JP2004202183A - 導電性ブラシ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性ブラシ20は、帯状をなす基材21と、基材21上に植毛された複数本のパイル糸22とを備えている。これら基材21及びパイル糸22の材料には同じ種類の合成樹脂が使用されており、パイル糸22は、基材21に対して超音波を使用して接着されている。また、基材21及びパイル糸22の材料には導電性物質が含有されており、基材21及びパイル糸22は、それぞれ導電性を有している。この導電性ブラシ20は、回転する無端バンドの表面にパイル糸を巻き付けつつ、巻き付けられたパイル糸に対して両側方から一対の基材を接触させ、接着した後、無端バンド上でパイル糸を切断し、同無端バンドから離間させることによって製造されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば電子写真方式の画像形成装置において、感光ドラムに付着したトナーの掻き取り、感光ドラム表面の帯電又は除電等を行うための導電性ブラシ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような導電性ブラシは、織布よりなる基布と、同基布上で起毛する複数本のパイル糸とからなるベロア材より形成されていた(例えば、特許文献1参照。)。該パイル糸は、織布である基布にパイル織りで織り込まれるとともに、少なくとも一部に導電性繊維が使用されている。そして、該導電性ブラシは、例えば画像形成装置内の所定箇所に基布を介して貼り付けられ、そのパイル糸を感光ドラム等の被接触体に接触させることにより、感光ドラムに付着したトナー等の粉粒体を除電し、掻き取るように構成されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−209634号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の導電性ブラシによれば、その製造時には基材である基布にパイル糸を織り込むという煩雑な作業を行わねばならない。また、基布に織り込まれることによって植毛されたパイル糸は、毛倒れしやすいものとなる。パイル糸が毛倒れした場合、被接触体へパイル糸を十分に接触させることができなくなったり、パイル糸の一部に被接触体へ接触しない箇所が生じたり等の不具合が発生するため、同パイル糸が毛倒れしないように構成する必要もあった。
【0005】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、製造の簡易化を図りつつ、毛倒れを抑制することができる導電性ブラシ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の導電性ブラシの発明は、帯状をなす基材と、同基材上に植毛された複数本のパイル糸とを備え、当該基材及びパイル糸の材料には同系の合成樹脂を用い、超音波を使用して該基材にパイル糸を接着することによって断面逆T字状に形成されるとともに、該基材及びパイル糸は、前記合成樹脂に導電性物質を含有させることにより、それぞれの少なくとも一部に導電性を付与されたものであることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の導電性ブラシの発明は、請求項1に記載の発明において、前記基材及びパイル糸を合わせた全体での体積抵抗値が101〜108Ω・cmであることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の導電性ブラシの発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、静電気により粉粒体が付着する被接触体と、同被接触体に対向して配設された支持部材とを備える画像形成装置において、該支持部材に前記基材を支持させ、かつ前記パイル糸を被接触体に接触させて使用されるとともに、該支持部材を導電性を有する材料で形成し、前記粉粒体又は被接触体からパイル糸によって除電された静電気が基材を介して支持部材へと電気的に導通されるように構成したことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の導電性ブラシの発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記基材の体積抵抗値が101〜104Ω・cmであり、前記パイル糸はその体積抵抗値が同基材の体積抵抗値以上であることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の導電性ブラシの発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記パイル糸の体積抵抗値が101〜104Ω・cmであり、前記基材はその体積抵抗値が同パイル糸の体積抵抗値以上であることを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の導電性ブラシの発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記基材の長手方向へ延びるように当該基材上に立設された仕切膜を備え、当該仕切膜で前記パイル糸を基材の幅方向の中間で分列することにより、当該基材の長手方向へ延びる複数のパイル列を形成するとともに、これらパイル列の間には間隙部を設けたことを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の導電性ブラシの発明は、請求項6に記載の発明において、前記仕切膜は、基材の厚みを含むその高さが、基材の厚みを含むパイル糸の高さの70%以下であることを要旨とする。
【0013】
請求項8に記載の導電性ブラシの製造方法の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の導電性ブラシの製造方法であって、帯状部材の両端部を互いに接続して構成された無端バンドを回転させつつ、同無端バンドの表面にパイル糸を巻き付けるための巻付工程と、無端バンドに巻き付けられたパイル糸に対し、無端バンドの回転方向の両側方から一対の帯状をなす基材を供給するための基材供給工程と、供給された基材をパイル糸に接触させ、超音波を使用して基材とパイル糸とを接着するための接着工程と、無端バンドの両面でパイル糸の中間部をそれぞれ切断する切断工程と、無端バンドの両側方へパイル糸を基材とともに離間させる離間工程とを経て製造されることを要旨とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、導電性ブラシ20は、帯状をなす基材21と、同基材21上に植毛された複数本のパイル糸22とから構成されている。
前記基材21は、耐久性及び耐摩耗性に優れ、動摩擦係数が低い合成樹脂を材料に用いたフィルムより形成されている。このような合成樹脂としては、ポリプロピレン、超高分子ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、ポリアクリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、基材21の幅方向の中間部には、パイル糸22を位置決めするための一対のガイド突条21aが、所定の間隔をおいて基材21の長手方向へ互いに平行に延びるように突設されている。
【0016】
前記パイル糸22はフィラメント糸、紡績糸等の糸から形成されている。各パイル糸22は、略U字状に曲げられた状態で、その曲げ部分を介して前記基材21の両ガイド突条21aの間に接合されている。基材21へのパイル糸22の接合方法は、基材21及びパイル糸22を強固に接合することができるとともに、接合箇所以外の形状の変化を抑えることができることから、超音波を使用した接着による方法が採用されている。そして、基材21の幅方向の中央にパイル糸22が接着されることにより、導電性ブラシ20は、基材21の幅方向に延びる断面が逆T字状をなすように形成されている。
