JP2004201945A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮影部位や画像診断に適した階調で、高速に放射線画像を出力できる放射線画像撮影装置を安価に提供することを目的とする。
【解決手段】撮影部位のデータや放射線の照射条件に基づき、被検者Mの身体に透過して蛍光体パネル20に到達する放射線の強度を示す値の範囲(検知範囲Rm)を見積もる。読取手段2で検知可能な放射線の強度を示す値の範囲(入力範囲Ri)は、読取手段2で設定可能かつ検知範囲Rmが収まる範囲で最も小さい範囲となるよう設定される。
読取手段2から画像出力手段4に向けて送信される画像データのダイナミックレンジは、取り扱い可能なダイナミックレンジの上限値が低い方の手段に揃えて設定される。
【選択図】 図4
【解決手段】撮影部位のデータや放射線の照射条件に基づき、被検者Mの身体に透過して蛍光体パネル20に到達する放射線の強度を示す値の範囲(検知範囲Rm)を見積もる。読取手段2で検知可能な放射線の強度を示す値の範囲(入力範囲Ri)は、読取手段2で設定可能かつ検知範囲Rmが収まる範囲で最も小さい範囲となるよう設定される。
読取手段2から画像出力手段4に向けて送信される画像データのダイナミックレンジは、取り扱い可能なダイナミックレンジの上限値が低い方の手段に揃えて設定される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線画像撮影装置は、放射線照射手段から照射され、被検体である被検者の身体を透過して到達した放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線等)を読取手段が検知することで、放射線強度データを得るとともに、この放射線強度データを処理して病気診断等に適用する放射線画像を得る。放射線画像撮影装置の一例として、X線を用いるX線画像撮影装置が医療現場で多数用いられている。
【0003】
X線画像撮影装置に備えられ、X線を検知して画像データを得る読取手段としては、例えば、X線を読取手段に備えられた輝尽性蛍光体パネルに到達させ、この輝尽性蛍光体パネルで放射線がエネルギー変換されることで発生した蛍光をフォトマルチプライヤのような光電変換装置で走査して検知する形式のもの等が知られている。
【0004】
こうして読取手段で得られた線強度データを適宜変換して、プリンタやCRTディスプレーといった画像出力手段で出力することにより、X線画像が得られる。
【0005】
従来のX線画像撮影装置では、X線強度データを得るための光電変換装置の感度を、個々の診療科からX線科に提出された撮影オーダ表に従って、オペレータが手動で設定するか、HIS(Hospital Information System、病院情報システム)もしくはRIS(Radiology Information System、X線科情報システム)と呼ばれる病院内情報システムを通じて伝送された情報に基づいて自動的に設定するかしていた。
また、最近、放射線照射部から照射されるX線の強度に応じて光電変換装置の感度を自動的に調節する技術が開発されている。(例えば特許文献1)
【0006】
また、従来のX線画像撮影装置では、読取手段で読み取り可能なX線強度のダイナミックレンジと、画像出力手段で表現可能なX線強度のダイナミックレンジとが異なる場合が多くあった。
【0007】
ところで、X線画像撮影で、正確な画像診断を行なうことのできるX線画像を得るためには、撮影されたX線画像の濃度分解能が、撮影される部位や撮影の目的に応じて適宜調整されることにより、適切な階調でX線画像が出力される必要がある。また、画像診断を円滑に行なえるよう、X線画像撮影からX線画像出力までの工程を高処理速度で、安価に行なうためには、X線画像撮影装置内でやり取りするX線強度データの情報量を最適化する必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−214728号公報(第3頁、第3図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のX線画像撮影装置では、読取手段によるX線の感度をオペレータが手動で設定する場合には感度調整の操作が煩雑となり、病院内情報システムで伝送されたデータに基づいて自動設定する場合や、特許文献1の場合には、例えば個々の被検者の体厚や撮影される部位に応じて適切な感度を設定するといったことができなかった。また、特許文献1の場合では、光電変換装置の感度はX線強度に基づいて自動的に設定されるものの、ダイナミックレンジについては自動的には調節できなかった。そのため、いずれの場合でも適切な精度で、かつ画像診断に適した階調で出力されたX線画像を得ることが困難であった。
【0010】
また、例えば、X線画像撮影装置において、読取手段では、検知可能なX線強度のダイナミックレンジが4096階調に対応するものであるのに対し、画像出力手段で表現可能なダイナミックレンジは256階調に対応するものであるといった場合、従来のX線画像撮影装置では読取手段で4096階調に対応した12ビットのX線強度データを出力し、そのままの画像データサイズで画像出力のための展開等の処理を行なった後に画像出力手段で256階調に対応した8ビットのデータに変換していたので、画像信号の伝送や処理に余分な時間と経費とを要していた。
【0011】
上記問題を解決するため、本発明は、画像診断に適した精度と階調で、安価かつ容易に放射線画像を高速で出力できる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、を備え、前記制御部は、前記放射線照射手段から放射線が照射される際の照射条件のデータと、前記被検体の種類及び前記被検体の放射線画像が撮影される部位のデータとに基づいて、前記画像変換部から読み取られる前記放射線強度が分布する範囲である検知範囲を見積もるとともに、前記制御部は、前記読取部が前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を、前記読取部で読み取り可能な放射線強度の範囲である入力範囲が、前記検知範囲を含むように設定することを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、被検体を介して一平面上に到達した放射線は画像変換部でエネルギー変換され、読み取り可能な形態となる。そして読取部ではこの変換されたエネルギーを検知することで、作成する画像データの各画素ごとの放射線強度を測定し、読み取る。読み取られた放射線強度は画像データ作成部で画像データに変換される。上記読み取りに先立ち、放射線照射手段が放射線を照射した際の照射条件のデータ、放射線画像を撮影する被検体の種類のデータ(例えば被検体が人体である場合にはその年齢や性別といったデータ)、被検体の部位のデータといったデータに基づき、読取部により読み取られた放射線強度が分布する範囲である検知範囲が見積もられるとともに、この検知範囲が、読取部により読み取り可能な放射線強度の範囲である入力範囲に含まれるようにして読取部の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方が設定される。
【0014】
このことにより、読取部の感度が高すぎるため、画像変換部において低強度で放射線が到達した領域に対応する画素の放射線強度を読み取れなかったり、読取部が読み取り可能な放射線強度の上限が低すぎるために画像変換部において高強度で放射線が到達した領域に対応する画素において読取部のサチレーションが発生したりするといったことが容易に回避される。よって、各画素における放射線強度を、煩雑な設定操作を経ずに正確に読み取ることが可能となる。したがって、被検体の画像診断に適した階調及び精度を有する放射線画像を容易かつ確実に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記感度及び前記ダイナミックレンジの少なくとも一方は、前記入力範囲が、前記読取手段で設定可能で、かつ、前記検知範囲が含まれる範囲で最小となるように設定されることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、読取部の分解能を最大限に活用し、各画素ごとの放射線強度を高い強度分解能で容易かつ低コストで読み取ることができる。したがって、被検体の画像診断に適した階調の放射線画像を示す値を安価かつ容易に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最小値として出力されるとともに、前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最大値として出力されることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、読取部で読み取られた各画素ごとの放射線強度の画像データ値のうち、検知範囲よりも所定値以上離れた値を持つものは最小値または最大値の画像データ値として出力される。この様にして被検体の放射線画像を与える画像データを読取手段から出力することで、放射線画像撮影装置の各構成要素における放射線強度分解能を最大限に活用して放射線画像を出力することができる。よって、放射線画像を出力する際、画像診断に必要な部分における階調を画像診断に最適な階調とすることが容易かつ安価に行なえる。従って、被検体の画像診断に最適な階調で放射線画像を容易に出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値と前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値とは、それら以外の画像データ値よりも低い強度分解能で出力されることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、読取部で読み取られた各画素ごとの放射線強度のうち、検知範囲内にあるものは高い強度分解能で出力され、検知範囲よりも所定値以上はなれた値を持つものは検知範囲内にあるデータ値よりも低い強度分解能で出力される。