開くことにより、第1バルブ15aからフロート部7a内までにのみ空気の通り道が開かれることとなるため、フロート部7aのみ浮沈作業を行うことができるようになる。なお、本実施の形態の場合には、中間バルブ17dを開状態として中間バルブ17aを閉状態にすることでも、同様の作用を得ることができる。
【0059】
次にフロート部7bを浮沈させる場合には、中間バルブ17aと中間バルブ17bとを閉状態とし、止水バルブ8と開閉バルブ17cとを開状態とする。そうすると、給排気バルブ15cからフロート部7b内との間にのみ空気の通り道が開かれ、フロート部7bについてのみ給排気を行うことができるようになる。即ち、フロート部7bのみを浮沈させることが可能となるのである。
【0060】
また、フロート部7cのみを浮沈させる場合には、中間バルブ17eを閉状態とし止水バルブ8を開状態とする。すると、第2バルブ15b(本実施の形態においては、給排気用として用いられている。)からフロート部7c内の間にのみ空気の通り道が開かれることとなるため、フロート部7c内のみ給排気が可能となる。従って、フロート部7cについてのみ浮沈作業を行うことが可能となるのである。
【0061】
さらに、フロート部7a,7b、或いはフロート部7b,7cのような組み合わせで浮沈させることもできる。即ち、フロート部7a,7bを浮沈させる場合には、これらの分配管6の止水バルブ8を開状態とするとともに、中間バルブ17a,17dを開状態とし、中間バルブ17bと開閉バルブ17cとを閉状態とする。すると、第1バルブ15aからフロート部7a,7b内の間に空気の通り道が開かれ、第1バルブ15aから給排気を行うことにより、フロート部7a,7b内の空気を供給・排出することができる。従って、フロート部7a,7bの浮沈作業を同時に行うことが可能となるのである。
【0062】
また、フロート部7b,7cを浮沈させる場合には、これらの分配管6の止水バルブ8を開状態とするとともに、中間バルブ17b,17eを開状態とし、中間バルブ17aと開閉バルブ17cとを閉状態とする。すると、第2バルブ15bからフロート部7b,7c内の間に空気の通り道が開かれ、第2バルブ15bから給排気を行うことにより、フロート部7b,7c内に空気を供給・排出することができる。従って、フロート部7b,7cの浮沈作業を同時に行うことが可能となる。
【0063】
なお、上述のようにフロート部を組み合わせて浮沈させる場合には、予備配管18を用いて主管4内等の排水を行うこともできる。即ち、各フロート部7a〜7cの分配管6の止水バルブ8を閉状態として、開閉バルブ17cと給排気バルブ15cとを開状態とする。そうしておいて、第1バルブ15a又は第2バルブ15bから空気を送給すると、この空気により主管4や分配管6内の水が、予備配管18を通って給排気バルブ15cから外部に排出されることとなるからである。以上のように、フロート部または主管等で破損した部分以外の正常な部分のみを選択して使用することができるのである。
【0064】
なお、図1および図7に示した実施の形態では、主管4を水中に配置しているが、図10に示すように陸上に配置することもできる。主管4は、フロート部7の各浮沈場所に面したそれぞれの場所を全て通るようにして陸上に配置している。このように、主管4を陸上に配置した場合には、破損箇所等の特定が容易で、その補修も水中に設けた場合に比べて簡単に行うことができる。
【0065】
本実施の形態では汚濁防止膜を有した浮沈式汚濁拡散防止装置について説明しているが、浮沈式オイルフェンスについても同様に適用される。また、本実施の形態では3本のフロート部を有したものとなっているが、その数は限定されるものではなく、例えばコンプレッサー等の容量を上げ、より多くのフロート部を設けることも可能である。
【0066】
そして、主管には、鋼管にゴムホースを介設したものを用いているが、鋼管のみを用いたものでもよいし、耐圧用のゴムホースのみを用いたものでもよい。鋼管のみを用いた場合には、水底の岩や漂流物等によるカット傷に対して強く、また、フレキシブルホースのみを用いた場合には、その曲がり易さにより複雑な地形の水底に合わせて敷設することが容易で、また水流等から受ける外力を吸収することができるため、破損しにくいものとすることができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明の浮沈式汚濁拡散防止装置は、一箇所からの給排気により複数のフロート部を浮上・沈下させることができるため、作業時間の短縮や作業の簡略化を図ることが可能となる。特に、多数のフロート部を用いている場合には、上記のような効果はより顕著で、大幅な作業の効率化を図ることができるようになる。また、そのような場合でも手間があまり増えることがないため、作業員の人数を増やす必要がなく、人件費等のコストも抑えることができる。
【0068】
主管に貯水タンクを介設しておくと、頻繁に排水作業を行う必要がなく、またその時期を容易に把握することができるため、無駄な作業を行わなくて済み、作業の効率化も図ることができるとともに、作業者の負担も軽減することができる。
【0069】
主管の適所にフレキシブルホースを介設したものとすると、外力によって損傷しにくくなるため、交換や補修等をすることなく長期にわたり使用することが可能となる。従って、メンテナンスや部品交換等の手間やそれにかかるコストを省くことができる。
【0070】