【0017】
パイル糸22には、耐久性及び耐摩耗性に優れ、動摩擦係数が低い繊維が使用されている。このような繊維としては、基材21で挙げた合成樹脂を材料に用いる合成繊維が挙げられる。また、超音波を使用してパイル糸22を基材21に接着する際、接着を強固なものとするため、同パイル糸22には基材21で用いた合成樹脂と同系の合成樹脂よりなる合成繊維が使用されている。また、接着をより強固なものとするためには、パイル糸22に基材21で用いた合成樹脂と同じ種類の合成樹脂よりなる合成繊維を使用することが好ましい。前に挙げた合成樹脂のなかでもオレフィン系樹脂、特にポリプロピレンは、耐久性及び耐摩耗性に優れ、入手が容易であるとともに、相溶性が高いことから超音波を使用した接着に適し、基材21及びパイル糸22に使用する材料として好ましい。
【0018】
基材21及びパイル糸22に使用する合成樹脂には、導電性物質が練り込まれ、含有されている。この導電性物質としては、銀、銅、ニッケル等の金属、酸化亜鉛、酸化錫等の金属化合物、炭素(カーボン)等の微粒子が挙げられる。そして、該導電性物質が練り込まれることにより、基材21及びパイル糸22には導電性が付与され、その内部に電気を導通させることが可能である。この実施形態で基材21及びパイル糸22の材料には、導電性物質としてのカーボンを含有するポリプロピレンが使用されている。
【0019】
上記導電性ブラシ20は、電子写真方式の画像形成装置内において、所定箇所に取着されて使用される。すなわち、図2に示すように、可動体としての感光ドラム11は、画像形成装置内で回転可能に支持されている。この感光ドラム11の周囲には、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部等が同感光ドラム11を内側に囲い込むように配設されている。そして、当該感光ドラム11は、帯電された表面に粉粒体であるトナーを供給されるとともに、同トナーによる可視像を記録用紙等に転写するように構成されている。また、可視像を転写した直後の感光ドラム11の表面にはトナーが残留しており、同トナーがクリーニング部で除去される。
【0020】
クリーニング部を構成するハウジング12には、感光ドラム11に対向するようにして支持部材13が取付けられている。この支持部材13は、感光ドラム11と対向する面に開口部14を有する四角筒状に形成されるとともに、その一側面には同支持部材13をハウジング12に固定するための固定部15が延設されている。また、支持部材13の開口端には一対の突片16が突設されることにより、開口部14が所定幅に規制されている。そして、支持部材13は、鉄、銅、アルミニウム等の金属、合金等より形成されており、導電性を有している。
【0021】
導電性ブラシ20は、基材21が支持部材13内に挿入されることにより、同支持部材13に支持されている。さらに、一対の突片16をかしめ、支持部材13の内方へ曲げることにより、これら突片16で基材21が押さえ付けられ、導電性ブラシ20が支持部材13に対して固定されている。そして、当該導電性ブラシ20は、パイル糸22を開口部14から突出させることにより、その毛先を感光ドラム11の表面に接触させている。
【0022】
当該感光ドラム11の表面には、静電気によってトナーが付着している。感光ドラム11又はトナーに帯電した静電気は、パイル糸22が導電性を有することから、当該パイル糸22の感光ドラム11への接触時にパイル糸22へと通電され、感光ドラム11又はトナーから除電される。静電気が除電されて感光ドラム11の表面から遊離しやすくなったトナーは、同表面からパイル糸22によって掻き取られる。そして、掻き取られたトナーは、パイル糸22内に捕集されたり、ハウジング12に設けられた回収口12aを介して同ハウジング12の内部に回収される等して除去される。
【0023】
一方、当該導電性ブラシ20においては、パイル糸22のみならず、基材21もまた導電性を有している。同基材21は、導電性の支持部材13に固定された状態で同支持部材13に接触しており、基材21と支持部材13とは電気的に導通可能である。従って、パイル糸22へと通電された静電気は、基材21を介して支持部材13へと導通されるとともに、該支持部材13から又は支持部材13を介してハウジング12から外部へと放電される。
【0024】
前記基材21は、JIS Z 2246に規定されるショア硬さが、Dスケールで10〜90であることが好ましい。ショア硬さが10未満の場合、基材21がねじれたり、折れ曲がったり等しやすく、支持部材13への取付時に支障が生じるおそれがある。ショア硬さが90より高い場合、超音波を使った接着がしにくくなったり、基材21を所定の形状に形成しにくくなったり、同基材21を切断しにくくなったり等の不具合を生じるおそれがある。
【0025】
前記パイル糸22は、感光ドラム11等の可動体への接触時に、同可動体を傷つけないようにするため、その単糸繊度は、3〜100デシテックスであることが好ましく、5〜20デシテックスであることがより好ましい。なお、単糸繊度とは、複数本の繊維を撚り合わせて形成した糸(マルチフィラメント糸)をパイル糸22に使用した場合において、同パイル糸22を形成する1本の繊維の繊度をいう。単糸繊度を細くするに従ってパイル糸22の剛性が低くくなり、毛倒れ、毛切れ等といった不具合が発生するおそれがある。これとは逆に、単糸繊度を太くするに従ってパイル糸22の柔軟性が低くなり、摺動抵抗が増すこととなり、可動体の傷つきが高い確率で発生する。
【0026】
また、パイル糸22そのものの繊度は、好ましくは100〜2000デシテックスであり、より好ましくは300〜1500デシテックスである。パイル糸22には、マルチフィラメント糸の他、1本の繊維よりなる糸(モノフィラメント糸)を使用する場合もあり、可動体の傷つきの発生及び摺動抵抗の増加を抑えるには、パイル糸22そのものの繊度をこのように設定することが好ましい。そして、パイル糸22の繊度を細くするに従って、パイル糸22の剛性が低くくなり、毛倒れ、毛切れ等といった不具合が発生するおそれがある。これとは逆に、パイル糸22の繊度を太くするに従ってパイル糸22の柔軟性が低くなり、摺動抵抗が増すこととなり、可動体の傷つきが高い確率で発生する。
【0027】
基材21上でパイル糸22を植毛する本数は、基材21の長手方向で1インチ(inch)当たり、好ましくは5000〜50000本であり、さらに好ましくは5000〜20000本である。1インチ当たりの植毛本数が減少するに従ってパイル糸22同士の間に隙間が空きやすくなるため、トナー等といった付着物の掻き取り性能及び捕集性能が低下してしまう。これとは逆に、1インチ当たりの植毛本数が増加するに従って基材21上でのパイル糸22の密度が増すため、摺動抵抗が増すこととなり、可動体の傷つきが高い確率で発生する。
【0028】
当該導電性ブラシ20において、基材21及びパイル糸22を合わせた全体での体積抵抗値は、好ましくは101〜108Ω・cmである。なお、体積抵抗値とは、JIS K 6911に準拠する方法で測定され、基材21及びパイル糸22に電圧を印加したとき、これらの内部を通じて流れる電流の抵抗値をいう。このため、体積抵抗値が低いものほど導電性に優れたものであることを示す。
【0029】
パイル糸22の体積抵抗値は、好ましくは101〜104Ω・cmである。全体での体積抵抗値が101Ω・cm未満又はパイル糸22の体積抵抗値が101Ω・cm未満の場合、使用環境に影響され、電気抵抗を安定して維持することができなくなるおそれがある。全体での体積抵抗値が108Ω・cmよりも高い又はパイル糸22の体積抵抗値が104Ω・cmよりも高い場合、静電気を十分に除電することができず、特に画像形成装置の場合には除電ムラ等が生じて得られる画像に不具合を生じるおそれがある。
【0030】