このことで、請求項3と同様の効果を奏することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、前記読取手段から出力された前記画像データに基づいて前記被検体の放射線画像を出力する画像出力手段と、を備えるとともに、前記制御部は、前記読取部で読み取る放射線強度、前記読取手段と前記画像出力手段との間で送受信される画像データにおける放射線強度、及び前記画像出力手段が前記被検体の放射線画像を出力する際の放射線強度のダイナミックレンジを互いに一致して設定することを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、読取部で画素ごとの放射線強度を読み取る際のダイナミックレンジと、読取手段と画像出力手段との間で送受信される画像データにおける放射線強度のダイナミックレンジと、画像出力手段が被検体の放射線画像を出力する際の放射線強度のダイナミックレンジとは一致して設定される。このことで、読取部で読み取られた画素ごとの放射線強度のデータが有効に活用されるので、被検体の画像診断に適した階調の放射線画像を容易かつ安価に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。それに加えて、画像データの抽出を行なう回路を備えずに放射線画像撮影手段を作成することができるので、高速に放射線画像を容易かつ安価に出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段から前記画像出力手段に向けて出力される画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジが、前記読取手段で検知可能な画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値、及び前記画像出力手段で前記被検体の放射線画像として出力可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値のうち、低い方の上限値とほぼ同じ値に設定されることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、放射線画像撮影装置内でやり取りされる画像データのダイナミックレンジは読取手段で読み取り可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの最大値か、画像出力手段で表現可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの最大値のうち、小さいほうの値に揃えて設定される。
【0025】
このことで、放射線画像撮影装置内で処理される画像データの情報量が最小限に抑えられる。このことで、上記画像データの伝送や格納に要する構成要素の容量を低く抑えたり、演算装置で上記画像データを変換する演算速度を向上させたりすることが容易となる。よって、短時間で放射線画像を容易かつ安価に撮影、出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る放射線画像診断装置の一例であるX線画像撮影装置100の概要について、適宜図面を参照して説明する。なお、本実施例では、本発明を被検体として人体の画像を撮影するX線画像撮影装置100に適用するものとして説明を行なうが、本発明を適用する放射線画像撮影装置にこれに限らない。また、図1では被検体である被検者Mが立った姿勢でX線画像を撮影する立位型X線画像撮影装置100を例に取り、描図を行なったが、本発明が適用されるX線画像撮影装置100はこれに限らない。
【0027】
X線画像撮影装置100は、X線照射手段1、読取手段2、コントローラ3、画像出力手段4等を備えて構成される。
X線照射手段1は放射線照射手段であり、読取手段2と対向して設置され、X線照射部11、X線制御部12、照射量読取部13等を備えて構成される。X線照射部11は図示しないX線発生管や上記X線発生管に高電圧を印加するための高電圧電力を供給する高圧電源等を備えて構成され、被検者Mに向けてX線を照射する。X線制御部12はX線照射部11を制御する。
【0028】
照射量読取部13は、X線照射部11が被検者Mに向けてX線を照射した際の管電圧、電流、照射時間及び照射距離をそれぞれ出力する管電圧出力回路131、電流出力回路132、照射時間出力回路133及び距離出力回路134を備えるとともに、各出力回路131〜134の出力値に基づいてX線照射部11から被検者Mに向けて照射されたX線の照射量及び波長を算出し、この照射量及び波長と、照射距離とを出力するX線照射量出力回路135を備える。
【0029】
読取手段2は、蛍光体パネル20、ディテクタ21、ディテクタ駆動器22、制御部23、レーザビーム照射部24、増幅器25、ハロゲンランプ26、X線IF部27等を備えて構成される。また、ディテクタ21、ディテクタ駆動器22及び増幅器25は読取部を構成する。
【0030】
蛍光体パネル20は画像変換部であり、平面上に輝尽性蛍光体の微結晶が塗布された板状体を備える。蛍光体パネル20を形成する輝尽性蛍光体は、X線照射手段1から照射され、被検体である被検者Mの身体を透過して入射したX線によって励起され、このX線のエネルギーを蓄積することで、被検者Mの画像を記憶する。X線で輝尽性蛍光体を励起することにより蓄えられたエネルギーは、レーザビーム照射部24でレーザビームを照射された際、発光により放出される。このことにより、蛍光体パネル20に到達したX線はX線強度として読み取り可能な状態に変換される。
【0031】
ディテクタ21は読取部の一部をなす。ディテクタ21は、レーザビーム照射部24とともに蛍光体パネル20上を走査し、X線照射後の蛍光体パネル20にレーザビームを照射した際に発光する光を検知し、その強度を測定することで、蛍光体パネル20上の画素ごとのX線強度を測定し、読み取って蛍光体パネル20に記憶された被検者Mの画像を読み取る。
【0032】
ここで、蛍光体パネル20上の画素とは、蛍光体パネル20に記憶された画像を読むため、蛍光体パネル20を観念上適当な大きさ及び形状に分割して形成された領域のことを示す。蛍光体パネル20上の画素の大きさ及び形状は、X線画像撮影装置100により、被検者MのX線画像を被検者Mの画像診断に十分適用可能な空間分解能を付与して出力できるとともに、上記X線画像の撮影と出力が被検者Mや医療機関にとって多大な負担とならない程度の時間と経費で行なえるよう、適宜決定される。
【0033】
ディテクタ21は集光体211、フィルタ212、フォトマルチプライヤ213等を備えて構成される。集光体211は蛍光体パネル20から発光した光を集光する。フィルタ212は集光体211で集光された光のうち、余分な成分を除去する。
【0034】
フォトマルチプライヤ213は、蛍光体パネル20で発光され、フィルタ212を透過した光が入射した際、入射した光の強度に対応して電流が変動する形態のアナログ信号を発生し、蛍光体パネル20上の各画素ごとのX線強度を与える信号としてコントローラ3に向けて送信する。ディテクタ21は、図示しないディテクタ移動部の作動によって適宜移動し、蛍光体パネル20を走査する。
【0035】
ここで、本発明に係るX線画像撮影装置に適用されるフォトマルチプライヤ213で、X線強度を読み取る際の、光の検知感度は、ディテクタ駆動器22により印加される電圧により適宜設定が可能である。上記フォトマルチプライヤ213で検知可能なX線強度の範囲(図3におけるRi)も検知感度が設定されるのと同時に設定される。また、フォトマルチプライヤ213における最小信号値と最大信号値の比、すなわちダイナミックレンジは、通常4桁すなわち1:10000以上である。
【0036】
ディテクタ駆動器22は読取部の一部をなし、感度設定回路221、電源回路222等を備えて構成される。電源回路222は、フォトマルチプライヤ213に高電圧を印加するための電力を供給する。感度設定回路221は、制御部23の制御に基づいて電源回路222で発生する電力の電圧を調節してフォトマルチプライヤ213の感度を制御する。
【0037】
レーザビーム照射部24は、レーザビーム発生部241、走査器242、反射器243等を備えて構成される。レーザビーム発生部241は、X線照射後の蛍光体パネル20からディテクタ21に向けて発光させるためのレーザビームを発生させる。走査器242及び反射器243は、レーザビーム発生部241で発生したレーザビームを、蛍光体パネル20上の各画素に対応した領域に逐次到達させるため、上記ディテクタ移動部と連動してレーザビームによる走査を行なう。
【0038】
増幅器25は画像データ作成部をなし、電流電圧変換回路251、電圧増幅回路252、A/D変換回路253等を備えて構成される。電流電圧変換回路251は、ディテクタ21が出力した、時系列で電流が変動する形態のX線強度を与える強度信号を、時系列で電圧が変動する形態の信号に変換する。電圧増幅回路252は電流電圧変換回路251から出力された信号を増幅する。A/D変換回路253は電圧増幅回路252で増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換等の変換処理を行ない、画像データとしてコントローラ3に向けて出力する。
【0039】
ここで、読取部及び読取手段2から出力される画像データのダイナミックレンジは、A/D変換回路253で変換され、出力されるデジタル信号のビット数に依存する。従って、例えば、A/D変換回路253から出力されるデジタル信号のビット数が12ビットである場合、A/D変換回路253から2の12乗すなわち4096階調での画像データが出力され、このとき最小信号値と最大信号値との比は1:4096となる。
【0040】
上述の様にA/D変換回路253で信号を変換、出力する際のダイナミックレンジ及び出力可能な強度範囲である出力範囲(図3におけるRo)は、制御部23によって設定される。
【0041】
読取手段2とコントローラ3とは、汎用インターフェイス(IEEE1394イーサネット等)または専用線で接続されており、読取手段2で読み取られ、変換、増幅された画像信号はこれらを通じてコントローラ3へ出力される。ここで、IEEEとはThe Institute of Electrical and Electoronics Engineersによる規格である。また、読取手段2とコントローラ3とは別々の筐体に収納されているが、同じ筐体中に設けて一体化し、1台の装置として構成することもできる。
【0042】
