JP2004201733A - ソフトテニスボール及び空気入れポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】軽くて単体で構成され、ボール内の空気が外部に漏れ出ずに封止効果が十分に得られるゴムバルブを備えたソフトテニスボールを提供する。
【解決手段】ボール球殻2内の一部に接着された空気注入用のゴムバルブ3を有するソフトテニスボールにおいて、ゴムバルブ3は、ボール球殻2の内周面に接着される薄肉のフランジ部3bと、フランジ部3bから外方側に突出し、ボール球殻2の小孔2aに係合する突部3aと、前記突部3aの外面に開口する有底の開口部3dと、フランジ部3bから内方側に延びる柱状のバルブ本体3cと、開口部3dの底面からバルブ本体3cの内端面を貫いてゴムバルブ内に形成されたスリット3eとを有し、バルブ本体3cを外方から内方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ソフトテニスボール及び空気入れポンプに係り、特に空気を注入するためにソフトテニスボールに設けた空気注入用のゴムバルブの構造および、この空気注入用のゴムバルブに好適に使用される空気入れポンプに関する。
【0002】
【従来技術】
ソフトテニスボールに空気を注入するためにソフトテニスボールに設けた空気注入用のゴムバルブとしては、逆止弁付きのものがある(例えば特開2001-170215号公報)。
【0003】
この逆止弁付きゴムバルブは、細長い中空の棒状部材で形成され、先端部の側面に空気突出用の穴部が形成された空気注入用の差し込み棒が差し込まれるバルブ本体と、該バルブ本体の先端部を覆う逆止弁部とから構成され、この逆止弁は、該バルブ本体内を貫通する該差し込み棒の該穴部から突出する空気がソフトテニスボール内に注入されるのを許容し、テニスボール内の空気が該バルブ本体を通して外部に漏れ出るのを阻止する役割を果たしている。また、バルブ本体は、柱状のゴム部材に軸方向に沿って一定幅で非常に薄いスリットを内外に渡って形成している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001-170215号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の逆止弁付きゴムバルブは、バルブ本体と逆止弁部との少なくとも2部材より構成され、組立工程が必要となりコストアップの要因となる。
【0006】
また、ソフトテニスボールは非常に軽量であり、重さについても規格があるため、おのずとゴムバルブの重量も限定されることになる。
【0007】
そこで本願発明の目的は、軽くて単体で構成され、ボール内の空気が外部に漏れ出ることのない封止効果が十分に得られるゴムバルブを備えたソフトテニスボールを提供しようとするものである。
【0008】
また、本願発明の他の目的は、ゴムバルブのスリットにスムーズに差し込み棒を差し込むことができ、ゴムバルブのスリットの封止効果を持続させることができる空気入れポンプを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を実現するソフトテニスボールの構成は、ボール球殻と、柱状に形成された中実のゴム部材からなり、内外端面の間を軸方向に沿って該ボール球殻内の一部に接着された空気注入用のゴムバルブとを有し、前記ゴムバルブは、前記ボール球殻の内周面に接着される薄肉のフランジ部と、前記フランジ部から外方側に突出し、前記ボール球殻に形成した小孔に係合する突部と、前記突部の外面に開口する有底の開口部と、前記フランジ部から内方側に延びる柱状のバルブ本体と、前記開口部の底面から前記バルブ本体の内端面を貫いて前記ゴムバルブ内に形成されたスリットとを有し、前記バルブ本体は外方から内方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記ゴムバルブの突部は、外方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の目的を実現する空気入れポンプの構成は、軸方向に貫通形成されたスリットを有する空気注入用のゴムバルブをボール球殻の内面に固着したソフトテニスボールに空気を注入するための空気入れポンプであって、前記ゴムバルブに差し込まれる先端部に空気吐出用の穴部が形成された差し込み棒と、前記差し込み棒の後端部に取り付けられたポンプ部材と、前記差し込み棒を取り外し可能に覆うキャップ部材と、前記キャップ部材内に設けられ、潤滑剤が塗布され、前記差し込み部材の外周面に接触する潤滑剤塗布体とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本願発明の第1の実施の形態を示すソフトテニスボールの要部透視図及び断面図、図3は本願発明の第2の実施の形態を示す空気入れポンプの要部断面図を示す。
【0013】
図1及び図2において、本実施の形態によるソフトテニスボール1は、ボール球殻2の一部に形成された小孔2aに外端部が臨むようにゴムバルブ3が接着剤により接着固定されている。なお、図1、2において、ゴムバルブ3は理解容易のために大きく描いており、実際には後記する寸法で示すように小さいものである。
【0014】
ゴムバルブ3は、ボール球殻2の小孔2aに係合する突部3aを外端部の中央に有すると共に、この突部3aの基部に連なるようにして薄肉のフランジ部3bが形成され、このフランジ部3bから内端側に柱状のバルブ本体3cが形成される中実のゴム部材からなり、一体成形されて単体構造に構成されている。この薄肉のフランジ部3bの外面側には接着剤が塗布されるようになっている。
【0015】
また、バルブ本体3cは、外径が外端部側から内端部側に向かうに従って漸減するテーパ形状に形成されている。
【0016】
突部3aの外形は外方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成されているので、ボール球殻2に形成された小孔2aの内径寸法にばらつきがあってもテーパ−分で吸収でき、また該小孔2aの内縁を突部3aの外周面に隙間なく接着させることができ、該小孔2aの内縁がめくれるということがない。特に小孔2aの内縁を突部3aの外径に合わせたテーパ面に形成すれば、小孔2aの内縁のめくりあがりをより防止することができる。
【0017】
このゴムバルブ3は、突部3aの中心に空気入れポンプの差し込み棒が導入されるための有底の開口部である導入穴3dが形成され、この導入穴3dに合わせて不図示のカッターによりスリット3eをバルブ本体3cの内端面3fまで貫通形成している。なお、スリット3eはバルブ3の内部に形成されるものであって、外周まで形成されるものではない。
【0018】
本実施の形態におけるゴムバルブ3は、総重量は上限値として0.8gとしており、材質として加硫に起因する配合薬品に2重量部以下の粘着剤と1〜5重量部の軟化剤、及び顔料2重量部以下とし、粉末充填は使用しない。また、ポリマーは、NR,IR,BRの単独あるいはブレンドとする。
【0019】
また、バルブ3のゴムの硬さを30±5°とし、35°以下としている。なお、ゴム硬度の測定は、株式会社島津製作所製デュロメータ・タイプAを用いた。
【0020】
また、薄肉のフランジ部3bの厚みは0.3〜0.8mmとし、軽量化に大きく寄与している。
【0021】
さらに、バルブ本体3cの外径は大径部の直径が5〜10mm、小径部の直径が3〜8mmとし、ゴムバルブ3の長さを5〜11mmとしている。
【0022】
このスリット3eは1.0mm〜3.0mmの幅で形成している。
【0023】
ソフトテニスボールは球殻が硬いバスケットボールとは異なりボール球殻が非常に軟らかいため、実際の使用に際して非常に大きな衝撃力がゴムバルブに加わり、またテニスラケットがゴムバルブを直接打撃することもあり、ゴムバルブはこのような衝撃にも耐えて空気漏れがないようにすることが要求されるため、おのずとバスケットボールやバレーボール等のボール球殻の硬いものに使用されるゴムバルブをそのまま適用することはできない。
【0024】
このような要求を単に満たすには、例えばゴムバルブを大きくし、スリットに加わる弾力を強くしてスリットに対する密着力を高めれば、ソフトテニスボール内の空気圧が急激に増加しても気密性を保ことが可能と言える。また、ゴムバルブが硬すぎるとスリットに高い密着性が得られず、機密性を損ねることにもなりかねない。