また、基材21の体積抵抗値は、導電性ブラシ20の全体での電気抵抗を使用環境に影響されることなく安定して維持するため、パイル糸22の体積抵抗値以上であることが好ましい。基材21の体積抵抗値をパイル糸22の体積抵抗値より低くした場合、基材21の電気抵抗が十分に安定せず、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値を101〜108Ω・cmとすることが難しくなる。
【0031】
当該導電性ブラシ20の体積抵抗値を上記の範囲内とするには、パイル糸22の体積抵抗値を上記の範囲内に設定した状態で、同パイル糸22の体積抵抗値に合わせて基材21の体積抵抗値が適宜変更されることにより、導電性ブラシ20の体積抵抗値が所望値とされる。これは、複数本の繊維からなるパイル糸22と比べ、基材21は安定した体積抵抗値を示し、同体積抵抗値の調整が行いやすいためである。また、基材21の変更により導電性ブラシ20の体積抵抗値を調整する場合、後述する導電性ブラシ20の製造時において、パイル糸22よりも基材21の切り替えを行いやすく、体積抵抗値の異なる複数の導電性ブラシ20を効率よく製造することができるという利点も有する。
【0032】
次いで、導電性ブラシ20を製造するための製造装置について説明する。
図3(a),(b)に示すように、当該製造装置は、帯状部材の両端部を互いに接続することによって形成された無端バンド51を備えている。同無端バンド51は、複数のローラ52の間に張設されるとともに、各図中で左側を始端側、右側を終端側とした場合、始端側のローラ52が回転駆動装置53によって回転駆動されることにより、装置内で回転可能に構成されている。そして、始端側のローラ52と終端側のローラ52との間には、始端側から順番にパイル糸供給部54、基材供給部55、接着部56、切断部57及び回収部58が設けられている。
【0033】
前記パイル糸供給部54は、無端バンド51を挟んで対向する一対のボビン59を備えている。両ボビン59は、無端バンド51の表面にパイル糸22を供給しつつ、無端バンド51を中心に回転するように構成されている。前記基材供給部55は、無端バンド51を挟んで対向する一対の供給ドラム60を備えている。これら供給ドラム60には前記基材21が巻回状態で収容されており、各供給ドラム60から引き出された基材21は、無端バンド51の回転方向の両側部に供給され、該無端バンド51と平行に移動するように構成されている。
【0034】
前記接着部56は、基材21に超音波の振動を伝えるためのホーン61と、該基材21を無端バンド51に向かって押し付けるための押圧部材62とを各一対ずつ備えている。各一対のホーン61及び押圧部材62は、それぞれ無端バンド51を挟み、その回転方向で互い違いに並ぶように配設されている。前記切断部57は、無端バンド51の上下両面側にそれぞれ切断刃63を備えており、同切断刃63は無端バンド51の幅方向の中央に配設されている。前記回収部58は、無端バンド51の両側方にそれぞれ図示しないカット部を有しており、これらカット部に送り込まれた一対の導電性ブラシ20がそれぞれ所定長さに切断され、回収されるように構成されている。
【0035】
次に、導電性ブラシ20の製造方法について説明する。
該導電性ブラシ20は、図3(a),(b)に示す製造装置を使用し、巻付工程、基材供給工程、接着工程、切断工程及び離間工程を経て製造される。
【0036】
前記巻付工程は、無端バンド51の表面にパイル糸22を巻き付けるために行われ、製造装置のパイル糸供給部54で施される。同パイル糸供給部54では、一対のボビン59が無端バンド51を中心に回転しつつ、同無端バンド51上にパイル糸22を供給する。前に挙げたパイル糸22の植毛本数は、パイル糸供給部54でボビン59の回転数、パイル糸22の供給量、供給速度等を調節することによって調整される。また、無端バンド51の幅を変更することにより、所望に応じて基材21上からのパイル糸22の高さを調整することが可能である。そして、無端バンド51上に供給されたパイル糸22は、同無端バンド51の表面に螺旋状に巻き付き、無端バンド51とともに終端側へ向かって移動する。
【0037】
前記基材供給工程は、無端バンド51に巻き付けられたパイル糸22に対し、同無端バンド51の回転方向の両側方から基材21を供給するために行われ、製造装置の基材供給部55で施される。同基材供給部55では、各供給ドラム60から引き出された基材21が無端バンド51の両側部にそれぞれ位置するように供給される。このとき、各基材21に設けられた一対のガイド突条21aの間に無端バンド51に巻き付けられたパイル糸22が位置するように位置合わせされる。
【0038】
前記接着工程は、供給された基材21をパイル糸22に接触させ、超音波を使用して基材21とパイル糸22とを接着するために行われ、製造装置の接着部56で施される。同接着部56では、押圧部材62により無端バンド51の一側方から基材21を押圧してパイル糸22に接触させつつ、他側方からホーン61を基材21に接触させる。そして、ホーン61を介して基材21に超音波の振動が伝えられるとともに、同超音波の振動により、基材21とパイル糸22とがその接触部位で接着される。
【0039】
前記切断工程は、無端バンド51に巻き付けられた状態のパイル糸22をその中間部で切断し、該無端バンド51から離間可能とするために行われ、製造装置の切断部57で施される。同切断部57では、一対の切断刃63により、無端バンド51の上下両面にそれぞれ位置するパイル糸22の中央部分が切断される。そして、同切断部57において、無端バンド51を両側方から被覆するようにして、一対の導電性ブラシ20が製造される。
【0040】
前記離間工程は、無端バンド51からパイル糸22を基材21とともに離間させ、得られた導電性ブラシ20を回収するために行われ、製造装置の回収部58で施される。この回収部58では、無端バンド51上の一対の導電性ブラシ20がそれぞれ両側方へ引っ張られる。すると、これら導電性ブラシ20は、パイル糸22が無端バンド51上から引き抜かれることにより、それぞれ離間される。そして、無端バンド51上から離間された一対の導電性ブラシ20は、一対のカット部でそれぞれ所定長さに切断され、直線状の形態のまま回収される。
【0041】
前記の第1実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 第1実施形態の導電性ブラシ20は、帯状をなす基材21と、同基材21上に植毛されたパイル糸22とを備えている。このパイル糸22は、基材21に超音波を使用して接着されており、従来のベロア材と比較してその構成は簡易なものとなっている。さらに、基材21に接着されたパイル糸22は、その接着部分で基材21と互いに溶融し合っており、根元部分でのぐらつきを防止され、基材21に対してしっかりと固定されている。従って、導電性ブラシ20の製造の簡易化を図りつつ、パイル糸22の毛倒れを抑制することができる。
【0042】
・ また、導電性ブラシ20は、その体積抵抗値が101〜108Ω・cmである。このため、電気抵抗値を安定に維持しつつ、良好な導電性を発揮することができる。
【0043】
・ また、画像形成装置内で導電性ブラシ20は、導電性の支持部材13によって支持されており、その基材21を介して支持部材13との間で電気的に導通可能とされている。従って、可動体又はトナーから除電した静電気によって導電性ブラシ20が帯電されることを防止することができ、長期間にわたって良好な導電性を維持することができる。
【0044】
・ また、パイル糸22の体積抵抗値は、101〜104Ω・cmであり、基材21の体積抵抗値は、パイル糸22の体積抵抗値以上となるように調整されている。そして、導電性ブラシ20の体積抵抗値は、パイル糸22の体積抵抗値に合わせて基材21の体積抵抗値を適宜変更することによって調整される。基材21の体積抵抗値は、パイル糸22の体積抵抗値よりも安定する傾向を示すことから、導電性ブラシ20の体積抵抗値の調整を簡易なものとすることができる。また、導電性ブラシ20の製造時において、パイル糸22よりも基材21の切り替えが行いやすいことから、体積抵抗値の異なる複数種類の導電性ブラシ20を効率よく製造することができる。