ハロゲンランプ26は、ディテクタ21による蛍光体パネル20上の画素ごとのX線強度の読み取り終了後、蛍光体パネル20に消去光を照射して蛍光体パネル20上の残像を消去する。X線IF部27はX線照射手段1と接続されており、X線照射手段1と読取手段2との信号のやり取りを仲介する。制御部23は、コントローラ3の後述する装置制御部32から伝達される制御データに基づき、読取手段2の各構成要素を制御する。
【0043】
コントローラ3は画像処理部31及び装置制御部32を備えて構成される。装置制御部32は制御部23を介して読取手段2を制御する。さらに、装置制御部32はX線画像撮影装置100に組み込まれた画像出力手段4を認識してそのデータを読取手段2に出力する。画像処理部31は読取手段2から出力された信号を展開し、格納するとともに画像出力手段4に向けて出力する。
【0044】
画像出力手段4は例えばプリンタ、CRTディスプレー、フィルム焼付け装置といった画像出力装置であり、画像処理部31から入力した画像データに基づいて被検者MのX線画像を黒白画像として出力する。このとき、上記画像データを構成する画像データ値は、各画像データ値の大小に対応した黒色の濃度として表現される。ここで、本実施例におけるX線画像撮影装置100に適用される画像出力手段4では、通常8ビットで画像出力処理が行なわれる。従って、上記画像出力手段4では、2の8乗すなわち256階調での濃度分解能で画像が出力される。
【0045】
図2に示すように、X線照射手段1の照射量読取部13と、コントローラ3の装置制御部32との間では、イーサネット5を介してDICOM規格によりデータ通信が行なわれるようになっており、例えばX線照射量出力回路135からX線の照射条件データ等のデータが装置制御部32に送信される。
【0046】
ここで、DICOM規格とは、Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略であり、「医用デジタル画像と通信」に関する標準規格である。このX線画像読取装置ではDICOMの現時点での最新バージョンPS3.−1999を満たすが、さらに改定された場合にはその改定に対応できるように構成できる。
【0047】
また、図2の様に、読取手段2は、X線制御部12との間でX線IF部27を介して互いに信号のやり取りを行なう。コントローラ3の装置制御部32には、X線IF部27と図2に示す読取手段2のフォトマルチプライヤ213の感度設定回路221が接続されている。
【0048】
また、図1、図2に示す読取手段2の感度設定回路221は、X線照射量出力回路135から送信されたX線照射量等の照射条件データと照射距離とに基づいてフォトマルチプライヤ213に印加する電圧を設定するようになっている。具体的には、胸部撮影の様に低X線照射量でのX線撮影では高感度となるように印加電圧を高くし、腰椎撮影のように高X線照射量でのX線撮影の時には低感度となるように印加電圧を低くする。X線照射手段1において撮影部位ごとに適切なX線照射量、波長と照射距離とを設定し、かかるX線総量と照射距離とに基づいてフォトマルチプライヤ213の印加電圧が設定されることで、フォトマルチプライヤ213の感度が適切にかつ自動的に設定される。
【0049】
次に、図面を参照して本発明に係るX線画像撮影装置100によるX線画像撮影の手順を説明する。
【0050】
X線画像撮影にあたっては、まず、被検者Mの年齢、性別といったデータや、被検者Mの身体においてX線画像を撮影する部位のデータ、及び上記部位へX線を照射する照射条件とを装置制御部32に入力する(S01)。被検者Mのデータ及び撮影部位のデータは、被検者Mの診療を行なう診療科からオペレータに届けられた撮影オーダ表に従ってオペレータにより手動で入力されるか、HISまたはRISを通じて装置制御部32に自動的に入力される。
【0051】
さらに、オペレータは、撮影部位、撮影目的と被検者Mの体格とを総合して管電圧、管電流、照射時間、照射距離といった照射条件を決定し、X線照射手段1に適宜入力した後、X線照射を行なう(S02)。X線照射手段1から照射されたX線は被検者Mの身体を透過して蛍光体パネル20に到達し、蛍光体パネル20の輝尽性蛍光体を励起する。こうして蛍光体パネル20に被検者Mの画像が記憶される。
【0052】
X線照射後、管電圧出力回路131、電流出力回路132、照射時間出力回路133及び距離出力回路134からX線を照射した際の各照射条件がX線照射量出力回路135に出力される。X線照射量出力回路135では、各出力回路131〜134から出力されたデータに基づき、X線照射部11から照射されるX線の波長及び照射量といったデータを算出するとともに、これらのデータと照射距離とを照射条件データとして読取手段2及び装置制御部32へ送信する(S03、S11)。
【0053】
ここで、X線照射部11から照射されるX線の波長は、X線発生管の特性に基づき、X線発生管に印加された電圧から求められる。また、照射量は、X線発生管に流された電流と照射時間との積から求められる。
【0054】
装置制御部32では、X線照射量出力回路135から入力された照射条件データ、被検者Mのデータ及び撮影部位のデータに基づいて、被検者Mの身体を透過して蛍光体パネル20上の各画素に到達するX線の強度を示す値の分布範囲である検知範囲Rmを見積もる(S12)。
【0055】
ここで、上記検知範囲Rmは、蛍光体パネル20に照射され、各画素にそのエネルギーが蓄積されるX線の強度を示す値が、例えば図3におけるグラフG1で示すように分布する場合において、しきい値tよりも多い数の画素が存在するX線強度の範囲として定義される。
【0056】
ここで、しきい値tは、被検者Mの画像診断に十分に適用可能な明瞭さでX線画像を出力できる範囲で、読取手段2から出力される画像データの大きさが最小となるよう適宜決定される。また、検知範囲Rmの見積もり方法は、X線の被検体及び撮影する部位に対する透過性、蛍光体パネル20のX線に対する官能性や、試験、実験結果を踏まえて適宜決定される。
【0057】
次に、上記検知範囲Rmに基づき、ディテクタ21で検知可能な画素ごとのX線強度の範囲である入力範囲Riが設定される(S13)。入力範囲Riは、フォトマルチプライヤ213で設定可能かつ検知範囲Rmを含む範囲で、最も幅の小さな範囲が設定される(S13)。この様にして入力範囲Riを設定することで、フォトマルチプライヤ213の強度分解能を最大限に活用し、各画素ごとのX線強度を極めて高い強度分解能で読み取ることが可能となる。
【0058】
ここで、入力範囲Riは、好ましくは、最小値が検知範囲Rmの最小値より後述する所定値dだけ低いとともに、最大値が検知範囲Rmの最大値より所定値dだけ高くなるように設定される。
【0059】
引き続いて、A/D変換回路253から出力される画像データのダイナミックレンジが設定される。ここで、本実施例においては、フォトマルチプライヤ213で1:10000のダイナミックレンジでX線強度を読み取れるので、A/D変換回路253では最大13ビット(8192階調)というダイナミックレンジが設定可能である。一方、本実施例では、画像出力手段4から画像を出力する際のX線強度のダイナミックレンジは8ビット(256階調)である。装置制御部32は、画像出力手段4から送信(S21)された信号に基づいて画像出力手段4のダイナミックレンジを認識し、上記ダイナミックレンジの値を制御部23に送信する。
【0060】
制御部23は、A/D変換回路253で出力される画像データのダイナミックレンジを、画像出力手段4で出力可能なダイナミックレンジに揃えてA/D変換回路253を制御する。すなわち、A/D変換回路253で変換され、出力される画像データのダイナミックレンジは、本実施例では8ビットに設定される(S14)。こうして、X線画像撮影装置100で出力されるX線画像の階調が決定される。
【0061】
さらに、A/D変換回路253から画像データとして出力される画素ごとのX線強度の範囲である出力範囲Roが設定される。出力範囲Roは、検知範囲Rmにおける最小値より所定値dだけ低い値から、検知範囲Rmの最大値より所定値dだけ高い値にわたる範囲値として決定される(S15)。このとき、A/D変換回路253から出力される画像データにおけるX線強度の分解能は、出力範囲Roを上記画像データの階調数で割った商として決定される。
【0062】
なお、上記所定値dは、ディテクタ21による走査前に見積もられた検知範囲Rmと、ディテクタ21で実測される画素ごとのX線強度が分布する範囲との間に誤差が発生した場合でも、上記実測されるX線強度のうち、読み取り画素数がしきい値tを超えるX線強度が出力範囲Ro内に収まるよう、フォトマルチプライヤ213及びディテクタ駆動器22の精度や実験・試験結果を踏まえ、統計学的方法で適宜決定される。
【0063】
こうして読取手段2によるX線強度の入力条件及び出力条件を決定後、読取手段2は蛍光体パネル20に形成された被検者Mの画像の読み取りを開始する。まず、X線照射量、被検者Mのデータ、撮影部位等に基づいて決定された入力範囲Riに対応した印加電圧でフォトマルチプライヤ213に電圧を印加し、レーザビーム照射部24と連動しながらディテクタ21で蛍光体パネル20上を走査し、蛍光体パネル20上の各画素に到達したX線の強度を示す値を読み取る(S16)。
【0064】
フォトマルチプライヤ213は蛍光体パネル20に到達した各画素ごとのX線強度に応じてX線強度信号を出力する。上記X線強度信号は増幅器25で変換、増幅された後、A/D変換回路253に入力される。A/D変換回路253では、上記X線強度信号を、制御部23で設定されたダイナミックレンジのデジタル信号(本実施例では8ビット)に変換する。
【0065】
A/D変換回路253は、上記X線強度信号に対し、蛍光体パネル20上の画素の大きさ及び蛍光体パネル20上をディテクタ21とレーザビーム照射部24が走査する速度に対応した間隔でサンプリングを行なう。上記サンプリングで得られたサンプル値のうち、出力範囲Ro内にあるものは、それぞれ対応する強度値の画像データ値に変換する。また、出力範囲Roより高強度側に外れたサンプル値は出力範囲Roの最大値に対応した画像データ値に変換し、出力範囲Roより低強度側に外れたサンプル値は出力範囲Roの最小値に対応した画像データ値に変換する。
【0066】
上述の手順により、A/D変換回路253で発生したデジタル信号は、画像データとして画像処理部31に出力される。画像処理部31では、A/D変換回路253から入力した画像データを展開し、画像出力手段4に出力する(S17)。こうして、蛍光体パネル20に形成された被検者MのX線画像が画像出力手段4により出力される(S22)。