そして、主管を水中に配置した場合でも、端末バルブを陸上に設けておくと、足場の悪い水上に比べて確実な作業を行うことができるため、作業を手早く終わらせることが可能となり、浮沈作業や排水作業等にかかる時間を大幅に短縮することができる。さらに作業の安全面の向上も図ることができる。
【0071】
主管に中間バルブや予備配管を設けておくことにより、フロート部の給排気を個別に行うことができるため、フロート部や主管等の一部に破損がある場合でも、その破損箇所を避けて正常なフロート部のみを浮沈させることができるようになる。従って、使い勝手の良い浮沈式汚濁拡散防止装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の実施例の設置状態を示している平面図である。
【図2】図1におけるA部の拡大図である。
【図3】図2におけるB方向の矢視図である。
【図4】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管の実施例と図2におけるC、D、E部の拡大図である。
【図5】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管両端部の実施例を示している平面図である。
【図6】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の貯水タンクの実施例を示す側面図である(一部切り欠き部分を含む)。
【図7】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置について、別の実施例の設置状態を示している平面図である。
【図8】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の予備配管部分を示している部分拡大図である。
【図9】図7におけるF部およびG部の拡大図である。
【図10】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置において、主管を陸上に配置した実施例を示している平面図である。
【符号の説明】
1 浮沈式汚濁防止装置
4 主管
15a 第1バルブ
15b 第2バルブ
6 分配管
7 フロート部
8 止水バルブ
Wb 水底
【発明の属する技術分野】
主に、港湾や湖または河川等において、護岸工事や荷役作業などを行う水域の周辺に配置し、作業中に発生した汚濁水や漏出した油等の拡散を抑え、水質汚染の広がりを防止する浮沈式汚濁拡散防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な浮沈式汚濁拡散防止装置(例えば、汚濁防止膜を備えたものやオイルフェンス等)は、空気を充填可能なフロート部をあらかじめ水中に沈下させておき、必要に応じて、フロート内部に空気を供給し浮力を与えることにより、フロート部を所定の水面に浮上させ設置する。こうして水面に設置したフロート部や汚濁の種類によりフロート部の下側に設けられている汚濁防止膜等で水の流通を阻害することにより、汚濁水や漏洩油などによる汚染の広がりを防止するものである。
【0003】
こうして用いられているフロート部は、一般的に、100m程度の長さの細長い形状を有したフロート単体から構成されており、このフロート単体を1ユニット(即ち、フロート部の全長が100mの場合)で用いるか、2本ないし3本を連結して用いられている。通常、このようなフロート部は、全長が300m以下となるように設定されている。これは、フロート部の全長が長いと沈下させる際に、端の方から順序良く沈ませることが難しいためである。
【0004】
即ち、フロート部には、一端部に給排気用のホースの一端が接続されており、他端には重錘が設けられている。そして、ホースからフロート内部の空気を排出して浮力を減少させると、重錘が取り付けられている部分が、その重錘の重さにより最初に沈み始める。これにより、フロート部は、ホースが接続されている端部を上にした状態で沈下するため、フロート内部の空気が十分に排出されるのであるが、その全長が長い場合には波の影響等により、中間部分が最初に沈み始めることがある。すると、その中間部分から重錘を設けている部分にかけて、空気が十分に排出されずに残るため、フロート部全体が完全に水中に沈下しない場合がある。
【0005】
これらのことから、フロート部は比較的全長の短いもの、つまり300m以下のものが用いられているため、汚染の広がりを広範囲に渡って防止するような場合には、それぞれに給排気ホースを接続したフロート部を水面に複数設置し、汚濁水や漏洩油等の拡散を防止している。
【0006】
そして、これらのフロート部を水面に浮かべて設置するには、普段は水中に沈められている給排気ホースを水上に引き上げ、その先端部に設けられている給排気バルブを開いた後に、作業船に搭載しているコンプレッサー等の空気供給装置から給排気ホースに空気を送給し、フロート部に空気を供給することで行われている。
【0007】
また、フロート部を沈下させる場合には、上述のように水上に引き上げた給排気バルブを開くことにより、給排気ホースを通してフロート内部の空気を排出することで行う。
【0008】
上記のように給排気ホースに空気を送給する際、コンプレッサー等で生じた水が入り込むなどして、フロート内部や給排気ホース内に水が溜まる場合がある。この空気の流通を阻害する給排気ホース内の水を排出するには、フロート内部の空気を十分に排出し、フロート部を水中深くまで沈める。すると、フロート部は水圧で押し潰されたようになるため、その内部の水が空気と共に給排気ホースに押し出される。これにより給排気ホース内の水が、押し出されるようにして給排気バルブから外部に排出されるのである。