【0045】
・ また、導電性ブラシ20は、無端バンド51の表面にパイル糸22を巻き付ける巻付工程、基材21をパイル糸22の両側方から供給する基材供給工程、超音波で基材21とパイル糸22とを接着する接着工程及びパイル糸22を切断する切断工程を経て、一度の作業で一対ずつ製造される。さらに、製造された一対の導電性ブラシ20は、離間工程で無端バンド51上からそれぞれ離間され、回収される。このため、導電性ブラシ20は、煩雑な作業を特に行わずとも、製造装置の使用により、ほぼ自動で安価かつ大量に製造することが可能である。さらに、各工程での作業時において、パイル糸22は無端バンド51に巻き付けられた状態とされており、同無端バンド51に支持されることにより、作業時の毛倒れを防止することが可能である。加えて、パイル糸22の毛先を別工程で切り揃えずとも、当該製造方法で得られたパイル糸22はその毛先が精度よく揃った状態で回収することが可能である。従って、製造の簡易化を図り、パイル糸22の毛倒れを抑制しつつ、毛先が精度よく揃った導電性ブラシ20を製造することができる。加えて、離間工程を行う回収部58で導電性ブラシ20を直線状のまま回収するように構成したことから、例えばドラム等に巻回して導電性ブラシ20を回収することと比較し、パイル糸22の毛倒れを確実に防止することができる。
【0046】
・ また、基材21は、ショア硬さが、Dスケールで10〜90とされている。このため、基材21が捻れたり、曲がったり、沿ったり等することを抑制することができ、支持部材13への導電性ブラシ20の装着を容易なものとすることができる。加えて、導電性ブラシ20の搬送時等において、基材21が捻れたり、曲がったり、沿ったり等することに伴うパイル糸22の毛倒れを抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、この第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0048】
図6及び図7(a)に示すように、当該導電性ブラシ20は、基材21と、同基材21上で基材21の長手方向へ延びるように起毛された一対(2列)のパイル列23と、両パイル列23の間で基材21上に立設された仕切膜24とから構成されている。当該仕切膜24は、合成樹脂製の帯状をなすシート材を材料に用いて形成されている。この仕切膜24は、シート材を断面V字状に二つ折りした状態でU字状に曲げられたパイル糸22の内側に配設し、その曲げ部分をパイル糸22とともに基材21に超音波接着で接合することにより、基材21上で基材21の長手方向へ延びるように立設されている。この仕切膜24によって仕切られたパイル糸22は、基材21の幅方向の中央で分列されており、分列された各パイル糸22により、一対のパイル列23が形成されている。
【0049】
当該仕切膜24を設けることにより、各パイル列23を形成するパイル糸22は、その根本から中間にわたる部分が基材21の幅方向の外方へそれぞれ押し拡げられている。このようにパイル糸22が仕切膜24で押し拡げられることにより、一対のパイル列23の間には隙間が空き、この隙間によって間隙部25が形成されている。当該間隙部25の上部の開口26は、パイル糸22の先端部分が広がり、疎らに詰まることによって外部から塞がれている。
【0050】
当該仕切膜24の材料であるシート材としては、織布、編布、不織布等の布、フィルム等が挙げられる。これらの中でも、不織布は、軟らかで薄く、パイル糸22の柔軟性を損なわせないことから、仕切膜24の材料として好ましい。また、仕切膜24は、パイル糸22とともに超音波接着で基材21に接合されている。このため、シート材の材料として使用される合成樹脂には基材21及びパイル糸22で使用したものと同系のものを使用することが好ましい。なかでも、ナイロン等のポリアミド系樹脂及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、防水性及び耐摩耗性に優れ、加工性が良好なことから材料としてより好ましい。なお、仕切膜24の材料として防水性の高いものを使用することが好ましい理由は、湿気等の水分の影響により導電性ブラシ20の体積抵抗値が変化しやすくなるためである。
【0051】
上記導電性ブラシ20は、前述の電子写真方式の画像形成装置内に設けられた支持部材13に取着され、静電気によって感光ドラム11の表面に付着したトナー、紙粉、塵埃等の微粒子を除去するために使用される。これら微粒子のうちトナーは、感光ドラム11の表面から掻き取られた後、その大半がハウジング12の内部に回収され、一部がパイル糸22内に捕集される。また、紙粉、塵埃等も、トナーと同じく静電気を除電され、パイル糸22により感光ドラム11の表面から掻き取られる。
【0052】
ここで、紙粉、塵埃等は、トナーよりも粒子が大きなものであることから、パイル糸22に引っ掛かりやすく、その大半がパイル糸22内に捕集される。このように紙粉、塵埃等の大半がパイル糸22内に捕集された場合、各パイル糸22同士の間に設けられた隙間がこれら紙粉、塵埃等によって埋められ、短期間で導電性ブラシ20の微粒子に対する捕集性能が低下してしまう。そこで、当該導電性ブラシ20においては、前記間隙部25を設け、同間隙部25をこのような紙粉、塵埃等を収容し、捕集するためのスペースとすることにより、捕集性能の長期間の維持が図られている。
【0053】
すなわち、当該導電性ブラシ20においては、微粒子を捕集するためのスペースとして、各パイル糸22同士の間に設けられた隙間の他に、間隙部25を有している。この間隙部25を有することにより、当該導電性ブラシ20においては、トナー、紙粉、塵埃等の微粒子に対する捕集量が向上されている。そして、微粒子に対する捕集量が向上されることにより、導電性ブラシ20の捕集性能を長期にわたって維持することが可能となる。
【0054】
当該導電性ブラシ20の間隙部25において、前記開口26を外部へ向かって開放されたままの状態とすれば、間隙部25に捕集された微粒子が開口26を介して外部へ漏出されてしまう可能性がある。特に、この開口26から漏出した微粒子は、開口26の直近位置で感光ドラム11に再付着しやすい。
【0055】
当該導電性ブラシ20においては、疎らに詰まったパイル糸22によって間隙部25の開口26が塞がれている。この開口26を介して漏出しようとする微粒子は、開口26を塞ぐパイル糸22に引っ掛かり、外部への漏出を阻害されることにより、該間隙部25から出にくくなっている。また、各パイル糸22は、その先端に向かうに従い互いの距離が長くなるように広がり、これに加えて当該開口26ではパイル糸22が疎らであるため他箇所に比べてパイル糸22の密度が低くなっている。このため、当該導電性ブラシ20は、微粒子が開口26を介して間隙部25から外部へは出にくくなっているが、外部から間隙部25へは入り込みやすくなっていることから、捕集性能が向上している。
【0056】
当該導電性ブラシ20は、第1実施形態のものに比べ、パイル糸22を植毛する本数が同じであれば、一対のパイル列23の間に仕切膜24を設けた分、パイル糸22全体の上端部分の幅Wが幅広となる。このため、この導電性ブラシ20は、感光ドラム11の周面上でパイル糸22全体の接触面積が拡がり、同周面上でより広い面積の微粒子を掻き取ることが可能である。そして、この導電性ブラシ20によれば、微粒子の掻き取り性能が向上されている。
【0057】
当該仕切膜24は、その厚みが好ましくは0.05〜0.6mmである。これは、微粒子を捕集可能な間隙部25として十分なスペースを確保しつつ、その開口26が外部へ開放されないようにするためである。つまり、仕切膜24の厚みが0.05mm未満の場合、仕切膜24の剛性が低くなり、同仕切膜24でパイル糸22を押し拡げることができず、間隙部25として十分なスペースを確保することができなくなるおそれがある。また、パイル糸22全体の接触面積が十分に拡がらず、掻取性能の向上を図ることができなくなるおそれもある。厚みが0.6mmを超えると、仕切膜24がパイル糸22を過剰に押し拡げることにより開口26が開放され、捕集された微粒子が外部へ漏出してしまうおそれがある。加えて、パイル糸22全体の接触面積が過剰に拡がり、感光ドラム11への摺動抵抗が増すことにより、却って感光ドラム11を傷つける可能性もある。