【0067】
この様に、被検体MのX線画像を撮影する際、ディテクタ21で測定され、読み取られる画素ごとのX線強度の分布範囲である検知範囲Rmを見積もり、この検知範囲Rmが含まれるようにフォトマルチプライヤ213の印加電圧を設定し、ディテクタ21で読み取り可能なX線強度の範囲である入力範囲Riを設定することで、被検体Mの画像診断に適した精度と階調を有するX線画像を容易かつ確実に撮影できるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0068】
すなわち、見積もられた検知範囲Rmに基づいてフォトマルチプライヤ213の感度及び読み取り範囲を設定することで、X線画像出力に必要な画素であるにも関らず、照射されたX線の強度があるレベルより低い画素を読み落としたり、照射されたX線の強度があるレベルより高い画素におけるX線強度を最大値と読み違えたりするといった事態を容易に回避することができる。
【0069】
また、入力範囲Riを、フォトマルチプライヤ213において設定可能かつ検知範囲Rmを含む範囲で最も小さな範囲となるように設定することで、フォトマルチプライヤ213の強度分解能を最大限に活用することができる。よって、低コストで容易に各画素ごとの高い強度分解能でのX線強度の読み取りを行なうことができる。
【0070】
これらのことにより、本発明では被検体Mの画像診断に適した精度、階調のX線画像を安価かつ容易に撮影、出力することのできるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0071】
さらに、A/D変換回路253でデジタル変換され、出力される画像データにおける各画素ごとのX線強度のうち、予め見積もられた検知範囲Rmより所定値d以上低いX線強度は最小値の画像データ値に変換され、検知範囲Rmより所定値d以上高いX線強度は最大値の画像データ値に変換されることとすることで、フォトマルチプライヤ213及び画像出力手段4のX線強度分解能を最大限に活用してX線画像出力を行なうことができる。よって、被検者Mの画像診断に最適な階調でX線画像を容易かつ安価に出力することができるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0072】
また、本実施形態の様に、読取手段2で読み取り可能な画素ごとのX線強度のダイナミックレンジの最大値と、画像出力手段4で表現可能な画素ごとX線強度のダイナミックレンジの最大値とが異なる場合、小さいほうの最大値に揃えて双方の手段のダイナミックレンジを設定することで、X線画像撮影装置100内でやり取りされる画像データを必要最小限に抑えることができる。このことで、画像データを伝送するための伝送経路や、画像データを格納するためのメモリといった構成要素の容量を低く抑えることができる。
【0073】
それに加えて、画像処理部31の演算装置で画像データを展開したりする演算速度を向上させたりすることが容易となる。こうして、画像データの伝送や変換といった処理が高速に行なわれることにより、被検者Mの画像診断に供されるX線画像を迅速に出力することが可能となる。よって、短時間でX線画像を撮影し、容易かつ安価に出力することのできるX線画像撮影装置100を作成することが可能となる。
【0074】
なお、本発明は上述のようなX線画像撮影装置100だけに適用されるものではない。本発明は、放射線として、X線の他にα線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線といった粒子線や電磁波を用いた放射線画像撮影装置に適用することとしてもよい。
【0075】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100によるX線画像撮影は上述の実施例に限らない。例えば、フォトマルチプライヤ213で読み取られた各画素ごとのX線強度の信号をA/D変換回路253でデジタル変換する際、出力範囲Roから外れた数値のX線強度は、出力範囲Roに収まったX線強度よりも低い強度分解能で画像データ値に変換することとしてもよい。このことでも、上述の実施例の場合と同様に、フォトマルチプライヤ213及び画像出力手段4のX線強度分解能を最大限に活用し、被検者Mの画像診断に最適な階調でX線画像を容易かつ安価に出力することができるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0076】
また、読取部で入力可能なX線強度の分解能と同じ強度分解能でX線強度を表現可能な画像出力手段4を適宜適用することで、本発明に係るX線画像撮影装置100を構築することとしてもよい。この場合でも、X線画像撮影装置100内で画像データを、ダイナミックレンジの変動に応じて変換するといった過程を省略することができるので、被検者Mの画像診断に適した階調のX線画像を容易かつ安価に出力できるX線画像撮影装置100を作成することができる。それに加えて、読取部のX線強度分解能を最大限に活用することで、被検者Mの画像診断に最適なX線画像を出力できるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0077】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100では、フォトマルチプライヤ213で読み取られた各画素ごとのX線強度の信号をA/D変換回路253において予め固定されたビット数でデジタル変換した後、こうして変換された画像データのビット数をさらに画像出力手段4で表現可能なビット数に変換してから画像処理部31に送信することとしてもよい。
【0078】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100に適用される読取手段2の形態は上述の例に限らない。例えば、画像変換部として、輝尽性蛍光体が塗布されたプラスチックフィルムを備え、X線写真フィルムと同様に携帯可能な形態に形成されたイメージングプレートを用いることとしてもよい。この場合、イメージングプレートをカセッテに収納してX線照射を行なった後に、イメージングプレートに形成、記憶された画像をX線照射手段1と対向しない位置に設置され、読取部を備えた読取手段2で読み取る形態としてもよい。また、読取手段2が、平板状のホルダに画像変換部と読取部とが保持されて構成されたX線平面センサを備えることとしてもよい。
【0079】
また、本発明に係るX線画像撮影装置は上述の例に限るものではない。例えば、本発明は、被検体である被検者Mが横たわった状態で画像を撮影する臥位型X線画像撮影装置100に適用されることとしても良いし、画像撮影の目的に応じてX線発生管112及び読取手段2の位置及び姿勢を自在に変更できる形態のX線画像撮影装置100に適用されることとしても良い。それに加えて、人体でなく、家畜やペットといった動物を被検体として画像撮影するX線画像撮影装置100に適用されることとしてもよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、読取部で画素ごとの放射線強度を読み取る際の強度分解能や、画像出力手段で画素ごとの放射線強度を表現する際の強度分解能を最大限に活用するとともに、放射線画像撮影装置内でやり取りされる画像データの量を最適化することで、被検体の画像診断に適した精度と階調を具備した放射線画像を高速で、容易かつ安価に出力することのできる放射線線画像撮影装置を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線画像撮影装置100の概略図である。
【図2】本発明に係るX線画像撮影装置100の要部ブロック図である。
【図3】X線画像撮影装置100で見積もられる検知範囲Rmと、X線画像撮影装置100で設定される入力範囲Ri、出力範囲Roとの関係を示すX線強度の分布図である。
【図4】X線画像撮影装置100でX線検知範囲とダイナミックレンジとを設定する手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 X線照射手段(放射線照射手段)
2 読取手段
3 コントローラ
4 画像出力手段
11 X線照射部
13 照射量読取部
20 蛍光体パネル(画像変換部)
21 ディテクタ(読取部)
22 ディテクタ駆動器(読取部)
23 制御部
25 増幅器(画像データ作成部)
31 画像処理部
32 装置制御部
100 X線画像撮影装置(放射線画像撮影装置)
213 フォトマルチプライヤ
253 A/D変換回路
M 被検者
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線画像撮影装置は、放射線照射手段から照射され、被検体である被検者の身体を透過して到達した放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線等)を読取手段が検知することで、放射線強度データを得るとともに、この放射線強度データを処理して病気診断等に適用する放射線画像を得る。放射線画像撮影装置の一例として、X線を用いるX線画像撮影装置が医療現場で多数用いられている。
【0003】
X線画像撮影装置に備えられ、X線を検知して画像データを得る読取手段としては、例えば、X線を読取手段に備えられた輝尽性蛍光体パネルに到達させ、この輝尽性蛍光体パネルで放射線がエネルギー変換されることで発生した蛍光をフォトマルチプライヤのような光電変換装置で走査して検知する形式のもの等が知られている。
【0004】
こうして読取手段で得られた線強度データを適宜変換して、プリンタやCRTディスプレーといった画像出力手段で出力することにより、X線画像が得られる。
【0005】
従来のX線画像撮影装置では、X線強度データを得るための光電変換装置の感度を、個々の診療科からX線科に提出された撮影オーダ表に従って、オペレータが手動で設定するか、HIS(Hospital Information System、病院情報システム)もしくはRIS(Radiology Information System、X線科情報システム)と呼ばれる病院内情報システムを通じて伝送された情報に基づいて自動的に設定するかしていた。