【0009】
このような給排気作業及び排水作業は、作業船を順次移動させてフロート部ごとに行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−280373号公報 (第1−3図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の汚濁拡散防止装置では、給排気作業や排水作業をフロート部ごとに行っているため手間がかかり、全てのフロート部を水面に浮上させるのに長時間を要したり、また、全てのフロート部を残らず沈下させるにも長い時間がかかる場合がある。排水作業についても同様で、全てのフロート部の作業を終了するまでには多くの時間を必要とする。
【0012】
そこで本発明は、1箇所から給排気を行うことにより複数のフロート部を浮沈させることができるとともに排水をも行うことができる、取り扱いの簡便な浮沈式汚濁拡散防止装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、一連に連設した給排気用の主管を、複数のフロート部の各沈下場所付近を経由するようにして水底に敷設するか、若しくは、前記複数のフロート部の全てに対応するように陸上に敷設する。前記複数のフロート部の全てに対応するように陸上に敷設するとは、前記複数のフロート部の各浮沈場所にそれぞれ面した場所を全て通るようにして陸上に敷設するということである。
【0014】
そして、前記主管から、前記各フロート部に対応した分配管を分岐させて前記各フロート部に接続する。これらの分配管には止水バルブをそれぞれ介設する。そして、前記主管の一端部に第1のバルブ(以下、第1バルブともいう)を設けるとともに、他端部に第2のバルブ(以下、第2バルブともいう)を設けることを特徴としている。
【0015】
請求項1の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管の第2バルブを閉じるとともに前記各止水バルブを開き、その後に前記第1バルブから空気を送給することにより、全ての前記フロート部に空気をほぼ同時に供給して浮力を与え浮上させることができる。
【0016】
また、前記第2バルブを閉じるとともに前記各止水バルブを開き、その状態で前記第1バルブを開くと、前記各フロート部内の空気は、前記分配管を通って前記主管に流入し、開いた前記第1バルブから外部に排出されるため、前記各フロート部は浮力を失い沈下する。このとき、前記第2バルブも開いた状態にしておくと、この第2バルブからも空気を排出することができるので、空気の排出をより素早く行うことが可能となる。従って、前記フロート部の沈下を早めることができる。
【0017】
さらに、前記第2バルブを開いた状態にして前記各止水バルブを閉じ、前記第1バルブから空気を送給することにより、前記各フロート部への水の流入を防止しつつ、前記各分配管の排水を行うことができる。即ち、前記第1バルブの一箇所から給排気を行うことで全ての前記フロート部を浮沈させることができ、しかも、全ての前記分配管の排水を行うことができる。
【0018】
請求項2記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、主管に一定の距離をあけて配置している貯水タンクを、その上部で前記主管に介設することを特徴としている。
【0019】
請求項2記載の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管に一定の距離をあけて前記貯水タンクを配置し、しかも、この貯水タンクをその上部で前記主管に介設するようにすれば、前記主管内に供給された空気の流通を阻害しないように、前記主管内の水を一時的に貯留しておくことができる。
【0020】
即ち、前記主管内の水は、供給された空気に押されるなどして前記貯水タンク内に入り貯留される。その水量が、水面が前記貯水タンク上部の主管が接続されている位置よりも下側にあるような量であれば、前記主管に送給された空気はスムーズに前記貯水タンク内部を通過するからである。従って、この間はフロート部への空気の供給には支障がないため、排水作業を行う必要がなくその手間を省くことができる。
【0021】
一方、前記貯水タンク内部の水量が、水面が前記主管が接続された位置まで達するような量となると、前記貯水タンク内部を空気が流通しにくくなるため、前記各フロート部へ空気が供給されにくくなる。従って、前記フロート部の浮上に時間がかかったり浮上しなくなったりする。
【0022】
これらのことから、前記貯水タンクを、前記主管の分配管の位置よりも前記給排気バルブ側に介設しておくと、前記フロート部の状態で容易に前記貯水タンク内の水量を把握することができるため、無駄な排水作業をなくすことができる。
【0023】
請求項3記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、前記主管の適所に、フレキシブルホースを介設することを特徴としている。請求項3の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管の適所にフレキシブルホースを介設しておくと、そのフレキシブルホースの部分で簡単に曲がり、前記主管にかかる負荷を軽減することができる。従って、水流に煽られることで受ける曲げ等の外力による損傷を受けにくい主管を有したものとすることができる。