【0025】
さらに、ゴムバルブの重量が増えるとソフトテニスボールの全体的なバランスを崩し、予想外の打球軌道を招くおそれがある。
【0026】
本実施の形態のゴムバルブ3はこのようなソフトテニスボールにおける特有の課題を解決したもので、バルブ本体3cの外形形状を外端から内端面に向かうに従って外形を漸減するテーパ−形状とすることにより、外径が小径となる内端部側の肉厚が薄くなり、その分バルブ本体3cの内端部側の剛性が低下し、該内端部におけるスリット3eの密着性が良好となる。
【0027】
また、ゴムバルブ3の外端部側は肉厚があるので内端部側に比べて剛性が高くなり、打撃時に大きな衝撃力を受けても極端に変形する割合が少なく、バルブ本体3cに大きな変形を与え難くなる一方、スリット3eを強い弾力で押し、スリット3eを塞いでいる。
【0028】
勿論、スリット3eはゴムバルブ3の軸方向の全長に渡ってゴムによる弾性で密着性が得られているが、特にソフトテニスボールの打撃時において、直径の大きな外端部側での剛性を内端部側よりも大きくすることで変形を極力抑えて空気漏れを減らし、同時に剛性が外端部側よりも小さい内端部側を可撓弾性変形容易として逆止弁としての機能を持たせ、できるだけ空気漏れを減らすことができるようにしている。
【0029】
さらに、本実施の形態ではバルブ本体3cの外形形状がテーパ−形状であるため、フランジ部3bが薄肉としていることと合わせてゴムバルブの重量の軽減に寄与している。
【0030】
次に、ソフトテニスボール1内の空気が減った場合には、空気入れポンプの差し込み棒をゴムバルブ3の導入穴3dに差し込んでスリット3eを拡開させながら、該差し込み棒の先端部がゴムバルブ3の内端3fから突き出るまで差し込む。
【0031】
その際、ソフトテニスボール1のボール球殻2は軟らかく、またゴムバルブ3と前記空気入れポンプの差し込み棒との摩擦が大きいので、ボール球殻2をあてがうようにしてゴムバルブ3を摘み、空気入れポンプの差し込み棒をゴムバルブ3のスリット3eに強く差し込まなければならない。このため、スリット3eが傷つきやすくなって十分な密着性が得られなくなることも考えられる。また、ゴムバルブ3を強く摘むとあてがっているボール球殻2を傷めてしまうことも考えられる。
【0032】
第2の実施の形態
図3は上記した第1の実施の形態に示すソフトテニスボール1のゴムバルブ3に対して好適な空気入れポンプの実施の形態を示す要部断面図である。
【0033】
本第2の実施の形態の空気入れポンプ5は、ゴム部材により球形に形成された中空のポンプ部材6の先端部に棒状の差し込み棒8が取り付けられていて、この差し込み棒8の先端部の側面には、一対の空気吐出用の穴部8aが対向して形成されている。
【0034】
また、差し込み棒8がポンプ部材6に取り付けられる根本部分にはねじ部7が形成され、差し込み棒8を覆うキャップ部材9がこのねじ部7にねじ止されるようになっている。ポンプ部材6は後端部に空気取り入れ用の穴部(不図示)が形成され、空気を注入する際にこの穴部を例えば親指の腹で押えながらポンプ部材6を押し込み変形させることでポンプ部材6内の空気をソフトテニスボール1内に注入することができるようになっている。
【0035】
本第2の実施の形態において、キャップ部材9の内面にはシリコンオイル等の潤滑剤が塗布されたスポンジ等の潤滑剤塗布体10が設けられており、キャップ部材9を差し込み棒8に装着すると、潤滑剤塗布体10の潤滑剤が差し込み棒8に常に塗布されるようになっている。
【0036】
このため、空気入れポンプ5からキャップ部材9を外して差し込み棒8をゴムバルブ3に差し込む際、差し込み棒8の外面に塗布された潤滑剤の潤滑作用により滑るようにゴムバルブ3のスリット3e内に差し込まれて穴部8aがゴムバルブ3の内端面3fを貫けてボール球殻2内に入り込む。
【0037】