また、最近、放射線照射部から照射されるX線の強度に応じて光電変換装置の感度を自動的に調節する技術が開発されている。(例えば特許文献1)
【0006】
また、従来のX線画像撮影装置では、読取手段で読み取り可能なX線強度のダイナミックレンジと、画像出力手段で表現可能なX線強度のダイナミックレンジとが異なる場合が多くあった。
【0007】
ところで、X線画像撮影で、正確な画像診断を行なうことのできるX線画像を得るためには、撮影されたX線画像の濃度分解能が、撮影される部位や撮影の目的に応じて適宜調整されることにより、適切な階調でX線画像が出力される必要がある。また、画像診断を円滑に行なえるよう、X線画像撮影からX線画像出力までの工程を高処理速度で、安価に行なうためには、X線画像撮影装置内でやり取りするX線強度データの情報量を最適化する必要がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−214728号公報(第3頁、第3図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のX線画像撮影装置では、読取手段によるX線の感度をオペレータが手動で設定する場合には感度調整の操作が煩雑となり、病院内情報システムで伝送されたデータに基づいて自動設定する場合や、特許文献1の場合には、例えば個々の被検者の体厚や撮影される部位に応じて適切な感度を設定するといったことができなかった。また、特許文献1の場合では、光電変換装置の感度はX線強度に基づいて自動的に設定されるものの、ダイナミックレンジについては自動的には調節できなかった。そのため、いずれの場合でも適切な精度で、かつ画像診断に適した階調で出力されたX線画像を得ることが困難であった。
【0010】
また、例えば、X線画像撮影装置において、読取手段では、検知可能なX線強度のダイナミックレンジが4096階調に対応するものであるのに対し、画像出力手段で表現可能なダイナミックレンジは256階調に対応するものであるといった場合、従来のX線画像撮影装置では読取手段で4096階調に対応した12ビットのX線強度データを出力し、そのままの画像データサイズで画像出力のための展開等の処理を行なった後に画像出力手段で256階調に対応した8ビットのデータに変換していたので、画像信号の伝送や処理に余分な時間と経費とを要していた。
【0011】
上記問題を解決するため、本発明は、画像診断に適した精度と階調で、安価かつ容易に放射線画像を高速で出力できる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、を備え、前記制御部は、前記放射線照射手段から放射線が照射される際の照射条件のデータと、前記被検体の種類及び前記被検体の放射線画像が撮影される部位のデータとに基づいて、前記画像変換部から読み取られる前記放射線強度が分布する範囲である検知範囲を見積もるとともに、前記制御部は、前記読取部が前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を、前記読取部で読み取り可能な放射線強度の範囲である入力範囲が、前記検知範囲を含むように設定することを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、被検体を介して一平面上に到達した放射線は画像変換部でエネルギー変換され、読み取り可能な形態となる。そして読取部ではこの変換されたエネルギーを検知することで、作成する画像データの各画素ごとの放射線強度を測定し、読み取る。読み取られた放射線強度は画像データ作成部で画像データに変換される。上記読み取りに先立ち、放射線照射手段が放射線を照射した際の照射条件のデータ、放射線画像を撮影する被検体の種類のデータ(例えば被検体が人体である場合にはその年齢や性別といったデータ)、被検体の部位のデータといったデータに基づき、読取部により読み取られた放射線強度が分布する範囲である検知範囲が見積もられるとともに、この検知範囲が、読取部により読み取り可能な放射線強度の範囲である入力範囲に含まれるようにして読取部の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方が設定される。
【0014】
このことにより、読取部の感度が高すぎるため、画像変換部において低強度で放射線が到達した領域に対応する画素の放射線強度を読み取れなかったり、読取部が読み取り可能な放射線強度の上限が低すぎるために画像変換部において高強度で放射線が到達した領域に対応する画素において読取部のサチレーションが発生したりするといったことが容易に回避される。よって、各画素における放射線強度を、煩雑な設定操作を経ずに正確に読み取ることが可能となる。したがって、被検体の画像診断に適した階調及び精度を有する放射線画像を容易かつ確実に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記感度及び前記ダイナミックレンジの少なくとも一方は、前記入力範囲が、前記読取手段で設定可能で、かつ、前記検知範囲が含まれる範囲で最小となるように設定されることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、読取部の分解能を最大限に活用し、各画素ごとの放射線強度を高い強度分解能で容易かつ低コストで読み取ることができる。したがって、被検体の画像診断に適した階調の放射線画像を示す値を安価かつ容易に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最小値として出力されるとともに、前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最大値として出力されることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、読取部で読み取られた各画素ごとの放射線強度の画像データ値のうち、検知範囲よりも所定値以上離れた値を持つものは最小値または最大値の画像データ値として出力される。この様にして被検体の放射線画像を与える画像データを読取手段から出力することで、放射線画像撮影装置の各構成要素における放射線強度分解能を最大限に活用して放射線画像を出力することができる。よって、放射線画像を出力する際、画像診断に必要な部分における階調を画像診断に最適な階調とすることが容易かつ安価に行なえる。従って、被検体の画像診断に最適な階調で放射線画像を容易に出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値と前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値とは、それら以外の画像データ値よりも低い強度分解能で出力されることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、読取部で読み取られた各画素ごとの放射線強度のうち、検知範囲内にあるものは高い強度分解能で出力され、検知範囲よりも所定値以上はなれた値を持つものは検知範囲内にあるデータ値よりも低い強度分解能で出力される。このことで、請求項3と同様の効果を奏することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、放射線を照射する放射線照射手段と、前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、前記読取手段から出力された前記画像データに基づいて前記被検体の放射線画像を出力する画像出力手段と、を備えるとともに、前記制御部は、前記読取部で読み取る放射線強度、前記読取手段と前記画像出力手段との間で送受信される画像データにおける放射線強度、及び前記画像出力手段が前記被検体の放射線画像を出力する際の放射線強度のダイナミックレンジを互いに一致して設定することを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、読取部で画素ごとの放射線強度を読み取る際のダイナミックレンジと、読取手段と画像出力手段との間で送受信される画像データにおける放射線強度のダイナミックレンジと、画像出力手段が被検体の放射線画像を出力する際の放射線強度のダイナミックレンジとは一致して設定される。このことで、読取部で読み取られた画素ごとの放射線強度のデータが有効に活用されるので、被検体の画像診断に適した階調の放射線画像を容易かつ安価に撮影できる放射線画像撮影装置を作成することができる。それに加えて、画像データの抽出を行なう回路を備えずに放射線画像撮影手段を作成することができるので、高速に放射線画像を容易かつ安価に出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の放射線画像撮影装置において、前記読取手段から前記画像出力手段に向けて出力される画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジが、前記読取手段で検知可能な画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値、及び前記画像出力手段で前記被検体の放射線画像として出力可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値のうち、低い方の上限値とほぼ同じ値に設定されることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、放射線画像撮影装置内でやり取りされる画像データのダイナミックレンジは読取手段で読み取り可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの最大値か、画像出力手段で表現可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの最大値のうち、小さいほうの値に揃えて設定される。
【0025】