【0024】
請求項4記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、主管を水底に敷設するとともに、その両端をそれぞれ陸上まで延長し、一方の延長部に第1バルブを設けるとともに、他方の延長部に第2バルブを設けることを特徴としている。請求項4記載の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、前記主管を水底に設置した場合にも、前記第1バルブや第2バルブを陸上に設けることにより、足場の不安定な水上に出なくても、前記第1バルブや第2バルブの操作を行うことができるようになる。
【0025】
また、前記分配管の各止水バルブを電動式やエア式のものとして、その開閉を陸から制御できるようにすれば、前記主管を水底に設置した場合にも、前記フロート部の浮沈作業や前記主管の排水作業を陸上の作業のみで行うことができるようになる。
【0026】
請求項5記載の浮沈式汚濁拡散防止装置は、フロート部を少なくとも3本以上備えており、前記主管にあって、隣り合う前記分配管の分岐間ごとに中間バルブを介設するとともに、これらの中間バルブ間からそれぞれ予備配管を分岐させ、それらの先端部に給排気バルブを設けたことを特徴としている。
【0027】
請求項5の浮沈式汚濁拡散防止装置によれば、各フロート部を個別に浮沈させることができる。
【0028】
即ち、分配管の分岐間にある中間バルブをそれぞれ閉状態とし、第1バルブや第2バルブから空気を送給すると、これらのバルブに最も近い前記分配管にのみ空気が流入することとなるため、それらの分配管に接続されている前記フロート部にのみ空気が供給される(この際、分配間の止水バルブは開状態)。また、前記中間バルブ間で分岐されている前記予備配管の給排気バルブから空気を送給する(この際、分配間の止水バルブは開状態)と、前記予備配管に流入した空気は、前記中間バルブ間において、前記主管を経由した後に前記分配管を通り、その分配管の接続されている前記フロート部内へ流入することとなる。なお、これらのフロート部内へ供給された空気は、流入した経路を逆に辿るようにして、前記第1バルブや第2バルブおよび前記給排気バルブからそれぞれ外部へ排出される。
【0029】
このように、各フロート部ごとに空気の供給・排出を行うことができるので、フロート部を個別に浮沈させることが可能となる。
【0030】
なお、2本のフロート部を備えている場合には、前記主管の前記分配管の分岐間に中間バルブを介設し、その中間バルブを閉状態として、第1バルブや第2バルブから空気を送給する。すると、前記主管に送給された空気はそれぞれ、中間バルブを境にして前記第1バルブ側または第2バルブ側の分配管を通り、各分配管が接続されている前記フロート部内へ流入することとなる。また、このフロート部内の空気は流入した経路を逆に辿るようにして、前記第1バルブや第2バルブから外部に排出される。この際には、前記分配管の止水バルブは開いた状態としておく。このように、前記フロート部の給排気を個別に行い浮沈させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の実施の形態について図1〜6に基づいて以下に説明する。
【0032】
図1は本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の設置状態を示している平面図であり、図2は図1におけるA部の拡大図である。また、図3は図2におけるB−B断面図であり、図4は本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管と図2におけるC、D、E部の拡大図であり、図5は主管の両端部の拡大図である。図6は貯水タンクの側面図である(一部切り欠き部を含む)。
【0033】
図1に示すように、本実施例の浮沈式汚濁拡散防止装置1では、フロート部7,7,7が、海岸2から約50m離れた沖合に横一列で設けられている離岸堤3より沖合の水面にあって、離岸堤3の各隙間3a,3a,3aを塞ぐようにして浮かべて設置されている。そして、一本の連続する主管4がフロート部7,7,7の各沈下場所付近を経由するように離岸堤3に沿って水底に敷設されている。この主管4の両端部はそれぞれ陸上まで延長されており、一方の延長部4aは岸壁5上に設けられ、他方の延長部4bは海岸2上に設けられている。そして、各フロート部7に対応して主管4から分配管6が分岐されており、それらの先端部は各フロート部7の一端部にそれぞれ接続されている(図2参照)。
【0034】
フロート部7は長さ100m程度の長細い形状を有しており、その断面形状は、図3(a)に示すように直径約600mmの円形状となっている。そして、その下端部には汚濁防止膜9が吊り下げられた状態で取り付けられている。この汚濁防止膜9の上下方向の長さは、本実施の形態においては2mに設定されている。この長さは、フロート部を浮かべて設置する場所の水深や、拡散を防止する対象物等によって設定されるが、概ね10m以内となっている。フロート部7の長手方向両側に、左右一対の補助用ブイ10,10が配置されており、各補助用ブイ10は補助アンカーワイヤー11によってフロート部7とそれぞれ連結されている。さらに、各補助用ブイ10にはアンカーワイヤー12の一端部が繋がれており、その他端部がフロート部7の長手方向から見て左右に引張った状態で、水深約4.5mの水底Wbに設置されたアンカーブロック13に固定されている。