このように本第2の実施の形態の空気入れポンプ5を用いて本第1の実施の形態のソフトテニスボール1に空気を入れる際、ゴムバルブ3のスリット3eに差し込み棒8eをスムーズに差し込むことができるので、ソフトテニスボール1を軽く手に持った状態でゴムバルブ3に差し込み棒8を完全に差し込むことができることとなる。
【0038】
このため、ボール球殻2を傷め易いゴムバルブ3を強く摘むといった方法を行なうことなく空気を入れることができ、またゴムバルブ3のスリット3eを傷めることがないので、スリット3eの有する密着性が維持される。
【0039】
また、差し込み棒8を抜いた後には、差し込み棒に塗布されていた潤滑剤の一部がスリット3eの内周面に塗布されるので、スリット3eの密着性がより高くなる。
【0040】
本第2の実施の形態において、差し込み棒8は外周面にメッキ処理が施され、直径は0.8〜1.2mm、長さは13mm〜20mmで、上述のように、ゴムバルブ3に差し込んだ際に、穴部8aが確実にバルブ3の内端面3fを貫通する長さであれば良い。
【0041】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、ゴムバルブを単体としてコストダウンを図ることができる共に、ソフトテニスボールの打撃時においても空気漏れの防止を図れ、しかもゴムバルブの軽量化を果たして予想外の打球軌跡を描くことのないソフトテニスボールを提供することができる。
【0042】
請求項2に係る発明によれば、ゴムバルブの突部の周囲にボール球殻の小孔の内周縁がぴったりと接着でき、該内周縁のめくれ上がりを防止することができる。
【0043】
請求項3に係る発明によれば、空気注入用の差し込み棒をゴムバルブにスムーズに差し込むことができるので、ゴムバルブを傷めてスリットの密着性を損ねることがなく、逆にシリコンオイル等の潤滑剤が差し込み棒からスリットに塗布されるので、該スリットの密着性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すソフトテニスボールの要部透視図。
【図2】図1のゴムバルブの断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す空気入れポンプの要部断面図。
【符号の説明】
1 ソフトテニスボール
2 ボール球殻
3 ゴムバルブ
3a 突部
3b フランジ部
3c バルブ本体
3d 導入穴
3e スリット
3f 内端面
5 空気入れポンプ
6 ポンプ部材
7 ねじ部
8 差し込み棒
8a 穴部
9 キャップ部材
10 潤滑剤塗布体

Claims (3)

  1. ボール球殻と、柱状に形成された中実のゴム部材からなり、内外端面の間を軸方向に沿って該ボール球殻内の一部に接着された空気注入用のゴムバルブとを有し、前記ゴムバルブは、前記ボール球殻の内周面に接着される薄肉のフランジ部と、前記フランジ部から外方側に突出し、前記ボール球殻に形成した小孔に係合する突部と、前記突部の外面に開口する有底の開口部と、前記フランジ部から内方側に延びる柱状のバルブ本体と、前記開口部の底面から前記バルブ本体の内端面を貫いて前記ゴムバルブ内に形成されたスリットとを有し、前記バルブ本体は外方から内方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成されていることを特徴とするソフトテニスボール。
  2. 前記ゴムバルブの突部は、外方に向かうに従って外径が漸減するテーパ−形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のソフトテニスボール。
  3. 軸方向に貫通形成されたスリットを有する空気注入用のゴムバルブをボール球殻の内面に固着したソフトテニスボールに空気を注入するための空気入れポンプであって、前記ゴムバルブに差し込まれる先端部に空気吐出用の穴部が形成された差し込み棒と、前記差し込み棒の後端部に取り付けられたポンプ部材と、前記差し込み棒を取り外し可能に覆うキャップ部材と、前記キャップ部材内に設けられ、潤滑剤が塗布され、前記差し込み部材の外周面に接触する潤滑剤塗布体とを有することを特徴とする空気入れポンプ。
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