このことで、放射線画像撮影装置内で処理される画像データの情報量が最小限に抑えられる。このことで、上記画像データの伝送や格納に要する構成要素の容量を低く抑えたり、演算装置で上記画像データを変換する演算速度を向上させたりすることが容易となる。よって、短時間で放射線画像を容易かつ安価に撮影、出力できる放射線画像撮影装置を作成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る放射線画像診断装置の一例であるX線画像撮影装置100の概要について、適宜図面を参照して説明する。なお、本実施例では、本発明を被検体として人体の画像を撮影するX線画像撮影装置100に適用するものとして説明を行なうが、本発明を適用する放射線画像撮影装置にこれに限らない。また、図1では被検体である被検者Mが立った姿勢でX線画像を撮影する立位型X線画像撮影装置100を例に取り、描図を行なったが、本発明が適用されるX線画像撮影装置100はこれに限らない。
【0027】
X線画像撮影装置100は、X線照射手段1、読取手段2、コントローラ3、画像出力手段4等を備えて構成される。
X線照射手段1は放射線照射手段であり、読取手段2と対向して設置され、X線照射部11、X線制御部12、照射量読取部13等を備えて構成される。X線照射部11は図示しないX線発生管や上記X線発生管に高電圧を印加するための高電圧電力を供給する高圧電源等を備えて構成され、被検者Mに向けてX線を照射する。X線制御部12はX線照射部11を制御する。
【0028】
照射量読取部13は、X線照射部11が被検者Mに向けてX線を照射した際の管電圧、電流、照射時間及び照射距離をそれぞれ出力する管電圧出力回路131、電流出力回路132、照射時間出力回路133及び距離出力回路134を備えるとともに、各出力回路131〜134の出力値に基づいてX線照射部11から被検者Mに向けて照射されたX線の照射量及び波長を算出し、この照射量及び波長と、照射距離とを出力するX線照射量出力回路135を備える。
【0029】
読取手段2は、蛍光体パネル20、ディテクタ21、ディテクタ駆動器22、制御部23、レーザビーム照射部24、増幅器25、ハロゲンランプ26、X線IF部27等を備えて構成される。また、ディテクタ21、ディテクタ駆動器22及び増幅器25は読取部を構成する。
【0030】
蛍光体パネル20は画像変換部であり、平面上に輝尽性蛍光体の微結晶が塗布された板状体を備える。蛍光体パネル20を形成する輝尽性蛍光体は、X線照射手段1から照射され、被検体である被検者Mの身体を透過して入射したX線によって励起され、このX線のエネルギーを蓄積することで、被検者Mの画像を記憶する。X線で輝尽性蛍光体を励起することにより蓄えられたエネルギーは、レーザビーム照射部24でレーザビームを照射された際、発光により放出される。このことにより、蛍光体パネル20に到達したX線はX線強度として読み取り可能な状態に変換される。
【0031】
ディテクタ21は読取部の一部をなす。ディテクタ21は、レーザビーム照射部24とともに蛍光体パネル20上を走査し、X線照射後の蛍光体パネル20にレーザビームを照射した際に発光する光を検知し、その強度を測定することで、蛍光体パネル20上の画素ごとのX線強度を測定し、読み取って蛍光体パネル20に記憶された被検者Mの画像を読み取る。
【0032】
ここで、蛍光体パネル20上の画素とは、蛍光体パネル20に記憶された画像を読むため、蛍光体パネル20を観念上適当な大きさ及び形状に分割して形成された領域のことを示す。蛍光体パネル20上の画素の大きさ及び形状は、X線画像撮影装置100により、被検者MのX線画像を被検者Mの画像診断に十分適用可能な空間分解能を付与して出力できるとともに、上記X線画像の撮影と出力が被検者Mや医療機関にとって多大な負担とならない程度の時間と経費で行なえるよう、適宜決定される。
【0033】
ディテクタ21は集光体211、フィルタ212、フォトマルチプライヤ213等を備えて構成される。集光体211は蛍光体パネル20から発光した光を集光する。フィルタ212は集光体211で集光された光のうち、余分な成分を除去する。
【0034】
フォトマルチプライヤ213は、蛍光体パネル20で発光され、フィルタ212を透過した光が入射した際、入射した光の強度に対応して電流が変動する形態のアナログ信号を発生し、蛍光体パネル20上の各画素ごとのX線強度を与える信号としてコントローラ3に向けて送信する。ディテクタ21は、図示しないディテクタ移動部の作動によって適宜移動し、蛍光体パネル20を走査する。
【0035】
ここで、本発明に係るX線画像撮影装置に適用されるフォトマルチプライヤ213で、X線強度を読み取る際の、光の検知感度は、ディテクタ駆動器22により印加される電圧により適宜設定が可能である。上記フォトマルチプライヤ213で検知可能なX線強度の範囲(図3におけるRi)も検知感度が設定されるのと同時に設定される。また、フォトマルチプライヤ213における最小信号値と最大信号値の比、すなわちダイナミックレンジは、通常4桁すなわち1:10000以上である。
【0036】
ディテクタ駆動器22は読取部の一部をなし、感度設定回路221、電源回路222等を備えて構成される。電源回路222は、フォトマルチプライヤ213に高電圧を印加するための電力を供給する。感度設定回路221は、制御部23の制御に基づいて電源回路222で発生する電力の電圧を調節してフォトマルチプライヤ213の感度を制御する。
【0037】
レーザビーム照射部24は、レーザビーム発生部241、走査器242、反射器243等を備えて構成される。レーザビーム発生部241は、X線照射後の蛍光体パネル20からディテクタ21に向けて発光させるためのレーザビームを発生させる。走査器242及び反射器243は、レーザビーム発生部241で発生したレーザビームを、蛍光体パネル20上の各画素に対応した領域に逐次到達させるため、上記ディテクタ移動部と連動してレーザビームによる走査を行なう。
【0038】
増幅器25は画像データ作成部をなし、電流電圧変換回路251、電圧増幅回路252、A/D変換回路253等を備えて構成される。電流電圧変換回路251は、ディテクタ21が出力した、時系列で電流が変動する形態のX線強度を与える強度信号を、時系列で電圧が変動する形態の信号に変換する。電圧増幅回路252は電流電圧変換回路251から出力された信号を増幅する。A/D変換回路253は電圧増幅回路252で増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換等の変換処理を行ない、画像データとしてコントローラ3に向けて出力する。
【0039】
ここで、読取部及び読取手段2から出力される画像データのダイナミックレンジは、A/D変換回路253で変換され、出力されるデジタル信号のビット数に依存する。従って、例えば、A/D変換回路253から出力されるデジタル信号のビット数が12ビットである場合、A/D変換回路253から2の12乗すなわち4096階調での画像データが出力され、このとき最小信号値と最大信号値との比は1:4096となる。
【0040】
上述の様にA/D変換回路253で信号を変換、出力する際のダイナミックレンジ及び出力可能な強度範囲である出力範囲(図3におけるRo)は、制御部23によって設定される。
【0041】
読取手段2とコントローラ3とは、汎用インターフェイス(IEEE1394イーサネット等)または専用線で接続されており、読取手段2で読み取られ、変換、増幅された画像信号はこれらを通じてコントローラ3へ出力される。ここで、IEEEとはThe Institute of Electrical and Electoronics Engineersによる規格である。また、読取手段2とコントローラ3とは別々の筐体に収納されているが、同じ筐体中に設けて一体化し、1台の装置として構成することもできる。
【0042】
ハロゲンランプ26は、ディテクタ21による蛍光体パネル20上の画素ごとのX線強度の読み取り終了後、蛍光体パネル20に消去光を照射して蛍光体パネル20上の残像を消去する。X線IF部27はX線照射手段1と接続されており、X線照射手段1と読取手段2との信号のやり取りを仲介する。制御部23は、コントローラ3の後述する装置制御部32から伝達される制御データに基づき、読取手段2の各構成要素を制御する。
【0043】
コントローラ3は画像処理部31及び装置制御部32を備えて構成される。装置制御部32は制御部23を介して読取手段2を制御する。さらに、装置制御部32はX線画像撮影装置100に組み込まれた画像出力手段4を認識してそのデータを読取手段2に出力する。画像処理部31は読取手段2から出力された信号を展開し、格納するとともに画像出力手段4に向けて出力する。
【0044】
画像出力手段4は例えばプリンタ、CRTディスプレー、フィルム焼付け装置といった画像出力装置であり、画像処理部31から入力した画像データに基づいて被検者MのX線画像を黒白画像として出力する。このとき、上記画像データを構成する画像データ値は、各画像データ値の大小に対応した黒色の濃度として表現される。ここで、本実施例におけるX線画像撮影装置100に適用される画像出力手段4では、通常8ビットで画像出力処理が行なわれる。従って、上記画像出力手段4では、2の8乗すなわち256階調での濃度分解能で画像が出力される。
【0045】
図2に示すように、X線照射手段1の照射量読取部13と、コントローラ3の装置制御部32との間では、イーサネット5を介してDICOM規格によりデータ通信が行なわれるようになっており、例えばX線照射量出力回路135からX線の照射条件データ等のデータが装置制御部32に送信される。
【0046】
ここで、DICOM規格とは、Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略であり、「医用デジタル画像と通信」に関する標準規格である。このX線画像読取装置ではDICOMの現時点での最新バージョンPS3.−1999を満たすが、さらに改定された場合にはその改定に対応できるように構成できる。
【0047】
また、図2の様に、読取手段2は、X線制御部12との間でX線IF部27を介して互いに信号のやり取りを行なう。コントローラ3の装置制御部32には、X線IF部27と図2に示す読取手段2のフォトマルチプライヤ213の感度設定回路221が接続されている。
【0048】
また、図1、図2に示す読取手段2の感度設定回路221は、X線照射量出力回路135から送信されたX線照射量等の照射条件データと照射距離とに基づいてフォトマルチプライヤ213に印加する電圧を設定するようになっている。具体的には、胸部撮影の様に低X線照射量でのX線撮影では高感度となるように印加電圧を高くし、腰椎撮影のように高X線照射量でのX線撮影の時には低感度となるように印加電圧を低くする。X線照射手段1において撮影部位ごとに適切なX線照射量、波長と照射距離とを設定し、かかるX線総量と照射距離とに基づいてフォトマルチプライヤ213の印加電圧が設定されることで、フォトマルチプライヤ213の感度が適切にかつ自動的に設定される。