【0035】
このようにして補助用ブイ10やアンカーブロック13等が、フロート部7の長手方向に所定の間隔で設けられている(図2参照)。また、フロート部7の両端部側の水面にもそれぞれ補助用ブイ10が配置され、水底Wbにはアンカーブロック13がおのおの設置されており、上記と同様にして補助アンカーワイヤー11とアンカーワイヤー12により連結されている。このようにして各アンカーブロック13に係留されているフロート部7は、常に所定の水面に浮上することができるようになっている。
【0036】
主管4は図4(a)に示すように、両端部にフランジ14が取り付けられている長さ5m程度の鋼管4cを、そのフランジ14同士を突合せてボルトで締結し、この方法で鋼管4aを順次連結したものである。また、曲がり部分に5mの短尺のフレキシブルホース6bを介設している(図2C部)。このフレキシブルホース6bは、図4(b)に示すように、その両端部のフランジ14を鋼管4cのフランジ14とボルトで締結するようにして主管4に介設されている。そして、主管4には曲がり部以外にも、所定の間隔でフレキシブルホース6bを介設している(図2D部)。フロート部7が浮沈する場所付近(図2E部)には、鋼管4cの代わりに、図4(d)に示すような分岐管4bが用いられている。分岐されたその先端部にはフランジ14が取り付けられており、そのフランジ14と分配管6のフランジ14とがボルトで締結されている。
【0037】
この分配管6は、10mの長尺のフレキシブルホース6aと5mのフレキシブルホース6bとが連結されたものである。これらの連結は、それぞれの端部に取り付けられているフランジ14同士をボルトで締結することにより行われており、長尺のフレキシブルホース6aの先端部がフロート部7に接続されており、フレキシブルホース6bの先端部が分岐管4bに接続されている。そして、フレキシブルホース6aには止水バルブ8が介設されており、フロート部7への空気や水の流通を遮断することができるようになっている。
【0038】
なお、これらのフレキブルホース6a,6bは、外部の水圧や内部の空気圧により断面形状が変形しないように、ワイヤーや帆布等により補強された耐圧用のものが用いられている。
【0039】
また、主管4の延長部4aには、図5に示すように、15m程度のフレキシブルホース15が設けられており、その先端部にボールバルブの第1バルブ15aが取り付けられている。この第1バルブ15aは本実施の形態においては、給排気用として用いられている。また、反対側の延長部4bには図5(b)に示すように、延長部4aと同じフレキシブルホース15が設けられており、その先端部にはボールバルブの第2バルブ15bが取り付けられている。この第2バルブ15bは本実施の形態においては、排水用として用いられている。
【0040】
このように構成されている主管4には、図6(a)に示すような貯水タンク16が、各分岐管4b付近の延長部4a側に各々設けるようにして、約100〜200mごとに介設されている(図2参照)。この貯水タンク16は、タンク本体16aの上部に流入口16cと排出口16dとが設けられているもので、それらに鋼管4cのフランジ14を接続するようにして介設されている。
【0041】
次に、フロート部7を浮沈させる場合の作用について説明する。
【0042】
主管4の延長部4aの第1バルブ15aとコンプレッサー(図示せず)とを接続する。このとき、フロート部7は図3(b)に示すように、水中に沈下しており、主管4の第2バルブ15bを閉じ、各分配管6の止水バルブ8は開いた状態としておく。そして、コンプレッサーを駆動させて空気を主管4に送給すると、その空気は、分岐管4bから各分配管6へ送られ各々のフロート部7へ供給される。空気が供給されたフロート部7は徐々に膨らみながら、浮力が増すため水面に向かってゆっくりと上昇し始める。全てのフロート部7が水面に浮上し、それらの内部に十分に空気が充填されるとコンプレサーを停止させて空気の送給を止めた後、第1バルブ15aを閉じる。
【0043】
そして、これらのフロート部7を沈下させるには、各分配管6の止水バルブ8と第2バルブ15bとはそのままにしておいて、第1バルブ15aを開ける。すると、各フロート部7内の空気は、各分配管6を通って主管4に流入し、第1バルブ15aから外部に排出される。こうして内部の空気が排出されるにしたがって、フロート部7は浮力を失い、錘や自身の重さによって徐々に沈下していく。そして、各フロート部7が、船舶の航行等の障害とならないような水深まで沈下したところで第1バルブ15aを閉じる。
【0044】
なお、フロート部7を沈下させる際に、第2バルブ15bについても開状態としておくと、第2バルブ15bからも空気を排出することができるため、より素早く主管4内の空気を外部に排出することが可能となる。従って、フロート部7の沈下を早めることができる。
【0045】
また、このようなフロート部7の浮沈作業は、任意のフロート部7を選択して行うことができる。即ち、選択したフロート部7の分配管6に設けられている止水バルブ8を開いた状態とし、それ以外のフロート部7の止水バルブ8を閉じた状態にしておくと、選択したフロート部7に対してのみ、空気の給排気を行うことができるようになるからである。これにより、例えば破損したフロート部7がある場合には、その分配管6の止水バルブ8を閉じた状態にしておくことで、その破損したフロート部7への空気の流入を遮断し、供給された空気の漏洩を防ぐことができる。従って、他の正常なフロート部7へのスムーズな空気の供給を維持することができるのである。