【0058】
当該仕切膜24は、その高さがパイル糸22の高さよりも低いものであることが好ましい。これは、間隙部25の開口26がパイル糸22によって塞がれた状態を維持するとともに、同仕切膜24の接触による感光ドラム11の表面の傷つきを防止するためである。具体的に、基材21の厚みを含めた仕切膜24の高さは、基材21の厚みを含めたパイル糸22の高さの、好ましくは70%以下である。70%を超えると、パイル糸22が感光ドラム11に接触して湾曲したとき、開口26が外部に向かって開放され、捕集された微粒子が漏出したり、仕切膜24が感光ドラム11に接触されて感光ドラム11の傷つきを発生させたり等の不具合が生じるおそれがある。一方で、仕切膜24の高さが過剰に低いと、基材21上で仕切膜24が立設しにくくなったり、基材21に仕切膜24を接合しにくくなったり等の不具合を生じるおそれもある。そこで、基材21の厚みを含めた仕切膜24の高さは、基材21の厚みを含めたパイル糸22の高さの、より好ましくは10〜70%であり、さらに好ましくは10〜50%である。
【0059】
当該導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値は、仕切膜24を設けた状態で好ましくは101〜108Ω・cmである。この実施形態で仕切膜24は、その高さがパイル糸22の高さよりも低く、可動体である感光ドラム11に対して直接的には接触しないように構成されている。従って、仕切膜24は、前述の基材21及びパイル糸22のように必ずしも導電性を付与する必要はない。
【0060】
つまり、当該実施形態の導電性ブラシ20ならば、感光ドラム11から仕切膜24へ静電気が直接的に通電されることはない。但し、感光ドラム11に接触したパイル糸22から仕切膜24を介して基材21へと静電気が通電される等のように、感光ドラム11から仕切膜24へ静電気が間接的に通電される場合はある。この場合、仕切膜24が絶縁性のものであることが原因となり、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値が108Ω・cmを超えてしまうことを避ける必要がある。逆に、仕切膜24が導電性のものであることが原因となり、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値が101Ω・cm未満となることを避ける必要もある。このため、仕切膜24における導電性の有無は、導電性ブラシ20の全体で体積抵抗値を101〜108Ω・cmに保持できるように、基材21及びパイル糸22の体積抵抗値をそれぞれ考慮しつつ、適宜選択される。
【0061】
ここで、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値の調整について補足する。
実際に導電性ブラシ20を製造する際には、基材21又はパイル糸22のいずれか一方が予め大量に製造され、その大量に製造された一方の体積抵抗値に合わせるようにして他方がその体積抵抗値を適宜変更しつつ製造される。そこで、前記の第1実施形態は、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値の調整において、パイル糸22の体積抵抗値を予め設定した状態で、同パイル糸22の体積抵抗値に合わせて基材21の体積抵抗値を適宜変更する方法を採用していた。これは、複数本の繊維からなるパイル糸22に比べ、基材21は安定した体積抵抗値を示しやすく体積抵抗値の調整が行いやすいという理由と、製造時においてパイル糸22よりも基材21の切り替えを行いやすいという理由による。つまり、前記の第1実施形態ではパイル糸22が予め大量に製造され、その大量に製造されたパイル糸22に合わせ、体積抵抗値を適宜変更した基材21が製造されていた。
【0062】
しかし、この第1実施形態の方法は、パイル糸22の材料を適宜変更する場合にも最適な方法であるとは言い難い。すなわち、パイル糸22は、例えば湿度の高い状況下での使用を想定するならば、防水性の高い材料に変更される等のように、導電性ブラシ20の使用状況に応じてその材料が適宜変更される場合がある。特に、当該第2実施形態では、仕切膜24を設けたが故に、毛倒れしにくくしたり、仕切膜24を強固に接合したり等するため、パイル糸22に使用する材料を適宜変更することが必要となる。そして、パイル糸22の材料が変更された場合、その材料の種類に応じて体積抵抗値も調整される。
【0063】
パイル糸22の体積抵抗値を調整する場合、これに加えてさらに基材21の体積抵抗値を調整することは、煩雑な作業が増え、生産量の低下を招くこととなる。従って、この場合には基材21の体積抵抗値を予め設定した状態で、同基材21の体積抵抗値に合わせてパイル糸22の体積抵抗値を適宜変更する方法を採用することが好ましい。そこで、当該第2実施形態では、導電性ブラシ20の体積抵抗値を前述の範囲内とするため、基材21の体積抵抗値を所定の範囲内に設定した状態で、同基材21の体積抵抗値に合わせてパイル糸22の体積抵抗値が適宜変更される。つまり、基材21が予め大量に製造され、その大量に製造された基材21に合わせ、体積抵抗値を適宜変更したパイル糸22を製造する方法が採用される。そして、この方法の場合、導電性ブラシ20の使用状況等といった所望に応じて、パイル糸22の材料を変更しやすいという利点がある。
【0064】
基材21の体積抵抗値に合わせてパイル糸22の体積抵抗値を適宜変更する場合において、基材21の体積抵抗値は、好ましくは101〜104Ω・cmである。基材21の体積抵抗値が101Ω・cm未満の場合、使用環境に影響され、電気抵抗を安定して維持することができなくなるおそれがある。基材21の体積抵抗値が104Ω・cmよりも高い場合、静電気を十分に除電することができず、特に画像形成装置の場合には除電ムラ等が生じて得られる画像に不具合を生じるおそれがある。また、この場合のパイル糸22の体積抵抗値は、導電性ブラシ20の全体での電気抵抗を使用環境に影響されることなく安定して維持するため、基材21の体積抵抗値以上であることが好ましい。パイル糸22の体積抵抗値を基材21の体積抵抗値より低くした場合、パイル糸22の電気抵抗が十分に安定せず、導電性ブラシ20の全体での体積抵抗値を101〜108Ω・cmとすることが難しくなる。
【0065】
次いで、当該導電性ブラシ20を製造するための製造装置について説明する。
図8(a),(b)に示すように、当該導電性ブラシ20の製造装置は、前に挙げた複数のローラ52、パイル糸供給部54、基材供給部55、接着部56、切断部57及び回収部58に加え、パイル糸供給部54よりも始端側にシート供給部70を有している。当該シート供給部70は、無端バンド51を挟んで対向する一対のスプール71を備えている。両スプール71には、仕切膜24の材料となるシート材24aが巻回状態で収容されている。そして、各スプール71から引き出されたシート材24aは、無端バンド51の回転方向の両側部にそれぞれ供給され、該無端バンド51と平行に移動するように構成されている。
【0066】
次に、導電性ブラシ20の製造方法について説明する。
該導電性ブラシ20は、図8(a),(b)に示す製造装置を使用し、シート供給工程、巻付工程、基材供給工程、接着工程、切断工程及び離間工程を経て製造される。
【0067】