【0049】
次に、図面を参照して本発明に係るX線画像撮影装置100によるX線画像撮影の手順を説明する。
【0050】
X線画像撮影にあたっては、まず、被検者Mの年齢、性別といったデータや、被検者Mの身体においてX線画像を撮影する部位のデータ、及び上記部位へX線を照射する照射条件とを装置制御部32に入力する(S01)。被検者Mのデータ及び撮影部位のデータは、被検者Mの診療を行なう診療科からオペレータに届けられた撮影オーダ表に従ってオペレータにより手動で入力されるか、HISまたはRISを通じて装置制御部32に自動的に入力される。
【0051】
さらに、オペレータは、撮影部位、撮影目的と被検者Mの体格とを総合して管電圧、管電流、照射時間、照射距離といった照射条件を決定し、X線照射手段1に適宜入力した後、X線照射を行なう(S02)。X線照射手段1から照射されたX線は被検者Mの身体を透過して蛍光体パネル20に到達し、蛍光体パネル20の輝尽性蛍光体を励起する。こうして蛍光体パネル20に被検者Mの画像が記憶される。
【0052】
X線照射後、管電圧出力回路131、電流出力回路132、照射時間出力回路133及び距離出力回路134からX線を照射した際の各照射条件がX線照射量出力回路135に出力される。X線照射量出力回路135では、各出力回路131〜134から出力されたデータに基づき、X線照射部11から照射されるX線の波長及び照射量といったデータを算出するとともに、これらのデータと照射距離とを照射条件データとして読取手段2及び装置制御部32へ送信する(S03、S11)。
【0053】
ここで、X線照射部11から照射されるX線の波長は、X線発生管の特性に基づき、X線発生管に印加された電圧から求められる。また、照射量は、X線発生管に流された電流と照射時間との積から求められる。
【0054】
装置制御部32では、X線照射量出力回路135から入力された照射条件データ、被検者Mのデータ及び撮影部位のデータに基づいて、被検者Mの身体を透過して蛍光体パネル20上の各画素に到達するX線の強度を示す値の分布範囲である検知範囲Rmを見積もる(S12)。
【0055】
ここで、上記検知範囲Rmは、蛍光体パネル20に照射され、各画素にそのエネルギーが蓄積されるX線の強度を示す値が、例えば図3におけるグラフG1で示すように分布する場合において、しきい値tよりも多い数の画素が存在するX線強度の範囲として定義される。
【0056】
ここで、しきい値tは、被検者Mの画像診断に十分に適用可能な明瞭さでX線画像を出力できる範囲で、読取手段2から出力される画像データの大きさが最小となるよう適宜決定される。また、検知範囲Rmの見積もり方法は、X線の被検体及び撮影する部位に対する透過性、蛍光体パネル20のX線に対する官能性や、試験、実験結果を踏まえて適宜決定される。
【0057】
次に、上記検知範囲Rmに基づき、ディテクタ21で検知可能な画素ごとのX線強度の範囲である入力範囲Riが設定される(S13)。入力範囲Riは、フォトマルチプライヤ213で設定可能かつ検知範囲Rmを含む範囲で、最も幅の小さな範囲が設定される(S13)。この様にして入力範囲Riを設定することで、フォトマルチプライヤ213の強度分解能を最大限に活用し、各画素ごとのX線強度を極めて高い強度分解能で読み取ることが可能となる。
【0058】
ここで、入力範囲Riは、好ましくは、最小値が検知範囲Rmの最小値より後述する所定値dだけ低いとともに、最大値が検知範囲Rmの最大値より所定値dだけ高くなるように設定される。
【0059】
引き続いて、A/D変換回路253から出力される画像データのダイナミックレンジが設定される。ここで、本実施例においては、フォトマルチプライヤ213で1:10000のダイナミックレンジでX線強度を読み取れるので、A/D変換回路253では最大13ビット(8192階調)というダイナミックレンジが設定可能である。一方、本実施例では、画像出力手段4から画像を出力する際のX線強度のダイナミックレンジは8ビット(256階調)である。装置制御部32は、画像出力手段4から送信(S21)された信号に基づいて画像出力手段4のダイナミックレンジを認識し、上記ダイナミックレンジの値を制御部23に送信する。
【0060】
制御部23は、A/D変換回路253で出力される画像データのダイナミックレンジを、画像出力手段4で出力可能なダイナミックレンジに揃えてA/D変換回路253を制御する。すなわち、A/D変換回路253で変換され、出力される画像データのダイナミックレンジは、本実施例では8ビットに設定される(S14)。こうして、X線画像撮影装置100で出力されるX線画像の階調が決定される。
【0061】
さらに、A/D変換回路253から画像データとして出力される画素ごとのX線強度の範囲である出力範囲Roが設定される。出力範囲Roは、検知範囲Rmにおける最小値より所定値dだけ低い値から、検知範囲Rmの最大値より所定値dだけ高い値にわたる範囲値として決定される(S15)。このとき、A/D変換回路253から出力される画像データにおけるX線強度の分解能は、出力範囲Roを上記画像データの階調数で割った商として決定される。
【0062】
なお、上記所定値dは、ディテクタ21による走査前に見積もられた検知範囲Rmと、ディテクタ21で実測される画素ごとのX線強度が分布する範囲との間に誤差が発生した場合でも、上記実測されるX線強度のうち、読み取り画素数がしきい値tを超えるX線強度が出力範囲Ro内に収まるよう、フォトマルチプライヤ213及びディテクタ駆動器22の精度や実験・試験結果を踏まえ、統計学的方法で適宜決定される。
【0063】
こうして読取手段2によるX線強度の入力条件及び出力条件を決定後、読取手段2は蛍光体パネル20に形成された被検者Mの画像の読み取りを開始する。まず、X線照射量、被検者Mのデータ、撮影部位等に基づいて決定された入力範囲Riに対応した印加電圧でフォトマルチプライヤ213に電圧を印加し、レーザビーム照射部24と連動しながらディテクタ21で蛍光体パネル20上を走査し、蛍光体パネル20上の各画素に到達したX線の強度を示す値を読み取る(S16)。
【0064】
フォトマルチプライヤ213は蛍光体パネル20に到達した各画素ごとのX線強度に応じてX線強度信号を出力する。上記X線強度信号は増幅器25で変換、増幅された後、A/D変換回路253に入力される。A/D変換回路253では、上記X線強度信号を、制御部23で設定されたダイナミックレンジのデジタル信号(本実施例では8ビット)に変換する。
【0065】
A/D変換回路253は、上記X線強度信号に対し、蛍光体パネル20上の画素の大きさ及び蛍光体パネル20上をディテクタ21とレーザビーム照射部24が走査する速度に対応した間隔でサンプリングを行なう。上記サンプリングで得られたサンプル値のうち、出力範囲Ro内にあるものは、それぞれ対応する強度値の画像データ値に変換する。また、出力範囲Roより高強度側に外れたサンプル値は出力範囲Roの最大値に対応した画像データ値に変換し、出力範囲Roより低強度側に外れたサンプル値は出力範囲Roの最小値に対応した画像データ値に変換する。
【0066】
上述の手順により、A/D変換回路253で発生したデジタル信号は、画像データとして画像処理部31に出力される。画像処理部31では、A/D変換回路253から入力した画像データを展開し、画像出力手段4に出力する(S17)。こうして、蛍光体パネル20に形成された被検者MのX線画像が画像出力手段4により出力される(S22)。
【0067】
この様に、被検体MのX線画像を撮影する際、ディテクタ21で測定され、読み取られる画素ごとのX線強度の分布範囲である検知範囲Rmを見積もり、この検知範囲Rmが含まれるようにフォトマルチプライヤ213の印加電圧を設定し、ディテクタ21で読み取り可能なX線強度の範囲である入力範囲Riを設定することで、被検体Mの画像診断に適した精度と階調を有するX線画像を容易かつ確実に撮影できるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0068】
すなわち、見積もられた検知範囲Rmに基づいてフォトマルチプライヤ213の感度及び読み取り範囲を設定することで、X線画像出力に必要な画素であるにも関らず、照射されたX線の強度があるレベルより低い画素を読み落としたり、照射されたX線の強度があるレベルより高い画素におけるX線強度を最大値と読み違えたりするといった事態を容易に回避することができる。
【0069】
また、入力範囲Riを、フォトマルチプライヤ213において設定可能かつ検知範囲Rmを含む範囲で最も小さな範囲となるように設定することで、フォトマルチプライヤ213の強度分解能を最大限に活用することができる。よって、低コストで容易に各画素ごとの高い強度分解能でのX線強度の読み取りを行なうことができる。
【0070】
これらのことにより、本発明では被検体Mの画像診断に適した精度、階調のX線画像を安価かつ容易に撮影、出力することのできるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0071】
さらに、A/D変換回路253でデジタル変換され、出力される画像データにおける各画素ごとのX線強度のうち、予め見積もられた検知範囲Rmより所定値d以上低いX線強度は最小値の画像データ値に変換され、検知範囲Rmより所定値d以上高いX線強度は最大値の画像データ値に変換されることとすることで、フォトマルチプライヤ213及び画像出力手段4のX線強度分解能を最大限に活用してX線画像出力を行なうことができる。よって、被検者Mの画像診断に最適な階調でX線画像を容易かつ安価に出力することができるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0072】
また、本実施形態の様に、読取手段2で読み取り可能な画素ごとのX線強度のダイナミックレンジの最大値と、画像出力手段4で表現可能な画素ごとX線強度のダイナミックレンジの最大値とが異なる場合、小さいほうの最大値に揃えて双方の手段のダイナミックレンジを設定することで、X線画像撮影装置100内でやり取りされる画像データを必要最小限に抑えることができる。このことで、画像データを伝送するための伝送経路や、画像データを格納するためのメモリといった構成要素の容量を低く抑えることができる。