【0046】
このように空気の給排気を繰り返していると、主管4内や分配管6等に水が溜まることがある。この水は、給気の際にコンプレッサー内の水が、空気と共に主管4内に流入したものや鋼管4c同士の継ぎ目部分等から沁み込んだ海水である。
【0047】
このような水は、主管4に介設している貯水タンク17に一時的に貯留しておくことができる。この水量が、水面が流入口16cや排出口16dの位置より下側となるような量であれば、主管4に送給された空気は、水に阻害されることなくタンク内部16bを通過することができる。従って、各フロート部7に空気がスムーズに供給されることとなる。
【0048】
一方、貯水タンク16の水量が、水面が流入口16cや排出口16dの位置に達するような量となると、空気が水によって貯水タンク16を通過しにくくなり、フロート部7へ供給されにくくなる。すると、フロート部7の浮上する速度が遅くなったり浮上しないといったことが起こる。このことから、水が満杯になっている貯水タンク16を容易に見分けることができ、その貯水タンク16を引き上げてタンク内部16bの水を排出する。
【0049】
また、貯水タンク16を図6(b)に示すような構造とし主管4に介設しておくと、タンク内部16bに水が満杯になれば流入口16cや排出口dを確実に塞いで空気の流通を遮断するため、フロート部7が浮上しなくなる。従って、タンク内部16bの排水時期を正確に把握することができるようになる。
【0050】
なお、上記のような貯水タンク16を設けない場合の排水は、各止水バルブ8を閉じ第2バルブ15bを開く。その状態で第1バルブ15aから空気を送給すると、主管4内や分配管6の水が送給された空気により、第2バルブ15bから外部に押し出される。このとき、止水バルブ8を閉じたことにより、フロート部7へは水が流入しないようになっている。
【0051】
次に、上記とは別の実施の形態について図7〜9を参照しつつ説明する。
【0052】
図7に示す浮沈式汚濁拡散防止装置1′は、主に、先に記載した実施の形態にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置1に、中間バルブ17a,17b(図8参照)と予備配管18とを設けたものである。なお、先に記載した実施の形態と同じものについては同一の符号を付すこととし、説明については重複するため省略している(但し、各フロート部7の符号は説明の便宜上7a〜7cとしている)。
【0053】
中間バルブ17aは主管4の、フロート部7aの分配管6が接続されている分岐管4dと、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4dと間であって、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4d付近に介設されている(図8参照)。また、中間バルブ17bは主管4の、フロート部7bの分配管6が接続されている分岐管4dと、フロート部7cの分配管6が接続されている分岐管4d(図9(b)参照)との間に介設されている。
【0054】
そして、主管4の中間バルブ17aと中間バルブ17bとの間に、分岐管4dが介設され、この分岐管4dに予備配管18の一端部が接続されている。このようにして、主管4から分岐されている予備配管18は、本実施の形態では、鋼管4cを分岐管4dから海岸2付近まで順次連結し、その先端部にフレキシブルホース15を設けた構成としている。このフレキシブルホース15は、海岸2上に配置されており、先端部にはボールバルブからなる給排気バルブ15cが取り付けられている。また、予備配管18の分岐管4d付近には開閉バルブ17cが介設され、この開閉バルブ17cを開閉することにより、適宜、予備配管18を用いて給排気できるようになっている。
【0055】
また、主管4には中間バルブ17a,17bの他にも、中間バルブ17d,17eが介設されている。中間バルブ17dは図9(a)に示すように、フロート部7aの分配管6が接続されている分岐管4d付近であって、第2バルブ15b側に配置されている。また、中間バルブ17eは図9(b)に示すように、フロート部7cの分配管6が接続されている分岐管4d付近であって、第1バルブ15a側に配置されている。これらの中間バルブ17d,17eにより、第1バルブ15aからフロート部7a間や第2バルブ15bからフロート部7c間の空気が流通する距離をより短くすることができる。
【0056】
このような構成を有する浮沈式汚濁拡散防止装置1′は、各フロート部に対して個別に浮沈作業を行うことができる。この作用について次に述べる。
【0057】
例えば、フロート部7aのみを浮沈させる場合には、中間バルブ17dを閉状態とし止水バルブ8を開状態として、第1バルブ15a(本実施の形態において、給排気用として用いられている。)から空気を送給する。そうすると、主管4に流入した空気は、中間バルブ17dより第2バルブ15b側へは流れず、フロート部7aに接続されている分配管6を通りフロート部7a内に流入する。このように、空気の供給されたフロート部7aのみが浮力を得て、水面に浮上することとなる。また、フロート部7aを沈下させる場合には、第1バルブを開状態として空気を排出すれば、フロート部7a内の空気が分配管6や主管4を通って外部に排出されるため、フロート部7aは浮力を失い水中に沈むこととなる。