前記シート供給工程は、無端バンド51の回転方向の両側方からシート材24aを供給するために行われ、製造装置のシート供給部70で施される。同シート供給部70では、各スプール71から引き出されたシート材24aが無端バンド51の両側部にそれぞれ位置するように供給される。このとき、一対のシート材24aは、それぞれの表面で幅方向の中央部を無端バンド51の側面に接触させた状態で、それらの間に無端バンド51を挟み込むように配置されることから、無端バンド51とともに断面H字状に配設される。
【0068】
前記巻付工程は、無端バンド51の表面にパイル糸22を巻き付けるために行われ、製造装置のパイル糸供給部54で施される。このパイル糸22を巻き付けるとき、前記シート供給工程で無端バンド51の両側部にシート材24aが予め配設されることから、パイル糸22はシート材24aをその内側に巻き込むようにして無端バンド51の表面に巻き付く。そして、パイル糸22の内側に巻き込まれたシート材24aは、その幅方向の中央部で二つ折りされ、断面V字状をなす。
【0069】
この後、第1実施形態と同様に、基材供給工程、接着工程、切断工程及び離間工程が行われる。特に、前記接着工程では、ホーン61を介して伝えられた超音波の振動により、基材21、パイル糸22及びシート材24aがそれぞれの接触部位で接着される。そして、回収部58で無端バンド51上から離間された一対の導電性ブラシ20がそれぞれ所定長さに切断され、直線状の形態のまま回収される。
【0070】
前記の第2実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 第2実施形態の導電性ブラシ20は、基材21と、パイル糸22から形成された一対のパイル列23と、両パイル列23の間で基材21上に立設された仕切膜24とを備えている。この仕切膜24を設けることにより、両パイル列23の間には間隙部25が形成されている。当該間隙部25は、トナー、紙粉、塵埃等の微粒子をその内部に収容し、捕集する機能を有している。このため、当該導電性ブラシ20は、間隙部25を形成した分、微粒子に対する捕集量を向上させることができ、長期間にわたって微粒子の捕集能力を維持することができる。
【0071】
・ また、仕切膜24は基材21及びパイル糸22と同系の合成樹脂からなる不織布から形成され、超音波を使用して基材21に接着されている。このため、基材21及びパイル糸22に対し、仕切膜24を強固に接合することができる。
【0072】
・ また、仕切膜24は不織布をV字状に曲げて形成されている。このV字状の仕切膜24は、パイル糸22を均等に押し拡げるため、パイル糸22がいずれかの方向へ偏って押し拡げられ、毛倒れすることを防止することができる。
【0073】
・ また、仕切膜24は、基材21の厚みを含むその高さが、基材21の厚みを含むパイル糸22の高さの70%以下である。このため、仕切膜24が可動体である感光ドラム11に接触することを防止することができ、当該仕切膜24の接触による可動体の傷つきを抑制することができる。
【0074】
・ また、基材21の体積抵抗値は、101〜104Ω・cmであり、パイル糸22の体積抵抗値は、基材21の体積抵抗値以上となるように調整されている。そして、導電性ブラシ20の体積抵抗値は、基材21の体積抵抗値に合わせてパイル糸22の体積抵抗値を適宜変更することによって調整される。基材21とパイル糸22とを比較した場合、導電性ブラシ20の使用状況等といった所望に応じて材料が変更される確率が高いものはパイル糸22である。従って、当該導電性ブラシ20によれば、その製造時において所望に応じて材料が変更されたパイル糸22への切り替えが行いやすいことから、体積抵抗値の異なる複数種類の導電性ブラシ20を効率よく製造することができる。
【0075】
・ また、当該導電性ブラシ20は、第1実施形態の製造方法の巻付工程よりも前の工程で仕切膜24を形成するシート材24aを供給するためのシート供給工程を加えて製造される。このため、導電性ブラシ20は、煩雑な作業を特に行わずとも、製造装置の使用により、ほぼ自動で安価かつ大量に製造することが可能である。さらに、シート材24aを予め折ったり等せずとも、パイル糸22が巻き付けられるときに同シート材24aが折られることにより、作業の簡易化が図られている。加えて、作業時におけるパイル糸22の毛倒れを防止することも可能である。従って、製造の簡易化を図り、パイル糸22の毛倒れを抑制しつつ、毛先が精度よく揃った導電性ブラシ20を製造することができる。
【0076】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 各実施形態において、基材21上に植毛されるパイル糸22の全てに導電性を付与することに限らず、複数本のパイル糸22の一部に通常の合成繊維よりなる絶縁性の糸を使用してもよい。この場合、材料費を低減し、製造コストの低下を図ることができる。さらに、例えば絶縁性の糸よりなるパイル糸の繊度を導電性を付与されたパイル糸22の繊度と違えることにより、摺動抵抗の低減、可動体の傷つき防止等を容易に達成することも可能である。なお、絶縁性の糸に使用する合成繊維の材料は、導電性のものと同じく、基材21で使用した合成樹脂と同系の合成樹脂が使用される。つまり、同系の合成樹脂であれば、基材、導電性のパイル糸及び絶縁性のパイル糸は、それぞれの材料に同じ種類の合成樹脂を使用することに限らず、異なる種類の合成樹脂を使用してもよい。
【0077】
・ 各実施形態において、パイル糸22又は基材21は、第1実施形態で示したように導電性物質を含有する合成樹脂のみを材料とすることにより、それぞれが全体で導電性を発揮することは必ずしも必要はなく、それぞれが少なくとも一部で導電性を発揮すればよい。
【0078】
例えば、パイル糸22であれば、図4(a)〜(c)に示すように、複合紡糸法により、導電性物質を含有する合成樹脂からなる導電部22aと、導電性物質を含まない合成樹脂からなる絶縁部22bとを備えるように形成してもよい。この場合、パイル糸22は導電部22aでその導電性を発揮する。なお、例示したもののうち、図4(a)に示すパイル糸22は、その表面部分が導電部22a、中心部分が絶縁部22bで構成されている。このため、導電性を良好に維持しつつ、導電性物質の使用量を減らし、製造費を安価なものとすることができる。図4(b)に示すパイル糸22は、導電部22aがパイル糸22の直径方向に延びるように一直線状に設けられている。このため、製造費を安価なものとしつつ、導電部22aの外部への露出を抑えることができ、使用環境の影響による体積抵抗値の低下を防止することができる。図4(c)に示すパイル糸22は、導電部22aがパイル糸22の中心から、等間隔おきに三方向へ放射状に延びるように設けられている。このため、製造費を安価なものとし、かつ導電部22aの外部への露出を抑えつつ、被接触体に導電部22aを略均一な面積で接触させることができ、導電性を良好かつ安定して発揮することができる。
【0079】
また、基材21であれば、例えば図4(d),(e)に示すように、導電性物質を含有する合成樹脂からなる導通部21cと、導電性物質を含まない合成樹脂からなる非導通部21bとを備えるように形成してもよい。この場合、基材21は導通部21cでその導電性を発揮する。なお、例示したもののうち、図4(d)に示す基材21は、パイル糸22の植毛された部分と対応する部分が導通部21c、この導通部21cの両側部分が非導通部21bで構成されている。このため、パイル糸22と支持部材との電気的な導通を良好に維持しつつ、導電性物質の使用量を減らし、製造費を安価なものとすることができる。図4(e)に示す基材21は、その表面、つまりパイル糸22が植毛される側の面が導通部21c、裏面が非導通部21bで構成されている。この場合、製造費を安価なものとすることができるとともに、前記支持部材13のかしめられた突片16と導通部21cとの接触により、パイル糸22と支持部材13との電気的な導通を維持することができる。
【0080】
・ 各実施形態の導電性ブラシ20においては、図1及び図6に示すように基材21の幅方向の略中央にパイル糸22が植毛されることに限らず、例えば、図5に示すようにパイル糸22を基材21の幅方向で中央から一側方へ片寄る位置に植毛してもよい。このように構成した場合、パイル糸22の繊度、植毛本数等を変更せずとも、被接触体に対する接触圧、接触角度等を容易かつ細かく調整することができる。