【0073】
それに加えて、画像処理部31の演算装置で画像データを展開したりする演算速度を向上させたりすることが容易となる。こうして、画像データの伝送や変換といった処理が高速に行なわれることにより、被検者Mの画像診断に供されるX線画像を迅速に出力することが可能となる。よって、短時間でX線画像を撮影し、容易かつ安価に出力することのできるX線画像撮影装置100を作成することが可能となる。
【0074】
なお、本発明は上述のようなX線画像撮影装置100だけに適用されるものではない。本発明は、放射線として、X線の他にα線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線といった粒子線や電磁波を用いた放射線画像撮影装置に適用することとしてもよい。
【0075】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100によるX線画像撮影は上述の実施例に限らない。例えば、フォトマルチプライヤ213で読み取られた各画素ごとのX線強度の信号をA/D変換回路253でデジタル変換する際、出力範囲Roから外れた数値のX線強度は、出力範囲Roに収まったX線強度よりも低い強度分解能で画像データ値に変換することとしてもよい。このことでも、上述の実施例の場合と同様に、フォトマルチプライヤ213及び画像出力手段4のX線強度分解能を最大限に活用し、被検者Mの画像診断に最適な階調でX線画像を容易かつ安価に出力することができるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0076】
また、読取部で入力可能なX線強度の分解能と同じ強度分解能でX線強度を表現可能な画像出力手段4を適宜適用することで、本発明に係るX線画像撮影装置100を構築することとしてもよい。この場合でも、X線画像撮影装置100内で画像データを、ダイナミックレンジの変動に応じて変換するといった過程を省略することができるので、被検者Mの画像診断に適した階調のX線画像を容易かつ安価に出力できるX線画像撮影装置100を作成することができる。それに加えて、読取部のX線強度分解能を最大限に活用することで、被検者Mの画像診断に最適なX線画像を出力できるX線画像撮影装置100を作成することができる。
【0077】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100では、フォトマルチプライヤ213で読み取られた各画素ごとのX線強度の信号をA/D変換回路253において予め固定されたビット数でデジタル変換した後、こうして変換された画像データのビット数をさらに画像出力手段4で表現可能なビット数に変換してから画像処理部31に送信することとしてもよい。
【0078】
なお、本発明に係るX線画像撮影装置100に適用される読取手段2の形態は上述の例に限らない。例えば、画像変換部として、輝尽性蛍光体が塗布されたプラスチックフィルムを備え、X線写真フィルムと同様に携帯可能な形態に形成されたイメージングプレートを用いることとしてもよい。この場合、イメージングプレートをカセッテに収納してX線照射を行なった後に、イメージングプレートに形成、記憶された画像をX線照射手段1と対向しない位置に設置され、読取部を備えた読取手段2で読み取る形態としてもよい。また、読取手段2が、平板状のホルダに画像変換部と読取部とが保持されて構成されたX線平面センサを備えることとしてもよい。
【0079】
また、本発明に係るX線画像撮影装置は上述の例に限るものではない。例えば、本発明は、被検体である被検者Mが横たわった状態で画像を撮影する臥位型X線画像撮影装置100に適用されることとしても良いし、画像撮影の目的に応じてX線発生管112及び読取手段2の位置及び姿勢を自在に変更できる形態のX線画像撮影装置100に適用されることとしても良い。それに加えて、人体でなく、家畜やペットといった動物を被検体として画像撮影するX線画像撮影装置100に適用されることとしてもよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、読取部で画素ごとの放射線強度を読み取る際の強度分解能や、画像出力手段で画素ごとの放射線強度を表現する際の強度分解能を最大限に活用するとともに、放射線画像撮影装置内でやり取りされる画像データの量を最適化することで、被検体の画像診断に適した精度と階調を具備した放射線画像を高速で、容易かつ安価に出力することのできる放射線線画像撮影装置を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線画像撮影装置100の概略図である。
【図2】本発明に係るX線画像撮影装置100の要部ブロック図である。
【図3】X線画像撮影装置100で見積もられる検知範囲Rmと、X線画像撮影装置100で設定される入力範囲Ri、出力範囲Roとの関係を示すX線強度の分布図である。
【図4】X線画像撮影装置100でX線検知範囲とダイナミックレンジとを設定する手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 X線照射手段(放射線照射手段)
2 読取手段
3 コントローラ
4 画像出力手段
11 X線照射部
13 照射量読取部
20 蛍光体パネル(画像変換部)
21 ディテクタ(読取部)
22 ディテクタ駆動器(読取部)
23 制御部
25 増幅器(画像データ作成部)
31 画像処理部
32 装置制御部
100 X線画像撮影装置(放射線画像撮影装置)
213 フォトマルチプライヤ
253 A/D変換回路
M 被検者
Claims (6)
- 被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、
放射線を照射する放射線照射手段と、
前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、
作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、
前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、
前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、を備え、
前記制御部は、前記放射線照射手段から放射線が照射される際の照射条件のデータと、前記被検体の種類及び前記被検体の放射線画像が撮影される部位のデータとに基づいて、前記画像変換部から読み取られる前記放射線強度が分布する範囲である検知範囲を見積もるとともに、
前記制御部は、前記読取部が前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を、前記読取部で読み取り可能な放射線強度の範囲である入力範囲が、前記検知範囲を含むように設定することを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記感度及び前記ダイナミックレンジの少なくとも一方は、前記入力範囲が、前記読取手段で設定可能で、かつ、前記検知範囲が含まれる範囲で最小となるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最小値として出力されるとともに、前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値は前記最大値として出力されることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記読取手段が出力する画像データを形成する画像データ値のうち、前記検知範囲の最小値よりも所定量以上低い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値と前記検知範囲の最大値よりも所定量以上高い数値で放射線強度が読み取られた画素に対応する画像データ値とは、それら以外の画像データ値よりも低い強度分解能で出力されることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 被検体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であって、
放射線を照射する放射線照射手段と、
前記放射線照射手段から前記被検体に向けて放射線が照射された際に、前記被検体を介して一平面上に入射した放射線の強度を読取可能な状態に変換する画像変換部と、
作成すべき画像データの各画素ごとに前記画像変換部から前記放射線強度を読み取るための、前記放射線強度を読み取る際の感度及びダイナミックレンジの少なくとも一方を変更自在に設定可能な読取部と、
前記読取部で読み取られた各画素ごとの前記放射線強度に基づいて前記画像データを作成して出力する画像データ作成部と、
前記読取部及び前記画像データ作成部を制御する制御部と、を有した読取手段と、
前記読取手段から出力された前記画像データに基づいて前記被検体の放射線画像を出力する画像出力手段と、を備えるとともに、
前記制御部は、前記読取部で読み取る放射線強度、前記読取手段と前記画像出力手段との間で送受信される画像データにおける放射線強度、及び前記画像出力手段が前記被検体の放射線画像を出力する際の放射線強度のダイナミックレンジを互いに一致して設定することを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記読取手段から前記画像出力手段に向けて出力される画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジが、前記読取手段で検知可能な画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値、及び前記画像出力手段で前記被検体の放射線画像として出力可能な画像データにおける画素ごとの放射線強度のダイナミックレンジの上限値のうち、低い方の上限値とほぼ同じ値に設定されることを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
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