【0058】
このように中間バルブ17dを閉じて止水バルブ8を開くことにより、第1バルブ15aからフロート部7a内までにのみ空気の通り道が開かれることとなるため、フロート部7aのみ浮沈作業を行うことができるようになる。なお、本実施の形態の場合には、中間バルブ17dを開状態として中間バルブ17aを閉状態にすることでも、同様の作用を得ることができる。
【0059】
次にフロート部7bを浮沈させる場合には、中間バルブ17aと中間バルブ17bとを閉状態とし、止水バルブ8と開閉バルブ17cとを開状態とする。そうすると、給排気バルブ15cからフロート部7b内との間にのみ空気の通り道が開かれ、フロート部7bについてのみ給排気を行うことができるようになる。即ち、フロート部7bのみを浮沈させることが可能となるのである。
【0060】
また、フロート部7cのみを浮沈させる場合には、中間バルブ17eを閉状態とし止水バルブ8を開状態とする。すると、第2バルブ15b(本実施の形態においては、給排気用として用いられている。)からフロート部7c内の間にのみ空気の通り道が開かれることとなるため、フロート部7c内のみ給排気が可能となる。従って、フロート部7cについてのみ浮沈作業を行うことが可能となるのである。
【0061】
さらに、フロート部7a,7b、或いはフロート部7b,7cのような組み合わせで浮沈させることもできる。即ち、フロート部7a,7bを浮沈させる場合には、これらの分配管6の止水バルブ8を開状態とするとともに、中間バルブ17a,17dを開状態とし、中間バルブ17bと開閉バルブ17cとを閉状態とする。すると、第1バルブ15aからフロート部7a,7b内の間に空気の通り道が開かれ、第1バルブ15aから給排気を行うことにより、フロート部7a,7b内の空気を供給・排出することができる。従って、フロート部7a,7bの浮沈作業を同時に行うことが可能となるのである。
【0062】
また、フロート部7b,7cを浮沈させる場合には、これらの分配管6の止水バルブ8を開状態とするとともに、中間バルブ17b,17eを開状態とし、中間バルブ17aと開閉バルブ17cとを閉状態とする。すると、第2バルブ15bからフロート部7b,7c内の間に空気の通り道が開かれ、第2バルブ15bから給排気を行うことにより、フロート部7b,7c内に空気を供給・排出することができる。従って、フロート部7b,7cの浮沈作業を同時に行うことが可能となる。
【0063】
なお、上述のようにフロート部を組み合わせて浮沈させる場合には、予備配管18を用いて主管4内等の排水を行うこともできる。即ち、各フロート部7a〜7cの分配管6の止水バルブ8を閉状態として、開閉バルブ17cと給排気バルブ15cとを開状態とする。そうしておいて、第1バルブ15a又は第2バルブ15bから空気を送給すると、この空気により主管4や分配管6内の水が、予備配管18を通って給排気バルブ15cから外部に排出されることとなるからである。以上のように、フロート部または主管等で破損した部分以外の正常な部分のみを選択して使用することができるのである。
【0064】
なお、図1および図7に示した実施の形態では、主管4を水中に配置しているが、図10に示すように陸上に配置することもできる。主管4は、フロート部7の各浮沈場所に面したそれぞれの場所を全て通るようにして陸上に配置している。このように、主管4を陸上に配置した場合には、破損箇所等の特定が容易で、その補修も水中に設けた場合に比べて簡単に行うことができる。
【0065】
本実施の形態では汚濁防止膜を有した浮沈式汚濁拡散防止装置について説明しているが、浮沈式オイルフェンスについても同様に適用される。また、本実施の形態では3本のフロート部を有したものとなっているが、その数は限定されるものではなく、例えばコンプレッサー等の容量を上げ、より多くのフロート部を設けることも可能である。
【0066】
そして、主管には、鋼管にゴムホースを介設したものを用いているが、鋼管のみを用いたものでもよいし、耐圧用のゴムホースのみを用いたものでもよい。鋼管のみを用いた場合には、水底の岩や漂流物等によるカット傷に対して強く、また、フレキシブルホースのみを用いた場合には、その曲がり易さにより複雑な地形の水底に合わせて敷設することが容易で、また水流等から受ける外力を吸収することができるため、破損しにくいものとすることができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明の浮沈式汚濁拡散防止装置は、一箇所からの給排気により複数のフロート部を浮上・沈下させることができるため、作業時間の短縮や作業の簡略化を図ることが可能となる。特に、多数のフロート部を用いている場合には、上記のような効果はより顕著で、大幅な作業の効率化を図ることができるようになる。また、そのような場合でも手間があまり増えることがないため、作業員の人数を増やす必要がなく、人件費等のコストも抑えることができる。
【0068】
主管に貯水タンクを介設しておくと、頻繁に排水作業を行う必要がなく、またその時期を容易に把握することができるため、無駄な作業を行わなくて済み、作業の効率化も図ることができるとともに、作業者の負担も軽減することができる。
【0069】