【0081】
・ 第1実施形態において、導電性ブラシ20の体積抵抗値を101〜108Ω・cmとすることが可能であれば、パイル糸22の体積抵抗値は、必ずしも101〜104Ω・cmとする必要はなく、同パイル糸22の体積抵抗値をこの範囲外としてもよい。また、第2実施形態において、導電性ブラシ20の体積抵抗値を101〜108Ω・cmとすることが可能であれば、基材21の体積抵抗値は、必ずしも101〜104Ω・cmとする必要はなく、同基材21の体積抵抗値をこの範囲外としてもよい。
【0082】
・ 第1実施形態ではパイル糸22の体積抵抗値に合わせ、基材21の体積抵抗値を適宜変更して導電性ブラシ20の体積抵抗値を調整したが、これとは逆に基材21の体積抵抗値に合わせ、パイル糸22の体積抵抗値を適宜変更し、導電性ブラシ20の体積抵抗値を調整してもよい。また、第2実施形態では基材21の体積抵抗値に合わせ、パイル糸22の体積抵抗値を適宜変更して導電性ブラシ20の体積抵抗値を調整したが、これとは逆にパイル糸22の体積抵抗値に合わせ、基材21の体積抵抗値を適宜変更し、導電性ブラシ20の体積抵抗値を調整してもよい。つまり、各実施形態において、生産状況等の所望に合わせ、パイル糸22の体積抵抗値に合わせて基材21の体積抵抗値を適宜変更する方法、又は基材21の体積抵抗値に合わせてパイル糸22の体積抵抗値を適宜変更する方法のいずれの方法を採用してもよい。
【0083】
・ 第1実施形態の基材21はフィルムに限らず、超音波を使用してパイル糸22を接着可能な合成樹脂製のものであれば、例えば織布、編布、不織布、シート等で形成してもよい。また、第2実施形態の基材21も、超音波を使用してパイル糸22及び仕切膜24を接着可能な合成樹脂製のものであれば、同様に形成してもよい。
【0084】
・ 各実施形態において、基材21の裏面に、ゴム系、アクリル系等の感圧粘着剤を塗布、又は芯材の両面に感圧粘着剤を塗布してなる両面粘着テープを貼付する等して貼付層を形成してもよい。そして、同貼付層を介して導電性ブラシ20を支持部材に貼付してもよい。なお、この場合、基材21と支持部材との導通を維持するため、貼付層を形成する粘着剤に前に挙げた導電性物質を含有させることが好ましい。
【0085】
・ 各実施形態において、導電性ブラシ20は、クリーニング部のみに設けることに限定されず、例えば現像部、帯電部等に設けてもよい。また、可動体を記録用紙を転写部まで移送するための転写ベルトとし、この転写ベルトにパイル糸22の毛先が接触するように、転写部に導電性ブラシ20を設けてもよい。
【0086】
・ 各実施形態において、導電性ブラシ20は、画像形成装置に内装されることに限らない。例えば、微細粉粒体(粉末あるいは顆粒)の薬剤を包装する包装機等に設けられた粉粒体の送りローラ、工場の生産設備においてフィルム等の成型品を加工する際に成型品を搬送するコンベア等のクリーニングを行うために導電性ブラシ20を使用してもよい。その他にも、情報読取り装置等のレンズ、銀行の現金自動引出機のキャッシュカード挿入口、公衆電話機のテレホンカード挿入口、自動販売機の紙幣挿入口等といった読取り装置のシート挿入口等のクリーニングのために使用してもよい。さらには、光ディスク、光磁気ディスク等の情報記録媒体から情報を読み取るためのレンズ、液晶ディスプレイ、有機ディスプレイ等の情報表示装置等の表面の清掃を行うためのクリーニングブラシ等に使用してもよい。加えて、掃除機の吸い込み口に設けられ、ごみ、塵埃等を掃き取るためのブラシ等に使用してもよい。
【0087】
・ 第2実施形態の導電性ブラシ20の場合、前述のコンベア、読取り装置のシート挿入口等のクリーニングを行うために使用する際、清掃対象にパイル糸22のみならず仕切膜24をも接触させるように構成してもよい。他に、第2実施形態の導電性ブラシ20を情報表示装置等のクリーニングブラシ、あるいは掃除機の吸い込み口に設けられたブラシ等に使用する際、清掃対象にパイル糸22のみならず仕切膜24をも接触させるように構成してもよい。このような場合、清掃対象は、コンベア、キャッシュカード、テレホンカード、床等のように傷つきにくいものであることが好ましい。逆に、レンズ等のような精密性が要求される物の場合、仕切膜24を接触させることが可能な清掃対象として好ましいものではない。そして、パイル糸22及び仕切膜24を接触させる場合、仕切膜24による掻き取り性能も発揮され、クリーニング性能の向上を図ることができる。
【0088】
・ 仕切膜24は、第2実施形態で示したようなシート材をV字状に二つ折りしたものに限らず、図7(b)に示したようにシート材をJ字状に曲げて形成してもよい。仕切膜24をJ字状とする場合、第2実施形態で示した製造時において、一対のシート材24aは、それぞれの表面で幅方向の中央部から偏った箇所を無端バンド51の側面に接触させた状態で、それらの間に無端バンド51を挟み込むように配置される。仕切膜24をJ字状とした場合、同仕切膜24によってパイル糸22は基材の幅方向で一側方(図7(b)中では右側)へ偏って押し拡げられる。このため、パイル糸22は、仕切膜24によって押し拡げられる方向である一側方へ毛倒れしやすくなる。このようにパイル糸22が一側方へ毛倒れしやすく構成された導電性ブラシ20は、可動体の可動方向へパイル糸22が毛倒れするように配設され、使用される。例えば、可動体が感光ドラム11ならば、導電性ブラシ20は、感光ドラム11の回転方向へパイル糸22が毛倒れするように配設される。そして、可動体の可動方向へパイル糸22が毛倒れする場合、同パイル糸22と可動体との間に生じる摺動抵抗がパイル糸22によって受け流されやすく、この摺動抵抗を低減させ、パイル糸22による可動体の傷つきを確実に抑制することができる。
【0089】
・ 仕切膜24は、薄膜状のシート材より形成されたものであれば、不織布に限らず、例えばフィルム、不織布とフィルムとが一体化されたシート、織布、編布等を材料としてもよい。
【0090】
・ 仕切膜24は、基材21及びパイル糸22に対して超音波を用いて接合されることに限らず、接着剤等による接着、熱溶着等の方法で接合してもよい。また、基材21にパイル糸22を接合して第1実施形態の導電性ブラシ20を形成した後、当該仕切膜24を接合してもよい。
【0091】
・ 第2実施形態において、仕切膜24は1つのみ設けられることに限らず、複数設けてもよい。また、複数の仕切膜24が設けられた場合、仕切膜24の数に応じてパイル列23の数も増加する。例えば、仕切膜24が2つ設けられれば、パイル列23は3列となり、仕切膜24が3つ設けられれば、パイル列23は4列(二対)となる。
【0092】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記基材は、ショア硬さが、Dスケールで10〜90である請求項1から請求項7のいずれかに記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、基材が捻れたり、曲がったり、沿ったり等することを抑制することができ、支持部材への導電性ブラシの装着を容易なものとすることができる。
【0093】
・ 前記パイル糸は、その植毛本数が基材の長手方向で1インチ当たり5000〜50000本である請求項1から請求項7のいずれかに記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、可動体の傷つきを抑えることができる。
【0094】
・ 前記パイル糸は、マルチフィラメント糸又はモノフィラメント糸より形成され、その繊度が100〜2000デシテックスである請求項1から請求項7のいずれかに記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、パイル糸の剛性を適度に維持しつつ、可動体の傷つきを抑えることができる。