主管の適所にフレキシブルホースを介設したものとすると、外力によって損傷しにくくなるため、交換や補修等をすることなく長期にわたり使用することが可能となる。従って、メンテナンスや部品交換等の手間やそれにかかるコストを省くことができる。
【0070】
そして、主管を水中に配置した場合でも、端末バルブを陸上に設けておくと、足場の悪い水上に比べて確実な作業を行うことができるため、作業を手早く終わらせることが可能となり、浮沈作業や排水作業等にかかる時間を大幅に短縮することができる。さらに作業の安全面の向上も図ることができる。
【0071】
主管に中間バルブや予備配管を設けておくことにより、フロート部の給排気を個別に行うことができるため、フロート部や主管等の一部に破損がある場合でも、その破損箇所を避けて正常なフロート部のみを浮沈させることができるようになる。従って、使い勝手の良い浮沈式汚濁拡散防止装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の実施例の設置状態を示している平面図である。
【図2】図1におけるA部の拡大図である。
【図3】図2におけるB方向の矢視図である。
【図4】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管の実施例と図2におけるC、D、E部の拡大図である。
【図5】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の主管両端部の実施例を示している平面図である。
【図6】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の貯水タンクの実施例を示す側面図である(一部切り欠き部分を含む)。
【図7】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置について、別の実施例の設置状態を示している平面図である。
【図8】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置の予備配管部分を示している部分拡大図である。
【図9】図7におけるF部およびG部の拡大図である。
【図10】本発明にかかる浮沈式汚濁拡散防止装置において、主管を陸上に配置した実施例を示している平面図である。
【符号の説明】
1 浮沈式汚濁防止装置
4 主管
15a 第1バルブ
15b 第2バルブ
6 分配管
7 フロート部
8 止水バルブ
Wb 水底
Claims (5)
- 空気を充填可能な複数のフロート部を備え、給排気によりそれらのフロート部を浮沈させることができる浮沈式汚濁拡散防止装置において、
給排気用の主管を、前記複数のフロート部の各沈下場所付近を経由するようにして水底に敷設するか、若しくは、前記複数のフロート部の全てに対応するように陸上に敷設し、前記主管からは、前記各フロート部に対応した分配管を分岐させて前記各フロート部に接続し、これらの分配管に止水バルブを介設し、前記主管の一端部に第1のバルブを設けるとともに、他端部に第2のバルブを設けたことを特徴とする浮沈式汚濁拡散防止装置。 - 前記主管に一定の距離をあけて配置した貯水タンクを、その上部で前記主管に介設したことを特徴とする請求項1記載の浮沈式汚濁拡散防止装置。
- 前記主管の適所に、フレキシブルホースを介設したことを特徴とする請求項1または2記載の浮沈式汚濁拡散防止装置。
- 前記主管を水底に敷設するとともに、その両端をそれぞれ陸上まで延長し、一方の延長部に前記第1のバルブを設けるとともに、他方の延長部に前記第2のバルブを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浮沈式汚濁拡散防止装置。
- 前記フロート部を少なくとも3本以上備えており、前記主管にあって、隣り合う前記分配管の分岐間ごとに中間バルブを介設するとともに、これらの中間バルブ間からそれぞれ予備配管を分岐させ、それらの先端部に給排気バルブを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浮沈式汚濁拡散防止装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002374112A JP2004204525A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 浮沈式汚濁拡散防止装置 |
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JP2004204525A true JP2004204525A (ja) | 2004-07-22 |
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JP (1) | JP2004204525A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013002155A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Marsima Aqua System Corp | 浮沈式フェンス |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002374112A patent/JP2004204525A/ja active Pending
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