【0095】
・ 前記合成樹脂がポリプロピレンである請求項1から請求項7のいずれかに記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、超音波を使用した接着時にパイル糸と基材とを強固に接着することができる。
【0096】
・ 前記体積抵抗値は、パイル糸の体積抵抗値に合わせ、基材の体積抵抗値を適宜変更することによって調整される請求項5に記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、体積抵抗値の異なる複数種類の導電性ブラシを効率よく製造することができる。
【0097】
・ 前記体積抵抗値は、基材の体積抵抗値に合わせ、パイル糸の体積抵抗値を適宜変更することによって調整される請求項4に記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、体積抵抗値の異なる複数種類の導電性ブラシを効率よく製造することができる。
【0098】
・ 前記仕切膜は、その材料に前記基材及びパイル糸と同系の合成樹脂からなる不織布が用いられるとともに、J字状又はV字状に曲げた状態でその曲げ部分を超音波を使用して該基材に接着することにより、当該基材上に立設されたものであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の導電性ブラシ。このように構成した場合、基材及びパイル糸に対して仕切膜を強固に接合することができる。
【0099】
・ 請求項6又は請求項7に記載の導電性ブラシの製造方法であって、帯状部材の両端部を互いに接続して構成された無端バンドを回転させつつ、同無端バンドに対してその回転方向の両側方から一対のシート材を供給し、接触させるためのシート供給工程と、前記無端バンドの表面にパイル糸を巻き付けるための巻付工程と、前記無端バンドに巻き付けられたパイル糸に対し、無端バンドの回転方向の両側方から一対の帯状をなす基材を供給するための基材供給工程と、当該基材供給工程で供給された基材をパイル糸に接触させ、超音波を使用して基材とパイル糸とを接着するための接着工程と、前記無端バンドの両面でパイル糸の中間部をそれぞれ切断する切断工程と、前記無端バンドの両側方へパイル糸を基材とともに離間させる離間工程とを経て製造されることを特徴とする導電性ブラシの製造方法。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1又は請求項8に記載の発明によれば、製造の簡易化を図りつつ、毛倒れを抑制することができる。
【0101】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、電気抵抗値を安定に維持しつつ、良好な導電性を発揮することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、除電した静電気による導電性ブラシの帯電を防止することができ、長期間にわたって良好な導電性を維持することができる。
【0102】
請求項4又は請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、導電性ブラシの体積抵抗値の調整を簡易なものとすることができる。
【0103】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、微粒子の捕集量を向上させることができ、長期間にわたって捕集能力を維持することができる。
【0104】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明の効果に加えて、仕切膜の接触による可動体の傷つきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の導電性ブラシを示す斜視図。
【図2】画像形成装置内で導電性ブラシを使用する状態を示す断面図。
【図3】(a)は第1実施形態の導電性ブラシの製造装置を平面から見た状態を示す概念図、(b)は第1実施形態の導電性ブラシの製造装置を側面から見た状態を示す概念図。
【図4】(a)〜(c)は別形態のパイル糸を示す概念図、(d)及び(e)は別形態の基材を示す概念図。
【図5】別形態の導電性ブラシを示す正面図。
【図6】第2実施形態の導電性ブラシを示す斜視図。
【図7】(a)は第2実施形態の導電性ブラシを示す正面図、(b)は別形態の導電性ブラシを示す正面図。
【図8】(a)は第2実施形態の導電性ブラシの製造装置を平面から見た状態を示す概念図、(b)は第2実施形態の導電性ブラシの製造装置を側面から見た状態を示す概念図。
【符号の説明】
11…可動体としての感光ドラム、13…支持部材、20…導電性ブラシ、21…基材、22…パイル糸、23…パイル列、24…仕切膜、51…無端バンド。
Claims (8)
- 帯状をなす基材と、同基材上に植毛された複数本のパイル糸とを備え、当該基材及びパイル糸の材料には同系の合成樹脂を用い、超音波を使用して該基材にパイル糸を接着することによって断面逆T字状に形成されるとともに、該基材及びパイル糸は、前記合成樹脂に導電性物質を含有させることにより、それぞれの少なくとも一部に導電性を付与されたものであることを特徴とする導電性ブラシ。
- 前記基材及びパイル糸を合わせた全体での体積抵抗値が101〜108Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性ブラシ。
- 静電気により粉粒体が付着する被接触体と、同被接触体に対向して配設された支持部材とを備える画像形成装置において、該支持部材に前記基材を支持させ、かつ前記パイル糸を被接触体に接触させて使用されるとともに、該支持部材を導電性を有する材料で形成し、前記粉粒体又は被接触体からパイル糸によって除電された静電気が基材を介して支持部材へと電気的に導通されるように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性ブラシ。
- 前記基材の体積抵抗値が101〜104Ω・cmであり、前記パイル糸は、その体積抵抗値が同基材の体積抵抗値以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の導電性ブラシ。
- 前記パイル糸の体積抵抗値が101〜104Ω・cmであり、前記基材は、その体積抵抗値が同パイル糸の体積抵抗値以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の導電性ブラシ。
- 前記基材の長手方向へ延びるように当該基材上に立設された仕切膜を備え、当該仕切膜で前記パイル糸を基材の幅方向の中間で分列することにより、当該基材の長手方向へ延びる複数のパイル列を形成するとともに、これらパイル列の間には間隙部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の導電性ブラシ。
- 前記仕切膜は、基材の厚みを含むその高さが、基材の厚みを含むパイル糸の高さの70%以下であることを特徴とする請求項6に記載の導電性ブラシ。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の導電性ブラシの製造方法であって、
帯状部材の両端部を互いに接続して構成された無端バンドを回転させつつ、同無端バンドの表面にパイル糸を巻き付けるための巻付工程と、
無端バンドに巻き付けられたパイル糸に対し、無端バンドの回転方向の両側方から一対の帯状をなす基材を供給するための基材供給工程と、
供給された基材をパイル糸に接触させ、超音波を使用して基材とパイル糸とを接着するための接着工程と、
無端バンドの両面でパイル糸の中間部をそれぞれ切断する切断工程と、
無端バンドの両側方へパイル糸を基材とともに離間させる離間工程と
を経て製造されることを特徴とする導電性ブラシの製造方法。
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